◆−五大魔族と五人の部下達in降魔戦争−紫堂 遙陽 (2005/12/4 10:38:55) No.17416 ┣第三十一夜:フィアナの背理−紫堂 遙陽 (2005/12/4 10:44:03) No.17417 ┗第三十二夜:思い出す事など−紫堂 遙陽 (2005/12/8 13:52:23) No.17424 ┗Re:第三十二夜:思い出す事など−青月かなた (2005/12/11 20:43:08) No.17426
17416 | 五大魔族と五人の部下達in降魔戦争 | 紫堂 遙陽 | 2005/12/4 10:38:55 |
物事を突き詰めて考えれば、大体は否定的な方向に落ち着くものです。 どうせいつか死んでしまうのに頑張ってしまうのは、何故でしょう。 強さゆえでしょうか。それとも、愚かさゆえでしょうか。 なんにしろ、何かを頑張れるひとは、しあわせです。 終わらなければ、始まらないものがあります。 諦めなければ、手に入らないものがあります。 もし、それが既に壊れていたとしても… それは、大切な宝物。 |
17417 | 第三十一夜:フィアナの背理 | 紫堂 遙陽 | 2005/12/4 10:44:03 |
記事番号17416へのコメント 二人の患者がいました。 一人は病気を治そうと、身体にいいおいしくないものを食べて後は寝ていました。 一人はどうせ死ぬならと、大好きなおいしいものを食べて後は旅行に出掛けました。 二人は間も無く病気で死んでしまいました。 客観的に見てどちらが病人の態度としてより適切かは言うまでも無い。 が、それと同時にどちらがより幸せだったかもまた言うまでも無いだろう。 人間には生存権があるがそれは所詮権利であって義務ではなく、幸福追求権もまた同義。 結局の所それは個人の問題では無いかというお話でした。 それはともかくとして。 「君の性格ってさ、以前より難解になってない?」 「そうか?気の所為だろ」 フィアナはプラスチックの引き金を引く。 ぱこん、と間抜けな音を立ててコルク栓がセルロイドの人形に当たった。 「そうだよ。別行動、なんてさ。スクルド怒ってたよ。 そりゃ、君から見れば神官将軍レベルなんて雑魚もいートコ、足手纏いなのかもしれないけど」 「そこまで思ってない。それにそこまで弱く無いだろ、奴等は」 フィアナは軽く首を傾げる様な仕草をフィブリゾに見せて、射的屋の主人から人形を受け取ると、それを抱いて歩き出す。 歩幅の関係で、小走りで後を追うフィブリゾ。 「まぁね。 …でも、君の口からそういう言葉を聞くとは思わなかったよ」 「ん?」 心外だ、と言う様に肩を竦めるフィアナ。 「強いは弱い、弱いは強い…だろう、フィブリゾ。魔族には解らないかも知れないが」 絶対的な強さは、時に弱点にしか成り得ない。 だから弱者に対しても気を抜くな…そういう考え方は、魔族には存在しないのだ。 弱者に対して全力で挑みかかるのは、魔族にとっては自己否定。命を落とすことにもなる。 「そこらへん、ポジティヴなんだかネガティヴなんだかよくわからんよな。 世界ごと滅びたいっつーたらかなりネガティヴっぽいけど、自己否定しないっつーのはかなりポジティヴだよな」 フィアナ=ルートヴィッヒは小さく息を付いた。 死神の血族に名を連ねる、その最高峰とも言うべき彼女。 普通の神が数百年を掛けて辿り着く地位に、社会的に蔑視される立場にも関わらず十五年少しで上り詰めた才能は、間違いなく本物だ。 彼女は多大なる犠牲を払って力を手に入れ、しかし結果的に一番欲しいものは手に入らず、護りたいものを護ることができなかった。 …そんなシリアスな人生(人では無いが)を送ってきた癖に、普段はまるで脳ミソすかぷーな性格なのが謎。 しかもそれは装っているだけなのか、はたまた地なのかもさっぱり解らない。 彼女自身も解っていないのでは無かろうかとフィブリゾは思っている。 だけど―――彼女に関して言える事実。 彼女は、自分自身を嫌っている。 「フィアナは自己否定のカタマリだよね」 「そういう貴方はカマタリだね」 「なんで僕が大化の改新しなくちゃならないのさ」 何処の国だ、ここは。 フィアナは笑う。 「冗談はさて置いて…まぁ、確かに今でも自分は嫌いだよ。 元々死に損なったみたいな感じだし、生きているべきでは無いとも思うし」 「じゃ、なんで生きてるの?」 その言葉は、余りにも自然に口にされる。 純粋な疑問。 人間の会話なら大問題に発展する台詞だが、如何せんフィアナもフィブリゾも人間では無い。 「アセルトが私を好きだと言うから」 フィアナは少し誇らしげに微笑んだ。 「誰かが自分のことを大切に思ってくれてる…って考えるだけで、結構生きていけるもんだよ…」 「…………」 フィブリゾを見詰める、翡翠の瞳。 だけど、その視線はフィブリゾを見ていない。 何処か突き抜けて…遠くを見ている瞳。 透き通って…深すぎて、底が見えない。 ああ、この瞳だ、とフィブリゾは思う。 ライアナが、地獄の淵で見詰めた瞳。 彼女はその時、何を想ったのだろうか。 「…そういうものかな。僕にはわからないよ」 「貴方が解ったらそれはそれで問題じゃないのか、こういうの。 大体、他の存在の考えを一から百までまるっとそのまま完璧に理解できる方がどうかと思うぞ。 一番迷惑なのは理解して無いのに理解したつもりになる種類の奴だけど… まぁ、アセルトみたいに鈍いくらいが丁度いい」 「ふーむ…」 って、今何気にさらっと酷いことを言いませんでしたか奥様。 思わずフィアナの顔を見上げるフィブリゾ。 いつもと変わらない、整った顔。 だけれど、その時、角度の所為か―――フィアナは、何処か寂しそうに見えた。 「…………」 「うにゅ?どうした?」 「フィアナ」 「にょ?」 フィブリゾは少し間を置く。 そして、少し気になっていたことを告げた。 「もしかして、上手く行ってない?」 「っ!」 フィアナは、さっき露店で買ったジュースを噴き出しかけた。 なんとか持ちこたえ、しかし二、三度咳き込む。 すぐに顔を挙げ、 「まさかっ!」 と叫んだ。 …怪しかった。 フィブリゾは遠い目で言葉を続ける。 「…いつ戻ってきてもいーんだからね。 神族飼ってるって、ちょっとカッコいーし」 「…勝手なこと言わんでくれ…それに飼ってるって…」 「フィアナ、神界で魔族の捕虜さんの面倒見るひとのこと、何て言ってた?」 「………… 魔族飼いって言ってたな」 「ね?」 所詮異種族さぁ、とフィブリゾは笑った。 フィアナの表情がますます暗くなった。 フィブリゾは本日何度目かになる溜息を付く。 「…どうでもいいけどさ。 僕、フィアナがそんな表情する様になったのって、いい傾向だと思うよ」 「え?」 「フィアナ、昔はいつも笑ってた」 哀しくても。 辛くても。 傷ついても前を見て。 止まることなど許されず。 休むことなど想いもせず。 仔犬のような目をして――寂しそうに、笑っていた。 「――だから、表情に出るのはいい傾向」 「…貴方…」 フィアナは目を丸くして…少し黙って、少し笑った。 「…よく私のこと見てるな…私のこと好きだったのか、もしかして?」 「フィアナが僕のこと好きなくらいには」 「ふうん」 「…………」 流された。 というか、かなりお寒い反応だった。 まぁ一応夫のいる身となれば当然の反応ではあるのだが、フィアナが冗談に乗ってこないのは珍しい。 余程気分が沈んでいるのかも知れない。 それは、命を狙われている者からすれば当たり前のことだが。 「フィアナ」 「フィブリゾ」 フィアナは…珍しく、フィブリゾの顔を見ずに、ぽつりと呟いた。 呟く様に、声に出した。 「…貴方にも、アセルトにも悪いけど… 私、やっぱり死ぬこと自体は怖くない」 「…………」 「ごめん、フィブリゾ。 正直な所、私は」 フィアナは溜息を付く。 何処か、遠い目で。 遠くを見ている目で。 「アークロンドに殺されても、構わない」 一瞬、二瞬…沈黙が広がる。 先に折れたのは…先に口を開いたのは、フィブリゾだった。 「…うん。フィアナがそう思うんじゃないかってことは、考えてた」 スクルドはフィアナ参戦のムードに何やら盛り上がっていたが、それを想定しないのは想像力が足りない。 フィアナ自身がライアナの復活を望む可能性…余程の楽天家でも無い限り、憂慮しない者はいないだろう。 過去の縁と妹愛しさに負けて、あっさりアークロンドに味方してしまうかもしれない――という予想はあったのだ。 そしてフィアナがそれを決断してしまえば、もうそれを止める術は無い。 フィアナは過度の合目主義者だ。それは神界の社会全体に言えることではあるのだが。 フィアナにとって、自分の目的、信念と引き換えにして良いものなど、一個小宇宙でもまだ足るまい。 増して今回相手が望んでいるのはフィアナ自身の魂。 フィアナ自身の感情としては、なんだその程度、無価値なものの筆頭、むしろ望むところ、である。 二千年前の彼女なら、迷わず生存権を放棄していただろう。 だけど。 今は。 「フィアナがいなくなったら、どっかの誰かが悲しむと思うよ取り敢えず」 「貴方の慰め方は中途半端だ」 特に『どっかの誰か』『取り敢えず』の辺りが。 フィアナは小さく苦笑する。 「でも」 一旦言葉を切って…そして、その苦笑が、柔らかな微笑に変わった。 「ありがとう」 「…………」 「どうした?」 じっとフィアナの顔を見るフィブリゾ。 不審を感じて首を傾げるフィアナ。 「…やっぱりフィアナ、変わったね」 「例えば?」 「表情が増えたのは勿論だけど… 二人称が『貴方』になってたりして」 「ああ…幼い頃、母上に教えられたんだ…」 「へぇ?」 「困ったときはハダカの上にエプロンを着て夫を出迎え、しなだれかかって『お帰りなさいア・ナ・タv』と言う」 「…………」 「そうすれば大抵の夫婦間のトラブルは解決すると」 「…………実行したの?ソレ」 「一度だけ」 「…………」 詳しく経緯を聞きたい気もしたが、やめておいた方が懸命な気もした。 しかしつくづくタダ者では無い、ダイアナ=ルートヴィヒ。 自分で自分のことをどう思っていたのか知りたいところだ。 「それはいいとしてさぁ、フィアナ」 「ん?」 「なんで僕達、まっすぐ進んでるのに同じ所を二度も通るの?」 何かの祭りなのだろうか、左右に並ぶ屋台。 同じ人間が経営する同じ店の前を、二回通った。 フィアナは立ち止まる。 少し考え、 「そういう風土じゃないかな」 「そんな馬鹿な」 「解ってる。冗談」 「君は嘘つきだね」 「そういう貴方は餅つきだね」 「そうそう、こう杵を持ってぺったんぺったん…ってどないやねんっ!」 思わずヘンな言葉でノリ突っ込んでしまった。 フィアナはフィブリゾの反応を気に留めることもなく(業界用語で『流す』と言う)、再びてくてく歩き始める。 それを見送るフィブリゾ。 数分後、フィアナはフィブリゾの背後からやってきた。 「うーん」 「何か解った?フィアナ」 「きっと新手のトレーニングマシーンだ」 「ンな訳あるかい!」 確かに、歩いても歩いても同じ場所なのはちょっと似ているかもしれないが。 「いい加減にして頂戴!あんた五秒しか真面目にできない病気なのかっ!」 「その台詞、どっかで聞いたな…ちぇー、つまらん奴。 ばーかばーか、フィブリゾなんか嫌いだー」 子供かあんたは。 フィアナはぷくーっと頬を膨らませ…溜息を付く。 いきなり道の横手へ向かうと、手を挙げ、何かを探るような仕草を見せる。 しかし当然というか、フィアナの手の先には何も無い。 見た目、フィアナがパントマイムでも披露しているかの様だ。 フィブリゾがなんとなくその動きを見守っていると、 ゴッ。 「…ごっ?」 何も無い筈の空間から、いきなり音がした。 フィアナは、何かをぐいぐい引っ張るような仕草をしている。 もう一方の手を掴んだ先の空間に翳し、 「おーでぃなりぃー」 何故か棒読みだった。 しかし、効果は覿面で…フィアナの少し前方の空間に、それは現れた。 深いビリジアンの髪。 一見能天気そうに見える、一人の少女。 第七級神、リンディア。 フィアナは彼女の髪の毛をしっかり捕まえていた。 リンディアは髪の毛引っ張られて、苦笑いをしている。 頭を押さえている所から見て、先程の音はフィアナがリンディアを殴った音らしい。 「フィブリゾ、透過薬の存在は知ってるか?」 「…見たことはないけどね… …へぇ、道理で精神世界探っても反応が無い訳だ」 物質世界にいたのなら、精神世界をいくら探っても反応は無い。 姿を隠すなら精神世界、という先入観があるフィブリゾは、そこにごまかされた訳だ。 …フィアナは…今あっさり彼女を見つけ出したことから見ても、既に看破していたのだろうが… …何故フィブリゾと一緒に騙された振りをしていたのかは謎だ。 「えへへ」 するりとフィアナの手を逃れるリンディア。 その笑顔は、何処か…猫を連想させる。 鼠を嬲る猫に表情があったら、こんな顔をしているだろう…というか――― 可愛いだけに、可愛くない。 リンディアは、びしっとフィアナに向けて指をつきつけ、 「ふふっ、さすがにやるわね!」 ほめられた。 …いや、ほめられてどうする。 「この次はこうは行かないわよ! フィアナ、覚えておきな―――」 「逃がすわけねぇだろうが」 「ぐえ!」 背を見せて逃げていこうとした所で、フィアナが襟首を掴んだ。 首が絞まった様で、女の子らしからぬ悲鳴を上げるリンディア。 なんとなく遠い目で二人を見守るフィブリゾ。 フィアナの言動が個性的なのは今に始まったことでは無いとして―――リンディア。 なんというか…読めない娘だ。 前回邂逅した時の雰囲気とは、まるで違う空気を纏っている。 性格がいいのか悪いのか、強いのか弱いのか、アタマがいいのか悪いのかさえさっぱり読めやしない。 …いや…それとも…。 フィブリゾは、ある可能性を思い浮かべ… そして、すぐにそれを打ち消した。 そんなことは、どうでもいい。 今重要なのは… 「ちくしょー!殺さば殺せー!」 「…お前、何しに来たん」 いきなりだが、フィアナは女性にしては身長の高い方だ。 加えての美貌で、全体的にまるでモデルさんの様な雰囲気になっている。 逆にリンディアは、お世辞にも背が高いとは言えない。 ぶっちゃけ低い。 可愛い顔ではあるのだが、それは所詮可愛い止まりで背も低い…全体的にまるでお子様の様な雰囲気である。 頭一つ分高いフィアナに襟首掴まれて吊るされ、わたわたもがくリンディア。 フィアナの声も、自然呆れた様なものになる。 しかしそのフィアナの声で、リンディアはようやく自己を取り戻したらしかった。 黙ったまま再びフィアナの手から逃れ、すとんと地面に降りる。 すたすたと歩いてフィアナから三メートルくらい離れて腕を組み、 「…しばらくぶりね。逢いたかったわ、フィアナ」 「…………」 「…………」 どうやらさっきまでの出来事は無かったこととして処理されるらしかった。 反応に困るフィブリゾだが、 「…ああ」 フィアナはシリアスな感じに頷いてみせる。 どうやら向こうの意図に乗ることにしたようである。 まぁ、ここでリンディアの不手際を指摘しまくった所で得るものは何も無い為異論は無い。 フィブリゾも緩んだ顔を引き締める。 リンディアは、ふぅ、と息を付いた。 「えーと。取り敢えず色々めんどくさいんで、適当に省略しまくったいい加減な説明するわね」 「…………」 「…………」 すごく聞きたくない。 脱力するフィブリゾとフィアナ。 しかしリンディアは至って素の様だった。 「えーと…あのねぇ」 リンディアは少し顔を顰めながら、ポケットをごそごそやりつつ、フィアナに歩み寄る。 …先程、何の為に離れたのやら。 「ん?」 心なしか身を乗り出すようにするフィアナ。 リンディアは彼女の目前に立つ。 そして、ポケットから黒い直方体の物体を取り出し、フィアナの腹に押し当てた。 ばずん! 小さな爆発音。 フィアナは硬直して…びくん、と一瞬遅れて痙攣を見せた。 リンディアは気怠そうな口調で続けた。 「取り敢えず、殺戮ってみましょうか」 いーわけあんどいーのがれ。 えーと、何て言いますか、ぶっちゃけ私は自分の生に意味を見出すことができない人間です。 神魔ン時からそうだったんですが、最近余計その傾向が強くなってきたっぽいですね。 でも若い内は人間虚無的なもんってよく言われてますから、もしかしたらその内抜け出せるかも。 取り敢えずそれまで死なんよーに頑張ってみます。 そういうこと言ってるとよく生を説かれたりするんですけど、別に私もフィアナもすげぇ死にたがってる訳じゃないです。 『生に意味を見出せない』額面そのまんまの意味だったりします。 生きててもいいけど別に死んでもいいよー、的な感じですか。 楽しいことはあるし、嬉しいことはあるし、したいことはあるけど、それをするのは別に私じゃなくてもいいんですよねー。 ここに座ってこの小説を書いてるのは別に私じゃなくても良いんだから、私がここにいる意味は無いってことです。 死ぬ理由は無い。その代わり生きる理由も無い。ですか。 どーでもいい…あー、そんな感じかも。どーでもいいんです。 ちょっと話は戻るんですが、そういう訳でなんか生を説かれる機会が多いです。 ですけど、どう頑張っても皆さん生きてる限りは生と死のかたっぽ側しか知らない訳で、意見もかたっぽ側で安全圏。 飢えた人間におなかいっぱいの人間が宗教論議、パンのみに生きるにあらず…って、それは殴られても文句言えんだろって感じです。 世の中には心底から生きるのを嫌がってる奴がいる。生きるのを至上絶対の価値とか思ってる奴の言葉は、死にたい彼女には届きません。 でもそもそも人間っつーのは余裕があってこそ他人に優しくできる生き物だそうです。心温まるお話ですね。 さて次回、死にたい彼女の戦闘開始。 彼女の前には脅しも痛みも意味は無い。 だって彼女、そもそも生きたいとか思ってないんだから。 批判するのは勝手だけれど、案外認めてあげるだけで、彼女は微笑んでくれるかも。 請わないご期待また次回っ! 幕。 |
17424 | 第三十二夜:思い出す事など | 紫堂 遙陽 | 2005/12/8 13:52:23 |
記事番号17416へのコメント 鈍い爆発音が起こってなお、フィブリゾは反応しなかった。 というより、反応できなかったとした方が正確かもしれない。 何が起こったのか自体、彼は全く理解できなかったのだ。 通常…というのは魔族社会における『通常』だが、何か強い力が解放される際には、何らかの前フリがある。 術者の唱える呪文、手振り身振り…それらは術者の格が上がるごとに小さく、解り難くなっていく。 しかしもしそれが無くても、術者の身体を核とした魔力反応の渦、波動の高まりなどが観測できる場合がほとんどだ。 ところがリンディアは、先程のフィアナもそうだったが、予備動作も何も全く無しでいきなり力を作動させたのである。 これが――神族の技術なのだろうか。 発動前に相手の技を潰すという手法が大半を占める魔族たちにとって、それは正直な所脅威だ。 だが…今は、遠くの脅威より目先の驚異である。 「フィアナ」 フィブリゾは思考を断ち切り、力の作用点であるフィアナに視線を移す。 フィアナも、全く反応を見せていなかった。 というか、全ての反応をリンディアによって奪われた。 硬直。 そして、それに遅れて…びくん、と大きくその身を仰け反らせると、そのまま仰向けに倒れた。 ぷすぷすと立ち上る黒煙。 空気中に漂う、不快な匂い。 フィアナは時々身体を痙攣させていたが、それは彼女の意思とは無関係なものであるらしかった。 よく見ると、服があちこち焼け焦げている様に見える。 リンディアは黙って、そんな彼女を見下ろしていた。 少しの間の後…フィアナは痙攣を残しつつも地面に手を突いて、起き上がろうと試みる。 上手く行かない。 何度かの試行の末、ようやく立ち上がることに成功した。 見た目に、膝がかくかくと震えている。 「…の…やろっ…! 血ィ…沸騰したぞ…っ!」 「意識を失わないのは流石なんでしょぉねぇ」 ぱち、ぱち、ぱち… 間延びした感じに、リンディアの拍手が響く。 彼女の表情には、驚きも、憐憫も、感嘆も…何も含まれていなかった。 先程フィアナとじゃれ合った時の表情、そのままだった。 「普通なら、脳神経に障害起こすくらいの電流なんだけど」 その『普通』というのが人間における『普通』でないことは今更説明するべくも無い。 フィアナは、少しずつ痙攣を収めていきながら…それでも少し辛そうに、小さく笑う。 「そんなん…いきなり、かますか…普通…」 「貴女に『フツー』とか『ジョーシキ』について語らせたく無いわよ。 それに、フィアナなら大丈夫ーっていう信頼の上でのことよ」 「信頼な…友情ってすばらしい…ありがたく…てっ、涙が出る」 つっかえつっかえ紡ぐ言葉の最後の部分だけは本音であろう。 服の焼け焦げた部分を手で叩くフィアナ。 ぽりぽろと黒い灰が落ち、柔肌が露になる。 腕や肩が剥き出しになってなかなかいい眺めだが、じろじろ見るのも不躾なので避けておこう。 フィアナは、顔面の筋肉がようやく正常に作動し始めたらしかった。 にこっと笑う。 「腹立つわー」 「嬉しいわ」 笑い返すリンディア。 「全くこのチビは。美意識ってもんが無いのか、いきなりスタンガンとは」 「あはは、美意識だったら充分よ、私がこんなにぷりちーなの見たら解るでしょ?」 「本人の美意識と外見は関係無いだろ。あーやだやだ、身長が短いと思考まで短絡的で」 「本当よねぇ。無駄にデカくなっちゃう奴の気がしれないわー」 「うーん。でも、無駄に身長高い奴ってのは大体心優しい素敵な奴って相場が決まってるからな。 何処かの身長低い性格の悪い奴は大変よね、同情しちゃうなー」 「やだわー、同情なんかしないでよー。 あんたなんかに同情されてるとか考えたらうっかり自殺とかしたくなっちゃうじゃなーい」 「それは素敵だ、良かったら手伝ってやろうか? 私は前々からお前がいなくなってくれたらどんなに幸せだろうと考えていたんだよ」 「…あのさー」 フィブリゾが口を挟む。 二人の視線が、揃って彼を向いた。 「…なんなの、君たち」 呆れたような、彼の口調。 二人は、それぞれ口元を笑みの形に歪める。 そして、声さえも揃え、こう言った。 『―――仲良しよ』 そして二人は全く同時にそれぞれ後ろに跳んだ。 フィアナの動きはやはりいつもより遅い。 が、一般常識的な速度から考えると、それでも随分速い。 神の思考回路を破砕させるだけの電圧を一度に受けてなおここまで動けるのは、やはりフィアナだからだろうか。 『フィアナだから』。 どんな理屈より、どんな理論より遥かに雄弁な論理。 『ルートヴィッヒのハイエンド』――― 『死に涙する乙女』――― 『裁く罪人』フィアナ=ルートヴィッヒ。 世界で最も、無垢なる咎人。 そしてそれに相対する彼女。 フィブリゾは…なんとなく、理解していた。 リンディアが、フィアナやライアナと仲良くできた理由。 国を挙げて嫌われていたとも言うべき二人と交友を持つことは、口で言う程やさしくないのだ。 教えて、あげよう。 死神が迫害されていた、本当の理由。 疎まれ忌み嫌われ、神としての権利を剥奪された、真の理由。 不吉な任務への恐怖心? それもあるかもしれない。 高額の報酬に対する嫉妬? それもあるだろう。 赤の竜神の捨て駒政策の影響? ああ…それは、実に優秀な解答だ。 けれど、本当はもっと根本的な問題。 何より――― 死神と呼ばれた血族は、明らかに他とは違っていた。 明らかに、優れていた。 美しかった。 饒舌だった。 強かった。 いわば――『普通』じゃなかった。 『強いは弱い、弱いは強い』――か―― フィブリゾは、心の中で呟いた。 つい先程、フィアナが唇に乗せた言葉。 フィブリゾには理解できないと言った言葉。 確かに――フィブリゾには、理解できない。 『違うこと』が当たり前の…魔族には。 物理的な強さなど、全く意味を成さない時があるのだ。 『普通』――『常識』。 最も弱い…だけど…いや、だからこそ最も強いもの。 それは時に、最も破壊的な、最悪の有する暴力となる。 これが普通です常識です―――たったそれだけ―――それだけの陳腐な理論で、世の中何をしたって構わないのだから。 『普通』など、大多数の総称。 『常識』など、大多数の自己正当化理論。 そこから外れたものを切り捨てる為の、史上最悪の暴力。 そして彼等は弾圧された。 大多数の『普通』の前に、優れているのに…優れているからこそ、屈服、したのだ。 あいつらは普通じゃないから常識で考えて存在してはいけないと思います何が悪いんですか私たちは普通です。 心の底から素敵な神経だ、それは。 「心温まる話だよな、全く…どいつもこいつも…」 古傷が疼いて、フィアナは笑った。 「同情してやろうとか、思い上がるな… 優しくしてやろうとか、護ってやるとか、付け上がるなっつーの…気持ち悪い…」 嫌われるのは、慣れている。 むしろ好かれる方が、慣れていない。 失うことにも、慣れてはいるけれど―― だけど――やっぱり、自己を否定されるのは少し寂しくて。 ただ、いつも…ほんの少しだけ、認めてもらいたいだけなのに。 ああ。 でも。 それは…高望みが、過ぎるかな。 それでは、行きますか。 「始めます」 フィアナは、歌う様に…そう言った。 翡翠の瞳が、碧く輝いて。 お互いがお互いに…手を翳す。 「………ん?」 二人のやりとりを半ばぼーっと眺めていたフィブリゾはふと、我に返った。 何かが変だ。 何かを忘れている。 何かがいつもと違う。 何だ? そうか… いつもより雑音が、多いんだ。 フィアナとリンディアを、皆好奇の視線で見詰めて―― 「ってちょっと待てぇ!」 「フィアフルフレア!」 フィブリゾの叫びは間に合わなかった。 ――ここは物質世界で普通に道の往来で何の結界も張ってません―― フィアナの呪文により生じた閃光爆音その他色々なものが、フィブリゾの声を周囲で見物していた人間もろとも吹き飛ばす。 …あーあーあーあーあー。 フィブリゾは、自分も少し吹っ飛ばされつつ(←無気力の為避け損ねた奴)、心の中で呻いていた。 リンディアはまだしも、フィアナまで。 どうやらお互い、お互い以外の存在はアウト・オブ・眼中らしい。 恐るべし過去の因縁。 一瞬現実逃避しかけるフィブリゾだが、着地してなんとか気を取り直す。 周囲の様子を確認するが…まぁ、なんというか…地獄絵図であった。 「…えーと…」 漂ってくる負の感情をちょっぴり齧りつつ、自分のすべきことを考えてみたりして。 …と。 ―――我は誓う、汝、理に背く者なれば、我、汝を久遠の闇へと封ぜん――― 爆音の狭間を縫って聞こえてくる詠唱。 リンディアの声。 続いて何かが弾ける様な音と共に、一瞬闇の様なものが周りを取り巻き、消える。 そしてまた聞こえ始める詠唱。 呪文の乱打合戦らしい。 迷惑な話である。 本来フィアナとリンディアが衝突した場合、移動速度、詠唱速度共にフィアナの方が圧倒的に上… 確認したことは無いが、フィアナが第四級でリンディアが第七級だったことから考えて、力自体の強さもフィアナの方が上だろう。 しかし今、フィアナの身体には先程の電圧のダメージが残っている筈。 詠唱速度はともかく、移動速度や本来の力に大きく制限がある筈だ。 フィブリゾはなんとかフィアナを見付けようとするのだが、辺りは未だフィアナ本人の放った精神力の炎に彩られ、一メートル先をマトモに視認することさえ困難な状況。 しかしリンディアは、適当に呪文を打っているので無い限りこの状況の中でフィアナの存在位置を的確に把握していることになる。 やはり、物質世界空間上存在認識能力では神族が強いか。 フィブリゾは自らの視点を物質世界から精神世界へと切り替えた。 二人がそれぞれ放つ精神波の影響でかなりぼやけた視界だが、物質世界サイドの視点よりは大分マシな様だ。 それにしても。 フィブリゾは溜息を付いた。 炎のカーテンの奥に感じられる、リンディアの波動。 上がり下がりの余り感じられない…平坦な波動。 今、彼女を動かしているものは、一体何なのだろうか。 フィブリゾは、先程達した結論を、頭の中で反芻する。 ―――フィアナとリンディアが、上手くやっていけた理由―――。 自らも敬遠される危険を孕みながらの友情…と言えば聞こえはいいが、そんなものでも決して無いだろう。 リンディアは、姉妹以外の神とも、それなりに付き合いがあったのだから。 何故そうすることができたのか。 優しいから… では、無い。 彼女は、何も持っていないからだ。 信念も、意思も、覚悟も、何も持っていない。 その場しのぎの成り行き任せ。 だから、誰とでも付き合える。 誰ともでも仲良くできる。 からっぽ、なのだ。 それが――あの社会体制の中での、彼女の生き方。 背徳を選んだフィアナ。 従属を選んだライアナ。 心酔を選んだゼーランディア。 共生を選んだアークロンド。 そして――何も選ばなかった、リンディア。 なんとなくの彼女。 かつて運命を、ライアナは選択肢の様なものだと語った。 生きていく内で、いくつも分岐点ができている様に見えても…実際のところ、選べるものはひとつな筈。 それこそが『運命』なのだ…と。 選択肢を選んでいく、その道筋が運命なのだとしたら…リンディアは、何も選ばなかったのである。 「『選ばない』という選択肢を選ぶ…ちょっとアンチ的でいいかもね」 フィブリゾは静かに一人、呟いた。 いーわけあんどいーのがれ。 えー、私はそーゆー方面について真剣にも適当にも勉強してないんで、こういうこと言うのは適当な感じがしてアレなんですけど。 人間は…というか生き物というのは、他者に自分と同じことをさせたがる傾向があるらしいです。 自分と同じことをさせたがって、自分と同じことを考えさせたがってみたりして…外れてる奴がいたら変だとかおかしいとか言う訳です。 日本では『より早くより大きな声を上げて相手を非難した方が勝ち』というわけのわからん法則があるんですが、でもよく考えてみれば批判っていうのは知的作業の中では随分楽な方に入るんでないかい、とか思ってみたりして。 ぶっちゃけ非難とか批判とかいうのは相手を理解できない認められない心の狭さの表れとも言えるんであって、それなら何を言われても笑って聞いている方がよっぽどエライ気がします。 まぁ、そんなことを私程度が言ったところで、世の中なんともならないんですが…でも、そういう考え方もあるんだということを解っていたら、少しだけ他人に優しくできるかも。 だけど、誰とでも仲良くできるひとは誰とも親しくなれません。 また次回、邂逅できることを願って、挨拶とします。 幕。 |
17426 | Re:第三十二夜:思い出す事など | 青月かなた | 2005/12/11 20:43:08 |
記事番号17424へのコメント こんにちは、青月です。前回今回を読んでたとえ少々目が点になろーと旦那さんのところに強制送還された方がフィアナさんの生存率は上がりそうだ、とりあえず。とか思ってしまいつつレスします。 >「…の…やろっ…! > 血ィ…沸騰したぞ…っ!」 >「意識を失わないのは流石なんでしょぉねぇ」 >間延びした感じに、リンディアの拍手が響く。 >彼女の表情には、驚きも、憐憫も、感嘆も…何も含まれていなかった。 >先程フィアナとじゃれ合った時の表情、そのままだった。 これもこれで怖いなぁ…と思います。 >「信頼な…友情ってすばらしい…ありがたく…てっ、涙が出る」 >つっかえつっかえ紡ぐ言葉の最後の部分だけは本音であろう。 >服の焼け焦げた部分を手で叩くフィアナ。 >ぽりぽろと黒い灰が落ち、柔肌が露になる。 >腕や肩が剥き出しになってなかなかいい眺めだが、じろじろ見るのも不躾なので避けておこう。 不躾というより悲惨な目にあっているような… >フィアナは、顔面の筋肉がようやく正常に作動し始めたらしかった。 >にこっと笑う。 >「腹立つわー」 >「嬉しいわ」 >笑い返すリンディア。 想像してみると、逃げたくなるくらい怖いような。 >「全くこのチビは。美意識ってもんが無いのか、いきなりスタンガンとは」 >「あはは、美意識だったら充分よ、私がこんなにぷりちーなの見たら解るでしょ?」 >「本人の美意識と外見は関係無いだろ。あーやだやだ、身長が短いと思考まで短絡的で」 魔族さんと違いますしねぇ。 >「本当よねぇ。駄にデカくなっちゃう奴の気がしれないわー」 >「うーん。でも、無駄に身長高い奴ってのは大体心優しい素敵な奴って相場が決まってるからな。 > 何処かの身長低い性格の悪い奴は大変よね、同情しちゃうなー」 気は優しくて力持ち?(笑) >「やだわー、同情なんかしないでよー。 > あんたなんかに同情されてるとか考えたらうっかり自殺とかしたくなっちゃうじゃなーい」 >「それは素敵だ、良かったら手伝ってやろうか? > 私は前々からお前がいなくなってくれたらどんなに幸せだろうと考えていたんだよ」 神族は自殺できないって言ってましたからこれってすっごい軽口なわけですよねー。スタンガンぶちこんだ後だと思うと怖くてしょうがない感じです。 >「…あのさー」 >フィブリゾが口を挟む。 >二人の視線が、揃って彼を向いた。 >「…なんなの、君たち」 >呆れたような、彼の口調。 私も是非お聞きしたい。 >二人は、それぞれ口元を笑みの形に歪める。 >そして、声さえも揃え、こう言った。 >『―――仲良しよ』 仲良し………(汗) >『フィアナだから』。 >どんな理屈より、どんな理論より遥かに雄弁な論理。 >『ルートヴィッヒのハイエンド』――― >『死に涙する乙女』――― >『裁く罪人』フィアナ=ルートヴィッヒ。 残酷な論理ですねぇ。 >国を挙げて嫌われていたとも言うべき二人と交友を持つことは、口で言う程やさしくないのだ。 でしょうねぇ。 >死神と呼ばれた血族は、明らかに他とは違っていた。 >明らかに、優れていた。 >美しかった。 >饒舌だった。 >強かった。 >いわば――『普通』じゃなかった。 人間…いえまぁ神様なワケですが…普通って誰が定義できるのか、私にはわかりません。人はこんなにも違うのに。 >『強いは弱い、弱いは強い』――か―― >フィブリゾには理解できないと言った言葉。 >確かに――フィブリゾには、理解できない。 >『違うこと』が当たり前の…魔族には。 >物理的な強さなど、全く意味を成さない時があるのだ。 魔族ってある意味さっぱりしてますよねぇ。 >『普通』――『常識』。 >最も弱い…だけど…いや、だからこそ最も強いもの。 >それは時に、最も破壊的な、最悪の有する暴力となる。 >これが普通です常識です―――たったそれだけ―――それだけの陳腐な理論で、世の中何をしたって構わないのだから。 都合のいい台詞、なのかもしれませんね。 >『普通』など、大多数の総称。 >『常識』など、大多数の自己正当化理論。 >そこから外れたものを切り捨てる為の、史上最悪の暴力。 数の暴力… > そして彼等は弾圧された。 >大多数の『普通』の前に、優れているのに…優れているからこそ、屈服、したのだ。 >あいつらは普通じゃないから常識で考えて存在してはいけないと思います何が悪いんですか私たちは普通です。 >心の底から素敵な神経だ、それは。 うーむ…胸に悪いですねー。 >「同情してやろうとか、思い上がるな… > 優しくしてやろうとか、護ってやるとか、付け上がるなっつーの…気持ち悪い…」 >嫌われるのは、慣れている。 >むしろ好かれる方が、慣れていない。 根っから不幸なお方…(涙) >失うことにも、慣れてはいるけれど―― >だけど――やっぱり、自己を否定されるのは少し寂しくて。 >ただ、いつも…ほんの少しだけ、認めてもらいたいだけなのに。 >ああ。 >でも。 >それは…高望みが、過ぎるかな。 慣れたから、で痛みが消えるものではないような気がしてしまいます…。 >――ここは物質世界で普通に道の往来で何の結界も張ってません―― >どうやらお互い、お互い以外の存在はアウト・オブ・眼中らしい。 >恐るべし過去の因縁。 …五大神族の皆様って………色んな意味で周りの目を気にしていないように見えるの、私だけですか? >―――フィアナとリンディアが、上手くやっていけた理由―――。 >自らも敬遠される危険を孕みながらの友情…と言えば聞こえはいいが、そんなものでも決して無いだろう。 聞こえだけがいいものの中身って大抵中身がエグイ気が。 >リンディアは、姉妹以外の神とも、それなりに付き合いがあったのだから。 >何故そうすることができたのか。 >優しいから… >では、無い。 ごめんなさい、と謝罪しておきます。 馬鹿だからだと思ってました。 >その場しのぎの成り行き任せ。 >だから、誰とでも付き合える。 >誰ともでも仲良くできる。 >からっぽ、なのだ。 >それが――あの社会体制の中での、彼女の生き方。 >背徳を選んだフィアナ。 >従属を選んだライアナ。 >心酔を選んだゼーランディア。 >共生を選んだアークロンド。 誰が正しい、なんてないのでしょうねぇ。 >そして――何も選ばなかった、リンディア。 そうなんですか、からっぽだったのですか…危機感のない天然かと思ってました(苦笑)。 >なんとなくの彼女。 >かつて運命を、ライアナは選択肢の様なものだと語った。 >生きていく内で、いくつも分岐点ができている様に見えても…実際のところ、選べるものはひとつな筈。 >それこそが『運命』なのだ…と。 因は違えど果は同じ。 >選択肢を選んでいく、その道筋が運命なのだとしたら…リンディアは、何も選ばなかったのである。 >「『選ばない』という選択肢を選ぶ…ちょっとアンチ的でいいかもね」 たしかに。 >いーわけあんどいーのがれ。 > >えー、私はそーゆー方面について真剣にも適当にも勉強してないんで、こういうこと言うのは適当な感じがしてアレなんですけど。 >人間は…というか生き物というのは、他者に自分と同じことをさせたがる傾向があるらしいです。 そう言われてみればそういう場面もありますね。 >自分と同じことをさせたがって、自分と同じことを考えさせたがってみたりして…外れてる奴がいたら変だとかおかしいとか言う訳です。 人から外れた行為を見ても、それが明らかに害を与える行為でなければ面白いとかで済ませてもいいと思ってしまったりします私は。 >日本では『より早くより大きな声を上げて相手を非難した方が勝ち』というわけのわからん法則があるんですが、でもよく考えてみれば批判っていうのは知的作業の中では随分楽な方に入るんでないかい、とか思ってみたりして。 懐の広い人の方が器もデカイ気がしますねー。 >ぶっちゃけ非難とか批判とかいうのは相手を理解できない認められない心の狭さの表れとも言えるんであって、それなら何を言われても笑って聞いている方がよっぽどエライ気がします。 人の考え方は人それぞれですしね…。 >まぁ、そんなことを私程度が言ったところで、世の中なんともならないんですが…でも、そういう考え方もあるんだということを解っていたら、少しだけ他人に優しくできるかも。 何も言わないより行ったほうがなにかが変わると信じてます。 >だけど、誰とでも仲良くできるひとは誰とも親しくなれません。 八方美人? >また次回、邂逅できることを願って、挨拶とします。 では、好き勝手なレス失礼しました。またいつか。 |