◆−冥王の騎士2−D・S・ハイドラント (2002/12/4 21:23:04) No.11888
 ┣冥王の騎士2:8章:覇王の追憶−D・S・ハイドラント (2002/12/4 21:24:02) No.11889
 ┣冥王の騎士2:9章:恐怖の暗殺者−D・S・ハイドラント (2002/12/4 21:26:10) No.11890
 ┣冥王の騎士2:10章:焔の風の男−D・S・ハイドラント (2002/12/4 21:28:14) No.11891
 ┣冥王の騎士2:11章:ガーヴ北へ−D・S・ハイドラント (2002/12/6 16:37:51) No.11922
 ┣冥王の騎士2:12章:死神達の血の道へ−D・S・ハイドラント (2002/12/6 17:32:10) No.11924
 ┃┗Re:冥王の騎士2:12章:死神達の血の道へ−エモーション (2002/12/7 22:23:18) No.11940
 ┃ ┗Re:冥王の騎士2:12章:死神達の血の道へ−D・S・ハイドラント (2002/12/8 14:43:02) No.11945
 ┣冥王の騎士2:13章:騎士を捨てる今−D・S・ハイドラント (2002/12/8 16:01:53) No.11947
 ┃┗Re:冥王の騎士2:13章:騎士を捨てる今−エモーション (2002/12/8 20:34:33) No.11955
 ┃ ┗Re:冥王の騎士2:13章:騎士を捨てる今−D・S・ハイドラント (2002/12/8 20:47:52) No.11957
 ┣冥王の騎士2:14章:再会?−D・S・ハイドラント (2002/12/9 18:53:55) No.11963
 ┃┣Re:冥王の騎士2:14章:再会?−エモーション (2002/12/9 20:45:08) No.11969
 ┃┃┗Re:冥王の騎士2:14章:再会?−D・S・ハイドラント (2002/12/9 20:57:50) No.11971
 ┃┗Re:冥王の騎士2:14章:再会?−渚 (2002/12/9 21:12:33) No.11974
 ┃ ┗Re:冥王の騎士2:14章:再会?−D・S・ハイドラント (2002/12/9 21:33:39) No.11976
 ┣冥王の騎士2:15章:風を捨て、心の氷も−D・S・ハイドラント (2002/12/9 20:24:19) No.11967
 ┃┗レスを書いている間に次の記事が……−エモーション (2002/12/9 20:59:54) No.11972
 ┃ ┗Re:レスを書いている間に次の記事が……−D・S・ハイドラント (2002/12/9 21:11:38) No.11973
 ┣冥王の騎士2:16章:法律は守りましょう−D・S・ハイドラント (2002/12/10 19:23:38) No.11986
 ┃┗『未成年者飲酒禁止法』とか……。−陽月 (2002/12/10 19:58:44) No.11989
 ┃ ┗Re:この話大丈夫なのか−D・S・ハイドラント (2002/12/10 20:46:44) No.11994
 ┣冥王の騎士2:17章:だから法律は守りましょうってば−D・S・ハイドラント (2002/12/10 20:42:46) No.11993
 ┃┣Re:冥王の騎士2:17章:だから法律は守りましょうってば−渚 (2002/12/10 21:21:49) No.11996
 ┃┃┗Re:冥王の騎士2:17章:だから法律は守りましょうってば−D・S・ハイドラント (2002/12/10 21:26:32) No.11998
 ┃┃ ┗Re:冥王の騎士2:17章:だから法律は守りましょうってば−gure-to masa (2002/12/10 22:04:24) No.12003
 ┃┃  ┗すみません〜−D・S・ハイドラント (2002/12/10 22:07:20) No.12004
 ┃┗世界にはルールがある。ルールが守れないと罰を受けるんだ。−エモーション (2002/12/10 22:19:34) No.12007
 ┃ ┗Re:世界にはルールがある。ルールが守れないと罰を受けるんだ。−D・S・ハイドラント (2002/12/10 22:27:03) No.12008
 ┣冥王の騎士2:18章:静かで安らげる場所はありません−D・S・ハイドラント (2002/12/11 13:01:58) No.12011
 ┣冥王の騎士2:19章:涙や危機より飯が先?−D・S・ハイドラント (2002/12/11 16:16:03) No.12017
 ┃┣戦いで重要なのは、情報と補給。−エモーション (2002/12/11 22:03:23) No.12038
 ┃┃┗Re:戦いで重要なのは、情報と補給。−D・S・ハイドラント (2002/12/11 22:15:55) No.12041
 ┃┗Re:冥王の騎士2:19章:涙や危機より飯が先?−渚 (2002/12/12 16:05:06) No.12050
 ┃ ┗Re:冥王の騎士2:19章:涙や危機より飯が先?−D・S・ハイドラント (2002/12/12 18:12:25) No.12052
 ┣冥王の騎士2:20章:いくらなんでもひどくない?−D・S・ハイドラント (2002/12/12 15:16:12) No.12049
 ┣冥王の騎士2:21章:戦士はやっぱり彼でしょう−D・S・ハイドラント (2002/12/12 18:26:07) No.12054
 ┃┣戦うためにっ、戦う〜♪−エモーション (2002/12/12 22:48:17) No.12061
 ┃┃┗Re:戦うためにっ、戦う〜♪−D・S・ハイドラント (2002/12/12 23:01:01) No.12062
 ┃┗Re:冥王の騎士2:21章:戦士はやっぱり彼でしょう−渚 (2002/12/13 07:39:55) No.12066
 ┃ ┗Re:冥王の騎士2:21章:戦士はやっぱり彼でしょう−D・S・ハイドラント (2002/12/13 13:39:52) No.12069
 ┣冥王の騎士2:22章:説明ばっかり−D・S・ハイドラント (2002/12/13 17:25:46) No.12076
 ┣冥王の騎士2:23章:命令は大嫌いだ−D・S・ハイドラント (2002/12/13 19:33:04) No.12077
 ┃┣Re:冥王の騎士2:23章:命令は大嫌いだ−エモーション (2002/12/13 21:18:02) No.12078
 ┃┃┗Re:冥王の騎士2:23章:命令は大嫌いだ−D・S・ハイドラント (2002/12/13 21:34:17) No.12082
 ┃┗Re:冥王の騎士2:23章:命令は大嫌いだ−渚 (2002/12/14 08:31:04) No.12086
 ┃ ┗Re:冥王の騎士2:23章:命令は大嫌いだ−D・S・ハイドラント (2002/12/14 10:00:38) No.12087
 ┣冥王の騎士2:24章:怖い夢に怖い現実−D・S・ハイドラント (2002/12/14 20:58:53) No.12097
 ┃┗Re:冥王の騎士2:24章:怖い夢に怖い現実−渚 (2002/12/15 09:00:52) No.12100
 ┃ ┗Re:冥王の騎士2:24章:怖い夢に怖い現実−D・S・ハイドラント (2002/12/15 13:04:00) No.12103
 ┣冥王の騎士2:25章:それじゃあ理由にならないよ−D・S・ハイドラント (2002/12/14 21:54:14) No.12098
 ┣冥王の騎士2:26章:亡霊って一体?−D・S・ハイドラント (2002/12/15 16:26:55) No.12107
 ┃┗Re:冥王の騎士2:26章:亡霊って一体?−渚 (2002/12/16 07:32:56) No.12121
 ┗中書き−D・S・ハイドラント (2002/12/15 16:33:34) No.12109
  ┣100話っ?!−エモーション (2002/12/15 22:26:31) No.12113
  ┃┗Re:100話っ?!−D・S・ハイドラント (2002/12/15 22:29:32) No.12114
  ┗Re:中書き−渚 (2002/12/16 07:37:30) No.12122
   ┗Re:中書き−D・S・ハイドラント (2002/12/16 13:28:58) No.12124


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11888冥王の騎士2D・S・ハイドラント 2002/12/4 21:23:04


それでは新ツリーで2部開始です。(3話連続投稿します。)
・・・ツリー上部は基本的にシェーラ以外のサイドから・・・。

では始まります。

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11889冥王の騎士2:8章:覇王の追憶D・S・ハイドラント 2002/12/4 21:24:02
記事番号11888へのコメント

 その異常なまでの野心から鎖付きの覇王とまで呼ばれた男、グラウシェラー=グレープ=ダイナストはただその始まりをやがて王座となるそれに腰掛け、ただ心の時を刻むのみ、静寂が張り詰め、爆発しそうなほどの緊張感がそこにある。
 魔道を駆使し、40を越える歳にして、20の若さを保つ大貴族の容貌には1つの歪みもない。
 気配は2つ・・・。
 彼の他にはすでに老い過ぎたローブの老人、ミックス、正式な臣下ではないが、臣下以上の名臣であった。
 だが1度は死罪になりかねない言葉をもたらした。
 あの震えるような言動。
 彼は怒った。
 だが結局はそれを受け入れてしまった。
 今だ後悔の念は続く。
 だが恨むつもりはない。
 その男は有能な臣下であるのだから・・・。
 そうもう20年近くなるか・・・。
 正確には18年・・・そう寒い日だった。
 記憶は今も明白に心の片隅に残る。
 その深き罪を身を焼くものだが、それを彼方へ消し去るのはより重いものだと思える。
 だから忘れるのが怖かった。
 そうあの日

 「生まれてくる子を捨てるのです。」
 衝撃が緊張した胸中を瞬間的に打ちつける。
 かくも冷静な老人の声だけは必死なものであった。
 「何だと!」
 座に居座るまま、驚き、疑問、怒り・・・。
 込み上げてくる感情を一時消化し、
 「どういうことなのだ。」
 出来る限り冷静となろうとする。
 「神の声が・・・。」
 「神の声だと、ふざけるな。私は神など信じない。そんな馬鹿馬鹿しい幻想に構うわけにはいかんのだ。」
 怒りを露にし、座から立つと糾弾するように激しい口調で言い放つ。
 「その子が災厄をもたらすと、そう神はおっしゃっております。」
 だがそれは真実とは受け取りがたいものであった。
 そう何かが違う。
 「ふざけたことを抜かすな、死罪にしてくれるわ!」
 指を突きつける。
 老人はさして動揺を浮かべた感情を放つようすもなくただ直立不動。
 受け入れているのか・・・。
 「私はどうなっても構いません、ただどうかこの国の平和のために・・・」
 言葉はゆっくりと紡がれていく。
 旋律は冷たい・・・。
 死の覚悟はあるようだ・・・。
 「こいつを引っ立て!」
 2人の兵が老人を掴むと、そのままその間を後にする。
 冷たい空気だけがそこに残る。
 早くに父を亡くした若き領主の激情も冷気に消える。
 
 そして出産の日・・・。
 そこで記憶世界が暗転する。
 思い出せない。
 この場面がどうしても思い出せない。
 不思議だ・・・。
 まるで忘れているのではなく元より体験していないが如く。
 だがミックスの死罪は取りやめ、そして誕生したばかりの子を廃棄した。
 老人の言う通り、殺さずに廃棄した。
 言われるままにある人物に託した。
 そう名も無きただの愚民に・・・。
 
 かくして災厄は免れた。
 しかし本当に災厄など訪れたかは分からない。
 罪の意識は感じるし、災厄が本当に起こったとは思えない。
 ただ神を信じないという理由だけではなく。
 もっと他の部分でそれが虚偽に思える。
 だが正解だったのかも知れない。
 そう思いたくはないが、そう思わなければ罪の枷は重いままだ。
 もっともどちらにしても罪は晴れぬが・・・。

 それにしても無事だろうか・・・。
 それが気掛かりであった。
 当然のことだ、子を心配する親は・・・。
 「いつか帰って来い。」
 罰の覚悟はある。
 たとえ野望を捨てることになろうとも、その罪でのことならば喜んで受け入れよう。
 だから帰って来い。
 我が子。
 「―――――。」
 心でただ、こだまし、声にはなりえなかった。

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11890冥王の騎士2:9章:恐怖の暗殺者D・S・ハイドラント 2002/12/4 21:26:10
記事番号11888へのコメント

 薄暗い部屋、薄い赤の絨毯が敷かれた上に4本の脚。
 それに支えられたシャツとコートの2人の男
 重く張り詰めた空気がただそれだけで空間を支配する。
 その発生は静寂――いや沈黙から。
 1点の沈黙より生まれた緊張感が渦を巻き、その2対の双眸へと入り、震えを誘う。
 だが枷が掛かったように、軽く身震いするだけでそれ以上の発散は不可能だ。
 物理法則に関係なく。
 まるで法則を歪める魔の力。
 不可思議なる魔術のように――。
 威圧感とはそういったものに等しいのではないか、そう思えるほど対峙する相手は恐ろしきもの・・・。
 彼にとっては・・・。
 マツタケ・シティ、技能者ギルド治安維持部、部長グルダス・グレイヤー、上質なスーツに身を包む、血のように紅き眼の持ち主、それは悪魔の瞳とまで恐れられている。
 過去にギルドの下請け暗殺者として1000人以上を殺した恐るべき男である。
 もう60近くなるが、今だその威圧感は抜けることがない。
 今、睨みつけるこの2人を一瞬にして始末するのも造作ないだろう。

 この治安維持部は他の部所とはかなり違っている。
 ここは登録だけの下請け人には頼らず、正ギルド員の精鋭達が行うとなっている。
 目的は都市での犯罪者の殲滅。
 基本的に窃盗や恐喝などでも殺傷が認められている。
 この街で罪を犯せば公式的暗殺部隊が出動する。
 まあ軽罪ではおおげさにはならないが・・・。
 
 彼らの目の前にいるのはその暗殺者達を統べるものである。
 そして彼らはただのアルバイトの巡回員だ。
 下手な言動は死を招く・・・そうとまで思えた。
 そして悪魔は口を開く。
 そこから出でるものは声などではなく咆哮・・・またはより恐ろしいものではないかとまで思えた。
 だがそれはすぐに心の隅に押し込む。

 実際これはいつものことだ・・・。
 部長である彼以外はすべて暗殺部隊として所属するわけなのでいつも報告先はその男へだ。
 だが慣れることはない。
 獰猛な虎口に手を入れるが如く。
 恐怖に慣れはない。
 克服出来ない恐怖は恐怖のままだ。
 そして紡がれる言葉。
 生か死か・・・。
 頭が白に染まり。
 展開される無数の光景。
 浮かび上がる像達はどれも懐かしいもの・・・。
 瞬間的だがそれのすべてをその一瞬で受ける。
 そして心で絶叫。
 世界は沈黙。
 「ご苦労だ、君達の望みを聞こう。」
 威厳がある中でも穏やかに思える。
 しかしそこから感じ取れるのは地獄。
 刻まれていく時。
 それは栄光の階段を上る音。
 あるいは死神の足音。
 運命は存在する。
 天の神が紡ぐのだ。
 彼らは狂信的では全くなく、むしろあまり気にしていないが、サンチーンミ派である。
 理由は簡単だ。
 多数が崇拝するから、それだけだ。
 この街にはマツタケ神派と三神派に分かれる。
 そして三神派の方が勢力が強い。
 だから三神なのである。
 つまり・・・根性なしとも言えなくもない。
 一概にも言えないが・・・。
 
 その一言が、確信し切っていた一言が遠く感じられる。
 凍りついたように言葉が出ない。
 「どうした早く言え。」
 悪魔の声が脳内を縦横無尽に駆け回り、思考が霧散していく。
 その中で言葉が出ない。
 たった一言、時給を上げてくださいと。
 「特にありません。」
 シャツの男が声を出す。
 コートの男も同じ気持ちのはず。
 その一言が言えない、と。
 2人の心が解放されたようになる。
 「ほう、なし、か。ならば報告は受け取った。帰っていいぞ。」
 2人は何とか威圧を振り切り部屋を後にした。

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11891冥王の騎士2:10章:焔の風の男D・S・ハイドラント 2002/12/4 21:28:14
記事番号11888へのコメント

 穏やかな村では吹く風も穏やかだ。
 頬を撫でる風は冷たくも心地良い。
 草木が開ける道を踏み締める音が静かな平和の空間に小さく響く。
 そして双眸に捉えた、この小さな村にそびえる館。

 カタート旧王都周辺は大きな力を持つ貴族があまりいない。
 つまり簡単に言えば力あるものを遠くへ飛ばしたのだ。
 広大な領地を与えると言って・・・。
 事実ダイナスト公などは下手をすれば王位を乗っ取り兼ねない。
 かなり緊迫した状態だったのだ。
 それが晴れたのは血と焔、第一に1人の骸である。
 そうカタート王シャブラニグドゥの・・・。
 
 あれは俺がやったのか?
 そうであろう、だが記憶がない。
 その日の記憶が抜け落ちて、ただ暗黒となっている。
 だが1つの光・・・。
 そうカタート王の最期・・・。
 なぜかその時の像だけが輝くように闇の中にある。
 そう杖を持っていた。
 そして死を恐れた様子もない。
 不敵だった。
 そして無表情・・・ただ見つめていた。
 はあはあ。
 まるでその眼差しから逃れて来たような気分に襲われる。
 1人が怖い・・・大衆の中の孤独であっても・・・。
 だから歩いた。
 まだ陽は高い。
 少々、寝すぎたが気分は悪くない。
 風に焔が燃え盛り、それを手で掴み崩れた髪を直す。
 だが風は容赦なく吹き、彼が先に折れる。
 そして一歩。
 少々、重いが彼にはどうということない。
 すぐに館が大きくなっていた。
 吹く風は、その心境の分だけ強くなっていた。
 だが気にすることが恥じだと、平然と歩みを進める。
 館は自分を喰らい尽くす魔物にも感じられた。
 だが脅えることはない。
 大きな木製の扉の横に彼の真上に屋根の突き出た部分から吊り下がっている魔法のベルを揺らす。
 それは不思議にも無音。
 そのとき、静寂が沈黙に変わる瞬間を感じる。
 それはやがて声へ・・・いや魔法関係でよく聞こえるというか感じる、脳へ直接入り込んでくる言葉――補助音声など――へと・・・。
 「汝、名を名乗れ。」
 大気が震え紡ぎ出される威厳のある声、歳はかなりいっているだろう、そして人の声ではないとも分かる。
 魔道についてはあまり詳しくはないが、それに似て非なるもの、つまり魔術を使う彼にはそれが分かった。
 そのときには彼の周りを魔力が取り囲んでいる。
 「フレア候のガーヴだ。下等領主の貴様に会いに来た。」
 そして沈黙。
 これは静寂だろうか・・・。
 時が目立った像として刻み込まれるのは、思うより早いものだった。
 「許可が下りた、入るが良い。」
 「けっ偉そうに・・・。」
 これしか言葉が用意されていないのか、彼のことを歓迎しないのか、その言葉は爵位を持つ彼にとっては大変無礼に値する。
 だが今は元なのだろう。
 彼もダイナスト派だったのだから・・・。
 
    ◇◆◇◆
 「ったくせっかくの時給アップのチャンスがっ!」
 街を歩く2人の内、シャツの男は吐き捨てるように左下に向けて言葉を放つ。
 反対側のコートの男がその常人ならその容貌と合わされば避けて通るような軽い怒りの感情を持った男に臆する様子なく、
 「お前のせいだろ。」
 「ああ確かにな。」
 怒りが消え、苦笑を浮かべる。
 そしてコートの男に向き直り、
 「ところで相棒、あれの犯人って分かるか?」
 その表情から詳しいことは読み取れないが、提案・・・その前兆に見えた。
 「ああ、恐らく、あのアパートにいた・・・。」
 そして考え込むように軽くうつむき、
 「・・・アイン。」
 「そうアインだ。」

 アイン・オーフェン
 元技能者ギルド下請け人。
 年齢は20前後(本人無記入)
 犯行のあったアパートを住まいとしていた。
 前もって技能者ギルドから除名されている。
 狙った犯行か・・・。
 またこの街の住民としては認められておらず、まだ住居からそれほど期間がたっていない。
 朝から消息不明。
 噂ではあちこちを転々としているとか・・・。
 となると馬車による逃亡の可能性かなり高い
 
 「そいつを俺達で見つけ出すんだ。」
 そう、犯人を捕まえたものは、公式部隊に限らず報酬が出る。
 しかし危険もかなり伴う。
 「何を言っている、強敵だぞ。」
 コートの男は落ち着きを崩し、訴える。
 「大丈夫だ、ジェイナス、お前は元あっちだっただろう。」
 「しかし・・・。」
 「もう決定だ。」
 シャツの男はマツタケ・シティを後にする決意をしていた。

 アイン・オーフェン・・・風のように転々と街から街へと移り行く。
 何かに追われるように、それを常に勘居ているように・・・。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
 アインがギルドを事前に脱退したのは、全くの勘でです。
 魔術とも言えるかも・・・。
 周期的に街を移っている可能性も高いし・・・。
 でも一番、高い可能性はワタシのミスです。

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11922冥王の騎士2:11章:ガーヴ北へD・S・ハイドラント 2002/12/6 16:37:51
記事番号11888へのコメント

 不快な木の音とともにただの世界が暗闇と染まり、そして白の光が視界を覆い。
 瞬時に像を映す。
 古びた木の音を踏み締めながら、歩んでいく。
 「2階へどうぞ。」
 無愛想な言葉が入る。
 時を経すぎた木の板はやけに頼りなげだ。
 だがその素材自体は悪いものではない。高級樹木を使ってあるばかりはさすが領主の住屋と言えるだろう。
 不快な音は1つ、連続で繰り返される。
 そしてゆっくりと消えた。

 それらしい扉を開けると、白髪の後姿、紳士的な灰色のスーツのようなものからも見とれる、背中の体格は悪くない。
 今や、小さな村で細々と暮らす、価値のないつまらない領主であるが、過去に栄光があるのだろう。
 今はただ小さなこの村、または壮大な天を寂しい空気に撫でられながら独りで眺めるだけ、白昼夢でも起こりそうなくらい静かで退屈、暗い部屋に差し込む光が幻想的ではないものの、そのような非現実感が漂う。
 「来たぜ、じいさん。よくも侯爵の俺に生意気な口聞いてくれたな。」
 脅すというよりは挑戦的、そして自身がある。
 開いたドアから部屋に足一本踏み入れて、後姿をただ眺めている。
 「おい、死にてえのか。」
 両者不動のまま、動くのは赤の白の髪が揺れるだけ。
 声は爆発的だったがそれだけだ。
 この辺りまでは半分冗談であった立つ男も、やがて殺気を放つ。
 存在感のある怒気に混じる殺意が老いた領主に突き刺さる。
 微かに身震い。
 そして観念かどうなのか背が消え、前身となる。
 
 やはり白く輝く髪、しわがよった容貌は頑強な鉄板を重ねたようだが、冷たい感じは不思議にしない。
 双眸の虚ろな2つの淡い銀鱗は、すでに輝きを失ったように翳り、涙は枯れ、渇いた中では哀愁だけが苦しみなく流れているよう。
 それは全身からも同じだが、まるでその眼差しより行き渡るようでもある。
 体格はスーツにより不明だが、背を見た限りでは恐らく戦士のものであろう。
 すでにしわのある手も頑強そうだ。
 「まあせっかく来たんだ。そこに座ってくれ。」
 指差すのはこの老人の座るものと同じ作りの木の椅子、部屋の奥の窓際に近く、彼からは大げさだが少し遠い。
 「ガーヴ君。」
 向き直った老人の言葉に遠慮のない純粋な怒りを返すと、ドアを閉め、不機嫌そうな表情をちらつかせつつ歩く。
 老人は逆なでるように笑みを浮かべ、
 「君はすでに爵位を剥奪されている。いやもう故人として扱われているのではないかな。」
 椅子を引きずり出し、老人に向かい合うように座り、挑発的とも取れる一言の内容に少々、怒りを薄める。いや堪える。
 そして無理にか親しんだもの――特に酒仲間達――に見せるような笑みで
 「まあいい、てめえは殺してやりてえが、んなつまんねえこと、してられねえんだ。こっちは!」
 吐き捨てるように語尾を終え、
 「では何用かな、侯爵殿。」
 からかうような口調。よほど退屈続きだったのだろう。
 そう思えば、我慢も少々は出来る。
 たとえ彼であろうとも。
 「冥王と騎士ってのを探してるんだが。」
 訊ねる口調に、老人はしばし考え込む、だがこの時点でハズレだろうと確信ではないもののそう思えた。
 「悪いな知らぬ。」
 顔を上げた老人に視線は合わせずに
 「そうか。」
 軽く頭を振って、立ち上がるような仕草をする。
 まあこれは聞くだけ無駄な質問であろう。
 「あと、最近退屈してんだが、面白れえことでもねえか。」
 立ち上がりかけて口を開く。
 「南部では貴様の領地が奪われたことくらいか。」
 「何だと!」
 声を虚空に飛ばし、
 「やったのはどこのどいつだ。グラウシェラーのぼけか!」
 「そうも言えるだろうが、実質は勇者ヒムドだ。」
 その名前を検索するまでもなく顔と一致させ、
 「あの野郎。確か北に行きやがったな。」
 「北は王都崩壊以降、事件が続発しておる。気をつけることだな。」
 自分の蒔いた種は自分で始末しろと言わんばかりだ。
 最も大きな事件は自分によるものだが、知っていて沈黙は腹立たしい。
 とはいえ、怒る理由にはならず、ただ。
 「じゃあな。」
 部屋を後にする。
 ガーヴは北へ向かう。

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11924冥王の騎士2:12章:死神達の血の道へD・S・ハイドラント 2002/12/6 17:32:10
記事番号11888へのコメント

 鉄は蠢く。
 雄雄しきものでもあるが、上空から見下ろすものがいたとすれば、不気味にしか映らないだろう。
 シャーベット王国の兵士、騎士達の行進、古の友好国であったカタートを今こそ墜とすべく、進む。
 彼らに意思など必要ない、ただ戦うだけ、中には魔の力を帯びるものもいるが・・・。
 西部を雄大な千獣山脈に護られ、北部は海、南部はフレア候領の勢力により、強固な護りのカタート王国。
 そして小中国が入り乱れる東部から護る壁として存在するイーストフード辺境伯カンヅェル、彼の率いる兵達は小さな国への牽制には充分の力を持ち、カタート東部の入り乱れる地域、スクランブル・ランドでは突出した強さを持つシャーベット王国にも充分な脅威にもなる。
 だが両者同じこと、シャーベット王国にしてもスクランブル・ランドのいくつかの同盟国を根絶やしにすることよりよほど容易い。
 やはりダイナストを滅ぼすのはかなりの度胸も伴う。
 だがカタートも一枚岩ではない今、数では勝るはず。
 それが心の支えだが、あの大貴族が墜ちる姿は想像もつかない。
 そんな思いを振り払いつつ進む。
 
 やがて見えてくる国境、イースト・フード辺境では黒い雲。果たしてそれは何を意味するのか。

    ◇◆◇◆

 闇の帳を引き裂く足音。
 だがその音の主は同じ眷属。
 微かに映える草木を掻き分け、ただ進む。
 余計な感情はない。
 だが冷徹でもなく、ただその目的だけを、同質の死神も多数いるが、自分はそれではない。
 そこに屍がある。
 透明な骸。すでに見えない。
 だがそこにはあるのだ。
 血の匂いが、苦しみ、嘆きの跡が。
 そしてもう見ることの出来ない顔達。
 ただ心に浮かぶだけ。透明な存在せぬはずの戦士たちの骸として・・・。
 自分とは違う存在。
 だがある意味眷属なのかも知れない。
 闇と死と同化するもの。
 涙はない。悲しむわけなどない。
 あったとしても、それに値しないもの。
 見えるのだから、感じられるのだから。
 だから必要ない。
 自分に必要なのは、そんな無意味な偽りの慈悲ではなく、情報だ。
 それも必要ない。
 もう手に入れたのだから。
 帰還だけか・・・。
 面白くもない。
 死者は語らないが、教えてくれる。
 王子が生きている。
 王となるもの。
 それでも良いのかも知れないのだが、あの男がそれで良いと思うだろうか。
 我が主は本当の支配を目指している。
 人形を糸引くものでなく、本当の王の座を――。
 欲深い、だが力量を考えれば釣り合いがあるのかも知れないが・・・。
 捕らえて始末。
 それが良いのだろうか。
 だが軽はずみな行動は死を招く。
 「文字連絡(レター)」
 小さな呟き。
 そしてしばしの間。
 そして歩みだす。
 血と屍と死と繋がる扉へと――。
 やはり生きていたシェーラ。
 グラウシェラーでさえ端から死を否定した女騎士。
 制すのはヒムドなどではなくこの自分。
 あの男はいまい。
 騎士として優秀でありすぎたため、別の死の路を行く。
 今こそ栄光への道。
 屍を築くために・・・。
 それは騎士と王子の死、それとも我が身滅びる時か・・・。
 シェイド、エイム、5人の兵達。無駄に築かれた死の山を越えて向かう。
 カタート北部、地方都市ワイン・セラー、そこが最期の地だ。
 闇に紛れて消す。
 残るものはない。灰1つすらも・・・。
 月が微かに照らす中、足音が再び。
 ダイナスト元侯爵の直属の偵察員、≪深淵の亡霊≫ノーストは歩みだした。

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11940Re:冥王の騎士2:12章:死神達の血の道へエモーション E-mail 2002/12/7 22:23:18
記事番号11924へのコメント

二日ほど間が開くとさすがに……。
今のところは状況説明に近いですね。さらに一転してシリアスモード。
何だかアイン君の素姓らしきものが、垣間見えている気がしますが……
(単なる気のせい?)

相変わらず、美味しそうな名前の国々が。さらに、見知った名前もちらほらと。
そういえば、この世界ってスレの魔族サイドのキャラしかでないのでしょうか?
まあ、アメリアとか出てきたら収拾つかなそうな気はしますけど。

次辺りからワイン・セラーが舞台でしょうか。

何だかお疲れのようなので、気長に続き待ってます。
では、失礼します。

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11945Re:冥王の騎士2:12章:死神達の血の道へD・S・ハイドラント 2002/12/8 14:43:02
記事番号11940へのコメント


>二日ほど間が開くとさすがに……。
>今のところは状況説明に近いですね。さらに一転してシリアスモード。
まあシリアスものですから
>何だかアイン君の素姓らしきものが、垣間見えている気がしますが……
>(単なる気のせい?)
見えてるような、見えてないような
>
>相変わらず、美味しそうな名前の国々が。さらに、見知った名前もちらほらと。
>そういえば、この世界ってスレの魔族サイドのキャラしかでないのでしょうか?
さあ?
つまれば魔族以外からも・・・・
>まあ、アメリアとか出てきたら収拾つかなそうな気はしますけど。
そうですね。

>
>次辺りからワイン・セラーが舞台でしょうか。
です。
>
>何だかお疲れのようなので、気長に続き待ってます。
凄いですねえ。
本当にお疲れです(をい)
>では、失礼します。
では〜
大変ありがとうございます

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11947冥王の騎士2:13章:騎士を捨てる今D・S・ハイドラント 2002/12/8 16:01:53
記事番号11888へのコメント

 蠢きは陽の元、光の中で、感じる焔の熱を受け、虚ろなき光とその余韻はいつまでも、吹き付ける白魔の囁きも炎上する天に掻き消され。
 煌きの白。輝きの銀、黄金の雨雪、虹の鱗の舞い踊る中、駆け抜ける冷たい旅人も温もりに浸り、軽やかな愛撫。
 ざわめきは天光の傾きも見ることなく、ただ宴に酔いしれる。
 その中に優しく取り入る闇達も害することなくむしろ誘い。
 その境界はなくただ後より巨人の腕。
 香りは快であり、不快にはならずに甘く漂う。
 
 
 酒と肴となる伝説とが織り成す都。
 地方都市ワイン・セラー
 ただ酔いしれ明かすだけではなく観光地としても有名。
 北西に向かえば、かの大魔王バナナプリンの誕生と終焉の地、キャラメルソース、今も闇の鼓動が過去の虚像とともに高鳴るとされる地。
 この街には伝説のその地へ向かうための特別馬車が常時往復している。
 今も昔も大人気の都市であり、観光客からの収入により地方都市としては独立都市でありながら国の核とも言われるマツタケ・シティを除けば、国内で1,2を争うほどである。
 当然、地酒もかなりの貢献を果たしているのだが・・・。
 
 馬車は勢い良く門を駆け抜ける。
 風が敵意的に吹き抜け、切り裂かんとする。
 守護神の腕(かいな)と呼ばれる門の中はまさに都。
 ひらける白の岩壁の数々は銀に輝いて美しい。
 昼間の街並みも光と影が織り成し、吹く風はむしろ温かい。
 大都市を象徴するかにそびえる銀壁の大塔からほのかに漂う赤き熱の流れは、この地でこの季節にのみ感じられる。
 大型、魔道具の都市暖房である。
 自然的であり、その熱のための魔力は冬季以外の空気から魔力を、魔力吸収力を持つ金属に吸わせ、塔内の大型魔力炉に保管されている。
 良く見れば塔の壁面には出っ張りが付いており、面積を増やしている。
 数年後には冷房も可能になるとか・・・。
 この塔のため領主の評判も良く、裏で繋がるダイナストからもまた良い扱いを受けているらしい。
 
 一時の安らぎとは飽きぬものだ。
 陽の中戦うもの達にとっては至上の幸福の1つであるのだろう。
 まだ陽は落ちることはない。
 差す温かな陽射しが同じ色のカーテンより垣間見え、空間の白を優しく染める。
 そこから漂う幸福感。
 狭く薄暗い部屋にはドア以外にはテーブルに椅子2つ。
 そして彼女が座るベッドに横たわる、幸せそうな少年。
 神秘性すら感じさせる容貌も、まどろみ自己の輝きを失った中では笑顔を誘うのみ。
 しかしそれが安らぎをより与える。
 シェーラはそっと振り返ると、微笑み。
 それが繰り返される。
 温かな冬の宿の一室で・・・。
 まだ着いて間もないというのに、街に感激した宝石の双眸も今は閉じられ、命の旅の道標をゆっくりと刻むのみ。
 シェーラは衣服の袖を軽く引っ張り、再び笑顔。
 これが幸せなのかも知れない。
 騎士と主君の座を忘れる。
 もとよりそんなものには向いていないのかも知れない。
 まだ18の少女なのだ。
 騎士ではなくただの自分に戻った感覚は騎士失格という烙印の苦痛の中でも幸せと思える。
 そんな枷など外してしまえば良い。
 今ならば出来るのだから。
 ふと手に伝わる金属の重み。
 騎士の剣は騎士としてではなく。ただ彼を護るために・・・。
 捨ててしまおう。騎士の誇りなど・・・。
 今こそ、カタートの騎士の名を破棄する時だ。
 すでに騎士のものではない自分の衣服を眺め、視線を天井に向けると、埃。
 だがそれを通り越して天を見やる。
 神に祈るのではなく。天に誓う。
 騎士を捨てた自分にサンチーンミの神など必要ない。
 ただ天に、そこに存在を願う神に誓った。
 騎士としてではなく、ただ自分として、この少年を護ると・・・。

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11955Re:冥王の騎士2:13章:騎士を捨てる今エモーション E-mail 2002/12/8 20:34:33
記事番号11947へのコメント

こんばんは。

ワイン・セラーはそのうち冷暖房完備になるんですか……。
住みやすそうな都市ですね。

ああ、ラブラブ……。
シェーラとフィブリゾがほんとに幸せそうです。
騎士とか主君とか、そんなことに関係なく、個人としてフィブリゾを守る
と決めたシェーラ。
ほんとに幸せになってほしいカップル(←いつの間にっ?!)です。

ところで、エル様は気を利かせて部屋から出ているのでしょうか。
エル様もまだ微妙に謎の多い方なので、これからどうなるのかなと思ってます。

では、この辺で失礼します。

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11957Re:冥王の騎士2:13章:騎士を捨てる今D・S・ハイドラント 2002/12/8 20:47:52
記事番号11955へのコメント


>こんばんは。
こんばんは
>
>ワイン・セラーはそのうち冷暖房完備になるんですか……。
はい。
大気中の魔力を大量消費しますが、環境には悪くないようですし・・・。
にしても地方都市の分際で・・・(マツタケ・シティにもあったということにしようかな)
>住みやすそうな都市ですね。
まあ観光客が主ですが・・・。
>
>ああ、ラブラブ……。
>シェーラとフィブリゾがほんとに幸せそうです。
>騎士とか主君とか、そんなことに関係なく、個人としてフィブリゾを守る
>と決めたシェーラ。
>ほんとに幸せになってほしいカップル(←いつの間にっ?!)です。
がんばります。
>
>ところで、エル様は気を利かせて部屋から出ているのでしょうか。
>エル様もまだ微妙に謎の多い方なので、これからどうなるのかなと思ってます。
はい続きはそちらにスポット(犬じゃない)を当てようかと・・・。
>
>では、この辺で失礼します。
はい。
ありがとうございます

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11963冥王の騎士2:14章:再会?D・S・ハイドラント 2002/12/9 18:53:55
記事番号11888へのコメント

 静寂を失えば、温かな世界が逃げ場を求めるように、歌う。
 その中では響く足跡も恒常的なもの。ただのリズムに過ぎない。
 それでも焔の色にすべてを隠し、人々を受け入れる街。
 突風が今も露となる。
 暖かな冬の風は心地良くも敵意的で刃の欠けた剣のよう。より滑らかだが。
 
 「フフ〜ン♪フーン♪♪」
 空気がここでも優しく揺れる。
 その戦慄自体に美しさなだ欠片もないが、その主によっては答えは変わるだろう。そうこの時も――。
 行き交う人々に一瞥を繰り返す。視線は魅力的で魅了的でもある。輝きと煌きの焔を湛えた基目細やかな、彫像の如し器は人の部分に感じられぬ、神秘性すらあった。
 瞳に見入ったものは、吸い込まれるような意識を傍で感じ、それを女神として見ただろうか。宗教的に存在のない、神々しき乙女の像を感じたか――。
 だが事実それ以上であるのかも知れない。
 散る美しさと不変の美しさの融合体。美の究極点に限りなく近い。年齢判断不能なのがより拍車を掛ける。
 黄金が陽光に溶け、自由意志すら感じられる。
 そんな美を放たれては魅了となりうる。
 当然、それを放てばの話であるが――。
 
 (どれも小物ね。)
 エルは道行く人々――主に男性――に視線を合わせていくが、なかなかこれという人間はいない。
 ざわめきはすべて蚊帳の外で聞き流し、ただ目的だけを行く。
 1つはお買い物、2つは男探し――単なる趣味だ――そして3つは・・・。
 息を飲み込む瞬間に唐突に気配。
 陽の元に生けるものではなく、陰に紛れるもの。
 生きるためならば非情となれるが、それでも単純で心配させてくれる。運命を忌み嫌いながらも、生に歓楽と刺激を求める。
 そして去ったもの――。
 その最後の背中が今も焼きつき、心の一部を占めていた。
 そして烙印となる流れる血。だが本当の苦痛はどちらから来るのだろう。
 だが悩むことはない。
 闇の影が横切ると、熱く焼き印がうずき始める。
 捨てられた。いや捨てたのか――。
 もう2つの血の葛藤。初めてではないが、数年振りにして、過去最高のもの。
 うずくまる自分を眺める像を虚空に映しつつ、足音は知らず、先行した。
 葛藤は激しく。しかしやがて終わるだろう。
 もう、方の血の元は滅びているのだから・・・。
 自分の中でのみ生きる魔の欠片を今はからだの奥へと押し去った。

    ◇◆◇◆

 光は眩い。
 最後の足掻きにはまだ早いのだが、切り裂く刃に敵意を感じれずにいる中は輝きが目立って見える。
 心地良いため問題はない。
 ただ魔力に征服された空間は停滞も安らぎもなく哀しみが息苦しい。
 それから逃れるようにか、滑るように脇に消える。
 だがその中ではさらなる歌が聞こえてくる。
 彼には不快には感じられなかったが、暗黒の髪を掻き揚げ、その瞳に流れる闇の流れを張らせ、そして一瞬再確認。
 そして現実を受け、意気揚揚と歩き出す。
 気配の強さはあまりに強烈だ。外とは別世界のように強烈な感情が浮かぶ。
 恐怖には充分だが、完全な殺気ではなく、怒気などが混じり合った。だがそれが恒常的な感情に少々の覚醒の口実が浮かんだくらいのもの。
 威圧するような感情で溢れた店内をアインは人々を掻き分け、進む。
 客はかなり多い。そしてかなりの数が見えにくいが魔獣の形相。背中からも充分過ぎるほどに伝わってくるのだから、わざわざ観察の必要はない。命が大事ならばやめた方が良いだろう。
 だがむしろ挑発するように、通り抜け。
 溜息1つ付かずに別の台。
 そして適当に奥へ行ったところで椅子に座ると、初めて溜息。
 まず天を見上げる。
 空気の成分が悪いわけではないが、雲って見える。違う、曇っているように見たい自分がある。
 目の前にある背の高い台に付いている水晶球のようなものに触れると、台に魔力供給中の文字が浮かび上がる。
 いつものそれを確認すると、身に付ける黒革の服に取り付けられた胸ポケットか ら、小さな紙製の筒を取り出す。
 筒の先を口にくわえれば、その先が濡れると同時に反対の先から煙が溢れ出る。
 かなり複雑になっているが大量生産により最近大ヒットの魔道煙草である。多大な魔力を得るために食物だけでなく空気も取り入れるようになった最近ではこんなものさえ開発されている。普通の煙草とは違い、麻薬的な作用を強く持ち、中毒性強いが、禁煙ようの魔道具が別売りされており安心――でも高い――、健康被害はないらしいが、これは怪しいものである。
 ついでに目の前の台はパチンコと言う、これもまた魔道具である。
 陶酔感、幻覚のような感覚が襲い、消える。
 魔法の心得はあるため、中毒性に対しては無料で抵抗出来る。
 煙はいつか消えていた。
 そして台に向き直れば供給完了の文字。
 そして指が動く、金貨を投入すれば魔力センサーが感知し、表示される球数。
 そして始まり。
 合図もなく台に付いた画面に引き込まれていくような感覚。
 だがそれは背後からの感覚が繋ぎ止めた。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
魔道煙草とかパチンコに付いては深く考えないように・・・。
特にパチンコ・・・完全な魔法的ものなのかかなり怪しいので・・・。

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11969Re:冥王の騎士2:14章:再会?エモーション E-mail 2002/12/9 20:45:08
記事番号11963へのコメント

昨夜の悲劇。テキストに入力していた話が、ファイル開けすぎ(参考用)と
BGM用のiTunesのプログラムと絡まって、システムエラーで全部パー。
……保存しなかったのは、確かにミスだったけど……(TT)
下書きはあっても、結構変ったからなあ……(口から魂)
頭の中に「北の国から」のテーマが流れてるよ……ふふふ。

ということで、こんばんは。
ああ、エル様とアイン君〜♪

> 1つはお買い物、2つは男探し――単なる趣味だ――そして3つは・・・。
エル様、いい男ウォッチングですか……。かといってお眼鏡にかなう方は
そうそういない……ですね、やっぱり(笑)

アイン君……。
パチンコでたばこ(←激しく違う)アイン君いくつでしたっけ?(笑)
……中毒ってFF7の魔胱中毒みたいなものでしょうか。
そのうち変な黒ずくめの格好でうろうろしだすとか……やだな、それ。

> だがそれは背後からの感覚が繋ぎ止めた。
背後から……補導員が現れた! どうする?
1.逃げる
2.何とか誤魔化す
3.身分証明書を提示して合法年齢であることを証明する
4.戦う
つい選択肢を(笑)

では、この辺で失礼します。

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11971Re:冥王の騎士2:14章:再会?D・S・ハイドラント 2002/12/9 20:57:50
記事番号11969へのコメント


>昨夜の悲劇。テキストに入力していた話が、ファイル開けすぎ(参考用)と
>BGM用のiTunesのプログラムと絡まって、システムエラーで全部パー。
>……保存しなかったのは、確かにミスだったけど……(TT)
>下書きはあっても、結構変ったからなあ……(口から魂)
>頭の中に「北の国から」のテーマが流れてるよ……ふふふ。
また書くっていうのは辛いですよね。
でもがんばってください
>
>ということで、こんばんは。
>ああ、エル様とアイン君〜♪

>
>> 1つはお買い物、2つは男探し――単なる趣味だ――そして3つは・・・。
>エル様、いい男ウォッチングですか……。かといってお眼鏡にかなう方は
>そうそういない……ですね、やっぱり(笑)
まあなかなかいないでしょう。
>
>アイン君……。
>パチンコでたばこ(←激しく違う)アイン君いくつでしたっけ?(笑)
この話だと20はいってるかと・・・(毎回年齢が違う)
>……中毒ってFF7の魔胱中毒みたいなものでしょうか。
そんな感じですかねえ。
>そのうち変な黒ずくめの格好でうろうろしだすとか……やだな、それ。
怖っ
>
>> だがそれは背後からの感覚が繋ぎ止めた。
>背後から……補導員が現れた! どうする?
>1.逃げる
>2.何とか誤魔化す
>3.身分証明書を提示して合法年齢であることを証明する
>4.戦う
>つい選択肢を(笑)
4はさすがに・・・でも彼ならやりかねん
>
>では、この辺で失礼します。
はい。
レスありがとうございます〜。

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11974Re:冥王の騎士2:14章:再会?2002/12/9 21:12:33
記事番号11963へのコメント

> (どれも小物ね。)

小物って、エルの基準はどんなんだろ・・・・?

> 1つはお買い物、2つは男探し――単なる趣味だ――そして3つは・・・。

単なる趣味って・・・・。

> かなり複雑になっているが大量生産により最近大ヒットの魔道煙草である。多大な魔力を得るために食物だけでなく空気も取り入れるようになった最近ではこんなものさえ開発されている。普通の煙草とは違い、麻薬的な作用を強く持ち、中毒性強いが、禁煙ようの魔道具が別売りされており安心――でも高い――、健康被害はないらしいが、これは怪しいものである。

怪しすぎる・・・・。

>魔道煙草とかパチンコに付いては深く考えないように・・・。

はい!わかりました!!

どーも、お久しぶりです!!
エルって、いい具合(笑)の男がいると逆ナンとかするんでしょうか?

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11976Re:冥王の騎士2:14章:再会?D・S・ハイドラント 2002/12/9 21:33:39
記事番号11974へのコメント


>> (どれも小物ね。)
>
>小物って、エルの基準はどんなんだろ・・・・?
かなり厳しいかと
>
>> 1つはお買い物、2つは男探し――単なる趣味だ――そして3つは・・・。
>
>単なる趣味って・・・・。
シェーラ達に頼まれてはいないですし(実は最優先)
>
>> かなり複雑になっているが大量生産により最近大ヒットの魔道煙草である。多大な魔力を得るために食物だけでなく空気も取り入れるようになった最近ではこんなものさえ開発されている。普通の煙草とは違い、麻薬的な作用を強く持ち、中毒性強いが、禁煙ようの魔道具が別売りされており安心――でも高い――、健康被害はないらしいが、これは怪しいものである。
>
>怪しすぎる・・・・。
ですね。
>
>>魔道煙草とかパチンコに付いては深く考えないように・・・。
>
>はい!わかりました!!
実際頭痛くなりましたから(風邪のせいだ!)
>
>どーも、お久しぶりです!!
お久しぶりです〜。
>エルって、いい具合(笑)の男がいると逆ナンとかするんでしょうか?
するでしょう・・・。

どうもありがとうございます〜

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11967冥王の騎士2:15章:風を捨て、心の氷もD・S・ハイドラント 2002/12/9 20:24:19
記事番号11888へのコメント

 懐かしい記憶がその感覚により蘇る。腕に重圧、振り解けないような大げさなものではない。
 だが集中は解け、ゆっくりと振り返る。
 だが見ずにとも相手は分かったものだ。間違いかも知れない。
 まず彼女に合うのは気持ちが複雑だった。
 凍りつきそうになりながらもそれでもなんとか振り返る。感じたほどの時は流れていない。
 金髪――美しいのは当然だが違った感情が即座に塗り潰す。抑え込まる感情は望まぬに関わらず抵抗が激しい。
 爆発を抑え、何とか平静を保つ。思うほど苦労ではなかった。
 だが突然には厳しかっただけだ。
 その魅惑の双眸は出来る限り覗き込まぬように容貌を見やる。
 美しさの点では最後の、いや最後のはずだった時と等しく、またはそれ以上に美しさで輝いていた。
 破裂しそうになるも表情1つ変えないのは熟練の業か・・・。
 「久しぶりね♪」
 「ああ」
 思うより速い――客観的にはそうは思えないだろうが――反応にも流されながらも瞬間的にしがみ付く、そんな感じで対応した。
 相手とは違い愛想があるとは言えないが、特に悪い気はない。
 見目は悪くはないが、長くも短くもない漆黒の質感を乗せた容貌には刃の如き、鋭さを感じさせる。
 漆黒の双眸も邪悪ではないが好感的なものではけしてない。
 黒ずくめの全身に首から鎖で下げる悪魔のペンダントも良いものではない。
 「あら冷たいのね。」
 魅了してくるような上目遣い、それに彼の世界が震撼する。
 「その眼はやめてくれ。」
 冷気がこもっている。凍り付くような言葉は冷たいという印象よりも、内部の凍てついた心を表わしているよう。

    ◇◆◇◆

 冷たい。
 その声から来るのは冷気だった。
 凍っている。その心に熱を注ぐことが自分に出来るだろうか。
 孤児・・・その冷たさは別れ実体化した。
 この冷たさが本質であろうのだろう。ギャンブルに走るのも心に温かなものを見つけられずにいるからだろう。
 後者は嫌にもそう思いたいが・・・。
 「ねえ何か食べに行かない♪」
 言い終わって反応がないのに対し
 「おごるわよ。」
 だが当然のように冷気は今も渦巻く。感情よりも深い部分より・・・。
 「帰ってくれ。」
 厳しい口調ではない。だがむしろその方が良かったのかも知れない。
 冷たい・・・想像も出来ないほどに・・・。
 恐らく自分と同じように隠している。
 普段は明るいのだろう。
 だが・・・それも壊れているのかも知れない。
 それとも自分とは違うのか・・・。
 「ひどいわよ!」
 「だから帰れ。」
 絶対的であった。その絶対の理由を分からずにいたが・・・。
 「ねえあなたはそんなんじゃない。変わってしまったの?」
 芝居掛かったような口調・・・だが眼には翳りの輝き。
 儚い雨は心の雪を解かすには至らず・・・。
 「いい加減にしてくれ!」
 叫び・・・だが解けてはいまい。
 吹雪を受けたような感覚。
 すでに絶対零度からの解放はありえないのか・・・。
 「とっとと帰れ!」
 氷の刃についに耐えられずに・・・。
 無言で去る・・・。
 だが表情を映さずとも、感情は奔流し・・・。
 「分かった・・・飯だけだ。」
 後より唐突に春の音。
 雪解けには早いがいずれ解けるであろう。
 そして春をもたらすのは自分だ。
 その冷気を解かしてみせる。本当の熱を感じさせるために・・・。
 「じゃあ行きましょ♪」
 露骨な笑顔で店を出た。

 金貨1枚を犠牲としてアインに温もりを得るチャンスが訪れた。
 アイン・オーフェン・・・いや彼は孤児ではないのだ。
 アイン・サワー・・・エル・サワーの弟である彼は風のさまよいを捨て、心の氷も今捨てようと・・・。

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11972レスを書いている間に次の記事が……エモーション E-mail 2002/12/9 20:59:54
記事番号11967へのコメント

ということで、さらにレス。

エル様とアイン君、姉弟ですか……。
「姉」に勝てないのは「弟」の運命(爆)
ましてオーフェンなんて名のっていたら余計だと思う。
端から見てると「家出してスレまくった弟を何とか更正させようとする姉」
に見えるのかも……。

こちらにも何だか複雑な展開がありそうで楽しみです。

しかし……いろんな意味で凄そうな姉弟……。

では、失礼します。

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11973Re:レスを書いている間に次の記事が……D・S・ハイドラント 2002/12/9 21:11:38
記事番号11972へのコメント


>ということで、さらにレス。
>
>エル様とアイン君、姉弟ですか……。
です。
>「姉」に勝てないのは「弟」の運命(爆)
姉じゃなくてもあのキャラには勝てないような・・・。
>ましてオーフェンなんて名のっていたら余計だと思う。
ですね。
>端から見てると「家出してスレまくった弟を何とか更正させようとする姉」
>に見えるのかも……。
まあ誰も観てない可能性もありますけど・・・。
>
>こちらにも何だか複雑な展開がありそうで楽しみです。
ありますかねえ(待て)
>
>しかし……いろんな意味で凄そうな姉弟……。
最初は、アインが悪魔のペンダント(刃有り)をエル様の首に巻き付けて、「殺すぞ!」と脅す(扱いは巧いのでぎりぎり刃が当たらないようにしている。)けどエル様が平然と死の魔法を使おうとして屈服する。
という設定にしようと思っていたんですけど、結局使えませんでした。
長々と失礼しました。
>
>では、失礼します。
はい。
再びありがとうございます。

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11986冥王の騎士2:16章:法律は守りましょうD・S・ハイドラント 2002/12/10 19:23:38
記事番号11888へのコメント

 天より降る雪のように飛び交うざわめき、その芯まで触れたことなどあっただろうか。
 ただ雪と同じ、冷たい。そうとだけ感じ、背に受けてきた。
 今も・・・。
 だがそんな冷気もすでに傷付けられるものではない。
 凍れる血に痛みなど感じることももはやない。出来ない。
 凍り付いているから・・・。
 温もる風も解かすことはない。吹雪が止むことはない・・・。
 すでに冷たさも感じない世界を歩む。その感覚さえ今では希薄・・・。
 だが拒んでいるわけではない。解放を恐れはしない。
 弱くはないのだから・・・。
 輝く騎士の剣であろうとも、全能たる神であろうと、世界破壊の恐ろしき悪魔であろうとも・・・。
 そうあの時ならば敵などなかった。国に弓引くことも、神を血で染めることも、魔を滅することだろうと、可能だったであろう。
 何もかもが恐れるに値しない。そうまで思えた。
 凍てつくでは、絶対の自信があった。
 今でもあるが虚ろだ・・・。
 血など見飽きた。感じるものなどない。
 だが冷たくなる心を解き放てなくて・・・。
 宿命など存在しないし、どうでも良い。だから血塗るのは苦ではない。
 (そう俺は伝説の勇者だ。血筋じゃねえ。)
 そう知り得るものはすでに少なきはず・・・。
 伝説の勇者の果ての遺言・・・。
 あの感触は今でも覚えている。血に濡れたこの手が汚そうと、もう1度触れたい。
 「なあ、あの球、まだ持ってるか。」
 「ああ、あれね。あげちゃったわ。」
 崩れ落ちていく。
 (なぜだ!) 
 あんなもの捨てたはずなのに・・・。
 沈黙した・・・もがきはしない。
 落ちてやる・・・。
 震える心をなだめながら・・・。

 一軒の大きな食堂。
 賑わうには少し早い。人はまばらで寂しさがより目立つ。
 木造のその薄暗さが黄昏に向かう今に相応しいものであった。
 ランプの光もゆっくりと拍車を掛けていく。
 絶頂にはまだ遠いが、それでも中途半端な美をさけずむ気にはなれない。
 木のテーブルに着いた、純白の布が清潔感を出し、木の椅子の素朴さとは混じり合わずにそれでも調和している。
 「じゃあ好きなもの頼んで良いわよ♪」
 満面の笑顔、隠す感情など皆無に感じられた。
 時折、垣間見えた、悲しみ・・・。純粋なそれでなく様々な感情の集合ながらも悲しみ・・・。
 それも感じられない。消えても、忘れてもいまい。
 打ち消し・・・だろうか?
 天井に向けて一息、氷の色に染まりはしなかった。
 出来るだけ悟られぬようにそっと感情を切り替え、
 「高級ワイン適当に10本と、この店で最高の飯を持って来い!」
 「あたしも同じのね。」
 「・・・かしこまりました。」
 うろたえを無言で正すと、青み掛かった雪のような銀髪のウェイターは冷気の蒼を湛えた瞳を刹那後の世界を見せた後一礼し、去った。
 冷たさを感じたがむしろ2人の感情が露になれば震えるのは彼の方であろう。
 「てめえ、10本も飲めるのか!」
 牙を剥くような口調だが、その通り優位的な心理状況ではなかった。自覚はしたがそれでどうなるものではなく結局無自覚――いや自覚拒否か――と同じ行動。
 「あら、未成年のあなたよりは飲めると思うわ。」
 振りまくような微笑みとともに、声も同じ用に振りまかれた。
 変化は目立ちはしないものの、アインがふと見えた方向に微妙な反応の気配。
 だが気にはとめずに、自分のテーブルを見やる。
 当然何も変わらず、白で隅に塩や胡椒の容器が置かれているのみ、
 舌打ちし、そのまま沈黙。
 エルは微笑みを続けていた。
 屈辱感もあったが、消化し、
 「破産させてやろうか。」
 笑うが、
 「いいわよ拾ったお金だし」
 言葉は激震を生んだ。

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11989『未成年者飲酒禁止法』とか……。陽月 E-mail 2002/12/10 19:58:44
記事番号11986へのコメント


こんばんはです。
読み逃げ常習犯でした。すみません。
では感想行きます。


>「じゃあ好きなもの頼んで良いわよ♪」
↑だからって……
> 「高級ワイン適当に10本と、この店で最高の飯を持って来い!」
はいくらなんでも……(汗)。

アイン君、そのうち、未成年者飲酒禁止法に引っかかって捕まるんじゃあ?(汗)
肝硬変に注意ですね。
更に肝臓癌にも注意ですね。
……ホントに注意してくださいよアイン君!(をいをい)
未成年者の飲酒は肝硬変死亡率が高いんですよアイン君。

アイン君がアルコール依存症を通り越して禁断症状をも通り越して精神依存にまでならないことを、更にその前に逮捕(というか補導)されないことを願いつつ失礼します。


なんだか感想になってませんね。すみません。
それでは。

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11994Re:この話大丈夫なのかD・S・ハイドラント 2002/12/10 20:46:44
記事番号11989へのコメント


>
>こんばんはです。
>読み逃げ常習犯でした。すみません。
いえいえ、読んでくださったことがわかって嬉しいです。
>では感想行きます。
はい。ありがとうございます。
>
>
>>「じゃあ好きなもの頼んで良いわよ♪」
>↑だからって……
>> 「高級ワイン適当に10本と、この店で最高の飯を持って来い!」
>はいくらなんでも……(汗)。
まあこの辺はリナ性が・・・
>
>アイン君、そのうち、未成年者飲酒禁止法に引っかかって捕まるんじゃあ?(汗)
>肝硬変に注意ですね。
>更に肝臓癌にも注意ですね。
>……ホントに注意してくださいよアイン君!(をいをい)
>未成年者の飲酒は肝硬変死亡率が高いんですよアイン君。
危険ですね。
>
>アイン君がアルコール依存症を通り越して禁断症状をも通り越して精神依存にまでならないことを、更にその前に逮捕(というか補導)されないことを願いつつ失礼します。
それよりも殺人とかしてますし・・・。
第一にこの話大丈夫か!
>
>
>なんだか感想になってませんね。すみません。
いえいえ。
>それでは。
どうもありがとうございます〜

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11993冥王の騎士2:17章:だから法律は守りましょうってばD・S・ハイドラント 2002/12/10 20:42:46
記事番号11888へのコメント

 偶然・・・だろうか。
 偶然起こりうるものだ。ただの可能性の1つなのだから、奇跡も皆無ではない。
 チャンスにこうも早く巡り合えたのは本当に奇跡なのかも知れない。運命なのかも知れない。
 ただ可能性の1つだが、それが幸運なものであればそう呼ばれるであろう。
 現状では悲観的とまではいかぬとも、それでも当然のように思うべきなのかも知れない。
 運命――そうであればこれからが正念場だ。そうでなくとも現状は本格的な始まり、山の麓を見つけたに過ぎない。
 カラスミ神は努力を否定しない。弄ぶことはあろうとも・・・。
 さほど信心深い方ではないが胸中で神に祈る。
 運命に忠誠を――。その部分にやたら強調――最後は鼓動に掻き消されそうでもあった。
 
 祈ると、世界に感覚を戻す。大きな変化はない。
 あの声自体は驚くものではなかった。
 未成年の飲酒などどうでも良いではないか(ダメです。)
 そんなことより反応は声の主ではなく――声の主の美貌は少し気になったが――席を同じとする男、20前後・・・どうやら未成年らしい。
 女の方は少々離れているか・・・。
 だが重要なのは男の正体・・・紛れもなく追った男のその姿であった。
 覗くも、気付かれるのを恐れ、相棒にも促す。
 そして軽い酒を口に含む。暖かな空気の中で自分だけ厚着なのも少し気になる。
 相棒のシャツ1枚姿よりはまともなのかも知れないが、どちらにしろ目立つ結果となる。
 とにかく仕留める。
 本当ならば振り込まれていたボーナスで標的を探しつつも、今夜――まだ夜と言える時間ではないが――は祝宴の予定であった。
 それなりに高級なこの店に偶然入ったのだ。
 まさかこんなところにいるとは思わなかったが、マツタケ・シティでも豪勢な食を取る日もあったらしい。周期的なもので、つまりは無駄遣いである。
 休暇は取ってある、時給アップは望めなかったがこちらは許可が下りた。彼らの雇い主グルダスは初めから心を見透かし、場合によって迫力を調整させていると、そう思える。
 並の技能者ではない。
 2人もアルバイトの巡回員だが双方、殺人の心得はある。
 特に自分は――。
 そこで冷たさと嫌悪に頭を心で身震い。
 その時にあちら側でまた1会話あったらしい。
 窃盗か?
 そうであってもどうでも良いな。(だから良くないです)
 
 とにかくチャンスがあるのならば即行動だ・・・。
 戦乱の黒雲が渦巻く現時、さすがに大規模にはならずとも、ギルドの治安維持武装勢力――つまり公式的暗殺部隊が動くだけでなく、地方の兵力も使わされるであろう。
 危険な犯罪者であるため、早急に始末が必要とされる。
 それに別勢力に狙われているかも知れない。・・・そうサンチーンミ教と何か関わりがあるのかも知れない。
 今思えば、あの神官達もただのそれではないように思えてくる。
 気のせいだろうか・・・教団に狙われているのではないか・・・。
 「救済の宿し身」については知らずにいたが――あの神官達も殺し屋の類ではないかと直感出来た。
 言葉にするのは早いかも知れない。
 しかし確信も以外に早く訪れるのではないか。
 そうなれば身の危険も伴いかねない。
 気にし過ぎる必要もないかも知れないが、忘れていいものか?
 相棒はそんな部分にまで思考を張り巡らせていまい。
 一応忠告をしておくか・・・。とりあえず宿などで、でも・・・。

 相手は風――それも鋭い。
 第一に気を付けるのは本人そのもの。
 兵や神官、公式暗殺者から狙われることは普通にはありえないであろう。
 だが牙を剥く対象には返り討ちになりかねない。
 だが逃すわけにもいかない。
 特に犯罪者を管轄外が捕らえようが始末しようが問題にはならない。
 公式を使うのはあくまで確実性のためで仕留めればむしろ賞賛される。
 そこまで大げさではないが・・・。
 とにかく早く仕留めるべきだ。
 兵が少数で動いても問題ないだろうがあの部隊は大問題であろう。
 「帰るぞ。」
 冷たく言い放つ。だが冷気は普段の通り、慣れた相棒を突き刺す力はない。
 「何でだ。」
 疑問で埋まっている。
 適当に合図を浮かべると、相棒は酒を飲み干す。
 自分も豪快さでは負けながらも飲み終え、席を立つ。
 注目の視線は感じたがあえて無視。
 勘定を払い。
 闇が浸食し始めた空の元へ繰り出す。

 そして左の方へ曲がると、気付けば自分が先頭――それはすぐに頭から外した。
 それよりも大事なこと・・・気配が増えている。
 不自然に温かな風を感じながら赤の黒の盛況ながらも寂しげな街並みすでに先ほどの店から姿が覗けぬ位置に達すると、
 「誰だ!」
 意識的に冷たい声を放つ。
 相棒はあまり気にしていないが、その後で平然と付いて来た男。
 まあ大通りでこそこそ付けるのは怪しすぎるが・・・。
 明白にむしろ気配を気付かせるように付いて来た男。
 「話がある。」
 単刀直入にというよりも無駄な会話を嫌悪するかのように微かに汚らしいものを見る双眸。
 氷の色――そして雪の銀に白の肌。
 服装を見ればまさしく先ほどウェイターそのもの。
 不自然ではなかろうか。
 目立つに違いないがそれでも抜け出したのだ。
 それにウェイターが何の話を持ちかけてくるのだ?
 自分の右隣に移動したウェイターを見やる。
 「相棒は名前を聞いてるんだ答えてももらおうか。」
 後のシャツの短髪の男。
 歳は同じくらいだが、タイプが全く違う。
 それでも気はかなり合う方だ。
 本名はゲイルだが普段は相棒と呼ぶ。
 ジェイナス・・・自分もだ。
 「ノースト。」
 即座だが聞き取りやすい声だ。
 「失礼した。」
 付け足す。
 「で、話っていうのを聞かせてもらおうか。」
 相棒はどこか挑発的である。
 「そうだな。」
 意見自体に否定はあるはずもなく冷静に同意する。
 「彼のことなのだが・・・。」

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
アイン君・・・実は未成年、と。
それにしても長くなった。

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11996Re:冥王の騎士2:17章:だから法律は守りましょうってば2002/12/10 21:21:49
記事番号11993へのコメント

> 未成年の飲酒などどうでも良いではないか(ダメです。)

どうでもよくないのでは・・・・。

> そして軽い酒を口に含む。暖かな空気の中で自分だけ厚着なのも少し気になる。
> 相棒のシャツ1枚姿よりはまともなのかも知れないが、どちらにしろ目立つ結果となる。

厚木と薄着の組み合わせは目立ちそう。

> そうであってもどうでも良いな。(だから良くないです)

そーそー。良くない。

> とにかくチャンスがあるのならば即行動だ・・・。

チャンスを見逃したら、次はいつくるかわからないですから。

> 「彼のことなのだが・・・。」

『彼』?『彼』って彼?
ノーストはウェイターなのですか?

>それにしても長くなった。

うらやましいです。私は時間がかかるのに、短いですから。

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11998Re:冥王の騎士2:17章:だから法律は守りましょうってばD・S・ハイドラント 2002/12/10 21:26:32
記事番号11996へのコメント


>> 未成年の飲酒などどうでも良いではないか(ダメです。)
>
>どうでもよくないのでは・・・・。
良くないです。
断じて未成年の飲酒はいけません
>
>> そして軽い酒を口に含む。暖かな空気の中で自分だけ厚着なのも少し気になる。
>> 相棒のシャツ1枚姿よりはまともなのかも知れないが、どちらにしろ目立つ結果となる。
>
>厚木と薄着の組み合わせは目立ちそう。
目立つでしょう
>
>> そうであってもどうでも良いな。(だから良くないです)
>
>そーそー。良くない。
そうです。
>
>> とにかくチャンスがあるのならば即行動だ・・・。
>
>チャンスを見逃したら、次はいつくるかわからないですから。
ですね。
>
>> 「彼のことなのだが・・・。」
>
>『彼』?『彼』って彼?
>ノーストはウェイターなのですか?
さあ次回はその話になるかそこはカットされるかは今夜の脳内会議の結果によりますが
>
>>それにしても長くなった。
>
>うらやましいです。私は時間がかかるのに、短いですから。
いえ、いつもは短いですけど・・・。
本当に極タマです。

ではありがとうございます〜

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12003Re:冥王の騎士2:17章:だから法律は守りましょうってばgure-to masa 2002/12/10 22:04:24
記事番号11998へのコメント

最近、ガーヴ様がなかなか出てきませんね
いつになったら、出てくるでしょう

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12004すみません〜D・S・ハイドラント 2002/12/10 22:07:20
記事番号12003へのコメント


>最近、ガーヴ様がなかなか出てきませんね
>いつになったら、出てくるでしょう
すみません。本当にすみません。
出そうとは思っているのですがなかなか話の内容上目立たせることが出来なくて、本当にすみません。
でもいい役回りが来るはずです。
それにそろそろ出てくるはずですし・・・。

本当にすみませんでした。

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12007世界にはルールがある。ルールが守れないと罰を受けるんだ。エモーション E-mail 2002/12/10 22:19:34
記事番号11993へのコメント

タイトルは「T・S外伝」の正信(当時14歳)の台詞。

ちなみに未成年=少年法=罰せられない、と本気で信じている「バカは罪」な
お子さまは大層増えております(呆れるくらい本当)
「成人のような扱いを受けない」=「罪が消えてなくなる」じゃ
ないんだけど。……(遠い目)←少し前の中坊に悩まされた時期を回想中。

こんばんは。
アイン……未成年なのね……。あ、でもパチンコは18歳以上はOKだった。
でもアインくんは「殺人」もやってましたよね……。半分返り討ちに近いし、
過剰防衛を取られるとしても「正当防衛」を申し立てられそうな感じですが。
まあ、力押しで逃げるのだろうけど……エル様もいるし。

それにしてもウエイター……ノーストさんでしたか……。銀髪という単語に
ストーリーの破壊力の強い、某キャラを一瞬連想してしまいました。

この後の展開を気にしつつ、この辺で失礼します。

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12008Re:世界にはルールがある。ルールが守れないと罰を受けるんだ。D・S・ハイドラント 2002/12/10 22:27:03
記事番号12007へのコメント


>タイトルは「T・S外伝」の正信(当時14歳)の台詞。
へえ
>
>ちなみに未成年=少年法=罰せられない、と本気で信じている「バカは罪」な
>お子さまは大層増えております(呆れるくらい本当)
>「成人のような扱いを受けない」=「罪が消えてなくなる」じゃ
>ないんだけど。……(遠い目)←少し前の中坊に悩まされた時期を回想中。
全く困りますね。
本当に・・・。
>
>こんばんは。
>アイン……未成年なのね……。あ、でもパチンコは18歳以上はOKだった。
まあ今日年齢決めたわけですけど
>でもアインくんは「殺人」もやってましたよね……。半分返り討ちに近いし、
>過剰防衛を取られるとしても「正当防衛」を申し立てられそうな感じですが。
>まあ、力押しで逃げるのだろうけど……エル様もいるし。
そうでしょう・・・。
にしても取り締まる側も物騒だ。
>
>それにしてもウエイター……ノーストさんでしたか……。銀髪という単語に
>ストーリーの破壊力の強い、某キャラを一瞬連想してしまいました。
16章の時点では私も同じです
>
>この後の展開を気にしつつ、この辺で失礼します。
はいありがとうございます〜
そーいや明後日テストだ

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12011冥王の騎士2:18章:静かで安らげる場所はありませんD・S・ハイドラント 2002/12/11 13:01:58
記事番号11888へのコメント

 立ち止まると、コートの男から視線をそらし、襟を正す。
 そして再度両者を見据えると、
 「アイン・オーフェン、貴殿らもご存知であろう。」
 氷の眼差しは一瞬突き刺すように煌く。
 「あっああ。」
 シャツの男は一瞬震えた仕草を取りながらもなんとかと思えるほどの態度で返答する。出来たという方が正しいのかも知れない。
 気付けば先ほどまでに感じられなかった狂気的な放出されているように思える。
 コートの男もそれに畏怖を覚えた。
 それ以上口を開かずに静止のまま時を待った。
 するとわざと逆撫でるように沈黙。周りからの少々の注目も気にせずにただ温かな風を楽しむかのように無表情ながらも冷たい双眸に春の光を浮かべ、ただ時を刻む。
 だがやがて両者を一瞥すると、
 「貴殿らの目的は承知している。」
 小さく笑うと吹雪が止み、
 「私も貴殿らに協力しよう。」
 友好的とはけして言い難いものであったが先ほどまでに対すれば、充分なものであったのかも知れない。
 濃い一瞬の驚嘆、それは表情にはさほど現れずに、そして視線もさほど変わり映えなかった。
 
    ◇◆◇◆

 静寂と安息だけがその空間を優しく取り巻いている。
 時の流れは緩慢で刻印が明白的に感じられる。
 鼓動さえも緩やかで、それすらも希薄に取れている。
 退屈なのかも知れないと思ってみたりもしているが、不思議に感覚上ではそうではなかった。
 何もしない時もたまには良いものなのかも知れない、優しい焔が天を燃え上がらせていく様を見つめながらもいつしかそれさえも感じられない。
 ただ虚空を見つめる。先などどうでも良い。
 単に無駄に過ごした時、だが悪いものではない。
 静寂と安息を本当に永遠に纏い続けられるのならば、それでも良いと思えてくる。
 堕落に近いが、何かあれば即座に脱ぎ捨てるであろう。
 そう護るものがあるのだから、
 だが今は時に身を任せた。その護りたい宝玉も同じように・・・ただその時は感じていまい。
 まどろみを誘うも、そちらはやって来ない。
 再び夕日を見つめ直す。
 その時、静寂の不完全さが露となる。
 響く音・・・。不快なものだが悪くはない。
 シェーラは瞬く間に我に返ると、即座に入り口の方へ、ドアの前で魔術筒――小さな穴から外が良く見えるレンズ・・・魔術と付いているが実際には低等な魔法によるものだ――を恐る恐る覗き込む。
 第一の予想とは違った。
 レンズ越しに映るのは金髪の美女――などではなく屈強そうな兵士風の服に革の鎧を身に付けた男。
 体を震わせつつも
 「何の用でしょうか。」
 身を構え
 「実はこの街に凶悪犯が入り込んだとのことですが、もしかしたら何か有力な情報でも・・・。」
 丁寧な口調の中年の兵士、少々清潔感には欠けたが、容姿は悪くはない。
 「詳しくはまだ手配書は届いていませんが何やら怪しい人物を見かけになりませんでしたでしょうか。」
 一瞬思考が駆け巡る。
 「いえ、すみませんがそんな方は・・・。」
 「そうですか。」 
 兵士はドア越しに一礼すると床に響く大げさな足音。
 「あっくれぐれもお気をつけ下さい。」
 そして足音は本格的に小さく消えた。」
 
 シェーラは溜息を吐く、だが安心とは言えない。そもそもなぜそのようなことを訊ねるのだ。住民ではなく宿に泊まる人間に――。それに手配書なしで情報が見つかるとは断じて思えない。
 まるで旅の人間すべてを怪しんでいるような・・・。
 それに自分のしたことも気になる。
 疑心暗鬼が募る。
 そう自分のことではないか・・・。そんな気も徐々に精神に浸透してくる。
 もしかしたらすでに怪しいと思われているのかも知れない。
 それが確信に近づいて来る。
 何とか気持ちを振り払おうとするが、それは蝕むばかり、ただベッドでは少年が心地良さそうに眠っている。天上の焔は先ほどよりも輝いて見える。まるで自分の罪を見透かすように・・・。
 ただベッドでは少年が心地良さそうに眠っている。
 だがその中でも安息の不完全さも身に染みた。

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12017冥王の騎士2:19章:涙や危機より飯が先?D・S・ハイドラント 2002/12/11 16:16:03
記事番号11888へのコメント

 「ただいま〜♪」
 不快なベルの音と同時に声、こちらは不快ではなかった。
 その音に動揺を覚えつつも、すぐさま駆けつけを魔術筒を覗き込む。
 予想通りの顔に安堵し、ドアを開ける。
 笑顔を振り撒きつつで入り込むエル。
 1人用の部屋なので3人では圧迫感を感じられる。
 始めに目に付いたのが1人部屋のみの宿であったためここに泊まることになったのだ。
 宿が集中するなど区分けされたような街ではなかったため、フィブリゾの一言で即決定したのだ。シェーラは当然ながらエルにも反対はなかった。
 ちなみにシェーラはフィブリゾと同室だ。
 「そういえばエル・・・お買いものは?」
 遠慮がちに訊ねる、シェーラに纏う曇りの雰囲気は微笑みにも打ち消されずに渦巻く。
 エルは一瞬の間の後、
 一瞬震える。恐怖とか寒さの類ではない。
 上目がちに虚空を映すと、
 「ごめんなさい。」
 振り下ろすように、項垂れる。
 露骨に深刻そうな感情を放つ全身からは笑顔の時とは違った魅力が奔流を始める。
 抱擁を欲求するような・・・。
 「あっいえ・・・。」
 焦りだすシェーラを黄金の影に覆われたエルの焔の色の宝玉は悪戯に微笑む。温もりは滞ってはいない。
 「明日絶対買うから今日は許して♪」
 美貌が再度現れ、誘うような仕草に寒さ、冷たさによるものとは違った凍結を受けたシェーラ。
 そんな中でも葛藤は続く。だが溢れはせずに浸透を続ける危機感、罪悪感。
 逃れることは出来まい。
 固まった中で胸中では波打つより極寒。だがその苦痛を望んでいる。これが罪悪感なのだろう。思えば立ったままだが気にはならない。
 
 「あっそうだあなた達も食べにいけば♪」
 唐突に凍結と葛藤が解かれる。完全な解放ではない。
 むしろそれで拷問の相手を怒らせてしまったようなものだ。
 その間は高血圧で相手が倒れた、というところか。
 「でもフィブリゾ様が・・・。」
 即座に言葉の内容を理解し、そう答える。
 焦りは意外にも少ない。さすが騎士と言えるか・・・。本人は捨てた気になっているが。
 「この子はあたしが見るから・・・。」
 一瞬2人を見比べる。視線は虚ろだが的白に捉えられた。
 それは特に問題にせずに一間置いて、すれ違う。
 そしてドアに手をやると
 「あっ・・これ使って良いわよ」
 慌てて振り向き財布ごと手渡そうとすると、シェーラは振り向いて
 「いえ、そんな・・・。」
 「いいから。」
 強引に手渡し、逃げるように部屋の奥へ移動する。
 溜息とともに外に繰り出すと、室内より温かな風がそっと頬を撫でる。
 芯までは届かずとも少し氷が解けたように熱い汗が染み出る。
 雫が落ちて砕ける像は錯覚に過ぎず、残念ではなかったが、微妙に不満気に歩き出した。とはいえそこから感じられるものは普段と同じだ。
 
 闇の帳が落ちるには早く、焔の支配する黄昏、上天の神々は焼かれ、暗黒が浸食する前兆。悪魔の猛威。
 そんなことを思わせた。暁をひどく求めるには少々早すぎる。
 だが不安は温もりを感じられる今も時の流れを早めたい欲求。
 だが真に求めるのはより早い刻みなどではなく安息。
 それを訪れさせるために、危機を望んでいるのかも知れない。
 空の闇ではなく。自分を覆う闇の現出を――。
 危機感と罪悪感を振り払える機会を――。
 それは危険ではあるのだろう。だが望んでいる。
 (私が危険を?)
 主君、改め、宝物であるフィブリゾをも巻き込む危険を?
 だが訪れるならば早くが良い。そして暁も出来る限り早く。
 渦巻く思い想い・・・。
 終着を忘れ彷徨うも、感情に凍らせた2つの器の潤いも渇いて感じられ、それを振り払うかの強い一瞥に捕らえられた目標によって楔は打たれる。
 1つの大きな看板が掛かった店へと足は進んだ。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
 サブタイトルが大きく変化していますが、これはそのときにはまっている本に影響されてのものです。
 最初は魔術士オーフェンでしたが最近はホルス・マスター(ファミ通文庫)です。

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12038戦いで重要なのは、情報と補給。エモーション E-mail 2002/12/11 22:03:23
記事番号12017へのコメント

「はい、テキストの48ページを開きましょう。
前回は戦う前は『戦略』が、戦場では『戦術』が重要と言うお話しでしたね。
今日は戦いにおいて、もっとも重要な2つのことについてです。
いざ、戦いとなったとき、指揮官として最も重要なこと。それは何でしょう?
勇気? 信念? いいえ、違います。それは正確な『情報』と確実な『補給』です。
この2つを欠いて勝利を得られると考えているようでは、指揮官として失格です。
有能な指揮官はこの2つをけして、軽視しません。するような者は無能です」
……以上、「銀英伝」から勝手に学ぶ、用兵学の基礎講座♪でした(笑)

こんばんは。
捜されている「凶悪犯」って……やっぱりアイン君ですよねぇ……(笑)
それとも「金目当てに馬車燃やした強盗(汗)」とか?
エル様、アイン君引き連れて帰ってくるかと思ったのですが……。
さすがにそれは姉上の脅迫……いえ、威圧……威厳でも無理でしたか。

エル様に……というより、シェーラが勝手に凍結しているのかな?
シェーラ達に迫ってる危機等は、すでに誰が原因とか、誰がいるから
巻き込まれるとかいうものではない気がしますが。
バラで行動してもそれぞれに、「敵」が現れそうですし。
シェーラが向かった店……何か起きるのかな。(わくわく)

では、冒頭で妙な講座を勝手に開いて収拾つけずに、この辺で失礼します。

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12041Re:戦いで重要なのは、情報と補給。D・S・ハイドラント 2002/12/11 22:15:55
記事番号12038へのコメント


>「はい、テキストの48ページを開きましょう。
はい。
>前回は戦う前は『戦略』が、戦場では『戦術』が重要と言うお話しでしたね。
>今日は戦いにおいて、もっとも重要な2つのことについてです。
>いざ、戦いとなったとき、指揮官として最も重要なこと。それは何でしょう?
>勇気? 信念? いいえ、違います。それは正確な『情報』と確実な『補給』です。
>この2つを欠いて勝利を得られると考えているようでは、指揮官として失格です。
>有能な指揮官はこの2つをけして、軽視しません。するような者は無能です」
>……以上、「銀英伝」から勝手に学ぶ、用兵学の基礎講座♪でした(笑)
なるほどありがとうございました。
>
>こんばんは。
>捜されている「凶悪犯」って……やっぱりアイン君ですよねぇ……(笑)
です。
>それとも「金目当てに馬車燃やした強盗(汗)」とか?
まあそちらの捜査状況は不明です。
>エル様、アイン君引き連れて帰ってくるかと思ったのですが……。
>さすがにそれは姉上の脅迫……いえ、威圧……威厳でも無理でしたか。
でしたね。
>
>エル様に……というより、シェーラが勝手に凍結しているのかな?
>シェーラ達に迫ってる危機等は、すでに誰が原因とか、誰がいるから
>巻き込まれるとかいうものではない気がしますが。
その通りですね。
>バラで行動してもそれぞれに、「敵」が現れそうですし。
>シェーラが向かった店……何か起きるのかな。(わくわく)
難しいですやはり・・・。
かなり複雑になりましたし・・・。
何とかしないと・・・。
>
>では、冒頭で妙な講座を勝手に開いて収拾つけずに、この辺で失礼します。
はいありがとうございます。

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12050Re:冥王の騎士2:19章:涙や危機より飯が先?2002/12/12 16:05:06
記事番号12017へのコメント

> 一瞬震える。恐怖とか寒さの類ではない。
> 上目がちに虚空を映すと、
> 「ごめんなさい。」
> 振り下ろすように、項垂れる。
> 露骨に深刻そうな感情を放つ全身からは笑顔の時とは違った魅力が奔流を始める。
> 抱擁を欲求するような・・・。
> 「あっいえ・・・。」

> 焦りだすシェーラを黄金の影に覆われたエルの焔の色の宝玉は
>悪戯に微笑む。温もりは滞ってはいない。

こんな言い方(?)をされたら誰でも焦りそう。
私は少なくとも、焦って、怒れないな。

> 「明日絶対買うから今日は許して♪」
> 美貌が再度現れ、誘うような仕草に寒さ、冷たさによるものとは違った凍結を受けたシェーラ。

もう、笑顔に戻ったのかな?

> サブタイトルが大きく変化していますが、これはそのときにはまっている本に影響されてのものです。

ほうほう。はじめ見た時、おもわず笑ってしまいました。

シェーラは一人悩んでるんでしょうか?
そんなときは仲間に打ち明ければ、少しは楽に・・・・。
とりあえずシェーラ、いつかは君に希望の光が見えてくるさ!!(くさっ)
それでは、短いですがこの辺で。

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12052Re:冥王の騎士2:19章:涙や危機より飯が先?D・S・ハイドラント 2002/12/12 18:12:25
記事番号12050へのコメント


>> 一瞬震える。恐怖とか寒さの類ではない。
>> 上目がちに虚空を映すと、
>> 「ごめんなさい。」
>> 振り下ろすように、項垂れる。
>> 露骨に深刻そうな感情を放つ全身からは笑顔の時とは違った魅力が奔流を始める。
>> 抱擁を欲求するような・・・。
>> 「あっいえ・・・。」
>
>> 焦りだすシェーラを黄金の影に覆われたエルの焔の色の宝玉は
>>悪戯に微笑む。温もりは滞ってはいない。
>
>こんな言い方(?)をされたら誰でも焦りそう。
>私は少なくとも、焦って、怒れないな。
狙ってのことかも
>
>> 「明日絶対買うから今日は許して♪」
>> 美貌が再度現れ、誘うような仕草に寒さ、冷たさによるものとは違った凍結を受けたシェーラ。
>
>もう、笑顔に戻ったのかな?
変化は速いですから

>> サブタイトルが大きく変化していますが、これはそのときにはまっている本に影響されてのものです。
>
>ほうほう。はじめ見た時、おもわず笑ってしまいました。
中身も変わってきたかな?
>
>シェーラは一人悩んでるんでしょうか?
ですね。
>そんなときは仲間に打ち明ければ、少しは楽に・・・・。
>とりあえずシェーラ、いつかは君に希望の光が見えてくるさ!!(くさっ)
主人公ですしきっと上手くいきます(待て)
>それでは、短いですがこの辺で。
はい。
ありがとうございます(やばい最近単調だ)

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12049冥王の騎士2:20章:いくらなんでもひどくない?D・S・ハイドラント 2002/12/12 15:16:12
記事番号11888へのコメント

 静寂、空疎、ざわめく街の音――それが静寂の基本と感じられていく。
 大衆を同じと感じられず、溶け込めず、静寂が不快に響いている。
 椅子にそっと腰を降ろし、遠慮がちに座る。
 注目はない。ざわめきは同じ。
 「いらっしゃいませ。」
 声が始めて静寂を消した。
 世界の変化に気付いてメニュー表を開きゆっくりと視線を走らせる。
 意外にも早く見終え、視線をウェイトレスに向ける。
 だが視点は合っておらず観察に至らずに、
 「コーヒーとバナナプリンを――。」
 言葉は意思に反して即座に紡がれた。
 視線をメニューに戻せば「アスパラガスのスモークド・サーモン巻き」。
 「カオスブレンドコーヒーに大魔王のバナナプリンですね。」
 思えばバナナプリンは割引中で、メニューで一番安い。
 そっと頷いた。
 
 テーブルはコーヒーの液に微かに汚れ、簡素な中ではそれだけが目立つのみ。
 食欲は満たされなかったが、苦はない。
 遠慮――それとも自虐?
 だが食を取ったことから考えれば、後者の方は否定出来るであろう。
 どうでも良いことだ。
 心の葛藤に蹂躙された痛みに有無を言わさず立ち上がる。
 静寂が再び散った。
 それだけの1つの音がかえって大きく全身に伝わる。
 足音もまた同じ――静寂と呼べるものはなかったはずだが――。
 そんな閉ざされた世界はそのまま温かな風だけを帯びて足音を連ねていく。

     ◇◆◇◆

 薄暗い世界は拮抗した狭間の沈黙と静寂の空間。
 焔の色は影とともに天地を彩る。
 だが美麗ではなくただ虚無感。寂しさ。
 この街の風はせめても癒すが、その存在自体感傷を誘うもの。
 地は染まらない。上天の焔は神の輝きだけを奪う。
 だが血も染めようではないか。
 そんな美の創造を終えたとでも言うか。
 悪魔の芸術――魅入られたもの。
 そのすべてが狂気の主を映し出している。
 「うぐっ――何を・・・。」
 身に纏う白と赤――痛々しくもあり、その1点だけを見れば、お世辞には美しくもあるだろう。
 眼差し――言葉は尊き生の象徴。
 次の瞬間には死に行くものたちの――絶頂の生。
 一瞬であった。
 魔法は使わない。
 一瞬の隙が――。
 よほどの熟練者でなければ魔法にはやはり隙を要する。
 彼は魔法はそれほど得意としない。
 死したシェイドやエイムは優秀であった、国内の公式な魔道士の中では5本の指に入るであろう。彼とは違い。
 
 だが彼は暗殺者であった。
 だから一瞬――。
 拳には鮮血――死は一瞬。
 そして苦痛は無限大。
 「何をした!」
 思うより離れた。
 目標の影が風に揺れている。
 「無論協力ですよ。」
 両腕を軽くそれぞれの方へ伸ばし微かに笑う。それが印象的で心を一瞬捕らえる。おして歩みだす。
 「何だと!」
 叫び――怒りを混じり込めたもの。
 退きを始める足に大地の音。
 だが直線状の刃など単純に当たるものではない。
 「貴殿らはアイン・オーフェンの手に掛かった。」
 切った途端に笑い。
 嘲るように静かに――。
 目撃の気配はない。いたとしても運命が変わるのは目撃者の方でしかないが――。
 「ふざけるな!」
 立ち止まった瞬間のその言葉はすでに聞こえてはいないかのように口を開くのみ、
 「事件を起こせばアイン・オーフェンへの愚者どもの注目度は上がり、手配書が届く明日には彼は捕縛、または始末されているだろう。」
 腕を絶頂に広げ、
 「貴殿は重要な役目に付いておられる。」
 刹那――風を切る音。
 赤き風――嘲りの微笑。
 「実に幸運な最期だ。」
 そして嘲笑は狂気的に響き渡る。
 だが聞くものもいまい。
 「元非公式第一級暗殺技能者ジェイナス・ジェイール、愚かな貴殿に実に相応しき最期ではないか。」
 亡霊は去る。惨劇を終えて――。
 「さすがは我が、寒天色の拳(インビジブル)、あのペンダントと同じ筋だ。」
 血はいつしか退いている。
 「だが私の獲物は彼ではなくてな。」
 夕闇に残るは2つの屍。
 「それにしてもヒムド殿もなかなか良い趣味をしておいでる。」

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12054冥王の騎士2:21章:戦士はやっぱり彼でしょうD・S・ハイドラント 2002/12/12 18:26:07
記事番号11888へのコメント

 「ゼラス・・・彼のこと、どう思う?」
 暗闇の恐怖――だが今は妙に優しげだ。
 少年の容貌も笑顔でないかと見える。
 だが相変わらず闇は闇――そして存在感も変わり映えない。
 「彼と言いますと?」
 直立不動――跪くことさえ許されぬのではないか?
 一瞬の愚かな考えは響く幼さの残った声――闇の根源よりの声により弾け飛ぶ。
 「スターゲイザーのことだよ。」
 無邪気――だからこそ邪悪に感じられてくる。
 身震い――激しい一瞬。
 苦しみ――あの方に質問した罰だとでも言うのか?
 視線の――こちらを伺うあの少年の双眸が実像なのかは分からないが――感情が微妙に変化、それが苦しみとなる。
 常識では考えられない。
 魔法ではない。かといって未解明の術でもあるまい。
 ただの感情に過ぎないのだ。それがここまでの力を持つとは――。
 そして闇を強く――夜の闇とは違う真の闇を感じる。
 「私の目からでも優秀な――戦士だと思いますが。」
 「ふうん。」
 興味深げな感情――しかし表情に変化はない。笑顔で止まっている。
 それが不気味で恐ろしい。
 「でも僕としては――兵器の方が適切だと思うけどな。」
 頷ける。
 「確かに融通が利かないですから。」

 アルバート・ヴァン・スターゲイザー、老体でありながら撲殺人参ソードにてガーヴや彼女と並ぶ戦士である。
 彼の戦闘用魔道具、黒毛和牛の鎧(ダーク・スター)は防具かつ武器となる。
 そして究極の攻撃法。

 「彼に役立ってもらおうと思ってるんだけどね。」
 その微笑みが意味するもの――。
 「まさか!」
 「そう<システム・ダークスター>を使わせようと思うんだけど。」
 その無邪気な中の残酷性――大量虐殺兵器の名。
 「でもあれは――。」
 恐怖に打ち勝つ驚き。
 「大丈夫分かっているよ。せっかくの彼を消すつもりはないってば。」
 だが次の瞬間には震え――。
 「後、しばらくは彼らを泳がせてあげることにするよ。」
 その感情には期待――それが歓びとなっている。
 しかしその期待は異質なもの。
 「―――でも冥王様!」
 「分かっているよ。そっちもきっと上手くいくからさ。」
 少年は怪訝そうな感情から笑い。
 失敗など完全否定しているようだ。
 「それはそれとして頼みたいことがあるんだけど。」
 「はい何なりと。」

    ◇◆◇◆

 駆けるのは魔道馬、瞬馬には及ばぬものの、魔法の力によりかなりの速度とスタミナを備えた馬だ。
 瞬馬は魔法に対する耐性のようなものと本来の馬としての資質を激しく問われるために本当に極僅かしか存在しないが、こちらも数は多くはない。
 それでも追放同然の地方の農村領主などが持てるのだから稀少度は遥かに違う。
 手配させた魔道馬を駆り、風を受けて燃えるように揺れる焔の髪――ガーヴである。
 半ば脅してでもあったが領主より馬と食料を受け北へと向かう。
 もはや命などどうでも良い。
 ただ欠けた記憶の中に熱いものを感じた彼は向かう。
 同時に新たな戦いを求め――。
 世界は焦りを浮かべている。
 さらに後日の情報ではついにシャーベット王国の侵略の兆し、とか。
 とはいえ、あのような田舎で最新情報が手に入るわけがない。
 すでに戦乱は起こっているのか・・・。
 期待に笑みを浮かべつつも雄大な自然を壮大な天空を見上げた。
 「面白れえことになってきたな。」
 すでに彼には貴族や撲殺人参ソードとしての顔などなく。
 ただ戦士であった。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
ガーヴ&ゼラス、人気投票上位キャラ2人編です。
彼らおよびヒムドの活躍はこれからが本番です。

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12061戦うためにっ、戦う〜♪エモーション E-mail 2002/12/12 22:48:17
記事番号12054へのコメント

こんばんは。

ノーストさん……確かにタイトルどおりですね(滝汗)
そりゃないわ。彼らにとっては「やり直しを要求するー!!」ですね。
アインくんの濡れ衣……エル様が黙ってみているとは思えないけど。

そして再びご登場のあのお方。冥王様ってことは……やっぱりアプロスくん?
感覚的にこちらは、スレ(原作&アニメ)のフィブリゾに近いですね。
宿で熟睡中のフィブリゾくんは、どちらかというと癒し系要員ですし。
ゼラス様〜っ!!本格的に動くのが楽しみです。……ところでゼロスは
どうしたのでしょう?(遊んだ後、心労で寝込んでるとか(笑))

ガーヴ様……ひたすら戦うのが好きなんですね、ガーヴ様……。
まさに「戦うために戦う」お方。
……でも、何故か頭に浮かんだ単語は「暴○ん坊○軍」でした。
魔道馬は、ぜひ白馬に。そして砂浜を走ってください(笑)

では、「じゃじゃじゃーん、じゃんじゃんじゃん、じゃーん」と某BGMを
流しつつこの辺で失礼します。

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12062Re:戦うためにっ、戦う〜♪D・S・ハイドラント 2002/12/12 23:01:01
記事番号12061へのコメント


>こんばんは。
こんばんは
>
>ノーストさん……確かにタイトルどおりですね(滝汗)
です。ひどいです
>そりゃないわ。彼らにとっては「やり直しを要求するー!!」ですね。
そうでしょうね。
>アインくんの濡れ衣……エル様が黙ってみているとは思えないけど。
そうですね。
>
>そして再びご登場のあのお方。冥王様ってことは……やっぱりアプロスくん?
さあ?
>感覚的にこちらは、スレ(原作&アニメ)のフィブリゾに近いですね。
ですね。
>宿で熟睡中のフィブリゾくんは、どちらかというと癒し系要員ですし。
まあ魔族じゃないですし
>ゼラス様〜っ!!本格的に動くのが楽しみです。……ところでゼロスは
>どうしたのでしょう?(遊んだ後、心労で寝込んでるとか(笑))
まあ交互に話し合いしているようですし
>
>ガーヴ様……ひたすら戦うのが好きなんですね、ガーヴ様……。
です。
>まさに「戦うために戦う」お方。
>……でも、何故か頭に浮かんだ単語は「暴○ん坊○軍」でした。
>魔道馬は、ぜひ白馬に。そして砂浜を走ってください(笑)
砂浜・・・そーいえばカタートに海あるのかな(北の方にはあるみたいですけど)
>
>では、「じゃじゃじゃーん、じゃんじゃんじゃん、じゃーん」と某BGMを
>流しつつこの辺で失礼します。
はい。
レスどうもありがとうございます。

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12066Re:冥王の騎士2:21章:戦士はやっぱり彼でしょう2002/12/13 07:39:55
記事番号12054へのコメント

> 「―――でも冥王様!」

この冥王様原作に近いですかね。
なんていうか策略かって感じが・・・・。

> 「それはそれとして頼みたいことがあるんだけど。」
> 「はい何なりと。」


ゼラス様が動くー♪
ゼロスは動かないのかな?

> 半ば脅してでもあったが領主より馬と食料を受け北へと向かう。

半ば?ガーヴのイメージからすると絶対脅したよーに思えるな。

> 同時に新たな戦いを求め――。
> 期待に笑みを浮かべつつも雄大な自然を壮大な天空を見上げた。
> 「面白れえことになってきたな。」

やっぱり、戦いがすきなのかな?

>ガーヴ&ゼラス、人気投票上位キャラ2人編です。
>彼らおよびヒムドの活躍はこれからが本番です。

おお!楽しみにしていますー。

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12069Re:冥王の騎士2:21章:戦士はやっぱり彼でしょうD・S・ハイドラント 2002/12/13 13:39:52
記事番号12066へのコメント


>> 「―――でも冥王様!」
>
>この冥王様原作に近いですかね。
>なんていうか策略かって感じが・・・・。
そうですね。
悪っぽいやつですからどうしても
>
>> 「それはそれとして頼みたいことがあるんだけど。」
>> 「はい何なりと。」
>
>
>ゼラス様が動くー♪
>ゼロスは動かないのかな?
ゼラスとゼロスじゃあタイプが違いますからねえ
>
>> 半ば脅してでもあったが領主より馬と食料を受け北へと向かう。
>
>半ば?ガーヴのイメージからすると絶対脅したよーに思えるな。
いえガーヴ様がまさか脅しなど・・・(後に当人)
>
>> 同時に新たな戦いを求め――。
>> 期待に笑みを浮かべつつも雄大な自然を壮大な天空を見上げた。
>> 「面白れえことになってきたな。」
>
>やっぱり、戦いがすきなのかな?
好きだそうです。
>
>>ガーヴ&ゼラス、人気投票上位キャラ2人編です。
>>彼らおよびヒムドの活躍はこれからが本番です。
>
>おお!楽しみにしていますー。
はい。
レスどうもでした〜。

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12076冥王の騎士2:22章:説明ばっかりD・S・ハイドラント 2002/12/13 17:25:46
記事番号11888へのコメント

 黄昏の焔が闇に飲まれ、静寂が世界を取り巻く頃、銀世界の巨大な覇王の城壁の中では希望か絶望か揺れる空気が違って思えた。
 そうかのグラウシェラーが新王の座に就くという問題でだ。
 大貴族がこんな北の辺境に領地を持つのにも理由は当然。
 いつかカタート王家を滅ぼし新国を理想の国を築こうとのことだった。
 王位継承のための暗殺などではなく完全な武力制圧。
 王都――そしてマツタケ・シティ。
 すべて滅ぼし完全なる支配。
 事実それだけの力を持っていたのかも知れない。
 王都がたった1人の気の触れた貴族の手によって陥落した今はより確かなものだ。
 ダイナスト公領本拠地、公都グラウ、さらに中心には巨大なノースポイント城。
 1人の男が狭い窓から広い世界を眺める。
 見飽きたものだが輝くだけの内装に比べれば雪の銀の自然的、幻想的、な美しさの方がマシだ。
 そして豪華な金で縁取り宝石を散りばめた椅子には見向きもせず、真紅の血のワインに映る美しい姿を改めて見直す。
 これが最高だ。――ヒムドの残虐美とは比べ物にならないはず。自己に酔い痴れ、酒に酔い痴れた。
 王となる日も近い。
 まずはシャーベット王国を撃退すること。
 王が没したとはいえ自分がいる。
 そしてカンヅェル辺境伯が――自分に友好的ではけしてないだろうが攻める軍は退けるであろう。
 それにシャーベット王国はあの鉄の壁を破れたことはない。
 カンヅェル自身もヒムドには及ばぬものの、ヒムドの配下≪三滅鬼≫――ヒムドが率いる3人の魔道兵士――に匹敵する力を持つと言われる。
 配下も協力で≪八魔卿≫と呼ばれる魔道騎士は彼の配下の優秀なものに並ぶほどだ。
 だから任しておけば良い。
 そして八魔卿などはこちらが恐れることもない。
 現在出掛けている≪魔女の落し子≫シェイドや≪凍結卿≫エイム、≪仮面の狂戦士≫ヒムドはもちろんのこと、ダイやノーストなど優秀な手駒ならばたくさんある。
 
 世界が捻じれる。
 しかし巻き込まれずに平衡取り戻す自分が少々哀しい――。
 溜息を付くと、白色の息吹が舞い上がり、天井に吸い込まれていく。
 そして一瞬、ただ立つだけの感情の1つも感じられぬ黒ローブの姿を一瞥し、ゆっくりと立ち上がると――。
 「片付けておいてくれ。」
 感情も特にないその声の向けた方向は扉へと――。
 「かしこまりました。」
 全く違った方向から無感情な声――しかし彼のものとは明らかに違う。
 本当に感情1つ感じられぬ機械的で不気味。
 だがそれについてはもはや気にも留めずに部屋を去る。
 
 足音は1つの部屋の前で止まる。
 彼の私室である。
 特に外部には何の変哲もなくただ木の扉――三神のシンボルが細工されているが特に好みではない。
 ≪黒の太陽≫から左のノブを捻る。
 視界に闇が飛び込んできた。
 だが次の瞬間には眩き白光、目が眩むほどであったが慣れており即、目を伏せる。
 グラウシェラー本人の魔力を照合し、自動で照明を灯す装置だが、欠陥があり、最初の数瞬がかなり眩しいものとなっている。
 だが取替えはしていない。彼本人の反対からだ――。そうそうどれだけでも金を掛けるわけにもいかないと――。
 そしてもう1つ、彼は純魔道士が嫌いだ。庶民でありながら食や経済に不足せず、魔法が使えるだけで偉そうにしている。彼だって魔法は使えるし、配下の騎士にもたくさんいる。魔道具を造る技術も無理をすれば彼の騎士達にも可能なのだ。
 
 部屋へと入り込む、黄金と真紅が織り成す黄昏を感じさせた絨毯を踏み、先ほどのものに劣らぬ豪勢な椅子に腰掛ける。
 その時振動が全身に伝わる。そうこの椅子にはマッサージ機能が付いているのだ。
 「さて」
 意味もなく独り言を吐く。
 横目には天蓋つきの純白のベッドや高級木材の本棚などが見える。
 そして精神を集中させる、いつしか視覚を感じなくなる。
 「彼方より訪れしもの、去る後も残る跡」
 音声が響き思うより一瞬に消え去る。
 「メッセージ・フロア!」
 そして視界が暗転し――。
 
 「何だと!」
 直接文章受送信魔法――遠距離受送話魔法と違い直接特定の人物にメッセージを送るまたは、その文章を見る魔法。魔力には個人差があるため、相手人物の魔力の特徴を構成に描く必要がある。魔力消費量も少し高い。――によって確認したメッセージ。
 メッセージはノーストよりのもの。
 エイムおよびシェイドの死亡――そして
 「いかん!」
 グラウシェラーは部屋を飛び出した。
 (まさか・・・シェーラ!)

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12077冥王の騎士2:23章:命令は大嫌いだD・S・ハイドラント 2002/12/13 19:33:04
記事番号11888へのコメント

 シェーラ――。
 胸中に響き渡った言葉を反芻する。息が上がるが気にしてはいられない。
 後悔が募る――。
 あの老人に従ったことに――。
 焦りが息を速め、すでに寒冷は微塵も感じない。
 やがて本当に熱が襲う。その容貌は落ち着けは欠片も見せず、荒れている。
 
 世界が変わる。
 すぐさま王座――となる予定のもの――を視界に入れた。
 「ミックス!!」
 息を押さえ、放たれた声。怒気すら感じられたほどだ。
 「何でございましょうか。」
 黒いローブに身を包んだ男の声、フードから僅かに見える、夜闇を湛えた瞳にはただ世界が映るのみ。
 微動だにせず、落ち着きを乱さないその声は挑発的にも思えた。
 片付けは済んでいるようだ。そう思い、一応落ち着けた。
 なぜまだここにいるかも考えたが、まだ時間がさほど経ったわけではない。それにいつまでもそんなことを考えてはいられない。そう思い思考を止めた。
 「緊急だ。ノーストが事情も知らずに私の娘を――。」
 自分が教えなかったからだと付け加え、一瞬後には視線の先の老人の、過去の言葉が蘇る。
 「そうですか・・・。」
 まるで弔いの感情を乗せたかの言葉に怒りを覚えつつも漏らすことはなく。
 「そなたに連絡を取ってもらいたい。」
 落ち着けように少し自分自身でも賞賛し、
 「私がでしょうか。」
 確認の声など気にせずに、
 「シェーラを殺すのはやめさせろ。殺すのは王子だけで良いとな。」
 そして返答すら待たずに冷えた部屋を後にする。
 気配が薄れていき、そして溜息。
 怒りや後悔はあるが少しは晴れたような気がした。
 (にしてもあの老人、得体が知れん。)
 何度も思ったことを再び繰り返す。それで何かが変わるわけではなく。ただ取り巻く闇が濃く思えてくるのみ。
 思考は切る間もなく娘への心配――今までの中でもっとも強いもの――に切り替わる。
 だがこれももどかしさが募るのみ――。
 晴れた気がしたのもこの時ばかりなのかも知れない。
 戻って見ておいた方が良かったか――そうするべきであったのかも知れない。
 だが足は部屋の方へと向かって行った。

 強烈な闇と光を受けた後に再び椅子に座り今度は魔道煙草を取り出す。
 だが酔いが訪れるのを前にして、閃光を受け、即座に煙を充分に浴びることなく脇に置いてある灰皿へ――。
 そうあの老人を訪れた時、魔術的な何かを感じていた。
 その時は全く感じられなかったが――。
 気のせいだろう。そう思っておくことにし、娘の身を案じるのも出来るだけ避けることにした。
 
    ◇◆◇◆

 「やはりあの方はよくご理解なさっておられる。」
 切り裂く夜風は温かな昼の風の名残を感じさせも夜に映える髪をそっと撫でる。
 銀光は夜空を走る。また揺れた。
 「まさか彼女がグラウシェラーの娘であられたとは。」
 すでに煌くものは銀のみ――夜に紛れる黒革が素肌に軽く食い込むが、その隙間から入る風が心地良い。
 すでに塔よりの温風は止まっている時刻だ。賑わいの観光地であるが眠らない街ではない。
 明日に備え眠るものたちの歌を風で聴きながら歩く。
 足音は沈黙ではないが静寂だ。
 「ミックス殿は尊敬に値する。」
 白面は月光に微笑みかけ、渇きを訴える。
 「洗い流した血をもう1度。」
 契約は遂行しよう。
 命令ではない。愚かなグラウシェラーと違ったところだ。
 血を見たい――だから護る。
 前金ですべて――その約束も受けている。
 仕事は後だ。
 「まずは獲物を戴くことにしよう。」
 亡霊は求める。
 「運命、その点には貴殿も愚かであろう。」
 届かぬ声――だがこれは愚かな亡霊の嘆きなどではない。
 亡霊は愚かではないのだから――。

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12078Re:冥王の騎士2:23章:命令は大嫌いだエモーション E-mail 2002/12/13 21:18:02
記事番号12077へのコメント

こんばんは。

マッサージチェアに座るグラウシェラーさま……。
温泉に来た客を連想しつつ、何故かツボでした。
お腹を満たし、気持ちよく湯船につかり、お酒飲んでほろ酔い気分で
マッサージチェア……。疲れた中高年を癒すひととき……と言う感じで。

シェーラちゃんが娘……と言うことは、シェーラちゃんとフィブリゾ君は
いとこ同士……。おしっ!問題なし!!
最初にガーヴ様がカタートの城を襲撃した時は、心配……したのでしょうか、
こっそりと。とりあえず、無事を確認してほっとしたのかな。

う〜ん。でも、これはやはり駆け落ち推奨ですね。シェーラちゃんとフィブリゾ君。

さて、続きはどうなるのか、楽しみにしつつ、この辺で失礼します。

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12082Re:冥王の騎士2:23章:命令は大嫌いだD・S・ハイドラント 2002/12/13 21:34:17
記事番号12078へのコメント


>こんばんは。
こんばんは〜
>
>マッサージチェアに座るグラウシェラーさま……。
>温泉に来た客を連想しつつ、何故かツボでした。
>お腹を満たし、気持ちよく湯船につかり、お酒飲んでほろ酔い気分で
>マッサージチェア……。疲れた中高年を癒すひととき……と言う感じで。
結構現代っぽいですねえこういう部分は、まあ魔法で身を滅ぼさないのは魔法が万能だけど強力じゃない、という部分ですから・・・。
一定の線越えなけりゃ理屈上何でもありだそうです。
>
>シェーラちゃんが娘……と言うことは、シェーラちゃんとフィブリゾ君は
>いとこ同士……。おしっ!問題なし!!
まあシェーラ本人は知らないですけど
>最初にガーヴ様がカタートの城を襲撃した時は、心配……したのでしょうか、
>こっそりと。とりあえず、無事を確認してほっとしたのかな。
どうでしょうかな。
>
>う〜ん。でも、これはやはり駆け落ち推奨ですね。シェーラちゃんとフィブリゾ君。
となるとエル様は邪魔者?
>さて、続きはどうなるのか、楽しみにしつつ、この辺で失礼します。
はい。
毎回素晴らしいコメントありがとうございます。
それでは〜

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12086Re:冥王の騎士2:23章:命令は大嫌いだ2002/12/14 08:31:04
記事番号12077へのコメント

> 思考は切る間もなく娘への心配――今までの中でもっとも強いもの――に切り替わる。

娘ってシェーラのこと?

> 「まさか彼女がグラウシェラーの娘であられたとは。」

おおっ!ということはお母さんは誰でしょう?

さて、次は誰の場面になるのでしょう?
それも毎回の楽しみの一つになってきましたー!では、これで。

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12087Re:冥王の騎士2:23章:命令は大嫌いだD・S・ハイドラント 2002/12/14 10:00:38
記事番号12086へのコメント


>> 思考は切る間もなく娘への心配――今までの中でもっとも強いもの――に切り替わる。
>
>娘ってシェーラのこと?
そうです。
>
>> 「まさか彼女がグラウシェラーの娘であられたとは。」
>
>おおっ!ということはお母さんは誰でしょう?
ダルフィン・・・でいいのかな(自分でも疑問)
>
>さて、次は誰の場面になるのでしょう?
ちょっぴり詰まりました。
>それも毎回の楽しみの一つになってきましたー!では、これで。
ありがとうございます。

では〜

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12097冥王の騎士2:24章:怖い夢に怖い現実D・S・ハイドラント 2002/12/14 20:58:53
記事番号11888へのコメント

 闇が形を創る。それは渦を巻き様々な像へ変換――連続で巡る。
 不快極まりないと思えるその中でそれが心地良くなっている。
 それは次々に展開される。
 初めに目を開ければ焔――そして騎士の姿。
 視界が暗転し――そして最後には・・・。
 「ねえおいでよ。僕の元に・・・。」
 闇が取った形は1人の少年。
 しかし闇よりも邪悪で深い。
 笑顔だ・・・そしてなお恐ろしきは、少年の姿が、咄嗟に思い浮かんだ、違う存在の像に酷似していた。
 そしてそれが自分なのだと気付けばすでに闇に堕ちようとしている。
 抗い、叫び――恐怖に耐える。
 だが眼前の光は無情に遠ざかる。
 「ねえフィブリゾ、君を待ってるんだよ。」
 少年はなお近く、明白となっている。
 闇もより濃い。
 「ずっと昔からね。」
 周りを闇が覆ってくる。
 そして眼前の少年も消えて・・・後には無明の帳のみ・・・。
 そして全身がひどく熱い・・・むしろ快感だった。
 それは高揚感――そう思えてくると抵抗が生れてくる。
 そして次々に映る屍。だがそれを見ることに歓びを感じてしまう。
 そんな自分を嫌悪するが衝動は止まらない。
 絶叫とともに全身が溶けるような熱さを感じ、なお叫び続けた。
 それが逃れる唯一の手段。
 すでに分かっていたのだから・・・。

 目覚めは暁とともにではなく、そして心地の良いものではなかった。眠気があってのことではない。
 汗・・・全身を這うような無数の汗。
 記憶は曖昧だ・・・だが恐怖を感じた。
 悪夢であった。突然襲い掛かる悪夢。
 それは凄まじい恐怖の対象。
 だが避けられない。抵抗は不可能だ。
 睡魔は狡猾だ。まどろみは避けられない。

 気付けばすでに夜も更けている。
 頭が痛い・・・。それを振り切り、部屋を見回すと、横たわる少女・・・。
 (シェーラ・・・。)
 床で眠るシェーラ。
 規則的な寝音が歌うように響く。
 どうやら叫びは声にはならなかったらしい。
 眠気は晴れた・・・。しかし恐怖は去らない。
 悪夢への恐怖があれば夜闇への恐怖もまた・・・。
 秤に掛けることは出来ない。それ自体が恐怖を生むから。
 喩えるならば、恐怖を量る天秤は深い闇の底にあるというところか。

 足音・・・距離は分からない。
 布団に潜り込む、だが止まることはない。
 (へっ?)
 その時、恐怖が晴れる。
 ただの鼓動だ・・・。
 溜息・・・布団から這い出る。
 「えっ・・・。」
 その頃・・・部屋の前で足音。
 鼓動が早まり、恐怖の唱を奏でる。
 そしてノックの音が囁く。
 シェーラは気付かない。
 少女の容貌を見やる。あまりに安らかだった。
 起こすには躊躇を覚え、布団に戻ろうとする・・・。
 ノックの音は少し大きくなる。
 シェーラが気付くことを密かに祈るが、それは叶わず。
 そして尿意・・・。この部屋にトイレはなく宿の1階に設置されている。
 焦りが頬を伝う汗となる。
 窮地・・・だが本当にそうか。
 ドアの向こうに光を浮かべてみた。
 ただ漠然とだがそれでも恐怖を晴らすには効果的であった。
 しかし思考の手を緩めれば闇・・・。
 光を・・・光を浮かべる。
 消し去ろうとする闇を排除しつつ。
 そしてゆっくりと立ち上がり、そっと・・・なお光が浮かびながらも覚悟を決める。
 そしてそっとドアに手を伸ばす。
 それがどれだけ離れて見えただろうか。そしてどんなに濃い深遠の闇に包まれているかと・・・。
 そして金属の冷たい感触。
 その前に思い出したように魔術筒を覗く。
 少々の間の後視界が変わる。部屋の外が・・・そして濃紺の夜空・・・それだけであった。
 恐怖が増幅する。
 だがノックの音が消えていることに気付けばそれは少し安らぐ。
 戻ろうとした。
 だが再び来る不快音を避けたくてそっと鍵を外す・・・。
 そして重い扉の隙間から夜風が入り込む・・・ゆっくりと見た夜空には美しさがただあった。
 星の銀の儚さが身に入り込んでくる。
 そして視線を横方向へ向ける・・・。
 だがそこにはただ世界があったわけではない。
 輝く雪の銀の髪に虚ろなる氷の双眸、白き肌に革製の露出のある鎧のような衣服。
 亡霊は笑う・・・。
 「真夜中に御失礼いたしますフィブリゾ王子。」
 ノーストがそこにあった。

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12100Re:冥王の騎士2:24章:怖い夢に怖い現実2002/12/15 09:00:52
記事番号12097へのコメント

> 「ずっと昔からね。」

ずっと昔・・・・いつごろからなんでしょ?

> 記憶は曖昧だ・・・だが恐怖を感じた。
> 悪夢であった。突然襲い掛かる悪夢。
> それは凄まじい恐怖の対象。
> だが避けられない。抵抗は不可能だ。
> 睡魔は狡猾だ。まどろみは避けられない。

記憶が曖昧だとよけい怖いよーな。
しかも、そんな夢見るとすぐには眠りたくないですね。

> ノックの音は少し大きくなる。
> シェーラが気付くことを密かに祈るが、それは叶わず。

シェーラも疲れてるんですね。

> 輝く雪の銀の髪に虚ろなる氷の双眸、白き肌に革製の露出のある鎧のような衣服。
> 亡霊は笑う・・・。
> 「真夜中に御失礼いたしますフィブリゾ王子。」
> ノーストがそこにあった。

こ、これは!フィブ君ピンチ!?
シェーラー!君の愛する主人がピンチだぞー!!
早くきづいて下さいー!!

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12103Re:冥王の騎士2:24章:怖い夢に怖い現実D・S・ハイドラント 2002/12/15 13:04:00
記事番号12100へのコメント


>> 「ずっと昔からね。」
>
>ずっと昔・・・・いつごろからなんでしょ?
さあ?
>
>> 記憶は曖昧だ・・・だが恐怖を感じた。
>> 悪夢であった。突然襲い掛かる悪夢。
>> それは凄まじい恐怖の対象。
>> だが避けられない。抵抗は不可能だ。
>> 睡魔は狡猾だ。まどろみは避けられない。
>
>記憶が曖昧だとよけい怖いよーな。
>しかも、そんな夢見るとすぐには眠りたくないですね。
あんまり悪夢見たことないですし分かりませんけど(おい)
>
>> ノックの音は少し大きくなる。
>> シェーラが気付くことを密かに祈るが、それは叶わず。
>
>シェーラも疲れてるんですね。
悩んでるのに結局眠れる、と
>
>> 輝く雪の銀の髪に虚ろなる氷の双眸、白き肌に革製の露出のある鎧のような衣服。
>> 亡霊は笑う・・・。
>> 「真夜中に御失礼いたしますフィブリゾ王子。」
>> ノーストがそこにあった。
>
>こ、これは!フィブ君ピンチ!?
>シェーラー!君の愛する主人がピンチだぞー!!
>早くきづいて下さいー!!
ピンチですね・・・。
この人ヒムドより危ないよーな気がしてきた・・・。

それではありがとうございます。
>

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12098冥王の騎士2:25章:それじゃあ理由にならないよD・S・ハイドラント 2002/12/14 21:54:14
記事番号11888へのコメント

 「何か変な音するわね。」
 狭い部屋に闇が入り込み、無限の広さを感じさせる。
 その中の薄い光が世界の真実を僅かに語るがそれの辺りが雰囲気が微妙に最適ではないのかも知れないが、無明や完全な明かりの中よりはやや使い古された部屋も月の世界の如き幻想的な魅惑で包むのには充分なのであろう。
 右手に掲げた温もり湛えた氷に風の音。赤の鏡面に映る絶世の美女・・・。流れる黄金の大河。
火照った素脚に冷たく心地良い感触。
 開いた窓から濃紺の風に吹かれ、無力な草花のように煽られるだけだったがその感覚が張り詰める。
 陶酔を打ち消して、立ち上がると、儚い透明のグラスに湛えられたワインを飲み干す。
 安物だが酔い痴れるのに味はさほど問題にはならない。
 身震いの後、衝突音。風が止む。
 テーブルに置かれたグラス。透明な世界に闇が覆う。
 薄闇で物音・・・。
 それが続く。永遠ではないものの、焦りなどは感じられない。
 そして物音が止む・・・。
 そして左手の光を消す。照度を調節した魔力消耗型持続式の魔法の明かりが静寂なき世界に無音のまま消え去る。
 それでも外界の音は響き続ける。
 すでに着替えは終り、ドアを開ける。
 再び飛び込む夜風。
 世界が震撼したが、次の刃の風に陶酔を覚ますこととなる。
 だが完全ではない。
 それでも意識は明白だった。

 むしろ静寂は部屋の中にいるよりも強まっている。
 だが気配・・・。
 そしてくぐもった悲鳴。
 視線を横方向に向ければ即座に解決された。
 (フィブリゾ君・・・?)
 そして闇に映える銀。
 それが記憶と重なる間の後。
 「あなた何をしてるの?」
 だが視覚が回答を導き出す。血に濡れた少年。それは自らのものであり、腹部から今も流れる。紅いだけで大河に等しいものだが苦悶の表情がその痛覚を伝える。まだ息はあるようだが・・・。
 「これは使命でありましてね。」
 闇を震わす亡霊の声。
 「これがあなたの夜の顔なのね。」
 ノーストの容貌・・・ウェイターとして1度見た。
 だがあの時よりも冷たさを感じる。自分達と同じく心の奥に強烈な冷気。
 解放を求める呪い。
 そんな自分の心すらこの男の前では胸の底に温もりすら感じてしまう。
 容貌だけかと思ったが内面からも噴出すあまりの冷たさに双方の冷気を露にし、凍え、震えるのはむしろ自分の方であったと思えて来た。
 「理由は知らないけど死罪ね。」
 「ですが、私はあなたを殺せない。」
 奏でる旋律は冷たい歌・・・。凍えるように冷たい歌。
 「死になさい。」
 その言葉が補助となり魔力が深くにある構成へと辿り着く。
 そして驚く速さで抽出された構成は現出する。
 「断罪!(ぺナルティ)」
 抵抗不能の絶対的な死の魔法。先ほどの無駄遣いとまで言える明かりを使ってはいたが安物ワインに含まれる魔力をそのまま使ったために消耗はほとんどない。
 この魔法を受ければどんな強敵も無力となり悶え苦しみ・・・絶対に生命を失い、活動を止める。
 「ほう・・・。」
 それは理解し難い表情。冷静を保つ。
 冷たい微笑み。それは死を覚悟しているのだろうか。
 だがそこからの感情には覚悟など微塵も感じられはしない。
 なぜ平然としていられる。自体を理解していないの・・・。迫る死神が見えていないのか・・・。
 そんな動揺が時の刻みを遅く、まるで停滞のように感じさせる。
 むしろ吹雪く感情に押されている自分の方が窮地に感じてくる。
 そして停滞の時も去った。
 だが世界は変わることなく。風が吹いただけ。
 「何で・・・?」
 心で疑問を反芻させる。
 失敗は在り得ない。
 この男は死んだはず・・・。今頃死体処理に悩まされているはずだった。
 だがなぜ生きている。
 「疑問であろう。私はすでに死したはず。」
 相手への畏怖が強まる・・・。苦しむ少年の姿はもうない。
 「あなたを殺したい。だがそれは出来ない。」
 刻一刻と削られる儚い命・・・。
 それを見やり・・・。
 「王子を殺す命・・・そしてあなた方姉弟を護る命を使わされた。・・・命と呼ぶべきではないがね。」
 「あたしはあなたに護られたくはないわね。」
 叫び・・・しかし虚勢であることに気付く。認めはしない。
 「回答がまだよ。」
 紡ぐ言葉は多大な恐怖を伴った。
 それは沈黙の後・・・。
 すぐに訪れた。
 「私が・・亡霊だからだ。」

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12107冥王の騎士2:26章:亡霊って一体?D・S・ハイドラント 2002/12/15 16:26:55
記事番号11888へのコメント

 「あなた馬鹿じゃないの?」
 動揺をそして纏わり付く冷気を打ち砕くように強い口調。
 「ほう。」
 その強気な視線をまるで値踏みするかのように見つめる。冷たい視線ではない。
 「だって亡霊って、逆立ちして片手で腕立て伏せしながら光の速さで河の魚を生け捕りにして目から熱線を出して焼いて食べる森の化け物のことでしょ。」
 ・・・これは彼女の亡霊に対して持つイメージである。無論、冗談であろうが・・・。
 「面白いことを言う。」
 微笑みを浮かべ・・・そして飲み込む。
 「あなたも始末したいが、それは許されざること。」
 芝居掛かった口調で、哀しく歌うように・・・。そこからは陶酔感が少なからず感じられる。
 「出来ないんならここで死ぬだけよ。」
 身構える黄金の髪房が風に強く揺られる。
 今だ静寂は保たれたまま、駆けつける人の気配はない。
 さほど裏の通りではないのだが、この街では夜の巡回は少ないのだ。眠らない街ではないために・・・。
 それに気付いた人々だろうと無駄な関わりは持とうとは思わないだろう。
 「退かせてもらいしましょう。」
 「二度目は在り得ないわよ。」
 死の魔法が効かなかった相手。だがその動揺も幾分、軽くなってきている。
 もともとあんまり悩まないし、立ち直りも早い。だがそんな性格である反面。心 の底に溜まるのだ。
 それが彼女の冷気となるのだ。
 「私は愚かな兵の烏合の衆など微塵も恐れない。恐れるのはあなただけ、かな。」
 だが恐れなど欠片も感じさせずに・・・。
 言葉の余韻を残し、亡霊は虚空に消え去った。
 後に残った苦悶の少年。思い出し即座に駆けた。

「 大丈夫?フィブリゾ君。」
 返答はうめき声のみ・・・。
 だがまだまだ死神の来訪には余裕があるようだ。安心してばかりでもいられないのも、また事実だが・・・。
 「待ってて、今、治してあげるから。」
 深呼吸・・・空気の音が狭い2人の間に大きく伝わる。
 少年の苦しみに少しだけ安堵が染み出しように思えてきた。
 「苦しむものに慈悲の光、それは風とともに優しく。」
 温かい魔力。冷たい暗黒の風の中で光が生まれる。それはまるで夢や幻を伴うように思えてくる。
 「治療!(リカバリィ)」
 それが1点に集まると輝きが増す。
 それは少年の全身・・・鼓動とともに苦痛が安らんでいくさまをまるで少年の蘇りゆく命の焔を映したかの如き揺らめく赤の双眸は見つめていた。
 「ありがとう・・・エル。」
 小さく呟いた言葉はその何倍も明るく温かく感じられ、冷たい世界に浸透していく。
 しかし闇の風がそれを打ち消しゆき・・・。
 異変は突如であった。
 突然闇が渦を巻き始める。
 外への転落を防ぐ木の柵が音を立てて軋み始める。 
 それは自然の元とはけして思えぬ異変であった。
 竜巻の色は限りなく黒。・・・夜の色などではなく、真の闇。
 それは風などではなく。闇そのものである。
 そして震源地は・・・?
 辺りを見回せばそれがすぐに分かる。
 あまりにも信じ難い、その発生点が・・・。
 そう渦巻く闇を統べるもの。
 紛れもなく彼女の眼前・・・瞳にはすでに優しい笑顔は過去の虚像。
 それを重ねさせる表情は無。
 そこからは何の感情も感じさせぬ虚無。
 だが絶望や無気力ではなく本当に感情がないのだ。どんな無感情な人形よりも無感情のように見える。
 「っ・・・。」
 言葉に詰まる。
 渦は時の刻みとともに徐々に強くなるようだ・・・。
 だが風は不気味にも無音・・・。軋んだ木の音のみで闇は沈黙を崩さない。そして気配はなく、視覚だけに闇を見せる。
 完全に遮らずに少年が視察出来るが、見えることへの恐怖。そう少年の変貌に・・・。
 傷はすでにない。
 少年はゆっくりと立ち上がる。恐怖で体が動かない。いつ訪れたのかも分からない、純粋で強烈な恐怖に・・・。
 足音はない。それとも恐怖で聞こえないのか・・・。
 少年は歩き出す・・・。
 呪縛が後を追うことを許さない。
 その時はただ離れるのを願った。解放を望めるのではないかと思い一心に・・・。

 やがて叶ったその時には闇は片鱗にも感じられない。
 すでにフィブリゾは消え去っていた。
 だがあの闇は忘れられない恐怖の対象となっていた。
 そして出来ることならばその対象を消し去りたい。あの恐怖は存在してはいけないものだ。
 いつしか殺意・・・。
 対して必死で葛藤・・・。

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12121Re:冥王の騎士2:26章:亡霊って一体?2002/12/16 07:32:56
記事番号12107へのコメント

> 「だって亡霊って、逆立ちして片手で腕立て伏せしながら光の速さで河の魚を生け捕りにして目から熱線を出して焼いて食べる森の化け物のことでしょ。」

どっからそんなイメージが出来上がるんだろ?

> 「面白いことを言う。」

確かに面白いけど。

> もともとあんまり悩まないし、立ち直りも早い。だがそんな性格である反面。心 の底に溜まるのだ。

表面的は元気でも、内面的にはちょっと・・・・ってやつですか?

> 「ありがとう・・・エル。」
> 小さく呟いた言葉はその何倍も明るく温かく感じられ、冷たい世界に浸透していく。

元気になって、よかったよかった。

> 異変は突如であった。
> 突然闇が渦を巻き始める。

ををっ!?何事だ!?

> 辺りを見回せばそれがすぐに分かる。
> あまりにも信じ難い、その発生点が・・・。

どこだ?

> すでにフィブリゾは消え去っていた。

フィブいきなりどーしたんだ!?そしてどこに行ったー!?
それでは、この辺で。

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12109中書きD・S・ハイドラント 2002/12/15 16:33:34
記事番号11888へのコメント

こんばんは〜

結構今回は話の数の多いツリーに・・・。
これまでで大体の謎は明かしたかと・・・。
多分明かしたかと・・・。
まあ最初の時点から頭にあった部分は大体・・・。
とはいえまだ続きそうです。

最初の時点から少し設定が変化してる気もします・・・。
まあそれは置いといて・・・(って待て)

それでは年内100話(現在70話)目指します。

さようなら〜

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12113100話っ?!エモーション E-mail 2002/12/15 22:26:31
記事番号12109へのコメント

こんばんは。

ノーストさんの襲撃……しかも、エル様の死の呪文が通じない……。
亡霊って……。何故そんなものが堂々と昼間から……(汗)
また、エル様の「亡霊」の認識も冗談としても面白いです。
どんな化け物ですか、あれ……。

エル様に恐怖を感じさせるほど、急に得体の知れないものに変化しちゃった
フィブリゾ……。どうなっちゃうんでしょう?
シェーラちゃん、目が覚めたら泣きそう……(おろおろ)

>それでは年内100話(現在70話)目指します。
すごっ?!……と思うと同時に、確かに達成しそうな気も……。

では、短めですがこの辺で失礼します。
がんばってください。

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12114Re:100話っ?!D・S・ハイドラント 2002/12/15 22:29:32
記事番号12113へのコメント


>こんばんは。
こんばんは。
>
>ノーストさんの襲撃……しかも、エル様の死の呪文が通じない……。
理由は実は決まってないんですよ・・・。
それにしてもエル様バランス崩しすぎのような気が・・・。
>亡霊って……。何故そんなものが堂々と昼間から……(汗)
まあ2つ名のような感じです。
>また、エル様の「亡霊」の認識も冗談としても面白いです。
>どんな化け物ですか、あれ……。
さあ・・・。適当に並べましたから
>
>エル様に恐怖を感じさせるほど、急に得体の知れないものに変化しちゃった
>フィブリゾ……。どうなっちゃうんでしょう?
>シェーラちゃん、目が覚めたら泣きそう……(おろおろ)
どうなりますかね。
>
>>それでは年内100話(現在70話)目指します。
>すごっ?!……と思うと同時に、確かに達成しそうな気も……。
まあがんばってみます。
>
>では、短めですがこの辺で失礼します。
>がんばってください。
はい。どうもありがとうございます〜。

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12122Re:中書き2002/12/16 07:37:30
記事番号12109へのコメント

>こんばんは〜

おはようございます。

>結構今回は話の数の多いツリーに・・・。

羨ましいです。

>最初の時点から少し設定が変化してる気もします・・・。
>まあそれは置いといて・・・(って待て)

最初はどんな設定だったんですか?

>それでは年内100話(現在70話)目指します。

おおっ!もう70話だったんですか。
すごいです!!
記念すべき(?)100話目がどんな話になるか楽しみです。
これからもがんばってください!!

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12124Re:中書きD・S・ハイドラント 2002/12/16 13:28:58
記事番号12122へのコメント


>>こんばんは〜
>
>おはようございます。

こんにちは〜
>
>>結構今回は話の数の多いツリーに・・・。
>
>羨ましいです。
いえいえ、数ばっかり多いだけですから
>
>>最初の時点から少し設定が変化してる気もします・・・。
>>まあそれは置いといて・・・(って待て)
>
>最初はどんな設定だったんですか?
魔法の設定とかが微妙に変わってる気がします。
>
>>それでは年内100話(現在70話)目指します。
>
>おおっ!もう70話だったんですか。
>すごいです!!
>記念すべき(?)100話目がどんな話になるか楽しみです。
どうせ半端なところでしょう(待て)
>これからもがんばってください!!
はい。
レスどうもありがとうです〜