◆−エルメキアの歌姫−めか亀 (2003/8/27 03:10:42) No.14973


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14973エルメキアの歌姫めか亀 E-mail 2003/8/27 03:10:42


「おじいちゃんvv」
ピンクの髪のやたらと可愛いツインテールの子供が、ガウリイの足元に駆け寄ったのは、まあ運命の一瞬だったのかもしれない・・・。

エルメキアの歌姫

ぽかぽかとしたよい天気。
深く広がる緑の影。
そして、足元に転がる盗賊さんvv
「ふっ、今日も良い仕事をしたわ」
額に流れる汗を拭い、あたしは意味なく胸を張った。
「さあてと・・・」
お宝、お宝さん♪
と行きたい所なのだが、背後からのそら恐ろしい気配がそれを許してくれはしないらしい。
「あ、アハ。ガウリイ気がついたのね」
「リナ・・・」
スリーピングしっかりかけたのにどうして?
「トイレに行っていた」
さようですか。
しっかり心の声が聞こえているあたりガウリイとの付き合いも長くなったもんだわ。
あたしの名前はリナ・インバース。19歳の天才美少女・・・はもう苦しいかなあ、魔道士である。
で、この不機嫌そうな見た目は金髪碧眼の美青年、頭の中身はくらげ並みな剣士は、あたしの自称保護者兼恋人・・・(照)のガウリイ・ガブリエフという。
「盗賊いじめがお前のライフワーク、いや本能だとは知ってるけどなあ。もうちょっとどうにかできんのか、どうにか。せめて一言断ってから行け」
「断ったら行かせてくれるの?」
「止める」
それじゃあ、一緒でしょうが!
そう叫びかけたあたしを止めたのは小さな叫び声だった。
「ちょっとはなしなさいよ!」
「放せるか!お前は人質だ!」
ピンクのツインテールがやたらと可愛い女の子と髭面のむさい体臭が素敵なおやじ。
木の影から男が一人現れた。
左手に女の子を抱え、右手でナイフを突きつけている。
どう考えてもこれは
「へっ、こいつを殺されたくなかったら道を開けやがれ!」
盗賊の生き残りらしい。

「オイ、リナ」
「わかってる」

さすがにここまで女の子と親父が至近距離だと、いきなり呪文というわけにもいかない。
しかし、女の子をほっておくわけにもいかないし。

う〜ん

がじっ

「ぎゃああああ」

親父のむさ苦しい腕に噛み付いて、痛みに気がそれた一瞬の隙に胸板を蹴り、腕から見事に抜け出したのは、すばらしい運動神経である。

「ガウリイ!」
「おう!」

ガウリイが盗賊を切り倒す!

「ぎゃあああああああああ」

あ、みね打ちでやんの。
やっぱ小さい子供の前で剣を振るうのは気が引けたらしい。
こういうちょっとしたことに気を使うガウリイは嫌いじゃない。



「えっと、ありがとうございました!」
女の子はぴょこんと頭を下げた。
うんうん、親は良い教育をしている。
多分あの盗賊は人買いに売り払うか、もしくは変態ロリコンおやじだったかなのだろう。
改めてみると、服こそ多少汚れているものの、ガウリイと同じ空色の瞳とピンクのツインテールがとても可愛い女の子だった。
「あの、わたしクレア・ガブリエフと言います。ははもしんぱいしていると思うので、できましたらアルカの町まで送っていただけないでしょうか?」
いや、良いしつけをって・・・ガブリエフ?
思わず反射的にガウリイをみるとガウリイは大きく首を振っている。
どうやら心当たりはないらしい。
まあ、アルカの街はこの森からたいした距離があるわけでもない。大人の足で約一時間といったところだ。
送っていってあげるのは別にかまわない。
いい服着てるからお礼も結構期待できるし♪
しかし、気になるのはこの子の名前。そうホイホイと聞く家名でもないしなあ、ガブリエフなんて。
あたしはしゃがんで、クレアの目線になった。
「えっと、クレアちゃん。お父さんとお母さんの名前言える?」
「はい!ちちはリオン・ガブリエフ、はははユイ・ガブリエフです!」
「へっ?」
ガウリイが固まる。
「あの、さっきこのおねえさんが『ガウリイ』ってよんでましたけど、もしかちて、『ガウリイ・ガブリエフ』さんですか?」
「あ、ああ・・・」
ガウリイ、声震えてるし。
やっぱ知り合いか?

「おじいちゃんvv」

クレアがにっこりと満面の笑みを浮かべ、たったったったと足音軽くガウリイに駆け寄り・・・



とび蹴りをかましたのはそのすぐ後だった。


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初投稿でいきなりオリキャラのめか亀です。
ガウリイが大好きなので、結構ガウリイひいきな内容になりそうです。
クレアちゃんは4歳のお子様です。
やたら言葉遣いが丁重なのは両親からの教えのためです。
これからもがんばりますので、よろしくお願いします。