◆−カオティック・サーガ:虚構へ続く扉の前にて−オロシ・ハイドラント (2003/6/27 15:25:59) No.14521 ┣一つの滅びの予言−オロシ・ハイドラント (2003/6/27 15:29:10) No.14522 ┣1日目−オロシ・ハイドラント (2003/6/27 15:31:01) No.14523 ┣カオティック・サーガ――神魔英雄伝説:第一章――−オロシ・ハイドラント (2003/6/27 15:35:14) No.14524 ┃┣1:受肉−オロシ・ハイドラント (2003/6/27 15:36:16) No.14525 ┃┣2:ノーチェとアマネセル−オロシ・ハイドラント (2003/6/27 15:41:12) No.14526 ┃┣3:海王兄弟−オロシ・ハイドラント (2003/6/27 15:44:04) No.14527 ┃┣4:ガーヴの特訓−オロシ・ハイドラント (2003/6/27 15:46:08) No.14528 ┃┣5:ゼロスと獣王−オロシ・ハイドラント (2003/6/27 15:48:07) No.14529 ┃┣6:ジョーカー−オロシ・ハイドラント (2003/6/27 15:50:17) No.14530 ┃┗一章の後書:そして私は旅行へゆく−オロシ・ハイドラント (2003/6/27 16:05:00) No.14531 ┃ ┣ああ、時が見える……(注:単なる思いこみです)−エモーション (2003/6/29 22:32:47) No.14548 ┃ ┃┗Re:ああ、朱鷺(トキ)も見える……(注:意味はありません)−オロシ・ハイドラント (2003/7/1 18:39:45) No.14557 ┃ ┗降魔戦争・・・北の魔王様、あなたは何処?−夜宵 吹雪 (2003/7/2 19:36:18) No.14567 ┃ ┗Re:実は滅茶苦茶サブキャラの予定(魔王様)−オロシ・ハイドラント (2003/7/2 21:38:43) No.14573 ┗カオティック・サーガ:さらなる虚構への回廊−オロシ・ハイドラント (2003/7/2 19:36:02) No.14566 ┣一つの運命論−オロシ・ハイドラント (2003/7/2 19:53:09) No.14568 ┣二日目−オロシ・ハイドラント (2003/7/2 21:15:17) No.14570 ┗カオティック・サーガ――神魔英雄伝説:第二章――−オロシ・ハイドラント (2003/7/2 21:17:20) No.14571 ┣7:セフィードとアマネセル−オロシ・ハイドラント (2003/7/2 21:31:28) No.14572 ┃┗密室の謎を解いた銘探偵って……(笑)−エモーション (2003/7/3 22:16:51) No.14578 ┃ ┗Re:バレてしまいましたか……−オロシ・ハイドラント (2003/7/4 19:48:41) No.14581 ┣8:ノーチェと黒い騎士、主、妹−オロシ・ハイドラント (2003/7/4 20:51:25) No.14582 ┣9:ゼロスとマグナス−オロシ・ハイドラント (2003/7/4 21:06:26) No.14583 ┃┗Re:9:ゼロスとマグナス−氷月椋佳 (2003/7/5 09:41:21) No.14587 ┃ ┗Re:9:ゼロスとマグナス−オロシ・ハイドラント (2003/7/6 21:59:31) No.14595 ┣10:ガーヴとソブフ−オロシ・ハイドラント (2003/7/7 19:34:46) No.14599 ┃┗Re:10:ガーヴとソブフ−エモーション (2003/7/7 21:53:12) No.14600 ┃ ┗Re:10:ガーヴとソブフ−オロシ・ハイドラント (2003/7/8 20:57:02) No.14609 ┣11:スィヤーフ、セフィード、黒い薔薇−オロシ・ハイドラント (2003/7/9 20:05:51) No.14619 ┣12:贖罪−オロシ・ハイドラント (2003/7/9 20:19:58) No.14620 ┣13:覇王グラウシェラーと時の流れ−オロシ・ハイドラント (2003/7/9 20:49:39) No.14621 ┣14:フィブリゾとアマネセル−オロシ・ハイドラント (2003/7/9 20:52:40) No.14622 ┗二章の後書:最近時間があまりない−オロシ・ハイドラント (2003/7/9 21:03:38) No.14623 ┗複雑な魔族模様−エモーション (2003/7/10 22:48:05) No.14630 ┗Re:……正直、自分でも把握するの大変。−オロシ・ハイドラント (2003/7/13 17:17:53) No.14645
14521 | カオティック・サーガ:虚構へ続く扉の前にて | オロシ・ハイドラント URL | 2003/6/27 15:25:59 |
本当の前書き こんばんはラントです。 投稿は少し久しぶりに、なります。 それも、すべてこの作品を書き続けていたからです。 これは降魔戦争のお話です。 多分、前代未聞の降魔戦争ものじゃないかと思います。 それが、どのような効果を発揮するのかは、私には分かりません。 ご一読し、その味を確かめていただければ、この作品を書いた甲斐があるというものです。 拙い素人文章ではありますが、どうぞ時間的、体力的余裕のある方は……。 いざ、虚構へ続く扉を開いて……。 |
14522 | 一つの滅びの予言 | オロシ・ハイドラント URL | 2003/6/27 15:29:10 |
記事番号14521へのコメント 「聴きたい者の前には」とズームルッドはいった。「いずれにせよ、わたしは姿を見せるのです」 「あなたが?」 「物語が」 引用:古川日出男「アラビアの夜の種族」 始まりの日 七つの種より 人は生まれた 地上世界に君臨した人は 増殖を繰り返し すべてを手に入れた 世界は不変なる秩序に 保たれているかのように見える だが人の心は確実に乱れ 腐敗へと歩み始めている すべては種が汚れていたゆえ 七つの種は魔の種なり 人は邪だ 滅びねばならん 聖なる日に 神は降りよう その日 人はすべて地上より消え去り 新たな人が生まれるだろう 浄化さねばならん 魔を継ぐすべての人を…… |
14523 | 1日目 | オロシ・ハイドラント URL | 2003/6/27 15:31:01 |
記事番号14521へのコメント ブラドック・ガブリエラの降魔戦争解説 記:ローゼン・ハイランド ――1日目―― 降魔戦争を語る上で、まずはそれ以前の話もしておこうと思う。 かつて世界には、二つの力のみが存在した。 だが、二と呼ばれる数は共存をもたらさなかった。二つの存在は争うこととなった。 激しい戦いであった。 あまりにも長きに渡った戦いは神魔戦争という名ですでに有名だ。 やがて二つの存在は、自らの兵を創造し、戦火にさらなる拍車を掛けたと伝わっている。 その二つの存在は、後にこう呼ばれるようになる。 赤眼の魔王シャブラニグドゥと、赤の竜神スィーフィード。 勝敗がついたのは、四千年前だと言われている。人類が誕生したのもそんな頃だ。 結果は、赤眼の魔王が七つに断ち切られ、人の心に封じ込められた。だが赤の竜神も力尽き、四つの分身を残して滅び去った。 大体、これが正しいとされている。 だが本当にそうだろうか。 人は当時存在していたのか? 存在していなければ、人の心に封じ込めることも叶わぬ。 存在しているという説は確かにある。 至高神たる赤の竜神より人は生まれたのだ。つまり赤眼の魔王が滅びるより先に、人は誕生していた、というものだ。 だが、伝承や文献が非常に少ないため、対決の場面や、封印の瞬間を誰も目にしていない――つまり当時、人は存在していないのだろうという説もある。 どちらもあまりに愚かな意見だ。しかし、元よりすべて推論でしかないのだ。 神について論じるのは、異端に限りなく近い僧侶どもくらいなものだ。真の聖職者から聞いた話を組み合わせ、照らし合わせて、真実を知った気になっているだけだ。 とにかく、真相は誰も知らない。知る者がいようとも、まだ語られていない。いや私の生きるこの時代でも同じことだ。 当事者である神も魔も、人に知らせる気配などは未だにない。 しかし、真実を知る手掛かりはなくもない。 降魔戦争勃発のしばし前、「人には、邪な者が混ざっている」との話がどこからか漏れたのだ。 「魔を宿した人が世界を滅ぼす」そんな話もあった。 そういった話を流したのは、「予言者」と呼ばれるもの達だった。 だが、それらは、真偽うんぬんよりも、力ある国々に役立ったのではないだろうか。 それは、簡単なことだ。 「魔を宿した人が世界を滅ぼす」などは、大義名分に使えるのではないか。 迫害と同じだ。 相手を「魔」と決め付けて打ち滅ぼす。 適当な証拠をでっち上げれば良い。 つまり戦争の動機が出来たのだ。 そういった動機があれば、弱小国が提携を結んで、襲い掛かって来る心配などは薄れる。薄れるはずだと、当時の人間は思っていたのだろう。 野望に燃える国々は、兵を他国へと走らせた。 激しき戦火が世界中で巻き起こる。 争いを好まぬ国々も、相当脅えていたに違いない。 当時、安定していた国など、比較的新しいが強大な力を持つ、セイルーンくらいなものだ。 さて、この辺りで答えを言ってしまおう。 その方が良いだろう。 というわけで、言わせて頂く。 黒幕は魔族であったのだ。 「人には、邪な者が混ざっている」だの、 「魔を宿した人が世界を滅ぼす」だのと、始めに言ってくれたのは、人に扮した魔族なのだ。後から人伝に伝わっていった。 魔族は完全な偽りを語れぬという知識が正しいならば、多少の真実は混ざっていたのかも知れない。「邪な者」は、人の心に封じられた、赤眼の魔王についてのことだと言うものもいる。 そうだとしたら、推論を、少しは真実に近づけることが出来るかも知れない。 まあ、それよりも本題は降魔戦争だ。上手く繋がってくれたので、話を移し変えようと思う。 魔族の暗躍によって、人は随分と疲弊した。 なぜ魔族はそんなことをさせたのか、ということは置いておくとして、この後、世界はどうなったのだろうか? 歴史に少々詳しいものならば、分かるかも知れない。 人間達の争いに、傍観を決め込んでいた竜族、エルフ族などの高等種族――ちなみに誕生時期は全く不明だ――が、裏に潜むもの達に気付き始めた。つまり魔族が絡んでいることに……。 だが、それがあらかじめ予測されていたように、その頃になって急にデーモン―― ここでのデーモンは、下級の魔族のことを言う――が地上に溢れた。 詳しい目的は、竜達にも分かりかねたが、それでも彼らは討伐に向かった。 デーモンの数はあまりにも凄まじい量だったという。とはいえ、竜やエルフも伊達ではない。 確実に駆逐されていく。 わずか数日で、デーモンは相当、数を減らされた。 だが、ここからがすべての始まりだったのだ。 だったのだが、今日は少々疲れたので、これまでにしておこう。 |
14524 | カオティック・サーガ――神魔英雄伝説:第一章―― | オロシ・ハイドラント URL | 2003/6/27 15:35:14 |
記事番号14521へのコメント ――カオティック・サーガ―― この世には毒蛇と言うものがいないことをあたしは知っている。人は、ある蛇によって死に、ある蛇には影響を受けないで(咬まれても)平気で生きる。そして後者の蛇を無毒と見なす。決めたのは人の側だ。けれど、試してごらん。人間の唾液を他の動物に注入すれば、ある種の動物は死ぬから。それじゃあ、人間は有毒? あたしは本でそれを読んで学んだ。 引用:古川日出男「13」 ――神魔英雄伝説:第一章―― |
14525 | 1:受肉 | オロシ・ハイドラント URL | 2003/6/27 15:36:16 |
記事番号14524へのコメント ◇◆☆◇◆◇◆☆◇◆◇◆☆◇◆◇◆☆◇◆ ――1:受肉―― 「……計画は以上でございます」 彼は、長時間に渡る説明を終えた。 「本当に、上手くいくのだろうな?」 「ええ、信用出来ませんでしょうか?」 「……ふん、まあ良いわ」 「ということは……」 「貴様を信用してやることにする」 「……それは、大変光栄でございます」 彼はそう言って頭を下げた。 「……だが、言い出したのならば、必ず成功させろよ。」 「ええ、分かっておりますとも」 だが、彼は笑みを浮かべていた。 「……水竜王様」 邪悪な笑みを、浮かべていた。 ◇◆☆◇◆◇◆☆◇◆◇◆☆◇◆◇◆☆◇◆ |
14526 | 2:ノーチェとアマネセル | オロシ・ハイドラント URL | 2003/6/27 15:41:12 |
記事番号14524へのコメント ◇◆☆◇◆◇◆☆◇◆◇◆☆◇◆◇◆☆◇◆ ――2:ノーチェとアマネセル―― 魔族には、五人の王がいた。魔王の腹心とも呼ばれる存在だ。 魔王シャブラニグドゥという共通の王を亡くして四千年。この五人の王が実権を握っていた。 冥王(ヘルマスター)、魔竜王(カオス・ドラゴン)、覇王(ダイナスト)、海王(ディープシー)、獣王(グレーター・ビースト)の五人の王。 五人にはそれぞれ、息子、娘である部下がいた。 彼らの物語が、今幕を開ける。 静かな部屋は、闇が覆っている。 本当に微かな明かりだけが、二つのテーブルと、テーブル同士の隙間に出来た道の、その奥に置かれた椅子を照らしていた。 その椅子には、一人の少年が座っている。愛らしい少年だ。そしてそれ以上に美しい。 「命を賭けないゲームは嫌いなんだよ」 冥王(ヘルマスター)フィブリゾはいきなり自室に入り込み、チェスの試合を申し込んで来た少女にそう言った。 「……そうなんですか」 「僕の部下なら、それくらい知ってて当然だろ」 「……すみません」 蒼い聖服を着た、十七歳くらいの銀髪の少女――冥神官(プリーステス)ノーチェは跪いたまま、ばつの悪そうに頭を下げた。それでも眼前の幼い少年を上目遣いに眺めつつ。 「どうしたの?」 フィブリゾはそれに気付いた。見掛けは少々美しいだけの少年なのだが、経験は色々と豊富である。 「……いえ……」 「隠さなくて良いよ」 ノーチェに優しい声を掛けた。 すると彼女は、しばし躊躇していたようだが、 「実は……」 「うん」 フィブリゾの相槌によって、緊張から解放されて、 「実は、好きな人が出来たんです」 「……ふうん」 一見フィブリゾの反応は素っ気ないものに見えたが、違う。 「誰?」 その目は興味津々だ。 「……えっと……あの……」 「名前を知らない?」 どうにかノーチェからそこまでを聞き出せた。その「好きな人」は、一目会っただけの人物らしい。 「ええ」 「ダメだよ」 頷く彼女に、フィブリゾは知ったかのように言う。 「せめて特徴は?」 「えっと……あの人は黒髪で、結構短めでした」 「種族は?」 「分かりません」 「まさか神族じゃあないだろうね?」 「……さあ?」 「まあ良いや。それで、何で好きになったの?」 「……私に、笑顔を向けて来て……」 「それだけ?」 「……それだけです」 フィブリゾは、いったん息を吸い、 「以上、お疲れ様でした」 「ところで、任務の方はどうだい?」 すると、ノーチェの表情が変わる。俯き加減に、 「……すみません」 少女の美貌に陰が走る。 「ふうん」 フィブリゾが平然としている様を見て、彼女は少し安心したようだ。 「まあ、セイルーンだから、仕方ないよね」 フィブリゾは彼女に笑い掛けて、 「……じゃあデーモン召喚の方にやってよ」 「え!?」 ノーチェは呆然とする。表情が凍りついた。左遷という言葉が、脳裏に浮かぶ。 「だって予言を信じないんでしょ。それなら無駄なこと止めて、大人しくデーモン呼び出すための役やった方が良いと思うよ。ちょうど人手増やそうと思ってたし……」 「でも……」 何とか食い下がろうとする。 「大丈夫、デーモン係だって立派な仕事さ」 「ですが……」 フィブリゾは思い切って命令しようとしたが、 「……どうしたの?」 ノーチェの、その絶対的な思いを、その視線より感じて、訊ねてみた。 ノーチェは答えない。 静かな中で、何も変わらず時だけが過ぎた。変化を示すものはない。体内時計だけが、刻み続けた。 見詰め合って数分後。ノーチェはもの言わぬまま訴えていた。 フィブリゾは、急に視線を外す。やや重い溜息を吐いた。 そしてようやく、 「負けたよ。……アマネセルにデーモン係やるように言って来て」 「はい」 ノーチェは嬉しそうに退室した。 結局、わけは訊けなかったが、まあ良いと、フィブリゾは笑う。 「……夜が……明けていく」 眩いばかりに輝く銀髪を撫でながら、少女は空を見上げている。 すべての闇が、一条の光の元に取り払われ、白く染まり出す世界。 だが彼女の、世界との同化は、すぐに解ける。 「おお……姉か」 気配を感じて、後を振り返ったその時、 「……何してるの?」 ノーチェは、妹でもある冥将軍(ジェネラル)アマネセルにそう訊いた。 「夜明けを見ていたのだ」 アマネセルは、躊躇することなく即答した。 「そう」 ノーチェとアマネセル。二人の外見は、似ているといっても問題ないであろう。 ノーチェの銀髪の冷たい輝きと、アマネセルの温かな輝きは対照的なほどだが、上質な顔立ちと、夜の色の瞳は、双子のようにそっくりだ。 後は、アマネセルが、髪を後ろで束ねているのと、鎧じみた服を着ている部分くらいが明白な違いだろう。 「あなた、デーモン係に決まったから」 しばらく黙り込んだ後、不意にノーチェはそう言った。彼女も感傷に浸っていたのかも知れない。 「……我がデーモン係?」 アマネセルは少々驚いたようだが、半ばそれを受け止めているようにも見えた。 「そうよ。よろしく」 「……仕方ない、姉が言うのだからな」 渋々、彼女は頷いた。 「ところで、毎回思うんだけど、その「姉」っていうの止めてくれない」 「……じゃあどう呼べば良いのだ?」 「えっと……」 そして、ノーチェが考え込んでいる内にアマネセルは、 「我は朝食を取って来る」 そう言って空間を渡り、消えた。 ノーチェは小さな溜息を吐く。 安堵の溜息だ。 セイルーンには、「あの人」がいた。 たった一目で、心を惹かれた。 浴びせられた、一瞬の微笑みは、彼女の脳内で生き続けている。 名前も知らない、言葉さえ交わしたことのない「あの人」。 奇跡の出会い。「あの人」との出会い。 アマネセルにとって、姉は第二の主君ともいえた。口には出さないが、そうだった。 そして彼女は、騎士だった。 二人の主君を護る騎士。誰も滅ぼさせはしない。 今、また誓った。 ◇◆☆◇◆◇◆☆◇◆◇◆☆◇◆◇◆☆◇◆ |
14527 | 3:海王兄弟 | オロシ・ハイドラント URL | 2003/6/27 15:44:04 |
記事番号14524へのコメント ◇◆☆◇◆◇◆☆◇◆◇◆☆◇◆◇◆☆◇◆ ――3:海王兄弟―― 「ああ、なぜ俺がデーモン係。……なんという悲劇なのだ!」 己に酔い痴れたような口調で、海王将軍(ジェネラル)スィヤーフは独り叫んだ。 鮮麗な光沢を見せる黒髪に、神秘的な真紅の瞳、雪のような白い肌に似合わぬ逞しさ、漆黒のタキシード、手に持つ美しい黒薔薇。陰の差した表情が、悲劇的なムードを造り上げている。 バックで重低音が鳴響くかのようだ。 「ああ、薔薇よ。お前だけが唯一の友だ」 彼は薔薇に口付けし、高く掲げ上げた。 そして、洗練されたステップで踊り出す。 その絶妙のリズムは、春風のように静かでありつつ、暴風の如く大胆な舞い。 足音が世界を崩壊させ、作り変える。美しく鮮やかに……。 紅い絨毯の小さな部屋は、無限に広がる宇宙へと生まれ変わる。 蝶が舞い、風が運んだ花びらが空中で小鳥に変わる。嵐がすべてを洗い流しても、天使の矢が正体を現した邪悪な竜の喉元を撃つ。 「兄様、馬鹿?」 「なっ!?」 だが、その一言がすべてを破滅へ導いた。 気付けば、ただの小さな部屋。スィヤーフの幻想は、すべて崩れてしまった。 彼は、痴態を目撃されてしまったのだ。 「……いっ、いや、セフィード、これはだな……」 非常に気まずそうなスィヤーフ。 「全部、見てる。ごまかせないよ」 「うっ」 そこに姿を見せたのは、白い服に身を包んだ小さな少年。銀髪碧眼で、スィヤーフとは対比を成す。 「それに、そんな汚らしい薔薇なんて持って……捨てた方が良いよ」 だが、硬直していたスィヤーフは、その言葉を受けて急に怒り出した。 「お前……俺のことならまだしも、俺の薔薇をけなすとは!」 恥ずかしさが、それに拍車を掛けていたのかも知れない。とにかく大声であった。 「だって汚いよ。兄様に似て、ね」 その可愛らしい笑い声も、彼にとっては悪魔の声にしか聴こえない。 目撃者。彼の弟。 「お前……」 スィヤーフは強く拳を握り締め、 「……殺すぞ」 「殺せるものならね」 それが引き金だった。 一陣の颶風に乗せて拳が走る。 それは徐々に速度を上げ、あくまで馬鹿にした態度の弟へ向けて…… そして、 ボフッ! 目を閉じた瞬間、炸裂する一撃。 感触が、スィヤーフ本人にも鮮明に伝わって来た。 だが、 「痛ぁいっ!!」 目を開けば、そこにいたのは…… 「海王様っ!?」 彼のそれよりも鮮やかな黒髪の、麗しき美女。彼女の頬に、拳がめり込んでいた。 「……スィヤーフ」 彼女は頬を押さえつつ、急に真剣な表情になった。 「はっ、はい」 視線が刺すように痛い。 「これは……どういうことかしら?」 そして、僅かに美女が笑った瞬間、 「ひっ!」 衝撃が走り、スィヤーフが後方へ吹き飛ばされた。 「私がセフィードちゃんを庇ってなければ、どうなってたか分かる、かしら?」 彼の生みの親にして、海王(ディープシー)と呼ばれる大魔族ダルフィンが、静かな怒りを見せている。 背後では、海王神官(プリースト)セフィードが笑って見ている。彼は白百合を愛でていた。 「すっ、すみませ……」 やがて声までも失い、そして白目を剥いて気絶した。 「くそっ!」 海王宮と呼ばれる巨大な宮殿の一角にある自室で、彼スィヤーフは、寝台の上の枕を殴りつけていた。何度も何度も……。 「くそっ! セフィードめ! セフィードめがあああっ!」 些末なことに過ぎないが、思えばいつもこうだった。 彼の薔薇を遊び半分で焼き焦がした弟を、咎めた時、海王に折檻を受けた。 海王の誕生日、弟の方がプレゼントの質が良かっただけで、ひどく叱られた。 仕返しにと、弟の大切にする百合を盗んだ時などは、真に滅びを覚悟した。 食事のレヴェルが全く違う時もあり、「成長期」という魔族には全く関係のないことで片付けられた。 どうにも、弟であるセフィードだけが一方的に得をする。いや、海王が意図的に得をさせている。 お陰で、セフィードは悪魔的な知恵を身に着けていった。彼が味わった苦汁は数え切れないほどだ。 「殺してやる! いつか殺してやる!! あんなやつは滅びれば良いんだ!!」 スィヤーフは、弟を恨んでいた。 その感情が消えることなど、夢にさえも見なかった。 消えることなど……。 セフィードは兄を慕っていた。 兄は、勇敢な戦士だと思っている。 覚えているかは知らないが、魔族の最大の敵である神々に、襲撃を受け、ついに滅びを覚悟した時、兄は彼を救ってくれた。 だが兄は、海王にそれを当然のことと言われたため、自分の不遇リストに加えていることだろう。 セフィードは兄を慕っている。 だが同時に、不遇の役を演じさせている。 想いと、行動は矛盾し続けた。 痛い。 だがこれが自然なのだ。 彼の自然的な行動に過ぎないのだ。 百合を愛で、薔薇を毛嫌う彼と、その逆である兄。 ゆえに、自分の存在が兄を傷付けている。 セフィードは兄を慕い、自らを呪った。 セフィードは、予言係という役に就いている。 ◇◆☆◇◆◇◆☆◇◆◇◆☆◇◆◇◆☆◇◆ |
14528 | 4:ガーヴの特訓 | オロシ・ハイドラント URL | 2003/6/27 15:46:08 |
記事番号14524へのコメント ◇◆☆◇◆◇◆☆◇◆◇◆☆◇◆◇◆☆◇◆ ――4:ガーヴの特訓―― 魔竜王(カオス・ドラゴン)ガーヴは独り、剣の素振りをしていた。 疎らに木々の生えた空間、気配は少しも感じられない。 無言で、ただ剣先を見詰め続ける。 風に吹かれ、森の梢が歌い出す。その音も聴こえない。 何度も、何度も振り続けていた。 彼も充分な偉丈夫ではあるが、その巨大な剣を振り続けることは容易ではない。焔のような赤毛は、汗の海の中、灼熱の嵐に、もがいていた。 「魔竜王様」 そこへ急に声が掛かった。それと同時に気配が生まれる。 空間転移し現れた竜神官(プリースト)ラルタークは、 「御朝食の準備が、ただいま整いました」 ガーヴの腕が途端に止まる。 老執事を思わせる風貌のラルタークに向けて、 「後、で、行く」 「まだお続けになられるのですか?」 ラルタークはその有無を言わせぬような口調に対しても、冷静に切り返した。その汗と、呼吸の荒さから、ガーヴの疲れを察したようだ。 「あ、ああ」 「それほど、次の戦いは激しくなるのですな」 「……当然だ」 (それに……このままじゃ、あいつには……) ラルタークはついに観念し、 「では」 来る時と、同じように消え去った。 ガーヴは再び、剣を振り始めた。 赤毛の剣士は、ただがむしゃらに……。 ただ強くなるために……。 (……あいつには、勝てねえ) ガーヴは戦いに執着していた。 彼は、その中でしか、生きる意味を見出せなかった。 ただ、自分を上回る力を持った冥王フィブリゾと、自分を生んだ魔王シャブラニグドゥを妬んでいた。 もし越えられるのならば、越えたかった。 そして、この前も苦渋を舐めさせられた。 ガーヴは強くなりたかった。 本当に、どんな方法を使ってでも、強くなりたかったのかも知れない。 どんな方法でも…… ◇◆☆◇◆◇◆☆◇◆◇◆☆◇◆◇◆☆◇◆ |
14529 | 5:ゼロスと獣王 | オロシ・ハイドラント URL | 2003/6/27 15:48:07 |
記事番号14524へのコメント ◇◆☆◇◆◇◆☆◇◆◇◆☆◇◆◇◆☆◇◆ ――5:ゼロスと獣王―― 「……該当者なし、と。さて、次はサイラーグ・シティですね」 獣神官(プリースト)ゼロスは微かに笑った。黒髪を肩近くで切り揃え、神官衣を身に着けた青年である。 そしてキーボードを再び打ち始める。 魔道製のコンピュータの画面が切り替わった。街の全体図のようなものが映っている。 それが、拡大を始めた。 そして小さな四角形と、いくつかの丸だけが画面を占める。 急に、コンピュータが読み込みを始めた。 ゼロスは微かな期待を抱きつつも、画面から目をそらす。 「獣王様、コーヒーを持って来てください」 「何か、主従が逆転していないか?」 コーヒーを運んで来た、金髪で小麦色の肌の美女、獣王(グレーター・ビースト)ゼラスは、機械ばかりが並ぶ部屋に、着いた途端にそう言った。 「気のせいですよ」 ゼロスはそう言って、 「ここに置いといてください」 自分の右側にあるスペースを指した。 「しかしだな……」 「だから、コンピューターが使えるのは僕だけですし、その間、獣王様が出来ることといったら、こういうことしかありませんよ」 「…………」 ゼラスは大人しく、コーヒーを置く。 「それに獣王様の愛のこもったコーヒーでないと僕は」 ボフッ! 「何が愛だ!」 ゼラスの拳が、ゼロス脳天を捉えた。 「何で殴るんですかぁ?」 「うるさい! それより、はかどっているんだろうな?」 憤慨したゼラスの声。顔が赤く染まっている。 対して、ゼロスはすぐに笑顔に戻り、 「ええ、現在サイラーグを調べてま……おっと」 「どうした?」 急に画面に食い入ったゼロスに、驚くゼラス。 「すっ、凄いですよ」 そんな彼女にゼロスは、 「もの凄い偶然です。該当者、発見いたしました」 ゼロスは、むなしいと思っていた。 神々と戦うだけの、魔族と……自分を。 それでも、思いを封印し続けていた。 この世界に生きるがために……。 ◇◆☆◇◆◇◆☆◇◆◇◆☆◇◆◇◆☆◇◆ |
14530 | 6:ジョーカー | オロシ・ハイドラント URL | 2003/6/27 15:50:17 |
記事番号14524へのコメント ◇◆☆◇◆◇◆☆◇◆◇◆☆◇◆◇◆☆◇◆ ――6:ジョーカー―― 白亜の壁面に囲まれた部屋は、冷たい空気を孕んでいた。 硝子のテーブルに肩肘を付き、正面の壁に掛かった絵画を見詰めているノーストは、小さく溜息を吐いた。 息吹はテーブルに浴びせられ、その一区画が少し曇った。 その光景を観察するのは、部屋の隅の観葉植物のみ。 「……ついに、か」 覇王将軍(ジャネラル)の一人であるノーストは、首を傾け、透明なテーブル越しに地面を見る。綺麗な灰色のカーペットが敷かれている。 また、床と同時に自らの姿が照らされた。銀の髪、白き肌、瞳の滄海、美貌を引き立てる白き衣。弱々しさこそ感じさせるも、確かに容姿は美しい。 微かに、表情を崩して笑った。 「コーヒーを頼む」 誰かに掛けるものとは思えぬ、小さく力のない声であった。 天井に視線を移す。照明は、冬の太陽にも見えた。 放射冷却。くだらない言葉を心に仕舞った。 「……どう動く?」 ノーストは、スパイ活動をしていた。 神族達の調査を……。 彼でなければ出来ぬ仕事であった。容易なことであるはずがない。 叡智に長け、冷静を欠かぬ、自らの肉体。自らの精神。 誇りに思っている。 だが、その反面…… 「そして、どう動くべきだ?」 冷静な表情。真っ白な世界に鮮明に映し出される。 どこからともなく、コーヒーカップが出現した。中にはブラックコーヒーが湛えられている。 しかし驚きなどせずに、すぐさま手に取る。温もりを感じた。 息を吹き掛ける。波立つ水面。 「魔族など……滅ぶべきだろうか?」 冷徹な表情だ。悲哀はない。元より、必要なかった。 湯気が、美貌を曇らせる。だがむしろ引き立って見えた。 「世界も……いらないか?」 悩んだ様子はない。ただ、恐れている。 ノーストは脅えていた。得体の知れぬものに……。 そして、脅えを隠していた。 コーヒーを口に含んだ。熱い水流が、体内にゆき渡り、焦がし始める。 カツン、とやや大きな音がして、コーヒーカップが置かれ、中身が揺れた。寸前のところで溢れはしなかった。 「なぜだっ! なぜ躊躇う」 それは虚勢を張る犬に似た憤慨であった。 「やつと、組めれば……」 コーヒーカップの取っ手を強く握り締める。腕が震えて、カップが揺れた。 今度はコーヒーが宙を舞い、腕に零れて浸透していった。 ノーストはしばし、その痛みを味わっていたが、不意に哀しげな表情を浮かべ、 「姉上……」 再び、壁の絵画を見た。 そこには、美しき美女の姿。 そう美しい。ノースト自身に似た容貌だが、生身の彼よりもなお美しい。 それが絵画化による誇張でないことを、彼は知っている。 「姉上……」 美しき姉。ネージュ。 雪のように儚く消えた。彼の最愛の人。 だが、その絵は彼を見ていない。見ていないのだ。 「私は、どうすれば……良いのですか?」 ノーストは、デーモン召喚係を引き受けることとなった。覇王軍ではその役を行なうのは彼一人だ。他は全員別役で、彼と同格のの他の三人はすべて何の役にもついていない。 なぜ、自分が? とはいえ、上の命令は、一応絶対だ。 彼は、それには従うことにした。 だが、作戦当日は待機させてもらおう。 そして、その時には…… ◇◆☆◇◆◇◆☆◇◆◇◆☆◇◆◇◆☆◇◆ |
14531 | 一章の後書:そして私は旅行へゆく | オロシ・ハイドラント URL | 2003/6/27 16:05:00 |
記事番号14524へのコメント こんばんはラントです。 私、明日から二泊三日の旅行に赴くため、更新が出来ないので、今の内に一章すべてアップしておきました。 長かったでしょうか? 顔見せに過ぎない場面で、ページとりすぎかも知れません(原稿用紙で三十枚分くらいかな)。 ちなみに、この物語には主人公と呼ばれるものがいません。 ですので、一人のお気に入りキャラに注目して、そのキャラの辿る運命に一喜一憂するのも、なかなか良い方法かと。 お気に入りキャラの出て来るエピソードだけを読む、という方法も実は可能かも知れません(未調査)。 もし、特定のエピソードだけを……という時は、記事タイトルを参照にすると良いかと思います。 さて、二章は、一章の続きと降魔戦争直前のエピソードです。 三章は降魔戦争、四章が最終決戦となっております。 そして、すべてを読み終えたあなたは、一体何を見ることとなるのでしょうか? それでは、これで失礼致します。 |
14548 | ああ、時が見える……(注:単なる思いこみです) | エモーション E-mail | 2003/6/29 22:32:47 |
記事番号14531へのコメント こんばんは。 始まりましたね、降魔戦争編。 「ブギーポップ」風に、各エピソードごとに、メインになるキャラが 違う形になるのでしょうか。 「神魔戦争」編とは大分、趣の変わったキャラもいれば、新しいキャラも 登場していますね。 ……ノリはカインとアベルかな、と言った感じの、(海王様の扱いも カイン、アベルにおける神みたいな感じですし)妙に兄弟仲の悪い (と言いますか、複雑に愛憎入り交じっていると言いますか)方々も おられるようですが。 一章は降魔戦争前の魔族側のご様子でしたが、二章以降では、竜族や人間の 話はあるのでしょうか。 まだ始まったばかり、なのでこの先どうなるのかな、と楽しみです。 それでは、短いですがこの辺で失礼いたします。 続きを楽しみにしています。 |
14557 | Re:ああ、朱鷺(トキ)も見える……(注:意味はありません) | オロシ・ハイドラント URL | 2003/7/1 18:39:45 |
記事番号14548へのコメント >こんばんは。 こんばんは。 > >始まりましたね、降魔戦争編。 まあほんの断片でしかありませんが(長すぎるぞ) >「ブギーポップ」風に、各エピソードごとに、メインになるキャラが >違う形になるのでしょうか。 ブギーポップは未読なので分かりませんが、色々入れ替わったり、入り混じったりします。 はっきり言って、誰が主役か分からないです(私が主役だろ! と思うキャラは未登場ですし) >「神魔戦争」編とは大分、趣の変わったキャラもいれば、新しいキャラも >登場していますね。 以前の話の設定を使うと、随分ややこしいものになりそうですので、全く新しい状態から始めました。 ある意味で、「神魔」の並列世界みたいな感じです。 >……ノリはカインとアベルかな、と言った感じの、(海王様の扱いも >カイン、アベルにおける神みたいな感じですし)妙に兄弟仲の悪い >(と言いますか、複雑に愛憎入り交じっていると言いますか)方々も >おられるようですが。 ええ、珂允と襾鈴(なぜ麻耶?)です。 と同時に、我が家の兄弟関係にも似てるかも(脚色大ありですけど)。 > >一章は降魔戦争前の魔族側のご様子でしたが、二章以降では、竜族や人間の >話はあるのでしょうか。 やはり、魔族メインですけど人間なども出ます。ちょっとだけ。 >まだ始まったばかり、なのでこの先どうなるのかな、と楽しみです。 どうも嬉しいです。 本日は、読むにも書くにも充分な余裕はなさそうですが、明日には二章が始まるかと思います。 > >それでは、短いですがこの辺で失礼いたします。 >続きを楽しみにしています。 それでは、どうもありがとうございました。 |
14567 | 降魔戦争・・・北の魔王様、あなたは何処? | 夜宵 吹雪 E-mail | 2003/7/2 19:36:18 |
記事番号14531へのコメント どうもお久しぶりです。 降魔戦争。前振りとかがすごく意味深でステキです。 個人的に海王さまの所のエピソードがお気に入りです。 兄弟がいる方は一度は経験してるのではないかと。生々しいなあ、我が意見ながら(←妹がいる) なんか弟君の行動を見ていると、とても慕ってるようには見えないのです。 照れ隠しでしょうか? 覇王のノースト。 ・・・・・一瞬シスコンと思った私は、滅殺されるべきでしょうか? ノーストは・・・やっぱ冷酷なイメージが定着していますね〜。 私は未登場の神官、将軍は出してないんですよね・・・・・。 何か情報ありましたら、提供お願いしますね。 複雑な人間模様で何が起こるのかわからないので、とても楽しみです。 旅行お疲れ様でした! それでは! |
14573 | Re:実は滅茶苦茶サブキャラの予定(魔王様) | オロシ・ハイドラント URL | 2003/7/2 21:38:43 |
記事番号14567へのコメント >どうもお久しぶりです。 こんばんはラントです。 >降魔戦争。前振りとかがすごく意味深でステキです。 ええ、色々と意味があったりします。 複雑すぎるかも知れませんが……。 > >個人的に海王さまの所のエピソードがお気に入りです。 どうもです。 >兄弟がいる方は一度は経験してるのではないかと。生々しいなあ、我が意見ながら(←妹がいる) 私も実際弟いて、大体あんな感じですから。 >なんか弟君の行動を見ていると、とても慕ってるようには見えないのです。 >照れ隠しでしょうか? さあ? どうなのでしょうか? 私は兄貴側なので弟の心理は分かりません。 > >覇王のノースト。 >・・・・・一瞬シスコンと思った私は、滅殺されるべきでしょうか? ううん。大丈夫です。 正真正銘のシスコンですから。 >ノーストは・・・やっぱ冷酷なイメージが定着していますね〜。 >私は未登場の神官、将軍は出してないんですよね・・・・・。 >何か情報ありましたら、提供お願いしますね。 未登場の神官将軍は、後の方でチラッとでます。 もろサブキャラですが……。 > >複雑な人間模様で何が起こるのかわからないので、とても楽しみです。 限られた中でドラマを展開していくのは大変ですが、何とかがんばってみます(でも、ほとんど完成してるんだよなあ)。 > >旅行お疲れ様でした! どうもです。 >それでは! > > 本当にレスどうもです。 夜宵吹雪さんの小説、時間なくて全然読めてませんが、いずれ時間造って読みたいと思いますので……。 それでは、どうもありがとうございます。 さようなら。 また会う日まで……。 |
14566 | カオティック・サーガ:さらなる虚構への回廊 | オロシ・ハイドラント URL | 2003/7/2 19:36:02 |
記事番号14521へのコメント こんばんはラントです。 第二章公開……となりましたが、やはり無駄に長いです。 色々絡めたり、(陳腐な)ドラマを描くためには、やはりページが必要でして……。 まあゆっくりと気長に読んでいってくださると嬉しいです。 文章、粗いですが……。 それでは、一人でも多くの方がこの物語の結末に辿り着くことを願いつつ、私という邪魔ものは早々に消えます。 さようなら……。 |
14568 | 一つの運命論 | オロシ・ハイドラント URL | 2003/7/2 19:53:09 |
記事番号14566へのコメント すべては定められている すべてが最高のストーリーだ |
14570 | 二日目 | オロシ・ハイドラント URL | 2003/7/2 21:15:17 |
記事番号14566へのコメント ◇◆☆◇◆◇◆☆◇◆◇◆☆◇◆◇◆☆◇◆ ――二日目―― さて、二日目となる。 睡眠は充分に取ったはずなのだが、少々眠い。 しかし、続けることにしよう。 具体的な話もしておきたいと思った。 だから、人間達の争いについてを話そうと思う。 影響を受けなかったのは、昨日も言ったが、セイルーン程度だ。 そして、そのセイルーンに対しても、予言――と呼ぶことにしよう。不愉快だが――は届いていた。 だがなぜ、セイルーンは影響を受けなかったのか? あまり有名ではない伝承に登場する「セイルーンの守り神」が、守ってくれたなどという説もあるが、それは完全な虚構だと思われる。無視しよう。 揺るぎなき正義によって、狂気の色に染まらずに済んだと考えた方が、まだマシだ。 とにかく、このことについては資料不足のため、言及を避けておくことにする。 失礼した。 次に、実際に予言の影響を受けた国を、一つ紹介しよう。 ハーディヌスと呼ばれる王国だ。今はない。 勢力はけして弱い国ではなかった。むしろ強国に入る部類だろう。 予言は、王都のメインストリートで、妖しげな予言者から伝えられた。予言者の放つ威光は、今思えば邪悪なものであったらしい。 始めに予言を知った王族は、五人の王子の四人目であった。王は随分と老いているため、けして若い王子ではない。 彼は、仲の良かった二番目の王子に相談した。歳はさほど違わなかった。 二番目の王子は、気にするなと言った。 四番目の王子は、言われた通りに忘れることにした。 そして少し経って、噂は本格的に広まった。すぐさま王侯貴族のほとんどに、その予言はゆき届いた。 そして国は変わった。 王はしばし躊躇っていたが、他国へ軍を送り出した。一番上の王子は大賛成した。理由は言うまでもない。 ハーディヌスは大勝した。見込んだ通りだ。 周りの国には、邪な輩を駆逐しただけだと言い訳した。さらに、自らの国を「聖王国」と名乗ることで、他国の表立った行動を封じさせた。 単純だが、それなりの効果はあった。発言力の弱い単独の国ばかりを狙うために、「同盟軍」などという輩と、戦うような事態は起らなかった。 単にハーディヌスが強国だったため、小国達は同盟を組んでも勝てないと、踏んだだけなのかも知れないが……。 とにかく、少々恨まれようが、ハーディヌスは版図を一気に膨張させた。 王は喜び、第一王子はさらに感激した。 内乱などは少々あったが、それもどんどん下火になってゆく。 王は喜び、第一王子はさらに感激した。 しかし、災いは不意に訪れる。 第一王子が死亡して、同じ年に王が亡くなった。 王は病死だったが、第一王子は宝剣で胸を刺され、死んでいた。 当然、二番目の王子の仕業である。 二番目の王子は、四番目の王子に情報を聞いた時から、殺人計画を練っていたのだ。 また、王子殺害は密室殺人というものだったらしい。 詳しくは知らないが、開錠の術と様々なトリックを駆使した、巧妙で奇怪なものであったらしい。そうとだけ、資料に書いてあった。 二番目の王子は、術を使えなかった。使えなかったはずだったのだ。だから真っ先には疑われなかった。 結局は、銘探偵を名乗るものによって暴かれたのだが、それでも王子は、「第一王子は邪悪なものだったのだ。俺はあいつが魔のものと取引していたのを見たんだ」と発言した。 適当に、証拠も捏造したと思われる。 自供をしなかったことに関しては「天罰だと思わせたかった」と言っただけで、周りは一応納得を示した。全く馬鹿な世の中だ。 こうして、二番目の王子は即位した。 だが、これで話は終わらなかった。 王となった二番目の王子と親しかった四番目の王子――王の側近は、彼に甘言を漏らした。 予言者の力を本格的に利用しないかと。 つまり予言者――魔族の力を借りて、さらなる発展を遂げようと……。 一時は憤慨したが、当時の人間は今では考えられぬほど愚かであった。誘惑された。 四番目の王子であった側近は、迅速に王と予言者とを引き合わせた。 そして契りはなされた。 周辺諸国は、前にも増したスピードで、ハーディヌスに吸収された。 内乱は予言者の――邪悪な――威光により、鎮められた。 王と側近を邪悪だと呼ぶものは、すべて始末された。三番目と、五番目の王子を含めて……。 超大国ハーディヌスはこうして成された。 ちなみに、その予言者の名は知られていないが、恐らくかなり強力な魔族だったのだろう。 運の尽きは、デーモンの跋扈の時であった。 その時、大国ハーディヌスは終わりを迎えた。 それについては控えておこう。 さて、今回は脇道にそれたかも知れないが、明日は一気に進展するつもりだ。 ◇◆☆◇◆◇◆☆◇◆◇◆☆◇◆◇◆☆◇◆ もし分かりにくかったらすみません。 これ以降もそうですが、すぐさま解説致しますので……。 |
14571 | カオティック・サーガ――神魔英雄伝説:第二章―― | オロシ・ハイドラント URL | 2003/7/2 21:17:20 |
記事番号14566へのコメント ――カオティック・サーガ―― 「この世には不思議なことなど何もないのだよ、関口君」 引用:京極夏彦「姑獲鳥の夏」 ――神魔英雄伝説:第二章―― |
14572 | 7:セフィードとアマネセル | オロシ・ハイドラント URL | 2003/7/2 21:31:28 |
記事番号14571へのコメント ◇◆☆◇◆◇◆☆◇◆◇◆☆◇◆◇◆☆◇◆ ――神魔英雄伝説―― ――7:セフィードとアマネセル―― 「姉ちゃん」 冥王宮には本宮の二つの塔がある。その左側――暁の塔の屋根に寝転んでいたアマネセルは、その声に反応し、 「セフィードか?」 「そうだよ」 横に倒れ込んだセフィードは、彼女と同じ体勢となった。尖塔だが、足場の傾斜はさほどでなく、面積もそこそこ広い。 「それで、何の用だ?」 アマネセルは無理にもそう言った。 陽射しが照りつける。熱を孕んだ風が通り過ぎる。雄大な雲が目を惹いた。 力強さはどこか切ない。過去の輝かしい日々と、暗い日々が混ざり合って蘇って来る。 どちらかと言えば、心地が良い。 魔族にとっても、それは心地良かった。精神生命体である魔族達は、彼らの住む精神世界――魔界とも呼ばれる――では比較的穏やかな性質なのだ。 「理由はないよ」 しばらくして、セフィードは答える。 「そうか」 視線が触れ合った。セフィードは焦ったように、素早く空の方へと逃がす。 「気持ち良いね」 今度は、空を見て言った。 「全部、造りものだがな」 苦笑しつつ答えたアマネセルは、どこか哀しげだった。そして儚げ。 「ところで、デーモン係なんだって」 セフィードはアマネセルの表情に気付いたようで、無理にも話題を切り出した。 「ああ」 弱々しく答える。 「兄様と同じだね」 「スィヤーフか?」 思えば、スィヤーフとは何度か共闘した。 薔薇を崇拝するような性質は苦手だったが、それでも好感は持てた。 「うん。あの馬鹿だよ」 確かに馬鹿なやつだ。 美しい容姿には、似合うのか似合わないのかは分からないが……。 「お前は、あいつが好きなんだな」 海王将軍の姿を思い出しつつ、彼女はそう発した。 「へ?」 セフィードは意外に思ったようだが。 「スィヤーフのことが、好きなんだろ」 「だから……何で?」 アマネセルは笑った。微笑んだ。 午後の風に、溶け込むような笑顔をしていた。 銀髪が黄金色に輝き、儚くとも、弱々しくとも、美しかった。 そのアマネセルは、女神にも見えた。 「我が説明することではない」 そしてセフィードの表情を伺い、 「自分が一番分かっているはずだ」 「僕が?」 アマネセルはやや起き上がり、軽く頷いた。 「あんな馬鹿みたいな男が、好きだっていうの?」 「そうだ。兄弟愛というやつだろう」 今度は、言葉を交えて頷く。 「兄弟愛?」 魔族にそんなものがあっただろうか? 言って、彼女は少し疑問に思った。 確かに、存在するのかも知れない。 だが、まやかしではないのか? 「馬鹿馬鹿しいよ。兄弟愛、なんてさ」 アマネセルは、姉を慕っている。 だが、それも幻想ではないのか? 兄弟愛を、否定する材料はないのだが、何気なくそう思ってしまった。 「……そうか」 「そうだよ」 それに、もし彼女自身が、愛などというものを抱いていようとも、自分以外がどうなのかは分からない。 生まれてさほど経たない時期、自分以外の全存在を、すべて操り人形ではないかと考えたことがあるように。世界で自分だけが、意志を持っていると考えたように。自分以外のことは本当に分からないのだ。 「魔族に、愛はいらないよ」 その言葉は恐らく正しい。 正しいのだろう。理由はない。 「そうかも知れんな」 「そうだよ」 信じたくなる。不思議だ。 この少年が語るがゆえか? この少年が、彼女の主君に似ているがゆえか? そういうものではないだろう。 「そうかも知れん」 繰り返した。 「そうかも知れん」 泣きたかったのかも知れない。だが涙は出なかった。 少年は何も言って来ない。 「……だが、あいつを悲しませるな」 「スィヤーフ?」 訊ねる声も、静かだった。 頷く。 それから沈黙。空だけが不変。 雲が旅をする。蒼穹の大草原を少しずつ進んでいく。 偽りの太陽が、燦々と照りつける。偽りの太陽が……。 小鳥が横切った。これも演出に過ぎない。 「……分かったよ」 穏やかな景色の中、セフィードはようやく口を開けた。 アマネセルは起き上がり、 「そろそろ、我はいかなきゃならん。デーモン係は準備が多いからな」 そう告げた。 「分かったよ。でも、もう少しここにいさせて」 アマネセルは何も言わずに消え去る。 セフィードは考えた。 どういう意味だろう。 どういう意味だろう。 ……兄は悲しむのか? もし、そうなるとすれば……。 せめて、兄に喜ばれることをしよう。 兄は、大切な人なのだ。 愛などいらない、はずがない。 それにしても、アマネセルは不思議な女だ。 見えた。 セフィードの元を去ってしばし、アマネセルは絶望を予感した。 ◇◆☆◇◆◇◆☆◇◆◇◆☆◇◆◇◆☆◇◆ |
14578 | 密室の謎を解いた銘探偵って……(笑) | エモーション E-mail | 2003/7/3 22:16:51 |
記事番号14572へのコメント ……まさか、メルなんて名前で、タキシードにバラの花。スッテキ持って、 「月の光は愛のメッセージ」とか言う方とか(笑) こんばんは。 昨夜のうちに感想つけたかったです。すみません。 第二章、開始ですね。 何故か第二王子の密室トリック、というより何故、密室にする必要があったのだろう? というどーでも良いことが気になってます……(汗) 第二王子よ、犯人を特定できる証拠を残さないことだけに神経を集中し、 現場の状態は、いつでも誰でも好き勝手に出入り自由にした方が、むしろ 犯人特定しにくいと思うよ、私は……。(お茶をすする) でも銘探偵が相手では、同じなのかも。 セフィードさんとアマネセルさん。 立場的にはそれぞれ兄弟姉妹の、弟、妹になるこの二人は、仲がよい方なのですね。 アマネセルさんの方が姉貴分のようですが。 彼女にはスィヤーフさんとセフィードさんの、微妙な感情の緊張状態が、 見えているのでしょうか。 魔族の兄弟愛……それっぽいものはあるのでしょうね。これをどう表現したら 良いのか分からない、というのが。 さて、この先、どう展開していくのでしょうか。楽しみです。 それでは、この辺で失礼いたします。 |
14581 | Re:バレてしまいましたか…… | オロシ・ハイドラント URL | 2003/7/4 19:48:41 |
記事番号14578へのコメント >……まさか、メルなんて名前で、タキシードにバラの花。スッテキ持って、 >「月の光は愛のメッセージ」とか言う方とか(笑) ううむ、この時代にタキシードが存在するならば……(タキシードがいつの時代からあるものなのか、全く検討もつかない私)。 まあ、普通の方ではないと思います。 > >こんばんは。 こんばんは。 >昨夜のうちに感想つけたかったです。すみません。 いえ、感想はいつだって嬉しいものです。 それに、私は私で、昨日、次の話入れ損ねましたし。 >第二章、開始ですね。 間が空いたような、全然そうでもないような、です。 >何故か第二王子の密室トリック、というより何故、密室にする必要があったのだろう? >というどーでも良いことが気になってます……(汗) >第二王子よ、犯人を特定できる証拠を残さないことだけに神経を集中し、 >現場の状態は、いつでも誰でも好き勝手に出入り自由にした方が、むしろ >犯人特定しにくいと思うよ、私は……。(お茶をすする) 密室殺人を行なった理由として、考えられるもの。 1:とにかく、密室にすればうまくいくと思い込んでいた。 2:密室が、第一王子を貶めることに貢献していた。 3:不可能犯罪を行なうことで、天罰が下したと思い込みたかった。 4:天罰代行者という犯行動機(建前の動機)を造るためには、密室にする必然性があるように感じてしまった。 5:計画を考えている内に、密室の魅力に取り憑かれた。 6:密室に関係のある宗教に加入していた。 7:実は歴史自体が間違っている。 とりあえず、「翼ある闇」に出て来たのと同じ数で止めておきます。 ……私はむしろ、第二王子がよく王になれたな、ともの凄く疑問に思いますけれど。 >でも銘探偵が相手では、同じなのかも。 それはそうですね。 > >セフィードさんとアマネセルさん。 >立場的にはそれぞれ兄弟姉妹の、弟、妹になるこの二人は、仲がよい方なのですね。 なぜか、仲が良いです。 スィヤーフに対して(表面上)は貶している、ということが関係あるのかも知れません。 >アマネセルさんの方が姉貴分のようですが。 まあ、ノーチェと比べても姉っぽいかも知れませんけど。 >彼女にはスィヤーフさんとセフィードさんの、微妙な感情の緊張状態が、 >見えているのでしょうか。 見えているのかも知れません。 >魔族の兄弟愛……それっぽいものはあるのでしょうね。これをどう表現したら >良いのか分からない、というのが。 多分、あると思います。 > >さて、この先、どう展開していくのでしょうか。楽しみです。 展開は遅いですけど、少しずつ読み進んでいただけると嬉しいです。 >それでは、この辺で失礼いたします。 ご感想、どうもありがとうございます。 それでは……。 > |
14582 | 8:ノーチェと黒い騎士、主、妹 | オロシ・ハイドラント URL | 2003/7/4 20:51:25 |
記事番号14571へのコメント ◇◆☆◇◆◇◆☆◇◆◇◆☆◇◆◇◆☆◇◆ ――8:ノーチェと黒い騎士、主、妹―― ノーチェは、セイルーンにいた。 怪しげな真紅のフードを被っている。胸元には大きなリボン。 相変わらずの人通りだ。 四方八方から、溢れ出て来る人間達の、様々な感情。それに流されていくような自分。 心地良くもあり、不快でもあり、自分がどうしたいのか分からずにいた。 この状況には、未だ慣れることが出来ない。 (……今日は来るかしら?) 「あの人」は、来るのだろうか。 元より、その望みは薄い。 数ヶ月、同じ場所にいて、出会ったのは一度だけだ。それはごく最近ではあるのだが……。 「あの人」が、ここの住人である可能性は極めて低い。 そして旅人なら、けして出会えぬであろう。 「…………」 人込みの中で、彼女は目を凝らした。 だが読み取れる姿達は、どれも記憶と一致する気配がない。 ドスン! 不意に衝撃。ノーチェは倒れ込んでいた。 「気をつけな!」 彼女にぶつかった男が、駆け抜けていく。 (……クズ!) その男を消し去りたくなる欲求に耐え、ノーチェは立ち上がった。 やがて、空が曇り出した。 闇を帯びていく。風が敵意を持って強く吹いた。 人々から焦りが見えたが、彼女自身は平然としていた。 自分は亡霊のように映っているのではないか? ただ佇んでいる。 やがて、人込みが消えていった。 情景の移り変わりを、呆然と見ていた彼女は、雷鳴の音で目が覚めた。 天が哭いた。けたたましい咆哮が轟いた。 雨が音を立てて降り出す。 あたかも天界からの万軍の矢。 それでも彼女は雨には濡れない。 二度目の煌きに、世界が白く染まって……再び轟音。 雨はなおも激しさを増した。天は夜よりも黒き闇。 聖王都の空は、あまりにも不吉で禍々しきものであった。 ノーチェは空を見る。 僅かに白い雲があって、それが黒衣の騎士を象っている。そう見えた。 何かの暗示? ならば誰に伝えるもの? 三度目の雷鳴。 それと同時に、「あの人」は現れた。 黒き髪。対照的に白き肌。 漆黒のマントと、軽量なプレートを身に着けた……騎士。黒衣の騎士が現れた。 すべてが消えていく。すべての感情が洗い流される。雨ではなく「あの人」に……。 はっ、っとなって見直した。だが確かにいる。近付いて来る。 足音が響いて来る。水の揺れる音を交えて……。 最後の日の大地を、ノア(聖者)は歩んで来る。 静かに歩んで来る。 そしてノーチェに近付いて、 「この前、私を見ていた方ですね」 そう発して、腕を握った。 慌ててフードを取る。ノーチェの銀髪が、そして美貌が溢れ出た。 「……やはり、あなたはお美しい方だった」 丁寧な賛辞。 「え、ああ……ありがとうございます」 緊張しつつ、礼を言う。 「はじめまして」 騎士の言葉。 「……あっ、はい、はじめまして」 けしてはじめましてではなかったが、彼女はそう返した。 そして、さらに…… 「あの……」 「何でしょう?」 「実は……」 込み上げて来る熱い想い。体内が燃え出していた。 しかし、今この言葉を発するのは早すぎる、とそう思った時には、言葉が失われていた。 時が止まる。 誰も、この通りを訪れる様子がない。 雨風だけが激しさを増し、存在を示している。 「どうなさいました?」 優しい言葉だった。彼女にはそう思えてしまった。 「いえ……」 沈黙の罪悪感が、言葉を再生させる。 溢れんばかりの激しい感情を、それでも押さえ込み、 「すみません」 「謝る必要はないですよ」 心にまたも響いた。 思わず涙が奔流する。 すると、彼は彼女を抱き締めた。 強く抱き締めた。 熱を共有している。 そう思うと、今にも昇天しそうになった。 魔族がこれで良いのか? そう思いながらも、二人で時を刻んでいく。 不完全な永遠の下で……。 不完全な愛の下で……。 言葉は、不要だった。 そういえば、予言を忘れていた。 だがどうせ、セイルーンには馬耳東風だ。 ノーチェは、諦めることにした。 「お帰り」 帰還したのはすでに夕刻。 豪華なテーブルクロスを敷いた長い卓には、無数の色彩が散りばめられていた。 だが、そこにはフィブリゾ以外に誰もいなかった。皆、忙しいのだろうか? 寂しげな空間。 ノーチェは主の近く――長方形の部屋の一番奥になる――に座った。 「どうだった?」 仔羊のステーキを飲み込んで、再び声を掛ける。 「え、ええ」 曖昧な返事だ。表情も暗い。それはこの部屋の空気のためかも知れなかったが……。 「ところで」 フィブリゾは無理にも声を明るくした。 「今日、凄いものを発見したんだ」 「凄いもの……ですか?」 冥王は頷いた。その笑顔は年齢相応のものに思える。 「何でしょう?」 「ふふっ、当ててみて」 言われてノーチェは考えてみた。 凄いこと。 フィブリゾの喜びよう。 何だろうか? 自然と表情は明るくなっていった。 だが、いつまでもフィブリゾの問いを考えているわけでなく、「あの人」のことを考えていた。 彼女は「あの人」と抱き合い、そして口付けをした。 最大の幸福であった。 今まで、自らを戒めていたのが、馬鹿馬鹿しく思えた。恋愛を禁じるなど……。 当然、「あの人」に一目会った時からそんな戒律など捨て去っていた。 だが、罪悪感は付き纏っている。言葉数が減少していたことに関しても、そのことが大きな要因となっている。 「何、考えてるの?」 フィブリゾの声に、ノーチェは夢から覚めた。 「いっ、いえ」 「隠さなくて良いよ」 僕にはすべて分かってるんだからさ、と視線が雄弁に物語っていた。 「すみません」 軽く頭を下げた。 「いや良いよ」 フィブリゾは、次の料理を皿に取って、 「君も食べたら? 話は後でするからさ」 食事が終わり、心も身体も大変満足したようだ。微弱な睡魔が降りて来る。 他者の負の感情を糧とする魔族には、「偽りの食事」でしかないのだが、味や満腹感がリアルに伝わって来るために、本当に食事をしていると錯覚出来る。……食事をしていることに間違いはないのだが……。 「さっきの話だったね」 卓上の料理はすべて空となっている。フィブリゾは見掛けに寄らぬ大食漢なのだ。 「ええ」 ノーチェは確かな期待を持っていた。その半分が不安混じりのものであったが……。 「実はさ……」 沈黙。 ノーチェの聴覚が研ぎ澄まされていく。 けして聞き逃すまいと、獲物を狙う獣の如く、身構えた。 「ゼロスにある調査を頼んでいたんだ」 唾を飲み込む。 ゼロス。彼女の同僚。交友関係はそれほどでもない。 目を凝らし、少年を見詰めた。 容姿は相変わらず美しい。麗しい。 「それで……見つかったんだよ」 「え!?」 何が……見つかったのだ。 「何が見つかったんです」 フィブリゾは答えない。 時計の音が聴こえた。 微かな音だったが、音量を増していく。 美貌の少年は黙していた。 やがて、彼は思いついたように、 「やっぱり場所変えよ」 「どういうことです?」 その声は、意図したよりも鋭いものとなっていた。 フィブリゾは急に笑って、 「念のためさ」 「君は何のために今の仕事をしていると思う?」 「仕事?」 月明かりの入り込む、狭い部屋に移ったことで、フィブリゾは幾分饒舌となっていた。 ノーチェもまた、「あの人」のことを気にしないようになって来ている。 二人は木製の椅子に向かい合って座っている。 「予言のことさ」 ノーチェは、真に悩んだ。 なぜ、だろうか? 理由を求める必要はない。言われたことを、言われた通りにこなすのみ。それが生き甲斐。 理由を知る必要はなかったはずだ。そうなかったはずなのだ。 「分かりません」 「そう?」 フィブリゾはノーチェがやけに考え込み過ぎていることに懸念を抱いていた。それは不鮮明ながらノーチェにも届いている。 「まさかただの「食事」だなんて、思ってないよね」 躊躇いつつも、頷いた。 すると、フィブリゾは優しげな笑顔とともに、 「カタート攻撃のための下準備さ」 「……カタート……攻撃?」 「そう。だから、魔王様を探さなきゃならない」 「……ということは」 フィブリゾは息を吸い、 「そう。魔王様を封じた人間を見つけたんだ。 ……間違いないよ。該当者を僕が調べたら、完璧だった」 「そうだったんですか?」 喜びもあったが、ノーチェにとってはそれだけではなかった。 むしろ複雑な部分が強かったといえよう。 「どうしたの?」 「いえ、何でもないです」 「それでさ」 ノーチェは、頷いて先を促がす。 「……君に、最後にやって欲しい仕事があるんだよ」 「ええ、ご自由にどうぞ」 言って、彼女は身構えた。 「竜やエルフらは薄々、僕らの行動に気付きつつある。だから君は……」 躊躇っている。 フィブリゾは躊躇っている。 恐らく、今まで彼女が感じたどの時の躊躇よりも……強い。 時が凝固し、静寂が静かに歌い出す。 「……囮になってもらいたいんだ」 「アム」 暁の塔に彼女はいた。 アマネセルは、無性にこの塔が好きなようだ。 理由を訊くと、惹かれるものがあると答えていた。 「こんなところにいたのね」 ノーチェは寝転がり、夜空を見ていたアマネセルに呼び掛けた。 「姉か」 顔を向けて来る。 「我を……探しに来たのか?」 「違うわ。……私がここを使いたかっただけ」 そしてノーチェは飛び立とうとする。 だが、 「待て。なら、我が消えよう」 アマネセルが制止する。 「良いわ。黄昏の塔にいくから」 「そうか……」 冷たい夜だった。 風が身に染み込んで来る。 黒靄の中の世界には、二人だけがいる。 「ねえアム」 「何だ?」 一人はノーチェ。 もう一人は武人のような言葉を使う妹。妹? 「星が……綺麗ね」 「出てない」 空は闇に包まれていた。 「そう……ね」 顔が朱に染まるのを、ごまかす様に苦笑した。 「我は、闇空も好きだ」 「そうなの?」 「空は美しい。よく見れば、それが分かる」 「ふうん」 いつしか会話が弾んでいた。 二人だけなのに、妙に盛り上がって見える。 「それより、姉よ」 「何?」 声が掛かって来るのが、無性に嬉しかった。なぜ、だろう。 「気を付けろ」 しかし、アマネセルはそう言った。 そう言った。 そう言ったことによって、空気が変わった。 「どういう……意味?」 「気を付けろ、という意味だ」 確かに、そう言った。 気を付けろ、と……。 「私、寝るわ」 「じゃあな」 ノーチェは去っていく。 アマネセルは夜空に溜息を、そっと捧げた。 すぐに消えたが、大いなる黒と微かな白の対比は美しく見えた。 ◇◆☆◇◆◇◆☆◇◆◇◆☆◇◆◇◆☆◇◆ 自らの文章力のなさを悔やみます。 この話を書けるほどの技量を持っていないということが辛いです。 そうそう、今回も遊んでみました。 |
14583 | 9:ゼロスとマグナス | オロシ・ハイドラント URL | 2003/7/4 21:06:26 |
記事番号14571へのコメント ◇◆☆◇◆◇◆☆◇◆◇◆☆◇◆◇◆☆◇◆ ――9:ゼロスとマグナス―― サイラーグの外れに、一軒の屋敷が聳え立っていた。 「ここですね」 ゼロスは正面から外観を目でなぞる。 大きな屋敷とは、美しさを備え持っているものと彼は認識していたが、この建造物はそれには当てはまらない。 石造りの、美観を排した古臭い建物だ。そして窓がない。 冷静な観察を終え、ようやく戸を叩き始めた。 ゴンゴンと、やたらとうるさい音が返って来る。 何度も叩いた。 扉の鳴る音だけが、威勢良い。 「留守ですかね」 溜息を吐く。風に流されて消えた。 「仕方ありません」 杖を翳す。 「中で待つとしましょう」 次の瞬間、扉が自動的に開いた。 屋敷の主、レイ・マグナスが帰宅したのは、ゼロスが屋敷に入り込んでから、約二時間後のことであった。 「お帰りなさいませ」 「…………」 突然、降り掛かった声に、硬直する身体。 「お待ちしておりましたよ」 何の装飾もない玄関。ゼロスは笑顔で出迎える。 「あの……あなたは?」 そして、右の一本指を立て、 「僕は、ゼロスと申します」 「魔王? 何のことでしょう」 部屋に通されたゼロスは、ここに来た理由について説明を始めた。 それは、レイ・マグナスの精神に、古の魔王シャブラニグドゥが宿っているとの話であった。 「それに、あなたは何者です?」 マグナスは、賢者と呼ばれる人種である。だが、外見はかなり若い。少なくとも、若く見える。 夜の蒼の長髪に、端正な白い肌、真紅の唇、愛嬌のある赤い双眸。蒼いローブに隠された体躯も、細身ですっきりしたシルエットを持っている。 「それは秘密です」 ゼロスは躊躇せずにそう答えた。 部屋は殺風景とも言えた。彼らの座る椅子とテーブルの他は何もない。 「まさか、魔族の方だとか?」 マグナスも、平然とそんな言葉を吐く。 「いやあ、バレましたか」 ゼロスは、頭を掻きつつ笑顔で言った。 「さすが、賢者殿です」 「なるほど」 マグナスは驚いた様子もない。 「それで……戦争でもやらかすんですか?」 相変わらず、笑っている。 「ええ……そんなところですかね?」 「止めてください」 「なぜです?」 すると。マグナスは力強い声で、 「私は、反戦主義者だからです!」 「……はあ」 「とにかく! 戦争には絶対反対ですからね」 「そうですか?」 ゼロスは深い溜息を吐いた。 賑わっていた世界も崩れ去り、静寂が覆い尽くす。 マグナスも、もう語ろうとはしない。 時計さえ存在しない部屋で、時間はゆっくりと流れていく。 「……ならば、仕方ありません」 突如、ゼロスはマグナスへ杖を突きつけた。 「僕は、あなたに選択肢を与えることにしましょう」 そして、信じられぬほど冷たい声でそう言った。 「冗談でしょう?」 だが返って来たのは…… 「暴爆呪(ブラスト・ボム)!!」 光とともに解放された爆風が、空間を蹂躙する。 爆音が、鼓膜を揺さぶる。 「わっ!」 驚いたゼロスの目が眩んだ。 「……これは……なかなか……やりますね」 爆風が終わっても、部屋に荒れた様子は全くなかった。部屋自体に魔力が込められているのだろう。 ただ、マグナスだけがそこにいない。 ゼロスはその現状を把握し、笑った。 「僕から……逃げられるとお思いなのですね」 彼は勝利を確信している。 結局、ゼロスは、マグナスを追い詰めた。 だが、マグナスはなお落ち着きを持っていた。 「あなたは、愛を忘れてしまったのですね」 最後にマグナスはそう告げた。 ◇◆☆◇◆◇◆☆◇◆◇◆☆◇◆◇◆☆◇◆ |
14587 | Re:9:ゼロスとマグナス | 氷月椋佳 E-mail | 2003/7/5 09:41:21 |
記事番号14583へのコメント どうも、金がからないのならば、ホームページ作ってもいいと父に言われ舞い上がってる氷月です。(前置き長いなぉぃ) > ――9:ゼロスとマグナス―― > > > サイラーグの外れに、一軒の屋敷が聳え立っていた。 > 「ここですね」 > ゼロスは正面から外観を目でなぞる。 > 大きな屋敷とは、美しさを備え持っているものと彼は認識していたが、この建造物はそれには当てはまらない。 > 石造りの、美観を排した古臭い建物だ。そして窓がない。 > 冷静な観察を終え、ようやく戸を叩き始めた。 > ゴンゴンと、やたらとうるさい音が返って来る。 > 何度も叩いた。 > 扉の鳴る音だけが、威勢良い。 >「留守ですかね」 > 溜息を吐く。風に流されて消えた。 >「仕方ありません」 > 杖を翳す。 >「中で待つとしましょう」 > 次の瞬間、扉が自動的に開いた。 …ふ…不法侵入者!(そういう問題か?) > 屋敷の主、レイ・マグナスが帰宅したのは、ゼロスが屋敷に入り込んでから、約二時間後のことであった。 >「お帰りなさいませ」 >「…………」 > 突然、降り掛かった声に、硬直する身体。 >「お待ちしておりましたよ」 > 何の装飾もない玄関。ゼロスは笑顔で出迎える。 >「あの……あなたは?」 > そして、右の一本指を立て、 >「僕は、ゼロスと申します」 驚くわな、 >「魔王? 何のことでしょう」 > 部屋に通されたゼロスは、ここに来た理由について説明を始めた。 > それは、レイ・マグナスの精神に、古の魔王シャブラニグドゥが宿っているとの話であった。 >「それに、あなたは何者です?」 > マグナスは、賢者と呼ばれる人種である。だが、外見はかなり若い。少なくとも、若く見える。 > 夜の蒼の長髪に、端正な白い肌、真紅の唇、愛嬌のある赤い双眸。蒼いローブに隠された体躯も、細身ですっきりしたシルエットを持っている。 >「それは秘密です」 > ゼロスは躊躇せずにそう答えた。 > 部屋は殺風景とも言えた。彼らの座る椅子とテーブルの他は何もない。 >「まさか、魔族の方だとか?」 > マグナスも、平然とそんな言葉を吐く。 >「いやあ、バレましたか」 > ゼロスは、頭を掻きつつ笑顔で言った。 >「さすが、賢者殿です」 >「なるほど」 > マグナスは驚いた様子もない。 >「それで……戦争でもやらかすんですか?」 > 相変わらず、笑っている。 >「ええ……そんなところですかね?」 >「止めてください」 >「なぜです?」 > すると。マグナスは力強い声で、 >「私は、反戦主義者だからです!」 >「……はあ」 なにげにそうだったんですか?!マグナスさん?! >「とにかく! 戦争には絶対反対ですからね」 >「そうですか?」 > ゼロスは深い溜息を吐いた。 > 賑わっていた世界も崩れ去り、静寂が覆い尽くす。 > マグナスも、もう語ろうとはしない。 > 時計さえ存在しない部屋で、時間はゆっくりと流れていく。 >「……ならば、仕方ありません」 > 突如、ゼロスはマグナスへ杖を突きつけた。 >「僕は、あなたに選択肢を与えることにしましょう」 > そして、信じられぬほど冷たい声でそう言った。 >「冗談でしょう?」 > だが返って来たのは…… >「暴爆呪(ブラスト・ボム)!!」 > 光とともに解放された爆風が、空間を蹂躙する。 > 爆音が、鼓膜を揺さぶる。 >「わっ!」 > 驚いたゼロスの目が眩んだ。 >「……これは……なかなか……やりますね」 おー。でたぁ…暴爆呪… > 爆風が終わっても、部屋に荒れた様子は全くなかった。部屋自体に魔力が込められているのだろう。 > ただ、マグナスだけがそこにいない。 > ゼロスはその現状を把握し、笑った。 >「僕から……逃げられるとお思いなのですね」 > 彼は勝利を確信している。 > > > 結局、ゼロスは、マグナスを追い詰めた。 > だが、マグナスはなお落ち着きを持っていた。 >「あなたは、愛を忘れてしまったのですね」 > 最後にマグナスはそう告げた。 > > >◇◆☆◇◆◇◆☆◇◆◇◆☆◇◆◇◆☆◇◆ なにやらマグナスさん…意味深な言葉を… …様々な人が降魔戦争のこと書いていてそれぞれに個性あふれる話なので頼もしいと思っております。 それでは、師匠これからも頑張って下さい。氷月でした。 |
14595 | Re:9:ゼロスとマグナス | オロシ・ハイドラント URL | 2003/7/6 21:59:31 |
記事番号14587へのコメント >どうも、金がからないのならば、ホームページ作ってもいいと父に言われ舞い上がってる氷月です。(前置き長いなぉぃ) おめでとうございます。 無料HPですね。 もし作成されるのならば、がんばってください。 一番大切なのは、作りたいという気持ちです。少なくとも私はそれがあったから作れました。 > >> ――9:ゼロスとマグナス―― >> >> >> サイラーグの外れに、一軒の屋敷が聳え立っていた。 >> 「ここですね」 >> ゼロスは正面から外観を目でなぞる。 >> 大きな屋敷とは、美しさを備え持っているものと彼は認識していたが、この建造物はそれには当てはまらない。 >> 石造りの、美観を排した古臭い建物だ。そして窓がない。 >> 冷静な観察を終え、ようやく戸を叩き始めた。 >> ゴンゴンと、やたらとうるさい音が返って来る。 >> 何度も叩いた。 >> 扉の鳴る音だけが、威勢良い。 >>「留守ですかね」 >> 溜息を吐く。風に流されて消えた。 >>「仕方ありません」 >> 杖を翳す。 >>「中で待つとしましょう」 >> 次の瞬間、扉が自動的に開いた。 >…ふ…不法侵入者!(そういう問題か?) ええ、不法侵入者です。 でも魔族だから、捕まえることも出来ないんですがね。 > >> 屋敷の主、レイ・マグナスが帰宅したのは、ゼロスが屋敷に入り込んでから、約二時間後のことであった。 >>「お帰りなさいませ」 >>「…………」 >> 突然、降り掛かった声に、硬直する身体。 >>「お待ちしておりましたよ」 >> 何の装飾もない玄関。ゼロスは笑顔で出迎える。 >>「あの……あなたは?」 >> そして、右の一本指を立て、 >>「僕は、ゼロスと申します」 >驚くわな、 そりゃあ、まあ当然でしょうねえ。 私だったらショック死してるかも(待て) > >>「魔王? 何のことでしょう」 >> 部屋に通されたゼロスは、ここに来た理由について説明を始めた。 >> それは、レイ・マグナスの精神に、古の魔王シャブラニグドゥが宿っているとの話であった。 >>「それに、あなたは何者です?」 >> マグナスは、賢者と呼ばれる人種である。だが、外見はかなり若い。少なくとも、若く見える。 >> 夜の蒼の長髪に、端正な白い肌、真紅の唇、愛嬌のある赤い双眸。蒼いローブに隠された体躯も、細身ですっきりしたシルエットを持っている。 >>「それは秘密です」 >> ゼロスは躊躇せずにそう答えた。 >> 部屋は殺風景とも言えた。彼らの座る椅子とテーブルの他は何もない。 >>「まさか、魔族の方だとか?」 >> マグナスも、平然とそんな言葉を吐く。 >>「いやあ、バレましたか」 >> ゼロスは、頭を掻きつつ笑顔で言った。 >>「さすが、賢者殿です」 >>「なるほど」 >> マグナスは驚いた様子もない。 >>「それで……戦争でもやらかすんですか?」 >> 相変わらず、笑っている。 >>「ええ……そんなところですかね?」 >>「止めてください」 >>「なぜです?」 >> すると。マグナスは力強い声で、 >>「私は、反戦主義者だからです!」 >>「……はあ」 >なにげにそうだったんですか?!マグナスさん?! どうやらそうらしいです。 竜破斬なんていう物騒な術発明してる癖に……。 > >>「とにかく! 戦争には絶対反対ですからね」 >>「そうですか?」 >> ゼロスは深い溜息を吐いた。 >> 賑わっていた世界も崩れ去り、静寂が覆い尽くす。 >> マグナスも、もう語ろうとはしない。 >> 時計さえ存在しない部屋で、時間はゆっくりと流れていく。 >>「……ならば、仕方ありません」 >> 突如、ゼロスはマグナスへ杖を突きつけた。 >>「僕は、あなたに選択肢を与えることにしましょう」 >> そして、信じられぬほど冷たい声でそう言った。 >>「冗談でしょう?」 >> だが返って来たのは…… >>「暴爆呪(ブラスト・ボム)!!」 >> 光とともに解放された爆風が、空間を蹂躙する。 >> 爆音が、鼓膜を揺さぶる。 >>「わっ!」 >> 驚いたゼロスの目が眩んだ。 >>「……これは……なかなか……やりますね」 >おー。でたぁ…暴爆呪… とりあえず出しておこうと思いまして……。 > >> 爆風が終わっても、部屋に荒れた様子は全くなかった。部屋自体に魔力が込められているのだろう。 >> ただ、マグナスだけがそこにいない。 >> ゼロスはその現状を把握し、笑った。 >>「僕から……逃げられるとお思いなのですね」 >> 彼は勝利を確信している。 >> >> >> 結局、ゼロスは、マグナスを追い詰めた。 >> だが、マグナスはなお落ち着きを持っていた。 >>「あなたは、愛を忘れてしまったのですね」 >> 最後にマグナスはそう告げた。 >> >> >>◇◆☆◇◆◇◆☆◇◆◇◆☆◇◆◇◆☆◇◆ >なにやらマグナスさん…意味深な言葉を… ずっと後で、この言葉が効果を表わすはずです。 それは……いつの日になるか…… > >…様々な人が降魔戦争のこと書いていてそれぞれに個性あふれる話なので頼もしいと思っております。 確かにそうですね。 降魔戦争ものとは、書く人によって全然違うものに変わるんだと思います。 > >それでは、師匠これからも頑張って下さい。氷月でした。 レスどうもありがとうございます。 それでは、氷月さんもまたがんばってください。 さようなら。また会える日まで……。 |
14599 | 10:ガーヴとソブフ | オロシ・ハイドラント URL | 2003/7/7 19:34:46 |
記事番号14571へのコメント ◇◆☆◇◆◇◆☆◇◆◇◆☆◇◆◇◆☆◇◆ ――10:ガーヴとソブフ―― あれは、少し前だった。 十数日前だった。 ガーヴは、おかしな男に出会った。 同時に、恐ろしい男でもあった。 朱色に染まった空。 雲がゆっくりと旅をする。 漠然とした山景。 冷たい風が吹く。 繰り返し、身体を癒す。 繰り返し、心を潤す。 カタート山脈を見詰める魔竜王ガーヴは、感傷に促がされ、吐息を流した。 そこには、彼ら魔族の永遠の敵が住まう。 水竜王――かつて魔王シャブラニグドゥと世界の覇権を掛けて戦った、神族の王――赤の竜神スィーフィードの分身とも言える大神。 スィーフィードは滅びたが、水竜王をはじめとした四つの分身を造り出した。 「……気に入らねえな」 綺麗すぎるのだがな、と心で付け加えて微笑した。 その景色はあまりに美しい。 だが、近い内に血が流れるのだ。 戦争が近付いている。 止めることは出来ないし、敢えて止める気にもなれない。むしろそれを望んでいる。 ガーヴは自然と、武者震いをしていた。 激闘。殺戮。 そんな言葉が、彼を興奮させる。 下級とはいえ、一万の神族を独力で退けたことのある彼にとって、戦いは恐れるものではなかった。 思えば、神族側に派遣したスパイが、あの計画を発見したからこそ、今回の作戦が企てられたのだ。スパイには、感謝すべきだ。 だが、戦争が愉快なものであろうとも、その計画は恐るべきものであった。 それは、人類破壊計画と呼ばれていた。 人間族を、すべて抹消する。 負の「毒」によって……。 神にあるまじき行為だ。どうして、そんな暴挙に出ることにしたのだろう。 狂っているのか? 確かに、人類が滅びてしまえば、同時に魔王シャブラニグドゥが全滅する。全滅してしまうだろう。 真に恐ろしい計画だ。不安を招く恐れがあるためと、部下には口外厳禁となっているほどなのだ。 だが、神にプライドはないのか? やはり、狂っているのか? ガーヴには、それが許せなかった。 怒りが、なお興奮を煽る。 神と戦う日を、夢に見た。 汚れた神々に、鉄槌を下す。その役が、魔族であっても良いではないか。 そうしよう。 そうすることにしよう。 そう決定し、ガーヴは思考を中断した。 だが、その瞬間。 「どうしました?」 不意に声が、掛かった。 美しい声だと思った。 気配はない。必死で探った。 だが網に掛かる様子はない。姿を掴むことが出来ない。 ガーヴは焦った。 「私なら、ここですよ」 さながら感情を見透かしたように、そう発す声。恐らく男のものだ。 気配が現れた。 「誰だ!」 感じられる方向に。 振り向いて背後を確かめた。 男はそこにいた。 髪は黒い。顔は美麗だ。 胸元にプレートを身に着けている。傭兵か? 「私はソブフと申します」 彼は頭を垂れた。 「ソブフ、か。知らねえな」 「そうですか」 ソブフの腰には、剣と思しきものが携えられていた。 彼はそこへ手を掛ける。 「ん?」 伝わって来る殺気。 「ところで、退屈でしょう。挨拶代わりに一戦交えて見ませんか?」 頷く。 それは、ガーヴも望むところだった。 「三秒でノシてやるぜ」 虚空から剣が生まれる。随分と大振りなものだ。銘はカウリオドゥースという。意味は牙。 だが、その現実にもソブフは驚いた様子がない。 彼の右手は鞘に収まったままの剣を握ったままだ。 「良いですね?」 「ああ」 その瞬間、刃が煌いた。 ガーヴへ向かって伸びて来る刀身。抜刀とともに放たれた一撃。 素早く、背後へ跳んだ。 剣はどんどん迫って来る。 そして軌道の頂点に達した時、ソブフは前に踏み込み、突きを放った。 疾風の如きスピードに驚いたガーヴは、反射的に左前へ飛び出した。剣をかわし、同時に、リーチの長い大剣で袈裟斬りを放つ。 だが、肩口を狙った強撃も、ソブフの剣に弾かれていた。 慌ててガーヴは後退する。予感が彼をそうさせた。 そこへソブフが迫る。 ガーヴは、素早い突きを何とか弾いた。 だが、反撃出来ず、さらに後へ下がる。 今度は、上段から攻めて来るソブフ。 力強い一撃を受けるガーヴ。 しかし、 「くっ!」 硬直の状況から一変。 しゃがみ込み、ガーヴから引き離した剣を左肩口で構え、強烈なインパクトを持って放たれた一撃が、ガーヴの腹部を捕らえていた。 「どうです?」 凄まじいスピードで間合いを取ったソブフは、ガーヴに向けてそう言った。冷笑交じりの声であった。 「貴様……何者だ?」 腹部には、赤い線が出来上がっていた。切り口から、大量の血が流れ出ている。 凄まじい剣技。 否、技ではない。恐るべきは……その速度。 たった三度、刃を合わせただけでガーヴは敗れた。 「あなたこそ……私のような人間とは違うようだ」 「……てめえ」 魔族に傷を付けた人間。それもガーヴほどの魔族に……。 「それにしても、少々やりすぎてしまいました。大変申し訳ございません」 ソブフは頭を軽く下げた。 気に入らない。気に入らなかった。 「……この剣が気になるようですね」 刀身に手を掛け、騎士は言う。 よく見れば、金色の刃だ。相当な量の魔力を感じる。 「これは夜明けの剣(エペ・ド・ローブ)と言いましてね。代々、我が家に伝わるものなのですよ」 「んなもん知るか!」 唾を吐き散らし、ガーヴは言い放った。 すると、ソブフは残念そうに、 「そうですか。それでは、私はこれで……」 「……待て」 創痍のガーヴは退場を制止した。 「まだ……決着が着いてねえ!」 「そうですね。でも、私にも事情がありまして……」 「黙れ!」 譲る気配はない。 「ああ、そうそう。これは伝えておきたいのですが、私には、私を想ってくださる方がいるのです。 ……私はその方を「滅ぼす」ことにしますから、伝えておいてくださいません? あなたならば、その方を探り当てられるはずですから」 「何が言いてえっ!?」 「別に。……深い意味はありませんよ。ただターゲットの正体が判明出来たなら、あなたと私はもう一度出会えます」 満面の笑顔を浮かべて、 「それでは、さようなら。魔竜王殿」 一瞬にして、消え去った。 それ以来、ガーヴは剣を振り続けた。 特訓を始めたのだ。 無駄なのかも知れない。 しかし、そうせねば気持ちが収まらなかった。 確かに、魔力を使えば勝てただろう。 しかし、剣では絶対に敵わない。 絶対に敵わなかった。 絶対に……剣で勝つ。 ガーヴは剣を振り続けた。 ◇◆☆◇◆◇◆☆◇◆◇◆☆◇◆◇◆☆◇◆ |
14600 | Re:10:ガーヴとソブフ | エモーション E-mail | 2003/7/7 21:53:12 |
記事番号14599へのコメント こんばんは。 反戦主義者のレイ=マグナスさん……。有り得そうですよね。 私個人も、魔王覚醒前のこの方は、どちらかと言えば、争いを好まない、 穏やかな方だったのではないかと思っています。 ……あとがきでの活躍(笑)等を見ていると、依り代になっている人間の 性格が、ある程度影響しているようですし。 多分、知識欲の旺盛な、純粋に研究等に没頭するタイプじゃないかな、と。 別の視点で見れば、ハマりやすい(笑)タイプでもあったのでしょうとも。 なんとなーく、竜破斬なんかは「呪文を構成する過程を、編み出すのが 楽しくて作っていたんじゃないか」という気がしてしまって……(笑) ゼロスに追いつめられたレイ=マグナスさん。彼はこのまま覚醒してしまうの でしょうか。そして、最後の言葉の意味が気になります。 > それは、人類破壊計画と呼ばれていた。 > 人間族を、すべて抹消する。 > 負の「毒」によって……。 > 神にあるまじき行為だ。どうして、そんな暴挙に出ることにしたのだろう。 > 狂っているのか? > 確かに、人類が滅びてしまえば、同時に魔王シャブラニグドゥが全滅する。全滅してしまうだろう。 > 真に恐ろしい計画だ。不安を招く恐れがあるためと、部下には口外厳禁となっているほどなのだ。 > だが、神にプライドはないのか? 凄まじい計画ですね(汗) ……それにしても、作戦はちゃんと考えてくれ、竜王様(汗)と思いました。 それとも本気で狂ってしまっているのでしょうか。 確かに人間すべてが滅んでしまえば、魔王も滅びるように思えますが…… 実際には人間だけが滅んで、魔王の欠片はしっかり残るような気がします……。 むしろ、スィーフィードがかけた「人間に転生する」という戒めがなくなって、 魔王復活が早まるだけの、魔族に有利な作戦にしかならないような……。(汗) 人間の魂に同化しつつあるといっても、いざとなったら欠片は人間の部分を 切り捨てるでしょうし。減った分はフリーになった欠片全部集まって補えば、 失った分の回復も早いです。 ついでに言えば、人間がいなくなったら、多分神も弱体化すると……(汗) 魔族が負の感情を糧とするように、神族は正の感情を糧にしているそうですから。 人間が滅び、エルフや竜族達が残っているとしても、圧倒的に負の感情で 充ち満ちた世界で、満足な正の感情なんて得られませんよ、竜王様……。 このお話がどう展開するのか、どんな設定をされているのか、まだ分からないのに、 この部分だけで、こーゆー疑問と妄想をしてしまいました。 ガーヴ様が出会ったソゾフさん。ガーヴ様を打ち負かす、って凄すぎです。 人間のようですが、本当に人間なのでしょうか(汗) > よく見れば、金色の刃だ。相当な量の魔力を感じる。 >「これは夜明けの剣(エペ・ド・ローブ)と言いましてね。代々、我が家に伝わるものなのですよ」 もしかしてこの剣、L様のお力が付与ている剣なのでしょうか。 金色の刃、というだけで、そう思ってしまいました。 何だか長々と妙な事を書いてしまいましたが、さて、続きはどうなるのでしょうか。 楽しみにしています。 それでは、この辺で失礼します。 |
14609 | Re:10:ガーヴとソブフ | オロシ・ハイドラント URL | 2003/7/8 20:57:02 |
記事番号14600へのコメント >こんばんは。 こんばんは。 > >反戦主義者のレイ=マグナスさん……。有り得そうですよね。 >私個人も、魔王覚醒前のこの方は、どちらかと言えば、争いを好まない、 >穏やかな方だったのではないかと思っています。 >……あとがきでの活躍(笑)等を見ていると、依り代になっている人間の >性格が、ある程度影響しているようですし。 確かにそうかも知れません。 まあ何となく思い付いたのでそう言わせてみただけなのですが……。 >多分、知識欲の旺盛な、純粋に研究等に没頭するタイプじゃないかな、と。 >別の視点で見れば、ハマりやすい(笑)タイプでもあったのでしょうとも。 >なんとなーく、竜破斬なんかは「呪文を構成する過程を、編み出すのが >楽しくて作っていたんじゃないか」という気がしてしまって……(笑) なるほど。 それも恐い気がしなくもないですけど。 > >ゼロスに追いつめられたレイ=マグナスさん。彼はこのまま覚醒してしまうの >でしょうか。そして、最後の言葉の意味が気になります。 さあ、どうなのでしょうか? > > >> それは、人類破壊計画と呼ばれていた。 >> 人間族を、すべて抹消する。 >> 負の「毒」によって……。 >> 神にあるまじき行為だ。どうして、そんな暴挙に出ることにしたのだろう。 >> 狂っているのか? >> 確かに、人類が滅びてしまえば、同時に魔王シャブラニグドゥが全滅する。全滅してしまうだろう。 >> 真に恐ろしい計画だ。不安を招く恐れがあるためと、部下には口外厳禁となっているほどなのだ。 >> だが、神にプライドはないのか? > >凄まじい計画ですね(汗) >……それにしても、作戦はちゃんと考えてくれ、竜王様(汗)と思いました。 >それとも本気で狂ってしまっているのでしょうか。 さあどうなのでしょうか?(二度目) > >確かに人間すべてが滅んでしまえば、魔王も滅びるように思えますが…… >実際には人間だけが滅んで、魔王の欠片はしっかり残るような気がします……。 >むしろ、スィーフィードがかけた「人間に転生する」という戒めがなくなって、 >魔王復活が早まるだけの、魔族に有利な作戦にしかならないような……。(汗) >人間の魂に同化しつつあるといっても、いざとなったら欠片は人間の部分を >切り捨てるでしょうし。減った分はフリーになった欠片全部集まって補えば、 >失った分の回復も早いです。 これに関しては、赤の竜神自身が、人が絶滅したら魔王も全滅するという風に設定した、と考えれば問題ないんじゃないかなあって思います。 まあ、この話での設定がそうだとは限りませんけどね。 >ついでに言えば、人間がいなくなったら、多分神も弱体化すると……(汗) >魔族が負の感情を糧とするように、神族は正の感情を糧にしているそうですから。 あれ? 原作に書かれてましたっけ? >人間が滅び、エルフや竜族達が残っているとしても、圧倒的に負の感情で >充ち満ちた世界で、満足な正の感情なんて得られませんよ、竜王様……。 > >このお話がどう展開するのか、どんな設定をされているのか、まだ分からないのに、 >この部分だけで、こーゆー疑問と妄想をしてしまいました。 まあ概ねは解決出来るんじゃないかなあと思います。 本当に出来てるのかは分かりませんけど。 > >ガーヴ様が出会ったソゾフさん。ガーヴ様を打ち負かす、って凄すぎです。 >人間のようですが、本当に人間なのでしょうか(汗) まあ一応人間です。 ただの人間ではないでしょうけど。 > >> よく見れば、金色の刃だ。相当な量の魔力を感じる。 >>「これは夜明けの剣(エペ・ド・ローブ)と言いましてね。代々、我が家に伝わるものなのですよ」 > >もしかしてこの剣、L様のお力が付与ている剣なのでしょうか。 >金色の刃、というだけで、そう思ってしまいました。 単にソブフが「朝」という意味(確かペルシャ語だった気がするけどなあ)ですので、明るいものにしようかなあ、と。 なぜ「朝」が金なのかは分かりませんけど(待て) > >何だか長々と妙な事を書いてしまいましたが、さて、続きはどうなるのでしょうか。 >楽しみにしています。 ううん。なかなか踏ん切りが付かないんですよね。 もしどこかで破綻してたら、と思うと……。 でも多分、明日には二章のすべてを投稿し終えられると思います。 >それでは、この辺で失礼します。 それでは、レスどうもありがとうございます。 |
14619 | 11:スィヤーフ、セフィード、黒い薔薇 | オロシ・ハイドラント URL | 2003/7/9 20:05:51 |
記事番号14571へのコメント ◇◆☆◇◆◇◆☆◇◆◇◆☆◇◆◇◆☆◇◆ ――11:スィヤーフ、セフィード、黒い薔薇―― その日も、スィヤーフは部屋に閉じこもっていた。 外へ出る気にはなれなかった。 だが、よくあることだ。確かに久しぶりではあるが、よくあることには違いないのだ。 どうせ気にしていまい。自分も……誰もかも……。 昨日の怒りはとうに失せたが、その微かな残滓も、この気分に一役買っているのだろう。 それにしても退屈な部屋だと、彼は思った。 自分の座っている寝台、机、テーブル、椅子、夕刻を示している時計。後は……薔薇の絵画程度。 狭い部屋だ。 部屋中、清潔な白。自分には似合わない。 溜息はこれで何度目だろうか。 「……デーモン係か」 彼は先日デーモン係に任命された。高位の魔族であるために、今までは自由に過ごせていたのだ。 高位魔族でも、ずっと前から働かさせられているものが多数いる予言係よりは、まだ良いのかも知れない。 デーモン係の仕事は、人間を筆頭とした命あるもの達の住む世界へと、大量のデーモンを送り込む仕事だ。 それは意外に大変な行為であり、必要数を考えると、普通のやり方では不可能だ。 だから、ごくごく一部の高位魔族と、低級の魔族達はずっと前から召喚するための装置の作成をおこなっている。 スィヤーフのやることは多いが、点検などの簡単なものばかりだ。そして実際の召喚時に立ち会えば、それでお終いだ。 非常に簡単な仕事。 そして、非常に単純な仕事だ。 不吉な言葉で国を混乱させる予言係よりは、随分と楽だ。 だが、彼がデーモン係を嫌がった理由は、その簡単さにある。 単純な作業は嫌いであった。 だから、今日も仕事には向かう気はない。なぜ、こんな仕事をやらねばならぬのかも知らされていないのだ。 こちらの面では、心配するものはいるのかも知れない。そんな心配をされても、 心が痛むばかりだが……。 虚空から煙草を生んだ。 自動的に火が着く。 口に含んだ。 それほど美味ではない。ただ喫煙に対する強い欲求があり、逆らえない。 まるで、上司に逆らえない部下の如し。 自分は欲求の奴隷なのだ。 コンコン、と扉を叩く音が聴こえた。 反応して、立ち上がる。 しばらくは、そのまま警戒していた。 「兄様いる?」 セフィードだ。声ですぐに判明した。 悩む。果たして、返事をすべきだろうか? 「いないの?」 扉が鳴り続ける。 まだスィヤーフは黙っていた。 「いないの? 兄様」 だが気付いた。普段と違う。 落ち込んでいるわけではなさそうだが、どこか暗い。真面目な話なのかも知れない。 そういえば、セフィードが、ここに訪れること自体稀だ。 (どうする?) 幸い、弟はまだ去っていないようだ。 思い切って、扉へ走った。 「何だ。いたの」 「まあな」 苦笑を浮かべた。 今さら、怒る気にもなれない。 「それで……何の用だ?」 言いつつ、彼は気付いた。 セフィードの手に握られている包装された箱のようなもの。赤いリボンがその意味を示していた。 「実は……兄様に……」 セフィードの声は震えていた。無理もなかろう。 「……これ……」 だが、その瞬間、 パシン! スィヤーフは、差し出したそれを、無言で叩き落していた。 ゆっくりと、床に落ちていく箱。 呆然とする二人。 まずい、とスィヤーフは思った。 無意識。そんな名をした悪霊が、彼を動かしていた。 無意識下に発生した行動。 セフィードは走り去った。 もしや、泣いていたのかも知れない。 悪いことをした。そう思うと不思議と笑えた。いつも被害を受けているというのに……。 弟の足音が消えた頃に、ようやくスィヤーフは箱を拾った。乱暴に包装紙を剥がす。 そして箱を開いた瞬間、スィヤーフは強烈な平手打ちを喰らった気になった。 その中には……黒い薔薇。 (セフィード) 海王将軍は、その薔薇を手に取った。 涙はそう簡単には流れなかった。 ◇◆☆◇◆◇◆☆◇◆◇◆☆◇◆◇◆☆◇◆ |
14620 | 12:贖罪 | オロシ・ハイドラント URL | 2003/7/9 20:19:58 |
記事番号14571へのコメント ◇◆☆◇◆◇◆☆◇◆◇◆☆◇◆◇◆☆◇◆ ――12:贖罪―― 不意に闇が視界を覆った。 混濁した世界が、一つの秩序の下に取って変わられる。 無音の世界だった。 ただ、空気の流れだけはある。空気が必要あるというのだろうか。 「……出て来てくださいよ」 ノーストは虚空に向けて、呼び掛けた。 気配は一つもなかった。 闇は、闇のまま。 「…………」 反応はなかった。 思えば、空気が冷たい。標高の高い位置なのだろうか。 見回した。やはり闇は、闇のまま。 だが、不意に光が灯った。 映し出される人影。 「誰だ? 私の部屋に無断で入り込むものは」 「ノーストです。お分かりでしょう」 ノーストは笑った。 ついに出て来た。 「ああ、あのスパイか」 頷く。 「私はお役に立てましたでしょうか?」 皮肉気に言った。 「いや、私の計画のためには不可欠なのだからな……」 「そうでしたか」 影は、歩みを始めたようだ。 ノーストはただ待った。脅えも、不安も、期待も見せない。 やがて、相手の素顔が露となった。 けして眩しすぎぬ光は、歩んで来る男とともにあるのだ。 「ところで、ヴェノム殿。私も、そちらにお仲間に入れてもらえないでしょうか?」 ノーストは、眩い美貌を持つ黒髪の男に対して平然と言った。 だが、その男は、 「君は、そこまでして生き残りたいのかね」 「それは、不許可という意味ですか?」 「ああ。不許可だ」 「そうですか」 ノーストは残念そうだ。 「それに、君を入れれば予定が狂う」 「予定……ですか?」 「『毒』の、ためのな」 「ですが、私はこのまま滅びたくはないですからね」 「やはり、生への執着か?」 睨むような視線が飛んだ。 「確かに、私にはご協力出来ることは、ないのかも知れません。ですが、私を放っておけば、まだ明かしていない秘密を漏らすかも知れませんよ」 それでも、ノーストは冷静だった。 「君がどれだけの秘密を知っているのかは知らんが、どうせ未来に支障は出まい」 「そうですか?」 微かな落胆を乗せて、笑う。 「当然だ。私の計画は、君一人に食い止められるような計画ではない。 だがな……」 「何でしょう? 「……もし私との賭けに勝ったのならば生かしておいてやっても良いだろう」 「賭けですか?」 男は――ヴェノムは、邪悪な笑い声を上げて、 「ちょうど、面白い勝負が待っているではないか」 なるほど、とノーストは呟いた。 ノーストは運命に感謝した。 ◇◆☆◇◆◇◆☆◇◆◇◆☆◇◆◇◆☆◇◆ |
14621 | 13:覇王グラウシェラーと時の流れ | オロシ・ハイドラント URL | 2003/7/9 20:49:39 |
記事番号14571へのコメント ◇◆☆◇◆◇◆☆◇◆◇◆☆◇◆◇◆☆◇◆ ――13:覇王グラウシェラーと時の流れ―― 覇王(ダイナスト)グラウシェラーは一人、静寂の空気に浸っていた。 謁見の間には、彼以外は誰もいない。 豪勢な広間だ。真紅の美しい絨毯が敷き詰められ、壁は大理石で造られている。 彼の座る王座も、随分と煌びやかなものだ。 元より、賑やかな場などに興味はなかった。 覇王には、孤高が似合う。 ゆえに彼は一人であった。 ワイングラスを口元へ運ぶ。 甘美な液で、喉を潤した。 「……ついに、始まるか」 後に降魔戦争と呼ばれる戦い。 自分はそれほどではないにしろ、重要な役目を負っている。 覇王は、いささか緊張していた。 だが、その瞳が見るのは、けして敗北ではない。 「後は、ノーストにさえ気をつければ、な」 ノースト――彼の部下。 だが、忠誠心に欠けた男。 魔性の天才。 けして恐れぬ不屈の覇王が、唯一脅威と見ている敵――それこそが、ノースト。 あの天才を野放しには出来ない。 だが、グラウシェラーにも、ノーストを束縛することは不可能だ。 ノーストは従わない。ゆえに不可能だ。 だから……グラウシェラーは願うのみ。 ワイングラスを覗き込めば、そこには栄光の未来が映っていた。 ……今はまだ届かない未来。 しばし経って、室内に変化が起きた。 空間が歪む。空中に穴が開いた。 そしてそこから出でたのは、漆黒の毛並みを持ちし猫。だが、どこか爬虫類じみた身体つきをしている。 猫は床に降り立った。 長い舌を伸ばす。さながらカメレオン。 そして間抜けに身体を伸ばし、ようやくグラウシェラーの方へと駆け込んだ。 グラウシェラーは黙したまま、その猫を掴み、抱き抱える。 その毛並みをそっと撫でる。 「ニャア」 気持ち良さそうな声を上げる猫。 このペットには、辛いことなどあるのだろうか? 恐らくない。 羨ましいやつだ。 だが自分に癒しを与えてくれることを考えると、許せてしまう。 覇王たる彼を癒すペット。 彼が歴史に大いなる名を刻む――たとえこの身が滅んでも良い。他のどの魔族をも越える名誉を得るためには――には、欠かすことの出来ない存在。 そういえば、歴史。 歴史とは、なんと恐ろしいものであろうか。 歴史は常に書き換えられてゆくものだ。 人の間でも、神の間でも、そして魔族の間でも……。 たとえば、人類誕生などはその最たるものだ。 人類は、魔王シャブラニグドゥによって生まれと言っても遜色ない。 魔王シャブラニグドゥの欠片が、一つの哺乳動物に過ぎなかった人類の原型に、大いなる叡智を授けてしまった。 知恵を持つ今の人類は、魔王がその哺乳動物の精神に封印されたために、生まれ出た。 だが、これは神としては是非とも隠して起きたいものだ。 人類が、実は魔王の力によって誕生したなどと知れば、神は信仰の対象ではなくなるだろう。 人如きが、神に対してどう有利に働くのかは知らないが、神は人を大切にしている。 そのため、事実は葬り去られた。 だが、魔族達は今この事実を人類に明かしている。 それが……人類が未来のことを語っているものと解釈し――確かに未来についても語ってはいるのだが――「予言」と名付けたものである。 魔族の間でも同じ言葉が使われているが、あれは人類が言うのを真似ただけだ。 それにしてもやはり、歴史は恐ろしい。 もしや……この現実さえも、歴史書の中の世界なのかも知れぬ。何となしにそう思った。 歴史だけでない。時の流れは、それ自体が恐ろしいものだ。 今回の「人類破壊計画」で登場する「毒」に関してのことは、まさにそれと言えるだろう。 水竜王が、なぜこのような暴挙に出たのか、最初は全く分からなかった。 ついに狂ったかと思った。 だが、恐らくそうではないのだ。 赤の竜神が魔王の欠片を、ある哺乳動物の心に封じ込めた時から、この計画は企てられていたのだろう。 グラウシェラーはそれが真実なのだと思う。 魔王は、器となった生物ごと、滅びる運命であったのだ。 こうなると余計に、神が人に拘っている理由が分からなくなるが、これは妥当な説だと思う。 あるいは水竜王が、赤の竜神の遺志を取り間違えたという可能性もある。 つまり、人類を絶滅させることが赤の竜神の遺志だと、勘違いしたということだ。 どちらにしても、四千年の時を経てのことだ。 やはり時の流れとは恐ろしい。 「ニャン」 猫が鳴く。 ああ、眠くなった。 覇王は王座に座ったまま、眠る。 ◇◆☆◇◆◇◆☆◇◆◇◆☆◇◆◇◆☆◇◆ |
14622 | 14:フィブリゾとアマネセル | オロシ・ハイドラント URL | 2003/7/9 20:52:40 |
記事番号14571へのコメント ◇◆☆◇◆◇◆☆◇◆◇◆☆◇◆◇◆☆◇◆ ――14:フィブリゾとアマネセル―― 地上には、デーモンが溢れ出ていた。 世界の異変に気付き始めていた竜族やエルフ族は、デーモン討伐を決意した。 魔族達もまた戦いを前にしていた。 数日前に、作戦は発動した。同時に、計画内容は魔族中に知れ渡った。 明日から、本格的に始まる。 デーモンとともに、表立って戦闘に参加するものには、アマネセルとスィヤーフにゼロスが急遽抜擢された。 作戦前夜の月は、輝かしい満月だった。 地上を見下ろす眼差しは、明るく優しい。 「探したよ」 月を見上げていたアマネセルに、声が掛かった。 暁の塔には、彼女とともに、冥王がいた。 冥王フィブリゾ――彼女の主。 「フィブリゾ様」 彼女と同じように寝転がるフィブリゾ。 「月が綺麗だね」 そして風が心地良い。 「どうしたのでございますか?」 「別に……」 フィブリゾは笑った。アマネセルも、つられて微笑。 「ところで……いよいよ、だよね」 「いよいよでございます」 明日は戦うことになるだろう。 だが、それにさしたる恐怖はなかった。 「天界の……神族には気を付けて」 「…………」 「出会ったら、逃げるんだよ」 「それは……?」 フィブリゾは沈黙。 そして少し後、 「……それよりさ、運命って信じる?」 「運命……でございますか?」 「そう、どんな考えでも良いからさ。信じる?」 唐突な質問は、思考を狂わせた。 「まあ良いよ」 答えないと見て、フィブリゾはそう言う。 「どうしたのでございますか? ……フィブリゾ様」 それは、意地悪な質問だったのかも知れない。 「いや別に。何でもないよ」 笑顔で返してくれたのが、嬉しかった。 「そうでございますか」 風が、力強く吹いた。 「ねえ、アム……」 「何でございますか?」 フィブリゾの、思いついたような発言に続きはなかった。 風が繰り返し吹く。 今夜の空は、荒れているようだ。 「あっ、やっぱり良いんだ。 ……それじゃあね」 「では、お休みなさいませ」 フィブリゾは立ち上がって、去っていった。 やっと既視感の正体に気付いた。 だが、そんなことよりも、気になるのは……。 (……忘れよう) アマネセルには、不思議な力があった。 時折、未来を感じてしまう。 その未来は意識して避けようとでもしない限り、現実のものとなる。 不思議な力だ……。 そして、その度に、奇妙な図形が見えた。 ◇◆☆◇◆◇◆☆◇◆◇◆☆◇◆◇◆☆◇◆ |
14623 | 二章の後書:最近時間があまりない | オロシ・ハイドラント URL | 2003/7/9 21:03:38 |
記事番号14571へのコメント こんばんはラントです。 最近、皆様の作品を読む時間がなくて困っています。 どうすれば良いのでしょうか……って相談するな! さて、二章も無事完結。 後半分です。 枚数でいきますとまだ半分以上ありますけどね。 次回からはいよいよ降魔戦争編です。 本格的になって来ます。 それでは、こんな拙い文章を読んでくださった方、どうもありがとうございます。 最後まで付き合ってくださると嬉しいです。 |
14630 | 複雑な魔族模様 | エモーション E-mail | 2003/7/10 22:48:05 |
記事番号14623へのコメント こんばんは。 スィヤーフさんとセフィードさんは、完璧にすれ違っているし、 ノーストさんは、相変わらず、不敵で不遜で天上天下唯我独尊ですし…… 覇王様に至っては、何だか憂鬱そうですね。 でも、ペットを飼っているとは思いませんでした(笑) 魔族の皆さんは、感情も人間関係も、やたら複雑ですね。 何だか神様サイドの方が、単純明快で楽そうかも……(汗) 単に書かれていないだけで、そんなことはないのでしょうけれど。 次回から降魔戦争ですか……。 ゼロスに追いつめられていた、レイ=マグナスさんも気になりますが、 魔族サイド主点と言っても、舞台が切り替わるのですから、人間にしろ、 エルフや竜族と言った多種族がどう絡んでくるのかな、と思っています。 また、神様が正の感情を糧、というか力の源にしている、と言うのは 原作には出てきません。何せ、リナ達のいる場所は、結界張られているせいで、 神様関係はほとんど無意味に近いので、語られることがないですし。 (何よりリナの一人称では、リナの知らないことは語られないです。) これは、原作者さまがファンからの質問に答えた、インタビューで仰っていたものです。 確か、「魔族が負の感情を力の源とするように、神族は正の感情を 力の源にしているのですか?」という質問で、そう答えていました。 「だから神殿を造って神様を奉っているんですよ」だそうです。 ……つまり「生きているってスバラシイ」攻撃を聞くと、神族は回復すると(笑) 続きの第3章、楽しみにしています。 それでは、これで失礼いたします。 |
14645 | Re:……正直、自分でも把握するの大変。 | オロシ・ハイドラント URL | 2003/7/13 17:17:53 |
記事番号14630へのコメント >こんばんは。 こんばんは。 レス返し遅れちゃいました。 > >スィヤーフさんとセフィードさんは、完璧にすれ違っているし、 >ノーストさんは、相変わらず、不敵で不遜で天上天下唯我独尊ですし…… >覇王様に至っては、何だか憂鬱そうですね。 色んな感情が溢れてます。 >でも、ペットを飼っているとは思いませんでした(笑) これは学校の帰り道、可愛い猫を見つけた時に浮かびました。 > >魔族の皆さんは、感情も人間関係も、やたら複雑ですね。 >何だか神様サイドの方が、単純明快で楽そうかも……(汗) >単に書かれていないだけで、そんなことはないのでしょうけれど。 まあ、そちらはそちらで大変なようです。 > >次回から降魔戦争ですか……。 やっと、ついに……降魔です。 そしてこれからが真にややこしくなってます(書く側として) >ゼロスに追いつめられていた、レイ=マグナスさんも気になりますが、 >魔族サイド主点と言っても、舞台が切り替わるのですから、人間にしろ、 >エルフや竜族と言った多種族がどう絡んでくるのかな、と思っています。 でもまあ、基本的には魔族視点が多いです。 もちろん絡んでは来ますけど……。 > >また、神様が正の感情を糧、というか力の源にしている、と言うのは >原作には出てきません。何せ、リナ達のいる場所は、結界張られているせいで、 >神様関係はほとんど無意味に近いので、語られることがないですし。 >(何よりリナの一人称では、リナの知らないことは語られないです。) >これは、原作者さまがファンからの質問に答えた、インタビューで仰っていたものです。 >確か、「魔族が負の感情を力の源とするように、神族は正の感情を >力の源にしているのですか?」という質問で、そう答えていました。 >「だから神殿を造って神様を奉っているんですよ」だそうです。 >……つまり「生きているってスバラシイ」攻撃を聞くと、神族は回復すると(笑) ううむ。なるほど。 神殿にはそういう意味が……。 でもまあ私としては、「原作のみが真の公式情報」と考えていますから……。 > >続きの第3章、楽しみにしています。 残り全部一気に見直さないと心配ですので、少々遅れるかも知れません。 それでも待っていただけましたら嬉しいです。 >それでは、これで失礼いたします。 それでは、ご感想どうもありがとうございました。 |