◆−薔薇とか幻視感とか。・13−ザズルア=ジャズルフィードゥ (2004/10/9 23:03:19) No.16870


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16870薔薇とか幻視感とか。・13ザズルア=ジャズルフィードゥ 2004/10/9 23:03:19


 はいさ、お久しぶりで御座います〜。

ハ:どのくらい無駄二時間かけてるんですか貴方は。第一これって前に投稿して削除したものを修正したものじゃないですか。(にっこりと。黒オーラ背負って)

 君が魅力的過ぎるからさハニーv

ハ:気色悪い事言ってんじゃねぇ!!(コースクリューパンチ)

 ひでぶっ!?(吹っ飛んでいった)

ハ:・・・はっ!遠い昔に自然消滅した性格が・・・っ!
  やだ、あたしったら・・・。(恥)

  そ、それではみなさん長らくお待たせしました。続きをどうぞ。






「・・・はぁ・・・はぁ・・・」

 スラークは地に付き、苦しそうに膝を突く。そのとき、首筋に冷たい感触。銀色の刃が彼の首筋に当てられている。

「そこまでだ。緑の死神スラーク=エスクラウド」
「・・・へぇ。俺の名前も結構知られるようになったんだな。白のゼルガディスさんよ」

 自分の名前を言い当てられ、しかしゼルガディスは驚かなかった。裏の世界ではなかなか有名――本人の知らないところで偽名に使われたほど――ではあるし、何より特徴的過ぎるこの容姿。知られていても可笑しくはない。

「さて、どうしてこんなことになったか、話してもらおう――」
「スラーク・・・?」

 背後から現れたもう一つの声に、スラークはとっさに振り返った。首筋にゼルガディスがその正面から剣を突きつけ直してきて動けないが、その声には覚えがあった。間違えるはずなんてない。

「どういうことなの、ゼルガディス・・・」

 そこには、ゼルガディスと共にここへやってきたハールであった。

「・・・こいつは裏でも結構有名な義賊でな」
「義賊・・・?」

 ハールはその言葉に反応した。ゼルガディスは構わず説明を続ける。

「・・・で、今日そっち関係に詳しい情報屋が俺に教えてきたんだよ。こいつの一味がスプルの命とセイドを狙ってるってな。
 ――多分、そいつに心当たりがあるんじゃないのか?」
「さぁてな。ありすぎて検討もつかねぇ」

 おどけるかのような口調で答えるスラーク。しかし、彼の意識の大半は別の方へと向いていた。

「・・・これ、あなたがやったの?」

 震える、頼りない声。彼女の――ハールの黒い瞳は今にも泣き出しそうだ。

「あなたが・・・アメリアとスプルを?」
「・・・あぁ」

 スラークはこくり、と弱弱しく頷いた。

「・・・・・っ!!」

 その瞬間、ハールの頭は真っ白になった。
 この人が、自分の仲間を・・・大切な仲間を傷つけた。

 この、賊が。

 (ドスッ!!)

 ハールの短剣が、無防備なスラークの腹部を突き刺した――。

(やば・・・意識が・・・)

 どさ、とスラークは力なくハールの腕の中に倒れこんだ。
 そのとき、ハールは自分のしたことをやっと理解した。

 彼の吐く息は徐々に弱まり、自分にもたれる彼の身体は見た目よりも軽い。
 その彼の腹部から流れる、熱い、赤い液体。

 腕の中の男は、ゆっくりと、死へと近づいている。

「いやぁぁぁぁぁぁぁっ!!」

 自分が傷つけた男を見て、ハールは絶叫を上げた。


 自分が刺した。この人を。

 自分が刺した。

 自分が

 ジブンガ


「落ち着けハール!」

 ゼルガディスがハールの肩を掴んで言い聞かせる。

「とにかく、医者を呼んで来い!」
「あ・・・あたしが・・・あたしが・・・」
「ち・・・っ、錯乱してる」

 ゼルガディスは舌打ちを一つして立ち上がる。

「俺が呼んでくる。お前はこいつらを見ていろ」

 そう言って、ゼルガディスは呆然とするハールを残してその場から駆け出した。





 ・・・ここ、どこだ?

 見たこともないほど美しい花畑。汚れのない、澄んだ川。
 自然と、俺は川の方へと足を運んでいった。そちらへ行きたいと思った。
 あそこに行けば、楽になれる・・・。

 ―――。

 そのとき、歌が聞こえた。
 優しく、綺麗な歌が背後から聞こえてきたのだ。
 振り返ると、そこには天使がいた。

 雪のように白い肌、

 美しく艶やかな長い黒髪、

 優しい光をたたえた黒い瞳。

 その黒い瞳はこちらを向いていないが、それでも彼は構わなかった。その姿を認められただけで充分だった。


 ――私の見つめていた貴方は どこか別の遠いところを見つめていた

   叶う想いとは思ってなどいなかった それでも目を離すことなど出来なかった

   それでもその視線の先に気付いたとき 涙をこぼさずにはいられなかった

   それでもその視線の先を見つめたとき 心が温かくなった気がする

   あぁ 私が見つめていた人よ 私は貴方を想いの琥珀にして大切に仕舞うけれど

   あぁ 私が見つめていた人よ 貴方はその人を琥珀にしてしまわないで

   私は追わない でも貴方は追って それがきっと正しいのだから

   私は琥珀を大事にする でも貴方は彼女を大事にして それがきっと一番だから

   私は歌う この歌を 貴方の願いが叶いますようにと――


 その歌を、俺は知っていた。

 ――これ、新曲なんです。これを聞かせたのはあなたが初めてなんですよ。

 そう言って、彼女は笑った。


「ハー・・・ル・・・」

 彼女の方へと駆け出した直後、柔らかい光に包まれた気がした。