◆−君がいるキセキ (時の旅人・新年編)−羅城 朱琉 (2006/1/6 08:17:03) No.17456 ┣語らぬ者たちのイノリ (時の旅人・新年編2)−羅城 朱琉 (2006/1/6 08:18:06) No.17457 ┃┗語らぬも一つの勇気−十叶 夕海 (2006/1/10 22:34:54) No.17459 ┃ ┗語り部さんの心情の裏事情(?)−羅城 朱琉 (2006/1/13 08:22:54) No.17465 ┗雰囲気がいいですね。−十叶 夕海 (2006/1/8 23:59:29) No.17458 ┗衝撃の新事実!?−羅城 朱琉 (2006/1/13 08:20:19) No.17464
17456 | 君がいるキセキ (時の旅人・新年編) | 羅城 朱琉 | 2006/1/6 08:17:03 |
皆様、新年あけましておめでとうございます!成人式を明後日に控えた羅城 朱琉です。 本年初投稿、ということで、今回は『時の旅人・新年編』です。本編は・・・・もう少しだけ待ってください。 では、早速ですが、どうぞ!今回は、一応ルピナス&アリエスで甘めものを入れたつもりですが・・・・羅城的には、これで精一杯です・・・・ 君がいるキセキ 〜時の旅人・新年編〜 『語り部』といえば、突然現れて何か言葉で驚かせる、そんな人。今のところ、その程度の認識でしかないが、あながち間違ってはいないと思う。 とある冬の日のことだった。久々に語り部が、ルピナスとアリエスの前に現れたのは・・・・ 「やあ、久しいね。元気だったかな?」 相も変らぬにこにこ顔で、白銀の吟遊詩人は言った。 「別段、行動に支障はありませんから、元気、と言うべきなのでしょうね。」 「相変わらずだねぇ、アリエス。嬉しいよ。・・・・ルピナスも、元気そうで何よりだ。」 アリエスは、無表情、と言うには少々苛立たしさを滲ませすぎた瞳で語り部を見やり、呟くような声で言った。 「何の用でしょう?私達はそこまで暇ではないのですよ。」 「まあまあ。・・・・君達、そろそろ何があるか知っているかな?」 アリエスとルピナスは、わけがわからないといった顔をする。それを見て、語り部はさも楽しそうに告げた。 「もうすぐ一年が終わり、新しい年が始まる。・・・・つまりは、もうすぐ正月、ってことさ。」 そして、語り部は柔らかに、しかし、有無を言わさぬ力強さで言った。 「皆で新年を祝おう。君達に、レンシェルマも呼んで、新しい『時』の始まりを祝おう!」 そう言えば、もうそんな時期だったか、と、ルピナスは思った。よくよく考えて見れば、アリエスと共に旅しているこの数年間は、とても『新年』などと言うものを意識していられるような状態ではなかったし、それ以前はそもそも記憶がない。ちらりと横を伺ってみれば、アリエスが難しい顔をして、何やらぶつぶつと呟いていた。耳を澄ませて聞いてみて・・・・ルピナスは苦笑に近い笑みを浮かべることとなった。 「新年・・・・正月・・・・遠い昔に、そんな言葉を聞いたことがあったようななかったような・・・・確か、年の初めの祝いをして仕事を休む期間・・・・1月の1日から7日まで、だったはず・・・・。ああ、そういえば昔、姉様とそんな祝いをしたような気も・・・・」 アリエスは、そもそも『正月』と言うものの存在すら忘れていたらしい。妙に真面目に呟くアリエスを微笑ましく思うと同時に・・・・時の経過のうちに喜ばしいはずの節目すら忘れてしまったアリエスの風情が、ルピナスにはとても寂しく映った。 だからなのかもしれない。唐突に語り部が持ちかけたこの企画に、ルピナスが一も二もなく賛同したのは。 * * * * * 語り部の瞬間移動で久々に帰ってきたブレードヴィレッジは、ようやくあの『封じられしモノ』の一件の痛手から立ち直ったようで、家々の窓の灯が散らばる中、『鍛冶の村』らしいキンコンカンという槌打つ音が遠く聞こえてくる。そんな中に、いつもとは少し違った人の行き来が見えて、ああ、これが新年の準備をしているということなのか、と、アリエスはぼんやりと思った。 「レンシェルマには、先に話を通してあるんだ。」 語り部がそう言って、軽やかに歩き出す。ブレードヴィレッジの村はずれ、少しだけ、森に入った場所。裏には山が迫り、槌打つ音の届かない、静かな一角。そこに、レンのいる神殿はある。どうやらレンは先に新年の支度を始めていたらしく、いつもの法衣の上から割烹着を着て、外で小物の埃を払っていた。 「レン・・・・」 アリエスが、遠慮がちに声を掛ける。レンは、手を休めて微笑んだ。 「アリエス、ルピナス・・・・おかえりなさい。」 ふたりは、「ただいま」と返した。 それからが大変だった。何だかんだ言って、神殿はかなり広い。途中、エア=シュナイダーが手伝いに来てくれたものの、掃除をするだけで2日ほどかかってしまった。その次は、語り部がどこからともなく持ってきた謎の料理のレシピを見ながら、新年に食べるという料理作り。曰く、そのメニューは『おせち料理』と言って、とある遠い国の伝統的な正月料理だと言う。そこまで難しい料理、と言うわけではなかったが、その分味付けがものを言う。何より、随分根気が要る調理法だ。『黒豆』とやらなど、完成までに1日以上かかった。 他にも、細かく挙げればきりがない。しかしまあ、あれこれ忙しく動いている分、時間がたつのは妙に早いもので。 気がつけば、大晦日の夜となっていたのだった。 * * * * * 吐き出す息が、白い。厚手のマントに包まっているとはいえ、冬の夜の冷気は小さな体を容易く冷やす・・・・のだろう。本来ならば。時の流れと切り離されたアリエスは、暑さ寒さもあまり感じない。感覚が鈍っているような、そんな感じだ。あまり料理が得意ではないのも、食に対する関心が薄いのも、味覚が鈍いのが大きな原因だろう。 最初は・・・・永劫の眠りから覚めたばかりのころは、そうでもなかったのだ。世界は、今よりずっとクリアに感じられていた。その後、年月を経るごとに、感覚は鈍っていく。・・・・その原因は、アリエス本人にもわからない。必要性の低い感覚から退化しているのではないか、と予想はしているが。(現に、視覚や聴覚、嗅覚はほとんど変わらないし、触覚もまだまだ大丈夫だ。)雲の隙間からこぼれる星明りを眺めながら、アリエスはまた一つ、白い息を吐いた。 「アリエス、こんな所にいたのね。」 「ルピナス・・・・」 『こんな所』というのも無理はあるまい。ここは、神殿の屋根の上。『浮遊(レビテーション)』でも使わないとこられない場所だ。 「ここ、寒くない?中に入ったほうがいいと思うけど。」 それは、純粋な気遣いから出た言葉。それはアリエスにもわかっている。しかし、アリエスはあえて皮肉に返した。 「体調を崩すことなんてありえないから、どこにいても同じでしょう?」 ルピナスが、僅かに苦笑したのを、アリエスは気配で感じ取った。ルピナスは屋根の上を危なげなく歩くと、アリエスの横に腰掛け、マントの前を合わせる。・・・・と、アリエスがマントの止め具を外し、ルピナスにマントを羽織らせた。ルピナスは、くすりと笑う。 「ふふふ・・・・本当は、かっこいい男の人がやってくれると、とっても絵になるんだけど。ありがとね、アリエス。」 「お礼なんていいよ。私、そもそもあまり寒暖を感じないから。・・・・ねえ、ルピナス。」 不意に、アリエスの視線がルピナスに向く。その視線はあまりにまっすぐで、あるいは外見年齢よりも幼くすら見える。その視線を受け止めて、ルピナスは「ん?」と首をかしげて微笑んだ。 「何で、新年を祝うのかな?それだけ、『死』に近づいているのに。普通の人にとって、『死』は悲しいことでしょう?」 「そうね〜・・・・それは・・・・」 ルピナスは少し考え込むと、ぽつりと言った。 「きっと、一人だったら祝えないと思うな。」 アリエスは首を傾げる。ルピナスは、少しだけ真剣な表情で言った。 「多分だけど・・・・一人だったら、それこそ時間が過ぎていっても、全然嬉しくない・・・・むしろ寂しいよ。でも、誰か、大切な人と一緒なら・・・・その人と一緒にいられるのが嬉しくて、その人と、また1年一緒に歩んでいけるのが嬉しくて・・・・それで、次の年が始まる節目に、お祝いするんじゃないのかな?」 そこまで言って、ルピナスはアリエスを抱き寄せた。アリエスは、きょとんとしたままされるがままになっている。 「私は、アリエスと一緒に新年を祝えるのが嬉しいな。」 そう言って目を閉じ、ルピナスはアリエスの体の温もりを感じた。と、アリエスが僅かに身じろぎする。何かと思って薄目を開けると、アリエスは僅かに体を捩らせ、ルピナスに体を寄せてきた。 「・・・・そうだとしたら、『正月』も、捨てたものじゃないかも。」 アリエスが微笑んでいる。めったにない、綺麗な微笑みで。それはかつて知った過去のアリエスのように、明るい太陽のような微笑ではないけれど、闇の中全てを優しく照らし、眠りと言う名の癒しを与える月のような微笑で。 そうして、二人は目を閉じて、しばらくの間、ただ寄り添っていた。 と。 「あ・・・・」 ルピナスが声を上げた。アリエスが目を開くと・・・・ルピナスの周りに薔薇色の光が集まっていた。それは、一瞬ルピナスを包み込むと、すぐさま闇に溶け消える。そこにいたのは、先ほどまでの『ルピナス』と似て異なる、もう一人のルピナス。『ルピナス=セレス=ヴァリード』の名を持つ青年。日が改まったのだ。 「年が、明けたみたいだ。」 ルピナスは、小さく呟いた。・・・・・・・・呟いて後、気付いた。女だった時そのままに、アリエスを抱き寄せていることに。 「うわァっ!!!!ご、ごめんアリエス!!」 ルピナスは思いっきり謝り倒しながら、冷えた自分の手を自らの頬に当てた。きっと、今自分の顔は真っ赤だろう。と、小さな笑い声が聞こえた。見ると、アリエスがクスクスと笑っている。 「そんなに慌てなくてもいいのに、ルピナスったら。」 ぽかんとアリエスを見ていると、アリエスが目の端に浮かんだ涙を拭い、顔を上げる。 そして、柔らかな笑顔で言うのだ。 「あけましておめでとう、ルピナス。今年もよろしくお願いしますね。」 だからルピナスも、まだ走る鼓動をなだめながら言う。 「こちらこそ。あけましておめでとう、アリエス。今年も、よろしく。」 アリエスが、右手を差し出した。ルピナスが、それを握る。固くかわされた握手は、明らかに『仲間』に対するもので、それだけが少し、ルピナスには残念だったけれど、この手の温もりがここにあるという、それだけでいいと、今は素直に思えるのだ。 「あ、雪・・・・」 握手したまま、アリエスは天を仰いだ。闇の中降り始めた六花がアリエスの髪を飾っていく。ルピナスはそれを、眩しそうに眺めていた。 全ての人たちへ、あけましておめでとう。 新しい一年に不安がないわけじゃない。でも、思うのだ。 ただ、『一人じゃない』と思うだけで。ただ、あなたがそこにいるだけで。それだけで、『今年も大丈夫』と思える。何があっても、何が起こっても。 それって、まるで奇跡みたいじゃない? だから、伝えたい。全ての人に、この言葉を。 「あけましておめでとう。今年もよろしく」 君がいるキセキ 完 あとがき 改めまして、こんにちは。どうだったでしょうか?恋愛系が大の苦手の私にとっては、これが限界です・・・・。 ちなみに、その時のレン&語り部の様子は、続けて投稿の『語らぬ者たちのイノリ』に書いていますので、合わせてご覧下さい。 それでは、今回はこの辺で。今年も、どうかよろしくお願いします。 |
17457 | 語らぬ者たちのイノリ (時の旅人・新年編2) | 羅城 朱琉 | 2006/1/6 08:18:06 |
記事番号17456へのコメント (上の話の裏で、レンと語り部が何をしていたか、という話です) 語らぬ者たちのイノリ 〜時の旅人・新年編2〜 外にちらちらと雪が降り始めた頃。語り部とレンは差し向かいで酒を酌み交わしていた。とは言っても、二人ともそうグビグビと飲む性質ではないので、話をしながら少しずつ、だが。 「雪が降ってきたねぇ。・・・・新しい年も始まった。レンシェルマ、『あけましておめでとう』。」 「あけましておめでとうございます。・・・・一つ、質問してもよろしいでしょうか?」 「何だい?」 杯を置き、語り部がレンを見つめる。レンは、静かに問うた。 「なぜ、突然『新年を祝おう』などと言い出したのですか?あなた様が、年月が改まることに特別な意味を感じているとは思えませんが・・・・」 語り部は、少し困ったように微笑んだ。 「まあ、そうだね。でも、何だろう・・・・?そうだねぇ・・・・もう随分前の話になるけど、『ルシル=グラディウス』がこうして新年を祝ったことがあったんだ。」 レンは、「ルシル・・・・」と、口の中で呟いた。それが語り部の偽名の一つであることも、レンは知っている。語り部は続けた。 「あの時は、この世界も本当に大変でね。そんな中、新年を祝う時間はない!・・・・って言う人もいたんだけど、かえって新年を祝ってからのほうが、いろんなことがうまくいったんだ。偶然かもしれないけど・・・・って、僕が言う科白じゃないけどね。」 小さく笑って語り部は一旦話を切った。窓の外で降りしきる雪は、既に地面をうっすらと白く染めている。雪は、別名を六花ともいう。その小さな結晶が、6枚の花びらを持つ花のようだからだ。美しく、可愛らしく、無垢な小花。その雪と同じ色を纏うのに、語り部は雪のようではいられない。当たり前ではあるのだが、語り部は時々、なぜ自分が白銀を纏うのか不思議になるのだ。 つらつらとそんなことを考えながら、口は話の続きを紡ぐ。 「大変なときこそ、祝いは必要だと思うよ。闇の中に光があってこそ、気力も湧くものだろうからね。だから、これは、僕の祈りの形。これから訪れる新たな時が、少しでも彼らに優しくあるように・・・・。」 そうして、語り部は杯を傾ける。酔えないことはわかっているのだが、それでも今日は飲みたい心境なのだ。半分瞳を閉じながら、即興で詩を紡ぐ。 「花よ 花よ 真白き六花 悲しい心に 降り注げ 花よ 花よ 無垢なる六花 痛み抱いて 降り積もれ 傷ついた心 癒すために 落ちる涙を 留めるために そして六花よ 優しき花よ 春の光に 溶けて還れ 痛みと共に 天へと還れ」 レンは、何も言わない。語り部も、詠うだけで、何も語らない。 ただ、そこには静かな祈りが満ちていた。 どうか、今、雪にうたれている彼らにとって、今年がいい年でありますように。 どうか、全ての人にとって、今年がいい年でありますように。 これは、一つのイノリの形。 だから、この言葉を送ろう。 「あけましておめでとう。今年が君にとって、いい年でありますように・・・・」 |
17459 | 語らぬも一つの勇気 | 十叶 夕海 | 2006/1/10 22:34:54 |
記事番号17457へのコメント > (上の話の裏で、レンと語り部が何をしていたか、という話です) ユア;了解しました。 久遠;じゃ、レス行く? ユア;行きましょ。 > > 外にちらちらと雪が降り始めた頃。語り部とレンは差し向かいで酒を酌み交わしていた。とは言っても、二人ともそうグビグビと飲む性質ではないので、話をしながら少しずつ、だが。 ユア;その方がいいですよ。 久遠;お酒を楽しむ為ならね。 ユア;ちなみに、牛乳飲めない人への簡単睡眠法(二十歳以上) ホットワインでぐっすりです。 久遠:・・って言う風に楽しむもヨシよね。 >「雪が降ってきたねぇ。・・・・新しい年も始まった。レンシェルマ、『あけましておめでとう』。」 >「あけましておめでとうございます。・・・・一つ、質問してもよろしいでしょうか?」 >「何だい?」 > 杯を置き、語り部がレンを見つめる。レンは、静かに問うた。 >「なぜ、突然『新年を祝おう』などと言い出したのですか?あなた様が、年月が改まることに特別な意味を感じているとは思えませんが・・・・」 > 語り部は、少し困ったように微笑んだ。 >「まあ、そうだね。でも、何だろう・・・・?そうだねぇ・・・・もう随分前の話になるけど、『ルシル=グラディウス』がこうして新年を祝ったことがあったんだ。」 > レンは、「ルシル・・・・」と、口の中で呟いた。それが語り部の偽名の一つであることも、レンは知っている。語り部は続けた。 >「あの時は、この世界も本当に大変でね。そんな中、新年を祝う時間はない!・・・・って言う人もいたんだけど、かえって新年を祝ってからのほうが、いろんなことがうまくいったんだ。偶然かもしれないけど・・・・って、僕が言う科白じゃないけどね。」 久遠;余裕の無いときこそ、些細な事を。 ユア;はいはいはいはい。 アンニュイにならない。 久遠;語り部ちゃん、そういうトコ本当に好きよ。 > つらつらとそんなことを考えながら、口は話の続きを紡ぐ。 >「大変なときこそ、祝いは必要だと思うよ。闇の中に光があってこそ、気力も湧くものだろうからね。だから、これは、僕の祈りの形。これから訪れる新たな時が、少しでも彼らに優しくあるように・・・・。」 > そうして、語り部は杯を傾ける。酔えないことはわかっているのだが、それでも今日は飲みたい心境なのだ。半分瞳を閉じながら、即興で詩を紡ぐ。 >「花よ 花よ 真白き六花 > 悲しい心に 降り注げ > 花よ 花よ 無垢なる六花 > 痛み抱いて 降り積もれ > 傷ついた心 癒すために > 落ちる涙を 留めるために > そして六花よ 優しき花よ > 春の光に 溶けて還れ > 痛みと共に 天へと還れ」 > レンは、何も言わない。語り部も、詠うだけで、何も語らない。 > ただ、そこには静かな祈りが満ちていた。 > ユア;・・・・・・・・・・・・。 久遠;え?語り部ちゃんがすごくカッコイイ? ・・・言葉話なさいな。 ユア;それでは。 久遠;朱琉ちゃんにとってもいい年でありますように。 二人;では、また。 |
17465 | 語り部さんの心情の裏事情(?) | 羅城 朱琉 | 2006/1/13 08:22:54 |
記事番号17459へのコメント > >> (上の話の裏で、レンと語り部が何をしていたか、という話です) > > >ユア;了解しました。 >久遠;じゃ、レス行く? >ユア;行きましょ。 朱琉:はい、では、返レスです。 > >> >> 外にちらちらと雪が降り始めた頃。語り部とレンは差し向かいで酒を酌み交わしていた。とは言っても、二人ともそうグビグビと飲む性質ではないので、話をしながら少しずつ、だが。 > >ユア;その方がいいですよ。 >久遠;お酒を楽しむ為ならね。 >ユア;ちなみに、牛乳飲めない人への簡単睡眠法(二十歳以上) > ホットワインでぐっすりです。 >久遠:・・って言う風に楽しむもヨシよね。 朱琉:あまりグビグビ飲むのは、酒豪でも危険ですから。 アミイ:急性アル中とか? 朱琉:それもありますが、他にもいろいろ。やはり、自分の限界を自覚して、ゆっくり適量飲むのが一番でしょう。 > >>「雪が降ってきたねぇ。・・・・新しい年も始まった。レンシェルマ、『あけましておめでとう』。」 >>「あけましておめでとうございます。・・・・一つ、質問してもよろしいでしょうか?」 >>「何だい?」 >> 杯を置き、語り部がレンを見つめる。レンは、静かに問うた。 >>「なぜ、突然『新年を祝おう』などと言い出したのですか?あなた様が、年月が改まることに特別な意味を感じているとは思えませんが・・・・」 >> 語り部は、少し困ったように微笑んだ。 >>「まあ、そうだね。でも、何だろう・・・・?そうだねぇ・・・・もう随分前の話になるけど、『ルシル=グラディウス』がこうして新年を祝ったことがあったんだ。」 >> レンは、「ルシル・・・・」と、口の中で呟いた。それが語り部の偽名の一つであることも、レンは知っている。語り部は続けた。 >>「あの時は、この世界も本当に大変でね。そんな中、新年を祝う時間はない!・・・・って言う人もいたんだけど、かえって新年を祝ってからのほうが、いろんなことがうまくいったんだ。偶然かもしれないけど・・・・って、僕が言う科白じゃないけどね。」 > > >久遠;余裕の無いときこそ、些細な事を。 >ユア;はいはいはいはい。 > アンニュイにならない。 >久遠;語り部ちゃん、そういうトコ本当に好きよ。 突然登場の語り部:ありがとう。やっぱり、「好き」と言ってもらえると嬉しいなv アミイ:うわっ!突然また・・・・。さすが、神出鬼没。 > >> つらつらとそんなことを考えながら、口は話の続きを紡ぐ。 >>「大変なときこそ、祝いは必要だと思うよ。闇の中に光があってこそ、気力も湧くものだろうからね。だから、これは、僕の祈りの形。これから訪れる新たな時が、少しでも彼らに優しくあるように・・・・。」 >> そうして、語り部は杯を傾ける。酔えないことはわかっているのだが、それでも今日は飲みたい心境なのだ。半分瞳を閉じながら、即興で詩を紡ぐ。 >>「花よ 花よ 真白き六花 >> 悲しい心に 降り注げ >> 花よ 花よ 無垢なる六花 >> 痛み抱いて 降り積もれ >> 傷ついた心 癒すために >> 落ちる涙を 留めるために >> そして六花よ 優しき花よ >> 春の光に 溶けて還れ >> 痛みと共に 天へと還れ」 >> レンは、何も言わない。語り部も、詠うだけで、何も語らない。 >> ただ、そこには静かな祈りが満ちていた。 >> > >ユア;・・・・・・・・・・・・。 >久遠;え?語り部ちゃんがすごくカッコイイ? > ・・・言葉話なさいな。 朱琉:実はこの詩の部分は、とある小説の影響を強く受けています。 アミイ:えっと・・・・「少年陰陽師」シリーズの、「六花に抱かれて眠れ」だったかしら? 朱琉:はい。後から読み返してみて、自分でも「まずい、ほとんどそのままだ!」と悔やんだので・・・・一応断りを入れるべきかと思いまして。 アミイ:でも、訂正する気はないんでしょう? 朱琉:・・・・これ以上、語り部さんの心情に合致する題材はないので。 > > > >ユア;それでは。 >久遠;朱琉ちゃんにとってもいい年でありますように。 >二人;では、また。 二人:では、また! > > > |
17458 | 雰囲気がいいですね。 | 十叶 夕海 | 2006/1/8 23:59:29 |
記事番号17456へのコメント > 皆様、新年あけましておめでとうございます!成人式を明後日に控えた羅城 朱琉です。 > 本年初投稿、ということで、今回は『時の旅人・新年編』です。本編は・・・・もう少しだけ待ってください。 > では、早速ですが、どうぞ!今回は、一応ルピナス&アリエスで甘めものを入れたつもりですが・・・・羅城的には、これで精一杯です・・・・ ユア;あけましておめでとうございます。 久遠;あけましておめでとう、朱琉ちゃんv ユア;いえいえ、雰囲気と抱き寄せだけで、此処まで書ければ。 久遠;ユアちゃんのは、行為で甘く見せちゃうもんね。 キスとか、ペッティングとか、で。 ユア;・・・・ともかく、レス行きます。 >「やあ、久しいね。元気だったかな?」 > 相も変らぬにこにこ顔で、白銀の吟遊詩人は言った。 >「別段、行動に支障はありませんから、元気、と言うべきなのでしょうね。」 >「相変わらずだねぇ、アリエス。嬉しいよ。・・・・ルピナスも、元気そうで何よりだ。」 > アリエスは、無表情、と言うには少々苛立たしさを滲ませすぎた瞳で語り部を見やり、呟くような声で言った。 >「何の用でしょう?私達はそこまで暇ではないのですよ。」 >「まあまあ。・・・・君達、そろそろ何があるか知っているかな?」 > アリエスとルピナスは、わけがわからないといった顔をする。それを見て、語り部はさも楽しそうに告げた。 >「もうすぐ一年が終わり、新しい年が始まる。・・・・つまりは、もうすぐ正月、ってことさ。」 > そして、語り部は柔らかに、しかし、有無を言わさぬ力強さで言った。 >「皆で新年を祝おう。君達に、レンシェルマも呼んで、新しい『時』の始まりを祝おう!」 > そう言えば、もうそんな時期だったか、と、ルピナスは思った。よくよく考えて見れば、アリエスと共に旅しているこの数年間は、とても『新年』などと言うものを意識していられるような状態ではなかったし、それ以前はそもそも記憶がない。ちらりと横を伺ってみれば、アリエスが難しい顔をして、何やらぶつぶつと呟いていた。耳を澄ませて聞いてみて・・・・ルピナスは苦笑に近い笑みを浮かべることとなった。 久遠;日本とかアジア圏のみって言っていいほどだものね、こちら側でも新年をお祭りのように祝うのは。 ユア;アメリカの親戚曰く、『クリスマスの方が大騒ぎよ。』とのこと。 まあ、エヴァンスに比べれば,自分の意思を尊重されている分いいと思いますよ、アリエス・ルピナスのご両人? > > だからなのかもしれない。唐突に語り部が持ちかけたこの企画に、ルピナスが一も二もなく賛同したのは。 ユア;(涙を静かに流しつつ)まともな恋愛感情を持ってお母さん嬉しい。 久遠;まあ、生みの親だから,お母さんって言うのは間違ってないけど。 ユア;だってさ、中身が『家族の写真』のア−クだったんだよ? それから,考えれば・・・・・(遥か遠くを見)。 >「レンシェルマには、先に話を通してあるんだ。」 > 語り部がそう言って、軽やかに歩き出す。ブレードヴィレッジの村はずれ、少しだけ、森に入った場所。裏には山が迫り、槌打つ音の届かない、静かな一角。そこに、レンのいる神殿はある。どうやらレンは先に新年の支度を始めていたらしく、いつもの法衣の上から割烹着を着て、外で小物の埃を払っていた。 ユア;・・っ!! 久遠;あら、可愛いわね,レンちゃん。 お姉さんと一緒に、結婚を前提としたお付き合いしない? ユア;いや、レンさんの割烹着は似合っているよ。 でも、お付き合いって、男同士でしょ。 久遠;妖怪に性別は無い。 >「アリエス、こんな所にいたのね。」 >「ルピナス・・・・」 > 『こんな所』というのも無理はあるまい。ここは、神殿の屋根の上。『浮遊(レビテーション)』でも使わないとこられない場所だ。 >「ここ、寒くない?中に入ったほうがいいと思うけど。」 > それは、純粋な気遣いから出た言葉。それはアリエスにもわかっている。しかし、アリエスはあえて皮肉に返した。 >「体調を崩すことなんてありえないから、どこにいても同じでしょう?」 > ルピナスが、僅かに苦笑したのを、アリエスは気配で感じ取った。ルピナスは屋根の上を危なげなく歩くと、アリエスの横に腰掛け、マントの前を合わせる。・・・・と、アリエスがマントの止め具を外し、ルピナスにマントを羽織らせた。ルピナスは、くすりと笑う。 >「ふふふ・・・・本当は、かっこいい男の人がやってくれると、とっても絵になるんだけど。ありがとね、アリエス。」 ユア;男前ですね,アリエス嬢。 久遠;そうよね、かっこいいわ。 >「お礼なんていいよ。私、そもそもあまり寒暖を感じないから。・・・・ねえ、ルピナス。」 > 不意に、アリエスの視線がルピナスに向く。その視線はあまりにまっすぐで、あるいは外見年齢よりも幼くすら見える。その視線を受け止めて、ルピナスは「ん?」と首をかしげて微笑んだ。 >「何で、新年を祝うのかな?それだけ、『死』に近づいているのに。普通の人にとって、『死』は悲しいことでしょう?」 >「そうね〜・・・・それは・・・・」 > ルピナスは少し考え込むと、ぽつりと言った。 >「きっと、一人だったら祝えないと思うな。」 > アリエスは首を傾げる。ルピナスは、少しだけ真剣な表情で言った。 >「多分だけど・・・・一人だったら、それこそ時間が過ぎていっても、全然嬉しくない・・・・むしろ寂しいよ。でも、誰か、大切な人と一緒なら・・・・その人と一緒にいられるのが嬉しくて、その人と、また1年一緒に歩んでいけるのが嬉しくて・・・・それで、次の年が始まる節目に、お祝いするんじゃないのかな?」 ユア;ルピ嬢、言いえて妙。 久遠;ルピちゃん、真理をついてるわね。 世界に夢幻に転がっているうちに一つだけれど。 > そこまで言って、ルピナスはアリエスを抱き寄せた。アリエスは、きょとんとしたままされるがままになっている。 >「私は、アリエスと一緒に新年を祝えるのが嬉しいな。」 > そう言って目を閉じ、ルピナスはアリエスの体の温もりを感じた。と、アリエスが僅かに身じろぎする。何かと思って薄目を開けると、アリエスは僅かに体を捩らせ、ルピナスに体を寄せてきた。 >「・・・・そうだとしたら、『正月』も、捨てたものじゃないかも。」 > アリエスが微笑んでいる。めったにない、綺麗な微笑みで。それはかつて知った過去のアリエスのように、明るい太陽のような微笑ではないけれど、闇の中全てを優しく照らし、眠りと言う名の癒しを与える月のような微笑で。 > そうして、二人は目を閉じて、しばらくの間、ただ寄り添っていた。 > と。 >「あ・・・・」 > ルピナスが声を上げた。アリエスが目を開くと・・・・ルピナスの周りに薔薇色の光が集まっていた。それは、一瞬ルピナスを包み込むと、すぐさま闇に溶け消える。そこにいたのは、先ほどまでの『ルピナス』と似て異なる、もう一人のルピナス。『ルピナス=セレス=ヴァリード』の名を持つ青年。日が改まったのだ。 >「年が、明けたみたいだ。」 > ルピナスは、小さく呟いた。・・・・・・・・呟いて後、気付いた。女だった時そのままに、アリエスを抱き寄せていることに。 >「うわァっ!!!!ご、ごめんアリエス!!」 > ルピナスは思いっきり謝り倒しながら、冷えた自分の手を自らの頬に当てた。きっと、今自分の顔は真っ赤だろう。と、小さな笑い声が聞こえた。見ると、アリエスがクスクスと笑っている。 >「そんなに慌てなくてもいいのに、ルピナスったら。」 > ぽかんとアリエスを見ていると、アリエスが目の端に浮かんだ涙を拭い、顔を上げる。 > そして、柔らかな笑顔で言うのだ。 ユア;微笑ましいと言うか,初々しいなぁ。 久遠;純愛って言うか,こう言う純粋なのかいてないでしょ? ユア;妙に、どっか螺子の外れたような狂気の愛しか書いてないような気がする。 ありがとうございました、羅城様。 > > > > > あとがき > >改めまして、こんにちは。どうだったでしょうか?恋愛系が大の苦手の私にとっては、これが限界です・・・・。 > ちなみに、その時のレン&語り部の様子は、続けて投稿の『語らぬ者たちのイノリ』に書いていますので、合わせてご覧下さい。 > それでは、今回はこの辺で。今年も、どうかよろしくお願いします。 > はい、『語らぬ者たちの〜』は明日レスします。 それでは。 > |
17464 | 衝撃の新事実!? | 羅城 朱琉 | 2006/1/13 08:20:19 |
記事番号17458へのコメント > >> 皆様、新年あけましておめでとうございます!成人式を明後日に控えた羅城 朱琉です。 >> 本年初投稿、ということで、今回は『時の旅人・新年編』です。本編は・・・・もう少しだけ待ってください。 >> では、早速ですが、どうぞ!今回は、一応ルピナス&アリエスで甘めものを入れたつもりですが・・・・羅城的には、これで精一杯です・・・・ > >ユア;あけましておめでとうございます。 >久遠;あけましておめでとう、朱琉ちゃんv >ユア;いえいえ、雰囲気と抱き寄せだけで、此処まで書ければ。 >久遠;ユアちゃんのは、行為で甘く見せちゃうもんね。 > キスとか、ペッティングとか、で。 >ユア;・・・・ともかく、レス行きます。 朱琉:こんにちは。遅くなりましてすみません。 アミイ:行為で甘く見せようとすると拒絶反応が出るから、雰囲気で甘くしようとしてるのよね、朱琉は。 朱琉:ええ、なぜか・・・・。と、言うわけで、返レスです。 > > >>「やあ、久しいね。元気だったかな?」 >> 相も変らぬにこにこ顔で、白銀の吟遊詩人は言った。 >>「別段、行動に支障はありませんから、元気、と言うべきなのでしょうね。」 >>「相変わらずだねぇ、アリエス。嬉しいよ。・・・・ルピナスも、元気そうで何よりだ。」 >> アリエスは、無表情、と言うには少々苛立たしさを滲ませすぎた瞳で語り部を見やり、呟くような声で言った。 >>「何の用でしょう?私達はそこまで暇ではないのですよ。」 >>「まあまあ。・・・・君達、そろそろ何があるか知っているかな?」 >> アリエスとルピナスは、わけがわからないといった顔をする。それを見て、語り部はさも楽しそうに告げた。 >>「もうすぐ一年が終わり、新しい年が始まる。・・・・つまりは、もうすぐ正月、ってことさ。」 >> そして、語り部は柔らかに、しかし、有無を言わさぬ力強さで言った。 >>「皆で新年を祝おう。君達に、レンシェルマも呼んで、新しい『時』の始まりを祝おう!」 >> そう言えば、もうそんな時期だったか、と、ルピナスは思った。よくよく考えて見れば、アリエスと共に旅しているこの数年間は、とても『新年』などと言うものを意識していられるような状態ではなかったし、それ以前はそもそも記憶がない。ちらりと横を伺ってみれば、アリエスが難しい顔をして、何やらぶつぶつと呟いていた。耳を澄ませて聞いてみて・・・・ルピナスは苦笑に近い笑みを浮かべることとなった。 > > >久遠;日本とかアジア圏のみって言っていいほどだものね、こちら側でも新年をお祭りのように祝うのは。 >ユア;アメリカの親戚曰く、『クリスマスの方が大騒ぎよ。』とのこと。 > まあ、エヴァンスに比べれば,自分の意思を尊重されている分いいと思いますよ、アリエス・ルピナスのご両人? 朱琉:らしいですね。私も海外留学経験のある友人に聞いたんですが・・・・書いている私が根本から日本人なので。 アミイ:ついでに、語り部さんは、『伝統文化』が好きだから。クリスマスも祝うけど。曰く、「宗教行事だから、信じてない僕が祝うのはどうかと思うけど、折角の吉事だしね。」だそうよ。 > >> >> だからなのかもしれない。唐突に語り部が持ちかけたこの企画に、ルピナスが一も二もなく賛同したのは。 > > >ユア;(涙を静かに流しつつ)まともな恋愛感情を持ってお母さん嬉しい。 >久遠;まあ、生みの親だから,お母さんって言うのは間違ってないけど。 >ユア;だってさ、中身が『家族の写真』のア−クだったんだよ? > それから,考えれば・・・・・(遥か遠くを見)。 アミイ:まあ、朱琉だし。せいぜい書けても、「見ているほうがもどかしくなってくるような友情以上純愛以下」までね。 朱琉:それはちょっとひどいかも・・・・・・ アミイ:部屋に少年漫画は100冊近くあるのに、少女漫画が1冊もない朱琉が?恋愛モノは苦手と言い切る朱琉が?妹から少女漫画薦められて、一応読んでたら、告白シーンで「んなわけあるかい!」とか叫んで本を投げ捨てそうになった朱琉が!? 朱琉:(撃沈) > > >>「レンシェルマには、先に話を通してあるんだ。」 >> 語り部がそう言って、軽やかに歩き出す。ブレードヴィレッジの村はずれ、少しだけ、森に入った場所。裏には山が迫り、槌打つ音の届かない、静かな一角。そこに、レンのいる神殿はある。どうやらレンは先に新年の支度を始めていたらしく、いつもの法衣の上から割烹着を着て、外で小物の埃を払っていた。 > >ユア;・・っ!! >久遠;あら、可愛いわね,レンちゃん。 > お姉さんと一緒に、結婚を前提としたお付き合いしない? >ユア;いや、レンさんの割烹着は似合っているよ。 > でも、お付き合いって、男同士でしょ。 >久遠;妖怪に性別は無い。 朱琉:いや、あの・・・・確かに、まだ明かされていませんが・・・・ アミイ:久遠ちゃん、大変言いにくいんだけど、レンさん既婚者よ?まあ、奥さんも子供も某事件で亡くしてるけど。でも、未だに奥さん思ってるし。第一、レンさんの奥さんになろうと思ったら、シスコン許せないとダメよ。レンさん、あれで意外とシスコンだから。 朱琉:・・・・実はそうなんです。 > >>「アリエス、こんな所にいたのね。」 >>「ルピナス・・・・」 >> 『こんな所』というのも無理はあるまい。ここは、神殿の屋根の上。『浮遊(レビテーション)』でも使わないとこられない場所だ。 >>「ここ、寒くない?中に入ったほうがいいと思うけど。」 >> それは、純粋な気遣いから出た言葉。それはアリエスにもわかっている。しかし、アリエスはあえて皮肉に返した。 >>「体調を崩すことなんてありえないから、どこにいても同じでしょう?」 >> ルピナスが、僅かに苦笑したのを、アリエスは気配で感じ取った。ルピナスは屋根の上を危なげなく歩くと、アリエスの横に腰掛け、マントの前を合わせる。・・・・と、アリエスがマントの止め具を外し、ルピナスにマントを羽織らせた。ルピナスは、くすりと笑う。 >>「ふふふ・・・・本当は、かっこいい男の人がやってくれると、とっても絵になるんだけど。ありがとね、アリエス。」 > >ユア;男前ですね,アリエス嬢。 >久遠;そうよね、かっこいいわ。 朱琉:なぜかルピナスと一緒にいると、アリエスがどんどん男前に・・・・(笑) アミイ:やっぱりそれは、朱琉が「ヒロイン最強主義者」だからじゃない? > > >>「お礼なんていいよ。私、そもそもあまり寒暖を感じないから。・・・・ねえ、ルピナス。」 >> 不意に、アリエスの視線がルピナスに向く。その視線はあまりにまっすぐで、あるいは外見年齢よりも幼くすら見える。その視線を受け止めて、ルピナスは「ん?」と首をかしげて微笑んだ。 >>「何で、新年を祝うのかな?それだけ、『死』に近づいているのに。普通の人にとって、『死』は悲しいことでしょう?」 >>「そうね〜・・・・それは・・・・」 >> ルピナスは少し考え込むと、ぽつりと言った。 >>「きっと、一人だったら祝えないと思うな。」 >> アリエスは首を傾げる。ルピナスは、少しだけ真剣な表情で言った。 >>「多分だけど・・・・一人だったら、それこそ時間が過ぎていっても、全然嬉しくない・・・・むしろ寂しいよ。でも、誰か、大切な人と一緒なら・・・・その人と一緒にいられるのが嬉しくて、その人と、また1年一緒に歩んでいけるのが嬉しくて・・・・それで、次の年が始まる節目に、お祝いするんじゃないのかな?」 > >ユア;ルピ嬢、言いえて妙。 >久遠;ルピちゃん、真理をついてるわね。 > 世界に夢幻に転がっているうちに一つだけれど。 朱琉:ちなみにこれは、半分私の意見、半分はオフ友の意見です。(掲載許可有) アミイ:ちなみに、『一人じゃ寂しいから祝えない』が朱琉友の意見、それ以下が朱琉の意見ね。 > >> そこまで言って、ルピナスはアリエスを抱き寄せた。アリエスは、きょとんとしたままされるがままになっている。 >>「私は、アリエスと一緒に新年を祝えるのが嬉しいな。」 >> そう言って目を閉じ、ルピナスはアリエスの体の温もりを感じた。と、アリエスが僅かに身じろぎする。何かと思って薄目を開けると、アリエスは僅かに体を捩らせ、ルピナスに体を寄せてきた。 >>「・・・・そうだとしたら、『正月』も、捨てたものじゃないかも。」 >> アリエスが微笑んでいる。めったにない、綺麗な微笑みで。それはかつて知った過去のアリエスのように、明るい太陽のような微笑ではないけれど、闇の中全てを優しく照らし、眠りと言う名の癒しを与える月のような微笑で。 >> そうして、二人は目を閉じて、しばらくの間、ただ寄り添っていた。 >> と。 >>「あ・・・・」 >> ルピナスが声を上げた。アリエスが目を開くと・・・・ルピナスの周りに薔薇色の光が集まっていた。それは、一瞬ルピナスを包み込むと、すぐさま闇に溶け消える。そこにいたのは、先ほどまでの『ルピナス』と似て異なる、もう一人のルピナス。『ルピナス=セレス=ヴァリード』の名を持つ青年。日が改まったのだ。 >>「年が、明けたみたいだ。」 >> ルピナスは、小さく呟いた。・・・・・・・・呟いて後、気付いた。女だった時そのままに、アリエスを抱き寄せていることに。 >>「うわァっ!!!!ご、ごめんアリエス!!」 >> ルピナスは思いっきり謝り倒しながら、冷えた自分の手を自らの頬に当てた。きっと、今自分の顔は真っ赤だろう。と、小さな笑い声が聞こえた。見ると、アリエスがクスクスと笑っている。 >>「そんなに慌てなくてもいいのに、ルピナスったら。」 >> ぽかんとアリエスを見ていると、アリエスが目の端に浮かんだ涙を拭い、顔を上げる。 >> そして、柔らかな笑顔で言うのだ。 > >ユア;微笑ましいと言うか,初々しいなぁ。 >久遠;純愛って言うか,こう言う純粋なのかいてないでしょ? >ユア;妙に、どっか螺子の外れたような狂気の愛しか書いてないような気がする。 > ありがとうございました、羅城様。 朱琉:いえいえ、少しでも楽しんでいただければ幸いです。 > >> >> >> >> >> あとがき >> >>改めまして、こんにちは。どうだったでしょうか?恋愛系が大の苦手の私にとっては、これが限界です・・・・。 >> ちなみに、その時のレン&語り部の様子は、続けて投稿の『語らぬ者たちのイノリ』に書いていますので、合わせてご覧下さい。 >> それでは、今回はこの辺で。今年も、どうかよろしくお願いします。 >> > >はい、『語らぬ者たちの〜』は明日レスします。 >それでは。 > 朱琉:それでは、また今度! 二人:では、また! > >> > |