◆−感染(ヴァルフィリ&ゼロス)−じょぜ (2004/4/20 20:54:31) No.16285 ┣あとがき−じょぜ (2004/4/20 21:23:23) No.16286 ┃┣はじめまして−Laytear (2004/4/22 00:27:29) No.16289 ┃┃┗ありがとうございます!−じょぜ (2004/4/22 22:02:27) No.16294 ┃┗Re:あとがき−P.n.t. (2004/4/22 19:13:09) No.16293 ┃ ┗ありがとうございます!−じょぜ (2004/4/22 22:19:03) No.16295 ┣新作じゃないですか〜!−ミキ (2004/4/27 00:09:42) No.16319 ┃┗ヴァルフィリだー!……と思いきや実は−じょぜ (2004/4/27 03:50:45) No.16320 ┣Re:感染(ヴァルフィリ&ゼロス)−ハイドラント (2004/4/29 18:56:28) No.16338 ┃┗どうも〜!!!!−じょぜ (2004/4/30 01:43:03) No.16339 ┣痕跡(ガウリナ&ゼロス)−じょぜ (2004/5/2 14:43:05) No.16340 ┃┗あとがき−じょぜ (2004/5/2 15:37:35) No.16341 ┃ ┣一番乗りですか?−Laytear (2004/5/2 19:38:24) No.16342 ┃ ┃┗一番乗りです−じょぜ (2004/5/2 20:21:13) No.16343 ┃ ┣いいもん、二番で〜(意地)−ミキ (2004/5/2 23:55:05) No.16344 ┃ ┃┗二番さん、いらっしゃ〜い−じょぜ (2004/5/3 06:37:47) No.16346 ┃ ┗えっと、三番目で〜す…−P.n.t. (2004/5/5 12:32:31) No.16352 ┃ ┗三番テーブルの客(っていう深夜ドラマがあったなあと)−じょぜ (2004/5/5 18:33:27) No.16353 ┣感染(改訂版)−じょぜ (2004/5/9 19:38:53) No.16370 ┣揺籃−じょぜ (2004/6/18 12:13:08) No.16475 ┃┗お久しぶりです−ミキ (2004/6/20 23:39:15) No.16487 ┃ ┗お久しぶりです〜!−じょぜ (2004/6/22 05:57:56) No.16493 ┗すべてを台無しにする座談会−じょぜ (2004/6/23 19:57:38) No.16497 ┗秘かに……−Laytear (2004/6/24 02:40:48) No.16505 ┗こっそりと……−じょぜ (2004/6/25 00:29:02) No.16510
16285 | 感染(ヴァルフィリ&ゼロス) | じょぜ | 2004/4/20 20:54:31 |
どうもこんばんは、じょぜです。 今回の話は、かなりダークです。ゼロスがとことん嫌な奴です。 んで、ちょっとあだるとちっくというか(汗)、セリフがきわどい部分があります(笑)。 例によって(ほんとにこればっかり)ヴァルフィリで、ちょっとだけガウリナです。あとゼロス。 そういうシチュでこのカップリングは嫌じゃ、と思われる方は逃げてください。すいません。 では、どうぞ。m(__)m 【感染】 開け放した窓から入り込む風が素肌に心地よかった。 薄地のグリーンのカーテンが踊ってはひるがえる。 きれいに晴れ上がった空が垣間見え、雲がちぎれて流れていく。 部屋中に昼下がりの陽射しがあふれかえって、白い壁が照り映える。 明るい、やわらかな、穏やかな時間。 隣に眠るフィリアが、唇を少し引き結んで、丸めた指をぴくりと動かす。 そのまま起きる気配はなく、ただ無心に眠り続ける。 俺の腕枕に持たせかけた頭を、ますます深くうずめては、何かを呟く。 身じろいでは無意識のうちにシーツを引き上げ、むきだしの肩をちぢめる。 頬にかかるほつれ毛がかすかに風に揺れるが、髪を乱すというほどの強さではなく。 涙の跡が残る目尻と、涙の粒が浮かぶ睫毛を親指でそっと撫でる。 額に、鈍い、鋭い痛みが走った。 風のように捕らえどころがなくとも、気配で存在を示してくる。 やっと寝ついたところだってのに畜生、と心の中で罵倒した。 「──出てこいよ、デバガメ」 なにもない空間を見すえて、だるい頭だけを動かして。 二分経っても姿を現さない奴に、舌打ちして眼を閉じる。 「……昼間から仲のいいことで」 何かしゃべると罵詈雑言しか出てこない唇を噛んだ。 「でもデバガメは心外ですね。ここに来たのついさっきですよ」 「──帰れ」 「呼んどいてそのセリフはないでしょう。お疲れみたいですね。ま、無理もありませんが──。 あんまり予想通りなもので、拍子抜けしちゃいますね」 もう少し楽しませてくださいよ、とグレーター・ビーストの腹心は微笑んだ。 どうして大声で笑うということをしないのだろうと、ときどき思う。 魔族はみんなそうなのかも知れないが、微笑よりは哄笑のほうが似合う連中だろう。 こいつがそういう笑い方をするなら、ここまでの嫌悪感は感じない。 「何しに来た──いや。 何をした、てめえ」 「何って──? ああ。 あなたの腕の中の大事な大事な女性(かた)が、あんまりな暴言を僕にお吐きになるものですから」 「──生ゴミ、ゴキブリ、パシリ、中間管理職。 どれだよ、てめえの癇に障ったのは」 籐のスツールに腰掛け、組んだ足に杖を乗せて、感心したように首を横に振る。 「今でもそういう眼ができるんですねえ、あなた。 僕なんかよりずうっと魔族らしいですよ」 かすかな呻き声をあげて、フィリアがさらに身体を寄せて、俺の喉元に唇をうずめてくる。 起こしかけた身体をそのまま沈めて、奴のほうに視線を向けた。 「いいじゃないですか、ちょっとちょっかい出したぐらい。 そういうのも必要でしょう? スキマを埋めるってやつですよ。 かえって仲良くなれたみたいで、僕が馬鹿みたいじゃないですか」 夜半、鋭い悲鳴をあげて飛び起きるなり。 俺の胸にしがみついて、服がちぎれるかと思うくらい強く強く握りしめ。 どんなに揺すぶっても、理由を聞いても、真っ青な顔で首を振って泣きじゃくり続ける。 一度まどろみかけたと思うと、顔中を涙で濡らしては両手で覆う。 ひどく冷たく血の気のない指を伸ばして、気を失っては、怯えたように何度も目覚め。 一晩経っても震えがとまらず、そのまま寝台の中で抱きしめ続けるほか、術がなく。 ようやく眠りに落ちてほっとしたのもつかのま。 「答えろ──何をした」 夢の中で。 「彼女にお聞きになったらいいでしょう。落ち着いたらゆっくりと。 口にするのも嫌だろうとは思いますけどね」 「言え」 「大声出すと起きちゃいますよ。そうなったら困るのはそちらでしょう。 顔を見たくないほど僕を毛嫌いしてますからね、そこのお方」 「なだめるのはこっちの役目だ。てめえが心配することじゃねえ」 「おやおや、身体が保(も)ちますか? ──いやこれは下衆な問いですね。そう言いたいんでしょ? 顔に出てますって。 まあ落ち着いて、ちょっとお話ししましょうよ」 ざんばらな前髪をかきあげて、ありったけの憎悪をこめて睨みつけてやっても。 怒らせるどころか、喜ばせる結果にしかならないとわかっていても。 「『精神だけの存在のくせに、魔王の封印された心ひとつ、ヒトの力を借りなければどうにもできなくて、 痛みも苦しみも嘆きも理解できない、心のないあなたなんかに」』 「心がなくても、怒らせると怖いというのを少しは知っていただかないと」 「……魔族に心なんかねえだろ、実際」 「そういうふうに創られたんですよ、僕たちは。 あなた方が、心があるように創られたように。 確かに魔族はあなた方竜族やヒトとは相容れないし、滅ぼすこと以外の目的なんかありませんけどね。 それでも、あのお方がお創りになったものとして、最低限の敬意は払ってるんですよ。 よっぽど彼女の言い草のほうが、あのお方に失礼だと思うんですけどねえ」 「てめえの御託はどうでもいいんだよ。 何したのかさっさと話せ」 そんなたいしたことじゃありません、と静かに笑った。 「──精神体にふさわしく、夢の中にお邪魔して、ちょっといじくっただけですよ。記憶を」 みし、と心臓が鳴ったような気がした。 「降魔戦争のとき、僕が何千というゴールド・ドラゴンを殺したときの懐かしい風景と。 フィリアさんの一族があなたの一族を殺したときの情景と合わせて」 ──規則正しい寝息は乱れなかった。 「竜たちの夥しい死骸が折り重なる中で、フィリアさんがあなたを殺す夢を」 ──乱れているのは心拍数と頭の中と。 「今のあなたではなく」 ──闇色の神官が陽射しの中で微笑むその姿と。 「幼い子どもの姿のあなたに、槍を突き立てるところをお見せして差し上げました」 ──覚えているのは血の匂いと、肉を突き破るあの嫌な音と痛みと。 「嬲り殺しの趣味は僕にはありませんでしたから、ひと思いにやってあげましたよ。 なんかこう言うと、僕があなたを殺したみたいですね」 「……笑わせんなよ、悪趣味の塊が」 お褒めにあずかり光栄です、と軽く頭を下げる。 「つまり、フィリアさんに、フィリアさんがあなたを殺す夢を見せてあげたというわけです。 あなたを殺したあと、金と黒の屍の山の中でしばらく突っ立っていましてね、返り血でずいぶん汚れて。 そのうち発狂したようなので、そこで終わりにしました。 痛みと苦しみと嘆きの心ひとつで、どれほど耐えられるかと思っていたら」 握りしめた俺のこぶしに眼をとめて、肩をすくめた。 「心が駄目になったら身体で慰めあうとはね。うまくできてますよね、実際」 「……予想通りって抜かしといて、なにが」 「ええまあ、予想通りですけどね、もっとこじれてもいいんじゃないかなーっと。あなたがたなら」 気がついた時は、手の届くところにあった水差しを投げつけていた。 奴の足元にぶつかって、しゅっと吸収され、音ひとつ立てずに砕け散った。 「落ち着いてくださいって。今フィリアさんに喚かれたくないのは同じなんですから。うるさいの嫌いなんですよ僕。 話の続きですけどね──心ひとつで存在する僕たちにはわかりませんてことです」 「あるのかよ、心が」 「じゃあ言い方を変えましょう。 心がない、という心を持っていると」 これ以上こいつと話してると本気で殺したくなってくる。 それでもどういうわけか、言葉がむりやりのように口から引きずり出されてくる。 手のひらがじっとりと汗で濡れていた。 「……サド野郎……」 「冷酷、残酷。鬼畜? まあ、優しいとか親切なんて言って欲しいわけじゃありませんが。 残酷さならあなた方のほうにだって充分あるでしょうに」 「いいから消えろ!」 「──やーですねえ、僕をあんまり喜ばせないでくださいよ。いいんですか、それで」 嘔吐と嫌悪が同時にこみあげて、怒りを抑えきれない。 フィリアを起こしてもいいから攻撃してやろうと手のひらに力を込めたとき。 「その『心』に、僕たちは僕たちの王を人質に捕られてるんですから、厄介ですよね」 虚ろな紫の瞳が揺らめいて、一笑する。 俺だけでなく、自分を、魔族そのものを嘲るような笑い。 「心のない僕たちが、ヒトの心に振り回されてるのは確かに笑えますよ。 それを指摘したフィリアさんがちょっと憎たらしかったもので、つい」 「だったら。 今度は俺にしろ、こいつじゃなくて」 「ヤですよ。あなたイジメ甲斐がないですから。 フィリアさんみたいに強い方じゃないと、こういうのは面白くないんです」 「──」 「フィリアさんみたいな方はね、突っつかれて落ち込んで泣き喚いて気が済むまで絶望したら、あとは勝手に立ち直るんですよ。で、前より少し強くなってるんです。その繰り返し。 ──リナさんと違って」 寝返りを打つ気配に、ぎくりと振り返った。 起きたのではなく、背を向けて眠り続けている。 腕枕が自由になり、息をついて、そっと抜き取ると、寝台に腰かけて、正面から奴に向き直った。 「……あの女のほうがよっぽど強いだろうが、こいつより」 「──ああ、そう思うんですか。 考えたことありませんか、あなたとリナさんが似てるって。 似た者同士だと意外にわからないんですかね」 あの女が弱いはずないだろう、と言いかけて。 あの女の保護者が、その横に立つ姿をなぜだか思い出した。 「比べてリナさんとフィリアさんに共通点なんかないのに、どうしてでしょうね。 同じこと言ったんですよ」 憎たらしいことに、と呟く。 似てるとこなんか確かにひとつもない。姿も髪も顔立ちも、外見はなにひとつ。種族でさえも。 それなのになんで──泣き顔がだぶったりする? 「ならあの女に夢でもなんでも見せりゃいいだろうが」 「やりましたよとっくに。 そうするとね──あなたと同じことするんですよ、ガウリイさんが。 で、立ち直っちゃうんで、つまらないなあと」 「──なんて言われたんだよ」 ひどい頭痛に、額に手をあててしのぐ。 早くどっかに行ってくれ、と口の中で呪った。 吹き込む風だけが気持ちよくて、どうにか呼吸できた。 質問がずるずると口から出てきやがって、我ながら苛つく。 「何したんだ、あの女に」 「なんにもしてませんよ。 ただ見てただけです。サイラーグで三人目のルビーアイ様とリナさんが戦うのを」 「前に話したでしょう、あなたに似てたって。 たまたまリナさんやガウリイさんと仲間だったんですけどね、その方。 それをただ見ていただけです、アストラルサイドから。 全部が終わって──リナさんがすさまじく落ち込んでいたのでね、ちょっとお邪魔したんです。 『何をそんなに後悔してるんですか。ヴァルガーヴさんのときとたいして変わらないじゃないですか』って。 そしたら言われたんですよ」 「『ヒトの姿かたちだけ真似ることができたって、腕にも心臓にも血は通ってないくせに。 心を弄んで、苦しんでる人を嘲笑することしかできない幻のくせに。 精神体にあたしを殺せても、抱けるものなら抱いてごらんなさいよ」』 沸騰する脳が、一瞬、静まった気がした。 「──的確だな」 「あっさり肯定しないでください、精神攻撃ですよ。言うのも辛いんですから」 「そのほうが世の中のためだ。滅べ滅べ」 「世界を滅ぼそうとした方がそんなこと言っていいんですかあ?」 「世界を守ろうとした魔族に言われたくねえ」 血の通わない腕。 竜のまま戻らなくなった以前の右腕は、今思えば、唯一、俺の中で血の通った部分だったのだろうか。 「僕だって傷つくんですよ結構。 その傷口に塩をすり込むようなこと言うフィリアさんだって酷いじゃありませんか。 なんで申し合わせたようにおんなじこと言いますかね」 「……オマエ忘れてるだろ、あの女とこいつの共通点」 「そんなものありましたっけ」 「ひとつだけな」 「──……なるほど……そうでしたね」 心底くだらないと言った笑みを薄く浮かべてうなずいた。 「なかなか普段忘れがちですが、そういえばそうでしたねえ。 本当に忘れてましたよ。精神体ってこういうとき不便ですよね。性別なんてありませんから。 で、おんなじ慰め方するのも、あなたとガウリイさんの共通点てやつですか」 知ったことか、と痺れた腕を抑えた。右腕を。 「大変ですね、お守りも。 ……そうニラまないでくださいよ」 「見せ物じゃねえ」 「めんどくさいものしょいこんで大変だなあと思うだけです。 次の器はもうちょっと心の鈍い方にお願いしたいですね。 いくら滅びを望まれても、今回みたいに、恋人が殺されたら覚醒して、あげく自滅の道を選ばれるのはもうごめんですから」 腕の鈍痛と頭痛を一瞬忘れた。 確かに寝息は聞こえるのに、本当にいるのかどうか、反射的に振り返っていた。 「……ほんっとにすぐ顔に出る方ですねえ。 人ごとは思えない? 人ごとでしょう、所詮。 それともフィリアさん殺して、本当に人ごとじゃあなく、してみますか?」 「失せろ──今すぐ!」 押し殺した声で怒鳴りつけた瞬間、眼と鼻の先に奴の顔があった。 「心なんか潰したほうが楽になれるのに。 本当にスィーフィードは厄介な封印を残してくれましたよ、ええ」 鳥のさえずりが響いて、張りつめた空気を破った。 「じゃ、ま、今回は現状に満足して引き上げますか。 せいぜい世間知らずを抱っこしてあげてください、身体と心で。 では、これはちょっとしたお詫びということで」 割れたはずの水差しを元に戻し、サイドテーブルの上に置いていった。 息がつまるかと思うほどに緊張していたのかと。 奴がいなくなった瞬間に、吐き出した息と噴き出した汗で気づかされる。 鼓動が激しく耳を打ってそれしか聞こえなくなる。 心臓に血が通う証拠だと、あの女の言葉にすがりつくように。 ひるがえるカーテンと、かすかな息づかいと。 部屋中にあふれる、白い光はさっきまでと同じだった。 ──……そう、同じだ。 床に広がる水の染みは、そのうち乾くだろうし。 こめかみのあたりの疼痛も、前よりも酷くなっただけで、いつか止む。 真昼だろうが真夜中だろうが、夢は、夢。 背を向けて眠り続けるフィリアを、起こさないようにこちらに向かせた。 カーテンと同じ、薄いグリーンのシーツに包まれた身体が細く浮き上がる。 陽射しの中で金の髪が明るく輝く。その髪に縁どられた頬に手を当ててみる。 青ざめた顔に少しでもぬくもりが伝わればいい。 ずきずきする頭をこらえてかがみこみ、額と額をくっつけた。 真昼に見る夢も真夜中のそれも、悪夢なら全部引き受けてやるから。 悪夢だけは感染するといい。のみこんだ毒も、血の味も、匂いも。 闇の中でも光のただなかでも、悪夢だけは俺の領域であるように。 |
16286 | あとがき | じょぜ | 2004/4/20 21:23:23 |
記事番号16285へのコメント お読みいただきありがとうございました。m(__)m 「爆破して飛び散った心の破片が そこら中できらきら光っているけど」 イメージソングは鬼束ちひろの「infection」↑でした(笑)。 タイトルは初めは、白昼夢、でした。この言葉から出来あがった話なもので。 でもまんますぎるなあと思い、この話にあう曲をいろいろ探すうち、infectionの和訳にしました。 タイトルの意味は、最後にヴァルがぶつぶつ言ってるあたりがメインなんですけど(笑)、リナとフィリアが同じ意味の言葉をゼロスに言ったり、男性陣の……その……慰め方が同じ(すいませんすいません)っていう意味にも引っかけてみました。伝染したよ、ってことで。 きっと気づきにくいだろうから、言い訳しておこう……。 ゼロスがひどい悪者になっちゃってるし……個人的にゼロスってこういう奴だとは前々から思ってたんですけど。ひでえかも。 ではまた。 |
16289 | はじめまして | Laytear | 2004/4/22 00:27:29 |
記事番号16286へのコメント はじめまして。 読み逃げのものです。 じょぜさんのヴァルフィリ話、大好きです。 たぶん、ヴァルフィリ話ではじょぜさんの書かれたものが一番好きです。 印象が深いと言うのもあったのですが、お話もきれいですね。以前の「歌」もそうでしたが。 ガウリナ、ヴァルフィリ、彼らはもう恋人なのですね。(ソフトな表現だけど)ガウリナ好きな私はうれしかったです。 では、素敵なヴァルフィリ話ありがとうございました。 |
16294 | ありがとうございます! | じょぜ | 2004/4/22 22:02:27 |
記事番号16289へのコメント >はじめまして。 >読み逃げのものです。 初めまして、Laytearさん! んにゃ〜、読んでいただけるだけで充分ですよ。ありがとうございます。 >じょぜさんのヴァルフィリ話、大好きです。 >たぶん、ヴァルフィリ話ではじょぜさんの書かれたものが一番好きです。 うっ……なんて素敵な言葉を……(号泣)。 嬉しいですねえ、いや、今のとこヴァルフィリしか書けない奴なので、必然的にこの二人の話ばっかりになっちゃうんですよ。頭ん中がこの二人に占拠されてるもので(笑)。 ちなみにここに投稿されたヴァルフィリ話で私が好きなやつを。 ももじさんの「ヴァルガーヴに花束を&フィリアに花束を」「To you」 人見蕗子さんの「初恋」(←すんごい泣けました) ささはら朋さんの「あやとり」「フィリア=ウル=コプトの憂鬱な一日」「Between You and Me」です。 >印象が深いと言うのもあったのですが、お話もきれいですね。以前の「歌」もそうでしたが。 あー「歌」のほうもお読みいただけましたか。ありがとうございます。 >ガウリナ、ヴァルフィリ、彼らはもう恋人なのですね。(ソフトな表現だけど)ガウリナ好きな私はうれしかったです。 王道カプが好きなんです。ガウリナはいいですよね。ガウリナはもう当然だと思います。戦友で、相棒で、コンビで、カップルで、夫婦で、友達で……全部含んでると思います。 ソフト……よかった! ソフトに感じられましたか、よかったよかった(笑)。いや私の中では、今回はかなりドロドロなんで、だいじょーぶかなーと、かなーりドキドキしてました。 >では、素敵なヴァルフィリ話ありがとうございました。 喜んでいただけて嬉しいです。 感想ありがとうございました!!!!! |
16293 | Re:あとがき | P.n.t. | 2004/4/22 19:13:09 |
記事番号16286へのコメント 初めまして☆P.n.t.と言います。 「感染」読ましていただきましたので、レスします☆ 私はああいうぜロスが好みですよv私もゼロスはもともとああいう奴だと思っていましたし。 ヴァルフィリもガウリナも綺麗に書かれていたと思います。感動しました…v 個人的にゼロスもツボでした(笑)ダークが好きです(笑) …すいません、こういうレスしか書けませんが、頑張ってください。 それでは。 |
16295 | ありがとうございます! | じょぜ | 2004/4/22 22:19:03 |
記事番号16293へのコメント >初めまして☆P.n.t.と言います。 >「感染」読ましていただきましたので、レスします☆ 初めまして、P.n.tさん、このたびはありがとうございます。 >私はああいうぜロスが好みですよv私もゼロスはもともとああいう奴だと思っていましたし。 おおうっ! ダークで鬼畜で言葉攻め(笑)ゼロス、気に入っていただけましたか! 私もやっぱ「魔族」だっていうのがゼロスに関しては一番にあるもんで、あーゆーちくちくねちねちな奴は、ぢつは書いてて楽しかったり……ひでえのは私だ。 >ヴァルフィリもガウリナも綺麗に書かれていたと思います。感動しました…v よ、よかった……いやその……一応遠回しに書いたけど、嫌な人は嫌だろうなあと思ったもので。感動していただけるとは幸いです。 >個人的にゼロスもツボでした(笑)ダークが好きです(笑) 今回はTRYのオープニングの終わりのほうのメチャメチャ悪い顔のゼロスをイメージしてみました。あと13話の洞窟のシーンの再現ぽくもしてみたつもりです。 ちなみにヴァルとフィリアとゼロスで三角関係つくるとしたら、私の中ではフィリアとゼロスでヴァルを取りあってる図が浮かぶんですよね、なぜだ(笑)。 >…すいません、こういうレスしか書けませんが、頑張ってください。 >それでは。 ヴァルフィリ道を邁進します(笑)。 感想ありがとうございました!!!!! |
16319 | 新作じゃないですか〜! | ミキ | 2004/4/27 00:09:42 |
記事番号16285へのコメント お久しぶりです。じょぜ様!久々にこちらに来たらじょぜ様新作!!と、とびついてしまいました(笑)ダークだとおしゃってらしたので、ちょっとドキドキでしたが、全然大丈夫っすよ!今回はホント、ゼロス大活躍ですね。私の中でもゼロスはあんな感じです、ゼロスって嫌味たらしいけどちゃんと筋が通ってるんですよね、だからなんか納得してしまう部分があります。今回は、鬼束ちひろなんですね。私もあの曲は聴きました!結構過激な歌詞ですよね、初めて聴いたときかなりショッキングでした。私的に「私とワルツを」もいいです。あと、これは「軛」の感想?になってしまうのですが、読んでた文章に「その人を縛ってると思うなら、あなたも縛られてしまえばいいのよ。その人に。・・・・・・そうしたら、絆になるわ」というのがあって、「軛」にぴったりと思い、こういう風に考えれば素敵だなと思います。発想の転換ですね。う〜今回は、お話が深かったので感想がうまく出来てないかも(泣)すみません。やっぱ、私は書くのは苦手みたいです。(しくしく) |
16320 | ヴァルフィリだー!……と思いきや実は | じょぜ | 2004/4/27 03:50:45 |
記事番号16319へのコメント >お久しぶりです。じょぜ様!久々にこちらに来たらじょぜ様新作!!と、とびついてしまいまし>た(笑)ダークだとおしゃってらしたので、ちょっとドキドキでしたが、全然大丈夫っすよ! >今回はホント、ゼロス大活躍ですね。 どもーお元気でしたかー! こないだは「歌」の感想ありがとうございました。m(__)m よっしゃあヴァルフィリだぜ! と思って嬉々として投稿したあと、読み返して気づきました。 「…………ヴァルフィリっていうよりさー…………ゼロス主役じゃん、これ」 私の阿呆め(泣)。なんかシチュエーションのアダルトさに一人でドキドキしすぎてたらしく、真の主役が誰かということに気づかなかったようです(ホント馬鹿)。 >私の中でもゼロスはあんな感じです、ゼロスって嫌味たらしいけどちゃんと筋が通ってるんですよね、だからなんか納得してしまう部分があります。 そうそう、あの世界の成り立ちを知ってる以上「筋」は通ってる、と思います、奴は。 前半の、心があるかないか、とかいうやりとりは、なんか禅問答みたいで(笑)。 心も身体もないけど、その分、外見とか性別に左右されないから、純粋だし、真実を見抜いてるんじゃないかと思います。ただ人間が持つ「愛情」とかいつくしむ、っていうのがまるでないから、やっぱ残酷なんじゃないかと。今回はセクハラ発言しまくりだけど(笑)。 >今回は、鬼束ちひろなんですね。私もあの曲は聴きました!結構過激な歌詞ですよね、初めて聴いたときかなりショッキングでした。私的に「私とワルツを」もいいです。 おおご存知でしたか! 鬼束ちひろは、実はアルバムもシングルも全部持ってます。ワルツもいいっすねー(ジャケットも素敵)。この人の曲がなかったら多分ヴァルフィリ書けなかったと思う……それぐらい、この二人の話書くときは必ず流してます。「眩暈」なんかもう何百回聞いたかわかりません(笑)。 「ash on this road」って曲の中に、 「届きそうにないで居て、いつでもその手を差し延べて、 塵のように小さな私を、貴方だけは笑って抱き上げて居て 届きそうにないで居て、強い振りでもいいからしてて、 失くなりそうになる私を、貴方だけはしっかり見つけて居て」 ってな歌詞があるんですが、これが私の中では、ヴァルガーヴ→フィリアの心情なんですねーなぜか。今回の話のヴァルのラストのモノローグも、実はこのあたりが入ってます。フィリアだけは光の中にいて自分を導いて欲しい、と思ってる感じ。 >あと、これは「軛」の感想?になってしまうのですが、読んでた文章に「その人を縛ってると思うなら、あなたも縛られてしまえばいいのよ。その人に。・・・・・・そうしたら、絆になるわ」というのがあって、「軛」にぴったりと思い、こういう風に考えれば素敵だなと思います。発想の転換ですね。 おー素敵な文章だ、いいですね! 言いたかったことをわかってくれてありがとう。嬉しいです。 枷がどうとか、絵的に想像するとヤバイものがありますが(笑)、つまり、お互いがお互いの人質になると。で、人質ってのは生かしておいてこそ価値があるので殺さないで一緒に生きていく、と。それが復讐であり償いになるということを言いたかったんですが、うまく書けたんだか書けてないんだか(泣)。 >う〜今回は、お話が深かったので感想がうまく出来てないかも(泣)すみません。やっぱ、私は書くのは苦手みたいです。(しくしく) いやーすごく素敵な感想ですよ。今回みたいに、引用とか無理にしないでいいんで、ひとことでも書いてもらえるとすごくありがたいし嬉しいです。私の話はなんか理屈っぽいんですよ、いちいち。 なんかね、カップリングを対比させて書くのが好きみたいです。 ヴァルフィリとガウリナっていう二組のカップルがあって。 それぞれの相手を精神的に支えてるのは、フィリアでありガウリイで。 でもやっぱり、最終的に女であるリナはガウリイに支えられなきゃ駄目だし、男であるヴァルはフィリアを支えなきゃ駄目なわけです。 で、リナが揺さぶられたらガウリイはしっかり受けとめられるけど、フィリアが崩されたらヴァルはかなりガタガタになると思うんです(フィブリゾにガウリイがさらわれたときのリナがまさにそんな感じだったけど)。 ヴァルとガウリイ、フィリアとリナ、個々の性格は似てないけど、共通点はただひとつだけあって、それは男と女だよ(笑)ってことで。 すいません、余計わけわかんないかも……。 ではでは、感想ありがとうございました〜!!!!! |
16338 | Re:感染(ヴァルフィリ&ゼロス) | ハイドラント | 2004/4/29 18:56:28 |
記事番号16285へのコメント どうもこんばんは。レスはお久しぶりとなります。 今回もまた上質なヴァルフィリですね。 リアルな描写と、ダークな雰囲気が言いようもなく素敵です。 それにしてもゼロスが恐い恐い。特に中盤辺り。 あまりにもな台詞の数々に、思わずヴァルが悪の魔道士と戦う正義の騎士に見えて来ました(笑)。 でもそこが良いんですよね。 そしてヴァルガーヴ。 先ほど正義の騎士という言葉を出しましたが、悪夢を見せてフィリアを傷つけたゼロスに突っ掛かるヴァルガーヴの姿は、まるでフィリアを守る(今回はすでにやられたあとなので、守っているわけではないですが)騎士のようだと思いました。 築かれた自分達だけの世界の中で互いを守り合う、というのがフィリアとヴァルの関係なんじゃないかな最近思い始めたんですが、まさに本作は互いを守り合うという部分の半分、フィリアを守るヴァルを描いた作品なんじゃないかなと思います。 まあ気のせいとか勘違いかも知れませんが。 それにしてもこの状況でどうやってガウリナ出すのかと思えば、なるほど、会話の中で出ましたね。 フィリアとリナに共通点がないことが示されているにも関わらず、 >「やりましたよとっくに。 > そうするとね──あなたと同じことするんですよ、ガウリイさんが。 > で、立ち直っちゃうんで、つまらないなあと」 >「『ヒトの姿かたちだけ真似ることができたって、腕にも心臓にも血は通ってないくせに。 > 心を弄んで、苦しんでる人を嘲笑することしかできない幻のくせに。 > 精神体にあたしを殺せても、抱けるものなら抱いてごらんなさいよ」』 のような言葉を聞くと、一瞬、リナとガウリイがまるでフィリアとヴァルの鏡に写った姿に見えてしまい不思議な気分です。 それでは、これで失礼させて頂きます。 やけに短く拙い感想になってしまって、すみません。 |
16339 | どうも〜!!!! | じょぜ | 2004/4/30 01:43:03 |
記事番号16338へのコメント こんばんは、いつもレスありがとうございます。m(__)m ダークなのに素敵と言っていただけて嬉しいです。 >それにしてもゼロスが恐い恐い。特に中盤辺り。 「これこそ魔族だ! うまく書けたぜ! うけけけけ」と思ったんですが……。 よくよく読み返したら単なるセクハラであることに気づき、がっくりしました。なんかなー。 >あまりにもな台詞の数々に、思わずヴァルが悪の魔道士と戦う正義の騎士に見えて来ました(笑)。 あんまりなセリフ……確かに。書きながらオイオイとは思ったんですが、すらすら出てきちゃったんでまあいいか、って言うか、もういいや、と(笑)。 シチュがシチュなんで、照れ隠しもあって、わざとそういう雰囲気を相殺するごとく、嫌なセリフの数々を並べてみたんです、陳腐ですが。 >そしてヴァルガーヴ。 >先ほど正義の騎士という言葉を出しましたが、悪夢を見せてフィリアを傷つけたゼロスに突っ掛かるヴァルガーヴの姿は、まるでフィリアを守る(今回はすでにやられたあとなので、守っているわけではないですが)騎士のようだと思いました。 うおっカッコいい表現だ。とてもウチのヴァルのこととは思えん(笑)。そですねー、一応くっついてる設定なんで、さすがにここでブチ切れないといくらなんでも甲斐性がなさすぎるし(笑)。ゼロスも内心ではかなり怒ってるんですよ。魔王の復活阻止されて、リナとフィリアに同じこと言われて、かなり不機嫌という設定なんです。不機嫌VS怒り心頭のとげとげしい会話の雰囲気、緊張感はなかなか楽しかったです。 >築かれた自分達だけの世界の中で互いを守り合う、というのがフィリアとヴァルの関係なんじゃないかな最近思い始めたんですが、まさに本作は互いを守り合うという部分の半分、フィリアを守るヴァルを描いた作品なんじゃないかなと思います。 今まで書いたやつは、ほとんどがフィリヴァルばっかりでしたね。 いろんなサイトさんのイラストや小説を読んでも、わりと「フィリアが母性的な優しさでヴァルガーヴを守る」的な絵や話が多いのと、私の中の二人の関係もまずそれがあったので。 悪夢を見てうなされるっていう設定もヴァルのほうばっかりだったし。ふと思いついて今回は逆にしてみたら、まごうことなくヴァルフィリになったので、自分でもちょっと驚いてます(笑)。 >一瞬、リナとガウリイがまるでフィリアとヴァルの鏡に写った姿に見えてしまい不思議な気分です。 おおーなるほど「鏡」かあ。うまい表現ですね! ミキさんへのレスでも書いたんですが、カップリングを対比させるというのを、無意識にやってるようです。 実は最初はゼロリナにする予定でした。でもなんか、私の中でゼロスを誰かとカプにするっていうのが考えられなくて駄目でした。あんまり一人の誰かに執着する奴だとは思えなくて。 ガウリナにしてよかったと思います。おかげで嫌味たらたらなゼロスになったし(笑)。 そこはかとなくヴァルリナぽくなったのが、個人的にちょっと気に入ってます。リナのセリフで一瞬立ち直るヴァルがなんとなく……(笑)。 >やけに短く拙い感想になってしまって、すみません。 いえとんでもない。ていねいにありがとうございました!!!!! |
16340 | 痕跡(ガウリナ&ゼロス) | じょぜ | 2004/5/2 14:43:05 |
記事番号16285へのコメント 「感染」のガウリナバージョンです。ヴァルフィリベースですが。 ガウリナなんですが、リナVSゼロスと言ったほうが正しいです。あんまりガウリイ出て来ません、ごめんなさい。あと本編14・15巻読んでない方にはわけわからないかも。 レスくださったLaytearさん、P.n.tさん、ミキさん、ハイドラントさんに改めてお礼を申し上げます、というのは、いただいた感想にレスをつけていくうち、思い浮かんだ話なので。 特にラントさんが書いてくださった「鏡」というのがヒントになりました。ありがとうございます。ではどうぞm(__)m 【痕跡】 鏡にうつるのは影に過ぎない、どっちがどっちのなのかは知らないけど。 早朝もいいところだ。窓の外はまだ暗い。と言っても、空はほんのりと明るくなってるけど。 今日一日も昨日みたいなよく晴れ上がった日になるんだろうな。 秋口に入ったとはいえ、まだ残暑はきついし、ちょうど今ぐらいの時間て過ごしやすい。 うつ伏せの頭をかきあげて、頬杖をつき、刻々と色が変わっていく空の向こうを眺めていた。 ……なんか重い。 重いはずだわ、この男の足が背中に乗っかってんだから。 まーったくどーゆー寝方しとんじゃ、ガキみたいに枕を抱えて。 頭の下に敷いてるはずが、なんで後生大事に抱きしめてんだか。 ──抱っこするならこっちでしょーが。 心置きなくでかい図体を振り落とし、ベッドから降りて、顔を洗って支度を整えた。 鏡に向かって、すごい寝ぐせのついた髪をとかすうち、首筋についた赤い痕が眼に入る。 マントもショルダーガードもバンダナもつけずに、路銀の入った袋だけベルトに引っかけて部屋を出た。 いびきかいて起きやしないし。 外に出ると、すっかり明るくなっていた。 まだ空気はひんやりしてて、散歩にはちょうどいい。 宿屋の一階の食堂はまだ開いてないせいもあるけど。 今日はなんとなく外で食べたかったので、パン屋に入っていろいろ買い込んだ。 さて、どこで食べようか、と、レビテーションでふらふらしつつあたりを物色する。 陽射しがぱあっと照り出して、人気のなかった路上や広場に活気が満ちてくる。 あんまり人がいるとこは嫌だなあ、と思ったら、ふと教会の尖塔、鐘楼が見えた。 肝心の鐘がないところを見ると修理中か、そもそもこの教会自体が廃墟みたいなものなのか。 アメリアが大喜びしそうな場所だわ。 中に入り込んで、胡座をかいて座り込む。 パン屋のおばちゃんがテイクアウト用に貸してくれたバスケットを開けた。 数種類のサンドイッチがどっさりと、ソーセージにアスパラガスにガーリックポテト、ゆで卵の乗っかったトマトとレタスのサラダ。 熱々のチキンパイとこんがり焼けたラスク。 おまけに付けといたよ、と言ってたのでなんだろうと思ったら、コーヒーゼリーだった。 同じく貸してくれた水筒にはダージリンのアイスティをいれてもらった。 いい風。 ──みんなどうしてんのかなあ── この頃、ひとりになると、すぐこう思う。なんでだかわからない。感傷に浸りたいわけじゃないのに。 懐かしく思い出す、というあたしらしくもないことを考える。 やっぱ郷里(くに)に帰る途中だからだろうか。 マッシュポテトをスプーンですくいかけて、眼だけ動かした、後ろに。 「……またあんたなの」 「どうも。お久しぶりです──というほどでもないですかね。珍しい、一人なんですか」 「見りゃわかんでしょ」 背中から聞こえる声に振り向きもせず、食べ続ける。 ここから見える空は、雲ひとつなく澄んで光っていた。夏のなごりの濃い青さを残して。 ちょっと首を下に向ければ、闊歩する街の人たちの頭が小さく見える。 遠く、はるか向こうには点々と広がる雑木林とか、山の稜線とか。 ぼけっと見つめていると、後ろのゼロスがいつまでたっても佇んだまま動かないので口を開いた。 やっぱり振り向かないまま。 「座れば」 「いいですよ、別に。お食事続けてください」 「んじゃ消えてよ。じーっと睨みつけられながら食うなんて嫌なのよ、こっちも」 では、と、ゼロスはあたしの横手にまわりこみ、少し離れたところに腰をおろした。 視線は外に向けているのを眼の隅で捕らえて、少し息をついた。 「いい天気ですね」 「なんか用」 「取り立てていうほどのことじゃありませんが、なんとなく。 おいしそうですね、それ」 「──今日は『お食事』に来たんじゃないわけ?」 ぶあいそで抑揚のかけらもない言い方だと思うけど。 別に怒ってるわけじゃない、今は怒りの感情より、ただかったるいだけ。 「ええ今日はね。最近、充分いただいたので」 「よかったわね、そりゃ」 「本気でそう思うんですか?」 「うん」 また黙々と食べ続ける。今度のは芥子が少し効きすぎてて鼻にくる。 口直しにアイスティをごくごく流し込んだ。 らっば飲みしながら、ちらと横目で見ると、こっちをじっと見ている。 「なによ」 「誰の負の感情をいただいたか、知りたいですか」 「別に。どっちでも。あたしには関係ないもの。あんたが満腹でこっちにちょっかい出してこなけりゃ、それで充分」 無言のまま、ただじっとこっちを見ている。 ソーセージの中はほどよく焼けてあったかくておいしい。 「……いつから魔族に対してそんなに理解がよくなったのやら」 「怖じ気づいたとでも? んなわけないでしょ。 別に正義の味方気取りたいわけじゃないし。アメリアならいざ知らず。 あんたが空腹なら、受けて立つ覚悟はできてるわよ。 ──で、なにしに来たわけ」 「リナさんが魔族だったらよかったのにねえ、ほんとに、いろんな意味で」 「食べる? パセリでよかったら」 「たかが人間ごときにしておくには惜しいですよ、ホント」 「……気持ち悪い。 ほら、『お食事』とまではいかなくても、おつまみ程度にはなったでしょ。帰ったら?」 ふっと微笑したゼロスの顔を見たとたん、今朝見た夢のことを思い出した。 誰のことだったか忘れてしまって、妙に気になっていたけど。 「あんたは負の感情を得るのが仕事だし目的なわけだから、とがめる気はないわよ。 虫酸が走るほど嫌だけどね、したり顔でそんなこと言いに来ても。 こっちのお食事ぐらい邪魔しないでもらえるとありがたいんだけど?」 「はいはい、話題を変えましょうか。 実はね、ヴァルガーヴさんとフィリアさんに会いに行ってたんですよ」 話題を変えたことになんかなりゃしない。 誰の夢だったか、はっきり思い出したじゃないの。 ……泣いてた? 違う、泣きそうな顔だった。助けを求めてくるような、そんな顔。 「満腹の原因はそれってわけ」 「だとしたら、どうします」 「悪趣味ねほんと──そう思うだけ」 「光栄です、心から……それにしても、また同じこと言いますね。面白いというかなんというか」 勝手に楽しんでろ。 白身魚を挟んだ巨大なクロワッサンに、大口開けてかぶりついた。 「相変わらず旺盛な食欲ですね。リナさんほどおいしそうに食べる人、見たことないですよ」 「ガウリイとかアメリアはどうなのよ。あたしだけじゃないわよ、よく食うの」 「いや、やはりリナさんには負けますって。僕が保証します」 「あっそ」 「その食べっぷりが、僕たちの側にも欲しいですよ。切実に」 アイスティはちょっと濃いめで、いい感じだ。 朝はコーヒーで眼を覚ましたいとこだけど、今ぐらいの時期はお茶のほうがいい。まだ暑いし。 お茶──で、また思い出した。 相変わらずお茶ばっかり飲んで、鈍器ばっかり集めて振り回してんだろか。 「っちゃー……今日も暑くなりそうだわ、こりゃ」 「暦の上では秋なのにねえ」 「なにわかったようなこと言ってんだか。年がら年中おんなじ格好しといて」 「まま、季節感を楽しむぐらいいじゃないですか。 ガウリイさんはどうしたんです?」 「寝てんでしょ、まだ。宿屋にいるから見てくれば? ついでに叩き起こしてくれると助かるけど。 ……なに、なんか顔についてる?」 なんとも言えない顔で、あたしを眺めてくる。かまわずラスクを口に放り込んだ。 ややあって、いえね、と口を開いた。 「リナさんにしては、妙に投げやりだなあ、と。どうしたのかな、と思って」 「たまにはそーゆー気分のときもあるの。それはあんたたちの糧にならないわけ?」 「まあ、無気力が高じて自殺でもしてくれればね。その瞬間だけはなかなかですけど、そんなにバタバタ死なれてもつまりませんから」 「生かさず殺さずが一番いいわけよね、無駄がなくて。長々と楽しめるし」 「ちょっだけ残念だなあと思うのがね。 恐怖を与えるだけ与えて追いつめると、たいていの人間は、そのうち死ぬことがそれほど怖くなくなるみたいなんですよ。むしろ死を渇望し始めるというか、早くこの苦しみにピリオドを打って欲しいと望むみたいで。 そのへんの加減がなかなか難しいんですよね」 ルークの中の魔王のかけらを目覚めさせるために、あの手この手を使って、いろいろと画策したにも関わらず。 結果、魔族はみずからの手で魔王を得たのではなかった。 ミリーナの死が。それを受け入れられなかったルークの心が。人間が、魔族に、魔王を与えた。 その魔王も結局は、みずからの滅びを望んでしか、いなかった。 「竜族もそのへんは同じみたいですね。 あんまり追いつめて狂いでもされてはアレなんで、今回はぎりぎりのとこで手を引きましたけど。 なかなか面白かったですよ。あっさり終わっちゃいましたが。 まあでも、記憶ってのは後を引きますからね、まだ少し楽しめそうかな、と」 「……だいたい想像はつくわ。あんたが何をしたか。 楽しい? 弱みをつくのって、そんなに」 「楽しいですね。リナさんお得意の盗賊いじめと同じぐらいに」 「あれは弱い者いじめじゃないわよ。当然の制裁」 「ですから当然の制裁ですって。お忘れですか、僕の二つ名を」 「生ゴミ。ゴキブリ、パシリ、中間管理職──は自分で言ってたんだっけ?」 「あの……そういう呼び方本気でやめて欲しいんですが」 「猛々しい呼び名は嫌なんでしょ」 おまけに付けてくれたわりには、けっこう大ぶりな器に入ったコーヒーゼリーの蓋を開けた。 親指大のガラス瓶のコルク栓を抜いて、ミルクをとろりと流し込む。 陽射しが傾いて、今座ってる場所に入り込んできてやたらに眩しいので、後ろに下がった。 「そーですけどー……せめて謎のプリーストとかにしといてくださいよ……」 「あんたさあ、一応魔王の腹心の側近なわけでしょ。なんでそういちいちあの二人んとこ行く暇があるわけ? ミルガズィアさんとこ行って暴れてきたほうが、まだ魔族的には有意義でしょーが」 「はあ、まーそうなんですが……今のとこ特に命令らしい命令も出てないし。 暇つぶしにはちょうどいいんですよ、あちらは」 「ヴァルガーヴにダメージ負わされたの、まだ根に持ってんの? 確か、ラグド・メゼギスでぶった切られて、精神攻撃で危うく滅びかけたのよね、アンタ」 違いますよ、とゼロスは足を組み直した。 何が違うのよ、とゼリーを口に含みながら見やると、杖の赤い宝玉が陽射しに反射してきらきらと輝く。 精神体の一部のはずなのに、なんでだろ、とふと思った、そのとき。 「僕がちょっかい出したのはフィリアさんのほうですけど?」 デジャ・ヴュ、じゃなくて、フラッシュバック──っていうんだっけ、こういうの。 脳裏にひらめいた、ふいに。 「なんでヴァルガーヴさんだと思ったんですか? まああの方と僕も初めから仲良しこよしってわけじゃあありませんでしたけど。 フィリアさんとさんざん大喧嘩してたの、リナさんだって見てたでしょうに」 「──同じことよ」 ミリーナを失ったルークは、自暴自棄の果てに、魔王のかけらを覚醒させた。 「そうですか?」 あたしとガウリイは、彼が──ルークが──望む通り、その挑戦を受けて、倒した。 倒した、というと聞こえはいいが、つまりは殺した、ルークを。この手にかけた。 「ああなるほど、同じことですね、つまり。 こないだのルビーアイ様と、ヴァルガーヴさんを倒したのと、同じことだと」 その後にやって来たこいつが言った言葉を、あたしは決して許す気になれない。 「そうよ──同じよ。 ヴァルガーヴ殺したのも、ルーク殺したのも、あたしがやったことよ」 「ですね。まあヴァルガーヴさんに関しては僕もそうだし──その点、フィリアさんも同じですよね」 「そうよ。 だからあんただってわかってやったんでしょ──フィリアを突っついたら、ヴァルガーヴも動揺するってこと、全部承知で」 睨みつける、というのとも違う。ただ、目の前の魔族を眺めていた。 視線をゼロスに向けながら、頭の中をよぎるのは、今朝の夢。 歯を食いしばって、泣くのをこらえている、あれはヴァルガーヴだった。 ──思い出した、今度こそはっきりと。フィリアを抱きしめて泣く、あいつの姿を夢に見た。 「不愉快ですか?」 「傷を抉るようなことするのが魔族のやり方なら、ずいぶんとみみっちいことするわね」 「暇つぶしですから、所詮。 それに事実ですからね、多少、大げさに見せたとはいえ」 事実。 そんなことはわかっている。あのヅェヌイも言ってた。 ──あとはみんな人間たちがやったことだ、俺がやったのは種を蒔いただけのことだ── そうして、高見の見物を決め込んで、面白がっていたということ。 「傷が癒えないのは、僕のせいじゃありませんよ──そうでしょう」 「いじくり回して治るのを遅くしてるのは、あんたのせいじゃないわけ?」 「で、す、か、ら、魔族なんですよ、僕は」 ゼリーの器の蓋を閉めて、バスケットに包み紙や小瓶をしまいこみ、アイスティを飲みほした。 ごちそーさん、とひとりごちると、おいしかったですか、と声をかけてくる。 おいしかったわよ、とあたしは答えた。たとえ話し相手が魔族でも、おいしいもんはおいしい。 魔族に『お食事』を提供しないためには、いっぱい食べて気力と体力を養うのが得策。 「確かにね。傷が治らないのをあんたのせいにしても仕方ないわ。どこまでいっても平行線よ、結局。 暇つぶしがしたくなったら、いくらでも他人の傷抉るといい。あたしでもガウリイでも──あの二人でも」 四方をアーチ型にくりぬかれた鐘楼の外に、レビテーションの呪文を唱えて、一歩踏み出す。 今まで日陰の中にいたせいか、一瞬、眩しさのあまり眼を細めた。 内側のゼロスと、ふわふわ宙に浮きながらの外側のあたしと、同じ高さの目線になる。 いいんですかそれで、と微笑むゼロスに、あたしも笑みを浮かべてみせた。 「癒えない傷ならね、いっそそれを上回る、新しい傷を付けてしまえばいい。 その痕跡が、最初の傷をあとかたもなく消してしまうまで──致命傷になるまで」 気の済むまで抉って、抉り続けるわよ、あたしなら。それで駄目になるようなら、それまでのこと。 ゼロスの視線があたしの首筋のあたりにあてられているのに気づいたけど。 奴は何も言わなかったし、あたしも何も聞かなかった。 「じゃあね」 もう二度と会いたくないわ、あんたには、と言うと。 僕もです、という言葉が、背中を向けざま、耳に入った。 空中を漂いながら、太陽を見上げる。 じりじりと、肌を焼かれるような陽射しの熱さが、今は心地よかった。 バスケットと水筒を返却したあと、宿屋に戻ってみると。 クラゲ男ときたらまだ寝こけてやがった。上半身が床にずり落ちてるというのに。 お日様がこーんなにさんさんと照ってるというのに、なんでこうも太平楽に寝てるんだろか。 器用な寝方だと思いながら、そのそばに座り込んで、鼻をつまんだ。 ふが、とか変な声出すだけで、やっぱり起きやしない。 どうせ聞こえないだろうけど──小さな声で言っておくわ。 消えても、また痕をつけて。消えたらすぐに。何度でも。 傷を癒そうとする代わりに、その傷を抱え込んで、新しい傷を付けて。 この身体に、心に、決して消えない痕を残して。強く深く。 その傷こそが、あたしを打ちのめすといい。あなただけができるんだから。 ドレッサーの前に立って覗き込むと、首筋の赤い痕は、まだくっきりと残っていた。 いつまで持つかな、と思いつつ、手のひらで押さえてみる。 埃で汚れて曇り気味の鏡にうつる、自分の瞳を見つめながら。 届くのかどうか知らないけど──どうか聞こえるといい。 ──だから。 だからあんたも、癒えない傷をそのままに、彼女に新しい傷を与えてやって。 その身体と心を包み込んで、決して消えない痕を刻むの。抉るように強く深く。 その痕跡が、あんたたち二人を互いに打ちのめすなら、それ以上の幸福はないと、あたしは思う。 |
16341 | あとがき | じょぜ | 2004/5/2 15:37:35 |
記事番号16340へのコメント お読みいただきありがとうございました。m(__)m イメージソングは、鬼束ちひろの「Castle・imitation」です、たぶん。後づけっぽいんですが。 「私の焦りを吸い上げるヴィーナス 貴方が似合うと言ったこの抗いの ドレスを裂く程の答えと正義のナーヴァス 生きて 生きて 生きて 生きて 生きて 生きて」 リナの心情、というより、ヴァルガーヴとゼロスから見た、リナ=インバースって感じで。 ヴァル&リナが好きですねー、とあるサイトさんの二次創作を読んで以来(そこはリナ総受けでヴァルリナでしたが)。 ちなみにこの曲は、初回特典の8cmシングルバージョンのほうが好きです。勇壮で(知らない人にはわけわかりませんね、すみません)。 それでは。 |
16342 | 一番乗りですか? | Laytear | 2004/5/2 19:38:24 |
記事番号16341へのコメント おひさしぶりです。 この間のレスありがとうございます。 えぇとひょっとして、ヴァルリナのサイトって「 tea or coffe? 」ですか? ちがっていたらごめんなさい。 でも、あの話も好きなんですよ。 では。 |
16343 | 一番乗りです | じょぜ | 2004/5/2 20:21:13 |
記事番号16342へのコメント こんばんは、この間は感想ありがとうございました。 あはは、そうです「tea or cofee?」(管理人・九条綾樹さん)の「BREATHLESS NIGHT」のことです。素敵ですよね、あのお話。 初めてヴァルガーヴ×リナのカップリングを知ったとき「ええ? それって無理ありすぎないか?」って思ったんです、はい(笑)。どーやってカプにするんだろう、と。で、こちらのサイトさんのお話を読んで、眼からウロコでした。ああなるほど! って感じで。なもんで、ヴァルフィリの次に実はヴァルリナ好きになりました。 ではでは。 |
16344 | いいもん、二番で〜(意地) | ミキ | 2004/5/2 23:55:05 |
記事番号16341へのコメント こんばんは、じょぜ様!今回はリナががんばってくれてちょっとスッキリ。ゼロスにやられっぱなしっていうのはやっぱり。お礼参りはしないと。(笑)「Castle・imitation」は聴いた事ないです。さすがじょぜ様!かなり詳しい。私の場合浅く広くで。ちょっと歌ネタになりますが、宇多田の「誰かの願いが叶うころ」とか、ミスチルの「掌」、ドリカムの「やさしいキスをして」とかオススメです。あ、あと質問なんですが、最後に新しい傷を付けて〜という部分で新しい傷ってどういう風に解釈すればいいんでしょ? |
16346 | 二番さん、いらっしゃ〜い | じょぜ | 2004/5/3 06:37:47 |
記事番号16344へのコメント おはようございます、こんな時間に眼が覚めたのでさっそくレスをば。 そう、今回はリナにヴァルガーヴのリベンジをしてもらった、そういうお話っす。ただ食ってるだけって説もありますが(笑)。 >ちょっと歌ネタになりますが、宇多田の「誰かの願いが叶うころ」とか、ミスチルの「掌」、ドリカムの「やさしいキスをして」とかオススメです。 おおーありがとうございます。全部聞いたことないです。今度聞いてみますねー。 いや、詳しくはないです、ハマるとしつこいだけで。鬼束ちひろもCD全部持ってるというだけでライブとか行ったことはないです。歌詞の意味も正直わからない部分が多いです、Castle〜は特に。きっと本人にしかわからないんだろうなあって感じで。 >あ、あと質問なんですが、最後に新しい傷を付けて〜という部分で新しい傷ってどういう風に解釈すればいいんでしょ? んーとですね、軛・枷をリナならどう解釈するかなあ、と考えたんですね。 前向きにぶっ倒れるっていう意味に書いてみたつもりです。重さに押しつぶされそうになっても、それでも戦う、みたいな。 苦難に立ち向かうにはそれぞれのやり方があって、ヴァルフィリはじっと耐え忍ぶって感じだけど、ガウリナはすごく前向きに歩んでくっていうイメージがあります。特にリナは向かい風にもちゃんと顔を上げて立ってる印象が強いので。 あとはまあ……その……これ言っていいのかどうか……というか実はこっちの意味がメインなんですけど(笑)。 今回どっちも、情事の後、から始まったお話なんですよ。なんで、キスマークってのはその暗喩ってことで……新しい傷、ってのはつまりそういう意味……です。 「感染」がダークだったんで、今回もダークさは残したかったんです。だから、抉る、とか、致命傷、とか、痛い感じの言葉を使ってみました。でも、恋人同士、の雰囲気も残したかったので。 「感染」=伝わるって意味ですよね。で、似たような感じでもっと強い意味の言葉を探すうち、「痕跡」=残る、という言葉にピンときて、この言葉からバーッとイメージが広がって出来上がりました。 あ、そうだ、書き忘れてました。今回のお話のヒントになったのは、ラントさんの「鏡」もそうなんですけど、ミキさんが書いてくださった「絆になるわ」って文章も、すごく参考になりました。ありがとうございます。m(__)m あと、様づけじゃなくて、〜さんでいいです。なんか恐縮しちゃいます(汗)。 ではでは、今回も素早いレスありがとうございました〜!!!!! |
16352 | えっと、三番目で〜す… | P.n.t. | 2004/5/5 12:32:31 |
記事番号16341へのコメント こんにちは、じょぜさん♪ 今度はリナvsゼロスですか。いいコンビですv 個人的にカップルよりvsの方がいいでね〜この二人は。 ゼロスはリナ達がどういう存在か分かっていて、リナは魔族がどういう存在か分かってるってゆーかけ合いが好きですねぇv なんかじょぜさんの作品を読んでから、ヴァルリナもいいなーって思いました☆ リナちゃんが素敵です☆寝ボ助ガウリイ君もよかったです(笑) きゃー、ゼロスがゼロスしてましたぁ☆ ゴールデンウィーク終わってしまうのが寂しいデス…(関係ないし; これからも頑張ってください☆ では☆ |
16353 | 三番テーブルの客(っていう深夜ドラマがあったなあと) | じょぜ | 2004/5/5 18:33:27 |
記事番号16352へのコメント こんばんはーP.n.tさん、二度目のレスありがとうございます。 >個人的にカップルよりvsの方がいいでね〜この二人は。 >ゼロスはリナ達がどういう存在か分かっていて、リナは魔族がどういう存在か分かってるってゆーかけ合いが好きですねぇv VSな関係、お気に召していただけましたか。嬉しい。 緊張感あるやりとりは書いてて楽しいのですが、リナもゼロスも頭がいいし、手の内を早々簡単に見せない性格なので難しいんですよねえ。私の文章力で、こう互いの腹を探り合うっていうのがうまく表現できたかどうか。 >なんかじょぜさんの作品を読んでから、ヴァルリナもいいなーって思いました☆ >リナちゃんが素敵です☆寝ボ助ガウリイ君もよかったです(笑) >きゃー、ゼロスがゼロスしてましたぁ☆ ヴァルリナ……マイナーもいいところですよね。私もまさか結構ハマるとは思いませんでした。ま、私の場合はあくまでもヴァルフィリベースなんですが。でもフィリリナも実は好きだったり(笑)。 なんか目線が近い気がします、この二人は。前はゼル&リナがそうかなあと思ってたんですが、ゼルのほうがちょっと大人だからストッバーになってしまうけど、ヴァルとリナはキレたらどこまでも突っ走りそうです。 リナ、素敵でしたか? なんかこう、かったるそーに食っててもカッコいい感じにしたかったんで……うまくいったかなあと心配でした。 ゼロスもまた気に入っていただけたようで。ありがとうございます。 ではでは、感想ありがとうございました〜!!!!! |
16370 | 感染(改訂版) | じょぜ | 2004/5/9 19:38:53 |
記事番号16285へのコメント タイトル通り、加筆修正してみました。 最初のやつはあまりにも荒すぎるというか、説明不足な部分が多すぎたので、書き直して再掲示させていただきます。終盤のあたりを特に大幅に書き加えました。 では、どうぞ。m(__)m 【感染】 開け放した窓から入り込む風が素肌に心地よかった。 薄地のグリーンのカーテンが踊ってはひるがえる。 きれいに晴れ上がった空が垣間見え、雲がちぎれて流れていく。 部屋中に昼下がりの陽射しがあふれかえって、白い壁が照り映える。 明るく穏やかな時間が過ぎていく。 ゆうべの狂乱が、全部夢だったのかと錯覚しかけるほどに。 隣に眠るフィリアが、唇を少し引き結んで、丸めた指をぴくりと動かす。 そのまま起きる気配はなく、ただ無心に眠り続ける。 俺の腕枕に持たせかけた頭を、ますます深くうずめては、何かを呟く。 身じろいでは無意識のうちにシーツを引き上げ、むきだしの肩をちぢめる。 頬にかかるほつれ毛がかすかに風に揺れるが、髪を乱すというほどの強さではなく。 涙の跡が残る目尻と、涙の粒が浮かぶ睫毛を親指でそっと撫でる。 額に、鈍い、鋭い痛みが走った。 それが合図のように、風のように捕らえどころがなくとも、気配で存在を示してくる。 やっと寝ついたところだってのに畜生、と心の中で罵倒した。 「──出てこいよ、デバガメ」 なにもない空間を見すえて、だるい頭だけを動かして。 二分経っても姿を現さない奴に、舌打ちして眼を閉じる。 「……昼間から仲のいいことで」 何かしゃべると罵詈雑言しか出てこないだろう唇を噛む。 「でもデバガメは心外ですね。ここに来たのついさっきですよ」 「──帰れ」 「呼んどいてそのセリフはないでしょう。お疲れみたいですね。ま、無理もありませんが──。 あんまり予想通りなもので、拍子抜けしちゃいますね」 もう少し楽しませてくださいよ、とグレーター・ビーストの腹心は微笑んだ。 どうして大声で笑うということをしないのだろうと、ときどき思う。 魔族はみんなそうなのかも知れないが、微笑よりは哄笑のほうが似合う連中だろう。 こいつがそういう笑い方をするなら、ここまでの嫌悪は感じない。 「何しに来た──いや。 何をした、貴様」 「何って──? ああ。 あなたの腕の中の大事な大事な女性(かた)が、あんまりな暴言を僕にお吐きになるものですから」 「──生ゴミ、ゴキブリ、パシリ、中間管理職。 どれだよ、てめえの癇に障ったのは」 籐のスツールに腰掛け、組んだ足に杖を乗せて、感心したように首を横に振る。 「今でもそういう眼ができるんですねえ、あなた。 僕なんかよりずうっと魔族らしいですよ」 かすかな呻き声をあげて、フィリアがさらに身体を寄せて、俺の喉元に唇をうずめてくる。 起こしかけた身体をそのまま沈めて、奴のほうに視線を向けた。 「いいじゃないですか、ちょっとちょっかい出したぐらい。 そういうのも必要でしょう? スキマを埋めるってやつですよ。 かえって仲良くなれたようで、僕が馬鹿みたいじゃないですか」 夜半、鋭い悲鳴をあげて飛び起きるなり。 俺の胸にしがみついて、服がちぎれるかと思うくらい強く強く握りしめ。 どんなに揺すぶっても、理由を聞いても、真っ青な顔で首を振って泣きじゃくり続ける。 一度まどろみかけたと思うと、顔中を涙で濡らしては両手で覆う。 ひどく冷たく血の気のない指を伸ばして、気を失っては、怯えたように何度も目覚め。 一晩経っても震えがとまらず、そのまま寝台の中で抱きしめ続けるほか、術がなく。 ようやく眠りに落ちてほっとしたのもつかのま。 「答えろ──何をした」 夢の中で。 「彼女にお聞きになったらいいでしょう。落ち着いたらゆっくりと。 口にするのも嫌だろうとは思いますけどね」 「言え」 「大声出すと起きちゃいますよ。そうなったら困るのはそちらでしょう。 顔を見たくないほど僕を毛嫌いしてますからね、そこのお方」 「なだめるのはこっちの役目だ。てめえが心配することじゃねえよ」 「おやおや、身体が保(も)ちますか? ──いやこれは下衆な問いですね。そう言いたいんでしょ? 顔に出てますって。 まあ落ち着いて、ちょっとお話ししましょうよ」 ざんばらな前髪をかきあげて、ありったけの憎悪を込めて睨みつける。 怒らせるどころか、喜ばせる結果にしかならないとわかっていても。 「まあフィリアさんが僕にいちいち突っかかってくるのは毎度のことですけどねえ。 さすがに今回は腹に据えかねたものですから」 「『精神だけの存在のくせに、魔王の封印された心ひとつ、ヒトの力を借りなければどうにもできなくて、 痛みも苦しみも嘆きも理解できない、心のないあなたなんかに」』 「心がなくても、怒らせると怖いというのを少しは知っていただかないと」 「……魔族に、心なんかねえだろ」 「そういうふうに創られたんですよ、僕たちは。 あなた方が、心があるように創られたように。 確かに魔族はあなた方竜族やヒトとは相容れないし、滅ぼすこと以外の目的なんかありませんけどね。 それでも、あのお方がお創りになったものとして、最低限の敬意は払ってるんですよ。 よっぽど彼女の言い草のほうが、あのお方に失礼だと思──」 「御託はどうでもいいんだよ。何したのかさっさと話せ」 そんなたいしたことじゃありません、と静かに笑った。 「──精神体にふさわしく、夢の中にお邪魔して、ちょっといじくっただけですよ。記憶を」 みし、と心臓が鳴る音が聞こえる。 「降魔戦争のとき、僕が何千というゴールド・ドラゴンを殺したときの懐かしい風景と。 フィリアさんの一族があなたの一族を殺したときの情景と合わせて」 ──規則正しい寝息は乱れなかった。 「竜たちの夥しい死骸が折り重なる中で、フィリアさんがあなたを殺す夢を」 ──乱れているのは心拍数と頭の中と。 「今のあなたではなく」 ──闇色の神官が白い陽射しの中で微笑むその姿と。 「幼い子どもの姿のあなたに、槍を突き立てるところをお見せして差し上げました」 ──覚えているのは血の匂いと肉を突き破るあの嫌な音と痛みと。 「嬲り殺しの趣味は僕にはありませんでしたから、ひと思いにやってあげましたよ。 なんかこう言うと、僕があなたを殺したみたいですね」 「……笑わせんなよ、悪趣味の塊が」 お褒めにあずかり光栄です、と軽く頭を下げて──変わらず微笑を浮かべ。 「つまり、フィリアさんに、フィリアさんがあなたを殺す夢を見せてあげたというわけです。 あなたを殺したあと、金と黒の屍の山の中でしばらく突っ立っていましてね、返り血でずいぶん汚れて。 そのうち発狂したようなので、そこで終わりにしました。 痛みと苦しみと嘆きの心?──ひとつとやらで、どれほど耐えられるかと思っていたら」 握りしめた俺のこぶしに眼をとめて、肩をすくめた。 「心が駄目になったら身体で慰めあうとはね。うまくできてますよね、実際」 「……予想通りって抜かしといて、なにが」 「ええまあ、予想通りですけどね、もっとこじれてもいいんじゃないかなーっと。あなたがたなら」 気がついた時には、手の届くところにあった水差しを投げつけていた。 杖の宝玉の部分に吸い込まれ、音ひとつ立てずに砕け散る。 「落ち着いてくださいって。今彼女に喚かれたくないのは同じなんですから。うるさいの嫌いなんですよ僕。 話の続きですけどね──心ひとつで存在する僕たちにはわかりませんてことです」 「あるのかよ、心が」 「じゃあ言い方を変えましょう。 心がない、という心を持っていると」 殺してやる。殺す。 そう思いながら腕の重みが眼を覚ますのではないかと、そっちのほうが不安で。 言葉がむりやりのように口から引きずり出されてくる。 「……サドが……」 「冷酷、残酷。鬼畜? まあ、優しいとか親切なんて言って欲しいわけじゃありませんが。 残酷さならあなた方のほうにだって充分あるでしょうに」 「いいから消えろ!」 「──やーですねえ、僕をあんまり喜ばせないでくださいよ。いいんですか、それで」 もう抑えるのも限界だった。嘔吐と嫌悪が同時にこみあげてくる。 フィリアを起こしてもいいから攻撃してやろうと、汗で濡れた手のひらに力を込めたとき。 「その『心』に、僕たちは僕たちの王を人質に捕られてるんですから、厄介ですよね」 虚ろな紫の瞳がゆらめいて、一笑する。 俺だけでなく、自分を、魔族そのものを嘲るような笑い。 「心のない僕たちが、ヒトの心に振り回されてるのは確かに笑えますよ。 それを指摘したフィリアさんがちょっと憎たらしかったもので、つい」 「だったら。 今度は俺にしろ、こいつじゃなくて」 「ヤですよ。あなたイジメ甲斐がないですから」 「弱い者イジメが魔族の遊びってか。もっと笑わせるな」 「いーえーとんでもない。遊び相手はちゃんと選んでますよ。 フィリアさんみたいに強い方じゃないと、こういうのは面白くないですからね」 強い、どこが。 言外に、お前は弱いと言われた──そのことよりもひっかかって。 俺のその考えを読み取ったかのように、わずかに唇の端を上げて話し続ける。 「──もしかして、フィリアさんより、あなた強いつもりでした? 逆でしょう。あなたがいつもぐらついて、彼女に支えられてるんじゃないですか。 その証拠に、自分が傷つけられたわけでもないのに、なんで今そんなに動揺してるんです? あなたは駄目ですよ脆すぎて、すぐ崩れるから。仮に今回あなたを狙ったとしても、彼女は動揺するどころか逆に奮い立っちゃうでしょ、あなたを守らなきゃって──違いますか? だから彼女のほうを標的にしたんですよ、倍楽しめるし」 言い返そうとして。 言葉が出てこない。 「……そんなに顔色が変わるほど驚かれても……こっちが意外ですよ。教えないほうがよかったですかね。 話を元に戻しますけど。 フィリアさんみたいな方はね、突っつかれて落ち込んで泣き喚いて気が済むまで絶望したら、あとは勝手に立ち直るんですよ。で、前より少し強くなってるんです。その繰り返し。 ──リナさんと違って」 寝返りを打つ気配に、ぎくりと振り返る。 起きたのではなく、背を向けて眠り続けるその姿に胸を撫で下ろした。 腕枕が自由になり、息をついてそっと抜き取ると、寝台に腰かけて正面から奴に向き直る。 「……あの女のほうが……よっぽど強いだろうが、こいつより」 「そう思いますか、ほんとに? 考えたことありませんか、あなたとリナさんが似てるって。ま、リナさんのほうがあなたよりは持ちこたえるほうですけど。 ──似た者同士だと意外にわからないんですかね」 あの女が弱いはずねえだろ、と言いかけて。 あの女の保護者が、その横に立つ姿をなぜだか思い出した。 「比べてリナさんとフィリアさんに共通点なんかないのに、どうしてでしょうね。 同じこと言ったんですよ」 面白いことに、と呟く。 似てるとこなんか確かにひとつもない。姿も髪も顔立ちも、外見は何ひとつ。種族でさえも。 それなのになんで──泣き顔がだぶったりする? 「ならあの女に夢でもなんでも見せりゃいいだろうが」 「やりましたよとっくに。 そうするとね──あなたと同じことするんですよ、ガウリイさんが。 で、立ち直っちゃうんで、つまらないなあと」 「──なんて言われたんだよ」 眼を開けているのも辛いほどの頭痛をこらえ。 早くどっかに行きやがれ、と内心で呪いながら視線をあてる。 そのくせ質問だけがずるずると口から出てきやがって、我ながら苛つく。 「何したんだ、あの女に」 「なんにもしてませんよ。 ただ見てただけです。サイラーグで三人目のルビーアイ様とリナさんが戦うのを」 杖をゆらゆらさせて、なんでもないことのように話し続ける。 とてもそうは見えないが、腹の底は煮えくり返っているんだろう。 募れば募るほど冷ややかに沈静化していく──こいつの心底からの怒りとはそういうものだったと、今さらながら思い返す。 「前に話したでしょう、あなたに似てたって。 たまたまリナさんやガウリイさんと仲間だったんですけどね、その方。 それをただ見ていただけです、アストラルサイドから。 全部が終わって──リナさんがすさまじく落ち込んでいたのでね、ちょっとお邪魔したんです。 『何をそんなに後悔してるんですか。ヴァルガーヴさんのときとたいして変わらないじゃないですか』って。 そしたら言われたんですよ」 「『ヒトの姿かたちだけ真似ることができたって、腕にも心臓にも血は通ってないくせに。 心を弄んで、苦しんでる人を嘲笑することしかできない幻のくせに。 精神体にあたしを殺せても、抱けるものなら抱いてごらんなさいよ』」 沸騰する脳が。 一瞬、静まった気がした。 「──的確じゃねーか」 「あっさり肯定しないでください、精神攻撃ですよ。言うのも辛いんですから」 「そのほうが世の中のためだ。滅べ滅べ」 「世界を滅ぼそうとした方がそんなこと言っていいんですかあ?」 「世界を守ろうとした魔族に言われたくねえ」 血の通わない腕。 血の通わない心臓。 魔族の力を得たあとも、俺の中の竜の血は相反する力に噛みつくように、身体中を逆流し。 過去も記憶も消せはしないのだと、嘲笑うように激痛だけを残して。 まるで枷のように、右腕だけが戻らないまま。 唯一、血の通う部分だったのだと。 「僕だって傷つくんですよ結構。 その傷口に塩をすり込むようなこと言うフィリアさんだって酷いじゃありませんか。 なんで申し合わせたようにおんなじこと言いますかね」 「……オマエ忘れてるだろ、あの女とこいつの共通点」 「そんなものありましたっけ」 あるだろうが、ひとつだけ。 ご親切に教えてやる義理なんざさらさらないので、黙っていると。 「──……ああなるほど……そのことですか」 心底くだらないとでもいうように薄く苦笑いし、俺の全身を舐めるように見回す。 ひやり、と一気に体温が下がる。 「なかなか普段忘れがちですが、そういえばそうでしたねえ。 本当に忘れてましたよ。精神体ってこういうとき不便ですよね。性別なんてありませんから。 で、おんなじ慰め方するのも、あなたとガウリイさんの共通点てやつですか」 知ったことか、と痺れた腕を抑えた──右腕を。 「なるほどねえ──リナさんとフィリアさん、あなたとガウリイさんに共通点があって。 リナさんとあなたがよく似ていて。 じゃあ、フィリアさんとガウリイさんにも、似てるとこあるんですかね──? ──ああ、ひとつだけありますよね。 弱いように見えて本当は強くて、支えられてるようで実は支えている──お相手の方々は気づいてるのか気づいてないのか、そこまでは知りませんが」 ここにきて初めて楽しげに、にやにやと笑いやがる。 無言のまま、ただ右腕を抑え続け、唇を噛んだ。 「大変ですね、お守りも。 ……そうニラまないでくださいよ」 「──見せ物じゃねえよ」 「めんどくさいものしょいこんで大変だなあと思うだけです。 次の器はもうちょっと心の鈍い方にお願いしたいですね。 いくら滅びを望まれても、今回みたいに、恋人が殺されたら覚醒して、あげく自滅の道を選ばれるのはもうごめんですから」 腕の鈍痛と頭痛を一瞬忘れた。 確かに寝息は聞こえるのに、本当にいるのかどうか、反射的に振り返って確かめる。 「……ほんっとにすぐ顔に出る方ですねえ。 人ごとは思えない? 人ごとでしょう、所詮」 微笑がさらに深くなり──そのまま凍りついたように動けなくなる。 次に出てくる言葉を想定して、次にくる何かを──予感して。 身体の奥から湧き上がる憤怒と憎悪をあらわにし、身構えて。 「それとも。 ──本当に人ごとじゃあなく、してみますか?」 出せる限りのすべての抵抗を振り絞り、叩きつけた次の瞬間。 「失せろ──今すぐ!」 眼と鼻の先に奴の顔があった。 底無し沼のような深い紫暗の瞳の中に、呪縛されたようにそれ以上声が出ない自分の顔が映る。 今までよりもさらに低く、この距離でようやく聞き取れるほどの呟きが。 唇ではなく、その眼の中から聞こえてくる、招くように。射抜くように。 「心が── いったいなんの役に立つのか、是非ともお教え願いたいですよ。 憎しみ、怒り、嘆き──それらを抑えるための『心』なら、その葛藤こそが世界を救うというのなら。 支えの棒を一本外されただけであっけなく崩れ落ちる弱い肉体と心を持つ人間に── 魔王のかけらを封印して世界の命運を委ねるなんて。 残酷なのは、神と魔、いったいどちらですかね。なぜ魔族だけが酷い酷いと言われなければならないのやら? 本当にスィーフィードは厄介かつ自分勝手な封印を施してくれた──そう思いませんか? ねえ」 鳥のさえずりが響く、細くなめらかに。 張りつめた空気を破って──また元の静寂に戻っていく。 「じゃ、ま、今回は現状に満足して引き上げますか。 せいぜい世間知らずを抱っこしてあげてください、身体と心で。 では、これはちょっとしたお詫びということで」 割れたはずの水差しを、寸分違わず元に戻して、寝台のそばのテーブルに静かに──置く。 ……息が。 できる、やっと。 呼吸を、無意識のうちに止めてしまうほど、緊張していたのかと。 奴がいなくなった瞬間に、吐き出した息と噴き出した汗で気づかされる。 鼓動が激しく耳を打って、それしか聞こえなくなる。 容易に静まらないそこと、狂ったように叫び出しそうになる喉をつかんで、強く言い聞かせる。 ──それは。 それは、心臓に血が通う証拠だと。 あの女の言葉に今はすがりついて、喉からほとばしり出る呻きをかろうじて止める。 (支えの棒を一本外されただけで) (あっけなく崩れ落ちる) 震える指を組みあわせ、額に押しあてて、動悸が静まるのを待つ──祈るように、今は、ただ。 そうして、きつく閉じた眼を、ふたたび開く。 ひるがえるカーテンと、かすかな息づかいと。 部屋中にあふれる、白い光はさっきまでと同じだった。 ──……そう、同じだ。 床に広がる水の染みは、そのうち乾くだろうし。 こめかみのあたりの疼痛も、前より酷くなっただけで、いつか止む。 真昼だろうが真夜中だろうが、夢は、夢。 背を向けて眠り続けるフィリアを、起こさないようにこちらに向かせた。 カーテンと同じ、薄いグリーンのシーツに包まれた身体が細く浮き上がり。 陽射しの中で金の髪が明るく輝く。その髪に縁どられた頬に手を当ててみる。 青ざめた顔に少しでもぬくもりが伝わればいい。 (精神体にあたしを殺せても) (抱けるものなら) 右腕の痺れがおさまらないまま。 ずきずきする頭の痛みをこらえてかがみこみ、額と額をくっつけた。 真昼に見る夢も真夜中のそれも、悪夢なら全部引き受けてやるから。 悪夢だけは感染するといい。のみこんだ毒も、血の味も、匂いも。 闇の中でも光のただなかでも、悪夢だけは俺の領域であるように。 |
16475 | 揺籃 | じょぜ | 2004/6/18 12:13:08 |
記事番号16285へのコメント 【揺籃】 ひとしずく、ふたしずく、 落ちる落ちる。私の上に。 赤い、雨が。 赤い水の中、裸足で歩く。 鉄の味が、口の中に、くちびるのまわりに。 生臭くよどむ空気。 立ちこめる黒い雲。ねばねばした赤い海。 かわく、かわく。 乾いて、喘ぐ。 どうか水を。 すきとおる、色のない、すべての器に従う、けれどつかめない、きよらかな。 しずくの跳ねる音。 くるぶしまで浸かる赤い水。 どろり、ひとすくいを手のひらに。 乾きすぎて悲鳴も出ない喉へ。 みず、を。 水の落ちる音。 水の流れる音。 どこからか。 どこからか。 赤い水をたっぷりと含んで、 乾く、けれど重いこの身体。 ただ手をのばす。 さしのべる。 どうか水を。 うるおして、染み込ませて、最後のひとしずくになって、溶けてしまうまでに。 双の眸(め)から流れ落ちる。 それすらも赤い水。 口の中にも、瞳の奥にも。 透明な液体など、 初めからないかのごとく。 それでも願う、天を仰いで。 洗い流して、どうか。 この赤を。 身体の奥に染みついた、 むせるようなこの匂いを。 雨が降る。 ことばと一緒に落ちてくる。 水が。 ふりそそぐ、ふたつの泉から。 黒く淀んだ空の向こうからではなく。 澄んだ、琥珀色の、 きれいであたたかい、きんのあめ。 ふりこぼして、そこから、いつまでも、絶えることなく、私の上に。 水が。 水が、落ちてくる。 瞳から、指を濡らして、頬に落ちて、くちびるをつたって、流れ落ちて。 心臓の音は子守歌。 この腕の中が私のゆりかご。 したたり落ちる、水はいのち。 ──────────────────────────────── お読みいただきありがとうございました。 ツリーが落っこちる前に付け加えとこうと思いまして。 フィリア視点で、ゼロスに悪夢を見せられたときの彼女の心情です。 「ぼくの地球を守って」のラストの方で、紫苑が発作を起こした木蓮を抱きしめて泣く、っていうシーンがあったと思うんですが、絵的にはあれをイメージして書きました。 ではでは。 |
16487 | お久しぶりです | ミキ | 2004/6/20 23:39:15 |
記事番号16475へのコメント お久しぶりです〜じょぜさん!いや〜今回も奥が深かった。詩って言葉が必要最小限しかないから人それぞれ解釈が違ってきておもしろいですよね。というわけで私なりに思ったことかかせて頂きます。よく話として、ヴァルが血まみれはイメージですが、揺籃では水に飢えた血まみれフィリアでビックリしました。よく血は生命の水みたいな事がいわれていますが、この場合ヴァルの涙がふぃりあにとっての命の水なんだ〜と感激しました。あと、涙に関することで、小説に「会えなくなってしまうのが怖いから泣くのだ・・・」というのがあって、これは共にいるための涙なんだな〜と感動していました。ヴァルの涙もこれだと思うのです。だいたい、あれもこれもゼロスが悪いので、お仕置きにアメリアと徒党を組んで命の賛歌プラス「jyful・jyful」のコラボをお見舞いしてきましたから、しばらく再起不能です!!(ちょっと蒸発してました(笑))フフフフ・・・。ではでは、ここらへんでお暇させていただきます。 |
16493 | お久しぶりです〜! | じょぜ | 2004/6/22 05:57:56 |
記事番号16487へのコメント ミキさん! お元気そうでなにより! このたびもレスありがとうございます! >よく話として、ヴァルが血まみれはイメージですが、揺籃では水に飢えた血まみれフィリアでビックリしました。 血まみれ、は確かにヴァルのイメージのほうが強いですよね。でも私の中ではフィリアも血にまみれてるってのはそんなに意外でもないんですね。 「歌」のルークとの会話の中で、「私の手も血で汚れているから気づきません」てセリフをフィリアに言わせたのは、手段がそれしかなかったとはいえ、フィリアは一度ヴァルガーヴを殺したわけだから、彼女の中では自分の手も血まみれだ、と認識だと思います。そういうフィリアが好きです私は(笑)。 >よく血は生命の水みたいな事がいわれていますが、この場合ヴァルの涙がふぃりあにとっての命の水なんだ〜と感激しました。 涙を流すことができるのは(血もそうだけど)「命あるもの」だけだと思うんですよね。純魔族には無理でしょう。物質としての肉体がないわけだから涙自体が出てくるとも思えないし。だから、泣ける、ということは生きてる、ということなんじゃないかな、と思います。 >あと、涙に関することで、小説に「会えなくなってしまうのが怖いから泣くのだ・・・」というのがあって、これは共にいるための涙なんだな〜と感動していました。ヴァルの涙もこれだと思うのです。 共にいるため……いい言葉ですね。ヴァルはなんとなく、ずーっと泣くのを我慢してるイメージがあります。そういう彼が泣くとしたら、やっぱりフィリアを失いかけてるときでしょうね。彼女としては彼に「泣き続けて」と懇願するのはほんとは本意じゃないんですけどね。今回は助けを求めてるので……。 ゼロスにアメリアと手を組んで命の賛歌攻撃……! すごいっ! かなりのダメージを受けてるでしょうね!(笑)。 ゼロスはゼロスで私はそれなりに気に入ってるんですよ。あーゆー徹頭徹尾「感情」というものを持たないキャラって結構書きやすかったりします。てか私に似てるし……あはあは。 では、これで。感想ありがとうございました〜!!!! |
16497 | すべてを台無しにする座談会 | じょぜ | 2004/6/23 19:57:38 |
記事番号16285へのコメント ツリーが落っこちる前に付け加え、第二弾。 かなり悪ノリしてます。自作品へのツッコミ&おちょくりってことで勘弁してください。 出演者・ゼロス、ヴァル、フィリア、リナ、ガウリイ。 緑茶と和菓子(のりあられとか、もなか、大福、羊羹など)で座談会スタート。 「いやあ、今回はなんかみょーに疲れるお話でしたねー」 「てめーが言うな」 「そうです!」 「でもあたしもなーんか肩凝ったわ。いっぱい食べられてラッキーだったけど」(もぐもく) 「オレは楽でよかったなあ。どっちにしろ長いセリフなんか覚えらんないし」(ずずず) 「僕的には楽しかったですよ。ヴァルガーヴさんからかえて。またこういうお話やりたいですね」 「………………二度とゴメンだ」 「ところでフィリアさん、なんで僕にだけお茶とお茶菓子がないんですか?」 「生ゴミに出すお茶やお菓子なんかどこにもありません。霞でも食べてればいいでしょう」 「だからって空の湯のみだけ出さなくても……茶托もないし。しかも縁が欠けててヒビが入ってますけど」 「あと一時間したらいれてあげます、出がらしを。おとなしく待ってなさい」 「──なんでそう怒ってるんですか?。寝てただけの方が」 「なっ!?」 「そーよねえ。ほらあたしはさ、主役だから長ゼリフなんてちょろいけどさ。ヴァルガーヴなんか結構大変だったんじゃないの? 覚えるの。あんた暗記とか苦手そーじゃない」 「その点僕なんか二話に渡って出ずっぱりですしねェ。あなたとガウリイさんなんて寝こけてただけじゃないですか」 かああああああっ。 「す、す、好きで寝てたわけじゃありませんっ! そもそも生ゴミが全部いけないんですっ! 私にヒドイ夢は見せるし、ヴァルにもさんざん嫌味たらたらでっ!」 「まあそーゆーお話だったわけですからねえ」 「…………でもやっぱりヒドすぎます! あれこそあなたの本性そのままです!」 「魔族ですから。否定はしませんよ♪」 「まあまヒリア。おひふひなはいって。え?」(もぐもぐごくん) 「ううう……だって……」 「確かにゼロスの言うとおり、あんたは最初から最後までぐーぐー能天気に寝てただけだったわ。 まーこいつのセリフだって魔族ってゆーより、セクハラ親父って言ったほうが正しかったけどね」 「やだなあリナさん、そんな言い方しなくても」 「それよりなにより、最高に情けなかったのはこのヴァルガーヴよ。 甲斐性も気迫もいまいちどころかいまさん、いまじゅうぐらい足りなすぎ、ゼロスに圧されっぱなし言われぱなし、けちょんけちょんのメッタメタにやられまくってた、それは誰にも否定のできない事実よね」 「てめ(怒)…………黙って聞いてりゃ言いたい放」 「でもあんたはそーゆーどーしよーもなくなさけなぁいヴァルガーヴになんだかんだ言って惚れてるわけでしょ?」 「や……やだリナさん……惚れてるだなんて……そうですけど……」(もじもじ) 「そーだ、この際だから聞いておくわ。あんたこいつのどこを好きになったわけ? やっぱ腰?」 「そ、それもありますけど……こう全体に漂うセクシーさとか割れた腹筋とか顔が好みだとか高木ボイスでお嬢さんて言われた瞬間胸がときめいたなんて……もうっ! 言わせないでください、恥ずかしいじゃないですか」(ぽぽっ) 「…………ぶっちゃけ言わしてもらうとさ、竜族の好みとかセンス自体ついていけないし疑うわよ。 ヘソ出し細腰流し目の美形であったとしても所詮はチンピラ。ガーヴとの関係を本人がいくら否定したってアイキャッチで薔薇は散らすわキャラソンで薔薇がどうとか歌ってる限りなくアヤしい男よこいつは。 あんたはあんたで黙ってりゃ金髪碧眼非の打ちどころのない楚々たる美人。なのにキレたらレーザーブレスにモーニングスター攻撃。紅茶はともかく趣味が鈍器集めってのがさらに常軌を逸してるしね」 『……………………』 「でもね(にばっ)、ドラゴン同士、割れ鍋に綴じ蓋、タデ食う虫も好き好き、毒をもって毒を制すっての? ──それとも毒を食らわば皿までかな? ま、とにかくヴァルガーヴの面倒はあんたがみるのが結局一番なんだと思うわ」 「キサマ……それでフォローしてるつも」 「そうですね……そーゆー頼りないところが守ってあげたくなるっていうか支えてあげたくなるっていうか(うふっ)抱きしめたくなるっていうか(きゃっ)母性本能を刺激されるっていうか同情心をくすぐるっていうか(ぐすん)」 「待てコラ」 「そーよ。またグレて世界を浄化するとか言い出さないよう頑張ってよね」 「わかりましたっ。ヴァルは私がちゃんと最後まで立派に育ててみせますっ!」 「とゆーわけでさ。お茶のおかわりちょーだい」 「オレもオレも」 「あ、すみません気がつかなくて」 「……………………」 こぽこぽこぽこぽぽぽぽ…… 「でも不思議ですよねえ」 「なにが?」 「いくらそういう設定のお話とは言っても、静かな部屋でぼそぼそ男二人が話してたら、いーかげん起きると思うんですけどねえ」 「うーん確かに。近くっていうより至近距離よね」 つるっがしゃん(×2)。 「超至近距離ですよ、ひとりは腕枕までしてたんですから」 「だだだだからっ! わたわた私熟睡するタイプなんですから仕方ないんですよっ!」 「緊迫感を出すためにはしょーがなかったみたいだけどねー」 「起きそうなもんですよね」 「だってだってだってっっっ!! 〜〜〜〜〜〜ヴァルっ! なんとか言ってくださいっ!!」(涙眼) 「…………普通は起きるだろ。いくらなんでも」(ふん) 「ひ、ひどっ!! あなたまでっ!!」 「ヴァル。ちょっとひどすぎないか?」(ぱくっ) 「……なんで」 「なによガウリイ急に」 「だってそーだろ? フィリアも大変だよなあ(ごくっ)。よっぽど疲れてたんだな(ぼりぼり)。そんだけ熟睡してたってことはさ(ふう)」 ぶはっっっっ!!!! 「……な……な……な……な……」 「……………………きゅう」(ばたん) 「げほげほげほげほげほげほげほげほげほ」(真っ赤) 「そーだろ? 俺もそーだけどさ。現にリナだってそーゆーときはぐーすか寝て起きやしな」 「なにゆーとんじゃワレええええええ──────っ!!!!!」 すぱすぱすぱすぱすっぱ────────あああああんっっっっっっ!!!! 「ぐはっっ」 ……どばったん。 「ぜーはー…………たまになんか意見述べると思ったら……この脳みそ天然ヨーグルトくらげがっ!!!!」 「げほげほげほげほげほげほげほ…………さ、さらりと言いやがったなこいつ……」 「いやあさすがガウリイさん。食べてるだけかと思いきやちゃーんと話理解してたんですねー。 リナさんもヴァルガーヴさんも顔赤いですけど大丈夫ですか?」 はっ(顔を見合わせる)。 『………………ふん』 「おや。フィリアさんもモーニングスター抱えたままひっくり返ってますよ」 「まーったくよく寝る子ねー」 「そろそろ冬眠の時期なんじゃないですかね、トカゲですし」 「あーそれありうるわね。ヴァルガーヴ、あんたは大丈夫なわけ?」 「…………お前らな…………」 「イチゴ大福もーらいっ」 「じゃあ僕もひとくち。 あーやっぱりお茶が一杯欲しいところですねー」 「……っと、あ、お湯なくなっちゃった」 くりん。 「ね、新しいの沸かしてきてくんない?」 「ついでに僕の分の湯のみ、お願いしますね、ヴァルガーヴさん♪」 「…………………………」 ────────────────────────────────────────── ど、どうも……お読みいただきありがとうございま…………すみません。 そのう、「感染」を書きながらずっと疑問だったんです。起きるよなあ普通はって。 なんでこの子起きないんだろうって考えてくうちにガウリイのセリフが浮かんできて、「ああそっか」と納得したら、今回のコレが思いついちゃって。 思いついたら書かずにはいられなくて、書き上がったら投稿せずにはいられない悲しい物書きの性……(そんな大層なもんかい)ということで許してください。 |
16505 | 秘かに…… | Laytear | 2004/6/24 02:40:48 |
記事番号16497へのコメント お久しぶりです。わーい。ツリーがお話で大きくなっているのっていいですよね。 では、拙いですがコメントを。 >「いやあ、今回はなんかみょーに疲れるお話でしたねー」 >「てめーが言うな」 >「そうです!」 >「でもあたしもなーんか肩凝ったわ。いっぱい食べられてラッキーだったけど」(もぐもく) >「オレは楽でよかったなあ。どっちにしろ長いセリフなんか覚えらんないし」(ずずず) 一番気楽だったかもしれないですね、ガウリイ。しかも寝相悪いし。 >「でも不思議ですよねえ」 >「なにが?」 >「いくらそういう設定のお話とは言っても、静かな部屋でぼそぼそ男二人が話してたら、いーかげん起きると思うんですけどねえ」 確かに。 >「うーん確かに。近くっていうより至近距離よね」 > > つるっがしゃん(×2)。 > >「超至近距離ですよ、ひとりは腕枕までしてたんですから」 >「だだだだからっ! わたわた私熟睡するタイプなんですから仕方ないんですよっ!」 >「緊迫感を出すためにはしょーがなかったみたいだけどねー」 >「起きそうなもんですよね」 リナならおきますね。旅をしている上での安全上。(たぶんもう体質) >「なによガウリイ急に」 >「だってそーだろ? フィリアも大変だよなあ(ごくっ)。よっぽど疲れてたんだな(ぼりぼり)。そんだけ熟睡してたってことはさ(ふう)」 > > ぶはっっっっ!!!! > >「……な……な……な……な……」 >「……………………きゅう」(ばたん) >「げほげほげほげほげほげほげほげほげほ」(真っ赤) >「そーだろ? 俺もそーだけどさ。現にリナだってそーゆーときはぐーすか寝て起きやしな」 >「なにゆーとんじゃワレええええええ──────っ!!!!!」 > > すぱすぱすぱすぱすっぱ────────あああああんっっっっっっ!!!! > >「ぐはっっ」 > > ……どばったん。 ああっ、さりげなく爆弾発言をかますこの人!だから、「実は確信犯」「実は頭がいい」とか、いろいろな不確定情報が錯綜するんですよね。 本当にスレイヤーズのメインキャラでは一番謎が多いですよね。 ダークホースは彼じゃないかと思うこの頃です。 では。 |
16510 | こっそりと…… | じょぜ | 2004/6/25 00:29:02 |
記事番号16505へのコメント >お久しぶりです。わーい。ツリーがお話で大きくなっているのっていいですよね。 お久しぶりです、Laytearさん! もーこんなどーしよーもないお話(汗)にレスいただきましてほんとにありがとうございます。 ここまでツリーが大きくなったのも、レスくださった方々のおかげでもあります。皆さんに感謝してます。 >一番気楽だったかもしれないですね、ガウリイ。しかも寝相悪いし。 無印の最初の方で寝ぼけてたガウリイが妙に好きです。ぐーぐー寝てたかと思うと突然がばっと起き上がって「あの……ほら……あれ……」とか言ってふたたびばたっと寝入る、っていうシーンがあったんですが、ガウリイらしくて笑えました。 >確かに。 やっぱりそう思いますよね? ええ、私も書いててずーっと疑問でした。そしてその疑問が以下で解消されるわけですが……(笑)。 >リナならおきますね。旅をしている上での安全上。(たぶんもう体質) そーですね! 就寝中でも油断はしませんね彼女は。世間知らずのお嬢さんとはやはり踏んだ場数が違います。 >ああっ、さりげなく爆弾発言をかますこの人!だから、「実は確信犯」「実は頭がいい」とか、いろいろな不確定情報が錯綜するんですよね。 >本当にスレイヤーズのメインキャラでは一番謎が多いですよね。 >ダークホースは彼じゃないかと思うこの頃です。 このセリフを言うのはガウリイだなって、この話が浮かんだ瞬間から決めてたんですが、やっぱりガウリイしかいないなと。 ガウリイなりに「だめだぞヴァル。そもそもこーゆーのは女の方に負担がかかるんだからな。男はちゃんとそのへん考えてあげないと」的な意味で忠告したんですね、 …………すいませんお願いですから引かないでください(泣)。 きわどい設定で始まったのでシメもきわどく終わって、ある意味ふさわしい終わり方かも知れないなあと思いつつ、まさかレスがいただけるとは思ってもいなかったので、ほんとにありがとうございました。では〜。 |