◆−温泉パニック!? 〜オンナノコたちの恋愛論〜(薔薇短編)−ザズルア=ジャズルフィードゥ (2002/11/27 17:46:26) No.11735


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11735温泉パニック!? 〜オンナノコたちの恋愛論〜(薔薇短編)ザズルア=ジャズルフィードゥ 2002/11/27 17:46:26


ハール:・・・まだ生きてたんだ、このシリーズ・・・。
ザズルア:なんてこというのよあんたは!!自分の出ているシリーズでしょうに!!
ハ:とかいってるけど、何ヶ月書いてないんだっけ?このシリーズ。
ザ:・・・・・・・・・・・・・・・最後の短編書いたのっていつだっけ?
ハ:アホだわ・・・。
ザ:でもでも!ちゃんと次の長編ちゃんと考えてるもん!だからしばらくは安心v
ハ:・・・しばらく・・・。



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                     温泉パニック!? 〜オンナノコたちの恋愛論〜



「ふゅにゅ〜・・・。」
 わけわからん声を出してハールは湯船に浸かった。
「いや〜、温泉って良いよね!こんな所にあるなんてラッキーv」
「ほんとですね。旅の疲れが一気にとれていく感じです〜。」
 スプルの結婚騒動からしばらく経った頃、アメリアたち5人は山奥にある宿屋で温泉があることを聞き、女性陣はさっそく温泉に入ったのだった。
「でさでさ、女の子が集まってすることと言ったらやっぱり恋話でしょv」
 急にハールがそんなことを言い出した。
「ちょ・・・、ちょっとハールさん!なんでそんな話を・・・!」
 アメリアがスプルに目配せしながらハールを制する。彼女がいるのにそんな話をして良いのかと。
「お気になさらなくてもよろしいですわ、アメリア様。」
 そんなアメリアにスプルが言った。
「もう大丈夫です。お気遣いありがとうございます。
 で、ゼルガディス殿とはどこまでいかれたのです?」
 スプルがノリノリで尋ねてくる。本気で聞きたそうだ。
「ど・・・、どこまでって・・・!」
「キス止まりでしょう。」
 動揺しているアメリアにハールがはっきりいう。アメリアは驚きの表情でハールの方を見る。どうやら図星のようだ。
「ど、どうして・・・。」
「ふふん。ま、よく考えればすぐにわかることよ。
 ゼルはあの身体でしょ?もしそれ以上の関係になってアメリアが妊娠でもしたらいろいろと問題が起きるでしょ?アメリアは仮にも大国の王女様だし、こどもが異端児になるかもしれない。だからゼルはアメリアに対してそれ以上手が出せないってこと。違う?」
 ずらずらと己の推理を並べるハール。お前、しばらく書かないうちにキャラ変わった気がするぞ・・・。
「だ、大正解です・・・。ゼルガディスさんがそんな風に考えているかどうかは知りませんけど。」
「十中八九当たっていると思いますよ。ゼルガディス殿は結構まじめな性格ですから。」
 アメリアの言葉に対しスプルが言う。
「じゃ、次はスプル!セイドとはどうなの!?」
 ハールに言われ、今まで彼の話題が出たときに「どうしてセイドさんなのです?」と問い返していたスプルが頬を真っ赤にして固まる。
「お?」
 そんなスプルの反応にハールはにやにやと笑む。
「やぁ〜っぱし何かあったね!
 まぁ、結婚式に花嫁強奪しちゃうんだもんね。さすがに彼の気持ちには気づいたでしょ。それにセイド、まだ脈アリみたいなこと言ってたし。」
 問答無用で言われ、スプルは全身が真っ赤になるほど赤くなる。押し倒されたとか告白されたとかいろいろありすぎて今までセイドに好意を持たれているという可能性を無意識に否定していたスプル自身もまだ混乱している。
「そ・・・、そういうハールさんこそなにかないのですか!?」
 スプルの必死の話題転換の言葉に、ハールの黒い瞳が寂しそうな色をした。が、それも一瞬のことですぐいつもの調子に戻る。
「あたしはねぇ・・・、この15年間浮いた話の一つもないからねぇ・・・。」
「あれ?でもハールさん、ヴェルタニーアさんのこと素敵〜vとか言ってませんでした?」
 アメリアの何気ない言葉にハールの心は激しく動揺した。が、ハールは必死にその動揺を顔に出さないようにした。
「あ・・・あれはちょっとした憧れよ!あんな素敵な大人の人があたしみたいな小娘を相手にするわけ無いじゃない!」
「小娘って・・・。肉体はわたしたちより年上なのに・・・。」
「ヴェルタニーアさん?どんな方ですの?」
 ヴェルタニーアに会ったことの無いスプルがハールにたずねる。
「ん〜とね、強くてかっこよくって大人で素敵な人!」
 そして忘れられないほど素敵なハニーがいる人。ハールは心の中でそう付け加えた。
「へぇ〜、結局は惚れているってことですね。」
 本人はちょっとした仕返しのつもりで言ったスプルの言葉にハールの心は人知れず傷ついた。ハールは瞳の奥が熱くなるのを感じた。
「だ・・・だから違うってば!だ・・・第一、あの人には・・・。」
 こらえきれず、涙がひとしずくこぼれる。
「行方不明らしいけど・・・恋人がいるし・・・。」
 口に出していってしまうとそれを認めてしまう気持ちになって――実際心の中では認めているつもりだったが――ハールは涙を抑えられなくなった。
「ハールさん・・・。」
「ごめんなさい・・・。そうだったなんて知らなくて・・・。」
「いいの・・・。気にしないで・・・。」
 そしてふと、アメリアは気付いた。自分たち以外にも入浴している人がいることを。
「あっ・・・、他の人もいたんですね・・・。」
「あらいやだ、恥ずかしい。見ず知らずの人とはいえ、こんな話を聞かれちゃうなんて。」
「見ず知らずじゃありませんよ。」
『・・・は?』
 聞き覚えのある声に三人は嫌な予感がした。
「お久し振りですv」
 そして、予感は的中した。



『きゃあぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!』
 突然の叫び声にゼルガディスとセイドは同時に立ち上がった。
「なんだ!?」
「露天風呂からみたいですよ!」
「風呂だと!?」
 二人は同時に露天風呂へと駆け出した。無理もない。そこには彼らが愛する人がいるのだから。
「アメリア!どうした!?」
「スプルさん!何かあったんですか!?」
 慌てて入って来た二人はそこですごい光景を見た。
「ラ・ティルト!!」
「ジャズル・フィラード!!」
「あぁ生きてるって素晴らしい〜♪」
「うわぁぁぁっ!やめてくださいよぉ!!ちょっとしたお茶目じゃないですか。そのくらい見逃してくださいよ。」
『誰が見逃すか!!!』
 そこには、逃げまとうゼロスにアメリアとスプルは魔法を連発し、ハールは生の賛歌を歌っているという、まったく事情がわからない人から見たらよく分からない光景がそこにあった。
「なぁ・・・ハール、一体何があったんだ?」
 何となく何があったか予想は出来てはいるものの、ゼルガディスは一番冷静そうなハールに尋ねた。
「聞いてよゼル!ゼロスが温泉客のフリをしてあたしたちの会話に聞き耳たてるわ風呂覗くわでひどいのよ!!」
 やはり冷静ではないようでやや言葉がちゃんとなっていないが大方予想通りだった。そして、
「ラ・ティルト!!」
「ラヴァ・ブレード!!」
 ゼルガディスとセイドも参戦した。



 その後、ゼロスがアストラルサイドに逃げ出すまで彼らの攻撃の手は止まなかったという。