◆−恋鎖反応・GL式−冬娘 (2005/6/25 18:26:48) No.17114
 ┗恋鎖反応・GL式 2−冬娘 (2005/7/1 02:21:41) No.17119


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17114恋鎖反応・GL式冬娘 2005/6/25 18:26:48


初めて投稿させて頂きます、冬娘と申します。
拙い表現ですが読んで頂けたらば幸い。
アレな描写は控えますが、原作以上にラブイチャしてるカップルが苦手、という方はお引取り下さい。ていうか1ではカップルですらありませんので悪しからず。






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―――それは、全くの突然に。
そう、まさに―――『恋とはするものでは無く、落ちるものである(出典:江國香織)』の言葉通り。
溶液に落とされた試薬は劇的に変化する。化学反応。
ある一定の状況下に置かれたヒトもまた、劇的に変化する。
それは或る意味化学反応にも似ている。
脳内物質の分泌によってメスはオスに、オスはメスに発情する―――最近は同性同士、というのも珍しくは無いが。
何てロマンティック…いや、むしろトコトン夢見がちな化学反応か。
数種の脳内麻薬とホルモンでコントロールされるそれに一体幾人が時間と命を消費するのだろう。
ヒトの気持ちの如何に脆弱で、環境に左右されやすいことか…、そして如何に強靭で自らの想い次第であることか!
この、リナ=インバースともあろうものが。
不名誉とはいえ数々の称号や二つ名(二つ名はかなりの戦績やそれ相応の実力が無いとついてはこないものだ)を冠するこのあたしが、たかが一時の化学反応であるコイだとかアイだとかにゆさぶられることになろうとは…。
あたしは神というものにやたらと縋ったりするのは、まぁはっきし言って大嫌いなのだが、今現在の心境は神頼み一歩手前である。

それ位…、追い詰められていた。

その、たかだコイだとかアイだとか、にである。


「…ガウリイ」
「ん〜?何だ、リナ」
「あたしの言ったこと、ちゃんと聞いてた?アメリアの婚約パーティーなんだかんね!?」
「ぅ、ぁ、ああ、聞いてたぞ!オレ達、コクヒンになってるんだよな?」
「そーよ。お家騒動は解決するわアメリアの暗殺騒ぎを収集させるわあまつさえ誘拐されたフィアンセ奪回に尽力したんだからこれっくらいはとーぜんよねっv」
「……なぁ、リナ。そのフィなんとかって食えるのか?」
「食えるかぁああああああッ!!!ア、アンタ最近脳みそのくらげ化に磨きがかかってきてない!?フィアンセってのは婚約者の事よ!結婚を約束した人!」
「やだなぁリナ、オレにだったそんくらいは分かるぞ?」
「………………………も、いい………」



どうして、このくらげなのか。分かる筈も無い。
ただ、気付いたら其処に居た。
気付いたら傍に居た。
まるで空気のように捉え所の無い、或る意味あたし達のかつての仲間の誰よりも素性の知れない男。
…分かっているのは『元・光の剣の持ち主の血筋』だって事だけ。年齢も、過去も、そして気持ちも知らない。分からない。いつもいつも、煙に巻かれたようになってしまう。まるで風。必死になって手を伸ばしても、清冽なる疾風は醜い焔を吹き散らすだけなのだ。
…それでも。あいつはあたしの背中を守れる唯一の存在。…あたしの、保護者さん。
あたしは、彼と世界を天秤にかけて、『アレ』の前では無力に近い腕(かいな)で彼を掴み取った。なのに肝心の彼はこの手中にはおらず、結局風がただ火を煽るように、あたしの渇望は煽られるだけで満たされなかった。
この強烈に昏い欲望を、ヒトはコイだとかアイだとか呼ぶのか。全てを手に入れられないのならばいっそ虚無をと望むのは、神と魔、双方を体に宿すあくまでも灰色のヒトならでは。神話の恋など望めはしない。
そして人々はあたしを…、あたし達を『魔を滅するもの』―――デモン・スレイヤーズと呼ぶ。破壊のみに重点を置くその二つ名は、決して自ら望んだものでは無くて。ただ、あたし達が生き残る為に得てきた称号。
犠牲に胡坐をかくわけじゃあ、無い。出来るならば鍵をかけて仕舞い込んで、記憶の底に沈めたい。

されど忘れ得ぬ出来事であるのも―――また、確かだった。















「あの子も…、もう、18よ。王族としては遅くすらあるもの、きっと国中お祭り騒ぎ。辿り着くのは至難の技、ってトコかしら?」
「リナなら邪魔なモノ全て吹っ飛ばしてでも、アメリアに祝福を与えに行くさ。五年…、だぞ?オレ達が祝わなくて誰が祝う」
「…ふん。ちったぁマトモな事も言えるんじゃないの。さぁ…、そうと決まればセイルーンよ!!」


…振り向いてはいけない。

引きずり込まれるから。











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冬:アメリアのフィアンセがどなたか、なんてのは言わずもがな。
  リナが異様に暗いのは15巻以降のオハナシだからです。

?:思わせぶりな箇所は伏線なのか?

冬:ううん実はコレの前段階の話が有るの。

?:…先に投稿しろよ。

冬:いや初投稿はガウリナで、っていう意気込みが。

?:…これで前段階の話、ってのがガウリナじゃないのがバレたな。

冬:………あ。


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17119恋鎖反応・GL式 2冬娘 2005/7/1 02:21:41
記事番号17114へのコメント




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干乾びた大地が天の恵みを乞うように、かの男はアメリアを欲した。
蒼い蒼い、枯れる事の無い愛を惜しみなく注がれた大地はやがて不毛の砂漠に緑を茂らせる。
一本、また一本と増えるその緑は初めは大地に亀裂を入れ、不和を煽り立てるかと思ったが、少しずつ少しずつ刻まれるそれは痛みと共にそれだけでは無い熱を産んでいた。
彼女は流れるだけ。停滞しては淀んで腐ってしまう。
ならば流れる道よ、刻め。
緑よ更に深く根を張り、愛を蓄えよ。

穴だらけになった大地はスポンジのように愛という名の水を吸い込み、蓄え、そして濾過する。











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「んっふっふ、やぁあっぱり思う存分攻撃魔法ぶちかませるってぇのは気分イイわねーvこれだからやめらんないのよ、と・う・ぞ・く・い・ぢ・め(特大はぁと)」

盛大に焼けまくりコゲまくった元盗賊のアジトで、あたしは火炎球をぶちかました後特有の熱風にマントをなびかせていた。
暫くぶりの開放感に、うーんと伸びをしてくるりと振り返る。
・・・其処には、かろうじて燃え残った木に背中をあずけ、ジト目であたしを見遣るガウリイ。
昼日中の襲撃に嬉々として攻撃魔法の華を咲かせたあたしに呆れているのか…それとも、さっきどさくさまぎれに炸裂弾に巻き込んだ事を根に持っているのか…いや、はたまた最初に油断しまくってた敵さんにガウリイタックル(命名:あたし)させたのにいじけてる…あるいは…

「・・・おひ・・・『やめらんないのよね』じゃあ無いッ!全くお前さんはいつまでたってもその物騒な趣味がなおらんなぁ…」

・・・どうやら、あたしの盗賊さん達に対する姿勢が引っ掛かったようだ。
しかし・・・自分で言うのも何だが、結構なメにあっているっつーのにこの脳みそくらげな保護者さんは何故かあたしと共に在る事を望んだ。
こんな風に、軽いノリなら良いけど。あたしはいつか、ガウリイを盾にしてしまいそうでそれが怖い。

こいつは…この男は、きっと平気でそうする。
平気であたしの盾になる。
そうして、あたしだけを残して去ってしまう。許せる筈は無い。共に、この背の荷物を背負おうと言ったのだから。
荷物を投げ出すどころか、か弱き乙女にもっと重い荷物を背負わせるなんて言語道断である。


・・・だから。こいつは生きなければならない。
ガウリイ、あんたは死なせない。


クス、と喉の奥で、どっちが保護者なんだか、と笑ってあたしは片目を瞑った。
チ・チ・チ、と顔の前で指を振り――この仕草、どこぞのスットコ神官と被るのであたし的にはあんましお勧めでは無いのだが――唇の両端を吊り上げる。

「あ・の・ね。『癖』なら兎も角『趣味』がなおってどーすんのよ。大体、あんたとあたしの食費を思ったらねぇっ、盗賊いぢめでもしなきゃやってらんないってぇの!」
「・・・・・・・・・で、オレは荷物持ちか?」
「・・・そぉよ?だぁってガウリイ、言ったじゃない?・・・半分、背負ってくれるって。手伝ってくれるって」

ニコ、と首を傾げれば、虚を突かれたようなガウリイの顔。
いつもの優しげな笑みが無い顔は、純粋に神々に愛された者特有の美しさが際立って何処か近寄りがたい。
思わず後じさってから、何を怯える事が有るのか、と思い直した。
相手は『あの』ガウリイだ。
何を構える必要が・・・―――――――







「リナ。」







もし、あたしの能力に『やり直し』や『後悔』なんぞというモノが有ったのなら、この瞬間をリセットするだろう。
見なければ良かった。
あんなガウリイ。
知らなくても生きていけたのに、一旦知ってしまえば欲が出る。
もっともっと寄越して、あたしに見せて、与えて、仕舞わせて…―――



これは渇望だ。



















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冬:続く〜
???:何でこんなに暗いんだよ
冬:それは秘密d(ゴハァッ)