◆−さよならププルン:プロローグ:−原案:陽月、D・S・ハイドラント、文:D・S・ハイドラント (2002/11/14 21:18:31) No.11360
 ┗さよならププルン:1章:出会い−原案:D・S・ハイドラント、陽月、文:陽月 (2002/11/15 19:52:01) No.11388
  ┗さよならププルン:2章:サイファー−D・S・ハイドラント (2002/11/16 12:12:07) No.11406


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11360さよならププルン:プロローグ:原案:陽月、D・S・ハイドラント、文:D・S・ハイドラント 2002/11/14 21:18:31


 彼はとても幸せだった。至福の時はとても長かった。そう感じられた。

 優しい主人が自分のことを可愛がってくれる。それだけで幸せだった。

 そう彼は犬と呼ばれる高貴で美しい――と彼は信じている――獣だ。

 彼は本当に幸せだった。優しい主人は本当に優しい。彼を叱り付けることはあったが、それは彼のためにだと彼は分かっていた。

 しかし幸福は、いつまでも続くことはない。それが現実だ。

 そしてそれは彼も例外ではない。

 今となってはあの良き日々も過去の虚像でしかない。

 ――そうあの日――

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私、D・S・ハイドラントと陽月さんで考えた話です。
 さよならププルンの原作のつもりです。
 それではどれだけ続くか分かりませんが・・・。
 次回から本格的に始まると思います。
 それでは〜

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11388さよならププルン:1章:出会い原案:D・S・ハイドラント、陽月、文:陽月 2002/11/15 19:52:01
記事番号11360へのコメント


あの日、彼は追われていた。
信頼していた主人にだ。いや、正確には主人の家の使用人にだ。
それが自分の過失だということはわかっている。
彼は人語を解するどころか、話すこともできる犬だ。
その人語を主人の目の前で使ってしまったのだ。
驚いた主人は家の使用人に彼を追うことを命令した。追うだけではなく、殺せとも――
でも彼は逃げたくなかった。主人のもとから離れたくなかった。殺されてもいいとも思った。
そう思っていてもまだ迷いがあった彼の耳に声が聞こえた。

『逃げるんだ。早く!』

その声にはなにか、聞いた者の気持ちを動かす力があったのか……
彼は迷いを振り切ってその場から逃げ出した。
夢中で走り続けた彼はいつしか、見知らぬ土地へと足を踏み入れていた。
犬の帰巣本能を持ってすれば、主人の家に戻るのは簡単な事だが、彼にはそのつもりは全く無かった。
彼がたどり着いたのは一面色とりどりの花で覆われた大地だった。

「はじめまして。それとも、こんにちは、かな」

後ろから聞こえた声に振り向くと、そこにいたのは小さな妖精だった。



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短いです。
花畑ってのは…………………………………………………………………………
……………………………………すみません。意識して書きました。
思いっきり意識してます。OPとEDを。
ではハイドラントさん、次よろしくお願いします〜
それでは〜



最後に:タイトルの書き方ってあんな感じでしょうか……

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11406さよならププルン:2章:サイファーD・S・ハイドラント 2002/11/16 12:12:07
記事番号11388へのコメント

 それは信じがたい光景であった。
 彼にはどう感じられたのだろう。
 吠えることもなくただ、見つめていた。
 その瞳にはそれが映る。
 だがそれは自分の眼の中に映るだけの幻想――虚像のような、そう感じれるような存在だった。
 目を疑いたくなる。
 そんな存在だ――妖精とは。
 いつしか吠えることも封じれたようだ。
 そして
 「君は誰・・・。」 
 彼はそっと話し掛けた。
 出来るだけ友好的に・・・。
 だがそうしたところで彼の不安は消せない。
 そんなことでは・・・。
 そしてその返事はすぐさま返ってきた。
 「僕はププルン・・・君は。」
 優しい言葉・・・。頭の中に直接入り込む。
 僕のことを怖がらないんだろうか。
 そんな不安はいつの間にか消えていた。
 「僕は・・・僕は・・・。」
 だが彼は言葉と共に自分が闇に包まれているのが分かった。
 どんどん強くなる闇、いつの間にか彼から言葉は消えていた。
 視界が暗転していく。
 闇が光よりも彼を占める割合が増え、そして完全に閉ざされるまでには時間はかからなかった。
 吠えようとしても、喋ろうとしてもどちらも不可能だ。
 所詮犬でも人でもない自分だ。
 だが現状はそんなことで起こるおもではなかった。
 体が動かない。
 だが動いている。
 動かされている?
 それも違った。
 景色が動いている。
 そう――闇が。
 闇は捻じれていく。
 そしてその闇から光が生れてきた。
 これが世界の誕生なのだろうか。
 彼は犬にしても人にしても分不相応な考えを持った。
 そして光より生れる世界が彼の視界にそれを映し出した。
 
 「お前の名前は何にしましょうか。」
 優しい声だ。
 そう聞き覚えのある。
 彼は視線を走らせた。
 そこは温かな部屋の中、だが彼にはそれ以上は分からなかった。
 そう犬であるがゆえ・・・。
 そう彼は犬であった。
 誇り高き獣―――その犬である。
 「うーん、そうですねえ。」
 懐かしき、だがすぐ前にも聞いたようなその声はそこで言葉を切った。
 「サイファー、・・・お前の名前はサイファーにしましょう。」
 彼はよく分からないまま、無邪気に吠えまわった。
 それが彼の幸せの始まりだった。
 まだ彼が知らなかった。