◆−初投稿!!−なむゆ (2004/6/20 18:07:52) No.16483
 ┗死に間際の望み 1−なむゆ (2004/6/20 18:11:55) No.16484
  ┣Re:死に間際の望み 1−花月 (2004/6/20 21:22:10) No.16485
  ┃┗感想有難うございます!!−なむゆ (2004/6/21 20:13:08) No.16490
  ┣死に間際の望み 2−なむゆ (2004/6/21 20:45:29) No.16491
  ┃┗Re:死に間際の望み 2−花月 (2004/6/21 21:47:33) No.16492
  ┃ ┗Re:死に間際の望み 2−なむゆ (2004/6/23 21:27:59) No.16501
  ┗死に間際の望み 3−なむゆ (2004/6/23 21:11:36) No.16500


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16483初投稿!!なむゆ 2004/6/20 18:07:52


 初めまして(?)お読みになられてる方々。(ぶっちゃけ、かなり前に感想を書く側として数回出現しています。だから、はじめましてじゃない)
初投稿で、こりゃ変だろって突っ込みたくなるところ・・・・・沢山でてくると思いますが・・・・・気にしないで下さい(爆)

気になるならない内容ですが・・・・・・主人公はズバリ!!ゼルガディス・グレイワーズ・・・・・彼です。
他には、ゼロス、アメリア・・・・・この三人しか出ません。
カップリングはなしです。
・・・・・あーでもゼロスがリナ達に少々無意識の仲間意識を持っています。

こんな感じのを書く予定なので、興味のある方、なんとなく読んだ方、間違ってクリックした方、少しでも本文に目を通してくれれば良いなと思います。

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16484死に間際の望み 1なむゆ 2004/6/20 18:11:55
記事番号16483へのコメント

ちょっと注意書き 
カップリングなし・登場人物・ゼル・ゼロス・アメリア 暗めの話。なのでご注意を。



 見上げた空は穢れなき青。感じた風は穏やかで、いつか彼女たちが寝そべっていた遠い日に似ていた。
 あの時一緒に・・・・・・なんて後悔して、今、たった一人で空を見上げている。
 不意にさした影。見上げた空が人影で遮られる。
遮ったのは、遠い日に見た、あの、穢れのない、笑顔。
 
『死に間際の望み』

「僕の今の仕事は、クレアバイブルを貴方に渡さないことなんですよ。」
 突然ゼロスはそういって姿を現した。
姿を見るのも声を聞くのも数年ぶりではあるが、そう独り言のように言われたゼルは、全くと言って良いほど驚きはしなかった。
「貴様・・・・・・ずっと、つけてたな。」
 ゼルは、まるで、自分がゼロスの思惑通りに動いているように思えて怒りを感じた。
 怒り任せの声を殺してゼロスに吐き捨てると、ゼロスはいつもの笑顔でこう続けた。
「怒らないでくださいよ〜。変わりに、ソレを守っている竜族の方を殺して差し上げたんですから。」
 ゼロスが指差した方向に・・・・・・・ゼルの手の中に、彼が長年探し続けていたクレアバイブルがあった。
 
 鬱蒼と茂る森の奥。獣さえ寄り付かない神聖な場所に、あのクレアバイブルがある・・・・・・風に聞いた噂につられゼルはそこにやって来ていた。
 噂は・・・・・・真実だった。そう確信したのは、もうここ以外探し場所がなくなっていたからだ。
世界はもう探しつくしてしまった。ここ以外・・・・・・・自分の求めているものはない。
 レプリカやクレアバイブルの欠片なら数多く見つけた、ただキメラの事のついてはまるで誰かに切り折られたように無かった。
 そして、クレアバイブルは広い森の奥に眠っていた。
 その広いと思っていた森が、魔法による結界だと気づくのに2日かかり、その結界を破ろうと試行錯誤に身と時間を費やした3日、その3日の結果、自分に結界を破ることができないと諦め、他に何処か入り口がないかと探し彷徨った二ヶ月以上・・・・・・・・・そして今、長年探し続けていたそれはゼルの手の中にある。
 
 竜族が居たという事実に全く気づいていなかったゼルの表情が、白いマスク越しに変わる。
「結構苦労したんですよ?血の匂いを残さないように、彼らがいた証拠と形跡を跡形なく消すのには・・・・・・・・・・。」
 罪の意識を感じさせないのは魔族であるが故か・・・・・・・・そうだとしても、そうだと分かっていても、不快感は募る一方で消えていく気配は全くない。
 クスリッとゼロスの口元が歪む。同時に、ゼルの眉間がピクリと動く。
 この不快感と怒りを、ゼロスは喰っているのだろう。
ゼルが不快に思えば思うほど、怒りを感じれば感じるほど、ゼロスにとって好都合なのだ。
分かっていた所で、感情は止まることを知らない。いや、分かってしまったからこそ、自分に怒りを感じるのだろう。
「余計なことを・・・・・。」
「余計?むしろ感謝してくださいよ。貴方一人であの竜族と渡り合えると?そう御思いならそれで結構。」
 暗に無理だ、と言っているようなものである。
ゼロスの笑顔が、自画自賛も甚だしいという印象を覚えて気に入らない。
最も、ゼルがこの魔族の言うことを快く思ったことなどないのだろうが・・・・・・・・・。
 しかし、そう言ったあとゼロスは腕を組んで独り言のように呟いた。
「・・・・・・いや、ここ数年で貴方は随分強くなった。もしかしたら・・・・・・・・リナさんや・・・・・貴方の祖父ですら・・・・・・越えてしまったのかもしれない・・・・・。」
 先ほどと一変した物言い。矛盾した言動は、決して真実を語ろうとしない姿勢は昔から変わっていないらしい。魔族が変わっていくということすら疑わしいことではあるが・・・・・。
「アイツの名前を出すのは・・・・・・俺に対するあてつけか?」
 そういって腰にかけた剣の柄に手をかけた。
それを見て、ゼロスは動じることもなく問い返す。
「アイツ・・・・・とは、リナさんですか?それとも赤法師レゾ?お望みとあらば、ガウリィさんもそれに・・・・・アメリアさんのお名前も出してあげますよ?」
 全てが・・・・・・・・・・・いう事、わざとらしいそのジェスチャーも、全て、全てが、ゼルの癇に障る。その存在でさえもそう感じるのだから、本気でこの魔族が嫌いなのだと・・・・・・ゼルはそう思う。
「ほざけ。」
 同時に地を蹴った。磨がれた剣が鞘から抜きでた。一瞬の出来事。
それを予期していたように、ゼロスは・・・・・・・・やはり深く哂った。
 白と紫が金属音をたてて交差した。

            2 に続きます

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16485Re:死に間際の望み 1花月 2004/6/20 21:22:10
記事番号16484へのコメント

 なゆむさん、はじめまして。花月という者です。
 とくに最初の4行、素晴しいです。グッと感情移入し、一気に読みました。このキャラでカップリング無しなのがうまい! 流されることのない確固たる実力があってのことだと感銘いたしました。
 続きを楽しみに待ってます。

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16490感想有難うございます!!なむゆ 2004/6/21 20:13:08
記事番号16485へのコメント



> なゆむさん、はじめまして。花月という者です。
初めまして花月さん。感想ありがとうございマス!!

> とくに最初の4行、素晴しいです。グッと感情移入し、一気に読みました。このキャラでカップリング無しなのがうまい! 流されることのない確固たる実力があってのことだと感銘いたしました。
 そういっていただけると嬉しいです。
まだまだ未熟者ですので、先輩方(?)を見習っていますよ。

> 続きを楽しみに待ってます。
・・・・・と言うことは続きも読んでくれるんですね!!
張り切って書かせていただきます!!期待せず待っていてください(笑)

それでは、感想ほんと〜!!にありがとうございました!!

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16491死に間際の望み 2なむゆ 2004/6/21 20:45:29
記事番号16484へのコメント


 ちょっと注意書き 
 カップリングなし・登場人物・ゼル・ゼロス・アメリア 暗めの話。なのでご注意を。
 この話は純粋なる続き物なので、この話から見るとさっぱりチンプンカンプンです。ご注意ください。


----------------------------------------------------------------------
それの言った言葉はあまりにも残酷な真実。

『アイツ・・・・・とは、リナさんですか?それとも赤法師レゾ?お望みとあらば、ガウリィさんもそれに・・・・・アメリアさんのお名前も出してあげますよ?』
 リナ、ガウリィ、アメリア・・・・・・・・彼女たちが死んでからもうすぐ一世紀が経つんだな・・・・・・・・なんて冷静に考えたら・・・・・・・お前らは怒るかな?
俺はまだ死にそうにないよ。
 フィリアとヴァルガーヴに、この前会ったよ・・・・・・何年ぶりだろうな、変わらず元気そうだったよ。
俺も変わらないらしい。フィリアに言われたよ。
やはりいいものだな・・・・・・・・・・自分の知人が居て・・・・・迎え入れてくれることは・・・・・・ほんと・・・・・いいもんだよ・・・・・・・・・。
でも・・・・・・やっぱり・・・・・・



「僕は戦う気なんて無いんですよ・・・・・・・・・・それに、貴方にはちゃ〜んと戦う人を用意していますから。」
 ギリギリと杖と剣が力の釣り合いを保たせてた。
杖を支えている手が小刻みに震えているが、その表情と言動の所為か余裕のように見える。
 ゼロスはそういうと、アストラルサイドに身を消した。
重力に従い落ちる体。受身を取って地面に着地し、どこから来るか分からない攻撃に身体を警戒で固くした。
どこからともなく聞こえた指を鳴らす音。
パチンっと小さな余韻を森に弾かせ、風で木々がざわめいた。
 チッと舌打ちをすると、再びゼロスの声のみが聞こえた。

「ゼルガディスさん・・・・・・・貴方の望み・・・・・・僕が叶えてあげますよ。」

 言い返そうと開いた口は、背後から聞こえた草の茂る音で遮られた。
後ろには・・・・・・・・・・・・・
「アメリア?」
 記憶と変わることのない彼女が居た。
 不意に・・・・・死んだ者に対する懐かしさと嬉しさ、それ以上の喪失感を認めた悲しみで流れそうな涙をこらえ、口が微笑んでしまいそうになるのをこらえ、彼女に剣を突きつける。
 
 リナ達が死んで、94年過ぎていた。
石の身体は老いることを知らず、あの頃から何一つ変わっていない。
変わったことと言えば・・・・・・強くなったことだけ。
 完全孤独になって・・・・・・・・94年たっていた。

「ゼルガディスさん・・・・・・・・また会えて嬉しいです。・・・・・・変わりませんね。」
 フィリアに言われたよ。その言葉は・・・・・・ゼルは言葉にしない言葉を思った。
やはり、信頼した戦友に会えるのは嬉しいことだと思う。
でも、お前は・・・・・・・・死んだだろ?
でも・・・・・・・・・・・
「どうせお前の化身だろう?ゼロス?」
 ゼルは嘲るように、どこにいるか分からないゼロスに問う。
アメリアの皮を着たそれは、優しい笑顔を悲しみにゆがめた。
しかし、クスリっと、アメリアは哂い・・・・・・地を蹴った。
幼さの残る彼女が迫り来る。



でもやっぱり・・・・・・・・・・・お前らにも会いたいんだ。

今、お前を見れて・・・・・・・・・嬉しかった。

そんなこと言ったら・・・・・・・・・・・・お前らは笑うか?



 ゴリッと削られるような鈍い音がした。
魔法の保護効果をあげた拳は、ゼルの身体を大きく羽ばたかせた。
 ゼルの頬が、口が、血の色に色づく。
血は口を切ったゼルのものと・・・・・・・・・・・・
「・・・・・・・・クソッ・・・・・。」
 アメリアの手が痛々しく傷ついていた。
苦渋の思いで血を大地に吐き出し、しっかりとアメリアを見据えた。
 無機質な瞳の先には自分が写っていて、人らしいことなどない。
彼女の影を重ねるのは、あってはないこと。
なのに
なのに
なのに

 向けた剣先が震える。

どこからか・・・・・・・・・・・・・・クスリっと哂う声がする。


3 に続きます。

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16492Re:死に間際の望み 2花月 2004/6/21 21:47:33
記事番号16491へのコメント

ますます目が離せない展開! この先どうなるのでしょう(読んでのお楽しみ、ですよね)
お言葉に甘えて再びレスいたします。
ゼルガディスの悲しみは、ただ肌の質感や見た目、重さ(泳げないらしいので、かなり重いだろうと推定)といった常人との違いだけじゃなくて。
強大な力を手に入れた代わりに…邪妖精や石人形の寿命をも手に入れた。
原作の「アトラスの魔道士」ハルシフォムは永遠を求めたけれど、それは恋人とずっと一緒にいるためで。
ゼルガディスが永遠とも思えそうな時間を手に入れても、孤独が深まるだけですから……
私も考えてみたことがあります。ゼルガディスがさみしそうにしていたり、人を避けたりするのは、姿を恥じるからだけじゃなく、別れをつらく思うからだろう、と。
だから、ゼルのこのような面にスポットを当ててくださったことを、とても嬉しく思います。同じ文章書き(私は自称、がつきますけど)として、純粋に尊敬いたします。
とても興味深く読みました。次もきっと読みますので、どうぞよろしく。

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16501Re:死に間際の望み 2なむゆ 2004/6/23 21:27:59
記事番号16492へのコメント

 どうも、なむゆです。
毎度(と、言ってもまだ二回ですが)レスありがとうございます。

>ゼルガディスが永遠とも思えそうな時間を手に入れても、孤独が深まるだけですから……
 そう思いますよね。もし・・・・・・なんて事ないにしろ、自分だったらなにも誰も知らない世界で生きたいなんて思いませんから・・・・・・・・そういう風に感じていただけると、私としても嬉しいです。

>私も考えてみたことがあります。ゼルガディスがさみしそうにしていたり、人を避けたりするのは、姿を恥じるからだけじゃなく、別れをつらく思うからだろう、と。
 一生会えないなんて辛すぎますからね。
出会いの分だけ別れがある・・・・・それが、確信されているというのが辛いはずだと私も思っています。

>だから、ゼルのこのような面にスポットを当ててくださったことを、とても嬉しく思います。同じ文章書き(私は自称、がつきますけど)として、純粋に尊敬いたします。
 ゼルも人間ですからね、精神的に弱るところもあると思います。それを仲間に一度で良いから曝け出して欲しかったんですよ。それで、思い立って書いちゃったんです(爆)
 そっそんけい!!ありがたい言葉です!!
こんなガキンチョをそういっていただけるとは・・・・・・・!!
そういって頂けるだけで、書く気力が起きます。
ほんとにありがとうございます。

それでは・・・・・・


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16500死に間際の望み 3なむゆ 2004/6/23 21:11:36
記事番号16484へのコメント

ちょっと注意書き 
カップリングなし・登場人物・ゼル・ゼロス・アメリア 暗めの話。なのでご注意を。
このお話は純粋なる続き物です。初めから見ないとアップアップです。(謎)

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 いくらゼロスの化身と言えど姿がアメリアである以上戦えないと判断したのか、ゼルが身を翻して森の中へ消えようとした。
すかさずアメリアの手から閃光がでる。
身体を傾けてそれをかわすが、再び襲う閃光にゼルの足を貫く。
 足を引きずりながら、ゼルは森の中に身を隠した。
化身であるアメリアを動かしてゼルを追うが、何ヶ月も森を彷徨っていたゼルに分があるのは目にみえている。
 しばらくゼルを探し走り続け・・・・・・・・・・アメリアの形をした化身は歩みを止めた。
化身が動かなくなるとき、それは大抵、本体に何らかの事が起こったときである。
 ゼロスは独り、ゼルの姿をアストラルサイドから見ていた。
瞳は何も映さぬまま・・・・・・・・・。


『僕の今の仕事は、クレアバイブルを貴方に渡さないことなんですよ。』
別に嘘なんかつく必要ななかった。
本当の自分の仕事は、ゼルを殺すことなのだから・・・・・・・・・・・殺す相手に嘘をつく意味などない。
 でも、殺しに来たと、面と向かって言えるほどの相手ではない。
わざわざ、クレアバイブルをゼルに取らせる必要だってなかった。
自分があそこまでして動く必要など何一つない。
でも、それでも、あそこまでしたのは・・・・・・・してしまったのは・・・・・・・

アメリアさんに会って、幼さの裏の強さを知ったから
リナさんに会って、強さの裏の優しさを知ったから
ガウリィさんに会って、優しさの裏の厳しさを知ったから
ゼルガディスさんに会って・・・・・・・・・・厳しさの裏の孤独を知ったから

 優しい人たち。
誰一人として、口では仲間と言わなかった。
だけど・・・・・・・・・・・・・・・・心の奥底では、認めていてくれた。
 優しい人たち。
魔族の自分を・・・・・・・・・・・・・仲間と認めた。
 優しい人。
 優しい人。
だから、最後の人の・・・・・・・・・・・最後の望みは自分が叶えてあげようと思った。
それがせめてもの、仲間と認めてくれたことの礼。

一人善がりでもいい・・・・・・・・・・貴方たちは・・・・・・・・・・・・

そう思っていた矢先の命令。

『ゼルガディスを殺してこい。』

 ゼラス様はそう命令した。
 理由は・・・・・・・なんとなく想像できた。
「それは・・・・・。」
 言葉は続くことなく途切れ・・・・・・・・・その間を取り繕うようにゼラスは続ける。
『方法ならいくらでもある。エサでおびき寄せるなり、奇襲をかけるなり・・・・・・・・・・簡単な仕事だろう?』
 簡単ではある。いつもなら戸惑いなく行える仕事だ・・・・・・・・だけど、相手が相手なだけにそれもしにくい。自分がやろうと思っていたことなのに・・・・・・・・・。
『できないのか?』
 そんなはずない。
それに主であるゼラスの命令に、ゼロスが背くわけがない。
「いいえ。それでは、行って来ます。」
 ひざまずいていた足を上げ、アストラルサイドから抜けようと背を向けると・・・・・
『理由は聞かないのか?』
「・・・・・・・・・・・・。」
 ずるい人だ。聞けないと分かっているくせに・・・・・・・・そう思ってゾロスは首をすくめて見せた。
『理由はな・・・・・・・・・・・・・・・・・・。』
 ゼラスが口を開く

・・・・・・あぁ やっぱりな



「・・・・・・・見失っちゃいましたね・・・・・・・。」
 呟きは、闇に溶ける。
写る映像には緑色の草木と葉のみ。
 アメリアが再び動き出し、当てもなくゼルを追いはじめる。
「僕も・・・・・・・・。」
 ゼロスが身を翻し、その紫のマントをはためかす。
「そろそろ、動きますか。」
 はためききす前に、アストラルサイドからゼロスは姿を消した。
ゼロスの脳裏にゼラスの言葉が蘇る。


『理由はな、これ以上お前が勘違いしないようにだよ。言ってる意味は分かるだろう?』

ゼロス・・・・・・・・・と、子供を諭すような声

分かっています

僕は魔族であって、人間ではない

だから

仲間意識なんてない

あったとしても

もってはいけない

僕は魔族

でも

一人善がりでもいい

貴方たちは

僕を仲間だと

思ってくれましたよね?

・・・・・・・・・・・思ってくれましたよね?



「・・・・・・・・見つけた・・・・。」
 空間を移動しながら、ゼルを探していたゼロス。
血の跡を追っていくと、そこは開けた草原が広がっていた。
一面緑の中に、不自然に残る赤を辿ると、大の字になって寝転んでいるゼルがいた。

 ・・・・・・・・・・・・何を思っているかは、ゼロスには分からない。

 ゼロスは、化身をゼルに近づけた。

          4 に続きます。