◆−薔薇とか幻視感とか・10−ザズルア=ジャズルフィードゥ (2004/5/12 09:37:30) No.16376
 ┣遅レスですみません。−青月 かなた  (2004/5/30 19:27:44) No.16413
 ┃┗こちらこそ遅レス返しですみません。−ザズルア=ジャズルフィードゥ (2004/6/5 19:01:08) No.16425
 ┗薔薇とか幻視感とか・11−ザズルア=ジャズルフィードゥ(with…) (2004/7/3 22:18:03) No.16545
  ┗レスさせていただきます−龍破 (2004/7/3 22:31:47) No.16546


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16376薔薇とか幻視感とか・10ザズルア=ジャズルフィードゥ 2004/5/12 09:37:30

ハ:三ヶ月ぶりね。

 ・・・ごめんなさい。特に何度も早く書いてとお願いしてくださるスラークの生みの親殿。

ハ:ドクターストップで歩けなかった残り5km分、切腹。

 いや、それだけだと事情全然知らない皆様に通じないから。
 学校の行事で長距離歩かさせられたけれど体力や運動不足の問題とかあって残り5kmほどで先生に止められたと。

ハ:二年前もその行事のこと言ってたわね。

 去年は休んだからなぁ・・・。

ハ:・・・その去年から書いているのよね・・・この話。

 ・・・・・・長らくお待たせしました。短いですが続きをどうぞ。


















――ゼルガディスがスラークの家に付く数時間前。


「スプルおねーちゃん!あっちいってみよー!!」
「セイド君、そんなに走らないで。疲れちゃうわよ」

 スプルとセイドは買い物がてらに町の中を散歩していた。

「・・・あっ!」

 何かを見つけたセイドは嬉々としてそちらの方に駆けて行く。

「あ、セイド君!?」
「スラ兄っ!」

 慌ててセイドを追うスプル。セイドはぽふ、と見つけたスラークに飛びついた。

「よぉ、セイド」

 わしわしとセイドの頭をくしゃくしゃにするように撫でるスラーク。その後にはスラークより少し幼い少年たちが数人いた。おそらく、彼の仲間とかだろう。

「あら・・・こんにちはスラークさん」

 少し距離のあるところで減速し、にこり微笑んでスプルはスラークに挨拶した。

「あぁ、しばらくぶり・・・だな」

 スラークもスプルに向かって笑んで・・・セイドを抱き上げ、彼を隣にいる仲間に渡し・・・。

「お前さんには悪いが、これも仕事でね」

 スラークがそういった直後、

 ザッ!

「わぁっ!?」

 仲間達はセイドを抱えて走り去っていった。

「え・・・っ?せ、セイド君っ!!」

 慌ててセイドを連れ去っていく少年たちを追おうとするスプルに、スラークは斧槍を突き出し、牽制する。

「・・・なんのつもりですの?」
「依頼なんだ。お前からあいつを奪うことが。
 それと・・・」

 スラークは斧槍を構え、一歩足を出して斧槍を振るう!

「お前を消すことがなっ!!」
「っ!?」

 スラークがハルベルトを振るった瞬間、スプルは体制を低くしてすべるようにその槍をかわす。そして、そのままの体制で当身をしようとそのままスラークに突進するが、スラークは其れを半身をずらしてかわし、バックステップをして間合いをはずした

 (この男・・・一体何が目的・・・?)

 そう思うスプルの頬を一滴の水が伝った。

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16413遅レスですみません。青月 かなた  2004/5/30 19:27:44
記事番号16376へのコメント


>ハ:三ヶ月ぶりね。
お久しぶりです。青月ですv
いやー。やぁぁぁっとテストが終わってレスできますよ
>ハ:ドクターストップで歩けなかった残り5km分、切腹。
> いや、それだけだと事情全然知らない皆様に通じないから。
> 学校の行事で長距離歩かさせられたけれど体力や運動不足の問題とかあって残り5kmほどで先生に止められたと。
なんだか大変そうですね。
>ハ:・・・その去年から書いているのよね・・・この話。
>
> ・・・・・・長らくお待たせしました。短いですが続きをどうぞ。
いつまでも待ってます――!!(ストーカかよ、わたしは…)

>――ゼルガディスがスラークの家に付く数時間前。
>
>
>「スプルおねーちゃん!あっちいってみよー!!」
>「セイド君、そんなに走らないで。疲れちゃうわよ」
> スプルとセイドは買い物がてらに町の中を散歩していた。
ああ。なんて素敵な図vv
>「・・・あっ!」
>
> 何かを見つけたセイドは嬉々としてそちらの方に駆けて行く。
可愛いですねぇv
>「あ、セイド君!?」
>「スラ兄っ!」
懐いてますなぁ。
>「よぉ、セイド」
うーん。いい人っぽっいのに…。
>「あら・・・こんにちはスラークさん」
> 少し距離のあるところで減速し、にこり微笑んでスプルはスラークに挨拶した。
>「あぁ、しばらくぶり・・・だな」
妙な緊張感がありますね…。
> スラークもスプルに向かって笑んで・・・セイドを抱き上げ、彼を隣にいる仲間に渡し・・・。
>「お前さんには悪いが、これも仕事でね」
仕事……?
> ザッ!
>
>「わぁっ!?」
>
> 仲間達はセイドを抱えて走り去っていった。
くっ!さては愛眼ように売り飛ばすつもりですね!?(絶対違う)
>「え・・・っ?せ、セイド君っ!!」
> 慌ててセイドを連れ去っていく少年たちを追おうとするスプルに、スラークは斧槍を突き出し、牽制する。
怖い…。
>「・・・なんのつもりですの?」
>「依頼なんだ。お前からあいつを奪うことが。
> それと・・・」
>
> スラークは斧槍を構え、一歩足を出して斧槍を振るう!
>
>「お前を消すことがなっ!!」
>「っ!?」
敵なのですかねぇ…やはりこれは。
> スラークが斧槍を振るった直後、スプルは身を低くしてそれをかわし、そのままの低い姿勢でタックルをかまそうとする。しかし、それを予想していたようで、スラークは身をひねってそれを回避する。
強いですね。…かっこいい。
>(この男・・・一体何が目的・・・?)
きっとセイド君を愛眼用に…!(だから違うって)

えーと。なんだかふざけたレスですみません…。
それでは!またお逢いしましょう。

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16425こちらこそ遅レス返しですみません。ザズルア=ジャズルフィードゥ 2004/6/5 19:01:08
記事番号16413へのコメント

>お久しぶりです。青月ですv
>いやー。やぁぁぁっとテストが終わってレスできますよ

 お久しぶりです!いつもいつもレスありがとう御座います。

>>ハ:ドクターストップで歩けなかった残り5km分、切腹。
>> いや、それだけだと事情全然知らない皆様に通じないから。
>> 学校の行事で長距離歩かさせられたけれど体力や運動不足の問題とかあって残り5kmほどで先生に止められたと。
>なんだか大変そうですね。

 大変でしたきつかったです。
 まぁ、一昨年ほどは後遺症と言う名の筋肉痛がひどくなかったんですけどね。足の爪の内出血の傷が開いたりもしましたが大丈夫です。(ぇ)

>いつまでも待ってます――!!(ストーカかよ、わたしは…)

 これからはなるべくお待たせしないようにがんばりますー!!(泣)

>>「スプルおねーちゃん!あっちいってみよー!!」
>>「セイド君、そんなに走らないで。疲れちゃうわよ」
>> スプルとセイドは買い物がてらに町の中を散歩していた。
>ああ。なんて素敵な図vv

 スプルがセイド似の息子と買い物しているようにも見えますね。(何)
 あ、でもスプルの子供はスプル似の娘一人って予定なんで。(待て)父親も別にセイドとは決めてないし。(えぇ)

>>「・・・あっ!」
>>
>> 何かを見つけたセイドは嬉々としてそちらの方に駆けて行く。
>可愛いですねぇv

 かわいいですよぉw(何)

>>「あ、セイド君!?」
>>「スラ兄っ!」
>懐いてますなぁ。

 羨ましいです。(ぇ)

>>「よぉ、セイド」
>うーん。いい人っぽっいのに…。

 いい人っすよ。普段は。(何)

>>「あら・・・こんにちはスラークさん」
>> 少し距離のあるところで減速し、にこり微笑んでスプルはスラークに挨拶した。
>>「あぁ、しばらくぶり・・・だな」
>妙な緊張感がありますね…。

 ・・・そういえばスプルスラークからのさっきに気づいてたっけ。(待て)

>>「わぁっ!?」
>>
>> 仲間達はセイドを抱えて走り去っていった。
>くっ!さては愛眼ように売り飛ばすつもりですね!?(絶対違う)

 愛眼!愛玩ではなく愛眼!目福ですね!!(何)

>>「え・・・っ?せ、セイド君っ!!」
>> 慌ててセイドを連れ去っていく少年たちを追おうとするスプルに、スラークは斧槍を突き出し、牽制する。
>怖い…。

 きっとこういうシーンで人が通りかからないのは殺気とかで張り詰めてて近寄る気になれないからでしょうね。(何)

>>「・・・なんのつもりですの?」
>>「依頼なんだ。お前からあいつを奪うことが。
>> それと・・・」
>>
>> スラークは斧槍を構え、一歩足を出して斧槍を振るう!
>>
>>「お前を消すことがなっ!!」
>>「っ!?」
>敵なのですかねぇ…やはりこれは。

 敵でしょうね。単純に立場を言えば。(何)

>> スラークが斧槍を振るった直後、スプルは身を低くしてそれをかわし、そのままの低い姿勢でタックルをかまそうとする。しかし、それを予想していたようで、スラークは身をひねってそれを回避する。
>強いですね。…かっこいい。

 強いですとも、二人とも。

>>(この男・・・一体何が目的・・・?)
>きっとセイド君を愛眼用に…!(だから違うって)

 目ふk(略)いえ、彼の妹氏ではないのですs(爆音でかき消された)

>えーと。なんだかふざけたレスですみません…。
>それでは!またお逢いしましょう。


 いえいえ!毎度レスありがとう御座います!
 それでは、なるべく早く続きを書きますので!

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16545薔薇とか幻視感とか・11ザズルア=ジャズルフィードゥ(with…) 2004/7/3 22:18:03
記事番号16376へのコメント
ハ:うふふ、前回からどれだけ経ったかわかってる?作者?

 うふふ、ハール、今何ヶ月目?(ハールのお腹さすって)

ハ:あたしそんなに太ってないもん!ひどいわセクハラよ!

 うわぁっ!そう来た!!(滅)

ハ:ともあれ皆さん、長らくお待たせしました。続きをどうぞ。

 今回はスラークの産みの親である龍破様に原文(バトルシーン)を書いていただき、それを私が修正した合作となっております。

ハ:それって合作って言わないんじゃ・・・。

 がふっ。(吐血)
 ・・・そ、それでは皆様長らくお待たせしました〜。つ、つづきをどうぞ〜









「・・・・へへっ、強いじゃないか、あんた。俺の槍を避けて反撃してくるなんて」

 スラークは間合いを取った状態でにやりと笑う。
 ハルベルトは構えず、直立不動の体制でスプルとにらみ合っている。

「・・・・貴方こそ、なかなかの腕前ですね。敵であるのか恐いですわ」

 頬を伝う汗を拭うこともせず、スプルも槍を左手に構える。
 右手はいつでも魔法が放てるように指先で魔法陣を描く。

「まあな。これでもいくつもの修羅場をくぐってきてるんだ。そうそうのことじゃ負けないぜ?」

 微笑みの表情は崩さず、スプルが槍を構えるのを見ると、自分も構える。
 槍の穂先が、ちき・・・というような音を立てるかのように刃を返した。

「はっ!」

 先に動いたのはスプルだった。
 間合いに踏み込み、左手の三叉の槍の穂先をスラークの喉元に突きつける。

「おっと!」

 突き出される槍を、スラークは紙一重で交わす。然し其の直後・・・

「炎の矢(フレア・アロー)!」

 スプルは完成した魔法を解き放ち、スラークを指差す右手から火の矢を連射する。

「うわぁっ!?」

 槍の一撃を紙一重に交わした後ではこの炎の矢は不意打ちも同然。
 とっさに横に飛んで回避するスラークだが、避けきれずに服の一部が燃えてしまう。

「ふぃ〜、危ない危ない。もうちょっとで黒焦げになるところだったぜ」

 焦げて黒くなった服の一部をつまみ、また怒られるかな・・・と苦笑する。
 然しそんな暇はなかった。

「せぃっ!」
「うわった!?」

 考え込んでいるスラークの顔面にスプルの槍がかすめる。頬が切れ、そこから赤いスジがつーとながれる。

「ぶつぶついっている暇はありませんよ!やあっ!」

 続いてスプルの槍がスラークの胴をねらって突き出される。
 スラークは其れを落ち着いて払い・・・

「せりゃっ!!」

 お返しとばかりにハルベルトの斧の部分でスプルの腕をねらって突き出す。
 其の一撃を、今度はスプルが横に飛んでかわし・・・

「氷窟蔦(ヴァン・レイル)!」

 ばっと、スプルは右手を地面につける。其の直後にスラークの足元に向かって氷の蔦が走る。

「っと!」

 氷の蔦に触れたものを凍結させる精霊魔法。そのことを知っていたスラークはとっさに足元の土を吹き飛ばして蔦を回避する。
 そこへ待っていたのは、スプルの槍攻撃であった。

「どわっ!?ちっくしょう、反撃できねぇ!」

 槍攻撃をバク転でかわし、間合いをとるスラーク。
 スプルの戦い方はスラークを圧倒しているかのように見えていた。スプルも其のつもりだったのだろう。
 魔法を打ち込んで避けたところに槍の攻撃。スラークは其れを避けるだけで精一杯だ。

「烈閃槍(エルメキア・ランス)!」

 スプルの突き出された右手から光の槍がスラークに向かって放たれる。
 其れを横にステップしてかわし・・・

「せぇのっ!」

 反撃に出た。一気に間合いを詰めて槍の一閃。
 其れをスプルは落ち着き払って切り払い、そして再び詠唱した炎の矢をスラークの胸に打ち込む。威力を抑えたため、死にはしないだろう。

「ぐうっ!!」

 零距離ではさすがに避けきれず、胸にまともに炎の矢を受け、後ろに吹っ飛ばされる。

「・・・あつつ・・・、やっぱ強いなぁ・・・スプル」

 ははっと笑いながらも、スラークは立ち上がり再び槍を構える。

「当然ですわ。さあ、早くセイド君を返して立ち去りなさい。そうでないと、今度は頭を焦がしますよ」

 笑うスラークに対し、スプルは真顔でスラークに言い放つ。

「おお、恐いねぇ」

 コキコキと首を鳴らしつつ、スラークは笑い顔のまま答える。
 とんとん・・・と靴をならし、槍をくるくると回す。

「ま、あの魔法と槍のコンビネーションには苦戦するよ。さすがスプル・・・いや」

 スラークは口元を笑ませて、続きを口にした。

「スプリング=ディオ=ホワイトローズさん?」

 その言葉に、スプルは言葉を失った。
 スプルの本名を、この男は知っていた。二人の主(あるじ)くらいしか知るもののいない自分の本名を。

「な、なぜ其の名前を貴方がっ!?」
「ん〜?俺にはよく聞く耳があるからよ。どういういきさつでホワイトローズ家を出たのかはしらねーけど」

 からからと笑いつつ、驚愕の顔をしながら問いかけるスプルにスラークは答える。

「・・・ま、どうでもいいんだよ。俺はあんたを消せばいいだけだからな」

 槍を回していた手を止め、だんっと踏み込んで槍を構える。

「さあ!こっから本気だぜ!覚悟しやがれ!」

 スラークは先ほどまでの笑みの表情を消し、真剣で鋭い目つきになった。
 かつてスプルが飲食店で感じたわずかな殺気。あれとは比べ物にならないほどの殺気をスラークは放っていた。
 気をぬけば本気で殺される・・・、スプルはそう直感した。

「くっ!・・・炎に燃ゆる精霊たちよ、我に集い・・・」
「遅いっ!」

 詠唱よりも早く、スラークは駆け出した。

「なっ!?」

 さっきよりも数段早い。スプルは詠唱を中断し、スラークを迎え撃つ。

「せぇやっ!」

 ハルベルトの一撃はスプルの肩をねらっての一閃だった。其れをスプルはかがんで避け、懐に飛び込む。

「やぁっ!」

 其れと同時に肘をスラークの胸板にくらわさんと繰り出す。しかし・・・

「かはっ!」

 痛みを覚えたのはスプルのほうだった。スラークの前足蹴りがヒットしていた。
 腹に激痛を覚えながらも、スプルはごろごろと転がり間合いを取る。

「言い忘れてたけどよ、俺は格闘術もいけるんでね」

 すたっと蹴りだした足を下ろしつつ、スラークはにやりと笑った。
 然し目は笑ってはいない。本気で戦うものの目のままだ。

「・・・くっ・・・!やぁぁっ!!」

 痛む腹を押さえつつ、スプルはスラークに突進した。
 其の速度を保ちつつ、スラークの顔面をねらって二段、三段と連続して一閃する。

「ほっ、そりゃ、よいしょっ」

 其の連続攻撃、スラークは軽々と避け、そして

「おりゃっ!」

 槍を持っているスプルの腕の関節にがんっと拳をぶつける。

「あぁっ!」

 骨は折れはしなかったものの、槍を持つ力を弱めるのには十分だった。そして・・・

「でぇりゃっ!!」

 刃のない部分での槍の横薙ぎ。其の一撃がスプルの腹に決まった。

「きゃあぁぁっ!!」

 体重が軽いこともあってか軽々と壁まで吹っ飛ばされる。
どかぁっ!とかなりの勢いで壁に叩きつけられ・・・

「必殺!疾風怒濤!」

 スラークの電光石火の槍の一撃が、スプルの肩を貫いて壁に突き刺さり、スプルを其の壁に文字通り貼り付けにした。

「ああぁぁぁぁぁぁっ!!」

 肩を貫く激しい痛みに、スプルは絶叫を上げた。
 槍を持つ手からはあっけなく力がぬけ、からんと甲高い音を立てて地面に落ちる。

「勝負あり・・・だな。んじゃ、選択肢をやるぜ」

 にやついた笑いのまま、スラークはスプルに問いかけた。

「このまま苦しんで死ぬか、それとも一思いに楽になりたいか、どっちだ?」

 スラークは見た目どおり、17,8歳の青年である。
 普通ならばこんな台詞を言う青年はそうはいないだろう。ましてや普段は優しそうな青年である。
 普通ならば冗談と思わせるような台詞だが・・・彼は本気である。
 其れを本気と思わせる証拠は、笑っていない目だけで十分だろう。

「フリーズ・アロ・・・あぁぁぁぁ!!」

 氷の矢の詠唱を編んでいたスプルだが、其の言葉は突然の激しい痛みに強制中断された。
 スプルの肩を貫いている槍が、スラークの手によってさらに抉られたのだ。

「そういうことするんだったら、もうちょっと痛めつけてやろうか・・・なっ!」

 スラークは一度壁から槍を引き抜いた。
 引き抜かれたスプルの傷口からは大量の血が噴出し、大地を赤色に染める。

「・・・くっ・・・あぅ・・・」

 激しい痛みを伴う肩を抑え、スプルはその場に膝を突いた。
 其のスプルの髪を鷲掴み、そして・・・・

(ドスッ!)

 鈍い音を立てて、反対側の肩がスラークの槍に貫かれた。

「・・・・っ!!!!」

 痛みの余り声も出ない。左肩を押さえていた右腕がだらりと下がった。

「これは痛いだろう?さ、苦しんでいくか、それとも楽になるか、どっちを取る?」

 槍をスプルの肩から引き抜き、笑いながらスラークはまた同じ問いを繰り返した・・・そのとき

「うわぁっ!?」

 突如、横から来る突風に吹き飛ばされ、今度はスラークが壁に激突した。

「か弱き乙女をいたぶるそこの極悪人!あなたの悪行もここまでよ!」

 近くで最も高い家の屋根の上、そこに小さな人影があった。それは、黒髪で白いローブを身にまとった少女だった。

「ア・・・アメリア・・・様?」

 両肩から血を流し、貧血状態に陥ったスプルは激痛に喘ぎながらも其の少女の名前を呼んだ。

「スプルさん!大丈夫ですか!?わたしが来たからにはもう大丈夫です!」

 やってきたアメリアはすぐさまスプルに寄りかかり、詠唱を始める。

「・・・復活(リザレクション)!」

 アメリアの光る手が、スプルの両肩の傷を見る見るうちに癒していく。
 ものの数十秒もすれば、スプルの両肩は穴の開いた服をのぞいて全快した。

「ありがとうございますわ。・・・・でも、あとで服も直しておかないと行けませんね」

 穴の開いた服を見て、スプルは苦笑する。
 ちょうどそのとき、頭を押さえながらスラークが立ち上がった。

「あいててて・・・、まさかセイルーンの王女が駆けつけてくるとは思わなかったぜ・・・」

 後頭部をさすりながらスラークが顔をしかめる。其の言葉に驚いたのはアメリアだった。今回は自分の名を名乗っていない。それなのに、どうして・・・?

「な、何で貴方がそんなことを知っているんです!?」
「知ってるさ。俺には強力な耳があるからな」

 アメリアの問いに、スラークは笑って答える。

「さて、どうしたもんかねぇ・・・・・」

 アメリアとスプルを交互に見つつ、考えるような表情になる。

「降参なさい、スラークさん。いくら貴方が強くても、わたくしとアメリア様が同時に相手では、さすがに勝ち目はないでしょう?」

 再び槍を構え、スプルはスラークを睨む。

「最後に勝つのは正義なのです!降参しておとなしく捕まりなさい!」

 アメリアも両手を構え、魔法の詠唱に入る。

「ん〜・・・、ま、しょうがないか。・・・絶対怒られるけど」

 はぁ・・・とため息をつき、スラークは槍の刃を下にして深呼吸した。

「降参する気はないのですね・・・」
「だったら滅ぼすまでです!」

 スプルとアメリアも、まだ戦う気でいるスラークに向かってはしりだす。

「・・・黙ってろよ。すぐ終わらすからよ。・・・双破闘気弾!」

 スラークはハルベルトの柄を掌でぱぁんと叩いた。
 そこら生まれたのは・・・光る丸い弾が二つ。其れがスプルとアメリアに飛んでいく。

「なっ!?」
「きゃあっ!」

 間一髪。二人は別々の方向に飛んで逃げ、其の光弾を避ける。
 其のまま壁に激突した光弾は爆発音を伴い壁を見事に瓦礫にした。

「・・・・な、なんなのです・・・あれは」
「火炎弾・・・・じゃあなさそうですね。炎の術という感じがしない・・・」

 冷や汗が二人の頬を伝う。見たこともない攻撃方法。其れがなんであるかは二人にはわからなかった。

「お遊びはここまでって言ったろ?そらそらっ、動きが止まってるぜ!」

 二人が瓦礫を見ている最中にスラークは駆け出し、スプルに当身を食らわせた。

「きゃあっ!」

 あっけなくスプルは吹き飛び、地面に転がる。

「破弾撃(ボム・スプリット)!」

 スプルに当身を食らわせた直後のスラークに、アメリアの放った魔法がスラークの足元で炸裂する。

「うわぁっ!!」

 再び壁まで吹っ飛ばされ、間合いを広げられたスラーク。そこへ間髪入れずにスプルの槍が炸裂する。
 其の槍の一撃は、スラークの脇を掠める。槍を突き出したスプルのわき腹に、スラークの裏拳が突き刺さる。

「あぁっ!!」

 どかっという鈍い音を立てて、スプルが地面に転がるのと同時に

「火炎球(ファイアー・ボール)!」

 アメリアの手から放たれた火炎球がスラークに向かって飛んでいく。
 しかし・・・

「不死鳥壁!!」

 だんっとスラークが地面に手をついた瞬間、青白く光る壁が召喚され、火炎球を完全に防いだ。

「あまいですよっ!!」

 其の隙をついてのスプルの回し蹴りが、スラークの頭にヒットする。

「ぐうっ!!」

 頭がよろけるダメージを受けながらも、スラークは二人から距離をとる。

「っつ〜・・・、やっぱダメか」

 苦笑しながらも、スラークは槍を構えたまま動かない。

「わたくし達が相手ですのよ?さぁ降参しておとなしく捕まりなさい」
「悪は正義に敵うことはないのです!」

 スプルが睨みつつ冷ややかに答えれば、アメリアもそれに続いてびしっと指を刺しつつスラークに言い放つ。

「・・・・やれやれ。確かに今の状況じゃあかなわないよな。しょうがない、あれを使うか・・・」

 二人の言葉を聞きつつ、しぶしぶというような表情になりながらも、スラークは槍を持つ手を変えた。

「まだ何か手があるとでも?」
「悪の攻撃は利きません!」

 何でもこい・・・というようなアメリアとスプル。其の二人を見て、スラークは嘲笑すると・・・

「我が身に集え炎たち、我が身体に宿れ不死の鳥、今こそこの技使うとき!!」

 先ほどまでの様子と違い、完全に怒りの形相で二人を睨みつけた。

「・・・・うっ・・・!?」
「こ、これは・・・さっきの!?」

 青白く光る弾丸。其れがまたくるのかと思い、スプルとアメリアは構える。
 然し・・・今度はスラークの体自体が青白く輝いた。

「我が前に立ちはだかる強者達。我の行く道を邪魔する亡者達!我が放つこの業は、全てを破壊する究極の必殺!!」

 光り輝くスラークの体。其れを警戒して構える二人。
 スラークはここまで詠唱すると高く跳躍し、腕ををばっと広げた。
 それと同時に、スラークの背に光り輝く鳥の羽が生まれた。

「・・・なっ!?」
「なんですかあれは!?」

 スラークを見上げる二人は、信じられない光景に目を丸くした。

「見よ!これが我が最大の必殺!!激流・不死鳥槍!!!」

 鳥が急降下するような構えで、スラークは二人に向かって空中から突進した。
 スラークが大地に降り立ったとき、スプルとアメリアの意識は途絶えた。


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16546レスさせていただきます龍破 2004/7/3 22:31:47
記事番号16545へのコメント

スラ:・・・なんか俺残虐な感じになってねぇか?

龍破:盗賊時代のお前ってこんなじゃん耳朶と思うけどな?

スラ:ここまで残酷じゃねぇよ!少なくとも・・・

龍破:・・・残酷だったんだ;

スラ:う、うるせぇ!・・・にしても、お前よくこれを一夜で仕上げたなぁ・・・

龍破:其のおかげで思いっきり今日の仕事死んだけどな(滅)

スラ:・・・ご愁傷様・・だ;

龍破:ってなわけで、俺とザズルアさんの合作小説、よければ呼んでくださいな。そして今後ともうちのスラークをよろしくザズルアさん!