◆−アリスと不思議な鏡の住人たち 第十二章−リラーイド=ヴァイス (2005/7/15 18:27:21) No.17142


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17142アリスと不思議な鏡の住人たち 第十二章リラーイド=ヴァイス 2005/7/15 18:27:21

どうも!お久しぶりすぎてツリーが落ちてしまったリラーイド=ヴァイスです。
時間がないのでさっさと書いちゃおうと思います。

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「それじゃあ、俺が・・・」
聞こえた声に、シェーラは少し驚いた。
「ディー!?」
思わず上げた大声に、その場にいた全員が、弾かれたように振り向いた。
あちゃー、失敗。そう思いながら彼女はうなだれた。
「お嬢さん!」
「アリスちゃん!」
『不吉な名前を、持つ女!』
「さっきの、仕事のこと考えておいてくれましたの?」
ディーの顔が輝く。
フィブリゾが目を見開く。
リザとルトアが眉をしかめる。
ダルフィンが微笑みながら近づく。
「あ、あの・・・」
五人の迫力に押され、シェーラは軽くあとずさる。
「どうしてここに?」
「招待されたの?」
「聖なる場所に、来るでない!」
「ここは聖なる、裁判所!」
「返事は?考えておいてくださいましたの?」
それぞれがしゃべっているので、誰かが何か言ったとしても聞こえないだろう。
わいわいがやがやぴーちくぱーちくこけこっこ。
「・・・ちょっと」
ぴーぴーこけこけ。くるっぽくるっぽ。
「・・・聞いてるの?あんたら」
こけこけ、ぽっぽー、くるるるるっ。
「聞いてるのっ!?」
キレたLが上げた声に、鳥の鳴き声のような騒ぎが一瞬にして止まる。
「・・・このあたしを無視したとは、いい度胸ねぇ・・・」
皆の注目を浴びたLが、地の底どころか地球の裏側を超えて宇宙の果てから聞こえるかのような声で、ゆっくりと言葉を紡ぐ。
「もういいわ!
 全員、首をちょん切っておしまい!」
わあぁぁぁぁぁぁっ!
Lの言葉を合図に、ドアからトランプの兵士がたくさんなだれ込んでくる。
わあぁぁぁぁぁぁっ!?
なだれ込んできたためか、いきなし転んで足をもつれさせている。
「何やってんのかしら。マヌケねぇ・・・」
ぽつりと言ったシェーラに、再び視線が集中する。
「・・・何ですって?」
氷のような視線でLに射すくめられたが、覚悟を決めてうつむいて言う。
「ま・・・マヌケって言ったんです」
スカートの端を引きちぎるくらい強くつかんでも、足の震えは止まることを知らない。カタカタ、と音が立つくらいに、歯の根は合わなかった。
「あんただけは、本当にいい度胸をしているようね・・・
 トランプの兵よ!こいつの首をちょん切っておしまい!」
―――おーしっ!今度こそっ!
―――どわわわわっ!?いきなり立つなっ!
―――ぐげっ!?誰だ今俺の足踏んだのっ!
『・・・・・・・・・・』
しばらく、気まずい沈黙。
「・・・えーいっ!もういいわ!あたしが直接手を下すっ!」
またしてもキレたLの姿は、すでにシェーラの目には映っていなかった。
彼女の瞳に映っていたのは―――赤の王、ガーヴ。
(魔竜王さまが起きれば、こんな悪夢は終わるのよ!
 起きてください!魔竜王様っ!)
あんだけ『あたしの夢』と言っていたくせに、ピンチになったら都合のいいものだ。完全に頼り切っている。
「どこを見ているの!あたしをナメているつもり!?」
大鎌を振り上げたL。しかし手が滑って大鎌はすっぽ抜ける。
「・・・おわわわわっ!?」
ディーのほうに行ったらしく、大きな悲鳴が聞こえた。
それすらも、シェーラの目には映っていない。ただ哀願の目でガーヴを見るのみだ。
「・・・う・・・ん・・・」
(起きるっ!)
小さく動いたガーヴの姿に、シェーラは確信する。
「ふあああぁぁっ・・・と・・・」
シェーラが最後に見たのは、大きくあくびをしながら伸びをしたガーヴの姿だった・・・


「・・・ラ・・・シェーラ・・・シェーラっ!」
「ふぇ?」
まだ半分寝ているような声で返事をし、目を開けるとそこには覇王神官ディーの姿。
「白ウサギっ!?」
「何言い出したっ!?」
ズレまくった発言をした彼女に、ディーは大声でツッコむ。
「・・・あれ?ウサ耳取れてる」
「本当に何を言い出してるんだ?」
あきれた声をする彼に、シェーラは少し迷ったあとこう言った。
ほんの少し、遠い目で。
「んー・・・
 なんかね。すっごく長くて楽しくて怖い夢見てたみたい」
「へー・・・どんな夢だよ・・・」
そこまで言って、やっとシェーラは気づいた。
「ディー。何であたしの部屋にいて、おまけと言わんばかりにあたしのベッドの上にいるの?」
「起こしに来たんだv」
ばきっ。
「・・・蹴るよ?」
「もう蹴っただろ・・・ぐふっ」
ごすっ。
ディーに二発目の蹴りを叩き込んで、一息ついてからシェーラは語り始めた。
不思議な夢の一部始終を。

「・・・で、目が覚めたわけよ。
 夢の中でも、あんたはあたしのことを助けてはくれなかったわ」
「でも、想う心は人一倍だぜぐげっ!」
クサい台詞を吐こうとした彼に、覇王将軍は回し蹴りをヒットさせた。
「・・・そういえば・・・」
涙を流しながら、ディーは思い出したような口調で言葉を始めた。
「ラルタークとラーシャートが話の中にでてこなかったけど・・・」
「・・・そういえばそうね」
「気づかなかったのかよ」
「・・・や、やあねぇ。そんなことないわよ」
「そんなら目ぇそらすな」

「うーん・・・われながら、結構いいシナリオだと思ったんだけど・・・」
水晶玉で二人の様子を見ながら、形のよい眉をゆがませた。自分で自分の落ち度に気づいてしまったのが悔しいのだろう。
「まさかあのぢぢぃどもを忘れてたなんてね・・・あたしとしたことが、とんだ失敗だわ。
 ま、いっか。過ぎたことをいつまでも悔やんでいても仕方ないしね。
 次は・・・そうね。白雪姫とシンデレラをミックスさせようかな」
ハートの女王様は、そんなことをお考えになっていた。

                        END.
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やっと完結です!だから最終回です!初めてです!
だからどうすればいいかわかりません!なのでやたらとテンション上がってます!

シェーラとディーは、リナとガウリイのような感じです。でもディーがシェーラにめろめろなので、ルークとミリーナのようでもあります。
脇キャラがいっぱい。主役くらいなもんです。まともな役なのは。
でも脇キャラでも好きなキャラクターはたくさんいます。ゼロスなんか猫耳生やしてて「ズッキューン!」な感じです。

では、また多分投稿すると思います。
そのときはまたよろしくお願いします。
では。さようなら。