◆−新しく。−海月    水 (2002/10/31 01:27:19) No.10939
 ┣正体を探れっ!−海月    水 (2002/11/2 04:41:21) No.10988
 ┣1、嫌いなんですか?−海月    水 (2002/11/2 04:42:55) No.10989
 ┣2、自画自賛ですわ♪−海月    水 (2002/11/2 04:44:11) No.10990
 ┣3、ルナは…−海月    水 (2002/11/2 04:45:59) No.10991
 ┣4、正体は!?−海月    水 (2002/11/2 04:51:56) No.10992
 ┃┗Re:4、正体は!?−D・S・ハイドラント (2002/11/13 16:20:54) NEW No.11323
 ┗あとがき(遅−海月    水 (2002/11/6 00:59:39) No.11127


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10939新しく。海月 水 2002/10/31 01:27:19


「(シュタ)皆様こんばんわ。初めての方ははじめまして。謎の美少女エルフこと、ルナティック=シャドゥールですわ。よろしくお願いします^^」
ひゅぅぅぅどか。
「あ、着地失敗ですわ。相変わらずクラゲなだけありますわね」
うるひゃい。
こんばんわ。水(みな)ちゃんです。
文才能力ゼロのご存知の通り、海月です。でも、クラゲとは読まないのでご注意を。
今回はギャグです。このルナの正体を暴こうってだけの話。でも、実はその後に続くストーリーには欠かせない通過点・・・になるはず(爆)です。
「ふ、ふん。私のファンはこれくらいでは引きませんわよ。ええ。引きませんわ」
一番不安がってるのルナじゃん(笑
「違いますわよ。ええ、違いますわ!」
じゃあ、今宵はこれぐらいで。明日か明後日、振り替えまでには上げられるでしょう。
では、これにて。
「相変わらず短い前振り・・・」
ほっとけぃ!


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10988正体を探れっ!海月 水 2002/11/2 04:41:21
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正体を探れっ!

プロローグ



カリオ・シティ。
そこはラルディーク王国から沿岸諸国連合への玄関口。沿岸諸国連合からラルディーク王国への出口の街だ。
国境沿いだからそこ貿易が盛んで、街道を走る馬車がところせましと並んでいる。一台一台、向かう街が違うのだろう。乗り込む人も様々だ。
「久しぶりに来ましたわ…」
金髪の横の髪を耳の横で揃え、後ろの髪を背中まで伸ばしている少女。その姿だけでも人の目を集めるというのに、瞳の色が藍と碧という両方とも違う色をしているためにより一層人の目を惹きつける存在である。
「久し振りって、どれくらい来てなかったんだ?」
金の長髪で美男子と称される程の顔立ちの剣士がそう訊ねた。
「そうですわね…ざっと20年は」
「流石はエルフね。で、今の年齢は?」
宝石の護符(ジュエルズ・アミュレット)に黒いマント。どこからどう見ても黒魔道士風の緋色の髪の少女が悪戯めいた笑みを浮かべながら訊ねた。
エルフの少女は少しだけ顔を伏せながら
「いやですわ。レディに歳を聞くのは失礼ですわよ?
でも、姿的には16前後ですもの。それで十分だと思いません?」
「エルフって色々な知識もあるんですよね?
お暇でしたら色々と教えてはもらえませんか?」
向日葵のような爽やかな笑顔を貼り付け肩までで揃えた黒髪の少女は頼み込んだ。
この少女は今、記憶を殆ど失っている。自力で思い出した記憶も少しだけあるが、矢張り無理は出来ない。自称、謎の神官(プリースト)に記憶を戻す鏡というものを探してもらっているのだが、かれこれ1週間ほど連絡はない。
「いいですわよ。
何週間か滞在するつもりですし、フォーレス仕込みの知識おすそ分けしますわ!」
「お前の住んでたフォーレスってエルフの村はここから近いのか?」
全身白ずくめの一見怪しい男性。だが、この一行の中では一番まともな知識の持ち主である青年が訊ねた。
「ええ。是非一度いらっしゃいませっ!
あなた達ならば歓迎しますわよ」
くすりと笑ってエルフの少女は黒髪の少女の手を取って走り出した。
「ここをまーっすぐ行ったところに広場がありますわ! そこの広場にある宿屋に私は泊まってますわ。キチンと迎えをくださいよ」
2人は仲良く手を取合い人込みの中へと消えていった。いや、正確には仲良くではなく、仲間を引きずってだろう。とにかく、彼女達は一行から離れた。
「なぁ、ルナとアメリアを一緒にして大丈夫なのか…?」
真剣みを帯びた発言に、魔道士の少女の眉がピクリと跳ねた。
「ガウリイ、アンタ前にもそんなこと言ってたわよね? どーゆーことかしら?」
「だって、ルナは……」

「きゃーっ! 盗人よっっ!!」

「行くわよ! こういう美味しいシュチエーションは逃すわけにはいかないわ!」
だだっと剣士に聞こうとしたことをすっかり忘れて、少女は飛び出していった。
「俺達も行くぞ。行かないとリナになにを言われるか分らん」
「同感…」
彼等も走り出した。
これから騒動が巻き起こることも知らずに。



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109891、嫌いなんですか?海月 水 2002/11/2 04:42:55
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1、嫌いなんですか?


るんるんるん♪
鼻歌を歌い、スキップしながらルナティック=シャドゥールは広場へと真っ直ぐ進んでいた。
そして、少々疲れ気味の顔をしてセイルーンの第2王女であるアメリア=ウィル=テスラ=セイルーンが後を付いる。
「あー。20年で建物って変るものなんですわね」
しみじみと眺めながら歩く。
「そんなに変ってるんですか?」
「凄く変ってますわ。昔はここに食堂があって、この古井戸も使われていましたわ」
次々と変ってしまったモノを指差し、全てアメリアに説明していくが、長くは続かなかった。

「彼女達、連れはいないの〜?」
「よかったら俺達と一緒に飲みにでも行かないかい??」

どこの街にもいるナンパ君達。ルナのことをエルフだと気付いていないのが幸いか…。
「他の人を誘いなさいませ」
冷たくあしらい、ふんっと避けるようにして歩き出す。が、かなりしつこいようで彼女達の前に出てとうせんぼをする。
「つれないなぁ。
どこでも連れていってあげるよ?」
いきなりルナの手を持ち、すぐに払われる。
だが、それだけでは納まらなかった。矢筒から矢を一本抜き、彼女自慢の弓、インシビルムーンを手に取った。
「さて、どこを射って欲しいんですの?
足? 腹部? 胸部? 腕? 顔? 頭?」
さらりと笑顔で言われ、ナンパの2人組も流石に凍り付いた。
「なにもそこまで脅かさなくてもいいと思うんですけど…」
「脅しじゃありませんわよっ!
気色の悪い人達に人生の厳しさというものを教えてさしあげたんですわっっ!!」
「男の人、嫌いなんですか?
でも、ガウリイさんとかゼルガディスさんとかは大丈夫でしたね」
「…色々とあるんですわ」
先程までの動揺を押し殺し平然とした口調で答えたが、まだ凍り付いているナンパ2人組を見ると逃げ出すようにその場所から立ち去った。
「あ、置いていかないで下さい!」
一人置いていかれたアメリアは急いでルナの後を追いかけた。




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109902、自画自賛ですわ♪海月 水 2002/11/2 04:44:11
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2、自画自賛ですわ♪


明くる日の朝。
結局は同じ宿屋に泊まった一行は全員揃って食事をしていた。が、使っているテーブルは2つ。だけど、2つの距離はあまりにも遠い。
「ちょっと、そのサンドはあたしんよっっ!!」
「ならば、こっちの肉はもらったぁぁぁぁっっっ!!」
「なっ! お肉の為にサンドを犠牲にしたわね!?
こうなったら───」
なにかに目標を定めたらしく、フォークを握った右手が瞬時に動く。
「甘いっ!」

かきぃぃぃぃんっっ

「あぁ、しまったっ!」
フォークは弾かれ宙を舞う。
いつもの食べ物争奪戦が行われているのに見向きもせず、3人はゆっくりと優雅な朝食を取っていた。勿論、あちらの2人とは他人の振りを決め込んでいる。
「いつもあんな調子なんですか?」
「あっちを見るな。アメリア」
「あ、すいませんがモーニングティを」
「はい、わかりました…ゼルガディスさん」
和やかなゼルガディスとアメリアの会話に混じって、ルナは今日、何杯目かの紅茶を頼んだ。最初の何杯かは2人共驚いて反応していたが、回数が増えるにつれて無反応になってしまったのだ。
「やっぱり紅茶は優雅に飲むのが一番ですわ。
こうして紅茶を飲んでいる私の姿…。絵になりますわ〜」
うっとりと自分の行動を褒め称え一口紅茶を含んだ。
「…相当なナルシストが入っているのか…」
感心したように呟き、
「いいか、アメリア。こういうナルシストだけにはなってはいかんぞ?」
「でも、ルナさんってお綺麗ですし、本当に絵になると思いますが…?」
「いや…今はルナのことを言っているんじゃなくてだな…」
「出来ればルナさんみたいになりたいです」
「…………」
こんな調子で朝食時が過ぎていった。


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109913、ルナは…海月 水 2002/11/2 04:45:59
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3、ルナは…


昼間は全員が外へと出かけることにした。
ゼルガディスはいつも通りに図書館へ。アメリアも面白そうですから。と一緒に図書館へと出向いていた。
リナとガウリイは盗賊いじめの時に回収したお宝を売りさばきに魔法道具店(マジックアイテムショップ)へと行き、値段の交渉をしている。
「ふーん。原石に蝙蝠の羽根、呪いの原料となるラフィニィの根が一束…。イイモノが揃ってますわね」
そして、ルナもリナのところへと付いて来た。
「お嬢ちゃんは可愛からオマケをしてあげるけど? どうする?」
「そうですわね…」

「もう少しだけ値段跳ね上がりませんか?」
「無理無理。商売上これ以上値段を吊り上げたらこっちが破産しちまう」
まだ値段の交渉をしているリナを横目で見つつ、欲しいものを棚から見つけ取っていく。
「おじさん、気を付けた方がいいと思うぞ。ルナは…」
「蝙蝠の羽根にラフィニィの根、それから破魔の札、シリアの実を。これを下さいませ。
あと、トッカラがあったら嬉しいんですが…あります?」
こそっと耳打ちしていたところに買いたいものを手に持ってお店の定員の前に現れたルナによって、店員はガウリイの話しなど忘れ、ルナの接客に勤しんだ。
「トッカラは…店の奥にあるんだ。ちょっと待ってておくれ」
「そんなもの何に使うんだ?」
「研究ですわ。私の目って左右が違う色でしょう? ちょっと実験の失敗でこんな色になっちゃったんですの。まぁ、瞳の色は気にしてないんですけど、長年の研究が爆発して無駄になっちゃったから、材料を集めてもう一度やり直そうかと」
「大変だな」
「エルフですもの。生が長い分、暇も多いですわ。その暇を埋めるためにエルフは研究をよくするんですの。それに、頭を始終動かしてないと中身だけの老化が進んでしまって…」
とたたたっと店員がお店の奥から戻ってきて、ルナが探していたトッカラを見せた。
「これだね。トッカラのお代はサービスしておくよ。
金額は金貨2600枚になるよ」
背中に背負っていた小さなバックの中から布袋を2個取り出し、
「これ一袋に1000枚の金貨が入っていますわ」
言って、小さめの袋を1個置いた。
天秤に乗せ、金貨1000枚に相当する重りを置き、布袋を置いた。ピッタリ均等の重さになり、もう一袋も同じ量だろうと考えて確認はしなかったが、重みだけは確かめている。
「多分丁度だろう。ありがとう。また来ておくれよ」
「私の家は近くですもの。また来ますわ。10年後でも15年後でも」
にっこりとそれだけ答えて、
「ガウリイ、リナはこんな調子ですし、私は先に帰りますわよ?」
「あぁ、伝えておくよ」
そう言い、ルナはお店から出た。


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109924、正体は!?海月 水 2002/11/2 04:51:56
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4、正体は!?


「ねー、アンタは何者なの?
この際、魔族と言われようとも驚かないわよ?」
「魔族…! あんな存在と一緒にしないでくださいませっ!
私は魔を狩る存在、魔とは敵対関係にあるエルフですわよッ!? そんなオチがあってたまるものですか!」
ルナが取った部屋でいきなり質問をされ、怒鳴り散らすように彼女は怒った。
恐ろしい形相だったからこそ、リナでさえも少し退いた。
「でもさぁ、ガウリイがルナは…ってよく言いかけるから正体があるってことでしょ?」
「ただの勘違いですわよ」
「ガウリイの勘は動物並みだからあてになる筈なのよ」
「気分のノラない日もありますわよね? そういう日は五感とかが優れないものなんですわよ?」
「…なにを隠してるの? ちゃっちゃと教えた方がいいわよ?」
「なにも隠してませんわ。
私は魔族でもありません。ただのエルフですもの!」
ばたっと立ち上がりすぐに部屋を出ていってしまう。
「シャドゥール!?」
どたどたどた。という音が聞こえるということは階段を降りて1階へと降りていったのだろう。すかさず後を追う。

「ルナ、お前さん…」
「本当に分かってるんですわね…ガウリイ」
ガウリイと目が合い、野生の勘は恐ろしいものですわねと深いため息を吐いた。
後ろからリナも追い付き、ルナは決心したように口を開いた。
「………私、性別上男ですわ」
冷たい風が通り過ぎ───。

『なにぃぃぃぃぃぃぃっっっっっ!!??』

その場にいたリナやゼルガディスは勿論、ルナに対して好意の念を持っていた一般市民まで叫び声を上げていた。
「でも、心は女ですから、ノープロブレムですわよ。それに、こんなに可愛いですし」

『ノープロブレムじゃないぃぃぃぃぃっっっっ!!!』
『俺の青春を返せぇぇぇぇっっっ!!』

叫び声が一致するあたり、かなり大勢がルナのことを気に入っていたのだろう。
「別に問題はありませんわよ」
「問題あるに決まってるでしょう!?
なんだって、男のくせにこんなに綺麗なわけ!?」
「ガウリイとかゼルガディスとかだって女装させたら綺麗でしょう?」
「ちょっと大柄な女性が出来あが……じゃない。
シャドゥールの場合、外見からして男とは思えないわよ」
リナよりも背は低く、肩幅も華奢なぐらい細く腕も細い。外見から判断すれば、100人中100人が女性と答えるはずだ。
「今度、男装…じゃないわね、キチンと男性のようなカッコをしてもらいましょうか?」
「嫌ですわよ」
「でもルナさんって男性のカッコをしても女性に見られそうですね」
「あ、男装なら引き受けますわよ?」
男性のカッコをしても女性に見られるという言葉に反応して、あえて『男装』と言った。つまり、もう女であって男に戻る気はないという意思表示なのだ。
「どうでもいいけどさ、ルナティックって名前は元々の名前じゃないんでしょう? 本当の名前はなに?」
「ルナティックですわ。私は最初からこの名前なんですの…」
男性であると分かったにも関わらず、喋りかたは変わらない。そして、リナ達もそれを聞いていても気色が悪いとか思えなかった。似合いすぎていて。
「にしても名前にしては珍しいな」
「そうですわね。でも、月という意味は気に入ってますわ。ですから、この弓だってインシビルムーン。無敵の月という意味ですわ」
ちょいっと背中に掛けられている自慢の弓を指差し説明をする。この自慢ぶりからどれだけ気に入っているのか想像できるはずだ。
「無敵の月、つまり、無敵のルナティックということ…」
自分の言葉に酔いしれているのかうっとりと虚空を見つめている。

『おやおや、そちらの方は男性だったんですか。魔族もビックリの女装ですねぇ』

シュンとゼロスが現れ───ゼロスの姿を見て唖然とした。
「……なにやってんの…?」
「見ての通りですが」
今のゼロスの服装は紫色のチャイナドレスで身を包み、ふわふわとした扇を持った女性の姿だった。
「まぁ、いわゆる対抗意識ってやつですよ」
にっこりと扇を口元に翳し、おしとやかにイスに座って足を組んだ。
男(魔族だから関係無いけど)だというのに色気があり、本当の女性であるリナやアメリアなど足元にも及ばないかもしれない。
それでも、まだむかつきを抑えられているだけマシなのだろう。
挑発的な笑みを浮かべるゼロスに対して、ルナの怒りが爆発した。
「ふふふ…お隣座りますわよ?」
「どうぞ、ご自由に」
すとんっと座り──2人の間だけに近付けないほどの殺気が生れる。
「ちょ、ちょっとぉ。勝負するのはいいけど、ゼロスが取りに行ってた鏡を早く渡しなさいよね…!」
「あ、そうでしたねぇ」
これです、と後ろに向って投げた。
慌ててキャッチし、その場から数メートルと離れる。
「今時可愛いだけでは人生の荒波は乗り越えられませよ?」
「………なら…」
肩を護っていた白銀のショルダーガードを掴み、肩からずらし腕を護るようにと護る場所を変化させた。元々肩がむき出しの服を着ていたため、肩を見せ付けるようにあえて位置をずらした。
だが、肩をむき出しにしたわりには色気はない。子供が大人ぶっている。という言葉が一番しっくりくる。
「全然だめですねぇ」
「う…でも、女性の見かけだけの魅力なんてすぐ尽きますわっ!」
「僕は魔族ですから衰えることはありません」
一瞬絶句して、
「料理に自信がないんですのね?」
有無を言うことさえ許さないような強い口調で言い、叩き込むように言葉を紡いでいく。
「矢張り魔族は負の感情を食らうだけのモノ。料理などを作ることがありませんものね。
あぁ、そうですわよね。ごめんなさいですわ。変なことを言ってしまって」
ぐっとゼロスの両手を握り締め真剣に謝る。それはかえって不気味で怖い光景だ。
「も、もう女装なんてやめますっ!!」
シュンっとゼロスは消え去った。
──勝った…。
心の中だけで勝利に酔いしれ、臆面には出さぬように勤めた。
「ところで、ホントに料理なんて出来るの?」
「出来ます。それくらい出来ないとお嫁に行けませんわ」
「それもそーだなぁ。リナ、少しは見習った方がいいぞ?」
「ちょっとなにかオカシイでしょっ!
あたしに男を見習えって言いたいわけ!?」
ぽりぽりと頬を掻き、
「いや、料理の腕だけ学べってことだ…」
そう答えた。
「私でよければ手ほどきいたしますわよ。これでも料理はデザートから一般家庭に出るものまで作れますから」
くすりと笑う姿は可愛く、周りの人達は同じ過ちを2度犯したことだろう。


「これからどこに行くんですか?」
なんとか記憶を戻したアメリアが訊ねると、一同はシンっと静まり返った。
「決めてないんですか??」
「もう少しだけこの場に留まるとかどうですの?」
「…一緒に来るつもり…?」
げんなりと疲れた顔でそう訊ねると、これいじょうないぐらいの笑顔を貼り付かせて勿論っと簡潔に答えた。
「俺ももう少しこの場に留まりたい。近くに古い寺院があることを調べ上げた。そこに出向こうと思う」
「そう…。じゃあ、もう少し留まることにしましょう。
あたし、もう寝るわ。なんだか疲れた…」
「大変そうですわね。子守り歌でも歌います?」
「なにが、大変そうよ。原因がのほほんっと言うんじゃないっ!!」
叫び、すぐに疲れたように体のバランスを崩す。
そのまま誰も喋らずリナは部屋へと帰り、全員は黙黙と食事を続けたのだった。

これから起こる事態を想定せず、彼等はゆったりとした休養を取り始めた。



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11323Re:4、正体は!?D・S・ハイドラント 2002/11/13 16:20:54
記事番号10992へのコメント

レス大変遅れました〜
すみません〜。

> この際、魔族と言われようとも驚かないわよ?
>「魔族…! あんな存在と一緒にしないでくださいませっ!
> 私は魔を狩る存在、魔とは敵対関係にあるエルフですわよッ!? そんなオチがあってたまるものですか!」
まあ魔族がエルフを騙るとは思えませんし


>「………私、性別上男ですわ」
えっ!

> 今のゼロスの服装は紫色のチャイナドレスで身を包み、ふわふわとした扇を持った女性の姿だった。
>「まぁ、いわゆる対抗意識ってやつですよ」
まあ魔族ですから性別とかあまり関係ない気もしますが・・・。

> これから起こる事態を想定せず、彼等はゆったりとした休養を取り始めた。
まだ何かが起こる・・・と

それでは〜すみませんでした〜

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11127あとがき(遅海月 水 2002/11/6 00:59:39
記事番号10939へのコメント


こんばんわー。水ちゃんでうす。
ちなみに朝5時半・・・。時間があんまりないので、先に書いてコピペという方法ですが、ご了承を。
『正体を探れっ!』ですが、なにぶん時間がなく雑に仕上げていったらこんな形になっちゃいました。いやぁ、お仕事って大変ですねぇ(ゼロス風)
まぁ、これからはキチリとして真面目に書いていこうと存じます。途中で詰まったりするけど(爆
ちなみに次はクリスタルを巡る争いでも書こうと思いますが、なにぶん題名が決まってません。
一応、『クリスタル伝説(仮)』にしておきましょう。題名ないと不憫だし。
ちなみにどんな物語か。少々予告も兼ねてご説明致します。

5色のクリスタルという物を巡る争いに一行は巻き込まれてしまいます。巻き込まれたというか、自分から首を突っ込んだの方が正しいかな。
クリスタルは、炎のクリスタル、水のクリスタル、風のクリスタル、地のクリスタル、光のクリスタル。この5色。
どんな効果があるのかは説明するとつまらないので、物語で。
そして、同時にクリスタルを集めようとする一人の女の子。
え? 大人げないって? そんな女の子からクリスタルを奪おうとするなんて。彼女の雰囲気を感じてもらってからもそんな言葉が出てくるでしょうかね(謎
短いとは思いますがこれにて。だらだら書いても仕方ないだろうし、違う話に変りそうだし^^;;
では、また今度。