◆−始めまして−風水 (2004/7/28 21:16:54) No.16609
16609 | 始めまして | 風水 URL | 2004/7/28 21:16:54 |
始めまして、初投稿です。 お暇なときにでも読んでいただければ幸いです。(ゼルアメです) ============================== 昏く、深く、寒い、閉ざされた森。 その奥にある洞窟で、 一人の青年と一人の少女が眠っていた。 青年の顔に浮かぶは絶望と悲願。 少女の顔に浮かぶは悲しみと愛情。 ========================== 「忘れてくれ・・・」 ダークスターとの戦いが終わってから5年。 手紙も無く、会う事も無く、それでも待ち続けたある日の夜。 何の前触れも無く現れた彼はたった一言、彼女にそう言った。 「どうして・・・ですか・・・?」 自分でも驚くほど掠れた声。 知らないうちに涙がこぼれていた。 「俺の体は・・・・もう元には戻らない・・・だから・・・・忘れてくれ・・・」 そう言って、身を翻す。 「待って!」 そう叫んでも、もう彼の姿はどこにも見えず。 見えるのはその場に残されたアミュレットだけ。 「どうして・・・?どうして何も言わせてくれないんですか・・・?」 あの日約束の証として渡したアミュレット。 アメリアはそれを握り締め、ただ泣き続けた。 泣いて、泣いて、何日も泣き続けて、決心した。 ゼルガディスを追いかけようと、 例え彼の体は戻らなくても、一緒にいようと、そう決心した。 そして全てを捨てて彼を探し続けた。 ========================== 「こんな所にいたんですね・・・・」 情報を集め、いろんな場所を渡り歩き、探し続けて10年。 ようやく見つけた。 人里離れた森の奥。誰も近づく者の無い洞窟の中。 そこで彼は眠っていた。 「ずっと・・・探していたんですよ・・・」 返事は無い。あるはずが無い。 「少し時間がかかり過ぎちゃいましたけど・・・」 それでも、語りかけずにはいられない。 「髪もこんなに伸びちゃいました・・・・年だって・・・ ゼルガディスさんを・・・超えちゃいました・・」 目を覚まして欲しい、またあの時のように声を聞かせて欲しい。 「・・・起きて下さい・・・どうしてこんな所で眠っているんですか・・・・?」 彼に触れたい。 でも、触れられない。 「答えてください!どうして・・・どうしてそんな所にいるんですか?!どうして・・・」 ガンガンと叩く。 自分とゼルガディスを分かつ、巨大な氷を。 「どうしてそんなところで眠っているんですか?!」 答えは、無い。 冷たい氷の中で、彼は永い眠りについてしまった。 身も、心も凍らせる、冷たい氷の中で。 ============================= 昏く、深く、寒い、閉ざされた森。 その奥にある洞窟で、 一人の青年と一人の少女が眠っていた。 青年の顔に浮かぶは絶望と悲願。 少女の顔に浮かぶは悲しみと愛情。 彼と共に生きる事ができないのなら せめてここで共にいよう。 彼の氷を溶かすことが出来ないのなら せめてここで待とう。 いつか彼自身が氷を溶かすその日まで。 私はここで待とう。 いつか彼が目覚めるその日まで。 私もここで眠ろう。 いつか彼と共に居られるその日まで。 ========================== やっぱりハッピーエンドのほうがいいですね。 |