◆−未来の羽根−千路 (2003/7/7 22:58:14) No.14602


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14602未来の羽根千路 2003/7/7 22:58:14


一人の女性がいつも毎日、明るく元気に仕事場で働いていた。
 彼女の名前は坂井美咲。性格はおとなしいが優しくて、ちょっと変わった性質を持っている。恋愛に関しては不器用で好きな人には「好き」と言えない。
親友といえる友達は3人で美咲にとって、大切な良き理解者の友達だ。
 そんな彼女にも、もう一人大切な人が出来るとは思ってもいなかった。

昼間、忙しい仕事の合間に一人の男性はが美咲のところへ来た。
彼の名前は森谷飛鳥。性格は明るくて、誰にでも心優しい人だ。でも、恋愛に関しては器用でシャイなところもある。

「話しがあるんですけど・・・」
「・・・・?」
「飛鳥さん、話しって・・・」
「あのー美咲さん・・・」
「はい・・・」
「付き合ってください!」美咲は飛鳥の言った言葉に驚いた。

〈飛鳥さん、本当に私と付き合いたいから言っているのそれとも冗談なの?〉

「飛鳥さん、冗談でもいいから言って・・・」
「僕は・・・美咲さんのことが好きで・・・」

飛鳥は照れながら、顔を赤くして、美咲に言った。
〈美咲さんにふられたら、あー僕はこんな時に!〉
 美咲が口を開いた。

「わかりました!一日だけなら、そんなに照れなくてもいいですから・・」美咲は微笑みながら、飛鳥に笑顔で返した。
「飛鳥さん、何時、どこで、何時に待ち合わせをします?」飛鳥は、美咲の返した言葉に安心した。
〈もう少しで寿命が短くなると思った。〉
飛鳥は急に意識を失って、倒れた。美咲は飛鳥を抱きかかえて、助けた。美咲は飛鳥の体をゆっくりと体を横にして、自分の膝元のところに飛鳥の頭を置いて、意識が戻るまでそのままにしてあげていた。 美咲は、飛鳥の寝顔を見るのが初めてだ。男子が仕事場で寝ているところを見たことがない美咲は飛鳥の顔を見ていた。

「飛鳥さんの可愛い寝顔(笑)。」

その時、飛鳥が目を覚まして、上体を起こした。自分の目の前には美咲が近くにいた。

「飛鳥さん、気がつきました。もう、大丈夫ですか?」
飛鳥に優しく、声をかけてあげた。

飛鳥は、さっきのことを一瞬思い出した。
〈そうだ、僕はさっき、倒れていたんだ!でも、なんで?、僕は・・・美咲さんの側にいるんだ!?〉
「飛鳥さん、貧血は治りましたか?」
「・・・えっ?貧血で僕は倒れたんですか?」

飛鳥はなんだか疑問に思った。

「軽い貧血だったので、飛鳥さんが気がつくまで私の側で体を横にして休ませていました。」
美咲は飛鳥に説明した。

「こんな時に迷惑をかけて、ごめんなさい。僕のために・・・」
「私もちょうど手が空いていたので、飛鳥さんの看病が出来て良かったです。 せっかくの大切な時間を飛鳥さんと過ごせて、嬉しいです。」
「それはどういうことですか、僕は全くわからないんですが?」
「飛鳥さんが気にすることじゃあないので、仕事が終わったときに話しますね。」
「はい?」

〈美咲さん、いつもとなにか違うような気がする。〉
心の中で呟いた飛鳥

仕事が終わって、飛鳥が美咲に昼間のことを聞いた。
美咲からの言った言葉に飛鳥は、自分が美咲さんの膝元で寝ていた、それに「飛鳥さんの寝顔は可愛いです。」美咲さんに言われたことが意外だった。

 僕はそんな美咲さんが、なぜか好きだった。
美咲さんとの距離が親近感になっているのが不思議に思った。
 
「飛鳥さん、今日は一緒に帰りましょう」

美咲は、飛鳥に話しかけた。

「どうしたの?美咲さん。」
〈いつもなら先に帰っているのにどうしたんだろう?〉

彼女の顔を見て、不思議に思った飛鳥。

「今日は、飛鳥さんとデートの約束もまだ話していないので・・」
「今日、僕は陸たちと帰る・・」約束をしていますと言いたかった。

突然、後ろから陸が声をかけてきた。陸は飛鳥と美咲、二人のところに来た。

「飛鳥、美咲さんとデートの約束でも、していたのか」
「いやーそうじゃあなくて、陸あのねー」飛鳥が慌てていった。
「明日、みんなで一緒にユートピアに行きましょうって、話していたんですよね。飛鳥さん」飛鳥も上手く、話を合わせた。

「あー、実はそんな話をしていたんだよ、陸。」
「そうだったのかーそれじゃあ、明日、何時にユートピアに待ち合わせなんだ。」
「え〜と、朝の十時にみんなで集合だから陸」
「了解、みんなにこの事をメールで送るからー、それより飛鳥、帰ろう。」
「わかったよ」
「飛鳥さん、それじゃあ、また明日ユートピアで会いましょうね。」
「美咲さん、あの話しはまた明日に・・・」
「そうですね、飛鳥さん。」
「美咲さん、さっきは助かりました。」
「いいえ、困っているときはお互い様です。それでは気をつけて帰って下さいね。」
「それじゃあ、お先に失礼します。」
「美咲さん、お先に失礼します。また明日」
「明日、楽しみに待っていますね。デート」
「今、なんて!言いました」
「明日、楽しみですねって、」
「わかりました。それじゃあ、また明日!」

それぞれ、別々に帰っていった。
美咲は家に帰って、部屋でくつろいでいたときに音がした。 

トントン、「姉さん、話したいことがあるんだ。いいかな」梨紗は部屋の中に入った。
梨紗は美咲に話しかけた。
「どう、最近の飛鳥さんは?」人ごとのように聞き出す梨紗。
「飛鳥さんは、特に変わったことはありませんよ。」
「そうじゃあなくて、姉さん!」
何か知りたいそうな顔で梨紗は美咲に言った。

「・・・?」
「告白されたの?」梨紗は美咲に問いかける。
「誰にですか・・・?」
「飛鳥さんに!」 
美咲の顔が赤くなり、今日の昼間のことを思い出した。
―「付き合ってください!」
―「冗談でもいいから言って・・・」
―「僕は・・・美咲さんのことが好きで・・・」

「あー顔が赤くなっている、やっぱりされたんだ!」
「どーして!、そんなことを梨紗が知っているのですか!」
「姉さんの顔に書いてあるから、わかるのー!」
美咲は正直、嘘を隠し通せい性格だった。

「梨紗にわかられては、しかたがありませんね。」
「姉さん、飛鳥さんとのデートの約束はしたの?」
「デートの約束はしましたよ。」
「それで何時になったのー?」
「明日ですよ!」
「えー!明日、いきなりデートなのーどこで!」
「ユートピアですよ。」
「姉さん大丈夫なのー?」
「ついでにだから梨紗も一緒に行きませんか?」

なぜか、梨紗を誘いだす美咲。

〈梨紗がいないと淋しいし、飛鳥さんと一緒に話せない。心強い見方がいないとダメです。〉
「それはいいけどさー。明日、何時に待ち合わせなの?」
「朝の十時にユートピアの入り口で飛鳥さんと会うんです。」
〈梨紗、ありがとう〉

「うん。それじゃあ、また明日にね。」
「梨紗、明日、お願いしますね。」。
「まかしてとおいて、姉さん」

梨紗は話すことも済んで美咲の部屋から出て、自分の部屋に戻った。
今日は一日疲れたので、明日に備えて寝ることにした二人の姉妹だった。


約束のデートの日になった。美咲と梨紗の二人は待ち合わせの場所に行った。
ちょうどそこで飛鳥と陸に会うことができた。だけど、あとの拓輝、隼人の二人がいないことに気づいた美咲は陸に聞いた。

「他の皆さんはどうしたんですか?陸さん」
「あー拓輝と隼人なら今日、彼女とデートの約束をしたから来れないってさー」
「休日は、彼女とデートですか。しょうがないですね。」

〈飛鳥さん、照れ屋さんだから、今日は大丈夫かな。〉美咲は不安に思った。

「美咲さん、隣にいる人は誰ですか?」

飛鳥は美咲の隣にいる人に気づいた。

「私の妹の、梨紗です。付き添いで来てもらいました。」
美咲は飛鳥と陸に妹を紹介して、梨紗は二人に挨拶をした。

「初めまして!妹の梨紗と言います。梨紗と呼んでください。今日一日、よろしくお願いします。」元気良く、挨拶をした梨紗。
「初めまして、僕は森谷飛鳥と言います。こちらこそ、よろしくお願いします。」
「俺は、早川陸です。梨紗さん、よろしく!」 
「二人の紹介も終わったところですので、着替えてから、落ち合いましょう」
「更衣室の出口で待っているようしよか、それなら良いだろうみんなー!」
「わかりました!」
「それじゃあ、男女別に更衣室に行こう。」

水着に着替えた、飛鳥と陸は先に出口で待っていた。

「飛鳥、まだ美咲さん達が来いないなあ。」
「もうすぐ、ここに来るから待っていようー陸」
「そうだなあ。」
「ねえ、陸」
「なに、飛鳥」
「陸、美咲さんと梨紗さんが来たよー!」
「そうかぁ!飛鳥、ありがとう」
「ごめんなさーい!、遅くなって!」

梨紗が急いで二人のもとへ行った。

「あれ?梨紗さん、美咲さんは?」
「姉さんなら、ほら、飛鳥さんの後にいるよ!」
「遅くなってすみません!」
「み、美咲さん!」
突然、背後から登場した美咲にビックリした飛鳥は口が開いたままふさがらない状態だ。
「飛鳥、そんなに驚かなくても・・・」
「そうですよ、飛鳥さん!」
「あっ、美咲さん。ありがとう!」

美咲は飛鳥の手を握って、心を落ちつかせた

「こちらこそ、ごめんなさい。飛鳥さん」
「それより、行こうか。みんな!」
「うん!」
「美咲さん、あのー手を離して下さい。」
「このまま一緒に歩いて行きましょう、飛鳥さん!」

飛鳥、陸、美咲、梨紗の四人は、夢の塔に行った。
夢の塔は西洋の城をモデルにした建物で敷地が広く、城内の内装がベルサイユ宮殿みたいだ。
一番人気のアトラクションだ。

 飛鳥は夢の塔に着いたとき、あることを思い出していた。

僕は前に夢の塔で、初めて美咲さんと出会った場所だ、あの時のことは覚えている。僕が塔の中で青い白竜が僕の目の前に現れて、未来の自分を見させてくれた時に青い白竜を僕が触ろうとしたときに誰かの手に触れた、青い白竜が消えた瞬間、僕は振り向いた。
未来を見たときに出てきた女の人に間違いない。あの人が僕のことを理解してくれる人なんだと思った。それが本当のことなのかは分からない。まさか、本当になるとは否めない。夢の塔って、自分の将来が見えるが運命の人に出会う事なんて、聞いたことがない。
 飛鳥は、その時のことを不思議に思っていた。

「飛鳥、塔の中にはいるぞ!」
「陸、わかったからそんなに焦らなくても・・・」
「それより、ちょうどこのペアーのままで塔の中に入るから、出口の外でまちあわせをすること」
「陸さん、別行動にしてデートをするんですか!」
「そのつもりだよ、美咲さん」
「え、みんなで仲良く入ったほうが・・・」
「美咲さん、そんな考え方じゃ、効率よく楽しめないですよ。」
「陸さん、私はみんなと楽しみたいです。」
「いつまでも、子供じゃあないんだ!」

いつまでも子共じゃない、俺達は立派な大人なんだ!この気持ちが美咲に届いた。

「分かりました。」
「美咲さんは話のわかる人ですね」
「私も、陸さんの言いたいことぐらいわかります。」
「それじゃあ、行こうか!」

飛鳥達は陸のかけ声と共に塔の中に入り、飛鳥と美咲は陸と梨紗と別れて、一緒に行動しています。飛鳥はまた、さっきのことを思い出していた。

あの時の美咲さんは、孤独でいる猫のようだった。とても寂しくて、ひとりぼっちで理解し合える人を捜しているようにしか見えなかった。だけど、こんな事を考えているのも時間の無駄だと僕の中でそう思う。でもこれが、美咲さんのためにも僕が何か出来ることがあれば助けてあげたい、そのために僕は美咲さんの側にいる。そんな美咲さんを理解できるのは自分しかないんだから美咲さんの翼になるんだ。 僕は決意して、美咲さんに交際を申し込んだ事を振り返っていた。

「飛鳥さん、先に白竜のところに行って下さい」
「僕は別に構わないですよ。」
「あっ、やっぱりいいです。」
「急にどうしたんですか?美咲さん!」
「前に飛鳥さんと会ったことがあるなと思い出して・・」

あやふやな記憶を辿って思い出している美咲
〈なんだろう、どうして、私はあの時のことを思いだし始めたのか、わからない。〉

「美咲さん、もしかして、あの時のことを思い出したとか?」
「青い白竜と私の前に現れた飛鳥さん・・・」
「美咲さんも覚えていたんですか?・・・あの時のこと」
「あの時の人って・・・飛鳥さん!」
「信じられないと思うけど・・・美咲さん」
「あの時は偶然にも出会ったことですよね・・・。〈仕事の時に見たことがある、いつも琥珀の側にいる人だ。確か、琥珀にもお兄さんがいることを瑠依から聞いた。と言うことは琥珀のお兄さんなのか〉この人が良き私の理解者だと教えてもらいました。」
「君の翼になりたい。美咲さん、僕のそばにいて下さい。」
「飛鳥さん、まずはお互いのことを理解してからにして下さいね。恋愛ドラマみたいなことは辞めて、夢未来の魔法陣に行きましょう。プロポーズをするのはまだ早いですよ飛鳥さん(笑)。」

美咲は明るく笑顔をしながら飛鳥に言った。

美咲は恋愛ものが嫌いでファンタジーやラブコメディーが好きな女の子です。日頃、小説などを読んでいるのでよくありそうなパターンを見分ける力が身に付いている。ちなみに飛鳥は推理小説を良く読んでいる。二人はお互いのことを理解しあえるのかな。

「美咲さん、夢未来の魔法陣に行くのは分かっています。恋愛ドラマシーンをやっていないですよ、僕は!」
 「君の翼になりたい・・僕のそばにいてって、プロポーズの言葉ですよね。」
 「ちっ違いますよ!」
 「飛鳥さん、顔が赤くなっていますよ!」
「そうじゃあなくて、迷子になるから一緒にって・・」
「そうですか?」

美咲は飛鳥の顔をのぞき込んだ。

「こんなところで辞めて下さいよ!早く、白竜のところに」
「飛鳥さん、わかりました。行きましょう」

美咲は飛鳥から離れて、先に歩き始めた。

〈飛鳥さんの目が左側に寄っていた、何か隠しているに違いない。嘘をついているときの人の目は左側にある。本当に何かを思い出すときは目が右側にあるはずなのに私と似て、正直者なんですね。〉
〈美咲さんにプロポーズを言うわけでもなかったのにはやとちりをした自分が恥ずかしい。〉
二人はそんなこんなで夢未来の魔法陣に行った。白竜に会い、今後の自分たちを見ていた。
「ただいま、仕事から戻ってきましたー!」
「お帰りなさいませ、美咲様―!」
「風子さん、いつも出迎えてくれて、ありがとう御座います」
「美咲様と飛鳥様お二人の子供が七月の十七日に生まれるのですから、美咲様にもあまり負担をかけないようにわたくしもサーポートしていきます。」
「風子さん、ありがとう。ところで飛鳥さんは、どちらにいますか?」
「飛鳥様ならご自分のお部屋にいらしゃいますよ、美咲様。」
「そうですか・・・」
「もし、よかったら私が飛鳥様に美咲様の部屋まで来るように伝えておきますね。」
「そんな風子さん、私が自分で行きますからいいですよ」
「美咲様は無理をせずにお部屋で休んで下さい。わたくしも出来る限りことをやりますわ」
「それではお言葉に甘えて、お願いします。風子さん」
「はい、かしこまりました美咲様」

〈美咲様ったら、可愛い人ですね。飛鳥様は美咲様の優しさに心を奪われたのかもしれませんわきっと・・・。〉

トントン「美咲さん、入るよ。」飛鳥がドアをノックして、美咲の部屋に入ってきた。
「美咲さん、僕に話があるって、風子さんから聞いたけど、どうしたの?藪から棒に」
「飛鳥さん、今度の土曜日に二人で買い物に行きましょう」
「うん、美咲さんも無理しないで下さい」
「飛鳥さん、わかっていますよ。」
「今度の土曜日は、僕がちゃんとついていますから安心してください。」
「ありがとうー!飛鳥!」
「美咲さん、ゆっくり休んでください。」
「飛鳥もね。」にこっり
「美咲、相変わらず猫みたいだね。」
「あの時も猫って言いましたね。」
「別にいいじゃ、ないか(笑)」
「そうですね。」

楽しい夫婦の時間を過ごしている、美咲と飛鳥だった。

二人は未来では結ばれた。どうして、そうなったのだろうか不思議だ。
飛鳥と美咲は夢を見たあとに塔の出口で陸と梨紗を待っていた。待っている間、夢とは何かを二人で語っていた。

「美咲さんは夢って、どんなものだと思います?」
「夢ですか、ハッキリ言えば未来ですよ。」
「ほら、夢は希望に満ちている未来だって」
「夢は希望に満ちている・・・未来は自分で切り開いていく羽根がある」
「あー美咲さん、その言葉、日向から聞いたことがある」
「もしかして、日向のことを知っているんですか?」
「日向は僕の親友だからね。」
「そうなんですか!」
「それより、美咲さん、日向とはどういう関係ですか?」
「小さい頃からの幼なじみで、幼稚園から中学までずっと同じ学校でしたよ。」
「美咲さんは日向と幼なじみなんですね。」
「それじゃあ、飛鳥さんは?」
「日向とは同じ高校で会って、偶然にも大学が一緒だったから驚いたよ。」
「そういうのも良いですね、飛鳥さん!」にっこり
「そういわれると照れるなあ〜」くしくし
「姉さん、飛鳥さん、お待たせ!さあー早く温水プールで遊ぼうよー!」

梨紗たちもタイミング声をかけて来てくれたおかげで飛鳥たちも助かった。

「わかりました、梨紗。」
「行こうか、陸、梨紗さん、美咲さん」
「うん!飛鳥、今日はやけに輝いているなあ。」
「そうかな、陸、気のせいだよ」
「まあっいっか、行こうぜ!」
「みんなで楽しむよー!」

四人は一緒に楽しいデートの一日を過ごした。
  その帰りに飛鳥は美咲と一緒に帰り、家の近くまで送った。
陸と梨紗も一緒に飛鳥達と別々に帰った。

「飛鳥さん、じゃあ私はココでいいでので、今日一日楽しかったですね。」
「美咲さん、またみんなで一緒にでかけようか。」
「そうですね(笑)。それでは、失礼します。」
「それじゃあ、また月曜日に仕事で会おう。夕方だから気をつけて」
「はい、飛鳥さんもね。」

美咲は飛鳥に手を振って、家に帰った。
家に帰る通り道で偶然にも幼なじみの速水日向に会い、二人の会話が始まった。

「なあ、美咲。」
「なんですか?日向」
「今日は仕事が入っていることを忘れてはいないだろうな、美咲」
「あーそうでしたね。一日中、遊んでいたので忘れていました(笑)」エヘッ
「おい!それはないだろう美咲!」
「ごめんなさーい。日向」
「まあ、とりあえず、急いで支度をして行こう!」
「うん!」
「今日は結構、しぶといから気をつけろ美咲」
「日向、忠告ありがとう!瑠依は?」
「瑠依なら先に行っている。」
「はい、わかりました。」
「それじゃあ、またあとで」
「日向もね」
「あいよ!」

日向と美咲は家に帰り、現場に向かった。
瑠依と合流し、話していた。河内瑠依は美咲の大親友でお姉さんの存在。

「今日は警備が凄いわよ!」
「手強いからな、城内の広間には飛鳥がいるから美咲と瑠依は二手に別れて行け!」
「もしのことがあったら、どうするの日向?」
「その時は俺が指示する。無理なときは力を使うしかない。」
「力を使わなくても、仕掛けをしておけばいざというときに役に立ちますし」
「四季城の城内でいともたやすく出来る方なんて、あるか美咲」
「勿論、ありますよ!」
「それをどうやって、仕掛けるの美咲」
「城内の広間の五カ所に気づかれないように青光玉を放置して結界を作ればいいんですよ。」
「それなら能力を使わなくても、飛鳥さんが持っている双子の赤結晶の水晶がゲット出来るってことね!美咲」
「よし、それで行こう!美咲、瑠依」
「わかりました!」
「俺はその間に昴を呼ぶからそれまでに任務を果たして来いよ!」
「了解!」
すぐに瑠依と美咲は城内の広間に向かった。
飛鳥に気づかれないように変装して上手く潜入することができた。

  美咲は過去の自分を思いだしていた。
私はプライドが高くて、何もかもがうまくいかなくて、勉強や試験が苦手で頑張っていた自分は挫折していた毎日を送っていた。
 そんなことがもう嫌になって、妹と一緒に異世界に来た。あれから、四年も経とうとしている。今、二十歳だけど十六歳、高校二年生の時だった。飛鳥さんと初めて会ったのは十八歳。ちょうどその頃は夏休みで夢の塔に一人で気分転換に出掛けた時だ。一度でいいから異世界の白竜を見たくて、夢未来の魔法陣に行ったなあ。それで偶然にも知らない男の子に会って突然、光の中から現れたから驚いた!あの時の飛鳥さんは可愛いくて、綺麗で紳士の印象だった。それから急いで家に帰って、夕飯の支度をしていた覚えがある。
今は飛鳥さんと付き合っている。これは運命の出会い?それとも・・・頭の中が混乱する。

「あーもう、なんだかわからない!」
自分が思っていたことを口に出してしまった。
「どうしたの?大きな声で」
「あっ!いけない、つい口が滑ってしまった。」
「ほら、飛鳥さんが気づいてこっちに来るよ!」
「どうしましょう・・・」
〈やばい!〉
「なにを言っているの!」
「だって!」
〈もう、過去のことを思い出したら、飛鳥さんの顔を見たくない〉
飛鳥が美咲と瑠依の二人に近づいた。

「あの、他の人の邪魔になるので警備の配置に戻って下さいね。」
飛鳥は怒鳴らずに優しい声で二人に言った。
「は、はい!わかりました。」
〈飛鳥さんを見たら急に鼓動が早くなっている〉
「どうもすみませんでした。」
〈今が双子の水晶をゲットするチャンスだ!〉 
「理解してもらえば、それいいですから」
美咲と瑠依の返事を聞いて、飛鳥は去っていった。
二人の変装は飛鳥に顔を見られずに済んだ。美咲と瑠依は場所を変えて移動した。

「美咲、そろそろ仕掛ける」
「その必要なありませんよ」
〈飛鳥さん、なにも気づかずに行きましたね。〉
「なんで!」
「ほら、これを見て」
美咲は何かを手に取り、瑠依に見せた。
「それ!いつの間にゲットしたの」
「このことは戻ってから話しますね。」
「うん、わかったよ」
美咲達は日向のところに急いで戻った。

「日向!」
「あっ!美咲」
「美咲、早かったね。」
ちょうど、昴も来ていた。
「うん。」
「美咲、瑠依は?」
「あたしならここいるよ」
「こんなに早く、戻ってくるなんて珍しいな」
「ターゲットの双子の水晶はどうしたの?美咲」
「昴、双子の水晶ならここにありますよ。」
「美咲、見せてごらん」
双子の水晶を昴に手渡した。
「どれどれ、本物の水晶だね。偉いぞ美咲。」
昴は美咲の頭をなでてあげた。
「そんな、恥ずかしくて照れますよ。昴」
美咲にとって、星野昴は優しいお兄さんの存在で親友。昴にとって、美咲は可愛い妹みたいな存在。
「美咲、それよりどうやって飛鳥さんから水晶をゲットしたの?」
「瑠依、それはですね。あの時、飛鳥さんが私たちのところに近づいた時に素早く、取りました。」
「そうだったの、あたしもそれに気づかなかった・・・」
「美咲、やっぱり凄いね!」
「昴、そこまで言わなくてもいいよ。たいしたことではないので」
「しかし美咲もずいぶん、変わったな」
「おれもそう思うよ。日向」
最初の頃と比べればな、美咲自信、成長したし、技術もプロ並みだ。

「あのー昴と日向、何を話しているんですか」
「ん、あー何でもないよ。」
「美咲には関係ない話だからね(笑)」
「うん。ねえ、昴!」
「美咲、なんだい」
「これ、いる?」昴の前に小指を出した美咲。
「いるよ!美咲は?」
「・・・いる」
「誰なの?おしえてくれる」
「じゃあ、耳を貸してください」
「わかった、いいよ」昴は美咲に耳を傾けた。
ごにょごにょ
「あの人ね、なるへそ」
「昴、知っているの?」
「知っているよ!琥珀の兄さんで有名だよ。」
〈美咲は飛鳥と付き合っているのか。飛鳥は俺の幼なじみだから久しぶりに遊ぼうかな〉
「やっぱり、そうでしたか」
〈琥珀のお兄さんか、いいな。昴と同じで大人ですね。〉
「おーい!そこで仲良く話しているお二人さん、そろそろ帰るぞ!」
「ごめんなさい!日向、今すぐに行きますから!」
「美咲、瑠依と日向のところに行こう!」
「うん。」
美咲、日向、昴、瑠依四人の一日は終わった。

 美咲と昴は兄妹のように付き合っている。美咲のことを一番、理解しているのは日向&昴&瑠依の三人だかその中でも昴が美咲のことが好きで大切にしている。
昴には彼女の夏美さんと付き合っている。
  それから美咲と飛鳥は付き合うの回数を増やしていくうちに二人の関係は次第に深まっていく、美咲はある決意をした。飛鳥にもそのことを七月二十四日、自分の誕生日に言うことにした。その日に飛鳥を自分の故郷、横浜でデートをする事に決めた。
 美咲は飛鳥に七月二十四日の日にデートの約束をした。

今日は私の二十一歳の誕生日、飛鳥さんといつものようにつき合っていた。焦る気持ちと緊張感でドキドキしながら飛鳥さんの側にいるのが精一杯で場所を変えて、私の家に飛鳥さんを連れてきてた。ちょうど、家族のみんなや家政婦の風子さんもいなかったから良かったけど、洋間の部屋で飛鳥さんと一緒にいるのが少し気まずかった。私と飛鳥さんは別々にソファーの椅子に座っていた。私は勇気を出して、飛鳥さんに言った。
「飛鳥さん!あの・・・」
《心臓がさっきよりドキドキしている!!あーどうしよう!!》
「美咲さん、僕の翼になりたいんでしょ」
「飛鳥さん、私の言いたい気持ちがわかるんですか」
「そのぐらいのことが分かっていないと僕はこうして、美咲さんの側にはいませんよ(笑)」
「飛鳥さん、これからも私の側にいますか」
飛鳥は静かに立ち上がり、美咲の座っている背後にまわり肩にそっと手を置いた。
「いつもまでも僕は君の翼だ、幸せにする自信はないが僕の幸福の羽根を君にあげるよ。」
「飛鳥さん!今日は・・・」
今まで感じたこともない嬉しい気持ちで美咲の目から涙がこぼれ落ちた・・・
「二十一歳の誕生日なんだろう」
美咲が頭を下に下げたことに気づいた。
「美咲さん、泣いているの?」
「だって・・・嬉しくて」
飛鳥は背後から前に移動して、美咲の頭をなでながらしゃがんで慰めていた。
「笑顔で笑っている美咲さんがいいな。ほら、僕に見せごらん」
優しい声で美咲に話した。
「うん。」
美咲は嬉しい気持ちで飛鳥に笑顔を見せた。
「美咲さんの笑顔を見ていると僕も嬉しいよ!」
「飛鳥さん、本当に私でいいですか」
飛鳥は白い翼を広げて彼女を優しく抱きしめ、美咲は飛鳥の翼に包み込まれた。
「美咲の望み、僕の望みを叶えるならそれでいい。君は僕にあまのじを見せて」
「あまのじって、なんですか?」
「あまのじは素直なありのままの自分ですよ、美咲さん」
「わかりました。」
「美咲、誕生日おめでとう!」
「ありがとう!飛鳥」
飛鳥さんのおかげで人生で一番、幸せな一時を過ごすことができた。

その後、私は飛鳥さんと結婚し、異世界に暮らしています。梨紗や瑠依たちも大切な人と一緒になり幸せに日常生活を送っています。そういえば、七月十七日に二人の男の子と女の子が生まれました。女の子は羽有(ゆう)、男の子は光輝瑠(ひかる)と名前をつけた。
二人の子供を育児していくのも毎日、大変だったが飛鳥さんがいてくれたおかげて、羽有や光輝瑠すくすくと育ちは今、十五歳です。
 私は大切な家族を持ちながら働いています。

誰にでも輝く未来の翼がある、どんな辛いことでも乗り越えて、切り開いて進め、未来は自分の翼で新たな世界へ羽ばたくことができる力がある。

美咲日記 

七月二十四日、今日は二十一歳の誕生日に飛鳥さんから幸福の羽根を受け取りました。嬉しくて涙を流していた私は気持ちを抑えられなかった。飛鳥さんが優しく抱いたのは私の心を落ちつかせるためにとった行動が正直言って、恥ずかしかった。あの状況はドラマのワンシーンみたいで二人だけの世界だった。家に誰もいなかったのは、みんな家族全員で食事に行ったきり帰って来ていなかった。一応、家族のみんなには飛鳥さんが家に来ることを話したのに待っていてくれても良かったのに・・・。
本当は飛鳥さんにこっそり、自分が書いた手紙を渡そうと思っていました。その前にデートの約束した日に飛鳥さんに頼まれた仕事関係の書類の入ったが封筒と一緒に手紙を渡してしまったことが失敗した。手紙の中身には私が書いた詩を入れていました。
久しぶりにその詩を書きます。

「あまのじ」

ありのままの自分を見せて
素直な気持ちを伝えて
 素直な心でありのままの自分が本当の姿
素直なで優しい心はいつまでも変わらないままで
 それをあなたが望むならありのままの思いを伝えて
運命の時計が止まらないように・・・
 あなたと過ごした時間を記憶の思い出にしたくない
空と雲のようにそのまま流れていきたい
 あなたはありのままの純粋な心で支えて
翼で優しく私を包み込むように・・・
 あなたを幸せにすることはできない、自分を幸せにすることはできます
ありのままの素直な私を見て下さい
 私は美しき花のようにあなたを咲かせることができます
 幸福の未来の羽根をあなたにおくります
大切なあなたのそばにいたい


あっ!もしかして、飛鳥さん・・・「美咲さん、僕の翼になりたいんでしょ」「いつもまでも僕は君の翼だ、幸せにする自信はないが僕の幸福の羽根を君にあげるよ。」「美咲の望み、僕の望みを叶えるならそれでいい。君は僕にあまのじを見せて」「あまのじは素直なありのままの自分ですよ、美咲さん」って私にそう言ったのね。今気が付いても、遅いよ。この詩を手紙の中に入れたまま封をしたから当然、私は覚えていないよ。実はあまのじの詩の最後段落のあたりに「私は美しき花のようにあなたを咲かせることができます」私の名前を使って、十六歳の時にをそのまま書いて仕上げてみたら、大切な人への恋文になっていた。これを飛鳥さんが推理しながら解読したと思うんだ。だって、手紙の封筒と詩には名無しのままにしていたからきっと、「美咲さんの書いた手紙に違いない」と思ったのかもね。
詩には書いた人の思いがこもっているから感受性がよく伝わる人にしか理解できないと私の中で感じます。飛鳥さんの推理や謎解き好きにも困りますね(笑)私は飛鳥さんに好きですって、言えない。飛鳥さんに私の思いが伝わればそれで十分です。
 今日は凄く緊張した一日を過ごした。

異世界の人は相手の行動、考え、心を読み取ることができる。自分の気功や念力を一つにし、光を放つ特殊能力を持っている。年齢不詳で生まれてから成人になるまで早く、能力や体力は衰えず、外見は若い成人の姿のままで日常生活を過ごしている。
もうひとつ、分かったことは一年以上異世界に滞在していると体質が異世界の人の体質に変わること。大切な人に幸福(しあわせ)の羽根を渡す意味は、つまり相手から「結婚してください」のプロポーズです。