◆−ルクミリ−青月 かなた  (2004/8/3 22:45:23) No.16621
 ┗二つの想い・一つの気持ち−青月 かなた  (2004/8/5 22:26:54) No.16624


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16621ルクミリ青月 かなた  2004/8/3 22:45:23


 こんばんは。青月でございます。夏休みという期間を利用して、以前から考えてなんだか腐敗臭までしてきたお話しを投稿したいと思います(待てぃ)
 ルクミリ激ラブvをモットーに、いかせていただきます。
 ……激ラブなわりに、暗い…。十四巻ネタなんです。死にネタなんですけどね…。かなりドリーム入ってるので、ご注意を…。

 良しOK!ということで、お付き合いいただけたら幸いです。

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16624二つの想い・一つの気持ち青月 かなた  2004/8/5 22:26:54
記事番号16621へのコメント

言わずと知れた「あの時」のミリーナさんサイドです。
かなり彼女への夢が詰まってます。
乙女なミリーナなんてっ…て人はご遠慮下さい。
――――――――――――――――――――――――――――――――――――

 様々な想いが、めぐる。

 人が死ぬ時はそんな現象があるのだと聞いてはいたけど、こうしてみる私の人生は、驚くほど彼が側にいる。
 
 雨に打たれたかのような瞳。
 
 憎めない表情の数々。

 馬鹿らしく、暖かな言葉たち。

 全て、彼―――ルークのもの。

 二つの想い・一つの気持ち 〜想いのカタチ〜

「ルーク……」
 私は彼に呼びかける。
 その名は驚くほど私の口になじんでいる。
「……」
 彼はなにも言わない。
 ただ私の手を痛いほど握り締めている、その力が確実に増した。
「ルーク」
 私はなにを遺せるだろう。
 この男性(ひと)に。
「私は人間です。だから、いつか死ぬの。わかるでしょう」
 彼の眼を真っ直ぐに見つめる。
 少しでも想いがとどくように。
「私も、あなたも人間よ。
 人にはこの時が自然に訪れる……そうでしょう」
 あなたは人間なのだと。
 彼が人に対する嫌悪を口にする度に、そう言ったけど。効果はあったのかしら?
「……ミリーナ」
 かすれた、声。
「俺、は……」
「色々なことがあったわね。あなたと一緒に旅をしていると」
 彼の言葉を遮り言う。
「本当に、色々なことがあって……」
 身体が重い。
「楽しかったわ」
 ぎっ……。
 歯をかみ締める音を聞いたと思うと、ルークに抱き寄せられる。
「なら……ずっと……一緒に旅を続ければいいだろっ! こんなことで……こんなことで……! お前が死んでたまるかよっ!! 
 ―――そんな! 最後みたいな言い方しないでくれっ!!!」
 ルークの鼓動のみが、聞こえる。
 その言葉が、あまりに痛くて、同時に嬉しいと思ってしまう。

 ルーク……私もずっと一緒にいたいの……。
 そう言えればどんなにいいだろう。心からそう思う。
 けど、言えない。言わない。
 そんな言葉で、あなたの未来をしばりたくはないから。
 誰よりも生きてほしいから。
 愛しているから、伝えない。
 けれどそうして、生きてほしいというエゴをおしつけるの……。

「ルー、ク……」
 ゆっくりと息をすう。
「俺は……俺は……!」
 まるで呪文のようにそう繰り返す彼の頬に、手をそえる。
「私はあなたに逢えて良かった。あなたと共に旅を出来て、よかったの。
 だからあなたは、もっと、旅を続けて? こんな旅を続けて」
 生きて……。
 幸せに……なって……。
 あなたの側にいるのは私だけじゃあないから……。
「……無理だ……!」
「いいえ……。出来るわ……」
 私は、不器用で……この気持ちを伝える事は出来なかったけど……。
 あなたのようには……言えなかったけど……。
 あなたが幸せであれるように、呪文を遺すわ。
「ルーク………………」
 これが、最後の我が侭…………。
「お願、い………。
 ヒトを嫌いに、ならないで…………」
「ミリーナ……」
 彼の顔が霞む。
 手から力がぬける。

 
 ………ルーク………
 
 お願い………………
 
 そのままで………いて……

 お願い……………愛する人…………………


「ミリィナァァァァ!!」

 意識が、闇に沈んだ。