◆−修学旅行のお土産代わりに(ゼルアメ掌編+修学旅行の記録)−ハイドラント (2004/7/18 16:35:04) No.16583
 ┗いただきます♪−エモーション (2004/7/19 22:41:03) No.16587
  ┗Re:ごちそうさま♪(違)−ハイドラント (2004/7/21 23:13:55) No.16593


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16583修学旅行のお土産代わりに(ゼルアメ掌編+修学旅行の記録)ハイドラント 2004/7/18 16:35:04



 目次
 ゼルアメ掌編:世界が消えるまでずっと
 あとがき
 おまけ――修学旅行の記録
 終わりの挨拶

 


 ゼルアメ掌編:世界が消えるまでずっと
 

 第一夜


 「夜は若く、彼も若かったが、夜の空気は甘いのに、彼の気分は苦かった」というのはウィリアム・アイリッシュの有名なサスペンス小説の書き出しだが、七月六日午後七時三十分頃の札幌藻岩山の空は今にも雨が降りそうで甘いとはお世辞にも言えなかったし、高校の修学旅行でこの場所を訪れたゼルガディスの気分もけして苦いものではなかった。
 ゼルガディスの脳裏には今、昼間の記憶が蘇っていた。彼は、大勢いる同期生と地元から北海道に向かうために飛行機に乗ったところから、班別での札幌自主研修を終え、バスでこの藻岩山頂上の展望台へと向かい、展望台の建物内で夕食を食べ終え、ここへ来るまでに体験したすべての出来ごとを順々に頭に浮かべているのだ。
 ここは展望台の建物から右にそれたところにある、自然歩道と名付けられ、土と石で構成された、比較的ゆるやかな、だがどこまで続いているのか分からない階段の一角で、左右にはたくさんの樹が鬱蒼と茂って自然の壁を作っており、黒く細い柱に備えられた琥珀色の照明灯が寂しく薄い闇を照らしている。
 遠くの方は微かに霧が掛かっていて少しだけだが幻想的だが、同時に変態殺人鬼でも出て来そうな無気味なムードも漂わせている。この場所には現在、彼以外には誰もいない。ちなみにゼルガディスは孤独と静寂を愛する人間だったので、そのことは寂しさではなくむしろ解放感をもたらしていた。
 彼は穿いているブルージーンズのポケットを漁る。中から携帯電話を取り出した。液晶画面を見て時刻を確認する。午後七時二十八分だった。帰りのバスへの集合時間は七時五十五分だから、まだ三十分近く時間がある。
 彼は立ち上がった。緩やかに続く階段をさらに降り始める。地面を踏む音が微かに響く。目の前にある照明灯の柱の立つ位置を越え、段の間隔はそのままに左へカーブした道を進み、その先にあったもう一つの照明灯も通り過ぎる。
 この先は闇が続いていて、明かりらしきものは見当らない。その闇はまだ夜は浅いというのに、真夜中のもののように暗く深い。
「戻ろう」
 彼は独り言を言って素早く方向転換をした。琥珀色の明かりが軽く目を焼く。その時、彼はこちらへ向かって来る足音と気配に気が付いた。心臓に冷たいものを当てられたかのようなドキッとした気持ち。そして戸惑いを感じる。足音は近付いて来る。姿もおぼろげながら見え始めた。
「あれ?」
 声が掛かる。聞き覚えのある少々幼い印象を持った女の声だ。一瞬後、その姿が照明にくっきりと映る。
「ゼルガディスさんじゃないですか」
「アメリア、だったな」
 ゼルガディスは安心感を覚えた。彼の黒い双眸が捉えていたのは、彼のクラスメイトの一人であるアメリアの姿だった。変態殺人鬼でも本当に出て来たのかと思った。彼女は愛嬌のある丸顔で、スカート丈の長い白のワンピースドレスを身に着けている。彼と彼女の所属する学校は私服校だ。
 ちなみにゼルガディスはアメリアよりも二つ歳上である。これは二度留年をしたためではなく、高校に入って来るのが二年遅れたためだ。その二年間ゼルガディスはアルバイトに精を出していた。
「何でこんなところに来たんだ?」
「こんなところって? ゼルガディスさんも来てるじゃないですか」
 アメリアの声は明るい。ゼルガディスの声がこの場所を照らす陰気な照明灯だとすれば、彼女のそれは真昼の太陽になる。正直、ゼルガディスは彼女が来ただけで周りがライトアップされたようだと感じていた。
「確かにそうだが……」
「まあそれはともかくとして……実は私、ゼルガディスさんを探してたんですよ」
「俺を探してた?」
 アメリアは「はい」と大仰に頷く。
「本当に驚きました。だって最初に探したのがここなんですから」
 ゼルガディスは苦笑する。何となしにショートカットの黒髪を掻き揚げた。
「まあ展望台にいるわけないですからね。霧掛かって夜景全然見えませんし」
 ここ藻岩山は綺麗な夜景が見えることで有名な場所だが、今日の空は少々機嫌が悪い。白い霧に包まれて何も見えない。
「それで何の用なんだ? 集合時間はまだだぞ」
 言いつつ、いつもより饒舌になっていると我ながら思った。普段の彼は思い切り無口である。
「私、学級委員じゃありません。個人的な用事です」
「俺に用があるのか?」
 「はい」とアメリアはまた頷いた。
「当然、暇ですよね?」
 ゼルガディスは一瞬首を振りそうになって躊躇う。暇でない理由をうまくでっち上げられる自信がない。少し迷って頷いた。
「じゃあ、ちょっと来てもらえませんか?」
「どこへだ?」
「しあわせの鐘」
「しあわせの鐘?」
「そうです、パンフに載ってましたよね」
 そのパンフレットなら今もジーンズのポケットに入っている。レストランでの食事の時にもらったやつだ。
「でも、あれは……」
 パンフレットを取り出すまでもなく、ゼルガディスにはしあわせの鐘というのが何なのか思い出すことが出来ていた。
「うちの男子じゃゼルガディスさんが一番格好良いと思いまして」
 確か、しあわせの鐘というのは男女の恋愛成就で有名な場所だ。
「そんな基準で選ぶのか?」
 確かに、痩せ型な上に陰気なため、病弱という印象もあるが、ゼルガディスの容姿は十人並みという言葉とは程遠く、非常に良く整っている。
「中身は開けてみるまで分かりませんから」
「そうか……分かった。だが、勘違いするなよ」
「何を勘違いするんですか?」
 アメリアは悪戯っぽい笑みを浮かべていた。
「とにかくいくぞ」
 ゼルガディスは言う。彼はたった今自分の心に芽生え始めた感情を認めることが出来ないでいた。
 
 
 第二夜


 ポケットから取り出した携帯携帯にストラップ代わりとしてつけられていた小さな銀色の鐘が、静かに音を立てる。
 今日の午前中、小樽自主研修の時に手に入れたものだ。具体的に言うと、ある店の回転寿司を食べたらサーヴィスとしてもらえた。何でもしあわせを呼ぶ鐘だとか。
「昨日のしあわせの鐘に、今日のしあわせを呼ぶ鐘」
 ゼルガディスは何となくそう呟いた。彼の頭には、昨日アメリアと展望台屋上にあるしあわせの鐘と呼ばれるオブジェをバックに写真を取った時のことが鮮やかに浮かんでいた。
 ここは留寿都村という小樽から南西に向かった場所に建っている、巨大なリゾートホテルである。その敷地内の公園風になっている場所の芝生の上にゼルガディスは座っていた。彼の視線の先には、真っ白で巨大なホテルの壁が見える。ちなみにホテルの屋根は赤い。
 この場所には何本か樹が生えていて、それらは綺麗にイルミネートされている。ちかちかと明滅しているものもある。だがこの夜の主役は、彼らではない。
 金属で造られた巨大な樹の形のオブジェである。このオブジェのイルミネーションは他のどんな樹よりも明るく鮮やかである。少々天気が悪いせいか、空は暗闇で月も星も全くないが、このオブジェ一つでそれも許せてしまう。
 現在時刻は午後十時過ぎ、この場所にいるのは現在ゼルガディスだけ。
 ゼルガディスは携帯電話で音楽を掛けることにした。もしかしたら何かの迷惑になるかも知れないので、音量は小さめにした。
 掛ける曲は「白い恋人達」。有名アーティスト桑田圭祐の有名な曲で、ゼルガディスも割りと気に入っている。冬の曲なので季節外れということになるが、この寂しげな夜とロマンティックなイルミネーションの対比が生む不思議な世界にはなぜかぴったりという気がしたのだ。
 音源が携帯電話なので音質は悪い。だが雰囲気を盛り上げるにはこれで充分だった。
 神秘的な一人の夜。「白い恋人達」のメロディが天に吸い込まれていく。雪が降っても不思議ではないような気がした。
 しかしゼルガディスの心にあったのはそんな甘美な思いだけではなかった。
 曲が終わる。長い夢から覚めたような感覚。次は何を掛けようかと思った時、ホテルの方から誰かが現われた。
 ゼルガディスはそちらを見澄ます。ホテルの明かりとこちらのイルミネーションがあるため、闇は随分と薄い。
 どうやら相手は女性のようだ。彼女はこちらに近付いて来る。そのことにより、彼女の容貌はより明白に見て取ることが出来た。
「アメリアか」
 小さく、自分にしか聴こえないように呟いたはずだが、彼女にはそれが聴こえたのかも知れない。彼女は走り出した。
「ゼルガディスさん、こんばんは」
 ムードをぶち壊しにしそうなほど明るい声。
「また偶然ですね」
 そう言ってアメリアはゼルガディスのすぐ隣に座り込む。
「今日も探してたのか?」
「いえ、今日は散歩です」
「そうか……」
 ゼルガディスはそう言って空を見上げた。相手の言葉を待つ。
「うわあ、綺麗ですね。ロマンティックぅ」
 アメリアは周りのイルミネートされた樹やオブジェを見て、うっとりとした表情を浮かべている。
「こんなところにいると嫌なことなんて皆忘れちゃいますね」
「そうか?」
「そうですよ、ゼルガディスさんは違うんですか?」
 ゼルガディスは腕を組み、視線を上空に彷徨わせる。そして真正面よりやや下辺りで両目を固定し、一息吐いた。
「俺は今こう思っている」
 ゼルガディスはいったん言葉を切った。少しの間が開く。
「……俺はいつか消えるんだと」
「消える? ……それって、死ぬってことですか?」
 アメリアの声は急に慎重になったような気がした。
「いや、そうじゃない。言葉通り、消えるんだ」
「消える……」
「そうだ、なぜなら俺達は架空の世界に住んでいるんだからな」
「架空の世界?」
「ああ、映画かドラマか、あるいは漫画とか小説とかの中かも知れない。それにゲームって可能性もなくもない。とにかく俺達のいるこの場所は架空の、作り物の世界、物語の世界なんだ。物語はいつか終わる。「作者」が終わりだと言えば終わりだからな。そして終わった時にはすべてが消える。俺達、登場人物も含めてな。これは勘だが、俺達の物語は多分そんなに長い物語じゃない。もしかしたら後数分か数十分後には消えてるかも知れない」
 ゼルガディスはゆっくりと言葉を紡いでいく。
 アメリアはそれに対しては何も言わなかった。ただ黙って慎重にゼルガディスを見ている。
「なぜかは知らないが、俺は最初からそのことに気付いていた。そして時間が経つごとに不思議とそれは確信に変わっていった。最初というのは昨日の夜、藻岩山にいた時のことだ。それ以前に俺達は存在していなかった。過去の記憶は確かに俺にはあるし、お前にもあると思うが、それは単なる登場人物の「設定」に過ぎない」
 そう言ってゼルガディスは苦く笑った。
「でもあの時は、そんなことを考えてる風には……」
「あの時はな。あの時はどうでも良かった。世界が消えようが、俺が消えようがな。だが今はたまらなく不安で恐い。なぜかは……分からんが」
 ゼルガディスは「分からん」と言ったが、実はそれは嘘だった。
「根拠はあるんですか。この世界が物語の世界だっていう」
 アメリアがゼルガディスの言葉を僅かでも信じていたかどうかは分からないが、彼女がゼルガディスの考えを否定しようと思っていたのはまず間違いないだろう。
「ない」
 ゼルガディスはきっぱりと言った。
「だが分かる。とにかく俺には分かるんだ。別に俺が狂ってるわけじゃない。俺は正常だ。異常なのはこの世界の方だ」
「でも、そんなこと……」
「信じられないか?」
 アメリアは首を縦に振ろうとして、途中で止めた。
「別に信じなくて良い、いや信じない方が良いだろう。その方が良い」
 そこまで言ってゼルガディスは言葉を止めた。
「いや、すまん。お前に話すようなことじゃなかったな」
「良いんですよ。でもゼルガディスさんがそんなこと考えていただなんて……」
 アメリアの声には少し明るさが戻っていた。
「でも本当に考えているんですか?」
「ああ……事実だからな」
 するとアメリアは考え込むように顎に手を当てた。
 静かな時間が続く。夜風が二人の身体を何度も優しく撫でた。
「じゃあ仮にゼルガディスさんの考えが正しいとします」
 沈黙の中、アメリアはいきなり声を上げた。いつも通りかそれ以上に明るい声だ。ゼルガディスは微妙に驚く。
「でもそれならなんで、もっと楽しく生きないんですか? もうすぐ消えてしまうんでしょう。だったら思いっきり好きなことをして遊べば良いじゃないですか。その方が絶対良いですよ。何なら私もお手伝いしますし」
「それもそうだな。俺は物語の登場人物だが、一応自分の意志で自由に動けるしな」
「じゃあ決定ですね。何をしたいですか?」
 もはやアメリアの声は普段通りである。いや普段以上に明るいかも知れない。
「そうだな、酒飲んだりして騒ぐのは俺の趣味じゃない。強盗とか殺人とかをしても「作者」を喜ばせるだけだし、第一そんなことをする気にはなれん」
 ゼルガディスは薄い笑みを浮かべて言った。そして、
「出来れば……お前と二人でいたい」
「え?」
「お前と二人でいたい、って言ったんだ。三度目はなしだぞ」
「え? 本当ですか? 嬉しい! 実は私、ずっと前からゼルガディスさんのこと好きだったんですよ。まあゼルガディスさんに言わせれば、これも「設定」ってことになるんでしょうけど」
「いや、別に俺は好きじゃないぞ。単に一人でいるよりお前といた方が良いかと思っただけだ」
「私は好きですからね。前言撤回はしませんよ」
「じゃあ俺は撤回しよう。好きだ」
 ――FADE OUT――




 あとがき


 こんばんは、ハイドラントです。
 実は私は七月六日から九日に掛けて修学旅行にいっておりました。
 これはその修学旅行の体験から生まれた話です。カップリングやシュチュエーション、オチなどの重要な部分は帰ってから考えたわけですけども、舞台の説明や描写には北海道で取ったメモが(ある程度は)役立ちました。
 それに彼らの修学旅行の日程も私達のものを参考にしています。
 ちなみにウィリアム・アイリッシュの世界的名作「幻の女」の有名な書き出しを、そのまま書き出しに使っていますが、実を言うと作品自体はそれほど好きでもなかったりします。犯人は意外で、ストーリーも面白いのですが、それほど文章からサスペンスが伝わって来ないし、都会的な雰囲気もあまり肌に合わないので。でもあの書き出しは本当に素晴らしいと思っています。




 おまけ――修学旅行の記録


 プロローグ
 初めに言っておきますが、私の数少ない同期生で修学旅行にいったのは、私を含めて僅か十四人です。これは相当少ないと胸を張って(威張れることじゃあないが)言えることでしょう。ですから移動とかもかなりスムーズに進み、割かしハードな日程も完璧にこなすことが出来ました。トラブルも全くなかったです。

 
 一日目
 最初に地元の●●空港に集合(母に送ってもらいました)、そして飛行機への乗り込みですが、面白いほど楽にクリア出来ました。正直かなり不安でしたよ。飛行機って子どもの頃にしか乗ったことないので、手続きとかそういうのを全然知りませんでしたし、荷物検査とかもわけもなく恐かったんです。だから飛行機乗れてもの凄い安堵。
 それで飛行機が飛んでからですが、全く飛んでるって実感がなかったです。席真ん中の方で窓から外が見えませんでしたから。離陸や着陸の時にしても、何か遊園地のアトラクションを体験しているみたいな感じでしたし。正直、北海道まで飛んだとはどうしても思えませんでした。
 で、北海道に着いて思ったこと。……寒い。地元(ちなみに本州にある)と全然違いました。冷蔵庫に中に入ったみたいな感じです(入ったことないですけど、イメージ的には)。
 景色は全然一緒でした。日本ってどこいっても大体同じなんじゃないでしょうかねえ。田舎と都会があるだけで。実際にはそんなことはないでしょうけど、そう思わせるほど変わり映えなかったです。
 それで北海道の空港(新千歳空港)からバスで札幌のその日泊まるホテルまで移動。そこに荷物預けて自主研修の始まり始まりなんですけども、なぜかうちの班には引率の先生の内の一人(ちなみに言うと教頭先生)がついて来ました。しかもかなり仕切っていたので、最初はもの凄い不満でした。途中から打ち解けましたが。
 初めに見たのは札幌時計台。「札幌といえばここだ!」と思っていた場所なんですが、正直見てガックリ。小さいんですよね。というか周りの建物が大き過ぎるんですよね。
 中にも入りましたが、資料館みたいになってるんですね。時計台にまつわる話が小説のネタにならないかと思って、割と真面目に見学してたんですが、実は私以外は外で待機していたため、少々待たせる
はめになってしまいました。
 次にいったのが、サッポロファクトリーという場所。ここは色んなお店が集まってるような感じの場所で蔦みたいなものが絡んだレンガ造りの建物が印象的でした。ここでは昼飯(ラーメンでした。札幌といえば味噌ラーメンですけど、味噌は食べたい気分じゃなかったので塩の方を)を食べ、マイセン美術館を何となしに自主的見学。いつまでも浸っていたいような居心地の良い雰囲気を持ってました。あんまり時間なかったのでそういうわけにはいきませんでしたが。
 そして最後に帰り道、ホテル近くにあったブックオフへ。ここでは三冊の本を買いました。我孫子武丸「0の殺人」(ミステリー、著者はゲームソフト「かまいたちの夜」のシナリオ書いた人ですね)井辻朱美「パルメランの夢」(ファンタジー? 著者は翻訳家としても活躍)、司凍季「逆さ髑髏は三度唄う」(ミステリー、ちなみに長い間探してた)の三冊です。ちなみに全部未読(積読本の量が凄まじいから)。
 そしてホテルに帰ってバスで藻岩山へ。しかし小説の方と一緒で霧掛かって展望台からは夜景見えませんでした。でも、帰り道、標高が低くなってくるとバスの窓からちらっと見ることが出来ました。もの凄い綺麗でした。それと白状してしまいますが、しあわせの鐘はちらっとしか見てません。小説に直接出て来なかったのはそのためです。
 そしてホテルに着いて、解散。早速部屋にいって風呂入りました。バスルームがトイレとガラスで仕切られている変わった形の風呂で、広くて快適でした。その代わり天井が低く、頭ぶつけちゃいましたけど。
 ちなみにルームメイトは、TRYノベルの十一話で触れたスキー合宿の時と全く同じ。一人が饒舌で一人が無口。饒舌な方も疲れてたみたいだったので、テレビとか見て過ごし、適当な時間に寝ました。

 
 二日目
 次の朝は七時起床だったんですけど、一度起きて携帯見た時、七時を十七時と見間違えてまだ五時かと間抜けな勘違い(寝起きの私は途方もなく馬鹿です)をしたせいで寝坊してしまいました。だから朝食は速攻で取りました。
 朝食取ったら一休みして、バスで小樽へ。意外とすぐ着いたのに驚きました。
 小樽自主研修は班が自由だったので、一人でいくことにしました。その方が気楽で良いので。
 まずは小樽運河へ。運河付近に露店(といっても人が立っていた品物がおいてあるだけのものでしたが)がいくつかあり、運河の絵を売ってる店もいくつかあったのでその内の一つで二枚セットで千円の絵(春か夏の絵と冬の絵)を買いました。もちろん運河を書くために(でも結局、今回の小説には小樽出て来なかったんですよね)。
 それから旧日銀支店へ。お城みたいな建物だったので驚きました。中も綺麗でした。正直、資料とかより建物の方を見てました。
 そしてヴェネツィア美術館。ここではゴッホ展をやってました。ゴッホの絵では「星月夜」が良いですね、幻想的で。でもゴッホよりも、王侯の間みたいな感じの常時展示物の方にむしろ興味を惹かれました、芸術なんて分かんねえよ(笑)。
 その後は時間もなくなって来たのでいざとなればローソンで弁当買えば良いやと思いつつも食事処を探し、回転寿司屋を発見。そこで十皿ほど安いものを食べました。食べ終え勘定を払う時、銀色の小さな鐘をもらえました、ゼルももらってたやつですね(ちなみに今も携帯のストラップ代わりにしています)。
 バスにはどうにか間に合いました。さて次に向かうのは峠を二つ越えた先にあるルスツリゾート。有名なリゾートホテルで、ゼルが泊まっていたのももちろんそこです。
 バスでの移動はかなり長く、途中で眠くなりました。結局、眠るより先に着いちゃいましたけども。
 さてルスツリゾートですが、本当に綺麗で広いホテルでした。お土産ものやもたくさんありましたし。
 部屋に荷物をおいて一休みしてから、遊園地にいきました。一番最初に乗ったのは地面から一気に空高くまで上昇するスペースショットという絶叫マシンでした。正直あんまり恐そうじゃなかったんですが、乗ってみると本気で恐かったです、漏れそうになったので(汚い話ですみません)。
 次は友人知人達と集まってオーソドックスなタイプのジェットコースターに乗りました。ですが、もの凄い痛かった。とにかく揺れるんです。「これは遊園地のアトラクションの名前を借りた暴力だ!」と半ば本気で思いました。
 その次は激流下りという水の上をボートで進んでいくアトラクション。これは一人で乗ったんですが、アトラクション終了後に「一人だとつまらなかったでしょう」と言われ、思わず「はい」と答えちゃいました(笑)。
 それの後はミラーハウス。つまりは鏡の迷路ですね。仕掛けが少なくて、しかも抜けるのが簡単過ぎてつまらなかったです。造るならもっと真剣に造って欲しいです。まあ本気で迷って出られなくなるのも困りますが。
 それからフリーフォールに向かいましたが、これは恐くて断念。やっぱり私はビビリみたいです。
 最後にお化け屋敷。グロテスクな展示物(?)が多く雰囲気は出てたと思いますが、驚かせるためにプシューと何かが噴き出して来るところとかはかなりチープに感じられました。
 お化け屋敷を見終えた頃にはもうそろそろ閉園の時間でしたので、ホテルへ引き返しました。すると偶然にも札幌自主研修の時、一緒にいた教頭先生に出会いました。そして紅茶を一杯おごってもらいました(本当にありがとうございました)。
 夕食はヴァイキング形式でした。つまり並んでいる料理の中から好きなものを好きなだけ取って食べられる形式ですね。油っこいものが多くサラダとかそういうのが全くなかったので辛かったです(ヴァイキング形式は肉よりも野菜類の方が美味しく感じられる食事形式のことだと私は思ってます)。
 夕食後は大浴場に入り、それからお土産を買いました。お菓子の詰め合わせ(525円、自宅用)とバタークッキー(315円、うちの学校を中退した友人用)です。実は割引券みたいなものを事前にもらっていたため、少々安く買えました(ちなみに銘菓「白い恋人」は割り引き対象外になってた)。
 そして外へ。ここではゼルと同じようにイルミネーションを眺めながら、携帯で音楽聴きました。「白い恋人」も掛けたんですが、それよりもゲームソフト「ファイナルファンタジー8」のテーマ曲、「eyes on me」(のオルゴール版)の方がより雰囲気に合ってました。あれは名曲ですね。
 その後は適当にブラブラして適当な時間に部屋へいき、適当な時間に寝ました。ルームメイト(私意外に二人いた)は、高校生のくせにスモーカー(喫煙家)だったのですが(まあ珍しくも何ともないですけども)、煙草の煙には大分慣れてたので(笑)、まあ問題はなかったです。下手に注意しても効果なしか、場の雰囲気壊すだけですからね。


 三日目
 三日目は雨でした。実はこの日の午前中は朝食(ヴァイキング形式だった)を取った後に遊園地、ということになってたのですが、雨の中遊園地にいこうという気にはなれない。でも屋内には何もない(プールはあるけど使えるのは午後からだし、風呂も同様、体育館は使えるけどボールがどこにもない上に暗くて陰気)というディレンマな状態でした。
 結局、男全員で土産もの屋巡り(同じところを何回も回りました。かなり退屈な上、何でこんなことやってんたどという気持ちがひしひしと)。ちなみに女性陣はほとんどが行方不明。どっか良い場所見つけたんですかね。
 午後は昼食(カレーでした)を取り、それからバスで洞爺湖という湖へ。そこで船に乗りました。湖の真ん中にある島にいって、帰って来るというコース。船酔いは大丈夫でした。あんまり揺れなかったからだろうなあ。ちなみに島には資料館みたいなのがありましたが、そこへいくのは止めて森を雨の中歩いてました。
 それから昭和新山を見学。中腹かそれよりちょっと上辺りから煙出てました。でもそれだけ。ちなみに付近にあった土産もの屋では商品を消費税分割引してくれたので、「白い恋人」のドリンク版(400円、弟用)を買いました。
 さらに地獄谷を見学。何かよく分からないけど凄い場所でした。ちなみに昭和新山からここまでのバスでの移動時、道は真っ白な霧で覆われていました。視界がホワイトアウトしそうなくらい。景色全然一緒と言いましたが、こんな深い霧に包まれることは私の地元では滅多にないことです。
 そして旅館に到着。ここでは主にテレビを見て過ごしました。夕食→風呂→「クイズミリオネア」→「奇跡体験アンリビーバボー」→「とんねるずの皆さんのおかげでした」→ルームメイトの一人とゲームセンターで遊ぶ→「ダウンタウンDX」(野球か何かで少し遅れてたと思う)→「銭形金太郎」→就寝という形でした。ちなみに風呂は温泉でその上、露天風呂がありました。雨が降っててあまり堪能出来ませんでしたが。


 四日目
 四日目は雨はほとんど降ってませんでしたけど、曇り空、霧も出てました。起きて飯食って、それから即バスでノーザンホースパークなる場所にいきました。ここは馬をテーマにした自然公園とかそういうような感じの場所だそうです。ここでは馬車に乗り、乗馬をしました。どちらもかなり揺れまくり。
 そして新千歳空港にいき、そこで「白い恋人」ノーマルヴァージョンと「氷点下41°」というお菓子を購入。
 帰りの飛行機は窓際の席だったので、外を見ることが出来ました。短時間だけ地上を見下ろすことが出来たのですが、まるで模型みたいな感じでした。
 そして地元に帰って来たわけですが、北海道と違って晴れてるし、とにかく暑い。あまりの温度変化に戸惑いさえ覚えました。
 母に迎えに来てもらい、自宅に帰ってからは、早速クーラー浸り。ちょっとトイレに入ってたら、お土産のお菓子(「氷点下41°」)をいくつか弟に食われてしまいました。しかも弟は私がトイレから出る前に外出。大したことでもないのに、腹立ててしまいました。暑さのせいもあるのかな?


 エピローグ
 ちなみに「氷点下41°」はなかなか美味しかったけど、「白い恋人」は味は悪くはないもののどこにでも売ってそうな感じのお菓子でした。お菓子の詰め合わせは、はっきり言ってしょぼかったです(箱は綺麗だったんだけども)。
 ちなみに旅行中に読んだ(といっても、いきの飛行機の時とトイレの時くらい。読み終えたのは帰宅後)本は藤岡真という作家の「六色金神殺人事件」という漢字変換が微妙にし難い(どうでも良いが)作品でした。まあまあの出来でしたが、前半から中盤に掛けての展開が少々暗く、読んでて気が滅入って来ました。やはり旅行に本持ってくならなるべく明るいものが良いです。
 ――FADE OUT――




 終わりの挨拶


 乱筆乱文ですみません、しかもおまけのくせにやけに長いですね。
 本編よりはギリギリ短いと思いますけど。
 それではこれで失礼致します。
 

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16587いただきます♪エモーション E-mail 2004/7/19 22:41:03
記事番号16583へのコメント

こんばんは。

修学旅行お土産編。
ノリとしては現代編ゼルアメ、でしょうか。確かに現代日本にゼルがいたら、
こんな感じかも知れないですね。
アメリアが行動的で可愛いですね。偶然とは言っていますが、装っているだけだろうと、
微笑ましく思いつつ読んでました。
2度までは偶然と言いますので、そう言うことにしておいてあげましょう♪
作中、何気に端から見たらデンパな発想をしているゼルですが、笑って受け入れて、
その上で「その時が来るまで」を、前向きな方へ持っていくアメリア。
ゼルより精神的に大人かも知れませんね。

修学旅行レポート(?)
学校の一大イベント終了ですね。
北海道へ行ったのですか。日本は縦に長いのだと良く分かる経験でしたでしょう?(笑)
何せ仙台と東京でも、場合によっては平気で気温差10度くらいありますから。
まあ、このところはそこも微妙に気候が変で、気温の温度差が激しいですから、
風邪などには充分お気を付け下さいませ。
夏風邪は本気でつらいです。(去年経験済み)
修学旅行に持っていく本は明るめの本に、は確かに(^.^)
あとは続きが自宅などにある本は持っていかない、も追加で。
ちなみに私は高校の修学旅行のとき、「銀英伝」の1巻と2巻を持っていきました。(爆)

お土産代わりのお話、楽しませていただきました。
それでは、今日はこの辺で失礼します。

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16593Re:ごちそうさま♪(違)ハイドラント 2004/7/21 23:13:55
記事番号16587へのコメント

……タイトルの寒いボケは気にしないようお願い致します。
というわけで、


>こんばんは。
どうも、こんばんは〜。
>
>修学旅行お土産編。
>ノリとしては現代編ゼルアメ、でしょうか。確かに現代日本にゼルがいたら、
>こんな感じかも知れないですね。
ゼルは基本的には私自身をベースにして書きました。さすがにあんな妄想は抱えてませんが。
>アメリアが行動的で可愛いですね。偶然とは言っていますが、装っているだけだろうと、
>微笑ましく思いつつ読んでました。
「レスボスの桜」でのアメリア(というか京子)はあんまりアメリアらしい役柄じゃなかったので、今度はストレートにらしく書こうと思って書きました。可愛いと言って頂けて本当に嬉しいです。どうもありがとうございます。
>2度までは偶然と言いますので、そう言うことにしておいてあげましょう♪
>作中、何気に端から見たらデンパな発想をしているゼルですが、笑って受け入れて、
>その上で「その時が来るまで」を、前向きな方へ持っていくアメリア。
>ゼルより精神的に大人かも知れませんね。
この話は、現代日本にゼルガディスやアメリアのようなカタカナ名前の登場人物が出て来る不自然さ逆手に取って「実は俺達の生きている世界はフィクションの世界だったのだ」というメタフィクション的なオチを使い、それを恋愛的な要素と組み合わせてみよう(メタフィクションと恋愛を結びつけた話にはまだ出会ったことがなかったので)という考えから(少々くどくて、すみません)生まれた話なんですけども、うまく出来ていたかは分からないし、確かに電波系妄想狂の看護(?)話でもあるなあとは思ってました。まあどっちにしてもゼルアメとして成立してると思うので別に問題はないだろうと思ってます。
ちなみにアメリアの方が精神年齢高いのは、この話が「男性より女性の方が早く大人になる」とか「男はガキ」というような定説に基いて書かれているので、間違いないかと思われます。
 
 

>
>修学旅行レポート(?)
>学校の一大イベント終了ですね。
ええ、後は大したもの残ってなさそうです。まあ夏休み(本日から)がありますけれども(バイト始めたせいでそれほど実感ないですが)。
>北海道へ行ったのですか。日本は縦に長いのだと良く分かる経験でしたでしょう?(笑)
う〜ん、飛行機が速過ぎるのは存外に早く着いてしまったので、残念ながら……
車でいくと嫌というほど分かると思うのですけどね(笑)。
>何せ仙台と東京でも、場合によっては平気で気温差10度くらいありますから。
>まあ、このところはそこも微妙に気候が変で、気温の温度差が激しいですから、
>風邪などには充分お気を付け下さいませ。
確かに最近は異常気象多いですね。
正直、旅行中はかなり身体の調子良かったんですけども、帰ってからは心身ともにあんまり良くないです。
>夏風邪は本気でつらいです。(去年経験済み)
私は去年は一年中風邪ひいてました(笑)。常に軽い症状だったので、何とかやっていけましたけども。
>修学旅行に持っていく本は明るめの本に、は確かに(^.^)
>あとは続きが自宅などにある本は持っていかない、も追加で。
>ちなみに私は高校の修学旅行のとき、「銀英伝」の1巻と2巻を持っていきました。(爆)
……2巻のラストまで読んでしまうと辛いかも知れませんね(笑)。
ストーリー的には一旦終わり、みたいになっているってところがせめての救いでしょうか。
ちなみに余談になりますが、同級生の一人はこの旅行中に「屍鬼」(文庫版一巻)を読んでいました。ホラー好きのようだったので、大分前に私が勧めたんですが、まさかこんなところに持って来るとは。まあ結構風情のある話ですので、意外と旅行とも合うのかも知れませんが。
>
>お土産代わりのお話、楽しませていただきました。
>それでは、今日はこの辺で失礼します。
ご感想どうもありがとうございました。