◆−世界の果て らぶらぶのゼルアメです☆−TAX (2004/5/31 19:47:01) No.16416 ┗Re:世界の果て らぶらぶのゼルアメです☆−TAX (2004/6/1 00:51:03) No.16419
16416 | 世界の果て らぶらぶのゼルアメです☆ | TAX | 2004/5/31 19:47:01 |
「ねえ、ゼルガディスさん?」 「・・・何だ?」 手にしている魔道書から目を離すこともなく、声に振り返る事もなく、ゼルガディスは口でだけアメリアに問うた。 かと言って、返事があればいいほうなのだ。 アメリアは、いつものようにゼルガディスのベッドに腰掛け、床に届かない足を持て余しながら、古書のページをめくる彼の指先に視線を留めた。 誰に気兼ねする事もないはずの部屋で、彼の手は手袋に覆われていて指先 が見えるだけ。その青い指が、アメリアは好きだった。耳を澄ませば、彼の微かな息遣いが聞こえる。 「わたしが、あなたの事を好きだって言ったら、困りますか?」 彼の動きが一瞬だけ止まる。 アメリアは、彼の視線を自分に向ける事に成功したのだ。 「・・・別に。」 そっけない言葉からは、何も感じられない。 動揺なんてもちろんしていない。 「意外です。」 「なぜだ?」 「ゼルガディスさん、そういうのってわずらわしいんじゃないですか?」 彼女とて、気まぐれにそんな事を口にしたわけではない。 ある意味、決死の覚悟の末の事だったが、彼はそれをわかってはいないだろ う。別に、そんな事はそうでもよかった。彼が、彼女の問いにどう答えるかが重要なのだから。 「・・・お前さんがどう思おうと、それはあんたの勝手だろう?」 「そりゃ、そうですけど。」 返された言葉は予想外。 でも、彼女の口からは彼女の思考とは別にすらすらと言葉がついて出た。 「冗談はよせ、とか言わないんですか?」 「・・・あんたは、冗談でそんな事を口にするのか?」 「・・・そうですね。」 なぜだろうか。 彼は、驚くほど彼女の事をわかっているのだ。 「逆に聞くが・・・俺がお前の気持ちを利用するのならどうなんだ?」 「?」 「身近にいい女がいて、そいつは俺に気があるらしい。夜中にひょこひょこ人の部屋にやってくる。俺は、暇つぶしにあんたを抱いていいわけか?」 彼は、彼女の気持ちを疑いはしないのだ。 アメリアは、ゼルガディスのことが好きだった。 最初は、恋に恋焦がれるそれだけだったかもしれない。けれど、そんなアメリアの心の変化さえ、彼は全て熟知している。 これが、いわゆる経験の差というものだろうか? アメリアは、王族の娘だ。 当然、それなりの教育は受けている。 かといって、もちろん経験などあるはずもない。彼女がまともに話をした男 性は、旅の仲間をおいて父親と従兄弟以外にはいないのだ。 幼い初恋は、いつしか失われた。 それも、最悪の結果で。 傍にいた男を男と認識する事などできなかったけど、今ならばできる。 「望むところです。」 再会は、唐突に訪れた。 けれど、新たな旅は予想外だった。 彼の本質に触れるのに自分では役者不足だとわかっていたけれど、少しでも 彼のそばにいたかった。 「・・・何だと?」 「傍にいて下さいとは言いません。でも、その時は、わたしを見てくれますか?」 「アメリア?」 「嘘でもいいんです。暇つぶしでもいいです。えっと・・・その。抱いてくれますか?」 正義に反する事かもしれない。 けど、それを望んでいるのは確かだった。 彼の一番になりたいわけではなかった。 そうなれれば嬉しいけれど、それは無理な事だというくらいわかっていた。 だから、彼の言葉を借りるなら暇つぶしだとしても、それは構わなかった。 彼の一番にはなれなくても、わたしの一番になってくれるのなら、それ以上 彼に何を望めるのだろうか? 「正気か?」 「・・・正気って?」 「意味をわかって言っているのか?」 「大丈夫だと思います。」 わかっているくせに、あえてそう問いかけるのは、彼の優しさだと思う。 「今はいいです。でも、セイルーンに帰ったらいつお嫁に行かなきゃいけないかわかりません。」 「・・・。」 「初めてくらい、ゼルガディスさんがいいって思ったっていいじゃないですか?」 「その・・・なんだ。嫁に行けないとは思わないのか?」 「行きたいわけじゃないですもん。」 「・・・なるほど。」 お嫁さんになりたかった。 けど、相手が誰でもいい訳ではない。 一緒に歩きたい人と出会ってしまった。 彼は、自分の事などほんの瑣末にも思ってはいないだろうけど。 でも、アメリアが好きになったのはそういう男だった。 いまさら、どうしようもないのだ。 「わたしだって、ゼルガディスさんの都合を利用するんです。ゼルガディスさんだって、わたしの気持ちを利用してください。」 世界の果てはどこにあるのだろうか? 少女の疑問に、男は少し考えてから口を開いた。 そんなものはない・・・と。 無限に広がる大地に、星の数の命が息づいているのだと。 「いつか探しにいきませんか?」 「ありもしないものを?」 「ありもしないから探すんです。」 「・・・そうだな。」 シーツの中で、少女は男の広い胸に背中をあずけた。 |
16419 | Re:世界の果て らぶらぶのゼルアメです☆ | TAX E-mail | 2004/6/1 00:51:03 |
記事番号16416へのコメント ひいい(汗) 投稿させていただきました・・・ このお話しは、私の開設しているHPのとある作品の導入部だったりします。 まだ、載せてはいませんが・・・ アメリアもゼルも、ずっと一緒にいたいのに、約束ができない。 だから、ありもしない世界の果てを探しに行こうと。 つまり、ずっと一緒に探していこうと暗に言っているわけです。 そんなこと、ここで書かなきゃ誰もわからないでしょうが(涙) そういうわけで、意味のわからん文ですが、 楽しんでいただければ幸いです。 |