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17184 | 星の本 | 志亜 | 2005/8/9 21:27:54 |
初めての小説の投稿です。 あわわ。なんかすっごく緊張しながらも一筆とらせて頂きますー。 ******* ゼフィーリア学園といえば、幼・小・中・高・大のエスカレーター式の高校だ。 高校の中でこれほどに良い学校は他に存在はしないだろう。 何故か?と問えば三人中一人はこう言うだろう。 敷地がすごい、と。 学園内には公園、デパート、映画館等が設置されている。つまり、ゼフィーリアとはひとつの学園都市なのである。どこもかしこも学生だらけ。学生では無いとするならば、教師や店の店主やらだ。 もう一人はこう言う。 人数だ、と。 ゼフィーリア学園は一学年を数えると千は超える。だから、全員が集まることはほとんど無い。それに組み分け制度があり、同じ高校といえども学ぶものが違えばもちろん校舎も変わってくる。だから自分がどこの校舎で、どこの組かは春休みが終わる一週間前には絶対に届く。教師も全員の顔が把握できているか?と問えば全員が顔を横に振るだろう。 最後の一人はこう言った。 規則だ、と。 ゼフィーリア高校は自由な高校として有名だ。中学生からバイトはできるし、もし家庭内の事情があるなら小学生からでも可能だ。そして、何事にも自分に責任を持て、というのがこの学校の校訓であり、それを生徒が実践するためにある程度のことはほとんどが許されている。 他にもきっといろいろとあるだろうが、大体の生徒はこの三つのうちのどれかを上げるだろう。 これが、ゼフィーリア学園立派な高校であるがための理由である。 「あー、最悪ぅ。一番上の教室じゃん!!」 4月。新しい春が来てクラス替えの季節。 6階にある1−Aクラスで一人の少女が愚痴をこぼす。 少女の名はリナ・インバース。 ある一部では有名な名前だ。もちろん、良くもあり、悪くもあり…だが。 「へぇ…今年も君と同じクラスか」 と、リナの隣に座ったのはラルク・アルカナル。 年齢、おそらくリナと同じくらい。性別、おそらく…いや、不明。 胸は無い。だが顔は・・・男とも女ともとれる、綺麗であることにかわりの無い顔。身長はリナより高い。声はアルト。 「ほんと、こうも一緒だと嫌になるわね。9年間も連続で」 「そうかい?僕は、それなりに君と一緒だと楽しいけどね」 と、会話をする二人にはときおり、教室の隅で話す女子や男子の声が聞こえてくる。 「きゃー、ラルクさんよっ!?私、同じクラスになれただけで幸せ…」 「おい、あそこにいるのラルクさんじゃないか?うっわぁ、遠くから見たときも綺麗だなって思ったけど、間近だとマジ可愛いし綺麗だな…」 ラルクは演劇部に入っている。演劇部はゼフィーリア学園では入るのがとても難しい部類に入る部活である。そして、その演劇部は全国に通じるほどのすごい部活なのだ。ラルクはその中で一、二を争うほどの有名な女優?いや、役者だ。 「あのー、外野が煩いんだけど」 「ほっとけ。おっかけは毎日のようにあるから疲れてるんだよ」 と言うラルクの顔は平然そうな顔をしているが、9年も付き合ったリナから見れば目から読み取れる微かな疲れがわかった。 「大変なのねー…」 「君にわかるほど、僕の心は見やすくはないよ」 「なんか、ムカツク言い方」 「どうも。君にわかってもらおうとは思ってないから」 「…」 横目でラルクを睨むがラルクは知らん顔。 こんな会話をしているが、二人はとっても仲が良い。 ラルクはラルクでリナに対して冷たい口調で接していると他人には思われがちだが、ラルクはリナに対しては好感を少なくとも持っている。 リナもラルクに対しても同じだ。 「で?あんたなんか用なの?わざわざあたしの隣に座るなんて…」 「うん、これを渡そうと思ってね」 と言ってラルクから渡されたものは紙袋。 「何これ?」 「まぁ、中を見てみなよ」 がさごそと中を見てみると中には本が何冊か入っており、その本のすべてが錬金術やら魔法等の本であった。 「うわぁ、すっごーい。よくこんなにも集められたわねー」 「知り合いがそういう本を集めててね。いらなくなったから、と言われて貰ったんだよ。その本はもう、全部読んだから君にあげるよ」 「え?読みきったって…」 すっとリナの目の前に扇が出される。 「え?え?ちょっと待って・・・」 「紅蓮よ、舞え」 ボゥッと扇の上に炎が拡がる。 パクパクと口を動かすリナを見て、ラルクは涼しげな笑みを浮かべ 「わかった?」 「は、はい…」 この人のこと少し苦手かも、とリナは思った。 扇をしまうとラルクはふぅ、とため息を吐くと 「じゃあ、それだけだから。もう行くよ」 「え?あんた、授業は?」 「この高校は授業を受けるも受けないも個人の自由だろう?」 そう、自由だだからといってリナが許すはずも無く 「そんなこと、校長が許そうともこのリナちゃんが許さないわ!」 今にも背景に火がつきそうな勢いでリナは言うがラルクの反応は 「あ、そう」 と意外にもあっさりしたもので、リナのほうが呆気に取られてしまった。 ラルクはリナの隣にあらためて座りなおす。 「は?あんた、何してんの?」 「何って・・・」 ラルクはリナの方をチラッと一回見ると 「これから授業なんだろう?」 「え?」 ぽかん、とするリナに向かって、ラルクはフッと笑うと鞄から用具を取り出す。 その様子を見て、少しの不満を感じながら机に肘を突いた。 「リナさーん」 「あ、アメリア」 教室の後ろのほうにある扉から隣のクラスのアメリアが顔を出す。 「リナさん、一緒に帰りましょう!」 「今行く!」 鞄を急いで背負うと扉へと走る。 「リナ」 「え?なにラルク?」 「忘れ物」 と、言って手渡されるのは筆箱。 ラルクは少し呆れ顔で 「まったく、君はいつまでたっても子どもだな」 「あとで取りに行こうとしたのよ!」 リナがそう反発すると、ふぅんと言って 「じゃ、先に失礼するよ」 ラルクは先に教室から出て行く。 「うわぁ、今の綺麗な人誰ですか!?」 アメリアはそう言ってラルクの去っていった方向を見る。 「あー、アメリアは知らないのか…」 「綺麗でしたよねぇ…。今の人」 「うぅん…。まぁ、綺麗っていえば綺麗だけど…」 「で、誰なんですか?」 「すぐにわかるわよ」 「はぁ…」 リナの曖昧な答えにアメリアは不思議そうにリナを見る。 が、急に何かを思い出したのか目を輝かせて 「そういえばリナさん!最近新しいクレープ屋さんが出来たんですよ!今から行きませんか?」 「いいわねぇ。なんかちょうどお腹も空いてきたし…。行こっか!」 二人そろって笑うと 『もちろん、男子には内緒(です)よね!』 パチンっと手を合わせるとにへら、と笑う。 「よくわかってんじゃない」 「もちろんですって。こういうのは女の子の特権ですもん!」 「じゃ、行きましょっか!」 元気に声を上げて、二人そろって校舎を出て行くのだった。 「あれー?ゼル、リナは?」 「いない。アメリアもだ」 そう言ってから二人はため息を吐く。 運悪く二人ともアメリアとリナのいる校舎から離れてしまい、授業が終わり次第急いで来たのだが、残念なことに遅すぎたようだ。 「二人だけのときって大体悪いことが起きるんだよなぁ」 「あぁ、しかも絶対に周りの人が巻き込まれるしな…」 はぁ、と今までのことを思い出して苦労した覚えしかないことを知り、またため息を吐いた。 ガウリイはぽん、と手を打って 「台風みたいだな」 と、笑った。 それにゼルガディスは言い返そうとし、それがうまく二人に合ってることに気づき 「お、ガウリイにしてはたまにはうまいことを言うな」 「おいおい…」 ガウリイは恨むようにしてゼルガディスを見るが、当の本人はと言うとそんなガウリイの視線に気づくことも無くため息をまた吐いた。 「けど、今回だけはなにも起きないといいんだが…」 そのゼルガディスの呟きにガウリイは苦笑し 「無理だろ」 と言った。 それにゼルガディスも苦笑して 「無理だな」 言った。 その彼らが言うとおり、彼女たちは騒ぎを起こすのだが…。 彼らが知るのはまだ先のこととなる。 ******* 懺悔室 ラルク(以下ラ)「まったく君は…」 志亜(以下し)「うぅ、すみません…」 ラ「最初から長編をやるなんて…何を考えてるんだ!?」 し「わひゃあ!?すみません、すみません、許してください!」 ラ「…こうも世話を焼かせる君は僕にとって未知の生き物だよ…」 し「あ、友人にもよく言われます。UFOから来たんじゃないの?って」 ラ「けなし言葉だぞ?」 し「わかってますって。僕にとっては全てが誉め言葉に変わります」 ラ「…刹那を彩る夢を引き裂け…」 し「わひゃあ!?絶風雅《ぜつふうが》はやめてくださいよ!」 ラ「…次は無いと思え」 し「は、はい…。えーと、ではまず自己紹介を志亜(しあ)です。 で、こちらがラルク」 ラ「ラルク・アルカナル。それ以上は語る必要は…無いな」 し「…で、いきなりの長編です。果たして読んでくださる人はいるのでしょうか?」 ラ「お前次第だな」 し「…えーっと、とにかくお返事やら質問やら貰うと一応僕、喜ぶんで。 昼間に何気に大声で文化祭の練習しちゃいますよ!」 ラ「それは毎日やれ」 し「え?近所迷惑じゃないですか」 ラ「ならやるな」 し「…と、とにかく今回はこれで許してください…」 ラ「…まぁまぁ、かな」 し「え?」 ラ「だけど、詰めが甘い」 し「えぇぇぇええ!?」 ラ「刹那を彩る夢を切り裂け…喰らえ!絶風雅!!」 し「うわー、飛んじゃったよぅ!?」 ラ「そのまま鳥になるがいい!!」 し「それじゃあ、さよーならー」 《絶風雅》巨大な竜巻を起こし自分の周りにあるものを全て吹き飛ばす大技。ラルクの得意技でもある。 |
17191 | 星の本・2 | 志亜 | 2005/8/13 16:18:27 |
記事番号17184へのコメント クレープ屋さんに向かう道。 そいつらは突然に襲ってきた。 もちろん、理由は知らないが、襲ってきたほうが悪い。 リナとアメリアの二人にそいつらは瞬時に悪と判断される。 「正義の名のもとにこの、アメリア!!あなたたちを悪から救って見せるわー」 と何やらアメリアは正義がなんたるかを語り始め、気がつけば 「じゃすてぃーす、パーンチ!!」 と相手に殴りこみ。 あぁ、もう気がすんだのか・・・。と思いきや、今度は 「さぁ、正義がどういうことかわかった!?」 また語り始める。 どうやらさっきのはわかりやすくするためにやったらしい。 殴られたやつはかわいそうだけど・・・。 まぁ、あっちのほうが悪いことには変わりないし。 「正義を愛す力さえあれば、どんな困難にだって・・・」 「アメリア」 「なんですか!?リナさん、今とっても・・・」 いいところ、と言いかけて、リナを見て、瞬時に顔を青くさせるアメリア。 正確には、リナの手にあるものを見て、だが。 リナはにっこりと笑う。目だけは笑うことができなかったが。 「じゃあ、一緒に飛びなさい。 ・・・火炎球!!」 ずどんっ!と鈍い爆発音が道に響き渡る。 それと共に、アメリアたちが空を飛んでいく。通行人が周りにいなくて良かった。と、思いながらも通行人がいてもやる自分の性格を思い出し、今日は運が良かったことにしよう、と心に決める。 どべしゃ、と落ちてきたアメリアを見て、リナは頷く。 「うんうん、今日も良く飛んだわね」 「良くありません!!」 ぴょん、とアメリアは地面から跳ね上がると 「もう少しで私の正義に心を打たれて一緒に正義の活動をやってくれるようになったかもしれないのに・・・。ひどいです!!」 「あら、ごめんなさいー」 「思いっきり棒読みです」 アメリアがリナを睨むと、睨まれたリナは「あ、そうだ!」と手をぽん、と打ち。 「クレープ屋さんに行かないといけないのよねー」 じゃ、と手を上げるとダッシュで逃げる。 「何言ってんですか!?今から二人で行く予定じゃないですか!!言い逃れなんで正義じゃありませんよ!!」 どんどんと小さくなっていくリナの後姿を追って、アメリアも走った。 これが、話の始まりだとも気づかずに・・・。 「あれ?本日ジャズ日和のため休みます・・・。なによこれぇー!?」 「どうしたんですか?」 リナは何も言わず、そのクレープ屋の扉に張られた一枚の紙を指した。 「えぇー!?そんなぁ、楽しみにしてたのにぃ・・・」 「ほんと、ジャズ日和により・・・ってふざけた内容で店を休むんじゃないっての!!」 あぁー!!と二人して悔しがってしゃがみこむ。その二人の様子に、道を歩く人々は知らず知らずの間に二人に対して距離をおく。そんなことに二人は気づくことなく、ただクレープが食べれなくなった、という思いをどうして晴らそうかと考えるばかり。そんな二人に影が差す。 「何をしてるんだい?そんなお店の前で・・・」 「ラルク!?」 顔を上げれば、そこには黒いフードをすっぽりかぶったラルクがいた。 ラルクは驚くリナを見て、人差し指を口元に持っていく。 静かにしろ、という合図だ。あわてて口を塞ぐ、がリナのラルク、という言葉を聴けた人はいないらしく、少し変な人を見るようにして、道を歩く人々はその場を立ち去っていく。 「え?誰ですか?その人・・・」 「アメリア、教室で会ったでしょうが」 「あ!?」と小さく声を上げてアメリアが今度は驚く。 「リナさん、今ラルクって・・・」 恐る恐る、アメリアが聞いてくる。それにリナはラルクのほうを見るが、ラルクはリナが見ていることに気づくと、見返した。 つまりその意味は、リナに任せる。 リナは小さく舌を打つと 「彼女はラルク・アルカナル。この学園で演劇を好きな人なら必ずその演技に虜になると言われるほどの演技派の役者ね」 その説明にアメリアは口を大きく開け、その口をとっさにリナが手で閉じさせる。 「静かにして」 そう耳元で言うと、アメリアは顔を白くさせて何度も頷く。 そういえば、息止めてるんだっけ。と思って急いで手をどかす。 はぁ、と盛大に息を吐くと、そのまま一、二回深呼吸をして 「ひどいです!死ぬかと思いました!!」 小さな声で言う。 リナはそれに顔に冷や汗を浮かべながら 「いやー、ごめんごめん」 と謝る。それに、アメリアがさらに何かを言おうとして口を開けるがそれよりも早く 「こんなところで何をしてるんだ?」 と、ラルクに問われ、リナとアメリアは顔を見合わせる。 「実は・・・」 と、事情を話して、少しの沈黙。 どうせ、呆れてるんだろうな、と思ったリナはラルクの顔を見て、自分の予想が外れていないことを知る。 ラルクはため息を吐くとクレープ屋の反対側の道へと歩いていく。 「リナ、と…アメリアだったかな。おいで」 もう一度リナとアメリアは顔を見合わせ、 「ちょっと、待ってよ!!」 「待ってください!!」 ラルクの後を追って走っていく。 無言で歩くラルクの後ろで、二人は話す。 「リナさん、どうしてこんなすごい人と知り合いなんです?」 「いや、だって、ずっと同じクラスだったし・・・」 「え?そうなんですか?」 と驚くアメリアにリナは説明する。 「ほら、あんた小・中はずっと戦士学科だったじゃない」 戦士学科 魔法以外での戦い方を身につけるための学科。 この他にも魔法学科。錬金術学科。魔戦士学科。医療学科。などたくさんの種類の学科がある。 リナとアメリアは年に一度ある全学科総トーナメント戦によって知り合ったのだ。 「だけどさ、ラルクとあたしは魔法学科でねー。何の偶然かいつも同じクラスなのよ」 「いいなぁ・・・。私、戦士学科から移動してきたからまだ友達できてないんですよ。リナさんと一緒が良かったなぁ」 「うーん、でもラルクと一緒になると大変よ?ラルクってば・・・」 「着いたよ」 と、ラルクは二人を振り返る。 そのラルクの後ろには小さな洒落たカフェ。 それを見たアメリアははしゃいでいろいろと動き回る。 「わぁ、すっごくかわいい・・・」 「中に入ろう」 ラルクがそう言うと、アメリアは、はっとしてラルクの後に急いで入る。 中はガラスのテーブル、椅子で透明感があふれた造りになっていた。 まるでどこかの絵本の中に入ってしまったかのよう・・・。 「ご注文は?」 ウェイターが恭しく一礼をすると、にっこりと笑ってそう言った。 「え?え?・・・」 「あ、じゃあ・・・」 焦るアメリアに、元気良く言おうとするリナ。 その二人を制して 「エスプレッソを。二人とも紅茶でいいね?」 「レモンでね」 「私は、ミルクがいいです」 「じゃあそれを。あと『例のもの』を三つ・・・」 「三つですね。かしこまりました」 ラルクの『例のもの』という言葉にリナとアメリアは頭に?マークを浮かべる。ラルクに聞くと 「くればわかるよ」 と、涼しげな微笑みの一点張り。 仕方なく待っていると先ほどのウェイターが銀のお盆を持ってやってくる。 テーブルにエスプレッソ、レモンティー、ミルクティーを置くと、それを真ん中に置いた。 「『例のもの』です」 星型のケーキにさくらんぼ、苺などの果物がのっていて上から白い砂糖の粉がかかっていた。 それを見てラルクはウェイターに 「今日は何のスポンジ?」 「蜂蜜入りです。僕もさっき味見ましたけどおいしかったよ。ラルクも食べてみればわかるって」 その会話に何かの違和感を覚え、そしてその正体に気づくとアメリアは「あー!」と声を上げる。 「何よ?」 といらついた様子でリナがアメリアを見る。 フォークを持っているところを見ると、食べようとしたところをアメリアによって邪魔されたらしい。けど、そんなことにアメリアは気づかずウェイターを指差して 「今、この人ラルクって・・・」 「なんだ、そんなこと・・・」 と、リナは言ってケーキを食べようとして、もう一度ウェイターの男性を見る。 「あああー!?」 「どうも、リナ」 と、手を上げる。 「ウェル!?」 ウェル、とリナに呼ばれたウェイターはアメリアを見ると 「はじめまして。僕は、ウェル。ラルクの友達で、リナとはクラスメイトだったんだよ」 今は戦士学科の方に行ってるけど、と付け加える。 「ラルクさんの友達・・・?」 「そう・・・」 ラルクはウェルをぐぃっと近くに引き寄せると 「ウェルは・・・。 僕の恋人」 「えぇぇえええええ!?」 大声でアメリアは叫ぶ。 一方で、ウェルは顔が真っ赤になり、リナはフォークを床に落としている。 「・・・冗談だよ」 ぱっとウェルを離すと、ラルクは笑って言った。 「え?えぇ!?」 「へ、変な冗談言わないでよ!?フォーク落としちゃったじゃない!!」 「・・・」 「ほら、ウェルも固まってる!」 リナは怒っているが、いつものように魔法は飛ばない。 フォークを拾うと固まるウェルの手に置いて、代わりの自分専用フォークを取り出す。 その様子に少しびっくりしながらもアメリアもリナに促されケーキを食べる。 とてもおいしいケーキ。 だけど、こんな雰囲気ではなんか食べにくい・・・。 その言葉をのどの奥へと飲み込むと、 アメリアは紅茶を一口飲む。 ******* 志亜(以下し)「オーマイガー!!ガウリイもゼルガディスも出てない!?」 ラルク(以下ラ)「出てきたのは、また君のオリジナルキャラだしね」 し「ラルクは確かにオリジナルキャラですが・・・。ウェルもそうだけど、ね・・・」 ラ「はぁ・・・話を本当にどうするつもりなのかな。君は」 し「粉骨砕身で頑張ります!!」 ラ「で、本当に砕けちゃうんだからね・・・。君の場合は」 し「返す言葉もありません・・・」 ラ「じゃあ、反省したならいい。問題は次をどうするかだからな」 し「はい!じゃあ、今回はこれで!」 ラ「・・・ふぅ」 |
17201 | 星の本・3 | 志亜 | 2005/8/26 12:32:59 |
記事番号17191へのコメント 「そういえば、最近さ」 とウェルが話し出したのは、彼が固まってから十分後。 それまではみんな黙々と食事をすすめていた。 普通ならありえない光景だが、この状況ならしょうがないと思う。 「人格がいきなり変わるとかいう事件があるらしいねー」 「はぁ?」 呆れ顔のリナが本日四つ目のケーキをパクつきながら 「それってただたんにその人が二重人格だったってオチじゃないの?」 「だったら事件にならないよ」 と、苦笑してウェルが答える。 「じゃあ、誰か怪我でも?」 「うーん、まぁ、そんな感じかなぁ」 という曖昧な答えにアメリアは?マークを頭に浮かべる。 「ウェル。適切じゃないな。その言葉」 と、指摘したのはラルク。ラルクはエスプレッソを一口の飲み 「人格が変わるのではなくて、自分以外の意思に体を操られる、ということだろう?」 「あ、それそれ」 でもさー、とウェルは続ける。 「自分以外の意思って言っても、その意思は少なくとも自分が作ったものだから、その意思も自分の意思に入ると思うんだよねー」 「ウェルの説明はともかく・・・。そんな事件があったんだ?」 知ってた、アメリア?と聞かれ、頭を横に振る。 「知りませんでした。でも、どうしてそんな事件が?」 その問いにアメリア以外の三人は無言で顔を見合わせた。 「…知ってる?」 「いや・・・。でも、もしかしたらなぁ」 とリナとウェルはラルクを見る。 「それよりも、その事件をどうするかが問題だろう?」 「まぁ、そうだけど・・・」 「だけどさ、これはどうにもならないよ」 と、ウェルがため息を吐いて言う。 「何でですか?」 「だって、これは個人の意思の問題だし・・・。こっちがいくら頑張ってもその人の意思が最後には決め手になるから・・・」 そのウェルの意見にラルクとリナは頷く。 「でもさ、やっぱやれるだけやってみたら?」 というリナの客観的な意見。 このままいけば彼女はきっとこの事件の解決に手を貸さないだろう。 「ねぇ、リナ。ここのケーキ、200個で手を打たないか?」 「え?」 ケーキ200個。とんでもない数だ。ケーキ200個はおいしい。おいしすぎる。 「あとさ、ここのマスターが味見役の子がほしいって言ってるんだけど・・・。ちゃんとアルバイト代も出すって言ってるし・・・」 「乗った。その話、乗った!!」 テーブルに身を乗り出して答えるリナにウェルは苦笑する。 「い、いいんですか?そんな約束・・・」 「いいよ。これくらい」 「僕の給料の十分の一にもならないからね」 と、ウェルとラルクは答える。 「それにたまにはスリルが欲しいし・・・」 「それだったら、地獄でも行ってみる?片道しかないけど」 「遠慮しときます・・・」 ウェルはそう言うと、リナにケーキを持ってくると言って厨房に入る。 「じゃあ、僕はここら辺で失礼するよ。これから舞台の稽古があるから・・・」 「あ、そう。頑張ってねー」 と、手をひらひらと振るリナにラルクは 「食べ過ぎて動けないとか言うなよ?そうなったら・・・」 と、ポケットから扇を見せる。 「わかってるわよ。ほどほどにしておく」 「なら、構わないけど」 ラルクは扉を押そうとして、ふと振り返り 「君は・・・気をつけたほうがいい。心の隙に敵が入り込むかもしれないよ」 そう言って、出て行く。 「心の隙?」 「あー、ラルクは心配性だから。あんま気にしなくてもいいよ」 「そうですか?」 「うーん、でも・・・。気をつけておけっていってたのよね?」 「はい。でも、何に…」 「まぁ、気をつけておいたら。一応」 とリナは言い切ると、ウェルが持ってきたケーキを順番に食べ始める。 「あれ?ラルク、帰っちゃったのか・・・」 「えぇ・・・」 「どうかした?あ、もしかしてラルクに何か言われた?」 コクン、とアメリアが頷くと 「だったら、その言葉どおりにしといたほうがいいよ。ラルクの勘ってよくあたるんだ」 「そうですか・・・」 「なんだったら、占いやってく?」 「え?」 「占い。これでも小・中と魔法学科だったからね」 「あー、あんたはそれだけ上手かったわねー」 「うるさいな。いいだろ、別に。 で。やる?」 と、微笑みながら言われ、アメリアは頷いた。 「じゃあ、この水を持っててくれないか?」 と渡されたのは銀色の食器。中の水が光に反射して壁にまだらの絵を描く。 「じゃあ、今から僕の言うことをよく聞いといて。それが、これから起こることだから」 と言うと、すっとウェルの顔が真剣そうになる。 「過去を見る鏡よ。今、水の流れによって時を逆さまに変え、その起こるべきことを映せ。そして、予言を我に与えよ」 周りの空気が冷機を帯びる。 部屋が薄暗くなったように思えた。 食器に映るウェルの藍色の目がうっすらと赤くなっていく。 そして、水が揺れる。何重にも揺れ、水面に波ができる。 「・・・影だ」 ウェルの声はいつもより低い声。 「過去の思い出。憎しみ、悲しみ、絶望、全ての負の感情が人の形を持つ。それは、君だ。しかし、今の君じゃない。昔の君だ。闇が空を覆う。けど・・・」 ガシャン、と食器が割れて、言葉がかき消される。 「・・・あーあ。壊れちゃった」 いつもの声の調子に戻ったウェルがそう言った。 「仕方ないわよ。普通の食器でやるんだから」 後ろでまだケーキを食べ続けるリナが壊れた食器を見ながら言った。 「ごめんねー」 といって、ウェルはアメリアから壊れた皿を受けとる。 「あの、さっきの言葉・・・」 「あ、聞いても無駄よ、アメリア。こいつ、占い中のことを覚えてないんだから」 「えぇ!?」 ははっとウェルは笑って 「占い中は他の意思に支配されてるから覚えてないんだ」 と答える。 「でも、大丈夫。これ、外れたことないから」 と自信満々のウェルの言葉に思い出す、あの時言われた言葉。 不吉な予言だ。 気をつけないといけない。 そのラルクが言う意味がわかった。 たぶん、私は 何かに狙われてる。 ****** 志亜(以下し)「今回も出てこない男性人たち」 ラルク(以下ラ)「・・・4人だしね。今回も」 し「・・・けど、大丈夫です!次にはきっと登場します!!」 ラ「きっと・・・?」 し「い、いえ!絶対です!!」 ラ「なら、いいよ。せいぜい頑張ったら?」 し「はい、頑張らせていただきます!ってことで、今回はこの辺で!」 ラ「読んでる人がいたらこんな駄文をよんでくれてありがとう。じゃ、これで」 |