◆−新しき世界から 第五章 帝都の朝−gure-to masa (2003/1/31 17:07:13) No.13191
 ┣Re:新しき世界から 第六章 静かな旅立ち−gure-to masa (2003/2/1 18:36:00) No.13211
 ┃┗新しき世界から 第七章 追撃令−gure-to masa (2003/2/2 15:17:51) No.13216
 ┃ ┗読む前に・…−gure-to masa (2003/2/2 15:25:21) No.13217
 ┗新しき世界から 第八章 魔の宴−gure-to masa (2003/2/2 18:13:38) No.13221
  ┗新しき世界から 第九章 王として……−gure-to masa (2003/2/2 19:05:26) No.13222
   ┗新しき世界から 第十章 追撃劇の幕開け−gure-to masa (2003/2/5 19:17:11) No.13236
    ┗新しき世界から 第十一章 静かな夜を僕に・……(誠実に希望する者より)−gure-to masa (2003/2/5 19:44:35) No.13237
     ┗新しき世界から 第十二章 竜の戦い−gure-to masa (2003/2/6 18:25:30) No.13247


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13191新しき世界から 第五章 帝都の朝gure-to masa 2003/1/31 17:07:13


ここはローマ…神聖イタリア帝国首都であり、皇帝が住まうにぎやかな町。
この町に、一軒の宿がある。
名を男爵亭……帝国特殊部隊<ブラックホーク>に所属するクリストファ・バイラッハ男爵とその妻ウイニアの経営する小さな宿である。
その裏庭で2人の男が薪を割っていた。
1人は戦斧を持った少年、もう1人は変わった剣を持った青年。
前者がこの宿の主ークリストファ・バイラッハ男爵…
後者をこの宿の隣に所帯を構える傭兵ーシャノン・カスールである。
「で、ポーランド軍はどうした?」
「もう城を攻められてますよ。ドイツ軍は約3千…援軍1万5千が来ても、ポーランド軍の精鋭2万が援軍に…」
「城が落ちるかもな」
シャノンはそう言いながら、剣で薪を割る。
続いて、クリストファも戦斧で薪を割る。
するとシャノンの家から男爵亭の裏庭へのドアが開き、1人の少女がやって来た。
シャノンのような長い黒髪に、ワンピースのような服装をした少女こそシャノンと
その妻セーネスが愛する一人娘――シーズ・カスールである。(愛称はスィン)
「スィン、どうした?」
「ママが呼んでる。ご飯だって」
「そうか、すぐ行く」
割った薪を袋に入れ、シャノンはシーズと共に家に帰って行った。
クリストファもその光景を見ながら、自らも薪を袋に詰め家に入っていった。

すいません…短くなっちゃいました。

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13211Re:新しき世界から 第六章 静かな旅立ちgure-to masa 2003/2/1 18:36:00
記事番号13191へのコメント

ある山中をセフィクスは、荷物を持って歩いていた。
腰にはいつもの剣でなく、極東にある日本の刀が一振り指してある。
すでに彼女が目指す物は目の前にある。
禁断の洞窟……そこが彼女の目的地である。
その洞窟にはオーディンの天地創造以来から生き続けている古竜(エンシェント・ドラゴン)が住み、この山を管理している。
そして彼女は、その古竜と盟友の仲にある。
他に6体ぐらい古竜がいるが、2対を除いて他はまだ野生のままである。
4日ぐらい盟約を交わしてから、まだ1度も来てはいない。
セフィクスはゆっくりと近隣の住民が滅多に入らないその洞窟に入っていった。

洞窟を少し入った所に、それはいた。
4枚の刃物のような巨大な翼。口の先の1本角は槍の如く天に向けられている。
手足の爪は鋭く、全身は燃え上がる炎のような鱗で覆われていた。
「お久し振りです、マイセル」
『そのような挨拶は我には似合わぬ、セフィクスよ』
何万年と言う時を生きて来たと言うのに、その言葉には若々しさがある。
(口調はジイさんに近いが)
その眼にもかつて炎竜族を率いり、他の種族と<竜王>の称号をめぐり、
争った時のままだ。
これこそ古竜でも有数の実力者――火竜マイセルである。
『で、今回は何用できた?』
「私を日本まで連れて行った欲しいのです」
『何故じゃ?貴殿にはワ―プ魔法があるではないか?
ワシなどより、早く日本へ行ける魔法が。
それにガーヴとて黙ってはおらんぞ。今が忙しい時なのじゃから』
「今回は、ゆっくりと時間をかけていきたいのです。」
『………わかった……」
マイセルはもう何も言わずに、彼女の頼みを受け入れた。

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13216新しき世界から 第七章 追撃令gure-to masa 2003/2/2 15:17:51
記事番号13211へのコメント

「何!!??セフィクスが旅に出ただと!!??」
ガーヴの声が王城内に響き渡り、彼の傍にいた者達はみんな耳を塞いでいる。
「それは本当か、ラーシャート!!??」
「は……はい!!私の手の者が帝都上空を飛行する巨竜を目撃しましたし、
セフィクス殿の家からそれをうかがわせる手紙もありました」
ラーシャートの報告を聞いて、ガーヴは普段使わない脳味噌を使い始めた。
その巨竜は間違いなく、マイセルだろう。
この世界にたった7体しかいない古竜で最強を誇る火竜……
かつて単身で魔族3万・邪竜族3千と戦い、勝利した竜。
力だけなら自分と互角だろうが、知恵や行動力ではあちらの方が上だ。
「各国からマイセルの通過報告を収集しろ。
モスクワにいるドルノースに、スミノフ将軍に頼んで<竜王騎士団>を
出撃させるよう要請しろ」
「了解しました、他は?」
「シャノンの奴に仕事の依頼だ。<アーフィ>を使ってでも、
セフィクスとマイセルを連れ戻せとな。ちょんと五体満足でだ」
ガーヴの命令を受け、ラーシャートは部屋から出て行った。

その数分後に、霧とキャシアスが入って来た。
「どうしたんだ、ガーヴ?」
「この忙しいのに、セフィクスが旅に出かけやがった。
今の所、シャノンと竜王騎士団が出撃要請を出しておいた」
「私も行こう」
そう言って、霧はガーヴの執務室を出て行った。
部屋には、ガーヴとキャシアスだけが残っている。
「で、偵察部隊から何か来たか?」
「ああ、来たとも」
ガーヴに促され、キャシアスはガーヴの汚い机に上にヨーロッパ地図を広げた。
そしてポーランド王国の首都ワルシャワを指差した。
「もうここも落ちた。5時間で陥落そうだ」
「意外に早かったな。一国の首都にしては」
「真夜中にに攻めたそうだ。国民・軍隊も全滅だそうだ」
そう言って、キャシアスは地図をたたみ始めた。
「もう時間がない。あいつらに対抗するために、人間連合軍を組織する必要があるよ、ガーヴ」
「あいつの前に、俺達は紙の軍隊だろう。神も魔族も、そして<あの御方>を
守る親衛隊でも……」
ガーヴがそう言うと、キャシアスは退室した。
1人部屋に残ったガーヴはワルシャワのある方向に目を向けた。
あそこに奴がいる……
金色の魔王と武に置いて、唯一互角に戦える……創造主を滅する存在でもある…
たった1人の王が……

彼の名と実力を知る人は皆こう呼ぶ……
不死王ブラムス……鋼鉄の腕(アイアン・アーム)の創造主殺しの名を………


何だか、ブラムスが最強化してるようですけど……
ま、いいか!!これぐらい強くないと、金色の魔王も張り合いがないでしょう。

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13217読む前に・…gure-to masa 2003/2/2 15:25:21
記事番号13216へのコメント

今回、誤字が結構ありましたのですいません!!
ブラムス様が創造主殺しになってますが、これはL様を滅ぼせるであろう存在と
して誰かが勝手に付けた物です(その世界の)。
その辺の所、ご理解ください。

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13221新しき世界から 第八章 魔の宴gure-to masa 2003/2/2 18:13:38
記事番号13191へのコメント

ここは魔族の統治する国――デンマークの北にある首都カエウケッテ(オルボルグ)
薄暗い都の中心にそれは天に逆らうように建っている。
魔族の総本山――ハルメール城・・・・・・
城の最上階には、この世界の魔王――最後の魔王<アスタイスグドゥ>がいる
<王の間>がある。
そして今、その部屋には彼の幹部4人が揃っていた。
「イタリア地方より古竜――火竜マイセルが飛び立ったとの報告あり」
「不死王――ブラムスが7千の兵で、ワルシャワを起ちました」
「各国が臨戦態勢にあります」
密偵からの報告を聞きながら、5人は仕事していた。
令状にサインをする者、地図を見ながら作戦を練る者、刀を磨く者、
報告に耳を傾ける者、何もしないで寝ている者……
前からアスタイスグドゥ(今度からA)、ジント(魔獣王)、サーフル(時計王)、
ノルトノス(魔魚王)、フングス(魔空王)である。
「計画の方はどうなっている?」
「問題はないかと……後は、ブラムスがドイツを占領するのを待つばかりです」
「そうか……ブラムスがか……」
Aはそう言いながら、令状にサインをして行く。
「ノルトノスはイギリス艦隊の妨害を、フングスはドイツとの国境を騒がせろ」
『了解しました』
ノルトノスは寝ているフングスを引っ張りながら、退室していった。
部屋には3人残った。
「私達には何もないのですか?」
「ジントは兵力をこの都に集結させろ。サーフルは奴の見張りを任せる」
『了解しました』
そう言って、退室していった2人を見ながらAは静かにペンを机に置いた。
もう後戻りはできない地点まで来てしまった事を確認しながら……

「見張りの交代だ」
サーフルはさっきまでこの牢屋に詰めていた牢番と仕事を交代した。
「では、失礼します」
牢番はそう言って、近くにあったベットに静かに潜り込み寝た。
そんな彼を見ながら、サーフルは目の前にいる囚人を見ていた。
重そうな鎖につながれ、汚い囚人服を着たミイラである。
しかし、サーフルにとってこのミイラは油断の出来ない相手だった。
魔罪王(カオス・デス)アンカー……
かつてAはおろか、金色の魔王に反逆をした魔族……
そしてAによって、この都の最下層にある牢屋に放り込まれた馬鹿者……
「アンタが目指した未来って、なんだったの?」
サーフルが問い掛けても、答えは返って来ない。
すでに魔力の供給を停止され、体内に現存する己の魔力で生きて行くしかないのだ……これがAが施した封印……
それは死を意味するぐらい、この世界の魔族は誰もが知っている。
自分達は、王に逆らう事のできない存在である事を……


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13222新しき世界から 第九章 王として……gure-to masa 2003/2/2 19:05:26
記事番号13221へのコメント

日の出ぬ早朝……
死者の町と化した王都ワルシャワから声が聞こえた。
「陛下、準備ができました」
「第1機甲兵団、準備完了!!」
「第3騎士団、いつでも出発できます」
軍団のあちらこちらから号令がかかる。
それを見る1人の男がいた。
鋼のような長い黒髪に、灰色のような肌……それに血のような赤い瞳……
身体を袖無しの緑色ジャケットと肌色のジーンズに、血のように赤い靴……
そして彼の両腕には、黒の手甲が装着してある。
ブラッディ・ダスター……
これがあの不死王ブラムスが武器であり、金色の魔王の大鎌を打ち砕いた時に
使用した手甲の名である。
そして、彼こそこの世界で最強を誇る戦士――不死王ブラムスである。
その鋭い眼光は、まっすぐに神族の本拠地ヴァルハラに向けられている。
彼の目的は、ただ1つ……
氷河の竜神レナスと最後の魔王―部下Aの力を己に取り込み、金色の魔王を
倒す事……
しかし、彼の目的はそれだけしかない。
別に世界を征服し、創造主になろうとすら考えた事がない。
彼の真の目的は、唯強い奴と戦いそれに勝つ事である。
しかも、金色の魔王は結構いきな計らいもしてくれた。
この世界を面白くするために、他世界から強い神族・魔族を送りこんでいた。
これは唯、彼も楽しくするための物になりそうだ。
「侵攻方向は、予定通りベルリンでよろしいですな?」
彼の軍師でもあるガノッサが、ブラムスに報告をする。
ワルシャワ攻略をたった5時間で終了させたのも彼の知恵があったからだろう。
武のブランスに、知のガノッサ……
彼らは、ブラムスにとって優秀な部下であった。
そして、遂にブラムスの口から号令が発せられた。
「全軍!!ベルリンに向け、出撃!!!!!」
天に響き渡るその声は、まさに王者そのものだった。

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13236新しき世界から 第十章 追撃劇の幕開けgure-to masa 2003/2/5 19:17:11
記事番号13222へのコメント

ここはモスクワ。
人間社会を北アメリカ大陸にあるアメリカ王国と2分し、最強の騎士団の忠誠を
受ける世界最北の人類国家の帝都である。
その都にそびえ立つソビエト帝室が住まうクレムリン宮殿の北にある広大な広間に
それはいた。
広間に整列する数十を超える氷竜族と騎士達……そしてそこにいる氷竜族よりも
はるかに巨大な竜……
彼らこそソビエト帝国が世界に誇る最強の騎士団――竜王騎士団とそれを指揮する
氷竜族の長――古竜――氷竜ブラムドである。
そして、ブラムドとマイセルはかつて敵対関係でもあった。
『出撃するぞ!!』
ブラムドの声に、氷竜族は咆哮で答えた。
ブラムドを先頭に、竜騎士達は寒いモスクワの空に舞い上がっていった。

ソビエトで竜王騎士団が出撃した頃、ローマでももう1人の男に依頼がきていた。
「危険度(リスク)SSSで、前金に金貨1万枚か……」
目の前の机に袋いっぱいに詰められた金貨1万枚を見ながら、シャノンはラルタークを見た。
今回の依頼者は第2将軍ガーヴと帝室からだった。
帝国軍参謀長――セフィクス・カオスと火竜マイセルを無傷で帝都に連れ戻す事。
成功すれば、報酬として金貨3万枚・銀貨4万枚………
リスクは高すぎるが、報酬も破格だ。
毎月の小遣いと毎年の仕事の報酬金の約4倍に相当する依頼金だ。
「セフィクスが嫌がったら、どうすればいい?」
「それはシャノン様のご判断にお任せします。連れ帰れない場合は、何故旅に出たのかぐらいの説明文を受け取って下されれば結構です」
「どっちとも失敗した場合は?」
「パシフィカ殿とラクウェル殿をこちらに呼びます」
その名前を聞いて、シャノンは青ざめた。
パシフィカとラクウェル………現在、ドイツ連邦領でベルリンと双璧をなす規模の
都市――音楽の都ウィ―ンに住むシャノンの姉と義妹である。
そしてシャノンが妻セーネスよりも恐れる女性でもある。
どれくらい彼にいろいろな思い出――しかも嫌な思い出ばかりを植え付けてきたのかと言うと、半端なやり方ではない。
姉のラクウェルは亡き母と同じように強大な魔力を持っており、ドイツ連邦では
違法な軍用魔法を色々と修得している。
その実力はこの国の軍参謀長にして、<ローマの大賢者>と称される帝立魔法学園
大学部教授を務めるセフィクスと互角とまで言われている。
しかしとぼけた所があり、魔法の失敗でシャノンに大怪我を負わせた事が幾度とある。
義妹のパシフィカ……ラクウェル・シャノンとは血がつながらないが、
2人の妹同然に育ててきた。
そのせいか、シャノンが異性と仲良くしていると、いろいろな悪質攻撃で仕掛けてくる事が何回もあった。
特に彼の部屋に異性が遊びにくれば大量のカラシ入り紅茶を出したり、数十分おきに闘鶏のデザードイーグル(世界大会第1位・ヨーロッパ大会4連覇中)と
コルトパイソン(ヨーロッパ大会第2位)を率いて乱入して来た。
もし自分がセーネスと…しかも、イギリス共和国第1王位継承者と報告もせず、
結婚した事がバレれば………
「で、どうするのですじゃ?」
「…受けますよ……その依頼……」
考えうるイヤガラセを頭に考えながら、シャノンは肩を落とした。

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13237新しき世界から 第十一章 静かな夜を僕に・……(誠実に希望する者より)gure-to masa 2003/2/5 19:44:35
記事番号13236へのコメント

ガーヴとアクアが緊急に宮殿に呼ばれ、カオス家では静かな時間が過ぎていた。
ヴァルガーヴは自室で『罪と罰』を読みながら、コーヒーを飲んでいる。
机の上には人事関係の書類で埋め尽くされ、彼はベッドに横になっている。
室内では魔力で動くレコードからクラシック(白鳥の湖)が優雅に流れている。
ヴァルガーヴにとって、唯一この家で最も休める時間を満喫していた。
が、例外と言う物もある。

ドカ〜〜〜〜ン!!!!!!

巨大な爆音。
これがヴァルガーヴにとって、この時間が終了する合図だった。
「又か……」
本をベッドに置き、部屋を出たヴァルガーヴは1階に降りて、フィブリゾのいる
地価のラボに向かった。
(この屋敷にはフィブ専用の小ラボとセフィクス専用の大ラボがある)
ドアを開けると、ラボ内から煙がモクモクと出てくる。
「竜巻(トルネード)」
セフィクスが開発した風系精霊魔法で煙を一掃したヴァルガーヴは部屋内に入った。
そこには、大鍋いっぱいに入った紫色の液体をかき回すフィブリゾがいた。
「冥王よ、何をしている?」
「ちょっと風邪薬の製作と調合」
「風邪薬!?」
フィブリゾからでた答えに、ヴァルガーヴは首を傾げた。
金色の魔王によって、カオス家一家は病気にかかりにくい体質になっている。
「何故、風邪薬なのだ?」
「昨日からカテリーナ先生が風邪ひいてさ。
ガルボ―ドの奴が代わりに来たから、先生に早く治って貰うんだ!!」
「……そうか、できれば沈黙(サイレント)をかけてくれ」
「分かったよ」
フィブリゾが呪文を唱えるのを聞きながら、ヴァルガーヴはラボのドアを閉めた。
そして隣にあるセフィクス専用の大ラボに入った。
室内にはいろいなな武器・魔術書――中には、異界のものまである。
しかし彼女の机には、いろいろな医学書・古文書・動物学書に薬学書……
すべて彼女の範囲外の物ばかりだが、それには理由があった。
セフィクスは病気にかかっている。
しかも、不治の病―――竜熱(ドラゴンフィーバー)である。
火の精霊力を体内に秘める竜と接触した者のみに起こる熱病で、
ソビエトの竜王騎士団でも年に10人がかかって、死んでいる。
これが治ったと言う前例はない。
クレアバイブルすら解答不能とまで言っている。
この病気を解明するために、セフィクスとソビエト竜熱研究所が手を結んだ。
全ては苦しむ自分と騎士達のために……
セフィクスは暇な時間があれば、ここで何時間でもこもって研究した。
主のいない部屋から『地獄の黙示録』と言う本を借り、
ヴァルガーヴは部屋を後にした。

屋敷には又、その静けさが戻った。


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13247新しき世界から 第十二章 竜の戦いgure-to masa 2003/2/6 18:25:30
記事番号13237へのコメント

「魔獣烈炎砲(ジントフレア)」
『火炎矢(ファイヤランス)』
セフィクスと騎士達の声が重なる。
十数個の小さな漆黒の光弾と数十本の大根ほどの火の矢が衝突する。
カスピ海上空は爆音と爆炎に包まれていた。
マイセルが炎のブレスを吐けば、騎士達の駆る氷竜族が自主的に退避する。
竜王騎士団を無視して今夜の宿を取ろうと思っていたセフィクスだが、彼らのしつこくこのままだとブラムドが到着してしまう。
『氷狼斬(フェンリルスレイブ)』
騎士達の放った何百にもなる小さな氷の矢がセフィクスに襲い掛かる。
それを迎撃する為に、セフィクスも魔法を撃つ。
「炎帝球(イフリートボール)」
巨大な火球が氷の矢を溶かしながら、竜王騎士団に向かっていく。
が、それを氷のブレスが破壊した。
ブレスを飛んできた方向を見ると、そこにはブラムドが悠然と浮かんでいた。
『久しいな、マイセル』
『百年ぶりですな、ブラムド』
この場に、古竜2体の放つ殺気が満ち始めている。
『行くぞ!!!』
『来い!!!!』
ブラムドがマイセルめがけ飛び掛り、マイセルはブラムドに背を向けて逃げ始めた。
「マ……マイセル!!??」
『逃げる気か、マイセル!!??』
『私の今の使命は、盟友を日本に運ぶ事。貴様如きに時間が割けるか!!』
「神破斬(ゴットスレイブ)」
セフィクスの放った巨大な漆黒の光弾が海面に直撃した。
大きな街を2、3個軽くで吹き飛ばす光弾の熱で、モノスゴイ量の水蒸気が発生した。
「海竜障壁(リヴァイアサンシールド)」
そして、強力な結界が彼らの周りを取り囲んだ。
『では、さらばだ』
『マイセル〜〜〜!!!!!!!』
水蒸気の中から聞こえるブラムドの声を聞きながら、セフィクスとマイセルは
東に飛び去っていった。

解説―――今回登場した魔法を紹介します
魔獣烈炎砲(ジントフレア)――魔獣王ジントの力を借りた魔法
敵を消滅させるほどの威力   黒魔法で3番目の威力を誇る
火炎矢(ファイヤランス)――サラマンダ―(火トカゲ)の力を借りた火系精霊魔法の1つ 初級者でも簡単に出来る
氷狼斬(フェンリルスレイブ)――邪神ロキの子供で、氷の精霊王を務める
氷狼フェンリルの力を借りた氷系精霊魔法最強の呪文
炎帝球(イフリートボール)――炎の精霊王――魔神イフリートの力を借りた
火系精霊魔法最強の破壊呪文  中級者でも使える
神破斬(ゴットスレイブ)――この世界の魔王――最後の魔王アスタイスグドゥの
力を借りた世界で2番目の破壊力を誇る黒魔法 
海竜障壁(リヴァイアサンシールド)――水の精霊王――海王リヴァイアサンの
力を借りた防御系の水系精霊魔法の1つ