◆-ハプスブルクの海洋-LINA(2/7-18:10)No.1227
 ┣ハプスブルクの海洋2-LINA(2/7-18:11)No.1228
 ┣ハプスブルクの海洋3-LINA(2/7-18:13)No.1229
 ┣ハプスブルクの海洋4-LINA(2/7-21:26)No.1230
 ┣ハプスブルクの海洋5-LINA(2/7-21:28)No.1231
 ┣ハプスブルクの海洋6-LINA(2/9-16:47)No.1252
 ┣ハプスブルクの海洋7-LINA(2/10-17:03)No.1265
 ┣ハプスブルクの海洋8-LINA(2/10-19:02)No.1266
 ┃┗Re:ハプスブルクの海洋8-ティーゲル(2/12-01:45)No.1271
 ┃ ┗お礼です-LINA(2/12-18:16)No.1275
 ┣ハプスブルクの海洋9-LINA(2/13-20:37)No.1282
 ┗ハプスブルクの海洋10-LINA(2/13-21:22)No.1283
  ┗Re:ハプスブルクの海洋10-ティーゲル(2/14-11:00)No.1285
   ┗ど〜もです-LINA(2/15-17:55)No.1293


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1227ハプスブルクの海洋LINA 2/7-18:10


今回のお話はスペインです。
ガウリイ君は今回(一応)王子様役です♪
リナちゃんとケイン君は・・・。海賊ではありません。念の為・・。

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1228ハプスブルクの海洋2LINA 2/7-18:11
記事番号1227へのコメント

「あ〜〜〜もう!!煩いわねえ!!」
リナの声が『ソードブレイカー』の船内に響く。
「しょうがねえだろ。戦争なんだから。」
妹を宥めるようにケインが言う。
彼等、兄妹は外見上は海洋を使った商売人、しかし実態はガレオン船を駆使して仕事をこなす『厄介事下請け人』などというやくざな家業をしていた。
このところのバルセロナの街は騒々しい。
それもそのはず。
今までスペインの王位についていたハプスブルク家の血統が途絶え、前王の遺言により血縁からフランス王ルイ十四世の孫がスペイン王に成る事になった。
しかし・・・。ハプスブルク家の本家本元のオーストリアがそれを傍観しているはずが無い。
フランス王の孫の王位継承に異議を唱え結局は戦争沙汰である・・・。
そんなこんなでリナの悪癖が昨日ついに再発したのである・・・。
イギリスのエリザベス女王に敗れ、落ちぶれたとはいえかつてのスペイン無敵艦隊の生き残りの血が許さない・・・。
などと言う訳のわからない理屈をこねて・・・・。
「また海賊いじめに行って来たんですか・・・?」
この船の乗組員の一人、アメリアが聞く。
「良いのよ。ど〜せあいつ等盗人でしょ。そんなヤツ等の船の一艘や二艘、撃沈してお宝を奪ったところで罪になりやしはしないわよ。」
アッサリ言ってのけるリナ・・・。
「そりゃ〜〜まあ!!そ・お・だ・け・ど!!あたし達の居ない間に働き先のこの船が海の藻屑となっていました!!なんて!!嫌よ!!」
船の料理係り、ミリィが絶叫する・・・。
「そ〜は言いますけど・・・。ミリィ・・・。アナタのお料理のほうがよっぽども被害総額デカイわよ・・・・。」
キャナル・・・。事実上この船の意思と言っても良い人物がジト目でミリィを睨む・・。それもそのはず。この船は大富豪ヴォルフィード家の一人娘である彼女の資金が在ってからこそ成り立つのだった・・・。
「ど〜でも良いだろ!!金に成れば!!いい加減に許してやれ。」
マスターのケインの一言でようやく静まり返る一同。
「とは言え・・・。アイツは許してくれそうも無さそうだな・・。」
ふと船内から港を見下ろしてゼルが言う。
『フヘ・・・?』
リナとケインの声がハモる。
「おや〜〜。レイルさんですねえ〜〜・・・。リナさんとケインさんに来いと仰っているみたいですが・・・。」
ヴォルフィード財閥の使用人にしてキャナルの下僕のゼロスが言う・・。
「ゼロス!!何時の間に!!」
リナが驚いたように言う。
「はあ・・・。キャナル様のお母上・・・。アリシア様からのご命令ですよ。」
「アリシア奥様からのご命令・・・?」
アメリアが不審そうに聞く。
「一体ナンだって言うんだ・・・。その荷物は・・・?」
『ソードブレイカー』船内に次々と運び込まれてくる引越しよろしくな荷物を呆れたように見てゼルが言う。
「だから。ご依頼です。詳しい話はレイルさんに伺った方が宜しいようですが・・?」
言ってゼロスは再度作業に従事する。
「一体なんだって・・・。キャナル、知ってるか・・・?」
「知らないわよ。ここの所ニ・三日ずっとみんなと一緒に居たのよ?」
ケインの問いにキャナルが言う。
「まったく・・・。コレだから『厄介事下請け人』なんぞと言う家業は・・。」
愚痴っぽく言ってゼルは運び込まれた荷物の一つにもたれ掛かろうとする・・。
「駄目!!ゼル!!」
唐突にリナが叫ぶ。
マトモにバランスを崩すゼルガディス・・・。
「おい!!おまえなあ!!」
「いきなり酷いじゃないですか!!リナさん!!」
ゼルとアメリアが抗議の声を上げる。
「シ!!良く見て!!」
荷物の箱に触れないようにしながらリナは箱に刻まれた紋章を指差す・・。
「双頭の鷲・・・・!!ハプスブルク家の紋章じゃないの!!」
ミリィが驚愕の声を上げる・・。
「って・・・。事は真坂・・・。ハプスブルクと今回の以来は何かの関係があるの・・?」キャナルが聞く。
「さあ・・・。僕は言われた事をしているだけでしてね・・・。詳しい事はレイルさんに聞いて下さいな。」
何時もの笑顔で言うゼロス。
「そ〜だな・・・。お前さんみたいな中間管理職に聞いた所で毒にも薬にもなんね〜わな。」「・・・。ケインさん・・・。酷い言い草ですね・・・。」
ケインの一言にかなりの衝撃を受けた様子でゼロスは答えた・・・。


「ナンの用だ・・・。レイル。」
不機嫌にケインはレイルに言う。
「そ〜よ。こっちは忙しいのよ。」
兄に負けず劣らず不機嫌な口調でリナ。
「何が忙しいんだ・・・?海賊いじめにか・・・?」
すこぶる馬鹿にした口調でレイルがリナに言う。
「・・・・・。そ〜ゆ〜事にしとくわ・・・。」
ここで反論するのは得策ではないと悟ってか適当にはぐらかすリナ。
「はぐらかすねよな・・・。」
執拗なまでのレイルのツッコミ・・。
とりあえず無視。
「で、しつこいようだが今日はナンの用だ。ハプスブルク家子飼のお偉い将軍殿。」
何時もながらのケインの厭味。
「愛するケイン。あいも変わらず冷たいなあ・・。」
「馬鹿ヤロー!!!気色悪い冗談 抜かすなああああああああ!!!!!」
さしものケインもこのテの冗談には絶叫する。
「まあ良い。君達『厄介事下請け人」にやって欲しい仕事がある。無論、ただとは言わない。」
「・・・・。ついでに言えば・・・。『只』の仕事でもないんでしょ・・?」
「流石はリナ。お見通しだ・・・。」
「あたし達の船・・・。『ソードブレイカー』に運ばれたブツの紋章見れば一目瞭然でしょ!!」
訳在りで在る事を見越してあえてリナは『ハプスブルク』の名を出さない。
それを賢明だ、とでも言う様にレイルは頷く。
「その通りだ。ともかく・・・。今度の戦争の原因は・・・。分かっているな・・。」
レイルの問いにリナとケインは同時に頷く。
そもそもはスペインの血統の絶えた王位継承権に絡んだ「ハプスブルク家」と「ブルボン家」・・・すなわち大国オーストリアと同じく大国フランスの馬鹿馬鹿しい欲望による戦争である。
「その点は分かっている。次ぎ言ってくれ。」
ケイン。
「つまりだ・・・。ハプスブルク側の在るお方を守って欲しいんだ・・・・。もともとそのお方は傍系中の傍系で王位継承権とはなんら関わりも無い・・・。ただ・・・。それでも言える事はブルボン家にお命を狙われている・・・そ〜ゆ〜事だ・・・。」
「・・・・。で、俺達はどうすれば良い・・・。」
何時になく緊張した口調でケインが問う・・・。


「で・・・。請けたの・・・・。その依頼。」
ミリィがケインに問う。
「ああ。影ながらレイルの奴もバックアップしてくれるらしい・・・。」
ケインが呟く。
「そのハプスブルクの王子様は何時ここに来るんですか・・・?」
あからさまに最初から計画を知っていた事は容易に予想がつくというのにすらっと呆けた口調でゼロス。
「それが・・・。ここまで来るのもかなり困難らしいんだ・・・。それで・・。」
ケインは心配そうにリナの方を見る。
「リナさん。おめかしして何所かに行くんですか・・・?」
真っ赤なドレスに黒っぽい毛皮製品のケープを羽織ったリナにアメリアが聞く。
「・・・・。その王子様とやらうを迎えに行くのよ・・・。ま、言って見ればカモフラージュね・・・。」
そう言ってリナは懐に隠し持ったピストルを一同に見せる。
「大丈夫か・・・?」
「ま・・・。行って見なければ分からないけれども・・・・。」
そうとだけ言い残してリナは橋を渡って船内から港に降り立った・・・。

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1229ハプスブルクの海洋3LINA 2/7-18:13
記事番号1227へのコメント

「えっと・・・。レイルが指示した場所によると・・・。」
リナはレイルが取り決めた『王子様』との約束の場所に急ぐ・・。


「そ〜かそ〜か。愛しのケイン、この仕事、受けてくれるか。」
とレイル。
「だから!!その気色悪い呼び方は止めろ!!」
ケインの絶叫・・・。
「ともかく・・・。リナ。この紙に待ち合わせの指定場所が書いてある。その場所にいかにも只単に待ち合わせをしていたと言う風に王子を迎えに行ってくれないか・・?」
「いいけど・・・。何でアタシなの・・・。腕っ節ならケインやゼル・・・。本人は否定している様子だけどゼロスの方が確かよ?」
髪を受け取りつつリナが聞く。
「女の方が敵の連中の目を誤魔化せやすい。それに・・・。王子にはそれを見越してオマエの特徴を伝えてあるんだ。」
「・・・・。ど〜せロクな風には言ってないんでしょ・・・・?ま、良いわ。その代わり依頼領六割増ね・・・。」


と言うわけでリナが向かえ役担当となった、と言うわけである・・・。
「えっと・・・。王子の特徴は・・・。う!!からかってるんかい!!」
言ってリナは思わず声を漏らす・・・。
『特徴・・・。
金髪に碧眼。背は高く物腰は優美。』
「こんな絵に描いたような王子様が居る訳無いでしょう・・・・。」
思わずリナは言わずにはいられなくなっていた・・・。
「よお!!オマエ『リナ』だろ!!」
脱力した思いで居た所を唐突に誰かが肩を叩き話し掛けて来る!!
しかもいきなり呼び捨て!!?
「一寸!!あんた一体だ・・・・・。」
金髪・・・・碧眼・・・・長身み優美な物腰・・・・・・。
もしかして・・・・・。
「・・・・あ・・・アナタ・・・。おうぢさま・・・・・!!!???」
「おうぢさまじゃない。第一王位継承者の事をそ〜ゆ〜風に言うんだろ・・?」
そりゃあまあ・・・。そ〜ではあるが・・・。
「じゃあ・・・じゃあ・・・。あの・・・。アタシと待ち合わせしてた・・・。」
途切れ途切れにリナは言葉を紡ぐ・・・。
「おう!!俺の名前はガウリイ!!ガウリイ=ガブリエフって言うんだ!!ど〜もその後にハプス・・・ナンダカって家名もつくらしいのだが・・・。」
「・・・・ハプスブルク・・・・・。」
「おう!!それ!!それだ!!まあ、よろしくな!!リナ。」
言って右手を差し出してくるガウリイ・・・。
「アタシは・・・・。知っての通りリナ・・・。リナ=インバースよ・・・。ついでに言えば兄の名前はケイン。ケイン=ブルーリバー=インバースって言うの・・。」
差し出された右手を握りつつ取り止めの無い話をするリナ。
「へえ。リナにケインかあ・・・。」
無意味に感心するガウリイ。
とても高貴な王子様とは思えない。
むしろ無邪気な少年のようである。
「ガウリイに・・・兄弟は?」
つい『ガウリイ』なんて呼び捨てした事にハっとしてリナは慌てて口を塞ぐ。
が、それを察してかガウリイは・・。
「いいぜ。ガウリイで。俺の兄弟か・・。兄が居たらしいな・・・。会った事は無いのだが・・・。」
考え込んだように言う。
「そっか・・・。」
無意味にリナも感心してしまう。
どうやらガウリイが移ったらしい・・・。
「ケインもミリィもゼルもアメリアもキャナルもゼロスも良い奴よ!!ど〜ゆ〜風に良いかって聞かれると・・・。かなりこまるけれども・・・。」
『ソードブレイカー』の乗組員は自分自身を含めてかなりとんでもない奴らばかりである。しかし・・・。
それを辛いとか嫌だとか感じた事は一度もない。
それどころか毎日が楽しくて仕方が無いくらいである。
「なあ。リナ。沢山冒険の旅に出てるんだろ?」
「う〜〜ん・・・。セコイ仕事が大半だけれども・・・。時々デカい山にぶち当たった時もあるかな・・・。」
「良いよな〜〜。」
ガウリイが羨ましそうに言う。
「じゃあさ!!貴族の王子様なんて辞めて『厄介事下請け人」にガウリイもなっちゃえば!?」
おふざけ半分にリナが言う。
「ん!!そ〜だな!!リナみたいな女の子でもなれるんだ。俺だってなれるよな!!」
「うん!!うん!!なっちゃえ!!なっちゃえ!!」
何時の間にか打ち解けているリナとガウリイ。
が・・・。そんな時もそうそう続く物じゃない・・・。
「リナ!!危ない!!」
唐突にガウリイがリナを抱えて脇に飛ぶ!!
「・・・刺客・・・・。」
「ああ・・・。悪かったな・・・。リナ・・。俺のせいで大変な目にあわせちまってな・・。」
ガウリイが本当に申し訳なさそうにリナに言う。
「・・・。気にする事無いわよ・・・。ガウリイ・・・。『依頼された仕事は何がナンでもやり抜く!!それがプロの厄介事下請け人だ――――!!』ってケインも言ってたわ。」自身もそう言ってリナはミリィから借りたピストルを懐から出す。
ガウリイも見事な細工の施された自身のサーベルを抜き放つ・・。


「な!!」
銃を構えたままリナは凍り付く・・・。
速い・・・・。
確かにケインやゼルも剣術の達人である・・・。
しかし・・・。
ガウリイの剣捌きは到底並大抵の力量では太刀打ちでき無いことは明白である・・。
「守るって・・・。この人を・・・・。」
半ば驚愕の中・・・。リナは自分の使命をふと思い出したかのように呟く・・・。
その時だった・・・。
首を締めつけられるような束縛感・・・。
頭上からする声・・・。
「動くな!!動くとこいつの命は無いぞ!!」
ありきたりな展開ながら事態は明白。
そう・・・。リナは『人質』に取られたのだった・・・。
「リナ・・・・・。!!」
悔しそうに言いガウリイは剣を地面に捨てる・・・。
その隙を見計らって数人の刺客が彼を取り囲む・・・。
「ガウリイ!!」
ガウリイがこれから何所かに連れ去られ・・・下手をすれば処刑・・・良くても一生監禁されることは火を見るよりも明らかだ・・・。
やおら自分の首をしめている人物の足をリナは思いっきり踏みつける!!
耳を突くような悲鳴・・・。
それもそのはず・・。
今履いているのは滅多に履かないハイ・ヒール。
とっても痛くって当然である。
一瞬の隙をついてガウリイの捨てた剣を拾う!!
「ガウリイ!!」
彼を取り囲んでいる連中に我武者羅に斬りかかるリナ。
流石に型も術もなってなくただたんに突っ込んでくるだけの刃物ほど危険な物は無い・・。
あっという間に敵はガウリイから離れる・・。
「リナ!!」
リナから剣を受け取ったガウリイの猛反撃は言うまでも無い・・。
ものの三十分も経たずに刺客は全員迎撃の食らったのだった・・・。


「依頼去れた仕事は必ず遂行する・・・。それがプロの『厄介事下請け人』って言うもんよ・・。」
ちょっとばかし息を切らしながらリナ・・。
「ひ〜〜え〜〜。すげエもんだな・・・。『厄介事下請け人』・・・。トラ・コンって・・・。」
感心したようにガウリイ・・・。
「あら。アナタも今日からトラ・コンやるんじゃなかったの・・?」
笑いながらリナが聞く。
「じゃあ・・。リナ。俺にリナを守るって事依頼してくれないか?」
ふざけた様にガウリイ。
「なんで依頼人のアナタにアタシが別の依頼をしなきゃならないの・・・?」
「駄目か・・・?絶対に遂行するのにな・・・。」
一寸ばかし寂しそうにガウリイは言った。

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1230ハプスブルクの海洋4LINA 2/7-21:26
記事番号1227へのコメント

「あああ!!!もう!!いい加減にしてください!!」
キャナルの怒り狂った声が『ソードブレイカー』中に響く。
「あの・・・。キャナル様・・・。今月は赤字なのですが・・。」
キャナルの命令で家計簿を付けていたゼロスの一言が余計に彼女に怒りを煽った。
「もう!!何でこんなにお金が無くなると思ってるんですか!!そもそもミリィ!!アナタが一日に四回も厨房をふっ飛ばして修理代が馬鹿みたいに掛かるからなんですよ!!」キャナルがミリィに抗議する。
「だって!!しょうがないじゃない!!沢山食べる人達が居るんだもん!!」
言ってミリィはリナとガウリイの方を指差す・・・。
「・・・・。だって・・・。腹減るんだもん・・・。なあ、リナ。」
「そ〜よ。ねえ。ガウリイ。それに、海賊いじめしてお宝ぶん取ればど〜にでもなるわよ。」「リナ!!そんなこと言ってこの間船体を中破させてプラマイゼロの収入にしたのは誰ですか!!」
「ゼルよ!!」
「仕方ないだろう!!手が滑って巌にぶつかっちまったんだから!!」
「そ〜です!!ゼルガディスさんに責任はありません!!それに正義を遂行するためには些かの犠牲は必要不可欠です!!」
「アメリア!!訳のわからない事を言わないで下さい!!それにケイン!!アナタだって私にナイショで変な買い物したでしょう!!」
「変だと〜〜〜!!新しいマントと『世紀松』を買っただけだ!!」
「ナンでそんな松を買ったりしたんですか!!高いのに!!」
「俺も緑が恋しくなったんだああああああああああああ!!!!」
訳の分からない言い合い・・・。
呆れたようにレイルが遮る・・・。
「いい加減にしろ!!王子まで一緒になって!!」
「・・・・。なあ、レイル・・・。王子って誰だ・・・。」
ガウリイ・・・・。
「アンタよ・・・。ガウリイ・・・。」
「ふ〜〜ん・・・。世間一般じゃあ俺も王子なのか・・・。」
己の立場を理解していないこの男・・・・・・。
「とにかく・・・。この赤字決算をなんとかしなければ・・・。今月は生存すらままなりませんよ・・・。」
困り果てたようにゼロスが言う・・。
「ねえ、ゼロス。アナタさあ、お姉さんのゼラスさんに頭下げて借金してきてくんない?」「無茶言わないで下さいリナさん!!それこそ僕は殺されますよ!!」
困り果てたようにゼロスが言う。
「キャナルさん・・・。ナンとかならないんですか・・・?」
「御生憎様・・・。今月、アタシの実家も援助してくれそうに無いのよ・・・。」
哀しそうにアメリアの問いに答えるキャナル。
「ともかく・・・。俺が良い仕事の話を持ってきてやったんだが・・・。請けるつもりはあるか・・・?」
咄嗟にレイルが聞く。
「良い仕事・・・?」
ガウリイが聞く。
「王子は休んでいらっしゃって結構ですよ。」
微笑みながらレイルが言う・・・。
「でも・・。俺もやるぞ・・。」
そっとリナに耳打ちするガウリイ。
「そ、頑張ってね。新人トラ・コンさん。」
言ってリナは微笑む。
「で、どんな仕事なんだ・・・・?」
ゼルがレイルに聞く。
「海賊いじめ・・・さ。」
言ってレイルは不敵な笑みをもらす・・・。
「海賊いじめって・・・。いつもリナがやってる事でしょう・・?」
ミリィが怪訝な声を出す。
「海賊いじめは海賊いじめでもただのソレじゃあない。」
さらに推し進めて言うレイル・・・。
「と・・・。言うと・・・・?」
「お前の買った世紀松なんて一万本は買えるであろう素晴らしい仕事だよ、愛するケイン。」
「だあああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!
気色の悪い呼び方すんな〜〜〜〜〜〜っといっているだろ〜〜が!!!!」
ケインの絶叫が木魂する・・・・。
「なあ・・・。ケインって・・・。レイルに愛されてるのか・・・。」
「・・・・。面白がられてるだけよ・・・。ガウリイ・・・。気にしちゃ駄目・・。」
何故か無性に寒い会話をリナとガウリイはするのだった・・・・・・。
「で・・・。話を戻そう・・・。どう言った仕事内容だ・・。レイル・・。」
ゼルがレイルに問う。
「数ヶ月前・・・。とあるハプスブルク家の従者が戦争による略奪を恐れて船で国外に持ち出そうとしたハプスブルクの宝剣だ。」
言ってレイルは似絵を取り出す・・・・。
「綺麗な剣ですね・・・。」
感心したようにアメリアが言う。
「で、その剣を持ち出す途中、海賊に襲われて剣を奪われたってわけね。」
リナ。
「その通りだ。」
レイル・・。
「で、このヴォルフィード家が全技術を傾けて造ったこの最強無敵の船『ソード・ブレイカー』にその船と対決して剣を取り戻して欲しい、と。」
「ま・・・まあ・・・。そこまで誉めてはいないが・・・。そ〜ゆ〜事だ・・。」
自画自賛するキャナルに困ったようにレイルは答える。
「悪い話じゃないな・・・。」
ケインが言う。
「おお!!我愛しのケイン。請けてくれるのかい?」
妙に嬉しそうな声をわざと出しケインをからかうレイル・・・。
無論。
彼の思惑通り・・・・・・。
「だからあああああああああ!!!!!!!!!!!
気色の悪い呼び方はやめろおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!!」
と絶叫するケイン・・・・。
哀れ・・・・・・・。
「で、レイル。その海賊船は何所に居るの・・・?」
リナが聞く。
「大体スペインとポルトガルの国境付近だ。」
「・・・・・・。ポルトガルとの国境付近か・・・。多少長い航海になるな・・・。」
ゼルが言う・・・。
「資金は当面こちらで援助する。ソレでどうだ・・・?」
「いや〜〜・・・。助かりますねえ・・。レイルさん・・・。も〜〜この人達の使いこみ様と言ったら!!ああ!!言葉にするのも恐ろしい・・・・。」
乗組員一同と女主人のキャナルにゼロスがボカされたのはその発言の数秒語だった・・。「待て・・・。レイル・・・。今お前・・・。当面の資金はこちらで援助するって言ったよな・・・。」
額に僅かな汗を浮かべてケインがレイルに言う・・・。
「そ〜だが・・・?」
「当面・・・て、言ったよな・・・。」
「そ〜だが・・・?」
「て!!事は!!お前もついて着いて来るってことかよ!!レイル!!」
「そ〜ゆ〜事だ。よろしくな!!我愛しのケインよ(ハアト)。」
「ぎゃああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ×200嫌だああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!」
「リナ・・・。お前の兄貴・・・。何か叫んでるぞ・・・。」
「可哀想なケイン・・・・。ガウリイ・・・。甲板行こう・・・。可哀想で見てらん無いわ・・・・・。」
「ゼルガディスさん・・・。ケインさん・・・。泣いてますね・・・。」
「まあな・・。ケインとレイルと言ったら正に水と油・・・。銀に鉛だからな・・・。」レイルの嫌がらせ・・・・。
赤字続きの家計よりも恐ろしい物がケインを待っているのであった・・・・。

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1231ハプスブルクの海洋5LINA 2/7-21:28
記事番号1227へのコメント

「ふ〜〜ん・・・。夜の海がこんなに静かな物だとは思わなかった・・。」
甲板に出てガウリイが感心したかのように言う。
「何時もこんなじゃないわ・・・。嵐の時もあれば雨のときも在るし。」
手すりにもたれ掛かっているガウリイの隣りにリナもやってきて言う。
「でも・・・。本当に今は静かだな・・・。街の灯りが反射してるな・・。」
真っ黒の闇色に染まった水面に映えるバルセロナの町の街灯を眺めつつガウリイが言う。
「今夜は新月だからね・・・。」
リナが教える・・。
「ホントだ・・・。星は出てるのに月は出てないな・・・。」
空を見上げてガウリイ。
「三日月の夜はもう少し静寂が破られるし・・・。半月の時はもっとザワザワしてる・・・。満月は・・・。綺麗だけど一寸騒がしい気がする・・・。」
「へえ・・・。月と関係があるのか・・・?」
「多分。海は月の力に引き寄せられてるって昔誰かが言ってた・・。子供の時やっと航海術を覚えたばっかりのケインがいってたんだっけかな・・・・?」
リナは思い出すように言う。
「ケインか・・・。リナとケインって本当に仲良いよな・・・。」
ガウリイがしみじみとしたように言う。
「ま・・。子供の頃から一緒に帆船で暮らしていれば・・・ね。」
肩を竦めてリナが言う。
「ふ〜〜ん・・・。」
「その後・・・。ヴォルフィード家の商業用の船が海賊に襲われたのを助けた時キャナルに出会ったの。」
「へえ・・・。他の連中は・・・?」
「ゼルはもともと流れの傭兵だったんだけど、ある日艦隊戦争が起こってね・・。ケインと一緒にそれに参戦して以来の乗組員よ。アメリアはもともとの幼馴染。でも彼女が『正義』を追求するあまり何時の間にかこの船の乗組員になってたって訳。ミリィは・・。」言ってリナは思わず吹き出す・・。
「ナンだナンだ!!?」
「何を隠そうモト探偵!!」
「あのミリィがかあ!!?」
さしものガウリイも驚いて言う。
「そ!!ちょっとした事件でアタシ達と関わり合いになってね・・。ケインのせーで探偵社をクビになって以来の押掛乗組員よ!!」
「ケインのせいで・・・か・・・。」
あの短気男ならば何をやらかしても不思議は無い・・・・。
「で・・・。レイルは・・・・?」
ガウリイは更に続ける・・・。
が・・・。
「ねえ・・・。ガウリイ・・・。黙秘権を行使して・・・。良いかしら・・・。」
言ってリナは完全に沈黙する・・・。
ははは〜〜〜ん・・・。
こりゃあ完全に何か訳在りだな・・・。
そう思ってガウリイは意地の悪い微笑を密かに浮かべる・・・。
「なあ・・。リナ・・・。依頼された仕事は必ず遂行する・・・・。それがプロのトラ・コン・・・・。そ〜だったよなあ・・・。」
「・・・・。ギク・・・。ええ・・・ええ・・。そうよ・・。」
不意に右手を捕まれる・・・。
さらに掌に冷たい感触・・・。
「金貨・・・・?」
ガウリイから渡された物を見てリナは思わず嫌な予感がする・・・。
「依頼だ。お前達とレイルの出会いを知りたい。話してくれ・・。」
やっぱり・・・・・・・・・・・・・・・・・。
「嫌よ!!こんな依頼拒否よ!!拒否!!」
「だ〜〜めだ!!お前もう金貨持ってるだろ。」
「返す!!返すから勘弁して!!」
「あ!!お前!!契約違反だぞ!!」
「違法、もしくは余りにも妖しい依頼は請けないの!!」
「コレの何所が妖しいのか・・?ましてや合法だぞ?」
からかう様にガウリイ・・・。
「・・・・。分かった・・・。分かったわよ・・。言えば良いんでしょ・・。い・え・ば!!」
ふて腐れたようにリナが言う。
「そ〜こなくっちゃな〜〜♪」
「良い!!一回しか言わないからよっく聞くのよ・・・。アタシとケインが・・・。
海賊いじめに行って・・・。間違えて・・・。レイルの乗ったハプスブルク家のシ巡視艇を・・・・。」
「攻撃しちまったのか!!!!???」
カクン・・・。と頷くリナ・・・・。
コレでようやく分かった・・・。
リナとケインほどの人物がレイル一人に頭が上がらない理由が!!
「バハハハハハハハハハハハハ!!!!!!!」
思わず大笑いするガウリイ・・・。
「もう!!馬鹿にして!!だから言いたく無かったのよ!!」
顔を真っ赤にしてリナが怒る!!
「いや・・。悪い・・。ゴメン!!ゴメン!!」
未だにこみ上げてくる笑いとひきつけを堪えつつガウリイは言う。
「まだ笑ってる!!どう!!コレがアタシ達と皆が出会ったときのお話よ!!金貨は貰っとくからね!!」
怒ったような照れたような表情でリナは言い、コインをポケットに仕舞い込もうとする・・・。
が、素早くガウリイに止められる・・。
「まだ一つ忘れてるぞ!!」
「何を・・・?」
「その一つを言うまで金貨はお預け!!」
「何よ!!ケチ!!」
「ケチはお前だろ!!俺に会った時の話を聞かせてくれないのか!!」
そ〜ゆ〜ガウリイ・・・。
別に敢えて言うのは嫌って言う話ではないのだが・・・。
何せ照れ臭い・・・・・。
「金貨・・・。返す・・・。」
本当に呟くようにリナは言う・・・。
「違約だぞ。」
尚更リナは俯く・・・。
何となくここで言うのは嫌・・・なんて尚更の事言えない・・・。
「じゃあ・・・。ココじゃなくって・・・。マストの上に一緒に上って・・・。そ〜したらそこで言う・・・。」
尚も俯きながらリナは後方にあるマストを指差す・・・。
「よしきた!!」
嬉しそうにガウリイは頷く。


「へえ・・・。」
リナより一足先にマストの天辺に辿りついたガウリイは今上りきろうとしているリナを助け上げる。
「綺麗な所でしょ?」
嬉しそうにリナが尋ねる。
「ああ。」
うっとりと港の景色を眺めるガウリイ・・。
「そして・・・。アタシは今までに会った事も無い王子様・・・。ガウリイにレイルの依頼で会いました・・・。」
ざっとリナは言いのけてしまう。
「それだけか・・・?」
不満そうにガウリイ。
「・・・。続きは・・・。また何時かね・・。」
今度はハッキリとした声でリナは言いガウリイと同じ港の景色を眺める。
「明日はガウリイの初めての航海ね・・。」
「ああ!!」
嬉しそうにガウリイが言う。
「でも・・。お前もケインもスゴイよなあ・・・。こんな船の上で育ったなんて!!」
「青空の下での航海は最高よ。」
「良く知ってるな・・・。ホント・・。」
「ま〜〜あね♪何て言ってもかの『無敵艦隊』の末裔よ!!」
リナのこの一言。
遠い時代の先祖の栄光の艦隊を思ってガウリイは苦笑する。
それが今では・・・。
落ちぶれた傍系中の傍系の王子と立った1隻の戦闘艦・・・それだけである・・。
「だから・・・。」
不意にリナが神妙な声を出す・・・。
「アタシ達艦隊は主君であるハプスブルク家の方であるアナタを死守します!!」
言ってリナはうやうやしくガウリイの手を取る・・・。
「リナ・・・。大丈夫だ・・・。」
そんなリナをガウリイは優しく宥めた・・・。
無論・・・。彼女の目に流れる一筋の涙に気付かぬフリをして・・・・・・・。

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1252ハプスブルクの海洋6LINA 2/9-16:47
記事番号1227へのコメント

「いやあぁ〜〜。助かっていますよ。レイルさん。あっはっはっは〜〜。」
能天気なゼロスの声。
「そりゃ〜まあ・・・。そ〜だろう・・・・。」
極力平静を装いながらレイルは呟く。
「レイルのお陰で我が家の経済は一応の回復の兆しです。」
キャナルが説明する。
そう・・・・。
『ソードブレイカー』乗組員一同はこの航海中完全にレイルにタカって生存しているのだった・・・・・・・・・。
「予測していた事態とは言え・・・・。」
思わず財布を振って見るレイル・・・・。
哀れ・・・・・・。
「話は変わるけど・・・。レイル。敵の海賊ってど〜ゆ〜連中なの?」
マトモな質問をリナがする。
「そ〜だな・・・。その辺りをハッキリさせてもれわんと・・・。」
続いてケイン。
「おお!!愛しのケイン。やる気満万のよ〜だな!!」
憂さを晴らすかのようニレイルがケインをからかう・・・。
「だ〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜か〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜らああああああああああああああああああああああああああああああああ!!!!!!!!!!!!!!!!!!
気色の悪い呼び方はするなって言っとるだろおおおおおおおおおおおがあああああ!!!」
何時もの如く絶叫するケイン・・・・・。
「ケイン・・・。お前レイルに話しかけなきゃ良いんじゃないか・・・?」
ガウリイ。
その一言にポンっと手を打ち大人気無くもレイルに反っ歯をむくケイン・・・・。
「つれないな・・・。俺は君の事をこんなに大切に思っているのに・・・。」
「だあああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!レイルうううううううううううううう!!てめえ俺にケンカ売ってるのかああああああああああああああああああああ!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!」
更にケインの絶叫が響く。
「無視しても無駄でしたね・・・・。」
妙にしみじみとした態度でアメリアが呟く。
「下らない話はそのくらいで良いだろう。」
ゼル。
「ああ。そうだな。敵は海賊と言っても一個艦隊と言っても過言ではない力を秘めている。」「・・・・・。王家子飼の艦隊がアッサリと撃沈されたのがその良い見本・・・て訳ね・・・。」
リナの一言に頷くレイル。
「ちょっと待ってよ!!そんな連中相手にアタシ達たった一隻で!!?」
驚いたミリィが抗議の声を上げる・・・。
「いや。敵も一隻だけだ。艦隊とはいつも別行動をとっている重砲撃艦『ゴルンノヴァ』。それを撃沈しハプスブルクの宝剣を取り戻してくれれば良い。」
あっさりと言ってのけるレイル・・・。
「重砲撃艦って・・・。大丈夫か・・・・。この船・・・・。」
ガウリイが不安そうに言う・・・。
「大丈夫ですよ。ガウリイ。デザインこそケインの趣味で中世風のレトロな船ですが技術はかつてのスペイン無敵艦隊を製造したヴォルフィード家が全勢力をあげて造った最新式です。ちょっとやそっとの事で簡単に撃沈されたりやしません。」
あいも変わらず自慢げにキャナル。
「ケインの趣味って・・・・。」
ミリィが船内を見まわして言う・・・。
「なるほど・・・。そのマントと言い旧式のデザインの剣を使用している事と言い・・・。
ケイン・・・。貴様・・・。やっぱり単なるレトロ・ヒールだったのか・・・・。」
呆れたようにゼル・・・・。
「私も・・・。ケインさんのマントと旧式のサーベル・・・。そしてレトロなデザインのこの船には何かもっと深い意味があるんだと思ってましたが・・・・。只の趣味・・・。」アメリアが絶望的な口調で呟く・・・・・。
「そのわりには・・・。(懐古のわりには)お金の掛かる趣味ですねえ・・・・。」
今度は皮肉げにゼロス・・・・。
「うるせええええええええええええええええええええええええ!!!!!!!」
絶叫するケイン・・・・・・。
「あら。アタシはケインの趣味スキよ。マントが無きゃケインじゃないし、レトロ・ヒールなサ―ベルだってケインにピッタリじゃない。」
「リナアアアアアアアアアア・・・。お前は何ていいこなんだああああああああ・・・。」言ってケインは涙を流しながら妹の栗色の髪をいいこいいこととグシャグシャに撫ぜ繰りまわす・・・・・。
「ちょっと!!髪が痛んじゃうでしょ!!」
いちおうは抗議の声をあがても満更ではない。
「う〜〜ん・・・。確かにレトロなデザインだなあ・・・。」
ケインの腰に括りっつけられたサーベルをガウリイもよくよく見てみる。
「一応昔流行ったタイプみたいよ。たしかブランド名『サイ・ブレード』。それを持ってる人は昔『サイ・ブレード使い』なんて言われたみたい。」
「でも品物は最高級品だな・・・。」
しげしげと眺めつつガウリイ・・。
「流石はハプスブルクの王子様!!見る目があるぜ!!」
居丈高にケイン・・・。
「でも・・・。お世辞にもカッコイイとは言えんな・・・。」
ズベ・・・・。
ガウリイの余計な一言に撃沈されるケイン・・・・。
「それに・・・。ナンでまた寒くも無いのにマントなんて・・・?」
床に突っ伏したケインのマントをグイグイと引っ張りながらガウリイ・・・。
「俺のポリシーだ!!」
・・・・いつもながら無茶苦茶な事を・・・・・・・・・。


「いよいよ明日だな・・・。決戦は・・・。」
ガウリイが呟く・・・。
「早いものね・・・。もうポルトガルとの国境に来るなんて・・・。」
甲板で夕日を眺めつつガウリイの隣でリナが言う。
「いったいどう言った事をやるんだ・・・・?」
ガウリイ。
しばらく考えてリナが言う・・・。
「まあ・・・。砲撃戦が大半でしょうね。今回の仕事は対マン形式だし。まだいいと思うは・・・。ただ・・・・。」
ここに来てリナは初めて言いよどむ・・・。
「ただ・・・・?」
暫しの間・・・。
だが意を決したようにリナは言う・・・。
「ハプスブルクの宝剣・・・。コレに何かが絡んでくるんじゃないかしら・・・・。」
その一言にガウリイも沈黙する・・・。
ハプスブルク・・・・。
己の産まれと関わりの在る剣・・・・。
ふと前の・・・。
初めてりなとであった時の刺客事件を思い出さずにはいられない。
「嫌な予感がする・・・。」
夕日がリナのストロベリー・ブロンドに近い栗毛を更に赤く染める。
「・・・・・・。大丈夫だ・・・・。」
そんなリナを見ているとガウリイは不意にそう言わずにはいられない・・・・。
「そうね!!」
ここにきてようやくリナも笑顔を見せる。
「ねえ・・・。ガウリイ・・・・。この後・・・。この騒ぎが終わった後・・・。アナタはどうするつもりなの・・・?」
リナはやっとの思いで話の確信をついた。
この戦争・・・。
言わばガウリイの家の『お家騒動』が終わったら・・・・。
この先ガウリイとはどうなってしまうんだろう・・・・・。
「そうだな・・・。」
夕日を眺めつつガウリイが口を開く・・・。
「も〜俺だってこんな『お家騒動』に巻き込まれるのはゴメンだ・・・。」
「・・・・。」
リナの沈黙・・・。表情は堅く強張りこちらを見てはいない・・・。
だが、ガウリイは構わない。
リナがこっちを向いたその瞬間に言う・・・。
「トラ・コンを続けるさ!!ずっとな!!」
言ってガウリイは微笑む。
リナがつられて微笑んだのはそれからすぐの事だった・・・。

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1265ハプスブルクの海洋7LINA 2/10-17:03
記事番号1227へのコメント

「被害状況は!!?」
ケインの声が艦内に響く。
「甲板部一部を損傷!!しかし戦闘に支障はありません!!」
調査から帰ったキャナルが答える。
「くっそ!!も〜〜!!ナンで当たらないの!!」
砲手のミリィも苛立った様子で言う!!
「ともかく!!船内に乗り込んできた海賊ドモの撃退は頼んだぞ!!ゼル!!ガウリイ!!アメリア!!リナ!!」
ケイン。
「分かったわ!!」
リナが答える。
「所で・・・。ゼロスさんとレイルさんは・・・?」
アメリア。
「傍観を決め込むつもりなんだろ!!放っておけ!!俺達は俺達で『ソードブレイカー』艦内に乗り込んできやがった連中を撃退するぞ!!」
ゼルガディスが言う。
「全長400Mクラスの戦艦なのに・・・。どうしてあんなに素早くこちらの攻撃を回避出来るのかしらね・・・・。それどころか橋を掛けてこっちにまで攻め込んで来るなんて・・・。」
唇を固く噛み締めつつリナが言う・・・。
「つまり・・・。押されてるって事だろ・・・?状況は・・・。」
「まあね・・・。そもそも『ソードブレイカー』は最新設備を搭載しているとはいえたかだか210Mクラスの中型戦闘艦だし・・・・。」
ガウリイの問いに素早く事務的に答えるリナ・・・。
「本格的に押されてるって事か・・・・?」
「まあ、そう言うことだな。」
ゼルが答える。
「操縦室はケインさん、制御の方はキャナルさん、砲撃の方はミリィさんがちゃんとやってくれます。私達はブリッジの方に回って船内の敵を撃退しますよ!!ガウリイさん!!」アメリア。
「お・・・。おう!!」
ガウリイ。
「まったく!!レイルの負担してくれた生活費を含めても危険手当にはほど遠いわね・・。」
何時になくリナがグチっぽく言う。
「『依頼されて仕事は必ず遂行する!!それがプロのトラ・コン』だろ?」
言ってガウリイがリナの手を引く。


「破!!」
気合と気合がぶつかあう!!
侵入してきた敵にゼルが剣で応戦する!!
アメリアは巧みに得意な武術で海賊達を生みに投げ落とす!!
「二人ともなかなかやるな・・・・。」
ガウリイが感心したように言う。
「ガウリイ!!この場はお願い!!」
「おい!!リナ!!何所に行くんだ?」
慌てて走って行こうとしたリナの片腕を掴みかかるガウリイ・・・・。
「『ゴルンノヴァ』本船に侵入して『ハプスブルクの宝剣』を奪ってくるわ!!そのついでに船内の中枢機関にあたる部分をニ・三箇所破壊してくるから!!」
「な!!」
さしものガウリイもこの一言には絶句する・・・。
「無茶な事言うな!!」
「何時ものパターンよ。大丈夫。それに敵本陣はこちらに集中しているぶん内容は白兵戦に向かない船体攻撃担当か非戦闘員が大半だと思うわ。アタシ一人でも大丈夫よ。ガウリイはこっちをお願い。」
言うが早いかリナはさっさと橋を渡って『ゴルンノヴァ』本陣に侵入していく・・。
「おい!!リナ!!」
叫びつつも一応はリナからうけた指令通りその場の戦闘に加わるガウリイ・・。
「いい!!ガウリイ!!この場は俺とアメリアに任せろ!!」
「リナさん一人じゃ気がかりです!!何を仕出かすか分かったものじゃありません!!ガウリイさん!!行ってあげて下さい!!」
「分かった!!ありがとう!!ゼルガディス、アメリア!!」
この場は二人に頼んでガウリイはリナの後を追う・・・・。


「ケイン!!敵の砲撃来ます!!」
キャナルの声が操縦室に響く。
「回避行動は俺がやる!!キャナル!!大砲の残弾数はあとどのくらいだ?」
「種類にもよりますがまだまだ100以上はあります!!」
「そうか・・・。」
それだけの火気の残弾数があればどうにかなるかもしれない・・・。
しかし相手は全長が400M以上の重砲撃艦の上やたら滅多ら回避能力が優れている・・。
「まさしく『悪夢』だな・・・。」
歯をきつく噛み締めながらケイン・・・。
「ミリィの砲撃は当たるには当たっています・・・。」
キャナルも苦い口調で言う・・・。
「だろ〜な・・・。アイツの腕は宇宙一だ・・・。しかし・・・。相手にの損傷部分が戦闘に支障が無い小破か中破程度といったシロモノでしかないしな・・・。」
400Mクラスの戦艦ならばそれも無理も無い事なのだが・・・。
「せめて敵の中枢部分に大破とまではいかなくとも幾分かのダメージを与える事が可能なら・・・・。」
「・・・回避能力の削減か・・・。ったく!!『ゴルンノヴァ』の内部で重要な故障でもおっこてくれりゃ〜それに越した事はねーぜ!!」
怒ったようにケインが言う・・・。
「でも・・・。ケイン・・・。妙だとは思いませんか・・・・?」
妙に神妙な口調でキャナルが言う・・。
「ん、何がだ・・・?キャナル。言ってみろ・・・。」
「あらかじめ言っておきますが・・・。これはいつもの自画自賛じゃありません・・・。」「・・・・・・。」
ケインの沈黙を無視してキャナルは続ける・・・。
「この船・・・。『ソードブレイカー』は私達ヴォルフィード家がありったけの財力と最新の技術を投入して造ったいわが一隻ながらでも『無敵艦隊』と称しても過言ではない船です・・・・。」
「それを・・・。デカさで勝るとはいえ・・・。あの船・・・。『ゴルンノヴァ』は良い様に手玉に取った・・・・・。ハプスブルクの宝剣を盗んだ事と言い・・・・。その事実の意味する所は・・・・・。」
「答えは単純です・・・。あの船・・・。『ゴルンノヴァ』は私達ヴォルフィード家をより上回る強大な資産、技術、更に言えば海軍訓練敵な要素を持った何者かのさしがね・・。」「つまり・・・。あれは単なる海賊船なんかじゃない・・・・。へたすりゃ国家艦って事か・・・。」
額に汗を滲ませつつケイン・・・。
今度のスペイン王位継承を巡ってのフランスブルボン家とオーストリアハプスブルク家の泥沼な争い・・・・。
「私、リナ達に知らせてきます!!」
言ってキャナルは駆け出す!!


「ああ!!キャナルさ〜〜〜ん!!」
キャナルの姿を見とめてアメリアが大きく右とを振る。
「こっちは終わったぞ!!」
完全に撃退した襲撃者達を指差してゼルが言う。
「そっちの方はど〜ですか?」
アメリア。
「現在ミリィが砲撃、ケインが敵艦よりの迎撃を回避中。ただし・・・。」
「状況は芳しく無いのか・・・?」
ゼルの質問に頷くキャナル。
「敵艦に損傷を与える事は可能です・・・。しかし・・・。あの回避能力と言い反撃能力と言い・・・・。せいぜい小破、中破・・・。それも中枢機関から外れに外れまくった場所へが限度です・・・。」
悔しそうにキャナルが状況を説明する・・・。
「そうか・・・。ミリィのようにとはいかんが・・・。俺達も砲撃に回るぞ!!アメリア!!」
「はい!!ゼルガディスさん!!」
ここに来てようやくキャナルは本題を思い出す。
「アメリア、ゼルガディス。リナとガウリイは・・・?」
「ああ。あいつ等なら『ゴルンノヴァ』本船に乗りこんで行った。」
ゼルが答える・・・。
「・・・・。危険な賭けね・・・。でも・・・。」
いつになくキツイ表情でキャナルは呟く・・・・。
「どうしたんですか・・・?キャナルさん・・・?」
アメリアがキャナルに問う。
「いいですか・・・。端的に話します・・・。あの船・・・。『ゴルンノヴァ』は・・・。もしかすると今回の戦争・・・。国家間の闘争に関係があるものかもしれません・・・。」沈痛な口調のキャナル・・・。
驚愕するアメリアとゼルガディス・・・・。

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1266ハプスブルクの海洋8LINA 2/10-19:02
記事番号1227へのコメント

「ガウリイ!!」
ようやくの事でリナに追いついたガウリイにリナが言う。
床には先ほどまでリナが苦戦を強いられていた相手がアッサリと倒れ伏す。
むろん。
それをやってのけたのはガウリイだと言うことは言うまでも無い。
「まったく・・・。何所が大丈夫なんだ・・・?」
戦闘中に負傷したのだろう。
リナの顔に流れる一筋の血をガウリイは優しくふき取ってやる。
「かすり疵よ・・。それより・・・。お願い・・・。」
リナの目線の方向を条件反射的に見やるガウリイ・・。
そこには新たなたった一人の強敵の参入に怯えきっている奴が一人・・・。
「ひ・・・ひえええええええええええええええええええええええええええ!!!?」
訳の分からない叫び声を上げて逃げ出そうとする奴を無理矢理フン捕まえるガウリイ。
「た・・・だじけでえええええええええええええ!!!!!???
おがあああちゃああああああああああんんんんんんん!!!!!!!」
半狂乱してもはやナキゴエというよりも絶叫と言っても良いが意味不明な事を言う男・・・。
「アノなあ・・・。別にとって食おうなんてしてないんだぜ・・・?」
呆れたようにガウリイが言う・・・。
「ひええええええ!!!!!いにちばかりはおたすけをおおおおおおおおおおお!!」
「・・・・。リナアア・・・。コイツ・・・。煩いぞ・・・・。」
「ホント・・・。煩いね・・・。ガウリイ・・・。」
言って二人は顔を見合わせて苦笑する・・・。
無論、そんな事して居る場合でないことは当然である。
しかし・・・。
誰がナンと言いおうと煩い物は煩いし可笑しい物は可笑しい・・・。
「こいつ・・・。未だにオネショしてんじゃね〜か・・・・。」
ついに大笑いしながらガウリイ。
「言えてる!!いまだにママのお乳から離れられないのよ!!」
顔の疵の痛むのすら忘れてリナも大爆笑・・・。
「で、お前サンに聞きたい事があるのだが・・・。」
未だに声を笑わせたままでガウリイが言う・・。
が・・・。
しかし、その半分笑った声と表情、右手に引っさげたケインから借りたレトロ・ヒールよろしくな旧式サーベル、サイ・ブレードはなんとも言えない不敵な雰囲気をかもし出していた・・・・。
「ひいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいい・・・・」それがまた男の恐怖を煽った・・・・・。
哀れ・・・・・・。
「さ〜〜あ!!このおに〜さんを怒らせるとこわいわよおおおおおおおおおおおお!!
さっさと『ハプスブルクの宝剣』の在りかとこの船の中枢部、ついでに言えば金品が在る所をお・し・え・な・さああああああああああああいいいいいいいい・・・。」
リナも発破をかける。
ここまでくれば普通そのつもりは無くとももはや拷問である・・・・・・・・。


「なあ〜〜。アイツ・・・。ヤケにアッサリとおしえてくれたなあ・・。」
感慨無量そうな口調でガウリイが言う・・。
「きっと暇だっとのよ。」
流石に『アナタが怖かっただけよ。』とは言えずリナは適当に受け流す。
「しかしよ〜〜お。リナ〜〜〜・・・。」
なにかを疑問に思っているといった口調でガウリイ。
「なに?」
端的にリナ・・。
「ハプスブルクの宝剣と船の中枢部はともかく・・・・。ナンでそこに『金品』なんて言葉がでてくるんだ〜〜〜?」
ちぃ・・・。
感付かれたか・・・。
かなりどさまぎに言ったつもりだったのだが・・・・・・・。
「ま。海賊いじめの醍醐味でしょ!!」
とだけ言ってリナは早足に駆け出す・・・。
背後で日頃の彼女の行いを知らないガウリイが困り果てた表情をしている事にも気付かずに・・・・・・・。



「上手くリナ達がハプスブルクの宝剣と中枢部破壊をしてくれれば良いんだけど・・。」
ミリィが心配顔で言う。
「けれども・・・。あいつ等はあの船。『ゴルンノヴァ』の実態を知らないしな・・。」
ケインが苦い口調で言う・・・。
「ゴルンノヴァだけなら良いんだがな・・・・。」
不意に聞こえる声・・。
「あ!!ゼロスさん!!レイルさん!!何所行ってたんですか!!」
怒った声でアメリア。
「まあ。色々とこちらにも在りましてね。」
あいも変わらずフヌケた声とにこやかな笑顔でゼロス。
「色々って・・・。なにがだ・・・?」
ゼル。
「ケイン、キャナル。お前達も『ゴルンノヴァ』の正体に気付いてはいるんだろう?」
いつになく真面目な口調でレイル。
「ああ・・・。大方な・・・。」
吐き捨てるようにケイン。
「でも・・・。レイル・・・。今アナタ・・。『ゴルンノヴァ』『だけ』なら良いって言ったわよね・・・・?」
キャナルが不意に言う。
「ああ・・・。アレは試作段階(プロトタイプ)の国家艦に過ぎない・・・・。」


「あった!!リナ!!『ハプスブルクの宝剣』だ!!」
ガウリイが自身見覚えの在る剣を高高と掲げる。
「綺麗・・・。へえ・・・。これが『ハプスブルクの宝剣』なの・・。」
うっとりと見詰めるリナにガウリイは諭すようにいう。
「速く中枢部を壊しに掛かるぞ。お前の兄貴達が待ってるはずだぜ。」
そうだ・・・。
大切なケイン達の事を考えれば金品略奪なんて言う流暢な事はいってられない・・。


「けれども妙ね・・・。」
中枢部に辿りつき、数人の乗組員との乱闘を終えた後・・・。
破壊工作をする手を止めないでリナが呟く・・・。
「何がだ・・・。」
「海賊船にしては『お宝』が少なすぎるのよ・・・。」
その一言に流石にガウリイも・・・。
「ハァ!?」
などと間の抜けた声で答える・・・。
「別にそれを不満として言ってるんじゃないの。」
いつもの彼女の行動を良く知っている者なら(強いて言えば『ソードブレイカー乗組員の一同なら)この言動が真実であっても信じやしなかっただろう・・・。
しかし。
ガウリイは彼女の日頃の悪事を知らないしましてやこの一言は紛れも無い真実である。
「何が言いたいかって言うとね・・・。これは本当に単なる『海賊船』なのかしら・・・?更に言えば・・・。これだけ強力な重砲撃艦でありながら・・・。扱いが・・・。
なんていえば言い良いのかしら・・・。『重要視』されていない雰囲気さえある・・。」先ほどから腑に落ちなかった事をリナは改めて口にする・・・。
「と・・・。言うと・・・・?」
ガウリイ・・・。
「つまりね・・・。この船はまるで『オトリ』ででもあるかのよう・・・。強いて言えばまるでプロトタイプのよう・・・。つまりは実験段階でしかないような・・・・。」
その意味する事にガウリイも凍りついた様になる・・・。
すなわち・・・。
この船・・・。『ゴルンノヴァ』以上に強力な戦艦が存在する・・・。


「起動戦艦『ダークスター』・・・・・?」
レイルがアメリアの一言に頷く。
「あの『ゴルンノヴァ』以上に強力な国家戦艦・・・・。」
ゼル・・・。
「ああ・・・・。全長1,000M・・・。強力な黒い装甲・・・。無敵の砲弾・・・。
強いて言うなら・・・そう・・・。『魔王』・・・・。」
ガウリイ達ハプスブルク一門を滅ぼすためのブルボンの使い・・・・。


「飛びこめ!!リナ!!」
ガウリイは大慌てでリナを抱えて海に飛び込む・・・・。
「なに!!ちょっとナンなの!!ガウリイ!!」
海中で必死にガウリイに捕まりながらリナがもがく!!
「厭な予感がしやがったんだ!!」
言ってガウリイはリナを抱えたまま少しでも『ゴルンノヴァ』から離れようとする。
「厭な・・・て・・・・。」
リナのその一言が言い終わらないうちにだった・・・・。
グオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオンん・・・
耳を突くような轟音!!
一瞬にして海の波が荒くなる・・・。
「リナ!!」
波に飲まれそうになるリナを必死でガウリイは抱きかかえる・・・。
「熱い・・・。」
「ああ・・・。当然だ・・・。」
何時になく低いガウリイの声・・・。
周囲が赤い・・・。眼がチカチカとするのを我慢してリナはガウリイに必死でしがみつきつつ前方を見る・・・。
「な!!!!」
「自爆しやがったんだ・・・・。」
ガウリイが吐き捨てるように言う・・・。
赤い煙を上げ燃え盛るゴルンノヴァ・・・。
それはこれからの決戦の前兆にしか過ぎないのだった・・・・・・・・。

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1271Re:ハプスブルクの海洋8ティーゲル 2/12-01:45
記事番号1266へのコメント

 どうもティーゲルでございます。全長1000メートルの船って・・・・かなり
壮絶なシロモノですねぇ・・・・・・・さすがダークスター(^^)
やっぱりソードブレイカーにはプラズマブラストという大砲があるんでしょうか・
・・・・・・
 いろいろ先が楽しみです♪
 短いですがでは。

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1275お礼ですLINA 2/12-18:16
記事番号1271へのコメント


>
> どうもティーゲルでございます。全長1000メートルの船って・・・・かなり
>壮絶なシロモノですねぇ・・・・・・・さすがダークスター(^^)
魔王ですから〜〜♪(て・・。歴史モノにそんなの出てきてい〜のかしら・・・?)
>やっぱりソードブレイカーにはプラズマブラストという大砲があるんでしょうか・
>・・・・・・
おお!!それ良いですね!!(にやり)
決戦はサイコード・ファイナル!!?(実はまだ決めてない奴・・・。)
> いろいろ先が楽しみです♪
> 短いですがでは。
では。また〜〜!!

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1282ハプスブルクの海洋9LINA 2/13-20:37
記事番号1227へのコメント

「状況はどうだ、キャナル?」
ケインがキャナルに聞く。
「順調です。」
端的にキャナルが答える。
「一体全体ナンの事なんですか?ケインさん、キャナルさん。」
アメリアが二人に聞く。
「新兵器の開発よ。」
リナがアメリアの問いに答える。
「新兵器だって?」
ゼル。
「そ。ここにスポンサーは居るしね。」
言ってリナはレイルを指差す。
「ああ。ハプスブルクの隠し財産を託されてたんでな。ガウリイ王子の許可を得て今回の『ソード・ブレイカー』の新兵器開発に使うことにしたんだ。」
レイルが説明する。
「一応ハプスブルク家でももともとブルボンに対抗すべく新兵器の大砲の開発プロジェクトがあったみたいなんだけれどもね。それを応用したに過ぎないわ。」
「で。その責任担当がリナとキャナルってわけね。」
ミリィが口を挟む。
「ふ〜〜ん・・・。で。それは一体全体ど〜いった武器なんだ・・・?」
見ていた兵器開発の書類にうち一枚をポケットの中にしまい、もう一枚をガウリイの座っているテーブルセットの方にもって行きリナは説明する。
「プラズマブラスト砲よ。とリープレール弾よ。」
リナの広げた紙を食い入るように見るガウリイ・・・。
「何がナンだかさっぱりわからん・・・・。」
言うと思った・・・・。
「とのかく・・・。ものすっごい武器よ。通常兵器に使用される火薬なんかよりもよっぽども凄まじい攻撃が可能よ。」
「つまり・・・。対ダークスターの最終兵器って事か・・・・?」
ガウリイ。
「まあ。そう言った所かしらね・・・。」
お茶を濁すような口調でリナが言う。
「で。ダークスターとの決戦はいつなんです?レイル。」
キャナルが核心を突く。
「ああ。恐らく・・・。奴が全長1,000Mである辺りを考えて・・・・。相当広い海域の場所・・・。レパント(地中海)あたりじゃないだろうか・・・。」
「レパント・・・・。」
皮肉の運命のめぐり合わせか。
かつてスペインの誇った「無敵艦隊」がオスマン=トルコ軍を海戦で破った場所である。


「リナ・・・。隠しているんでしょ・・・?」
只一人。
新兵器開発という任務に当たって部屋にいたリナに唐突にキャナルが声をかけてくる。
「ナンの事?キャナル?」
しらっぱくれたようにリナ。
「分かっているんです。ガウリイにプラズマブラスト砲とリープレール弾の説明をしたときに見ました・・・・・。」
静かな口調でキャナルが言う・・・。
「ナンの事・・・?」
尚も仕事の手を休めずに口先だけでリナは答える。
「隠しても無駄です。ポケットの中に入れたでしょう・・・。『ファイナル』の設計図を・・・。」
不意にリナの仕事の手が止まる・・・。
「知ってたの・・・・?キャナル・・・?」
「ええ・・・。お母様が・・・。話して下さいました・・・。」
ハプスブルクの真の意味での最終兵器・・・。
『サイコード・フィアナル』・・・・。
「使わないで!!リナ!!それが意味する事は分かっているでしょ!!」
食いつくようにキャナルが言う・・・。
「分かってる・・・。充分過ぎるほどにね・・・。でもね。キャナル。今開発している新兵器を使ったとしたってダークスターを倒せる保証はないでしょう?」
リナの一言に流石に口篭もるキャナル・・・。
「それは・・。『ファイナル』を使ったとしても同じ事です!!リナ!!」
もはや懇願するように叫ぶキャナルに対してリナは微かにだけ微笑みつつ言う・・。
「『ファイナル』だけの力ならね・・・。でもね・・。キャナル。プロトタイプの『がルンノヴァ』が実戦用艦の『ダークスター』を倒すすでを教えてくれたわ・・。」
暫しの沈黙・・・。
「リナ・・・。アナタ真坂・・・・・?」
リナはキャナルに再度微かに微笑む・・・。
「おやすみなさい、キャナル・・・。兵器は明日には完成するわ・・・。そうしたら。いよいよレパントに出発よ。」
そうとだけ言ってリナは静かに席を立つ・・・。
「駄目・・・絶対に・・・駄目・・・。」
凍りついた様に成るキャナル・・・。
かと言って実際に『ファイナル』の存在を知らないケイン達に何が言えるだろう・・・?
刻一刻とせまる決戦の時・・・・。

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1283ハプスブルクの海洋10LINA 2/13-21:22
記事番号1227へのコメント

「どうしてそんな大事な事を言わなかったんだ!!キャナル!!」
ケインの怒声が船内中に響く。
「信じてもらえないと思ったの!!だから・・・・。」
さしものキャナルの声も弱りきっている。
「一体全体ナンなんだ・・・?サイコード・ファイナルって・・・?」
真剣な口調でガウリイが問う。
「一応はアームストロングくらいの大きさの砲弾です・・・。」
「それにナンの問題があるんですか・・・?それを持ってリナさんが『ダークスター』本船に乗りこんで行った・・・。それだけでしょう・・・?」
アメリアが言う。
「いいえ・・・。それだけじゃ済みません・・・。」
キャナルの声が上ずる・・・。
「だったら・・・。ナンだというんだ・・・?」
苛立ったようにゼルガディス。
「自爆砲弾です・・・。使用する者を木っ端微塵にするほど凄まじい威力を持つ破壊兵器・・・。」
ここまでいってキャナルは黙る・・・。
「真坂・・・。リナは・・・・・。」
「ええ・・・。ミリィ・・・。それを持って・・・。『ダークスター』の中枢部分へ・・。」「乗りこんでいったって言うのか・・・・?」
感情の篭もらない声でガウリイ・・・。
「何所へ行く!!ガウリイ!!」
ブリッジの方面へ走り出そうとしたガウリイにゼルが大声で呼びかける!!
「リナを助けてダークスターを倒す!!」
言うが早いか『ソードブレイカー』から『ダークスター』に掛けられた橋を素早く渡り他の者が後を追えない様に橋を蹴っ飛ばして外す・・・。
「馬鹿!!退路無がくなった!!」
ゼルガディスの罵声。
「な〜に!!リナさえ捕まえれば退路なんかどうにでもなるさ!!」
何時もと変わらない口調でガウリイが言う。
「無事を・・・。」
ケインの一言に笑顔でガウリイが頷く。


「俺達もやるぞ!!キャナル!!プラズマブラストを!!」
「はし!!マスター!!」
ケインの一言に一同が戦闘は位置につく。
「ミリィさん!!砲撃は任せました!!」
「分かったわ!!アメリア。じゃ、防御迎撃はお願いね!!」
「プラズマブラスト発進!!」
ケインの一言によって放たれる最終兵器。
ミリィが通常兵器で援護する。
「やったか!!?」
「いいや・・・。こいつはは流石に『ゴルンノヴァ』以上だな・・・。」
ケインが言う通り。
「ノーダメージか・・・・。」
「流石は『魔王』の呼称を持つ船だけはありますね・・。」
ゼルとアメリア・・・・・・。
「ともかく一旦急速旋回する!!みんな何所かに捕まれ!!」
言って舵を操り船体を大きく急速旋回させるケイン。
「な〜〜なんでまたああああああああ!!」
頭をマトモにぶつけたミリィが不満の声を漏らす・・。
「おまえなあ!!俺の妹とガウリイを殺すつもりか!!旋回してから砲撃しね〜とあいつ等にドッカ〜〜ンかもしれんぞ!!もっともあのばかみて〜にぶ厚い装甲をぶっ壊せればの話しだが。」
「って事は・・・。」
「そう。あの部分こそダークスターの中枢って事だな・・・。」
言ってケインはその部分を親指で指す・・・。
「中枢ごと自爆なんて!!リナ!!絶対駄目なんだから!!」
ミリィが絶叫する。
「そうです・・・。帰ってきてくださいね・・。リナさん・・・。」
祈るようにアメリア・・・。


「リナ!!」
信じられない思いでリナはその声のする方を振り向く・・・。
「ガウリイ・・・。」
しっかりと『ファイナル』を握り締めつつリナは呟く・・・。
「帰るぞ・・・・。こんな事はもう止めろ・・・。」
何故・・・?
「アナタを守る・・。依頼された仕事はなんでも遂行する・・。それがプロのトラ・コンってものでしょう・・・・?」
「リナ・・・・?」
ガウリイはリナにそっと歩み寄る・・・。
「見て・・・。」
彼女の示す方向・・・。
「ソード・・・ブレイカー・・・・・・・・?」
驚愕したガウリイの放ったその一言・・・。
辛うじて原型を留めるその船体。
しかし。
一部は炎に包まれ・・・。
在る部分は大破して見る影も無い・・・。


「今度の砲撃を食らったら終わりです!!」
ここまで戦えたのが奇跡だったのかもしれない・・・。
「残弾数は!!?」
「「もう・・・・。ありません!!」
「回避だ!!」
「無茶だ!!船体がもたんぞ!!」
断末魔としか言い様の無い悲壮な音が船内の各場所でする・・・。
「終わりだ・・・。」
ケインが呟いたそれと同時の瞬間だった・・・。

一瞬にしてド真中の中枢部を破壊され真っ赤な炎とどす黒い煙を上げて海中に沈みかかるダークスター・・・・・。
耳を突くようなとてつもない轟音・・・・。
「サイコード・ファイナル・・・・・・・。」
リナの捨て身の勝利・・・・。


「・・・・・・。」
暫しの沈黙・・・。
叫びを上げる事すら忘れずにはいられない・・・。
「リ・・・ナ・・さ・・・ん・・・。」
放心したようにアメリアがようやく呟く・・・。


「おおおおいいいい!!!!ひきあげてくれええええええええええええ!!!」
突如聞こえるはずも無い人物の声・・・。
「ガウリイ!!!???????」
ケインが唐突にその名前を呼ぶ・・・。
「て!!事は!!!!!」


「しっかしなあ・・・。良くやるな・・。お前・・・。」
ケインが呆れたようにガウリイに言う。
「まあ。『ゴルンノヴァ』の時と容量は同じなんだが・・・。」
爆発の寸前で海に飛び込んだ・・・。
「まったく!!中枢部に窓があったからまだ良かったようなものを・・。」
ゼルも呆れたようにガウリイに言った・・・。


「・・・ん・・・?ガウリイ!!?」
目覚めたリナの頭に直撃するガウリイの拳!!
「いった!!!!何するの!!?」
「それはこっちの台詞だ!!」
その意味を察して黙るリナ・・・。
「ゴメン・・・。」
「もう無茶しないな・・・・?」
「・・・・。うん・・・。」
「これからも・・・。ずっと一緒にしごとしよ〜な・・・。」
言ってはじめた微笑む二人・・・・。
どうやら。ガウリイはリナ以上に「トラ・コン」の免許を皆伝したようだ。
ハプスブルク家の海洋と共に・・・。

終わり

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1285Re:ハプスブルクの海洋10ティーゲル 2/14-11:00
記事番号1283へのコメント

 どうもティーゲルでございます。プラズマブラストが効いてない・・・・・・さ
すがダークスター・・・・・・・・しかしいっちゃいけないのかも知れませんが一
体なにでできてるんだろうダークスターの装甲・・・・・・この時代ならやはり鉄
ですかね。
 しかし、私がプラズマブラストの事言わなかったらどんな展開になってたんでし
ょう?結構知りたいです。
 ではまた次を楽しみに・・・・・・

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1293ど〜もですLINA 2/15-17:55
記事番号1285へのコメント


>
> どうもティーゲルでございます。プラズマブラストが効いてない・・・・・・さ
>すがダークスター・・・・・・・・しかしいっちゃいけないのかも知れませんが一
>体なにでできてるんだろうダークスターの装甲・・・・・・この時代ならやはり鉄
>ですかね。
う〜みゅ・・。
「鉄」しかありませんね〜〜!!
> しかし、私がプラズマブラストの事言わなかったらどんな展開になってたんでし
>ょう?結構知りたいです。
「先手必勝」「殺られるまえに殺れ!!」
しかありませんね!!
> ではまた次を楽しみに・・・・・・
次回予告!!「血塗られた一族ボルジア家」をモデルにした話など如何です?(邪)
では、また!!