◆−白く染まる聖者の夜 ―異聞―−紫清 月季花 (2004/1/15 13:55:03) No.15860
 ┗何だか受難な血筋ですね−エモーション (2004/1/18 22:28:44) No.15880
  ┗Re:何だか受難な血筋ですね−紫清 月季花 (2004/1/27 09:08:53) No.15914


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15860白く染まる聖者の夜 ―異聞―紫清 月季花 2004/1/15 13:55:03


白く染まる聖者の夜 ―異聞―











カシャカシャとシェーカーを振る音が響く店内、抑えた照明にどこからとも無く流れてくるピアノの調べ。
ここはとある町のとあるバーである。




「しかし驚いたよね、ゼル君には・・・」
ダイ・グはグラスを傾けながら、カウンターの向こうの人物に話し掛ける。
静かにグラスを磨く、バーテン姿のグランがちらりと視線だけを向ける。
この店はグランの経営する店で、気が向いたときにしか明けない。
それでもそれなりに人気があるのか、常連客もそれなりに居たりする。
「彼≠ノそっくりだもんね。
やっぱり、血って受け継がれるもんなんだね」
「・・・それが俺たちとの違いだろう・・・」
「そうかもしれないね。
彼≠ェ言ってたしね・・・命は受け継がれていくものだって・・・」
「だがあいつは・・・」
「・・・」
無言になる二人。
「ゼルガディスはあいつのようになるだろうか?」
グランはダイ・グの空になったグラスを取り上げ、代わりのグラスを出しながら言う。
「解らない・・・けど、今までの誰よりも彼≠ノ近くて、誰よりも彼≠フ血を強くひいてる様な気がする」
ダイ・グはどこか寂しげな表情を浮かべ、グラスを傾ける。
「だがそうだとしても、俺たちには何もできんぞ」
「うん・・・・」


かつて命ある者≠フ為に戦った哀しい戦士・・・・自らを呪われた血を持つ者と言い、その血は毒のように人を狂い死にさせると言った。
その戦士の血をひく一族・・・・永遠を意味する名をもつ・・・・イモータルの一族。
その強すぎる血′フに、並みの人間ではその血を残せず、エルフや竜族の血を持つものによって、初めてその血を残せた。
そうまでして血を残す必要は無かったかもしれない、だが彼≠ヘその血を残す事を望んだ・・・・例え血を受け継ぐ者に恨み憎まれようとも・・・・


「あれから数千年・・・・だいぶ薄れ弱まったかもしれない、けどやっぱり生まれてくるみたいだよね・・・・彼≠フもっとも歪んだ血を受け継ぐ者が・・・・・」
「人を殺す事が、至高の快楽と感じる者か・・・・」
過去に何度かそういった者が生まれては、ひっそりと消されてきた。
グランやダイ・グも、そう言った人物を消した事もある。
ゼルガディスも幼子の頃にその危険性ありとして、消去するべきと言う話も出たそうだが、ラダマンティスとメティスの判断と対応により、今はそう言った兆候も無く危険視される事はなくなっている。

「・・・何故かなあ・・・・僕らは魔族なのに・・・・彼らが幸福であって欲しいと願ってる」
「・・・長い付き合いだからだろ・・・・」
「そうだね・・・・・そう・・・だよね・・・・」






クリスマスの朝、リナとガウリイはもといた町に無事に帰ってこれた。
一応、暖を取れる物と、かなりの量のクリスマス料理が前もって用意してあったらしい・・・そして少しだけ、二人の仲が進んだとか、進まないとか(^^;







<終>


【あとがき】

明けましておめでとうございます。
と、遅れまくった新年の挨拶をしつつ、崖っぷちのツリーに乗せる気になれず、新規ツリーで投稿してしまいました。
クリスマス小説、『白く染まる聖者の夜』の後日談と言うか、補足するような内容です。

それにしても・・・・どんな一族やねん・・・・イモータル(滝汗)

ではこの辺で、失礼します。

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15880何だか受難な血筋ですねエモーション E-mail 2004/1/18 22:28:44
記事番号15860へのコメント

こんばんは。

イモータル一族の謎が、多少垣間見えたお話ですね。
それにしても……魔族の幹部が経営して、バーテンやっている店……。
何だか凄いですね(汗)人間だけでなく、魔族たちの隠れた行きつけの店に
なっているのかな、と思いました。

>かつて?命ある者?の為に戦った哀しい戦士・・・・自らを呪われた血を持つ者と言い、その血は毒のように人を狂い死にさせると言った。
>その戦士の血をひく一族・・・・永遠を意味する名をもつ・・・・イモータルの一族。
>その?強すぎる血?故に、並みの人間ではその血を残せず、エルフや竜族の血を持つものによって、初めてその血を残せた。
>そうまでして血を残す必要は無かったかもしれない、だが?彼?はその血を残す事を望んだ・・・・例え血を受け継ぐ者に恨み憎まれようとも・・・・

何やらゼルは、父親どころか、母方の方もかなり理由有りな血筋ですね。
〃彼〃ことイモータル家の初代(ですよね?)って、一体……。
そして〃彼〃に似ている、というゼル。外見というより、中身の事なのでしょうけれど、
二重三重に、血筋の受難の荒海に放り込まれてますね、ゼル……。
がんばって乗り越えてほしいものです。

>「あれから数千年・・・・だいぶ薄れ弱まったかもしれない、けどやっぱり生まれてくるみたいだよね・・・・?彼?のもっとも歪んだ血を受け継ぐ者が・・・・・」
>「人を殺す事が、至高の快楽と感じる者か・・・・」

……歪んだ血を受け継いでなくても、そう感じるものはいますが、イモータル家の場合、
これは遺伝子のデータプログラムに、変に取り込まれて取り除けなくなった
凶悪なバグのようなものでしょうか。条件次第で活動開始、と言う感じで。
何にせよ、厄介ですね。

>クリスマスの朝、リナとガウリイはもといた町に無事に帰ってこれた。
>一応、暖を取れる物と、かなりの量のクリスマス料理が前もって用意してあったらしい・・・そして少しだけ、二人の仲が進んだとか、進まないとか(^^;

最後に幸せな二人が♪ 
行きと同様に帰りもゼロス辺りが送ったのでしょうか。
どの程度進んだのか……突っ込んだら、竜破斬が飛んでくるんでしょうね(笑)

グランさんとダイ・グさんの会話……それなりに関わりの深い一族だけに、
割り切って見られないのでしょうね。
本当に……イモータル家初代には、かなり謎があるのですね。
それがゼルにとって、どんな意味を持たらすのか、できればプラスに転じていければ
いいと、読ませていただいてそう思いました。

それでは、この辺で失礼いたします。
本編の続きを、楽しみにお待ちしていますね。

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15914Re:何だか受難な血筋ですね紫清 月季花 2004/1/27 09:08:53
記事番号15880へのコメント


>こんばんは。

おはようございます。
いつもながら激しくレスが遅れて申し訳ありませんm(_ _)m

>イモータル一族の謎が、多少垣間見えたお話ですね。
>それにしても……魔族の幹部が経営して、バーテンやっている店……。
>何だか凄いですね(汗)人間だけでなく、魔族たちの隠れた行きつけの店に
>なっているのかな、と思いました。

イモータル一族の謎が少しだけ出てます。
何とも面倒な一族です(−−;
そしてグランの店は、神官将軍クラスじゃないと行かないでしょう、恐らく。
自分よりも上位の魔族がいる店なんて、怖くて近づけそうに無いですし。

>>かつて?命ある者?の為に戦った哀しい戦士・・・・自らを呪われた血を持つ者と言い、その血は毒のように人を狂い死にさせると言った。
>>その戦士の血をひく一族・・・・永遠を意味する名をもつ・・・・イモータルの一族。
>>その?強すぎる血?故に、並みの人間ではその血を残せず、エルフや竜族の血を持つものによって、初めてその血を残せた。
>>そうまでして血を残す必要は無かったかもしれない、だが?彼?はその血を残す事を望んだ・・・・例え血を受け継ぐ者に恨み憎まれようとも・・・・
>
>何やらゼルは、父親どころか、母方の方もかなり理由有りな血筋ですね。
>〃彼〃ことイモータル家の初代(ですよね?)って、一体……。

彼≠ニは、一族の初代です。
一族が爵位を持ったのは、降魔戦争あたりの設定にしてます、一族の歴史はそれよりも、もっと古かったりします。

>そして〃彼〃に似ている、というゼル。外見というより、中身の事なのでしょうけれど、
>二重三重に、血筋の受難の荒海に放り込まれてますね、ゼル……。
>がんばって乗り越えてほしいものです。

ゼルは初代に外見がよく似てます、違うのは目の色くらいで、性格や何かも似てるでしょう。
何時の間にか、いかにも苦労しろと言わんばかりに、とんでもない設定を押し付けられてます、うちのゼルは(^^;
とにかく、がんばってもらいましょう、ゼルには。

>>「あれから数千年・・・・だいぶ薄れ弱まったかもしれない、けどやっぱり生まれてくるみたいだよね・・・・?彼?のもっとも歪んだ血を受け継ぐ者が・・・・・」
>>「人を殺す事が、至高の快楽と感じる者か・・・・」
>
>……歪んだ血を受け継いでなくても、そう感じるものはいますが、イモータル家の場合、
>これは遺伝子のデータプログラムに、変に取り込まれて取り除けなくなった
>凶悪なバグのようなものでしょうか。条件次第で活動開始、と言う感じで。
>何にせよ、厄介ですね。

『歪んだ血』は、いわゆる精神異常者のようなものではなくて、殺す事が本能としてプログラムされているような者です。
そのうち出す予定ですが、初代の虐殺者としての部分だけを受け継ぐ者を、歪んだ血を持つ者と呼んでます。
この辺の説明も、何れ何処かで出すつもりではいますが・・・・

>>クリスマスの朝、リナとガウリイはもといた町に無事に帰ってこれた。
>>一応、暖を取れる物と、かなりの量のクリスマス料理が前もって用意してあったらしい・・・そして少しだけ、二人の仲が進んだとか、進まないとか(^^;
>
>最後に幸せな二人が♪ 
>行きと同様に帰りもゼロス辺りが送ったのでしょうか。
>どの程度進んだのか……突っ込んだら、竜破斬が飛んでくるんでしょうね(笑)

最後に平和的なものが(笑)
帰りもダイ・グが送ってます。
竜破斬が飛んでくるので、突っ込むのは止めときましょうか(笑)

>グランさんとダイ・グさんの会話……それなりに関わりの深い一族だけに、
>割り切って見られないのでしょうね。
>本当に……イモータル家初代には、かなり謎があるのですね。
>それがゼルにとって、どんな意味を持たらすのか、できればプラスに転じていければ
>いいと、読ませていただいてそう思いました。

イモータルの一族の血の謎、ゼルにとってあまりプラスにはならないかもしれないと思いつつも、これ以上ややこしい事態には、ならないでもらいたいものです。
グランやダイ・グが人間臭さを持つとしたら、この一族と関わったからかもしれませんが・・・・。

>それでは、この辺で失礼いたします。
>本編の続きを、楽しみにお待ちしていますね。

感想ありがとうございました。