◆−王女様と私 13話−エモーション (2004/1/10 22:25:58) No.15823 ┣Re:王女様と私 13話−R.オーナーシェフ (2004/1/11 22:47:57) No.15834 ┃┗意味的に王族に付けられやすい名前かもしれないですね−エモーション (2004/1/12 15:06:57) No.15839 ┣Re:王女様と私 13話−オロシ・ハイドラント (2004/1/13 18:04:06) No.15843 ┃┗個人的にはエピローグが二つある、という感じです。−エモーション (2004/1/13 23:11:32) No.15851 ┣そのような説が・・・・・・−棒太郎 (2004/1/13 18:04:15) No.15844 ┃┗知ると見方は変わりますよね−エモーション (2004/1/14 00:58:06) No.15852 ┣思いっきり・・・・出遅れすぎ(T_T)−けーこ (2004/1/21 18:11:33) No.15891 ┃┗ありがとうございます−エモーション (2004/1/21 22:37:01) No.15895 ┣王女様と私 14話−エモーション (2004/1/25 22:16:43) No.15907 ┗王女様と私 エピローグ−エモーション (2004/1/25 22:27:16) No.15908 ┣まとめて感想♪−けーこ (2004/1/26 11:19:22) No.15909 ┃┗ありがとうございます−エモーション (2004/1/27 00:37:48) No.15912 ┣お疲れ様です−棒太郎 (2004/1/26 22:08:25) No.15911 ┃┗ありがとうございます−エモーション (2004/1/27 21:06:48) No.15916 ┣Re:王女様と私 エピローグ−R.オーナーシェフ (2004/1/27 14:30:23) No.15915 ┃┗ありがとうございます−エモーション (2004/1/27 22:10:40) No.15917 ┣Re:これぞ最高のエピローグ!−オロシ・ハイドラント (2004/1/28 20:37:43) No.15926 ┃┗ありがとうございます−エモーション (2004/1/29 00:52:27) No.15928 ┗遅ればせながら、お疲れ様でした。−紫清 月季花 (2004/2/4 10:15:19) No.15947 ┗ありがとうございます−エモーション (2004/2/6 01:57:58) No.15961
15823 | 王女様と私 13話 | エモーション E-mail | 2004/1/10 22:25:58 |
こんばんは。 さすがに書き始めたときは、年を越すとは思いませんでした。「王女様と私」13話です。 何となく、これがラストでも通用しそうですが……まだ続きます(^_^;) では、お付き合いして読んでいただければ、幸いです。 ∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽ 「王女様と私」13話 エヴァンジェリンの言動に、半ばパニック状態だったゼルガディスは、 何故かユストゥスではなく、オーソンから飛んでくる、やたらとチクチクとした視線と、 エヴァンジェリンの瞳が、ひたすら真剣な色を浮かべているのに気づいて、 何とか気を落ち着かせた。それでもまだ混乱する頭で、返す言葉を探していると、 ユストゥスがため息をつく。 「ですが、姫。本来ならその『石』は、次期女王たる王太女にしか、持つことを 許されない『石』です。しつこいようですが、例え姫の仰っていることが 事実だったとしても、女王家以外の者が、持っていて良いものではありません。 王太女がまだおられない以上、せめて女王候補である姫が、すぐにゼルガディス殿から 『石』を返還していただいて、保管、もしくは返還するべきでしょうに」 「この200年、〃王太女のエーフィドーシュ〃は女王家にはなく、それでも、 目立った不都合はありませんでした。もうしばらくの間、手元になかったとしても、 問題にならないでしょう。所有者が判明しているだけ、今までよりましなはずです」 「姫!」 窘める声に、エヴァンジェリンはまだ握ったままの手を見つめながら、静かに言う。 「ユストゥス、わたくしは女王候補です。『石』の重要さは、この中にいる 誰よりも分かっています。別に、このまま何事もなかったことにしたいのでは ありません。確かに国としては、きちんと返還をお願いしなくてはならないでしょう。 ですが、わたくしたちにとって、この『石』が大切なものであるように、 ゼルガディスさんにとっても、この『石』は大切なものです。返還を無理強いして 良いわけがありません。 いつか正式に返還していただけるのを待つことが出来ないほど、ゼフィーリアは 狭量な国ですか? わたくしは、そうは思いたくありません」 「……ユストゥス様。この件は、姫に……こちらに一任させていただけないでしょうか」 少しの沈黙の後、静かな面持ちと落ち着いた口調で、オーソンが言う。 「〃エーフィドーシュ〃に関することですから、ユストゥス様としても、 黙って見過ごすわけにいかないのは当然です。ですが、姫の仰ることも一理 ありますし、ゼルガディスさんが進んで『石』を戻されても、この場での返還では、 口さがない者に『立場に物を言わせて取り上げた』と言われかねません。 それは姫にとっても国にとっても、好ましい事ではないでしょう」 「……『現在の所有者が、進んで返還した』という、確かな『形式』が必要、と?」 「ええ。私たちの方としては。それに、姫はこうなると引きませんからね」 少し肩をすくめ、ふわりとした笑みを見せて言うオーソンに、ユストゥスは 少々渋い顔で、深くため息をついた。 「……分かりました。この件は姫にお任せ致します。もっとも、陛下には 報告させていただきますが。 ただし、『石』はできるだけ早く戻される方が望ましいことと、下手を打てば、 姫のお立場がとても不利になりかねないことを、ご忠告申し上げます」 それだけ言うと、ユストゥスは待機している騎士達に指示を与えるため、 ゼルガディスたちから離れる。だが、不満を感じて当然だろうと思うゼルガディスの、 人より鋭敏な耳に届いたぼやきの口調と内容は、予想と少々違っていた。 「……やれやれ。こうと決めると引かないところは、陛下に似ておられるらしい……」 ユストゥスをみやりながら、ゼルガディスは少々考えてから、オーソンに言う。 「……オーソン。あの騎士が言っていることはもっともだと思うから、俺としては このまま『石』を返しても構わないが、あんたが危惧している点は俺も同意するな。 あの貴族のお坊ちゃんが『石』のことを知っている以上、あいつの親族達辺りは、 あんたが言ったようなことを、言いふらしそうだからな。 ただ、『正式に返還する』としても問題がある。俺ははっきり言って、表立った セレモニーなんぞに出る気はまったくない。何故かは一目瞭然だと思うが……」 ゼルガディスの言葉に、オーソンは静かに頷いた。ゼルガディスが合成獣 (キメラ)である以上、それは無理もないことだからだ。表に出れば出たで、 それこそ口さがない者たちは、無神経な陰口と、無責任でいい加減な噂を 言い立てるだろう。それはお互いにとっても不愉快で、そして良いことではない。 「だから……」 掌の中の『石』を少し強く握る。それに気づき、自分を見上げるエヴァンジェリンを、 真っ直ぐに見ながら、ゼルガディスは言葉を続けた。 「エヴァンジェリン。俺は、あんたが女王になったら、これを返しに来ようと、 そう考えている。女王即位の祝いとして。『形式』としては、誰にでも納得されやすいと 思うからな。ただ、俺が表に出なくてすむように、計らってほしい」 「……確かに、それは一番効果的ですね。女王即位ともなれば、各国からの 賓客が多くなりますし、その辺りの融通も利きやすいでしょう。 できれば、王太女になったときが一番なのですが、さすがに今回の場合、 セレモニーは内々でしょうし……」 考え込むオーソンに、ゼルガディスが言う。 「では、次の女王が即位するまでには返還する、ということにしよう。それまで、 責任を持って預かる。……それで構わないだろうか?」 その言葉に、少し複雑な面持ちでエヴァンジェリンが言う。 「……わたくしが、必ず王太女や女王になるとは限りませんわ。努力はしますけれど」 「できれば、なってもらわないと困るな。何せ俺はこんな姿だ。他の人間では、 まともに相手にされるとは思えないし、そうでなくても、俺はあんたにしか この『石』を返す気がない。 それと……これは、返しておく」 ゼルガディスがそう言って、左手でしまっていたコンクパールのブローチを 取り出すと、それを目にしたオーソンは、ぎょっとしたような表情になった。 「それは、護衛の報酬としてお渡ししたものですわ。返していただく必要はありません」 握っていた手を、ゆっくりと放しながら、静かに、だがきっぱりと言う エヴァンジェリンに、オーソンが半ば焦りながら言う。 「報酬って──このブローチは、去年姫が陛下から賜った、大切な御品じゃないですか。 何もこのブローチではなくても……」 実際、エヴァンジェリンが身につけている髪留めや、服のアクセントの装飾には、 さりげなく宝石類が使われている。質は上質のものだから、それでも報酬としては 十分に通用するのに、女王からの賜り物を報酬にしたのでは、オーソンが そう言うのも無理はないだろう。 が、エヴァンジェリンは再びきっぱりとした口調で即答した。 「だからですわ。今わたくしが持っているものの中で、比較的自分の仕事をして 手に入れたと言えるものは、このブローチだけですもの」 「……どういうことだ?」 不思議そうに問うゼルガディスに、オーソンが説明してくれた。 去年、女王候補として城へ招喚されると同時に、エヴァンジェリンは課題を 与えられた。 最初は比較的簡単な事柄を任されるものだし、エヴァンジェリンに課題として 与えられた件も、誰もがあっさりと片づく簡単なものと思っていた。だが、 実はその一件は根が深く、とても城へ招喚されたばかりの、女王候補の 手に負えるような代物ではなかったのだ。 周囲がその事に気づいたときには、すでにベテランの大臣や高官たちが、 エヴァンジェリンと交代することは出来なくなっていた。そんな真似をすれば 相手の信用を失い、すべてを台無しにしかねない。それはゼフィーリアにとって、 避けたい事態だった。 そして、周囲の全面的な協力を得たとはいえ、エヴァンジェリンはその件を、 何とか無事に収める事が出来た。 「〃課題〃の範疇を大幅に超えたこともありましたから、陛下が姫に褒美の品として、 そのブローチを贈られたのです」 オーソンがそう結ぶと、エヴァンジェリンが付け足すように言う。 「……厳密に言えば、わたくし一人で収めたわけではありませんけれど……。 でも、わたくしが身につけているもののほとんどは、わたくしが貴族の娘で、 女王候補だから、与えられたものです。違うのは、そのブローチだけですわ。 わたくしが、少なくとも仕事をして、手に入れたものですもの。 ですから、そのブローチはそのままお持ち下さい。わたくしは、そうでないものを ゼルガディスさんにお渡しするのは、とても失礼な気がするんです」 「ですが姫。そのブローチは姫の誕生祝いも兼ねたものですよ。陛下が姫に ぴったりな宝石だからと、わざわざ取り寄せて、自ら職人にデザインまで 指示されたとお聞きしています。 確かに姫がブローチを手放されても、陛下はけしてお怒りにはならないでしょう。 理由をお知りになれば、納得さえするでしょうね。ですが、とても悲しまれるとは 思いますよ。表にお出しにはならないでしょうけれど」 ……やはり、女王はエヴァンジェリンの〃母親〃なんだな。 窘めるというより、少し悲しげな口調のオーソンの言葉で、ゼルガディスは そう確信すると、一息ついてから口を開いた。 「その話を聞いたら、尚更返さないといけないな。ただでさえ、俺は貴重なものを 預かることになる。その上、〃母親〃の気持ちまで無にしたくない」 ゼルガディスはそう言うと、少し訝しげな表情をしているエヴァンジェリンではなく、 オーソンに視線を向けて続けた。 「オーソン。あんたは気が付いているんだろう? 何故コンクパールが、 エヴァンジェリンにぴったりな宝石なのか」 「ええ。言われてみれば、確かに姫のような宝石ですからね。それに三つ葉のデザイン……。 陛下がどれほど良く姫を見ておられたのかが、分かります」 ゼルガディスの問いに、オーソンは微笑して答える。一人、意味が分からずにいる エヴァンジェリンに、ゼルガディスは言う。 「コンクパールが採れるコンク貝は、活動的な巻き貝だそうだ。だから人工的に 入れられた核など、すぐにはき出してしまうので、コンクパールは養殖ができず、 天然でしか採れない。おまけに宝石として通用するのは、約2万粒のうち、 せいぜい一粒。良くて二粒程度らしいな。貴重で型にはまらない、そんな性質の宝石だ。 そして昔、ある国に三つ葉のデザインをした、コンクパールのブローチを 持っていた王妃がいた。元々は降魔戦争前から続く名家の姫で、たおやかで 美しい女性だったが、とても活動的で自由奔放な性格をしていたと言われている。 このブローチはそれに倣ったものだろうな。 コンクパールとこの王妃には、『貴重で、型にはめられたがらない』という 共通点がある。エヴァンジェリン、あんたもだ」 軽く目を瞠ったエヴァンジェリンに、ゼルガディスは少し苦笑して続けた。 「あんたは、ゼフィーリアにとって貴重な初代女王の直系で、〃型にはめられたくない〃 お姫さまだからな。女王はそれを良く分かっていたから、コンクパールが ぴったりだと言い、ブローチを三つ葉のデザインにした。 それだけ、女王はあんたを良く見ていたんだ。おそらく、ずっと以前から。 質が良くて形の揃ったコンクパールなんて、そう簡単に3粒も手に入るもんじゃないし、 いくら人を見る目があったとしても、ろくに会ったことがないあんたの本質を 見抜いたり、まして今回の行動を正確に推測するなんて真似は、 簡単にできるものじゃないからな」 先程、ユストゥスの話を聞いたときに思ったのだ。もしかしたら、女王はけして 自分で育てることのできない娘たちの成長を、ずっと見守っていたのかもしれない、と。 基本的にゼルガディスは「血の繋がりはすべてを凌駕する」などとは、思っていない。 〃血の繋がり〃があり、〃家族〃として一緒に暮らしても、相手のことが まるで分からない場合もあるからだ。──自分とレゾのように。 まして育てるどころか、ある程度人格が確立するまで、一度も会ったことがない 相手のことを、母娘だという〃血の繋がり〃だけで、何もかも分かるはずがない。 それなのに女王は、側仕えの者ですら読み落としたエヴァンジェリンの行動を 把握した。つまり、それだけエヴァンジェリンを良く見ていて、気に掛けているのだ。 それは女王ではなく、母親としての思いからのはずだ。 「エヴァンジェリン。あんたは女王家はカッコウみたいだと言っていたが、 カッコウは別に子育てを怠けているわけじゃない。体温の変動が激しすぎて、 自分で卵を孵すことの出来ない鳥なんだ。雛が無事に孵るまで、陰で見守っている事も あるそうだから、もしかしたらカッコウは、本当は自分で卵を暖めたいと 願っているのかもしれないな。 ……俺は、こちらの〃カッコウ〃も、自分で卵を暖めたかったんだと、そう思う」 そう言って、今度はゼルガディスがエヴァンジェリンの手を取ると、掌に ブローチを乗せた。掌に乗ったブローチを、エヴァンジェリンは少し伏し目がちに 見つめる。少しの間、静かな面持ちでそうしていたが、不意に白い右手の指が、 ブローチを持つ。そうして── ぱっきんっ♪ 軽やかな音を立てて、左手の指が三つ葉の一つを手折った。 いきなりなエヴァンジェリンの行動に、思いっきり固まって絶句している ゼルガディスとオーソンに、エヴァンジェリンはにこにこと、悪戯っぽい笑みで言う。 ──ただし、思いっきり、棒読みで。 「まあ、たいへん。しんじゅがひとつぶ、とれてしまいましたわ。 じゅんきんはやわらかいですから、ほそいさいくのぶぶんがこわれやすく なっていたのですわね。きっとv」 驚きと困惑が半分ずつといった様子のオーソンを余所に、エヴァンジェリンは 表情を改めると、やはり困惑しているゼルガディスを真っ直ぐな目で見つめて、 その一粒を差し出した。 「……これだけでも、受け取っていただけませんか?」 たっぷり一呼吸分ほどしてから、ゼルガディスが小さく頷いて受け取ると、 エヴァンジェリンは嬉しそうに微笑んだ。輝くような極上の微笑みで。 ∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽ 何となく、ゼルが「トリビア(笑)」というか、カウンセリングしている回でした。 「コンクパールの三つ葉ブローチを持つ自由奔放な王妃」は、実在の方を作中モデルに 使いました。娘の結婚式に出席しても姉にしか見えなかった、という逸話の持ち主、 19世紀のハプスブルク王妃エリザベートです。 また、書いていて「型にはまらないお姫さま」というのは、アメリアにも当てはまると 思いました。……ゼルの周囲って、こういうタイプ多いですね、そういえば。 カッコウのあの説は、去年のお話の下調べで見つけたもので、ここ数年になって、 出てきた説のようです。そう言う意味では、悲しい鳥なんですね。 さて、次の14話とエピローグで、何とか終わります。何となく、個人的に14話も エピローグっぽい気がしますが……(^_^;) また、どちらもちょこちょこと、最後のネタばらしがあります。 ちなみに14話、思いっきり長いです。多分最長記録……(遠い目) そんな14話ですが、お会いできることを祈りつつ……本気で読んでいただけたら幸いです。 それでは、13話を読んでいただきまして、ありがとうございました。m(__)m |
15834 | Re:王女様と私 13話 | R.オーナーシェフ | 2004/1/11 22:47:57 |
記事番号15823へのコメント >「エヴァンジェリン。あんたは女王家はカッコウみたいだと言っていたが、 >カッコウは別に子育てを怠けているわけじゃない。体温の変動が激しすぎて、 >自分で卵を孵すことの出来ない鳥なんだ。雛が無事に孵るまで、陰で見守っている事も >あるそうだから、もしかしたらカッコウは、本当は自分で卵を暖めたいと >願っているのかもしれないな。 > ……俺は、こちらの〃カッコウ〃も、自分で卵を暖めたかったんだと、そう思う」 これは知りませんでした。俺は昔のゼルガディスというと「ハッハァ!」を思い出してどんな奴だったか連想します。でも、ここでのゼルは優しいですね。レゾに言われていろいろやりながらも、こんな一面があったのか・・、それともエヴァンジェリンがこうさせたのかな。きっと。かっこいい一面ですね。 そして、最後が気に入りました。 > そう言って、今度はゼルガディスがエヴァンジェリンの手を取ると、掌に >ブローチを乗せた。掌に乗ったブローチを、エヴァンジェリンは少し伏し目がちに >見つめる。少しの間、静かな面持ちでそうしていたが、不意に白い右手の指が、 >ブローチを持つ。そうして── > > ぱっきんっ♪ > > 軽やかな音を立てて、左手の指が三つ葉の一つを手折った。 > > いきなりなエヴァンジェリンの行動に、思いっきり固まって絶句している >ゼルガディスとオーソンに、エヴァンジェリンはにこにこと、悪戯っぽい笑みで言う。 > ──ただし、思いっきり、棒読みで。 > >「まあ、たいへん。しんじゅがひとつぶ、とれてしまいましたわ。 >じゅんきんはやわらかいですから、ほそいさいくのぶぶんがこわれやすく >なっていたのですわね。きっとv」 > > 驚きと困惑が半分ずつといった様子のオーソンを余所に、エヴァンジェリンは >表情を改めると、やはり困惑しているゼルガディスを真っ直ぐな目で見つめて、 >その一粒を差し出した。 >「……これだけでも、受け取っていただけませんか?」 > たっぷり一呼吸分ほどしてから、ゼルガディスが小さく頷いて受け取ると、 >エヴァンジェリンは嬉しそうに微笑んだ。輝くような極上の微笑みで。 頑固ですね。とことん。信じたら絶対に譲らないんですね。そして、魅力的です。とても。まるでエンディングのような、すごくいいシーンです。でもまだ終わりじゃないのね。 >「コンクパールの三つ葉ブローチを持つ自由奔放な王妃」は、実在の方を作中モデルに >使いました。娘の結婚式に出席しても姉にしか見えなかった、という逸話の持ち主、 >19世紀のハプスブルク王妃エリザベートです。 ああ、確かマリー・アントワネットの実家の・・。 すいません。そんなことしか思い浮かばなくて。どっかで読んでいて聞いたことはあっても、系図がぱっと出てこない。きっと魅力的なひとなんでしょうね。 それにしてもどっかで聞いたことがある名前だな・・・・・・・・ 俺、別のエリザベートさんで、もっと昔のエリザベート・バートリーという己の美のため非道をつくした人をモデルにして書こうかと思って、しまった!この名前使ってるじゃんか!とあきらめたことがありまして(形を変えて使おうとは思うんだが)。結構安易に思い浮かびやすい名前です。 |
15839 | 意味的に王族に付けられやすい名前かもしれないですね | エモーション E-mail | 2004/1/12 15:06:57 |
記事番号15834へのコメント こんにちは。 感想をいただきまして、ありがとうございます。 >>「エヴァンジェリン。あんたは女王家はカッコウみたいだと言っていたが、 >>カッコウは別に子育てを怠けているわけじゃない。体温の変動が激しすぎて、 >>自分で卵を孵すことの出来ない鳥なんだ。雛が無事に孵るまで、陰で見守っている事も >>あるそうだから、もしかしたらカッコウは、本当は自分で卵を暖めたいと >>願っているのかもしれないな。 >> ……俺は、こちらの〃カッコウ〃も、自分で卵を暖めたかったんだと、そう思う」 >これは知りませんでした。俺は昔のゼルガディスというと「ハッハァ!」を思い出してどんな奴だったか連想します。でも、ここでのゼルは優しいですね。レゾに言われていろいろやりながらも、こんな一面があったのか・・、それともエヴァンジェリンがこうさせたのかな。きっと。かっこいい一面ですね。 そうなんですよね(^_^;)1巻のあの場面を思い出すと、別人じゃないかと(笑) ただ、ゼルにしろレゾにしろ、何年もずっと、常にあんな感じだったわけじゃ ないだろうと思うので、(ずっとあれでは、ゾルフやロディマスが、ゼルに 最後まで忠誠誓うのが不思議ですし)ゼルが元々持っている、優しい面が 強く出たという感じにしました。 この手のタイプには弱い(笑)、という事もありますが。 カッコウに関しては、体温変化のデータが取れるような技術が出来たから、 分かってきた、本当に最近の説です。 もともと托卵は、種の保存には適さない方法だそうですが、カッコウも切実なのでしょうね。 >そして、最後が気に入りました。 >> 軽やかな音を立てて、左手の指が三つ葉の一つを手折った。 >> >> いきなりなエヴァンジェリンの行動に、思いっきり固まって絶句している >>ゼルガディスとオーソンに、エヴァンジェリンはにこにこと、悪戯っぽい笑みで言う。 >> ──ただし、思いっきり、棒読みで。 >> >>「まあ、たいへん。しんじゅがひとつぶ、とれてしまいましたわ。 >>じゅんきんはやわらかいですから、ほそいさいくのぶぶんがこわれやすく >>なっていたのですわね。きっとv」 >> >> 驚きと困惑が半分ずつといった様子のオーソンを余所に、エヴァンジェリンは >>表情を改めると、やはり困惑しているゼルガディスを真っ直ぐな目で見つめて、 >>その一粒を差し出した。 >>「……これだけでも、受け取っていただけませんか?」 >> たっぷり一呼吸分ほどしてから、ゼルガディスが小さく頷いて受け取ると、 >>エヴァンジェリンは嬉しそうに微笑んだ。輝くような極上の微笑みで。 >頑固ですね。とことん。信じたら絶対に譲らないんですね。そして、魅力的です。とても。まるでエンディングのような、すごくいいシーンです。でもまだ終わりじゃないのね。 気に入っていただけて、ありがとうございます〜!(感涙) エヴァはこういう時は、本当に頑固です。良くも悪くも。 そして、三つ葉を一つ折るのは、最初から考えていましたが、実はこの辺り、 キャラが勝手に動きまして(汗)思いっきりエンディングのようになってしまい…… 「まだネタばらししてない部分がーっ!?」と、私は頭を抱えたのでした(笑) >>「コンクパールの三つ葉ブローチを持つ自由奔放な王妃」は、実在の方を作中モデルに >>使いました。娘の結婚式に出席しても姉にしか見えなかった、という逸話の持ち主、 >>19世紀のハプスブルク王妃エリザベートです。 >ああ、確かマリー・アントワネットの実家の・・。 >すいません。そんなことしか思い浮かばなくて。どっかで読んでいて聞いたことはあっても、系図がぱっと出てこない。きっと魅力的なひとなんでしょうね。 そうです。アントワネットの時代より一世紀後ですが。欧州一の美女と今でも 謳われている女性です。でも、結構困ったちゃんな性格だったり……(笑) 彼女にとってハプスブルク家は、かなり窮屈だったようです。 >それにしてもどっかで聞いたことがある名前だな・・・・・・・・ >俺、別のエリザベートさんで、もっと昔のエリザベート・バートリーという己の美のため非道をつくした人をモデルにして書こうかと思って、しまった!この名前使ってるじゃんか!とあきらめたことがありまして(形を変えて使おうとは思うんだが)。結構安易に思い浮かびやすい名前です。 R.オーナーシェフ様のエリザベート様ですねv 別の読み方をすればエリザベスにもなります。何だか「神に誓いをたてる」等の 意味があるそうですので、王族の女性に付けられやすい名前かもしれないですね。 エリザベート・バートリー……あの伯爵夫人は強烈ですよねー(汗) 結構、いろんなプロの作家さんも、彼女をモデルにした話を書かれてますし。 あれだけ突き抜けてしまうと、残酷さと恐ろしさの反面、興味の方が 勝っちゃうんでしょうね。 それでは、読んでいただきまして、また、感想をありがとうございました。 |
15843 | Re:王女様と私 13話 | オロシ・ハイドラント URL | 2004/1/13 18:04:06 |
記事番号15823へのコメント こんばんは。 この話は実に映画的だと思いました。 最初の回からずっと映画的だったのかも知れませんが、そうだとしたら気付いたのは今です。 本当に映画のラストシーンみたいなだと思いました。 私は映画は意外と苦手なのですが、映画的な小説は非常に好きです。 本当に素晴らしいと思います。 ぱっきんっ♪(笑)の場所ももちろんのこと、どことなく静謐感漂う雰囲気を生み出す地の文と、声として即再生される会話文のすべてが。 長く連載され続けて来た作品のクライマックス(まだ終わりではないが)には本当に相応しいと思いました。 それでいて、笑いを忘れていないことも凄いです。 >「ユストゥス、わたくしは女王候補です。『石』の重要さは、この中にいる >誰よりも分かっています。別に、このまま何事もなかったことにしたいのでは >ありません。確かに国としては、きちんと返還をお願いしなくてはならないでしょう。 > ですが、わたくしたちにとって、この『石』が大切なものであるように、 >ゼルガディスさんにとっても、この『石』は大切なものです。返還を無理強いして >良いわけがありません。 > いつか正式に返還していただけるのを待つことが出来ないほど、ゼフィーリアは >狭量な国ですか? わたくしは、そうは思いたくありません」 思えば、姫様は「所有者の権利を尊重しなければならないから」との理由だけで、ゼルに返還(返還という言葉は適切かどうか分かりませんが)したのでしょうか。 その裏に何らかの真の理由が隠れているような気がするのは、勘違いか深読みのしすぎでしょうか。 >「エヴァンジェリン。あんたは女王家はカッコウみたいだと言っていたが、 >カッコウは別に子育てを怠けているわけじゃない。体温の変動が激しすぎて、 >自分で卵を孵すことの出来ない鳥なんだ。雛が無事に孵るまで、陰で見守っている事も >あるそうだから、もしかしたらカッコウは、本当は自分で卵を暖めたいと >願っているのかもしれないな。 > ……俺は、こちらの〃カッコウ〃も、自分で卵を暖めたかったんだと、そう思う」 それは知りませんでした。 ……本当に哀しいですね。 > ぱっきんっ♪ > > 軽やかな音を立てて、左手の指が三つ葉の一つを手折った。 たった三行(空白含め)ですが、ここが今話最高の名シーンだと思います。 > いきなりなエヴァンジェリンの行動に、思いっきり固まって絶句している >ゼルガディスとオーソンに、エヴァンジェリンはにこにこと、悪戯っぽい笑みで言う。 > ──ただし、思いっきり、棒読みで。 > >「まあ、たいへん。しんじゅがひとつぶ、とれてしまいましたわ。 >じゅんきんはやわらかいですから、ほそいさいくのぶぶんがこわれやすく >なっていたのですわね。きっとv」 シリアスなシーンかと思えば、一気に笑いのシーンに転換されましたね。それでも雰囲気が全く壊れていないところは、さすがだと思いました。 >「……これだけでも、受け取っていただけませんか?」 > たっぷり一呼吸分ほどしてから、ゼルガディスが小さく頷いて受け取ると、 >エヴァンジェリンは嬉しそうに微笑んだ。輝くような極上の微笑みで。 ここでは、本当に極上の微笑みが見えた気がします。 それでは、これで失礼致します。 次回も楽しみにしていますね。 |
15851 | 個人的にはエピローグが二つある、という感じです。 | エモーション E-mail | 2004/1/13 23:11:32 |
記事番号15843へのコメント こんばんは。感想をありがとうございます。 >この話は実に映画的だと思いました。 >最初の回からずっと映画的だったのかも知れませんが、そうだとしたら気付いたのは今です。 >本当に映画のラストシーンみたいなだと思いました。 >私は映画は意外と苦手なのですが、映画的な小説は非常に好きです。 >本当に素晴らしいと思います。 >ぱっきんっ♪(笑)の場所ももちろんのこと、どことなく静謐感漂う雰囲気を生み出す地の文と、声として即再生される会話文のすべてが。 >長く連載され続けて来た作品のクライマックス(まだ終わりではないが)には本当に相応しいと思いました。 >それでいて、笑いを忘れていないことも凄いです。 ありがとうございます。(うるうる) 映画的……自分ではあまり自覚していないのですが、そう言っていただけて嬉しいです。 少なくともどんな行動をしているのか、イメージがパッと浮かぶようにしたいとは、 思っていましたので。 今回のラストシーンは本当に、自分でも「ここで終わると絵になる」と思いました。 が、……まだ少しネタばらしが終わってないのに気づき、すぐに頭抱えるはめに……(^_^;) >>「ユストゥス、わたくしは女王候補です。『石』の重要さは、この中にいる >>誰よりも分かっています。別に、このまま何事もなかったことにしたいのでは >>ありません。確かに国としては、きちんと返還をお願いしなくてはならないでしょう。 >> ですが、わたくしたちにとって、この『石』が大切なものであるように、 >>ゼルガディスさんにとっても、この『石』は大切なものです。返還を無理強いして >>良いわけがありません。 >> いつか正式に返還していただけるのを待つことが出来ないほど、ゼフィーリアは >>狭量な国ですか? わたくしは、そうは思いたくありません」 >思えば、姫様は「所有者の権利を尊重しなければならないから」との理由だけで、ゼルに返還(返還という言葉は適切かどうか分かりませんが)したのでしょうか。 >その裏に何らかの真の理由が隠れているような気がするのは、勘違いか深読みのしすぎでしょうか。 エヴァ個人はとにかく「取り上げる真似はしたくない」が、一番頭にあります。 他にあるのは、ゼルがこれを持っていれば、また会うことが出来る、という、 はっきり言って自分の感情の産物です。エヴァとしてはこれだけで「はい、さようなら」は 嫌だったと。その点ではわがままでしょうね。 深読みの部分はビンゴです。ただ、真の理由を隠しているのは、エヴァではなく、 ゼルやユストゥスの方になります。 >>カッコウは別に子育てを怠けているわけじゃない。体温の変動が激しすぎて、 >>自分で卵を孵すことの出来ない鳥なんだ。雛が無事に孵るまで、陰で見守っている事も >>あるそうだから、もしかしたらカッコウは、本当は自分で卵を暖めたいと >>願っているのかもしれないな。 >> ……俺は、こちらの〃カッコウ〃も、自分で卵を暖めたかったんだと、そう思う」 >それは知りませんでした。 >……本当に哀しいですね。 体温変動のデータを取る技術ができたから、有力視されてきた説です。 托卵は種の保存に向かない方法なので、仮説としてはあったそうですけど。 全部の個体がしているわけではないですが、「陰で見守っている」というのも、 研究者が実際に目撃したものです。そう考えると悲しい鳥です。本当に。 >> ぱっきんっ♪ >> >> 軽やかな音を立てて、左手の指が三つ葉の一つを手折った。 >たった三行(空白含め)ですが、ここが今話最高の名シーンだと思います。 ありがとうございます。三つ葉の一つを折るのは当初からの予定でしたが、 こーゆー形になるとは、自分でも(笑)この辺りはキャラがさらりと動きました。 >>「まあ、たいへん。しんじゅがひとつぶ、とれてしまいましたわ。 >>じゅんきんはやわらかいですから、ほそいさいくのぶぶんがこわれやすく >>なっていたのですわね。きっとv」 >シリアスなシーンかと思えば、一気に笑いのシーンに転換されましたね。それでも雰囲気が全く壊れていないところは、さすがだと思いました。 今回は全体的に、とにかく理詰めですから。雰囲気が壊れていないと感じて いただけたのは、嬉しいです。(^.^) >>「……これだけでも、受け取っていただけませんか?」 >> たっぷり一呼吸分ほどしてから、ゼルガディスが小さく頷いて受け取ると、 >>エヴァンジェリンは嬉しそうに微笑んだ。輝くような極上の微笑みで。 >ここでは、本当に極上の微笑みが見えた気がします。 ありがとうございます。この場面はエヴァがゼルに見せた中では、本当に 掛け値なしに、本音で見せた極上の笑顔、という感覚で書きました。 >それでは、これで失礼致します。 >次回も楽しみにしていますね。 次回は、14話であり、エピローグ的でもあり、になります。個人的には エピローグがゼルサイド、エヴァサイドの2つあるという気分です。 ……でも、14話は滅茶苦茶長いのでエピローグと呼びたくない……。 それでは、読んでいただきまして、また感想をありがとうございました。 |
15844 | そのような説が・・・・・・ | 棒太郎 | 2004/1/13 18:04:15 |
記事番号15823へのコメント >こんばんは。 >さすがに書き始めたときは、年を越すとは思いませんでした。「王女様と私」13話です。 >何となく、これがラストでも通用しそうですが……まだ続きます(^_^;) >では、お付き合いして読んでいただければ、幸いです。 こんばんは、棒太郎です。 ラストが近くなってきましたね。 わたしも『彼方の血脈』や『剣狼伝』描き始めた時、あそこまでになるとは思ってませんでした。 今も同じ轍を踏みそうです。 >「ユストゥス、わたくしは女王候補です。『石』の重要さは、この中にいる >誰よりも分かっています。別に、このまま何事もなかったことにしたいのでは >ありません。確かに国としては、きちんと返還をお願いしなくてはならないでしょう。 上流階級の出でありながら、きちんと筋を通す人ですね。姫様。 >「〃エーフィドーシュ〃に関することですから、ユストゥス様としても、 >黙って見過ごすわけにいかないのは当然です。ですが、姫の仰ることも一理 >ありますし、ゼルガディスさんが進んで『石』を戻されても、この場での返還では、 >口さがない者に『立場に物を言わせて取り上げた』と言われかねません。 >それは姫にとっても国にとっても、好ましい事ではないでしょう」 >「……『現在の所有者が、進んで返還した』という、確かな『形式』が必要、と?」 やはり、何事もある程度の形式は必要ですね。 >人より鋭敏な耳に届いたぼやきの口調と内容は、予想と少々違っていた。 >「……やれやれ。こうと決めると引かないところは、陛下に似ておられるらしい……」 頑ななところもあるんですね。まあ、そうでなければ他の連中とやりあってはいけないですね。 >「では、次の女王が即位するまでには返還する、ということにしよう。それまで、 >責任を持って預かる。……それで構わないだろうか?」 侠気溢れてますね、ゼル。甲斐性なしの汚名返上なるか? >「……厳密に言えば、わたくし一人で収めたわけではありませんけれど……。 > でも、わたくしが身につけているもののほとんどは、わたくしが貴族の娘で、 >女王候補だから、与えられたものです。違うのは、そのブローチだけですわ。 >わたくしが、少なくとも仕事をして、手に入れたものですもの。 > ですから、そのブローチはそのままお持ち下さい。わたくしは、そうでないものを >ゼルガディスさんにお渡しするのは、とても失礼な気がするんです」 礼儀として、自分の仕事で手に入れた物を渡す。つくづく出来た人です。 > ……やはり、女王はエヴァンジェリンの〃母親〃なんだな。 > 窘めるというより、少し悲しげな口調のオーソンの言葉で、ゼルガディスは >そう確信すると、一息ついてから口を開いた。 どうであれ、”母親”というものは子を愛するものなんですね。 >「コンクパールが採れるコンク貝は、活動的な巻き貝だそうだ。だから人工的に >入れられた核など、すぐにはき出してしまうので、コンクパールは養殖ができず、 >天然でしか採れない。おまけに宝石として通用するのは、約2万粒のうち、 >せいぜい一粒。良くて二粒程度らしいな。貴重で型にはまらない、そんな性質の宝石だ。 > そして昔、ある国に三つ葉のデザインをした、コンクパールのブローチを >持っていた王妃がいた。元々は降魔戦争前から続く名家の姫で、たおやかで >美しい女性だったが、とても活動的で自由奔放な性格をしていたと言われている。 >このブローチはそれに倣ったものだろうな。 > コンクパールとこの王妃には、『貴重で、型にはめられたがらない』という >共通点がある。エヴァンジェリン、あんたもだ」 おお、これほどの知識を・・・・・・・さりげなく雑学王ですかね、ゼル・・・・・ >「エヴァンジェリン。あんたは女王家はカッコウみたいだと言っていたが、 >カッコウは別に子育てを怠けているわけじゃない。体温の変動が激しすぎて、 >自分で卵を孵すことの出来ない鳥なんだ。雛が無事に孵るまで、陰で見守っている事も >あるそうだから、もしかしたらカッコウは、本当は自分で卵を暖めたいと >願っているのかもしれないな。 > ……俺は、こちらの〃カッコウ〃も、自分で卵を暖めたかったんだと、そう思う」 なるほど・・・・・・カッコウが他の鳥の巣に卵を産むのはそういう訳があったのですか。 ちょいとカッコウの見方が変わりましたね。 > 驚きと困惑が半分ずつといった様子のオーソンを余所に、エヴァンジェリンは >表情を改めると、やはり困惑しているゼルガディスを真っ直ぐな目で見つめて、 >その一粒を差し出した。 >「……これだけでも、受け取っていただけませんか?」 > たっぷり一呼吸分ほどしてから、ゼルガディスが小さく頷いて受け取ると、 >エヴァンジェリンは嬉しそうに微笑んだ。輝くような極上の微笑みで。 やはり、イイ性格してますね、姫様(笑) なかなかの策士なところがいいですね。 >「コンクパールの三つ葉ブローチを持つ自由奔放な王妃」は、実在の方を作中モデルに >使いました。娘の結婚式に出席しても姉にしか見えなかった、という逸話の持ち主、 >19世紀のハプスブルク王妃エリザベートです。 確か、マリー・アントワネットの母親でしたっけ?旦那さんとなかなかのラブラブだったと聞いたことがあるような・・・・・・ >カッコウのあの説は、去年のお話の下調べで見つけたもので、ここ数年になって、 >出てきた説のようです。そう言う意味では、悲しい鳥なんですね。 長年、なんちゅう鳥だと思ってましたが・・・・・・・ごめんよ。 >さて、次の14話とエピローグで、何とか終わります。何となく、個人的に14話も >エピローグっぽい気がしますが……(^_^;) >また、どちらもちょこちょこと、最後のネタばらしがあります。 >ちなみに14話、思いっきり長いです。多分最長記録……(遠い目) >そんな14話ですが、お会いできることを祈りつつ……本気で読んでいただけたら幸いです。 >それでは、13話を読んでいただきまして、ありがとうございました。m(__)m もうじきフィナーレですね。頑張ってください。 今、わたしが書いてる話、ゼルを持ってきたのも、実はこのお話の影響もあったりします。 ゼルガディスというキャラクターを動かす上で、参考にさせてもらったりしてます。 それでは、このへんで失礼します。 |
15852 | 知ると見方は変わりますよね | エモーション E-mail | 2004/1/14 00:58:06 |
記事番号15844へのコメント >こんばんは、棒太郎です。 >ラストが近くなってきましたね。 >わたしも『彼方の血脈』や『剣狼伝』描き始めた時、あそこまでになるとは思ってませんでした。 >今も同じ轍を踏みそうです。 棒太郎様、こんばんは。 ああ、やっと、と言う感じです。本当にここまで話が続くとは……。 ……多聞に「簡易ゼフィーリア王国ガイド」と化したせいもあるのでしょうけれど。 次が一応14話ですが、気分的にはエピローグがゼルサイドとエヴァサイドの 二つあるような気分です。でも14話の長さでエピローグと呼びたくない(笑) >>「ユストゥス、わたくしは女王候補です。『石』の重要さは、この中にいる >>誰よりも分かっています。別に、このまま何事もなかったことにしたいのでは >>ありません。確かに国としては、きちんと返還をお願いしなくてはならないでしょう。 > >上流階級の出でありながら、きちんと筋を通す人ですね。姫様。 性格もありますが、上流階級だから尚更ちゃんと筋を通すべき、と思っているでしょうね。 あとは、個人的な感情からのわがままも入ってますが。 >>ゼルガディスさんが進んで『石』を戻されても、この場での返還では、 >>口さがない者に『立場に物を言わせて取り上げた』と言われかねません。 >>それは姫にとっても国にとっても、好ましい事ではないでしょう」 >>「……『現在の所有者が、進んで返還した』という、確かな『形式』が必要、と?」 > >やはり、何事もある程度の形式は必要ですね。 周りがある程度納得できる形、というのはどうしても必要ですし。 >>人より鋭敏な耳に届いたぼやきの口調と内容は、予想と少々違っていた。 >>「……やれやれ。こうと決めると引かないところは、陛下に似ておられるらしい……」 > >頑ななところもあるんですね。まあ、そうでなければ他の連中とやりあってはいけないですね。 言いなりになってばかりでは駄目ですしね。自分にとって大切で重要なことに関しては、 引かないよ、と。 >>「では、次の女王が即位するまでには返還する、ということにしよう。それまで、 >>責任を持って預かる。……それで構わないだろうか?」 > >侠気溢れてますね、ゼル。甲斐性なしの汚名返上なるか? ここら辺のゼルくんは、株を上げてますね。(笑) >> でも、わたくしが身につけているもののほとんどは、わたくしが貴族の娘で、 >>女王候補だから、与えられたものです。違うのは、そのブローチだけですわ。 >>わたくしが、少なくとも仕事をして、手に入れたものですもの。 >> ですから、そのブローチはそのままお持ち下さい。わたくしは、そうでないものを >>ゼルガディスさんにお渡しするのは、とても失礼な気がするんです」 > >礼儀として、自分の仕事で手に入れた物を渡す。つくづく出来た人です。 この辺りも結構カットしていまして、エヴァがこういう発想をする理由は、 やっぱり養家の教育の成果と、ルナのようなごく普通の暮らしをしている 友人がいること。そしてエヴァが、自分で「侍女たちが数ヶ月かかって 手に入れるような布地で仕立てた服を、自分は普段着にしている」事実に 気づくだけの賢さがあったからですね。 それが分かるだけに、特に礼儀を取りたい相手(巻き込んだ訳ですから)に、 ただ与えられたものでは駄目だと。 >> ……やはり、女王はエヴァンジェリンの〃母親〃なんだな。 >> 窘めるというより、少し悲しげな口調のオーソンの言葉で、ゼルガディスは >>そう確信すると、一息ついてから口を開いた。 > >どうであれ、”母親”というものは子を愛するものなんですね。 そうですね。人にもよりますが、女王はエヴァにしろアンジェリカにしろ、 手放したくなかった方ですから。 >>「コンクパールが採れるコンク貝は、活動的な巻き貝だそうだ。だから人工的に >>入れられた核など、すぐにはき出してしまうので、コンクパールは養殖ができず、 >>天然でしか採れない。おまけに宝石として通用するのは、約2万粒のうち、 >>せいぜい一粒。良くて二粒程度らしいな。貴重で型にはまらない、そんな性質の宝石だ。 >> そして昔、ある国に三つ葉のデザインをした、コンクパールのブローチを >>持っていた王妃がいた。元々は降魔戦争前から続く名家の姫で、たおやかで >>美しい女性だったが、とても活動的で自由奔放な性格をしていたと言われている。 >>このブローチはそれに倣ったものだろうな。 > >おお、これほどの知識を・・・・・・・さりげなく雑学王ですかね、ゼル・・・・・ トリビア(笑)ですね。レゾの蔵書を読みまくって、身に付いた知識でしょう。 ゼルはレゾからそれなりに知識を与えられてたようですので、とりあえず 雑学はあると設定していますし。 >>カッコウは別に子育てを怠けているわけじゃない。体温の変動が激しすぎて、 >>自分で卵を孵すことの出来ない鳥なんだ。雛が無事に孵るまで、陰で見守っている事も >>あるそうだから、もしかしたらカッコウは、本当は自分で卵を暖めたいと >>願っているのかもしれないな。 >> ……俺は、こちらの〃カッコウ〃も、自分で卵を暖めたかったんだと、そう思う」 > >なるほど・・・・・・カッコウが他の鳥の巣に卵を産むのはそういう訳があったのですか。 >ちょいとカッコウの見方が変わりましたね。 変わりますよね。本来、種の保存には向かない托卵をする理由が、これですから。 この説は仮説としては昔からあったそうですが、最近の技術で体温変動のデータが 取れるようになって、かなり有力視されてます。「陰で見守っている」のも 実際に研究者が目撃したものです。すべての個体がするわけじゃないと言っても、 それを聞くと悲しい鳥だと思います。 >> 驚きと困惑が半分ずつといった様子のオーソンを余所に、エヴァンジェリンは >>表情を改めると、やはり困惑しているゼルガディスを真っ直ぐな目で見つめて、 >>その一粒を差し出した。 >>「……これだけでも、受け取っていただけませんか?」 >> たっぷり一呼吸分ほどしてから、ゼルガディスが小さく頷いて受け取ると、 >>エヴァンジェリンは嬉しそうに微笑んだ。輝くような極上の微笑みで。 > >やはり、イイ性格してますね、姫様(笑) >なかなかの策士なところがいいですね。 こういうところは頑固ですから。(笑)それでも彼女なりに折り合いつけて、 ゼルがまだ受け取ってくれそうな形にした、と。 こーゆー方面は、パッと考えつきます、エヴァは。 >>娘の結婚式に出席しても姉にしか見えなかった、という逸話の持ち主、 >>19世紀のハプスブルク王妃エリザベートです。 > >確か、マリー・アントワネットの母親でしたっけ?旦那さんとなかなかのラブラブだったと聞いたことがあるような・・・・・・ いえ、アントワネットの実家ですが、アントワネットの時代より1世紀後の方です。 旦那さんは彼女にベタ惚れで、生涯彼女を愛してたようですが、彼女の方は 普通だったのかも。自由奔放に育った彼女に対し、姑はかなり厳しかったため、 ノイローゼになり、転地療養兼ねて、旅行しまくってたそうです。 >>カッコウのあの説は、去年のお話の下調べで見つけたもので、ここ数年になって、 >>出てきた説のようです。そう言う意味では、悲しい鳥なんですね。 > >長年、なんちゅう鳥だと思ってましたが・・・・・・・ごめんよ。 他の卵を落とさなければ、印象ももっと違っただろうに、と思います。 それでも托卵する側、される側で、種を残すための生き残り合戦があるのでしょう。 >もうじきフィナーレですね。頑張ってください。 はい。あとちょっとです。個人的に次はエピローグ:ゼルサイド、です。 エピローグにしては長いと思いつつ、本編はゼル視点と決めていたので、 多分14話で良いのでしょう♪ >今、わたしが書いてる話、ゼルを持ってきたのも、実はこのお話の影響もあったりします。 >ゼルガディスというキャラクターを動かす上で、参考にさせてもらったりしてます。 >それでは、このへんで失礼します。 何やら勿体ないお言葉を……。イメージ壊れていないといいなあと、思いながら 書いているのですが、少しでも参考になっているのでしたら幸いです。 棒太郎様のお話のゼルの活躍、本当に楽しみです。 それでは、読んでいただきまして、また感想をありがとうございました。 |
15891 | 思いっきり・・・・出遅れすぎ(T_T) | けーこ | 2004/1/21 18:11:33 |
記事番号15823へのコメント こんばんは〜、読ませていただきましたわ〜♪ この13話を楽しみにしていたにも拘らず・・・・気付いてなかった私って・・(T_T) 遅くなった事をお詫びします〜(泣) >「……わたくしが、必ず王太女や女王になるとは限りませんわ。努力はしますけれど」 >「できれば、なってもらわないと困るな。何せ俺はこんな姿だ。他の人間では、 >まともに相手にされるとは思えないし、そうでなくても、俺はあんたにしか >この『石』を返す気がない。 なんかここのゼルやんの答え方が・・・・素敵〜♪なかなかな殺し文句(^^;) コンクパールのブローチは、エヴァ姫自身が働いた報酬としていただいたもの だったのですね。(ってこれを書いている途中でPCが凄い音立ててます・・--;) おまけにそのブローチに込められた意味に現女王の切ない想いもあったとは・・。(涙) その意味をわかりつつブローチを割った姫様、義理堅いです(友人の「まわりの」影響?) カッコウの托卵はそういう事が原因だったのですね・・。他の卵を落としさえしなければそんなに悪いイメージはなかったんだけどなぁ・・・でも、見方がかわりましたわ。ただ、托卵させる鳥もここ20年ぐらいですごい進化をしているらしいですね。卵の模様が変わりつつあるとか・・・・。生存競争は厳しいです・・。 14話とエピローグ、楽しみにしておりますね。ではでは〜♪ |
15895 | ありがとうございます | エモーション E-mail | 2004/1/21 22:37:01 |
記事番号15891へのコメント こんばんは。 >こんばんは〜、読ませていただきましたわ〜♪ >この13話を楽しみにしていたにも拘らず・・・・気付いてなかった私って・・(T_T) >遅くなった事をお詫びします〜(泣) いえ、ありがとうございます。年末年始は忙しいですし、投稿も一気に増えますから、 投稿してさほど経たない内に、画面上部からは下になりますから。 >>「……わたくしが、必ず王太女や女王になるとは限りませんわ。努力はしますけれど」 >>「できれば、なってもらわないと困るな。何せ俺はこんな姿だ。他の人間では、 >>まともに相手にされるとは思えないし、そうでなくても、俺はあんたにしか >>この『石』を返す気がない。 >なんかここのゼルやんの答え方が・・・・素敵〜♪なかなかな殺し文句(^^;) ここら辺のゼルは……自分で書きながら「雰囲気に浸ってるだろ、お前」と 突っ込んでました。(爆) そうそうシリアスはさせて貰えませんから、出来るときにやっておこうと 悟ってます、ゼル(笑) >コンクパールのブローチは、エヴァ姫自身が働いた報酬としていただいたもの >だったのですね。(ってこれを書いている途中でPCが凄い音立ててます・・--;) そうです。元々は社交界デビューか(ゼフィーリアは社交界デビューした、 またはする、女王候補に、女王から一番似合う石を使ったアクセサリーが 贈られる習慣がある……と設定していますので)、結婚でもしたときに、 祝いとして贈る予定だったものと思われますが。かなり値が張るものですし(汗) 早めに渡せそうになったので、報酬、という形で渡したのでしょう。 それにしても音って……(汗)大丈夫ですか、パソコン……(汗) >おまけにそのブローチに込められた意味に現女王の切ない想いもあったとは・・。(涙) >その意味をわかりつつブローチを割った姫様、義理堅いです(友人の「まわりの」影響?) 女王にとっては、もうかなりの想いが入っていますね。彼女はアンジェリカも エヴァも手放したくなかった人ですから。 エヴァはゼルの話を聞いて、頭じゃなく感情で、自分が実の親から捨てられたのではない、 と理解しましたし、女王の想いも分かりましたが、それでもこれは譲れない一線でしたので、 精一杯の妥協でもあります。こういうところは頑固ですし。 >カッコウの托卵はそういう事が原因だったのですね・・。他の卵を落としさえしなければそんなに悪いイメージはなかったんだけどなぁ・・・でも、見方がかわりましたわ。ただ、托卵させる鳥もここ20年ぐらいですごい進化をしているらしいですね。卵の模様が変わりつつあるとか・・・・。生存競争は厳しいです・・。 托卵される側も必死ですからね。そして卵の模様の変化に、托卵する側も対応して、 模様を変化させたり、托卵する相手を変えたりとしているそうです。 それでも、体温が変動しないようには、どうしても変化しない辺りが、 「進化から取り残された鳥」と言われる由縁なのでしょうね。 多分、卵の柄などとは違って、そうそう変化出来ない部分なのでしょうから。 >14話とエピローグ、楽しみにしておりますね。ではでは〜♪ ありがとございます。書き上げて……今修正をしています。 ……修正するたびに、台詞を変えたくなるのは何故でしょう……(汗) 次はかなり長くなります。ほんとに読んでいただければ、幸いです。 それでは、感想をありがとうございました。m(__)m |
15907 | 王女様と私 14話 | エモーション E-mail | 2004/1/25 22:16:43 |
記事番号15823へのコメント こんばんは。 前回の予告どおり、思いっきり長いです。な、14話。投稿いたします。 いつもですが、今回は特に、読むのにも時間がかかりそうです。すみません。 今回の14話、そしてエピローグで終了のこのお話。読んでいただけましたら、幸いです。 ************************************** 「王女様と私」14話 そのブローチの持ち主は、ふわりとしたクリーム色の髪と碧緑の瞳の、美しい娘だった。 不意に起きた反乱で、危ういところを近衛の騎士に助けられた彼女は、 追っ手から逃れているうちに、急流の川へ落ちてしまい、意識を取り戻したときには、 記憶を失っていた。 彼女を助けたのは、商談でゼフィーリアを訪れ、この反乱で慌てて自国へ戻る途中の、 商人の青年だった。元来親切なこの青年は、彼女を放って行く事が出来ず、 さらに王族や反乱軍に抵抗した貴族が、一族ごと投獄または処刑されていると知って、 彼女を連れて帰った。 それから十年ほどの月日が流れ、ゼフィーリアでは彼女の従妹でもある 王女を中心とした、6人の王女たちが反乱軍を倒し、国を復興仕始めた。 同じ頃、青年と夫婦になっていた彼女は、難産の末、三人目の子供を産んだが、 同時に、唐突に記憶を取り戻した。 だが、自分が探されていると知っても、彼女は名乗り出る気はなかった。 愛する夫や子供と離れることなど出来ないし、例え地位を返上し王籍から外れても、 三人の子供のうち一人は娘。直系の彼女の娘を、従妹達が見逃しても、周囲は けして見逃してくれないからだ。 それでも何とか『石』だけは王家に戻そうと、彼女はその時期を待っていたが、 夫と子供にすべてをうち明ける事が出来ないまま、亡くなってしまった。 娘は母親のブローチを受け継いだ。『石』がゼフィーリア王家のものとは 知らなかったが、『石』の持つ力は知っていたので、娘も母親と同じように、 本当に困ったときにだけ、『石』のもたらす知識と力を借りた。 こうして、『石』は娘からその娘へと受け継がれていき、いつしか『賢者の石』と、 呼ばれるようになっていった……。 「……夢……か……。……何だか、みょーな夢だったな……」 すべてが目の前で起きていたような、やたらとリアルな夢に、半分寝ぼけた顔でそう呟き、 ゼルガディスは突っ伏していた机から顔を上げた。 ****** ……たまたま見た夢にしては、奇妙なほど一致している……。 夢を見てから数日後。ページを捲りつつ、ゼルガディスは心の中でそう呟いた。 ゼルガディスがゼフィーリアからアジトへ戻ると、レゾは近くの領主から、 家族が重い病にかかったとかで、治療のために呼び出されていて、しばらく 不在になるという。 そこでゼルガディスは、これ幸いと持ち帰った『石』を少し調べてみたのだ。 分かったのはやたらと硬度がある事と、確かにエヴァンジェリンが起こしたような反応が、 自分や他の者の血では起きないことだろうか。……もっとも反応しないまでも、 自分の血だけは、『石』に吸い込まれていく点は疑問だったが。 それはともかく、そのまま寝入ってしまったときに見た夢が妙に気になり、 ゼフィーリアの歴史が書かれた本──主に二百年前のもの、を何冊か読んだのだが、 夢の内容と一致する部分の多さに、目を瞠るしかなかった。 王太女の決定と新女王の即位から、1年と経たずに起きた、ジャービス王子率いる反乱。 以来、生死不明のまま、歴史の表舞台から姿を消した王太女ソフィア。 そして幼い故に処刑を免れ、十年ほどの後、ゼフィーリアを再興した中興の祖と呼ばれる 6人の王女たち。 中心になったのは、武王とも称される姫将軍ベネージュと、後に女王として即位し、 ゼフィーリア史上最高の名君、または賢君と言われる王女リディア。二人は 王太女ソフィアの従妹で、行方の知れない王太女をずっと探していた、と記されている。 ……〃ソフィアに纏わる記憶〃を、『石』が夢で見せた……そんなわけがあるか! 幼い頃、手当たり次第に読んだ戦記物には、史実をモデルにした話も多い。 おそらくその記憶がこんな夢を見せたのだと、ゼルガディスが結論付けていると、 「何を熱心に読んでいるんです? ゼルガディス」 そう言って、赤い法衣を纏った盲目の法師──レゾが部屋に入ってきた。 どうやら、帰ってきたらしい。 「……ゼフィーリア王国についての本だ。結構、興味深い国だったからな」 とりあえずは素直に、問いかけに答える。盲目の者は見えない分、相手の口調や 気配に敏感だ。レゾは特に鋭い方だから、 誤魔化したところで、すぐに見抜かれてしまう。 「知っておくというのは、良いことです。確かにあの国は、女王制という以外にも、 他の国と少し違いますからね」 レゾは小さく笑んで言う。今回の仕事は急だったので、一度も行ったことのない国に、 ほとんど予備知識なしで行かせてしまった。後々の事を考えれば、ゼルガディスが 国の制度や歴史的背景、基本的な国民性など、詳しく知ろうと思っても無理はない。 だから、レゾは特にゼルガディスの言葉に疑問を持たなかった。 「ところで、聞きましたよ。盗賊のアジトのすぐ近くで、お家騒動があったとか」 「ああ。下手をすれば危なかったな」 関わったことは伏せたが、その話は一応アジトにいる連中にも話していた。 自分の出先で起きた事だし、裏の世界ではもう、女王家の姫が傍系王族の王子に 暗殺されそうになった、と噂が流れていたので、全く知らないふりをするのは 不自然だからだ。ただ、自分が関わったことは知られていない辺り、おそらく ユストゥスが守秘扱いにでもしたのだろう。 ……まあ、それは俺が〃ソフィアのブローチ〃を預かっているからだろうけどな。 ゼルガディスの脳裏に、ユストゥスとの会話が浮かんだ。 ****** 「ゼフィーリアとしては、姫の恩人を捕らえるわけにいきませんので、貴殿が 姫に会うまでの、〃過去の事〃については不問にいたします。特にこの国では問題を 起こしておられませんしね。ただし、今後この国で〃何か〃をした場合は、 そうもいきませんが」 さすがに口約束だけという訳にいかず、簡易的なものだが羊皮紙に〃次のゼフィーリア女王が 即位するまでに、『石』を王家に返還する〃という内容の証文を書き、署名を終えた ゼルガディスは、タイミングを見計らって近づいてきたユストゥスから、 静かにそう告げられた。 少々ほっとしつつも、それを表に出さず、言葉の最後の〃警告〃に「覚えておく」と 答えたゼルガディスに、ユストゥスはにっこりと品の良い笑みを見せて、言葉を続ける。 「それと……これは姫を護っていただいた事に対する、国としての謝礼です」 ユストゥスから渡された布袋を、ゼルガディスは素直に受け取った。特に 突っぱねる必要もないし、相手(ゼフィーリア)はこちらに対して、かなり譲歩し 優遇しているのだ。面子を潰すような真似をするのは、無意味でしかない。 それにしても── 少し離れた場所で、何やらエヴァンジェリンに言いこめられているオーソンが目に入り、 くすりと小さく笑ったゼルガディスに、ユストゥスが訊ねた。 「……どうかしましたか?」 「ちょっと思っただけだ。あんたといい、オーソンといい、何だかんだ言っても、 あのお姫さまには甘いというか、どうも弱いようだとな。……何故かは、 何となく分かる気はするが」 どことなく苦笑したようなゼルガディスの言葉に、ユストゥスはエヴァンジェリンと オーソンの様子をどこか優しい目で見ると、納得したようにくすりと笑って答える。 「確かにオーソンは特にそうですね。しかし、何故私もそうだと?」 「あんたはこの場での全権を任されている職務上、厳しいことも言っているが、 基本的にエヴァンジェリンの意思や感情を優先させているじゃないか。 俺への待遇なんかが良い例だ。 何より、こんなアバウトな〃『石』に関しての約束〃を、了承するのも変だからな」 オーソンが危惧していたことは、別に大仰にしなくても、『正式に返還する形』さえ 整えれば──例え少人数でも、それなりの身分の者と身元の確かな者を複数、 証人にすれば、それで済むことだ。〃持ち主〃が表に出ない理由、もしくは 外見を隠す理由など、その気になれば、いくらでも理由付け出来るのだから。 興味深そうに、そして面白そうな面持ちで聞いているユストゥスに、ゼルガディスは 視線を向けて、言葉を続けた。 「なのに、あんたはこれに書かれた条件をすんなり認めた。正直、俺は拍子抜けしたぜ。 はっきり言ってこれは、エヴァンジェリンの感情を優先させたにすぎないものだからな。 だが、それを認めた一番の理由は……気がついたからからだろう? まだ立場がはっきりしていないエヴァンジェリンが、この『石』を──例え 『返還の窓口』という形でも、手に入れた場合の危険性に……」 〃次期女王の王太女にしか持つことを許されず、しかもずっと王家が探していたもの〃 そんな代物を、候補の一人が見つけて返還したらどうなるか、分かりきったことだ。 問題になるのは、この事が王位継承で有利に働くかどうかではなく、周囲が どう思い、どんな行動をとる可能性があるか、なのだから。 ユストゥスは感心したような表情を見せ、そして小さく笑んだ。 「……ええ。我ながら、すぐに気づかなかったのは、本当に迂闊でした。 自覚はなくても、混乱していたんでしょうかね。ですから、その内容は渡りに船でしたが、 何故、気づいていて了承したのです? 貴殿に矛先が向く可能性があるのも、 お分かりでしたでしょうに」 「最初に『石』を持っているように言ったのが、エヴァンジェリンだったからな。 他の奴なら体の良い『囮』にされるのを疑ったが、あのお姫さまにはそんな発想がない。 むしろ気づいていたら、持ってもいないのに持っている事にして、自分を『囮』にしかねん」 狙われていたのは自分なのに、あの恐竜モドキを逃がすために、自分が 囮になるような娘だ。冗談抜きでやりかねない。 「だったら、エヴァンジェリンが『石』を持っていないと、はっきり分からせた方が良い。 俺の方は、国外で揉め事を起こしたい奴はそういないだろうし、まだ何とかなるからな」 そう言ったゼルガディスに、ユストゥスは苦笑し、肩をすくめた。 「私には、貴殿も姫には弱いように見えますよ。人のことは言えないのでは?」 その言葉には答えず、ゼルガディスはユストゥスの顔を真っ直ぐに見て、訊ねる。 「あんた、エヴァンジェリンと似ていると、言われたことがないか?」 「ええ。ごくたまにですが、言われます。それが、何か?」 すんなりとそう返すユストゥスに、ゼルガディスはユストゥスにのみ、 聞こえる声で言う。 「違っていたら悪いが、あんたはもしかして、エヴァンジェリンの実の父親じゃないのか? あんたとエヴァンジェリンは、そっくりってほどじゃないが、どこかイメージが重なるし、 血縁がある方が自然なくらい、顔立ちなんかの、基本的な部分が同じだからな」 ユストゥスを見たとき、誰かに似ていると思った。後からエヴァンジェリンと似ていると 気づいたが、すぐ分からなかったのは、そっくりなのではないのと、性別の違いのせいも あったかもしれない。だが、確かに同一のものが、根本にある……。 「…………生憎ですが、私は15〜16で父親になった覚えはありませんよ。 4〜5歳ぐらいの頃ならありますけど」 ゼルガディスの言葉に、ユストゥスはさすがに一瞬、絶句したものの、 至極真面目な面持ちでそう答えると、後半部分に目が点になったゼルガディスに、 にんまりと笑んで「おままごとのパパ役ですよ」と付け足した。しっかり こんな反撃をする辺り、やはりこちらが上手だ。 「ですが、大ハズレでもありません。姫の実の父親は、私の兄ですから。 どうやら姫の外見は父方に似たようで、肖像画に残っている、私たちの母の若い頃と よく似ています。もっとも、姫は私が父方の叔父だとはご存じありませんから、 この事は内密に。 でも、貴殿は観察力がありますね。実は案外、この事に気づく人は少ないんですよ。 気づいていて、黙っているわけでもないのですから、つくづく不思議ですが」 つまり、似ていて当たり前だったわけだ。くすり、と小さく笑んだユストゥスは、 表情を改め、真面目な面持ちで言う。 「……個人的には、貴殿をこのまま帰すのが残念ですよ。もうお分かりと思いますが、 姫はとても真っ直ぐな方です。それなりの駆け引きはできても、基本的に アンフェアな類の事が出来る方ではない。それは個人としても王族としても、 好ましい資質ですが、女王や五王家としては、それだけでは務まらないんです。 政は、綺麗事だけでは通用しませんから。 姫にはこれから先、どうしても貴殿のような者が必要になります。姫が 気づきにくく、読みや詰めの甘くなる部分を、先の先、裏の裏まで読んで、 対処出来る者が。何分、姫は不利になると分かっていても、出来るだけ綺麗事を 貫こうとする方ですから、尚更です。 身贔屓ですけどね。私は姪に最高の〃騎士(ナイト)〃達を揃えておきたいんですよ」 「……買いかぶりすぎだ。第一、俺みたいなのがいたら、あのお姫さまの 迷惑にしかならん」 半ば自嘲気味に言うゼルガディスに、ユストゥスはにっこりと笑んで言った。 「姫はそう思いませんよ。まあ、考えておいてください。強制はしませんから」 ****** 「……ゼルガディス、どうしたのです? 何か問題でもあったのですか?」 急に黙り込んでしまったせいか、レゾから不思議そうに訊ねられ、ゼルガディスは 慌ててふと、頭に浮かんだ事を答えた。 「いや、何も。ただ、近くであの騒ぎを見ていたが、ゼフィーリアの女王家は、 あまり血筋にこだわらないというのを思い出して、変わっていると思ってな」 ゼルガディスの言葉に、レゾは少々考えながら答えた。 「……そうですか? 私はゼフィーリアの女王家は、この結界内の国の中で、 一番血筋にこだわっている王族だと思いますが」 「そうか? しかし、襲われたお姫さまの父親は、確か貴族と言っても、 身分が高いわけじゃないと聞いたぜ。こだわっているようには見えないんだが」 「それは父方で見た場合でしょう? 女王家の姫である以上、母方は必ず王族のはずです。 ゼルガディス。はっきりいって血筋にこだわるのなら、父系より母系を基準にした方が 確実なんですよ。妻が産んだ子どもは間違いなく妻の血を引いていますが、 夫の血を引いているとは限らないんですから」 「……あんた、事もなげな顔で、結構凄いことを言うな……(汗)」 呆気に取られたようなゼルガディスの口調に、さすがのレゾも少々苦笑した。 「確かに、これは夫婦のどちらに対しても、失礼で不愉快な言い草ですからね。 でも、まったくありえない話ではない。それは分かるでしょう? 理由は様々でしょうけれど。 ゼフィーリアの女王家はそういう意味で、最も血筋の確実さにこだわっている王族です。 しかし血縁の近い者でさえなければ、父方の血筋や身分にはこだわらないから、 各国の王族や貴族に見られるような、近親婚による血の弊害と無縁ですし、 様々な血が入り込む分、様々な可能性を持つ者が生まれやすい。その良い例が、 有名な200年前の6人の王女達でしょうね。 ……本当に。誰か知りませんが、良く考えついたと思いますよ」 半ば本気で感心しつつ言うレゾの言葉に、ゼルガディスは目から鱗が落ちた気がした。 『石』を使うことが出来るのは、直系の女性だけ。それは、エヴァンジェリンが 証明して見せたので確かだ。母系基準の女王制になった一番の理由はそれだろうが、 おそらくゼフィーリアの初代女王やその側近たちは、レゾが言ったような利点に気づき、 さらに意図的にそうなりやすい形を作ったのかもしれない。 「まあ、それはともかく、通称〃賢者の石〃とやらはどれです?」 講義は終わり、という調子で訊ねるレゾに、ゼルガディスは『石』を手渡した。 すでに別物という報告は聞いていても、一応確認したいのだろう。もっとも、 本物の『賢者の石』ではない以上、レゾにとってこの石はただの貴石だ。 せいぜい、盗賊達と同じ認識を持つくらいのはずなので、すぐに興味を失うに違いない。 だが、ゼルガディスがこの石を持ちたがっていると知ったら、さすがに訝しむだろう。 さりげなく、自分が持っていてもおかしくない状況を作らなくてはならない。 ゼルガディスがそう考えていると、魔力波動などを見ていたレゾが、不意に顔を上げた。 「これはもしかしたら、深い青を基調にした、少し変わった色合いをしていませんか?」 「……そうだが、どうして分かるんだ?」 「ああ、やはり。この石の波動には、覚えがあるんですよ。これは昔、私の弟子だった者が 持っていたものです。代々伝わってきたもので、『女性にしか使えない』と 聞かされていたそうですが、彼の娘には使えませんでしたので、おそらく何か 他にも条件があるのでしょうね」 淡々とそう語るレゾに、ゼルガディスは「そうか」としか返事が出来ない。 偶然とはいえ〃条件〃は良く知っているが、それを話したら、ややこしいことに なりかねない。 「それにしても、彼らの命と共に盗賊に奪われたものが、再び戻ってくるとは……。 この石とは、どうしても縁があるようですね。いえ、言い伝えどおりになったと 言うべきでしょうか」 レゾはどこかしんみりとした様子でそう言うと、不意に石をゼルガディスの方へ 弾いてよこす。慌てて受け止めたときには、もうくるりと背中を向けて、 部屋の戸口に立っていた。 「ゼルガディス。その石は、例え手放しても必ず持ち主のところへ戻る、 と言われているそうです。ですから、お前が持っていなさい。……手放しても、 また戻ってくるだけですから」 振り返りもせずに部屋から出ていったレゾの、そっけないが、いつもと 少し違う調子に気づくより、その言葉の意味に、ゼルガディスはしばらく呆然とした。 ……それは、あのお姫さまの〃推測〃のとおり……という事なのか? いや、まさか。 もっとも、もしそうだとしても、200年も前に別れてしまった血筋など、 はっきり言って無関係でしかない。だが、いつか『石』を返しに行ったとき、 この話をしたら、エヴァンジェリンはきっと輝くような極上の笑顔で言うのだろう。 ──やっぱり、わたくしが信じたとおりでしたわ。 それが簡単に予測できて、そして何故か、どうしようもなく可笑しくて、 ゼルガディスはくすくすと小さく笑った。 ************************************** 一応、ゼル視点の本編はこれで終了です。あとはエピローグに続きます。 貴種流離譚ネタは、実はオリキャラはともかく、パロディで使わせていただいている キャラに対しては、本設定でもない限り、あまり使いたくないものだったりします。 それが話そのものに絡んでいて、上手く生きてくる設定であるのなら良いのですが、 水戸のご老公の印籠的要素でしかないのなら、意味がないと個人的に思うので。 ですから、ゼルが弟子の娘の血を引いているのは、何となく分かるように(設定では ゼルの母親としています)書きましたが、弟子が本当にソフィアの子孫かどうかは、 実は不明です。そうかもしれないし、違うかもしれません。 ただ、『石』はエヴァの影響を受けたのか、ゼルを気に入ったようですが(笑) さて、やっとエピローグ。ルナとエヴァの会話になります。 |
15908 | 王女様と私 エピローグ | エモーション E-mail | 2004/1/25 22:27:16 |
記事番号15823へのコメント ということで、エピローグです。 ************************************** 「王女様と私」 エピローグ 「……それで、今日はオーソンさんたちが一緒じゃなかったのね。 でも、そんな事があったのに、よく室長さんが午後の外出を認めたわね」 ケーキを食べつつ、エヴァンジェリンの話を聞いていた黒髪の少女──ルナは そう訊ねた。さすがに一度城へ戻ったのは、服装などを見れば分かる。 言われなければ、そんな事があったとは分からなかったはずだ。 「室長は止めたのですけれど、ユストゥスが口添えしてくれましたから。 もう一度現場に行かなくてはならないのに、インバース家が見える辺りまで 送ってくれましたし。 ただ、オーソンが迎えに来るまでは、インバース家から外出しないこと、 と言われてしまいましたわ。久しぶりにルナと街を歩きたいと思っていましたのに……」 「そんな事が起きた直後だもの、仕方がないわよ」 香茶を手に、残念そうな口調と面持ちで言うエヴァンジェリンに、ルナは 苦笑しながらそう返す。室長からすれば、これはかなりの譲歩だ。ユストゥスも、 行き先がルナの──現・赤の竜神の騎士(スィーフィード・ナイト)の家でなければ、 口添えなどしなかっただろう。 「そういえば、クリフォード家のランドルフって……確か、アンジェリカ姫への 求婚者軍団の一人よね?」 「ええ、そうですわ。でもルナ、よく知っていましたのね」 「有名だもの。何度断られてもめげないのは凄いけど、本気で嫌がられているのに、 しつこく言い寄ってるって話は、学校の方でも噂になってるわよ」 エヴァンジェリンは清楚可憐、アンジェリカは優美華麗と、趣は違うが、 アンジェリカはエヴァンジェリンの3歳年上の姉姫だ。ゼフィーリア1と 謳われる絶世の美女で、その上年頃のため、ここ一年の間に国の内外から 求婚者が殺到しているが、女王候補として大事な時期だからと、今のところ 全員、丁重に断られている。だが、それは表向きで、どうやら好きな相手が いるらしいと噂されていた。 ……ついでに、学校じゃその相手はオーソンさんだ、って噂されてたっけ。 ルナは口にはしなかったが、事実かどうか分からないその噂は、多分、 エヴァンジェリンの耳にも入っているのだろう。半分は、父親違いの姉妹が 女王候補としてだけでなく、恋愛でもライバル関係だと、無責任に面白がって いるのだろうが、アンジェリカ姫が時折、そう思われても仕方のない行動を 取っていて、それがエヴァンジェリンの機嫌が悪くなる理由になっているのだから、 まことしやかに囁かれるのも、無理はないのかもしれない。 「でも、ランドルフたちは、よくエヴァが一人で外出したって、分かったわね」 突発的な行動に良く対応できたものだと思いつつ、ルナがそう言うと、 エヴァンジェリンは少し苦い表情で答えた。 「騎獣小屋担当の者の中に、ランドルフの手の者がいましたの。わたくしが 飛び出してすぐに、レグルス盤でランドルフに知らせたそうですわ。 ……親切で優しい方でしたのに」 「エヴァ……」 「大丈夫ですわ、ルナ。ただ、少し残念なだけです」 良く知っている者だけに、さすがに少しショックだったのだろう。 だが、少し心配げな面持ちのルナに、エヴァンジェリンはにっこりと上品に 微笑んでそう言った。 「ねぇ、ルナ。 『Feri lanomhoth Samith a kiteri chicar gairi』という言葉が、 何の言葉か分かります? あの魔剣士さんも分からないようでしたから、 リナちゃんが今勉強している、カオス・ワーズではないと思いますけれど」 話題を少し変えようと思ったのか、不意にエヴァンジェリンが訊ねてきた言葉に、 ルナは目を瞠った。本来、ルナの知らない言葉なのに、不思議な懐かしさを 感じるのは、赤竜神の騎士(スィーフィード・ナイト)の記憶のせいだろうか。 「……それ、神聖語よ。何か治療呪文っぽいけど。でも、どこでその言葉を? 結界のおかげで、降魔戦争後は神聖呪文は使えなくなったから、今じゃ廃れてて、 神官や巫女でもきちんと読めて発音出来る人、少ないと思うんだけど」 「使えないって……。ですが、先程わたくしはこの呪文を使いましたわ。 女王家の者なら使えると、そう言われましたし……」 ルナの言葉に、エヴァンジェリンは目を丸くしてそう返す。本来、絶対に 使えないはずのものが使えたのだから、驚くのは当然だが、返された言葉には、 ルナの方が驚いた。 「ちょっと待ってよ。『そう言われた』って、誰に? さっき言ってた魔剣士の人以外にも、 誰かいたの?」 エヴァンジェリンを助けた合成獣(キメラ)の魔剣士は、どうやらかなり知識も 力も持っていたらしいが、神聖呪文を知っていたとしても、魔族の結界内では 使えない事を知っているはずだ。「女王家の者なら使える」などと言うはずがない。 「人ではありませんわ。信じられないかもしれませんけれど、王太女の エーフィドーシュ……〃ソフィアのブローチ〃からです。 先程は言いませんでしたけれど、魔剣士さんはソフィアのブローチの所有者でしたわ。 わたくしは確認のために『石』をお借りしていたのですけれど、その時に、 『石』から聞こえてきた〃声〃が、今の呪文を教えてくださって、そう言いましたの。 もっとも、その〃声〃が聞こえたのは、わたくしだけでしたし、おそらく それは王太女や女王の『石』だけで、わたくしが持つ五王家(リュ・ラルティエ)の 『石』では、起きない現象だと思いますわ」 エヴァンジェリンはそう言いながら、両手を首の後に回すと、コトン、と、 テーブルに外したネックレスを置いた。光を反射して輝く、不思議な色合いをした 小さな楕円形の青い『石』を見て、ルナは思わず息を呑んだ。 ……こっ、この『石』っ?! 「そういえば、ルナにこれを見せるの、初めてでしたわね。……どうかしましたの?」 絶句しているルナを見て、不思議そうに訊ねるエヴァンジェリンに、ルナはただ、 頷くしかない。ゼフィーリアの国民なのだから、女王家の『石』の事は一般常識程度に 知っていた。だが、まさかこんな代物だとは思わなかったからだ。 「……ごめん。ちょっと良く見たいから、手に取って良い?」 目をキョトンとさせつつ、エヴァンジェリンが了承したので、ルナは『石』を 掌に乗せた。確かに、これはさほど力を持たないというより、制限されている。 それでも、ルナにはとっても良く判る、『力』の種類……。 「……初代女王エレクトラは巫女だったそうだけど……領主の娘が単に教養で 学んでただけ、じゃなかったみたいね……」 しばらく黙っていたルナはふうっ、と深く息を付いてそう言った。実際、 こんな真似が出来たのだから、かなりの力を持っていたはずだ。もしかしたら 初代女王エレクトラは、赤竜神の騎士(スィーフィード・ナイト)ではないが、 似たような〃存在〃だったのかもしれない。自覚はなかっただろうけれど。 「ルナ……?」 少し不安げな面持ちのエヴァンジェリンに、ルナはにっこりと笑んで『石』を返して言う。 「驚かせてごめん。持っている『力』に、少しびっくりしただけだから。 確かに、これを持っている女王家の者なら、神聖呪文が使えてもおかしくないわ」 ……だって、異界黙示録(クレアバイブル)の本体に、直通で繋がってるんだもん、 その『石』……(汗) さすがに確実に初代女王エレクトラの血を引く者にしか、使えない契約に なっているらしく、『石』はアクセスする端末であると同時に、使用者を 判別する代物のようだ。……何となく、この国が女王制になった理由が分かる気がする。 「その〃ソフィアのブローチ〃は? 見つかったのなら、大騒ぎになると思うけど」 ふと気づいてルナがそう訊ねると、ネックレスを掌に乗せたエヴァンジェリンは、 柔らかな表情で言う。 「もちろん、魔剣士さんが持っていますわ。あの『石』の正当な所有者は、 あの方ですもの。次の女王が即位するまでに、返しに来てくださると、そう お約束しましたわ」 「……まあ、エヴァが押し切ったんでしょうけど、よく周りがそれで納得したわね。 でも、次の女王の即位って、早くても20年は先じゃない。いいの? それで」 エヴァンジェリンらしいと思いつつ、ルナは肩をすくめて、苦笑した。 現女王シャーロットは特例だが、本来、王太女が女王に即位するのは、自分の地位を 引き継ぐ者が現れた時だ。相手がそれを知っていたかどうかはともかく、気が長いのか 早いのか分からない。 「いいのよ。でも、ただの勘ですけれど、何となく、それよりは早くお会いできる 気がしますの。そして、その時はわたくしがあの方を助ける番ですわ。 きっと、そうなります……」 掌の中の『石』を両手で包み込み、まるで祈るように胸の前で握りしめて、 エヴァンジェリンは、優しい微笑でそう言った。 ──「王女様と私」・終── ************************************** 以上、「王女様と私」終了です。 エピローグは一応「So What?」Part4中の会話です。 カタログを見て、精神破壊兵器(笑)のサンプルを再生しようとするより前になります。 自分で書いていて何ですが……タフだなあ……エヴァ……。 さて、思った以上に長くなってしまったこのお話。 気がついたら、どんどんゼフィーリアの制度やら歴史やら、エヴァのお子様時代の話やら、 ごろごろと出てしまい、かなりややこしかったのではないかと思います。 ……もっと簡潔に、分かりやすく書き纏めるスキルがほしいです……(滂沱) ともあれ、最後までお読みいただきまして、本当にありがとうございました。m(__)m |
15909 | まとめて感想♪ | けーこ | 2004/1/26 11:19:22 |
記事番号15908へのコメント どうも、お疲れ様でした〜♪読み終えて、凄く満足感があります(^^) で、まとめた率直な感想として・・・「ソフィアのブローチ」ってとんでもない代物 だったのね(滝汗)五王家の「石」がアクセスする端末なんですから。・・本体? それを知って思わずガクガクブルブルですわ。 14話の感想から書かせていただきますね。 冒頭でゼルが見た夢は「石」が見せたもの、と思ってよいのでしょうか。 ゼルの血を石が吸い込んだ、という点で「おや?」と思っていたら・・・・ 最後の方で思わずなるほど・・・・。納得。 ユストゥスとゼルのやり取りも好きですね。今「石」を持っているべき人物が ゼルである方がいい、という理由もなるほど。そしてゼルが彼に対して 持っていた既視感はそういう事だったのですね(^^;)・・・30過ぎだったのか(爆) 本当に姫様は真直ぐ過ぎですからゼルのような騎士が必要でしょうねぇ。 ユストゥス氏、そこまでゼルを認めたとは・・・ちょっとビックリ。 まぁ、人を見る目の達者な人だろうから当たり前なんでしょうけどねぇ。 レゾとゼルとのやり取り、正直、ゼル焦りまくり、だったのでしょうね(-ヮ-) 目が見えない分、その場の空気とか人の機微を読み取る能力にレゾは 長けていたでしょうから。ゼル、良く頑張った♪(笑) 最後にレゾがゼルに言った言葉、いろんな意味を含んでいるんでしょうか。 エピローグですが・・・見たくない名前が(^^;) ランドルフの馬鹿小僧はアンジェリカ姫に求婚してたんですね・・・。なんか哀れ。 で、そのアンジェリカ姫の想い人がオーソンさんで、エヴァ姫はそれが理由で機嫌が悪くなる・・・。 んーーー、オーソンさんの気持ちを是非とも知りたい、と野次馬根性が出てます、今(笑) (オーソンさんはエヴァ姫の方に傾いている、に5000点!違) さすが赤竜神の騎士のルナ姐、神聖語は感覚的にわかるんですね。 近いうちにまたエヴァ姫とゼルの再会はあるのでしょうか。 で、その時には・・・・例の小説は書き上げられているのでしょうか(滝汗) それをゼルが知ったとしたら・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・合掌。 本当にとても面白く奥が深いぞ!な作品でしたわ。 読ませていただき、本当にありがとうございました。 次回の作品がいろんな意味で楽しみです♪ ハチャメチャな感想で申し訳ございません。ではでは〜! |
15912 | ありがとうございます | エモーション E-mail | 2004/1/27 00:37:48 |
記事番号15909へのコメント >どうも、お疲れ様でした〜♪読み終えて、凄く満足感があります(^^) こんばんは。感想&ありがたいお言葉をありがとうございます(ほろり) >で、まとめた率直な感想として・・・「ソフィアのブローチ」ってとんでもない代物 >だったのね(滝汗)五王家の「石」がアクセスする端末なんですから。・・本体? >それを知って思わずガクガクブルブルですわ。 はい。とんでもない代物でした(^_^;) それでもまだ、〃ソフィアのブローチ〃の方は、多少制限されているんですよ(汗) 女王の『石』に至っては、制限なしですから、さらに……。 ゼロス……というより、魔族側に知られたら、かなり拙いです。 五王家の『石』は……実は本来非常用だったので、5つ全部揃えて使うと、 女王の『石』と同様の効力を持ちます。3つで王太女の『石』と同等です。 ただし、一人が5つまたは3つ全部を所持して使うか、所有者全員が、同じ事を 知りたがるか、願わなくてはならないので、気づく者がほとんどいないだけです。 >14話の感想から書かせていただきますね。 >冒頭でゼルが見た夢は「石」が見せたもの、と思ってよいのでしょうか。 >ゼルの血を石が吸い込んだ、という点で「おや?」と思っていたら・・・・ >最後の方で思わずなるほど・・・・。納得。 はい。あの夢は『石』が見せたものです。『石』なりに(笑)考えて、 「これは伝えておきましょう」と思ったようです。 >ユストゥスとゼルのやり取りも好きですね。今「石」を持っているべき人物が >ゼルである方がいい、という理由もなるほど。そしてゼルが彼に対して >持っていた既視感はそういう事だったのですね(^^;)・・・30過ぎだったのか(爆) >本当に姫様は真直ぐ過ぎですからゼルのような騎士が必要でしょうねぇ。 >ユストゥス氏、そこまでゼルを認めたとは・・・ちょっとビックリ。 >まぁ、人を見る目の達者な人だろうから当たり前なんでしょうけどねぇ。 ありがとうございます。あの辺りは書いてて楽しい反面、やはり言い回しなどが 多少大変でした。……ユストゥスは放っておくと、関係ないことばかり喋りますし(汗) ゼルは本当に高く評価されました。ユストゥスは監視しつつ、きっちり 「本来はどんな人物なのか」見定めていたんですね。どうやら合格ラインを 突破したわけですが、何よりエヴァから信頼されている点が、決定打と思われます。 また、ユストゥスとエヴァの関係は、最初から決めていました(^.^) >レゾとゼルとのやり取り、正直、ゼル焦りまくり、だったのでしょうね(-ヮ-) >目が見えない分、その場の空気とか人の機微を読み取る能力にレゾは >長けていたでしょうから。ゼル、良く頑張った♪(笑) >最後にレゾがゼルに言った言葉、いろんな意味を含んでいるんでしょうか。 大変だったと思います。ゼロスじゃないですが、「嘘ではないが、事実でもない」 言い方をなるべくさせましたし。 レゾの最後の言葉……素直に「母親の形見だから持っていなさい」と言えばいいのに、 言えなくて回りくどくなってます。レゾの中で微妙な葛藤があったんです。 >エピローグですが・・・見たくない名前が(^^;) >ランドルフの馬鹿小僧はアンジェリカ姫に求婚してたんですね・・・。なんか哀れ。 >で、そのアンジェリカ姫の想い人がオーソンさんで、エヴァ姫はそれが理由で機嫌が悪くなる・・・。 >んーーー、オーソンさんの気持ちを是非とも知りたい、と野次馬根性が出てます、今(笑) >(オーソンさんはエヴァ姫の方に傾いている、に5000点!違) オーソンは……「勘弁してください」と多分困った心境でしょう。 アンジェリカに対しては、特別な感情は持ってなくても、アプローチされてて、 嫌な気分はしない(苦笑)ですし、エヴァに対しては、初めてあったときが、 11歳だったため、「姫はまだ子供」という認識が強いので。 ただ、今回ゼルのおかげ(笑)で、「もう姫は子供と言えなくなっている」と 気づかされたので、今後に期待です(笑) >さすが赤竜神の騎士のルナ姐、神聖語は感覚的にわかるんですね。 >近いうちにまたエヴァ姫とゼルの再会はあるのでしょうか。 >で、その時には・・・・例の小説は書き上げられているのでしょうか(滝汗) >それをゼルが知ったとしたら・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・合掌。 再会は原作本編終了後の時間設定になるだろうと、漠然と考えてます。 旅先の酒場辺りで、エヴァに関する噂を聞いて、それで、という感じです。 あの小説は多分すぐに書いたでしょう(笑)が、本人にはさすがに見せないと思います(^_^;) あれは「殿方にはないしょの乙女の楽しみ」ですから(笑) >本当にとても面白く奥が深いぞ!な作品でしたわ。 >読ませていただき、本当にありがとうございました。 >次回の作品がいろんな意味で楽しみです♪ > >ハチャメチャな感想で申し訳ございません。ではでは〜! 長いお話にお付き合い下さいまして、本当にありがとうございました。 次のお話はまだきちんと形になってないのですが、がんばって書きたいと思います。 それでは、感想をありがとうございました。 |
15911 | お疲れ様です | 棒太郎 | 2004/1/26 22:08:25 |
記事番号15908へのコメント こんばんは、エモーションさん。 無事に完結いたしましたね。お疲れ様です。 ゼフィーリアの歴史が事細かに描かれていて、とても凄いと思いました。 やっぱりきちんとアイデアを練り上げ、肉付けしていくのは大切ですね。 見切り発車して、辻褄あわせにヒーヒー言ってる自分に見習わせたいです。 > ……だって、異界黙示録(クレアバイブル)の本体に、直通で繋がってるんだもん、 >その『石』……(汗) 最後に、あの『石』の物凄い正体が判明しましたね。 なるほど、それならばゼルも見た事も聞いた事もない魔法もわかるわけですね。 しかしほんと、ある意味凄すぎる価値のある『石』ですね。 人間関係・人物相関もきちんと練りこまれてますね。 失われた王女の歴史や、中興の祖たる6人の王女など、なかなか燃えさせてくれる設定です。 そして、レゾのかつての弟子がもしや―――という展開も素敵でした。 ここまで密度のある話を書き上げられるのは、本当に凄いと思います。 今、わたしが書いている話も、この話に影響を受けた部分もありますし、色々と参考にさせていただいております。 重ねて、完結お疲れ様でした。 また、次回作を楽しみにしています。 それでは、このへんで失礼します。 |
15916 | ありがとうございます | エモーション E-mail | 2004/1/27 21:06:48 |
記事番号15911へのコメント 棒太郎様、こんばんは。 >こんばんは、エモーションさん。 >無事に完結いたしましたね。お疲れ様です。 ありがとうございます。やっとゴールにたどりつきました。 >ゼフィーリアの歴史が事細かに描かれていて、とても凄いと思いました。 >やっぱりきちんとアイデアを練り上げ、肉付けしていくのは大切ですね。 >見切り発車して、辻褄あわせにヒーヒー言ってる自分に見習わせたいです。 あああ、有り難いお言葉を(ほろり) 私の場合、無駄に懲りすぎている事の方が多いのですが(汗) 削ってようやくマシになるんですよ(汗) 歴史は現実のものを参考にしつつ考えましたが、細かく設定したのは200年前の 部分くらいで、あとは結構大雑把です。 >> ……だって、異界黙示録(クレアバイブル)の本体に、直通で繋がってるんだもん、 >>その『石』……(汗) > >最後に、あの『石』の物凄い正体が判明しましたね。 >なるほど、それならばゼルも見た事も聞いた事もない魔法もわかるわけですね。 >しかしほんと、ある意味凄すぎる価値のある『石』ですね。 はい、もうとんでもない代物です(^_^;) さすがにカタートで、直接聞くのと違って、強く願わないと駄目ですけれど、 魔族知られたら拙いです。また、ある意味ゼルにとっては皮肉だなあと。 自分の身体を戻すヒントを持っているかもしれない代物を、そうと知らずに 持っているわけですから。(この辺り、私の根性の悪さがでてますね(笑)) >人間関係・人物相関もきちんと練りこまれてますね。 >失われた王女の歴史や、中興の祖たる6人の王女など、なかなか燃えさせてくれる設定です。 >そして、レゾのかつての弟子がもしや―――という展開も素敵でした。 >ここまで密度のある話を書き上げられるのは、本当に凄いと思います。 >今、わたしが書いている話も、この話に影響を受けた部分もありますし、色々と参考にさせていただいております。 ありがとうございます(ほろほろ)詰め込みすぎた感もあるのですが、 〃ソフィアのブローチ〃が絡む以上、どうしても出てくるし、と実は自分でも たまに混乱し、その度に設定やプロットを見直して把握、を何度か繰り返しました。 また私も、この話にしろ、他の話にしろ、いろんな方々の作品の影響を受けています。 少しでも参考になっているのでしたら、本当に嬉しいです。 >重ねて、完結お疲れ様でした。 >また、次回作を楽しみにしています。 >それでは、このへんで失礼します。 まだちゃんと形になっていないものが、いくつかありますが、 次もまた、がんばって書きたいと思います。 本当に、感想をありがとうございました。 |
15915 | Re:王女様と私 エピローグ | R.オーナーシェフ | 2004/1/27 14:30:23 |
記事番号15908へのコメント え?え?え?な展開、設定に驚きつつ、はっきりとそういうわけでもないんですね。ゼルガディスのご先祖様は・・。まるで石が人間たちをからかっているような。もしソフィアのブローチにキャラクターがあったのなら、きっと、フフッ、と不敵に笑っているのかな、なんて思います。とんでもねー石の正体聞かされちゃあもう絶対そうですね。スレイヤーズ世界なら。また、ゼルを信頼したエヴァンジェリンも、ゼル視点の部分を読んでから、ただ頑固なだけじゃなくて不思議な魅力持っているなぁと感じました。 レゾ登場ですね。まだこの時点ではシャブちゃんの影響をそれほど受けてないかな。世界を深く理解する大魔道士って感じですね。だんだんほんとの賢者の石のために手段を選ばなくなるけど、昔は多分冷静で・・・、そしたらきっと、若い時はまるで、某世界の麒麟・・・・・ (シュラトの時にめちゃ苦労してた子安君、とはめぐさんがラジオで言ってたエピソードですが、最近それを連想しちゃう・・・。余談ですが、アルバム感想と閣下御懐妊のお祝いの手紙はもう送りました。) そして、最後、ほんとうに綺麗に書くなぁと思います。俺が小説を書く時に意識するポイントであって(書けてるかはともかく)、同時に他の小説やアニメ作品を見る時に重視する部分でもあるのは、かっこよさや魅力を表現するには欠かせないリズム感覚や、キャラクターのなにげないしぐさ、ほんの一言一言の部分です。それは例えばこういうこと。 > 掌の中の『石』を両手で包み込み、まるで祈るように胸の前で握りしめて、 >エヴァンジェリンは、優しい微笑でそう言った。 そんな部分ができてないアニメは途中で見るのやめたり、描けている作品は毎週欠かさず最終回まで夢中で見たりしますね。スレファンとしてはNEXTからなんだが、第一話を見て一瞬でハマッたもんだった。なんか、とっても綺麗で魅力的です。キャラクターができあがってるんですね。これがアニメだったらきっちり全部最後まで見ます。 っつーか・・・、最後なんだけど。 |
15917 | ありがとうございます | エモーション E-mail | 2004/1/27 22:10:40 |
記事番号15915へのコメント こんばんは。 感想をありがとうございます。 >え?え?え?な展開、設定に驚きつつ、はっきりとそういうわけでもないんですね。ゼルガディスのご先祖様は・・。まるで石が人間たちをからかっているような。もしソフィアのブローチにキャラクターがあったのなら、きっと、フフッ、と不敵に笑っているのかな、なんて思います。とんでもねー石の正体聞かされちゃあもう絶対そうですね。スレイヤーズ世界なら。また、ゼルを信頼したエヴァンジェリンも、ゼル視点の部分を読んでから、ただ頑固なだけじゃなくて不思議な魅力持っているなぁと感じました。 ゼルの先祖については、本当に不明ということで(^.^) 違ったとしても、 ソフィアの子孫とは、『石』を託されるだけの間柄があったと思います。 『石』は……本当に楽しんでいるかもしれないないですね。某南国少年の 赤い石と青い石みたいに(笑) また、エヴァについて、そう言っていただきまして嬉しいです。 > レゾ登場ですね。まだこの時点ではシャブちゃんの影響をそれほど受けてないかな。世界を深く理解する大魔道士って感じですね。だんだんほんとの賢者の石のために手段を選ばなくなるけど、昔は多分冷静で・・・、そしたらきっと、若い時はまるで、某世界の麒麟・・・・・ >(シュラトの時にめちゃ苦労してた子安君、とはめぐさんがラジオで言ってたエピソードですが、最近それを連想しちゃう・・・。余談ですが、アルバム感想と閣下御懐妊のお祝いの手紙はもう送りました。) レゾは今回、S様の影響がかなり低めの、世間の評判のイメージと大差ない、 大魔道士モードになっています。後半はもうS様の影響が凄まじかったと思いますが、 まだこの時点では、影響が強いときとそうでないときが、振り子状態という設定です。 某麒麟に思わず笑いました。小さな子供から「慶国はどんなところなんですか?」 と聞かれて「東の国です」と言ったあの無能……げほげほ、麒麟ですね(笑) 確かに若い頃のレゾはそんな感じかもしれないですね。 林原さんのご懐妊は、ほんとにおめでたいことです♪ 某スタチャの報告での、 妊娠初期のエピソード。真っ先にリナが林原さんを励ましていたのが、何だか 嬉しかったですし、ほんとにリナらしい言葉だなと思いました。 母子共に健康で、無事にご出産なさることを祈ります。 > そして、最後、ほんとうに綺麗に書くなぁと思います。俺が小説を書く時に意識するポイントであって(書けてるかはともかく)、同時に他の小説やアニメ作品を見る時に重視する部分でもあるのは、かっこよさや魅力を表現するには欠かせないリズム感覚や、キャラクターのなにげないしぐさ、ほんの一言一言の部分です。それは例えばこういうこと。 >> 掌の中の『石』を両手で包み込み、まるで祈るように胸の前で握りしめて、 >>エヴァンジェリンは、優しい微笑でそう言った。 >そんな部分ができてないアニメは途中で見るのやめたり、描けている作品は毎週欠かさず最終回まで夢中で見たりしますね。スレファンとしてはNEXTからなんだが、第一話を見て一瞬でハマッたもんだった。なんか、とっても綺麗で魅力的です。キャラクターができあがってるんですね。これがアニメだったらきっちり全部最後まで見ます。 >っつーか・・・、最後なんだけど。 ああああああ、本当に有り難いお言葉を……(ほろほろほろほろ) 気分的には、13話のラストが一番話のシメとしてしっくりくるだけに、 「さてエピローグのラストは、どうしたらいいのやら」と考えて、あの形になりました。 個人的に好きなラストは、「よし、上手く纏まったーっ!」な終わり方と 微妙に余韻が残る形なので。 また、私もキャラを書くとき、何気ない仕草や言葉に一番気を遣います。 その人が基本的にどんな人物かは、結構そんな些細な部分にも出るものだと思いますから。 それでは、お読みいただきまして、また感想をいただきまして、ありがとうございました。m(__)m |
15926 | Re:これぞ最高のエピローグ! | オロシ・ハイドラント URL | 2004/1/28 20:37:43 |
記事番号15908へのコメント こんばんは。 完結おめでとうございます。 14話プラスエピローグ、ボリューム感充分にありましたけど、その割に気持ち良く読むことが出来ました。 それは多分、文章の漂わせる雰囲気が気持ちの良いものだったからだと思います。 そして、この一見シンプルながら濃密な物語のエピローグとして最高に相応しいものだったからでしょう。 思えば、エピローグの良い作品って意外とないような気がします。 全くないわけではないですが、プロの作品でも「面白い」あるいは「良い」話なのに、エピローグが今一つで読後感の良さが削がれてしまうというものもありましたし。 >「……夢……か……。……何だか、みょーな夢だったな……」 > すべてが目の前で起きていたような、やたらとリアルな夢に、半分寝ぼけた顔でそう呟き、 >ゼルガディスは突っ伏していた机から顔を上げた。 この文章を読んだ時、もしかして今までの物語すべてがゼルの見た夢だったんじゃないかと思ってしまいました。 すぐに違うことが分かったんですが、夢だったと思ってしまったことで、かえって今までの物語全部が鮮明に思い浮かべることが出来ました。 このこともエピローグが良いものに思えた理由の一つだと思いますが、これは計算してやったことなんでしょうか。 >「ああ、やはり。この石の波動には、覚えがあるんですよ。これは昔、私の弟子だった者が >持っていたものです。代々伝わってきたもので、『女性にしか使えない』と >聞かされていたそうですが、彼の娘には使えませんでしたので、おそらく何か >他にも条件があるのでしょうね」 > 淡々とそう語るレゾに、ゼルガディスは「そうか」としか返事が出来ない。 >偶然とはいえ〃条件〃は良く知っているが、それを話したら、ややこしいことに >なりかねない。 >「それにしても、彼らの命と共に盗賊に奪われたものが、再び戻ってくるとは……。 >この石とは、どうしても縁があるようですね。いえ、言い伝えどおりになったと >言うべきでしょうか」 こういう風にエピローグで過去のことがさらりと語られるのも良いです。 驚きの真実! という場面でもありますが、同時に良い雰囲気を醸し出すシーンでもあると思います。 エピローグの方も温かな雰囲気の中で、姫様とルナの会話が続いていき、極上のラストシーン。 > 掌の中の『石』を両手で包み込み、まるで祈るように胸の前で握りしめて、 >エヴァンジェリンは、優しい微笑でそう言った。 頭の中では、すべての動きが停止して、画面がモノクロか茶色っぽい色(何て言えば良いんだろう)に変わり、右下の方に白い文字でfinと描かれました(笑) 今までのエモーションさんの作品では「千年越しの賭」と「使えない呪文」が並んで一番好きだったんですが、この「王女様と私」はそれらを上回る作品だと思います。 ストーリー、キャラクター、構成、文章、雰囲気、ユーモア、驚き……すべてにおいて優れていて、なおかつ実に巧くバランスが取れていて、非の打ちどころがないです。 ああ、本当に良い話なのに、私にはこの程度の感想しか書けないです。 もっと書きたいことはあるのに、全然文章になってくれません。 ……本当に感想って難しい。 それでは、これで失礼致します。 どうもお疲れ様でした。 次回作に期待しております。 |
15928 | ありがとうございます | エモーション E-mail | 2004/1/29 00:52:27 |
記事番号15926へのコメント こんばんは。 感想をありがとうございます。 >こんばんは。 >完結おめでとうございます。 >14話プラスエピローグ、ボリューム感充分にありましたけど、その割に気持ち良く読むことが出来ました。 >それは多分、文章の漂わせる雰囲気が気持ちの良いものだったからだと思います。 >そして、この一見シンプルながら濃密な物語のエピローグとして最高に相応しいものだったからでしょう。 >思えば、エピローグの良い作品って意外とないような気がします。 >全くないわけではないですが、プロの作品でも「面白い」あるいは「良い」話なのに、エピローグが今一つで読後感の良さが削がれてしまうというものもありましたし。 何だか本当に、また凄い感想をいただいてしまいまして、 気分的に (°°;))。。)) ((。。・・((;°°) ←のような感じです(笑) このような感想をいただいて、良いのかと。本当にありがとうございます。 14話とエピローグはとにかく、ゆったりしたノリにしようと思っていました。 ですから逆に、自分ではここだけ浮いているんじゃないかと、思っていました。 >>「……夢……か……。……何だか、みょーな夢だったな……」 >> すべてが目の前で起きていたような、やたらとリアルな夢に、半分寝ぼけた顔でそう呟き、 >>ゼルガディスは突っ伏していた机から顔を上げた。 >この文章を読んだ時、もしかして今までの物語すべてがゼルの見た夢だったんじゃないかと思ってしまいました。 >すぐに違うことが分かったんですが、夢だったと思ってしまったことで、かえって今までの物語全部が鮮明に思い浮かべることが出来ました。 >このこともエピローグが良いものに思えた理由の一つだと思いますが、これは計算してやったことなんでしょうか。 これは、さすがに計算していないです。この辺りは感覚的に「石を調べていて、 夢を見始めた」にするよりは、「いきなり前フリなしで、夢の内容をつらつらと 書いて、今のは夢だった」と認識する方が良いなと思ったんです。 13話のラストがあの形になったとき、14話の出だしが13話の続きから 始まるのでは、ただ状況を引きずるだけの話になってしまう。それは×だなと、 真っ先に頭に浮かびましたし。 またこの形なら13話から、少なくとも一日以上経過していることが、分かって いただけるだろうと思っていました。 何だか自分でも予想外の効果があったことに、驚いてます。 >>「ああ、やはり。この石の波動には、覚えがあるんですよ。これは昔、私の弟子だった者が >>持っていたものです。代々伝わってきたもので、『女性にしか使えない』と >>聞かされていたそうですが、彼の娘には使えませんでしたので、おそらく何か >>他にも条件があるのでしょうね」 >> 淡々とそう語るレゾに、ゼルガディスは「そうか」としか返事が出来ない。 >>偶然とはいえ〃条件〃は良く知っているが、それを話したら、ややこしいことに >>なりかねない。 >>「それにしても、彼らの命と共に盗賊に奪われたものが、再び戻ってくるとは……。 >>この石とは、どうしても縁があるようですね。いえ、言い伝えどおりになったと >>言うべきでしょうか」 >こういう風にエピローグで過去のことがさらりと語られるのも良いです。 >驚きの真実! という場面でもありますが、同時に良い雰囲気を醸し出すシーンでもあると思います。 全体的にゆったりとした形にしたかったこともあって、改まって重々しく言うよりは、 さらりと言わせるものになりました。でも、内容は適当に聞き流せるものでもない、と。 とにかく雰囲気を壊さないように、と思いました。 また、書きながら何故かイメージにあったのは「占星術殺人事件」です。 石岡さんからお釣りの千円札を見せられた時の、御手洗さんのイメージが(笑) この場合、レゾが石岡さんですね。 >エピローグの方も温かな雰囲気の中で、姫様とルナの会話が続いていき、極上のラストシーン。 >> 掌の中の『石』を両手で包み込み、まるで祈るように胸の前で握りしめて、 >>エヴァンジェリンは、優しい微笑でそう言った。 >頭の中では、すべての動きが停止して、画面がモノクロか茶色っぽい色(何て言えば良いんだろう)に変わり、右下の方に白い文字でfinと描かれました(笑) セピア色ですね(^.^) 主に昔の白黒写真(今は変色しないようにする技術が あるようですから)などが、変色したときによく見られる色の。 何とも、綺麗なラストシーンに想像していただきまして、ありがとうございます。 >今までのエモーションさんの作品では「千年越しの賭」と「使えない呪文」が並んで一番好きだったんですが、この「王女様と私」はそれらを上回る作品だと思います。 >ストーリー、キャラクター、構成、文章、雰囲気、ユーモア、驚き……すべてにおいて優れていて、なおかつ実に巧くバランスが取れていて、非の打ちどころがないです。 ありがとうございます(ほろほろ) 「千年越しの賭」と「使えない呪文」もそれなりに手がかかった話ですが、 (「使えない〜」での、修正の無限ループだった6話は忘れられない(笑)) 「王女様と私」は今までの中で、一番手がかかった話になりました。 それだけに、そう言っていただけて、本当に嬉しいです。 >ああ、本当に良い話なのに、私にはこの程度の感想しか書けないです。 >もっと書きたいことはあるのに、全然文章になってくれません。 >……本当に感想って難しい。 いえ、本当にいつも良い感想、凄い感想をいただいております。 ハイドラント様をはじめ、皆様からいただいた感想は、本当に励みになりました。 >それでは、これで失礼致します。 >どうもお疲れ様でした。 >次回作に期待しております。 ありがとうございます。 次のお話も(……まだきちんと形になってないのですが)がんばって書きたいと思います。 本当に、読んでいただきまして、そして感想をいただきましてありがとうございましたm(__)m |
15947 | 遅ればせながら、お疲れ様でした。 | 紫清 月季花 | 2004/2/4 10:15:19 |
記事番号15908へのコメント こんにちは、紫清 月季花です。 途中を読み返していたら、しっかり完結なされてしまってました(^^; 読むのが遅いわけではないのですが・・・・ ラダ:ども、ラダッす。 呼んだ覚えは無いぞ、ラダ氏。 ラダ:気にするな。 ま、いいか。 では感想いきます。 不思議な青い石「エーフィドーシュ」と、ゼフィーリア王家の繋がりが出てきましたね。 困ったちゃんなランドルフ君には、持っていても意味は無さそうですが・・・・ 『ソフィアのブローチ』に、ゼルの血だけ吸い込まれていくと言うのは、ちょっと気になりますが・・・ ゼフィーリアは完全な女系による統治なのですね。 何処か昔の日本をイメージさせますね。 ラダ:なんで? えーと、いわゆる古事記、日本書紀を書かれてるような時代は、女性上位の時代でね。 女性に対して神聖なものを感じていた時代らしい。 ラダ:今の時代だと男尊女卑な部分がまだあるよな・・・・ この辺は歴史のお勉強になってしまうんで、この辺にしとこう。 ラダ:それより、あのユストゥスという男。 うちのテンプルナイトに使えそうだな。 そうか? テンプルナイトってある種の化け物集団だよ;; ラダ:黒ならいけそうだろ? 黒は主に隠密活動が多いしな。 ・・・どうだろう(−ー; まあ、テンプルナイトは置いといて。 ユストゥスさん、名前が舌噛みそうですが、エヴァ王女と何気に血の繋がりがあったんですね。 エヴァ王女はこの方のタヌキな部分が似ない事を願いますよ(笑) ラダ:まあ、奇麗事だけで政治は成り立たないからな。 あの御仁の心配事は解らんでもないが・・・ エモーション様のとこのゼルは、うちのゼルと違って、周りのこともそれなりに気にしますよね。 無自覚なようですが(笑) 気にした結果が、周りに振り回されてますね;; ラダ:万年苦労性だな(笑) 宝石ネタ、コンクパールですが、昔一度だけ店で見せてもらった事があります。 その頃は殆ど情報がなくて、どんな宝石かわからなかったんですよ。 ラダ:宝石好きだもんな・・・ 着物も香水も好きだけどな(笑) ラダ:ま、それは置いとけ。 コンクパールのブローチも、母親の愛情が目に見える形として使われているが、こう言った特殊な環境での親子だと、妙に微笑ましいな。 普通の一般家庭のような愛情が示せないぶん、物に想いをこめるんだろうな。 形が残る物だし、またそれを娘へ受け継がせる事も出来るだろうからな。 けど、母親の想いを知っても、ゼルの報酬に使ってしまう姫様・・・・ ラダ:だから使ったんだろ。 だろうね。 少なくとも、恐竜もどきにつっつかれ、手のいい玩具にされてるランドルフ君には、理解できないだろうけど。 ラダ:そのうち後ろから刺されなきゃいいがな。 あの御仁。 同感。 >……もっと簡潔に、分かりやすく書き纏めるスキルがほしいです……(滂沱) 私も切実に欲しいです(TT) 設定作りすぎて、話の中で説明できず、説明の為だけの話を書いてる始末;; 上手く話を纏められる方が、羨ましいです、ホント。 それでは、改めて完結おめでとうございます。 エヴァ王女に振り回されるゼルに、がんばれよーとか思いながら、楽しく読ませていただきました。 次の作品を楽しみに待ちつつ、この辺で失礼します。 |
15961 | ありがとうございます | エモーション E-mail | 2004/2/6 01:57:58 |
記事番号15947へのコメント >こんにちは、紫清 月季花です。 >途中を読み返していたら、しっかり完結なされてしまってました(^^; >読むのが遅いわけではないのですが・・・・ >ラダ:ども、ラダッす。 > >呼んだ覚えは無いぞ、ラダ氏。 > >ラダ:気にするな。 > >ま、いいか。 >では感想いきます。 紫清 月季花さま、ラダマンティスさん、こんばんは。 感想をありがとうございます。 ラストが見えているのに、何故かなかなか終わらず、自分でも「無事に 終わるのだろうか」と思わず遠い目をしていたのですが、無事に完結できました。 >不思議な青い石「エーフィドーシュ」と、ゼフィーリア王家の繋がりが出てきましたね。 >困ったちゃんなランドルフ君には、持っていても意味は無さそうですが・・・・ >『ソフィアのブローチ』に、ゼルの血だけ吸い込まれていくと言うのは、ちょっと気になりますが・・・ ランドルフが持っていても、本当に意味ないです。『石』もランドルフに対しては、 ゼルに見せた「夢」のような現象すら起こさないでしょうし。 結構あの『石』はいろんな芸(笑)ができるんです。普段は普通の石になってますが。 ゼルの血の件は半分は『石』が、ゼルが「血筋のものかどうか」調べてた、 という設定があります。血筋だとしても使うことは出来ないんですけれど、 エヴァが一回使った時に、エヴァの認識や感情の影響を受けて、念のために「調べよう」と。 また『石』もゼルを気に入ってました。 残りの半分はラストで「ご想像にお任せしますv」とするための伏線で、 話の設定とは無関係です。ちょっとずるですね。 >ゼフィーリアは完全な女系による統治なのですね。 >何処か昔の日本をイメージさせますね。 > >ラダ:なんで? > >えーと、いわゆる古事記、日本書紀を書かれてるような時代は、女性上位の時代でね。 >女性に対して神聖なものを感じていた時代らしい。 > >ラダ:今の時代だと男尊女卑な部分がまだあるよな・・・・ > >この辺は歴史のお勉強になってしまうんで、この辺にしとこう。 そうです。「永遠なる女王(エターナル・クィーン)」の称号から考えていったら、 女王制しか思いつかなかった(爆)という理由で、女王制で完全な女系による統治の国になりました。 またご指摘のとおり、昔の日本がイメージにあります。ですから初代が巫女なんです。 また『石』の設定のせいもあります。(通常、DNAは10世代も遡ると、 もうどれが誰の遺伝子なのか分からなくなるので、先祖の特定はできないそうですが、 完全に母性遺伝のみのミトコンドリアDNAは、同じタイプのものが受け継がれていくので、 何万年前の先祖だろうと特定が可能なのです) >ラダ:それより、あのユストゥスという男。 >うちのテンプルナイトに使えそうだな。 > >そうか? >テンプルナイトってある種の化け物集団だよ;; > >ラダ:黒ならいけそうだろ? >黒は主に隠密活動が多いしな。 あのテンプルナイトですか。何やら勿体ないお言葉をいただきまして。 確かにユストゥスはフルプレートで隠密行動ができるような、「ゼフィーリアの 人間だもんなあ」と言われるような人ですし(笑)そちらでも順応しそうです(爆) >・・・どうだろう(−ー; >まあ、テンプルナイトは置いといて。 >ユストゥスさん、名前が舌噛みそうですが、エヴァ王女と何気に血の繋がりがあったんですね。 >エヴァ王女はこの方のタヌキな部分が似ない事を願いますよ(笑) 似たら嫌だなあ、タヌキな部分(笑) ユストゥスとエヴァのミドルネームは、名前の綴りの読み方をドイツ語に していたのですが、 「Justus(ユストゥス)」の名前の語源って、「道理」とか「公正さ」とかなので、 (英語の「Justice」と同じ語源から発生したようですから)タヌキな彼には違和感が(笑) >ラダ:まあ、奇麗事だけで政治は成り立たないからな。 >あの御仁の心配事は解らんでもないが・・・ 心配しつつ、変わって欲しくもないのでしょうね。だから足りない部分は、 周囲が補うようにしようと画策しているようです。 >エモーション様のとこのゼルは、うちのゼルと違って、周りのこともそれなりに気にしますよね。 >無自覚なようですが(笑) >気にした結果が、周りに振り回されてますね;; > >ラダ:万年苦労性だな(笑) ゼルは基本的に苦労性だと思ってますので(笑)また、裏の世界にいますから、 どうしても色々気にして考える癖が身に付いている、という感じに書いてます。 ただ、これは本当に後天的なもので、本来はそういうタイプじゃないだろうとも 思うんですよ。だからその必要がない相手に対しては、「何で気づかないんだよ」と いうくらい鈍感になるし、あっさり裏をかかれるんじゃないかとも思ってます(笑) >宝石ネタ、コンクパールですが、昔一度だけ店で見せてもらった事があります。 >その頃は殆ど情報がなくて、どんな宝石かわからなかったんですよ。 > >ラダ:宝石好きだもんな・・・ > >着物も香水も好きだけどな(笑) あああ、羨ましいっ! コンクパールの実物見たことないんですよ〜!! 宝石は私も好きです。価値や価格にこだわる気はないのですが、 質の良いのはやっぱり相応の値段がするので、ほとんど「見てるだけ〜」です。 >ラダ:ま、それは置いとけ。 >コンクパールのブローチも、母親の愛情が目に見える形として使われているが、こう言った特殊な環境での親子だと、妙に微笑ましいな。 >普通の一般家庭のような愛情が示せないぶん、物に想いをこめるんだろうな。 > >形が残る物だし、またそれを娘へ受け継がせる事も出来るだろうからな。 >けど、母親の想いを知っても、ゼルの報酬に使ってしまう姫様・・・・ > >ラダ:だから使ったんだろ。 > >だろうね。 >少なくとも、恐竜もどきにつっつかれ、手のいい玩具にされてるランドルフ君には、理解できないだろうけど。 > >ラダ:そのうち後ろから刺されなきゃいいがな。 >あの御仁。 > >同感。 本当に。エヴァのあの行動は初めと最後では、本当に意味合いが少し違いますからね。 最初はほんとに「礼儀」としてという面が強いですが、13話ラストでは 「感謝」の面が強いですし。 ランドルフはもうねぇ……(苦笑)彼には一生理解出来ないでしょう。 ……後から刺される……有り得そう……(^_^;) >>……もっと簡潔に、分かりやすく書き纏めるスキルがほしいです……(滂沱) > >私も切実に欲しいです(TT) >設定作りすぎて、話の中で説明できず、説明の為だけの話を書いてる始末;; >上手く話を纏められる方が、羨ましいです、ホント。 私は書かなくても話が通じそうな設定は、設定はあるけど書かないや、 匂わせる程度にして、ようやく何とかなってますから……(汗) それだけに書かなきゃ通じない状況の時は、ヒーヒー言ってます(TT) >それでは、改めて完結おめでとうございます。 >エヴァ王女に振り回されるゼルに、がんばれよーとか思いながら、楽しく読ませていただきました。 >次の作品を楽しみに待ちつつ、この辺で失礼します。 有り難いお言葉を……(ほろほろ) 本当に、話自体は単純なのに、何故か妙に長く続いたこのお話を 読んでくださいまして、ありがとうございます。 神魔戦争編、楽しみにしています。がんばってください。 それでは、本当に読んでくださいまして、そして感想をくださいまして、 ありがとうございましたm(__)m |