◆−犬を拾った日(ヴァルvsルーク×リナ前提、リナ受け)−竹内 恵 (2004/7/18 00:19:09) No.16581 ┣犬を拾った日2−竹内 恵 (2004/7/18 11:13:46) No.16582 ┣犬を拾った日3−竹内 恵 (2004/7/18 19:34:40) No.16584 ┃┗ヴァルガーブでくるとはっ−久世啓 (2004/7/20 23:33:10) No.16589 ┃ ┗ありがとうございます!!−竹内 恵 (2004/7/21 13:57:46) No.16590 ┣犬を拾った日4−竹内 恵 (2004/7/21 20:15:32) No.16592 ┣犬を拾った日5−竹内 恵 (2004/7/22 17:07:52) No.16594 ┣犬を拾った日6−竹内 恵 (2004/7/27 22:42:14) No.16604 ┃┗おおー、次はこの人が。−久世啓 (2004/8/3 21:14:59) No.16620 ┃ ┗感激です(感涙)−竹内 恵 (2004/8/4 08:47:17) No.16622 ┃ ┗こちらこそ−久世啓 (2004/8/10 21:33:33) No.16631 ┗犬を拾った日7−竹内 恵 (2004/8/15 13:41:36) No.16638 ┣Re:犬を拾った日7−朱音 (2004/8/18 15:48:16) No.16642 ┗ルクリナ!楽しく読ませて頂きました。−瑞茅桜璃 (2004/8/19 00:13:18) No.16648 ┗み、身に余る光栄です!−竹内 恵 (2004/8/19 08:57:53) No.16649
16581 | 犬を拾った日(ヴァルvsルーク×リナ前提、リナ受け) | 竹内 恵 | 2004/7/18 00:19:09 |
・・・まずった まさかもう一人いるとは思わなかった・・・。 三人の男を相手してる間に後ろからわき腹の横あたりをぐっさりやられた。血液がアスファルトを這い、雨と共に下水の排水溝へと流れ込んでいく。 ・・・まぁいいか・・・このまま死ぬのも・・・ ぼんやりとしたした意識の中、そんなことを考えた。もう、何もかもがめんどくさい。雨は冷てぇし、腹部に激痛はするし・・・。楽になんならさっさと楽になりたい。すべての重荷を投げ捨てたまま。雨と一緒に流れてしまいたい。 ・・・霞んだ視界の中に、一瞬栗色の髪をした女が映ったが、そんなことはすでにどうでも良かった。 ・・・やっと 楽になれる。激しい痛みが伴う混濁の中で、身体の悲鳴に身を任せるままに意識を閉じた。 ことこと ぐつぐつ トントン ジュージュー リズミカルに刻まれる音に目を覚ます。 道路らしからぬ柔らかい感触が体を覆っている。未だぼやけてピントの合わない目を凝らして見る天井には、今まで見えていた(とは言っても、意識が閉じるまでの間だが)灰色の空とは違い、薄黄色を帯びた壁が視界に入る。激痛を訴えていた横腹あたりには丁寧に包帯が巻かれていた。 「・・・・・・」 身辺に何が起こったのか理解できず、しばし混乱する。たしか自分は男に刺されて身動きができなくなり、裏路地で倒れ込んでいたはずなのだが・・・。 「あら、やっと起きたの?」 考えを遮るように話しかけてきたのは、意識の閉じかけた中で見かけた栗色の髪の14,15歳くらいの少女だった。 「あなた、三日間眠りっぱなしだったんだから」 そう言いながら男の前に粥の入った皿を置き、「冷めないうちに食べてよね」と一言付け足して横に座る。 「あんた……」 ベットから上半身をゆっくり起こし、混乱気味の頭を抱えながら女のほうを向く。 「ん?あたし?あたしはリナ=インバース。ぴっちぴち(死語)の高校一年生よ」 「いや、そうじゃな…」 「あなたの名前は?」 「は…?」 「だ・か・ら。あなたの名前は?女の子に名乗らせといて自分は教えないなんて悪趣味なことしないでよね。あ、それとも覚えてないとか?記憶喪失?ドラマとかでよくあるパターンよね〜」 ・・・べらべらとよく喋る奴だな。俺が話してる暇がねぇじゃねぇか。とりあえず、相手方の質問に答えないと俺の方の疑問には答えてくれそうにないんで、 「…ルーク」 名前だけ答えて黙った。 「ふーん、ルークか…」 「…なんだよ」 訝しげに覗きこんでくる少女を睨みつける。何故なら俺は結構有名だからだ。もちろん、三人の男を相手にしている間に背後から一突きされるような奴が良いほうで有名なはずが無い。俗に言う【悪名】の方で有名なのだ。だからこの女がルーク、という名で反応を示すということは多少なりとも俺の【悪名】を聞いたことがあるのではないのか?と考えを巡らした上での行動であった。だが、少女の方はルークの眼光をさらりと流しにっこりと微笑む。 「家で飼ってた犬も”ルーク”って言うの。」 「はぁ?」 一瞬、何を言われたのか理解できず固まってしまう。 ・・・はぁ?犬だぁ?? 唖然としている男にくすくすとイタズラっぽい笑みを浮かべる。 「”飼ってた”ってのはね、交通事故に遭って、その犬死んじゃったの」 唐突に何を言ってんだ?この女は? 怪訝そうに話を聞いていた俺に尚もくすくすと腹を抱えて笑う。だが少女がふと表情を暗くした。 「そんで途方に暮れて雨にうたれてるときにあんたを拾ったの」 「……」 もう「あなた」から「あんた」になっている。こいつの他人と仲良くなる上等手段なのか、それとも我知らずやっているのか。どちらにしても喰えない奴・・・というか俺とは性格が合いそうにないな・・・。 「…んで、俺はその死んだ犬の代わりみたいな感じで拾われて来たってわけか?」 「そゆこと」 ・・・ばかばかしい。ガキの遊びになんて付き合ってられっか。 片手に体重をかけ、起き上がろうとした・・・が、 「っつ……」 腹部の辺に走った激痛にそれを阻止された。言わんこっちゃないというような顔で女は俺の両肩を支えて、ベットに押し戻した。 「そんだけ傷が深いんだから、2、3日で治るわけないじゃない。怪我人は怪我人らしく大人しくしてなさいよ」 「んなこと知るか!俺はもう帰・・・」 「そんなに病院につっこまれたいの?」 不適な笑いを浮かべながら男を一瞥する。 ・・・本当にこいつはただの女子高生なのだろうか?まるで周りの雰囲気を全て自分に持っていけるような技を身に着けている駆け引きの上手い策士のようだ。有無を言わせぬその口調。しかも、瞳にどうしようもない威圧感を持っている。・・・そう、紅の瞳。今更ながらに気がついた、その真紅の双眸。今、向かい合っている瞬間だからこそ直視できる血のような、赤。 ・・・宝石のような瞳 「あんた、病院に堂々と行けるほど世間体良くないでしょう?」 「……」 「とりあえず、怪我良くなるまで無理しないこと!わかった?」 案の定、喰えない奴だった。まぁ、確かに堂々と病院に行けるような身じゃあない。しかもこのぶんだと襲われても抵抗の仕様がない。相手と相打ち、というのならまだ”死んでもいい”と考えられるが、一方的にやられるとなると話は別だ。そんなのは自分のプライドが許さない。現に、俺を刺した奴らも半殺しにしておいた。それに、俺の家の所在はすでに知られていて安全とは言えない。だがここなら俺が居ると知られることはない。少なくとも傷が癒えるまで外に出なければ安全ということになる。 「ちっ!わかったよ!」 とりあえずは了承することにした。その方がいろいろと都合がいいからな。 乱暴に目の前にあった皿を抱え上げ、スプーンで一口すくった。 ・・・へぇ、美味い。 この分だと料理方面は期待できそうだな。などと考察しながらあっという間に一皿分を食い上げた。その様子を見て女は「おそまつさまでした」と言いながらこちらを見て笑みを浮かべている。 カチャカチャと食い終わった後の食器をかたずけて、台所に向かって行く。 ・・・ふと足を止め、こちらに向き直ると 「ねぇ、”ただより高い物は無い”って言葉、知ってる?」 「……はぁ?」 そう言ってにっこりと俺に笑いかける。 初めて女の笑みに寒気を覚えた瞬間だった・・・。 「やっぱり、喰えねぇ奴・・・」 自問自答しながら再確認をした |
16582 | 犬を拾った日2 | 竹内 恵 | 2004/7/18 11:13:46 |
記事番号16581へのコメント 日の光が窓から入り込んできて、その眩しさに思わず目が覚めた。ちゅんちゅんとお約束のようにスズメの鳴き声が聞こえてくる。 まだ重い瞼を擦りながらのっそりと上体を起こす。ふと、周りをきょろきょろと訝しげに見回す。・・・あぁ、そっか。ここは俺の家じゃない。 ボーっとした頭で確認をし直すと、頭をがしがしと掻き、もう一度上体をぼすん!と荒々しく寝かせた。 ・・・何でこんなことになったんだか ふわりとしたいい香りが鼻をつく。パタパタと忙しない音が一緒に聞こえてくるので、あぁ。朝食でも作ってんのかとぼんやり考えた。 窓から見える景色は丁度よく隣のカフェテラスを映し、心地よさそうに日の光を浴びている花壇の花が眼に入る。 平和としか言いようのない風景。自分とは一生孤立無縁だと、そう考えながら風に揺れているカーテンに目を向けなおす。 真っ白な、無地のカーテン。 追い追われ、殴り合った痛みを感じながら自分の生きていることを再確認する。時にそれは甘い恍惚にも似て、また激しい絶望と何にも形容しがたい孤独にも類似している。ただ生を実感するためだけの、自分を誇示するためだけの行動。行為。 自己満足の自暴自棄。それともただ単に自虐的なだけなのか。どちらにしろ別に構ったことではない。 ただ自分でやりたいことをやっているだけ。他人にとやかく言わせるつもりはない。寄せ付けるつもりも、無い。 「朝ごはん、できたわよ」 声のした方向に目を向ける。日の光の中で栗色の髪は艶を増したようにさらさらと揺れ、真紅の双眸は尚も強くその色を誇示している。 先程まで目を向けていたカーテンのように柔らかな白の色を帯びた肌はふわふわと光に溶け込んでいるように映る。 ・・・思わず目を背けた 「何よ、どうかしたの?」 「……べつに」 急に押し黙った俺を見て、ふうと一つため息を吐いた。 「あのね、あたしこれから掃除、洗濯、家事、おまけに買い物もしなきゃいけないの。だからさっさと食べてくんない?洗いもの終わんないでしょうが」 「っせぇな、わかったよ」 「あ、何よその態度!こっちは忙しい中あんたの面倒も見てやってんだから少しは感謝しなさいよ!」 「誰も頼んじゃいねぇよ」 「むっか〜!可愛くない奴!!」 「可愛くなくて結構。むしろ”可愛い”なんて言われたほうが気色悪いっつの」 ったく、逐一うっせぇ女だな。・・・ていうか、女とまともに話すのなんて何ヶ月ぶりだ?大概は事を済ませばさっさと帰るか、そうでなかったら薬の売買人あたりの女としか会話していなかった気がする・・・。 それに普通の女は俺の名前を知っていたら、聞いただけで逃げ出すか、気絶するかのどちらかで、ましてやこんな風に喧嘩することなんて天地がひっくり返ってもありえないことだ。 ・・・変な女 昨日の口調からすると、こいつも俺の名を多少は知っているらしいが、どういうことか怖がる素振りはねぇし、詮索してくる様子もない。 本当に犬の代わりのためだけに拾ってきたのか?だが代わりが”俺”となると代償が半端じゃなくなるような気がするんだが・・・。 そんな考えを巡らしながら黙々と並べられた飯を平らげる。 ・・・やっぱり美味い。 「ん?食べ終わった?そんじゃ食器かたずけるわよ」 手際よく俺の前に置かれた食器をかたずけ、部屋を後にした。 ガーガーと掃除機のうなっている音がする。 正直な話、退屈でしかたがない。寝てるだけってぇのは性に合わない。だが、脇腹あたりの鋭い痛みが1から10まで行動を制限して、思うように体を動かすことができない。まったく不便極まりないことである。半ばふて寝にも似たようにベットに身を任せる。 プルル プルル ふと脇に置かれていた携帯が鳴った。 「おい、ケータイ鳴ってんぞ!」 一応、あいつに知らせておくべきと声を張り上げた。すると「あんた出といて!」という考えもしなかった答えが返ってきた。 おいおい、テメェの携帯に俺が出てもいいのかよ?大丈夫なのか?などと柄にも無く心配してみる。その間も鳴り止むことなく電話は鳴り続けている。一向に音が消える様子が無いのにとうとう観念して携帯を手に取りもしもし、と声を出した。 《な…!!?》 相手は言葉に詰まった様子で、しばらく沈黙していた。まぁ当たり前か。と思いながら返答を待つ。どうやら男らしかった。 《誰だてめぇ!何であいつの携帯にお前が出る?!!》 しばらくして男が声を乱暴に荒げ、質問を投げかけてきた。 「…いや、ちっと訳あ…」 ブツ!! ツーツー 最後まで言い終わる前に電話を切られた。 こりゃ、そうとう動揺してるな・・・。何だ?あいつの恋人か何かか?まぁ俺のせいじゃねぇし、どうでもいいけどな。 さてと、もう一眠りするか。と呟きながら軽く背伸びをしてからもぐり バタン!! 「リナ=インバース!!」 こもうとしていたのを突然の来訪者に邪魔をされた。・・・まったく、何だっていうんだ。 少しばかり不愉快な思いのまま下の階から聞こえてくる会話に耳を澄ました。 「ヴァルガーブ!?どうしたのよ突然!?」 「それはこっちの台詞だ!!」 どこかで聞き覚えのある声だな、と考えを巡らし一つの答えに行き着いた。 ・・・あぁ、さっきの携帯で聞いた男の声か・・・。 ・・・ちなみに相手方が訪ねて来たのは、電話が切れてから約3分後の出来事である。 |
16584 | 犬を拾った日3 | 竹内 恵 | 2004/7/18 19:34:40 |
記事番号16581へのコメント 「「…………」」 何故か俺はいかにも柄の悪そうな(俺も人のことは言えないが…)目つきの鋭く、薄い青色の髪をしている男とテーブル越しで 向かい合っていた。もちろん初対面で、話すことなど何もない。ただ気まずい雰囲気の中、沈黙が流れるだけだ。 しかも俺の気のせいでなければ、ものすごい殺気をこちらに向かって放っているように思える。一体俺が何したってんだ、と自問すれば簡単に答えは出てくる。今しがた呑気に「お茶いれてくるわ」と台所に向かった少女の携帯に俺が出たからだろう。 「お茶淹れてきたわよ…って二人とも?」 「おう、悪ぃな」 男はパッと表情を変え、あいつのほうに向き直った。・・・変わり身早ぇな、オイ。などと心の中でツッコミを入れながら淹れたての茶をすする。 「…で、何なんだ?こいつ?」 じろじろと怪しむ視線をこちらに向けながら少女に質問する。 「あ、コレはルーク。路地の真ん中で血流しながら倒れているのを見つけてあたしが介抱してあげてんのよ」 今度はコレ呼ばわりかよ。あまりにも悲惨な扱いを受けている我が身に思わず頭を抱える。 「ルーク…?」 その名前にぴくりと反応を示す。その様子を見て、あぁ、俺の噂を知ってんだな。と肘をテーブルにつけ、頭を支えるような格好で考察する。 「…ルークってぇと…」 「……」 俺は黙って次の言葉の紡がれるのを待っていた。 「前に飼ってたお前の犬と同じ名前だな」 ドガシャ!! 頭から勢いよくテーブルに突っ伏した。「ちょっと!何やってんのよ!」などという抗議の声が横から聞こえてきたが、この際どうでもよかった。・・・また犬かよ!俺の知名度は犬の次か?!いじけたい気持ちを抑えながら突っ込んだ頭をゆっくりと起こす。 「なるほど、犬の代わりで飼ってるってわけか」 「ん、まぁそんなとこ」 「まてやコラ」 今日は厄日か?とほぼ諦めた様子で溜め息を一つ吐いた。確かにこの女は俺を死んだ犬の代わりに飼っていると言った。 だが、まさか他人にまでそんなふざけたことを話すとは思わなかった。何て事してくれんだ!ったく! 「そんな事はどうでもいいとして、女一人住まいの家に男を置くのは賛成できねぇな。」 「ヴァルガーブ…」 男は指の先でピン、と茶の入っているコップを軽くはじく。一方、あいつのほうは怒っているような困っているような表情で俺の方を見た。 なんだかよく空気が読めないが、あまりいい雰囲気ではないことは確かだった。 しばらくして、あいつの方が何か思いついたように両手をぱん、と合わせ男のほうに詰め寄った。 「この間断った映画、やっぱり行きましょ?」 「「はぁ?」」 いきなり何を言い出すのかわからん奴だな。思わず声がハモっちまったじゃねぇか!男のほうも何が起こったのかわからず、呆然としている。 「今度、お弁当作ってきてあげるわ」 「お、おい…」 「そぉ言えば最近、遊園地の入場無料券もらったの!一緒に行かない?」 「おい、リ…」 「今度ヴァルの家、遊びに行っても…いい?」 「……!!?」 上目遣いにそう問われて、真っ赤に顔を染め横を向いていた。・・・憐れな奴だな・・・。 「はい決まり!じゃあねヴァル!また今度!!」 「なっ!おい!?」 男はあいつに押し出されていた。ご丁寧に鍵までかけられている。何分かドンドンとドアをたたく音や「おいリナ=インバース!!」とか叫ぶ声が聞こえたが、途中で諦めたようではたと音は止んだ。 「いいのか?あれ…」 「まぁ良くはないけど、いいのよ」 「どっちなんだよ…」 矛盾している相手の言葉にあきれた風に返答する。 いつの間にか外は薄暗くなっていた。あのお騒がせな来訪者のおかげで一日があっという間に過ぎた気がした。・・・要するに疲れた。 あいつは時計を見ると「あちゃー」と声を上げ、台所に向かっていった。どうやら晩メシの準備をしに行くらしい。 んで、俺はというと何もすることがなく、再び布団に寝そべった。天井を仰ぎながら、ぼんやりと先程の男とあいつのやり取りを思い返してみる。 ”今度ヴァルの家、遊びに行っても…いい?” ・・・バカじゃねぇの?男の家に遊びに行くって事がどういうことか、ちゃんとわかってんのか? ”この間断った映画、やっぱり行きましょ?” ”今度、お弁当作ってきてあげるわ” ”そぉ言えば最近、遊園地の入場無料券もらったの!一緒に行かない?” ・・・わかってて言ってんだろうな・・・。 ばかばかしい、何で俺がそんなこと気に掛けなきゃなんねぇんだ。 ――胸の内を占めていく、ちりちりとした乾きと焦り。 「ご飯、できたわよ」 ソプラノの、耳に心地いい声が聞こえた。 さぁっと窓から入ってくる風に栗色の髪がなびいている。まっさらなカーテンが共に揺れている。 「? 何よ?」 「……」 真紅の瞳に自分が映っている。まるで視界の全てが真っ赤に染まったような錯覚に陥った。 「どうかしたの…?」 黙り込んでしまった俺を心配そうに覗き込んでくる。 「……べつに…」 我知らず、その少女に安堵感抱いたことを 彼はまだ知らない・・・ |
16589 | ヴァルガーブでくるとはっ | 久世啓 E-mail URL | 2004/7/20 23:33:10 |
記事番号16584へのコメント こんばんは。けい 改め 久世啓@ルークリナ補完計画 です。 ヴァルガーブがでくるとは、ちょっとびっくり。しかし、そのヴァルもリナにいいようにあしらわれてますね。これはこれで、なんか可愛い(笑) 相変わらずテンポのよいルークとリナの掛け合いが楽しいです。 ルークも、このヴァル相手なら勝算あるかも? がんばれ〜っ(無責任に応援してみる) |
16590 | ありがとうございます!! | 竹内 恵 | 2004/7/21 13:57:46 |
記事番号16589へのコメント うわぁぁ!毎回毎回こんな駄文にコメントを下さるなんて・・・感激です!!もう最近、あなた様からくる感想を見かけるたび踊りだしてしまう 始末です(馬鹿)。ありがとうございます!この話はずいぶんとネタを考えているので結構長くなると思います・・・。 よろしければおヒマな時にでも目を通してやってください。もう、嬉しすぎて天国直行便に乗ってしまいそうな勢いです(感涙) ちなみにヴァルとルークのコンビは前から絡んでるとこを見てみたいな〜と思っていたのですが、どこのサイト様もかいていらっしゃらなかったので自分で書こうと決意し、現在に至ったわけであります。 |
16592 | 犬を拾った日4 | 竹内 恵 | 2004/7/21 20:15:32 |
記事番号16581へのコメント 「ねぇ!お祭り行かない?」 「はぁ??」 この家に厄介になって早一週間と三日、やっと腹の傷が治りかけてきたという今日この頃。 あいつの突然の誘いにより、久しぶりに外に出ることになった。 ドンドンと太鼓が忙しなく音を響かせる。どこからかピーヒャラ ピーヒャラと笛の音も聞こえてくる。 ざわざわとまるでアリの集団のように押し固まり、行列をつくっているのを見ると、少々げんなりした。まあ、人のことばかりは言ってられない。なんの経緯でかいまいち理解できないが、これから自分もあの集団の一部になろうというのだから。 「やっほールーク。お待たせ!」 人ごみの中、一際高いソプラノの声が響いた。 何が「お待たせ」だ! 「てめぇが勝手に待たせたんだろうが!」 同じ家に居るってのに、こいつはわざわざ待ち合わせをさせたのだ。「待ち合わせはデートの基本!」とか何とかぬかして。 デートじゃねぇだろうが!こっちとしてはいい迷惑である。しかも 『支度するから、一時間後、神社の狛犬の前で会いましょ』 なんて理由で追い出され、一時間という時間をもてあましまくった。 おかげで不機嫌極まりない現在の態度に至るというわけだ。 「いくら待たせりゃ……」 言いかけてはたと相手の服装を見る。ふんわりとした、視界を優しく包むような淡い水色。そこに波のような白い線が引かれている。 髪は後ろに団子状に束ねられていて、こめかみの部分の髪だけが少したらされている。カランコロンと、下駄の音。 「…おい、何だその格好」 「あ、これ?浴衣よ浴衣。見てわかんないの?」 んなこと聞いてんじゃねぇ、と言い返そうとしたが 呆れて言葉が出てこない。 ・・・このために俺は追い出されたのか・・・。 「黙ってないで何か言ったらどなのよ!」 「あ?なにが?」 「だー!鈍いわね!!似合ってるかって聞いてんのよ!!」 人をさんざん振りまわしといて、今頃こいつは何を言ってるんだか。 そう思いながら皮肉じみた口調で 「馬子にも衣装」 ときっぱり言い放った。あいつは頬をぷっくりと膨らませ、こちらをもの凄い形相で睨みつけてくる。 その様子に思わずぶっと噴出した。その様子になおさら腹を立てたのか(当たり前である)、手に持っていたうちわを投げつけてきた。 が、そんなものに易々と当たる俺ではない。ぱしっと顔面めがけて飛んできた物体を難なく受け止める。 「ふん、甘い甘い…」 ドガシャ!! 得意げにうちわを手で弄んでいた俺にもう一つの物体が見事にクリーンヒットした。・・・バックである。 「ふふふ、甘い甘い」 先程の俺の言葉を借り、くすくすと笑いながらこちらを一瞥する。 「テメェ……」 ひりひりとした痛みに顎をさする。ゆっくりと体勢を戻しながら相手を睨みつけた。 「大体なぁ!同じとこに住んでるってのに何でわざわざ待ち合わせなんかしなくちゃ……」 そう怒鳴り声を上げると 「わぁ!しー!しー!!」 あいつが心底慌てたように言葉を途中で遮った。はっとして周りを見渡してみると、好機の視線が一身に俺たちに集まっていた。 まあ、当然といえば当然である。これだけ人のいる中、往来のど真ん中で大声で喧嘩をしていれば・・・。 しかも傍から見たらこのやり取りはカップルの痴話ゲンカにしかみえないだろう(漫才という方向にも見れなくはないが…)。 しかもついさっき”同じとこに住んでいる”と同棲宣言までしてしまった・・・。 「…っもういいわ!さっさと屋台見て周るわよ!」 「お、おう…」 居心地の悪さに耐えかねて、あいつが先に声を掛けてきた。そそくさとこの場を去る。 ズンズンと先頭を浴衣であるにも関わらず大股で歩いていく。見ると耳の後ろ側まで真っ赤である。 自分も赤面しているであろうことを棚にあげ、その様子を見て、「ガキ」と内心で毒づいてみる。 「あんなとこで叫ぶことないでしょ!」 そう言いながら突然こちらをふり返る。まるで先程まで考えていたことがわかってしまったようなタイミングにぎくりとした。 「お前だって人のこと言えた義理じゃないだろうが!」 だがそれを表には出さず、平静を保ちつつ返答する。 相手はうっと言葉を詰まらせ俯きながらこっちを見上げるように睨む。 ――さっきまで気ずかなかったが、紅い瞳が水色の浴衣に良く映えている。 一面の水色に 紅く泳ぐ 瞳。――まるで 「金魚みてぇだな」 ポツリと呟く 「え?何かいった?」 はっと我に返る。らしくもないこっぱ恥かしい台詞を吐いた自分に背筋が凍る。 「何でもねぇよ!」 八つ当たりか、照れ隠しか。自分にもよくわからないが、とりあえず怒鳴ってみたりした。 |
16594 | 犬を拾った日5 | 竹内 恵 | 2004/7/22 17:07:52 |
記事番号16581へのコメント 今思うと、あれは悪口じゃなかったように感じる 『馬子にも衣装』 ある意味ではきちんと悪口を果たしているが、裏を返せば”似合ってる”とも意味を取れる・・・。 ぞっと背筋を強張らせるた。さっきから自分らしくない思考と言葉が頭の中を交差していて、妙に落ち着かない。ぶんぶんと頭を振り 気色の悪い考えを追い出そうとする。・・・本人にしてみれば必死の行動も、端からみれば奇妙な光景にしか見えないのが酷だが。 「あぁもう!また外れた!」 そんな彼をよそに、一人楽しく祭りを堪能している少女。射的ゲームに熱を上げ、きゃっきゃっと声を上げている。 ・・・大体こいつが・・・ 祭りに誘わなければ 待ち合わせなどと変な時間をかけなければ 大声で叫ばなければ 張り合って物を投げつけなければ・・・ ずいぶんと自分を棚上げした考えが巡る。ただでさえイライラしてる中、あいつはお構い無しに楽しそうな声を上げる。 その様子になおさら不機嫌になる。――なぜ自分がイラついているのかもわからずに。 「貸せ!!」 「あ、ちょっと!」 無理やり手から射的用の鉄砲を奪う。 パァン! あいつがさっきから狙っていたウサギのぬいぐるみを難なく撃ちおとす。 「な……!」 またつっかかってくるな。そう思いながら臨時戦闘態勢をとる。 「凄いじゃない!ルーク!!こんどあれ取ってみて!」 が、まったく予想に反したリアクションが返ってきた。 「何すんのよ!せっかくあたしが取ろうと思ってたのに!!」とかなんとか言いながら怒鳴り込んでくるもんだと思い込んでいた俺はあっけにとられる。・・・結局、店の親父に 「これ以上やられたら、商品がなくなる」 と泣き付かれるまで撃たされる羽目になった。 その間、あいつは隣で「凄い」を連発しながら心底楽しそうにはしゃぎまわっていた。 「おい、こんなに取ってどうすんだよ」 「んー。どうしよっか?」 「”どうしよっか?”って…あのなぁ…」 他の屋台を見て回りながら、ちょこちょこと前を行く小動物のような栗毛の女に質問する。 「あ、綺麗!」 「…人の話聞いてんのかテメェ」 「聞いてるわよ」とこちらを見ずに手をひらひらと上下に振る。 人に荷物全部持たせといてなんだその態度・・・。 「よう、姉ちゃん。何か気に入ったモンでもあったか?」 ひょいっと顔を出したのは二十歳そこらの若い男だった。髪を赤色に染め、いかにも不良ですという顔つきをしている。 「んん、そうね〜……」 「もし良いのがあったらそこの彼氏に買ってもらいなよ」 ガシャガシャガシャ!! 思わず持っていた荷物を落としてしまう。 ・・・黙って聞いてりゃあこの野郎・・・ 「「こいつとはそんなんじゃ(ねぇ)(ないわ)!!」」 「おお、息ぴったり。照れるなよお二人さんv」 「ち、違うったら……っもういいわよ!!」 否定するだけ無駄だと悟ったのだろう。あいつは踵を返してこの場を早足で立ち去る。 ・・・まったく、今日はこんなんばっかだな。 まあ確かに浴衣姿の女、その隣を歩く男とくればそう見えて普通だろう。 「おっと、ちょっと待てって」 「なんだよ?」 あいつを追いかけようとして、声を掛けられる。 「これ、持って行きな。餞別だ」 そう言われて持たされたのは大小二つのリングのつるされたペンダントである。 「あの姉ちゃん、幸せにしてやりなよ」 「だから!そんなんじゃねぇって……!!」 「何やってんのよ〜。もう帰るわよ〜!」 赤髪の男はニヤニヤと目配せする。”速く行ってやれよ”と。 軽く相手にガンつける。それでも尚、こちらを笑いながら観察してくる。ちっと軽く舌打ちしがらその場を後にした。 ・・・気にくわねぇ奴。そう思いながら自分の手元にある物を見やる。その途端しまった、と頭を抱える。 「返品すりゃあ良かった…」 「何を?」 こちらを覗き込むように質問してくる。身長差が激しいため、上から見下ろすような形になる。 ・・・ふと、視界に入る、ラインの綺麗な鎖骨。 慌てて目を逸らす。浴衣のせいか露になっている首筋。さらさらと揺れる 髪。――あの野郎が変なことほざくから・・・。 変な風に意識してしまう、と内心で言い訳する。 「お前にゃ教えねぇ」 苦し紛れに悪態をついてみせる。 「…あっそう!別にいいわよーだ!!」 拗ねたようにプイッと横を向く。 ――本当は”捨てる”という事もできたのだが、なぜかそうする気になれなかった。 「…まぁ、勿体ねぇからな」 まるで言い訳のようにそう呟くと、そのペンダントをポケットにしまい込む。 今日はとてもじゃないほど騒がしい一日だった。恥は掻くし、あいつとカップルに間違われるし、荷物は重いし・・・。 でもまぁ、悪くは 無い。 |
16604 | 犬を拾った日6 | 竹内 恵 | 2004/7/27 22:42:14 |
記事番号16581へのコメント 腹の傷の具合は良好。やっと体を横にひねれるぐらいになった。 ・・・そして・・・ 「いくら買えば気が済むんだテメェは!!」 「ん〜…。あともうちょっと」 現在、こいつの買い物の付添い兼 荷物持ちをさせられている。もうすでに十二軒は店をまわっているのだが一向に帰る様子を見せない。 色とりどりに飾られた箱状の荷物や、ビニールに敷き詰められた生活用品を抱えながらあいつに講義の声を上げる。 「お前も少しは持てよ!」 「か弱い女の子にそんな重そうなの持たせる気ぃ?最悪の男ね」 「誰がか弱いんだよ誰が?!」 がん!と右足の横のほうに鈍い衝撃と痛みが走る。 ・・・コイツ・・・! 「…まぁ、そうね。ちょっと疲れてきたし、どこかで休もっか?」 それでも家に帰ろうと言わないあたり、まだ買い物を続ける気なのだろうとウンザリしながら後をついていく。 まぁ休めるだけマシか、と自分に言い聞かせながら。 数分歩き回って、てきとうな店を見つけて中に入った。 看板を見ずに(正確には荷物が邪魔で見えなかった)中まで来たが、雰囲気からしてどうやら喫茶店らしい。とりあえず、そこら辺の席に座る。今まで持たされていた荷物を一気に降ろし、落胆の溜め息を一つ吐く。 やっと開放された、と頬杖をつこうとしたが、長時間荷物を抱えていた手は麻痺していて小刻みに震えている。それを見て もう一度溜め息を吐き、丸い形のテーブルにうなだれる。 「何よ、もうへたばったの?情けないわねぇ」 「うるせぇ」 右隣から皮肉じみた声が聞こえてくる。何か言い返したいような気もしたが、全身が疲労していて悪態をつく気力もない。 ・・・確かに、いくら長時間荷物を持たされたからといって、ここまで疲れるのはおかしいような気がする。以前より体力が衰えているのか? そんな考えが頭をよぎる。まぁ、当たり前ではある。ここ三週間ほど、まともに運動(喧嘩)していないのだから。 「よぉリナ!」 突然掛けられた声に驚き、後ろを振り返ると、そこには長身、金髪、超美形の男が立っていた。 「ガウリイじゃない。どうかしたの?」 「いや別に、お前さんが見えたから声をかけただけなんだが……ん?」 こちらを向き、怪訝そうな顔して俺を見る。いや、観察していると言ったほうが合っているだろうか。暫く黙って俺を見た後、あいつの隣に 何の躊躇もなく座り込んだ。ふとして見るとその行動はこちらを威嚇しているように見て取れる。その様子にある予感がよぎった。 ・・・この展開は、どこかで・・・ 「こいつ、誰だ?」 やっぱり、と予想を裏切らない現実に頭を抱えた。 「ん?ああ、ちょっと訳有りでね。付添って貰ってんの」 「……へぇ…。俺はガウリイっていうんだ。よろしくな」 「……どうも」 視線をあらぬ方向に向けたまま生返事をした。 顔は笑ってるが目がよろしくって言ってねぇぞ、旦那。 「お待たせいたしました。レモンティーとチョコタルトになります」 冷たい空気を遮るようにテーブルの上に注文の品が置かれていく。あいつは「きたきた♪」とか言いながらフォークを構えている。 ・・・いつの間に頼んだんだ?こいつ? 「なぁリナ。お前らどういう仲なんだ?」 ぶうぅぅ!! 軽快な音を立ててあいつが飲んでいたお茶をふき出した。それが見事に俺の顔面にかかる。 ワザとやったんじゃねぇだろうな・・・?口を引きつらせながら顔全体を拭う。 「いきなり何言い出すのよ!!」 「別に、ただ聞いてみただけなんだが…」 「こいつとはそんなんじゃないわよ!!」 正直、こいつは馬鹿だと思った。顔真っ赤にしながら否定したって説得力ないっての。それじゃまるで指定してるのと変わんねぇじゃん。 ・・・と冷静に観測しているつもりなのだが、心なしか自分の顔も多少熱をもっているような気がする。が、それはあえて無視する。 「ふーん…そうなのか」 そう言いながらこちらを横目で見てくる。あまりの気まずさに窓の外に目をやり、店内に流れている音楽に耳を澄ます。 ギターで奏でられている落ち着いた雰囲気の曲。歌という歌は入っておらず、たまに英語で歌詞が綴られる。 ” YU MET THEIR ME AGAINSUT EXPECTATION,” (君は僕の期待に反して) ”LET ME DO IT MY OWN WAY SAID TO ME,” (私の好きなようにやらせてくださいと言った) その内容に再び頭を抱える。何となく嫌なタイミングで歌詞が流れてきたような感じがした。ますます気まずくなったような気がする・・・。 しばらくして、俺とガウリイとか言う男のほうにも注文の品がテーブルに置かれた。ウエィトレスはちらちらと金髪の男のほうを見ながら 「ごゆっくり」と、少々上ずった声で応対し、頬を赤らめながらパタパタとカウンターの方に戻って行った。 「…あんたモテるんだなぁ。まぁ、あたり前か」 「ん?何がだ?」 しかも無自覚か・・・よけいに始末が悪いな。 などと考察しながら呆れたように相手を見る。でもまぁ、自覚があってもそれはそれで始末が悪いような気もするが。 「ねぇ、それ食べないんだったら頂戴!」 横から迷いもなく伸ばされたフォークを制する。 もうちょっと空気読めや、お前。 「なによぅ、ちょっとくらいくれたって良いでしょ?ケチ!」 「何がケチだ!人様のモンにまで手ぇ出してんじゃねぇよ。がめつい奴だな、おい」 びりっと背筋に寒気が走る。そろそろと殺気のする方向に目を向けると、不機嫌そうにこちらを見ている金髪の男の姿があった。 こりゃヤバイな・・・。あまり刺激しないようにしないと・・・。 「スキあり!!」 「あ、テメェ!」 変なとこに気遣ってる暇に、チーズケーキの3/1をあいつにぶんどられた。「んっふっふ〜♪」と喜色満面に鼻歌を歌っている。 そしてまたピリピリと背筋が凍りつく。これは・・・明日の空が拝めなくなるかも・・・。 「美味し〜♪もう少しだけ……」 「だ・め・だ!!」 「なによ〜!良いじゃない!」 そう言ってなおも人のケーキを狙ってくる。・・・っておいおい!よじ登ってくるなよ!! じくじくと刺さるように背中を圧迫する悪寒。ヤバイ、非常にヤバイ。最悪のパターンになりつつある。 大体何でこんな気遣いしなきゃなんねぇんだよ!!俺がなにしたってん・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・(!) ・・・そうだよ。何で俺がこんな気遣いしなきゃなんないだよ。俺は別になにもしてねぇじゃんか。気にする必要なんてどこにあんだよ。 「おい」 「ん?何よ……」 ペロッ 「チョコ ついてたぞ」 ・・・沈黙・・・まだ沈黙・・・ただいま解凍中・・・もう少し沈黙・・・凍解用意・・・3,2,1 「「!?!?!?」」 あいつは全身真っ赤に染まりながらパクパクと言葉にならない喘ぎ声を漏らしながら突っ立っていて、ガウリイとかいう奴はもの凄い形相で こちらを睨みながら今にも掴みかからんような体勢をとっている。 ・・・まぁ無理もない。あいつの口の端についていたチョコを舐め取るなんて狂気沙汰をやってのけたのだから。 「ちょっ…る、ルーク!こっち来なさい!!」 上ずりまくった声で呼びながら、強引に俺をぐいぐいと引っ張っていく。 こうして俺達は店を後にした。荷物を置いて、勘定も払わずに、呆然と突っ立っているガウリイとやらを残したまま・・・。 |
16620 | おおー、次はこの人が。 | 久世啓 E-mail URL | 2004/8/3 21:14:59 |
記事番号16604へのコメント こんにちは。いつも楽しく読ませて頂いてます。 気が付いたら話がすごく進んでて、わくわくしながら読みました! 金魚みたいな浴衣リナ、いいですねー。ふふふ。 このままらぶらぶ? と思いきや、次はガウリイですか。これは手強そうな。 でも、負けてないルークがいい感じで。 >・・・沈黙・・・まだ沈黙・・・ただいま解凍中・・・もう少し沈黙・・・凍解用意・・・3,2,1 で笑いましたよ〜。 これからも楽しみにしてます。 |
16622 | 感激です(感涙) | 竹内 恵 | 2004/8/4 08:47:17 |
記事番号16620へのコメント 嬉しいの一言です(泣)。お恥ずかしながら、貴方様のサイトの小説に影響を受けていて ルークにリナの名前を呼ばすことができません・・・(おいおい)。 しかもネタはあるのにうまく書きとめられなくて、ノートにがさがさとまとめてみては失敗している今日この頃です(馬鹿)。 小説を上手く書くにはどうしたら良いのでしょうか?暫くして目を通してみると、顔を覆いたくなるくらい恥ずかしい出来栄えなのです。 貴方様のように綺麗で読み飽きない小説を書いてみたいのですが・・・多分一生無理な気がします・・・(←あつかましすぎや)。 |
16631 | こちらこそ | 久世啓 E-mail URL | 2004/8/10 21:33:33 |
記事番号16622へのコメント こんばんはー。 >お恥ずかしながら、貴方様のサイトの小説に影響を受けていて >ルークにリナの名前を呼ばすことができません・・・(おいおい)。 ありがとうございます(笑)。書いた物を受け止めて頂けて嬉しいです。 でも、本当、原作じゃ最初の頃の「リナさんよ」っていうの以来、リナの名前を呼んでないんですよね。 >小説を上手く書くにはどうしたら良いのでしょうか? そんな方法があるなら、私も教わりたいですよ〜(笑)。 でもとりあえず、ひとつひとつ、きちんと書き上げていく事だと思って書いてます。 ということで、続き楽しみに待ってますv ところで、この間「1」の方にも投稿してらっしゃるのを発見して書き込みしてしまったのですが、もしかしてお気付き頂けないんじゃないかと心配に……(^^; |
16638 | 犬を拾った日7 | 竹内 恵 | 2004/8/15 13:41:36 |
記事番号16581へのコメント 「なんてことしてくれんのよ!!」 帰ってきてからの開口一番に発した言葉。 だって、恥ずかしくて仕方がなかった。顔が真っ赤になっているのがわかる。心臓の音がバクバクうるさい。 なのに嫌でもなければ、逆に嬉しかったような気がして凄く矛盾した考えが頭の中を霞めては、消えていく。 ・・・結局はその後、激しい口論になって半ばふて寝にも近い状態でベットにもぐりこんだのを覚えている。 「……はぁ」 ダルそうに一つ、溜め息を吐く。ガウリイとヴァルは同じ学校なので、ばったり会うかもしれない。そうしたら、どう言い訳しよう。 考えながら机に頬杖をつく。そしてまた一つ、溜め息を大きめに吐く。 「リナ、どうしたの?さっきから溜め息ばっかり吐いて……」 「――…アメリア」 アメリアとは、ずいぶん昔からの友達である。少しお節介なところが玉に傷だが、面倒見の良い可愛らしいお嬢様である。 ・・・ただし、熱血!正義感マニア!!なところが、男を寄せ付けない要素として備わっていたりするが。 「明日から夏休みだってのに、そんなくらい顔して…って、わかった!ズバリ恋煩いね!!」 ガタガタっと思わず机に突っ伏す。 ・・・いきなり何言い出すかと思えばコイツは・・・(怒)。 「何でそうなんのよ!!」 「え〜、だってリナ。祭りのとき、短髪のバンダナつけてる黒髪の男の人と歩いてたって…。噂になってるわよ?」 嫌に詳しい内容で噂されてんのね・・・・って違う!! 「噂って……どうゆうこと…?!!」 「ん〜…なんでも、公衆の面前で堂々と同棲宣言したとかなんとか」 再び机に突っ伏す。やばい・・・非常にやばい。収集がつかない規模になってきている。 「リナったら、結構男の人に誘われてたのに、全部断ってその彼氏のとこいってたのねぇ〜v青春だわ〜vv」 うっとりと瞳の真ん中にハートマークを浮かべながら、一人夢の世界に旅立っている様子のアメリア。 そんなことを気にしていられないとばかりに青ざめていくあたし。今回ばかりはもう、ほとぼりが冷めるまで大人しくしているしかない。 はっと周囲に気を配る。気のせいなのか、ただ単に今まで気づかなかったのか、周りから一身に好機の視線が注がれていることに感づく。 冷や汗と悪寒が一気に襲ってくる。不幸中の幸いとばかりに、明日からはもう夏休みである。 何事もなく今日一日が過ぎていってくれることを、ただひたすらに祈る。 ガラッ! 勢いよく開けられた教室のドアに、切実な祈りは粉々に跡形もなく粉砕された。 「おい、リナ=インバースは居……」 「リナ!昨日の男のことを詳しく……」 第一弾、魔の鉢合わせ。 「なんだ…あんたか。リナに何か用なのか?」 「それはこっちの台詞だ、ガウリイさんよ。」 「俺は、リナが一緒に居た黒髪の短髪男について話を聞きに来たんだが…」 「…奇遇だな。俺もそれを聞きに来たんだ」 うわぁー・・・。なんかやな対談がおもむろに聞こえてくるんですけど・・・。 できるだけ見つからないように身を屈めながら耳を塞ぐ。もし見つかったりしたら・・・考えるだけで頭が痛い。 「きゃー!ちょっとあれ見てぇ!いい男ぉvv」 突然騒ぎ出し始めたクラスの女性軍。そしてその指差す先にいる男とは・・・。 第二弾、黒髪短髪野郎の恐怖 玄関先まで来て、なぜか先生に話しかける。・・・ってちょっと待てぇ! なんでルークがここに居るの?!っていうかなんで入って来るの?!!しかもこんなタイミングの最悪なときに!! 「!? あいつだ!昨日俺が見たのは!!」 「ああ、あいつに間違いねぇ!あのバンダナ野郎…!!」 第三弾、殺気と視線とタイミング 「先生すみません!頭痛いんで早退させてください!!」 「な、リナさん?!!」 先程来たばかりの担任に早退届けを押し付け、全力疾走でこの場を走り去る。 ・・・よかったぁ。こんなこともあろうかと早退届け書いといて。 「「おいリナ!どこ行くんだ!!?」 後方で男性二人が大声を上げているのが聞こえるが、そんなものかまっていられない。 「ルーク!!」 「あ?なん……」 ガシッ!ズガシャァ!! 玄関で先生と会話をしていたルークを捕まえ、一目散にここから逃げ出す。学校からは窓からあふれんばかりの野次馬が顔を出していた。 「私はリナの恋、応援してるわvv」 にこにこと嬉しそうに観察しているアメリア。 「あんた、何で学校に来たのよ!おかげで大変なことになっちゃったじゃない!!」 「あぁ?!テメェがレポート忘れたみてぇだからわざわざ届けに来てやったんだろうが!!」 「そんなモン、あとで提出できるから別にいいのよ!」 「あんだと?!人が珍しく親切にしてやったってのに、他に言い方はねぇのかよ!」 「誰も親切にしてくれなんていってないでしょう?!!」 大声で喧嘩しながらの帰り道。 こうして街に”リナ=インバースに恋人ができた”と、”至上、ケンカップル”と噂が広まっていくとも知らずに。 |
16642 | Re:犬を拾った日7 | 朱音 E-mail URL | 2004/8/18 15:48:16 |
記事番号16638へのコメント こんにちは〜!ルークリナ及び総受けが読めて浮かれてる朱音です!(長っ! あ〜すごいな〜。私のはいまひとつですよ。 がんばってくださいv 私もがんばります(本当にちゃんとやれ では失礼します! |
16648 | ルクリナ!楽しく読ませて頂きました。 | 瑞茅桜璃 | 2004/8/19 00:13:18 |
記事番号16638へのコメント 初めまして。瑞茅桜璃と申します。 ルーク&リナは喧嘩するほど仲がいい!という感じの友人関係を宣言していたのですが、この度ついにルクリナに目覚め楽しく読ませて頂きました。 タイミングの良い(悪い?)ルークに息ぴったりのヴァルガーヴ&ガウリイに楽しそうなアメリア。口喧嘩のノリが良くてまさにルクリナ!と喝采させて頂きました!ケンカップルとは言いえて妙ですね(笑) それでは拙い感想で申し訳ありませんが、失礼します。 これからもルクリナ楽しみにしていますね。 |
16649 | み、身に余る光栄です! | 竹内 恵 | 2004/8/19 08:57:53 |
記事番号16648へのコメント どうも、初めまして。竹内と申します。 コメント、あ、ありがとうございます(緊張)。嬉しいです。こんな拙い小説、感想をくださること自体が光栄すぎます。 瑞茅様ほど小説の書きかたの上手な方々にばかり感想を頂いているので、自分の小説を見て泣きたくなってしまいそうな心境です(哀)。 ルクリナ、そうですか。好きになってくださったのですか。良かったです。あまりにも仲間が少ないので、嬉しすぎです(感動)。本当にありがとうございます。 |