◆−RAINBOW WEDDING−水晶さな (2002/11/7 22:35:35) No.11175
 ┣RAINBOW WEDDING 2−水晶さな (2002/11/7 22:37:23) No.11176
 ┗RAINBOW WEDDING 3−水晶さな (2002/11/7 22:43:29) No.11177
  ┣お帰りなさいっ!!−雫石彼方 (2002/11/9 20:59:36) No.11225
  ┃┗ありがとうございます・・・(泣)−水晶さな (2002/11/9 22:13:54) No.11227
  ┗お久しぶりですっ(><)−桐生あきや (2002/11/15 02:41:29) No.11372
   ┗お久しぶりです(泣)−水晶さな (2002/11/16 00:41:38) No.11398


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11175RAINBOW WEDDING水晶さな 2002/11/7 22:35:35



 ・・・最後に自分が投稿した日付を見て唖然としました。
 2001年8月28日。
 ・・・ええと?(爆)
 本当は夏に出そうと思っていた話、今更ながら書き上がったので出してみました。

===============================



「すみません、街の外から来た方ですよね? あの・・・オレンジ色の服を着た女の子を見ませんでしたか? ・・・あ、そうですか、すみませんお呼び止めして」


「男だろ」
「何言ってるんですか、女性ですよ」
「声は少々高いがあれは絶対男だ」
「あんな綺麗な人が男性だったら世の中間違ってます」
「世の中を否定するまでスケールを広げるな」
「一体どれだけの数の女の子が日々きれーになる為に努力をしてると思ってるんです! そこに何の苦労もしてない天然の美を持ち込まれると殺意を覚えるんですよ!! それがしかも男性だった日には!!」
「・・・お前の本音かそれは」
 それ以上討論を続ける気も失せたのか、片割れの男が片手を挙げて制した。
 夏の日差しが銀の髪に照り返される。
 岩肌でも汗をかくのか、指先で額をぬぐった。
 隣ではまだ「絶対に女性ですよ」と呟いている白装束の娘が、日光を吸熱する黒髪を必死に腕でカバーしていた。
「もうその話はいい、大体討論に熱中して全然宿が探せてないだろ。いい加減干からびるぞ」
「街の人に聞いちゃった方が早いです」
 言うが早いか、アメリアがすれ違いざまに少女を呼び止めた。
「宿? あの雑貨屋さんの角を曲がると突き当たりでぇす」
「ありがとう」
 くるりと振り返ると、ゼルガディスに見せ付けるように指で示す。
「わざわざ指差さなくても聞こえてたぞ・・・ところで、さっきの子供、オレンジ色の服着てなかったか?」
「えっ?」
 二人が振り返っても、道にもう少女の姿はなかった。


「おいしーい!!」
 宿を兼ねた食堂の席にて、カペリーニを口にしたアメリアが目を輝かせた。
 大衆食堂風の外観にしては、いい意味で期待を裏切ってくれた。
「フルーツトマトが甘いからルッコラの苦味を感じないんですよ! ドレッシングもぴったりで・・・ん〜vv」
 アメリアが舌鼓を打っていると、ゼルガディスの前にスープが置かれた。
「何ですかそれ? 白いスープ?」
「ヴィシソワーズ。ジャガイモと牛乳の冷製スープだ」
 スプーンを口に運んで、ゼルガディスが頷いた。
「素材がいいな」
「あ、すみませんお水もらえますか?」
 アメリアが通りかかったウエイトレスに声をかけると、意外にも断られた。
「申し訳ありません、只今水不足でして・・・ミルクか果汁100%ジュースならお出しできるんですが・・・」
「あ・・・そうですか。じゃあ、これ、ヴィシソワーズ下さい」
「かしこまりました」
 厨房に戻っていくウエイトレスを見送って、アメリアが皿に視線をやった。
「・・・何でお皿の上に紙が敷いてあるのかと思ってたんですよ。洗う水を節約する為だったんですね」
「元々雨量の少ない地域だからな。早々に対策が必要なんだろう」
 新たにアメリアの前に置かれたヴィシソワーズに手を伸ばすと、扉の方から鈴の音がした。
 開閉の度に上部に付けられた鈴が鳴るようになっていて、丁度出て行く客がいたらしい。
 アメリアが視界の端に去って行く客を目に留めて――
「・・・あ」
 ゼルガディスもつられて視線をやる。
 客は、街の入り口に見かけた、性別不明の美人の後ろ姿だった。
 透き通った水のような髪の色が特徴的で、間違いはなかった。
 腰を浮かしかけたアメリアを、ゼルガディスがはっしと手を掴んで止める。
「性別を確認しに行くつもりか、やめとけ」
「何で止めるんですかゼルガディスさんっ! 真実を曖昧にしたままって後味悪いじゃないですか!!」
「どうやって確認するつもりだ」
「勿論胸があるかないかでむぐ!!」
 アメリアの言葉が中途で途切れたのは、ゼルガディスがおしぼりを押しつけたからである。
「人の大勢いる所で不穏当な発言をするな」
「・・・むぐぅ」
 ふてくされたアメリアの前に、とん、とコップが置かれる音がした。
 顔を上げると、先ほどのウエイトレスが水を入れたコップをテーブルの上に置いている。
「あれ?」
「天神様がいらっしゃったので、一杯で宜しければお出しできます」
「アマガミ様?」
 アメリアが聞き返すより早く、ウエイトレスが別の客に呼ばれて席を離れた。
 訳がわからないといった顔でコップを持つアメリアに、ゼルガディスがふと思い出したように口を開く。
「アマガミ・・・ああ。天神、もしくは雨神。雨水(うすい)の神だ」
「雨水の神・・・?」
「この地方は雨量の少ない乾燥地帯だが、毎年必ず雨の降る期間がある。それを『天神の来訪』と呼ぶらしい」
「でも、それって神話や伝説じゃないんですか? 今の人、確かに『天神様がいらっしゃった』って・・・」
「稀に姿を見せたり、気まぐれに奇跡を起こしたりするのだけが神じゃないんだろ? 『神』という仰々しい呼称がついてるだけで、実際は強い力を持っている人間、もしくは人間に近しい存在だって事もある。どこかの神殿に居たエセ神官とか」
「ジャッカルさんは一応神官ですよぉ。でも確かにあの人も『(蛇)神様』の御子息なんですよね」
「世界に数多い神話の中でも、民間に溶け込んでる神様がいるのがここ、レインクロスなのでぇす」
「・・・・・・」
「・・・・・・」
 二人の声以外の声が会話に混じり、思わず二人とも口をつぐんだ。
「・・・今の声」
「・・・何処から聞こえました?」
「ここでぇす」
 ゼルガディスとアメリアが同じ動作で振り向くと、テーブルの端に少女が文字通り貼りついていた。
「うわっ!」
「レインクロスにようこそでぇす。気まぐれガイドのチッカちゃんでーす」
 どう見ても十歳前後の少女が、にこにこしながら二人を見つめている。
 腰まで伸びた乳白色の髪は、どういう仕組みなのか光が当たると虹のような光彩を放った。
 褐色肌の人口が多い中で色白の肌を保ち、そのせいで着ているオレンジの服がよく映えている。
「・・・小遣い稼ぎのガイドか?」
 ゼルガディスがジト目で問うと、少女が勢い良く首を横に振った。
「気まぐれでぇす。だからガイド終わりぃ。又会ったらヨロシクでぇす。ちなみに名前はパナチカだけど、チッカって呼んで欲しいでぇす」
 それだけ言うとあっさりと背を向けて走り去って行く。
「・・・何だ今のは」
「・・・子供のする事ですから」
 ゼルガディスと同じように唖然と少女を見送っていたアメリアが、ふと視線を下に落とした。
「あ」
 少女――パナチカが立ち去った後に花が落ちていた。
 黄色が鮮やかなガーベラの花。
 摘み取ったばかりなのか、花びらはまだしおれていない。
「落とし物・・・」
「なぁ、それより」
 ゼルガディスが呼んだので、アメリアが視線を戻す。
「あの子供宿を教えた張本人だろ。オレンジの服の」
「あ」
 アメリアが再び同じ言葉を発した。
 案の定、少女の姿はもうなかった。


 日が暮れるまではまだ早い。
 食料の買出しに再び宿を出たアメリアが、何気なく左を見やり足を止めた。
 後からついてきていたゼルガディスも同じ方向を見やると、何やら人だかりができている。
「正午を回ったとはいえ、炎天下によく集まれるな」
 暑さに辟易(へきえき)しているのか、ゼルガディスがうんざりした口調で言った。
「急病人かもしれませんね、ちょっと行ってきます」
「あ、おい」
 ゼルガディスが止める暇もなく、アメリアが人だかりの中に突っ込んだ。
 中にいたのは別段病人でもなんでもなく――ただ古びた井戸があった。
「??」
 覗き込んだ瞬間、暗闇の中の瞳と目が合う。
「!?」
 井戸の中からぬっと姿を現したのは、土埃にまみれた土方の中年男だった。
「深いのかい?」
 近所の主婦らしき女が尋ねると、男がうなずく。
 井戸が深いのは当たり前だが、と思いつつアメリアが尋ねた。
「どうかしたんですか?」
 尋ねた相手は男だったのだが、話好きなのか主婦が答えた。
「日照り続きで井戸が干上がってね。深く掘り直して水を出そうと思ったら、どこか別の穴とつながったみたいなんだよ」
「中探ろうにも深くてな、酸素不足で松明の火が消えたら戻れなくなっちまうし・・・」
「ふむ」
 穴を覗いて、アメリアがしばし考え込む。
 奥行きまではわからないが、確かに深い。
「安全確認と、水源が近くにあるかどうかさえわかればいいんですね?」
「まぁそうなんだけど・・・お嬢ちゃんまさか入る気かい? やめときな汚れるよ?」
「私、ライティングの魔法が使えます。気になさらないで下さい、これも人助けですからっ」
 井戸のふちに足をかけ、身を乗り出した瞬間後ろからマントを引っ張られた。
「うえ。ゼルガディスさん何するんですか?」
「深さもわからないのに飛びこむ気か。何度レビテーションの呪文を忘れたら気が済む」
「・・・・・・・・・レビテーション使ったら落下感が楽しめないじゃないですか」
 小声で呟いたつもりだったのだが、聞こえていたらしくゼルガディスに額を小突かれた


 ライティングの光を先に下ろし、後から追いかけて地に足を付ける。
 穴は深く、頭上の太陽の光はあっという間に点となった。
「・・・乾いてますね」
「しかもヒビ割れてるぞ」
 土壁に手を当て、ゼルガディスが呟いた。
「この様子じゃ掘ったって、早々水なんぞ出てこないだろ」
「でも別の穴とつながったって言ってたじゃないですか。地下水脈だって探せばあるかもしれませんよ?」
「簡単に掘り当てられたら苦労せんだろうが」
 言いながらゼルガディスが新たにつながった横穴にライティングの光を向けた。
「・・・・・・?」
 眉間にしわを寄せたゼルガディスに、何があるのかとアメリアものぞき込む。
「・・・何かあるんですか?」
「聞こえないのか? 音が」
「ゼルガディスさんの聴覚にはかないませんよ」
 それもそうだったとゼルガディスが頭をかいた。
「・・・水音がする」


 音を頼りに進むこと数十分。
「・・・あ」
「当たりだな」
 地下水脈というよりも、それは。
「・・・地下大河、だな」
「・・・すごぉい」
 アメリアが呆然と、ライティングに照らし出された急流を見つめた。
「地上が水不足なんて嘘みたいですね」
「こんな地下深くに流れてちゃな、汲み出すのも一苦労だ」
 ゼルガディスが来た道を振り返る。
「・・・恐らく、水量が足りていればこの付近も全て水で埋まり、井戸にも水が流れ込んでたってとこだな」
「・・・この地点に的をしぼって新たに井戸を掘るのは、さすがに無理ですよねぇ・・・」
 名案が思い浮かばず、アメリアが腕組みして思案する。
「・・・・・・・・・」
 ゼルガディスが唐突に後ろからアメリアの腕を掴んだ。
 勢いのままよろめいてアメリアが数歩下がると、水面に水飛沫が舞い上がる。
「・・・・・・っ!?」
 水面に浮かんだ黒い影は、出現した時と同じスピードで消失した。
「・・・何ですか今のは!?」
「少なくとも、まともな生物じゃなさそうだな」
 再襲撃に備えて、ゼルガディスが身構える。
 ――が、殺気が戻ってくる様子はなく、影が消えた方向を見やった。
「上流に登ったか」
「でも、いくら大河とはいえ、あの体躯はこの水量に不釣合いですよ」
「海からでも迷い込んできたんじゃないのか?」
 追ってどうなるというでもなし。ゼルガディスが一度引き上げようと爪先の向きを変え――
「・・・・・・?」
 先程とは明らかに違う気配が、近付いてくるのを感じ取った。
 殺気ではない。
 小動物のような小さな気配。
 それも無数に。
 突然アメリアがゼルガディスの袖を掴んだ。
 まだ姿が見えない何かに既に怯えているようで、その腕が小刻みに震えている。
「・・・何」
 「だ」を言うよりも早く、「それ」の大群が姿を現した。
「★☆★!△&%$( ゜□゜ )*っ!!!!?」
 意味不明なアメリアの悲鳴を、足元を走り抜けたネズミの大群の足音がかき消し、
 最後のネズミが靴の上を通り過ぎたきっかり3秒後に、アメリアが卒倒した。


「驚かせてごめんなさぁい」
 目が覚めて一番に聞こえた声。
「・・・パナチカ、ちゃん?」
 上半身を起こすと、ベッドのかたわらにオレンジ服の少女が立っていた。
「チッカでぇす」
「・・・チッカちゃん」
 訂正を求められて素直に応じていると、少し離れた所にいたゼルガディスが近付いてきた。
「ネズミが苦手だったのか、お前」
「・・・・・・1匹2匹くらいなら可愛いで済みますけど、あんな大量にいたら誰だって驚きますっ」
 少々膨れて言い返す。
「ところで、チッカちゃんどうしてここに?」
「ネズミの集団が過ぎた後、ひょっこり出てきてな。『仲間が驚かせて済まない』だと」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・なか、ま?」
 アメリアが呆然と聞き返すと、パナチカが笑みを浮かべた。
 それから長いスカートの裾から尻尾を出して見せる。
 それは、作り物には見えないネズミの尻尾だった。
「チッカ達『ニジネズミ』の一族は、地面の下に住んでまぁす。泳ぎも得意でぇす」
「要はあの地下大河の周辺は、こいつら一族の生息地だったわけだ」
「水不足のせいで海から変な化け物が登ってきちゃって困ってるんですぅ。以前は水流で押し返してたんですぅ」
「あれはやっぱり海の魔物か」
「シー・サーペントっていう海蛇でぇ、そこらの動物達を襲うからどうにかしたいんでぇす。しかも地形お構いなしに無茶苦茶に泳ぐから、洞窟崩壊してもおかしくない状況ですぅ」
 一区切り言い終えてから、パナチカがベッドから下りたアメリアを見上げた。
「んでぇ、お二人ともとっても強そうに見えるんでぇす」
「・・・どこをどう見たら?」
 というよりも、この子供のどこに鑑識眼が備わっているというのか。
「一応神様の端くれにいるニジネズミをなめちゃいけないでぇす」
 立てた人差し指を振りながら、パナチカが子供離れした笑みを浮かべた。
「・・・・・・でも、曲がりなりにも私達人間なんです。万が一水中戦になったりしたら、ゼルガディスさんなんて沈んじゃうんですよ」
「俺を引き合いに出すな」
 ひきつった顔で言うゼルガディスの言葉は無視された。
「それに関しては水専門のアシストをこっちでも用意しまぁす。こき使って下さぁい」
 にこにこと言うパナチカの表情、というか醸(かも)し出される威厳は、少女のものとは思えなかった。
「アシスト・・・?」
 「とは誰か」と言いかけたアメリアの声を、階段を駆け登ってくる足音がかき消した。
 ばん、と隣から扉が開く音がして、「すみません」と言って閉める音。
(間違えた?)
(間違えたな)
 2人の予想通り5秒後に部屋の扉が開いた。
「パナチカ! こんな所に・・・!」
 パナチカに駆け寄ろうとしたその人物の行く手を、ほぼ反射的に遮(さえぎ)ったアメリアが両手をその胸に押し付けた。
「・・・・・・」
「・・・・・・」
「・・・・・・ああああっ!! 男の人だなんてぇーーーっ!!!」
 この世のものとは思えぬ悲痛な叫び声を上げたアメリアに、
 パナチカと食堂で見かけた美人男性(判明)は呆然とし、
 ゼルガディスは床に倒れて悶死していた。


「・・・ルートヒルド=ヴァッサーです」
 宿の部屋備え付けの椅子に腰掛け、丁寧に辞儀をする。
「・・・・・・アメリア=ウィル=テスラ=セイルーンです」
 我に返ったアメリアが、恥ずかしさに小声で返した。
「・・・ゼルガディス=グレイワーズだ。すまなかったな、最初に会った時から性別で口論していたんだ」
「・・・よく、間違えられます」
 情けない声で呟いたのは本音のようだった。
「さっき言ったアシストは、このルー。存分にコキ使っていいからね。じゃあチッカは用事があるからっ」
 先程とは打って変わって乱暴な口調になったパナチカが、スカートの裾をひるがえして部屋を出て行った。
「あ・・・パナ・・・」
 ルートヒルドが呼びかけ、突き刺すようなパナチカの視線に射抜かれて口を閉じる。
(・・・・・・?)
 あまりに変化の大きいパナチカの態度に、ゼルガディスが眉をひそめる。
「水に強いって事は、ルートヒルドさんもニジネズミなんですか?」
「・・・あ、いいえ。僕は・・・一応ヒトからは天神と呼ばれています」
「あの小さいのに、いいようにあしらわれてるようだな」
「ゼルガディスさん!」
 アメリアが非難の声を上げたが、ルートヒルドが「その通りです」と頭をかいた。
「でも・・・多分、今は情緒不安定になっているだけだと思うんです。八つ当たりが僕にだけ向いているのなら別に・・・」
 言いかけて、それから首を振る。
「やめましょうこの話は。僕達の問題ですからお二方の手をわずらわせる訳にはいきません・・・今はシー・サーペントの対処を考えなければ」
 柔らかな表情を無理に引き締め、ルートヒルドがきっと顔を上げた。
 その視線の先に、
「何故なんですかゼルガディスさんっ!! ルートヒルドさんが目の前に居るだけでどうしてこんなに敗北感を味わうんですかっ!! 世の中って不条理です!! こんなの正義じゃないです!!」
「何で男と勝手に張り合って勝手に負けてるんだ!! 大体正義とかいう問題じゃない!!」
 よくわからない問題で討論しているゼルガディスとアメリアの姿があり、ルートヒルドががっくりと肩を落とした。


「雨の降らない時期、地下水脈の勢いが弱まって、海から生き物が迷い込み易いんです。害の無い生物ならまだいいんですが、時に大型の魔物が入り込んでしまうと・・・」
 言いながら、ルートヒルドが地下を先導する。
 その手には、ライティングとは少し違う魔法の灯りがともっていた。
「・・・あの、今と関係ない話で申し訳ないんですが、ちょっと質問していいですか?」
 ルートヒルドの斜め後方を歩くアメリアが挙手した。
「はい?」
「食堂で私、お水をもらえたんですよ。『天神様がいらっしゃったから』って。あれはルートヒルドさんの力なんですか?」
「・・・ああ」
 照れなのか、ルートヒルドが頭をかいた。
「一応、僕の魔法です。空気中の水分を凝縮させるんですけど、乾燥しているこの時期だと量が限られてしまって。本当は早く雨乞いの儀式を済ませたいんですけど・・・」
「雨乞い?」
 ゼルガディスが聞き返した。
「僕一人では少量の水を作り出す事が精一杯なので、ニジネズミの力を借りて雨を呼ぶんです。先代が去年役目を終えたので、今年は僕と・・・パナチカが選ばれたんです」
「・・・・・・・・・」
 黙ってルートヒルドの話を聞いていたアメリアが、ふと口を開いた。
「・・・パナチカさんって、もしかして、ルートヒルドさんの・・・奥さんですか?」
 ルートヒルドの足が止まった。
 ゼルガディスも固まったままアメリアを見ている。
「・・・な」
 呆れか怒りか、肩をわななかせたゼルガディスの言葉をルートヒルドが遮った。
「何でわかったんですか?」
「はあぁっ!?」
「・・・口ぶりとか、話で、何となく・・・以前も私若い奥さんをもらっている人を見た事があるので」
 それでもまさか当たるとは思っていなかったのか、アメリアが驚いた表情でルートヒルドを見つめ返した。
「・・・正確に言うと、これから・・・」
 言いかけたルートヒルドが、唐突に口をつぐんだ。
 落とした視線の先には、ひび割れた地面。
「・・・・・・地盤が」
 真横の水流は、その付近だけ流れがゆるくなっていた。
「・・・ここだけひび割れが集中してるな」
 辺りを見回したゼルガディスが言う。
「ねぐらにしている可能性があるんですね」
 ルートヒルドが後方の二人を振り返る。
「・・・ちょっと様子をうかがってみます。お二方、用意はいいですか?」
 二人がうなずいたのを確認してから、両の手を水面にかざした。
「・・・・・・」
 まだ言霊も唱えていないというのに、アメリアがぞくりと身を震わせた。
「どうした」
「・・・なんというか、その・・・」
 アメリアが視線でルートヒルドを指す。
 光も言霊も発さずに、川を横切る線が走り、水面(みなも)が泡立った。
「!?」
「・・・ケタが・・・違うんです・・・」
 呪文を介さないその不可思議な力は、
 確かにルートヒルドから生まれ出で、河を真っ二つに切り裂いた。
 それと同時に――
「・・・いる!!」
 ルートヒルドが叫び――
 アメリアとゼルガディスが、ルートヒルドの脇から踊り出た。
 水の割れ目から首をもたげたのは、竜と見まごう体格の黒い海蛇だった。
 不機嫌な叫びを発し、ゆらりと身をくねらせる。
「フリーズ・アロー!」
 アメリアの手から打ち出された氷撃がシー・サーペントの側頭部をかすめた。
「エルメキア・ランス!」
 動きが止まった瞬間を見計らい、ゼルガディスが反対側から魔力衝撃波を打ち出す。
 照準を違える事なく伸びたそれは、首を下げた海蛇にはかすらずに岩に当たり消滅した。
「うそっ!?」
「デカい割に早いな」
 ゼルガディスが舌打ちする。
 再び首を上げた海蛇が、こちらに向かって牙を向ける。
 ルートヒルドが指先の形を変えた。
「・・・・・・!」
 水の断面が一瞬にして元通りに復元する。
 勢いよく流れの復活した河は、油断していた海蛇のバランスを崩させた。
 首から頭が水面に落ち、派手な水飛沫を上げる。
「きゃあっ!?」
 アメリアの悲鳴にゼルガディスが振り向くと、地面に走る大きな亀裂。
「アメリア!?」
 呼ぶ声が届いたかどうか。
 海蛇の横行でゆるんでいた地盤は、平坦を保つ役目を放棄した。
「アメリア!!」
「危ない!」
 走りかけたゼルガディスを、ルートヒルドが後ろから掴む。
「・・・・・・・・・っ!!」
 逆転した視界が数秒続いて、水独特の冷たさが全身を包む。
 視界が暗転して、アメリアの意識はそこで途切れた。

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11176RAINBOW WEDDING 2水晶さな E-mail 2002/11/7 22:37:23
記事番号11175へのコメント


「・・・メリア」
 手の甲で頬を叩かれる感触。
「アーメーリーア」
「・・・・・・」
 目を開けると、影が見えた。
 ライティングの灯りが人物の後ろにともっていたからだろう。
「・・・・・・!」
 瞬間的に意識が覚醒し、アメリアが跳ね起きる。
 アメリアの傍らに膝をついていた娘がのけぞった。
 自分と同じか、少し年上の頃合か。
 腰まで伸びた乳白色の髪、黒曜石の双眸。
 どこか人間的要素の薄い風貌。
 まじまじと相手を見つめ、呟く。
「・・・・・・・・・パナチカ、さん?」
「あっ」
 目を見開いた娘が口に手を当て、その瞬間幼女の姿に変化した。
「チ、チッカちゃんでーす」
「もう遅いですよ」
「うぐ」
 諦めたように口をとがらせると、パナチカが指を鳴らした。
 ぱちんという小気味良い音と共に、姿が又一瞬で変化する。
 恐らくこちらが本来の姿なのだろう。
「・・・来てくれたんですか?」
「住処が壊されてないか確認しにきたのっ!」
 憤然と訂正する様子は、あからさまにおかしかった。
 冷静に見つめ返すアメリアに、空気を感じ取ったのかパナチカが赤面する。
「・・・返り討ちに遭ったら困るじゃない」
「まぁそういう事にしておきましょう」
 立ち上がって歩き始めるアメリア。
「そーゆー事ってナニ!?」
「ゼルガディスさん達と合流したいんですけど、場所はわかりませんか?」
 口論を続けると止まらないと思ったのか、アメリアがわざと議題を変える。
「・・・ルーの場所ならわかるわよ。近くまでなら連れて行ってあげるけど、あたしは姿を見せる訳にいかないから――」
「それで充分です、お願いします」
 ぺこりと頭を下げるアメリアに、渋々とではあるがパナチカが先に立つ。
「・・・アナタはあんまし聞かないのね」
 その言葉は意外だという含みを持ち、
 聞いて欲しいような含みも持っていた。
 アメリアが何から先に尋ねて良いやら、思案の末に口を開く。
「・・・どうしてルートヒルドさんを避けるんですか?」
「避けてるんじゃないわ、撒(ま)いてるのよ」
 同じようなものではないかと思ったが、あえてアメリアは口にしなかった。
「・・・ルーは、雨乞いの儀式しか見えてないの」
 前を見たまま呟かれたパナチカの言葉。
 覇気のない声は、真実を告げていた。
「雨乞いに一生懸命になることは、いけないことなんですか?」
 質問が相手の機嫌を損ねないように、アメリアが言葉を選んで尋ねる。
「・・・雨乞いが目的じゃいけないの。雨は結婚式の御祝いに、天が降らせてくれるものだから」
「結婚式の・・・御祝い?」
「絶対に雨を降らせなくちゃいけないって思いにとらわれて、片方が焦ったりすると雨は降らないの」
 濡れた砂利を踏みしめる音と、水音だけが響く。
「祝福されないから、結局結ばれない・・・そういう人達をあたしは見てきたの」
 パナチカが唇を噛む。
 歩みを止めると、わずかに震える足。
「・・・あたしは、そうなりたくない。ルーに気付いて欲しい。でもあたしが言っちゃ意味がないの。ルーが気付いてくれないとて・・・意味がないの」
 だから姿を消した。
 それ以外方法が思い付かなかった。
「・・・正直言うと、そろそろツライんだけどね」
 ただのワガママと思われたら、それこそ全ての終わり。
「・・・信じたから、でしょう?」
 アメリアの呟きに、パナチカが足を止めた。
 振り返って見た娘の顔は、優しげな笑みを浮かべている。
「信じているから、姿を消したんでしょう?」
「・・・だって、まだ諦めたくなかったから」
「あなたが選んだ人です。あなたがこの先を一緒に歩いていこうと決めた人です」
 その言葉は、まだ不似合いな若い娘の口から確かに漏れた言葉で、
「だったら、信じましょうよ」
 言葉の一つ一つが、染み通る重みを持っていた。
「・・・・・・・・・・・・うん」
 驚くほど素直に出た自分の言葉は紛れのない本心で。
 唇から放たれた途端、胸の奥が軽くなった。
「・・・・・・何か、すごいね」
 唖然としたまま呟いた言葉に、今度はアメリアが首をかしげる。
「・・・アメリアは、迷った事ないの?」
 パナチカ自身先程の言葉をうまく処理する説明が思い浮かばず、別の質問でまぎらわす。
「迷いますよ、たくさん。でもそれって結局どうすれば相手と幸せになれるのかって迷うんです。他の誰かっていう選択肢が出てこないんですよ」
 無垢な、笑み。
「それって結構、幸せなコトですよね」
「・・・・・・・・・・・・」
 藁をも掴む思いで掴まえた手助けは――
 ひょっとしたら救世主なのではないかと、パナチカは思い始めた。


 アメリアを見失ってから、もう何時間も経過したように思われた。
 何故か時間のわかるらしい天神は、まだそんなに経っていないとはっきりと言う。
「先程ニジネズミの気を感じたんです。水の中からヒトの気はしないので、助け上げられた可能性が高いです」
 冷静に言葉を紡ぐルートヒルド。
 諭(さと)されているのはわかっているのだが、苛々した感情は押し殺せない。
「・・・で、その肝心のヒトの気は何処にいるんだ」
「・・・・・・何分、専門分野が水ですので・・・」
 気まずそうに答える。
 これでも先導して必死に探しているのだが。
「・・・・・・」
 先程水を分けた力から見て、ルートヒルドは相当の魔力を持ち得ているように思える。
 ――が、その強大な力を扱いこなせていないようにも見えた。
「ココだってば、ココ!!」
 思案し過ぎて幻聴まで聞こえてきた。
「だからココだって・・・あーまた動いた!! こっちこっち!!」
 頭上について回るような声。
 ぱらぱらと頭に降ってきた砂にようやくゼルガディスが顔を上げる。
「ゼルガディスさん、ちょっとどいて下さいーっ!!」
 次に聞こえた声は、聞き慣れたものだった。
「――ベフィズ・ブリング!」
 それは、警告の2秒後に起こった。
 ゼルガディスの立ち位置より数歩先の天井。
 不可視の衝撃波と共にそれは、頭上から見事に穴を開けた。
 丸く円を描いたその部分だけが綺麗に切り取られ、土砂となって降り注ぐ。
 ――丁度ゼルガディスの前を歩いていた、ルートヒルドの上に。
「・・・・・・」
 突如として起こった出来事に思案というか脳の活動まで停止し、ただ呆然と眼前の光景を見つめる。
 また数秒もしない内に高らかな宣言が響く。
「アメリア、行きます!!」
 制止の言葉も浮かばない内に――
 ――どぎゅ。
 2回転宙返りを決めたアメリアが、攻撃力を増して見事にルートヒルドを踏み付けた。
 ゼルガディスはもう思考を活動させる気も起こらなかった。


「別に大丈夫よ、ほっとけば目覚ますし」
 もうじき夫となる男が失神しているのを見て、パナチカはにべもなくそう言った。
 逆にその隣で、とどめをさしてしまったアメリアが慌てふためきながら回復魔法を唱えている。
「人の事をとやかく言うつもりはないが・・・随分突っぱねた態度だな」
 さすがにルートヒルドを哀れんだか、普段人の事情に意見を挟まないゼルガディスが呟く。
「パナチカさんにはパナチカさんの事情ってものがあるんですよ」
 パナチカが口を開くよりも先に、アメリアが答える。
 いつの間にやらパナチカを庇護する側に回っている。
「あ、そうだ。これ返しておきます」
 治癒を片手に変えたアメリアが、腰の皮袋から花を取り出した。
 しおれかけた、黄色のガーベラ。
「曲がらないようにしてたつもりなんですけど・・・ちょっとしおれちゃいました」
 申し訳なさそうに呟くアメリアに、パナチカが首を振って受け取る。
 花の茎がパナチカの指先に触れた途端、水を得たようにガーベラが背筋を伸ばす。
「・・・え?」
「これも特殊能力ってやつ」
 香りをかぐように鼻に近づけ、パナチカが笑みを浮かべた。
「あたしは『先に行ってる』って、ルーに伝えておいて」
 そう言って爪先の向きを変えた矢先――
「パナチカ!」
 呼ばれた名に、見えない手に掴まれたように足が止まる。
 治癒を終えたルートヒルドが既に身を起こしていた。
 パナチカが振り返りたいのを堪えて、拳を握り締める。
 手の平に食い込んだ爪が痛みが、辛うじて自制心を持ちこたえさせる。
「・・・どうして・・・?」
「・・・・・・・・・」
 ――彼が、もし。
 『答え』を、既に得ていたなら。
 そうわずかに願った希望はあっさりと打ち消されて。
 激情のままに何かを口にすればそれは、今まで堪えてきた全てを壊す。
(・・・ルー)
 心中で呼び返した名は愛しさと哀しみの両方が交じり合い。
 握り締めた手は痛みで限界だった。
「・・・ルーは・・・」
 震える声で、押し殺した心で、ようやくしぼり出したかすれ声。
「・・・・・・誰と・・・結婚する・・・つもりなの・・・?」
 たった1つ。
 自分が彼に与えられる問い。
 導く為のたった1つの問い。
 答えは返ってこなかった。
 待つ余裕すら自分にはなかった。
 正気を保つ自信がなかった。
 ――問いは発した。
 これ以上手助けは出来ない。
 信じる事。今自分が決めたのはそれだけ。
 自分に今できる事もそれだけ。
「・・・・・・っ」
 土を踏み締めて、彼女は走り出した。
 後ろを振り返る事もせず、自分が行かなければならない場所へ。
 後は――結果はどうあれ、彼を待つだけの場所へ。
「・・・パナチカ!」
 足を進めかけたルートヒルドの手を、後方から誰かが掴んだ。
 振り返ると、アメリアが唇を噛み締めてこちらを見上げている。
「・・・あなたは、パナチカさんが必死で守ろうとしているものを、壊すつもりですか・・・?」
 ルートヒルドが戸惑いの表情を見せる。
「・・・何を?」
 核心に触れる事を怖れるように、遠回しに告げられたアメリアの言葉。
「・・・私には、それ以上の事は伝えられません」
 しぼり出すように告げられたアメリアの言葉の後、
 もう一度振り返っても、既にパナチカの姿はなかった。

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11177RAINBOW WEDDING 3水晶さな E-mail URL2002/11/7 22:43:29
記事番号11175へのコメント


 再び三人で行動を再開しても、気まずい雰囲気が絶えず、
 それを打ち壊してくれたのは――ありがたくないことに、敵の襲撃だった。
 ルートヒルドの集中力が乱されたせいか、敵の接近を感知できなかったのだ。
「下がってろ!!」
 接戦になると不利だと思われるルートヒルドを制し、ゼルガディスが前に出る。
「エルメキア・ランス!」
 打ち出した光を器用に首をのたくらせて避け、海蛇が牙を見せた。
「フレア・アロー!!」
 完全に死角から放ったと思われるアメリアの炎の矢も、あっさりとかわされる。
 場所が地中の為に威力の高い魔法を用いる事ができず、ゼルガディスが舌打ちする。
「おかしいですよゼルガディスさん、この海蛇死角がないみたいですっ!」
 アメリアが叫ぶ。
「こいつ――聴覚か嗅覚で動いてるのか!?」
 海蛇がゼルガディスの方へ首をもたげて突進する。
「ゼルガディスさん!?」
 アメリアが悲鳴をあげたが――ゼルガディスはその場を動かなかった。
 限界まで耐えた後、唐突にその場にしゃがみこむ。
 真上に振り上げた剣は、予測ならば首をかっ切る筈だった。
 ――が、手応えはなく、剣の先まで空気をかすめた。
 ゼルガディスが見上げると、剣の先よりも首を上げた海蛇が、再び高度を下げて――
「レイ・ウイングっ!!」
 高速で飛んできたアメリアに突撃され、二人とも地面に転がった。
 岩壁に突っ込んだシー・サーペントが、不機嫌な唸り声をあげる。
「ルートヒルドさん、逃げてっ!!」
 体制を立て直した海蛇が、視界にルートヒルドの姿を捉えた。
「アストラルヴァイン!!」
 走っても間に合わないと判断したゼルガディスが、光を与えた剣を投げつける。
 さすがにその速さには対応しきれなかったのか、海蛇の牙の隙間に突き刺さった。
 耳をつんざくような咆哮の響き渡る中、ルートヒルドが驚いた表情で何かを指差す。
 ゼルガディスとアメリアが同時に振り返った。
「・・・水面の、盛り上がった所!」
 言葉が思いつかないのか、もどかしげに叫ぶ。
「――複眼です!!」
 ゼルガディスがシー・サーペントに向かって走り出した。
 海蛇がなぎ払おうと首を振る。
「エルメキアランス!」
 アメリアが間髪入れずに水面の複眼に衝撃波を放った。
 水面に見えていた、背の一部だと思っていたそれが光を避けて水中に沈む。
「ダム・ブラス!!」
 今度こそ死角から――ゼルガディスが唱える。
 口と顎の境目に振動が走り、咥え込んだ剣が抜け落ちた。
 赤く染まったそれを掴むと、ゼルガディスが真下を通り過ぎた。
 ――剣を上に向けるのを忘れないで。
 海蛇が狂ったようにのたうちまわり、何度も岩壁に激突した。
 その震動に、天井から崩れた砂が降り注ぐ。
「――ヤバイな。早く決着をつけないと――」
 青ざめていたルートヒルドが、意を決したようにアメリアに走り寄った。
「お願いがあります」
 目をしばたたかせたアメリアに、続ける。
「――僕の力を使って下さい」
「ルートヒルド! 何をしてる下がってろ!!」
 再び水面に浮かんだ複眼がアメリアを見る。
 顎から血をしたたらせた海蛇が首をもたげた。
「ゼルガディスさん!! 複眼を狙って下さい!!」
 ルートヒルドの前に回り込んだアメリアが、仁王立ちして叫んだ。
「アメリア!?」
「いいから!!」
 そのまま詠唱体制に入ったらしいアメリアを訝しげな目で見ながら、ゼルガディスが海蛇に向き直る。
「エルメキアランス!!」
 察知能力が優れているらしい複眼は、目標がこちらだと知るとすぐさま水中に避難した。
 目標物を失った光が直進して壁ではじける。
 アメリアが体の脇につけた両手を開いた。
 その後方でルートヒルドが閉眼して印を結んでいる。
 網膜を通してではなく感じるその『力』は、アメリアへと注がれていた。
「揺らめきたし形なきもの、根源たりし命の源」
 アメリアの口から聞いた事のない言霊が漏れる。
「水面(みなも)に御手(みて)を差し伸べし、言霊(ことだま)に集いたり――」
 口を開け自分に向かって直進する海蛇を、アメリアが真正面から見据える。
「聖撃波(フロウ・フォール)!」
 両手で照準を定めて、魔力を解き放つ。
 アメリアに注がれていた『力』が、手の平を離れた瞬間爆発的に膨れ上がった。
 反動で後方に吹っ飛んだアメリアを、ルートヒルドが受け止める。
 術者がその場から離れても『力』はとどまり、そこから生まれ出た莫大な光が、海蛇の頭を押し流すどころが刺し貫く。
 骨の欠片、細胞すら残す事も許されず、頭の先を失った首がゆっくりとのけぞり――
 派手な水飛沫と音を立てて、水中に沈んだ。
 再び浮かんできたかと思われた複眼も、既に色を失っていた。
 ルートヒルドが手を振ると、水の流れが増してその死骸を押し流していく。
「・・・海まで流れ出れば、もう問題は・・・」
 まだ呆然としているアメリアを立ち上がらせて、ルートヒルドが告げた。
「・・・何だ、今のは」
 まだ口のきけないアメリアの心中の言葉を、ゼルガディスが代弁する。
 ルートヒルドが苦笑いして頭を掻いた。
「一応、水は扱えるんですけど、攻撃的な事ができないんです・・・ヒトを介さないと」
「介する?」
 やっとアメリアが言葉を発する。
「どんなにデカイ貯水池があっても、コップがないと水は汲めんだろ」
「ああ」
 心底納得したようにアメリアが頷いた。
「キャパシティや感応の問題もあるので皆が皆出来るという訳ではないのですが、アメリアさんは神聖の気が強いので『力』も発動してくれました」
「なにガッツポーズしてるんだお前は」
「何だか『合格』って言われたみたいで嬉しくて・・・」
 ゼルガディスに小突かれ、アメリアが頭を掻く。
「さっ、これで問題の海蛇は解決した事だし、街に戻りましょうっ」
 場を仕切り直すつもりか、おもむろに手を叩き合わせた。


「大分動き回ったし、海蛇が横行したおかげで地形も多少変わってるみたいですね」
 様は上に続く道を探せば良いのだが、海蛇を追いかける事に集中していたせいで地形を把握する余裕がなかった。
 頼みの綱となるかと思われたルートヒルドは、水の場所なら感知できるがそれ以外となると――
「役立たず」
 容赦ない一言に、ルートヒルドが隅で泣き始めた。
「ゼルガディスさんっ!! 天神様を粗末にするとバチが当たりますよっ!!」
 物扱いされた天神は更に落ち込んだようだった。
「・・・まぁ、イザとなればどこか天井に穴を開けりゃ地上に出られるだろ」
「人様の家屋の真下だったらどうするんです」
 リナの悪影響を受けたのは自分だけではないと言いたげに、アメリアが呟いた。
 ――それからふと顔を上げる。
 真上には、パナチカと一緒にいた時に開けた穴があった。
 足を止め、眉根にシワを寄せて記憶を手繰る。
「どうした?」
 立ち止まったアメリアに、ゼルガディスも振り返る。
「・・・確かパナチカさんと歩いた時に、方角を確認したような」
 考えても仕方がないと、アメリアが浮遊の呪文を唱える。
「ちょっと見てきます。ここで待ってて下さいね」
 それだけ言い残すと、すぐに穴の向こうに消えた。
 アメリアを見送って、いくらか疲れた体を休めようとしたのだろう、ゼルガディスが壁に背を付ける。
 ――が、ルートヒルドがこちらを見つめているのに気付いた。
「何だ?」
「あの、彼女を一人で行かせたりしていいんですか?」
「さっきの戦いを見ただろう」
 アメリアがはぐれた時は淡白だったのに、何を今更。
「・・・でも、何だか」
 ルートヒルドが口ごもる。言いたい言葉が見つからないようだった。
「一人前の扱いをしないと、あいつは怒るからな」
 まだ言葉を探しているルートヒルドを見やり、ゼルガディスが続ける。
「それとも何か、あいつが何かしようとする度に先回りしてやれと言うのか?」
「・・・・・・」
 否定しなかった所を見ると、本音を突いているようにも見えた。
 ゼルガディスがちらりと穴の方を見やり――アメリアがまだ戻ってきそうにない事を確認してから口を開く。
「――あいつは、そうだな。トイレに連れて行かなくても別に怒らないが、洞窟とか少しでも危険な所へ一人で行こうとするとやたら怒る」
 数秒の後、ルートヒルドが首をかしげた。
「・・・例えるのが下手で悪かったな」
 ゼルガディスが憮然とした面持ちで付け加えた。
「要は――」
 要点が本人にも掴み辛いらしく、指先を宙に漂わせた。
「・・・要は何だ。自分が何かしら貢献できる場所・能力・なくとも意気込み。そういうものがある時に助力を拒むとやたら怒る」
 言い終えてからゼルガディスがルートヒルドをふり返る。
 まだ納得のいく様相ではなさそうだ。
「・・・手をわずらわせたくないというのは、相手への思いやりじゃないんですか?」
 少し思案した後――どうやらアメリアの行動基準に賛成できなかったらしい――口を開く。
「時と場合にもよる。そうしてまで助力を拒む必要があるか? 相手の存在価値を否定するようなものだぞ」
 言葉が少々辛辣になったのは、説明がうまくいかないもどかしさの為だけではなかった。
「そこまで言っては」
「じゃあお前にとってのパナチカの存在は何だ?」
 即座に切り返したゼルガディスの質問が理解できなかったらしい。ルートヒルドが眉をひそめた。
「何もさせないのが思いやりか? ただ自分に従わせて愛(め)でるだけなら花でも代わりにしろ」
「・・・・・・」
「花の代わりにされたパナチカの方が不憫だ」
『ルーは、誰と・・・結婚するつもりなの?』
 何故か、パナチカの言葉が重なって聞こえた。
 ――これが、
『あなたは、パナチカさんが必死で守ろうとしているものを、壊すつもりですか・・・?』
 ――これが、答えか?
 ルートヒルドの思案を中断させたのは、上空から響いたアメリアの切羽詰った声だった。
「ま、街が――街が火事ですっ!!」


 枯れた井戸を抜け出た途端、蒸されるような熱気に襲われた。
 乾燥した空気を伝って、炎が燃え広がっていく。
「水・・・水がないのにこんな・・・」
 アメリアが口元を押さえる。
 人々の中には、必死に水以外のもので消火活動にあたる者が少なくなかった。
 周囲を見回して――あまりの火の早さにゼルガディスが歯噛みする。
「アメリア、逃げ遅れた奴がいたら井戸の中に避難させろ。魔法でどれだけ食いとめられるかわからんが――」
「ルートヒルドさんも・・・」
 呆然と立ったままのルートヒルドの袖に手を掛け、アメリアが目を見開いた。
「・・・パナチカさん・・・『先に行ってる』って・・・!!」
 その言葉にはじかれたように、
 今までの言動からは信じられないくらいの荒々しさでアメリアの手を振り払った。
「・・・パナ・・・チカ・・・」
 戸惑っているような、まだ何かに迷っているような表情。
 咄嗟に――アメリアが口を開いた。
「ルートヒルドさん!」
 名を呼ばれ、反射的に視線がこちらを向く。
「・・・パナチカさんを・・・貴方がこれから背負う荷物の中に入れないで下さい!」
 それだけを告げると、こちらの反応も見ずに反対側へ駆け出す。
 すぐに煙がその姿を隠した。恐らく救助活動に向かったのだろう。
 ルートヒルドが唇を噛み締め――そして又、彼も走り出した。
 彼女が待つと言った場所へ。
 街の真中の――教会へ。


『ルーは、誰と・・・結婚するつもりなの?』
 その意味を理解できなかった問いが、脳内を反芻(はんすう)する。
『花の代わりにされたパナチカの方が不憫だ』
『パナチカさんを、貴方がこれから背負う荷物の中に入れないで下さい』
 諭(さと)されなければ気付けなかった自らの愚かさ。
 下唇を噛む。煙が目をかすめて涙が溢れてきた。
 足元をじわじわと焦がす炎の熱は、確実に広まっている。
「パナチカ・・・」
 スモークが覆い隠した街の景観を、必死で思い出そうと努める。
 背の低い教会は、鐘塔を頼りには探せない。
 焦りが冷たい汗となって背中を伝い落ちた。
 吸う息は肺を焦がすほど熱く。
 立っているだけで意識を少しずつ奪われていくような感覚。
「・・・ケホッ」
 息苦しさに耐えきれず、咳き込む。
 その苦しさに思わず身体を折り曲げた。
 煤(すす)にまみれた髪が肩の横をすり落ちた。
「・・・・・・・・・」
 肺の働きに任せるままむせて。
 ふと、耳が音を捉えた。
 耳鳴りとは違うその、確かな響音。
 教会の、鐘の音――
「・・・・・・っ」
 体を起こすと、喉がひきつるような痛みを発した。
 名を呼んだつもりだったが、音として発生しなかった。
 ただもつれる足を叱りつけて、音のする方向へと。
 ふらふらと前をろくに見ずにさまよって、やがて木製の扉にぶち当たった。
 体重をかけて押し開けて、中に倒れ込む。
 頑強な石造りの教会が炎を防いでいたのか、中に損傷は見当たらなかった。
 ただ熱されて、室内の温度は上がっていたが。
 力のない手で印を結ぶと、ルートヒルドの頭上に一抱えほどの水球が浮かんだ。
 一瞬後にはじけ、頭から冷水を浴びる。
「・・・・・・・・・」
 ひきつった喉の痛みも辛うじて収まって、
 そこで初めて顔を上げた彼は、祭壇の前に立つ娘と目が合った。
 黒曜石の双眸と視線が交錯する。
 腰まであった乳白色の髪の代わりに、半透明のヴェールが同じ位置におさまっていた。
 細身の体に合う、タイトなウエディングドレスが階段にまで裾を広げている。
 手に握っているのは、種類はまばらだが七色の花のブーケ――
「・・・パナチカ?」
 ルートヒルドが恐る恐る名を呼んだ。
 初めて真正面から見つめ返してくる。
 無表情に見えたパナチカの顔は、
 ――唇を噛み締めて、気丈に堪えているようにも見えた。
「・・・ルーは」
 かすかに震える声で、告げる。
「誰と・・・結婚するつもりなの?」
 あの時と、
 同じ問いを、
 もう一度。
 恐らくずっと第一声の言葉を決めていたのだろう。
 震えていても、一言も違(たが)わなかった。
 濡れそぼったルートヒルドが、膝を床に付いたまま笑みを浮かべた。
「パナチカとだよ」
 立ち上がって――絨毯を濡らすのは気が引けたが――祭壇に歩み寄る。
「ニジネズミの誰かじゃなくて、儀式や後任の為でもなくて、パナチカと・・・」
 花嫁のすぐ前まで来て、ルートヒルドが言葉を終える。
 うつむいたパナチカに、手を差し伸べようとした時、
 胸元に重く鈍い痛みを感じた。
 純白の手袋をはめた花嫁の右手が、握り締められて胸を叩いていた。
「・・・・・・・・・遅いの・・・」
 嗚咽混じりの声で呟く。
「うん、ごめん・・・」
「・・・気付くの、遅いんだよぅ・・・」
 きっとこの数日間。
 彼女は気まぐれに癇癪(かんしゃく)を起こしたのではなく、
 ただ独(ひと)り取り残されている寂しさと戦いながら、
 泣くのをこらえてひたすら待ち続けていたのだろう。
 ――ずっと、自分が大切な事を忘れているのに気付くまで、ずっと。
「・・・あたしを、荷物の中に、入れないで・・・」
「うん」
「・・・一緒に背負いたいの」
「うん・・・気付かなかったんだ、一緒じゃなきゃ意味がないのに。何の為に一緒になるのかさえ」
 抱き締めた花嫁は、相変わらず小さく、温かく。
 ただ愛おしさだけがこみ上げた。
「結婚しよう、パナチカ。一緒に・・・幸せになろう」


「・・・あ」
 アメリアとゼルガディスが人々の救助を終えて、やっと教会を探し当てた時。
 唐突に雨雲が渦巻き、勢い良く雨が降り注いだ。
「ひゃっ!!」
 巨大な雨粒が服と背中の隙間に落ち、アメリアが飛び跳ねた。
 バケツをひっくり返したような威勢の良さに、慌てて教会の軒下に逃げ込む。
 同じように壁に背を付けたゼルガディスが、唖然と自然消火されていく街を眺めていた。
 雨の音を聞き取ったのか、避難していた人々が顔を出す。
「・・・儀式・・・が、間に合ったのか・・・?」
 ゼルガディスの言葉に、アメリアが振り返り、
 しばし見つめ合い、それから背を預けている扉へと視線が移る。
「・・・・・・・・・」
 合図をかわした訳でもないが、2人同時に扉に力を込めた。
 どっしりとした重みを感じ、ようやく開け放つ。
 損傷の跡は見られない教会内を、アメリアが安堵に胸を撫で下ろしながら見回した。
「ルートヒルドさん・・・辿り着けたんでしょうか・・・?」
「雨が降ったって事は、間違いないだろ」
「・・・あ」
 祭壇を覗き込んだアメリアが、ゼルガディスを手招きした。
 ビロードの布の上に置かれた。純白の手袋。
 その上に書かれた文字――
『ありがとう』
 それはどちらの文字だったのか、判別する前に泡のように溶けて消えた。
「・・・良かった」
 まぶしさに顔を上げると、祭壇の上にあるステンドグラスから光が指し込んでいる。
 性急な通り雨が、過ぎ去った事を告げていた。
「・・・雨がやんだようだな」
 ゼルガディスが扉の方向に足を向け、アメリアが後を追おうとした時、
『そうそう、これは御礼』
「・・・えっ?」
 どこからか聞こえた声に足を止めると、頭に何かが落ちた感触がした。
「っ!?」
 慌てて頭上に手を伸ばし、柔らかなそれを掴むと目の前に下ろす。
 視界の上から下を、数枚の花びらがひらりと舞った。
「・・・・・・」
 思案を必要とせず、その名称は頭に浮かんだ。
 花の種類は豊富な、色だけを適当に七色集めた花束。
 それでも鮮やかなグラデーションの美しい、
 花嫁のブーケ。
 ゼルガディスが振り返ると、花束を手にしたアメリアが呆然と突っ立っていた。
「どうした」
 アメリアが見つけたものを手に取っていたのかと、ゼルガディスが変わらぬ口調で問いかける。
「・・・もらっちゃい、ました」
 ぎこちない返答。
「・・・・・・・・・・・・花嫁さんの・・・ブーケ・・・・・・」
 しばしの、間。
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・良かった、な」
 しぼり出したようにしか聞こえない、アメリア以上にぎこちない返答は、
 多分、血圧の上がった脳が苦労してはじき出した言葉だろう。
 人形のように突っ立っていたアメリアが、外から聞こえた人々の声に反応して顔を上げる。
 ゼルガディスが扉を開けて――
「――!!」
 アメリアが息を呑んだ。
 雨の降り止んだ空。
 雲の割れ目から刺し込む薄日と、
 大地に根付いたかの如く雄大な、七色の光――
「ニジネズミの嫁入りだ」
 街人の誰かが呟いた。
 祝福の雨の後、虹の架け橋を渡り、
 大空へ天神と成りに――
「バージンロードが虹か・・・派手な結婚式だな」
 ゼルガディスが微苦笑を浮かべて呟く。
「パナチカさんが、信じて諦めなかったからですよ」
 ブーケを抱き締めたアメリアが答える。
 早速ドライフラワーにするのだと、余分な葉を抜き始めた。
「・・・持って行くのか?」
「ちゃんと乾燥させた後、城に送って保管してもらいます」
 太陽のような笑みを浮かべ、彼女は真正面から断言した。
「――ゼルガディスさん。私も、諦めませんからね」


 虹が消え幻となっても、
 其処に在った確かな誓い。
「I promise to live together in happy union till parted by ...death」

 死が二人を別つまで、共に在りて、共に幸福の道を歩む事を、ここに誓う。


================================

 おまけ:URLからオリキャラのイラストに飛べます(^^;)

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11225お帰りなさいっ!!雫石彼方 URL2002/11/9 20:59:36
記事番号11177へのコメント

さなさん、お久しぶりですぅぅぅっ!!!(><)
雫石です♪
あぁぁ、最近めっきりお名前を見かけなくなっていたので、小説書くのやめちゃったのかしらーとか、いやそれ以前にスレイヤーズから冷めちゃったのかしらーなどと心配しておりましたが、ついに復活なのですね!!
嬉しいですv
お話も読み応え十分で、しっかり楽しませていただきました!!
ルートヒルドさんに『見ているだけで敗北感を味わう』などとがっくしきていたアメリアでしたが、そこでゼルガディスさん、『俺にとっちゃお前が一番だ』くらい言……うわけないですね(苦笑)でも、アメリアだってあんなに可愛いのにぃ!!
まあそんな戯言はさておき、緊迫感溢れる戦闘シーン、そんでもって最後は『狐の嫁入り』ならぬ『ニジネズミの嫁入り』で素敵にハッピーエンドv
う〜ん、久しぶりにさなさんワールドを楽しませていただきました。
今度はゼルアメメインのらぶ話を期待してマス!!などと無礼なお願いをしつつ、この辺で〜。

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11227ありがとうございます・・・(泣)水晶さな E-mail 2002/11/9 22:13:54
記事番号11225へのコメント


 雫石さんお久しぶりです。ただいまと申し上げた方が良いでしょうか(爆)。
 当人が前作を書いた日付を見てたまげました。
 しばらく別ジャンルにのめり込んでいたら、さっぱりスレ小説が進んでいなくて・・・(爆)。大量の書きかけを目の当たりにして最近我に返りました。
 本当はこの小説も夏に出そうと思っていたのに、エライ季節外れです(爆)。

 前のように執筆のペースが戻るのはちょっと難しいのですが、出来れば又ちょこちょこと出せたら良いなと思っております。

 あの、本当、見つけて下さってありがとうございました・・・(泣)。
 
 
 

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11372お久しぶりですっ(><)桐生あきや 2002/11/15 02:41:29
記事番号11177へのコメント

 お久しぶりですっ、桐生あきやです(><)
 さなさんの小説がまた読めてめちゃくちゃ嬉しいです。読みながら、ああ、さなさんのアメリアとゼルだぁ……vvと頬がゆるみっぱなしでした。
 本当にお久しぶりですが、とてもそうは思えません。雫石さんのレスの通りです。おかえりなさいませvv
 うっかり書き殴りさんに来るのを怠っていたバチがあたりました……レスが遅れてしまって申し訳ありません。ツリーが落ちる前に発見していただけるかしら(ドキドキ)

 ルートヒルドさんの性別を確認して撃沈したり妬いたり、落下感を楽しんだりする姫が最高です。いたるところでさりげなく交わされているゼルとアメリアの夫婦漫才がすばらしくて……(違)
 パナチカちゃんにめろめろです。名前も姿も可愛くてたまりません。
 またこれからもさなさんのゼルアメを読みたいです。どうかまたすてきな話を書いてくださいませ(><)
 では、短いですがこれで。またです〜。

 桐生あきや 拝。

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11398お久しぶりです(泣)水晶さな E-mail 2002/11/16 00:41:38
記事番号11372へのコメント


 あきやさんお久しぶりです〜。ただいま帰りました(え?) 本当に1年以上スレ小説を書いていなかったのが自分でも信じられません。皆書きかけで停滞していて・・・(泣)。
 それが卒論の合間に書いたら一本完成しました(爆)。
 ゼルとアメリア主体の文章を思い出すのにも苦労しました(←別ジャンルに走っていた後遺症)。
 久しぶりなのでまずはいつものゼルアメらしい話でいこうと書き上げた中篇ですが、喜んで頂けて何よりです(T_T)

 書きかけだけは大量にたまってしまったので、何とか少しずつでもUPさせていきたいです。
 ・・・卒論が良い具合に進めばですが(爆)。
 又お会い出来るように頑張ります(^^;)
 コメントありがとうございました!

 水晶さな.