◆-バーガーショップで逢いましょう (1)-仙翁花(2/3-00:56)No.1193
 ┗バーガーショップで逢いましょう (2)-仙翁花(2/3-01:17)No.1194
  ┣何処ですかぁ〜?-千恵風味(2/3-12:30)No.1196
  ┗バーガーショップで逢いましょう (3)-仙翁花(2/3-12:52)No.1202
   ┗バーガーショップで逢いましょう (4)-仙翁花(2/3-13:00)No.1203
    ┗バーガーショップで逢いましょう (5)-仙翁花(2/3-13:19)No.1204


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1193バーガーショップで逢いましょう (1)仙翁花 2/3-00:56


こんにちわ!はじめましてではありませんが、遥か忘却の彼方
に投稿した事のある、ガウリナ好きの仙翁花(せんおうげ)です。
今回は、また性懲りもなくガウリナ小説投稿させて頂きます。
この小説、設定とストーリーの原形が某HPにあるもので、
このお話しはその続きというか・・・いわゆるアナザーストーリー
と言う事になります。

もちろんその小説を書いた方からの承諾(笑)は頂いてます。
簡単にいうと、舞台は魔法の世界と現代を微妙にミックスしたもの。
もちろん、魔法も使えますが現代的文明もあります。
車もあるし、法律もしっかりしてて・・・・・・。
但し、あらゆる現代の文明の利器は「魔力」で動いている。
・・・・っと、なんでもありの世界。
ホントは本編でまだリナちゃんとガウリイ君の関係はハッキリ
してないんですが、今回は二人は結婚していると言うことで
始めたいと思います。
ちなみに、リナちゃん職業弁護士で、ガウリイ君モデルさんです。

では、ガウリナファンの方々。
ちょっぴしガウリイかわいそうですが、そういうの駄目な方は
読まないことをオススメします。(汗)
基本的にハッピーエンドが大好きなので、そうしてはありますが
自信無いです・・・・・。
苦情・カミソリ等、いつでもお受けしますので勇気のある方は
お読み下さいませ。


***********************

< バーガーショップで逢いましょう >



もうお昼だった。

だからどうした?それを言うなら「まだ」お昼だ。
・・・と言う人もいるかもしれない。
しかし、あくまで俺にとっては「もう」お昼なのだ。

手短に今の俺の状況を説明すると、走っていた。
それも、全力疾走。
必死の形相で、天下の往来を走る俺は今、もの凄いスピード
で人の多い道をぬっている。
とっくに身体の方は限界だが、そんな事言っていられる状況じゃない!!
今日遅れたら、確実に大目玉だ。
ただ無心に街のを駆け抜ける中、俺は昨日あいつとやらかした痴話げんかを思い出していた。

―――― 今度遅刻したら、きっぱりサッパリ別れるわよっ!! ――――

原因は、リナが言うには俺にあるらしい。
はっきり言って思い当たる事は、無くもない。
ここ最近、仕事の都合で帰りが遅くなっていたし、結婚5年目ともなるとお互い生活にマンネリが出てくるものだ。
リナと俺は結婚するそれまでも一緒にいたが、「マンネリ」と言う言葉とはトンと縁が無かった。
こいつと一緒にいる限り、そんな事とは無縁だと思っていた。
だから、俺は安心していたのかも知れない。

リナは絶対俺から離れない・・・・と。

これは自分でも自覚しているが、いわゆる「幸せ慣れ」である。
または、「自惚れ」とか「錯覚」とかとも言う。

「くそっ!!シャレにならんっ!」
スピードをゆるめる事無く、そのままの勢いで走り続けていた俺は、急に停止を余儀なくされた。
「ああぁぁっ!急いでいるって言うのにっ!」
横断歩道の信号は、しかし、こういう時に限って赤へと変わるものだ。
俺はその場で足を動かし続け、気持ちは動いている足よりも焦っていた。
なんとなく同じ待っている路上の人から好奇の目で見られている気もするが・・・・。
そんなこと、かまっていられない。
昨日は。
たとえ、誤解から生じたこの問題でも、これ以上あいつの機嫌を損ねたらマジで「離婚」になりそうな雰囲気だった。
あいつは全く、悪くない。
そう、行動が軽率だったのは俺だ。

やがて信号は青へと変わる。
「だぁぁあああっ!俺が悪かったっ!だからお願いだ、間に合ってくれぇ!」
色が変わった途端、また全力疾走する。
俺はいつもは祈らない神に調子がいいとは思ったが、すがらずにいられなかった。

程なくして、俺はあいつとの待ち合わせ場所へたどり着いた。
顔から汗だくで、長く後ろへまとめた金の髪はしっとりと湿っていた。
入り口の自動ドアでかってに開く扉に、惰性で身体を向けそのまま中へ入っていく。
慌てて腕にある時計を見たが、長針はとっくに約束の時間を通り過ぎていた。
当たりをキョロキョロと見回したが、あるのはなんだか訳の分からないオブジェだけで、リナの姿は見当たらない。
強烈に体中脱力した。
俺はたまらず、近くにあった長椅子に崩れる。


「・・はぁ、はあ・・・・やっぱぁ・・・ふ〜・・駄目だったか・・・・」
息を整えるように大きく深呼吸して、胸をゆっくり上下した。
走り始める前から時間までにたどり着くのは無理だったのだ。
仕事場を出たのが、約束の時間の5分前。
そこからこの美術館まではどんなに急いでも40分。
しかも渋滞で車が止まったから、俺は途中から走ってきたのだ。
一時間遅れでも速い方だ。

「さて・・・どうするかなぁ〜〜、これから」
全く、弱った。
よっ、と椅子の上に起き上がり、再びふぅ〜〜っとうな垂れる。
大体、俺が原因で俺から誘ったのに、1時間も遅刻してあいつが許してくれる訳が無い。
もしかして、これってスゴクまずくないか?

「あの〜・・・失礼ですが、お客様。もしかしてガブリエフ様じゃありませんか?」
束ねていた髪もえらくほどけていて、傍目から見ても疲れているように見えただろう。
うな垂れっぱなしの頭を、けだるい動作で起こす。
いつのまにか、俺の隣には若い美人の・・・おそらくここの美術館の職員だろう、お姉さんが立っていた。
「あ、ああ。そうだけど・・・何か用かい?」
キャップもグラスもしていない今の俺は、だからと言っていつもの「モデル」に見えているのであろうか。
「いえ、先程女性の方にガブリエフ様宛のメッセージをお預かりしましたので・・・」
「女性?!それって、小柄で栗色の髪でちょっと生意気そうな?!」
がばっ!っと急に俺が詰め寄ったから、心持ち数歩後ろへさがる職員さん。
「は、はい。お名前はリナ・・リナ様、とおっしゃっておられましたが」
あいつだ!
「それで!あいつは、リナはなんて?!」
「え、ええ。私には良くわからないのですが、お客様が来たらこう伝えろと・・・・・
『 ルナ=インバースへ 』
こう言えば、そいつには理解できるだろうから、っと・・・どうしました?お客様?!」

ぴきぴきっ。

る、ルナ=インバース・・・・・・・(大汗)
俺は瞬時にして顔が固まった。
いや・・・引きつった、と言おうか。
「お客様?」
不思議そうな顔で、職員さんは尋ねる。
たぶん、顔が青いから心配してくれているんだろうが・・・・・。
それどころじゃあ、無いっ!!
「ま、・・・まずひ・・・・・」
「え?」
「あ、いや・・・こっちの話しだ。伝言ありがとう。助かったよ」
「いえ、とんでもございません。お役に立てて嬉しいですわ。それより、大丈夫ですか?なんだかお顔の色が優れないようですが・・・・・」
心底心配そうに尋ねてくれる職員さんの心使いはありがたかったが、俺はもうすでに頭の中『ルナ=インバース』の一言で埋まっていて、グルグル回っていた。
「すまない、少々走り過ぎて喉が渇いて・・・これで飲み物買って来てくれませんか?」
とりあえず、気持ちを落ち着けるためにも、何か飲みたい。
差し出した手も、じとっと汗ばんでいたが職員のお姉さんは快く、引き受けてくれた。
リナと同じか、少し若いくらいだろうか?
なんとなく初々しい感じで、好感が持てる職員さんだった。
「そういえば、お姉さん」
飲み物を買いに行くため、自動販売機のところまで行こうとした職員さんに、俺はふと思い付いた疑問を投げかけた。
「さっき、どうして俺がガブリエフだとわかったんだい?」
ああ、そのことですか。と振り向いて彼女は言い、にっこり微笑んだ。
「それでしたら、リナ様から特徴をお聞きしていましたから。『金髪で背の高い、一見モデルのガウリイ=ガブリエフとそっくりな美形が、汗だくで美術館に駆け込んできたら、この伝言を
伝えて』と」
なるほど。俺が走ってくる事まで予想していたのか、あいつは。
なら、もう少し待っていてくれればいいのに・・・・。
って、遅刻した俺が悪いんだった。
「そうそう、それとリナ様にフルネームをお聞きしたんですが、おかしいんです。『答えたくないの、その名前。それに、今に変わるかも知れないから』ってひどくお怒りになってまして。私、てっきりお名前が変わると聞かされて、ご結婚されるものだと思ってましたのに、怒っていたと言う事は、違うんでしょうかねぇ・・・・・ガブリエフ様?」
もはや、俺に余力は残っていなかった。
職員さんがおそらく、親切で教えてくれただろうその事は、俺に決定打を与えていたから。


・・・・・続くんですよ・・・・・ゴメンナサイ・・・・・(涙)

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1194バーガーショップで逢いましょう (2)仙翁花 2/3-01:17
記事番号1193へのコメント

続きです!(^^)


**********************




「とりあえず・・・で、電話しないとな・・・・・」
先程、憂鬱な気持ちで美術館を出て、すでにこの言葉を6回繰り返している。
俺は、今までどこに行くと言うのでもなく、いつもの商店街をフラフラしていた。
もう、夕方になる。
近所の奥様方が、今日の夕飯を吟味しに街をうろつく時間帯だ。
その中、俺は結構浮いている存在だろう。
ポケットの中の携帯に手をかけながら、何度ルナさんのところへ電話しようとしたか。
決心して、短縮ナンバーを押すその寸前。
顔が青くなるのがわかる。
「今回は、何を言われるやら・・・・・・」
はう・・・・っと一人溜め息ついた所で、何も事が好転しない事は分かっていた。
・・・・が、心と身体がついてこないのだ。
美術館でのリナからの伝言。『ルナ=インバースへ』っていうのは、つまり、リナの姉ちゃんルナさんのところへ行ってる。って意味。
一般家庭で言うならさしずめ「実家へ帰らせて頂きます!」の捨てセリフと同じだ。
「も・・・絶望的・・・・・」
肩を落しながら、結局はいつものとおり我が家の玄関前に着いていた。
「はぁ〜・・・・・」
ドアを開けて、中へ入る。
・・・・・・家の中の空気が違う。
いつもの優しい俺を迎え入れてくれる準備が、今日はない。
ここで、日常になっていた事のありがたさを初めて身に染みて感謝した。
これほどまでに・・・・違うのか?あいつがいないだけで・・・・・・。
玄関からリビングへ。
俺は違和感を感じながらも、いつもの様に進んだ。

「よっ、ガウリイ。浮気がバレたんだってな」
誰もいないはずのリビングに、一人。
いつもリナが座っている場所。
そこには、見知った顔があり、俺をからかいの目でニヤニヤと見てた。
「ゼルっ?!どうして、ここに・・・・」
俺は鞄もおかずに、そのまま立ち尽くしている。
それにひきかえ他人の家なのに余裕しゃくしゃくのゼルがソファに座っている。
どこから出したのか、コーヒーなんぞ手に持って。
「ああ、悪い。勝手に頂いてるぜ、コーヒー。おっと!言っとくが、不法侵入じゃないぜ、ガウリイ。リナに頼まれて来ただけだからな」
「リナに?!」
「正確にいうとアメリアを通して、俺になったんだが。まぁ、同じようなもんだろう。
それで、アメリアに聞いたんだが、お前。浮気したんだって?
正直ビックリだったぜ、俺は。まさかあのガウリイが浮気だなんてな」
コーヒー持ったまま、小さく肩をすくめるゼルガディス。
ふぅぅぅ〜・・・・・。
そうか、やっぱアメリアにもストレスを吐き出したか。
「まさか?そんなことするわけないだろう。俺が」
やっと放心状態から解放されて、肩から力を抜くと、俺はゼルと向かい合う形でソファに腰掛けた。
鞄は、未だ玄関に放置されたままだが・・・・。
「いや、わからないぜ?アメリアは『ガウリイさんがそんなことするわけありませんっ!!きっと何かの間違いです!』って力説してたが、俺もお前も、一応男だからな。いつ妙な気が起きるとも
限らんし・・・・。ましてや、お前は今をときめく売れっ子モデルだ。最近じゃ役者の方にも手を出しているそうじゃないか。確かに、今ノッテいるガウリイにそんな事が無いとも断言できん」
また、面白そうに笑うゼル。

俺はゼルの言葉に、軽く頬をポリポリ掻いた。
ま、現実問題浮気はしていないと言っても、確かに俺はリナを長い間ほっとき過ぎた。
ここ二、三年。
新婚当初の頃とは比べ物にならないほど、俺の仕事は忙しくなり、どんどん仕事は詰まっていく。
ある意味、これは嬉しい悲鳴なのだが、いかんせん、仕事の代わりに二人の時間も減ってしまった。
更に悪い事に、俺もあまり多い仕事に没頭し過ぎてリナを忘れがちになって。
夜遅く帰っても、決して眠らずに待っていてくれるあいつの気持ちを汲んでやる事を忘れた。
たとえ馴れ合っても、二人の間には別の人間だという意識を。
互いを思いやる心を。
俺は『結婚』という二文字で乗り越えられていると勘違いしていたのだ。
「いや、原因は全て俺にある。だが・・・・浮気は、あいつに誓って絶対ない。単なる誤解だ」
「誤解?」
「ああ。昨日な、撮影が終わった後スタッフと一緒に飲みに行ったんだよ。そしたらさ、いつも行くクラブで俺のこと気に入っているらしい女の子がいるんだが、その娘俺にイタズラしたらしいんだ。
なんだか、俺も気づかなかったんだが、こう、ジャケットの内ポケットに紙が入ってたらしくて」
「紙?ああ、それは名刺だろう。よくホステスの女の子が配ってるよな、客に。なんだ、そんな事でリナは勘違いしたのか?」
ゼルガディスはふるふる首を横に振る俺の顔を見て、じゃあ、何なんだ?っと言う。
「違うんだよ、ゼルぅ。いくらリナだってそんな事でルナさんとこ帰ったりしないぜ?そのくらいなら、大体はヤキモチで火炎球か、スリッパが飛んでくるだけで終わる」
「す、スリッパはいいが・・・・火炎球はやりすぎじゃあ・・・?」
冷や汗垂らしながら、コーヒーをテーブルに置くゼル。
反対に、俺はキッチンへ行ってゼルが落したらしいコーヒーのあまりを頂だいした。
「今の状況に比べれば、火炎球の方がまだマシだ」

コポコポコポっ。

コーヒーメーカーからカップに黒い液体を移し、またリビングへ戻る。
「で?何だったんだ、その紙は」
「ああ・・・・」
一口、俺はぬるくなったコーヒーをすする。
「俺も昨日リナから言われるまで知らなかったんだが、こう、メッセージカードみたいな花柄のカードに『また明日待ってるわ、愛しのガウリイ(はあと)』だ」
思わず片手で顔を覆う。
俺ががくんと肩を落すと、ゼルはその場で腹を抱えて大爆笑。
「ぶぁはははははははっっ!!!くっくっくっくっ!!!な、なるほどな!それはリナでなくとも家出するぞっ!?くあはははははっ!!」
「笑い事じゃないっ!そりゃあ、たかがホステスの女の子に懐探られて気づかなかった俺も俺だが、この状況ははっきり言って、弁解の余地が無いよ」
俺は、楽しそうに笑うゼルガディスを恨めしく睨む。
「それで、今日は美術館に誘った。ってわけなのか」
なるほどな。っとゼルはまた納得顔で笑いながらコーヒーを飲み干した。
「で?しまいにはそれも見事に遅刻した・・・っと」
「そ・・・・・・」
俺は自己嫌悪でいっぱいだ。
「しかし、今回旦那はタイミングってものが悪すぎる。その状況だけならなんとでもはぐらかせただろうが、聞くところによると、仕事忙しかったんだろう?それで連日帰りが遅かったとか。
その状態で、積もり積もったリナの疑心と不安、それとあいつのことだからイライラ。
リナがマネージャーを降りてから、もう1年経つ。
家で黙って待っている事にも、飽き飽きしていたんだろうさ。
そこへついで、お前への疑いだろう。
これじゃあ、浮気でもしているんじゃないか?って疑心が勝っても仕方ない」
「わかってる」
どさっと深くソファに身体を沈める。
チクタクと時計の音が家中に響いていた。

「いつも・・・・」
「ん?」
「いつも側にいて、いつも俺の隣で笑っているものだと思っていた。
俺が仕事忙しくなって、家にも長い時間いれなくなって、あいつとの会話が減ってしまっても、リナは俺の事わかってくれてる、って思ってた」
リナのいない家が、こんなに静かだったなんて。
しばらく、考えた事も無かった。
「それは、ガウリイお前の甘えだ。あいつはそんなに強くない。それはお前が一番わかってるはずだろう?」
ゼルは困ったように、俺を諭す。
「ああ、俺が一番あいつを良くわかっていたんだ。
そして、お互い、信じてたのに。
それなのに・・・それなのに。俺はいつまでも勝手に甘いつもりで・・・・・・」
ボーッと宙をさまよう視線。
「そりゃあ、チョコレートの箱じゃないんだから、いつまでも勝手に甘いつもりじゃ続かないな」
ゼルの何気ない一言。
チョコレートの箱か・・・・いい事言うじゃないか、ゼル。
まさに、俺の考えはチョコレートより甘かったってわけだ。


************************

まだあるんです・・・・・・(また涙)

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1196何処ですかぁ〜?千恵風味 2/3-12:30
記事番号1194へのコメント

あの、HP行きたいんですけど、
  どこですか?
リナは実家にかえっちゃったし、がうりんはモデルさん(似合いすぎ)だし、ゼルガディスは「勝手知ったる他人の家」(笑)だし、アメリア未登場だし・・・。
 ああー、つづきよみたいよぉ。
 んで、ほかのも、よんでみたいです。
がんばってください^-^
でわ。 千恵。

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1202バーガーショップで逢いましょう (3)仙翁花 2/3-12:52
記事番号1194へのコメント

こんにちわ!今日も元気に続き書きますね♪
あと、千恵風味さん。コメントありがとうございましたぁ!
特に「ゼルの勝手知ったる我が家」表現!(笑)
イイッス!事実その通りだし・・・・・。(^^;

この小説の原案があるHPはこのお話しが終わったらここで
書かせて頂きます。(^^)
もうチョットだけ、お待ち下さいね。

んでは今日の続きへ・・・・


**********************



しばし、二人とも無言の状態が続く。
酒でも飲むか?とゼルが申し出たが、アメリアが心配するといけないので帰った方がいいだろうと俺はゼルを追い返した。
家には、俺一人になった。
ふと時計を見る。
時刻は既に8時を回っていた。
俺は、すぐにあれほどためらっていた電話をする。
ゼルと話した事で、大分気持ちが楽になったようだ。

呼び出し音が妙に頭に残り、響く。
心臓は、いつになく早く打っていた。

「はい、もしもし」
電話口に出たのは、予想通り、ルナさんだった。
やっぱなぁ〜・・・・。
「あの、もしもし。ガウリイです。御無沙汰してました」
お決まりの挨拶をまず、言う。
「あら、ガウリイさん?こちらこそ、御無沙汰してました。かれこれクリスマス以来ですね」
「はあ・・・そうですね」
「それにあの時も〜」
話しが一向に進まない。これだから、ルナさんは苦手だ。
いくらリナの事でも、俺はこの人に一生かなわないような気がする。
リナの・・・姉ちゃん。
この国でも、ナイトの称号を持っている唯一の女性だ。
腕前の方は、俺と互角・・・・・いや、相対的にはルナさんの方が上だろう。
あらゆる意味で、俺とリナはこのルナさんに頭が上がらない。
「それで、ガウリイさん。今日はもちろんリナの事でお電話してきたのでしょう?」
「え、ええ・・・・・」
なんとなくバツが悪い。というか、決りが悪い。
「ご心配かけて申し訳ありません。リナはそちらにお邪魔しているのでしょう?」
「ええ、おります」
はあ・・・とりあえずはチャントいるようだな・・・・。
俺は一つ心配ごとが消えた。
「ですが ――――」
「え?」
電話口からルナさんの怒気が伝わる。
実際に目の前にいるのでもないのに、ドキっとした。
「ですが、ガウリイさん」
「は、はいっ」
嫌な予感。
「リナはもうあなたのところへ帰る気が無い。と言ってます。どういう事ですか?一体何があったのです?事の大筋はリナから聞きましたが、あなたの口からはまだ何も聞いてません。
もし、本当にリナの言うようにあなたが浮気をしているのなら、私はリナを返す気はありません」
あまりに一方的なルナさんの言葉。
俺は、焦った。
「ま、待ってください!俺は浮気なんか誓ってしてませんっ!!リナを裏切るような後ろめたい事は何にも無いんです。ただ・・・・・」
「ただ?」
ルナさんは俺の言葉を待つ。
「ただ、ちょっと俺が勘違いしてただけなんです。初心を忘れて、あいつの気持ちを汲んでやれなかった。よく主婦の座にあぐら掻いて、って言葉が使われますけど。
俺の場合は逆です。
俺は、リナの夫という座にあぐらをかいていたんです。
そして、結果あいつにいらぬ心配をかけてしまった。
あいつの、リナのシグナルが消えそうになって・・・・・それを受け取ってやれなかった」
俺は、電話の前で、自分のしてきた事を改めて思った。
そして、自然と涙を流しているのに気づく。
絞り出すように声を出し、静かに・・・人前で泣いた事など無かったのに。
静かに泣いた。


「わかりました。信じます」
溜め息と共に、ルナさんの声が聞こえる。
「ですけど、今日はとてもリナをあなたと話させるわけにはいきません。
あの娘もあの娘なりに、傷ついてますから・・・・・。
あなたと同じように。
どうしてもと言うのなら、伝言を伝えておきます。何かありませんか?」
リナと話せないのはショックだったが、とりあえず、俺はこう言った。

「あの・・・じゃあ、明日駅前のバーガーショップに来るように言って下さい」
「バーガーショップ?」
ルナさんは驚いている。
「はい、そうですね・・・時間は○時に・・・ええ、お願いします。必ず来てくれって・・・」

くれぐれもお願いしますと伝えて、電話を切る。
そして――――俺はすぐにスケジュールの調整を始めた。


********************

もうちょっとだな・・・・・

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1203バーガーショップで逢いましょう (4)仙翁花 2/3-13:00
記事番号1202へのコメント

ああ、ガウリイ君なんかかわいそうになってきた・・・・(苦笑)
最後には、彼に幸多からん事を祈る(爆)


********************



次の日の昼下がり。
ざわつく街の駅前通で。
若い男女のカップルが、俺の顔をみて何やら騒いでいる。
久々に、ここへ来た。
昔はよく、リナと一緒にこの通りを歩いたものだった。
何時のまにか、それも無くなって・・・・。
思えば、そんな小さな事から、俺達の関係は崩れかけていたのかも知れない。
他の女に手を出さなければいいと、そういう問題ではないのだ。


指定した、バーガーショップへ俺は入っていく。
また、俺を見て何やら店員が黄色い声を上げたが、気にしない。
今、俺は一日顔を見ないだけでたまらなく不安になっている我が妻を目で捜していた。
店内、見落す事なく、探す。
「!」
いた。
店の窓際、シェイク飲みながらボーッと窓の外、往来を眺めている少女。
いや・・・・もう23歳なのだから少女と言う表現は的確ではないか・・・・・。
だが、どこからみても、その姿は「少女」だった。
記憶がバックしているかのような錯覚。

「リナ」
席の近くまで行き、俺はなるべく穏やかに呼んだ。
ああ、確かにリナだ。
一日会えないだけで、話せないだけで。
胸の中はまるで洗濯機みたいにグルグルだった。
リナは、ムスっと俺を見る。
しかし、俺を見た途端、大きく目を見開いた。

「リナ?」
「ガウリイっ?!あんた・・・・なんて格好してるのよっ!!」
「へ?俺なんかヘンか?」
今日はワイシャツと言ういたってラフな格好だ。
「変かって・・・・だって、あんた一応モデルなのよ?!しかも今業界人気ナンバーワンで!!それが・・・そんな人間がキャップもグラスもしないでこんな天下の往来歩いてるなんて。
ばっかじゃないのっ?!これじゃあ目立っちゃうじゃないっ!!」
バンっ!とテーブルに手を叩きつけて、リナはまくしたてる。
「いいだろ、目立っても?」
「良くないっ!今日は離婚届に印鑑押してもらって、それで慰謝料の話しをしに来たんだから!!」
大きな声で怒鳴るリナの方が、よっぽどこの店で目立っている。
「離婚って、お前・・・ちょっと座ってくれ」
「なによ!あたしに命令する気っ?!」
「いいから、座ってくれ。頼むから」
「いやよ!もうガウリイの言う事なんて信じないっ!」
「リナっ!!」
「ガウリイが悪いのよっ!ガウリイが・・・ガウリイが浮気なんてするから・・・あたし・・・あたし、信じてたのにぃ・・・・」
もうリナの目には大きな涙が浮かんでいて、今にも零れ落ちそうだった。
むしょうに胸が痛む。
「ゴメン、色々心配かけたな。昨日も、美術館遅れちまって・・・・・」
「いいの・・・・どうせあのカードの人でしょう?今日は行かなくていいの?待ってるんでしょう?」
やっぱアレにこだわってるなぁ〜。
無理もないか。
「リナ、ハッキリ言っとくがあれは誤解だ。俺は断じてそんなことしてないぞ?!」
真摯な態度で、リナを諭す。
全くの誤解なのに、小さな偶然と不審の積み重ねで、疑心は事実へと姿を変えたのだろう。
「いいのよ、ガウリイ。無理しなくて。あたし今日ここに法的手続きに必要なもの全て揃えてきたから。まさか自分で自分の離婚書類揃える事になるとは思っても見なかったけど、今すぐにでもカタがつく。
お互い、自由になりましょう。ガウリイ。そうすれば誰も傷つかなくて済む。あたしは・・・あたしはもう沢山なの・・・・・・」
きゅっと、リナの手は強く握り締められていた。
そして微かに震えている。
「駄目だ。俺は別れない」
俺は静かにリナの目を見詰めた。
「だって、もう・・・・」
「誰も傷つかない?そんなの嘘だ。誰よりも、リナが傷つく。俺は、俺はそれだけは駄目だ」
「いい加減にして、ガウリイっ!あたしが傷つく?あたしが?そんなの!そんなの詭弁よっ!」
「嘘じゃない!!俺は!俺は今でもリナの事を一番に思ってるっ!!信じてくれっ!」
「信じれですって!!?散々あたしの事踏みにじっておいて、今更っ!!ふざけないでっ!」
「リナっ!!!」
ああ、もうこれじゃあ、埒があかない。
それに手の悪い事に・・・・いや、本来なら誇るべき職業なのだが、リナ自身弁護士なので誰に相談するともなく、離婚の手順を心得ている。
しかも腕利きだ。
「落ち着け、リナ」
「あたしは十分落ちついてるわよ!」
十分興奮してるよ・・・・・。
「わかった、ガウリイにその気が無くても、あたしが勝手にやる」
「ちょ、ちょっと待て、リナ?!」
「あたし、帰る」
そういって、リナはさっさと帰り支度を始める。
「おい!リナ。待てって!」
俺はリナの後ろを追いかけ、そして―――

大きな窓の前で、後ろから抱きしめた。


*********************

残すところあと一話かな?
もう少しだけお付き合い下さいませ。(ぺこ)

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1204バーガーショップで逢いましょう (5)仙翁花 2/3-13:19
記事番号1203へのコメント

これで最後です。
だけど・・・今回、とことんガウリイ君の視点が書きやすい。(笑)


*****************

俺はリナの後ろを追いかけ、そして―――

大きな窓の前で、後ろから抱きしめた。

「がっ??!!!!」
瞬時にリナの顔が紅潮したのがわかる。
表情は見えなくても、伝わってくる熱で。温もりで。
それが、わかる。
「ちょっと、離してっ!ガウリイ!」
「ヤダ、離したらお前逃げるだろ」
「いやっ!ちょ、こんなとこで・・・・」
たぶん外を行く人々からは丸見えだろう。
俺はお構い無しで囁く。
もうリナに言う愛の言葉は、無い。
ここ5年くらいで言い尽くしてしまったから。
だから・・・・・。

「リナ、今日はデートしよう」

少々の間。
「は?」
理解できない、とでもいいたげなリナの顔。
「だから、デートしよう」
「ガウリイ?あんた、頭大丈夫?もしかして、クラゲが脳まで侵食したとか?」
「おい」
「だって、何言ってんの?あたし達、もう結婚してて、そんでもって5年もたってるのよ?
そりゃあ、子供はいないけど・・・・立派に夫婦なのよ?なのに、今更デートだなんて・・・・」
「おかしいか?」
「おかしいっ!!第一、ガウリイ今日仕事あるんでしょ?!」
「いや、今日は無い」
「へ?」
「今日は仕事オフにしてもらった」
「ちょっ、ホンキ?!」
「ああ、本気だ」
そこで、リナは押し黙ってしまった。
そんな彼女が、俺はたまらなく愛しくて、無理にでも一緒に歩きたくなる。
「なあ、確かに俺は今忙しい。それに帰りも遅くなるだろさ。
休みを取る時間はまだ遠いけれど・・・・・・・。
それでも、こうして一緒に歩く時間は。
リナといる時間は、大事にしていたいよ。
正直、仕事してる間、お前のこと忘れた時もあった。
それしか見えていない時もあった。
だけど、お前以外のヤツに帰りを待ってて欲しいと思った事は一度もないよ。
こんな状態まで俺達の関係を放っておいたのは、俺に責任があるし、お前にいらない気持ちを
抱かせたのも、俺のせいだ。
すまなかった。謝るよ」
「ガウリイ・・・・・・・」
深々と頭を下げた俺をリナは正面から見る。

「俺は、お前が待っているから。だからあの家に帰るんだ。
お前がいなかったら、俺は・・・俺はどこへ帰ればいいんだ?!」

店中から注目浴びている、俺とリナのやり取り。
ぐっと頭を下げたまま、下を向いている俺には、今リナはどんな顔しているのかわからない。
・・・・そして、彼女は、何も言わなかった。


「わかった」
俺は下げた頭を少し上げた。
「リナ?」
ふうぅぅ〜っと溜め息ついて、にぱっと笑う彼女。
「わかったわ。今回は、許してあげる」
「ホントか?」
俺も知らず笑顔になっていたらしい。
途端に厳しい表情で、俺を睨む。
「ガウリイっ!」
「あ、す・・スマン」
まったくぅ・・・っと肩を竦めると、軽く微笑む。
「今回だけだからね、こんなこと・・・」
ポツリとこぼし、下げた俺の頭をクシャっと混ぜる。
いつも、俺がリナにやっていたように。
俺が、俺だけがリナに出来た仕草で。
今度は俺がクシャクシャに混ぜられていた。
「あ!コラ、リナっ!」
「ふふっ、仕返しよ。このくらいいいでしょ?」
イタズラっぽく微笑む。
ああ・・・やっぱり、リナには笑顔が一番だ。
「今日は、とことんおごってもらいますからね!」
そして、リナは今までいたバーガーショップから出る。
外は、日差しの暖かい穏やかな昼下がり。
そのあたたかい光が、彼女を照らし出した。
世界で一番、いとおしい存在に。
ただ守られているだけじゃあ、決して満足しない、難しい妻に。

結婚生活5年。

俺は、未だ彼女に恋している。

「よし!今日は好きなもの買おう!二人で!」

「もちろん、美味しいものもね♪」
「ああ!そうだな」

バーガーショップから見ていた往来に、俺達は混ざって。
二人、腕を組んで歩いた。
まるで、昨日出会ったような二人で。
何時までも、恋人のように。


今日、駅前にあるバーガーショップで。
キャップもグラスも取ってデートしましょう。

世間に混ざり合って、デートしましょう。

もう一度恋をし合って デートしましょう!



END

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は〜いここまで私のお話しに付き合って下さった、奇特な皆様。
どうもありがとうございましたぁ!!!(感涙)
このお話しの原案は、『 AQUARIUM 』という某水族館HPに
ございます。
私はそこの館長の分身ですんで、もしお暇ならお尋ね下さい
ませ!(^^)

では、また仙翁花がここに姿を現す日まで!