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1682月の下で1おーはし 5/15-21:46


初めてのお話を書き上げてしばらく書けないだろうなと思っていたのですが
…書いちゃいました。また。
今度は主役無し、四人組みんなでのお話です。
またぞろ長くなってしまいましたがどうぞお付き合いくださいませ。

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「リナさぁん何ですかその大荷物?」
とある町の宿屋の一室、椅子に座ったアメリアの前に
リナはよっこらしょっと荷物を下ろした。
「鬼の居ぬ間になんとやら、ちょこっとその辺で稼いできちゃったのよねー」
どうやら又いつもの盗賊いぢめの成果らしい
そこら一面に中身を広げ始める。
ガウリイとゼルガディスは剣の稽古で外出中
うるさい保護者のいない、今が好機とこっそり出かけてきたのだ。
「いやぁもう見た目のわりにお宝豊富でさぁ
 ほら、これなんかいいでしょ」
「わ、きれいですね」
「こっちはほら」
「なんだろ魔法薬かな?」
女の子二人ぶんどったお宝を前にきゃいきゃいとはしゃいでいる
「おおこれなんか結構逸品じゃない?」
「剣かあガウリイさんにプレゼントしたらどうです」
「うぉーいもどったぞー」
「なんだこの有様は」
「ええーもったいないわよー」
「そーですかぁ」
「のどかわいたなぁ、お、飲み物みっけ」
「どっちかというと水がいいんだが。何だそれは酒か?」
「そーよ!どうせあいつには光の剣があるんだし売っちゃお売っちゃお」
「素直じゃないなぁ」
「さぁ?ほれコップ」
「ああ、なんか妙な感じの飲み物だが…」
「だぁれが素直じゃないって、…ちょっと!うるさいわね
 さっきから後ろでごちゃごちゃとっ…て」
「あ、ゼルガディスさんガウリイさん…」
ごっくん。
「「あああああぁぁぁ」」
「なななぁんだぁぁぁ???」
「ど・どうしたんだいったい?」
「「飲んじゃった」」
「「へ?」」
二人が飲んだものそれは盗賊のお宝の中にあった謎の魔法薬だった。

四人そろってうろたえたものの二人には何の異常も見られない。
しばらく様子を見て、それでもやっぱり異常無いのを確認しホッと胸をなでおろすと
それぞれ部屋へもどり眠りについた。
そして次の朝

「どわぁぁぁぁぁ!!!」
「のわぁぁぁぁぁ!!!」
宿屋に響く叫び声
「今の声は!」
「ガウリイさんとゼルガディスさんですっ」
ベッドから飛び起きたリナとアメリアは男二人の部屋へ駆け込んだ
「ガウリイ!入るわよっ」
「ゼルガディスさん!」
ばんっ
開けた扉の中には
ちょっとガタイはいいが金髪碧眼の美女と
目つきは悪いがスラリとした銀髪岩肌の美人がいた
『………。』
「「なんなのぉこれ?!」」

とにかくこのままじゃらちがあかない
空になった瓶とわずかに残った液体を持って
リナと、アメリアが嬉々として用意した衣装を着たゼルガディス
―「またこのカッコをする日がくるとは…」―
は、この町の魔導師協会へやってきた。
「はぁこれはまた珍しいものを」
出てきた係官は山積みの古い資料のなかから
一つの記録を抜き出してきた。
薬は性転換剤。飲むと人を逆の性へと変える
「それはとある地方に咲く花からつくられるものです」
 地図を広げると指し示す
「このあたりに広がる森の中にこの花の咲く場所があるそうです」
「あるそうです…って正確な場所は?」
「わかりません」
「なぁんでよっ!」
「昔は目に付くほどにあったそうですがいつの間にやら減っていったらしく
いまでは見る人もありません」
「ありませんって…どーすんのよこれ!」
「人を指差すな」
「冷静に指摘すんじゃないわよ!」
「とにかく行ってみるしかないだろう。らしい場所が見つかっただけでも幸いだ」
「あんたってほんっとに冷静よね。厭味なくらい」
リナはジト目で隣に立つゼルガディスを見た。
「おおすごい美女」
「銀髪ってのがまたいいなぁ」
近くを通りかかった協会の男どもがこそこそと言うのが聞こえる。
「火炎球」
「…そうでもないか」
程よい強さに調整された炎の球は罪無き男達を丸焦げにした。

「ん…と、ごぉ、ろく…さっきので7人目」
リナが指折り数えて言う
「…。」
「こっちは全部で6人ですね。」
答えるアメリア
「…。」
「そこの銀髪のお嬢さん…」
「魔風」
「はれぇぇぇぇ!!!!」
ゼルガディスに声をかけてきた男が魔力の風に吹き飛ばされる
「やったぁ!これで7人目タイですよっ」
「チチィ、同点かぁ」
「おまえら楽しんでないか!?」
「「もっちろん!」」
思いっきり首を縦に振る二人にゼルガディスとガウリイはガックリと膝をついた
ここは地図の指し示す森に程近い町
その道中、女性しかも美女となった二人は行く先々でナンパされていた。
リナとアメリアはそれをすっかり楽しんでいる
果ては二人に声をかけた男どもの数で競争して遊ぶ始末。
「おれたちって最高に不幸だよな、ゼル」
「ああ…」
なにが悲しゅうて男から恋を囁かれにゃならんのだ…
二人はのしかかる不幸をひしひしと感じていた。
「おお、これは美しいお嬢さん方だ」
また新たな男が近づいてくる
「こちらは流れるような金の髪、そしてあなたは月の光のような銀
 さしずめ『金の薔薇』と『銀の百合』…といったところでしょうか。」
「きんのばらっ!」
「ぎ・ぎんのゆり…」
リナとアメリアは必死で笑いをこらえ硬直したままピクピクと体を痙攣させている
ぶち
なんとか保っていた二人の忍耐の糸が切れたらしい
「「俺達は男だぁぁぁl!!!!!」」
「どひぇぁぁぁぁぁぁ!!!!!」
また哀れな男が一人、天高く舞い上がって散った。

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1683月の下で2おーはし 5/15-21:48
記事番号1682へのコメント

「嫌だ!もぉ嫌だ!とっとと花を見つけてすぐに男にもどるっ!!」
くだんの森の中、ずんずん突き進むゼルガディスをリナがなだめる
「まぁまぁゼルちゃん、そんなに興奮しないで…」
「そうですよ落ちついて、そんなに急いじゃ道に迷っちゃいますよ」
すかさずアメリアがフォロー
「おまえらあんだけ笑い狂っておいていうか?その台詞」
ガウリイがしくしくと泣きながら言う。
「と、とにかく落ち着いて。ほらここら辺じゃない?昔花があったっていう場所」
必死に誤魔化すリナ
「ふん、覚えておけよ」
目的のためとりあえず怒りを納めたゼルガディスは辺りを見まわした。
「無いな」
「そうね。んでも手がかりはそれだけだし、ここを中心に探してみましょ」
「はい」
「おぅ」
四人は散らばると辺りを探し始めた。

「無いわねぇ…」
「さっぱりだな」
「もう夜になりますよぅ」
「暗くなれば探すのは無理だ、今日のところは野宿だな」
日が暮れるまで散々探したが手がかりも無し
辺りは暗くなるし腹はへる、一行は野営の支度にかかった。
程なく準備もでき、すっかり日の沈んだ暗闇のなか火を囲んで休息する。
「あーあつっかれたぁ」
「だなぁ」
「もうここには無いんじゃないんでしょうか?」
ここまで探してないのではそう思わざるを得ない
「そーねぇ」
「ちょっとまてリナ、それじゃおれずっとこのままか?」
とんでもないとばかりにガウリイが言う
「っていうか、無いもの探してもしょうがないじゃない
 だったら違う方面から攻めてみてもいいんじゃないかって
 解毒の呪文とか解呪の呪文とか…」
「まて、リナ」
「あによ、人が話してんのに…」
「黙れ、何か聞こえないか」
人のものではありえない異形の耳が聞こえる筈の無い微かな音をとらえた
「こっちだ」
明かりの呪文を唱え歩きだす、後から三人が続いた
闇の中自分達以外に動くものがある
「このあたりだったわよね」
その気配が消えた場所に四人は立った
「何もいませんよ…って、え?きゃぁぁぁ!」
何気なく木立の間に立とうとしたアメリアの姿が吸い込まれるように消える
「アメリアっっ!!」
引き止めようとその腕を捕まえたゼルガディスも一緒に消えた
「異空間への入り口っ?!こんなとこにっ」
「なんだぁ?二人ともきえちまったぞ」
「追うわよ!ガウリイ」
ガウリイの腕を引っつかむとリナは木立の間に身を躍らせた。

どてっごろごろごろ
勢い良く地面に落ちたリナとガウリイはそのまま緩やかな斜面を転がった。
「あたたたた…リナだいじょうぶか?」
リナを庇って抱きかかえた腕を解く
「ん、だ・だいじょおぶ」
おや?抱きしめられて少しは動揺してるのか
ぼそっ「D、いやFカップね…ガウリイのくせに生意気な」
…違ったか…
「で、二人は?」
「いないみたいだな気配もない」
「入り口は一緒でも出るのは別ってことね」
土を払って立ちあがったリナとガウリイは辺りを見まわした
何の変哲も無い草むらと木々そして天空には冴え冴えとした月
そして
「ん?」
「なに、ガウリイ」
「いやこれ」
「なによっ…て、ああああっ!あったあああ!!」
真珠の様な白く清楚な花びら、すっと伸びた碧の茎と葉、
確かにそれは資料にあったあの花だった。
「いやったぁ!これで戻れるわよガウリイ」
「ううう…うれしいよぉリナぁ」
「よしよし。さ、目的のものは見つかったし後は二人を探してさっさと戻りましょ」
リナは木立のさらに奥へと歩を進めた
ぱしゃ
「水音?」
林を抜け視界が開ける、湖?
「あ…」

「っつ…ここは…、!、アメリアっ!」
「ふぁい」
頭から地面に激突したお馴染のポーズで答えるアメリア。
どうやら異界の門を通って出たらしいここは、水辺の草むら
周りには捜し求めた花が咲き乱れ、真珠の輝きを放っている。
「大丈夫か」
「ってて…はい。ね、ゼルガディスさん花ってこれじゃないんですか?」
「ああ、こんな所にあったとはな」
「やりましたね!これで戻れますよっ!…ちょっと勿体無い気もするけど」
「…アメリア…」
「言ってません!なぁんにも言ってません!」
ぶんぶんと頭を振って言うアメリアに、じとぉーっとした視線を送っていた
ゼルガディスは、生き物の動く気配にはっと向き直った。
ぱしゃん
ばさっばさささ…
二人の視線の先には湖、
そして…その水面に美しい銀の獣が群れ集い始めていた
しなやかな豹の身体、毛並みは蒼く輝く銀、長い鬣を持ち背中には翼
「あれは…まだ生き残っているものがいたのか…」
獣達はそのまま水辺まで歩み寄ると一面に咲き誇る花の花びらを食み始めた
「…なるほどそういう事だったのか」
「ゼルガディスさん一人で納得してないで!なんなんですかあの獣は!」
訳のわからないアメリアが抗議の声をあげた。
「あれは幻獣の一種だ」
獣達の方を見つめたままゼルガディスが話し出す
「魔力の塊のような生き物で、特にその羽が貴重なマジックアイテムになるとあって
 乱獲されてな。文字通りの幻の獣、もう生き残りはいるまいといわれていた。」

「捕まえて繁殖させることも考えられたらしいのよ、でも出来なかった。
 こいつらには性別が無かった、それでどうやって増えるのか?
 結局解らなかったらしいわ」
湖の辺、リナはそう言って視線を花に落とす
「あぁ、もしかして」
「そ。こいつらはこの花によって性別を得て繁殖する生き物だったのね
 人にとっては性転換の珍しいだけの薬、
 でもこいつらにとっては種族の存亡に関わる大事なものだったのよ。」
獣が花びらを食み終わる、すると淡い輝きとともに
あるものは雄にあるものは雌に変化をとげた。
そして残された花にも変化が現れる、花のあった部分が膨らみ実の体を成したのだ
「…花にとってもこの獣の放つ魔力が必要だったのね。子孫を残すために」

変化を終えた獣達はまた湖の上へと集まってくる、
生涯を添い遂げる相手を求めて羽を広げ舞い、声をあげ鳴き交わす。
花と獣が互いを必要としあい、雄と雌が互いを求め合う
そして人も…

「綺麗ですねとっても」
「ああ」
月の下繰り広げられる銀の光の乱舞にうっとりと見入りながらアメリアが言う。
ふと視線を感じて横を見るとゼルガディスと目が合った
「ゼ・ゼルガディスさん、あっちですよほらっ」
その視線の優しさに少なからず動揺したアメリアがわたわたと前を指差す
「俺はこっちのほうがいい」
顔が近づき、一瞬唇が触れそして離れた
いっぱいに目を見開き固まってしまったアメリアを見
ゼルガディスはふかぁーい溜め息をつく
「なんでこういうときに女なんだ俺は……ってをい…」
甘い雰囲気も恥じらいもなんのその、その一言にひっくり返って笑うアメリアだった

「うわぁ大ねるとん大会ってやつだなこりゃ」
「もちょっと趣のある表現は出来んのか!!おのれわ!」
湖の反対岸、やはり見とれている二人
「楽しそうだなぁ、おれたちも混ざろうか」
「…あんた獣までナンパする気?」
「まさか、おれの生涯の相手はちゃんといるからな」
「どこに」
「ここに」
言ってリナを指差す
「な、誰が…」
「ずーっといっしょに、旅して、たっくさんうまいもの食って、
 あばれて、ぼうけんして、
 そんでいっしょにじーさんとばーさんになろーな。」
「…」
「な」
「…そーね。」
凭れかかるリナの肩を大きくて強い腕が優しく包み込んだ。

あなたを必要とするわたし
わたしを必要とするあなた
月の光の下
互いをもとめあう花と獣と人が銀色に輝く夜
想いが銀の光を放つそんな夜だった

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1684月の下で3おーはし 5/15-21:49
記事番号1683へのコメント

何時の間に眠ったのだろうか、朝日の眩しさに目を覚ました四人の前には
湖も、そこに咲く花も、何も無かった
「あれって夢だったんでしょうか?」
「夢なんかじゃないわよ、ほら」
答えるリナの手にはちゃっかり摘み取った白い花、
そして幻の獣の羽根が朝の光に銀色に輝いていた

「夢じゃないけど、でも夢のように綺麗でしたね。ね、リナさん」
町への帰り道並んで歩くリナにアメリアが話しかける。
「アメリア、あんた何かあったわね?」
「え?いえっ!そんな、何かって………ありました…。」
真っ赤になってぼそぼそと答える
にまにまとそれを見て笑うリナにきっ、と顔をあげたアメリアが逆襲
「でもっ!リナさんだってあったんでしょ、何か!」
「のえっ?あたしっっ?!んなこと!……あった…かな‥てへ」
こちらも真っ赤に茹で上がる
「おまえら、なにふたりして真っ赤になってんだぁ?」
「熱でもあるのか」
先を行く、何も知らない男どもが振り返って聞く
「あんたたちのせいよっ!!」
「そうですっ!」
「「はぁぁ??」」
わけもわからず責められて困惑の顔を見合わせる二人
そのおまぬけさに一転、リナとアメリアは腹を抱えて笑い出す

あなたを必要とするわたしがいる
わたしを必要とするあなたがいる
夢のようで夢じゃない現実、あなたのいるこれが現実

end
===============================
 終わりましたやぁぁあっと。
書きたいことがほぼ出来あがってから書いた前回と違って、空っぽの状態から
考えては書き書いては考えた今回、すんごく難渋しました。
まとまらないわ、長くなるわ、先は見えないわ、
ちゃんとお話になってるでしょうか?辻褄あってますか?とっても不安です。
 で、いきなりですが実は私、NEXTの「ルル」さん密かに気に入ってます(笑)
初お目見えのあのシーン、期待を裏切る可愛らしさで思わず感動しました
いやマジで。
ただメーク無しの方がより可愛いんじゃないかとは思いましたが。
ついでにガウリイさんもこの回の方がセーラー○−ン風より好みです。
 それでは、ここまでお付き合い頂き有難う御座いました。

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1702感想です丸丸 5/17-00:27
記事番号1684へのコメント

はじめまして。「月の下で」読ませていただきました。

「ガウリイとゼルが女性になっちゃう」という展開がいきなりツボです(笑)
個人的には、どんな服を着させられたのかが非常に気になるところですね。
ガウリイまたPH系のぶりぶり〜かなぁ?身長あるし、できればシックな感じにしてほしい…
って、ああ妄想が(汗)

「ナンパされた数で競争して遊ぶリナとアメリア」
ひどい…けど、気持ちはわからなくもない(笑)

幻獣と花の、共生にも似た関係が幻想的で、すごく印象に残りました。
それを見つめるそれぞれのカップルの想いも。

私ガウリナ好きのゼルアメ好きなので、おーはしさんの小説はとても好きです。
「あなたとともに」も読ませていただきました。(カキコしてませんけど)
また素敵な小説を書いてくださいね。

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1712ありがとうございますおーはし 5/18-20:28
記事番号1702へのコメント

具体的な(笑)ご感想有難う御座います。
うーん服装ですか?
書いてるときはNEXTのあのカッコで想像してたんですけど。
なんでガウリイって毎回PHなんでしょうね。実はリナちゃんの好みかも?
ナンパ競争はあの二人ならこの状況では絶対やる!と思い書いてしまいました
ちなみに、余計なので書きはしなかったのですが…
ガウリイはあの懐かしのボランさん風、肉体派系
ゼルは金持ち風、ナイスミドル系に受けが良かったというとこまで考えてました
…ほんとにろくな事考えてませんね私。(笑)
幻獣と花あたりの設定は思いついたままでは辻褄があわず
四苦八苦で作ったので誉めて頂けて嬉しいです。
他の方たちのようにコンスタントに書けるほうでは決して無いので
いつになるかさっぱりなのですがまた思いついたら出させていただきたいと
思います。
読んで頂いて有難う御座いました。