◆−たったひとつの冴えたやり方 Phase 1−エモーション (2003/3/15 01:40:43) No.13551 ┣Re:たったひとつの冴えたやり方 Phase 1−D・S・ハイドラント (2003/3/15 15:14:07) No.13563 ┃┗Re:たったひとつの冴えたやり方 Phase 1−エモーション (2003/3/15 23:03:56) No.13574 ┣新作ですね♪−猫楽者 (2003/3/15 18:38:32) No.13571 ┃┗Re:新作ですね♪−エモーション (2003/3/16 01:42:12) No.13576 ┣わーーい、新作だぁ!(^^)−けーこ (2003/3/16 15:34:03) No.13586 ┃┣ダメじゃん、私(T_T)−けーこ (2003/3/16 15:42:39) No.13587 ┃┗Re:わーーい、新作だぁ!(^^)−エモーション (2003/3/16 22:44:24) No.13591 ┣最近(に限ったことじゃないけど)冴えないわたし−Dirac (2003/3/18 19:36:00) No.13637 ┃┗最近、鬱展開話の多い私−エモーション (2003/3/18 23:55:26) No.13659 ┣たったひとつの冴えたやり方 Phase 2−エモーション (2003/3/18 23:33:24) No.13657 ┃┣Re:たったひとつの冴えたやり方 Phase 2−颪月夜ハイドラント (2003/3/19 19:07:24) No.13679 ┃┃┗気づくの遅れましたが改名なさったのですね。−エモーション (2003/3/19 22:24:56) No.13682 ┃┗大変なことになっていますね。−猫楽者 (2003/3/20 12:42:09) No.13688 ┃ ┗今回の話は本気で鬱展開です。−エモーション (2003/3/20 23:39:52) No.13693 ┣たったひとつの冴えたやり方 Phase 3−エモーション (2003/3/22 22:32:35) No.13705 ┃┣お・・・大物登場ですね(汗)−猫楽者 (2003/3/23 01:17:22) No.13706 ┃┃┗キャラの名前を間違えてしまいました……(滝汗)−エモーション (2003/3/23 23:34:43) No.13717 ┃┗Re:たったひとつの冴えたやり方 Phase 3−颪月夜ハイドラント (2003/3/24 13:59:29) No.13720 ┃ ┗Re:たったひとつの冴えたやり方 Phase 3−エモーション (2003/3/24 22:17:18) No.13726 ┣たったひとつの冴えたやり方 Phase 4−エモーション (2003/3/26 23:51:34) No.13748 ┃┣Re:たったひと切れの冷めた焼肉(何)−颪月夜ハイドラント (2003/3/27 13:30:20) No.13750 ┃┃┗それを当然自分のだと思うのはうちの犬−エモーション (2003/3/28 00:04:42) No.13759 ┃┣母親は・・・・強いですね。−猫楽者 (2003/3/28 01:10:19) No.13760 ┃┃┗Re:母親は・・・・強いですね。−エモーション (2003/3/29 00:51:21) No.13774 ┃┗Phase2から4までの感想です(^^;)−けーこ (2003/3/29 00:30:19) No.13773 ┃ ┗Re:Phase2から4までの感想です(^^;)−エモーション (2003/3/29 23:10:21) NEW No.13781 ┣たったひとつの冴えたやり方 Phase 5(完)−エモーション (2003/3/31 22:21:37) NEW No.13804 ┃┣お疲れ様でした!−けーこ (2003/4/1 00:50:18) NEW No.13810 ┃┗想いは、心は伝わるのですね。−猫楽者 (2003/4/1 01:06:19) NEW No.13811 ┗番外のさらに番外:If〜春の朝 −エモーション (2003/4/1 00:06:02) NEW No.13809 ┣たったひとひらの枯れた花びら:In〜春の朝−颪月夜ハイドラント (2003/4/1 12:19:20) NEW No.13814 ┗Re:番外のさらに番外:If〜春の朝 −けーこ (2003/4/1 19:50:10) NEW No.13834
13551 | たったひとつの冴えたやり方 Phase 1 | エモーション E-mail | 2003/3/15 01:40:43 |
こんばんは。 またまた性懲りもなく投稿しに参りました。m(__)m 毎回毎回オリキャラばかり出まくってますが、今回もオリキャラづくしです(汗) しかも私的には番外編に分類しています。他の話を読んでいなくても、何とか 分かる……ように書いたつもりですが、そうなっていると良いのですが(滝汗) また、一応書き上げてありますが、記事投稿は適度に間を空くと思います。 時代設定は降魔戦争の前。そして場所は同じでも、成立している王朝や国名は リナ達の時代とは違います。同じなのってカタート山脈とかくらいかも。 では、お目汚しですが、読んでいただければ幸いです。 ★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆ 「たったひとつの冴えたやり方〜Uaboeh roenr」 Phase 1 プロローグ 暗い、どこまでも暗い闇の中だった。1人、不安げに闇の中に佇む娘に、 重々しい声が不気味に告げる。 「……お前は身ごもっているだろう……。その子をよこせ……。今身ごもって いるのは悪い子だ……。殺せ……、今の内に殺してしまえ……」 その言葉は何度も何度も繰り返される。彼女が同意するまで続ける、そんな 様子だった。が、震えていたはずの娘は、深い緑色の瞳に強い怒りの色を 浮かべて顔を上げると、繊細で儚げな外見とは裏腹に、勝ち気な面持ちと 強い口調で怒鳴った。 「さっきからうるさいわね! あんた誰よ!! 黙って聞いていれば勝手な ことばかり言って、だいたい何で私の子をあんたに渡さなきゃならないの! 冗談じゃないわ! それに私自身、妊娠しているかどうかも分かってないのに、何であんたに そんなことが分かるのよ!」 闇の中の声は、一瞬怯んだように沈黙するが、彼女はそんなことに構わず 文句を続ける。 「しかも悪い子だなんて、あんたが勝手に決めないでよ! くだらないこと ごちゃごちゃ言ってないで、さっさとどっか行きなさい! そして二度と 私の前に現れないで!」 そう叫ぶと同時に、彼女は手近にあった枕を声の主に叩きつけた。不思議な 金の光を帯びた枕は、声の主に何故かダメージを与えたらしい。反撃された ことに驚いたのか、彼女の剣幕に驚いたのか、それともその両方か、闇を纏った 声の主はかき消えていった。 ……夢? 射し込んでくるやわらかな朝の光の中、次第にはっきりしていく視界に 映るのはもう見慣れた部屋の天井だ。隣で眠っている夫を起こさないように、 ゆっくりと起き上がる。部屋には何の異常もない。確かに投げたと思った枕は ちゃんとベットの上だ。荒くなっている呼吸を整え、ベットから抜け出ると、 タオルで汗を拭き、服を着替える。 ……まったく、ばかばかしいうえに腹が立つ夢! 深く息をつき、気分を切り替えると彼女はエプロン片手に部屋を出る。 エプロンはお嫁さんの戦闘服。これからキッチンという名の戦場へ向かう彼女 ──アリシア=デューク=キルヒアイス──の頭からは、すでについさっき 見た「夢」はきれいさっぱり忘れられていた。 1. 初夏の風はまだ肌寒く感じるものの、暖かな陽光の中で、長いはしばみ色 の髪を軽くまとめた二十歳ほどの娘が、菜園に水をまいていた。彼女から少し ──水が掛からない程度に──離れた場所に置かれた籠の中では、生後3ヶ月ほど の赤ん坊がすやすやと眠っている。父親譲りのフェアブロンドの髪が、陽の光を 反射してきらきらと輝いていた。 すやすやと眠っている娘を見て、アリシアは思わず微笑む。結婚して2年目、 冬の終わりに生まれた子どもだ。起きていても眠っていても、とても愛らしくて、 見ているだけで幸せな気持ちで一杯になる。夫のフランツがつけた 「フィリシア(幸福)」という名前は、本当にぴったりな名前だとつくづく思う。 「アリシア、お義父さんとお義母さんがいらしたよ。丁度いいからお茶にしよう」 すでにカップも人数分きっちり揃え、ポットにお茶の葉を入れながら、 フランツはそう穏やかに笑って言う。薬師の仕事をしているためか、フランツは とにかく紅茶の類が好きだ。ついでに言えば淹れ方もアリシアよりずっと上手い。 「ええ。今行くわ」 眠っている娘を起こさないようにそっと抱き上げ、アリシアは室内に入る。 途端に満面の笑みを浮かべたアリシアの両親がよってきた。 「また少し大きくなったかしら。ほんとに……いつ見ても可愛いこと(はあと)」 「フィリシア〜! おじーちゃんだよ〜!!」 「ちょっと、父さん! そんな大声出さないで。フィリシアが起きちゃうじゃない」 アリシアは少々ムッとしたようにそう言って、父親を軽く睨む。娘が生まれた ことを喜んでくれるのは嬉しいが、勝手に金持ちで家柄が良いだけの妙な男 との縁談を進めようとするわ、さんざんフランツとの結婚に反対するわで、 結婚前に派手に大喧嘩したせいか、フィリシアが生まれた今でも、どうも 素直になれない。 眠っているフィリシアを起こさないために怒鳴りあいこそしないものの、 ムッとして睨みあう2人に、フランツは困ったような面持ちになる。 「アリシア、そんな風に言わなくても……」 「いいのよ、フランツ。あの似たもの父娘はね、あれでコミュニケーション とっているんだから、放っておいていいの。口もきかなかった頃に比べれば、 ずっとマシなのよ」 よく似た性格だけに、昔からこんな調子だったのを見てきた母親は、ほほほほ と笑いながら娘婿にのんびりとそう語った。 ☆★☆★☆★☆ 「もう! 父さんったら、何考えてるのかしら?!」 夕食で使った食器を片づけ終えて、アリシアはそう言いながらフィリシア をあやしているフランツの隣に座る。近くに住んでいるのでアリシアの両親は 孫娘可愛さでよく訪れる。いつものように夕食を一緒に取ってから帰ったのだが、 夕食の席でアリシアと父親はまた口げんかを始めた。原因はフィリシアのこと。 「お義父さんはお義父さんなりに、フィリシアのことを考えてるんだよ。 ……ちょっと先走りすぎだけどね」 くすくすと笑って、フランツは首に下げている自分の御守りの玉──深く 混ざり気のない鮮やかな緑色の翡翠──が気に入ったらしく、握ったり離したり して遊ぶフィリシアを見ながら答える。そんなフランツにつられたのか、 ドーナツ型の翡翠をしっかりと持ちながら、フィリシアも楽しそうに笑いだす。 「先走りすぎなんてもんじゃないわよ。貴族や王族じゃあるまいし、生まれて 3〜4ヶ月の子どもの縁談を今から探そうなんて」 父が単純に孫可愛さから舞い上がっているだけで、悪気などないのは分かって いる。が、自分の時のこともあるので、アリシアはどうしても神経質になってしまう。 「でも、本気で言ったわけじゃないのは、アリシアもほんとは分かっているだろう? ああ、駄目だよ、フィリシア。口に入れたりしちゃ」 そう言いながら、フランツは翡翠を口に入れようとするフィリシアに気づいて、 慌てて翡翠を取り上げる。フィリシアは不満そうだが、先程義母に言われた言葉 ──幼い子どもは何でも口に入れてしまうので、充分に注意が必要──を 早々に実感した。これからは薬草の類どころか、口にあっさり収まるサイズの物は 迂闊に置けない。 「うん、分かってる。でも……もし、父さんが……ううん、父さんじゃなくても、 フィリシアが大きくなったとき、誰かが無理にこーゆー話を進めてきたら…… どうする?」 その様子を見ながら、フランツの肩に頭を寄りかからせて、ぽつりと呟いた アリシアに、いつものように穏やかだが、はっきりとした口調で、フランツ は答える。 「アリシアも先走りしすぎ。でも、そんなことになったら断るよ。フィリシアの 意思を無視するような事だけは、相手が誰であろうとさせない。絶対に」 肩に預けていた頭を上げると、穏やかな面持ちでフランツが見ている。 しかし、彼の紫色の瞳は真剣な色を浮かべていた。いつも穏やかで優しいけれど、 こんな瞳をしているときのフランツは、けして退かないのだとアリシアは 知っている。 「……うん」 にっこりと微笑んで、アリシアは再びフランツの肩に頭を寄りかからせた。 2. 「……すみません、娘さん。あなたが今水を与えているのは、ラシードですよね?」 いつものように菜園、と言っても家庭菜園ではなく、フランツが仕事で使う 薬草畑なのだが、その薬草に水を与えていたアリシアは、通りがかった三十歳半ば ほどの男にそう声をかけられた。見慣れないので旅の者だろう。服装は魔道士風だが、 旅の魔道士にしては定住している魔道士より多少身動きしやすい、といった服装だ。 「ええ。そうですが、何か……?」 とりあえず、必要以上に警戒心を与えるような相手ではなかったので、 アリシアは普通に言葉を返すと、相手はほっとしたように破顔した。 「良かった。実はラシードを探していたんですよ。あ、わざわざラシードを 植えていると言うことは……薬草屋さんなのでしょうか?」 「ええ。夫は薬師ですし。すぐに使えるように加工されたものでしたら、 店の方にあると思います」 「失礼、奥さんでしたか。てっきり娘さんだとばかり。ああ、お店にはそちらを 回ればいいのでしょうか?」 「かまいませんわ。こちらからどうぞ。今、夫を呼んできます」 庭から通りへ出られる柵の戸を指し示して、アリシアはそう答えた。 男はポラリスと言う名で、所謂賢者と呼ばれる類の人間だった。神官の家 に生まれたそうだが、個人的な教養として魔道を習っている内に、興味が そちらへ移ってしまい、神官よりも魔道研究の方へ進み、たまに研究のために 旅をしたりしているのだという。 「助かりました。この間立ち寄った村で、すっかり使い果たしてしまいましてね。 なかなか薬草屋さんも見つからないし、どうしようかと思っていたんです」 「いえ、こちらも商売ですし。ラシードやアクアクは、旅をするのなら 持っていた方がいいですからね。まして、ポラリスさんのように治療呪文が 使える方は、村によっては手元にないと少し困ったことになりますから」 どこの村にも医者や神官がいるわけではない。下手をすればフランツのような 薬師すらいない村もある。治療呪文やその手の知識を持つ者は、どうしても 重宝され、頼られる。 ふぇぇぇぇぇぇぇ 「どうしたのかしら? さっきまで機嫌が良かったのに……」 お茶を出してフランツとポラリスのやりとりを見ていたアリシアは、不意に 聞こえた泣き声にそちらへと駆けていく。 「お子さんですか? 美人の奥さんに可愛い赤ちゃん。羨ましいですね」 そう笑って言うポラリスに、フランツは嬉しそうに笑んで答える。 「ありがとうございます。冬の終わりに生まれまして。まだ、慣れないことが 多くて、毎日が大騒ぎですよ」 そんな事を話していると、アリシアがフィリシアを抱きかかえながらやってきた。 「誰も近くにいないのが嫌だったみたい。もう、甘えん坊なんだから」 さっきまで泣いていたのに、もうきゃっきゃと笑っている娘に、口では そう言いながらもアリシアは優しい笑顔を見せていた。それは誰が見ても 間違えようもない母親の顔だ。 と、ポラリスはアリシアの抱えた赤ん坊と目があった途端、不思議な感覚を感じた。 ……これは……この子は……。 綺麗な赤紫色の瞳。赤ん坊特有の無垢な瞳を通して感じる、とてつもなく 強い存在。抱えている母親の方も、例えれば強い光のような存在の女性だが、 この子は桁が違うとすぐに分かる。何より、途中で路線変更したとはいえ、 ポラリスの神官の部分がその存在に気づいてしまった。 「……どうか、なさいましたか?」 フィリシアを見るなり、急に呆然とした面持ちになったポラリスに、 フランツが訊ねる。 「すみません……少し、驚いてしまいまして……」 どう言ったらいいのやらと考え、ふとこの間知り合った二十歳半ばの神官の事を 思い出した。──確か修行の旅を終えて、神殿に戻るところだと言っていた。 力も並の神官よりずっと優れている。しかも──レージュ大神殿の神官だ。 彼ならこの子の中の存在を確信を持って言えるだろうし、自分が言うよりも ずっと説得力がある。 「お気に障ったら申し訳ないのですが、その子は……凄い力を持っています。 それで、少し驚いてしまったんです」 にっこりと笑んで、言葉を選びながらポラリスはそう言う。それ故に、この子は 背負わなくても良いものを背負うかもしれないが、それは言う必要がない。 この若夫婦を無意味に不安がらせるだけだ。 「その子が大きくなって、その必要があるのでしたら、レージュ大神殿にいる セーガンという神官を訪ねると良いでしょう。彼はきっと、あなた方の力に なってくれます」 ある程度成長すれば、さすがにこの夫婦も子どもの持つ力に気づくだろう。 だが下手に神殿の上の地位にいる者に知られたら、神殿はきっと理由を付けて この若夫婦から子どもを取り上げてしまう。それだけの力の持ち主なのだから。 しかしセーガンなら、そんな真似はせずに、この夫婦と子どもに力を貸して くれるはずだ。 セーガンの人柄なら、きっとそうだと確信しながら、ポラリスはそう勧めた。 ☆★☆★☆★☆ 「……ねぇ、昼間の話、どう思う?」 その日の夜、寝室でフィリシアの寝顔を見ながらアリシアはフランツに 話しかけた。あまり気にしないでほしいとは言われたが、どうしても気に掛かる。 「ポラリスさんが言っていた事? そうだね。凄い力って……何かなとは思うね」 フランツは夜着に着替えて、アリシアと向かい合う形でフィリシアの側に 座って答える。確かに全く気にならないわけはない。 「わざわざ言うんですもの。単純に魔力許容量が人より大きいとか、そんな 問題じゃないような気がして……」 アリシアは魔道の知識はないが、父親がわりと成功している商人だ。実家 ではマジック・アイテム等も扱っていたので、取引相手が魔道士の事も多く、 自然にアリシアは一般の者よりも魔道士に関しては知識を持っていた。だから、 そう疑問に思ったのだろう。 アリシアの言いたいことは、フランツにも理解できる。薬師だけに神官や 魔道士との関わりは深いし、実は基礎的な知識は共通している。 「力がある」と魔道士が言う場合は、魔力許容量のことか、研究ではなく 実施で呪文を上手く使えることだ。だが、生後数ヶ月の赤子に呪文が使える わけがないし、魔力許容量が見た目で分かるとは聞いたことがないから、 確かにそう言う問題ではないのだろう。 それ以上に「レージュ大神殿」という単語が出てくる辺りが、フランツには 余計に引っかかる。 レージュ大神殿は水竜王が住むこの地域──カタートを中心とした一帯で、 最も権威のある神殿だ。しかし、レージュ大神殿があるのは隣国クナスレージュ。 この村がいくら国境近くと言ってもかなり遠い場所だ。国内の近くの町にも 神殿はあるのだから、単純に相談するだけなら、そちらでも良いはずだ。 もちろん、単にポラリスの知り合いがレージュ大神殿の神官だと言うだけ なのかもしれないが。 「もし、そうだとしても……」 フランツは眠っているフィリシアの頭を撫でながら、アリシアに、半分は 自分に、言う。 「変に意識して育てることはないさ。例え、人より大きな力を持っていたとしても、 この子は僕たちの子どもなんだから。大きくなってから、そのことで自分は 特別な人間──なんて、思うような子になったら、そっちの方が問題だからね。 この子の持つ力なんて……そんなの、関係ない。もちろん、できるだけ フィリシアの助けになってやりたいけれど、それ以上に、僕はフィリシアに、 ごく当たり前の感覚を持った、優しい子になってほしいんだ」 優しい愛情に満ちたまなざしと面持ちで娘をみつめるフランツを、アリシアは 誇らしさとそれ以上の愛情で胸を一杯にして見つめて言った。 「私、これまでもそうだったけれど、今ね、今まで以上にあなたが好きで、 愛しているって思っているわ。6歳の私って、きっと天才的に見る目が あったのね。本当に最高の男性(ひと)を見逃さずに『絶対お嫁さんになる!』 って決めたんだから」 ちなみに、当時フランツは12歳。6歳の女の子のプロポーズに、小さな子の 言うことだからと、気軽に「大きくなったらね」と答えていたのは、 まあ普通のことだろう。大抵は〃幼い頃の微笑ましい思い出〃にしか ならないのに、実現したのはアリシアの決意が最初から真剣だったのと 根性勝ちの結果だ。 今では最愛の妻であるアリシアの言葉に、フランツは微笑むと少し身を 乗り出してアリシアに口づけした。 ★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆ ……ということで、Phase 2へ続きます。 この辺りはほとんど、オリジナルに近いですね(汗) アリシアとフランツは当初、書きながら口から砂はいてましたが(笑)、 下書き、推敲、修正とやっていくうちに慣れてしまいました(笑) ちなみにこの夫婦。モデルは「ツイン・シグナル(作.大清水さち)」の 音井信之介教授と詩織さんです。 あとから「チグリスとユーフラテス(作.新井素子)」のキャプテン・リュウイチと レイディ・アカリも入ってることに気づきましたが。 タイトルはお気づきの方もいると思いますが、J・ティプトリー・Jrの 「たったひとつの冴えたやり方」からです。……これだけで結末が見えてますね(苦笑い) 同じくタイトルの「Uaboeh roenr」の部分は、アーヴ語です。意味は最終話で。 欧文コードにあるのに表示できない文字もありますし(汗) では、読んでくださいましてありがとうございました。 Phase 2でお会いできることを祈りつつ、今回はこれで失礼します。 |
13563 | Re:たったひとつの冴えたやり方 Phase 1 | D・S・ハイドラント | 2003/3/15 15:14:07 |
記事番号13551へのコメント こんばんはラントです。 フィリシア誕生してちょっと・・・の話? 何となく独特な感じの文章のように私としては思えてかなり良いです。 > アリシアは少々ムッとしたようにそう言って、父親を軽く睨む。娘が生まれた >ことを喜んでくれるのは嬉しいが、勝手に金持ちで家柄が良いだけの妙な男 >との縁談を進めようとするわ、さんざんフランツとの結婚に反対するわで、 >結婚前に派手に大喧嘩したせいか、フィリシアが生まれた今でも、どうも >素直になれない。 結構、結婚するのも大変だったようですねえ。 フィリシアが生まれなかった可能性も・・・いやどうですかな? > そう言いながら、フランツは翡翠を口に入れようとするフィリシアに気づいて、 この翡翠(ひすい)を翡翠(かわせみ)と読むと面白いというか何か恐い。 いや全然関係なくてすみません。 > 綺麗な赤紫色の瞳。赤ん坊特有の無垢な瞳を通して感じる、とてつもなく >強い存在。抱えている母親の方も、例えれば強い光のような存在の女性だが、 >この子は桁が違うとすぐに分かる。何より、途中で路線変更したとはいえ、 >ポラリスの神官の部分がその存在に気づいてしまった。 ううむ眼から分かるのものなのですかね。 >「私、これまでもそうだったけれど、今ね、今まで以上にあなたが好きで、 >愛しているって思っているわ。6歳の私って、きっと天才的に見る目が >あったのね。本当に最高の男性(ひと)を見逃さずに『絶対お嫁さんになる!』 >って決めたんだから」 > ちなみに、当時フランツは12歳。6歳の女の子のプロポーズに、小さな子の >言うことだからと、気軽に「大きくなったらね」と答えていたのは、 >まあ普通のことだろう。大抵は〃幼い頃の微笑ましい思い出〃にしか >ならないのに、実現したのはアリシアの決意が最初から真剣だったのと >根性勝ちの結果だ。 うわっ凄い人だアリシアさん。 やはりフィリシアさんのような人はこんな凄い人から生まれるものなのかな・・・。 上には生まれなかった可能性も・・・って書きましたけど必然的なのかも・・・。 >アリシアとフランツは当初、書きながら口から砂はいてましたが(笑)、 >下書き、推敲、修正とやっていくうちに慣れてしまいました(笑) 本当に慣れるものですね。 私は、推敲と修正を怠ってますけど・・・。 それではこれで・・・。 |
13574 | Re:たったひとつの冴えたやり方 Phase 1 | エモーション E-mail | 2003/3/15 23:03:56 |
記事番号13563へのコメント >こんばんはラントです。 こんばんは。 いつもコメントありがとうございます。 >フィリシア誕生してちょっと・・・の話? はい、そうです。実はこれも前作から転がった話……ですね。 設定はちゃんとあったのですが、書きたくなったのは「使えない呪文」を 書いたからなので。……原作キャラ話書く予定だったのに(汗) >何となく独特な感じの文章のように私としては思えてかなり良いです。 ありがとうございます。私の文体は多分田中芳樹先生と小野不由美さんと 冴木忍さんと荻原規子さんを足して、10で割ったような文体だと、恐れ多くも 勝手な妄想しています。……凄まじい顔ぶれですが、10で割るあたりが 己を知っているということで(笑) >> アリシアは少々ムッとしたようにそう言って、父親を軽く睨む。娘が生まれた >>ことを喜んでくれるのは嬉しいが、勝手に金持ちで家柄が良いだけの妙な男 >>との縁談を進めようとするわ、さんざんフランツとの結婚に反対するわで、 >>結婚前に派手に大喧嘩したせいか、フィリシアが生まれた今でも、どうも >>素直になれない。 >結構、結婚するのも大変だったようですねえ。 >フィリシアが生まれなかった可能性も・・・いやどうですかな? 生まれなかった可能性はあると思います。 >> そう言いながら、フランツは翡翠を口に入れようとするフィリシアに気づいて、 >この翡翠(ひすい)を翡翠(かわせみ)と読むと面白いというか何か恐い。 >いや全然関係なくてすみません。 ……!!(爆笑) お、思わず想像してしまいました。シュールだけど可笑しい……ぷぷぷぷぷ。 >> 綺麗な赤紫色の瞳。赤ん坊特有の無垢な瞳を通して感じる、とてつもなく >>強い存在。抱えている母親の方も、例えれば強い光のような存在の女性だが、 >>この子は桁が違うとすぐに分かる。何より、途中で路線変更したとはいえ、 >>ポラリスの神官の部分がその存在に気づいてしまった。 >ううむ眼から分かるのものなのですかね。 本質を映しやすい、ということで。まだフィリシアは誤魔化す方法なんて 知りませんし。本当なら目を見なくても分かるはずなんですけど、ある理由で 目くらまし(仮定)されてました。 >>「私、これまでもそうだったけれど、今ね、今まで以上にあなたが好きで、 >>愛しているって思っているわ。6歳の私って、きっと天才的に見る目が >>あったのね。本当に最高の男性(ひと)を見逃さずに『絶対お嫁さんになる!』 >>って決めたんだから」 >> ちなみに、当時フランツは12歳。6歳の女の子のプロポーズに、小さな子の >>言うことだからと、気軽に「大きくなったらね」と答えていたのは、 >>まあ普通のことだろう。大抵は〃幼い頃の微笑ましい思い出〃にしか >>ならないのに、実現したのはアリシアの決意が最初から真剣だったのと >>根性勝ちの結果だ。 >うわっ凄い人だアリシアさん。 >やはりフィリシアさんのような人はこんな凄い人から生まれるものなのかな・・・。 >上には生まれなかった可能性も・・・って書きましたけど必然的なのかも・・・。 モデルが詩織さんですからねぇ……(笑)この辺りのエピソード(幼い頃から 「お嫁さんになる」と言い続けて実現させる)はモロそうですし。 また必然ではあるけれど、アリシアだけじゃ駄目なんですよ。アリシアは あくまで母体になる可能性があっただけ、なんです。 自分で書いているくせにかなりいい加減ですが、漠然と、父親がフランツ じゃなかったら、フィリシアみたいなのは、生まれてこなかったと思ってます。 >>アリシアとフランツは当初、書きながら口から砂はいてましたが(笑)、 >>下書き、推敲、修正とやっていくうちに慣れてしまいました(笑) >本当に慣れるものですね。 そして、後から読み返して再び「うわああああ」と思うのかも(笑) >私は、推敲と修正を怠ってますけど・・・。 それでもあれだけ書けるのは凄いと思いますが。 >それではこれで・・・。 ありがとうございました。 |
13571 | 新作ですね♪ | 猫楽者 E-mail | 2003/3/15 18:38:32 |
記事番号13551へのコメント >こんばんは。 こんにちは、エモーションさん。 お元気ですか、猫楽者です。 >またまた性懲りもなく投稿しに参りました。m(__)m 新作♪ですね♪お待ちしておりました〜♪ >毎回毎回オリキャラばかり出まくってますが、今回もオリキャラづくしです(汗) >しかも私的には番外編に分類しています。他の話を読んでいなくても、何とか >分かる……ように書いたつもりですが、そうなっていると良いのですが(滝汗) とても魅力的なオリキャラさんのお話ですね。 お父さんとお母さんの行動を入れ替えると、自分が結婚するときの状況とよく似ていますね。 自分が親となって初めて、そのときの親御さんの気持ちが、ほんの少し分かったような気がします。 >また、一応書き上げてありますが、記事投稿は適度に間を空くと思います。 >時代設定は降魔戦争の前。そして場所は同じでも、成立している王朝や国名は >リナ達の時代とは違います。同じなのってカタート山脈とかくらいかも。 子馬じゃなくて(“こうま”で変換すると、うちのPCこう出ます(笑)) 降魔戦争の前、ということはカタートは聖なる山だったときのお話ですね。 >では、お目汚しですが、読んでいただければ幸いです。 いつもエモーションさんのお話を、とても楽しく読ませて頂いております。 今回は、どんなお話なのか。とても楽しみです。 > 暗い、どこまでも暗い闇の中だった。1人、不安げに闇の中に佇む娘に、 >重々しい声が不気味に告げる。 >「……お前は身ごもっているだろう……。その子をよこせ……。今身ごもって >いるのは悪い子だ……。殺せ……、今の内に殺してしまえ……」 声の方、“よこせ”の次は、“殺せ”ですか。 貴方にどんな力があって、お腹の中の子供の、なにがわかるのかは知りませんが その子が、どんなふうに成長して、なにをするか。 その全てが、貴方にはお分かりになるのですか。 貴方が、どんな未来を予想しているのかは分かりませんが 未来というものは、まだ確定してはいないのではないでしょうか? 悲惨な未来を予想して、芽を摘もうとしているのかもしれませんが、もう少し穏やかな方法を使いませんか。 >「さっきからうるさいわね! あんた誰よ!! 黙って聞いていれば勝手な >ことばかり言って、だいたい何で私の子をあんたに渡さなきゃならないの! >冗談じゃないわ! > それに私自身、妊娠しているかどうかも分かってないのに、何であんたに >そんなことが分かるのよ!」 > 闇の中の声は、一瞬怯んだように沈黙するが、彼女はそんなことに構わず >文句を続ける。 >「しかも悪い子だなんて、あんたが勝手に決めないでよ! くだらないこと >ごちゃごちゃ言ってないで、さっさとどっか行きなさい! そして二度と >私の前に現れないで!」 つ・・・・強いですね(汗) 流石は“母”となる方です。 こんなお母さんでしたら、悪い子にはならないでしょうね。 > そう叫ぶと同時に、彼女は手近にあった枕を声の主に叩きつけた。不思議な >金の光を帯びた枕は、声の主に何故かダメージを与えたらしい。反撃された >ことに驚いたのか、彼女の剣幕に驚いたのか、それともその両方か、闇を纏った >声の主はかき消えていった。 声の主の方、こう言ってはなんですが、反撃されるのが嫌なら喧嘩なんか売らないでください。 自分は単純なので、微笑まれれば微笑み返し、殴られれば殴り返したくなります。 お母さんは、なにか不思議な力をお持ちなのですね。 > すやすやと眠っている娘を見て、アリシアは思わず微笑む。結婚して2年目、 >冬の終わりに生まれた子どもだ。起きていても眠っていても、とても愛らしくて、 >見ているだけで幸せな気持ちで一杯になる。夫のフランツがつけた >「フィリシア(幸福)」という名前は、本当にぴったりな名前だとつくづく思う。 >「アリシア、お義父さんとお義母さんがいらしたよ。丁度いいからお茶にしよう」 > すでにカップも人数分きっちり揃え、ポットにお茶の葉を入れながら、 >フランツはそう穏やかに笑って言う。薬師の仕事をしているためか、フランツは >とにかく紅茶の類が好きだ。ついでに言えば淹れ方もアリシアよりずっと上手い。 お母さん、フィリシアさんのお母さんなのですね。 生後3ヶ月の赤ちゃん♪フィリシアさん、とても可愛いでしょうね。 優しいフランツさんとアリシアさんに、いっぱいの愛情と共に幸せなのですね。 >「また少し大きくなったかしら。ほんとに……いつ見ても可愛いこと(はあと)」 >「フィリシア〜! おじーちゃんだよ〜!!」 >「ちょっと、父さん! そんな大声出さないで。フィリシアが起きちゃうじゃない」 > アリシアは少々ムッとしたようにそう言って、父親を軽く睨む。娘が生まれた >ことを喜んでくれるのは嬉しいが、勝手に金持ちで家柄が良いだけの妙な男 >との縁談を進めようとするわ、さんざんフランツとの結婚に反対するわで、 >結婚前に派手に大喧嘩したせいか、フィリシアが生まれた今でも、どうも >素直になれない。 > 眠っているフィリシアを起こさないために怒鳴りあいこそしないものの、 >ムッとして睨みあう2人に、フランツは困ったような面持ちになる。 >「アリシア、そんな風に言わなくても……」 >「いいのよ、フランツ。あの似たもの父娘はね、あれでコミュニケーション >とっているんだから、放っておいていいの。口もきかなかった頃に比べれば、 >ずっとマシなのよ」 > よく似た性格だけに、昔からこんな調子だったのを見てきた母親は、ほほほほ >と笑いながら娘婿にのんびりとそう語った。 あうあうあう・・・・・(汗) すいません・・・・・フィリシアさんとお父さんの会話・・・・その情景が眼に浮かぶようです。 あはは・・・・自分にもよ〜〜〜く身に覚えが(滝汗)←駆け落ち同然の状況で結婚した人。 > くすくすと笑って、フランツは首に下げている自分の御守りの玉──深く >混ざり気のない鮮やかな緑色の翡翠──が気に入ったらしく、握ったり離したり >して遊ぶフィリシアを見ながら答える。そんなフランツにつられたのか、 >ドーナツ型の翡翠をしっかりと持ちながら、フィリシアも楽しそうに笑いだす。 か・・・・可愛い♪〜。 赤ちゃんの笑顔、遊んでる姿。本当に疲れも吹き飛ぶくらい可愛い〜ですよね♪ >「先走りすぎなんてもんじゃないわよ。貴族や王族じゃあるまいし、生まれて >3〜4ヶ月の子どもの縁談を今から探そうなんて」 > 父が単純に孫可愛さから舞い上がっているだけで、悪気などないのは分かって >いる。が、自分の時のこともあるので、アリシアはどうしても神経質になってしまう。 お父さん(汗)、今からそれでは・・・・・フィリシアさんがお嫁に行くとき・・・・大変そうですね。 子供、孫娘に幸せになって欲しい。というお気持ちは、よくわかりますが・・・・。 アリシアさんのお母さんとアリシアさんに、ブレーキ役をして頂くようですね。 >「でも、本気で言ったわけじゃないのは、アリシアもほんとは分かっているだろう? > ああ、駄目だよ、フィリシア。口に入れたりしちゃ」 > そう言いながら、フランツは翡翠を口に入れようとするフィリシアに気づいて、 >慌てて翡翠を取り上げる。フィリシアは不満そうだが、先程義母に言われた言葉 >──幼い子どもは何でも口に入れてしまうので、充分に注意が必要──を >早々に実感した。これからは薬草の類どころか、口にあっさり収まるサイズの物は >迂闊に置けない。 そうなんですよね。口に入るサイズのものは、本当になんでも口に入れようとするんですよね。 床やテーブル、そして棚も、ちょっとでも油断すると・・・・・・すぐに手に持って口に入れようとするんです(汗) プラスチックの洗濯バサミを両手に持って、一生懸命なめていたりしましたから(笑) >「うん、分かってる。でも……もし、父さんが……ううん、父さんじゃなくても、 >フィリシアが大きくなったとき、誰かが無理にこーゆー話を進めてきたら…… >どうする?」 > その様子を見ながら、フランツの肩に頭を寄りかからせて、ぽつりと呟いた >アリシアに、いつものように穏やかだが、はっきりとした口調で、フランツ >は答える。 >「アリシアも先走りしすぎ。でも、そんなことになったら断るよ。フィリシアの >意思を無視するような事だけは、相手が誰であろうとさせない。絶対に」 > 肩に預けていた頭を上げると、穏やかな面持ちでフランツが見ている。 >しかし、彼の紫色の瞳は真剣な色を浮かべていた。いつも穏やかで優しいけれど、 >こんな瞳をしているときのフランツは、けして退かないのだとアリシアは >知っている。 >「……うん」 > にっこりと微笑んで、アリシアは再びフランツの肩に頭を寄りかからせた。 フランツさん、良いお父さんですね。 優しく、そして、ご家族の気持ちを大切にする、強い方なのですね。 フランツさんとアリシアさん、良い雰囲気ですね。 アリシアさんもフィリシアさんも、こんな素敵な男の方ならば安心ですね。 >「お子さんですか? 美人の奥さんに可愛い赤ちゃん。羨ましいですね」 > そう笑って言うポラリスに、フランツは嬉しそうに笑んで答える。 ポラリスさん、お上手ですね。 先程の、娘さん発言と良い、正直な方なのでしょうか。 >「ありがとうございます。冬の終わりに生まれまして。まだ、慣れないことが >多くて、毎日が大騒ぎですよ」 > そんな事を話していると、アリシアがフィリシアを抱きかかえながらやってきた。 >「誰も近くにいないのが嫌だったみたい。もう、甘えん坊なんだから」 > さっきまで泣いていたのに、もうきゃっきゃと笑っている娘に、口では >そう言いながらもアリシアは優しい笑顔を見せていた。それは誰が見ても >間違えようもない母親の顔だ。 目が覚めて1人だと、寂しくて泣いたりするんですよね。 生まれてから、暫くの間は、夜中でも関係なしにお乳をあげたり、おむつを替えたり お母さんは大変ですから、赤ちゃんの笑顔とご家族の方のお手伝いが支えになりますからね。 > と、ポラリスはアリシアの抱えた赤ん坊と目があった途端、不思議な感覚を感じた。 > ……これは……この子は……。 > 綺麗な赤紫色の瞳。赤ん坊特有の無垢な瞳を通して感じる、とてつもなく >強い存在。抱えている母親の方も、例えれば強い光のような存在の女性だが、 >この子は桁が違うとすぐに分かる。何より、途中で路線変更したとはいえ、 >ポラリスの神官の部分がその存在に気づいてしまった。 ポラリスさんは、フィリシアさんのお力に気付いたのですね。 しかも、桁違いのお力をお持ちだということに。 >「お気に障ったら申し訳ないのですが、その子は……凄い力を持っています。 >それで、少し驚いてしまったんです」 > にっこりと笑んで、言葉を選びながらポラリスはそう言う。それ故に、この子は >背負わなくても良いものを背負うかもしれないが、それは言う必要がない。 >この若夫婦を無意味に不安がらせるだけだ。 フィリシアさんが背負うようになるもの。 そのお力ゆえに、普通の人と同じように平凡だけど幸せに暮らすのは難しいのでしょうか。 >「その子が大きくなって、その必要があるのでしたら、レージュ大神殿にいる >セーガンという神官を訪ねると良いでしょう。彼はきっと、あなた方の力に >なってくれます」 > ある程度成長すれば、さすがにこの夫婦も子どもの持つ力に気づくだろう。 >だが下手に神殿の上の地位にいる者に知られたら、神殿はきっと理由を付けて >この若夫婦から子どもを取り上げてしまう。それだけの力の持ち主なのだから。 >しかしセーガンなら、そんな真似はせずに、この夫婦と子どもに力を貸して >くれるはずだ。 > セーガンの人柄なら、きっとそうだと確信しながら、ポラリスはそう勧めた。 ポラリスさんの御言葉がもとになって、フィリシアさんはレージュ大神殿のセーガンさんを訪ねてゆくのですね。 旅の途中で、偶然フィリシアさんと出会ったポラリスさん。 人と人との出会い、というのは本当に不思議なものですね。 神殿・・・・・神に仕える聖職者・・・・とはいえ、やはり人間・・・・。 フィリシアさんが無理やり、ご家族の方と引き離されてしまうようなことにはなって欲しくないです。 >「……ねぇ、昼間の話、どう思う?」 > その日の夜、寝室でフィリシアの寝顔を見ながらアリシアはフランツに >話しかけた。あまり気にしないでほしいとは言われたが、どうしても気に掛かる。 >「ポラリスさんが言っていた事? そうだね。凄い力って……何かなとは思うね」 気にしないで、と言われても大切な御家族、お子さんのこと気になってしまいますよね。 フランツさん、強く大きな方ですね。 凄い力、と言われると、どうしても悪い方へと考えてしまいがちなのですが フランツさんが、落ち着いた態度でいてくれれば、アリシアさんもフィリシアさんも大丈夫ですよね。 > それ以上に「レージュ大神殿」という単語が出てくる辺りが、フランツには >余計に引っかかる。 > レージュ大神殿は水竜王が住むこの地域──カタートを中心とした一帯で、 >最も権威のある神殿だ。しかし、レージュ大神殿があるのは隣国クナスレージュ。 >この村がいくら国境近くと言ってもかなり遠い場所だ。国内の近くの町にも >神殿はあるのだから、単純に相談するだけなら、そちらでも良いはずだ。 >もちろん、単にポラリスの知り合いがレージュ大神殿の神官だと言うだけ >なのかもしれないが。 元神官のポラリスさんは、神殿内の黒い面のことは語らなかったのですね。 神殿に限らず、組織の上層部の方というのは・・・・・・どうして自分の権力を大きくするのが 好きなのでしょうか。 リナさんでしたら『大きな力を手にするよりも、手に入れた力をどう使うかの方が大事なんだけど』と 言いそうですが。 >「もし、そうだとしても……」 > フランツは眠っているフィリシアの頭を撫でながら、アリシアに、半分は >自分に、言う。 >「変に意識して育てることはないさ。例え、人より大きな力を持っていたとしても、 >この子は僕たちの子どもなんだから。大きくなってから、そのことで自分は >特別な人間──なんて、思うような子になったら、そっちの方が問題だからね。 > この子の持つ力なんて……そんなの、関係ない。もちろん、できるだけ >フィリシアの助けになってやりたいけれど、それ以上に、僕はフィリシアに、 >ごく当たり前の感覚を持った、優しい子になってほしいんだ」 > 優しい愛情に満ちたまなざしと面持ちで娘をみつめるフランツを、アリシアは >誇らしさとそれ以上の愛情で胸を一杯にして見つめて言った。 フランツさんの、この御言葉。感動しました。 本当に大きな人ですね。 こういう考え方をする方にこそ、指導者になって欲しいです。 不思議と、エリートとか指導者の方々は、フランツさんとは正反対の考え方をしているような気がするのは なぜなのでしょうね。 >「私、これまでもそうだったけれど、今ね、今まで以上にあなたが好きで、 >愛しているって思っているわ。6歳の私って、きっと天才的に見る目が >あったのね。本当に最高の男性(ひと)を見逃さずに『絶対お嫁さんになる!』 >って決めたんだから」 > ちなみに、当時フランツは12歳。6歳の女の子のプロポーズに、小さな子の >言うことだからと、気軽に「大きくなったらね」と答えていたのは、 >まあ普通のことだろう。大抵は〃幼い頃の微笑ましい思い出〃にしか >ならないのに、実現したのはアリシアの決意が最初から真剣だったのと >根性勝ちの結果だ。 > 今では最愛の妻であるアリシアの言葉に、フランツは微笑むと少し身を >乗り出してアリシアに口づけした。 アリシアさん、貴方の人を見る眼は確かでしたね。 その眼は、フィリシアさんへと受け継がれていったのですね。 >……ということで、Phase 2へ続きます。 >この辺りはほとんど、オリジナルに近いですね(汗) >アリシアとフランツは当初、書きながら口から砂はいてましたが(笑)、 >下書き、推敲、修正とやっていくうちに慣れてしまいました(笑) お二人、とても素敵な雰囲気でしたね。 お父さんの出来合い振りと、お母さんのあの御言葉、楽しませて頂きました。、 >ちなみにこの夫婦。モデルは「ツイン・シグナル(作.大清水さち)」の >音井信之介教授と詩織さんです。 >あとから「チグリスとユーフラテス(作.新井素子)」のキャプテン・リュウイチと >レイディ・アカリも入ってることに気づきましたが。 > >タイトルはお気づきの方もいると思いますが、J・ティプトリー・Jrの >「たったひとつの冴えたやり方」からです。……これだけで結末が見えてますね(苦笑い) ああああああ、また面白そうな作品が・・・・図書館にあるかなあ・・・・・。 全部買いたいけど・・・・・予算が(泣) >同じくタイトルの「Uaboeh roenr」の部分は、アーヴ語です。意味は最終話で。 >欧文コードにあるのに表示できない文字もありますし(汗) > >では、読んでくださいましてありがとうございました。 >Phase 2でお会いできることを祈りつつ、今回はこれで失礼します。 面白かったです。 素敵なご両親と、おじいちゃんおばあちゃんと御一緒に、フィリシアさんが幸せでありますように。 次回、フィリシアさんの成長した御姿、とても楽しみにしております。 卒業式のシーズンなのですね。 季節の変わり目ですので、お体にお気を付けて、お元気で。 では、失礼します。 |
13576 | Re:新作ですね♪ | エモーション E-mail | 2003/3/16 01:42:12 |
記事番号13571へのコメント こんばんは。 いつもコメントをありがとうございます。 お元気でお過ごしでしょうか。 >新作♪ですね♪お待ちしておりました〜♪ ありがとうございます〜(滂沱) >とても魅力的なオリキャラさんのお話ですね。 >お父さんとお母さんの行動を入れ替えると、自分が結婚するときの状況とよく似ていますね。 >自分が親となって初めて、そのときの親御さんの気持ちが、ほんの少し分かったような気がします。 そうでしたか(びっくり)人間、誰かがエキサイトすると誰かは抑えに回る という面があるので、それをベースに「自分の気持ちが納得するまえに話が 進むのが気に入らなかった」アリシア父と「相手に問題なしと判断して、 あっさり味方になった」アリシア母という感じで書いてたのですが。 >子馬じゃなくて(“こうま”で変換すると、うちのPCこう出ます(笑)) うちのも初めは子馬だったのでATOKに学習(笑)させました。……どんどん 増えていくスレイヤーズ辞書(笑) >降魔戦争の前、ということはカタートは聖なる山だったときのお話ですね。 はい。まだ水竜王もご健在です。 >いつもエモーションさんのお話を、とても楽しく読ませて頂いております。 >今回は、どんなお話なのか。とても楽しみです。 お優しい言葉を(うるうる)すみません、今回も……ちょっと酷い話……。 設定はちゃんとあったけれど「使えない呪文」を書いたことで、書きたく なったものですので……(汗) >声の方、“よこせ”の次は、“殺せ”ですか。 >貴方にどんな力があって、お腹の中の子供の、なにがわかるのかは知りませんが >その子が、どんなふうに成長して、なにをするか。 >その全てが、貴方にはお分かりになるのですか。 >貴方が、どんな未来を予想しているのかは分かりませんが >未来というものは、まだ確定してはいないのではないでしょうか? >悲惨な未来を予想して、芽を摘もうとしているのかもしれませんが、もう少し穏やかな方法を使いませんか。 育っては困る側による生まれる前からの「妨害」。ストレートなんですよ、 この手のは。参考は「知っていてもあまり得にならない世界(笑)」でした。 >つ・・・・強いですね(汗) >流石は“母”となる方です。 >こんなお母さんでしたら、悪い子にはならないでしょうね。 もともとの気の強さもありますが、やはり母性の視点からも「カチン」と きてますので(笑) >声の主の方、こう言ってはなんですが、反撃されるのが嫌なら喧嘩なんか売らないでください。 >自分は単純なので、微笑まれれば微笑み返し、殴られれば殴り返したくなります。 >お母さんは、なにか不思議な力をお持ちなのですね。 声の主は反撃されるとは思わなかった、という気分が強いと思います。 また、はい、大当たりです。アリシアは全く自覚していませんし、当然の ことながらが使いこなせてませんが、実はそれなりの力を持っています。 >お母さん、フィリシアさんのお母さんなのですね。 >生後3ヶ月の赤ちゃん♪フィリシアさん、とても可愛いでしょうね。 >優しいフランツさんとアリシアさんに、いっぱいの愛情と共に幸せなのですね。 ささやかでも、平穏な生活の中で愛情をいっぱいもらって育つ……子どもには それが一番大切なのでしょうね。 >あうあうあう・・・・・(汗) >すいません・・・・・フィリシアさんとお父さんの会話・・・・その情景が眼に浮かぶようです。 >あはは・・・・自分にもよ〜〜〜く身に覚えが(滝汗)←駆け落ち同然の状況で結婚した人。 あああああ、大丈夫ですかー?(あせあせっ) >か・・・・可愛い♪〜。 >赤ちゃんの笑顔、遊んでる姿。本当に疲れも吹き飛ぶくらい可愛い〜ですよね♪ あの姿は本当に見ていて可愛いです。……でも実はまだ独身で子どもいませんが(笑) >お父さん(汗)、今からそれでは・・・・・フィリシアさんがお嫁に行くとき・・・・大変そうですね。 >子供、孫娘に幸せになって欲しい。というお気持ちは、よくわかりますが・・・・。 >アリシアさんのお母さんとアリシアさんに、ブレーキ役をして頂くようですね。 アリシア母はほほほと笑いつつ、ブレーキかけるタイプです(笑) ……確かに、このままここで成長していたら大変だったかも。 >そうなんですよね。口に入るサイズのものは、本当になんでも口に入れようとするんですよね。 >床やテーブル、そして棚も、ちょっとでも油断すると・・・・・・すぐに手に持って口に入れようとするんです(汗) >プラスチックの洗濯バサミを両手に持って、一生懸命なめていたりしましたから(笑) 本当に……従姉たちの子どももそうでした(この子達が主に赤ちゃんフィリシアの モデルです) >フランツさん、良いお父さんですね。 >優しく、そして、ご家族の気持ちを大切にする、強い方なのですね。 >フランツさんとアリシアさん、良い雰囲気ですね。 >アリシアさんもフィリシアさんも、こんな素敵な男の方ならば安心ですね。 フランツは家族を早くに亡くしていますので、特にそうなりますね。 結構苦労してますので、優しいけれど精神的に強い人です。 >>「お子さんですか? 美人の奥さんに可愛い赤ちゃん。羨ましいですね」 >> そう笑って言うポラリスに、フランツは嬉しそうに笑んで答える。 > >ポラリスさん、お上手ですね。 >先程の、娘さん発言と良い、正直な方なのでしょうか。 正直なんです(笑)アリシアもまだ娘さんと呼ばれてもおかしくない年齢ですし。 >目が覚めて1人だと、寂しくて泣いたりするんですよね。 >生まれてから、暫くの間は、夜中でも関係なしにお乳をあげたり、おむつを替えたり >お母さんは大変ですから、赤ちゃんの笑顔とご家族の方のお手伝いが支えになりますからね。 周囲の状況には本当に敏感ですよね。個人的に赤ちゃんは人間の一生のうちで 一番「覚える」能力が強い時期だと思ってますが、それ故でしょうか。 >ポラリスさんは、フィリシアさんのお力に気付いたのですね。 >しかも、桁違いのお力をお持ちだということに。 まだフィリシアは自分の力を隠せないので気が付きました。ただ、本当なら 直接会わなくても分かるはずなんですが、ある理由からその辺りは目くらまし(仮定) されていました。 >フィリシアさんが背負うようになるもの。 >そのお力ゆえに、普通の人と同じように平凡だけど幸せに暮らすのは難しいのでしょうか。 周りが放っておかない、というのがありますね。また、どうしても縋ってくるもの はありますので。 >ポラリスさんの御言葉がもとになって、フィリシアさんはレージュ大神殿のセーガンさんを訪ねてゆくのですね。 >旅の途中で、偶然フィリシアさんと出会ったポラリスさん。 >人と人との出会い、というのは本当に不思議なものですね。 >神殿・・・・・神に仕える聖職者・・・・とはいえ、やはり人間・・・・。 >フィリシアさんが無理やり、ご家族の方と引き離されてしまうようなことにはなって欲しくないです。 えっと、実は……この後の展開が……(滝汗) ただ、どんな状況にいたとしても、フィリシアはいつかセーガンと会うことに なっていたはずです。 ポラリスと会ったことは、その複線のひとつだったのだと思います。 ……自分で書いている話なのに、この言い方は何ですが(汗) >気にしないで、と言われても大切な御家族、お子さんのこと気になってしまいますよね。 >フランツさん、強く大きな方ですね。 >凄い力、と言われると、どうしても悪い方へと考えてしまいがちなのですが >フランツさんが、落ち着いた態度でいてくれれば、アリシアさんもフィリシアさんも大丈夫ですよね。 肝の据わった人です、本当に。 >元神官のポラリスさんは、神殿内の黒い面のことは語らなかったのですね。 >神殿に限らず、組織の上層部の方というのは・・・・・・どうして自分の権力を大きくするのが >好きなのでしょうか。 >リナさんでしたら『大きな力を手にするよりも、手に入れた力をどう使うかの方が大事なんだけど』と >言いそうですが。 あまり言いたくないという面もあるでしょうし、変に不安感と警戒心だけを 与えては、本当に助力が必要なのに躊躇ってしまうかもしれないと思ったの でしょう。 また、セーガンにはとりあえず連絡するつもりでした。 >フランツさんの、この御言葉。感動しました。 >本当に大きな人ですね。 >こういう考え方をする方にこそ、指導者になって欲しいです。 >不思議と、エリートとか指導者の方々は、フランツさんとは正反対の考え方をしているような気がするのは >なぜなのでしょうね。 本当に変な特権意識などは害になるだけなんですよね。 特別だと思うことで優越感に浸っても、無意味にしか思えないんですが。 >アリシアさん、貴方の人を見る眼は確かでしたね。 >その眼は、フィリシアさんへと受け継がれていったのですね。 この辺り書いていて、一応、フィリシアは外見が母親、性格が父親に似ている、 という感じにしていたんですが、「この人!」と決めた相手以外は、まるっきり 眼中にないところはアリシアに似ていると気づきました(笑) そう意図したわけではないのですが……さすが親子……。 >お二人、とても素敵な雰囲気でしたね。 >お父さんの出来合い振りと、お母さんのあの御言葉、楽しませて頂きました。、 ありがとうございます。とりあえずバカップルは避けたかったので。 でもまだ新婚のノリもあって……と書いていたら甘々になりました。 >>ちなみにこの夫婦。モデルは「ツイン・シグナル(作.大清水さち)」の >>音井信之介教授と詩織さんです。 >>あとから「チグリスとユーフラテス(作.新井素子)」のキャプテン・リュウイチと >>レイディ・アカリも入ってることに気づきましたが。 >> >>タイトルはお気づきの方もいると思いますが、J・ティプトリー・Jrの >>「たったひとつの冴えたやり方」からです。……これだけで結末が見えてますね(苦笑い) > >ああああああ、また面白そうな作品が・・・・図書館にあるかなあ・・・・・。 >全部買いたいけど・・・・・予算が(泣) 「ツイン・シグナル」はマンガです。ガンガン系列の。主役はロボットなので 教授と詩織さんのエピソードは、作中ではちょっとした昔話程度としてしか 書かれていませんが、あの「幼い頃から『お嫁さんになる』と言い続けて 実現させる」はもろに詩織さんを元ネタにしています。 他2作品はSF小説です。「チグリスとユーフラテス」はまず図書館にある と思いますが、「たったひとつの冴えたやりかた」は……多分あるんじゃ ないかなとは思うのですが……。(SF興味ない図書館員だと入れていない と思います。翻訳物ですし。有名なSFなのですが) >面白かったです。 ありがとうございます。 >素敵なご両親と、おじいちゃんおばあちゃんと御一緒に、フィリシアさんが幸せでありますように。 >次回、フィリシアさんの成長した御姿、とても楽しみにしております。 あああああ、すいません、今から謝っておきますっ。 本編はフィリシアは赤ちゃんVrで進行します。あとは……キツイ話に……。 このところこーゆー話ばかり……。(滝汗) >卒業式のシーズンなのですね。 >季節の変わり目ですので、お体にお気を付けて、お元気で。 >では、失礼します。 唯一の花粉アレルギー「カモガヤ」対策をしつつ、 猫楽者さんもお体にお気を付け下さいね。 また「眠りしもの」、楽しみにしています。 では、読んでいただきましてありがとうございました。 |
13586 | わーーい、新作だぁ!(^^) | けーこ | 2003/3/16 15:34:03 |
記事番号13551へのコメント どうも、いつもお世話になってます(^^) 新作UPで嬉しい限り♪ いやぁ、もうフランツ&アリシア夫婦のラヴラヴっぷりは・・某蜂蜜色の髪の毛をもつ提督&すみれ色の瞳を持つ奥方のような(で、苗字で某赤毛さんを想像した私をお許し下さい^^;)まだ新婚さんですから当たり前ッスね(笑)でも、爺バカぶりは、よくわかります、はい、うちの実父もそうですから。特に孫娘となれば・・・・(-ヮ-;) あぁ、いかん、主題から逸れそうになる(^^;)では・・コホン・・ > そう叫ぶと同時に、彼女は手近にあった枕を声の主に叩きつけた。不思議な >金の光を帯びた枕は、声の主に何故かダメージを与えたらしい。 もう、ここで「わぉっ!」と歓声があがってしまいました(笑)もう、誰かさんの力の影響、と言う事ですよね? >彼ならこの子の中の存在を確信を持って言えるだろうし、自分が言うよりも >ずっと説得力がある。 彼らが出会えたのが、このポラリスさんでよかった、と言えるんでしょうね。で、この彼が信頼をおけるセーガン神官って・・。まぁ、クナスレージュ出身の方、と言うだけでどういう方かは、言わずもがな・・って感じですね(笑) 時代的に降魔戦争のあと、と言う事ですが・・あのフィリシアさんの時代よりもずっと後ということですよね?彼女の場合は「力」の為に神殿に閉じ込められた生い立ちがあるんですよね。でも、こちらのフィリシアちゃんは・・お父さんのフランツさんによって、そういう事態になるのを避けられるのかな、と期待してますけど・・・。 モデルになっている夫婦、及びタイトルの引用(?)となっている話はまだ未読なために、結末予想できません(^^;) オマケに他の方が既に感想書かれているのですが、それも読んでいない為に「私の読みは正しいの?」と、怖い状況でもあります(笑) ではでは、続きも楽しみにお待ちしていますわ(^^) |
13587 | ダメじゃん、私(T_T) | けーこ | 2003/3/16 15:42:39 |
記事番号13586へのコメント すみません、大ボケかましました。 「降魔戦争の前」と書いてあるのに・・どーしてだか「降魔戦争の後」と読み間違えてる・・・・・(爆涙) 先のカキコ、無視して下さい(切望) フィリシアさん御幼少の頃のお話なんですね(遠い目・・・・・) うーふーふーふー・・最近ダメだわぁ(T_T) と言う事で、手のひら返しっ! フランツさんの手からどうやってフィリシアちゃんは奪われたか、と今後の展開はなる訳でしょうか。 あぁ、ダメっす。ダメージ強すぎよぉ・・(精神面でダメージを受けやすい私ってば魔族?^^;)ではでは〜 |
13591 | Re:わーーい、新作だぁ!(^^) | エモーション E-mail | 2003/3/16 22:44:24 |
記事番号13586へのコメント こんばんは。 >どうも、いつもお世話になってます(^^) >新作UPで嬉しい限り♪ ありがとうございます〜。本当は原作キャラ話の予定だったのですが(笑) 前作書いたのが原因で書きたくなったお話です。 ……設定はあったのですが、書くつもりなかったんです、実は。 >いやぁ、もうフランツ&アリシア夫婦のラヴラヴっぷりは・・某蜂蜜色の髪の毛をもつ提督&すみれ色の瞳を持つ奥方のような(で、苗字で某赤毛さんを想像した私をお許し下さい^^;)まだ新婚さんですから当たり前ッスね(笑)でも、爺バカぶりは、よくわかります、はい、うちの実父もそうですから。特に孫娘となれば・・・・(-ヮ-;) あの万年新婚夫婦を連想していただきましたか(おおっ!) ……確かにそうなりそうな夫婦だし(笑)あ、苗字は某赤毛さんからです(爆笑) さらにアリシアの旧姓「デューク」はアーヴ語の「猫」からとりました。 基本的に孫にはみんなそうなんですねぇ……。 >あぁ、いかん、主題から逸れそうになる(^^;)では・・コホン・・ > >> そう叫ぶと同時に、彼女は手近にあった枕を声の主に叩きつけた。不思議な >>金の光を帯びた枕は、声の主に何故かダメージを与えたらしい。 >もう、ここで「わぉっ!」と歓声があがってしまいました(笑)もう、誰かさんの力の影響、と言う事ですよね? 影響はありますが、実はアリシア本人の力です。影響で増幅されてます。 自覚ないですし、当然使いこなせるわけないのですが、アリシア自身、 それなりの力を持っているんです。 >>彼ならこの子の中の存在を確信を持って言えるだろうし、自分が言うよりも >>ずっと説得力がある。 >彼らが出会えたのが、このポラリスさんでよかった、と言えるんでしょうね。で、この彼が信頼をおけるセーガン神官って・・。まぁ、クナスレージュ出身の方、と言うだけでどういう方かは、言わずもがな・・って感じですね(笑) まず良かったんです。これが並みの神官なら即刻神殿に連絡されてますし、 あとは後半で出てきますが、ちょっとこの国は問題抱えてますので、 他の人に知られるのもあまり好ましくなかったと思います。 セーガンは確かにクナスレージュの人間ですからねぇ(笑) 設定はちゃんとありますが、「充分に高位の地位に就けるのに、それを自ら 蹴飛ばした(ちゃんと理由有り)人」なので、神殿内では「優秀なのに 変わり者」扱いされてます。 ポラリスとは類友ですね。話していて意気投合したようです。 >モデルになっている夫婦、及びタイトルの引用(?)となっている話はまだ未読なために、結末予想できません(^^;) メインでモデルにした音井信之介&詩織の夫婦はマンガのキャラなんです。 ガンガン系列の(笑)すでに連載は終了していますが、好きな作品です。 ……実は私のHNの由来はここの某キャラからもきています(爆) ただ、主役がロボットで、しかもアリシアのモデル、詩織さんは作中では 話が始まった時点で、事故ですでに亡くなっている、という設定なので 教授に関する昔話、という程度で出てきたのです……が、強烈な印象でした(笑) 「幼い頃から『お嫁さんになる』と言い続けて実現させる」は詩織さんが 元ネタです。 でもフランツは教授よりは、ちょっとストレートに感情を表に出してますが(笑) 「たったひとつの冴えたやりかた」は海外SFを読む人は、まず分かると思います。 ブギーポップシリーズの、どの巻だったのかうろ覚えですが、そっちでも 使われてたような……。(確か番外で短編集の巻だったはず) >オマケに他の方が既に感想書かれているのですが、それも読んでいない為に「私の読みは正しいの?」と、怖い状況でもあります(笑) 今回の話も結構キツイ話かもしれないです。 >ではでは、続きも楽しみにお待ちしていますわ(^^) >すみません、大ボケかましました。 >「降魔戦争の前」と書いてあるのに・・どーしてだか「降魔戦争の後」と読み間違えてる・・・・・(爆涙) >先のカキコ、無視して下さい(切望) >フィリシアさん御幼少の頃のお話なんですね(遠い目・・・・・) うーふーふーふー・・最近ダメだわぁ(T_T) あああっ!大丈夫ですかー! しっかりしてくださーいっ!(あせあせっ) >と言う事で、手のひら返しっ! >フランツさんの手からどうやってフィリシアちゃんは奪われたか、と今後の展開はなる訳でしょうか。 そんな感じです。奪われたというよりは……タナボタに近いかも……。 何故フィリシアがダグの家で育ったのか、にはなります。 >あぁ、ダメっす。ダメージ強すぎよぉ・・(精神面でダメージを受けやすい私ってば魔族?^^;)ではでは〜 う〜ん、混乱させてしまったようで……。 そうです、こう言うときは元気を出すために「生命の讃歌」をっ!(笑) では、コメントをありがとうございましたm(__)m |
13637 | 最近(に限ったことじゃないけど)冴えないわたし | Dirac E-mail URL | 2003/3/18 19:36:00 |
記事番号13551へのコメント どうも、最近論文小説ともにドン詰まりのDiracです。 エモーションさんの新作、早速読ませてもらいました。 >「先走りすぎなんてもんじゃないわよ。貴族や王族じゃあるまいし、生まれて >3〜4ヶ月の子どもの縁談を今から探そうなんて」 危うく某若き魔族の王さんが真っ先に縁談に食いつくだろうと思いそうになってしまいました。(笑) >「いえ、こちらも商売ですし。ラシードやアクアクは、旅をするのなら >持っていた方がいいですからね。まして、ポラリスさんのように治療呪文が >使える方は、村によっては手元にないと少し困ったことになりますから」 そう言えば、以前アクアクの話を書かれていましたが、今回の話と関係するのかなんて考えたり考えなかったりしました。 深読みしすぎでしょうか? 今のところアリシアとフランツはラヴラヴモード全開のようですが、フィリシアの未来のことを考えると、やはりあまりハッピーな終わり方ではないんでしょうね。それでも何かの救いがあることを祈りつつ(って、別にそうしなくてもいいですが)、続きを楽しみに待っております。 それでは。 |
13659 | 最近、鬱展開話の多い私 | エモーション E-mail | 2003/3/18 23:55:26 |
記事番号13637へのコメント こんばんは。 > どうも、最近論文小説ともにドン詰まりのDiracです。 > エモーションさんの新作、早速読ませてもらいました。 お久しぶりです。コメント&読んでいただきましてありがとうございますm(__)m >>「先走りすぎなんてもんじゃないわよ。貴族や王族じゃあるまいし、生まれて >>3〜4ヶ月の子どもの縁談を今から探そうなんて」 > > 危うく某若き魔族の王さんが真っ先に縁談に食いつくだろうと思いそうになってしまいました。(笑) あああああ、あのお方ですか(爆笑)確かにっ! そして、フランツはフロチャートを確認して、準備をしっかり整え(笑)、 アリシアは包丁となべのふた(笑)装備で応戦準備完了。 ……意外に強いかも……主婦は刃物(包丁)握り慣れてますし(笑) >>「いえ、こちらも商売ですし。ラシードやアクアクは、旅をするのなら >>持っていた方がいいですからね。まして、ポラリスさんのように治療呪文が >>使える方は、村によっては手元にないと少し困ったことになりますから」 > > そう言えば、以前アクアクの話を書かれていましたが、今回の話と関係するのかなんて考えたり考えなかったりしました。 > 深読みしすぎでしょうか? 直接は関係ないです。特殊なものじゃなくて、一般的な常備薬みたいなもの という意味合いで出しました。 > 今のところアリシアとフランツはラヴラヴモード全開のようですが、フィリシアの未来のことを考えると、やはりあまりハッピーな終わり方ではないんでしょうね。それでも何かの救いがあることを祈りつつ(って、別にそうしなくてもいいですが)、続きを楽しみに待っております。 鋭いです! あまりハッピーな展開にはなりません。 というより先程投稿したPhase 2からすでにハッピーではない展開に……(滝汗) 逆に言えば、あの手の展開になるからあえてPhase 1はラブラブモードの 幸せな家族が、平穏に暮らしていたのを書きました。(←鬼) ただ、タイトル引用したSF小説を読んでいる方、知っている方なら、 タイトルだけですぐにどんな系統の話になるのか、分かったとは思います。 > それでは。 わざわざコメントしていただきまして、ありがとうございました。m(__)m |
13657 | たったひとつの冴えたやり方 Phase 2 | エモーション E-mail | 2003/3/18 23:33:24 |
記事番号13551へのコメント こんばんは。 「たったひとつの冴えたやり方」Phase 2をUPに参りました。 ここからは前回との落差……激しいです。 鬱展開になっていきますが、それでもお付き合いいただければ幸いです。 ************************************** 「たったひとつの冴えたやり方〜Uaboeh roenr」 Phase 2 3. 何事もなく数日が過ぎた夜のことだった。 突然の爆音と悲鳴が響き、闇夜の中、家々の壁をてらてらと禍々しいほどの 赤い色が染める。同時にパチパチと木の爆ぜる音と熱風が吹き荒れた。 ぐぉおおおおおおおおおっ! 不気味な咆哮をあげて、レッサー・デーモンが逃げまどう人々を襲う。 逃げる間もなく家ごと焼かれる者、鋭い爪で引き裂かれる者、様々だった。 ──何故、こんなところにレッサー・デーモンが? 一匹や二匹ではない。何の前触れもなく突然数十匹も現れたのだから、 誰もが思う疑問だった。 「アリシア! 表の方は……駄目だ……。もう炎が凄くて危険だ。 レッサー・デーモンも何匹かいる。ここもすぐに火が回ってしまう、早く 庭の方から外へ!」 突然の異変に脅え、泣き出すフィリシアを宥めながら、表の通りへ出ようと していたアリシアに、先に外の様子を見たフランツが立ちふさがるように言う。 苦渋に満ちた表情に気づき、一瞬聞き逃しそうになった言葉を理解する。 ──表の方は駄目。 「……駄目って……」 大きな目を見開いて、アリシアは虚ろに呟く。表の通りは基本的に店が並ぶ。 通りに面した側に店、裏は店の者の住居という形が一般的だ。アリシアの 実家は比較的大きな店なので、店と住居は珍しく別だが、それでも店にほど近い 表の通りにある。 「父さんと……母さんは……?」 最悪の予想が脳裏には浮かんでいるが、震える声でフランツに訊ねる。 否定してほしくて。 フランツは俯いて……答えない。 「……嘘、そんな……」 我知らずにフィリシアをぎゅっと抱きしめたアリシアの瞳から一筋、二筋、 涙がこぼれた。 会えばいつも口げんかばかりしていた。お互いムキになりやすいだけで、 指摘されれば否定したが、よく似た性格なのだと分かっていた父。 いつものんびりとしていて、でもきちんと見ていて、間違っているときは 指摘し、必要なときは助けてくれた、文字通り見守ってくれた母。 口うるさくて鬱陶しいと思ったこともある。でも、どれほどケンカしても 大好きだった。両親がどれほど自分を愛しんでくれたのか、子どもを生んで やっと理解しはじめたばかりだ。まだ、ちゃんと親孝行すらできていない──!! 「そんなの……そんなの嘘よ! 父さん、母さん!!」 表へ飛び出す勢いですり抜けていこうとするアリシアを、フランツが素早く 抱きしめた。 「……大丈夫……きっと……もう避難している……きっと……だから……」 そう語るフランツの声が、抱きしめる手が、身体が、震えている。フランツの 言っていることが気休めだと、アリシアには分かる。でも今自分たちが考えて いることは間違っていると、フランツもそう信じたいのだと言うことも分かる。 アリシアに、そして自分に言い聞かせるためにそう言っているのだと。 「……そうよ、ね……きっと……きっと……」 それだけ言うのが、やっとだった。次々に溢れる涙をこらえて……間に 挟む形にしてしまったフィリシアを慌ててみる。赤紫の瞳に涙を湛え、しゃくり 上げながらフィリシアは母親を見つめている。不思議と、自分たちの方を 心配しているように見えた。 「フィリシア……今から少しだけ、我慢していい子にしていてね」 笑んだ拍子に涙が流れたが、アリシアはフィリシアに微笑んでそう言った。 ベランダから庭へ出ようとしたとき、店の方から破壊音が聞こえ、不気味な 咆哮と共にずっしりと重い足音が響く。 急いで庭へ出たアリシアの目に飛び込んできたのは、鋭い爪を振り下ろそうとする レッサー・デーモンだった。こちら側にも回っているのがいたのだ。フランツが 悲痛な声でアリシアの名を叫び彼女を庇おうとするが、間に合わない。アリシアは 声にならない悲鳴を上げて、とっさに抱えているフィリシアを庇った。受ける ダメージに備え、全身を硬くする。 「 光よ 我が手に集いて閃光となり 深淵の闇を撃ち払え 烈閃槍(エルメキア・ランス)!」 不意に、そんな言葉が聞こえ、絶叫のような鳴き声がした。 「アリシア!」 自分を抱きしめて呼ぶフランツの声に、アリシアは恐る恐る目を開ける。 目の前にいたはずのレッサー・デーモンは消えており、かわりに先日の賢者が 駆けよってくる。 「大丈夫ですか?」 「……はい……」 「助かりました。ありがとうございます、ポラリスさん」 返事をするのがやっとのアリシアに代わって、フランツが礼を言う。ポラリスは 安堵したように息を付いて言った。 「とにかく、早く逃げましょう。まだ逃げられるうちに」 庭から通りへ出ると村全体が赤い炎の色に包まれていた。 「……どうして、こんな事に……」 逃げながら、目に映る光景にアリシアが思わずそう呟くと、聞こえていた らしく、ポラリスが言葉を返す。 「分かりません……。自然発生にしては多すぎますが、かといって、いくら力のある 魔道士でも一度にこれほどの数を召還するのはとても……」 「……でも、複数の人間なら……」 「それは、どういう事です?」 苦い表情でそう言ったフランツに、今度はポラリスが訊ねる。 「旅の途中にお聞きになりませんでしたか? エルークファは喪が明けて いないこともあって、まだ新王が即位していません。そして先王が亡くなる前から、 第一王子と第三王子が王位を争っているんです」 エルークファには三人の王子がいる。それぞれ母親が違うが、第一王子の 母親は王妃。本来ならすんなりと第一王子が王位を継ぐはずだったが、第一王子は あまりにも性格や言動が悪いうえに粗暴すぎるため、先王は彼を王太子に 立てようとしなかった。 第二王子は性格や資質はともかく母親の身分が低すぎて、自然に後継者レースから 外された。公爵の爵位と領地を与えられたことは、それをはっきりと示している。 本人もよく分かっているので、特に野心を見せずに公爵領の統治に専念している。 第三王子は母親が有力貴族の娘で、しかも父親が現在の大臣。後ろ盾が 強いため、充分に王位を狙える。しかし中身は第一王子と大差がない。 結局、王太子を立てられない状態のまま半年前に先王が急死した。ところが 第一王子と第三王子は王位をめぐって激しく争うばかりで政には無関心なので、 国政は王妃が代行している……これが、一般に知られているエルークファの国情だ。 「ええ、それは聞いています。ですが、この辺りはフティエーニュ公爵領。 第二王子と言ってもフティエーニュ公爵は王位争いから外されているはずでは?」 「そうですが……実はここ1〜2年程前から、国中のあちこちの村や町が、 不審な者たちに襲われるようになったんです」 「盗賊団のことなら、話に聞いています。有名ですからね。確か、クナスレージュも 国境付近の村や町が被害を受けていますから、国境付近の警戒と警備を 強めたそうです」 「……大がかりな盗賊団の仕業と言われてますけれどね。エルークファの人間で それを信じている者はいません。証拠がありませんから口にしないだけで。 確かに一つか二つは本当に盗賊の仕業かもしれませんが……」 「……どういうことです?」 「もう何年も前から、第一王子と第三王子が治める大公領は財政難になっている、 このままでは破綻すると、噂になっていました。 頻繁に起きる小競り合いで畑は焼かれるし、町や村も荒れる一方なのに、 ろくに治められもしない。その上争いのための重税……。逃げ出す領民も 多いのですから当然です。 それを証明するように、王子達の争いも直接的なものは収まっていたんです。 ですが、2年前からまた……。財政が立て直されたとも、大公領の現状が 変わったという話も聞かないのに、です」 「それは……まさか……?」 「不思議なことに『自主的に』王子達に財政資金を援助なさった貴族の領地は、 『盗賊団』の被害がなくなったそうです」 「大がかりな盗賊団」は、ほぼ同時期に国中にいくつも現れた。誰が見ても 不自然だった。しかし、どれほど不自然で疑わしくても、確実な証拠がなくては 何もできない。疑惑の対象の身分が高ければ、尚のこと──。 「フティエーニュ公爵領は他の領地よりも特に被害が多かったんです。国の中でも よく治まっていて豊かですから、狙われるのは分かりますけど。公爵も各地に 兵を派遣して対応したそうですが、なかなか……」 「それで……フティエーニュ公爵はどうなさったんです?」 「両方に『援助』なさったと聞いています」 フティエーニュ公爵はおそらく直接被害を受ける領民の事を考え、プライドを 曲げて「援助」したのだろう。腹立たしいがそれですむのなら、まだマシだと考えて。 「……それなのに、ですか。しかし、これでは……」 略奪というよりはまるで殲滅だ、と言う言葉をポラリスは呑み込んで、 奥歯を噛みしめる。目の前の光景はとても略奪を目的にしたものには見えないが、 村の住人である2人の前ではとても口にできない。例え、2人もそう認識して いたとしても。 「ええ……。でも、まさかここまでするとは思いたくありませんが……」 ポラリスが思ったことを理解しているのか、沈痛な面持ちでフランツが言う。 誰が見てもすぐに穏やかで、優しい気質と分かるこの青年からすれば、例え 頭で分かっていても、これほど酷い事を平気で実行させる人間がいるとは、 思いたくないのだろう。 それきり、ポラリスとフランツは黙ったまま、アリシアを庇いながら走った。 「フランツさん! アリシアちゃんも! 無事だったのかい?!」 村で決めていた避難場所へやっとたどり着いたとき、名前を呼ばれてアリシアは 顔を上げた。子どもの頃から知っている、同じ通りのパン屋のおかみさんだ。 他にも近所の者たちが何人か集まっていた。子どもの姿も見える。 「赤ちゃんも無事なんだね、本当に良かった……」 「おばさんも……。良かった、無事で……」 見知った顔を見つけて、少しほっとしたように言うアリシアに、パン屋のおかみは 顔を曇らせ、言いにくそうに言う。 「……アリシアちゃん……デュークさんたちは……」 「……そう、ですか……」 覚悟はしていたが、改めて聞くのはやはり辛い。堪えてもふらつく身体を、 フランツが後から支えてくれていた。 「アリシア……」 「フランツ、大丈夫だから……。私、大丈夫だから……」 ──泣くのは後からでもできる。今はお前達3人の安全が先だ。 ──アリシア、しっかりしなさい! あなたは母親なのよ。 そんな風に言う両親の声が聞こえた気がした。この場にいたら、きっと そう言うだろう。 「逃げて、助かって……この子をちゃんと育てるの。今はそっちの方が 大事だもの……」 振り向いて、今度はしっかりと立ってアリシアはそう言った。母親の顔で。 「……お二人に、お話したいことがあります……」 そんな中、ポラリスが話しかけてきた。 「すぐにクナスレージュへ行きましょう。ここは国境近くで、そう遠くない。 明日までにはクナスレージュへ入れるでしょうから。 今、国境付近に来ているのはクナスレージュの軍隊ではなく、レージュ大神殿の 騎士隊です。当然、神官も同行しています。彼らを頼りましょう。エルークファを 刺激しないために、神殿の騎士隊は『人命救助』を明確に掲げているのですから、 邪険にはできないはず。ましてその子がいますから……彼らは絶対に、その子と あなた方を守ります」 「……何故です? この子に、一体何があるんですか?」 落ち着いた口調だが、多少緊張した面持ちでフランツは訊ねた。 「……その子には、神の力が宿っています。それも、かなり強い。神官たちは すぐに気づくでしょうし、例え騎士でも、勘の鋭い者なら気がつきます。 レージュ大神殿の騎士は、その手の気配には敏感ですからね」 さすがに、言葉を返せずにいるフランツとアリシアに、ポラリスは安心させる ように言う。 「あまり気にはなさらなくていいんですよ。持つ力はどうあれ、基本的には 普通の子どもと同じ。まして、今はまだ赤子です。神の力を持っていても、 何かができるわけありません。 神殿の者たちと会ったら、私はすぐにセーガンと連絡を取ります。彼は 信用できる人ですから。こうなった以上は、できるだけ早いうちに力を 借りた方が……」 そう話していると、急に悲鳴が上がった。周囲に次々と炎が上がる。数匹の レッサー・デーモンがこちらに向かってきているのが分かる。しかも数が 増えていく。 「烈閃槍(エルメキア・ランス)!」 すぐにポラリスは呪文を唱え、攻撃した。 「できるだけくい止めますから、逃げてください!! クナスレージュの方へ! 国境付近にレージュ大神殿の騎士隊がいると聞いています! 『救助』のために 来ているのですから、助けてくれるはずです! 急いで!!」 ポラリスは大声でそう言って、その場にいた村人達に逃げるように促す。 確かにこのブレスキルの村からは、国内の近くの町よりもクナスレージュとの 国境の方が近い。何より、助けを求める相手がいるのは大きい。レッサー・デーモンと 炎への恐怖も手伝って、その場にいた者たちは脱兎のように駆けだす。 「ポラリスさん!! それでは、あなたはどうなるんです?!」 「もちろん、適当な頃合いを見て逃げますよ。でも、あなた方が残っていては 逃げられません。早く行ってください!」 ポラリスの答えに、フランツは嘘だ、とすぐに悟る。とても1人でどうにか できるものではない。 「早く! 一緒に行けなくて申し訳ありませんが……」 そう言うポラリスの言葉の後半に、フランツの言葉が被さった。 「烈閃槍(エルメキア・ランス)!」 フランツの放った呪文は、近くにいたレッサー・デーモンを消滅させた。 「……あなたが唱えている呪文の丸暗記、ですけど……ちゃんと発動しましたね、 良かった」 「……いつの間に……」 「暗記は結構得意なんです。それに、薬師も魔道士も基礎は一緒でしょう?」 そう言って、フランツはアリシアの方を向くと、いつも身につけていた 守り玉をフィリシアの首にかけた。 「フランツ……これ……」 御守りとして、翡翠を身につける。確か、フランツが幼い頃に亡くなった母親の、 出身地の風習だと聞いていた。フランツの母親がそうしたように、フランツも フィリシアの守り玉をアリシアの父親に頼んで探してもらっていた。父が 足が出た分は自分が持つと言って、上質のものを注文していたと、母から 聞いたのはこの間のこと──。 「僕のお下がりになっちゃうけどね。フィリシアが呑み込んじゃったりしないように、 気を付けて。……先に、逃げるんだ。僕はポラリスさんと一緒に後から必ず 行くから」 どこかきょとんとした目をして、かけられた守り玉を見ているフィリシアとは 対照的に、アリシアの顔からは、血の気がどんどん引いていく。 「そんなの嫌……一緒じゃなきゃ行かないわっ!」 「フランツさん、何言っているんです! 丸暗記でも呪文が使えるなら、 尚更奥さんやお子さんと一緒にいて2人を守った方がいい! 早く逃げて ください!」 「村の住人でもないあなただけ戦わせて、どうして逃げられるんです? それにくい止めるのなら1人より2人の方がまだマシなはずです! ……ルクルさん。すみませんが、アリシアとフィリシアをお願いします」 フランツは、彼らが気になったらしくまだ残っていたパン屋のおかみに そう言って頭を下げた。 「……分かったよ。でも、必ず追いかけてくるんだよ。あんたには、守らなきゃ いけない妻と子がいるんだって、忘れるんじゃないよ」 「おばさん、そんな……」 彼女がフランツの言い分をすんなり受け入れたことが理解できず、アリシアは 反対しようとしたが、 「アリシアちゃん……男がああいう顔しているときはね、止められないもの なんだよ。どうがんばってもね」 けして利口な選択じゃないけどね、と言う言葉を飲み込んで、静かにそう 言ったルクルに、何も言えなくなる。そのまま、ぎゅっとフィリシアを抱きしめた。 「アリシア、フィリシアを頼んだよ」 そう言って、フランツは微笑んでいる。穏やかで優しい、いつもと同じ 笑みなのに、見ていると無性に泣きたくなる。 「そんな言い方やめて。……絶対、後から追いかけてくるんでしょう?」 静かに頷くフランツをアリシアは、半分泣いているような表情でみつめた。 待っているから、絶対追いかけて来て。 ルクルに手を引かれて行きながら、何度も振り返ってそう言うアリシアの 声が聞こえなくなって、ポラリスは隣で呪文を放っているフランツに苦いため息を つきながら言う。 「損な性格している人ですね。奥さんと子どもがいるのに、たった一度 会っただけの相手に義理立てする必要なんてないでしょう」 「それはお互い様ですよ。本当なら村の住人でもないあなたが、ここまで する必要ないんですから。それに、僕は犠牲になるつもりで残ったんじゃ ありません」 「気が合いますね。私もです」 顔を見合わせて、小さく笑うと2人は呪文を唱える。少しでもレッサー・デーモンの 数を減らすために。生きて大切な人たちとまた会うために。 ************************************** ……ということでPhase 3へ続きます。 何となく、レッサー・デーモンをやたらと作中で使ってるなあと、書きながら 思いました。魔族の中ではゼロスの次に最多出演です(笑) もっと強力なのにしようかと思いましたが……あんまり強いと赤ちゃんフィリシア、 生きのびられない(汗)のと、Phase 3に出てくる理由から下級魔族しか 使えないのです。 リナ達にとっては雑魚でも、一般の人にとっては驚異なのは確かですしね。 プロットではポラリスだけ残る予定でした。が、下書きでフランツも残って しまいまして……迷いましたが、そのままになりました。本当ならポラリスが 言うとおり、アリシアと一緒にいるべきなのでしょう。でもポラリス1人を 残していける人じゃないんですよね。結果、フランツは残って逃げるアリシア達の 安全を確保する方を選んでしまいました。 正直この辺りは自分でもどっちを選んだら良かったのか、分かりません。 エルークファの国情は思わず書いていて楽しかった部分です(笑) 銀英伝ファンの血が騒いで(笑) もっと詳しく書きたかったのですが、「単なる薬師」のフランツがあれ以上 王族や貴族の内情を知っていたら変なので、三回ほど修正加えて、あの程度に 収めました。あれでも詳しすぎの気もしますが、薬師と商人(薬草屋)を 兼ねてますから、ある程度の情報は知っているということでご了承ください(汗) では、今回も長文な話を読んでいただきまして、ありがとうございました。 次回もまたお会いできることを祈りつつ、これで失礼します。 |
13679 | Re:たったひとつの冴えたやり方 Phase 2 | 颪月夜ハイドラント | 2003/3/19 19:07:24 |
記事番号13657へのコメント こんばんはラントです。 平和は突然崩れ去る。 嫌ですねえ。 そう思いたくはないけどそれが現実。 >やっと理解しはじめたばかりだ。まだ、ちゃんと親孝行すらできていない──!!孝行できる時に親はいないそうですね。 哀しいものです。 しかもこんな別れ方ですし・・・。 >「フティエーニュ公爵領は他の領地よりも特に被害が多かったんです。国の中でも >よく治まっていて豊かですから、狙われるのは分かりますけど。公爵も各地に >兵を派遣して対応したそうですが、なかなか……」 >「それで……フティエーニュ公爵はどうなさったんです?」 >「両方に『援助』なさったと聞いています」 ううむ第二王子可哀相っすなあ。 まあこんなものでしょうけど多分。 >「アリシアちゃん……男がああいう顔しているときはね、止められないもの >なんだよ。どうがんばってもね」 やはりそんなものなのでしょうかねえ。 私まだ分かんなぁい(何) 止められない。止まらない〜ってこれは違う。 >「それはお互い様ですよ。本当なら村の住人でもないあなたが、ここまで >する必要ないんですから。それに、僕は犠牲になるつもりで残ったんじゃ >ありません」 >「気が合いますね。私もです」 おおっ生きるつもりで戦う。 魔王戦の時のリナもそうでしたね。 >何となく、レッサー・デーモンをやたらと作中で使ってるなあと、書きながら >思いました。魔族の中ではゼロスの次に最多出演です(笑) 私・・・レッサー・デーモンを使った覚えがほとんどない。少しは使ってるはずなんだろうけどなあ。 魔族で一番使ってるのは・・・誰だろ。 メッキーキャラには間違いないだろうケド・・・。 >王族や貴族の内情を知っていたら変なので、三回ほど修正加えて、あの程度に >収めました。あれでも詳しすぎの気もしますが、薬師と商人(薬草屋)を >兼ねてますから、ある程度の情報は知っているということでご了承ください(汗) そうですね。 それに実際意外と知ってるものなのかも知れないですし・・・ 御2人は生き残れるのでしょうか。 次回、海の底で微かな光に煌きつつ眠る真珠のように(おい)待ってます。 それではこれで・・・ |
13682 | 気づくの遅れましたが改名なさったのですね。 | エモーション E-mail | 2003/3/19 22:24:56 |
記事番号13679へのコメント こんばんは。 コメントありがとうございます。 >平和は突然崩れ去る。 >嫌ですねえ。 >そう思いたくはないけどそれが現実。 そーなんですよねぇ……(しみじみ) 壊すのは簡単。築いて維持するのは実は大変。だから大切なのだと思います。 何気に現実とリンクしつつあるのが悲しい。マジでブッ○ュとフセ○ン、 2人だけで気の済むまで殴り合いして決着つけてほしいです。 >>やっと理解しはじめたばかりだ。まだ、ちゃんと親孝行すらできていない──!! >孝行できる時に親はいないそうですね。 >哀しいものです。 >しかもこんな別れ方ですし・・・。 いる間に少しずつしていくのがいいのでしょうね。でも、できているとは 言わないです、私も。(滝汗) >>「フティエーニュ公爵領は他の領地よりも特に被害が多かったんです。国の中でも >>よく治まっていて豊かですから、狙われるのは分かりますけど。公爵も各地に >>兵を派遣して対応したそうですが、なかなか……」 >>「それで……フティエーニュ公爵はどうなさったんです?」 >>「両方に『援助』なさったと聞いています」 >ううむ第二王子可哀相っすなあ。 >まあこんなものでしょうけど多分。 第二王子は貧乏くじ引きまくってますから。この手の立場の方は、基本的に 飼い殺しの人生ですしね。 爵位もらって形だけでも臣下になっただけ、まだマシな方でしょう。 ……監視は山ほどついてそうですが。 >>「アリシアちゃん……男がああいう顔しているときはね、止められないもの >>なんだよ。どうがんばってもね」 >やはりそんなものなのでしょうかねえ。 >私まだ分かんなぁい(何) 私も見たことないです(爆) 気が付いたらさらっと書いてました。ルクルさんの人生経験上の 台詞でしょうか。(←おいっ!) でも、そういうものなんだというのは、何となくわかるかな、と。 何故か止められない時があるようですから。 >止められない。止まらない〜ってこれは違う。 かっ○えびせんは確かに、って違う……。 >>「それはお互い様ですよ。本当なら村の住人でもないあなたが、ここまで >>する必要ないんですから。それに、僕は犠牲になるつもりで残ったんじゃ >>ありません」 >>「気が合いますね。私もです」 >おおっ生きるつもりで戦う。 >魔王戦の時のリナもそうでしたね。 さすがに死ぬ気満々では残ってませんので。ただ、問題は本人にそのつもりが なくても、生き残れるかどうかですが。(←鬼) >>何となく、レッサー・デーモンをやたらと作中で使ってるなあと、書きながら >>思いました。魔族の中ではゼロスの次に最多出演です(笑) >私・・・レッサー・デーモンを使った覚えがほとんどない。少しは使ってるはずなんだろうけどなあ。 >魔族で一番使ってるのは・・・誰だろ。 >メッキーキャラには間違いないだろうケド・・・。 何となくフィブリゾのような気がします。オリキャラならアインで(笑) >>王族や貴族の内情を知っていたら変なので、三回ほど修正加えて、あの程度に >>収めました。あれでも詳しすぎの気もしますが、薬師と商人(薬草屋)を >>兼ねてますから、ある程度の情報は知っているということでご了承ください(汗) >そうですね。 >それに実際意外と知ってるものなのかも知れないですし・・・ それなりには知られるものなのでしょうね。 どうしたって服や食料等は商人から買うわけですし。直接の交渉はともかく、 お届けの時に荷物を運ぶのは下っ端ですから、そこで使われている下男下女と 会話くらいしますからね。 >御2人は生き残れるのでしょうか。 ……えーっと……(滝汗) >次回、海の底で微かな光に煌きつつ眠る真珠のように(おい)待ってます。 >それではこれで・・・ ああ、すごく綺麗な待ち方……。 それでは、コメントをありがとうございました。 |
13688 | 大変なことになっていますね。 | 猫楽者 E-mail | 2003/3/20 12:42:09 |
記事番号13657へのコメント >こんばんは。 >「たったひとつの冴えたやり方」Phase 2をUPに参りました。 こんにちは、エモーションさん。 お元気ですか、猫楽者です。 赤ちゃんフィリシアさんのお話♪続きをお待ちしておりました。 すいません、遅くなってしまいました。 >ここからは前回との落差……激しいです。 >鬱展開になっていきますが、それでもお付き合いいただければ幸いです。 緊迫した展開、ドキドキしながら読ませて頂きました。 普通に、ささやかでも幸せに暮らしたい・・・・・・、そう願っている方々。 戦乱の時代は、そんな人々の願いを押し潰して進んでゆくのでしょうか。 少しでも早く、平和が訪れると良いですね。 > 不気味な咆哮をあげて、レッサー・デーモンが逃げまどう人々を襲う。 >逃げる間もなく家ごと焼かれる者、鋭い爪で引き裂かれる者、様々だった。 > ──何故、こんなところにレッサー・デーモンが? > 一匹や二匹ではない。何の前触れもなく突然数十匹も現れたのだから、 >誰もが思う疑問だった。 レッサー・デーモンが数十匹!? 野良デーモンにしても、数が多すぎますね。 村の人たち、無事に逃げ延びて欲しいです。 > 我知らずにフィリシアをぎゅっと抱きしめたアリシアの瞳から一筋、二筋、 >涙がこぼれた。 > 会えばいつも口げんかばかりしていた。お互いムキになりやすいだけで、 >指摘されれば否定したが、よく似た性格なのだと分かっていた父。 > いつものんびりとしていて、でもきちんと見ていて、間違っているときは >指摘し、必要なときは助けてくれた、文字通り見守ってくれた母。 > 口うるさくて鬱陶しいと思ったこともある。でも、どれほどケンカしても >大好きだった。両親がどれほど自分を愛しんでくれたのか、子どもを生んで >やっと理解しはじめたばかりだ。まだ、ちゃんと親孝行すらできていない──!! お父さん、お母さん。どうかご無事で。 自分も子供が生まれて自分が親となって、初めて自分が、どんなかに大切に思われていたのか。 少しずつ解って来ました。 >アリシアに、そして自分に言い聞かせるためにそう言っているのだと。 >「……そうよ、ね……きっと……きっと……」 > それだけ言うのが、やっとだった。次々に溢れる涙をこらえて……間に >挟む形にしてしまったフィリシアを慌ててみる。赤紫の瞳に涙を湛え、しゃくり >上げながらフィリシアは母親を見つめている。不思議と、自分たちの方を >心配しているように見えた。 >「フィリシア……今から少しだけ、我慢していい子にしていてね」 > 笑んだ拍子に涙が流れたが、アリシアはフィリシアに微笑んでそう言った。 アリシアさん。辛いですね。 アリシアさんたちが御無事でいることを、お父さんとお母さんは願っていると思います。 辛いですけど、どうか今は、生き延びることに全力を尽くしてください。 >「アリシア!」 > 自分を抱きしめて呼ぶフランツの声に、アリシアは恐る恐る目を開ける。 >目の前にいたはずのレッサー・デーモンは消えており、かわりに先日の賢者が >駆けよってくる。 >「大丈夫ですか?」 >「……はい……」 >「助かりました。ありがとうございます、ポラリスさん」 > 返事をするのがやっとのアリシアに代わって、フランツが礼を言う。ポラリスは >安堵したように息を付いて言った。 >「とにかく、早く逃げましょう。まだ逃げられるうちに」 店からの侵入に追われて庭に出れば、そこにも待ち受けている。 偶然でしょうか、それとも指令を出している方がいるのでしょうか。 絶体絶命の危機。それでも懸命にフィリシアちゃんを守ろうとするアリシアさん。 すごくドキドキとました。 間一髪、ギリギリのところで助かって、本当に良かったです。 > 第三王子は母親が有力貴族の娘で、しかも父親が現在の大臣。後ろ盾が >強いため、充分に王位を狙える。しかし中身は第一王子と大差がない。 > 結局、王太子を立てられない状態のまま半年前に先王が急死した。ところが >第一王子と第三王子は王位をめぐって激しく争うばかりで政には無関心なので、 >国政は王妃が代行している……これが、一般に知られているエルークファの国情だ。 国に暮らす方々にとっては、雲の上の権力争い。 権力を得ることしか目に入らなくて、政には無関心(汗&溜息) 第一、第三、どちらの王子が王になっても、この国の未来は・・・・ダメかも知れませんね。 >「不思議なことに『自主的に』王子達に財政資金を援助なさった貴族の領地は、 >『盗賊団』の被害がなくなったそうです」 > 「大がかりな盗賊団」は、ほぼ同時期に国中にいくつも現れた。誰が見ても >不自然だった。しかし、どれほど不自然で疑わしくても、確実な証拠がなくては >何もできない。疑惑の対象の身分が高ければ、尚のこと──。 >「フティエーニュ公爵領は他の領地よりも特に被害が多かったんです。国の中でも >よく治まっていて豊かですから、狙われるのは分かりますけど。公爵も各地に >兵を派遣して対応したそうですが、なかなか……」 >「それで……フティエーニュ公爵はどうなさったんです?」 >「両方に『援助』なさったと聞いています」 > フティエーニュ公爵はおそらく直接被害を受ける領民の事を考え、プライドを >曲げて「援助」したのだろう。腹立たしいがそれですむのなら、まだマシだと考えて。 第一、第三、どちらの王子も・・・・・・もう王族がどうこうと言うよりも・・・・・・・。 指導者として、人間として・・・・・・ダメなのではないでしょうか(はぁ〜っ、と溜息) フティエーニュ公爵さま、ご自身のお立場はいろいろと複雑なのでしょうが 公爵さまが国王として、この国を治めて頂けるのが一番良いような気がします。 >「……それなのに、ですか。しかし、これでは……」 > 略奪というよりはまるで殲滅だ、と言う言葉をポラリスは呑み込んで、 >奥歯を噛みしめる。目の前の光景はとても略奪を目的にしたものには見えないが、 >村の住人である2人の前ではとても口にできない。例え、2人もそう認識して >いたとしても。 確かに、略奪するにしても見境無に炎を放ってしまっては、全て燃えてしまいますね。 もしかしまして、王の地位を争う戦いに便乗して 『誰か』が、戦いがさらに続くように混乱をあおっているのでしょうか。 >「赤ちゃんも無事なんだね、本当に良かった……」 >「おばさんも……。良かった、無事で……」 > 見知った顔を見つけて、少しほっとしたように言うアリシアに、パン屋のおかみは >顔を曇らせ、言いにくそうに言う。 >「……アリシアちゃん……デュークさんたちは……」 >「……そう、ですか……」 > 覚悟はしていたが、改めて聞くのはやはり辛い。堪えてもふらつく身体を、 >フランツが後から支えてくれていた。 ご両親・・・・・・助からなかったのですか・・・・・。 アリシアさん、どうかお気を確かに。 >「アリシア……」 >「フランツ、大丈夫だから……。私、大丈夫だから……」 > ──泣くのは後からでもできる。今はお前達3人の安全が先だ。 > ──アリシア、しっかりしなさい! あなたは母親なのよ。 > そんな風に言う両親の声が聞こえた気がした。この場にいたら、きっと >そう言うだろう。 >「逃げて、助かって……この子をちゃんと育てるの。今はそっちの方が >大事だもの……」 > 振り向いて、今度はしっかりと立ってアリシアはそう言った。母親の顔で。 亡くなってしまった御両親の思い出を胸に、母としてフィリシアちゃんを守るお姿 母は、強いですね。 この危機を乗り越えて、平和に幸せに生きていけると良いですね。 > そう言って、フランツはアリシアの方を向くと、いつも身につけていた >守り玉をフィリシアの首にかけた。 >「フランツ……これ……」 > 御守りとして、翡翠を身につける。確か、フランツが幼い頃に亡くなった母親の、 >出身地の風習だと聞いていた。フランツの母親がそうしたように、フランツも >フィリシアの守り玉をアリシアの父親に頼んで探してもらっていた。父が >足が出た分は自分が持つと言って、上質のものを注文していたと、母から >聞いたのはこの間のこと──。 >「僕のお下がりになっちゃうけどね。フィリシアが呑み込んじゃったりしないように、 >気を付けて。……先に、逃げるんだ。僕はポラリスさんと一緒に後から必ず >行くから」 アリシアさん達を無事に逃がす為に、ひとりで戦おうとしたポラリスさん。 この場に留まり戦うつもりのフランツさん。 命懸けで、大切な方々を守ろうとなさる。 おふたりとも、どうかご無事で。 >エルークファの国情は思わず書いていて楽しかった部分です(笑) >銀英伝ファンの血が騒いで(笑) この国に、権力争いに夢中になっている方々を吹き飛ばすような 力強い方が現れて、1日でも早く平和になると良いですね。 >では、今回も長文な話を読んでいただきまして、ありがとうございました。 面白かったです〜♪。毎回、とても楽しく読ませて頂いております。 アリシアさんたちが、どうなってしまうのだろう、と手に汗握って読ませて頂きました。 ポラリスさんとフランツさんは、無事にアリシアさんたちと再会できるのか。 アリシアさんたちは、神殿の方々の所まで無事に行くことが出来るのか。 神殿の方々は、フィリシアちゃんの幸せを考えてくれるのでしょうか。 続きが、とても気になります。 >次回もまたお会いできることを祈りつつ、これで失礼します。 暖かくなって来ましたね。 家族の花粉症の人は、大変なことになっています。 お体にお気を付けて、お元気で。 では、失礼します。 |
13693 | 今回の話は本気で鬱展開です。 | エモーション E-mail | 2003/3/20 23:39:52 |
記事番号13688へのコメント こんばんは。 >こんにちは、エモーションさん。 >お元気ですか、猫楽者です。 >赤ちゃんフィリシアさんのお話♪続きをお待ちしておりました。 >すいません、遅くなってしまいました。 ありがたいお言葉をありがとうございます。明日は休日ですし、話自体は 完成済みなのでさくさくUPしていこうとは思ってます。 Phase 5……全5話で終了になります。 >緊迫した展開、ドキドキしながら読ませて頂きました。 >普通に、ささやかでも幸せに暮らしたい・・・・・・、そう願っている方々。 >戦乱の時代は、そんな人々の願いを押し潰して進んでゆくのでしょうか。 >少しでも早く、平和が訪れると良いですね。 現実でも、話を書き上げた辺りからカウントダウンを開始していた戦争が 始まってしまいました。嫌なリンクです(泣) 戦争の最大の罪は「ささやかでも大切なもの」を簡単に壊すことなのだと 思います。 >> ──何故、こんなところにレッサー・デーモンが? >> 一匹や二匹ではない。何の前触れもなく突然数十匹も現れたのだから、 >>誰もが思う疑問だった。 > >レッサー・デーモンが数十匹!? >野良デーモンにしても、数が多すぎますね。 >村の人たち、無事に逃げ延びて欲しいです。 召還されてますので、数十匹です。目的は……ああ、私ってば鬼……。 >> 我知らずにフィリシアをぎゅっと抱きしめたアリシアの瞳から一筋、二筋、 >>涙がこぼれた。 >> 会えばいつも口げんかばかりしていた。お互いムキになりやすいだけで、 >>指摘されれば否定したが、よく似た性格なのだと分かっていた父。 >> いつものんびりとしていて、でもきちんと見ていて、間違っているときは >>指摘し、必要なときは助けてくれた、文字通り見守ってくれた母。 >> 口うるさくて鬱陶しいと思ったこともある。でも、どれほどケンカしても >>大好きだった。両親がどれほど自分を愛しんでくれたのか、子どもを生んで >>やっと理解しはじめたばかりだ。まだ、ちゃんと親孝行すらできていない──!! > >お父さん、お母さん。どうかご無事で。 >自分も子供が生まれて自分が親となって、初めて自分が、どんなかに大切に思われていたのか。 >少しずつ解って来ました。 これを書いていて、私も親孝行はできないとつくづく思ってます。 お子さま時代は覚えている範囲内でも、親が大変だったろうなと分かるので。 (小学校2〜3年頃まで病気の運動会だったし……一番酷かったのって 生まれる前後から幼稚園入った辺りだったかな) >> 笑んだ拍子に涙が流れたが、アリシアはフィリシアに微笑んでそう言った。 > >アリシアさん。辛いですね。 >アリシアさんたちが御無事でいることを、お父さんとお母さんは願っていると思います。 >辛いですけど、どうか今は、生き延びることに全力を尽くしてください。 勝ち気なアリシアの脆い部分、なんです。この辺り。フランツがいなかったら、 「母親」じゃなかったら、切り替えできなかったかもしれません。 >>店からの侵入に追われて庭に出れば、そこにも待ち受けている。 >偶然でしょうか、それとも指令を出している方がいるのでしょうか。 >絶体絶命の危機。それでも懸命にフィリシアちゃんを守ろうとするアリシアさん。 >すごくドキドキとました。 >間一髪、ギリギリのところで助かって、本当に良かったです。 待ち受けていたのは偶然ですが、指令を出しているのがいる、のは大当たりです。 村が襲われたのも、いくつかの理由がきちんとあります。 >> 結局、王太子を立てられない状態のまま半年前に先王が急死した。ところが >>第一王子と第三王子は王位をめぐって激しく争うばかりで政には無関心なので、 >>国政は王妃が代行している……これが、一般に知られているエルークファの国情だ。 > >国に暮らす方々にとっては、雲の上の権力争い。 >権力を得ることしか目に入らなくて、政には無関心(汗&溜息) >第一、第三、どちらの王子が王になっても、この国の未来は・・・・ダメかも知れませんね。 ほとんど限界かもしれないです。周囲がしっかりしていれば、それでも なんとかなるのですが……。煽っているようなものですから。 王妃は有力貴族連中を抑えることはできないものの、それなりに賢明な方なので、 例え我が子でも第一王子の味方をする気はないです。この人も苦労人です。 >第一、第三、どちらの王子も・・・・・・もう王族がどうこうと言うよりも・・・・・・・。 >指導者として、人間として・・・・・・ダメなのではないでしょうか(はぁ〜っ、と溜息) ダメダメです。だから余計に取りまき連中も一歩も退かないんです。 お○カな方が扱いやすくて、自分たちが好き勝手できますから。 >フティエーニュ公爵さま、ご自身のお立場はいろいろと複雑なのでしょうが >公爵さまが国王として、この国を治めて頂けるのが一番良いような気がします。 修正でカットしましたが、先王は本当は彼を王太子にしたかったけれど、 周囲の反対が凄かったのと、彼の暗殺未遂が起きたことで、公爵の爵位を 与えて後継者レースから外しました。命だけは、と思ったんですね。 公爵もその辺り、先王の気持ちを汲んでますので、飼い殺しの人生に 安住しています。 でも国民のことを考えたら、この方が即位するのが一番なんですけどね。 >> 略奪というよりはまるで殲滅だ、と言う言葉をポラリスは呑み込んで、 >>奥歯を噛みしめる。目の前の光景はとても略奪を目的にしたものには見えないが、 >>村の住人である2人の前ではとても口にできない。例え、2人もそう認識して >>いたとしても。 > >確かに、略奪するにしても見境無に炎を放ってしまっては、全て燃えてしまいますね。 >もしかしまして、王の地位を争う戦いに便乗して >『誰か』が、戦いがさらに続くように混乱をあおっているのでしょうか。 大当たりです。次回のPhase 3で分かります。……公爵がかなり可哀相です。 >>「……アリシアちゃん……デュークさんたちは……」 >>「……そう、ですか……」 >> 覚悟はしていたが、改めて聞くのはやはり辛い。堪えてもふらつく身体を、 >>フランツが後から支えてくれていた。 > >ご両親・・・・・・助からなかったのですか・・・・・。 >アリシアさん、どうかお気を確かに。 すみません、助かりませんでした。(しくしく)さらにこの後……。 >>「逃げて、助かって……この子をちゃんと育てるの。今はそっちの方が >>大事だもの……」 >> 振り向いて、今度はしっかりと立ってアリシアはそう言った。母親の顔で。 > >亡くなってしまった御両親の思い出を胸に、母としてフィリシアちゃんを守るお姿 >母は、強いですね。 母親って本当に強いです。場合によってはマイナスになることもありますが、 子どもが絡むと本当に凄いですから。 >この危機を乗り越えて、平和に幸せに生きていけると良いですね。 お優しいお言葉を……。すみません、今から謝っておきます(滂沱) >> そう言って、フランツはアリシアの方を向くと、いつも身につけていた >>守り玉をフィリシアの首にかけた。 >>「フランツ……これ……」 >> 御守りとして、翡翠を身につける。確か、フランツが幼い頃に亡くなった母親の、 >>出身地の風習だと聞いていた。フランツの母親がそうしたように、フランツも >>フィリシアの守り玉をアリシアの父親に頼んで探してもらっていた。父が >>足が出た分は自分が持つと言って、上質のものを注文していたと、母から >>聞いたのはこの間のこと──。 >>「僕のお下がりになっちゃうけどね。フィリシアが呑み込んじゃったりしないように、 >>気を付けて。……先に、逃げるんだ。僕はポラリスさんと一緒に後から必ず >>行くから」 > >アリシアさん達を無事に逃がす為に、ひとりで戦おうとしたポラリスさん。 >この場に留まり戦うつもりのフランツさん。 >命懸けで、大切な方々を守ろうとなさる。 >おふたりとも、どうかご無事で。 損な性格といえばその通りなんです。2人とも。大切な人達のためなら いくらでも無茶をしてしまう、そういう性格で。 結果は……(滝汗) >>エルークファの国情は思わず書いていて楽しかった部分です(笑) >>銀英伝ファンの血が騒いで(笑) > >この国に、権力争いに夢中になっている方々を吹き飛ばすような >力強い方が現れて、1日でも早く平和になると良いですね。 結局この話の最後にも書かなかったのですが、結局この国はごたごたした 状態が続きます。そして公爵は地方国家みたいなのを作っちゃいまして…… 前の後書き雑談でフィリシアが言っていた「しっかりした領主様」の 1人です、実は(苦笑い) >面白かったです〜♪。毎回、とても楽しく読ませて頂いております。 >アリシアさんたちが、どうなってしまうのだろう、と手に汗握って読ませて頂きました。 >ポラリスさんとフランツさんは、無事にアリシアさんたちと再会できるのか。 >アリシアさんたちは、神殿の方々の所まで無事に行くことが出来るのか。 >神殿の方々は、フィリシアちゃんの幸せを考えてくれるのでしょうか。 >続きが、とても気になります。 ありがとうございます(ほろほろ)今回は本当に鬱展開なのでもう……。 phase 3に至ってはもう……私が鬼だとよく分かります(TT) この話はphase 5に入るエピローグだけちょっとマシかなと言う感じです。 >暖かくなって来ましたね。 >家族の花粉症の人は、大変なことになっています。 >お体にお気を付けて、お元気で。 >では、失礼します。 丁寧で暖かいコメントをありがとうございました。 本当に花粉症の季節ですよね。 猫楽者さんもお体にお気を付けてくださいね。 それでは、失礼します。 |
13705 | たったひとつの冴えたやり方 Phase 3 | エモーション E-mail | 2003/3/22 22:32:35 |
記事番号13551へのコメント こんばんは。 鬱展開も山場のPhase 3のUPに参りました。 話もPhase 3で半分まできまして、終わりまであとちょっとです。 救いようがほとんど無いこのお話。 見捨てずに読んでくださる方々には、本当にお礼を申し上げます。 では、Phase 3です。 ∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽ 「たったひとつの冴えたやり方〜Uaboeh roenr」 Phase 3 4. フランツたちと別れた場所から、随分遠くまで来ていると思う。さすがに 走り続けなので、アリシアたちは少し休憩していた。今、アリシアはルクルの 他に何人かの村の者と一緒だ。……どうがんばっても老人や女性、そして 子どもは、逃げるのが遅れてしまう。 もう見えるはずがないのに、アリシアは何度も村の方を見てしまっていた。 不安をはねつけるように、そして、祈るように。 見ながら、何度も大丈夫だと、自分に言い聞かせる。無傷で、というのは 無理だとしても、絶対フランツは自分たちのところへ来てくれる。そう約束 したのだから。 ふ……ふぇええええええええええええええんんっ!! 突然、火が点いたようにフィリシアが激しく泣き出した。 「フィリシア? どうしたの?」 先程まで不安げではあっても泣いてはいなかったのに、何かを感じ取るように 泣くフィリシアをあやし、宥めているうちに、アリシアの心にはねのけたはずの 不安が押し寄せる。 「……お願い……泣かないで……大丈夫だから」 ……フランツは、あなたのお父さんは必ず追いついて来るから……。 言葉に出さずに、胸の内でアリシアはそう呟く。赤ん坊は周囲の状況、特に 親の感情には敏感だ。きっと、自分の不安に反応して泣いているのだと そう思った。きっと、そうなのだと。 精一杯不安を押しのけて、アリシアは娘を抱きしめた。 ☆★☆★☆★☆ どれほど時間が経ったのか分からない。もしかしたら、自分たちが思って いるほど時間が経っていないのかもしれないが、結構長い時間、こうして いたような気がする。 レッサー・デーモンを倒しながら、フランツとポラリスは少しずつ移動して いたが、気力も体力も限界に近くなっていた。 「……キリがないですねぇ……」 「本当に……。いったい何十匹召還したんでしょうね」 会話を交わしているのは、余裕があるからじゃない。意識を保つために しているようなものだ。お互いそれは分かっていて、でも口にはしない。 気がつくともう逃げ道はなくなっていた。闇の中で不気味に光る複数の目が、 どんどん近づいてくるのが分かる。 「すみませんね。付き合わせてしまって」 「自分で決めたことですよ。……アリシアには、怒られそうですけど」 「その時は、私も一緒に怒られます。奥さんには本当に申し訳ないですから……」 ポラリスは何度も振り返って「待っている」と言っていたアリシアを思い出す。 あの儚げで繊細そうな女性は、一度に両親や夫を、そしてたくさんのものを 失って、その上1人で子どもを抱えて生きていかなくてはならない。結果的に 彼女をそんな状況に追い込んでしまった事が悔やんでも悔やみきれない。 「……アリシアは大丈夫ですよ。1人でもきっと娘を立派に育ててくれます。 彼女は見た目よりずっと強くて凄い女性(ひと)なんですよ。その気に なれば女神にだってなれる、そんな女性ですから。だから本当なら僕の 妻じゃなく、もっといろんなものになれる、いろんな事ができる可能性を 持っていたのに、いざとなったら誰にも渡したくなくなって、さっさと 独り占めしてしまいました」 「……思いっきり惚気てますね」 「そうですね、すみません」 こんな状況なのに、いや、こんな状況だからかもしれない。場違いなほど 楽しげに2人は笑った。 数分後、遠目にも分かるほど明るくなった場所があったが、それは少しの 間だけのことだ。すぐにそれがどこなのか分からなくなるほど暗い、闇の色に 染まっていった。まるで、何事もなかったように……。 ☆★☆★☆★☆ ……ごめんなさい、ごめんなさい。私たちだけ逃げて……ごめんなさい。 そう、心の中で謝りながら、アリシアは必死で走っていた。軽い休憩を 取ったあと、再びクナスレージュへと移動していたとき、また、数匹の レッサー・デーモンに襲われたのだ。ブレスキル村を襲ったものと同じか どうかは分からない。だが、アリシア達を全滅させるのには十分すぎる 数だった。 助けを求め泣き叫ぶ声と、身体を引き裂く音。そして燃えさかる炎の音と 熱気。 一緒にいたルクルも、1人生きのびて、必死でここまで逃げてきた近所の子も、 あっさりと、そう、現実感がないくらいあっけなく、レッサー・デーモンの 餌食になった。彼らが声を上げる間もなく地面に倒れた瞬間、アリシアは 躊躇うことなくその場から駆けだしていた。 彼らはもう助からない。そう思っていはいても、心の中で、彼らに謝る。 批判も誹りもあとからいくらでも受ける。今はこの子と一緒に生きのびるのが先──。 レッサー・デーモンが追ってきているのが分かる。子どもを抱えて、そして 走り続けているから体力は限界に近かったが、それでもアリシアは走り続けた。 ……崖?! 木々を抜けていった先は、川だった。崖、といっても下りられないものではない。 下りた先の川沿いは、歩こうと思えば歩いていける。 すぐに月の位置からおおよその方角を計り、以前見た地図を思い出す。 ブレスキル村の位置と普通にクナスレージュへ向かう場合の道の方向……。 川の流れとは逆に、上流に上っていく方がクナスレージュに近いと判断する。 その途端、背中に衝撃を受けた。 痛い、というより熱い、そう感じた。悲鳴が声にならず、力が抜けてその場に 座り込む。身体を動かすたびに激しい痛みが走る。不気味な声で鳴きながら、 レッサー・デーモンが再び爪を振り上げるのが分かった。 ……殺させない! この子だけは、絶対に殺させないっ!! 私とフランツの 子どもなんだから!! 心の中でそう叫び、自分の身体を盾にして、フィリシアをレッサー・デーモンの 爪から庇った時、急にアリシアの身体が強い光を放った。 何が起きているのか、それはアリシアにも分からなかった。ただ、ひたすら 白いような金色のような光がアリシアを中心に周囲を照らし、そして…… レッサー・デーモンがまるで塵のようにかき消えていく……。 再び、周囲は臥し待ちの月明かりだけが頼りの、夜の闇に戻った。 静かだった。聞こえてくるのは、川の音。レッサー・デーモンの不気味な 声は、聞こえない。 ……今のは、一体……? 不思議に思い、もしかしてと娘を見る。赤紫の瞳に涙を一杯浮かべている フィリシアは、どこか不思議そうにアリシアを見つめ返していた。 ……違う。この子じゃない。この子の「力」じゃない。 フィリシアの涙を拭きながら、何故か、直感的にアリシアはそう思った。 強い「力」だったのは確かだ。でも、フィリシアの「力」じゃない。 何故か、そう分かる。 ……とにかく、下りなきゃ。下りて、川に沿って歩いて、クナスレージュへ、 行く……。 動くたびに激しい傷みが襲い、血が流れるのが分かる。ゆっくりと時間を かけて、アリシアは下まで下りた。身体が酷く重く、思うように動けないが、 それでもアリシアは歩いた。 どれほど、歩いたのだろうか。そしてどれほど時間が経ったのだろうか。 意識がどんどん朦朧としていく中、アリシアはほとんど気力だけで歩いていた。 ……クナスレージュへ行く。騎士隊の人達に会う。フィリシアのことを お願いする。それまでは、倒れてなんていられない。 そんな、思いだけで。 朦朧とした意識の中、アリシアは何かを聞いた。一瞬またモンスターかと 思ったが、霞んだ視界の中、近づいてくるのは複数の人間だ。口々にアリシアに 何かを言いながら駆けよってくる。彼らが身につけているのは白銀の鎧。 付いている紋章は──赤い竜のデザイン。 ……レージュ大神殿の騎士……。 そう認識した途端、アリシアの身体から力が抜け、意識が途切れた。 ☆★☆★☆★☆ 年の頃は12歳ほどだろうか。少年は、1人でチェスの駒を動かしていた。 一見ルールに従って駒を動かしているように見えるが、実はそうではない。 その必要がないからだ。少年がチェスで行っているのは、ただの〃見立て〃 なのだから。 次はどう動かそうかと考えている少年の後方で、三十歳ほどに見える 戦士風の男が跪き、何やら報告していた。 「村の襲撃は成功です。生きのびた者はいないと思いますが、念のため、 アトロポスが確認を行っています。また、数日中にはフティエーニュ公爵や エルークファの他の貴族達にも、この件が伝わるでしょう。おそらく、これで フティエーニュ公爵は腹をくくると思われます」 「……ごくろうさま。まあ、今のところはそんなところかな。公爵の側近…… えーっと、確かバドル将軍だっけ? 彼にはもうこの事を知らせたの?」 聞き流しているように見えたが、どうやらそうではなかったらしい。労いの 言葉をかけつつ、少年はナイトの駒をつついて訊ねる。まだまだ必要な手駒。 「被害」に怖じ気づいて動かなくなるのでは困る。 「いえ、まだです。被害の程度とどの村が襲われたのか知ったら、大層怒る でしょうな。国境近くの要地として、力を入れて発展させようとしていた村 ですから」 将軍が望んだのは公爵に異母兄と異母弟、どちらの仕業にしても明らかに 「契約違反」な襲撃を受けたと思わせること。このままでは国が滅ぶ、国民の ために王位につくと、そう決心してもらうための被害だ。複数の村の襲撃と 多少の死者が出ることは予想しただろうが、さすがにひとつの村とその住人が 徹底的に、文字通り殲滅されるとは考えもしなかったに違いない。 「公爵の兄弟がやっていたような、ちまちました襲撃の被害じゃ、何度も 繰り返さなきゃ公爵は王位を望まないよ。現に今までだって、どうやって 異母兄弟を諫めようかって、それしか考えてなかったじゃない。そんなこと するくらいなら、一度だけでも徹底的な方が効果的。被害も一ヶ所ですむしね。 文句言われたら、そう言ってやれば? まあ、カロン、君ならそれくらいのことは 考えているんだろうけど」 カロン、と呼ばれた戦士風の男は、ニヤリと笑って答えた。 「仰せの通りで。所詮、玉座など血で購うものですからな」 「それにしても、公爵は可哀相だね。自分は玉座に見向きもしないでいるのに、 周りが放っておいてくれない。それだけならまだしも、よりにもよって自分の 側近が、大切に思っている領民を傷つけるように依頼した、なんて全然知らずに いるんだから。それも、目的は公爵が王位を望むように仕向けるため……。 ほんと、可哀相だね」 可哀相と言っていても、少年の表情と口調はそれを裏切っている。 そう思っていないのは、一目瞭然だった。 「さて、次は有力貴族の中に公爵の味方を作らなくてはなりませんな」 「そうだね、でも、焦っちゃ駄目だよ。まずは……第一王子と第三王子の 手下を上手く使って、それぞれの内部を対立させることからかな。それと、 エルークファはクナスレージュしか気に留めてないみたいだけど、アズライールが ラテクリルに上手く入り込んだから、そのうちにそっちとも連携させるよ。 とりあえず、それを頭に入れておいて」 「御意」 少年はカロンにそう指示しながら、はやる気持ちを抑える。これは、まだ計画の 下準備でしかない。焦りは禁物だ。四竜王に気づかれないように、全てを 慎重に進めなくてはならないのだから。 カロンが去ったあと、少年は再びチェス盤に手を伸ばし、白のクィーンに 指を置く。 「……あんなにはっきりしていたのに、消えてる……。ふうん、やっぱり 死んだのかな」 白のクィーン弾いて転がし、くすくすと笑いながら少年……冥王フィブリゾは そう呟く。軽くアストラル・サイドを覗いただけだが、前に見つけた 「神の欠片を持つ者」の気配が感じられない。本当ならもっときちんと 視たいのだが、以前それを身ごもった娘にカロンを接触させたとき、娘から 反撃された上に水竜王に気づかれてしまい、以来、フィブリゾが直接手出し できないように、水竜王が睨みを利かせている。そのため迂闊に視ることが できないのだ。 さすがにそれでも生きていたら、直接的な手段を取るしかなかったが、 成功した以上あえて注意を引く真似をする必要はない。余計な行動で〃計画〃に 気づかれたら困る。 「神の欠片を持つ者」など、たださえ厄介な赤の竜神の騎士(スィーフィード・ナイト) よりは力が劣るとはいえ、イレギュラーな存在だけに余計に目障りでしか なかったが、下準備のついでに「芽」を上手く摘めたし、水竜王も単なる 人間同士の争いの結果で、フィブリゾが関わっているとは気づいていない ようなので、まず満足できる結果だ。 満足気な表情で、他の腹心達に会うためにチェス盤から離れたフィブリゾは 気づいていなかった。〃見立て〃に使っているだけとはいえ、チェス盤上の 白のキングとルークが〃キャスリング〃を起こせる状態にあることに。 ∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽ 以上、Phase 3でした。そしてPhase 4へと続きます。 原作キャラがラストでやっと登場しています。どれだけ頭良く、そしてさらりと 冷酷非情な言動をさせるかが、私のフィブリゾを書く上での注意点にして いますが、そう見えているでしょうか。 オリジナルのフィブリゾの部下は全部「死に関わる神」の名前を使いました。 そのため統一されていません(笑)出てこなかっただけでアヌビスなんて 名前の部下もおります(汗) ……実際、フィブリゾの部下って何人いたのでしょうね。何となく力は落ちても、 策略の実行をさせるのに向いたタイプを4人〜5人、作っていたのではないか と思うのですが。 それでは、鬱展開にもかかわらず読んでくださいまして、ありがとうございました。 Phase 4でお会いできることを祈りつつ、これで失礼いたします。 |
13706 | お・・・大物登場ですね(汗) | 猫楽者 E-mail | 2003/3/23 01:17:22 |
記事番号13705へのコメント >こんばんは。 こんばんは、エモーションさん。 お元気ですか、猫楽者です。 フランツさんとポラリスさんが、どうなってしまうのか。 アリシアさんとフィリシァさんは無事に逃げられるのか、続きを読ませて頂けるのを とても楽しみにお待ちしておりました。 > ふ……ふぇええええええええええええええんんっ!! > > 突然、火が点いたようにフィリシアが激しく泣き出した。 >「フィリシア? どうしたの?」 > 先程まで不安げではあっても泣いてはいなかったのに、何かを感じ取るように >泣くフィリシアをあやし、宥めているうちに、アリシアの心にはねのけたはずの >不安が押し寄せる。 >「……お願い……泣かないで……大丈夫だから」 > ……フランツは、あなたのお父さんは必ず追いついて来るから……。 > 言葉に出さずに、胸の内でアリシアはそう呟く。赤ん坊は周囲の状況、特に >親の感情には敏感だ。きっと、自分の不安に反応して泣いているのだと >そう思った。きっと、そうなのだと。 > 精一杯不安を押しのけて、アリシアは娘を抱きしめた。 夜の闇と、今まで感じたことの無いような恐ろしい雰囲気。 異様な周りの雰囲気に耐えて、今まで泣いていなかったフィリシアちゃんが 突然泣いた・・・・・・・なにか悪いことが起こらないと良いのですが(汗) >「すみませんね。付き合わせてしまって」 >「自分で決めたことですよ。……アリシアには、怒られそうですけど」 >「その時は、私も一緒に怒られます。奥さんには本当に申し訳ないですから……」 > ポラリスは何度も振り返って「待っている」と言っていたアリシアを思い出す。 >あの儚げで繊細そうな女性は、一度に両親や夫を、そしてたくさんのものを >失って、その上1人で子どもを抱えて生きていかなくてはならない。結果的に >彼女をそんな状況に追い込んでしまった事が悔やんでも悔やみきれない。 自分が絶体絶命の状況で、フランツさんと御家族のことを気遣うポラリスさん。 この国の王位を争う戦いは、人間の問題だとしても レッサー・デーモンが係わっているのですが・・・・・それでも・・・・・ この世界の“神”は、“神族”や竜族、エルフたちは、自分達にはなんの関係も無いと この大量虐殺を放っておくのでしょうか。 >「……アリシアは大丈夫ですよ。1人でもきっと娘を立派に育ててくれます。 > 彼女は見た目よりずっと強くて凄い女性(ひと)なんですよ。その気に >なれば女神にだってなれる、そんな女性ですから。だから本当なら僕の >妻じゃなく、もっといろんなものになれる、いろんな事ができる可能性を >持っていたのに、いざとなったら誰にも渡したくなくなって、さっさと >独り占めしてしまいました」 >「……思いっきり惚気てますね」 >「そうですね、すみません」 > こんな状況なのに、いや、こんな状況だからかもしれない。場違いなほど >楽しげに2人は笑った。 レッサー・デーモンに包囲されてしまったのですか。 逃げ道は既に無く、もはや戦う力も残っていない。 そんな絶望的な状況で、笑うことが出来る・・・・・・・。 どうして、こんな素晴らしい人たちほど、早く逝ってしまうのでしょうか。 > 数分後、遠目にも分かるほど明るくなった場所があったが、それは少しの >間だけのことだ。すぐにそれがどこなのか分からなくなるほど暗い、闇の色に >染まっていった。まるで、何事もなかったように……。 ポラリスさん、フランツさん。 こういう時代だからこそ・・・・・・あなた方のような人たちに生き延びて欲しかったです・・・・・。 どうか、アリシアさんとフィリシアさんのことを見守ってあげてください(涙) > 助けを求め泣き叫ぶ声と、身体を引き裂く音。そして燃えさかる炎の音と >熱気。 > 一緒にいたルクルも、1人生きのびて、必死でここまで逃げてきた近所の子も、 >あっさりと、そう、現実感がないくらいあっけなく、レッサー・デーモンの >餌食になった。彼らが声を上げる間もなく地面に倒れた瞬間、アリシアは >躊躇うことなくその場から駆けだしていた。 ここまで必死に逃げて来た人たちが・・・・・・・。 村から遠く離れた場所まで、追撃してくる。 本当に村人全員を、ひとり残らず皆殺しにするつもりなのですか。 襲撃者の方々、いくらなんでも、やり過ぎではないでしょうか。 脅しや見せしめにしても、これでは逆効果なのでは・・・・・・・。 > その途端、背中に衝撃を受けた。 > > 痛い、というより熱い、そう感じた。悲鳴が声にならず、力が抜けてその場に >座り込む。身体を動かすたびに激しい痛みが走る。不気味な声で鳴きながら、 >レッサー・デーモンが再び爪を振り上げるのが分かった。 > > ……殺させない! この子だけは、絶対に殺させないっ!! 私とフランツの >子どもなんだから!! 誰か、誰でも良いから助けて(泣き叫び) ここでアリシアさんとフィリシアちゃんが・・・・・・そんなの・・・・・酷すぎる・・・(泣) 手に汗どころか、冷や汗が出てきました。 > 心の中でそう叫び、自分の身体を盾にして、フィリシアをレッサー・デーモンの >爪から庇った時、急にアリシアの身体が強い光を放った。 > > 何が起きているのか、それはアリシアにも分からなかった。ただ、ひたすら >白いような金色のような光がアリシアを中心に周囲を照らし、そして…… >レッサー・デーモンがまるで塵のようにかき消えていく……。 アリシアさんのお力でしょうか。 それとも、誰かが助けてくれたのでしょうか。 助かってくださって、本当に良かったです。 > どれほど、歩いたのだろうか。そしてどれほど時間が経ったのだろうか。 >意識がどんどん朦朧としていく中、アリシアはほとんど気力だけで歩いていた。 > ……クナスレージュへ行く。騎士隊の人達に会う。フィリシアのことを >お願いする。それまでは、倒れてなんていられない。 > そんな、思いだけで。 > 朦朧とした意識の中、アリシアは何かを聞いた。一瞬またモンスターかと >思ったが、霞んだ視界の中、近づいてくるのが複数の人間だ。口々にアリシアに >何かを言いながら駆けよってくる。彼らが身につけているのは白銀の鎧。 >付いている紋章は──赤い竜のデザイン。 > ……レージュ大神殿の騎士……。 > そう認識した途端、アリシアの身体から力が抜け、意識が途切れた。 神殿の方々のところまで、なんとかたどり着いてくださったのですね。 良かったです。本当に良かったです。もう大丈夫なのでしょうか。 アリシアさんも御無事なのですよね(願い) >「公爵の兄弟がやっていたような、ちまちました襲撃の被害じゃ、何度も >繰り返さなきゃ公爵は王位を望まないよ。現に今までだって、どうやって >異母兄弟を諫めようかって、それしか考えてなかったじゃない。そんなこと >するくらいなら、一度だけでも徹底的な方が効果的。被害も一ヶ所ですむしね。 >文句言われたら、そう言ってやれば? まあ、カロン、君ならそれくらいのことは >考えているんだろうけど」 確かに、効果的でしょうね。 このやり方でしたら、“自軍”の被害も最小限でしょうし でも、普通に暮していた方々の、ほんのささやかな幸せとか 亡くなってしまった方々の夢とか希望とか この少年には、どうでも良いのでしょうね。 どんな生き方、経験をすれば・・・・・・ここまで非情に徹することが出来るのでしょうか。 > カロン、と呼ばれた戦士風の男は、ニヤリと笑って答えた。 >「仰せの通りで。所詮、玉座など血で購うものですからな」 >「それにしても、公爵は可哀相だね。自分は玉座に見向きもしないでいるのに、 >周りが放っておいてくれない。それだけならまだしも、よりにもよって自分の >側近が、大切に思っている領民を傷つけるように依頼した、なんて全然知らずに >いるんだから。それも、目的は公爵が王位を望むように仕向けるため……。 >ほんと、可哀相だね」 > 可哀相と言っていても、少年の表情と口調はそれを裏切っている。 >そう思っていないのは、一目瞭然だった。 将軍は・・・・・・恐ろしい方に計画を依頼してしまいましたね。 あたらしい国や秩序の為には、たしかに血が流れるのかも知れませんが 流された血に、亡くなってしまった方々に向かって、誇れるようなものが出来上がるのでしょうか。 >「さて、次は有力貴族の中に公爵の味方を作らなくてはなりませんな」 >「そうだね、でも、焦っちゃ駄目だよ。まずは……第一王子と第三王子の >手下を上手く使って、それぞれの内部を対立させることからかな。それと、 >エルークファはクナスレージュしか気に留めてないみたいだけど、アズライールが >ラテクリルに上手く入り込んだから、そのうちにそっちとも連携させるよ。 >とりあえず、それを頭に入れておいて」 国内の混乱を拡大させて、更に周辺の国にまで戦乱を広げようとでいうのでしょうか。 この少年。楽しんでさえいるように感じてしまうのですが(怯え) > カロンが去ったあと、少年は再びチェス盤に手を伸ばし、白のクィーンに >指を置く。 >「……あんなにはっきりしていたのに、消えてる……。ふうん、やっぱり >死んだのかな」 > 白のクィーン弾いて転がし、くすくすと笑いながら少年……冥王フィブリゾは >そう呟く。軽くアストラル・サイドを覗いただけだが、前に見つけた >「神の欠片を持つ者」の気配が感じられない。本当ならもっときちんと >視たいのだが、以前それを身ごもった娘にカロンを接触させたとき、娘から >反撃された上に水竜王に気づかれてしまい、以来、フィブリゾが直接手出し >できないように、水竜王が睨みを利かせている。そのため迂闊に視ることが >できないのだ。 冥王・・・・・・(汗) 冥王さまが・・・・係わるというか手を下していたのですか・・・・・。 う・・・・うわわわわわああああああ・・・・あの将軍・・・・なんつうことを(滝冷汗) アリシアさん・・・・冥王さまに『反撃』していたのですか(汗だく) 水竜王さまが睨みを利かせている、ということは、あのとき助けてくれたのは水竜王の関係者の方でしょうか。 > 満足気な表情で、他の腹心達に会うためにチェス盤から離れたフィブリゾは >気づいていなかった。〃見立て〃に使っているだけとはいえ、チェス盤上の >白のキングとルークが〃キャスリング〃を起こせる状態にあることに。 冥王さまに気付かれないままに、無事に安全圏に“入城(キャスリング)”なさるのでしょうか。 >原作キャラがラストでやっと登場しています。どれだけ頭良く、そしてさらりと >冷酷非情な言動をさせるかが、私のフィブリゾを書く上での注意点にして >いますが、そう見えているでしょうか。 まだ幼いといってよい少年の考え方、言動・・・・ゾッとしました(冷汗) 魔族・・・・エモーションさんのお書きになる冥王さま・・・・恐ろしい方ですね。 姿形は同じでも、やはり魔族は恐ろしい、と改めて感じました。 >オリジナルのフィブリゾの部下は全部「死に関わる神」の名前を使いました。 >そのため統一されていません(笑)出てこなかっただけでアヌビスなんて >名前の部下もおります(汗) >……実際、フィブリゾの部下って何人いたのでしょうね。何となく力は落ちても、 >策略の実行をさせるのに向いたタイプを4人〜5人、作っていたのではないか >と思うのですが。 ファイターではなくて、諜報、破壊工作、情報操作などに長けている方々が部下としていそうですね。 ギリシャ神話の冥府への入り口の川の番人をなさっている方と 死を告げる天使さまと、ハリウッドと『サロメ』撮影がらみの事件の方・・・・・でしょうか(汗) ちらっと御名前を聞いたことがあるだけなのですが・・・・・・今度ちゃんと読んでみます。 >それでは、鬱展開にもかかわらず読んでくださいまして、ありがとうございました。 >Phase 4でお会いできることを祈りつつ、これで失礼いたします。 面白かったです。アリシアさん達が無事に神殿の関係者の方々のところまで行くことが出来て 本当に良かったです。 冥王さまの思惑どうりに、この国は更に混乱が続いてしまうのか。 アリシアさんとフィリシアちゃんは、どんな事態に巻き込まれてしまうのか。 続きを読ませて頂けるのを、とても楽しみにお待ちしております。 いつも、自分の拙い駄文を読んで頂きましてありがとうございます。 そして、とても丁寧な感想を、本当にありがとうございます。 図書館で『たったひとつの冴えたやり方』を借りることが出来ました。 まさか、あのような結末を迎えるとは・・・・・・。 勇気ある決断でしたね・・・・・。 今、第2章まで読み終わりました。 すごく面白いです。 こちらは今、雨が降っているようです。 少し油断すると、すぐに風邪を引きそうになります(汗) お体にお気を付けて、お元気で。 では、失礼します。 |
13717 | キャラの名前を間違えてしまいました……(滝汗) | エモーション E-mail | 2003/3/23 23:34:43 |
記事番号13706へのコメント >こんばんは、エモーションさん。 >お元気ですか、猫楽者です。 >フランツさんとポラリスさんが、どうなってしまうのか。 >アリシアさんとフィリシァさんは無事に逃げられるのか、続きを読ませて頂けるのを >とても楽しみにお待ちしておりました。 猫楽者さん、こんばんは。 本当に、こんな風に言っていただけて嬉しいです。今回は本当に救いようがないと 言いますか、「銀○伝」のシリーズ後半やら「星の○地」といったノリですので。 >> ふ……ふぇええええええええええええええんんっ!! >> >> 突然、火が点いたようにフィリシアが激しく泣き出した。 >>「フィリシア? どうしたの?」 >> 先程まで不安げではあっても泣いてはいなかったのに、何かを感じ取るように >>泣くフィリシアをあやし、宥めているうちに、アリシアの心にはねのけたはずの >>不安が押し寄せる。 >>「……お願い……泣かないで……大丈夫だから」 >> ……フランツは、あなたのお父さんは必ず追いついて来るから……。 >> 言葉に出さずに、胸の内でアリシアはそう呟く。赤ん坊は周囲の状況、特に >>親の感情には敏感だ。きっと、自分の不安に反応して泣いているのだと >>そう思った。きっと、そうなのだと。 >> 精一杯不安を押しのけて、アリシアは娘を抱きしめた。 > >夜の闇と、今まで感じたことの無いような恐ろしい雰囲気。 >異様な周りの雰囲気に耐えて、今まで泣いていなかったフィリシアちゃんが >突然泣いた・・・・・・・なにか悪いことが起こらないと良いのですが(汗) この辺りはもう「何か起きましたよ」という……(汗) 意味は分からないけれど、フランツとポラリスの身に起きたことがフィリシアには 分かってしまった場面です。赤ん坊のフィリシアは泣くしかできないんですね。 >> ポラリスは何度も振り返って「待っている」と言っていたアリシアを思い出す。 >>あの儚げで繊細そうな女性は、一度に両親や夫を、そしてたくさんのものを >>失って、その上1人で子どもを抱えて生きていかなくてはならない。結果的に >>彼女をそんな状況に追い込んでしまった事が悔やんでも悔やみきれない。 > >自分が絶体絶命の状況で、フランツさんと御家族のことを気遣うポラリスさん。 アリシアの外見には騙されてますが(苦笑)、ポラリスには本当にそれが気がかり でしょうね。こんな風に思う人だから1人残ろうとする方だとも思います。 >この国の王位を争う戦いは、人間の問題だとしても >レッサー・デーモンが係わっているのですが・・・・・それでも・・・・・ >この世界の“神”は、“神族”や竜族、エルフたちは、自分達にはなんの関係も無いと >この大量虐殺を放っておくのでしょうか。 良くは思っていないでしょうが、「深くは手出しできない」んでしょうね。 〃神〃などは特に。〃神〃が何かをすれば、それが単に一般の人間を守るための 行動でも、権力者は自分の都合のいいように斜め45度錐もみ回転の脳内変換を してしまうので、余計に酷いこと引き起こすことになるでしょうから。 そう言う意味では、分かっているだけに一番辛いかもしれません。 竜族やエルフ等はまだ「目の前の人を助ける」ことくらいはできるし、行うと 思いますが、残念ながらブレスキル村の近辺にはいませんでしたし、基本的に 「転んだら手を差し出して、立ち上がるのを手伝う」というくらいの態度が 普通なのだと思います。 >>「……アリシアは大丈夫ですよ。1人でもきっと娘を立派に育ててくれます。 >> 彼女は見た目よりずっと強くて凄い女性(ひと)なんですよ。その気に >>なれば女神にだってなれる、そんな女性ですから。だから本当なら僕の >>妻じゃなく、もっといろんなものになれる、いろんな事ができる可能性を >>持っていたのに、いざとなったら誰にも渡したくなくなって、さっさと >>独り占めしてしまいました」 >>「……思いっきり惚気てますね」 >>「そうですね、すみません」 >> こんな状況なのに、いや、こんな状況だからかもしれない。場違いなほど >>楽しげに2人は笑った。 > >レッサー・デーモンに包囲されてしまったのですか。 >逃げ道は既に無く、もはや戦う力も残っていない。 >そんな絶望的な状況で、笑うことが出来る・・・・・・・。 >どうして、こんな素晴らしい人たちほど、早く逝ってしまうのでしょうか。 > >ポラリスさん、フランツさん。 >こういう時代だからこそ・・・・・・あなた方のような人たちに生き延びて欲しかったです・・・・・。 >どうか、アリシアさんとフィリシアさんのことを見守ってあげてください(涙) 「良い人間ほど……」という言葉は、意外にどんな時代でも言えるんですよね。 ……取られやすいし……(注:あっちの世界ゾーンな言動) 書いていて自分でも自分を鬼だと思ってます。(しくしく) >> 一緒にいたルクルも、1人生きのびて、必死でここまで逃げてきた近所の子も、 >>あっさりと、そう、現実感がないくらいあっけなく、レッサー・デーモンの >>餌食になった。彼らが声を上げる間もなく地面に倒れた瞬間、アリシアは >>躊躇うことなくその場から駆けだしていた。 > >ここまで必死に逃げて来た人たちが・・・・・・・。 >村から遠く離れた場所まで、追撃してくる。 >本当に村人全員を、ひとり残らず皆殺しにするつもりなのですか。 >襲撃者の方々、いくらなんでも、やり過ぎではないでしょうか。 >脅しや見せしめにしても、これでは逆効果なのでは・・・・・・・。 ラストでお分かりだと思いますが、目的が本当に「皆殺し」なんです。 実行側は。もう片方は「襲撃」だけで良かったのですけれど……。 >> ……殺させない! この子だけは、絶対に殺させないっ!! 私とフランツの >>子どもなんだから!! > >誰か、誰でも良いから助けて(泣き叫び) >ここでアリシアさんとフィリシアちゃんが・・・・・・そんなの・・・・・酷すぎる・・・(泣) >手に汗どころか、冷や汗が出てきました。 すみません(号泣)この辺りも私が鬼な部分です(滝汗) >> 何が起きているのか、それはアリシアにも分からなかった。ただ、ひたすら >>白いような金色のような光がアリシアを中心に周囲を照らし、そして…… >>レッサー・デーモンがまるで塵のようにかき消えていく……。 > >アリシアさんのお力でしょうか。 >それとも、誰かが助けてくれたのでしょうか。 >助かってくださって、本当に良かったです。 基本はアリシアの力です。アリシアは本当に無自覚ですから、ギリギリに ならないと力を発揮することはまずないですし、それが自分の力とも認識して いないんです。ただ、「敵」にバレないように手助けした方はいます。 >> 朦朧とした意識の中、アリシアは何かを聞いた。一瞬またモンスターかと >>思ったが、霞んだ視界の中、近づいてくるのは複数の人間だ。口々にアリシアに >>何かを言いながら駆けよってくる。彼らが身につけているのは白銀の鎧。 >>付いている紋章は──赤い竜のデザイン。 >> ……レージュ大神殿の騎士……。 >> そう認識した途端、アリシアの身体から力が抜け、意識が途切れた。 > >神殿の方々のところまで、なんとかたどり着いてくださったのですね。 >良かったです。本当に良かったです。もう大丈夫なのでしょうか。 >アリシアさんも御無事なのですよね(願い) とりあえずは、大丈夫なのですが……Phase 4でアリシアはひとつの選択をします。 >>「公爵の兄弟がやっていたような、ちまちました襲撃の被害じゃ、何度も >>繰り返さなきゃ公爵は王位を望まないよ。現に今までだって、どうやって >>異母兄弟を諫めようかって、それしか考えてなかったじゃない。そんなこと >>するくらいなら、一度だけでも徹底的な方が効果的。被害も一ヶ所ですむしね。 >>文句言われたら、そう言ってやれば? まあ、カロン、君ならそれくらいのことは >>考えているんだろうけど」 > >確かに、効果的でしょうね。 >このやり方でしたら、“自軍”の被害も最小限でしょうし >でも、普通に暮していた方々の、ほんのささやかな幸せとか >亡くなってしまった方々の夢とか希望とか >この少年には、どうでも良いのでしょうね。 >どんな生き方、経験をすれば・・・・・・ここまで非情に徹することが出来るのでしょうか。 彼にとっては、本当にどうでも良いことでしょう。ゲームぐらいにしか思って いないでしょうし。 ただ、この場面を書いていて「人間、勝つことばかり考えていると、どんどん 卑しくなる」というヤ○提督のお言葉が脳裏に浮かびました。 >>「仰せの通りで。所詮、玉座など血で購うものですからな」 >>「それにしても、公爵は可哀相だね。自分は玉座に見向きもしないでいるのに、 >>周りが放っておいてくれない。それだけならまだしも、よりにもよって自分の >>側近が、大切に思っている領民を傷つけるように依頼した、なんて全然知らずに >>いるんだから。それも、目的は公爵が王位を望むように仕向けるため……。 >>ほんと、可哀相だね」 >> 可哀相と言っていても、少年の表情と口調はそれを裏切っている。 >>そう思っていないのは、一目瞭然だった。 > >将軍は・・・・・・恐ろしい方に計画を依頼してしまいましたね。 >あたらしい国や秩序の為には、たしかに血が流れるのかも知れませんが >流された血に、亡くなってしまった方々に向かって、誇れるようなものが出来上がるのでしょうか。 将軍は背後に「彼」がいるとは思っていませんが、そうと知らずに本当に とんでもない相手に依頼してしまいました。 >>「さて、次は有力貴族の中に公爵の味方を作らなくてはなりませんな」 >>「そうだね、でも、焦っちゃ駄目だよ。まずは……第一王子と第三王子の >>手下を上手く使って、それぞれの内部を対立させることからかな。それと、 >>エルークファはクナスレージュしか気に留めてないみたいだけど、アズライールが >>ラテクリルに上手く入り込んだから、そのうちにそっちとも連携させるよ。 >>とりあえず、それを頭に入れておいて」 > >国内の混乱を拡大させて、更に周辺の国にまで戦乱を広げようとでいうのでしょうか。 >この少年。楽しんでさえいるように感じてしまうのですが(怯え) 人間の間に自然に起きた争いが広がった形にしなくてはならないので、 こんな回りくどいことしてますが、個人的にも楽しんでます。 >>「……あんなにはっきりしていたのに、消えてる……。ふうん、やっぱり >>死んだのかな」 >> 白のクィーン弾いて転がし、くすくすと笑いながら少年……冥王フィブリゾは >>そう呟く。軽くアストラル・サイドを覗いただけだが、前に見つけた >>「神の欠片を持つ者」の気配が感じられない。本当ならもっときちんと >>視たいのだが、以前それを身ごもった娘にカロンを接触させたとき、娘から >>反撃された上に水竜王に気づかれてしまい、以来、フィブリゾが直接手出し >>できないように、水竜王が睨みを利かせている。そのため迂闊に視ることが >>できないのだ。 > >冥王・・・・・・(汗) >冥王さまが・・・・係わるというか手を下していたのですか・・・・・。 >う・・・・うわわわわわああああああ・・・・あの将軍・・・・なんつうことを(滝冷汗) 正に「知らぬが仏」です。少年の正体は降魔戦争の下準備中なフィブリゾ様でした。 >アリシアさん・・・・冥王さまに『反撃』していたのですか(汗だく) >水竜王さまが睨みを利かせている、ということは、あのとき助けてくれたのは水竜王の関係者の方でしょうか。 正確には、プロローグで「反撃」されたのはカロンですが、それがもとで 水竜王に気づかれました。 先程のは水竜王がこっそり貸していた力を、ギリギリの状態になったアリシアが 無意識的に自分の力と一緒に発揮させたものです。 >>白のキングとルークが〃キャスリング〃を起こせる状態にあることに。 > >冥王さまに気付かれないままに、無事に安全圏に“入城(キャスリング)”なさるのでしょうか。 〃キャスリング〃を起こす条件、それが今回のタイトルと結びついてます。 >>原作キャラがラストでやっと登場しています。どれだけ頭良く、そしてさらりと >>冷酷非情な言動をさせるかが、私のフィブリゾを書く上での注意点にして >>いますが、そう見えているでしょうか。 > >まだ幼いといってよい少年の考え方、言動・・・・ゾッとしました(冷汗) >魔族・・・・エモーションさんのお書きになる冥王さま・・・・恐ろしい方ですね。 >姿形は同じでも、やはり魔族は恐ろしい、と改めて感じました。 ありがとうございます。魔族の怖い部分を流血以外の部分で、どれだけ 出せるかなと思っていました。フィブリゾの場合は子どもの姿をしているだけに、 余計に怖く感じますね。 基本的に「こちら(人間)の都合の良いように認識しない」が私の魔族キャラへの 見方です。「似ていても根本は違う。同じように考えると思っては駄目」と。 ただ、今回みたいに徹底すると「私は人間として大丈夫なんでしょうか」と 心配になりますが(苦笑&滝汗) >>……実際、フィブリゾの部下って何人いたのでしょうね。何となく力は落ちても、 >>策略の実行をさせるのに向いたタイプを4人〜5人、作っていたのではないか >>と思うのですが。 > >ファイターではなくて、諜報、破壊工作、情報操作などに長けている方々が部下としていそうですね。 >ギリシャ神話の冥府への入り口の川の番人をなさっている方と >死を告げる天使さまと、ハリウッドと『サロメ』撮影がらみの事件の方・・・・・でしょうか(汗) 当たりです。ただ……実は名前を脱字していました。アトポスじゃなくて アトロポス……(しくしく)ギリシャ神話の運命の三神、命を絶ちきる神です。 そう言えば書いているとき、久々に読み返してました。……島田荘司さんの 「アトポス」……。だからでしょうか……。でも気づきなよ、私……。 >ちらっと御名前を聞いたことがあるだけなのですが・・・・・・今度ちゃんと読んでみます。 あれは……一見さんには、話はともかくキャラの関係や性格がかなり 分かりづらいですよ。御手洗さんもレオナさんも、どこか突き抜けてる性格なので、 初見ですとひたすら退きます(苦笑)ワンクッション置いてくれるキャラが いませんから特に。 >面白かったです。アリシアさん達が無事に神殿の関係者の方々のところまで行くことが出来て >本当に良かったです。 >冥王さまの思惑どうりに、この国は更に混乱が続いてしまうのか。 >アリシアさんとフィリシアちゃんは、どんな事態に巻き込まれてしまうのか。 >続きを読ませて頂けるのを、とても楽しみにお待ちしております。 ありがとうございます。Phase 4からはゆったりと、でも……という感じです。 本当にキャラの死亡率は「星の○地」(冴木忍.作)のノリが近いかも しれないです。 >いつも、自分の拙い駄文を読んで頂きましてありがとうございます。 >そして、とても丁寧な感想を、本当にありがとうございます。 こちらも、いつも本当に丁寧なコメントいただいて、ありがとうございます。 >図書館で『たったひとつの冴えたやり方』を借りることが出来ました。 >まさか、あのような結末を迎えるとは・・・・・・。 >勇気ある決断でしたね・・・・・。 >今、第2章まで読み終わりました。 >すごく面白いです。 あの作品を面白く読んでいただけて嬉しいです。収録作品の中では白眉の話だと 思いますし。ただ、「面白いけれど説明のしにくい(ネタバレになるから)話」 なのが残念ですよね(笑)勧めたいとき「読んで」としか言えないのが。 >こちらは今、雨が降っているようです。 >少し油断すると、すぐに風邪を引きそうになります(汗) >お体にお気を付けて、お元気で。 >では、失礼します。 猫楽者さんもお体にお気を付けてください。 コメント、本当にありがとうございました。 |
13720 | Re:たったひとつの冴えたやり方 Phase 3 | 颪月夜ハイドラント | 2003/3/24 13:59:29 |
記事番号13705へのコメント こんばんは、先日パソさんのお休み日だったので今日になりました。 >「……キリがないですねぇ……」 >「本当に……。いったい何十匹召還したんでしょうね」 ということは結構強い方達なのですね。 > 痛い、というより熱い、そう感じた。悲鳴が声にならず、力が抜けてその場に >座り込む。身体を動かすたびに激しい痛みが走る。不気味な声で鳴きながら、 >レッサー・デーモンが再び爪を振り上げるのが分かった。 大ピンチ!!? ここで終わるのもまたリアルで良いかも(待ておい) >付いている紋章は──赤い竜のデザイン。 > ……レージュ大神殿の騎士……。 > そう認識した途端、アリシアの身体から力が抜け、意識が途切れた。 助かった・・・のですかね。 > 年の頃は12歳ほどだろうか。少年は、1人でチェスの駒を動かしていた。 >一見ルールに従って駒を動かしているように見えるが、実はそうではない。 >その必要がないからだ。少年がチェスで行っているのは、ただの〃見立て〃 >なのだから。 ううむ見立て・・・凄いですなあ。 1人チェスって傍から見てるとむなしい気もしますけど・・・ >白のキングとルークが〃キャスリング〃を起こせる状態にあることに。 おおっキャスリング! チェスド下手の私は使ったことない。 >救いようがほとんど無いこのお話。 よりも救いようのないレスになってしまってすみません。 ちなみにこの話には充分救いようがあるような気が・・・多分恐らく。 それでは・・・ |
13726 | Re:たったひとつの冴えたやり方 Phase 3 | エモーション E-mail | 2003/3/24 22:17:18 |
記事番号13720へのコメント >こんばんは、先日パソさんのお休み日だったので今日になりました。 こんばんは。 ……たまには休ませないと……と思いつつ酷使してます(汗)私のMac……。 >>「……キリがないですねぇ……」 >>「本当に……。いったい何十匹召還したんでしょうね」 >ということは結構強い方達なのですね。 そうでしょうね。ただ、2人とも魔力許容量は大きい方ですが、呪文の ヴァリエーションがあまりないんです。特にフランツは丸暗記ですし(汗) >> 痛い、というより熱い、そう感じた。悲鳴が声にならず、力が抜けてその場に >>座り込む。身体を動かすたびに激しい痛みが走る。不気味な声で鳴きながら、 >>レッサー・デーモンが再び爪を振り上げるのが分かった。 >大ピンチ!!? >ここで終わるのもまたリアルで良いかも(待ておい) リアルを追求すれば、確かにここでENDですね。 マルチED形式ならフラグを立てなかった(笑)のでBADEND、 でもフラグを立てていれば話は続く……(笑) >>付いている紋章は──赤い竜のデザイン。 >> ……レージュ大神殿の騎士……。 >> そう認識した途端、アリシアの身体から力が抜け、意識が途切れた。 >助かった・・・のですかね。 とりあえずは助かりました。次でアリシアがちょっとした選択をします。 >> 年の頃は12歳ほどだろうか。少年は、1人でチェスの駒を動かしていた。 >>一見ルールに従って駒を動かしているように見えるが、実はそうではない。 >>その必要がないからだ。少年がチェスで行っているのは、ただの〃見立て〃 >>なのだから。 >ううむ見立て・・・凄いですなあ。 >1人チェスって傍から見てるとむなしい気もしますけど・・・ 見立て、と言っても単純にこの駒は誰、と言うノリですが。 1人チェス……碁の棋譜並べみたいなものかもしれません。 >>白のキングとルークが〃キャスリング〃を起こせる状態にあることに。 >おおっキャスリング! >チェスド下手の私は使ったことない。 どちらかと言えばゲーム序盤に使われる手です。早く避難しないとキングが 大変ですから。先にビショップとナイトを(場合によってはクィーンも) さっさと動かすのがポイントです。 >>救いようがほとんど無いこのお話。 >よりも救いようのないレスになってしまってすみません。 そんなことないです。本当にいつもマメにありがとうございます。 >ちなみにこの話には充分救いようがあるような気が・・・多分恐らく。 どうでしょう。「使えない呪文」よりは精神的にキツくないとは思ってますが、 キャラの死亡率が「星の○地」(冴木忍.作)並みですから……(滝汗) ……う〜ん、でも一番救われないのは多分Phase 4に出てくるあの方でしょうね。 >それでは・・・ コメント、本当にありがとうございました。 |
13748 | たったひとつの冴えたやり方 Phase 4 | エモーション E-mail | 2003/3/26 23:51:34 |
記事番号13551へのコメント こんばんは。 さあ、ラストは近いぞ、ゆったりモードのPhase 4を投稿いたします。 とりあえず、もうモンスターが襲ってきたりはしないので、 そういう意味ではご安心下さいませ。 今回は……多分、タイトルの意味が分かる……と思います。 では、読んでいただければ幸いです。 ◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇ 「たったひとつの冴えたやり方〜Uaboeh roenr」 Phase 4 5. 全体的に白い光をたたえた空間の中、アリシアは小さな光を抱きしめていた。 まだ小さな、しかし、とても明るい光を。 強く明るい光なのに、射すような感じはしない。どこか暖かく、惹きつけられる。 そんな金白色の明るい光は、アリシアの腕の中で、まるで守られるように 抱きしめられていた。 ──おやめなさい、アリシア。 高くも低くもない、やわらかな女性の声が響く。 ──気持ちは分かります。でも、今のあなたでは命取りにしかなりません。 自分が回復するまでの、ほんの一時的な間だけでいいんです。おやめなさい。 威圧感を与えるものではないが、気品と威厳を感じさせるその声は、悲しみを 含んだ口調でアリシアにそう訴える。 ……いいえ、やめません。 光を抱きしめたまま、アリシアは声の主を見ずに答える。相手が自分の 身を案じてくれているのは分かる。でも、やめられない。それはできない。 それが自分の命と引き替えることになろうとも。知ってしまった以上、 例え一時的でもやめるわけにはいかない。 ──このままではあなたが死んでしまいます。あなたの、母親の犠牲を その子が望むと思うのですか?! 声の主の泣き出しそうな声音に、アリシアはやっと顔を上げる。何もかも 覚悟した透きとおった表情に、強い意志を湛えた瞳で。 ……あとからこの事を知ったら、フィリシアはきっと怒るでしょうね。 でも私はやめませんし、後悔もしません。その結果、死んでしまうことに なっても……。側にいてあげられなくなるのは、とても悲しくて嫌ですけれど。 ──そう思うのなら、何故そんな愚かな選択をするのです? 一時的に 「覆い」がなくなったからといって、すぐに魔族が狙ってくるわけじゃありません。 ですから……。 ……水竜王様。私の事を案じてくださって、ありがとうございます。 でも、駄目です。それは、私よりも水竜王様の方が、良くお分かりになるでしょう? 例え魔族が狙わなくても、こんなに強い光を放っていたら、いろんなものが この子に縋ってきます。まだ自分の身を守る術を知らないこの子に。私が 回復する前に、この子は縋ってきたものに押しつぶされてしまう……。 私は、この子が死んでしまう方が嫌です。 水竜王は沈黙している。だが、水竜王の強い苦悩と愛惜の念がアリシアには 伝わってくる。とてもありがたくて嬉しいと思う。「神の欠片」を持つ子どもの 母親とはいえ、ただの人間にすぎず、今までまったく関わったことのない自分を、 これほど気に掛けてくれるのだから。 ……今、この子を最も安全な形で守れるのは私だけ。ですから、やめません。 不思議なほど、心は落ち着いていた。確かに他人から見れば愚かなやり方 なのだろう。しかし、これが今の自分にできる、たったひとつの冴えたやり方。 ……水竜王様、お願いしたいことがあります、聞いていただけますか? ──何……ですか? どこか泣きはらしたような声音で問い返す水竜王に、アリシアは小さく 笑んで言う。 ……私の命が尽きても、この子が自分で自分を守れるようになるまでの間、 私の力が「覆い」として残るようにしたいんです。……それは、可能でしょうか? ──今それを行ったら、あなたはすぐに死んでしまいます。今のあなたの力の 大半を、そちらに振り分けるのですから。 ……でも、可能なんですね? では、私の最後の我が侭を聞いてください。 私の力が、この子を守っていられるように。お願いします……。 水竜王の姿が見えているわけではないが、アリシアはまっすぐな視線を声の 方向に向けた。深い緑色の瞳を強い意志の光で輝かせながら……。 ──……何か、媒体になるものが必要です。 しばらくの間、水竜王は沈黙していたが、説得は無理だと判断したのだろう。 それでも気が進まない事を示すように、水竜王はぽつり、と呟くように答える。 媒体になるものがなければいい、そんな口調だった。 ……この子が身につけている翡翠に。夫のものでしたけれど、今はこの子の ものですから。 ☆★☆★☆★☆ 「背中の傷は癒しました。痛みも抑えています。ですが……もうこれ以上 できることは……」 「そうですか。……では、この女性が気がついたら、呼んでください。近くに いますので」 神官達にそう頼んで、深く重苦しいため息をつきながら、彼、 クリストファー=アッテンボローは救護用のテントから出た。 手当を受けているのは、夜明け前に部下達が保護してきた女性だ。昨夜、 下流の方が一瞬明るくなったあと、同行している神官達が「何か強い力を感じた」 というので、部下達に様子を見に行かせたが、そこで見つけたのだという。 彼女が抱えていた赤子はケガひとつなかったが、母親らしいその女性は、 部下達に会うまで動けていたのが不思議なほどの重傷だった。 ……見たところ二十歳くらいか……。まだ若いのに……。 急いで手当を行ったが、正直もう助からないのはアッテンボローにも分かる。 手当をしている神官達も苦い表情で、最低限の治癒とこれ以上苦痛を感じずに すむような、そんな治療しかできないでいる。もっと高位の神官や巫女なら 救えたのかもしれないが、普通の神官である彼らでは、使える呪文で最高のものを 使っても、もはや苦痛を長引かせるだけにしかならない。これが限界なのだ。 ……それにしても一体何者なんだ、あの女性は。どうみても、普通の女性にしか 見えないのに。 運ばれてきた女性を見て、神官達は口々に言ったのだ。「自分たちが感じた力は、 この女性のものだ」と。だから余計に神官達は、自分たちに彼女を救う力が ないことを悔やんでいる。 悔やむと言えば、それは自分たちも同じだ。エルークファは王位争いで 治安が酷く悪くなっている。大規模な盗賊団や、それとは別に発生している モンスターの被害はクナスレージュも受けているので、国境付近の警備と 被害者の救助の目的で来ているが、どれほど酷い被害の話を聞いても、基本的に 騎士隊はエルークファには入れない。神殿の騎士隊は、国とは関係がないものの、 正式な許可もなく無断で入ってしまうと、エルークファに対するクナスレージュの 侵攻と受け取られてしまうからだ。 そして、申請してもクナスレージュ側に口実を与えるのが嫌なのか、 エルークファからは全く許可が下りない。そのため単なる修行の旅として 言い訳の効く2〜3人の部下に、それとなく様子を見させることしかできないでいる。 仕方のない事だと理解しているが、被害の話を聞く度に、そんなことを 言っている場合か、と思う。助けられる距離にいて、何もできずにいる事が 悔しくて仕方がない。 そんなことをあれこれと考えて、ため息をついていると、赤ん坊の泣き声がした。 部下達に面倒を見るように言ったのが、扱いが分からないのか、困惑したような 声が聞こえる。 「あああああ、どうすれば泣きやむんだよ〜」 「俺に聞くなよっ。……さっき近くの人に頼んでミルクをもらったから、 お腹が空いているわけじゃないしなあ……」 「おむつの方もしばらくは大丈夫だって言ってたよな。……何で泣きやまないんだ?」 「……何をやってるんだ、お前達……」 思わず声をかけたアッテンボローに、かなり危なっかしい手つきで赤ん坊を抱えて、 困惑した表情の部下が、救いの神と言わんばかりに訴える。 「隊長〜! この子、さっきから全然泣きやまないんですよお!」 「……そんな抱き方をしたら当然だ。貸してみろ」 アッテンボローが抱えてあやすと、赤ん坊はさっきまで泣いていたのが 嘘のように笑いだした。赤ん坊特有の愛らしい笑みだった。 「……凄いですね、隊長……」 「尊敬します……」 「慣れだ、慣れ。これでも子持ちだからな」 すっかり機嫌の良くなった赤ん坊をみて、本気で感心した口調でそう言う 部下達に、アッテンボローは半ば苦笑しつつそう答える。さすがに例え恋人はいても 結婚もしていなければ子どももいない部下達と、一児の父であるアッテンボローでは キャリアが違う。 「……隊長、あの女性は……大丈夫でしょうか?」 先程まで赤子を抱えて困惑していた部下が、そう訊ねる。彼女を見つけたのは この青年だ。自分が見つけただけに、気になっていたのだろう。 「……手の施しようがないらしい……」 「そうですか……可哀相に……。せっかく、子どもと一緒にここまできたのに……」 ああ、と返事をしながらアッテンボローは抱えた子どもに目をやる。何も 分からずに無邪気に笑っている姿が、余計に悲しみを誘う。 ……おや? この子は……。 と、アッテンボローは抱えた赤子の気配に、ようやく気づいた。 「……隊長?」 「どうしたんです? その子に何か?」 急に真剣な面持ちで赤ん坊を見るアッテンボローに、部下達が口々に訊ねるが、 アッテンボローは聞いていなかった。 「……まいったな。どうしてすぐに気づかなかったんだ……」 アッテンボローは思わずそう呟いた。自分を見上げている赤紫色の瞳の 赤子の中に宿る「神の力」に気づいて……。 ☆★☆★☆★☆ ぱしゃんっ! 水竜王の心境に反応したように、水鏡が激しく乱れ、水が跳ね上がった。 人間形をとっていた水竜王は、跳ね上がった水を避けようともせずまともに被り、 水飛沫は容赦なく彼女──女性体なので──を頭から水浸しにした。濡れた髪から 水滴が滴り落ちる。 「……どうして……」 そう呟き、両手で顔を覆う。何故、と思う。 自分の命が失われてしまうと分かっていて、何故そんな選択ができるのか。 残される子どものことを案じてはいても、アリシアには躊躇いも悲壮感もなく、 ただ誇らしげだった。自分のするべき事をするだけだと、態度が言っていた。 母親とはどうして、こんなにも強くて悲しい生き物なのだろう。 そして、神と呼ばれているのに、自分がこんなにも何もできずにいるのが、辛い。 理屈は分かるのだ。自分を含めた四竜王は、確かに力は強く、大概の事は できる。だがそれ故に、迂闊に力を使えない。力を使えば、それが間接的なものなら まだ良い、直接的なものになればなるほど、その分周囲に良くも悪くも影響を 与えてしまうからだ。そう、小石を投げ入れてできた波紋が、どんどん大きく 広がっていくように。そして、その影響は半端なものではない。誰かのために 良かれと思って行ったことが、別の誰かに災厄になってしまうことなど、ざらだ。 だから、力を使うときはどうしても慎重になる。どの程度使うべきか、 そして与える影響まで考えることが必要になる。 そのため、必要があれば地上に降り、実体をとる。姿形を持つ分、本来の力は かなり制限され、できなくなることが増えるが、おそらく最も安心して力を 使える状態になるからだ。 さすがに自ら動けば腹心の五大魔族にはそれなりに感知されるが、その辺りは お互い様だ。表立っていないだけで、この件が冥王の指示だと水竜王が 気づいたのも、それ故なのだから。 だから、今以上に自らの力を抑えて動き、配下の竜族を使ってこの親子を 保護するつもりでいた。本来なら「見守る」ことしかできないが、人間同士の 争いの結果ではなく、「神」が絡んだ特殊性から、魔族に命を狙われたのだから 当然だ。相手は冥王だけに、そんな動きをけして見逃さず、半端ではない攻撃を してくるだろうが、水竜王はそのつもりだった。 だが──アリシアはそれを拒否した。 『相手にこの子が死んだと思わせることができるのなら、そう思わせる方 を選びます。その方が、この子は安全になりますから』 すべてを知ったアリシアは、水竜王が「動かない」ことを望んだ。それが、 自分の死を招くと充分に承知の上で。自分の死より、水竜王が「動く」ことで、 冥王にフィリシアが生きていると気づかれる方を恐れた。 だがそれはフィリシアが「神の欠片」を持つからじゃない。アリシアと 彼女の夫の子どもだからだ。 どれほど説得しても、彼女の決意は揺るがなかった。 『これが、たったひとつの冴えたやり方』 そう、言って。 確かにアリシアの言うとおりなのだ。彼女の選択が一番安全な手段。例え 後からアストラル・サイドを覗いたとしても、冥王はアリシアとフィリシアを 誤認するだろう。誤認して「神の欠片を持つ者」は死んだとそう思うだろう。 レベルは全く違うけれど、それほどよく似た「光」を持つ母娘。無意識的だが、 母親としての本能で、子どもを守るためにアリシアがずっとフィリシアの 「覆い」になっていたから、そして、水竜王が「動かない」から通用する、 キャスリング(入れ替わり)……。 命あるものが自ら選んだ選択は、例え神でも尊重するしかない。 でも──。 ぱしゃん、ぱしゃんっ、ぱしゃっ! 再び、水は激しく跳ね、叩きつけるような勢いの水飛沫が水竜王を打ち続けた。 ◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇ ……というところでPhase 5に続きます。 最初に全部書き上げていると、やっぱり投稿ペースは早くなりますね。 でも見直したはずなのに誤字脱字はきっちりとある(泣) 前回はキャラの名前脱字しましたし。(修正依頼しましたので、もう直ってますが) まず、キャスリングのこと。作中では「入れ替わり」と表現しましたが、 「入城」という意味で、チェスにおいての、キングの特殊な動きのことです。 キングとルークが互いに2マスほど移動して、位置を入れ替わる(これは一手と 数えられます)わけですが、起こすためには条件があります。 1.キングとキャスリングを起こすルークの間に、自軍の駒がない。 2.キングがチェックメイトをされていない。 3.キングがキャスリングする場所に、相手の駒が効かない。 4.キングとキャスリングするルークを、ゲーム開始から一度も動かしていない。 ……作中「キャスリング」と表現したのは、プロット作っていて、これに 似ているなと思ったからです。 そのため、フィブリゾ様が1人チェスする羽目になりました(笑) さて、Phase 4で再び大物、今度は神族側。……何故か私が書くと、神様サイドは こんな感じになってしまいます。力があるから逆に迂闊に何かをするわけに いかない、それで悩む。そんな感じに。私の持っているイメージなんでしょうね。 ただ、有栖川有栖さんの短編「悲劇的」のシュールな神様感(これがオチに なっているので、説明は省略します)も、何となく頷いちゃうんですけれど(笑) また、「特別の意味」に出てきたダグのパパも登場しました。隊長さんで それなりに偉いですが、正確には小隊長さんです。「パト○イバー」の 後藤隊長や南雲隊長の様な感じと思ってください。なので、ちゃんと上司はいます(笑) ちなみにダグパパは聖騎士です。 次のPhase 5でラストです。今までよりは短い……と思います。 それでは、読んでくださいましてありがとうございました。 Phase 5でお会いできることを祈りつつ、今回はこれで失礼いたします。 |
13750 | Re:たったひと切れの冷めた焼肉(何) | 颪月夜ハイドラント | 2003/3/27 13:30:20 |
記事番号13748へのコメント こんばんはラントです。 タイトルは無視の方向で(Phase 4もうまく使えないかと思って、英語力なしなのに気付いて挫折) ついに出て来た「たったひとつの冴えたやり方」 冥王のチェスの部分が伏線になってたようですね。 いやはや凄いです。 水竜王様大変ですなあ。 力があるから迂闊に使えない。 ううん並の神経だと精神崩壊しちゃうんじゃないでしょうか。 >最初に全部書き上げていると、やっぱり投稿ペースは早くなりますね。 まあ書き上げまでが大変でしょうけど・・・。 >でも見直したはずなのに誤字脱字はきっちりとある(泣) 投稿した初めて気付くわけですよね。 よくあることです。 でも誤字脱字ならまだしも誤設定、矛盾など発見したら真っ白になりたくなっちゃいますけど私。 >前回はキャラの名前脱字しましたし。(修正依頼しましたので、もう直ってますが) >まず、キャスリングのこと。作中では「入れ替わり」と表現しましたが、 >「入城」という意味で、チェスにおいての、キングの特殊な動きのことです。 へえ入城だったんですか知らなかったです。 >さて、Phase 4で再び大物、今度は神族側。……何故か私が書くと、神様サイドは >こんな感じになってしまいます。力があるから逆に迂闊に何かをするわけに >いかない、それで悩む。そんな感じに。私の持っているイメージなんでしょうね。 なるほど。 私はどちらかというと、その力をうまく使えるから神様だというイメージですね。 まあスレイヤーズ世界の神様はそうはさせ難いですけど・・・。 それではこれで失礼させていただきます。 |
13759 | それを当然自分のだと思うのはうちの犬 | エモーション E-mail | 2003/3/28 00:04:42 |
記事番号13750へのコメント こんばんは。 >こんばんはラントです。 >タイトルは無視の方向で(Phase 4もうまく使えないかと思って、英語力なしなのに気付いて挫折) レスタイトルは焼き肉繋がりで(笑) 目をきらきらさせて足下にやって来る、先祖返りで甲斐犬にしかみえない 雑種犬でございます。最近は父のアイドル(笑) >ついに出て来た「たったひとつの冴えたやり方」 これを台詞で使ったことで、タイトルもこれになりました(笑) 仮につけていたのは違うタイトルでしたし。 >冥王のチェスの部分が伏線になってたようですね。 >いやはや凄いです。 単に「じゃあ、ここでチェスさせよう」と思いついただけなんですが、 誉めていただきまして、ありがとうございます。 >水竜王様大変ですなあ。 >力があるから迂闊に使えない。 >ううん並の神経だと精神崩壊しちゃうんじゃないでしょうか。 さすがに「神」だけあって人よりは強靱でしょうけれど、普段は細かい レベルにまで意識を振り分けないと思います。こんなことは滅多にないんです。 普段からそんなことしていたら、いくらなんでも気が狂いますよ(汗) ぶっちゃけた話、知的生命体以外の、それこそ動植物にだって、その気になれば 意識レベルのコンタクトができる存在なのですから。 >>最初に全部書き上げていると、やっぱり投稿ペースは早くなりますね。 >まあ書き上げまでが大変でしょうけど・・・。 今回は割合楽でした。フィリシアの設定の中で、大筋が最初からできて いましたから。……実際書いてみたら、とんでもないジェノサイドでした。 >>でも見直したはずなのに誤字脱字はきっちりとある(泣) >投稿した初めて気付くわけですよね。 >よくあることです。 >でも誤字脱字ならまだしも誤設定、矛盾など発見したら真っ白になりたくなっちゃいますけど私。 確かに……。さあ、どうやって辻褄を合わせよう(←おいっ!)とか必死で 考えますよね。できるだけそうならないように、プロット段階でチェックしてますが。 あとは「絶対にこれはできない設定する」というものを決めて、忘れないように 書いておきます。 >>前回はキャラの名前脱字しましたし。(修正依頼しましたので、もう直ってますが) >>まず、キャスリングのこと。作中では「入れ替わり」と表現しましたが、 >>「入城」という意味で、チェスにおいての、キングの特殊な動きのことです。 >へえ入城だったんですか知らなかったです。 チェス用語かもしれませんが。よく分かってないので、単純に「お城(Castle) に入っていく(〜ing形)」なのかな?と思っています。 >>さて、Phase 4で再び大物、今度は神族側。……何故か私が書くと、神様サイドは >>こんな感じになってしまいます。力があるから逆に迂闊に何かをするわけに >>いかない、それで悩む。そんな感じに。私の持っているイメージなんでしょうね。 >なるほど。 >私はどちらかというと、その力をうまく使えるから神様だというイメージですね。 ……ぽんっ!(目から鱗)確かに。 一応、ここまできっちり「世界の形」ができているから、下手をすると 壊しかねないので、という感じではあるのですが、それは言えてますよね。 >まあスレイヤーズ世界の神様はそうはさせ難いですけど・・・。 ついでにスレイヤーズ世界は、別に神が人間を作ったわけじゃないですからね。 人間だけを特別扱いする理由はないでしょう。同じ「存在を望む側」としての 同胞という認識はあるでしょうけれど。強いて言えば「兄弟姉妹」、でも互いに それぞれ独立して暮らしている、という感じかもしれません。 >それではこれで失礼させていただきます。 コメントをありがとうございました。m(__)m |
13760 | 母親は・・・・強いですね。 | 猫楽者 E-mail | 2003/3/28 01:10:19 |
記事番号13748へのコメント >こんばんは。 こんばんは、エモーションさん。 お元気ですか、猫楽者です。 アリシアさんとフィリシアちゃんは、ご無事なのか、続きを読ませて頂けるのを とても楽しみにお待ちしておりました。 すいません、遅くなってしまいました。 >今回は……多分、タイトルの意味が分かる……と思います。 はい・・・・・・タイトルの意味は分かりました・・・・・・・。 フィリシアちゃんを守る為に・・・・・アリシアさん、本当に強く優しい方ですね。 > 全体的に白い光をたたえた空間の中、アリシアは小さな光を抱きしめていた。 >まだ小さな、しかし、とても明るい光を。 > 強く明るい光なのに、射すような感じはしない。どこか暖かく、惹きつけられる。 >そんな金白色の明るい光は、アリシアの腕の中で、まるで守られるように >抱きしめられていた。 アリシアさん、フィリシアちゃん。ご無事だったのですね。 神殿の騎士団の方と会うことが出来て、騎士と神官の方に守られて やっと一安心ですね。 > ──このままではあなたが死んでしまいます。あなたの、母親の犠牲を >その子が望むと思うのですか?! > 声の主の泣き出しそうな声音に、アリシアはやっと顔を上げる。何もかも >覚悟した透きとおった表情に、強い意志を湛えた瞳で。 > ……あとからこの事を知ったら、フィリシアはきっと怒るでしょうね。 >でも私はやめませんし、後悔もしません。その結果、死んでしまうことに >なっても……。側にいてあげられなくなるのは、とても悲しくて嫌ですけれど。 > ──そう思うのなら、何故そんな愚かな選択をするのです? 一時的に >「覆い」がなくなったからといって、すぐに魔族が狙ってくるわけじゃありません。 >ですから……。 最愛の娘の側にいるよりも、フィリシアさんの力を隠す為に命を ご自分の命を懸けて・・・・・守ろうとなさっているのですね。 フィリシアちゃんが無事に生き延びていることを、魔族が知ってしまったら 冥王さまが、今度こそ確実な方法で襲ってくるでしょうね。 > ……水竜王様。私の事を案じてくださって、ありがとうございます。 >でも、駄目です。それは、私よりも水竜王様の方が、良くお分かりになるでしょう? > 例え魔族が狙わなくても、こんなに強い光を放っていたら、いろんなものが >この子に縋ってきます。まだ自分の身を守る術を知らないこの子に。私が >回復する前に、この子は縋ってきたものに押しつぶされてしまう……。 >私は、この子が死んでしまう方が嫌です。 神の力を持つ子供・・・・・・ポラリスさんが恐れたように 神殿内の権力争いに使われてしまったり、神の奇跡をダシにして 神殿の権威や発言力を拡大する為の、道具とされてしまったり フィリシアちゃん自身の気持ちは、まったく無視して 大人たちの打算と陰謀に巻き込まれてしまいかねないですね(溜息) > 水竜王は沈黙している。だが、水竜王の強い苦悩と愛惜の念がアリシアには >伝わってくる。とてもありがたくて嬉しいと思う。「神の欠片」を持つ子どもの >母親とはいえ、ただの人間にすぎず、今までまったく関わったことのない自分を、 >これほど気に掛けてくれるのだから。 > ……今、この子を最も安全な形で守れるのは私だけ。ですから、やめません。 > > 不思議なほど、心は落ち着いていた。確かに他人から見れば愚かなやり方 >なのだろう。しかし、これが今の自分にできる、たったひとつの冴えたやり方。 唯一、フィリシアちゃんを守ることの出来る方法。 ご自分の出来ることを行うのに、迷いはないのですね。 > ……水竜王様、お願いしたいことがあります、聞いていただけますか? > ──何……ですか? > どこか泣きはらしたような声音で問い返す水竜王に、アリシアは小さく >笑んで言う。 > ……私の命が尽きても、この子が自分で自分を守れるようになるまでの間、 >私の力が「覆い」として残るようにしたいんです。……それは、可能でしょうか? > ──今それを行ったら、あなたはすぐに死んでしまいます。今のあなたの力の >大半を、そちらに振り分けるのですから。 > ……でも、可能なんですね? では、私の最後の我が侭を聞いてください。 >私の力が、この子を守っていられるように。お願いします……。 > 水竜王の姿が見えているわけではないが、アリシアはまっすぐな視線を声の >方向に向けた。深い緑色の瞳を強い意志の光で輝かせながら……。 > ──……何か、媒体になるものが必要です。 > しばらくの間、水竜王は沈黙していたが、説得は無理だと判断したのだろう。 >それでも気が進まない事を示すように、水竜王はぽつり、と呟くように答える。 >媒体になるものがなければいい、そんな口調だった。 > ……この子が身につけている翡翠に。夫のものでしたけれど、今はこの子の >ものですから。 アリシアさん。どんなにかフィリシアちゃんの側にいたかったでしょう。 その笑顔に微笑み返して、抱っこして フィリシアちゃんが、おじいさんにおばあさんに そして、お父さんに・・・・・どんなに愛されていたか・・・・・伝えたかったでしょう。 ご自分の命を懸けて・・・・・翡翠の中にフィリシアちゃんの力を隠す為に 母親は・・・・・強いですね・・・・・悲しいくらい・・・・強くて優しい・・・・・・・・。 > 急いで手当を行ったが、正直もう助からないのはアッテンボローにも分かる。 >手当をしている神官達も苦い表情で、最低限の治癒とこれ以上苦痛を感じずに >すむような、そんな治療しかできないでいる。もっと高位の神官や巫女なら >救えたのかもしれないが、普通の神官である彼らでは、使える呪文で最高のものを >使っても、もはや苦痛を長引かせるだけにしかならない。これが限界なのだ。 この場に出動してきた神官と巫女の方の使える、最高の治療呪文。 リザレクションを使っているのでしょうか? > 悔やむと言えば、それは自分たちも同じだ。エルークファは王位争いで >治安が酷く悪くなっている。大規模な盗賊団や、それとは別に発生している >モンスターの被害はクナスレージュも受けているので、国境付近の警備と >被害者の救助の目的で来ているが、どれほど酷い被害の話を聞いても、基本的に >騎士隊はエルークファには入れない。神殿の騎士隊は、国とは関係がないものの、 >正式な許可もなく無断で入ってしまうと、エルークファに対するクナスレージュの >侵攻と受け取られてしまうからだ。 > そして、申請してもクナスレージュ側に口実を与えるのが嫌なのか、 >エルークファからは全く許可が下りない。そのため単なる修行の旅として >言い訳の効く2〜3人の部下に、それとなく様子を見させることしかできないでいる。 エルークファ国内は、王位争いで混乱しているのですね。 クナスレージュ側からの申請・・・・・・王妃さまのところに届くまでに握りつぶされているのでは(汗) 神殿にアッテンボローさんたちのような、まともな方々がいてくださること、とても心強いですね。 > 仕方のない事だと理解しているが、被害の話を聞く度に、そんなことを >言っている場合か、と思う。助けられる距離にいて、何もできずにいる事が >悔しくて仕方がない。 そうです。国のメンツに、こだわっている場合では無いのです。 とはいうものの・・・・・盗賊団を操っているのは、この国の王族。 やはり他の国に干渉されるのは、まずいのでしょうね。 >困惑した表情の部下が、救いの神と言わんばかりに訴える。 >「隊長〜! この子、さっきから全然泣きやまないんですよお!」 >「……そんな抱き方をしたら当然だ。貸してみろ」 > アッテンボローが抱えてあやすと、赤ん坊はさっきまで泣いていたのが >嘘のように笑いだした。赤ん坊特有の愛らしい笑みだった。 フィリシアちゃん、アッテンボローさんに抱っこしてもらえて良かったですね。 他の方々も、一生懸命あやしてくれていたのだと思いますけど アッテンボローさんのように、ご経験がないと辛いですね。 >「そうですか……可哀相に……。せっかく、子どもと一緒にここまできたのに……」 > ああ、と返事をしながらアッテンボローは抱えた子どもに目をやる。何も >分からずに無邪気に笑っている姿が、余計に悲しみを誘う。 アッテンボローさん。どうか無邪気に笑うフィリシアちゃんを守ってあげてください。 いつまでも、幸せに笑っていられるように・・・・・どうかお力を貸してあげてください。 > ……おや? この子は……。 > と、アッテンボローは抱えた赤子の気配に、ようやく気づいた。 >「……隊長?」 >「どうしたんです? その子に何か?」 > 急に真剣な面持ちで赤ん坊を見るアッテンボローに、部下達が口々に訊ねるが、 >アッテンボローは聞いていなかった。 >「……まいったな。どうしてすぐに気づかなかったんだ……」 > アッテンボローは思わずそう呟いた。自分を見上げている赤紫色の瞳の >赤子の中に宿る「神の力」に気づいて……。 流石は神殿の騎士団で隊長をなさっている方、フィリシアちゃんの『力』に気付かれましたか。 どうか、神殿内の悪い面にフィリシアちゃんが利用されないように アッテンボローさん。お願いします。 >「……どうして……」 > そう呟き、両手で顔を覆う。何故、と思う。 > 自分の命が失われてしまうと分かっていて、何故そんな選択ができるのか。 >残される子どものことを案じてはいても、アリシアには躊躇いも悲壮感もなく、 >ただ誇らしげだった。自分のするべき事をするだけだと、態度が言っていた。 >母親とはどうして、こんなにも強くて悲しい生き物なのだろう。 母親は、たとえ世界中の全てが我が子の敵になっても 我が子を守ろうとするのでしょうね。 子供の微笑が見たいから、その為だけに、どんな苦労も惜しまない。 母親の愛に心に・・・・・勝るものはないのかも・・・・・知れませんね。 > そして、神と呼ばれているのに、自分がこんなにも何もできずにいるのが、辛い。 > > 理屈は分かるのだ。自分を含めた四竜王は、確かに力は強く、大概の事は >できる。だがそれ故に、迂闊に力を使えない。力を使えば、それが間接的なものなら >まだ良い、直接的なものになればなるほど、その分周囲に良くも悪くも影響を >与えてしまうからだ。そう、小石を投げ入れてできた波紋が、どんどん大きく >広がっていくように。そして、その影響は半端なものではない。誰かのために >良かれと思って行ったことが、別の誰かに災厄になってしまうことなど、ざらだ。 神が力を使い。誰かを救う。 人間の目から見れば、神の奇跡として・・・・・救われたという事実を 自分の・・・・・自分達の集団、国の都合の良いように捻じ曲げて利用するような輩もいるのでしょうね。 神に選ばれたとか、神がついている・・・・・とか(汗) 自分達は正しい、神がついているのだから・・・・・・と思い込まされてしまった集団が 自分達以外の人たちに・・・・・どれほど無慈悲で情け容赦の無いことをするか・・・・・・・ 考えると・・・・・・恐ろしいですね(滝汗) > さすがに自ら動けば腹心の五大魔族にはそれなりに感知されるが、その辺りは >お互い様だ。表立っていないだけで、この件が冥王の指示だと水竜王が >気づいたのも、それ故なのだから。 > だから、今以上に自らの力を抑えて動き、配下の竜族を使ってこの親子を >保護するつもりでいた。本来なら「見守る」ことしかできないが、人間同士の >争いの結果ではなく、「神」が絡んだ特殊性から、魔族に命を狙われたのだから >当然だ。相手は冥王だけに、そんな動きをけして見逃さず、半端ではない攻撃を >してくるだろうが、水竜王はそのつもりだった。 竜王も魔王の腹心も、桁外れに強い力を持っているので、動けば相手に分かってしまうのですね。 今は神族と魔族の睨み合い、膠着状態なのでしょうか。 不用意に動けば、冥王軍対水竜王さまたちの大規模な戦いになってしまう可能性があるのですね。 > だが──アリシアはそれを拒否した。 > > 『相手にこの子が死んだと思わせることができるのなら、そう思わせる方 >を選びます。その方が、この子は安全になりますから』 > > すべてを知ったアリシアは、水竜王が「動かない」ことを望んだ。それが、 >自分の死を招くと充分に承知の上で。自分の死より、水竜王が「動く」ことで、 >冥王にフィリシアが生きていると気づかれる方を恐れた。 > だがそれはフィリシアが「神の欠片」を持つからじゃない。アリシアと >彼女の夫の子どもだからだ。 > どれほど説得しても、彼女の決意は揺るがなかった。 > 『これが、たったひとつの冴えたやり方』 > そう、言って。 なによりも・・・・・・フィリシアちゃんの幸せ・・・・・安全に無事に生き延びることを 願い・・・・なんの躊躇いも無く・・・・・ご自分の出来る最上の選択を・・・・・なさったのですね。 > 確かにアリシアの言うとおりなのだ。彼女の選択が一番安全な手段。例え >後からアストラル・サイドを覗いたとしても、冥王はアリシアとフィリシアを >誤認するだろう。誤認して「神の欠片を持つ者」は死んだとそう思うだろう。 > レベルは全く違うけれど、それほどよく似た「光」を持つ母娘。無意識的だが、 >母親としての本能で、子どもを守るためにアリシアがずっとフィリシアの >「覆い」になっていたから、そして、水竜王が「動かない」から通用する、 >キャスリング(入れ替わり)……。 アリシアさんは、冥王さまがフィリシアちゃんを狙っていたと知っていたのでは無いのですよね。 魔族の目からフィリシアちゃんを隠し続ける為・・・・・命懸けの入れ替わりをなさったのですね。 >さて、Phase 4で再び大物、今度は神族側。……何故か私が書くと、神様サイドは >こんな感じになってしまいます。力があるから逆に迂闊に何かをするわけに >いかない、それで悩む。そんな感じに。私の持っているイメージなんでしょうね。 >ただ、有栖川有栖さんの短編「悲劇的」のシュールな神様感(これがオチに >なっているので、説明は省略します)も、何となく頷いちゃうんですけれど(笑) 悩みつつも、力を貸してあげる。暖かい神様ですね。 別に悪魔崇拝とかをしているわけでは、ないのですが・・・・・。 自分は、どうもヒネテいるのでしょうか・・・・・神様の方が怖いと感じるときがあります(汗) >また、「特別の意味」に出てきたダグのパパも登場しました。隊長さんで >それなりに偉いですが、正確には小隊長さんです。「パト○イバー」の >後藤隊長や南雲隊長の様な感じと思ってください。なので、ちゃんと上司はいます(笑) >ちなみにダグパパは聖騎士です。 パパさん、元気の良い(一部良すぎる?)部下の方々と共に行動する 中間管理職さんなのですね(笑) 騎士の階級・・・・あまりよくわからないのですが 聖騎士さんは、かなり上の階級でしょうか。 思わず、アッテンボーロ提督が赤ちゃんをあやしているお姿を、想像してしまいました(笑) >次のPhase 5でラストです。今までよりは短い……と思います。 >それでは、読んでくださいましてありがとうございました。 >Phase 5でお会いできることを祈りつつ、今回はこれで失礼いたします。 面白かったです・・・・・そして・・・・切ないです。 フランツさんアリシアさん、そしておじいさんおばあさんのこと・・・・・・。 フィリシアさんは・・・・・ほとんど覚えていないのですね。 いよいよ次回でラストなのですね。 どんな結末を、お迎えになるのか。 フィリシアちゃんが、どうなってしまうのか。 とても楽しみにお待ちしております。 もうすぐ4月ですね。 暖かくなってまいりましたが、風邪がまだ流行っているようですので お体にお気を付けて、お元気で。 では、失礼します。 |
13774 | Re:母親は・・・・強いですね。 | エモーション E-mail | 2003/3/29 00:51:21 |
記事番号13760へのコメント 猫楽者さん、こんばんは。 >アリシアさんとフィリシアちゃんは、ご無事なのか、続きを読ませて頂けるのを >とても楽しみにお待ちしておりました。 >すいません、遅くなってしまいました。 コメントをいただけるだけでもありがたいです。(うるうる) >>今回は……多分、タイトルの意味が分かる……と思います。 > >はい・・・・・・タイトルの意味は分かりました・・・・・・・。 >フィリシアちゃんを守る為に・・・・・アリシアさん、本当に強く優しい方ですね。 ポーラもそうでしたが、子どもが関わると母親は本当に、最強だと思います。 ……ジョセフィーヌさんレベル(滝汗)になると、ちょっと……ですが(滝汗) >> 全体的に白い光をたたえた空間の中、アリシアは小さな光を抱きしめていた。 >>まだ小さな、しかし、とても明るい光を。 >> 強く明るい光なのに、射すような感じはしない。どこか暖かく、惹きつけられる。 >>そんな金白色の明るい光は、アリシアの腕の中で、まるで守られるように >>抱きしめられていた。 > >アリシアさん、フィリシアちゃん。ご無事だったのですね。 >神殿の騎士団の方と会うことが出来て、騎士と神官の方に守られて >やっと一安心ですね。 この空間は内面世界みたいなものですが、一安心できる状態ではあります。 >> ……あとからこの事を知ったら、フィリシアはきっと怒るでしょうね。 >>でも私はやめませんし、後悔もしません。その結果、死んでしまうことに >>なっても……。側にいてあげられなくなるのは、とても悲しくて嫌ですけれど。 >> ──そう思うのなら、何故そんな愚かな選択をするのです? 一時的に >>「覆い」がなくなったからといって、すぐに魔族が狙ってくるわけじゃありません。 >>ですから……。 > >最愛の娘の側にいるよりも、フィリシアさんの力を隠す為に命を >ご自分の命を懸けて・・・・・守ろうとなさっているのですね。 >フィリシアちゃんが無事に生き延びていることを、魔族が知ってしまったら >冥王さまが、今度こそ確実な方法で襲ってくるでしょうね。 ケガをしていない、普段の状態なら問題なかったのですけれど……。 重傷を負った状態では、普段通りのことでも命取りになる、それで水竜王様は 必死で止めていました。 >> 例え魔族が狙わなくても、こんなに強い光を放っていたら、いろんなものが >>この子に縋ってきます。まだ自分の身を守る術を知らないこの子に。私が >>回復する前に、この子は縋ってきたものに押しつぶされてしまう……。 >>私は、この子が死んでしまう方が嫌です。 > >神の力を持つ子供・・・・・・ポラリスさんが恐れたように >神殿内の権力争いに使われてしまったり、神の奇跡をダシにして >神殿の権威や発言力を拡大する為の、道具とされてしまったり >フィリシアちゃん自身の気持ちは、まったく無視して >大人たちの打算と陰謀に巻き込まれてしまいかねないですね(溜息) プラス、「千年越し〜」で倒れたときと同じで、「救いの御手じゃ〜」状態に なっても振り払えないんです。スィーフィード・ナイトなら、無意識的な方が かえってその手のものが近づけないようになるのですが。 >> ……今、この子を最も安全な形で守れるのは私だけ。ですから、やめません。 >> >> 不思議なほど、心は落ち着いていた。確かに他人から見れば愚かなやり方 >>なのだろう。しかし、これが今の自分にできる、たったひとつの冴えたやり方。 > >唯一、フィリシアちゃんを守ることの出来る方法。 >ご自分の出来ることを行うのに、迷いはないのですね。 > 自分と子どもの二択なら、迷わず子どもを選ぶ。こういう時、「母親」は 本当にどうして、って思うくらい「子ども」を優先しますよね。 こんな時、「母親」には敵わないなと思います。 >> ──……何か、媒体になるものが必要です。 >> しばらくの間、水竜王は沈黙していたが、説得は無理だと判断したのだろう。 >>それでも気が進まない事を示すように、水竜王はぽつり、と呟くように答える。 >>媒体になるものがなければいい、そんな口調だった。 >> ……この子が身につけている翡翠に。夫のものでしたけれど、今はこの子の >>ものですから。 > >アリシアさん。どんなにかフィリシアちゃんの側にいたかったでしょう。 >その笑顔に微笑み返して、抱っこして >フィリシアちゃんが、おじいさんにおばあさんに >そして、お父さんに・・・・・どんなに愛されていたか・・・・・伝えたかったでしょう。 >ご自分の命を懸けて・・・・・翡翠の中にフィリシアちゃんの力を隠す為に >母親は・・・・・強いですね・・・・・悲しいくらい・・・・強くて優しい・・・・・・・・。 > 迷いはなくても、本当にその点が心残りでしょう。 それから、翡翠の中に隠すのではないです。翡翠にアリシアの力を入れて、彼女がこれまで行っていた「光を遮り、身を守るための覆い」の状態が続く ようにしているんです。 ただ、さすがに期間限定(フィリシアが、自分でそれができるようになるまで) なので、ゼロスと会ったときには、もうその効力はなくなっています。 ただ、別のものは残ってますけれど。 >>普通の神官である彼らでは、使える呪文で最高のものを >>使っても、もはや苦痛を長引かせるだけにしかならない。これが限界なのだ。 > >この場に出動してきた神官と巫女の方の使える、最高の治療呪文。 >リザレクションを使っているのでしょうか? > はい。そのくらいのものです。リカバリイは微妙ですが、リザレクション等は、 降魔戦争後に開発された……と私の方は設定していますので、神聖呪文で、 そのくらいのランクのものが使える人たちなんです。 レッサー・デーモンに襲われた直後なら、まだ間に合ったのでしょうが、時間が 経ちすぎていたため、どうにもなりませんでした。また、翡翠に力を振り分けた事が とどめをさしたようなものですから。 助けようと思ったら、それこそ前回のフィリシアと同じようなレベルのもの じゃないと無理でしょう。 >> 悔やむと言えば、それは自分たちも同じだ。エルークファは王位争いで >>治安が酷く悪くなっている。大規模な盗賊団や、それとは別に発生している >>モンスターの被害はクナスレージュも受けているので、国境付近の警備と >>被害者の救助の目的で来ているが、どれほど酷い被害の話を聞いても、基本的に >>騎士隊はエルークファには入れない。神殿の騎士隊は、国とは関係がないものの、 >>正式な許可もなく無断で入ってしまうと、エルークファに対するクナスレージュの >>侵攻と受け取られてしまうからだ。 >> そして、申請してもクナスレージュ側に口実を与えるのが嫌なのか、 >>エルークファからは全く許可が下りない。そのため単なる修行の旅として >>言い訳の効く2〜3人の部下に、それとなく様子を見させることしかできないでいる。 > >エルークファ国内は、王位争いで混乱しているのですね。 >クナスレージュ側からの申請・・・・・・王妃さまのところに届くまでに握りつぶされているのでは(汗) 潰されています、思いっきり(汗)盗賊団の正体がばれると都合の悪い方々も いますし。ただ、申請を知ったら王妃もかなり悩むと思います。 問題起こしている片方は実の子で、しかも王族。下手をすると「救済」という名の 「侵略の口実」を与えかねないわけですから。 >神殿にアッテンボローさんたちのような、まともな方々がいてくださること、とても心強いですね。 > けして多数派ではないのですが、彼らのような人がいなかったら、フィリシアも 耐えられなかったと思います。 >> 仕方のない事だと理解しているが、被害の話を聞く度に、そんなことを >>言っている場合か、と思う。助けられる距離にいて、何もできずにいる事が >>悔しくて仕方がない。 > >そうです。国のメンツに、こだわっている場合では無いのです。 >とはいうものの・・・・・盗賊団を操っているのは、この国の王族。 >やはり他の国に干渉されるのは、まずいのでしょうね。 > 相当まずいです。おバカやっている2人とその取りまきを抑えてからでないと、 許可だせないでしょう。 >>困惑した表情の部下が、救いの神と言わんばかりに訴える。 >>「隊長〜! この子、さっきから全然泣きやまないんですよお!」 >>「……そんな抱き方をしたら当然だ。貸してみろ」 >> アッテンボローが抱えてあやすと、赤ん坊はさっきまで泣いていたのが >>嘘のように笑いだした。赤ん坊特有の愛らしい笑みだった。 > >フィリシアちゃん、アッテンボローさんに抱っこしてもらえて良かったですね。 >他の方々も、一生懸命あやしてくれていたのだと思いますけど >アッテンボローさんのように、ご経験がないと辛いですね。 > こればかりは経験がないと辛いでしょう。ケガさせちゃいけない等という事 ばかりに気がいってしまうでしょうし。 >>「そうですか……可哀相に……。せっかく、子どもと一緒にここまできたのに……」 >> ああ、と返事をしながらアッテンボローは抱えた子どもに目をやる。何も >>分からずに無邪気に笑っている姿が、余計に悲しみを誘う。 > >アッテンボローさん。どうか無邪気に笑うフィリシアちゃんを守ってあげてください。 >いつまでも、幸せに笑っていられるように・・・・・どうかお力を貸してあげてください。 > ある意味、運命の出会い(笑)です。アッテンボロー氏がフィリシアの世俗の方 での保護者になります。(神殿内ではセーガンさん) >>「……まいったな。どうしてすぐに気づかなかったんだ……」 >> アッテンボローは思わずそう呟いた。自分を見上げている赤紫色の瞳の >>赤子の中に宿る「神の力」に気づいて……。 > >流石は神殿の騎士団で隊長をなさっている方、フィリシアちゃんの『力』に気付かれましたか。 >どうか、神殿内の悪い面にフィリシアちゃんが利用されないように >アッテンボローさん。お願いします。 > 「覆い」をしていても、直接会うと分かる方には分かっちゃうんですね。 ポラリスさんと同じで、アッテンボロー氏もセーガンさんに繋がっていますので、 立場もあるけれど、最大限のことは行います。 >> 自分の命が失われてしまうと分かっていて、何故そんな選択ができるのか。 >>残される子どものことを案じてはいても、アリシアには躊躇いも悲壮感もなく、 >>ただ誇らしげだった。自分のするべき事をするだけだと、態度が言っていた。 >>母親とはどうして、こんなにも強くて悲しい生き物なのだろう。 > >母親は、たとえ世界中の全てが我が子の敵になっても >我が子を守ろうとするのでしょうね。 >子供の微笑が見たいから、その為だけに、どんな苦労も惜しまない。 >母親の愛に心に・・・・・勝るものはないのかも・・・・・知れませんね。 > あきらかに自分の子どもに非があった場合でも、諫め、相手に申し訳ないと 思う反面、どうにかしてやりたい、力になりたいと思うのでしょうね。 本当に、勝てませんよね。 >> 理屈は分かるのだ。自分を含めた四竜王は、確かに力は強く、大概の事は >>できる。だがそれ故に、迂闊に力を使えない。力を使えば、それが間接的なものなら >>まだ良い、直接的なものになればなるほど、その分周囲に良くも悪くも影響を >>与えてしまうからだ。そう、小石を投げ入れてできた波紋が、どんどん大きく >>広がっていくように。そして、その影響は半端なものではない。誰かのために >>良かれと思って行ったことが、別の誰かに災厄になってしまうことなど、ざらだ。 > >神が力を使い。誰かを救う。 >人間の目から見れば、神の奇跡として・・・・・救われたという事実を >自分の・・・・・自分達の集団、国の都合の良いように捻じ曲げて利用するような輩もいるのでしょうね。 >神に選ばれたとか、神がついている・・・・・とか(汗) >自分達は正しい、神がついているのだから・・・・・・と思い込まされてしまった集団が >自分達以外の人たちに・・・・・どれほど無慈悲で情け容赦の無いことをするか・・・・・・・ >考えると・・・・・・恐ろしいですね(滝汗) > さすがです。そういう事の方が多いでしょう。また、ある程度「形」が できている世界になったから、というのもあります。 例えば天気を変えたりなんてすると、しわ寄せが必ずどこかにいきますし。 世界の維持と発展を「守る」側の神族は、世界の「形」がある程度できてしまうと、 魔族ほど力を使うわけにはいかないでしょうね。 >> さすがに自ら動けば腹心の五大魔族にはそれなりに感知されるが、その辺りは >>お互い様だ。表立っていないだけで、この件が冥王の指示だと水竜王が >>気づいたのも、それ故なのだから。 >> だから、今以上に自らの力を抑えて動き、配下の竜族を使ってこの親子を >>保護するつもりでいた。本来なら「見守る」ことしかできないが、人間同士の >>争いの結果ではなく、「神」が絡んだ特殊性から、魔族に命を狙われたのだから >>当然だ。相手は冥王だけに、そんな動きをけして見逃さず、半端ではない攻撃を >>してくるだろうが、水竜王はそのつもりだった。 > >竜王も魔王の腹心も、桁外れに強い力を持っているので、動けば相手に分かってしまうのですね。 >今は神族と魔族の睨み合い、膠着状態なのでしょうか。 >不用意に動けば、冥王軍対水竜王さまたちの大規模な戦いになってしまう可能性があるのですね。 > そのとおりです。神族と魔族は多分、チェス、というよりは碁の対局のような 感じで睨みあっているのかも。 >> すべてを知ったアリシアは、水竜王が「動かない」ことを望んだ。それが、 >>自分の死を招くと充分に承知の上で。自分の死より、水竜王が「動く」ことで、 >>冥王にフィリシアが生きていると気づかれる方を恐れた。 >> だがそれはフィリシアが「神の欠片」を持つからじゃない。アリシアと >>彼女の夫の子どもだからだ。 >> どれほど説得しても、彼女の決意は揺るがなかった。 >> 『これが、たったひとつの冴えたやり方』 >> そう、言って。 > >なによりも・・・・・・フィリシアちゃんの幸せ・・・・・安全に無事に生き延びることを >願い・・・・なんの躊躇いも無く・・・・・ご自分の出来る最上の選択を・・・・・なさったのですね。 > そうです。本当に子どものことだけ、それを優先していました。もし、水竜王が 動くことが最上の選択なら、そちらを選んだでしょう。当たり前ですが、 本当は一緒に生きて側にいたかったのですから。 >> レベルは全く違うけれど、それほどよく似た「光」を持つ母娘。無意識的だが、 >>母親としての本能で、子どもを守るためにアリシアがずっとフィリシアの >>「覆い」になっていたから、そして、水竜王が「動かない」から通用する、 >>キャスリング(入れ替わり)……。 > >アリシアさんは、冥王さまがフィリシアちゃんを狙っていたと知っていたのでは無いのですよね。 >魔族の目からフィリシアちゃんを隠し続ける為・・・・・命懸けの入れ替わりをなさったのですね。 > 「覆い」がないと危険、というのはもう本能で気づいてました。ただ、アリシアの 意識レベルのことではなかったんですね。普通の人間なので当然ですが。 すべてを知ったことで、こんな選択を行いました。本当に、母親は強いです。 >>さて、Phase 4で再び大物、今度は神族側。……何故か私が書くと、神様サイドは >>こんな感じになってしまいます。力があるから逆に迂闊に何かをするわけに >>いかない、それで悩む。そんな感じに。私の持っているイメージなんでしょうね。 >>ただ、有栖川有栖さんの短編「悲劇的」のシュールな神様感(これがオチに >>なっているので、説明は省略します)も、何となく頷いちゃうんですけれど(笑) > >悩みつつも、力を貸してあげる。暖かい神様ですね。 >別に悪魔崇拝とかをしているわけでは、ないのですが・・・・・。 >自分は、どうもヒネテいるのでしょうか・・・・・神様の方が怖いと感じるときがあります(汗) > 容赦ない部分はどうしてもあると思いますよ。今回水竜王は本当に悩んで 親身になっていますが、同情の余地もない相手に対しては、それこそ冷淡に、 ばっさりと切り捨てるような態度をとるでしょうから。優しくするのと 甘やかすのは違うという感覚が、人間より「純粋なもの」に近い分、その辺りの 線引きが厳しくてはっきりしているのだと思います。 >>また、「特別の意味」に出てきたダグのパパも登場しました。隊長さんで >>それなりに偉いですが、正確には小隊長さんです。「パト○イバー」の >>後藤隊長や南雲隊長の様な感じと思ってください。なので、ちゃんと上司はいます(笑) >>ちなみにダグパパは聖騎士です。 > >パパさん、元気の良い(一部良すぎる?)部下の方々と共に行動する >中間管理職さんなのですね(笑) 管理職です。だから苦労も多くて、ある意味ゼロスと会話弾みそうです(笑) あとは、ハゼの干物を商品化すれば完璧(笑) >騎士の階級・・・・あまりよくわからないのですが >聖騎士さんは、かなり上の階級でしょうか。 > 私が勝手に作ってますので、本来のとは違うと思いますが、一応隊長クラスは 聖騎士じゃないとなれないです。階級は上の方ですが、その中でも上下は それなりにあるということで。 以前、ハイドラントさんへのレスで「聖騎士は相撲の大関・横綱みたいなもの」 と書きましたが、アッテンボロー氏は大関になって二場所目のノリでしょう。 上に先輩の大関や、横綱がいるんです(笑) >思わず、アッテンボーロ提督が赤ちゃんをあやしているお姿を、想像してしまいました(笑) > 姓名をそこから取ってきましたから(笑)名前はディビットにしょうかと 思っていましたが、それではイギリスの動植物の番組を作っているTV番組 プロデューサーと同姓同名になってしまうので止めました。 >面白かったです・・・・・そして・・・・切ないです。 >フランツさんアリシアさん、そしておじいさんおばあさんのこと・・・・・・。 >フィリシアさんは・・・・・ほとんど覚えていないのですね。 > ありがとうございます。 フィリシアはほとんどイメージだけで、朧気にしか覚えていないです。 アリシアに関しては、アッテンボロー氏から美化された部分有りの話を 聞いていますが。なので、自分と母親がよく似た外見なのは知っています。 >いよいよ次回でラストなのですね。 >どんな結末を、お迎えになるのか。 >フィリシアちゃんが、どうなってしまうのか。 >とても楽しみにお待ちしております。 > Phase 5そのものは静かに終わり、という感じになると思います。 エピローグ部分で話に絡んでいないのに、大トリをかっさらっていった方がいます。 ええ、もう、誰とはいいませんが(笑) >もうすぐ4月ですね。 >暖かくなってまいりましたが、風邪がまだ流行っているようですので >お体にお気を付けて、お元気で。 >では、失礼します。 > ありがとうございます。 もう3月と言っていたのに、本当にあっという間に、もうじき4月。 こちらは、桜が咲くのはまだ半月はかかりそうですが、大分暖かくなってきました。 暖房をつけないことに慣れるまでが、大変なのかもしれません。 猫楽者さんもお身体にお気を付けてくださいね。 それでは、コメントをありがとうございました。 |
13773 | Phase2から4までの感想です(^^;) | けーこ | 2003/3/29 00:30:19 |
記事番号13748へのコメント すみません、やっと乾燥夏季に来ました・・って凄い変換だなぁ(^^;) 感想を書きに来ました! まとめてですので・・お許し下さいまし。 フランツさんと、ポラリスさん・・・登場時、ポラリスさんはもしかして生存の可能性があるんじゃ、と思っていたら・・・(T_T) レッサーデーモンのバカ!第1王子&第3王子のバカ!将軍のバカ! そしてそして、子憎たらしい冥王のバカァァァァァァァァッ!(ぜぇぜぇぜぇ・・) 国内紛争ってのは、どこもかしこも迷惑被るのは国民、って事に気付かない馬鹿王子どもはさっさと消えておしまいっ!とんでもない奴にお願いした将軍もどっか消えておしまいっ!冥王も・・(まぁ、こいつは魔族だから当たり前っちゃー当たり前な行動とっているんだけど・・)幸せいっぱいだった家族を壊しやがって・・・・L様、ご愛用の大鎌をお貸し願えませんでしょうか?(怒り全開モード入ってます--#) はぁ・・アリシアさんがデーモンから攻撃を受けて、気力を振り絞って歩く姿にヤン提督がダブって爆涙状態です(T_T) とりあえずはクナスレージュの騎士団の方達に助けられてホッとしたかと思いきや・・・・(T_T) 水竜王様の哀しみもわかります。でも、アリシアさんの願いも本当に理解できます。彼女にとって、フィリシアちゃんの幸せを願うのは極普通の当たり前な事ですから。強すぎてどう利用されるかわからない我が娘の力を覆い隠す為に自分の力を分け与える・・この状況では本当に冴えたやり方でしかないのですものね。水竜王さまが力をお貸しになると、その力に気付く厄介な輩と利用しようとするお馬鹿な連中が狙ってくるのは目に見えていますからね。水竜王様も辛くとも仕方のない決断だったのでしょうね・・心情の乱れが凄くうまく出ていて感情移入バッチリでした(T_T) フィリシアちゃんの力に気付いたアッテンボロー様!もう、名前を見ただけで こりゃ預けて安心かな、と(オマケの設定として、万が一危なくなっても逃げ足は任せといて!ならもっと嬉しかったり。^^;) 正直悲しい結末であるとしても・・彼女の両親がやった判断はよかったのでは、ないでしょうか・・。最終話で光明が見えれば嬉しいかな、と思います。 すみません、まとめ読みしてこんな感じの感想しか書けず・・お許しを。 では、最終話、楽しみにお待ちしています。 |
13781 | Re:Phase2から4までの感想です(^^;) | エモーション E-mail | 2003/3/29 23:10:21 |
記事番号13773へのコメント こんばんは。 >すみません、やっと乾燥夏季に来ました・・って凄い変換だなぁ(^^;) 夏季は乾燥する季節♪ 時々楽しい変換をしてくれますよね。(^_^;) >感想を書きに来ました! >まとめてですので・・お許し下さいまし。 いえ、グリーティングカードのサービスも始めて、お忙しい中、ありがとうございますm(__)m >フランツさんと、ポラリスさん・・・登場時、ポラリスさんはもしかして生存の可能性があるんじゃ、と思っていたら・・・(T_T) >レッサーデーモンのバカ!第1王子&第3王子のバカ!将軍のバカ! >そしてそして、子憎たらしい冥王のバカァァァァァァァァッ!(ぜぇぜぇぜぇ・・) ∬ とりあえず、お茶をどうぞ。 旦 本当に、「銀英伝」ラスト部分か、「星の大地」かと言ったノリの死亡率……。 私、鬼です、本当に。(TT) >国内紛争ってのは、どこもかしこも迷惑被るのは国民、って事に気付かない馬鹿王子どもはさっさと消えておしまいっ!とんでもない奴にお願いした将軍もどっか消えておしまいっ!冥王も・・(まぁ、こいつは魔族だから当たり前っちゃー当たり前な行動とっているんだけど・・)幸せいっぱいだった家族を壊しやがって・・・・L様、ご愛用の大鎌をお貸し願えませんでしょうか?(怒り全開モード入ってます--#) おバカが権力持つとろくでもないという……。冗談抜きで、ある程度上流と 呼ばれるお貴族様たちは、現在でも自分の家のメイド等の使用人を「同じ 人間とは思えない」という感覚があるそうです。頭では「それは違う」と 知っているようですが。(あれですね、楽俊が祥瓊に言った「知っているだけ なんだよなあ、それがどういう事か本当の意味で分かってない」を体現していると) おバカ2王子はそれのハイパーvr、将軍はそれ+粗忽者という感じです。 将軍はさすがに自分が「魔族」に依頼したとは思ってませんが、上手くのせられて いることに気づかずに、得体の知れない奴にそんな依頼したのですから、 粗忽と言われて当然でしょう。 エル様の大鎌……そういえば、冥王さまは千年後にお仕置きされてましたね(笑) >はぁ・・アリシアさんがデーモンから攻撃を受けて、気力を振り絞って歩く姿にヤン提督がダブって爆涙状態です(T_T) ヤン提督という凄いお方とダブらせていただくなんて……(感涙) 書いているときは特にモデルとか考えてませんでしたが、多分「銀英伝」も ですし、「星の大地」のマリクやカイルロッドシリーズやら色々入ってるのだと 思います。ただ台詞の部分の言い回しは「星の大地」ラストシーンのアゼル の感覚に近いと思いましたが。……ああ、本当に私ってば鬼。 >とりあえずはクナスレージュの騎士団の方達に助けられてホッとしたかと思いきや・・・・(T_T) >水竜王様の哀しみもわかります。でも、アリシアさんの願いも本当に理解できます。彼女にとって、フィリシアちゃんの幸せを願うのは極普通の当たり前な事ですから。強すぎてどう利用されるかわからない我が娘の力を覆い隠す為に自分の力を分け与える・・この状況では本当に冴えたやり方でしかないのですものね。水竜王さまが力をお貸しになると、その力に気付く厄介な輩と利用しようとするお馬鹿な連中が狙ってくるのは目に見えていますからね。水竜王様も辛くとも仕方のない決断だったのでしょうね・・心情の乱れが凄くうまく出ていて感情移入バッチリでした(T_T) > アリシアはとにかくフィリシアの無事と幸せだけを願っていますから……。 現時点で一番危険な冥王側と「光」に惹かれて縋ってくるものから、守ろうと 思ったら……あれしかなかったんですね。 勿論、完璧というわけにはいきませんから、直接会えば分かる人には分かるのですが。 それでもかなり誤魔化せるんです。神殿側はまず誤魔化せないと思いますが、 アッテンボロー氏やセーガンさんがいろいろ手を尽くしますので、赤子の うちから……というのは何とか免れます。 水竜王様は今回一番辛いかもしれないです。多分、他の竜王たちでも、やりきれ なかったでしょう。 >フィリシアちゃんの力に気付いたアッテンボロー様!もう、名前を見ただけで >こりゃ預けて安心かな、と(オマケの設定として、万が一危なくなっても逃げ足は任せといて!ならもっと嬉しかったり。^^;) > はい、さすがに神殿側に秘密にすることはできませんが、この方は預けて 安心な方です。 フィリシアとダグの設定を作ったとき、「姓はアッテンボロー」と自然に 決まりました。(笑)「ミッターマイヤー(笑)」でも良かったのですが、 ダグたちはアイルランド系の名前にすることにしていたので。 そしてさすがといいますか、当然(笑)といいますか……オマケ設定予想は ほぼビンゴです(爆笑)アッテンボロー小隊の得意技は逃げる演技(笑)と 非戦闘員の護衛を完璧に行うことです。(そして、自分たちもちゃんと逃げてくる) >正直悲しい結末であるとしても・・彼女の両親がやった判断はよかったのでは、ないでしょうか・・。最終話で光明が見えれば嬉しいかな、と思います。 > Phase 5は、ほとんどフェーイドアウトな終わり方だと思います。 そして……エピローグ部分には今回は出ないと自分でも思ってた奴(笑)がでます。 またトリ持っていきました。……誰とは言いませんが(笑) >すみません、まとめ読みしてこんな感じの感想しか書けず・・お許しを。 >では、最終話、楽しみにお待ちしています。 いいえ、丁寧にありがとうございます。 もう、本当に救いようがないと言いますか、死亡率の高い話で……すみません。 それでは、コメントを本当にありがとうございました。m(__)m |
13804 | たったひとつの冴えたやり方 Phase 5(完) | エモーション E-mail | 2003/3/31 22:21:37 |
記事番号13551へのコメント こんばんは。 はっきり言って、ハッピーとは言えないこのお話も、これで最終話。 お付き合いして読んでいただければ、幸いです。 ∵∵∵∵∵∵∵∵∵∵∵∵∵∵∵∵∵∵∵∵∵∵∵∵∵∵∵∵∵∵∵∵∵∵∵∵∵∵ 「たったひとつの冴えたやり方〜Uaboeh roenr」Phase 5(完) 泣き声がする。聞き慣れた、赤ん坊の声。そして混じって聞こえる複数の 人の声……。 「ああ……気がつきましたね。分かりますか? 私たちはレージュ大神殿の者です」 覗き込むようにしてそう言ったのは、比較的若い──おそらくアリシアと 同世代の──神官。 「……レージュ……大神殿……」 身体が重く、普通に呼吸するだけでも辛い。だが、その単語にアリシアは 安堵する。最後に覚えている記憶は、見間違いでも幻覚でもなかったのだ。 「フィリシアは……あの子は……?」 声は聞こえるのに、見える範囲内にはいない。自分が気づいていなかっただけで、 ケガでもしていたのかとそんな不安がよぎる。 「この子ならケガひとつしていない。だから安心しなさい」 そう言ってフィリシアを抱えて、白銀の鎧を着た三十歳ほどの、実直そうな 男性がアリシアの側に座った。抱えられているフィリシアは、アリシアに 気づいて嬉しそうに笑い、手を伸ばしてくる。 「……フィリシア、良かった……」 重たく感じる手を伸ばし、フィリシアの手に触れる。指を握ってくる小さな手と 温かさがたまらなく愛しくて、涙がこぼれた。 「私はクリストファー=アッテンボロー。今ここに来ている騎士隊の隊長を しています。……何があったのか、聞かせていただけませんか。ですがお辛いの でしたら、無理に話さなくて構いません」 どこか、辛そうにアッテンボローがそう訊ねてくる。周囲にいる神官達も、 どことなく沈んでいるように見える。それで、アリシアは気づいた。彼らも 分かっているのだと。自分に、それほど時間が残されていないことを。 「私はアリシア、ブレスキル村の者です。……村が、レッサー・デーモンに 襲われて……。みんな、逃げたのですけれど、とても数が多くて……」 「そうですか……」 アリシアの言葉に、アッテンボローは唇を噛む。ブレスキルはここから 近い場所にあるエルークファの村だ。領主がこれから発展させようとしているとは 聞いていたが、クナスレージュを警戒させないためか、配置されている兵士の数は、 村に常駐するものとしては少し多い程度だ。それでもレッサー・デーモンなどに 襲われたら、ひとたまりもなかっただろう。 「……アッテンボロー様、お願いがあります……」 不意に、アリシアが静かな、とても静かな面持ちで言う。 「フィリシアがブレスキル村の子どもだということは、伏せてください。誰かに 聞かれても、赤ん坊など助けていないと、そういうことにしてほしいんです」 「何故です? それではご家族の方が探しに来られたら、お困りになるでしょう」 「……もう、身内で生きている者はおりません……」 悲しげな瞳でアリシアは答える。それはあの不思議な空間にいた事で、 分かってしまった。 「この子を目障りだと、そう思う存在がいます。そしてこの子の持つ力を 知ったら、王位を争っている王子達は、この子を放ってはおかないでしょう……」 「……分かりました」 子どもの持つ力を知っていたのかとアッテンボローは心の内で呟き、同時に アリシアの危惧はもっともだと納得する。確かに知られたら、彼らは自分が 神に王位を継ぐよう認められ、祝福された証として子どもを利用するだろう。 王位を獲得するための道具として。 そして、彼女はそこまで気が回らなかったのかもしれないが、残念ながら 神殿の中にもそういう輩は多い。神殿ではどうしても気づかれてしまうから、 完全には無理でも、出来る限りそういった輩の手から守らなくてはと、 アッテンボローはそう誓った。 「……フィリシア」 さっきから握ってくる小さな手を、軽く握り返してアリシアはフィリシアに 微笑む。儚げで透明な笑みで。 「つけている翡翠を大切にするのよ。それは、大切な御守りだから……」 大きく、呼吸をする。力が、どんどん抜けていくのが、分かる。 「……フィリシアの事を……お願いします……」 「……できるだけのことをいたします。私の……力の及ぶ限り……」 まっすぐな眼差しで、アッテンボローを見つめてそう言うアリシアに、 アッテンボローはそれだけ言うのが精一杯だった。全く似ていないのに、幼い 子どもを残していかなければならないアリシアと、医者に止められても息子を産み、 子どものことを頼みながら亡くなった妻が重なって見えて、それ以上は何も 言えなかった。 「……フィリシア……」 また、視線をフィリシアに移す。何かを察しているのか、しかしそれが何かは 分からないのだろう。不安げな瞳と顔をしているフィリシアに、アリシアの 視界が涙で溢れ、滲む。 「……覚えていてね……私も、あなたのお父さんも、お祖父ちゃんもお祖母ちゃんも ……みんな、フィリシアを愛していたこと……たとえ、思い出せなくても…… 覚えていて……」 視界が、暗くなっていく。指を握る小さな手が感じられなくなっていく……。 「ごめんね……一緒にいられなくなって。側に、いられなくなって。……ごめんね……」 ……どうか、幸せになって……。 静かに、アリシアは目を閉じる。涙が一筋流れて──そのまま、二度と 目を開けなかった。 エピローグ 普通に歩くなら十分なほどの月明かりの中、白い法衣の娘の周囲には、明かり (ライティング)の光がいくつもいくつも浮いていた。下を向いて歩き、そして 時々しゃがみ込む。先程からずっと、そんなことの繰り返し。 さっきからその様子を離れて見ていた黒い法衣の青年は、見ているのもいい加減 飽きてきたらしく、すうっと闇に溶けたかと思うと、彼女の後へと移動していた。 「……宿を抜け出して、それもこんな時間に何をしているんです、フィリシア?」 後から不意にかけられた声に、フィリシアは彼女にしては珍しく、分かりやすい ほど驚いていた。 「……ゼロス……。脅かさないでよ、びっくりしたじゃない」 本当に驚いたらしいが、でもそれがゼロスだったので、フィリシアはほっと 息をはく。 「……僕としては、貴女がそのくらいで驚く方が珍しくて驚きますよ。本当に、 何をしているんです? もう外を、特に女性が1人で歩くような時間では ないでしょう?」 さらに、いくつも浮いている明かり(ライティング)の光で、遠目でもそこに いるのが若い娘だとすぐに分かる。どうしてこうも危機感がないのかと、ゼロスは 思わずため息をつく。 「捜し物を……していたの。鎖が切れて、大切な御守りを落としてしまって……。 宿でその事に気がついて、歩いたところを一通り探したのだけれど、見つからなくて。 それで、もしかしたらここかもって、そう、思ったから」 そう言えば、昼間に盗賊相手に立ち回りした場所だと、ゼロスも思い出す。 すぐに撃退したが、確かにあの時なら何かを落としても不思議ではない。 「それでも、盗賊が出るような場所に、しかもこんな時間に探しに来るのは 感心しませんね」 ため息をつきつつ、ゼロスがそう言うとフィリシアはしゅん、とした様子で俯く。 一応女性が一人歩きをして良い時間ではない、という自覚はあるのと、それ以上に 落とした「御守り」が見つからないことで、相当落ち込んでいるようだった。 やれやれ、と思いつつゼロスは訊ねる。 「……『御守り』って、どんなものなんです?」 フィリシアはそう言われるとは思わなかったのだろう。少し驚いたような 表情でゼロスを見ていた。 「あと少しだけ探して見つからなかったら、戻りますよ。もう遅いんですから」 「……ありがとう、ゼロス」 フィリシアは軽く笑んでそう言った。 フィリシアの探しているのは3cmほどのサイズの、ドーナツ型をした 緑色の翡翠。本当の意味での「御守り」でもなければ、マジック・アイテム でもない。さらにとても高価なもの、というものでもないらしい。それでも 必死に探すのだから、相当大切なものなのだろう。それだけは分かる。 とはいえ、それでもここから探し出すのはかなり難しい。見つからなかったら 諦めてもらうしかない、そう思っていると、不意に不思議な、けれど、どこか 知っているような気配を、前方から感じた。 白くて淡い光が浮かんでいる、ゼロスにはそう見えた。フィリシアは、というと 全く気がついていない様子だ。 不思議に思いつつそちらへ行ってみると、光の下にあったのは、目の覚めるような、 鮮やかな緑色の翡翠だった。 拾おうと手を触れた途端、弾き返すような激しいショックを受け、同時に フィリシアにそっくりな、でも髪と瞳の色が違う少し勝ち気そうな女性と、 全体的な雰囲気がフィリシアによく似た、穏やかで優しげな男性のイメージが 浮かんだ。 その男女から感じ取れたのは強い愛情。我が子の身を案じ、幸福を願う、 そんな強い想い。 ……子どもの事を思う親としては、僕みたいな魔族には拒否反応を示して 当然ですね。 ゼロスは苦笑して翡翠を拾い上げる。少々ピリピリするものを感じるが、 持てないほどではない。 「そう怒らないでください。ちゃんと娘さんに、フィリシアに、お渡ししますから」 小声でそう呟くゼロスの言葉を理解したように、ピリピリしたものが 感じられなくなる。ただし、嘘だったら容赦しないという緊張感と警戒はあるが。 あまりの分かりやすさに、ゼロスは再び苦笑した。 「ありがとう……。この翡翠、本当に大切なものなの……本当に、ありがとう。 見つけてくれて……」 渡された翡翠を、フィリシアはまるで祈るようにしっかりと掌に包み、静かに そう言う。嬉しくて泣きそう、そんな表情だった。 「違っていたら申し訳ないんですけれど、その翡翠……形見、ですか? ご両親の」 ゼロスの問いに、フィリシアは驚いて目をきょとんとさせる。親がいないのは 前に話したことがあるが、翡翠が形見だとは話していない。不思議そうな 面持ちのフィリシアに、ゼロスはにっこりと笑って言う。 「その翡翠からは、子どもを思う親の愛情を感じるんですよ……それで、です」 「そうだったの……」 フィリシアは小さく微笑む。翡翠を見つめながら。 「お母さんは『御守り』って言っていたんですって。でも形見でもあるの。 この翡翠は、元々はお父さんのだったと思うから。 ……ぼんやりと、本当に凄くぼんやりとなんだけれど、頭に残っている 記憶があるの。この翡翠を首に下げている男の人と、その隣にいる女の人の……」 「……フェアブロンドの髪に紫色の瞳の男性と、榛色の髪に深い緑色の瞳の女性、 でしょう?」 「ええ……そうよ。でも、どうして……」 「拾ったときに、僕が感じたご両親のイメージがそうでしたから」 ゼロスは事もなげにそう答えたが、あれだけはっきり分かるのも珍しいとは思った。 それだけ、強い想いということなのだろう。 「ほとんど……思い出せないけれど……」 再び、翡翠を祈るように握りしめ、目を閉じたフィリシアは、穏やかな表情で 呟くように言う。 「私がなんとなく……本当にイメージでしかないけれど、覚えていることは ……間違いじゃないのね……」 『みんな、フィリシアを愛していたこと……たとえ、思い出せなくても、 覚えていて』 不意に、知っているのに誰か分からない女性の声が、心に響く。きっと、 そうお母さんの声。思い出せなくても、心はちゃんと覚えている……。 しばらくそうしていたフィリシアは、やっと、いつものふんわりとした笑顔を 見せた。同時に、彼女を暖かな気配が包み込む。まるで、抱きしめるように、 しっかりと。 ……なるほど「形見」だけど「御守り」……ですね。確かに。 その様子に気づいて、ゼロスは何故、知っているような気がしたのか、 やっと理解した。それはいつも、フィリシアを守るように包んでいた気配 だったから──。 I'll remember I'll remember I'll remember all the love I'll remember I'll remember I'll remember forever and ever I'll remember I'll remember I'll remember all the love I'll remember I'll remember I'll remember I will 遠い街に旅に出て 帰らぬ人の 声が言葉が 今も胸で 愛を伝える I'll remember I'll remember I'll remember all the love I'll remember I'll remember I'll remember forever and ever I'll remember I'll remember I'll remember all the love I'll remember I'll remember I'll remember I will ──たったひとつの冴えたやり方〜Uaboeh roenr・終── 歌詞(一部引用)歌.作詞作曲.遊佐未森 「I'll remember 」 ∴∴∴∴∴∴∴∴∴∴∴∴∴∴∴∴∴∴∴∴∴∴∴∴∴∴∴∴∴∴∴∴∴∴∴∴∴∴ 以上で「たったひとつの冴えたやり方〜Uaboeh roenr」終了しました。 はっきりって救いがあるとは言えないこのお話を、ここまで読んでいただきまして、 本当にありがとうございました。 この話はフィリシアの設定として作った「過去」でしたので、大筋は初めから 決まっていたものですが、実際に書いてみたら思った以上にジェノサイド でした……(滝汗) ……設定として数行書くのと、違いますしね、やっぱり……。 また、タイトルの「Uaboeh roenr」。Phase 1でも書きましたが、アーヴ語です。 ただ、「U」にはウムラウト「¨」がつくんです、本当は……。どうしても 表示が出来なかったので、そのまんま「U」にしていました。 読み方は「ワーベ・レン」……かな。変化形がちょっと不安なので(汗) 意味は「翡翠の想い」です。 アーヴ語は面白いのでついつい(上手く変化出来ないくせに)使ってしまいます。 今回はほとんど単語だけですけれど、使ったのをざっとあげますと…… エルークファ=天の川・銀河 フティエーニュ=琥珀 ブレスキル=紫水晶 ラテクリル=金剛石(ダイアモンド) デューク=猫(一応「星界」シリーズではアーヴ猫となっていますが、 あれはどうみても普通の猫です) ラストの遊佐未森さんの歌はこれを書いているときのBGMでした。 修正前は入れないつもりでしたが、直しているうちに「やっぱり入れよう」と。 こうして、涼しげな顔で何故かトリを持っていったゼロスから、大トリを かっさらいました。凄いや、未森ちゃん!(笑) では、つらつらと書いてまいりましたが、後書きが長くなっても仕方がないので これで失礼いたします。 「星の○地」並みの死亡率に鬱展開なのにもめげずに、ここまで読んでくださいまして、 本当にありがとうございました。m(__)m |
13810 | お疲れ様でした! | けーこ | 2003/4/1 00:50:18 |
記事番号13804へのコメント じっくり読ませていただきました・・。 鬱展開、とおっしゃっておられましたが・・親子の愛情をしっかり感じ取れる温かいお話と思います、最終話のおかげで。 なんにしても、アリシアさんが最期に話せた人がアッテンボローさんで本当に良かったわけですね。他の神官がいたならば・・権力闘争の「いいおもちゃ」にされかねない状況に陥っていたわけですから。アッテン、エライっ!(でも、彼にも奥さんを亡くしてしまった、という悲しい過去があったなんてT_T) トリは急遽変わったんですね(笑)Phase4の後書きであったから、きっとニコ目の彼ね♪と思っていたんですけど。しかしながら、某自称保護者よろしくフィリシアさんの身の心配をするあたり、人間臭いと言うか(^^;)ま、そういう所が好きなんですけど(笑)形見の翡翠に現われた両親の姿をはっきり伝えてあげて、彼女の記憶の正確さを確認させてあげたり・・魔族らしからぬこと! でも、この部分ですごくアリシアさんの想いが娘にはっきり伝わって、フィリシアさん自身もすごく救われたのじゃないでしょうか。 話の展開としては悲しいものでしたけど、読み終えてやはり温かいお話だったと思います。ありがとうございました! さーて、今からも一つの展開を読みに行って参ります(^^) |
13811 | 想いは、心は伝わるのですね。 | 猫楽者 E-mail | 2003/4/1 01:06:19 |
記事番号13804へのコメント >こんばんは。 >はっきり言って、ハッピーとは言えないこのお話も、これで最終話。 >お付き合いして読んでいただければ、幸いです。 こんばんは、エモーションさん。 お元気ですか、猫楽者です。 「たったひとつの冴えたやり方〜Uaboeh roenr」の完結、おめでとうございます。 いよいよ最終回。アリシアさんとフィリシアちゃんが、どうなって行くのか、続きを読ませて頂けるのを とても楽しみにお待ちしておりました。 >「……レージュ……大神殿……」 > 身体が重く、普通に呼吸するだけでも辛い。だが、その単語にアリシアは >安堵する。最後に覚えている記憶は、見間違いでも幻覚でもなかったのだ。 >「フィリシアは……あの子は……?」 > 声は聞こえるのに、見える範囲内にはいない。自分が気づいていなかっただけで、 >ケガでもしていたのかとそんな不安がよぎる。 アリシアさん。ご自分が瀕死の重体ですのに、何よりもフィリシアちゃんのことが心配なのですね。 >「この子ならケガひとつしていない。だから安心しなさい」 > そう言ってフィリシアを抱えて、白銀の鎧を着た三十歳ほどの、実直そうな >男性がアリシアの側に座った。抱えられているフィリシアは、アリシアに >気づいて嬉しそうに笑い、手を伸ばしてくる。 >「……フィリシア、良かった……」 > 重たく感じる手を伸ばし、フィリシアの手に触れる。指を握ってくる小さな手と >温かさがたまらなく愛しくて、涙がこぼれた。 すいません・・・・・自分も泣きそうです・・・・・。 身動きするのも辛いハズのアリシアさんが、懸命に手を伸ばして・・・・・・・ お母さんの手を、何も知らずに無邪気に笑いながら 嬉しそうに・・・・・一生懸命つかんでいる・・・・・フィリシアちゃん・・・・・。 >「この子を目障りだと、そう思う存在がいます。そしてこの子の持つ力を >知ったら、王位を争っている王子達は、この子を放ってはおかないでしょう……」 >「……分かりました」 > 子どもの持つ力を知っていたのかとアッテンボローは心の内で呟き、同時に >アリシアの危惧はもっともだと納得する。確かに知られたら、彼らは自分が >神に王位を継ぐよう認められ、祝福された証として子どもを利用するだろう。 >王位を獲得するための道具として。 フィリシアちゃんを道具として使うために・・・・・奪い合いで新たな戦いが起こってしまうでしょうね。 自分の陣営にフィリシアちゃんを利用出来ないのなら・・・・・・・ 相手に利用されるくらいなら・・・・・・亡き者にしてしまえ・・・・・とかに、なりそうですね(溜息) > そして、彼女はそこまで気が回らなかったのかもしれないが、残念ながら >神殿の中にもそういう輩は多い。神殿ではどうしても気づかれてしまうから、 >完全には無理でも、出来る限りそういった輩の手から守らなくてはと、 >アッテンボローはそう誓った。 アッテンボローさん。 神殿内の心無い勢力は、暗殺!謀殺!しても、誰も文句は言いません(まて、それは無茶かも(汗)) すいません・・・・・・でも、・・・・これから親御さんとのかけがえの無い、思い出を 自分が、どんなにか愛されていたか・・・・・フィリシアちゃんが・・・・・・ほとんど覚えていないのは・・・・ 悲しいです。せめて、フィリシアちゃんを利用しようと近づいて来る害虫どもには アッテンボローさん、情け容赦はいりません。 >「……フィリシア」 > さっきから握ってくる小さな手を、軽く握り返してアリシアはフィリシアに >微笑む。儚げで透明な笑みで。 >「つけている翡翠を大切にするのよ。それは、大切な御守りだから……」 > 大きく、呼吸をする。力が、どんどん抜けていくのが、分かる。 >「……フィリシアの事を……お願いします……」 >「……できるだけのことをいたします。私の……力の及ぶ限り……」 > まっすぐな眼差しで、アッテンボローを見つめてそう言うアリシアに、 >アッテンボローはそれだけ言うのが精一杯だった。全く似ていないのに、幼い >子どもを残していかなければならないアリシアと、医者に止められても息子を産み、 >子どものことを頼みながら亡くなった妻が重なって見えて、それ以上は何も >言えなかった。 アリシアさんとフィリアちゃんが、アッテンボローさんにお会いすることが出来て 本当に良かったです。 アッテンボローさん、奥さんが・・・・・・・辛いですね。 奥さんが亡くなってしまったことを、幼い子供のせいにしてしまうような方も 残念ながら、いるのだと思います。 アッテンボローさんは、奥さんの分も・・・・お子さんを愛して差し上げられる・・・強くそして優しい方ですね。 アリシアさん、フィリシアちゃんにはアッテンボローさんが心強い味方になってくれると思います。 >「……フィリシア……」 > また、視線をフィリシアに移す。何かを察しているのか、しかしそれが何かは >分からないのだろう。不安げな瞳と顔をしているフィリシアに、アリシアの >視界が涙で溢れ、滲む。 >「……覚えていてね……私も、あなたのお父さんも、お祖父ちゃんもお祖母ちゃんも >……みんな、フィリシアを愛していたこと……たとえ、思い出せなくても…… >覚えていて……」 > 視界が、暗くなっていく。指を握る小さな手が感じられなくなっていく……。 >「ごめんね……一緒にいられなくなって。側に、いられなくなって。……ごめんね……」 > ……どうか、幸せになって……。 > > 静かに、アリシアは目を閉じる。涙が一筋流れて──そのまま、二度と >目を開けなかった。 アリシアさん。自ら選んだ方法とはいえ・・・・辛いですね。 誰よりもフィリシアちゃんと一緒にいたかったでしょうに・・・・・ どうか・・・・・フィリシアちゃんを見守って・・・・・いてあげてください。 ・・・・・・・・・フィリシアちゃんは・・・・・御家族を・・・・ご両親を亡くしてしまったんですね。 アリシアさんのことは、少しでもアッテンボーロさんから・・・・お話出来るかも知れませんが・・・・・・ 強く、優しかったおとうさんと、命懸けで戦ってくださったポラリスさん。 そして、おじいさんとおばあさんが、どんなにか・・・・フィリシアちゃんを大切に思っていたか・・・・・・ 愛していたか・・・・・は、もう誰も・・・・・伝えられない・・・・のですね・・・・。 すいません・・・・・今、本気で涙が・・・・とまりません・・・・・。 ごめんなさい・・・・・でも、子供さんのお話・・・・弱いんです。 >「……僕としては、貴女がそのくらいで驚く方が珍しくて驚きますよ。本当に、 >何をしているんです? もう外を、特に女性が1人で歩くような時間では >ないでしょう?」 > さらに、いくつも浮いている明かり(ライティング)の光で、遠目でもそこに >いるのが若い娘だとすぐに分かる。どうしてこうも危機感がないのかと、ゼロスは >思わずため息をつく。 ゼロスさんに、溜息つかれてしまっていますね。 ゼロスさん、空間を渡って、いきなり後から声をかけられては 普通の方は、驚きますよ。 > そう言えば、昼間に盗賊相手に立ち回りした場所だと、ゼロスも思い出す。 >すぐに撃退したが、確かにあの時なら何かを落としても不思議ではない。 盗賊と立ち回り・・・・・(汗) その盗賊たち・・・・・なんつう無茶なことを・・・・・。 撃退・・・・って、ま・・・・まさか・・・全員・・・・二度と人様に迷惑をかけられないように・・・・ 冷たくなって・・・・穴の中・・・・とか・・・・灰も残らなかった・・・とか・・・でしょうか(滝汗) >「それでも、盗賊が出るような場所に、しかもこんな時間に探しに来るのは >感心しませんね」 > ため息をつきつつ、ゼロスがそう言うとフィリシアはしゅん、とした様子で俯く。 >一応女性が一人歩きをして良い時間ではない、という自覚はあるのと、それ以上に >落とした「御守り」が見つからないことで、相当落ち込んでいるようだった。 > やれやれ、と思いつつゼロスは訊ねる。 >「……『御守り』って、どんなものなんです?」 > フィリシアはそう言われるとは思わなかったのだろう。少し驚いたような >表情でゼロスを見ていた。 >「あと少しだけ探して見つからなかったら、戻りますよ。もう遅いんですから」 >「……ありがとう、ゼロス」 > フィリシアは軽く笑んでそう言った。 ゼロスさん、優しいですね。 フィリシアさんの対ゼロスさんへの信頼(好感)度、大幅にアップでしょうか(笑) > 白くて淡い光が浮かんでいる、ゼロスにはそう見えた。フィリシアは、というと >全く気がついていない様子だ。 > 不思議に思いつつそちらへ行ってみると、光の下にあったのは、目の覚めるような、 >鮮やかな緑色の翡翠だった。 > 拾おうと手を触れた途端、弾き返すような激しいショックを受け、同時に >フィリシアにそっくりな、でも髪と瞳の色が違う少し勝ち気そうな女性と、 >全体的な雰囲気がフィリシアによく似た、穏やかで優しげな男性のイメージが >浮かんだ。 > その男女から感じ取れたのは強い愛情。我が子の身を案じ、幸福を願う、 >そんな強い想い。 アリシアさん、フランツさん。 ずっとフィリシアさんの側で、見守っていてくださったのですね。 フランツさんをアリシアさんと御一緒にしてくださったのは、水竜王さまでしょうか。 > ……子どもの事を思う親としては、僕みたいな魔族には拒否反応を示して >当然ですね。 > ゼロスは苦笑して翡翠を拾い上げる。少々ピリピリするものを感じるが、 >持てないほどではない。 >「そう怒らないでください。ちゃんと娘さんに、フィリシアに、お渡ししますから」 > 小声でそう呟くゼロスの言葉を理解したように、ピリピリしたものが >感じられなくなる。ただし、嘘だったら容赦しないという緊張感と警戒はあるが。 >あまりの分かりやすさに、ゼロスは再び苦笑した。 アリシアさんは、ゼロスさんが魔族だとお分かりになったのですね。 流石は、無意識に力を使って、冥王様の配下の方に反撃したアリシアさんです。 >「ありがとう……。この翡翠、本当に大切なものなの……本当に、ありがとう。 >見つけてくれて……」 > 渡された翡翠を、フィリシアはまるで祈るようにしっかりと掌に包み、静かに >そう言う。嬉しくて泣きそう、そんな表情だった。 この翡翠は、大切なお守り、思い出の品であると共に 身寄りの居ないフィリシアさんの支えにも、なっていたのでしょうか。 >「その翡翠からは、子どもを思う親の愛情を感じるんですよ……それで、です」 >「そうだったの……」 > フィリシアは小さく微笑む。翡翠を見つめながら。 >「お母さんは『御守り』って言っていたんですって。でも形見でもあるの。 >この翡翠は、元々はお父さんのだったと思うから。 > ……ぼんやりと、本当に凄くぼんやりとなんだけれど、頭に残っている >記憶があるの。この翡翠を首に下げている男の人と、その隣にいる女の人の……」 >「……フェアブロンドの髪に紫色の瞳の男性と、榛色の髪に深い緑色の瞳の女性、 >でしょう?」 >「ええ……そうよ。でも、どうして……」 >「拾ったときに、僕が感じたご両親のイメージがそうでしたから」 > ゼロスは事もなげにそう答えたが、あれだけはっきり分かるのも珍しいとは思った。 >それだけ、強い想いということなのだろう。 >「ほとんど……思い出せないけれど……」 > 再び、翡翠を祈るように握りしめ、目を閉じたフィリシアは、穏やかな表情で >呟くように言う。 >「私がなんとなく……本当にイメージでしかないけれど、覚えていることは >……間違いじゃないのね……」 > 『みんな、フィリシアを愛していたこと……たとえ、思い出せなくても、 >覚えていて』 > 不意に、知っているのに誰か分からない女性の声が、心に響く。きっと、 >そうお母さんの声。思い出せなくても、心はちゃんと覚えている……。 想いは、心に残るのですね。 フィリシアさん。アリシアさんとフランツさんは、これからもずっと側に居てくれるのですね。 > しばらくそうしていたフィリシアは、やっと、いつものふんわりとした笑顔を >見せた。同時に、彼女を暖かな気配が包み込む。まるで、抱きしめるように、 >しっかりと。 > ……なるほど「形見」だけど「御守り」……ですね。確かに。 > その様子に気づいて、ゼロスは何故、知っているような気がしたのか、 >やっと理解した。それはいつも、フィリシアを守るように包んでいた気配 >だったから──。 アリシアさんとフランツさんは、フィリシアさんを守り続けていたのですね。 神殿内で、どんな争いが起こったのかは、わかりませんが アリシアさんとフランツさん、とても心配したのでしょうね。 > I'll remember I'll remember I'll remember all the love > I'll remember I'll remember I'll remember forever and ever > I'll remember I'll remember I'll remember all the love > I'll remember I'll remember I'll remember I will > > 遠い街に旅に出て 帰らぬ人の > 声が言葉が 今も胸で 愛を伝える 旅に出た人の、帰りを待ち続ける方と 旅の途中で、自分を待っていてくれる人のことを思う方。 全ての人が、危険に満ちた旅を無事に終えて 待っていてくれる方と、再会できると良いですね。 >以上で「たったひとつの冴えたやり方〜Uaboeh roenr」終了しました。 >はっきりって救いがあるとは言えないこのお話を、ここまで読んでいただきまして、 >本当にありがとうございました。 お疲れ様でした。 毎回、どうなってしまうんだろう、とドキドキしながら読ませて頂きました。 すごく面白かったです。そして、本当に久々に泣きました・・・・・・・。 涙が出るほど・・・・・・切なかったです。 >この話はフィリシアの設定として作った「過去」でしたので、大筋は初めから >決まっていたものですが、実際に書いてみたら思った以上にジェノサイド >でした……(滝汗) >……設定として数行書くのと、違いますしね、やっぱり……。 詳細な設定を、作り上げることが出来て、とてもすごいと思います。 この時代は、王位争いが、どんどん拡大して行って、周辺諸国をも巻き込み 冥王さまの掌の上で、踊らされてしまっているのですね。 >また、タイトルの「Uaboeh roenr」。Phase 1でも書きましたが、アーヴ語です。 >ただ、「U」にはウムラウト「¨」がつくんです、本当は……。どうしても >表示が出来なかったので、そのまんま「U」にしていました。 >読み方は「ワーベ・レン」……かな。変化形がちょっと不安なので(汗) >意味は「翡翠の想い」です。 「翡翠の想い」、ステキな、そして、とても切なく感じるタイトルですね。 いろいろと、考えながら、読ませて頂きました。 戦乱の時代を精一杯、ご自分の出来る限りのことをしてくださったポラリスさん、フランツさん。 我が子を守る為に、迷いも躊躇いも無く、最上の方法を選んだアリシアさん。 神殿の騎士団を率いて来てくださったアッテンボローさん。 村の方々、おじいさん、おばあさん。皆さん本当にいきいきとしていました。 亡くなってしまった方々の、ご冥福をお祈りします。 >では、つらつらと書いてまいりましたが、後書きが長くなっても仕方がないので >これで失礼いたします。 >「星の○地」並みの死亡率に鬱展開なのにもめげずに、ここまで読んでくださいまして、 >本当にありがとうございました。m(__)m お疲れ様でした。 エルークファ国内の、争いが、どうなってしまうのか。 神殿に到着したフィリシアちゃんが、どんな風に成長なさるのか・・・・・・。 とても気になります〜。 もし、続編などをお書きになるのでしたら 読ませて頂けるのを、とても楽しみにしております。 今日から4月ですね。 寒暖の差が激しいですね。 季節の変わり目で、体調を崩しやすい時期ですので お体にお気を付けて、お元気で。 では、失礼します。 |
13809 | 番外のさらに番外:If〜春の朝 | エモーション E-mail | 2003/4/1 00:06:02 |
記事番号13551へのコメント 番外な「たったひとつの冴えたやり方」のさらに番外……です。 正確には「もし、何事もなかったら……」という仮定に基づく、 パラレルヴァージョンの日常の一コマです。 お目汚しですが、楽しんでいただければ幸いです。 ◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆ 「If〜春の朝」 「4……5……6……」 椅子に立ちながら手を伸ばし、4〜5歳ほどのフェアブロンドの髪の女の子は、 テーブルに乗っている木の実をひとつひとつ数えながら、目の前の小さな器に 木の実を入れていく。女の子が手を伸ばす度、彼女が首に掛けている真っ白な ドーナツ型の翡翠が、ゆらゆらと揺れる。色違いだが、父親とお揃いの御守りだ。 「……10! お父さん、10個数えたー♪」 父親に言われた数を数え終えて、満足げににっこり笑ってそう言う女の子に、 すぐ近くの別の台に蒸留水や調合に使うガラス器具を用意していた父親の フランツは、にっこりと笑う。 「お手伝いありがとう、フィリシア」 頭を撫でながら優しく微笑む父親に、フィリシアは嬉しそうに笑う。 フィリシアはお父さんが大好きだ。お父さんの仕事も、見ていると不思議で 面白くて大好きなのだが、「危ないから」とあまり手伝わせてもらえない。 今は「木の実(危なくない材料)を10個数える」だけなので、お手伝いが できたのだ。 普段は見ているだけなので、少しだけでも「お手伝い」できたこと、お父さんに 喜んでもらえたことがフィリシアには嬉しかった。 「お父さん、今日は何を作るの?」 いつの間にか椅子を降りて、フランツの足下で赤紫色の目をきらきら輝かせて 訊ねるフィリシアに、フランツは彼女を抱き上げて答えた。 「フィリシアがこの間飲んだのと同じ、熱を下げる薬だよ。フィリシアと同じ病気に なった人がいっぱいいるから、足りなくなっちゃったんだ」 ついこの間まで、このブレスキル村(もうじき町になる)では、高熱が続く 病気が流行っていた。今は下火に向かっているが、まだ病気にかかっている者はいる。 基本的に熱が下がれば快復するが、自然に熱が下がるのを待っていては時間が かかりすぎるため、体力のない者、特に老人や子どもには命取りになりかねない そんな病気だ。 幸い、今では有効な薬がある。フィリシアには単純に「熱を下げる薬」 と言ったが、フランツが作ろうとしているのはその薬なのだ。 「……あのちょっと苦い薬……?」 飲んだ薬の味を思い出し、フィリシアは少し苦い表情になる。確かに、 小さな子どもには飲みにくい味だ。娘のその様子に、フランツは笑いながら 娘の額と自分の額をくっつけて言う。 「そうだね、ちょっと苦いかな。でも病気をやっつけるために、どうしても 苦くなっちゃうんだ。だから苦いのは少し我慢しないとね」 「……うん!」 自分なりに考えて納得したのか、屈託なく笑うフィリシアが、フランツには 愛おしくてたまらない。 「フランツ、今ポラリスさんから手紙が届いたの。すぐ読む? ……あら、フィリシア。ここにいたの?」 そう言って、手紙を持って部屋へ入ってきたのは、榛色の髪と深い緑色の 瞳をしたフィリシアの母親、アリシアだ。髪と瞳の色は違うが、一目で親子と 分かるほどフィリシアとはよく似ている。 「ありがとう、アリシア。すぐ読むよ」 「お母さん! フィリシアね、お手伝いしてたの!」 「そうなの。偉いわね。でも、後はお父さんの仕事よ。はい、こっちに いらっしゃい」 綺麗な赤紫色の瞳を輝かせて、元気いっぱいに言うフィリシアに、アリシアも 笑顔を返してそう言うと、フランツからフィリシアを抱き渡してもらい、 手紙を渡した。 おそらく、この間相談した事についてだろう。初めて5年前に会って以来、 ポラリスとはまめに連絡を取っていたし、機会があれば会っていた。そろそろ フィリシアの、これからの事を考えなくてはいけないので、相談したのだ。 「お母さん、見ていちゃ駄目? フィリシア、お父さんが何か作っているの 見てるの、好き」 「お母さんもそうよ♪ でも、お父さんに聞いてからね」 フランツが手紙に目を通しているのを見ながら、無邪気にそう訊ねてくる フィリシアに、アリシアはそう、優しく笑んだ。これからに不安がないと 言ったら嘘になる。だが、自分もフランツもフィリシアのために出来るだけ のことをする。そう、ただそれだけだ。 「ねぇ、お父さん。見ていていい?」 「フィリシア、聞くのはもう少し待つの。お父さんは今、手紙を読んでいる でしょう?」 「はーい。ごめんなさあい」 「はい。ちゃんと分かったのね。いい子ね」 そんな会話が耳に入ったのか、フランツは手紙から目を上げて、笑顔で 話しているアリシアとフィリシアを優しい眼差しで見る。フランツにとって、 妻と娘は宝物だ。2人にはいつでも笑っていてほしいと、そう思う。 「本当にフィリシアはお父さんが大好きなのね」 「うん、大好き! フィリシアね、お父さんもお母さんも、お祖父ちゃんも お祖母ちゃんも、それから、えーっと……うん、みんな、だーい好きっ!」 こつん、と頭をつけて笑って訊ねるアリシアに、フィリシアは屈託のない 笑顔でそう言ってアリシアに抱きついた。 水鏡の向こう側。たまたまその様子を見ていた水竜王は優しく微笑む。 平穏に、幸せに暮らす家族を見守りながら……。 神、そらに知ろしめす。 すべて世は事も無し。 ──If〜春の朝・終── 引用:ロバート・ブラウニング.作 上田 敏.訳 「春の朝」より ◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆ 本当に、何事もなければ……というお話でした。 「たったひとつの冴えたやり方」を書いていて、ふっと浮かんだ場面です。 こうなっていたんだろうな、と。どんな形でも、結局はレージュ大神殿に 行きますけれど。 ただ、ダグやアッテンボロー氏との関わりは、かなり違うものになると思います。 また、Phase 5で書こうと思って忘れていました。 フィリシアの御守りの翡翠……「あまり高価なものじゃない」と書いてますが、 本当はあのレベルのものは滅茶苦茶高いです。 色が混ざっていない上質のものになればなるほど高価なんです。(汗) サイズが小さくても10万や20万は軽くいきます。 翡翠、大好きなんですけれど……手が出ません(泣) 色が混ざったものでも、安くても2〜3万いきますからねぇ……。(しかも 混ざりすぎてて、好みじゃない) ただ、不思議なことに翡翠は欧米諸国、西洋人の興味をあまり惹かない石だ そうです。東洋人に愛される石なのだとか。 ……スレイヤーズ世界は何となくヨーロッパのノリに近いので、その視点から 「高価ではない(興味を持たれないから)」という表現にしました。 また、「翡翠を御守りとして身につける」は中国の風習をモチーフにしました。 では、何となく書いた番外の番外を読んでいただきまして、 ありがとうございました。m(__)m |
13814 | たったひとひらの枯れた花びら:In〜春の朝 | 颪月夜ハイドラント | 2003/4/1 12:19:20 |
記事番号13809へのコメント こんばんはラントです。 つっついに完結ですね。 レッサーデーモン・・・やはり恐ろしいものですな。 魔族・・・人間には天災でしかないようですかな。 >「捜し物を……していたの。鎖が切れて、大切な御守りを落としてしまって……。 >宿でその事に気がついて、歩いたところを一通り探したのだけれど、見つからなくて。 > それで、もしかしたらここかもって、そう、思ったから」 アレですね。アレ。 > 白くて淡い光が浮かんでいる、ゼロスにはそう見えた。フィリシアは、というと >全く気がついていない様子だ。 > 不思議に思いつつそちらへ行ってみると、光の下にあったのは、目の覚めるような、 >鮮やかな緑色の翡翠だった。 > 拾おうと手を触れた途端、弾き返すような激しいショックを受け、同時に >フィリシアにそっくりな、でも髪と瞳の色が違う少し勝ち気そうな女性と、 >全体的な雰囲気がフィリシアによく似た、穏やかで優しげな男性のイメージが >浮かんだ。 > その男女から感じ取れたのは強い愛情。我が子の身を案じ、幸福を願う、 >そんな強い想い。 この辺で心揺られました。 >……設定として数行書くのと、違いますしね、やっぱり……。 分かります。確かに全然違います。 >「星の○地」並みの死亡率に鬱展開なのにもめげずに、ここまで読んでくださいまして、 >本当にありがとうございました。m(__)m あれ?あちらの方が凄い死者数だったような・・・。 あの本は読んで沈みましたよ。 >「4……5……6……」 > 椅子に立ちながら手を伸ばし、4〜5歳ほどのフェアブロンドの髪の女の子は、 >テーブルに乗っている木の実をひとつひとつ数えながら、目の前の小さな器に >木の実を入れていく。女の子が手を伸ばす度、彼女が首に掛けている真っ白な >ドーナツ型の翡翠が、ゆらゆらと揺れる。色違いだが、父親とお揃いの御守りだ。 >「……10! お父さん、10個数えたー♪」 > 父親に言われた数を数え終えて、満足げににっこり笑ってそう言う女の子に、 >すぐ近くの別の台に蒸留水や調合に使うガラス器具を用意していた父親の >フランツは、にっこりと笑う。 平和ですねえ。 >フィリシアの御守りの翡翠……「あまり高価なものじゃない」と書いてますが、 >本当はあのレベルのものは滅茶苦茶高いです。 >色が混ざっていない上質のものになればなるほど高価なんです。(汗) >サイズが小さくても10万や20万は軽くいきます。 >翡翠、大好きなんですけれど……手が出ません(泣) とりあえずカワセミで我慢ということで(馬鹿) いやそちらも入手難しそうだけど・・・。 それでは次回作を天空の彼方で独り涙を流し続ける星のように(?)お待ちすることにします。 しばしさようなら・・・。 |
13834 | Re:番外のさらに番外:If〜春の朝 | けーこ | 2003/4/1 19:50:10 |
記事番号13809へのコメント あぁ、温かい家庭が目に浮かびますわ・・(*-ヮ-*)ポラリスさんもご健在だし。 あんな事件が起こらなければ、実際こちらの状況になっていたんですものね。 両親と周りの人の愛情を受けて育ったフィリシアさんは、神殿に移ってからはどんな感じだったんでしょうね。そちらも気になったり(^^;)ニコ目の彼も別な形で接触してきたでしょうね。 翡翠の良い物はホンットに高いですよね(^^;) こちらのお話のフィリシアちゃんには、お父さんのとお揃いのがあるわけですから・・・じーちゃんばーちゃん・・奮発したね・・と(笑) ほんわりとさせてくれるお話で、嬉しかったです。 ホントにお疲れ様でしたm(_ _)m また新作にお目にかかれるのを期待しつつ・・・(鬼?^^;) |