◆−いつか終わる夢−オロシ・ハイドラント (2004/3/2 19:53:31) No.16075 ┣物悲しい、でも想いが深い話ですね−エモーション (2004/3/4 22:28:06) No.16081 ┃┗Re:物悲しい、でも想いが深い話ですね−オロシ・ハイドラント (2004/3/5 19:10:04) No.16087 ┗Re:いつか終わる夢−じょぜ (2004/3/5 19:59:38) No.16088 ┗Re:いつか終わる夢−オロシ・ハイドラント (2004/3/6 18:07:22) No.16097
16075 | いつか終わる夢 | オロシ・ハイドラント URL | 2004/3/2 19:53:31 |
こんばんは。ハイドラントです。 今回はヴァルとフィリアの物語を書いてみました。 短編だと恋愛ものやギャグが主流のようですが(多分)、そういう作品だと他の方の書いた傑作秀作群と比べて大きく見劣りがするんじゃないかと思いまして、ちょっと特殊な形にしてみました。 何かを感じて頂けると幸いです。 <@><@><@><@><@><@><@><@><@><@> あなた亡くした日の夜 月を見上げた 白い光の中に あなた夢見泣いた やがて夏は終わりを告げ 長い冬 長い孤独 冷たい雪一人浴びて それでも消えない過去 永遠はいつか壊れて消え去って 幸せは私の手から逃げていく 絶望の海に今にも溺れそう 残された楽園はただ夢の中 ――いつか終わる夢―― 「それはそうだろうよ。幸せになることは簡単なことなんだ」 京極堂が遠くを見た。 「人を辞めてしまえばいいのさ」 ――京極夏彦「魍魎の匣」 冷たい部屋だ。 メトロノームのように規則的な時計の針の刻みを意識すると、この世界には本当の無音など存在しないのではないかと思えて来る。 彼女は椅子に座り、テーブルに両手をおいて、考えごとでもしているように、じっと正面の壁を見つめ続けている。 しばしの時が経った。 「そうだ。買いものして来ないと」 突然、彼女は立ち上がって、早足で部屋を出て行った。 時計の音だけが部屋に残る。 遠くで猫の声がした。 声の主は荒廃し切ったこの聖王都をサヴァイヴする老練な黒猫で、一部の人間どもには、売れなかったことで有名だった小説家と同じ名前で呼ばれているらしいのだが、ここからでは姿は見えない。 彼女が一度帰って来てから、さらに時間が経っている。今、彼女はこの部屋にはいない。 激しい風が窓を叩いた。 冬に至ろうとする秋の風は、ナイフのように鋭くて、氷のようにひどく冷たい。この部屋は暖炉の火によって暖められているが、一歩外に出れば凍てつくような寒い世界が待っていることだろう。 白いカーテンの向こうの空はすでに紺に染まり掛けていて、ランプの灯ったこの部屋も薄暗い。 宵が夜になろうとしている時間だ。 彼女がシチュー鍋とお玉、それに二人分の取り皿とスプーンを盆に入れて持って来た。 それらをテーブルにおき、椅子に座って何かを待つようにじっとし続ける。 「お帰りなさい」 しばらくして彼女は口を開いた。しかし「彼」は何も答えない。 「どうしました? 喧嘩でもしたとか?」 返答はやはりなかった。 彼女は諦めたように口を閉ざし、無言のまま晩餐が始まり、そして終わった。 食事の後、彼女はシチューがまだ残っている鍋とお玉と取り皿とスプーンを持って部屋を出、十数分後、紙の束とペンを持って戻って来た。 「今日はここで書きますから、上に行っててください。酒場は行っちゃだめですよ」 彼に向けてそう言うと、紙の束から一枚の紙を抜き取り、まだ何も書かれていないそれを真剣に見つめる。 熟考の末、彼女は真っ白な紙にペンを下ろした。 * 冬の到来 1 風が吹き荒ぶ大地を歩いている夢を見た。 空気は冷たく、風は身を切り刻むように激しい。空は鈍色の雲に覆われていて、暗澹としている。今にも雨が降りそうだ。どこまで歩いてもゴールはない。それどころかスタートから一歩さえ進めていないような気がして来る。もしかして永遠にこのまま? そう思うと溜息が出る。 ……そんな夢だった。 夢の結末は覚えていない。 忘れたのかも知れないが、最初から知らなかったのかも知れない。夢とは不思議なものだ。淡く儚い世界なのに、永遠に存在し続けているような気がする。夢を見る者とは無関係に。 その夢を見終えて目覚めた時、私は心から安堵したが、数秒後には夢の中のものよりもずっと深い溜息を吐いてしまった。結局、現実と同じではないか、いや、むしろ現実の方が遥かに厳しい、と思ったからだ。 「起きなきゃ良かったわ」そんな言葉まで口にしてしまう。 一階に降りて、彼に会った。 挨拶はない。だから私も何も言わない。言わないのではなく、言えないのかも知れないが、どちらにしても同じことだと思う。 適当に朝食を取った。彼は食べ終えた途端に外出する。この家にいるのが嫌で嫌でたまらないと言いた気な表情で。 彼は現在無職だと思う。一日中監視しているわけではないが、仕事をしているようには見えない。 それでもどこかでお金を手に入れているのか、金蔓がどこかにいるのか、しばしばお酒を飲みに行こうとする。「飲みに行って来る」と彼はわざとらしく私に言うが、私はそれを止めない。 彼の酒癖は恐ろしく悪いらしく、迷惑を被っている人もいるようなので、本当なら止めるべきなのかも知れないが、私にはそんな権利などない。 ……なぜならば、正直に告白してしまうと、私は彼の両親を殺し、彼の命も奪い掛けたのだから(この辺りは私の長編「上天の光」に詳しい)。 彼とは数日前に喧嘩した。食事マナーのまずさを注意したら、反発され、いつの間にか大きな言い争いになった。挙句の果てには「誰のお陰で生きていられると思っているの」と思い切り口に出してしまった始末だ。 彼は侮蔑の眼差しで私を見た。そして何も言わずに私の前から消えた。 その日は家に戻って来ず、寂しい思いをしたし、それ以上に激しい後悔に苛まれた。 翌日戻って来た時は、何も言わなかったが嬉しかった。 2 二階の自室に入り、私は原稿を書き始めた。 小説家になって早二年。出した本は全く売れていないが、雑文の類もよく書いているし、二人暮しで食費もあまり嵩まないため、贅沢をしなければ充分にやっていける。家も低家賃で良いものを借りれたし、経済面ではそれほど不満はない。彼も同じ気持ちなのかどうかは分からないが。 筆は予想以上に進んだ。私は速筆な方ではないが、遅筆ではないと思う。絶えることのないストレスが起爆剤になっているからかも知れない。 だが書いたものを見直して、ぞっとした。 ひどい駄作だ。わけの分からない箇所も随所にあり、紙を破り捨てたい衝動に襲われた。 どうやら今日は調子が悪い。気分転換に散歩でもしにいこう。締め切り一週間だが、本気を出せば短編くらい三日で書ける。書けるはずだ。 昼食と夕食を適当に作り、着替えをして外に出た。 もう冬の入り口なのに、太陽が燦然と輝いている。家の中は私の心の中を映し出したように暗澹としているが、外の世界はそうではない。 青い空をしばし見つめた後、私はゆっくりと歩き出した。 見慣れた街並み。だが変化に富んでいて、飽きることはない。それはこの街に来て数年ほどしか経っていないからかも知れないが。 人通りは相変わらず多い。さすが一国の首都だけのことはある。午前中なのに随分な賑わいを見せている。 だが歩いている内に、陰鬱な気持ちは再び湧き出して来た。そうなると最後、どんな喧騒も遠い世界のものに聴こえ、美しい街並みも無機質な石の塊に見えてしまう。 私は公園の噴水脇に腰掛け、再び空を仰いだ。さっきとは全く違う寂しげな太陽が目に映った。溜息が白く染まって天に消える。少し寒い。 喫茶店に入った。ホットコーヒーを注文する。席の座り心地は良かったが、あまり落ち着けそうになかったのですぐに出た。気付くと昼食の時間になっていたが、食事をする気にはなれなかった。 3 一日が終わった。 私は燃えるような空を背に、我が家に向かって歩く。 昼間の空も寂しそうだったが、夕暮れ時の今はその比ではない。気が重い。 「あら久しぶりじゃないの」いきなり背後から声が掛かった。はっとなって私は振り向く。 「……おばさん」不意打ちを掛けて来たのは、どうやら近所のおばさんのようだった。私の数少ない知り合いの一人である。 「調子はどうだい?」 「ええ、まあ……」私は曖昧に頷いた。本当のことを言うと口やかましく叱られるから、こうするしか手はない。 「そうかい。まあがんばりな。あたしゃ、あんたのファンなんだからね」おばさんは笑ってそう言うと、私を追い越して夕闇に消えた。 本当に私のファンなのかどうかは分からないし、私の本を読んでいるかどうかさえ分からないが、それでも励まされるのは嬉しいことだ。 家に帰ると彼がいた。居間でティーを飲んでいた。暖炉の火も入れずに寒い中。 私が入って来ると、冷たく一言、「鍵掛け忘れていたぞ」そう言った。 「ごめんなさい」と素直に謝ったが、彼は何も言わず、視線を合わせようともしない。 ティーを飲み終えると、カップをそのままにして私の方に向かって来た。身構えたが何も起こらず、 「飲みに行って来る」その言葉を残して、彼は消えた。 私は申し訳ない気持ちになり、それが発展にして、自虐的になった。寒いままの部屋で、ドアを見つめ続ける。無論、夕食も取らない。昼食も食べていないため、空腹感は相当なものだったが、それでも何も欲しくなかった。 彼は夜中に帰って来て、私を無視して二階の自室に引っ込んだ。私もその直後に二階へ上がる。原稿は書かずにすぐに寝た。 その日の夢はあまり覚えていない。 無実の罪に問われる夢だった気がするが、本当に無実ではなかったかも知れない。 朝起きて、昨日の朝作った料理が全く食べられていないことに気付いた。私が食べていないからでもあるが、彼が食べていないからでもある。 寂しくも悲しくも悔しくもなかったのに、涙が出た。一体全体この心の雨は、どういった基準で降るのだろう。 彼は私よりもやや遅く起きて、朝食を食べるとすぐに出て行った。 その日も執筆のペースは良かったが、やはり出来はひどく悪かった。とにかく陰鬱極まりないものだったのだ。無理だ。私には才能なんてなかったのだ。こんな仕事辞めてやる! それどころか自殺でもしてやろうか、とまで考えは飛躍した。だが自殺というのはどうやれば良いのだろう。 「自殺なんて簡単ですよ。そんなこと、いつでも出来る」いつか読んだ小説に、そんな台詞を吐く人物がいたのを思い出して、腹が立って来た。 暇潰しに探偵小説を読む。 王道と言われる密室トリックを扱ったものだ。著者は有名な人物ではなかったが、私が知らないだけかも知れない。昔の知人と少しだけ名前が似ていた。 「犯人は誰なんだ?」 「それは神様にでも聞くんだね。僕は推理に忙しい」 「ヒントくらい寄越せ。自分だけずるいぞ」 「嫌だね」 「何だと!」 「教えてあげても良いんだけど、君が知ると色々勘違いをしそうだからね」 探偵役の生意気さが鼻につく。この探偵はこの後すぐに殺された。全く良い気味だ。 別の探偵役が出て来て謎を解いたが、そこまで時間が掛かった割には、解決がしょぼかった。この鈍い私でも犯人が分かったくらいだ。密室トリックにしてもどうも頂けない。解説ではその筋の大家がべた褒めしていたが、多分本音ではないのだろう。 4 夕方頃、入り口のドアが叩かれた。 彼はそんなことはせずに遠慮なく入って来るので、来客かと思い、急いで玄関に行ってドアを開けると、大家さんがいた。 この家を相場の数分の一の値段で貸してくれた人で、昔は大商人をしていた隠居暮らしのおじいさんである。 大家さんの住む家はすぐ近くで、ここよりずっと大きくて派手で豪華だ。それでいて不思議と悪趣味ではないのだが、 「……どうしたんですか?」私は恐る恐る尋ねた。大家さんの顔色があまり良くなかったからだ。悲しんでいるというよりは困っているといった感じだった。 大家さんは二度三度息を吸い、「あんたの息子さんがね。……大変なことをやってくれたんだよ」と言った。息子さんというのは恐らく彼のことだろう。 「大変な……こと?」 「そうだ。大変なことだ」もったいぶっているというよりは、言い渋っているようだ。 私は待った。次に大家さんが口を開くのを。 それは予想以上に早く来た。 「貴族だよ」と大家さんが言う。「貴族の息子に手を出したんだ」 ついにこの時が来た、と思った。いつか問題を起こすと思っていた。彼は酒癖がひどく悪いのだ。 「とはいえ、貴族の息子とは思えんクズだ。街のごろつきどもを手懐けて色々悪さをしているやつだ。あいつ自身も喧嘩自慢らしいしな。まあ餓鬼大将に過ぎんが、貴族は貴族だ」躊躇っていたことを口にして、大家さんの口は勢いづく。憤慨しまくっていることが丸分かりな顔で、ここにいないものへの罵声と不満をどんどん並べ立てていった。 「詳しく教えてくれませんか?」私は私の存在が見えなくなってしまっているかのような大家さんに、大きくはないが強い声を投げ掛けた。「彼がやったことについて……」 やはりその貴族の息子と決闘でもしたのだろうか。酒場にいた貴族の息子の子分とでも喧嘩して、そいつをボコボコしたら目をつけられてしまったのかも知れない。 大家さんは私の声を聞いて正常に戻ったようで、「すまん」と呟いて額の汗を拭き、息を整えてから言った。「詳しくは知らんのだが、問題があったのはついさっきのことらしい。あんたの息子さんが散歩をしとった貴族の馬鹿息子に因縁をつけて来たと、使いの男が言っとったな」 「まさか……」何の罪もない相手に絡むなんて……。 「いや多分それは嘘だな。本当は決闘なり何なりがあったと私は踏んでおる。まあとにかくだな。あちらさんはあんたらを私の貸家から立ち退かせ二度と貸さんよう言って来た」 「そんな……」私は足元の地面が崩壊したような感覚に襲われた。「彼は今どこにいるんですか?」 「知らんが、役人のところで取り調べではないかな。ここにももうすぐ役人が来るだろうよ。ところで立ち退きの件だが……」大家さんの困ったような声が、死神のものに聴こえた。私は身を震わせる。大家さんがに口を開く。「すまんが出て行ってくれ」 死刑を宣告させる瞬間に似ているのではないかと思った。 * 紙の上で踊っていた筆が止まり、深い溜息が昇る。 彼女は哀しげな顔をしていた。楽しい夢から覚めたかのように。 彼女は時計を見た。時刻は午前二時過ぎ。執筆が始まってから随分長い時間が経った。 彼女は立ち上がって、暖炉の火を消し、ランプの灯も消す。 紙とペンを持って部屋を出た。 「お休みなさい」 二階から微かに声が聴こえた。 彼女は「彼」がもうどこにもいないことを知っている。 しかし、その現実を認めようとはせず、壊れ掛けた夢と戯れ続ける。 いや、決別は近いのかも知れない。 彼女の書く小説がそれを暗示している。 だが、示されているものは永久の決別ではなく、しばしの別れなのかも知れないのだが。 まあ、そんなことは考えても仕方がない。 僕はただ見守ろう。 それこそが最高の悦楽なのだから。 いつか終わる夢――了 <@><@><@><@><@><@><@><@><@><@> どうもお読み頂きありがとうございました。 最初は、オチや仕掛けの全くない純粋にストーリーだけで読ませるものにしようと思っていた(もちろん、それが難しいことは想像つきますが、挑戦したかったんです)んですが、つい魔が差しちゃいました。 冒頭詩はJ研という携帯用音楽サイトからかなり前にダウンロードして手に入れたゲームソフト「ファイナルファンタジー10」の「いつか終わる夢」という曲のメロディに合わせて作ったものです。 最近、歌詞のない曲や知らない曲に勝手に歌詞をつけて歌うことにはまってます。 無論、恥ずかしいので誰かがいる場所では歌えませんが。 ちなみにタイトルもその曲から拝借しました(実はかなりタイトルで悩んだんです)。 それでは、そろそろこれで失礼致します。 |
16081 | 物悲しい、でも想いが深い話ですね | エモーション E-mail | 2004/3/4 22:28:06 |
記事番号16075へのコメント こんばんは。 何でしょう……フィリアがもの凄く危ういと言いますか、 ギリギリの状態でかろうじて立っている、という話なんですね。 途中に出てくるフィリアが書いている小説。 こちらももの凄く崩れるのを待つだけ、という内容……。 見ている方がフィリアに一体何があったのか、何がここまで寒々しい状況を 作ってしまったのだろうと、思わされました。 ラストで「ああ、そう言うことか」と分かりましたが。 失ったものの大きさに、必死で自分を守りつつ、でも「いない」という事実を受け入れて、 一区切りつけようとしつつあるフィリア。 そして必死でもがいている状態のフィリアを、影から見ているゼロス(多分)……。 ちなみに、ラストでようやく最初に出てきた黒猫の意味に気づきました。(^_^;) このお話は二度三度と読み返すごとに、特にフィリアの行動に圧倒的な孤独感と 切なさ、フィリアにとってのヴァルの存在の大きさが、じわじわと染みてくるお話だと思います。 物悲しさの中に、想いの深さがよく分かる作品でした。 それでは、あんまり上手い感想になっていない気がしますが、この辺で失礼します。 「TRY」の方もですが、また次の作品をお待ちしていますね。 |
16087 | Re:物悲しい、でも想いが深い話ですね | オロシ・ハイドラント URL | 2004/3/5 19:10:04 |
記事番号16081へのコメント >こんばんは。 こんばんは。 > >何でしょう……フィリアがもの凄く危ういと言いますか、 >ギリギリの状態でかろうじて立っている、という話なんですね。 書き終えた時点よりはずっと明るかったんですが、一世一代(?)の大変更をした時に、こうなりました。 これで良かったか、今でも迷っている状態です。 > >途中に出てくるフィリアが書いている小説。 >こちらももの凄く崩れるのを待つだけ、という内容……。 >見ている方がフィリアに一体何があったのか、何がここまで寒々しい状況を >作ってしまったのだろうと、思わされました。 >ラストで「ああ、そう言うことか」と分かりましたが。 最初はここで、「書いたのは嘘」「本当は幸せでたまりません」というオチになる予定でした。 でもハッピーな状態でこんなもの書くのはおかしいな、ということで今のになりました。 > >失ったものの大きさに、必死で自分を守りつつ、でも「いない」という事実を受け入れて、 >一区切りつけようとしつつあるフィリア。 フィリアは強くて弱く、弱くて強いとキャラだというイメージがあります。それにそったものにしてみました。 >そして必死でもがいている状態のフィリアを、影から見ているゼロス(多分)……。 彼の気持ちはどんな感じなのでしょう。あんまり考えてなかったので私にも分かりません。 >ちなみに、ラストでようやく最初に出てきた黒猫の意味に気づきました。(^_^;) え? あの黒猫に深い意味って……あったかな(汗) > >このお話は二度三度と読み返すごとに、特にフィリアの行動に圧倒的な孤独感と >切なさ、フィリアにとってのヴァルの存在の大きさが、じわじわと染みてくるお話だと思います。 >物悲しさの中に、想いの深さがよく分かる作品でした。 そう言って頂けると、書いた甲斐があったと思います。 > >それでは、あんまり上手い感想になっていない気がしますが、この辺で失礼します。 いえ、素晴らしい感想だと思いますよ。 >「TRY」の方もですが、また次の作品をお待ちしていますね。 「TRY」の方はようやく再開し、今は修正に悩まされている状態です。馬鹿みたいなミスを平気で連発してるし私。 それでは、ご感想どうもありがとうございました。 > |
16088 | Re:いつか終わる夢 | じょぜ | 2004/3/5 19:59:38 |
記事番号16075へのコメント こんばんわ、ラントさん。具合はもう大丈夫そうですか? ヴァルの出てこないヴァルとフィリアのお話……凝った趣向ですね。 京極夏彦の小説、実は一冊も読んだことないんです。だって……なんなんですかあのぶあつさはっ! 新書サイズならともかく、文庫でやるかあの厚さって感じです(笑)。 小説家フィリアさんの書く、劇中劇(?)の要素もあって二重に楽しめる話ですね。 でも結局、フィリアのそう思いたいという願望だけが、彼女以外誰もいない部屋の中で凍っているような、切ない話だと思いました。 朽ちた木がゆっくりと倒れていくように、ゆっくりと壊れていくフィリアをなんにもしないで眺めてるゼロスの冷ややかさとか、魔族だなあ。 壊れるのが「夢」だけならいいんですけど、同時にフィリアも狂っていくのかもしれない可能性があって、怖く悲しいですね。 「壊れかけた夢と戯れ続ける」というフレーズが素敵でした。 で、どうでもいい話題を最後に。 最近、私がハマってるのは、鴎外の娘、森茉莉の小説です。 なんつーか、濃い文章ですごいなあと思います。そして笑えます本当に。 それでは、失礼します。 |
16097 | Re:いつか終わる夢 | オロシ・ハイドラント URL | 2004/3/6 18:07:22 |
記事番号16088へのコメント > こんばんわ、ラントさん。具合はもう大丈夫そうですか? こんばんは。 風邪っぽいけど結構大丈夫っぽいです。 > > ヴァルの出てこないヴァルとフィリアのお話……凝った趣向ですね。 短編だと大いに小細工が出来るので、最初はするつもりなかったけど、してしまいました。 > 京極夏彦の小説、実は一冊も読んだことないんです。だって……なんなんですかあのぶあつさはっ! 新書サイズならともかく、文庫でやるかあの厚さって感じです(笑)。 厚いだけで、結構読み易いですよ。まあ本気でややこしい話もありますが。 > > 小説家フィリアさんの書く、劇中劇(?)の要素もあって二重に楽しめる話ですね。 ううむ、二重に楽しめるかどうかは分かりませんけど、フィリアに小説を書かすことでフィリアの心情を間接的に伝えることが出来たと思います。 > でも結局、フィリアのそう思いたいという願望だけが、彼女以外誰もいない部屋の中で凍っているような、切ない話だと思いました。 部屋の中で凍っている……素敵な表現ですね(着眼点が違う!)。 > 朽ちた木がゆっくりと倒れていくように、ゆっくりと壊れていくフィリアをなんにもしないで眺めてるゼロスの冷ややかさとか、魔族だなあ。 > 壊れるのが「夢」だけならいいんですけど、同時にフィリアも狂っていくのかもしれない可能性があって、怖く悲しいですね。 「夢」が一気に壊れればフィリアも壊れるでしょうね。だから少しずつ、少しずつ壊していくんです。 > 「壊れかけた夢と戯れ続ける」というフレーズが素敵でした。 ありがとうございます。 その辺りは何回も書き直しました。 最終的にいくつかの案から一つを選択したのではなく、最終的にその表現に落ち着きました。 > > で、どうでもいい話題を最後に。 > 最近、私がハマってるのは、鴎外の娘、森茉莉の小説です。 > なんつーか、濃い文章ですごいなあと思います。そして笑えます本当に。 なるほど! 読みます。絶対読みます。 > > それでは、失礼します。 では、ご感想どうもありがとうございました。 |