◆−ある日、森の中(ゼロスサイド)−エモーション (2002/11/1 22:41:00) No.10978 ┣Re:ある日、森の中(ゼロスサイド)−ドラマ・スライム (2002/11/1 22:55:01) No.10979 ┣ある日、森の中(フィリシアサイド)−エモーション (2002/11/1 23:18:28) No.10980 ┃┗Re:ある日、森の中(フィリシアサイド)−ドラマ・スライム (2002/11/2 10:33:31) No.10997 ┃ ┗いつもこまめにコメントありがとうございます。−エモーション (2002/11/2 22:50:22) No.11023 ┗脱字部分の訂正。−エモーション (2002/11/2 22:03:54) No.11020
10978 | ある日、森の中(ゼロスサイド) | エモーション E-mail | 2002/11/1 22:41:00 |
こんばんは。 えっと、これは「千年越しの賭」と同じ、過去シリーズの短編です。 きっぱりいえば、あの話のメインのオリキャラ、フィリシアとゼロスが初めて 会ったときの話を、ゼロスとフィリシア、それぞれの視点と一人称で書いたもの ……ですが、先に謝っておきます。ゼロスファンの皆様ごめんなさい。m(__)m すっごい変です、ゼロスが。ノリだけで書いたらこうなりました。 まともなの、ラストだけのような……(滝汗) では、私ダッシュで逃げます(爆) ◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇ 「ある日、森の中」(ゼロスサイド) 初めは、大きな白い鳥だと思いました。 森を突き抜ける街道から、少しはずれた場所にある木の下。横たわっていたのは、 大きめのシルバーグレイのマントを羽織った、真っ白な法衣にフェアブロンドの 髪の、なかなか綺麗な娘さんです。 …………とりあえず、埋めることにしました。 「……っつ、何するんですかっ!」 二、三度土を被せたときでしょうか。急にその娘が起きあがったんです。 ええ、さすがに僕もビックリしましたよ。 だって、彼女は埋めるために身体を抱えたときも、ぴくりとも動かなかったんです。 普通なら少しは反応あるでしょう? ですから、まだ生きているのは分かってましたけど、もう身動きも取れない 行き倒れ。埋葬はちょっと早いけど、まあいいかと、そう思ったんです。 ね? 凄く親切でしょう? 僕って(はあと) それがこの展開ですからね。ゾンビに遭遇した人間って、こんな気持ちかも しれません。 「何を……って、旅の途中で亡くなった方は、こうして弔ってあげるものでしょう? ああ、ちゃんと冥福を祈って差し上げますから、迷わず成仏してください♪」 「まだ生きてますっ! 冥福なんて祈らないでくださいっ!! 第一、もっと 普通の人はいきなり埋めたりしませんっ!!」 魔族の僕が、親切にも冥福を祈るとまで言っているのに、何故か彼女は 怒っていました。 「そうですかぁ……。声をかけても揺すっても、全然反応がなかったので、 てっきり死んでいるのだと思いました。あっちこっちで戦争しているような ご時世ですから、行きれも珍しくないですし。 ……それにしても……死の判断って、難しいですねぇ……」 僕が即席で作ったスコップ片手に、そうしみじみと言うと、彼女はがっくりと 力の抜けた様子で言いました。 「そう言う問題じゃ……。それは……私の方も、ここ3日くらい、全然眠って ませんでしたから、間違われても仕方ないかもしれませんけど……」 「この穴を掘るの、結構大変だったんですよ」 「力」を使えば簡単ですけど、ここでは加減が面倒だったので手作業だったんです。 さすがに地面を森ごと吹き飛ばすわけにはいきませんし。だから、本当に 大変でした。……ああ、そうだ。 僕はぽんっと手を叩いて彼女に提案しました。 「せっかくですから、このまま埋まってみませんか? 滅多に出来ない、 貴重な体験ですし、これなら穴を掘った僕の苦労も報われます♪」 「………………」 ……僕のナイスなアイディアのどこが気に入らなかったのか、いきなり ディル・ブランド(炸弾陣)で攻撃されました……。 「……すっごく馬鹿馬鹿しい理由で汚れちゃったわ。この法衣、お気に入り なのに……」 僕の力作の穴から出てくると、彼女はぽんぽんと髪の毛や服に付いた土を 払っていました。お気に入り……だったんですか、その法衣……。まあ、確かに 質素に見える割に、装飾には品があるし、高価な布地が惜しげもなく使われて いるなあと思いましたが。 僕は……と言いますと、一応呪文のダメージを受けたフリをしました。防ぐのは 簡単ですけど、どんな些細なことで魔族だってばれるか、分かりませんからね。 もっとも、彼女は威力を加減していたようですから、人間でもたいしたダメージは 受けなかったかもしれません。 「それは僕も同じですよ」 僕も土を払いながら、そう言いました。ダメージはともかく、汚れたのは ほんとです。ディル・ブランド(炸弾陣)って、土砂が飛びますからねぇ……。 「人を生き埋めにしようとしておいて、単なるささやかな報復に文句言わないで ください。あなたは一方的な被害者じゃないんですから」 「そう怒らないでくださいよ。まあ、お互い様ということで手を打ちませんか? ……ところで、どうしてこんなところで倒れていたんです?」 「……眠っていただけです。クティロワルに入るまで、ずっと眠っていません でしたから……」 「そう言えば、さっき3日くらい眠ってないって言ってましたね。でも、いくら この辺りは比較的安全だといっても、女性1人で野宿するのは不用心すぎですよ」 純粋にこれは疑問でした。この辺りはクナスレージュとの国境付近ですが、 野宿するほど宿に不自由する場所でもないんですよね。 「そうですね……いきなり穴を掘って埋める人もいますし……」 ……きっちり、根に持ってますね。この人。 「早くクナスレージュを出ることしか考えていませんでしたから、国境を越えて 気が緩んだのは確かです。本当、不用心でしたわ」 どうやら理由あり、みたいですね。でも……。 「それで睡眠不足で体力が追いつかなくなって、行き倒れと思えるくらい 熟睡していたんですか?」 切羽詰まっていたのでしょうが、ちょっと迂闊すぎです。半分呆れながら そう言うと、彼女は自覚しているらしく、恥ずかしそうに真っ赤になっていました。 その様子が面白くて、思わずくすりと笑ってしまいました。 「あの……申し訳ありませんが、先を急ぎますので、私はこれで失礼いたします。 ご忠告、ありがとうございます」 僕がくすくす笑っていると、彼女は上流階級どころか王族相手でも通じそうな、 ケチの付けようがないくらい、完璧な態度でそう言いましたが……「慇懃無礼」 という言葉が頭に浮かぶのは何故でしょう? まあ、顔はまだ真っ赤でしたが。 「……どうかしましたか?」 歩き出した、と思うと、彼女は周囲を見回して何かを探していました。 「ええ。私の荷物が見当たらないのですが……」 「ああ、これですか?」 僕がリュックとフード付きのマントを手に持って見せると、彼女の赤紫色 の目が点になっていました。 「……どうして、あなたが持っているのでしょうか……?」 「亡くなった方には必要のないものですから、僕が有効に使おうと思いまして(はあと)」 とりあえず、今回命じられた仕事は終わったとは言え、真面目な話、人間 の中に混じって行動する事が多いので、どうしても先立つものがいるんですよねぇ。 持ち合わせはありますけど、多くて困るものじゃないですし。 「……私、生きてますけど……」 「そうでしたね。どうしようか迷いましたが、若い娘さんでしたし、身ぐるみ 剥がさなくて正解でした」 「……身ぐるみ……しかも迷った……って……?」 「まあ、実行したら目の保養にはなったかもしれませんが」 これは冗談ですけどね。だって、僕は魔族ですから。見ても全然面白くありません。 「……………………」 おや。ほど良く負の感情が漂ってきました♪ と、そちらに気を取られていると、彼女は僕の目の前に来ていました。 「少々、お手を拝借します(はあと)」 彼女は僕の手を取ると、さっきまでの負の感情は何だったのでしょうと思うほど、 上品にふんわりと微笑んでいました。 「はい、何でしょう?」 だから、つい油断しちゃったんです。 「……モノ・ヴォルト(雷撃)」 ……普通なら、精霊呪文の影響なんて受けるわけないんです。でも、油断 していると多少は影響受けちゃうんですよね、何故か。まあ、たいしたことは ないんですけど。ひょっとしたら物質世界に実体化しているせいでしょうか? それに、今度は手加減なしみたいです。 地面になついてしまっている僕をから手を離すと、彼女は自分の荷物を抱えて、 先程と同じように……いえ、さすがに引きつってますが、微笑むと 「では、失礼します。もう二度とお会いすることはないと思いますが、お元気で」 言葉だけなら普通でも、口調でオブラート二枚ぐらいに包んだ「二度と会いたく ありません」という言葉を残して、街道の方へ猛スピードで走っていきました。 ……威力からすると、かなり魔力許容量の大きい方ですね。それに、神官や 巫女としてもそれなりに地位が高そうです。 「……名の知れた聖者や、実力のある高位の神官の類は、あらかた片づけたと 思ったのですが……」 見落としたのか、それとも、まだこれからの人だから、気にもとまらなかったのか……。 「どちらにしても、放っておくと厄介かもしれませんね」 僕は土埃を払うと、立ち上がりながら彼女の落とし物を拾いました。 丸い、サファイアのジュエルズ・アミュレット。マントの留め具に使われて いましたが、彼女の呪文の衝撃で取れたのでしょう。 クティロワル方向へ街道を抜ければ、すぐに小さな町があります。まだ睡眠と 体力の足りていない彼女は、そこで宿をとるでしょうね、確実に。 「……まあ、どうするかはともかく、少し観察してみましょうか」 この間までの仕事の報告も済んでますから、次の命令までの暇つぶしにも なります。「袖すり合うも多生の縁」と言いますしね。さて、追いかけると しましょうか♪ 追記 さすがに、彼女、フィリシアの監視が次の仕事になるとは思いませんでした。 ……未だに、彼女にはよく分からない部分が多すぎるのが、不可解です。 by.ゼロス ──「ある日、森の中」(ゼロスサイド)・終── ◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇ X.……逃げられましたね、筆者Eに……。 F.そうみたいですね。 とりあえず、一応ギャグのつもりだったようです。この話。 X.……初対面の話って、きちんとしたのがあったと思うんですけど……。 F.「昔書いたのを読み返したら、ありきたりすぎてつまんないので廃棄した」 ……と言ってましたけど? X.それでこれですか……(ため息) F.それから、「シャルロット・チャーチのAngelVoiceをBGM 聞いていて、こんな話を考えてた自分が悲しい」と言ってます。 X.オペラナンバーや賛美歌聞きながら、こーゆー内容……。 F.思いっきり罰当たり。ある意味、魔族より質悪いですね(にっこり) それでは、お見捨てしていない寛大な方は、フィリシアサイドもご覧下さいませ。 |
10979 | Re:ある日、森の中(ゼロスサイド) | ドラマ・スライム | 2002/11/1 22:55:01 |
記事番号10978へのコメント お久しぶりです。 ゼロスの1人称ですね。 結構ギャグもあって面白かったです。 自力で穴を掘ったり、やられたふりとかして魔族も大変ですねえ。 プライドとか傷つかないのでしょうか。 それではフィリシアサイドも読みますので・・・。 さようなら〜 |
10980 | ある日、森の中(フィリシアサイド) | エモーション E-mail | 2002/11/1 23:18:28 |
記事番号10978へのコメント ……ということで、フィリシアサイドです。 こちらは……フィリシアの猫っかぶりっぷりといいますか、タヌキっぷりが 良く分かります(笑)では、どうぞ。 ☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆ 「ある日、森の中」(フィリシアサイド) 自分でも無茶だって、自覚はありました。 国境近辺になってから、ずーっと眠らずにひたすら歩いて歩いて……3日。 眠い、とにかく頭の中にあったのはその言葉。だから、クティロワルに 入ったって思った途端、力が抜けました。不用心だったのは確かです。でも…… いきなり埋められるとは思いませんでした。 何だか周囲ががさがさ煩いと思っていたけれど、眠くて怠くて身体が全く 動かなかったんです。やっと目を開けることが出来たとき、上から土が降って きました。 びっくりして飛び起きると、いつの間にか私は穴の中にいて、土をかけていたのは、 整った顔をした黒髪に黒い法衣の神官でした。 怠くて重い身体を無理やり動かして文句を言った私に、彼は妙にのほほん とした口調で、こう答えました。 「何を……って、旅の途中で亡くなった方は、こうして弔ってあげるものでしょう? ああ、ちゃんと冥福を祈って差し上げますから、迷わず成仏してください♪」 「まだ生きてますっ! 冥福なんて祈らないでくださいっ!! 第一、もっと 普通の人はいきなり埋めたりしませんっ!!」 ……私がこう言ったのって、間違ってないと思います……。 「そうですかぁ……。声をかけても揺すっても、全然反応がなかったので、 てっきり死んでいるのだと思いました。あっちこっちで戦争しているような ご時世ですから、行き倒れも珍しくないですし。 ……それにしても……死の判断って、難しいですねぇ……」 彼はスコップ片手にしみじみそう呟いてますが……。どこから持ってきたのかしら、 このスコップ。それに、この人は死の判断を簡単にしすぎてるように 思えるんですけど……。 そう思ったら、力ががっくりと抜けました。 「そう言う問題じゃ……。それは……私の方も、ここ3日くらい、全然眠って ませんでしたから、間違われても仕方ないかもしれませんけど……」 でも、思い返してみれば、確かに私も行き倒れに間違われるような状態でした。 それは、反省しなきゃいけないって、思っていたら……。 「この穴を掘るの、結構大変だったんですよ」 不意に、彼はこんなことを言い出しました。 ……それは、そうだと思います。一応、野生動物等に荒らされないように 配慮したみたいで、深さが1mはありますから。 「せっかくですから、このまま埋まってみませんか? 滅多に出来ない、 貴重な体験ですし、これなら穴を掘った僕の苦労も報われます♪」 ………………………………………………怒っていいですか? 「ディル・ブランド!(炸弾陣)」 問答無用でごめんなさい。でも、ちゃんと威力は加減したので、許してね。 「……すっごく馬鹿馬鹿しい理由で汚れちゃったわ。この法衣、お気に入り なのに……」 一番簡素で動きやすくて気に入ってるけど、真っ白だから、汚れると目立つのよね……。 法衣についた土埃を払いながら、私が埋められそうになった穴を見てみると、 今の呪文の影響で、少し土砂が落ちて埋まっていました。 ……穴を埋める手間、少しは省けたかしら? そう思っていると、同じように土を払いながら、彼は自分も同じだと言ってきました。 「人を生き埋めにしようとしておいて、単なるささやかな報復に文句言わないで ください。あなたは一方的な被害者じゃないんですから」 思わずそう言った私に、彼は特に気にした様子も見せずに、にこにこと 笑って答えてきました。 「そう怒らないでくださいよ。まあ、お互い様ということで手を打ちませんか?」 ……少しは気にしてください……。そう思うのって変でしょうか? 「……ところで、どうしてこんなところで倒れていたんです?」 「……眠っていただけです。クティロワルに入るまで、ずっと眠っていません でしたから……」 クナスレージュの国内、特にクティロワルとの国境近くでは、宿どころか、 どこかの家に泊めて貰うわけにもいきませんでしたから…… 。でも、理由を 言うわけにもいきませんし、あまり深く突っ込まれたくもありません。 ……どうしましょう? 「そう言えば、さっき3日くらい眠ってないって言ってましたね。でも、いくら この辺りは比較的安全だといっても、女性1人で野宿するのは不用心すぎですよ」 私は、内心苦笑していました。彼が疑問に思うのも、こう忠告するのも 当たり前ですが、……いきなり埋めようとした当人にそう言われるのも変ですから。 「早くクナスレージュを出ることしか考えていませんでしたから、国境を越えて 気が緩んだのは確かです。本当、不用心でしたわ」 とりあえず、そう無理やり適当に誤魔化した私に、彼は理由を特に突っ込まないで くれました。それは、とてもありがたかったのですが…… 「それで睡眠不足で体力が追いつかなくなって、行き倒れと思えるくらい 熟睡していたんですか?」 半分、呆れたようにそう言われました。……自分でも馬鹿みたいと思いますので 仕方ないですが、自覚できるくらい顔が赤くなっている私を見て、彼はくすくすと 笑っていました。 恥ずかしいからそんなに笑わないでほしいです……そう思っていたせいか、 「あの……申し訳ありませんが、先を急ぎますので、私はこれで失礼いたします。 ご忠告、ありがとうございます」 挨拶が少し……いえ、かなり型どおりになってしまいました。でも、失礼には なってないから、いい事にしておきます。 1、2歩、歩きかけて、持っていた荷物がないことに気づきました。私は確か マントを羽織っていたはずです。夏といっても初夏の夜はまだ冷えますし。 それもなくなっています。……呪文で飛ばしちゃったのかしら? 周囲を見回している私に気づいて、彼が声をかけてきました。理由を話す私に、 彼は了解したように、ぽん、っと手を打って…… 「ああ、これですか?」 何故か、自分の法衣の中から、私のリュックとマントを出して見せてきました……。 「……どうして、あなたが持っているのでしょうか……?」 「亡くなった方には必要のないものですから、僕が有効に使おうと思いまして(はあと)」 ……えーっと……人間、正論だけじゃ生きていけません。それは分かってますけど、 ちょっと待てと思うのは……綺麗事……じゃ、ない……ですよね……? それ以前に、神官のとる行動としては……問題ありすぎなのでは……?(滝汗) 「……私、生きてますけど……」 「そうでしたね。どうしようか迷いましたが、若い娘さんでしたし、身ぐるみ 剥がさなくて正解でした」 「……身ぐるみ……しかも迷った……って……?」 ……迷うポイントが、激しく違うーーーーーーーっ!! 「まあ、実行したら目の保養にはなったかもしれませんが」 からかわれている気もしますが…………ボコっちゃっていいですよね…………(怒) 何かが、ぷちん、と切れた音が、聞こえた気がしました。自分でも不思議なくらい、 頭の中が冷静です。 「少々、お手を拝借します(はあと)」 だてに神殿で育ってません。行儀作法や礼法等はきっちり教育されましたし、 年中どうでもいい理由で、ほとんど毎日毎日毎日毎日、うんざりするくらい 様々な人達と接見させられてましたから、感情コントロールも、角を立てずに かわすための必殺スマイルも、実践レベルで完璧に身に付いてます。初対面や 親しくもない相手なら、確実にだま……誤魔化せます。 「はい、何でしょう?」 だから、私が不意に手を取ったのにも関わらず、彼は全く警戒していませんでした。 「……モノ・ヴォルト(雷撃)」 ……これについては、謝る気はありませんっ!………………………………。 ……………………………………………あれ? この人………………………………。 「では、失礼します。もう二度とお会いすることはないと思いますが、お元気で」 私は荷物を抱えると、一応微笑む努力だけしながら、そう言って駆け出しました。 出来るだけ、急いで。 また眠気が襲ってきたけれど、とりあえず、街道を抜けて近くの村か町に つくぐらいまでは持ちます。だから、身体がいつもより言うことを聞かないけれど、 構わず走り続けました。少しでも「彼」から離れたかったから。 睡眠不足が祟ってるって、つくづく思います。モノ・ヴォルトをかけた後になって、 やっと気が付いたんです。「彼」の異質さに。 そう、端で見ているだけなら……「彼」とたいして関わることがなければ ……ごく普通に、いえ、むしろ好感の持てる、親切そうな人に見えます。 でも、違う。 一見そう見えても、実際はそうじゃない人なんていくらでもいますが、「彼」は…… そんなレベルの問題じゃない。「何か」違う。根本的に。本質的な部分で。 「彼」は一体、「何」なの?! ……怖い? ううん。それ以上に、分からないことが、気持ち悪い。何より…… 本能的に拒否反応が起きてしまうのは……何故でしょう? 「袖すり合うも多生の縁」とは言いますが、何となく今日のことは 「一生の不覚」のような気がひしひしとして、仕方ありませんでした。 追記 結局、彼、ゼロスとは会わないどころか、やたらと遭遇し、とうとう一緒に 旅をする羽目になりました。ただ、訳の分からない気持ち悪さと怖さはもうありません。 by.フィリシア ──「ある日、森の中」(フィリシアサイド)・終── ☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆ X.こちらもラストは比較的まともですね。でも、気持ち悪いって……。 F.あら、「何だか分からない」のって「気持ち悪い」でしょう? 少なくとも 筆者Eはそう思うみたいですよ。 X.筆者Eは「どんな形であれ、納得できないと気持ち悪くて仕方がない」と 感じるタイプですからね。 F.ちなみにラストの私のゼロスの第一印象は、少し変形してますが筆者Eの ゼロスの第一印象です。リアルタイムで原作5巻読んでた人ですから、 正体が魔族だって分かるまで、嫌いだったそうですよ。……気持ち悪くて。 正体分かったら、納得したので気に入りキャラにのし上がったそうです(笑) X.……喜んでいいんでしょうか……(汗) F.とりあえず、こんな形ですが、お開きにいたします。 またお会いできる日を楽しみにしています。では。 |
10997 | Re:ある日、森の中(フィリシアサイド) | ドラマ・スライム | 2002/11/2 10:33:31 |
記事番号10980へのコメント >「亡くなった方には必要のないものですから、僕が有効に使おうと思いまして(はあと)」 死人に人権はない。ってやつですね。 >……………………………………………あれ? この人………………………………。 おやっ気付きました? フィリシアは何をしていたのでしょう。 短くてどうでもいいような感想すみません。 それでは〜 |
11023 | いつもこまめにコメントありがとうございます。 | エモーション E-mail | 2002/11/2 22:50:22 |
記事番号10997へのコメント お久しぶりです。 >>「亡くなった方には必要のないものですから、僕が有効に使おうと思いまして(はあと)」 >死人に人権はない。ってやつですね。 そんなとこです(笑)まあ、ここまで露骨にすると、さすがにいい顔は されないでしょうが。 >>……………………………………………あれ? この人………………………………。 >おやっ気付きました? 気づきました。ただし、この時点では睡眠不足のため、思考も感覚も狂ってますので 「この人、違うっ! 何か違うっ!」くらいしか分かってません。 普段ならすぐ気づいたんですが。 >フィリシアは何をしていたのでしょう。 これは「神殿で何をしていたか?」ということでしょうか? 基本は「十二国記・風の海 迷宮の岸」における、昇山者に進香されている 麒麟状態です(笑)御簾越しに一般参拝者の相手をしている……と。 ただ「欠片」を持っていることで、話題づくりや箔付けしたがる主に上流階級や 金持ちのどーでもいい祈祷の類や、相談事と称する面会などもさせられてました。 基本的にこの手の人達は名のある相手以外、見向きもしませんが、フィリシアは 年齢が満たないから、正式就任していないだけですから。わがままで勝手な 連中ですが、ぞんざいにするわけにもいかず、長年の経験で適当にあしらったり、 誤魔化す術を身に付けてしまいました(笑) >短くてどうでもいいような感想すみません。 >それでは〜 ありがとうございました〜。 |
11020 | 脱字部分の訂正。 | エモーション E-mail | 2002/11/2 22:03:54 |
記事番号10978へのコメント レス返しコメントを付けようと思ったら……脱字発見!! いえ、良くやるんですけど、今回のはちょっと会話が少し変になるので。 ……コピペ前に一応、チェックしているんだけどなあ……。(泣き) ゼロスサイド、フィリシアサイド、共通の脱字はこの部分です。 「何を……って、旅の途中で亡くなった方は、こうして弔ってあげるものでしょう? ああ、ちゃんと冥福を祈って差し上げますから、迷わず成仏してください♪」 ↓ 「何を……って、普通は旅の途中で亡くなった方は、こうして弔ってあげるものでしょう? ああ、ちゃんと冥福を祈って差し上げますから、迷わず成仏してください♪」 「普通は」という言葉が抜けただけで、次のフィリシアの台詞が少しおかしく なるんですよね。何せ 「まだ生きてますっ! 冥福なんて祈らないでくださいっ!! 第一、もっと 普通の人はいきなり埋めたりしませんっ!!」 と言う台詞ですから。……完璧に入力ミスです。すみませんでした。 また、 「そうですかぁ……。声をかけても揺すっても、全然反応がなかったので、 てっきり死んでいるのだと思いました。あっちこっちで戦争しているような ご時世ですから、行きれも珍しくないですし。 ……それにしても……死の判断って、難しいですねぇ……」 ……はい、「行きれ」って何でしょう?(笑)正しくは「行き倒れ」です。 これは、ゼロスサイドのみの脱字です。フィリシアサイドは普通に「行き倒れ」に なってますので、(フィリシアサイドの台詞は基本的にゼロスサイドのコピペです) 修正時にうっかり消してしまったのだと思います。 以上、この場で訂正させていただきました。 |