◆−赤の竜神の騎士V−R.オーナーシェフ (2003/11/6 15:43:42) No.15519 ┣赤の竜神の騎士V−2−R.オーナーシェフ (2003/11/6 15:47:34) No.15520 ┣赤の竜神の騎士V−3−R.オーナーシェフ (2003/11/6 15:55:57) No.15521 ┣赤の竜神の騎士V−4−R.オーナーシェフ (2003/11/6 16:02:31) No.15522 ┗赤の竜神の騎士V−5−R.オーナーシェフ (2003/11/6 16:09:15) No.15523 ┣「それだけ」がとても大切なのでしょうね−エモーション (2003/11/7 21:58:23) No.15524 ┃┗Re:「それだけ」がとても大切なのでしょうね−R.オーナーシェフ (2003/11/8 22:13:11) No.15529 ┗Re:ルナねぇちゃんの過去話ここに発見っ!!−はるか (2003/12/6 19:21:50) No.15651 ┗Re:ルナねぇちゃんの過去話ここに発見っ!!−R.オーナーシェフ (2003/12/7 17:42:02) No.15662 ┗Re:きますっ!!(笑)−はるか (2003/12/7 18:26:09) No.15664
15519 | 赤の竜神の騎士V | R.オーナーシェフ | 2003/11/6 15:43:42 |
「赤の竜神の騎士U(12852)」の続編です。でも、続編とは言っても、時期設定はもっと前になります。Uでゼフィーリアへ帰ってくるよりも前の旅の途中です。そちらを読んでからでもよし。読まなくても大丈夫なようにもしています。 ************************************************* ささー、ささーと優しい波が行ったり来たり。夏の陽射しはやはりぎらぎらと暑く、でも空気はさわやかで、たまに吹く風は冷たさも運んでくる。カタート山脈を背景に、高原の広い湖は澄んで深く、広がる空は澄んで高い。夏の青に、少し、秋の雲が白く流れていた。 「よかったわね。ここへ来て。」 「ん?男いるから?」 「違うわよ。」 そう言うあたしに、ふふっと、椅子に背中を預けて仰向けに寝ているエリザベートが笑った。かなり大胆な真っ白いビキニの水着で、さらさらと風に梳けるショートカットのブロンドに黒いサングラスをかけた姿は、どこかの有名なモデルか何か。だが、そこにタバコをくわえているから少し怖い。 「こんな時でもタバコは欠かせないわけ?未成年なのに。」 「ルナも酒飲んでんじゃん。未成年なのに。」 「度数低めのカクテルだからいいのよ。あたしは味を勉強する意味もあるの。」 ほんとはダメだと思うが、そう言い返して、パラソルの下のテーブルに置いたカクテルを、一口飲んだ。 男が、少し離れて湖の上でヨットを操っている。見た目だけイケメンで軽薄バカ。なにげなくあたしが脚を組みかえると、あたしの黒いワンピースの水着に視線を向けた。だが、すぐ目をそらす。同じ行動を周囲にもいくつか感じた。エリザベート、あんたと一緒にいると、まるであたしまで極道だ。多分、どこかのゴッドファーザーの娘か何かに見えているかもしれない。近づいて声をかけたそうで、でも怖がって思いとどまってる。だから、酒タバコ女とそろって男が無い。でも・・、いいか・・。男なんか、いらない。 ・・・いや。 「か、かっこいいかも・・・・」 「は?」 あたしたちから左に砂浜が湾曲していって、かなり離れたところ。彼は泳いできて、上がってくるところだった。肌は白く、スマート。父ちゃんほどじゃないが少し伸ばした黒髪を後ろに振って、飛び散る水滴が日に輝く。背景の大きな湖と砂浜と、奥に広がる緑。そこに歩く男が一人。他にもいるけど、いないことにした。内側からにじみ出る魅力があって、きっと育ちが違う。何かの話の、命が長くない貴公子のよう。だが彼は、周囲に目もくれずにさっさと行ってしまう。そんなシーンを、通り過ぎて台無しにする軽薄バカは、さっきのヨットの男だった。そろそろ終わりにするらしい。 「ねえ、あんた。」 「は、はい?」 振り向いた彼は、声をかけられて嬉しそうだった。短い赤毛で、それなりに体は鍛えられ、顎には薄いナイフの傷。素人がつけたものだとすぐ分かる。この辺のストリートファイトでは上位の天狗君といったところか。 「ねえ、あれ、誰?」 向こうへ歩いて行く彼を指差す。赤毛は、ややがっかりして、その後ふてくされた表情になった。 「あんな男に興味があるんですか?姉さんは。あんななよなよした腐ったのは似合わないッスよ。そのぼん・きゅっ・ばーんなナイスバディにはもったいない」 言い終わるや否や、ぽかーんっと、誰かが(あたしか?)投げたカクテルのグラスが彼の額に命中して、崩れ落ちた。 「天下の赤の竜神の騎士様が、よりによって逆ナンする気?」 サングラスを少しあげて、からかうような視線でエリザベートが言った。 「しないわよ。そんなもん。」 カルマート公国北部のこの街はエーレブルー・シティという。それなりに有名な観光地で、夏の短い期間だけ、大きなラグラディア湖で泳げるようになる。雪に包まれる冬とこの期間は各地から人も集まり、今の時期だと、若い者は湖から周囲の宿や店の並ぶ街を水着のまま歩いたりもしていた。ちょうど、あたしたちのように。荷物とか、あまり持たなくていいし。便利だし。そういう場所だし。着替えるとこ宿しか無いし。でもやっぱ男の視線は感じるな・・・・。たまに肌の張りが無くなったおばちゃんの視線とかも・・・。まあまあ平和に見えるとこで、西は騒動の多いディルス王国、北は怖い怖いカタート山脈だが、何の根拠もなく人々は不安がらなかった。 小麦色に焼けた肌と水着を夕日にさらしつつ、泊っている宿へ入った。まあまあ大きく、中へ入れば通路から右側はレストランで、席から振り返る男の中の誰かがあたしたちを見て口笛を吹いた。エリザベートはサングラスの内側から適当にあしらうように鼻で笑った。だが連中はあまり気にしない様子で、何人かは勘違いして喜んだ表情を浮かべていた。 その中に、一つ、異質な視線があるのに気がつく。奥のソファーに、長い黒髪で水着姿のかなり美人な熟女が一人腰をかけている・・・いや。水着じゃない。あ、あれは・・・、一昔前の悪の魔道士ルックだ!黒い、やたらに露出度高いコスチュームにマント、髑髏のネックレス、トゲトゲショルダーガード!だ、誰よあれ!? エリザベートが思わずサングラスを外す。やはり驚いた様子で、いや、知っている様子だった。 「ビ、ビクトリアさん・・・・」 「ええっ?それじゃあ、あなたがあの? なんでこんなところに?」 「おっほっほっほ。家の別荘はエーレブルーにもあってよ。」 「何でこんな格好を?」 「わたくしの趣味よ。お城の中ではできないのよ。」 リナの分まで吸い取ったんじゃねーか?そのでかちちは。と父ちゃんが火のついてないタバコくわえたまま言うくらい、あたしの胸はある(親子でも問題よね。この発言は)。でも完璧にこの奥様には負けていた。夏休みで、たまたまこの地に来ていた、やや、いやかなり変わったこの奥様は、普段はセイルーンにお住まいで、夫と娘が二人。夫の名はフィリオネル。二人の娘の名はグレイシアとアメリア。今は忍びだが、そう言えば分かる人には分かるだろう。変わったご趣味をお持ちの高貴なお方なのだ。先に来たのはこの服(?)を着る趣味のため。下の娘は嫌がり、上の娘は父に止められ、その父は仕事があるそうだ。後からこちらへ合流するらしい。 「この店はカルマートと同時に、セイルーンの御用達でもあってね。マスターは知り合いなのよ。」 そう言えば、ここの木造の造りはしっかりしていて、かなり古そうで、名のある店だなとは思っていた。カップルも結構来ていた。この光景は、なんか複雑・・。 「それで、別荘から気が向いて来てみたら、エリザベートさん、あなたの名を客の名簿に見つけて驚いたわ。」 「い、いや、そりゃどうも。」 エリザベートはこの奥様が苦手らしかった。 「この前会ったお父様は心配なさってたわよ。」 「ああ、あの親父がね・・・」 「あなたの話もよく聞いていてよ。ルナさん。」 「あ、あたしをですか?」 「ええ。“騎士”さん、なんですってね。」 「ははは。よくご存知で。」 「あなたにね、紹介したい人がいるの。あなた、つまりあの“騎士”にまつわる、昔からの伝承や秘密を研究している魔道士がいてね。」 「へー。魔道士・・、ですか。」 あまり面白くはなかった。あたしのすべてが見られてしまいそうで・・・・・。 「あ、あの、何もこんなに早く行かなくても。」 「あら、こういうのは早い方がよくってよ。」 「水着も着替えてないのに・・」 あたしはビクトリアさんにひっぱられていくように宿から連れ出された。エリザベートも行くはずだったが・・・、フッ、と目をはなしたスキに彼女は“できあがっていた”。いつのまにか周囲に男連中を従えて。彼女は酔っ払いつつあたしにすりよって、 「ルナちゃんどこ行くのぉ?」 「さっき話してたでしょーが。」 「エリちゃんさみしいわぁ。」 「顔面キック!」 ゼフィーリアの次の女王にあんなことするのはあたしくらいだな・・・。 そんなわけで、押しが強く強引な奥様に連れられ、水着の上に軽くジャケットだけ羽織ってサンダルを履き、西にオレンジの薄明かりが残る夕闇の中、湖沿いに進みながらエーレブルー・シティ魔道士協会へ向かった。 月が、昇っていた。魔が支配するはずのカタート山脈を背景に、空と、湖に映り輝く二つの月は、とても綺麗だった。昼間湖で泳いでいたあの男を、なぜか思い出した。 やはり湖に面してそれは建っていた。魔道士協会の中でも古い方だろうか。ある程度年月を経た石造りで、湖のほとりの、おとぎ話の舞台のお城・・・のフリをしていた。もちろん中にいるのは王子様ではなく、妹によればネチネチと暗く研究している連中ばかりだそうだ。自身もまた魔道士であるビクトリアさんに案内されて、中へ入る。広い廊下にぼんやりと浮かぶ、いくつかのライティングに照らされて、天井の隅のほうに蜘蛛の巣が張っていた。あまり掃除してない様子。壁と、埃がところどころ落ちてる石畳は、夏なのに冷たく感じられた。彼らはビクトリアさんを知っているのだろう、会釈して行く魔道士と何回かすれ違う。低姿勢に、敬意を払っているようだが、あまりあたしたちを見ようとはしなかった。女の魔道士はいない。 「ここは女性が魔道士となることをタブー視する古い風潮があるの。でもわたくしは認めていただいてるみたいね。」 変に頭が固く、だが権威には弱い。あたしの嫌いなタイプだ。 やがて、扉にたどり着いた。 「ここの研究室よ。」 こんこんとノックして、返事は無いがビクトリアさんは扉を開けた。悪い部屋ではない。むしろ気に入った。大きな窓からはやはり湖と山脈。白く薄いカーテンが窓の少し開いた隙間の風で優しくなびいて、月光が中のソファーのあたりを覗く。もし女の子の部屋だったらこの月はちょっとえっちだ。光が、まるで誘惑してるようだった。だが、ここは女の部屋ではなく、飾りのない壁の棚にはずらりと本が並び、奥の机で、ライティングに照らされ、何かの書類の山に彼の顔は埋まっていた。黒いローブ。やや伸びた黒髪。一瞬、あたしはドキッとした。背格好が昼間に湖で見た男に似ていたからだ。胸が高鳴り、息苦しい。あたしらしくない・・・・。 「はぁい。連れてきたわ、バシエーナス。こちらの方よ。」 「あ、はいはい。どうもすみませんです。」 振り向いた彼は、色白で、牛乳瓶の底のように厚いぐるぐる渦巻き眼鏡をかけていた。くしゃくしゃと頭を掻いて、眼鏡を少し上げた。よかった・・・。ぜんっぜん、彼とは似てない。がっかり、でも、ほっとした。 「そうすると、あなたがまさしく本物の赤の竜神の騎士(スイーフィード・ナイト)様ですね。お会いできて光栄です・・・・・・・・・」 そう言いながら、かなり目が悪いのだろう、右手で眼鏡を目に良く合わせながら、あたしがどんな人間か、観察していくようだった。足から、ゆっくりと、脚線をたどり視線を上げていって・・・・・・・・そう言えば。あたし、今、水着。 「ぶぅぅぅぅっ」 彼は鼻血を噴出して椅子から崩れ落ち、失神した。 「おいおいおい。いくらなんだって。女の子に免疫が無さ過ぎでしょーが。あれ?でも、それじゃあ・・・・」 すでに知り合いのビクトリアさんでは興奮しないのか?彼は。あたしは、あらためて露出度高いビクトリアさんを見て・・・・・・ 「なるほど。」 「どういう意味かしら?」 何か奇妙な人外の存在のごとく見えてた―、なんてことは彼女には言えない。ちょっと優越感があって・・・・恥ずかしいに決まってんじゃん。きっと、魔道士連中が低姿勢に視線合わせなかったのって、ビクトリアさんへの敬意ではなく、あたし見るのが恥ずかしかったんだ。いつもネチネチ研究している連中だし。 「まあいいわ。それではわたくしは評議長のところへ行っていますから。後はよろしくね。」 「ちょ、ちょっとビクトリアさん・・」 そう言ってビクトリアさんは部屋を出て行った。 ふ・・、二人っきり・・・・? こいつと・・・・・・・!? あたしは、ぴくっぴくっと痙攣して倒れているバシエーナスを見下ろしていた。 「いやほんとに申し訳ないです。何しろ、ここの協会は女性がいないもので。慣れてないんです。」 まだ顔を赤くしながら、テーブルはさみソファーの向かい側で、こちらを見ないように、でもちらちらと視線を向けていた。 「でも、観光地のここなら女の子の水着はその辺にいくらでも歩いているでしょうに。」 「水着が見られるのは短い期間だけですしね。協会からはあまり出ませんし、朝は早く、夜は遅く帰宅するもので、人通りも無いんです。僕も泳ぎは好きなんですよ。でも、たまに湖に出ても、やはり眼鏡は外すから、超ど近眼なもので、周りなんて分からないんです。」 「ふーん・・・。」 「それではせっかく来ていただいたので、さっそくですが・・」 「えっと、調べるのね。赤の竜神の騎士、あたしを・・・。どうするの?」 「・・・・・・・・・・・・・・・・ぶぅぅぅぅぅっ」 彼は再び失神した。 「いきなりそれかい!」 「ん、っくはぁ、はぁ、あ、あの、そのままで結構なので、いくつか質問に答えてください。」 椅子にしがみつきながらふらふら彼は起き上がる。 「そのままって、いったい何を想像した!?」 「す、すみません。そ、それにしても、なんて魅力的な・・」 「えっちすけべへんたいあたしに近づくな!!」 「すみません、すみません!」 鼻血を流しながら、でもひたすら低姿勢な魔道士くんだった。 「へー、やはり呪文なしなんですね。気合だけですか。」 「うん。思うだけで、あたしの中の“欠片”は力を出すみたい。」 鼻にティッシュ詰め込みながら、彼はそれを見下ろしていた。真っ二つに破壊されたテーブルを。あたしが、転がっていたペンを持って、ちょっと力入れたらこうなったのだ。テーブルが弱いのよ。きっと。 いつのまにか、彼とは話し込んでいた。世間一般で、いわゆる赤の竜神の騎士と言えば千年前に現れた者を指す。だが、当然、今のあたしを含めいろんな時代に転生しているわけで・・、 「最も古い記録は三千年前です。今のライゼール帝国のあたりに当時存在した都市国家ウルクで、王が謎の神官に殺されて、その後内乱となったのですが、神官と対決した女性がいたという記録がありまして、実はその神官は魔族で、女性はスイーフィード・ナイトだという説があり、多くの支持を受けています。」 まさか、その神官って、ゼロスとか言わないだろーな・・・。今度聞いてみようか・・。そもそも、あいつって何歳? 「もちろんこれにはいろんな説があって、はっきりとは分からないんです。確実なのは、今も存在するゼフィーリアの聖剣騎士団が結成されてからです。赤の竜神の欠片の一つの赤竜剣を、神託を受けた賢者を中心に結成された騎士団が1800年前から守護するようになって、同時にスイーフィード・ナイト転生の追跡と成長するまでの教育を行うようになりました。それ以後ははっきりと文書が残っています。ゼフィーリアがあまり公開してくれないので入手は難しいのですが。」 「ふーん・・・・・。あたしは普通に父ちゃん母ちゃんに育てられたけどな・・。剣も父ちゃんから教わったし。まあ、たまに騎士団の人だってのが家に来てたりはしたけど。」 「おそらく、昔ほどはきっちりと行われてないんでしょうかね。」 「うん。別に、連中も首都を警備する普通の騎士団やってるし。ねえ、その後は?」 「その後は、いくつかの事件に何度か顔を出すのですが、有名なのは降魔戦争の時でしょうか。ご存知かと思いますが。」 「うん。」 「スイーフィード・ナイトは竜族、エルフ族、人間の勇者たちを率いて、魔族より恐ろしいといわれたほどの戦いぶりで一時は魔族を圧倒し、冥王軍は完全に殲滅させました。その後、おそらく魔族の何かのワナに気づいたと言われていますが、スイーフィード・ナイトは、冥王フィブリゾとの直接対決に向かいます。」 神封じの結界のことだ・・。それは、この前聞いてきた。ある黄金竜のじいさんに。めちゃ寒いギャグを言う人だった。 「その時なのよね。確か、有名な、高位魔族による竜族壊滅の悲劇が起きたのは。」 「はい。それは、スイーフィード・ナイト不在の時に起きた予想外の事だったようです。でもその悲劇を乗り越え冥王と戦い、その間に水竜王は魔王と魔竜王に反撃しました。どんな凄まじい戦いが行われたのか、それは本人たちしか分かりませんが、冥王の力による黒魔法が今も使えるのでおそらく引き分けに終ったのでしょう、スイーフィード・ナイトは負傷しながらも生還し、凱旋しました。おとぎ話とみなす人もいますが僕は真実だと考えています。あの、ルナさん、悲劇は・・、お嫌いですか?」 「うん・・・。でも、聞くわ。」 「時代は下って500年前、やがて滅ぶことになる末期のレティディウス公国です。あった場所はカルマート北部、ちょうど我々がいるこの場所のあたりです。栄華はピークを過ぎて衰退期でした。君主がいい加減で政情は不安定でして、王族・貴族間の陰謀、争いが絶えませんでした。」 「ってことは、魔族が好んで入り込みそうよね。」 「はい。実際その通りでした。ひょっとして魔族がいるのではないか。断片的な証拠からそう推測した魔道士でもある王族がいました。名前をバシエーナス。僕の名前はここから取ったらしいです。結構人気がありまして、エーレブルーでは同じ名前がよくあるんです。彼は自分達だけで対抗できるか自信がなく、ゼフィーリアのスイーフィード・ナイトに助けを頼みました。当時のスイーフィード・ナイトはまだ少女だったそうです。」 「あたしくらい、かな。」 「え?ルナさんよりも・・・いや。失礼ですが、御歳は?」 「16。いくつに見えた?」 「・・・20くらい・・」 「あんたねえ・・・」 「い、いえ、その、褒めてるんです。とっても視線が魅力的で、大人っぽくて。でも確かに肌は美少女・・、で、でも胸は・・・・・・・・・・ぶぅぅぅぅぅっ」 「はい。続けて。」 「し、失礼しました。」 鼻にティッシュを詰めなおし、あたしに殴られた後をさすりながら、彼は話し始めた。 「スイーフィード・ナイトと、その彼は、恋に落ちたそうです。」 「はぁ!?恋!?」 「はい。でも、もう一人、彼女に愛をささげた人がいました。」 「それは?」 「当時のレティディウス王サターナイナスです。あの有名な『不死を求めた王』です。でもその想いはかないませんでした。怒った王は、人の姿で入り込んでいる魔族の正体はその彼自身だと決めつけ、捕らえ、裁判にかけて処刑しました。実の弟を。」 「弟!?」 「はい。そのようです。」 「そ、それで・・・?」 「王が不死の研究を始めさせた時期はそのあたりなんです。栄華を極め、欲望で不死にまで手を出したなんて言われていますが、敵に回してしまったスイーフィード・ナイトを恐れ、愛が恐怖へ変わったから、とも言われています。その間にもスイーフィード・ナイトは独自の捜査で魔族の正体を王の側近だとつきとめ、そして滅ぼしました。“敵となってしまったレティディウス騎士団ごと”、あっさりと。公国は力を失い、ご存知のように王は反対勢力に捕らえられて斬首されます。憎き王の処刑に立会い、最後を見届けると、スイーフィード・ナイトは姿を消したそうです。 それで、続きがあるんです。ゼフィーリアの資料で最近見つけてきたんですが、その後、スイーフィード・ナイトは、愛する人を殺されたために自身の心から溢れてくる憎悪が収まらず、自身の中にある、神聖な力を持つ神の欠片と摩擦、あるいは反発し合い、全身を蝕まれて亡くなったそうです。」 「そんなことが・・、あったんだ・・・・・・・。」 静かなひと時が一瞬流れた。月光に横から照らされて顔の彫りが浮かび、眼鏡の厚いレンズの奥の瞳は純粋で、でも、やや気まずそうで、あたしを思いやる優しさがあった。 「力を使いこなすにはそれなりの器がいる。修行も勉強もしなきゃいけない。経験もいる。父ちゃんにそう言われたわ。大丈夫よ、あたしは。」 そう言って、笑顔を浮かべて見せた。だが、自身に満ちたものではなく、ウェイトレスのテクニックで作り上げた笑顔だった。 「その・・・、僕は、話しておくことが魔道士の責任だと思いました。でも、本当に良かったのか・・・・。もとは学術のためあなたへのインタビューだけでよかったのに、余計なことをしたかもしれません。」 「そんなことないわ。ありがとう。今日は来てよかったわ。」 優しく、ウィンクした。バシエーナスはまたまたまた失神した。部屋はかなり血に染まって凄惨な光景になっていた。殺人事件の現場みたい・・。なんか、誤解されそうだな・・・。破壊されたテーブルの側に倒れている被害者の表情はなぜか幸せそうで、アンバランスだけど・・・・。 その後宿へ帰り、酔いつぶれていたエリザベートをぶちのめして引きずって部屋に戻り、着替えさせてから、一人でシャワー浴びて寝た。 「いい人・・・・・よね。」 ベッドの中で、独り言を言った。 「ルぅナぁ。エリちゃんさみしかった・・・・・」 「寝ろ。酔っ払い。」 |
15520 | 赤の竜神の騎士V−2 | R.オーナーシェフ | 2003/11/6 15:47:34 |
記事番号15519へのコメント 温もりを感じて、一瞬、男に抱かれていると思った。そんなわけはなく、ベッドの中で寝返りをうつと、エリザベートの寝顔がある。この部屋、多分、旅行に来たカップルや新婚夫婦向けなのだ。だからダブルベッド。他に部屋は空いてなかったから仕方ない。 ため息をついた。胸が苦しくて、でも甘くて気持ちいい・・・。頭はぼーっとしてる。ベッドから出た。ベランダに出て、風に吹かれる。朝の湖は、霧に包まれていた。ちょうど、あたしの心の中のようだった。目を閉じると、昨日湖で見た彼の姿が浮かぶ。でも、耳を済ますと、なぜか昨夜話していたバシエーナスの声が響いた。彼の声は、優しかった・・。同一人物?そう、あたしの頭の中ではなりかけていた。ひょっとしたら、もし彼が眼鏡をはずしたら、と。でも、はっきりとはつながらない。イメージが違いすぎて。バシエーナスは、かっこよくない。気持ちが分からない。霧に包まれ、先が見えなかった。 霧に浮かぶ影が、キスしているように見えた。向こうは500年前の世界か・・。悪夢のような世界で愛し合う二人・・・。どうやら、強すぎる女の子でも、その気になれば恋愛はできるらしい。500年前のあたしと彼は悲劇で終わったみたいだけど・・。今のあたしは、これからどうなるだろう・・? 「おはよ。」 エリザベートがあたしの肩に腕をまわした。 「あたしはヤだな。」 「いきなり何よ。」 「男なんかにルナを盗られるのは。だいたい似合わないよ。ルナに男は。イメージ違うもん。」 「失礼ね。どういう意味よ?」 「ルナが男とラブラブしたら、カッコよさが半減しちゃうの。まあ・・ルナが本気になったら、あたしは何もできないよ。でも盗られるのはヤだ。」 「変わらないわよ。あんたとの仲は。あたしがどうなろうと、それだけはね。」 横目で、彼女はあたしを見ていた。 「何よ。信じないの?」 「信じるよ。でも、ルナは熱くなりかけてる。不安の霧に包まれながら、でもこれから燃え上がろうとくすぶっている。面白くないけど、こりゃ止められないかな。」 「どうなのかしらね。あんたは、そういう気持ちになったことはあるわけ?」 「あるよ。うそみたいに自分が押さえられなかった。ボディーガードの騎士なんだけどね。相手は。その時は、コクろうと思って、親父が用意したエルメキアの王子との見合いをすっぽかして、城を抜け出したの。でも、『いけません。姫様。』って言われて。後頭部をおもいっきりキックしてやった。」 「はっはっはっはっはっはっはっは」 ほんとにおかしくて、心の霧が晴れて行くようだった。 「普通のお姫様を演じてたのはその時までかな。それから恋愛はしてない。いや、それとも・・・・、ルナと恋愛してる、かな?」 「はあ?」 はっきり言うが、あたしはそんな趣味はない。もちろん冗談だろうけど・・・ちょっと不安? でも、あたしは彼女の頭を抱き押せた。ちょうど、あたしの目の位置くらいに髪があたって、少しだけ彼女は低い。目を閉じるあたしに腕の中でよりかかって・・、彼女はあたたかかった。 ちゃぷちゃぷと波に抱かれて、澄んだ青い空を眺めていた。湖に浮かびながら振り向くと、白く大きな家がある。セイルーン某家の別荘である。お城というほどではないが、上流階級の家よりもう一回り大きいかもしれない。でも成金趣味のような品の悪さは全然なく、おそらくは名のある建築家と、持ち主の落ち着いたセンスがよく表現されていた。二階のベランダはゆったり広い。一階の大きな窓は開放されていて、そこから広がるプライベートビーチに、やたらにとにかく巨乳な奥様は寝そべっていた。ワンピースの水着で、奇妙なことに普段身に着けているあの変な服(?)よりも露出度が少ない。だから、あの胸の大きさをのぞけば落ち着いた風景で、昨日あたしたちがいた賑やかなビーチから離れていることもあり、聞こえるのは波と風の音だけ・・・・突然何かがあたしの首に振り下ろされた! ばしゃあっ 上半身が水中に引き込まれて、もがく。水中で彼女の白いビキニが見えた。 「んんっ、むぐ、ぷはぁ、何するのよエリザベート!」 「何ぼーっとしてんの?まぁた例のダーリンのこと考えてた?」 「うん。」 「こ、このはっきり言いやがって!っんもう!エリちゃん放さないから!」 ばしゃぁん 「何すんのよ、いきなり慣れない女の子言葉になって、ってそうされたら、むぐっ、息が、ぷはっ、できないでしょーが!」 ・・・・・あ。 湖で彼女と暴れているあたしの目に、あの姿が映った。このビーチからやや離れて、男が泳いでいる。後ろから、ぴったりと首絞めるようにまとわりついてる彼女も気がついたみたいだった。 ・・・・・って・・・ 「エリザベート!ス、スリーパー入ってるって!ギ、ギブギブギブ」 ばしゃばしゃばしゃ 遠くの彼が振り向く。なにやら騒いでいるあたしたちを見て、微笑みかけたような気がした。 「抜け出すまで放さないもんね。」 「ど根性。」 ぐわっ、と両腕を広げて一気に振りほどくと、エリザベートは後ろに吹っ飛ばされる。そして、彼女がハデに水に落ちる音を聞きつつ、再び彼を探そうとすると、すでに見えなくなっていた・・・・。 ワインを一口。プライベートビーチをやさしく洗う波の音を聞きながら、別荘の前の木陰のテーブルで飲むワインは、少し酸味があった。ワインとくれば断然ゼフィーリアが有名。リナやあたしも素足でふみふみワイン作りはよくやる。でもカルマートのここも産地で、この辺の農家はライバル意識が強いらしい。フルーティーなゼフィーリア産に対し、カルマートは酸味のある‘通’向け。生産量が少ない分だけブランド化をはかっているらしい、とはビクトリアさんの言。 「セイルーンでは人気は二分ってとこかしら。今日はカルマート産をいただいてみましたけど、わたくしはゼフィーリア産も好みですわ。」 「そりゃどーも。」 この二人、こんなところで外交やってる・・・ 「ところでビクトリアさん。」 エリザベートが聞く。 「はい。」 「前からずっと聞きたかったんだけど、なんで、“あんな人”と結婚したんですか?」 「“あんな人”って?」 「ビクトリアさんの旦那さんのこと。フィリオネル・エル・ディ・セイルーンさん。」 「“あんな人”ってのは失礼じゃないの?ようするに『王子様』でしょ?どんな人か知らないけど。」 「オ、オウジサマ・・・・・・まあ、そうなんだけど。とにかく、“濃い”んだよね。ねえ、なぜですか?」 「ふっ」 ビクトリアさんが笑うと、風がやさしく滑り、その黒く長い髪が流れた。一瞬、世界が違った気がした。その瞳は切れ長で美しくて・・・ 「恋愛に、理由なんか、なくってよ。」 その視線は深く、余裕があった。 「うーん・・・、なんかいろんな意味で凄いです。尊敬しちゃいます。」 「どんな意味だか知らないけど、なんとなく同感。説得力ありました。」 思わずエリザベートに続けた。 恋愛に理由無し、か。彼のいる魔道士協会はここから見えていた。泳いでいけそうだ。あたしは椅子から立ち上がった。 「あ、あの・・・」 ふぅー、とエリザベートは一息。仕方ないなと口元で笑って、 「いってらっしゃい。せっかくだから楽しんできなよ。デート。」 「いいこと? 心の奥底が今だと告げたら、押すのよ。とにかく。」 「そうそう・・、って、まさかビクトリアさん!貴方の方から押したんスか!?あの方に!?」 「そうよ。」 「恐れ入りました。」 何が恐れ入ったのか、あたしの頭の中は『?』で占められていた。その疑問が解決したのは後のことである。・・ありゃあ、“濃い”なんてもんじゃなかった・・・ 協会は、太陽を背にして、湖からは影になっていた。昨日見た通り、やはり壁の石は古く、ツタも覆っていた。砂はあまり堆積せずに岩が露出していて、そこから建っている。あたしは、岩場から軽くジャンプして壁に取り付き、登って行った。直接に、思いきって。何か、背中から押されている感じだった。恥ずかしさよりもよく分からない熱いものが勝り、止まらない。やがて彼のいる部屋にたどり着くと、窓をこんこんとたたいた。彼がガラガラと開け、驚いた様子で、何事かとメガネを片手で上にずらしながら見た。 「はぁい。来ちゃった。」 「ル、ルナさん!?いったいどうして?直接泳いできたんですか?おお、なんという・・・、まさしく水も滴る・・・・・・・うっ」 流れ落ちかけた鼻血を止めようと鼻を押さえ、ふらりと後ろに倒れかけたところを、あたしはささえた。 「失神しなかったわね。ちょっとは慣れた?」 「そ、そのようですね。」 「ねえ、一緒に泳がない?」 まっすぐに見つめあう・・ 「え? は・・、は、はい!」 「じゃ、待ってるわ。」 そう言うとあたしは、窓から出て、ベランダから、彼にウィンクすると、後ろ向きにジャンプし体を宙返らせて湖に飛び込んだ。泡のカーテンが開くと、差し込む光が揺れ、魚や水草が踊り、澄んだ湖に抱かれる。あっさりと誘ってしまったこの状況がおかしかった。噴出して笑うと息できないので我慢しながら、自分のしたことが信じられない。あたしってバカだ。でもうれしくて、不思議な力がわいてくる。欠片の力じゃない。別の、ひょっとしたらもっと大きなものかもしれない。あたたかな、光の方へ泳ぎ、水面に顔を出すと、彼はいた。岸に、トランクス姿で立っている。やはり普段は協会の中にいるせいか色白で、しかし、意外と体は締まっていた。眼鏡は外していた。彼の素顔をはじめて見る。・・・似て、る・・。昨日と今日、湖で見た彼に。そっくりだ。でも、違う。あの彼は冷たい美しさがあった。目の前の彼は、優しくて、あたしを癒してくれる。そんな笑顔。 彼が不敵に笑った。眼鏡とると自信が出るのか、かっこよくジャンプして空中に弧を描き、頭から湖に飛び込む。ばしゃぁと、あたしに白い水しぶきが勢いよくかかった。やがて顔を出したバシエーナスに言った。 「ねえ」 「はい。」 「さっき、そこで泳いでなかった?」 あの彼を見たあたりを指差した。 「いいえ。泳いでないですよ。」 「じゃあ昨日は?」 「湖には、ここ最近入ってないです。どなたか、僕に似てる気になる方がいましたか?」 「いいえ。」 あわててあたしは否定した。 「違うのバシエーナス。ただ念のために確かめただけ。本当よ、信じて。今はね、今は、あなたしか見えてないから・・」 「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・はう」 「だぁぁから。失神するなっつーの。」 おぼれて死体のように浮かびかけた彼を起こした。 「もっとビシッと、たまには男らしくしてみなさいよ。」 「男・・・、らしく、ですか。」 「うん。」 「・・よし!分かりました。ル・・、ルナさん!!」 「は、はい。」 いきなり大きく呼ばれて、びくっとした。 「あなたが好きです!」 「え?あ、ん・・・・・・・・・・・・・・・・」 男らしく、しすぎ。 力が、入らなかった。ほぼ最強の力を持つあたしが、おそらく書物よりも重いものを持ったことがなさそうな彼に、抵抗できない。抱きしめられて・・・・・。そういえばこれあたしのファーストキスだと、気がつくのに少しかかった。経験ゼロ、テクニックなんかあるわけないはずの彼。とても、とろけそうで、以外に大きい体はあったかくて・・・・・・ああ、妹の魔力など寄せ付けないこのあたしが、今魔法にかかってる・・・・・・・・・・・・・ 「分かるか?そなたが殺したのだ。一方的に。」 分かってる。あの時、戦闘そのものはすぐに決着がついていた。だが彼らは混乱して指揮・統制が乱れ、降伏もできずにバラバラに逃げ惑う。悪逆非道をつくした連中の最後がこれか。あまりに見苦しく、そんな騎士団を相手にあたしは攻撃の手を緩めなかった。あたしは個人の恨みを勝手な正義で包み、振りかざし、戦争にならない戦争を続けた。虐殺、と言ったほうがいいかもしれない。 透明な美しい湖を黄昏が支配する。やがて、透けて底に見えてきた。ぼろぼろになった鎧に身を包んだ人骨。一帯が、すべてそれに覆われていた。 「分かるか?そなたが殺したのだ。一方的に。」 同じ台詞がまた頭の中に響いた。 「あんた誰よ?」 「我はそなたに愛をささげる者だ。」 「どうしろっていうのよ。」 「償いをしてもらおう。我の望みに従うことによって。そなたに愛をささげる我の望みに従うことによって。我の愛を受け入れるのだ。」 彼は現れた。姿形はバシエーナスによく似ている。だが、その裸体はまるで氷の像のようだった。湖の水面の上に静かに立ち、美しく、凍えさせる笑みを浮かべていた。 力が、抜けた。崩れるように座り込み、後ずさろうとしながら、ほとんど動けなかった。いつのまにか彼は剣を持ち、あたしの目の前に来ていた。ゆっくり剣を上げて、あたしの、水着の、左の鎖骨のあたりを切り裂いた。胸は、すべては露出せずなんとか覆っていたが、ふくらみがやや見えた。剣の扱いは下手で、水着とともに肌も切り裂いていた。真っ赤な血が白い肌に、つぅぅぅぅと滴る。彼はあたしに覆いかぶさるようにして、美味しそうにその傷口にキスをした。 「・・・・・ん、くっはぁ、はぁ」 「ルナさん、ルナさん、大丈夫ですか?」 心配そうにバシエーナスはあたしを見つめ、額の汗を拭いてくれた。そこは、彼の部屋のベッドだった。すっかり泳ぎ疲れて、彼の部屋で休んでいたのだった。外は、もう夜。 「悪い夢を見たわ。500年前の亡霊かしら。」 「僕があんな話をしたから・・・・」 「ううん、気にしないで。ねえ、お願い。キスして・・・。あたたかさが欲しいの・・・・」 「ルナさん・・・・」 唇を重ね、彼はあたしを包んでくれた・・・・・ 「ん?」 何かが、彼の胸ポケットから落ちた。ペンダントのようだった。あたしはそれをひろう。星の形をしていた。 「『水竜王(アクアロード)の瞳』。そのように両親からは聞いています。」 「アクアロードの瞳? ああ、今の季節の星座ね。」 「ええ。うちの家に伝わるものらしいんですが、その名前以上のことは分からないんです。」 「素敵じゃない。」 「そうですね。でも正体不明の得体の知れないところが怖くもあります。それほど大切にしているわけでもないんです。」 そう言って、彼は星の形をしたペンダントを、手を伸ばしてベッドわきのテーブルに置いた。 「今大切にしているのは、あなただけですから。」 思わずため息が漏れて、あたしは視線でキスのつづきを求めた。すぐに、答えてくれた。 甘い味が、残っていた。ぬくもりが、まだ包んでいて、胸が満たされていた・・・。エリザベートがあたしのすぐ顔の前で手のひらをさっさっさと振った。 「おーい。るーなちゃん♪どうしちゃったの?帰ってこなかった昨日の晩は何してたのかな?」 「いけないッスよエリザベート姉さん。何してたって、“ナニしてた”に決まってるじゃないスか。」 ぼごん 速攻でセルフサービスのジュースを運んできた彼の顔面の真ん中に、彼女の放つジャイアン・パンチがめりこみ、崩れ落ちた。あのヨットの男だった。いつのまにかエリザベートが“舎弟”にしていた。 「幸せだった?」 「うん。」 「うわはっきりいいやがったよこの女。にやにやしちゃって。ルナらしくないな。」 「これもあたしなのよ。今まで出てこなかっただけで。どういわれようと押さえられないし。ねえ、ところで・・、おーい。」 「お、俺ッスか?」 顔面の中央が赤く腫れ、鼻血を流してジュースを浴びながら・・・うわ酷い・・むくりと起き上がった。 「あんた、地元は詳しいわよね。」 「もちろん。まかせてくださいよ。」 「ねえ、あの湖、ひょっとして、何かない? 底に・・・」 「確か、古戦場、とか・・」 詳しくなさそうだった。頭悪いだろ。おまい。 「あ、それ聞いた。昨日ルナが行ってからビクトリアさんに。500年前の古戦場があるみたい。湖のほとりで戦いがあって、今は昔より水位が上がって沈んでるんだって。」 「いろいろ知ってるのね。あの人って。」 「うん。知性はある人ね。でもこの話はビクトリアさんも人から聞いたみたいだよ。確か・・・、プラムって・・・」 「ほんと?会いたいわ。その人に。」 「うん。ま、ルナならいいでしょ。あ、あんたはダメだよ。秘密らしいから。」 「プラム・・・ちゃんスか?」 「知ってるの?」 「うちの近所ッス。」 |
15521 | 赤の竜神の騎士V−3 | R.オーナーシェフ | 2003/11/6 15:55:57 |
記事番号15519へのコメント エーレブルーから南へ行けばソラリアを経てセイルーン。東へ行けばマインを経てゼフィーリア。西へ行けばヴェゼンディを経てディルス王国へ入る。観光で潤う街並みから離れて、家々がぽつりぽつりと点在する村へ案内された。マインの、さらに手前の地図にもない村である。これが俺の実家ッス、と彼にどうでもよい紹介をされる。何もない村だから、大きな街へ出たかったとありがちな話をしていると、その村でもはずれのほうで、木々に囲まれその家はあった。 「古そうね。」 普通よりはやや大きい。一見地味で目立たないが、見るものが見れば木材や細かい組み方などが年代ものであることが分かる。彼が先へ進んだ。戸をたたき、女の子が中から顔を出す。 「どなたですか?」 明るい響きだった。多分、リナくらいだろうか? 伸ばした髪や瞳の色はバシエーナスに似ている気がした。他にも何人か見かけたが、移ってきたのではなく古くから地元に住んでいる人たちってことか。 「あら、お兄ちゃん。」 「よおプラムちゃん。久しぶりだな。えっと、こちらは・・」 「ビクトリアさんは知ってるよね。その紹介なんだけど。」 エリザベートが言った。 「あ。ってことは、地位のある方ですね。あの方の紹介なら信頼します。どうぞ。こちらへお入りください。」 そのとき、あたしは視界の端に、光るものをとらえた。 「ねえ、そのペンダント・・」 「あ、これですか? その・・、とにかく中へ」 同じ、ペンダントだ・・・・。 「どうぞ。」 互いの紹介を一通り終え、弟さんが運んできたお茶を飲んで一息ついた。かわいい笑顔を浮かべた子で、でも声は小さくおとなしそうだった。表情の奥に、何か暗く冷たいものを感じた気がした。まさか、死相? 「へー。魔道書がいっぱいあるんだ。」 エリザベートは立ち上がって、その中の興味を感じた一冊を取り出し、 「あ、そこは・・・」 プラムがあわてた時、エリザベートは何かを見つけたようだった。 「本の奥にまた本があるのね。」 腕をつっこみ探って、あわわと目が泳ぐプラムも気にせずに、それを取り出して開いた。すると、エリザベートの顔色がだんだんと変わっていき、本を元に戻した。 「大事にしまっておきなさい。」 「もとより、そのつもりです。」 「気になるじゃないエリザベート。なんだったのよ。」 「写本。」 「なんのッスか?」 「知らなくていいから。」 冷たくあしらうエリザベート。 「ちょっとまって。まさか、あの写本!?」 「そう。その写本。」 「なるほど。聞かないことにするわ。」 その写本に書かれていた内容は、あたしよりもむしろ、リナと後に深く関わることになる。また、弟さんに感じたあたしのカンも当たってしまうことになるのだった。 「さてと、それよりもよ。さっき聞いたそのペンダントだけど。ねえ、それ、ひょっとして『アクアロードの瞳』とかって言わない?」 「ご、ご存知なんですか!?」 「同じものを持っている人がいるの。」 「まさか、そんな方が・・・。」 プラムは一息して、自分を落ち着けた。 「その方は、おそらくレティディウス王室の血を引き継ぐ方です。」 その瞬間、あたしもエリザベートも言葉を失った。 「このペンダントは、王国に使える神官をしていた家の先祖が、その功績を認められて、特別に王からいただいたものだと伝え聞いています。本来それは王族だけがその印として持つものなんです。たまに家の先祖のように王族並みの扱いを認められ、王位継承権は無いもののさまざまな特権が与えられる場合があったようですが、それは例外です。他にも同様の地位を認められた家はありましたが、500年前の王国滅亡の後に生き残ったのは家だけのはずなんです。」 「生き残った王族っていたの?」 「滅びる直前に、最後の『不死を求めた王』サターナイナスは実の弟バシエーナスを魔族裁判にかけて処刑しましたが、妻と子供は逃走したそうです。彼は悲劇の主人公ですから、その妻子は革命後に保護されたそうです。それ以外は粛清されたようですが。」 「あれ?ちょっとまって。バシエーナスって、スイーフィード・ナイトと恋に落ちたんでしょ?不倫?」 「そうなりますね。妻といっても政略で結婚した愛のない正妻ですから。寂しかったのでしょう。また不倫だったから、余計に燃え上がったんじゃないでしょうか?きっとステキな恋愛をしたと思います。」 そうとうなおマセさんね。あんた。リナなんかまだまだガキなのに。 「さてと、じゃあ本題に入るけど、実はあたしね、」 「赤の竜神の騎士様ですね?」 「あかの・・・・・・・・ええええええええええええええ!?」 ヨットのあんちゃんが驚いた。 「なんで分かった・・・・・、あ、神託?」 「はい。ありました。禍が起き、そしてあなたが現れる、と。」 「禍が?これから?」 「はい。具体的にどのようなものかは分かりませんが。」 「そう。とりあえず聞きたいとこから入るわ。あなたがさっき言った最後の王サターナイナスだけど、彼は革命側に処刑されたのよね。確かに処刑されたの?」 「家ではそう伝わってます。断首されたと。」 「不死の研究を完成させた、なんてことは?」 エリザベートが言った。 「それはないと思います。王室に深く関わり、代々秘密を伝えてきた家でそんな話は聞いてませんし。それがいかに難しいかは魔道を多少かじった人なら分かると思います。」 「ま、そうでしょうね。あたしがこの話を聞いたのはね、その、サターナイナスっぽい人を見たからなのよ。」 「そんなバカな」 「二度あたしの前に現れて、冷たい笑みを浮かべた男だった。そして、あたしの夢の中にも現れたの。『そなたが殺したのだ』と、あたしの500年前の潜在的な記憶も呼び起こした。このスイーフィード・ナイトに外部から介入して夢を見せたのだとしたら、かなりの魔力だわ。」 「誰かが彼の事を利用することはあるかもしれません。でも本人ではないと思います。」 きっぱりとプラムは言った。封印した己の一族の過去に触れたくないのは当然か・・・。 波の音と・・、キスの音。 純白の、穢れなき砂浜だった。ごみを持ち込む観光客などはまったく来ない、バシエーナスだけが知る秘密の場所である。優しく行き来する波に洗われて、二人っきり。砂浜で、彼の腕を枕に寝そべるあたしの髪を彼は撫でつつ、指を絡め、水着が大きく開いてる背中の肌に手が触れて、その大きさと温かさにドキドキする。あたしを抱き寄せて、キス。キス。キス。 「昨日の夜はどうしたんですか?ルナさん。悪い夢にうなされて。悩み事なら聞きますよ。」 「ふふ。心配性さんね。大丈夫よ。」 彼には、心配をかけたくなかった・・。彼が滅びた王族の血筋だということも黙っていた。500年前のようにはなりたくない。あたしは彼を失いたくない。 「あの、ルナさんが言っていた男ですか?」 「それは・・・・」 「すいません。言いたくないこともありますよね。ルナさんの好きでいいですよ。」 「好きでいいのなら・・・、抱いていて。」 「はい。抱いてます。ずっと。」 あたしの頭を、寄せてくれた。そこへ、夕日が射した。まっすぐ、湖がオレンジに染まり、キラキラと輝いていた。星の形にも見えた。 「素敵な秘密の場所ね。綺麗だわ。」 「はい。でもルナさんのほうが・・・いえ、その、ははは。」 「もう。自分で言ってて恥ずかしがらないの。」 「すいません。月並みの言葉しか見つからなくて。バカですね、僕。でも、嘘じゃないです。」 ずっと・・、キス。 「ねえルナ。どうするの?」 「ん?」 宿の部屋で、窓から夜の湖を眺めながらカクテルを傾けていた。 「あんたとあの彼のこと。結婚しちゃうの?」 「ぶっひゃぁぁぁぁっ、えほ、げほ、げほ。何よいきなり、そんなこと・・・」 ど、どうしよう・・・・・・・・ 「あたしとの旅はどうなっちゃうの?」 曇りなき瞳でまっすぐ見つめられる。 「旅は続けるわ。大丈夫よ。別に。旅先の魔道士協会に寄りながら連絡はできるし、たまに会いに来ればいいわ。結婚を考えるのはその後よ。ったく、話が早いわねえ。男にあたしを取られるのはヤだ、なんて言ってたくせに。」 「だって、やっぱいろいろ考えちゃうじゃん。ルナはそれでさみしくないの?」 「それは・・・・・・・・・・・・・・さ、さみしいかも・・・・・・・」 湖はいつもの通り美しく、月を照り返す・・・・・・・・・・・ い、や・・? 「ねえ、エリザベート、あれ・・・」 「何?湖に映る月がどうかした?」 「・・魔法陣・・・」 湖が反射する月光がやけに明るいと思っていた。月光に間違いはない。だが、その光の中に、あるのだ。かすかだが。 「え!? ほ、ほんとだ・・・。でも何の魔法陣だろ?魔道は一通り勉強してるけど・・。見に行ってみる?」 「うん。」 湖は、特に何の変化もなかった。暗く透明で、山脈と月光を照り返していた。 ・・・・・・・いや。異常な点が一つ。 異形のものが夜の砂浜に立っていた。長い黒髪。トゲトゲショルダーガード。マントをなびかせ、こちらを振り返った。大きすぎの胸をそらして。絶対に異形の存在よね。これは。 「ビクトリアさん!」 あたしたちは近づいていった。 「あなたたちも見たのね。」 「ひょっとして、ずっと気づいていたんですか?」 「ええ。確か、あなたたちがここへ来てからよ。」 「種類は分かりますか?」 エリザベートが聞いた。 「めずらしい形だったけど、系統はネクロマンシーのはずよ。それもかなり強力なもの。」 あたしはTシャツとホットパンツを脱いで水着になった。 「何してんのルナ?」 「ちょっといってこよっかなと思って。」 「あ、なるほど。付き合う。」 彼女も下を脱いだ。上はビキニのまま着ていなかった。 「気をつけて。」 「大丈夫ですよ。あたしたちは。」 エリザベートが言う。 「暴れすぎるな、って意味よ。」 『・・・・・・・は、はい。』 ちゃぷちゃぷと湖へ進み始め、泳ぎ、湖の中ほどまで来る。見上げても月は変わらない。周囲は、はやり何か淡く光っていたが、底のほうから続いているようだった。エリザベートと顔を見合わせて、目で合図しあうと、肺に大きく吸い込み、回転して頭から一気に水中へと突っ込んでいこうと・・・とんとん、とエリザベートがたたく。困ったような顔をして。 「翔封界(レイ・ウィング)!」 あ。この手があったんだ・・・。 月光は、すぐに届かなくなった。何も見えない。汚れて見えないというのではなく、透明に透き通っていて、先の先まで見渡せる。そして先の先まで真っ暗なのだ。無限に広かる静寂と闇だった。やがて、闇の中に淡い光が灯る。魔法陣。逆五芒星だ。かなり大きい。湖の面積の何割かあるのではないか。底の平たい部分全体に広がっていた。そのあたりには、多少水草が揺れていて、砂地ではなく、ごつごつした岩が・・・・・違う。あれ、全部、骨だ。 「んぐっ?」 呪文発動中のエリザベートが声を出すのをこらえた。風の結界を破り、鎧をつけた骸骨騎士が彼女の足をつかんでいた。表情にならない表情を浮かべて、笑っているようにも骸骨騎士は見えた。結界を破るってことは、普通のスケルトンよりも力がある。あたしはそれを手刀で叩き割った。 ―贈り物を用意した 「え?」 不思議な顔をして彼女が声を出したあたしに振り向く。 ―我が愛するスイーフィード・ナイト。そなたに贈り物を用意した。 「贈り物?」 どこから・・・・あそこだ。魔法陣の中心に。無表情でたたずみ、こちらを見ていた。風の結界をまとうこともなく、息してない。彼が冷たい笑みを浮かべた。背中に、悪寒を感じ、振り返った。水面のほうに、夜なのに、赤い光が見えた。・・まさか、火? 「あ、んむぐっ。」 その光景に彼女も思わず驚いて、結界が解けた。 「ごもまぐげぇぇぇぇぇっ(このまぬけぇぇぇぇぇっ)!!」 警戒する視線を彼に残して、あたしたちは慌てて泳いでいった。 ギャァァァァァァァァァァァァァァァ 湖から顔を出せば、街の方から悲鳴が響いていた。 すでに煙が何本か上がっていた。あたしはエリザベートやビクトリアさんと一緒にその方向に駆け出す。すると、すぐに何かが見えた。 「触・・・手?」 そう気がついた時には、すでに街や人々がぬるぬるした褐色の人の肌のような触手に拘束されていた。うめき、血を吐き、腕を切断され、自らの家族の者や友人の最期に絶叫している。あたしたち三人は阿鼻叫喚の中を走り、そこへたどりついた。触手が、あたりの生きとし生けるものをすべて拘束している。まったく同じものがあたしたちを襲う。その先にちらっと姿が見えた。 「バシエーナス・・?」 エリザベートが叫んだ。 「ルナ、早く彼を!!」 エリザベートやビクトリアさんが呪文を唱え、あたしは、触手のジャングルの中を問答無用で突っ切った。 街並みを抜けると、彼がいた。触手をたどって、そこへたどりついたのだった。そのとたん、彼が触手を伸ばす。あたしは、両手両足を拘束される。 「うそ、でしょ・・・・?」 何も答えない。褐色の肌の色をした触手は、その彼の、両腕から、生えていた・・・・・・。両腕が切り落とされていた。血の滴る肩の切断面から食い破るように触手が何本も生えて、あたり一帯を支配し、目は虚ろだった。彼の本体の肌の色は、緑。口から血をだらだらと流している。触手が誰かの頭部をぐるぐる巻きにして、首からどろりと落ちる血を、彼はごくりと飲んでいた。 「あなたなの? バシエーナス。」 何も答えなかった。だが、姿形はまぎれもなくバシエーナスだった。 あまりのことに働くことを拒否していた思考が、回復する。間違いなくバシエーナスである。両手両足に、欠片の力を集中し、触手が蒸発する。あたしは地面に落とされて、つま先で軽く、とん、と着地する。地をけり、攻撃する触手を払いのけると、彼を抱きしめた。キスした。ギュッと、抱きしめてキスした。そして気がついた。彼には、舌が無い。舌を切り取られていた。口から流れる血は殺した者と自分のものと両方。つまり、言葉を封じられた。万が一わずかに意識が残っていても、彼は何も伝えられない。 「大丈夫よ。言葉なんか無くたって、あたしは分かるから。ありがとう。あたしを愛してくれて。」 触手は何度もあたしを攻撃しようとしていた。だが、虚ろの瞳からは、涙が緑色の頬に流れる。そこへ、何度もキスした。 「あたしも愛してるわ。心の底から、愛してる。愛してる。愛してる。愛してる。」 リナやエリザベートのように体系的に魔道を学んだことは無い。だが多少の知識はあった。聞かなくても、調べなくても、彼がどうされたのか、分かった。彼は元に戻らない。 「この世で誰よりも愛してる。だから・・・・・・・・・・。だから・・・・・、 苦しませはしないから。このあたしの、最高の力で、終わらせるから・・・・。」 最後のキス。そして、唇を離す。間合いを置いた。触手はあたしを狙い、彼の目は虚ろなままだった。でも、その瞳の奥は、早く楽になりたがっていた。そしていつか、また・・・・。 本来なら、魔王の分身の一つか、フィブリゾのような腹心クラスの相手にしかこういうことはしない。普段の生活でしっかりコントロールしようとしている意識を、すべて外した。赤の竜神の騎士の力をすべて解放する。エーレブルー・シティが、あたしの発する赤い光で包まれる。それは、あたしの中にあるものと同様、赤の竜神が滅びる時に残した欠片の一つである。1800年前に、たまたまゼフィーリアにあった赤竜の剣。勝手に王宮の奥に祭られているそれを、異空間を通してあたしは呼び出した。イメージに従って虚空が赤く輝き、剣の形が浮かぶ・・・ 剣を振り下ろすと、何の手ごたえも無かった。多分彼は斬られた事すら分からない。 手ごたえがないから、実感がわかなくて、一瞬、どこか人事のようで、きっと架空の世界の出来事だと逃避して。右肩から斜めに断ち切って、血が一気に飛び散り、まともに全身へ浴びて、触手は蒸発していく。振り返れば、静まり返っていって・・、やがて、街の生き残った人々は、横たわる彼の前で剣を下げ、水着の上から血に染まったあたしの姿を見て、恐れ、言葉を失った。 「ルナ、ルナ、ルナ!」 目の前でエリザベートがあたしの肩を揺らしているのに気づいたのは、少したってからだった。我に返ると、体から力が抜け、彼女に支えられた。遅れて、涙があふれた。 |
15522 | 赤の竜神の騎士V−4 | R.オーナーシェフ | 2003/11/6 16:02:31 |
記事番号15519へのコメント 枕が、濡れていた。あたしの涙か・・・。 お昼になっていた。自分のしたことが、まだ実感が無かった。気が向けば、バシエーナスがひょっこり現れる気がしていた。また湖で泳げると。でもそれはかなわない。そう気がつくと、昨夜の記憶が、目の前を血の色に染まった重たい闇に包み、また枕を涙でぬらす。 「ルぅナちゃん♪」 「ん?」 振り向くと、エリザベートだった。椅子に逆向きに座り、背もたれのほうに腕とあごをのせてこちらを向いていた。 「ねえ、ごはんたべよ。ここね、ミルサーが名物なんだってさ。」 「ミルサーって、あの有名な魚の?地方も季節も違うじゃん。」 「ここのラグラディア湖でも獲れるらしいよ。ごくわずかだけど。その分値段も張るけど、ななんと、ビクトリアさんのおごり!!さっすがセイルーンの奥様!!でかいのは胸だけじゃないね。」 「うん。そうね。」 「・・・なんだぁ・・・、元気ないなぁ・・・・。」 指であたしの頬を彼女はぬぐった。 「ま、無理もないか・・・・・」 返事ができなくて、少し気まずさを抱えたまま、ベッドから起き上がって、洗面台で顔を洗う。一息ついて、洗面台についている手の指に、思わず力が入ると、簡単にひびが入った。鏡を見る。嫌な女・・。何がスイーフィード・ナイトよ・・。 「ねえ、自分の持つ能力を恨んだことってある?」 「え・・?」 「人一人助けることすらできないのよ。こんな力・・・、持っていても、何の意味もないわ・・・・・・。」 指先にやや気力を入れた。すると、大理石の洗面台が、派手な音を立てて粉々に崩れ落ちた。異常に強すぎる自身の力に憎しみを感じた・・。 「ねえ、ルナは、彼と出会ったことを後悔してるの?」 「そ、それは・・」 「してないんだね。幸せだったって言ってたもんね。愛し合ったんでしょ?なんでルナと彼は出会ったの?」 「えっと・・」 「彼はスイーフィード・ナイトの研究をしていた。ルナはスイーフィード・ナイトだった。しかも多分、二人とも生まれ変わりかな。きっと500年ぶりの再会だね。赤い糸で結ばれた運命としか言いようがないよね。」 「何が言いたいのよ?」 「あたしは、彼の一生は短かったけど、幸せだったと思う。それはルナのおかげだよ。愛し合うのもきっとルナの生き方のうちじゃないの?」 「あたしには似合わないって言わなかった?」 「わりい。前言撤回。」 「ぷっ」 「慰めてるのにふきだすなよ。」 鏡の方から振り返って、あたしは微笑み、笑った。 昔、彼女との出会いは喧嘩だった。父ちゃんとビリエールさんの話を聞いていて彼女の名が出たのが最初だった。その話にだんだんムカムカしてきて、彼女と出会った。城を抜け出しながら彼女が不良連中を束ねて率いてたグループと、あたしとの喧嘩で、あたし一人で向こうをボッコボコにして、彼女も殴り倒した。手は抜いたが街一区画が崩壊して、その後あたしは父ちゃんに、彼女は教育を王から任されていたビリエールさんに長々と説教を食らった。あたしの場合、説教というより親子喧嘩だったが。火のついてないタバコ咥えてんなよとか、関係ない話になって、母ちゃんがあきれて、リナが震えていたのを覚えている。その後、彼女とは、笑ってうちとけたのだった。なぜか。理由は分からない。不思議だが、後になって殴られたのがありがたいと感じたらしい(マゾじゃないだろーな・・)。それ以来、ずっと組んでいる。 そんな彼女に・・・、多分、言ってほしかったのだ。『愛し合うのもきっとルナの生き方のうちじゃないの?』と。過ぎ去ったことは仕方ない。前を向かなきゃいけない。そんなこと、言われなくとも分かりきっていた。でも、言ってほしかった。あたしは、思われてるほど強くないから。 「ごはん、食べに行こっか。」 「そう来なきゃ。」 いつもと同じように、彼女の不敵な瞳の中にあたしの笑みがあった。 がたんっと、突然ドアは開かれた、 「あ、あの・・」 「プラムじゃないの。どうした?」 エリザベートが聞いた。 「か、カルマート公国の、遺跡を保護する役人が殺されていたんです。あのサターナイナスの墓の管理者です。まだおおやけにはされてないんですが、政府の私のことを知る人が、私に、何か知らないかって・・・・」 「墓は?」 「空になっていて、あたり一帯が攻撃呪文で焼かれていたそうです。」 「ま、ごはん食べてからにしましょ。」 先程の事が嘘のように、あたしは落ち着いていた。 ひっそりと、森に包まれたところに墓地はあった。小鳥は普通に鳴き、日は変わらず葉の間から漏れる。どこにでもある森に見える。だが目を閉じると、小鳥の声は遠くの木々に染み入り、死と静寂の支配する異世界へと続いているようにも感じる。もちろん、普通の森だ。ただ、動物たちのほか、人の骸もあるだけで。 「ちょうど、ファイヤー・ボールが炸裂したような感じかな。」 焼け焦げた後を見てエリザベートが言った。熱さ、煙はもうない。炭のにおいがすこしする。かつての王朝の墓地にしては規模は小さいが、埋葬したのが革命側だから仕方ない。いろんな歴史を見れば墓があるだけマシってもんである。いくつか焼け焦げた、多分王族たちの墓石があり、その中央に、ぽっかりと穴が開いていた。ちょうど柩の形に。おそらく柩だったのか、破壊されたらしき石の破片がちらばっている。 「いつのこと?」 あたしはプラムに聞いた。 「三日前と聞きました。」 「あたしたちが来た日だ・・」 エリザベートが言った。 「こんなことが・・・」 あの『不死を求めた王』がほんとに墓から起き上がった可能性をプラムは認めたくないらしかった。ビクトリアさんが長い髪をかきあげる。 「彼は死んだ。そう思って間違いないでしょうね。不死というものは簡単じゃなくってよ。わたくしも趣味でちょっと研究してみましたけど。」 オイオイオイ。マジかよ。 「でも、不死の代わりのものは、やりようによってはできないこともないんじゃなくって?」 「そうだなあ・・。魔族と契約結ぶか、魔道死霊(リッチ)になっちゃうか、魔法で永遠じゃなくても2、300年くらい寿命のばしてみるとか・・。あの赤法師レゾなんか、100年くらい生きててまだ若いままだっていうし・・」 エリザベートが言う。 「2、300年くらいじゃ500年に足りないし、魔族と契約結んだって、おそらく魔族のほうが500年前に滅ぼされてるし、リッチのような不死の存在なら、なんで500年もわざわざ棺おけに入ってたの?アンデッドの話にある通り素直に眠ってたわけ?」 「ぅぅぅぅぅぅ・・、突込みばかりじゃなくルナも考えてよ。」 なにげなく、柩の破片と思われる石をひろった。 「?」 ゾク、っと背筋が震えた。人を想う激しく熱い愛しさと、死の淵をさまよう絶望、憎悪、恐怖、限りなき欲望・・・・。それらが混ざり合ったもの。石からそれを直感的に、まるで神託のごとく感じ取ったのは、あたしというより、神の欠片かもしれない・・。初めてじゃない。欠片の潜在的な記憶がおぼろげに覚えている。おそらく500年前と・・・ 「ビクトリアさん。」 「何か、気づいたかしら?」 『魔法陣に気づいたとき、ネクロマンシーって言ってましたよね。誰かをよみがえらせ、操る、と・・。」 「そうね。」 「例えばそれを・・・己にかける、なんてことはできますか?」 「え?」 「何いってんだ?」 「そうですよ。」 ビクトリアさん、エリザベート、プラムとも、言ってることが分からないようだった。 「あいつは多分・・・・、サターナイナスよ。」 カタート山脈を背景に、高原の広い湖は澄んで深く、広がる空は澄んで高い。いつもの風景を湖は魅せていた。あたしとエリザベートは水着姿で砂浜に寝そべっている。あたしはカクテルを一口舐め、風に吹かれて、隣では彼女が例のヨットの男に、背中にオイルをぬらせていた。 「ねえ。」 エリザベートが言った。 「なんスか?」 「何がおきても驚かないでね。」 「驚かないでって・・、まさかエリザベート姉さん、この背中の部分をはずしたままトップレスで泳ぐんスか!?」 ひと時の静寂。冷たい風が流れる・・・・ 「す、すいませんでした・・・。でも、本当に何かあるんスか?大丈夫っスよ。」 「いざって時は、みんなを避難させて。」 「は、ははは。な、なんなんスか?そんな大袈裟な。」 乾いた、ちょっと怖がってる笑い方だった。 風景は、平和そのものだった。あんな事件があったせいか、やや閑散として、少し冷めていて、でも皆湖で楽しもうとしていた。 かつてのレティディウス騎士団は、現役の正規部隊が約2万。あの魔法陣で、あたしたちが来たときからの時間を考えて、この程度ではないか。そう、ビクトリアさんが指摘したのはもうそろそろだ・・・と思っているうちに、空気が澄んで遠くまで見渡せていたのに、先の風景がかすんできていることに気づいた。注意していなければ気づかないほどに、ゆっくりと、ゆっくりと靄は濃くなってくる。だんだんと、湖が霧で包まれつつあることに、一人二人と気がつき始めて、少しずつざわめきだした。一見ただの霧だが、本能的に異常を感じ取っていた。せっかく晴れていたのにちょっと残念、というのとはなんとなく違う・・・。やがて、すっかり白く包まれ、家族連れは帰る支度を始める。活きの良い若い連中はまだ遊んでいるが。 ぽつりぽつりと湖から影が現れ始めた。平和な風景には明らかに場違いで、皆、しばらくそれには気づかない。やがて少しずつ顔色を変える者が増え始めて、恐怖は一気に広まった。叫喚があたりを支配した。何が起きたのか分からぬまま、一斉に湖から逃げ出した。 「みんな落ち着け!落ち着いて離れるんだ!!」 そういう彼は膝が笑ってた。 「きゃっ」 カクテルを飲み干すと、目の前で転んだ少女を抱え上げ、彼に預ける。 「急いで離れて。」 「は、はい。」 エリザベートは面倒そうに背中のホックを閉じながら、うつ伏せからゆっくり起き上がった。 「まさか、ビキニで戦うはめになるなんてね・・・って、ちょっと数多くない?ルナ。」 白い霧の中、ぼやーっとした影がすっかりあたりを埋めていた。 「多いわね。」 綺麗だった湖は、すっかり台無しになっていた。昔のレティディウス騎士団の甲冑を着けた骸骨たちの姿がはっきりしてきた。しずかに、ちゃぷちゃぷと海岸をこちらへ歩く音があたりの空間に響いている。 「『一騎当千』ならともかく、『一騎当万』なんて聞いたことないよ。」 「大丈夫だって。女王に即位する前に伝説を作っておくのも悪くないんじゃない?」 「そうだね、と言いつつ竜破斬!!」 連中の支配する静寂は、彼女の片手で放つ呪文の爆音で一気に押し戻された。爆光の中、砂浜の中に隠しておいた大きな背丈ほどもある長剣二刀を彼女は取り出し、剣に魔力を込める呪文を高速で唱えながら、一瞬で鋭く湖へ突っ込んでいった。 『ぐがああああああああああああああああああ』 その間にも、骸骨騎士団は迫ってきていた。あたしは、やはり砂に隠してある自分の長剣を足で蹴り上げ、空中で右手に軽く捕らえ握りつつ、一気にそのまま片手の居合いで、とりあえず目の前に迫ったそれを切り裂いた。10体くらいが塵と消えた。振るったのは普通の剣である。あたしは気をこめるだけで、ただの剣や擂り粉木、麺棒でも魔力剣と同様に使うことができた。だが、予想よりも手応えがあった。つぎつぎと連中はせまり、 「え?」 骸骨たちの剣を握る手とは反対の骨の指先に光が灯り、一斉に魔力の光線を放つ。 「はぁっ!!」 気合で魔力光を消し去った。 「やっぱただのアンデッドじゃないようね。」 「その通りだよ。我が愛するスイーフィード・ナイト。我が魔法で蘇らせた騎士団だ。昔のようにはいかない。」 あたしは突きで2体を貫き消滅させる。そこに、彼が、いた。あたしは剣を彼の喉に突きつけていた。だが、うろたえること無く、人を見下す余裕の笑みを浮かべている。 「サターナイナス。」 「そうだ。まさしく、500年前に君にフラれたレティディウス王サターナイナスだよ。」 「自分自身にネクロマンシーの魔法をかけたわね。あなたは斬首されて、やはり一度死んでいた。今もよ。今は、500年前のあなた自身の命令でよみがえり、動いている。多分スイーフィード・ナイトの力に反応するようアレンジしたのね。再びこのあたしに会うために。たいした魔法だわ。そこだけはほめてあげる。」 「その通りだ。うれしいよ。分かってくれて。いろいろ試してみたが、やはり不死の魔法は無理だった。だから、反乱軍に城を囲まれて己の死は避けられないと悟った我は、この手段を使ったのだ。レティディウスの技術は伊達ではない。なによりも、そなたに会いたかったのだ。」 「今の時代はね、そういうのをストーカーって言うのよ。」 「なんと言われようもよい。そのようなことはどうでもよいのだ。」 「あたしが現れて、あなたがよみがえって、あの魔方陣も出現した。自分の復活のみでなく騎士団まで復活させて、何をする気?」 「われがよみがえったからには、我が魔法で再びレティディウスを復興し、そなたとともに暮らすのだ。それが我が望みだよ。」 「あたしの意思は、あなたにとってどうでもいいの?」 「運命だ。そなたの意思は逆らえぬ。例え我を想ってくれなくとも、その美しさを保ったまま、我の傍に飾っておこう。クリスタルにでも納めてな。そうすれば美貌と伝説が永遠に伝わる。」 「あなたにとっては、あたしやバシエーナスの想いはどうでもいいのね。お互いの想いを通わせあうのが愛でしょ?あなたの言ってることは違うわ。」 「言ってることが分からぬな。我は王だ。水竜王より与えられた位を受け継ぐ者だ。そしてそなたは宿命を背負うスイーフィード・ナイトのはずだ。」 「彼などは取るに足らないって言いたいわけね。」 「そうだ。王から見れば他の者は手のひらの上の存在。我を妨げることは赤の竜神への謀反と同じことだ。特に何事でも一々逆らうあの身の程知らずの弟は、捨てられた骸に湧く蛆虫と変わらぬ。あの者は愚かにも、我に、そなたの前から消えろ、そなたは自分のものだと言ってきおった。互いに激しく想い合っているのは分かったよ。だから許せなかった。」 突きつけていた剣をおろした。彼のあの姿を思い出しながら、一息して、なんとか自分を鎮めた。 「何故だ?赤の竜神の騎士よ。スイーフィード・ナイトなのだろう?500年前、我はそなたに会うのを楽しみにしていた。その神々しい姿を早くわが目に焼き付けたいと思っていた。だが、実際にあってみたらどうだ?なぜあのような者と恋に落ちてしまうのだ!それではやることが普通の娘ではないか。」 「だから、ああしたの・・・」 「あれはな、あの者と500年前同様心を通わせた報いだ。特別な力を持つそなたがふさわしくない者に心をささげれば、ああなるのが必然だ。あのような者、切って捨てればよい。」 「・・・・・」 「怒りの表情も魅力的だ。」 そう彼が言った次の瞬間、あたしは剣を振り下ろしていた。しかし、彼は手に灯した魔力光で受け止めた。でも勢いは殺せず、そのまま弾き飛ばされて、派手に湖に後ろから突っ込んだ。水しぶきが雨のように落ちる。無表情で、むくりと、起き上がった。 「敵を、討ちたいか?」 「分かってるわ。彼を殺したのはあなたじゃない。このあたしよ。そう言わせたいんでしょ?」 「昔と同じようにまた、怒りにまかせてその神聖なはずの力を振るうのもよい。そういう姿もまた魅力的だ。望むのなら、好きなだけ殺戮を行うがよい。」 一瞬、静寂が流れた。 ズバァァァァァァ それは、彼にとっては予想外のようだった。何が起きたのか一瞬分からず、ゆっくり、彼は振り返った。エリザベートが不敵な笑みを浮かべていた。彼女の魔力で白熱する大きな剣は、サターナイナスの胴を後ろから真っ二つに切り裂いていた。 「なーにさっきからごちゃごちゃ言ってんだよ。気に入らない。」 「気に入らないから我を殺すか?」 「望んで殺しはしない。ただ、潔くない。それが気に入らないの。」 「我は、滅びぬ!」 振り返りつつ、手から光球を放つ。呪文無し。切られた胴から上の上半身だけで。エリザベートは二刀の長剣で交叉させ受け止めるが、後ろへ倒れた。そこへ骸骨騎士団が水しぶきを立てて殺到するが、すぐに弾き飛ばして起き上がった。 「スイーフィード・ナイト、結局は殺戮へと走るか?それもよかろう・・・うっ!?」 再びこちらへ彼は振り返り・・・・・、あたしはいない。 「彼を想っていても、あたしを愛してくれるのなら、真剣に返事をしてもいいと思っていた。付き合いは断っても友情はそのままってパターンもあるからね。相手が悪人でも。」 「くっ」 すぐ頭の後ろから耳元へかたりかけ、すぐまた彼は振り向く。すると、またあたしはいない。 「でも、そんな気もうせたわ。あたしにとってはあなたが捨てられた骸に湧く蛆虫よ。かわいそうとは言わないわ。それだけの人間だったってことよ。」 「我は弱くないぞ。スイーフィード・ナイト。」 彼はこちらを向いた。まっすぐ、見つめあった。 「自分は魔族との融合体だとでも言いたいわけ?だから切られても死なないし、大きな魔力もある。その力で500年前も純魔族を従えさせてた。気づいてたわよ。そんなこと。」 「またよみがえるぞ。」 「よみがえれば、このあたしに勝てると思う?」 こんな奴、剣を使うまでもない。真正面から、片手でこめかみのあたりをつかんだ。 「水面に映った己の姿に恋をしてしまう話って知ってる?あなたは、どこにもいない幻想のスイーフィード・ナイトに恋をしていたのよ。等身大のあたしを愛してくれたバシエーナスと違ってね。水面に映るものに心を奪われたら永久に望みはかなわない。そしたら・・・、その先には、何があると思う?」 握り、潰した。 「破滅しか、ないのよ。」 弱かった。取るに足りない奴だったわ。バシエーナス・・。 「終わったわね。エリザベート。」 彼女のほうを向いた。 「・・・あれ?」 「あれじゃねーよ。終わってねーっつーの。」 骸骨騎士団は、サターナイナスが滅びても崩れていくわけではないらしかった。 湖の遠浅の海岸線。彼女は必死に水音と剣の音と爆音をひびかせて奮闘していた。 「見てないで手伝えよルナ。」 |
15523 | 赤の竜神の騎士V−5 | R.オーナーシェフ | 2003/11/6 16:09:15 |
記事番号15519へのコメント 湖は静寂を取り戻していた。優しい風がそよぐ。霧は晴れ、天候は穏やか。空の強い青が優しくなり、もう夏は終わりかと、少し寂しくもなる。砂浜には、あたしたち以外に人はいない。まあ当然である。さっきまでドンパチしていたのだから。でも、泳げる季節もそろそろ終わってしまうのだった。 「ざ、ざっとこんなもんよ・・。っくはっ、たいした、んっは、こと、ふー、なかったね。」 「ずいぶん消耗したようね。」 エリザベートはぜーはーぜーはー言いながら砂浜に横たわっていた。あたしもその横にすわっていた。彼女は、あたしと変わらない動きで最後まで戦いぬいた。神の欠片も何もなしで、である。無理をして、不安定になりかけていたあたしにつきあった、のかな・・・。 誰も来ないと思っていると、二人ほど後ろからやってくるのに気づいた。 「おつかれさまでした。」 プラムと、ビクトリアさんだった。 「さて、ルナさんは平気のようね。エリザベートさん、見せてごらんなさい。」 横に座り、治療呪文を唱え始めた。ひどい怪我をしているわけでもないが、多分体力は使い果たしているだろう。 「手伝ってくれてもよかったんじゃない?」 隣にちょこんと座った、リナと同じくらいの背格好の彼女に言った。あいつなら、こう言うとビクッとしてすぐに顔真っ青直立不動であたしのペナルティを予想し震えだす。 「私やビクトリアさんは、ゼフィーリアの女性と違って野蛮じゃないですから。」 「な、なんだって・・・?」 「え? えっと、今私失礼なことを?」 自覚があまりない様子。わざと言ったわけでもなく、でも本音のようだった。 「あんた、意外とイイ性格してたのね。」 そういうのを偏見って言うのよ。 「そうですか?ありがとうございます。」 ほめてない。 「ねえ、」 「ん?」 「ルナ、大丈夫?」 「何が?」 「500年前は、耐えられなかったんでしょ?」 「ああ、あの話・・、ね。」 愛する人を殺され、あふれてくる憎悪と悲しみが収まらず、神聖な力を持つ神の欠片と相容れずに全身を蝕まれて死んだのだ。昔は。神ではなく魔王の分身が中にあったら目覚めていただろう。どっちもやっかいだな。 「なんか・・・、大丈夫みたい。」 「そう。よかった。」 疲れながらも、ほっとしたようだった。 「多分、あんたのおかげよ。」 「え?なんで?」 「そんなに違わないと思うの。1000年前も、500年前も、今も。きっと紙一重なのよ。」 意識したわけではないが、自分の声が、己に言い聞かせているようにも聞こえた。昔、あたしはきっと、バシエーナスが殺された後も彼を追い求め、水面に映った幻想を見ていたのだ。サターナイナスに言った台詞は、自己嫌悪だったかもしれない。たぶん、紙一重なのだ。昔よりも今のあたしが強いわけではない。 「ただ・・・、今はあんたがいる。それだけの違いよ。」 「じゃあ、昔のはあたしのせい?」 「そうよ。なんで500年前はいてくれなかったのよ。」 「無茶言うなって。」 今のあたしは・・・・、大丈夫。 「もういいみたいね。エリザベートさん。それでは、うちでワインでもいただきましょうか。」 「あ、それいい。」 跳ね起きるエリザベート。 「うん。あれは美味かったし。」 「あの・・・私、未成年なんですけど・・」 プラムが飲みたそうな、控えめに可愛い顔で言った。 「バレなきゃ大丈夫!」 「だめだって。」 すかさずあたしは突っ込む。 「それを言ったら、あなたたちもではなくて?」 そうかも・・・・ 翌日、あたしたちは、いろんな想いがつまったエーレブルーを後にした。もう少ししたらビクトリアさんの旦那さん(!)も来ると言うことだったが、それを聞いてエリザベートは急ぎだしたのだった。 「ここへ来て、よかった?」 街道から振り返り、湖を眺め、彼女が言った。 「そうね。よかったわ。」 後悔なんてしてないし。忘れもしない。ずっと・・・、閉まっておくから。 ちなみに、あたしたちがビクトリアさんの姿を見たのは・・・・・・・・・・・・・・・・ それが、最後になった・・・・・・・・ 「っんもう!ガウリイったらこんなに汚しちゃって。」 「お、おう」 テーブルで、リナは向かいの席の結婚相手に手を伸ばして、ハンカチで口周りを拭いた。ここはレストラン・リアランサー。あたしのバイト先である。リナの奴、旅から帰ってきたと思ったら、あんな男を連れてきたのである。あの二人が帰ってきてから、ちょっと事件があって、彼もなかなかの活躍をした。みどころはあった。だけど・・、ったくもう!なんて、なんて・・・ いじめやすそうな弟なのかしら・・・。お姉さんうれしいわ♪ 「ひゅーひゅー。仲いいね、お二人さん。」 カウンターで飲んでいるエリザベートが冷やかした。こうしている時は秘密だが、今じゃすっかり女王様である。思わずリナは顔を赤くして下を向いた。 「ルナはどうなの?彼とか、作らないの?」 「ん・・・・」 「まだ、忘れられないんだ・・・・」 「・・・・・・うん・・・」 ウェイトレスの格好で、客もほかは大体帰っていたので、彼女の隣でカウンターに寄りかかっていた。 「あんたは?」 「うーん・・・・・・、作るとか作らないとか、立場上作んなきゃいけないんだよね・・・見合いの話はいくつかあるんだけど・・、なんか、ね。」 「そう。」 今度は、ガウリイが、体を伸ばしてリナの耳元に何かささやいていた。 「ええええっ?」 「な、いいだろ?」 「う、うん・・」 リナは顔が真っ赤だった。 「あ、あの姉ちゃん、エリザベート、そろそろあたしたち行くから。」 「あ、うん。」 「お金はツケじゃだめよ。」 「はいはい。」 きっちり現金で受け取り、二人は店を後にしようとした。 「あ、ガウリイ。」 「はい?」 「リナを・・・、大切にね。」 「はい。」 瞳はまっすぐで、ああ、本当に大切にしてくれてるなと、そんな笑顔だった。ちょうど・・・、あの彼のように。 「ふっふっふ。リナを大切にね、か。今も好きなんだね。」 「うん・・・。もういないのにね。たまに、会いたいって思うの・・」 「忘れられないもの、なのかな。きっと。」 「・・うん。」 次も、あるのだろうか? 何百年後かに。 また、会えたらいいね。 赤の竜神の騎士V おしまい ************************************************** いかがでしたか? 「こんな力を持っていても思う通りにならない。知り合った男が半魔族化して、結局この手で殺した、なんてことや」 こう、前の「赤の竜神の騎士U」で書いた部分があったんです。その話を今回は書きました。 ガウリナから今回は離れたはずなんだが・・、どうしても書かずにはいられませんでした・・。そういう習性なんだな・・・・・。また、今回は一部、SP21巻・スレイヤーズすぺりおぉる「スイートポテトU」の影響があったかもしれない・・。断じて“ああいうアニメ”の影響では・・・・・・白状します。ごめんなさい。見たことありました・・。でも、神坂先生だって・・・。 それから、大丈夫だとは思う。キスしか書いてないし(何の話だ?)。 もちろん、未成年で酒・タバコはやめましょう。これはあくまで空想のものですから。 次の「赤の竜神の騎士W」は、ルナリナ最強姉妹で行く予定。あくまで予定。いつ書けるか、とか、そもそも書けるのかなんて保障はしません。 |
15524 | 「それだけ」がとても大切なのでしょうね | エモーション E-mail | 2003/11/7 21:58:23 |
記事番号15523へのコメント お久しぶりです。 猫南の方では、レスを返せませんで、すみませんでした。 入院なさっていたということですが、経過はよろしいのでしょうか。 お体、お大事になさってくださいませ。 ルナさんとエリザベート様(何故か彼女は〃様〃付きにしないと、 いけないような気がします(笑))の、冒険していた頃のお話! 見つけた途端、「やった♪」と思いました。……そして今回もログ保存♪ それにしてもラブラブですね。ルナさんとエリザベート様v(待てこら) ……という、どこからか赤竜の剣が飛んできて、刺されそうなボケはさておき、 ルナさんの悲しい結末に終わった恋……。もしかして、初恋だったのでしょうか。 「神の欠片」を持っていて、「赤の竜神の騎士」と呼ばれていても、心の方は 普通の人間の女の子。恋くらいして当たり前なんですよね。ルナさんも、 500年前の赤の竜神の騎士も。 周囲はあまりそんな風に見てくれないのかもしれないな、と思いました。 また、持っているのが神と魔、どちらの欠片なのかで、500年前の赤の竜神の騎士と、 ルークを対照したのですね。 確かに「神の欠片」を持っている者が、悲しみはともかく、憎しみに心を囚われて、 歯止めが利かなくなったら、どうなってしまうのか、というのはありますよね。 「人間」である以上は、「神の欠片」を持っていたとしても、そうならない 保証はないのですから。……本当に、どちらも厄介なのかもしれません。 ……そういえば、魔王の分身は必ず暴走するとは限らないのだから、自分で そうと知らないまま、「慈悲と慈愛と正義に満ちあふれた一生」を送った人も、 いたのでしょうね。……消滅しなくても、かなり衰弱しそうです、魔王様(汗) そしてビクトリアさん……良いですね♪ イメージ的に「結婚して落ち着いて、熟女になったナーガ」でしょうか。 この後を思うと、いなくなられるのが、本当に惜しいと思いました。 恋する乙女なルナさんと、そんなルナさんの幸せを思いつつ、でも、どこか 拗ねているエリザベート様の可愛らしさを楽しみながら、人の持つ愛情と憎悪という 「思い」について、色々考えさせられました。 ルナさんがエリザベート様と会えて、本当に良かったのですね。 「それだけのこと」は、時に、とても大きなものになるのですから。 最後に……触手っぽいもの(笑) あれの元ネタとかは良く分からないのですが……私はどうしても「第七の封印」という、 海外SFを思い出します。……あれも何気に際どいし(汗) 本当に面白く読ませていただきました。次作を楽しみにお待ちしています。 それでは、拙い感想ですみませんが、この辺で失礼いたします。 |
15529 | Re:「それだけ」がとても大切なのでしょうね | R.オーナーシェフ | 2003/11/8 22:13:11 |
記事番号15524へのコメント >お久しぶりです。 >猫南の方では、レスを返せませんで、すみませんでした。 >入院なさっていたということですが、経過はよろしいのでしょうか。 >お体、お大事になさってくださいませ。 すいません。ご心配おかけしました。それほどたいした入院でもなく、今はもう体もピンピンしてます。それより俺は一坪さんの目のほうが心配だな・・・ >ルナさんとエリザベート様(何故か彼女は〃様〃付きにしないと、 >いけないような気がします(笑))の、冒険していた頃のお話! >見つけた途端、「やった♪」と思いました。……そして今回もログ保存♪ はっはっは。「エリザベート様」ですか。気に入っていただけたようで光栄です。 スレイヤーズでさらっとしか書かれていないゼフィーリア女王ですが、評判のいい名君らしいんですよね。ということは庶民に人気のある政治家だということで、どういうタイプが人気があるかと考えると、世の中が混乱した時に現れる独裁型の改革者タイプではないかと考えました。エリザベートは織田信長の若いころのイメージです。だから不良なのね。 >それにしてもラブラブですね。ルナさんとエリザベート様v(待てこら) >……という、どこからか赤竜の剣が飛んできて、刺されそうなボケはさておき、 そういう世界がお好みなら次回作は・・・・どうしようかなぁ・・・ >ルナさんの悲しい結末に終わった恋……。もしかして、初恋だったのでしょうか。 初恋です。とりあえず、リナより先に経験させとこうと思いました。 >「神の欠片」を持っていて、「赤の竜神の騎士」と呼ばれていても、心の方は >普通の人間の女の子。恋くらいして当たり前なんですよね。ルナさんも、 >500年前の赤の竜神の騎士も。 >周囲はあまりそんな風に見てくれないのかもしれないな、と思いました。 そうですね。まあ、ちょっと考えたんですがね。エリザベートに言わせたように、かっこよさが半減しちゃうのではないかな、と。強すぎる力を使いこなすにはハードボイルド的なかっこよさだなと前の話では考えたのですが、そう自分でイメージした設定を、今回ははみ出してしまったんですね。きっと今回描いた姉ちゃんは、バシエーナスやエリザベートのような特別な人にしか見せない姿だと思います。気を許した人にだけね。 >また、持っているのが神と魔、どちらの欠片なのかで、500年前の赤の竜神の騎士と、 >ルークを対照したのですね。 確かに、ルークですね。書き始めたころはそんなに意識してないんですが、書いてみたらルークでしたね。人は皆重いものを背負って生きていくという最終巻のリナに語ったガウリイの台詞が物凄く印象に残っているんですが、書いてたどり着いたのもそこだったようです。まだ彼が忘れられないという部分。ルビアもそうでしたね。 >確かに「神の欠片」を持っている者が、悲しみはともかく、憎しみに心を囚われて、 >歯止めが利かなくなったら、どうなってしまうのか、というのはありますよね。 >「人間」である以上は、「神の欠片」を持っていたとしても、そうならない >保証はないのですから。……本当に、どちらも厄介なのかもしれません。 厄介ですね。本当に。でも皆持っている。付き合っていかなきゃならない部分だと思います。スターウォーズ用語で言うところの“ダークサイド”ね。 >……そういえば、魔王の分身は必ず暴走するとは限らないのだから、自分で >そうと知らないまま、「慈悲と慈愛と正義に満ちあふれた一生」を送った人も、 >いたのでしょうね。……消滅しなくても、かなり衰弱しそうです、魔王様(汗) うん。そうでしょうね。面白い話が書けるかもしれませんね。 >そしてビクトリアさん……良いですね♪ >イメージ的に「結婚して落ち着いて、熟女になったナーガ」でしょうか。 >この後を思うと、いなくなられるのが、本当に惜しいと思いました。 しょうがないですね。スレイヤーズ世界においては宿命です。でも、それを狙って出したキャラクターなんですよね。小説書く時に、面白くしようとすると、あいつが俺の中でささやくんだな。魔王の分身が・・・ >恋する乙女なルナさんと、そんなルナさんの幸せを思いつつ、でも、どこか >拗ねているエリザベート様の可愛らしさを楽しみながら、人の持つ愛情と憎悪という >「思い」について、色々考えさせられました。 考えれば考えるほど、限りがない世界ですよね。自分で書いてて分かってるようで、突っ込まれると弱いかも・・・・・。皆が持っていて、気を抜くとすぐルークや500年前のスイーフィードナイトになるやっかいなもので、結局上記のガウリイの台詞のように皆何とか生きようとするしかない。でも、それが強く生きる原動力で、NEXTオープニングのGine a reasonなんだな。きっと。 >ルナさんがエリザベート様と会えて、本当に良かったのですね。 >「それだけのこと」は、時に、とても大きなものになるのですから。 今回、今までに比べるとキャラクターが書けたかなと思いました。でも姉ちゃんが上記のようにはみ出してしまったので、リズムが狂ったせいか、クライマックスの盛り上がりが、以前のゼフィーリア王宮地下での高位魔族との戦いに比べていまいちだなと思いました。相手が役不足だったかな。強すぎる人を苦労させるのは苦労しますね。粘液魔族使ったり、今回のように心理戦使ったりして工夫しても、描ききれなかったかな、と。より強いやつを出してくドラゴンボールみたいなことやったらスレイヤーズじゃなくなるし。ファンタジーって、主人公がいろんな迷いに対する答えを出す瞬間が必ずあると思うんです。その作品の価値を決定してしまう、ほんの一言が。今回、そこが書けたか考えたのですが、「それだけ」がこれになるのかな、とエモーションさんに言われて思いました。確かに、意識して書いたところです。ですから、そう言ってくれるととてもうれしいです。 >最後に……触手っぽいもの(笑) >あれの元ネタとかは良く分からないのですが……私はどうしても「第七の封印」という、 >海外SFを思い出します。……あれも何気に際どいし(汗) ええっと・・・・・・・・・・・・・ 気にしないでください。 「第七の封印」知りませんでした。今度探しますね。 >本当に面白く読ませていただきました。次作を楽しみにお待ちしています。 >それでは、拙い感想ですみませんが、この辺で失礼いたします。 ありがとうございました。 |
15651 | Re:ルナねぇちゃんの過去話ここに発見っ!! | はるか | 2003/12/6 19:21:50 |
記事番号15523へのコメント 読みましたぁ♪お初にお目にかかります、はるかです♪ ゼロス:いやそんないきなりふれんどりぃに来られてもどうかと思いますが・・・・。 はるか:まぁ、それはともかく、今回はゼロスさんを連行・・・・・・もとい、引っ張ってきています♪ ゼロス:連行・・・・・・・・・・・・・。(かすかに口元がひきつっている) はるか:気にしない気にしない♪ なにはともあれ、ルナ姉ちゃん、青春してますねぇ・・・・・・・・・。 ゼロス:あなたは? はるか:してると思います?先日家のオカァ様に『あんたもちょっとは青春しなさいよ。』と言われてしまった私が? ゼロス:それ、自分で言ってて悲しくありません? はるか:悲しいですよぉ・・・・・・・・・・・・。 でも私、運動苦手だわ本に落書きだいっ好きだわ女子校だわ・・・・・。 おたく路線まっしぐら・・・・・・・・。 ・・・・・・・・・しくしくしく・・・・・・・・・・ ゼロス:まぁ、そんなどうでもいいことは置いといて♪ はるか:どうでもいいって・・・・・・。 ゼロス:リナさんのお姉さんも大変ですねぇ。 はるか:(立ち直って)それは同感。スィーフィードの力をもってるが故に・・・・。 ゼロス:ま、その分リナさんに八つ当たりしてるんじゃないですか? はるか:うあ。ミもフタもない言い方・・・・・・・。 ゼロス:そういえば、1回だけリナさんの描写がありましたね。 はるか:うん。 ゼロス:そぉいうリナさん僕は想像できないんですが。 はるか:私もできない。 ゼロス:・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・。 はるか:まぁ、なにはともあれ、次を待ってますっ!! ゼロス:それでは。 はるか:さよぉ〜なぁ〜らぁ〜〜〜♪ |
15662 | Re:ルナねぇちゃんの過去話ここに発見っ!! | R.オーナーシェフ | 2003/12/7 17:42:02 |
記事番号15651へのコメント オーナーシェフ:え?何?リアランサーは一見さんお断り・・・ どぎゃばごげしふみふみ ウェイトレス:失礼しましたぁ。はじめまして。読んでくださってありがとうございます! 青春・・・・ああ、そんな時期もあったわね。きっと誰にでも来るんじゃないかしらね。オーナーでさえ、フラれた経験くらいあるらしいし。・・あ。あっちでしくしくしてる・・ え?スイーフィードの力持ってるがゆえにリナに八つ当たり!?っく!す、鋭い・・・じゃない。違うわ!鍛えてるのよ!! ところでオーナー、いつのまに復活して何してるの? オーナーシェフ:いや、趣味の小説をちょっと・・。次を待ってますって言われてるし・・ ウェイトレス:料理作れ仕事しろ。 次回作は、もう少しお待ちくださいね。そのうち書かせます♪ またお越しくださいませ。 |
15664 | Re:きますっ!!(笑) | はるか | 2003/12/7 18:26:09 |
記事番号15662へのコメント >オーナーシェフ:え?何?リアランサーは一見さんお断り・・・ >どぎゃばごげしふみふみ はるか:ふみふみ? ゼロス:ふんずけたんでしょうか? はるか:さぁ。でもそれしか考えられないし。 ゼロス:それより僕は、『どきゃばこげし』のほうが気になりますねぇ。 はるか:あ、今変換押しちゃったら『どきゃ場こ夏至』って出た。 ゼロス:意味不明ですね。 はるか:うん。って、道でもいい話はさておいて、これは、 どきゃ→殴った音 ばこ→はたいた音 げし→けった音 でしょうか? ゼロス:そのようですねぇ。 >ウェイトレス:失礼しましたぁ。はじめまして。読んでくださってありがとうございます! はるか:ルナ姉ちゃ・・・・もとい、姉さんですでございますですか!? ゼロス:ああ、あのアメリアさんとガウリイさんとゼルガディスさん曰く『リナまた』の。 はるか:あーた、心でも知らないからね。 >青春・・・・ああ、そんな時期もあったわね。きっと誰にでも来るんじゃないかしらね。オーナーでさえ、フラれた経験くらいあるらしいし。・・あ。あっちでしくしくしてる・・ はるか:ふられた?ふったじゃなくて? ゼロス:あなたにはありえませんねぇ。 はるか:ふっふっふ。1歳から男子の中に混じって遊んでた私としては、 男とゆーのは恋愛感情なんぞ抱く前に『友達』のほうが強ぇさ・・・・・。 ゼロス:それはそれでまた不幸な。 はるか:ほっといてちょーだい。私の学年は男子の数が女子の2倍のくせに力な均等だったのさ。 ゼロス:だからあなたは女言葉を使わないんですね。 はるか:うん。『だからね♪』なんぞと言うより『だからな♪』の方が多かった。 ゼロス:ま、これも運命ですね。 はるか:・・・・・・・・・・・・しくしくしく・・・・・・・・・・・・・・・ >え?スイーフィードの力持ってるがゆえにリナに八つ当たり!?っく!す、鋭い・・・じゃない。違うわ!鍛えてるのよ!! はるか:ごきぶりに備えて? ゼロス:え?虫と戦うのに鍛える必用なんてあるんですか? はるか:うっわ。自覚ないし。 ゼロス:自覚とは何ですか自覚とは!? はるか:いやほんとは分かってるんだろーけど。 でも、今のだけでスレファンの人はだいたい『ごきぶり』が何を指しているか分かってるはずだぞ。 >ところでオーナー、いつのまに復活して何してるの? >オーナーシェフ:いや、趣味の小説をちょっと・・。次を待ってますって言われてるし・・ >ウェイトレス:料理作れ仕事しろ。 >次回作は、もう少しお待ちくださいね。そのうち書かせます♪ はるか:発言力大ですね。(汗) ゼロス:つらい職場環境です。 はるか:それって下克上・・・・・・・・・? >またお越しくださいませ。 はるか:はい!来ます!!!! ゼロス:リナさんもいるんでしょーか? はるか:さぁ?けど、とにかく来ますったら来ますっ!! ゼロス:では♪ はるか:さよ〜なら〜♪ |