◆−不変で普遍な独白(ルークリナ)−うかい みほ (2006/2/15 20:28:08) No.17508


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17508不変で普遍な独白(ルークリナ)うかい みほ URL2006/2/15 20:28:08





聞き手には、ある種の惚気に聞こえるものだ。

自分の相棒がああだの、こうだの。
時には身振り手振りを加えその時のさまを語りに語る。
他に話す事はないのものか。
その話し方は相手の自己満足のように思えた。

歯軋りを軽くして空気を吸い込む代わりに酒を喉に流し込んだ。



「テメェの話にゃ、話題性ってモンがねえのか」
「ん?なに?」
「同じような話ばっかしやがって。聞いてるこっちは退屈でしょうがねえ」
「あら、一つとしておんなじ話なんてして無いわよ。失礼な」
「俺に言わせりゃ、全部同じだ」





旦那が出てきてる時点でな、とは、言える口ではない。

罵るような言い方でいながら”その”話の中での旦那は、ずいぶんと美化されている。
自分が泣きたいときには側で慰めた、だの。
自分がどんなにつんけんどんな態度をしても笑っててくれる、だの。
優しく、強く、時にしょうもないその馬鹿さ加減で自分を慰めてくれる。


だが俺から言わせて貰えば、
全体的保護者でありながら一人の人間のある対象に置かれた人物。
それがガウリイの旦那なのだ。


「それで、ガウリイが……」
「あ〜〜!ウルセェうるせぇ!!」


あまりのいたたまれなさに声を出した。
聞いてられたもんじゃない。



「酒はテメェの奢りな。俺は宿に帰る」
「はぁ?!ちょっと待ちなさいよ!」
「お前の話じゃ酒の魚にもなりゃしねぇ。むしろ不味くなる」
「意味が解らない上にかなりムカつくんですけど」
「要するに”お前のせいで酒が不味くなった。弁償しろ”ってことだ」




こめかみをひく付かせてる相手の表情を見て逃げるようにその場を出た。
追われなかっただけマシかとも思ったが、
追っても来ねぇのかと内心穏やかでもなかった。












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初投稿になります。うかい みほと申します。
以後お見知りおき下されば光栄です。