◆−決着−渚 (2004/5/20 22:08:10) No.16397
 ┣素晴らしいです!ルクリナ万歳!−竹内 恵 (2004/8/19 10:24:41) NEW No.16650
 ┗竹内さんのコメント右に同じく!であります!−朱音 (2004/8/19 11:05:58) NEW No.16651


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16397決着2004/5/20 22:08:10


この得体の知れない感情、初めてだからこそ簡単に知りたくないし、わかりたくない。


決着


「・・・・・・・・・」
「・・・・・・・・・」
対面する二組の男女。
これで一体何回目だろうか。


ある町で依頼を受けたリナとガウリイ。
依頼料もよく、依頼人も特にリナの癇に障るような人ではなく、受けることにした。
依頼の話を詳しく話すため、依頼人の家に案内される道のりでどうやら、自分たちのほかに後二人と一緒にすることがわかった。
リナとしては、見ず知らずの人と組むよりは、多少大変だろうが自分たちでやりたいのだが・・・
食事をおごってもらい、そんなずうずうしいことは言えなかった。


頭をかすめる人物。


つい三日ぐらい前、大きな仕事を一緒に終えた人物。
後の二人・・・
もしかして、と考えてしまった自分に腹が立つ。
どうして腹が立つ・・・?
会いたくなかったから?
いや、会いたいと思ってないのは確かだ。だが、それが会いたくないとは繋がらない。
ただ、思い浮かべてしまったから。
どうしてだろう。
わからないから苛立ちが増してしまう。

リナは依頼人の後ろを歩きながら眉間にしわをよせる。

自分はどうしてこんなに苛立ってしまうのだろう。
考えなければいいだけの話。
その思いとは反対に余計考えてしまう。

『アイツ』のことを考えてるときのこの感情が、早く知りたいようで確かめたくない。

依頼人の家に着き、そこには二人の人影がいた。おそらく後の二人だろう。
考えても仕方がない。
リナはそう強引に決め付け、依頼人の背中越しに組む二人を見ようと視線を上げる。

自分たちはあの二人と背中越しに別れたのだ。
会うはずがない。
会える確立はとても少ない。
そんなこと考えてることじたい、その、少ない確立があって欲しいのだろうか。

視線を上げ、目が合う人物。
言葉が出ない。四人とも驚きの表情だ。
リナはふっ、と笑い、二人いるうちの片方をまっすぐ見る。
「ったく、どーしてかしらねー。信じられないわ」
「ああ、まったくだ。もしかしてお前ら、ついて来てんじゃねーだろな」
片方の手で頭を掻きながら嫌そうに言う男、ルーク。
「そんなわけないじゃない。
だーれがこんな聞いてて恥ずかしい言葉を吐く怪しい男の後をつけるのよ。
得になんかならないで、損だけありそうなのに」
「・・・誰が怪しい男だよ。それになー、お前らと会って損するのは俺らの方だろうが!
実際、今までがそうだろが!!」
「いやーね。昔の事なんか出して、小さい男だこと。こんなんじゃ、ミリーナに見捨てられそうになるのがわかるわ」
「なっ、どこをどう見てそう思うんだよ!!」
「あーらら、目に見えるような動揺なんかしちゃって。自分でも気にしてるのねー」
「勝手に言いやがって、いいか!俺とミリーナはないつでも決して切れない愛で・・・」
「繋がってないわよ」
表情を変えず、横から言うミリーナ。
押し黙るルーク。
その様子を見ていた依頼人は、この人たちで大丈夫なのだろうか、頭を悩ませていた。

今のこのような会話、顔を会わせれば必ず行われる。
見慣れた会話なのに、今回はどこか今までと違う。
まるで無理やりのような会話。
リナは本気でからかおうとするような感じではなかった。
ルークは本気で反論しているような感じではなかった。
感情が入っていない、ただ、言葉が並んでいるだけ。
言っている本人たちは気付いている、こんなことをする理由が。

『いつも通り』のことをすれば、気付かないですむ。
気付かないですむ・・・気付きたくないのだろうか。
――――この感情に。
考えていた本人に会ってできた、まだ名前も意味も決めていない感情。


今回の依頼は何もなく無事終わった。
報酬も貰い、宿に戻る四人。
戻る宿は違い、それぞれご飯を食べている時の二人。
会話も態度も変わりないように見えるが、違う。
勿論、連れのガウリイとミリーナはすぐに気がついたが、それにふれることはなかった。
一通り食事も食べ終え、後は眠るだけだが部屋には戻らず、どこか不安げな、だが真剣な声を絞り出す。


それからの会話は両方とも一緒だった。


部屋に入り、ベッドに倒れる。
体が疲れているわけではない、精神的に疲れているようだ。
後悔はしていない、言いたいことは言えたが、まだ頭がついていっていない。
ゆっくりと目を瞑り、先ほど連れとした会話の内容を思い出す。
そして、自然と出てきてしまう人物。
「ふぅっ・・・」
どうして出てきてしまうのだろう。
アイツのことを考えてるときの感情は・・・思いつく限りの名前と意味を探す。
――――答えが出ない。


気を紛らわせようと宿を出る。


昼間見つけたなかなか良さそうな酒場。
結構混んであり、目を凝らして空いてる席を見つけた。
そして
『あっ・・・』
リナとルークの声が綺麗にはもる。
カウンターの席で隣同士に座る二人。ガウリイとミリーナの姿は見えない。
「ミリーナは?」
「そっちこそガウリイはどーした」
質問に答えず止まる会話。目線を合わせない二人。
頼んだ酒を少しずつ口にふくむ。
斜め上に目線を向ける。
斜め下に目線を向ける。
目線が一瞬あうが、すぐに逸らす。

この感情はなんだろう。
この不確かな感情をなぜ、『恋』だの『愛』と決め付けるのだろうか。

嫌いではない、これは確実だ。
だからといって、反対に好きだという答えにはならない。

「ミリーナに夜這いでもかけてフラれて自棄酒でもしてるの?」
リナは空になったグラスの中の氷をカラン、と鳴らす。
「誰がんなことするかよ」
「あら、違うの。景気悪そうにくらーい顔してたからあたしはてっきり」
「その言葉そのまま返してやるよ」
「失礼ね。あたしは物思いにふけている美少女で、あんたは賭けで負けたごろつきのような顔よ。
同じにされちゃたまんないわね」
「けっ。物思いにふけるってなんだよ。リナさんにも悩み事ってものがあったとわねー」
会話は続いているが一向に目をあわせない。
「別に、悩み事っていうか・・・明日から一人旅に戻るから・・・」
リナの言葉で動きが止まるルーク。
「へー、そりゃ偶然だな。 ――――俺たちもだ」
今度はリナの動きが止まり、ルークの方に哀れみの瞳を向ける。
「あんた、とうとう振られたの・・・?」
「ちっがーーう!!」
ルークは勢いよく立ち上がり否定する。
「ミリーナもやっぱ、あんたのラブラブアッタクに限界だったのね。可愛そうに」
やれやれ、といったように首を振るリナに、ルークは
「違うって言ってんだろがっ!!話を聞けっ!!」
「五月蝿いわねー、聞いてるわよ。そんなんだからミリーナに愛想つかれちゃうのよ」
「だから・・・!あーもーいい」
ルークはおそらく否定の言葉を言おうとしたが、同じことの繰り返しと思い座りなおす。
「そっちこそいいのかよ。ガウリイは」
「ガウリイは十分、『自称』保護者をしてくれたわ。ま、付き合いが長かった分なんとなく寂しいけどね」
それから二人は、ガウリイ、ミリーナと別れる理由を聞かず、言わなかった。


確かめたい、確かめたくない。
決めたい、決めたくない。
わからない、わかりたくない。
交差するいろんな思い。
その中ではっきりしているのは―――決め付けたくない。

決め付けて、壊したくない。

ナニを・・・?

ガウリイとの関係・・・?
ミリーナとの関係・・・?

それとも・・・


『アイツ』との関係―――――


一人になってみるのもいいかもしれない。それで、わかるかもしれないから。
何故ここまで慎重になるのだろうか。
きっと、このわからない感情が大切で自分にとって重要なのだ。
いい加減逃げていても仕方がない。
自分の感情からはっきりさせたいモノ。

「さてと」
リナは最後の一口を飲んで席を立つ。
「ご馳走様」
「おい、待てよ」
ウインクひとつして帰ろうとするリナを止めるルーク。
「いつ、奢るって言った?」
「はー、ケチな男ねー。ん、あら・・・?」
リナは財布を出そうとあちこち触るが・・・
「悪いわねー、ルーク。どうやら宿に忘れてきちゃったみたいで」
「本当なんだろうな。初めから俺に奢らすつもりじゃなかったのかよ」
「違うわよ。疑り深いわねー」
リナはそう言うが、ルークがそう考えてしまうのは当然なのかもしれない。
「んじゃ、代わりにこれあげるわよ」
それじゃ、とリナはルークの返答も聞かず酒場を出て行った。


これは一つの賭けでもある。


「・・・・・・・・・」
ルークはリナが置いていった宝石を手に取る。
どう見ても、酒場代にしては高すぎる宝石。


あの宝石を売るも売らないもルークが決めること。
だけど、もし、一人になって会いたいって素直に思えた時、あんたがまだそれを持っていたら・・・・・・
あたしがあんたに会いに行ったら、このわからない感情に・・・


売る、売らない。
決めるのは俺。
これを自分に渡した理由。
考えられる理由、自惚れかもしれないがひとつしか思いつかない。
いや、考えようとしないだけかもしれない。
お前の魔力が感じられる・・・これ、持っててやるよ。
もしお前が来た時、このわけわかんねー感情に・・・



『決着をつけてやる』


********************************
マイナーカップリング、ルクリナであります!(微妙)
こんな駄文(だったらのせるなよ)を読んでくれた貴方様!ありがとうございます!!

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16650素晴らしいです!ルクリナ万歳!竹内 恵 2004/8/19 10:24:41
記事番号16397へのコメント

うわぁい!ルクリナです!!嬉しすぎます!!素敵すぎます!!小躍りしてしまいそうです〜(悦)。
すんごく面白かったです!二人のくっつくかくっつかないかの微妙な関係がまた、悶絶ものです〜vv
二人の会話もらしいほど不器用で、特にルークさんが(喜)。リナもラブリーですねぇ(うっとり)。
まさに”決着”という題材にふさわしい小説ですvv読めない展開と複雑な二人の心境が、見てて感動ものでした!
やはりこの二人はこうでなくちゃ、と悶え転げて約10分。
小説を読み終わった後に溜め息をつき、物思いの空想にふけって約15分。
素晴らしすぎですよ!本当に面白かったです!ご馳走様でした(←何が?)

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16651竹内さんのコメント右に同じく!であります!朱音 E-mail URL2004/8/19 11:05:58
記事番号16397へのコメント

はじめまして!朱音(しゅおん)と言います!
早速拝見させていただきました!
>決着
なんかルクリナらしいタイトル♪(ルクリナらしいって…?
>依頼料もよく、依頼人も特にリナの癇に障るような人ではなく、受けることにした。
ふむふむ。
>食事をおごってもらい、そんなずうずうしいことは言えなかった。
奢りに弱いリナちゃんである(決め付けるな
>『アイツ』のことを考えてるときのこの感情が、早く知りたいようで確かめたくない。
恋とはそうゆうものです(遠い目)←なぜ?
>自分たちはあの二人と背中越しに別れたのだ。
いつもそうしてますよね。
>視線を上げ、目が合う人物。
>言葉が出ない。四人とも驚きの表情だ。
はははのは(ちょっと壊れかけている←ぇ
>リナはふっ、と笑い、二人いるうちの片方をまっすぐ見る。
>「ったく、どーしてかしらねー。信じられないわ」
運命だからです(ぇ
>「ああ、まったくだ。もしかしてお前ら、ついて来てんじゃねーだろな」
>片方の手で頭を掻きながら嫌そうに言う男、ルーク。
>「そんなわけないじゃない。
>だーれがこんな聞いてて恥ずかしい言葉を吐く怪しい男の後をつけるのよ。
>得になんかならないで、損だけありそうなのに」
あ、怪しい…(笑
>「勝手に言いやがって、いいか!俺とミリーナはないつでも決して切れない愛で・・・」
>「繋がってないわよ」
>表情を変えず、横から言うミリーナ。
流石。隙のない突っ込みです(ぱちぱち←は?
>その様子を見ていた依頼人は、この人たちで大丈夫なのだろうか、頭を悩ませていた。
こっそり大丈夫かと心臓痛めてそうな依頼人さんに同情(ぇ
>今のこのような会話、顔を会わせれば必ず行われる。
ですね(にこにこ←怪しいって
>見慣れた会話なのに、今回はどこか今までと違う。
ふむ?
>嫌いではない、これは確実だ。
>だからといって、反対に好きだという答えにはならない。
それがルクリナです(オイ
>「あんた、とうとう振られたの・・・?」
私も同感(ちょっと嘘←は?
>何故ここまで慎重になるのだろうか。
>きっと、このわからない感情が大切で自分にとって重要なのだ。
>いい加減逃げていても仕方がない。
はい、逃げれば逃げるほど大変ですよ〜(遠い目)
>「んじゃ、代わりにこれあげるわよ」
ん??何でしょう…?
>「・・・・・・・・・」
>ルークはリナが置いていった宝石を手に取る。
>どう見ても、酒場代にしては高すぎる宝石。
リ、リナが…あのリナが…宝石をあげた…?(硬直中
>売る、売らない。
>決めるのは俺。
>これを自分に渡した理由。
>考えられる理由、自惚れかもしれないがひとつしか思いつかない。
自惚れしていいです(ぇ
>いや、考えようとしないだけかもしれない。
>お前の魔力が感じられる・・・これ、持っててやるよ。
おぉっ!偉いぞルークッ!!(オイオイ
ってか魔力が感じられるって…流石ルーク(何か違う
>もしお前が来た時、このわけわかんねー感情に・・・
>
>
>
>『決着をつけてやる』
それこそルークとリナです!(ぉぃぉぃ
>
>********************************
>マイナーカップリング、ルクリナであります!(微妙)
>こんな駄文(だったらのせるなよ)を読んでくれた貴方様!ありがとうございます!!

こちらこそ貴重なルクリナを読ませていただき、ありがとうございます!
わ〜い、昇天しそうです(するな!
ではこんな謎なレス失礼しました!