◆−五大魔族降魔戦争後ネタ。−青月 かなた  (2004/7/8 22:02:51) No.16564
 ┣言えない言葉・T−青月 かなた  (2004/7/8 23:00:45) No.16565
 ┣言えない言葉・U−青月 かなた  (2004/7/11 23:18:28) No.16570
 ┣言えない言葉・V−青月 かなた  (2004/7/19 18:02:00) No.16586
 ┗通してみるとけっこぉう短い。言えない言葉・W−青月 かなた  (2004/7/29 22:21:48) No.16615


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16564五大魔族降魔戦争後ネタ。青月 かなた  2004/7/8 22:02:51


青月:こんばんは、青月です。 
   読んで字のごとく、そーゆーネタです。
マリシエル:こんばんは。そこの人につれてこられたた不幸な美少女です。
青月:なんとなく寂しかったんでっ!
マリ:気まぐれの間違いでしょう。
青月:一応冥王様メインなはずなのに、海王様にくわれかけててどうしましょう。って感じです。獣王様も出できますが、今回覇王様は居てもいなくても意味はないのでカット。
マリ:自分で連れてきて無視するわけ?あなた。
青月:ちなみにノンカプ。
マリ:珍しいね。いつもは普段恋愛興味無し状態の返上のようにその手のものばっぁかりなのに。
青月:そーだね。何時もの自分じゃありえなモノ書いてるさ。
  ちなみに、遥 琥珀様のサイト、『月の裏側』にて配布中の、『魔族書きさんに百のお題』から≪34.言えない言葉≫を部分レンタルさせていだだいてます。この場を借りて今一度。ありがとうございます、琥珀様。
マリ:いつもこっちのアホがお世話になってます。(ぺこり)
青月:そういうわけでっ!例のごとく趣味に走った魔族小説。楽しんでいただければ幸いです。
マリ:例のごとく…ホントに自覚あるの? 
青月:それでは〜。
マリ:話題そらす気ぃ?まぁあなたがどんな生きかたしようと興味ないけどね〜。
青月:(うっう。冷たい…)それでは〜。下でお逢いしましょう〜。


  

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16565言えない言葉・T青月 かなた  2004/7/8 23:00:45
記事番号16564へのコメント


 少年の姿をした闇は語る。
 
『みんな、終わったよ』
 何時もの無垢を装ったような微笑みではない。『終わった』心から彼はそう感じていた。
『ガーヴは逝っちゃた。体力派で脳みそも筋肉に回ってるよーな奴なのに、根性無いよね』
 いっそ清々しげにそう言う。
『水竜王は滅んだけどさ』
 一層笑みを深くして、言う。
『赤眼の魔王様はこおっちゃた』
 ふっ……。浮かべた笑みは決して子供は浮かべぬであろう笑み。自嘲気味の微笑。

『ぼくには、なにも残っちゃいないよ』
 冥王 フィブリゾはそう宣言した。


 刻は動く。
 歯車は回る。
 運命は廻る。
 あるいは喜びを、あるいは悲しみを……確かな情をともないながら。
 
 魔族とてそれは、例外ではない。


 
 うららかな午後の昼下がり。
 といっても精神世界住まう彼等にそこまで関係することでもないのだが。
「あれ、どう思う?」
 金の髪をした女性が重々しくそう言う。
「どう思う、と言うと?」
 長く黒い髪をいじりながら、オウム返しに問う女性。
「わかるだろう」
 ため息をつくかのような口調で、獣王 ゼラス=メタリウムは呟く。
「―――ええ」 
 対してにっこりと微笑み、海王 ダルフィンは言う。
「今晩の夕飯はなんだろう。―――そういうことでしょう。貴女の頭を悩ませているのは」
 最近妙な料理にこっているらしいですものね、貴女のところの獣神官は。
 あくまでおっとりと上品な口調を崩さず、そう言ってのけた。
「違う」
 それに生真面目につっこみをいれる獣王も獣王だと言える。
「とぼけないで、聞け。冥王を―――フィブリゾをどう思う」
 見るものを射貫くような真剣な声音、表情。
「私、別にあんなお子様に興味はないわ。」
 そんな彼女を無視して、しれっと言う海王。意味が違うのは言うまでもない。
 ピーピロリロ……どこかで妙なトリが鳴いている気がする。
「いいかげんに怒るぞ」
 獣王は本日何度目かわからぬため息をついた。



あとがき
 短っ。いや、きっちりラストまで出来てるんですが……。何回か切る事になりそうです。時間の関係で。
 ちなみにわたしは海王様が好きです。五大魔族では一番好きです。あのマイペース腹黒げなとことか。従ってこの海王様も黒くなります。ええ。おっとり切れ者。女性形などとった所為で冥王様すら読み切れないヒトを希望。
 それでは、暫しお付き合いください。

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16570言えない言葉・U青月 かなた  2004/7/11 23:18:28
記事番号16564へのコメント

 前書きネタないんで省きます…。


「うっうっ。ちょとしたお茶目な冗談ですのにぃ」
 しくしく泣くふりをする海王。
「人が真面目に話しているのを無視するのが悪い」
 それを無視する獣王。
「貴女、人じゃあないでしょう」
「………言葉のあやだ」

 言えない言葉・U

「とにかく、だ。我が五大魔族の筆頭ともあろうものが、あれでは困るだろう」
 コホン。と咳払いしてしきり直す獣王。
「あらぁ? フィブはきちんとお仕事なさってるじゃありませんの?」
 やたら大げさなそぶりで驚いて見せる海王。
 ……あくまでフリだが。
「海王……お願いだから真面目に話しを聞いてくれ」
「私はこれが真面目ですのよ。ゼラス。
 ―――真面目に、人生を楽しんでいますの♪」
 ―――頭がイタイ。身体ないのに。
 獣王は思った。
「とりあえずつっこみどころ多過ぎるから無視する。ゼロスもそんなんだしな。
 ともかく私は思うのだ。冥王をどうにかできないものか、と」
 そう。彼女はこれが言いたかった。
 そうでなければ、気まぐれな同僚を自ら招いたりはしない。
「……どうしてその話しを私に持ってきましたの?」
 持っていた扇で口元を覆い、問う海王。
「下のものでは今の冥王の状況を打破できるとは思えん。冥王神官・冥王将軍は全て滅んだしな。覇王ではそんな話しは向かん。あいつは、デリカシーが足りん。魔竜王は論外だ。……赤眼の魔王様は……あの状態だ……」
 最後は、やや苦々しげに、あるいは寂しげに言う。
「まぁ、正論ですわね。
 つまり、海のごとく包容力もある私の知力が要ると」
「自分で言うか? というか包容力なんてものがあるのか? お前?」
「レディーに向かってずいぶんな言い様ですわね。失礼しちゃうわ」
 思わずじと目になる獣王。
 それに憤慨したらしい海王。
「ともかくな―――」
「あのフヌケフィブリゾをどうにかしたいのでしょう」
「……ああ」
 急に真顔になる海王。その声音は、底の見えない海を思わせた。
「……そうですねぇ……いわば今回のことはフィブのエリート人生初挫折みたいなものですからね。人間にもいるらしいんですわよ。そういうことで自暴自棄になったりふぬけになったりする者は」
「……」
 なんだ、エリート人生って。
 喉まで出かかった言葉を、獣王は飲みこんだ。
「……私達にできることは……」
「出来る事は」
 歌うようなその言葉を、獣王が繰り返す。
「出来る事は、……そんなことありまして? 私には見当たりませんわ」
「なっ―――!? お前こんな言い方してだなぁ」
 緊張の糸がぷっつり切れた。
「説教くさいですわゼラス。
 だってどうしよもありませんでしょう。いくら私が才能豊かな淑女だと言っても、なんでもできるわけじゃありません」
 ふざけているのやら真面目なのやらつかみかねる調子で言う。
「……だがな……あれを放っておくというのも……」
 苦虫を噛み潰したような顔で言う獣王。
「じゃあ貴女はなにが出来ると思います? あれで終わってしまうようなら、それまで。そんなフィブは居ても居なくとも無能でしょう」
「……」
「少なくとも私はそう思います」
 獣王は思う。
 ―――それでも私は放って置けない。
 甘い。という声がどこかで聞えた。
 それは、自分の声だと思った。



  あとがき
 色々意味がわかりませんはい。けど女二人(?)を書いてるのはものすごく楽しかったのです。……しょーせーんーじーこーまーんーぞーく(苦笑)
 私は魔族にも情はあると思うんですよ。だってシェーラさんは傷ついてましたし……プライドうんぬんだけではないものがあると思いますよ。きっと。
 感情があるから彼等の嫌う矛盾があると思います。わたしは。
 ……それでは。

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16586言えない言葉・V青月 かなた  2004/7/19 18:02:00
記事番号16564へのコメント

 某ジーンズのメーカの名が、『エドウィン』と聞こえた時、人はどうすればいいのだろう………。ハガレン知らなきゃわからないネタです(汗)わたしはなんだか悲しくなりました。
 ………どーゆー前書きだよこれ。とりあえずVです。冥王様大活躍…するといいなぁ…(まてまてまて)
―――――――――――――――――――――――――――――――――――

「……」
 獣王がガタンっ音を立て、席を立つ。
「ゼラス?」
 どこか抑揚の欠けた声で呼びとめる海王。
「……今日は、ありがとう。
 私は………いくよ」
「そう」
 くす……海王は笑みを零す。
 その唇が、獣王に見えないようにわずかに動く。
 あなたらしい……と。
 シュンッ!
 ゼラスは、言葉通り空間を渡りどこかに消えた。

 言えない言葉・V

 ここは、滅びの砂漠。
「………」
 ぼんやりと頬杖をついて、透けるような蒼の空を見つめる。
「…………」
 ―――ヒマだな。
 冥王は思う。
 ―――一人だからかなぁ……
 そう考えかけ、苦笑する。それは自嘲の微笑み。
「ぼくともあろうモノが……」
 ―――ぼくともあろうモノが。こんな…………。
「………」
 ―――こんな、想いを。
「……フンッ」
 己の中にある感情を、掻き消して歩む。特に目的地は無い。
 ―――こんな想いとはどんな想いだ。
「―――……」
 冥王が唇を動かす。誰かの名前を紡ごうとするように。
「…………」
 声は伴わない。
 まるで感情が空回りしているように。
 ただ、ただ―――切なげに。
 ―――ぼくは……。

「冥王! 
 フィブリゾ!!」
 不意に冥王の名を呼ぶ声が現われる。
「ゼラ、ス……。なにか用?」
 冥王は一瞬驚いたように目を見開き、同じように一瞬で冷静になる。
「ああ。用がある」
 そう宣言し、冥王の肩に手を置く。
「…………私だって、もしゼロスが滅んだら悲しい」
「は?」
 きょとんとゼラスを見つめる冥王。
「我らとて悲しみがないわけではないんだ。わかっているのだろう。だから……」
 だから、少しぐらい素直に在れ。
 鋭さを伴うほどまっすぐな声音でそう言い放つ。
「嘘などをつくな。我らは誇り高き赤眼の魔王様の腹心だぞ」
 そうしめくくると、現われた時と同じように、急に消えた。
「………」
 後には呆然とした冥王が残るばかり。
「嘘をなどつくな……か……」
 たった今同僚の残した言葉を繰返し、冥王は―――笑った。
 心から、可笑しそうに。
 壊れたようにように、笑いつづけた。



 あとがき
 これで活躍してんの獣王じゃん。
 そんなつっこみは、そっとあなたの胸の中に……(オイ)
 魔族が嘘つかないのはわりと定着してる考察ですよね わたしもそう思いますし。うーん。真面目だなぁ。魔族って。
 冥王様って腹心の中で一番滅び望んでたんじゃないかなぁとわたしは思います。
寂しかったんじゃないかなぁと。子供全滅しちゃたあたり。
 『所詮人間のリナ=インバース』であるはずの彼女の手であの方召還しようとしたことが、トライで獣王でいっていたことと矛盾してる気がするんですよねぇ、なんか……
 そんなことを思う気まぐれ駄文書き、青月でした。

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16615通してみるとけっこぉう短い。言えない言葉・W青月 かなた  2004/7/29 22:21:48
記事番号16564へのコメント

 今までお付き合いくださったそこのあなた。ありがとうございます。今回ラストです。
では〜お楽しみいただけたら決り文句ゆえ以下省略。
――――――――――――――――――――――――――――――――――――

 きっと。
 どんなカタチであれこの世に生を受けたのならば。
 別れは避けられぬ宿命。
 そして得るのは悲しみか喜びか。
 それを知るのは――――――――――――――。

 言えない言葉・W

「ふっ……。っあはははははははははっ! ははっ!! はっ! あ―――………」
 延々と笑い続けた冥王は、ゆっくりと息を吐く。
「あ――――――! なんかアホらしいな」
 そう言った顔は清々しい。
 『世界に闇を撒く魔族』というマイナスなイメージは吹き飛ばされている。
「本当に……バカみたいじゃあないか。ぼくが」
 誰にともなく、そう呟く。
 そして、もう一度くくっと笑う。
「………」
 ―――ねぇ……ぼくは。ぼくはね……。
 パタパタとベランダに向かう。そこにあるのは澄み渡る空。
 それは、意味のない行為だ。しかし『そーゆー気分』なのだ。今の彼は。
「……………」
 眩しそうに目を細めるフィブリゾ。
 ―――ぼくは。間違った事をしたなんて思ってないよ……?
    でもね、苦しいんだ。人間で言う、胸が……心が。
 彼は、語り出す。
 今はここにいない、彼の大切な、本当に大切だと気づいた者達へ。
 彼の部下であり、子供であり、手足となり彼を支えた者達へ。
 ―――『後悔』きっとコレだね。今のぼくにあるのは。
    ぼくは、言えなかった事があるんだ。
 それは、気づいていたのか、気づいていなかったのか。あるいは目をそらしていたのか、彼には判らない。
 ―――君達のこと。すきだったんだよ大切だったよ。
    でも、言ってはいけない気がして。
 魔族だから、何時か滅ぶべき存在だから。好きなどと言ってはいけない気がして。想っていても、むやみに口に出したら、なにかが変ってしまう気がして。
 ずっと、伝えたことはなかった。
 ―――いつかぼくがそっちに逝ったら……
 滅びの時を迎えた時に。
 ―――ちゃんと世界をお土産に、そっちに逝くから。
    そうして―――ひとつになれたら、今度はちゃんと伝えるよ。
    すきだって。愛してるって。大切だって……。呆れるほどそう伝える。
 そんなことを考えながら、瞼を伏せる。
 ―――それまで、待ってて。
 これは、誓い。
 純粋な想いの果ての、切ない約束。
「だから、今は言わないよ……」
 フィブリゾは、好きだと。愛していると。大切だと。そして、ごめんと謝りたい。理由は判らないけれども。
 そう伝えたい。
 そうして彼は、胸に秘めたその言葉たちに、願いをかける。
「…今は、『サミシイ』とだけ言ってるよ」
 ―――今は。言わない。全てが終わるまで―――混沌に帰るまで。
 彼は誓った。
 ゆるやかに持ち上げられた瞼から現われた瞳は……澄みきっていた。
 それは、辛過ぎて、悲し過ぎて、それを乗り越えてしまって、澄んだ瞳。
 乗り越えても。決して忘れないから、独特の毒も清さも持つ瞳。
「待ってて……」
 その呟きを耳にしたものは、居なかった。
  
 
 別れ。
 それは避けられぬもの。
 それでなにを得るかは、それを受けとめるもの次第。
 別れ。
 全ての終わりであり。
 はじまり。
 永遠に続く、物語の一部……。



  
 あとがき
 ぼけーと書いてきました。言えない言葉。これにて終了です。
 魔族の目が澄んでてもいいじゃないか!(苦笑)そんな思いがこもってます。
 …わたしにシリアスは向かぬようですねぇ。
 それでは〜。