◆−はじめに。−キツネノテブクロ (2002/12/17 09:34:01) No.12146
 ┣沙 ―序章―−キツネノテブクロ (2002/12/17 09:37:15) No.12147
 ┣沙 ―邂逅―−キツネノテブクロ (2002/12/17 09:42:57) No.12148
 ┣沙 ―幻想と現実―−キツネノテブクロ (2002/12/17 19:38:19) No.12158
 ┃┗別名考えてみました。−白樹 (2002/12/19 16:00:09) No.12194
 ┃ ┗Re:別名考えてみました。−キツネノテブクロ (2002/12/21 18:40:25) No.12244
 ┣沙 ―生者…死神―−キツネノテブクロ (2002/12/18 14:18:27) No.12173
 ┣沙 ―想い―−キツネノテブクロ (2002/12/18 14:51:46) No.12174
 ┃┗Re:沙 ―想い―−由季まる (2002/12/20 01:20:42) No.12213
 ┃ ┗Re:沙 ―想い―−キツネノテブクロ (2002/12/21 19:15:03) No.12245
 ┗沙 ―影の色―−キツネノテブクロ (2002/12/24 08:24:13) No.12304


トップに戻る
12146はじめに。キツネノテブクロ 2002/12/17 09:34:01


以前連載していたパラレルモノの『沙』を、手直してもう一度連載しようと思います。
話は途中までは殆ど以前と同じです。

気長に連載していこうと思いますので気が向いたら読んでみてください。
では。

トップに戻る
12147沙 ―序章―キツネノテブクロ 2002/12/17 09:37:15
記事番号12146へのコメント

*********************************************

                      沙 ―序章―

*********************************************










  人は何を残し、何を受継ぐのか










                           知識か













      技術か












            それとも血の流れか












                        それは誰も解らない






人はまるで砂の一粒のように










                    何かに抗いながら










                                それでも生きている

*********************************************

トップに戻る
12148沙 ―邂逅―キツネノテブクロ 2002/12/17 09:42:57
記事番号12146へのコメント

*********************************************

―邂逅―





焼けつく痛みに耐え、青年は森の中を駆け抜けていく・・・青年の脳裏にあるのは、血を流し倒れていく同胞の姿。
倒れそうになりながら、それでも青年は走り続ける、青年は追われる者だから・・・





どれほど走ったのか、青年は森の中で小さな泉を見つける。
猛烈な喉の渇きを感じ、その泉の水をあおる様に飲んでいく。

「随分とボロボロじゃねえか」

何時の間にそこに居たのか、象牙色のコートに身を包んだ長い緋色の髪の男・・・
青年は、突然現れた男に驚き、警戒の色を見せる。
「酷えざまだな、そんなんなっても生きてーか?」
「あんた・・・誰だ?」
「さあな、もし生きたいと思うんなら俺と来い、お前の生きる場やろう・・・だが、死にたいってなら、ここで殺してやる。
さあ、選びな」
緋髪の男は、青年に問いかける。
青年は静かにその男を見ていたが、男が本気とわかるとゆっくりと頷いた。
「俺の手をとれ、今この瞬間よりお前は俺と共にある。
俺は魔竜王(カオスドラゴン)と呼ばれてる、覚えろよ」

「俺は・・・ク・ルオン・・・・・・・・・・・・・元の名は忘れた・・・」




ク・ルオンはカオスドラゴンに連れられ、彼の館に来た。
見た目こそシンプルで、装飾の無い内装をしているが、造りのしっかりした、広大な館に連れてこられた時は、驚きを感じていた。
その広大な館の一室に部屋を与えられた。
「やけにだだっ広いな」
ク・ルオンがカオスドラゴンに言われたのは、傷を治すことに専念する事、それだけだった。
特に何かをする事も無く、ク・ルオンは部屋に備え付けてあったベットにもぐり込み、眠りに落ちる。


・・・・血の色の夢を見ないことを願いながら・・・・





カオスドラゴンは、彼が唯一従っている人物とあっていた。
その相手とは、カーテン越しでの会話ではあったが・・・

「森で何か拾ったようですね?
カオスドラゴン」
「・・・」
カーテン越しに伝わる威圧感に、カオスドラゴンは微かに嫌悪を抱く。
「そう言えば・・・この近くで竜族が狩りたてられていましたね」
「・・・何が言いたいんです、赤眼の王(ルビーアイ)」
ルビーアイ、この世界の裏世界の頂点に立つ闇組織、と表向きとしてはなっているが、実際はかなり怪しい組織である。
そして、そこのトップは代々「赤眼の王(ルビーアイ)」と呼ばれる。
「貴方が拾ったものが、あの子にとって害が無いかどうか・・・・それが気になるだけですよ」
「・・・」
ルビーアイが言うあの子とは、おそらく彼の血をひくと言われる人物の事だろう。
「俺はあいつが害になるとは思いませんがね」
カオスドラゴンはそれだけ言うと、踵を返してその場を辞した。
「だと、いいのですけどね・・・」

その呟きを聞く者は無かった・・・





数日の時がたち、ク・ルオンの傷は癒えていたが、いくつかは目立つ場所に傷跡が残っていた。
「ま、そのぐれいはあってもいいだろ」
カオスドラゴンはその傷跡を見たとき、豪快に笑いながらそう言ってのけた。
「で、俺は何をすればいいんだ?」
よほど退屈していたらしく、顔をあわせるたびに聞いてくる。
「おいおい、そんなに暇か?
なら、ここの間取りを頭の中に入れとけ、どうせ覚えにゃならんのだ」

と、言われて少しづつ行動範囲を広げてはいるのだが・・・・・・・・・・・・・・・広い・・・・・・・際限なく広い。
カオスドラゴンに聞いた話だと、彼のただ一人の上司の使うエリアを中心に、東西南北にそれぞれの所有エリアがある。
因みにカオスドラゴンは東エリア、中央エリアにはカオスドラゴンの上司の他に、もう一人使っているらしい。

「これをどーやって覚えろと?(疲)」
いい加減疲れかけた頃、視界を掠める人影に目を奪われる。

そこは、広いホールのような・・・礼拝堂のような場所。
美しい模様の描かれた、ステンドグラスから差し込む光に照らし出されて、一人の青年が立っていた。
白銀の髪に雪のように白い肌、孔雀色の瞳をした冷たい美貌の持ち主。
「誰だ」
こちらに気がついた青年が、誰何の声を上げる。
「・・・」
ク・ルオンはどうしたものかと黙っていた、カオスドラゴンがむやみに名乗るなと言っていたのを思い出す。
「口が利けないのか」
「そういう訳じゃないが・・・」
「お前、誰の配下だ?」
「は?」
「俺はここの奴らの顔は殆ど覚えているが、お前は見たことが無い。
なら、最近になってここに来たやつと言う事になる」
青年は淡々と語る。
「あんたが名乗ったらな」
「ふんっ、まあいいだろう・・・俺はフェン・レン」
「俺は、ク・ルオン・・・」
「それは通り名か?」
「あんたもだろ」
そう言って互いに微かに微笑う。


「俺は大概ここに居る、気が向いたらまた来いク・ルオン」
フェン・レンのその言葉を背に、ク・ルオンはその場を立ち去った。





<続>

*********************************************

トップに戻る
12158沙 ―幻想と現実―キツネノテブクロ 2002/12/17 19:38:19
記事番号12146へのコメント

*********************************************

―幻想と現実―





ク・ルオンはカオスドラゴンに、フェン・レンのことを聞いてみようと思っていた、あの青年の言葉通りなら彼はここでの生活は長いと思えた。
「なあ、フェン・レンって知ってるか?」
久々に顔を見せたカオスドラゴンにク・ルオンは聞いてみた。
「フェン・レンだと、あいつの会ったのか?」
「ああ、礼拝堂みてーなとこでな」
「そうか・・・で、名乗ったのか?」
「・・・・ああ、通り名の方だけどな」
「まあ、あいつなら大丈夫だと思うが・・・・フェン・レンってのは赤眼の王(ルビーアイ)の直属の切れ者でな、血が繋がってるとか言われてる奴だ。
ここでは奴にたてつく馬鹿はいねえ、と言うより赤眼の王(ルビーアイ)のお気に入りでもあるから、誰も奴を怒らせるような事はしねえってのが現状だ。
覚えといた方がいいだろうな」
「・・・ああ」
ク・ルオンはフェン・レンの事を思い出してみた、冷たい美貌の持ち主だが、その目は感情らしきものが無かった。
最初に見たとき、人形のように感じたが、それは瞳に何の感情も浮かんで無かったからだった。

――綺麗な人形かと思ってたが、違うのか・・・





フェン・レンは一人ステンドグラスを見上げたいたが、やがてその場を立ち去った。
ステンドグラスには、古い宗教の聖母が描かれていた。





赤眼の王(ルビーアイ)はフェン・レンの元に訪れていた。
フェン・レンは広大な敷地の外れの、小さな家に住んでいた、少しでもここに住む者たちと、距離をとろうとするかのように。
「フェン・レン居るんでしょう?
出てきなさい」
赤眼の王(ルビーアイ)はエントランスのホールで、家人を呼ぶ。
「来てたのか・・・何のようだ、レゾ」
「鍵位かけたらどうです、無用心ですよ。
それと、無闇に本名を呼ばないで下さい」
赤眼の王(ルビーアイ)、レゾは困ったような声で言う。
「・・・あんたを操れる奴が居るのか?
この世の中で」
この世界には、名前に力があると信じられ、実際強い魔力を持つ者やイヴィルといった特殊な生まれの者たちは本名とは別に、呼び名を持っている。
一般の人間でさえ、本名では無く別名を使うような世界なのだ。
事実、呪縛の一つとして完全な傀儡を行える者も居る、だがそれは生まれ持った資質と、高度な魔道知識を持ち合わせなければ、無理ではあったが・・・。
しかし、レゾの直属の中にはこの傀儡の使い手が居る、通り名も「傀儡士(ドールマスター)」などと呼ばれている。
「まあ、私を操れるものが居るとは思いませんが、用心したっていいでしょう・・・。
って、今日はこんなこと言いに来たんじゃ無いんですよ」
「じゃあ、何しに来た」
「相変わらず冷たいですね」
ワザとらしくいじけて見せるレゾ、かなり鬱陶しい・・・
「さっさと、用件を言え。
それと、茶ぐらいは入れてやるから中に入れ・・・ったく」
呆れきった声をかけながら、フェン・レンはさっさと奥にひっこんでしまった。
「冷たいですねえ、相変わらず」





レゾに出されたお茶は、本来の味は何処に言ったと言いたくなるような、とことん濃い目で渋くて口に含んだ瞬間、噴出すんじゃなかろうかと言うような、そんなお茶だった。
「・・・フェン・レン(TT)」
「ん?どうした」
フェン・レンは自分のだけは丁度よい濃さの紅茶を飲みつつ、しれっと聞き返している。
「貴方は私が嫌いなんですか?」
「何今更言ってる」
「・・・・・・・・・・・(TT)」
「ところで、話とは何だ」
「ああ、カオスドラゴンが最近拾い物をしたんですよ」
「ほう・・・」
「本人は何も言ってませんが、竜族狩りにあった者の、生き残りじゃないかと思うんですよね」
「ふーん」
「名前は聞いてませんけどね、かなり目立つ容姿をしてるみたいですね、蒼い銀髪に金混じりの琥珀の目だそうです。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・白の傀儡(ドール)の報告だと」
「・・・」
適当に返事をしながら聞いていたが、最後の容姿で引っかかる。
礼拝堂で会った青年、彼も蒼い銀髪に金混じりの琥珀の目ではなかったか・・・
「何か気になることでもありましたか?」
「いや・・・」

「フェン・レン・・・フェン・レン・・・フェン・レン!」

ちょっと、ぼうっとしていたらしい。
「もし彼が気になるようなら、貴方のものになるように計らいますよ」
「いらん、そんな真似するな!
何をやろうとも、貴様に名前を教えたりはせん!」
そう、冷たく言い放つフェン・レンにレゾは悲しげな顔を見せる。
仕方ない事とはいえ、自分はこの青年に嫌われて当然のことをしたのだ。

「また、来ますね・・・」

それだけ告げると、レゾは立ち去った。





不思議な組み合わせに目を見開く、銀の髪の青年が誰かといる所を見たことが無かった。
「こんにちは、フェン・レンさん。
そちらはどなたですか?」
「何の用だ、謎の人(ミステリア)=E・・何時もの好奇心か?」
「ま、そんなとこです。
で、そちらは?」
艶やかな黒髪を肩で揃え、人当たりのよさそうな笑顔を浮かべた青年が、フェン・レンの隣の蒼い銀髪の青年の事を問いかける。
「さあな・・・図書館なら次の角を右に曲がればあるぞ」
「サンキュ、じゃあな」
そういうと、青年は手を軽く上げて立ち去った。
「ホントに誰なんですか?」
フェン・レンはミステリアを一瞥しただけで、何も答えずに背を向ける。
「相変わらず意地悪ですね・・・この方は・・・」





ク・ルオンは一人、図書館で調べていた。
長い事追われる生活をしていたせいで、この世界の事が理解できていないのだ。
「・・・なんか難しい字が多い・・・」
「だろうと思って、来てやったぞ」
「フェン・レン?」
何時の間に来ていたのか、フェン・レンが呆れた様にク・ルオンを見ていた。
「まず、何から知りたいんだ?」
「その前に読み書き教えてくれ(TT)
今更、まともに字が読めねえとは思わなかったぜ・・・」
「・・・;;
解った、まずは・・・」
その日からフェン・レンのク・ルオンの個人授業が始まった。





「だいぶ出来るようになったな」
数日後、フェン・レンの教え方が上手かったせいか、ク・ルオンは一通りの読み書きが出来るようにはなっていた。
「けどよ、ここの本って古代文字(ルーン)で書かれた物もあるよな。
読むやついるのか?」
「俺」
フェン・レンは自身を指差し言い切る。
「ルーンでかかれたものは魔道書の類だ、基本知識の無い奴が読んでも意味など解らんものばかりだ」
「あんたは解るのか?」
「これでも魔術師(ルーンマスター)≠セからな」
「へえ・・・」
魔術師(ルーンマスター)、呪文(ルーン)に込められた力を解放し使う事の出来る者たち。
本人の魔力の強さに左右されるが、ルーンの組み合わせと本人の魔力次第では、死者さえ蘇らせる事も出来るという。
「意外か?」
「いや・・・以前に野党の親玉の様な奴がルーンマスターだった事があるから、別に驚きしねーけどよ・・・」
「俺が魔術師になったのは、それなりに目的があったからなんだが・・・」


―――失ったものを取り戻せると信じてた・・・子供の見る夢のように・・・


「不可能を可能にする力なんてありはしない、それが俺の知った現実だ」





<続>


*********************************************

――あとがき――

邂逅(一話)にあとがき入れるの忘れてたね。

ゼル:おい。

はい?

ゼル:これ前にも連載してたやつだよな?

さいです。
多少手直しして、もう一度書き直そうかと思って。

ゼル:途中までは殆ど前と一緒なんだろ?

まあそうなんですが、気にしちゃあいけません。
前に書いてたときは、リナとかガウリイとかは出る予定無かったんですが、出そうかと思って。

ゼル:ほう。

それでですね、何人か別名を考えなきゃいけないと思って(^^;

ゼル:募集しようと。

さいです。
そのまま使うかどうか解りませんけど。

ゼル:で、誰々なんだ?

リナ、ガウリイ、アメリア、ルーク、ミリーナ、フィリア、かな。
アメリアに最初プリンセス(姫さん)≠チて考えたんだけど、ちょっとまずいかなと思ってさ。

ゼル:まあな。

ではこの辺で。

ゼル:気が向いたら読んでやってくれ。

トップに戻る
12194別名考えてみました。白樹 2002/12/19 16:00:09
記事番号12158へのコメント

こんにちは。キツネノテブクロさん。お久しぶり・・・でしたよね。確か。(人の記憶に頼るな自分)
登場人物の別名を募集してらっしゃるようなので、考えたものを投稿してみます。私が考えたのは、リナの別名で、緋色の魔術士(ブラッディウィザード)
というやつです。どうでしょうか?参考になりますか?
では、短いですが失礼します。続きも読ませていただきます。それでは。

トップに戻る
12244Re:別名考えてみました。キツネノテブクロ 2002/12/21 18:40:25
記事番号12194へのコメント

こんにちは、お久しぶりです。
>こんにちは。キツネノテブクロさん。お久しぶり・・・でしたよね。確か。(人の記憶に頼るな自分)

>登場人物の別名を募集してらっしゃるようなので、考えたものを投稿してみます。私が考えたのは、リナの別名で、緋色の魔術士(ブラッディウィザード)
>というやつです。どうでしょうか?参考になりますか?
緋色の魔術師、かっこいいです(^^
リナのイメージカラーは緋色とか赤系なんでしょうか。

>では、短いですが失礼します。続きも読ませていただきます。それでは。
ありがとうございます。
名前、参考にさせていただきます。
では、このへんで失礼します。

トップに戻る
12173沙 ―生者…死神―キツネノテブクロ 2002/12/18 14:18:27
記事番号12146へのコメント

*********************************************

―生者…死神―





カオスドラゴンは同僚のダイナストと酒を酌み交わしていた。
「カオスドラゴン、最近拾い物をしたと噂になっていたが?」
「ん?
ああ、あいつか」
「なんでも竜族だとか、しかも古代竜の生き残りだと聞いたのだが」
「さあな・・・おれはあいつの詳しい事は知らん。
多分竜族だろうってことぐらいしかな」
「相変わらず大雑把な奴だな・・・まあ、それとは別にお前に話があるのだ」
「?」
「奴から連絡があった」
「奴・・・だと?
まさか・・・」

「そうだ『霧の硝子(グラス)』からだ」

その場を支配したのは重い沈黙と・・・・
ふと感じた冷たい殺気、二人は音もなく動く。

「ふん、鈍ってないみたいだな」

そう言いつつ出てきた男は、黒のコートに黒のブーツ、コートの下も黒一色、だが白銀の髪と雪の肌が白く浮かび上がる。
二十代後半ぐらいの美丈夫がそこに居た。
「今更何しに来た!?
つうより、どっから入った!!?」
「カオスドラゴン落ち着け;;
言うの忘れたが、我の部屋に泊めていたのだ」
「先に言え(怒)」
「すまぬ;;」
「で、何しに来たんだ?今更よ」

「確かめるためだ・・・自分の目で」

「確かめる?何をだ」
霧の硝子(グラス)の言葉に、カオスドラゴンは眉を顰める。
「・・・悪いがそれは言えない。
本来なら、俺はここに来てはならない人物だ・・・お前たちに迷惑はかけん。
少し、ここでの行動を見逃してくれるか?」
「・・・一つだけ確認させろ、白霧(デスフォッグ)とは関係ないことなんだな?」
「ああ・・・あの女は俺がここにいる事すら知らんだろう」

「・・・よかろう・・・・」





血の匂いが充満する一室があった。
そこそこの大きさの街の一角、暗く寂れた裏通りの安アパートで、男が死んでいた。
その男の傍らには、部屋のものを物色している者達がいた。
「駄目ですね、何処に隠したんでしょう」
「よく探せ、奴が持ち出した事に間違いは無い。
あれを見つけることが、今回の仕事だ」
黒髪の男の言葉に、銀髪の男が答える。
「そうは言いますけどね、フェン・レンさん。
僕はあれが何なのか、よく知らないんですけど・・・」
「俺も知らん。
ただあれはルビーアイの奴が溜め込んだ、研究データも含まれてるらしい」
「はああああああああああ・・・・
せめてどんなものか解れば、苦労はしないんですよね。
それより、そろそろここを出たほうがよさそうですよ」
「の様だな、仕方ない・・・一旦ひくぞ」
フェン・レンと黒髪の男が姿を消すのと同時に、その部屋に警察が踏み込んでいた・・・荒らされた部屋に唖然として・・・





自室に戻ったフェン・レンは使い魔をを放ち、先程殺した男の足取りを追っていく、その途中で何かを残していないかどうか確かめながら・・・
「奴は何を持ち出したんだ?
レゾは何も言ってなかったが・・・」
ルビーアイの研究データが含まれた何か・・・
「奴の事から調べなおす必要が有るかも知れんな」





その男は「小心者(スモール)」と呼ばれていたらしい。
本人は別の通り名を名乗っていたが、ここではその名で呼ばれてはいなかったようだ。
スモールの名の通り、とにかく他人の顔色を伺い、大それたことをしでかすような、性分ではなかったようなのだが・・・
ざっと纏められた資料に目を通しながら、フェン・レンは考え込む。
上に逆らう度胸はおろか、自分の意見すらまともに言えない様な奴が、ルビーアイから何を持ち出すと言うのか。
宝石の類なら、よほど珍しいものか、高価なものでなければ、ルビーアイは持とうとはしない。
何より宝石なら宝石だと言うだろうし、独自のルートで調べた宝石の流れには、ルビーアイが所蔵している物は流れていない。
「となると・・・あのぢぢいにも何をとられたかはっきりしてないって事か?」
それはありえないと思いながらも、可能性の一つとして意識に留めておく。





気分を変えるために何時も行く礼拝堂に来ていた。
自分は神を信じていない、何よりこの世界に神など居ないことは、誰もが知っている事。
神を信じているのは、ほんの一部の者だけ。
なら自分は何故何時も礼拝堂に来るのか・・・答えなど解りきっている。
礼拝堂のステンドグラスを見る為に、幼い頃に失った母親を見るように、聖母が描かれたステンドグラスを見ていた。
「よう、顔色悪いな」
声をかけてきたのは、この礼拝堂で知る事になったク・ルオン。
いい加減ここにもなれてきた頃だろう、この男が自分のことを知らないとは思えなかった。
誰もが自分のことを知れば、距離を置き避けるようになるのに、この男だけは最初の頃から態度が変わることの無かった。
「そうか?ここは薄暗いからそう見えるんじゃないか」
そう言って軽く笑う、がク・ルオンは何故か余計に心配そうな表情をする。
「お前、今自分がどんだけ酷い顔色してるか自覚が無いだろ」
そう言ったク・ルオンの声には、怒りの色が少し感じられる。

――心配してるのか・・・

今まで、誰かに心配された事など無かった為、どう言って良いのか解らず口ごもる。
「とにかく、しっかり食ってしっかり寝ろ。
そうすりゃ少しはマシになるだろ」
ぶっきらぼうに言われた言葉に軽く頷き、フェン・レンはその場を立ち去った。





ク・ルオンはフェン・レンを見送ったあと、礼拝堂のステンドグラスの一つを見上げていた。
それは竜殺しの物語のワンシーン・・・竜の見る夢に力が宿ると信じた昔の人々が生み出した、御伽話・・・。
剣を振上げた勇者に、竜が炎を吹きかける戦いのシーンが、描かれたそのステンドグラスを見るたび、己の一族の末路を思い出す。
戦い方を知っていれば、死に絶える事は無かったのだろうかと・・・・戦い方を知っていても結末は一緒なのだろうかと・・・答えの無い問いを繰り返していた。
「俺は生き抜いてやる・・・生きて・・・」



――俺は生き抜いてやる・・・たとえ死神となろうとも・・・





<続>


*********************************************

――あとがき――

暗い話だな・・・・

ヴァル:明るい話にはならねんだろ。

まあ、そうなんだけどね。

ヴァル:ところで・・・・・・・・

はい?(嫌な予感が・・・)

ヴァル:『竜の見る夢』はどうした?

うっ!(汗)
ストップしてます・・・・・・すいません(小声&滝汗)

ヴァル:そのうち見捨てられるぞ(呆)

あううううう(滝涙)

ヴァル:これはほっといて、この辺で。
気が向いたら読んでやってくれ。

トップに戻る
12174沙 ―想い―キツネノテブクロ 2002/12/18 14:51:46
記事番号12146へのコメント

*********************************************

―想い―





ルビーアイは一人研究データを確認していた。
数十年前の研究データの中には、途中止めにしたものも含まれている。
「やはり・・・データを吸い出した跡がありますね。
しかもよりよってあの研究データですか・・・」





フェン・レンは放っていた使い魔から幾つかの情報を得ていた。
「面倒な事になったな・・・スモールが持ち出したのは情報、データの入れ物が問題か・・・」
フェン・レンは、この件以外にこなさなければならない仕事も抱えている、出来れば人手が欲しい所ではあるが・・・
「この件に関しては下手に人を使えんか」
椅子に深く沈みこむように腰掛け、軽く眉間の辺りを揉み解す。

―――この件以外は他のものに任せるか・・・

それでも、人手が無いのが現実・・・かと言って信用できるものがそれ程いるわけでは無い。
今この件に関わっているのは、自分とミステリアの二人、せめてもう一人居て欲しいが・・・。





地下深くにある研究室で、ルビーアイは過去を思い出す。
「・・・・メティス・・・お前は私を憎んでいたのでしょうね・・・」
ミネルヴァ ―No.0―≠ニ書かれた、装置の前でルビーアイはそう呟く。
禁忌とされる実験・・・過去の彼は狂気に犯されていたとしか言えない様な、そんな研究ばかりしていた。

pipipipi・・・・

冷たい電子音が小さく響く中、ルビーアイは己の過去を消し去りたい衝動に駆られていた・・・





霧の硝子(グラス)はダイナストが用意した部屋にこもり、一枚の写真を見ていた。
そこに写っているのは、グラスと若い女性・・・銀髪に孔雀色の瞳をした綺麗な人。
「・・・クオン・チュエオ(孔雀)・・・いや、メティス・・・あいつ大きくなってたよ。
お前もあいつの事見ていたかったんだろ?
今はフェン・レン(風刃)って名で呼ばれてるぜ・・・俺達の息子、ゼルガディスはよ」
そう呟くグラスの顔は、何処か悲しそうでもある。
「今・・・会いに行ってもあいつは俺を拒むだろうな」
いつの間にか姿を消した自分が、今更父親として顔をあわせることなど出来ない。
グラスがここに来たのも、ただ息子の姿が見たいから等ではなく、妻であるメティスの残した、言葉の意味を知るためでもある。

「『レゾは諦めていない』・・・か・・・」





カオスドラゴンは、目の前にいる訪問者を胡散臭そうに見ていた。
「で、ク・ルオンを貸せってのか?
フェン・レンお前な、俺があいつにまだろくに仕事をさせてないのを、知ってると思ってたが?」
「ああ、知ってる」
優雅に足を組み替えながら、フェン・レンはカオスドラゴンに答える。
「いい機会だろ?
生憎、他に信用できそうな奴を俺は知らないしな」
「ほう・・・あいつが信用できるってのか?
何故そう思ったかはあえて聞かねえが・・・高くつくぜ、一応あいつは俺の直属に置いてるからな」
「何が望みだ?」
「なに――――――」
「・・・・善処する」

静かに交わされたのは密約・・・ただそれを知るのはこの場の二人だけ・・・





灰色のコートに身を包んだ男が一人、寂れた裏通りを歩いていく。
黒い髪に琥珀の肌、濃いサングラスをかけているが、形のよい唇とすっと通った鼻筋でこの男がかなりの美形だと知れる。
その男に難癖つけてくるガラの悪い連中も、男の手の甲に押された十字の焼印を見るや、さっさと逃げていく・・・
その男は通称十字の刻印(クルス)≠ニ呼ばれ、殺しを生業とする、暗殺者(アサシン)だった。

そして、クルスが向かった先はフェン・レンが殺したスモールのアパートだった。





過去は変えられない――
「孔雀・・・」
血の匂いの残る部屋に入り、クルスは一人過去を思い出す。


そこそこ大きな町の外れのスラムにその親子は居た、両親と子供の三人家族で、ひっそりと暮らしたいた、誰を恨むでもなく静かに・・・
そしてその親子は美しかった、三人とも綺麗な銀の髪で、母親と子供は蒼にも翠にも見える、綺麗な色の瞳をしていた。
クルスはその親子を見ているのが好きだった。
「孔雀、何読んでる?」
クルスはその子供を孔雀と呼んでいた、孔雀色の瞳を連想させる言葉だから。
「・・・本・・」
その子供――孔雀の口数は極端に少ない、気に入らない相手だとまともに口を聞く事は無く、孔雀の声さえ知らないと言う輩も居た位だった。
「やるよ、孔雀」
そういって、手渡したのは小さなナイフ。
「一応護身用、めったに使うなよ。
玩具にもするな、怪我するからな」
「ん・・・ありがと・・・」
「それとな、孔雀・・・近いうちに俺は別の町に行くことになりそうなんだ・・・」
そう言った時、孔雀は淋しそうな目をしたが、何も言わなかった。
「孔雀、俺は何時でもお前の味方だ・・・何時でも俺を頼ればいい。
俺にできる事は何でもしてやる」

――それが、ラダさんとの約束だしな・・・

クルスにはその約束が無くても、この子供を守ってやりたかった・・・この子供の事を良く知っていたから・・・


「何処に居る孔雀・・・俺は・・・」
血の匂いが残る部屋をクルスは静かに見ていたが、やがてその場を立ち去った。





―――相手に本当の名を知られてはいけない・・・魂さえ呪縛されるから・・・


それがこの世界で言われ続けられている、言葉。
小さい頃は知らなかったこの言葉の意味を、フェン・レンは赤眼の王の下に来てから知った。
自分の本当の名前・・・それを知るのは自分の生みの親だけ・・・

「・・・・『風刃(フェン・レン)』・・・それが今の俺の通り名・・・」

彼の戦う姿を見たものがそう呼んだのが最初だった、幼い頃は違う名で呼ばれていた。
風が吹き抜けて行く様なスピードで相手をしとめるところから、彼はそう呼ばれるようになっていた。

「・・・母さん・・・何故死んだ?」

幼い彼を残し突如死んだ母、父親もいつの間にか居なくなっていた。
彼は取り残された、そして母が唯一彼に言い聞かせていたのは。

『どんな事があっても、レゾに貴方の名前を教えては駄目。
あの男は貴方を・・・』

彼の中の記憶はいつもここで切れる、ここから先が何故か思い出せないのだ。
母が死んでからはフェン・レンは一人で生きていた、子供の彼が生き抜くには辛い道を選ぶしかなかった。
時がたち、彼は母が死んだのはレゾと言う男が関係していると知った。
それを知った時には彼は、レゾの下で死神となっていた。





眠るたびに見る夢は血の色・・・・次々と血を流し倒れていく同胞の姿・・・
ク・ルオンは今は彼一人となった古い種族、古き時代より続いた竜の末裔。

「元の名なんて忘れた・・・いや、忘れたいと思っただけだ・・・『古竜(ク・ルオン)』か皮肉だな、まさしく俺の一族を示してやがる・・・」

体のあちこちに残る傷も、彼にとっては忌まわしい記憶の証人だった。
彼の一族は黒い翼を持ち、他の種族を圧倒するほどの魔力を秘めていたが、戦いを好まず静かに隠れるように暮らしていた。
どれほど力を持っていようと、戦い方を知らなければ力の弱いものにも、追い詰められる。
若く力溢れるものからじわじわと、数を減らすように殺され、老人や子供などが戦う術を知らぬ者が、追い詰められて殺されていった・・・
ク・ルオンも生き残れたのが、奇跡と言って良いほどの状況だった。

「生きる場・・・それが命を奪う場であったとしても、俺は・・・」

彼には他に行き場を知らなかった。






<続>


*********************************************

トップに戻る
12213Re:沙 ―想い―由季まる E-mail 2002/12/20 01:20:42
記事番号12174へのコメント

お久しぶりです!『沙』再開おめでとうございます!
読み逃げ者で申し訳けないです…。でも見てますよ〜

さっそく、ヴァルとゼルが親しくなったみたいですね
怪しい闇組織…ですか。怪しいってところがすごく気になりますね〜
ラダさんがひょっこり顔だしたりしてますが、とりあえず、この後の展開はゼルの出生の秘密が中心になるのかな…?
なんともいえない、重みのある話ですね。これからも暗くなるのですか…暗いのは嫌いじゃないですが、(特にヴァルが)不幸になったらやだなって思っちゃいました…(すいません・汗)
しかし、この静かな展開にリナ達が入ってきたらどううなるんでしょうねえ…(汗)

名前募集中だそうで
こうゆうの考えるのが好きなんです私(笑)
ない知恵で考えてみました、よかったら使ってみてください

 アメリア→戦巫女・白巫女…姫がだめなら、巫女がある!と思って考えてみましたが、巫女って英語わからないので(をい)、漢字だけです。
      戦娘(ファイター・ガール)…まんまです、ガールを使ってみたかったんですが、上手い具合にしっくりこないですね…。『鋼鉄娘』っていうのも考えたんですが…これでは、違う感じになってしまいますしねえ(苦笑)

 リナ→紅破者・竜破者・魔破者(デストロイヤー)…漢字だけたくさん思いついて、音はイマイチですね…。リナに漢字あてるとどうしても、『破』をつけたくなって困りました(笑)。ちなみに竜破者は『どらまた』からヒントを得てきました。別にリナちゃんを竜殺しにしようってわけではないです(笑)
    炎破魔使い(サラマンダラー)…音が合わないかなとも思ったのですが…いかがでしょう?
    炎破魔の精霊(サラマンダラ)…上記の改訂版です。

 ルーク→赫の影・紅の影・赤の影(クリムゾン・シャドウorシャドウ)…元暗殺者(原作では)なので影とつけてみました。
     影(シャドウ)…こちらも、同じ理由です。色ない方がいいかな、と思ったので『血』もいいけど、あんまり暗殺者すぎてもだめかと考えてみたのです。

 ミリーナ→沈黙(サイレンス)…無口だから(笑)
      雪音(スノウ・ノイズ)…上記と大体同じ理由です。こっちの方が、漢字は綺麗か、と思ったので。雪のようにシンシンとしゃべる、という意味で。

 ガウリイ→剣王(ソード・マスター)…剣以外のどこにも注目しようがなかったので…。(ひどっ)
      光心(ライト・ハートorライト)…光の心なのに、軽い頭ととも取れるので。(をい)じゃなくて、光のように暖かな心だから、です。(本当か?)
      光を持ちし者(ライト)…上記改訂版です。光の剣もってると使えるかもしれませんが…。持ってなかったりします?(汗)

 フィリア→春花(フラワー)…完全イメージです。しかも、キツネさんの小説のイメージです。
      春花竜(フラワー・ドラゴン)…上記に同じ、ドラゴンつけただけです。

こんな感じです、英語しかわからないので、全部英語ですが…。音だけとか漢字だけとかはおもいつくのですが、なかなか難しいですね…。ヒントにだけでもなればいいのですが。

それでは!

トップに戻る
12245Re:沙 ―想い―キツネノテブクロ 2002/12/21 19:15:03
記事番号12213へのコメント

お久しぶりです、キツネノテブクロです。
感想&名前、ありがとうございます。

>さっそく、ヴァルとゼルが親しくなったみたいですね
>怪しい闇組織…ですか。怪しいってところがすごく気になりますね〜
何せ、トップがあのレゾですから(^^;

>ラダさんがひょっこり顔だしたりしてますが、とりあえず、この後の展開はゼルの出生の秘密が中心になるのかな…?
>なんともいえない、重みのある話ですね。これからも暗くなるのですか…暗いのは嫌いじゃないですが、(特にヴァルが)不幸になったらやだなって思っちゃいました…(すいません・汗)
この話、『沙』はゼルとヴァルがメインですね、ラダ氏もちゃっかり出てきてます。
ゼルの出生に関することと、もう一つメインになることがあるんですが、まだ当分先になると思われます。

>しかし、この静かな展開にリナ達が入ってきたらどううなるんでしょうねえ…(汗)
リナたちが入ってきたら・・・(汗)
一気にギャグになってしまう恐れが・・・・(滝汗)

>名前募集中だそうで
>こうゆうの考えるのが好きなんです私(笑)
>ない知恵で考えてみました、よかったら使ってみてください
ありがとうございます。

> アメリア→戦巫女・白巫女…姫がだめなら、巫女がある!と思って考えてみましたが、巫女って英語わからないので(をい)、漢字だけです。
>      戦娘(ファイター・ガール)…まんまです、ガールを使ってみたかったんですが、上手い具合にしっくりこないですね…。『鋼鉄娘』っていうのも考えたんですが…これでは、違う感じになってしまいますしねえ(苦笑)
なるほど、巫女がありましたね。
鋼鉄娘・・・・これはリナたちに命名されそうですね(^^;

> リナ→紅破者・竜破者・魔破者(デストロイヤー)…漢字だけたくさん思いついて、音はイマイチですね…。リナに漢字あてるとどうしても、『破』をつけたくなって困りました(笑)。ちなみに竜破者は『どらまた』からヒントを得てきました。別にリナちゃんを竜殺しにしようってわけではないです(笑)
いっそそのまま『どらまた』にしようかな・・・・はうっ!(殺気を感じた)
かっこいい名前にしましょうね(滝汗)
>    炎破魔使い(サラマンダラー)…音が合わないかなとも思ったのですが…いかがでしょう?
>    炎破魔の精霊(サラマンダラ)…上記の改訂版です。
リナのイメージ赤に炎に破壊でしょうか(汗)
うーん、リナって難しいです。

> ルーク→赫の影・紅の影・赤の影(クリムゾン・シャドウorシャドウ)…元暗殺者(原作では)なので影とつけてみました。
>     影(シャドウ)…こちらも、同じ理由です。色ない方がいいかな、と思ったので『血』もいいけど、あんまり暗殺者すぎてもだめかと考えてみたのです。
ルークは暗殺者のイメージが強いのでしょうか?
ルークは最初は予定では赤毛で登場するので、赤を連想させるクリムゾンもいいかもしれませんね。

> ミリーナ→沈黙(サイレンス)…無口だから(笑)
>      雪音(スノウ・ノイズ)…上記と大体同じ理由です。こっちの方が、漢字は綺麗か、と思ったので。雪のようにシンシンとしゃべる、という意味で。
雪音・・・・私はミリーナに銀の入る名前をイメージしてたんですが、『雪音』と言うの綺麗な名前ですね。
これはちょっと使ってみたいです、読みを変えるかもしれませんが・・・・。

> ガウリイ→剣王(ソード・マスター)…剣以外のどこにも注目しようがなかったので…。(ひどっ)
>      光心(ライト・ハートorライト)…光の心なのに、軽い頭ととも取れるので。(をい)じゃなくて、光のように暖かな心だから、です。(本当か?)
>      光を持ちし者(ライト)…上記改訂版です。光の剣もってると使えるかもしれませんが…。持ってなかったりします?(汗)
ガウリイも難しいですよね。
光の剣、持たせる予定は無かったりします;;
何とかしないといけませんね、ガウリイも(滝汗)

> フィリア→春花(フラワー)…完全イメージです。しかも、キツネさんの小説のイメージです。
>      春花竜(フラワー・ドラゴン)…上記に同じ、ドラゴンつけただけです。
フィリアは花のイメージなんですね、参考になります。
花の名前もありかな・・・。

>こんな感じです、英語しかわからないので、全部英語ですが…。音だけとか漢字だけとかはおもいつくのですが、なかなか難しいですね…。ヒントにだけでもなればいいのですが。
>
>それでは!
ありがとうございました。
名前参考にさせていただきます。
それではこの辺で、失礼します。

トップに戻る
12304沙 ―影の色―キツネノテブクロ 2002/12/24 08:24:13
記事番号12146へのコメント

*********************************************

―影の色―





・・・・・霧の硝子(グラス)は過去を見ていた・・・










・・・・・・十字の刻印(クルス)も過去を見ていた・・・










・・・・・・・赤眼の王(ルビーアイ)は過去を消したかった・・・・










・・・・・・・・全ては忌まわしき過去に繋がっていた・・・・










・・・・・・・・・一人の少女・・・・・










・・・・・・・・・・人にあらざる者・・・・・・・・










広い敷地を黒い影が走りぬける。
全身を黒い服でおおい、闇にまぎれる様に人影はある建物に滑り込む。
「ちょろいぜ♪」
呟く声は低く男だとわかる、そしてかすかに笑う気配がする。
「さっさと済ませるか」
黒い手袋をきゅっと引き上げ、たるみを取ると、男はざっと見渡しゆっくりと物色し始める。

ひゅっ!かかっ!!

「!!」
とっさに飛びのくと男の立っていた場所には、数本のナイフが突き立っていた。
「・・・・」
男の背に冷たい汗が滑り落ちる、誰もいないはず・・・・・気配などしなかった。

「いい感しているな・・・・・」

聞こえてきた声のほうに向けば、かすかに人の気配。

――いつの間に!?

「ここまで忍び込んだ腕は認めてやるが・・・・・」
冷たい声音に男は声もでない。
「・・・・」
「何が望みだ?金か?宝石か?そんなものならいるだけくれてやってもいい、さっさと失せろ!」
抑えられた声には微かな苛立ちが見える。
「いるだけくれるってのも魅力だが・・・・・俺を雇う気はないか?」
男は軽い調子で話しかける、内心では相手にかなり恐怖を感じていたが、ここで引くのも嫌だった。
「その腕を買えと?」
ふっと相手の雰囲気が変わる。
すっと差し込んだ月明かりに、相手の姿が浮かび上がる、男はそこにいるのは一人だけだと思っていたが、実際は二人。
一人は奥の方に立っているので、顔はわからないが女のようだ、手前の方に男が立っているのだが、思わず息を呑む。
銀の髪に白い肌、人形めいた美貌・・・・・
先ほどから自分と言葉を交わしているのは、この男なのだろう。
「面白いやつだな、いくらで売りつける気だ?」
どこか、からかいの含んだ声だが、返答次第では一気に殺されるような殺気も混じっている。
「それはあんた自身で決めてくれ、俺の腕に見合う対価は」

「そんな男、買う必要など無いわ」

奥に立つ女が冷たく言い放つ。
「ほう・・・何故だ?」
銀髪の男が楽しそうに聞き返す、顔は笑っているのだが目がまるで笑っていないのだ。
「その男が貴方の役に立つと思っているの?フェン・レン」
「使い方次第だ。
そうは思わないか?」
「・・・・私は赤毛の男を信用しないもの」
「・・・・・・・やれやれ・・・・相変わらずか」
フェン・レンは軽くため息をつく、そのしぐさもどこか優雅に見える。
「で、俺のことは買ってくれるのか?」
男の言葉に女がすっと前に出る、手には何時の間にか拳銃を持ち、きっちり男に照準をつけている。

――すげえ美人・・・・

銀の髪をポニーテールにした涼やかな美人に、男は状況を忘れて見入っていた。
「侵入者を生かそうなんて思わないで、この男が貴方の役に立つと思ってるの?」
女は無表情に言い切る、フェン・レンは微かに苦笑する。
「おい、お前名は?」
「あんたらで決めてくれ、一つの名前にこだわったことはねえから。
できればそっちの美人さんに決めてもらいたいな♪」
「・・・・・許す、撃て(怒)」
「わあああああ冗談じゃねえかああああ(滝汗)」
「ホントに撃った方がいいじゃないかしら」

――・・・(汗)

男は先ほどから冷たい汗が流れっぱなしだった、この二人口調は軽めに感じるのだが、全く隙が無い。
密かに逃げだす機会を窺っていたのだが、自分から視線を逸らしていても何故か逃げ出せないと思ってしまう。

――それにしてもこいつら何者だ?

逃げ出せない恐怖と、それを上回る好奇心に動けないでいた。


<続>

*********************************************

――あとがき――

解んないだろうけど、ルークとミリーナ登場。

ルーク:今度もミリーナに殺されたりしないよな?

いや、流石にそれはしないって(^^;
あれは書いた後で暫く凹んじゃったからね;;;

ルーク:俺とミリーナはらぶらぶになれるのか?

さあね・・・・

ルーク:・・・・

それより二人の呼び名だけど、ミリーナの方は由季まる様が考えてくださった、『雪音』を使おうかと、読みは変えるかもしれないけど。

ルーク:俺は?

考え中だよ。
じゃ、この辺で。

ルーク:次もよろしく。
気が向いたら読んでやってくれ。