◆−家族の写真外伝 約束ですから−十叶 夕海 (2006/5/14 15:39:26) No.17635 ┣あはは・・・・(苦笑)−羅城 朱琉 (2006/5/15 08:52:41) No.17640 ┃┗いろいろと事情があるのです。−十叶 夕海 (2006/5/15 21:03:52) No.17642 ┗家族の写真外伝 貴方への哀傷歌 +Does Aries permit me?+−十叶 夕海 (2006/5/23 21:38:50) No.17661 ┗いいひとだ・・・・ルシルさんいいひとだ・・・・−羅城 朱琉 (2006/5/24 08:45:46) No.17662 ┗基本的に いい人だと思いますよ?−十叶 夕海 (2006/5/24 22:11:00) No.17663
17635 | 家族の写真外伝 約束ですから | 十叶 夕海 | 2006/5/14 15:39:26 |
約束ですから 時乃市の隣・旅宮市 「・・・・・元気だといいですね。 ディスティアに、会いたいですね・・・三年ぶりに。」 ・ ・・・その一角にある平屋の一室のパソコンの前。 薄暗いその部屋。 パソコンのバックライトと卓上ライトに照らされているのは、後ろで一つに結んだ濡れ羽色の前髪の間からは、磨き上げられた黒水晶色の瞳、表情は梅雨の曇天、葬式に参列しているというよりは送られる死者のような陰鬱さに、少々の喜びに彩られているおおよそ二十歳少し前の青年。 三年前の共通の友人の葬式から、会っていない長身の女性からのメールだ。 それが、彼の表情にささやかな微笑みを添えさせていた。 「それにしても・・・・《リンデン》として。 ・・・何年になるんでしょう。 大きくなっているんでしょうか、アリエス、ディスティア。」 「なってるでしょうよ、三年だもの。」 彼の後ろにいたのは、珍しくピンクに近い赤紫の長髪をポニーテールにして、両目とも、さらしているが、いつもの新宿二丁目のお兄さん風味の月森久遠だった。 いつもは、眼帯で隠しているほうは、みるものを不安にさせるような紫ダイヤのような色であった。 むろん、丸サングラスはしていたが。 「久遠さんですか。 久しぶりに会えて嬉しいので、死にます。」 陰鬱な彼は、そう言うと袖に仕込んであった短剣二本を首めがけて突き刺さんとしたが、久遠が、それを即座に払う。 「・・・・その剣呑な甘え方やめなさいって、前も言わなかったっけ? イライアス=ヴィドル?」 イライアスと呼ばれたこの青年、『きちんとし過ぎな論理的な自殺推奨者』なのだ。 ちなみに言うと、ディスティア達と出会った五年半前からこんな感じなので、あしからず。 「貴方か・・・レイティスやディスティア達ぐらいですよ。」 「なら、いいけど。 ・ ・・・十五日行くの?」 「・・・そうですね、懐かしい顔が多そうですし。 《ノーフェイス》も来るようですし・・・・・《戦語り部の火舞姫》もこれれば、良かったんですけどね。」 「《火舞姫》ちゃん、一人で、二年前に《チャイルドクラン》挑んで・・・。 ・ ・・・いつ命を落とすのか分からないのが、この稼業だけど、あれはね・・・ ゼオンちゃんも、昔以上に、バトルマニアになったせいもあって・・・・」 「知り合いなんですか・・・・・・《チャイルドクラン》の首魁の?」 「昔、あの人の剣だったのよ、恥ずかしいわ。 若気の至りってやつね。 ・ ・・・力こそ、血を流させることこそ、一番正しく強いことだって思ってて。」 などなど、雑談をする。 ともすれば、少々ガタイがいい女性と取られそうな久遠は、さらりとものすごいことを言っていた。 「どうしたの、イラアちゃん?」 「・・・・・久遠さんが、他の人に取られそうで哀しいので、死にます。」 と、イライアスはそう言い、パソコンの横においてあった即効性の猛毒を口に含み嚥下しようとした。 飲み込む寸前に、久遠が唇を重ね・・キスで口の中からその錠剤を自分の口におさめ、飲み込む。 「・・・無茶しますね。」 「あのね、イラアちゃん。 嫉妬は可愛いけど、今は『主』以外であなたが一番大切よ?」 「・・・・・はいはい・・・そろそろ、お昼ですけど、どうします?」 「そうね、久しぶりに、カフェ《翡翠》に行こうかしら、イルの顔も見たいし。 ちょっと遠いけど。」 「そういえば、なんで、今更、ディスちゃんの要請受けたの?」 「『約束』だから・・・です。」 「レイちゃんとの?」 「ええ、そうです。」 たとえば、 こんな日常のヒトコマ・・・・・・ @@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@ ディスティア達、主要メンバーが出ない外伝を書こう。が、このがいでんのコプセントです。 そのせいもあり、上の二人の登場となりました。 一応、断っておきますが、二人はセフレでもないけど、ステディという訳でもないですが、世間一般人からすれば、恋人の範疇に入ります。 ・ ・・というか、男の一人暮らしに、『新宿二丁目』的な人が通えば、『通い妻』的な感じに受け取られるかなぁと。 おまけにですが、イライアスの元キャラは、私が小学校の頃に書いたBLもどきファンタジーに出てきた主人公を多少いじって登場させました。 職業以外は、そのままなので、あしからず。 それでは、本編で。 |
17640 | あはは・・・・(苦笑) | 羅城 朱琉 | 2006/5/15 08:52:41 |
記事番号17635へのコメント こんにちは、羅城 朱琉です。 本当に、全く持って時間がなくなってしまったので、短縮版で失礼します。 ヴィドル氏・・・・あっさり死のうとしすぎですよ。理由はわかりませんが・・・・ そして、アリエスとディス嬢は、本当にいろいろな人から思われている様子。 続きがとても楽しみです。散文的な上、もうどこがどう観想なのかもわからないようなレスですみません。 では、また! |
17642 | いろいろと事情があるのです。 | 十叶 夕海 | 2006/5/15 21:03:52 |
記事番号17640へのコメント > > こんにちは、羅城 朱琉です。 > 本当に、全く持って時間がなくなってしまったので、短縮版で失礼します。 こんにちは、ユアです。 了解しました. > > ヴィドル氏・・・・あっさり死のうとしすぎですよ。理由はわかりませんが・・・・ その辺の事情は、本編でおいおい。 でも、三年前以前に比べれば、万倍収まっています。 > そして、アリエスとディス嬢は、本当にいろいろな人から思われている様子。 なんですよね。 それに気がついているかいないかで、対照的ですが。 > > 続きがとても楽しみです。散文的な上、もうどこがどう観想なのかもわからないようなレスですみません。 いえいえ、ありがとうございます。 次回の外伝も一応決まってます。 そちらも、お楽しみに。 > > では、また! それでは。 |
17661 | 家族の写真外伝 貴方への哀傷歌 +Does Aries permit me?+ | 十叶 夕海 | 2006/5/23 21:38:50 |
記事番号17635へのコメント 「ごめんなさい、レイティスさん。 貴方は死ぬべきじゃなかった。 私が、急がなければ、アリエスから、貴方を奪うことにはならなかった。」 貴方への哀傷歌 +Does Aries permit me?+ 三年前のこの日。 レイティス=アイルテは、26歳で死んだ。 失血死だった。 眠るように穏やかだった。 そう聞いている。 「ディスティアサン?」 「なに、紫苑?」 ある冬の・・・・ディスティアが、アリエスに再会する直前の冬のある日の朝のことだ。 その頃には、自主登校になっていたが、昼間だというのに《デザートローズ》に彼女はいた。 コーヒーを頼んだまま、それに口を付けようとしない。 流石に、心配になった紫苑が、声をかける。 返答の声にも張りというか覇気がない。 それどころか、しばらくまともに眠っていないのだろうか。 やつれたようにも見える。 「寝てマすカ?」 「寝て無い・・・・毎年って言うほどじゃないけど、この時期は不眠症気味なの。」 「後悔しテますカ?」 「しなきゃおかしいでしょ? 私が、急ぎ過ぎなければ、レイティスは、あと1年は生きていられた。」 「ディスティアサン!!」 「だってねぇ・・・・・。 あの時は、本気でできるって、壊滅させれるって、信じてた。 私たちが死ななかった代わりに、レイティスは、殺された。」 淡々と、ディスティアは、語る。 自嘲する訳でもなく、同情を誘う訳でもなく。 ただ、事実を・・・・彼女にとっての事実を語る。 「君の選択を、愚かしいと人は言うかもしれないけれど君は、それでいい。心のまま風のまま、生きればいい。縛られる必要なんてないんだよ、《流思の天翼》」 「・・・・・誰?」 そこへ、来たのは、銀髪で中性的なルシル=レリス=フェアシュテックがいた。 数日前に、あんなことを言われたが、エイレンに会いにきたのか、ボストンバックを持って、来ていた。 紫苑は、固まっていた。 自分に気づかせないで、彼は自分とディスティアの間に来たのだ。 「ルシル=レリス=フェアシュテック。と言うらしい。」 「らしい?」 「記憶喪失らしくてね。」 「・・・・・・・よく来れるな。 あんなことを面と向かって言われて。」 お冷やを持ってきたエイレンは、完全無欠に呆れて、ルシルにそう言った。 一応断って、ルシルはディスティアの向かいに座り、紅茶セットを頼んだ。 その際に、何か手紙のようなものを渡す。 「・・・・で、なんで私を《流思の天翼》と?」 「なんとなくだよ。」 「なんとなく?」 「そう、なんとなく。 僕が、忘れている僕が、貴女に似た人を知っていたのかもしれないねぇ。 ・ ・・・・・で、何を悩んでいたんだい? 話してしまえば、楽になるかも知れないよ。」 促されて、ディスティアは、訥々と語る。 六年前に、大切な人をある組織のせいでなくしたこと。 ある人の元で、修行したこと。 その人が止めたのに、三年前先走ってしまったこと。 計画が、相手の組織にバレていたこと。 その人が、殺されたこと。 その人の従妹から、笑顔を奪ってしまったこと。 それをルシルに、話した。 何度か、《古道具カワセミ》や《カフェ翡翠》で、ほんの数言しか話したこと無い相手に。 なぜか、安心できた。 安心というよりは、この人に喋っても大丈夫。というような感じが、一番しっくりくる。 「・・・・なるほどね。 それで、その従妹さんは?」 「・・・・・その人の仕事を継いでいる。 だけど、あの子は、笑顔を失ったまま。 私のせいで、弟も同じような仕事をさせてしまっている。 あの人の最期の願いも、叶えていない。」 ルシルは、その言葉に、何も言わないまま、自分よりも高い位置にあるディスティアの顔を挟む込むように手を添える。 ただ、無言で、彼はそのまま微笑むばかり。 「・・・・ルシルさん?」 「君は、君の心のまま・・・・君がいいと思う方に進むといいよ。」 「・・・・ありがとう、ルシルさん。」 このあと、一週間。 ルシルは 《デザートローズ》の居候のような形になった イルミナとモイラが 外国に品物の買い付けに行って待ったから このあと、数ヶ月後 ディスティアは やっとアリエスに 昔のことを 話すことができた。 @@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@ ええと、ルシルさんニセモノ風味になってしまいました。 このお話の後の四月に、アリエスにメールを送り、過去を話すことになります。 その場では、話せなかったお話の断片をここに語ります。 まだ、このことは、アリエスは知りません。 タイトルの英文『+Does Aries permit me?+』は、『アリエスは私を許してくれるだろうか?』という意味です。 これから、本編で、明かされるはずです。 それでは、次回は本編で. |
17662 | いいひとだ・・・・ルシルさんいいひとだ・・・・ | 羅城 朱琉 | 2006/5/24 08:45:46 |
記事番号17661へのコメント 朱琉:こんにちは、羅城 朱琉です。早速ですが、レスです。 > > > >「ごめんなさい、レイティスさん。 > 貴方は死ぬべきじゃなかった。 > 私が、急がなければ、アリエスから、貴方を奪うことにはならなかった。」 > > > > 貴方への哀傷歌 +Does Aries permit me?+ > > > >三年前のこの日。 >レイティス=アイルテは、26歳で死んだ。 >失血死だった。 >眠るように穏やかだった。 >そう聞いている。 >「ディスティアサン?」 >「なに、紫苑?」 >ある冬の・・・・ディスティアが、アリエスに再会する直前の冬のある日の朝のことだ。 >その頃には、自主登校になっていたが、昼間だというのに《デザートローズ》に彼女はいた。 >コーヒーを頼んだまま、それに口を付けようとしない。 >流石に、心配になった紫苑が、声をかける。 >返答の声にも張りというか覇気がない。 >それどころか、しばらくまともに眠っていないのだろうか。 >やつれたようにも見える。 >「寝てマすカ?」 >「寝て無い・・・・毎年って言うほどじゃないけど、この時期は不眠症気味なの。」 >「後悔しテますカ?」 >「しなきゃおかしいでしょ? > 私が、急ぎ過ぎなければ、レイティスは、あと1年は生きていられた。」 >「ディスティアサン!!」 >「だってねぇ・・・・・。 > あの時は、本気でできるって、壊滅させれるって、信じてた。 > 私たちが死ななかった代わりに、レイティスは、殺された。」 >淡々と、ディスティアは、語る。 >自嘲する訳でもなく、同情を誘う訳でもなく。 >ただ、事実を・・・・彼女にとっての事実を語る。 アミイ:ディスちゃん・・・・・・・・。例えそれが事実でも、それで自分虐めて何が変わるって言うのよぅ・・・・。 朱琉:アミイさん落ち着いて!これ過去!!過去ですから! アミイ:何よ?過去だと泣いたらいけないの? 朱琉:そんなことないですが・・・・ >「君の選択を、愚かしいと人は言うかもしれないけれど君は、それでいい。心のまま風のまま、生きればいい。縛られる必要なんてないんだよ、《流思の天翼》」 >「・・・・・誰?」 >そこへ、来たのは、銀髪で中性的なルシル=レリス=フェアシュテックがいた。 朱琉:うわ、凄い!全然違和感無いです、このタイミングだと! アミイ:しかも・・・・すっごくいい人ね、語り部さん・・・・もとい、ルシルさん。 朱琉:あのですね・・・・。まあ、確かに『時の旅人』の語り部さんは『いいひと』とは言い切れませんが・・・・ >数日前に、あんなことを言われたが、エイレンに会いにきたのか、ボストンバックを持って、来ていた。 >紫苑は、固まっていた。 >自分に気づかせないで、彼は自分とディスティアの間に来たのだ。 >「ルシル=レリス=フェアシュテック。と言うらしい。」 >「らしい?」 >「記憶喪失らしくてね。」 >「・・・・・・・よく来れるな。 > あんなことを面と向かって言われて。」 >お冷やを持ってきたエイレンは、完全無欠に呆れて、ルシルにそう言った。 >一応断って、ルシルはディスティアの向かいに座り、紅茶セットを頼んだ。 >その際に、何か手紙のようなものを渡す。 >「・・・・で、なんで私を《流思の天翼》と?」 >「なんとなくだよ。」 >「なんとなく?」 >「そう、なんとなく。 > 僕が、忘れている僕が、貴女に似た人を知っていたのかもしれないねぇ。 >・ ・・・・・で、何を悩んでいたんだい? > 話してしまえば、楽になるかも知れないよ。」 >促されて、ディスティアは、訥々と語る。 >六年前に、大切な人をある組織のせいでなくしたこと。 >ある人の元で、修行したこと。 >その人が止めたのに、三年前先走ってしまったこと。 >計画が、相手の組織にバレていたこと。 >その人が、殺されたこと。 >その人の従妹から、笑顔を奪ってしまったこと。 >それをルシルに、話した。 >何度か、《古道具カワセミ》や《カフェ翡翠》で、ほんの数言しか話したこと無い相手に。 >なぜか、安心できた。 >安心というよりは、この人に喋っても大丈夫。というような感じが、一番しっくりくる。 アミイ:そういう雰囲気持ってるものね、あの人は。 朱琉:『記憶喪失になったほうがよかったんじゃないか?』と思ってしまったのです。 アミイ:いきなり何を言い出すのかな?生みの親。 >「・・・・なるほどね。 > それで、その従妹さんは?」 >「・・・・・その人の仕事を継いでいる。 > だけど、あの子は、笑顔を失ったまま。 > 私のせいで、弟も同じような仕事をさせてしまっている。 > あの人の最期の願いも、叶えていない。」 >ルシルは、その言葉に、何も言わないまま、自分よりも高い位置にあるディスティアの顔を挟む込むように手を添える。 >ただ、無言で、彼はそのまま微笑むばかり。 >「・・・・ルシルさん?」 >「君は、君の心のまま・・・・君がいいと思う方に進むといいよ。」 >「・・・・ありがとう、ルシルさん。」 > > >このあと、一週間。 > >ルシルは 《デザートローズ》の居候のような形になった > >イルミナとモイラが 外国に品物の買い付けに行って待ったから > > > > > > >このあと、数ヶ月後 > >ディスティアは やっとアリエスに > >昔のことを 話すことができた。 > > > > > >@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@ > > > >ええと、ルシルさんニセモノ風味になってしまいました。 > >このお話の後の四月に、アリエスにメールを送り、過去を話すことになります。 >その場では、話せなかったお話の断片をここに語ります。 >まだ、このことは、アリエスは知りません。 > > >タイトルの英文『+Does Aries permit me?+』は、『アリエスは私を許してくれるだろうか?』という意味です。 >これから、本編で、明かされるはずです。 > > >それでは、次回は本編で. 朱琉:はい、今回もホロリとしつつ読ませていただきました。 アミイ:じゃあ、今回はこの辺でね! 二人:では、また! |
17663 | 基本的に いい人だと思いますよ? | 十叶 夕海 | 2006/5/24 22:11:00 |
記事番号17662へのコメント > >朱琉:こんにちは、羅城 朱琉です。早速ですが、レスです。 ユア;こんばんは、ユアです。 返レス行きます。 > >> >> >> >>「ごめんなさい、レイティスさん。 >> 貴方は死ぬべきじゃなかった。 >> 私が、急がなければ、アリエスから、貴方を奪うことにはならなかった。」 >> >> >> >> 貴方への哀傷歌 +Does Aries permit me?+ >> >> >> >>三年前のこの日。 >>レイティス=アイルテは、26歳で死んだ。 >>失血死だった。 >>眠るように穏やかだった。 >>そう聞いている。 >>「ディスティアサン?」 >>「なに、紫苑?」 >>ある冬の・・・・ディスティアが、アリエスに再会する直前の冬のある日の朝のことだ。 >>その頃には、自主登校になっていたが、昼間だというのに《デザートローズ》に彼女はいた。 >>コーヒーを頼んだまま、それに口を付けようとしない。 >>流石に、心配になった紫苑が、声をかける。 >>返答の声にも張りというか覇気がない。 >>それどころか、しばらくまともに眠っていないのだろうか。 >>やつれたようにも見える。 >>「寝てマすカ?」 >>「寝て無い・・・・毎年って言うほどじゃないけど、この時期は不眠症気味なの。」 >>「後悔しテますカ?」 >>「しなきゃおかしいでしょ? >> 私が、急ぎ過ぎなければ、レイティスは、あと1年は生きていられた。」 >>「ディスティアサン!!」 >>「だってねぇ・・・・・。 >> あの時は、本気でできるって、壊滅させれるって、信じてた。 >> 私たちが死ななかった代わりに、レイティスは、殺された。」 >>淡々と、ディスティアは、語る。 >>自嘲する訳でもなく、同情を誘う訳でもなく。 >>ただ、事実を・・・・彼女にとっての事実を語る。 >アミイ:ディスちゃん・・・・・・・・。例えそれが事実でも、それで自分虐めて何が変わるって言うのよぅ・・・・。 >朱琉:アミイさん落ち着いて!これ過去!!過去ですから! >アミイ:何よ?過去だと泣いたらいけないの? >朱琉:そんなことないですが・・・・ 久遠;それでも、自分を責めないとやりきれなかったのでしょうよ。 ユア;・・・・・これが原因で・・・・戸なるかもしれません. アリエス嬢は、レイティス命でしょうから。 久遠;とどめを刺してるわよ。 > >>「君の選択を、愚かしいと人は言うかもしれないけれど君は、それでいい。心のまま風のまま、生きればいい。縛られる必要なんてないんだよ、《流思の天翼》」 >>「・・・・・誰?」 >>そこへ、来たのは、銀髪で中性的なルシル=レリス=フェアシュテックがいた。 >朱琉:うわ、凄い!全然違和感無いです、このタイミングだと! >アミイ:しかも・・・・すっごくいい人ね、語り部さん・・・・もとい、ルシルさん。 >朱琉:あのですね・・・・。まあ、確かに『時の旅人』の語り部さんは『いいひと』とは言い切れませんが・・・・ ユア;言葉というのは、言う場所言う語調でもかなり変わるのです。 久遠;・・・・・時の旅人のほうとは、別の意味でいい男よね。 ユア;役目?にしばられてますけど、悪い人とも言い切れませんね。 > >>数日前に、あんなことを言われたが、エイレンに会いにきたのか、ボストンバックを持って、来ていた。 >>紫苑は、固まっていた。 >>自分に気づかせないで、彼は自分とディスティアの間に来たのだ。 >>「ルシル=レリス=フェアシュテック。と言うらしい。」 >>「らしい?」 >>「記憶喪失らしくてね。」 >>「・・・・・・・よく来れるな。 >> あんなことを面と向かって言われて。」 >>お冷やを持ってきたエイレンは、完全無欠に呆れて、ルシルにそう言った。 >>一応断って、ルシルはディスティアの向かいに座り、紅茶セットを頼んだ。 >>その際に、何か手紙のようなものを渡す。 >>「・・・・で、なんで私を《流思の天翼》と?」 >>「なんとなくだよ。」 >>「なんとなく?」 >>「そう、なんとなく。 >> 僕が、忘れている僕が、貴女に似た人を知っていたのかもしれないねぇ。 >>・ ・・・・・で、何を悩んでいたんだい? >> 話してしまえば、楽になるかも知れないよ。」 >>促されて、ディスティアは、訥々と語る。 >>六年前に、大切な人をある組織のせいでなくしたこと。 >>ある人の元で、修行したこと。 >>その人が止めたのに、三年前先走ってしまったこと。 >>計画が、相手の組織にバレていたこと。 >>その人が、殺されたこと。 >>その人の従妹から、笑顔を奪ってしまったこと。 >>それをルシルに、話した。 >>何度か、《古道具カワセミ》や《カフェ翡翠》で、ほんの数言しか話したこと無い相手に。 >>なぜか、安心できた。 >>安心というよりは、この人に喋っても大丈夫。というような感じが、一番しっくりくる。 >アミイ:そういう雰囲気持ってるものね、あの人は。 >朱琉:『記憶喪失になったほうがよかったんじゃないか?』と思ってしまったのです。 >アミイ:いきなり何を言い出すのかな?生みの親。 ユア;例えるなら、春の昼下がりの容陽気のように暖かい。 久遠;ユアちゃん曰く『記憶喪失』=役目も忘れてて、元来はこんな感じかな。と。 ユア;でも、時の旅人の語り部さんLOVE?なのです。 >> >> >> >>@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@ >> >> >> >>ええと、ルシルさんニセモノ風味になってしまいました。 >> >>このお話の後の四月に、アリエスにメールを送り、過去を話すことになります。 >>その場では、話せなかったお話の断片をここに語ります。 >>まだ、このことは、アリエスは知りません。 >> >> >>タイトルの英文『+Does Aries permit me?+』は、『アリエスは私を許してくれるだろうか?』という意味です。 >>これから、本編で、明かされるはずです。 >> >> >>それでは、次回は本編で. >朱琉:はい、今回もホロリとしつつ読ませていただきました。 >アミイ:じゃあ、今回はこの辺でね! >二人:では、また! ユア:ありがとうございます、嬉しいです。 二人;それでは。 > > |