◆−時の旅人 45:せかいがこわれるおと−羅城 朱琉 (2006/5/16 08:22:38) No.17643 ┣・・・・・・(驚きの表情で硬直中)−十叶 夕海 (2006/5/16 22:16:46) No.17644 ┃┗もう本当にすみませんとしか・・・・−羅城 朱琉 (2006/5/17 08:33:47) No.17645 ┣Re:時の旅人 45:せかいがこわれるおと−神高 紅 (2006/5/18 00:57:13) No.17647 ┃┗お久しぶりです・・・・って、前回もこんなタイトルだった気が・・・・−羅城 朱琉 (2006/5/18 08:39:52) No.17649 ┣時の旅人 46:残されし者たちの道程−羅城 朱琉 (2006/5/18 08:26:10) No.17648 ┣時の旅人 47:愚者の選択−羅城 朱琉 (2006/5/19 08:22:44) No.17652 ┃┗再会は ほんの一瞬のすれ違い−十叶 夕海 (2006/5/21 21:42:54) No.17653 ┃ ┗本当の『再会』は、まだまだ先になりそうです。−羅城 朱琉 (2006/5/22 08:32:10) No.17656 ┗時の旅人・徒然編 4:So what?−羅城 朱琉 (2006/5/22 08:22:14) No.17655 ┗二人暴走に付き、ご注意を。−十叶 夕海 (2006/5/22 22:12:14) No.17659 ┗暴走はお互い様ということで、こちらもご注意を。−羅城 朱琉 (2006/5/23 08:53:04) No.17660
17643 | 時の旅人 45:せかいがこわれるおと | 羅城 朱琉 | 2006/5/16 08:22:38 |
こんにちは、羅城 朱琉です。 前回が前回だったので、早々と更新、ですが・・・・前回よりも更に『ごめんなさい』なことになってしまいました。 特に、ルピナス好きの方はお気をつけてお読みください。 注)シリアス&微ダーク&流血注意報発令中につき、お気をつけ下さい 時の旅人 45:せかいがこわれるおと 透明な檻にでも閉じ込められたかのように、アリエスはなす術も無くその光景を見ていた。 (嫌・・・・ルピナスを傷つけないで・・・・) その手を必死で伸ばすも、それは決して届くことは無い。手が、足が、体の全てが、アリエスの意思に従うことを拒んでいる。その手が刃を振るうのを、その足が体を運ぶのを、アリエスは止めることが出来なかった。 (やめて・・・・お願い、やめて!!) 祈るような叫びは、しかし届くことは無い。 心の奥深く、透明な檻に閉じ込められたアリエスに、出来る事はなかった。 * * * * * とん、と、爪先が地を蹴り、一つ、銀光が疾る。 降りそそぐ光を呪文が防ぎ、残滓が零れ落ちる。 虚無の瞳のアリエスは、ただ淡々と攻撃を続ける。リナとガウリイには目もくれず、ただひたすらに、ルピナスだけを。 しかしルピナスは、その攻撃を易々とかわし続けていた。アリエスの攻撃は、普段の彼女から考えればあまりにも遅く、あまりに単調だった。まるで出来の悪いマリオネットのように、その動きはどんどんとぎこちなく、隙だらけになってゆく。 それは、傍から見れば、怪我をしたアリエスが、無理を押して動いているように見えたかもしれない だから、そこに、指揮系統の回復を半ば諦め、自らの足で動いていたフェリセが通りかかったこととか。 そのフェリセが、明らかに様子のおかしいアリエスを援護すべく、3筋の光線を放ったこととか。 不規則な軌道を描くそれに、ルピナスの対応が一瞬遅れたこととか。 それは皆、『運命』。 * * * * * 気付いたときには、アリエスの体は動き出していた。奥底に押し込められていた『ココロ』が、檻を破って浮上する。 ルピナスに迫る3つの光。あれは、ルピナスを傷つけるもの。 (守らなければ・・・・・・・・) ああ、なぜこれほどに体が重いのだろう・・・・?いや、その理由はわかっている。アリエスの心を封じ、体を操っていたもの。あの『透明な檻』のせいだ。まだ、完全に体に自由が戻ったわけではない。それでも、今、この時に動かねばならないのだ。 光線とルピナスの間に体をねじ込む。間に合うだろうか?この体は、フェリセの放つ『力』に耐え切れるだろうか?全ての疑問は、その瞬間、頭から消えうせていた。 「「アリエス!?」」 2つの叫び声。これは、ルピナスとフェリセの声。 訪れた、一瞬の交錯。 そして、背に感じた、『2つ』の衝撃。 * * * * * 「・・・・・・・・ぅっ・・・・」 小さく呻いて、アリエスは半身を起こした。どうやら一瞬意識が飛んだようだが、何とか体は持ったようだ。 軽く首を振り、衝撃の影響か霞んだ眼をぱしぱしと瞬かせつつ、立ち上がろうと地に手をついた。 湿った感触がした。何だか粘ついた液体で、地面が濡れている。地についた手を持ち上げてみる・・・・ぼんやりと、赤い色が見える。 少しずつ、視力が戻ってきた。『それ』はアリエスの傍らの『もの』から流れ出し、足元を浸した。 のろのろと顔を上げ、『それ』を見る。・・・・・・・・『それ』は、血。 ルピナスの、血。 せかい が こわれる おと が した 「・・・・・・・・ルピナス・・・・?」 見れば、ルピナスの胸の中心に、深く穿たれた穴ひとつ。 真紅のそれは、間違えようも無く致命傷。 「ルピナス・・・・・・・・?」 放たれた光は3筋。アリエスが受けたのは2筋。残ったのは1筋。とても簡単な引き算。 その1筋はここ・・・・ルピナスの胸を貫いて、虚空へ還った。 「・・・・ルピナス・・・・・・・・・・・・?」 ルピナスは答えない。もはや、答える声を持たない。永遠の喪失。 アリエスは、そっとルピナスをかき抱いた。 「私は・・・・私は、また、守れなかった・・・・・・・・」 若草色の着衣が、血の色に染まってゆく。いつしかその流れが失せても、アリエスは動かない。 その温もりを逃がさぬように、その『生命』を捕えるように。 「・・・・アリエス・・・・」 フェリセの声に滲むのは、悔恨か、哀悼か・・・・。その声すら、アリエスには届かぬようで。 しばらくして、アリエスはふと顔を上げた。 「いいえ・・・・私には、まだ出来ることがある。」 その呟きが消える前に、アリエスはルピナスと共に、忽然と消えうせた。 あとがき、或いは語り部が告げる未来 語:やあ、こんな展開の今回、どうだったかな? とはいっても・・・・ルピナスがどうなったか?って言うのが判明するのは、次回じゃなくてもう一つ先なんだよね。 さて、じゃあ、語ろうか。未来に連なる欠片の一つを・・・・ 消えた乙女と青年は、いずこへと行ったのか? 考えることは多い。しかし、今は時ではないと言う声がある。 今は、走り続けよう。 再びの邂逅を心に描いて・・・・ 次回、『時の旅人』46話、『残されし者たちの道程』 じゃあ、またね! |
17644 | ・・・・・・(驚きの表情で硬直中) | 十叶 夕海 | 2006/5/16 22:16:46 |
記事番号17643へのコメント 久遠;・・・・・・って、忠告もらったのに、驚いて、硬直してるわね。 ユア;ともかく、レス行きます。 > > > とん、と、爪先が地を蹴り、一つ、銀光が疾る。 > 降りそそぐ光を呪文が防ぎ、残滓が零れ落ちる。 > 虚無の瞳のアリエスは、ただ淡々と攻撃を続ける。リナとガウリイには目もくれず、ただひたすらに、ルピナスだけを。 > しかしルピナスは、その攻撃を易々とかわし続けていた。アリエスの攻撃は、普段の彼女から考えればあまりにも遅く、あまりに単調だった。まるで出来の悪いマリオネットのように、その動きはどんどんとぎこちなく、隙だらけになってゆく。 > それは、傍から見れば、怪我をしたアリエスが、無理を押して動いているように見えたかもしれない ユア:ノリでいうなら、アニメNEXTのラストのほうのガウリィみたいな感じ? 久遠;見てない人に、分からない感想を入れないの。 アニメの方に、ガウリィがフィブリゾの操り人形になってて、でも、意識あっても 身体は動かせなかったし、普段のガウリィより、動きが鈍かったということね。 > > だから、そこに、指揮系統の回復を半ば諦め、自らの足で動いていたフェリセが通りかかったこととか。 > そのフェリセが、明らかに様子のおかしいアリエスを援護すべく、3筋の光線を放ったこととか。 > 不規則な軌道を描くそれに、ルピナスの対応が一瞬遅れたこととか。 > それは皆、『運命』。 > 久遠;もしくは、偶さかに然るべくおこったこと。って言い換えてもいいわね。 > > * * * * * > > > 気付いたときには、アリエスの体は動き出していた。奥底に押し込められていた『ココロ』が、檻を破って浮上する。 > ルピナスに迫る3つの光。あれは、ルピナスを傷つけるもの。 >(守らなければ・・・・・・・・) > ああ、なぜこれほどに体が重いのだろう・・・・?いや、その理由はわかっている。アリエスの心を封じ、体を操っていたもの。あの『透明な檻』のせいだ。まだ、完全に体に自由が戻ったわけではない。それでも、今、この時に動かねばならないのだ。 > 光線とルピナスの間に体をねじ込む。間に合うだろうか?この体は、フェリセの放つ『力』に耐え切れるだろうか?全ての疑問は、その瞬間、頭から消えうせていた。 >「「アリエス!?」」 > 2つの叫び声。これは、ルピナスとフェリセの声。 > 訪れた、一瞬の交錯。 > > そして、背に感じた、『2つ』の衝撃。 > > > * * * * * > > >「・・・・・・・・ぅっ・・・・」 > 小さく呻いて、アリエスは半身を起こした。どうやら一瞬意識が飛んだようだが、何とか体は持ったようだ。 > 軽く首を振り、衝撃の影響か霞んだ眼をぱしぱしと瞬かせつつ、立ち上がろうと地に手をついた。 > > 湿った感触がした。何だか粘ついた液体で、地面が濡れている。地についた手を持ち上げてみる・・・・ぼんやりと、赤い色が見える。 > > 少しずつ、視力が戻ってきた。『それ』はアリエスの傍らの『もの』から流れ出し、足元を浸した。 > > のろのろと顔を上げ、『それ』を見る。・・・・・・・・『それ』は、血。 > ルピナスの、血。 > > > せかい が こわれる おと が した > > >「・・・・・・・・ルピナス・・・・?」 > > 見れば、ルピナスの胸の中心に、深く穿たれた穴ひとつ。 > 真紅のそれは、間違えようも無く致命傷。 > >「ルピナス・・・・・・・・?」 > > 放たれた光は3筋。アリエスが受けたのは2筋。残ったのは1筋。とても簡単な引き算。 > その1筋はここ・・・・ルピナスの胸を貫いて、虚空へ還った。 ユア;・・・・・・・ふぅ(気絶) 久遠:二回目なのに、気絶しない。 ・・・・・・・一言いうなら、『運命なんて大嫌い。』 そんなモノのせいで・・・・・ > >「・・・・ルピナス・・・・・・・・・・・・?」 > > ルピナスは答えない。もはや、答える声を持たない。永遠の喪失。 > > アリエスは、そっとルピナスをかき抱いた。 > >「私は・・・・私は、また、守れなかった・・・・・・・・」 > 若草色の着衣が、血の色に染まってゆく。いつしかその流れが失せても、アリエスは動かない。 >その温もりを逃がさぬように、その『生命』を捕えるように。 >「・・・・アリエス・・・・」 > フェリセの声に滲むのは、悔恨か、哀悼か・・・・。その声すら、アリエスには届かぬようで。 > > しばらくして、アリエスはふと顔を上げた。 >「いいえ・・・・私には、まだ出来ることがある。」 > その呟きが消える前に、アリエスはルピナスと共に、忽然と消えうせた。 久遠;助かってよ・・・・・助かってよ、ルピナスちゃん。 貴方が死んだら、誰がアリエスちゃんをこっち側に引き止めるの・・・・・・・。 > > あとがき、或いは語り部が告げる未来 >語:やあ、こんな展開の今回、どうだったかな? >とはいっても・・・・ルピナスがどうなったか?って言うのが判明するのは、次回じゃなくてもう一つ先なんだよね。 > さて、じゃあ、語ろうか。未来に連なる欠片の一つを・・・・ > 消えた乙女と青年は、いずこへと行ったのか? > 考えることは多い。しかし、今は時ではないと言う声がある。 > 今は、走り続けよう。 > 再びの邂逅を心に描いて・・・・ > 次回、『時の旅人』46話、『残されし者たちの道程』 > じゃあ、またね! 久遠;ユアちゃんが、廃人というか、精神が遥か彼方に逝っているというか。 次回まで、戻ってこられるかしら? ともかく、次回も楽しみにしてるわ。 それじゃあね。 > > |
17645 | もう本当にすみませんとしか・・・・ | 羅城 朱琉 | 2006/5/17 08:33:47 |
記事番号17644へのコメント > > > >久遠;・・・・・・って、忠告もらったのに、驚いて、硬直してるわね。 >ユア;ともかく、レス行きます。 朱琉:こんにちは。やっぱり、驚きましたか・・・・ アミイ:どう考えても『悪い意味で』で。 朱琉:うぅ・・・・。では、返レス参ります。 > > > >> >> >> とん、と、爪先が地を蹴り、一つ、銀光が疾る。 >> 降りそそぐ光を呪文が防ぎ、残滓が零れ落ちる。 >> 虚無の瞳のアリエスは、ただ淡々と攻撃を続ける。リナとガウリイには目もくれず、ただひたすらに、ルピナスだけを。 >> しかしルピナスは、その攻撃を易々とかわし続けていた。アリエスの攻撃は、普段の彼女から考えればあまりにも遅く、あまりに単調だった。まるで出来の悪いマリオネットのように、その動きはどんどんとぎこちなく、隙だらけになってゆく。 >> それは、傍から見れば、怪我をしたアリエスが、無理を押して動いているように見えたかもしれない > > >ユア:ノリでいうなら、アニメNEXTのラストのほうのガウリィみたいな感じ? >久遠;見てない人に、分からない感想を入れないの。 > アニメの方に、ガウリィがフィブリゾの操り人形になってて、でも、意識あっても >身体は動かせなかったし、普段のガウリィより、動きが鈍かったということね。 朱琉:まさにあんな感じです。 アミイ:操ってるのは、『中枢予定表』だけどね。で、アリエスちゃんが中で抵抗した結果、動きが鈍っているという。 > > >> >> だから、そこに、指揮系統の回復を半ば諦め、自らの足で動いていたフェリセが通りかかったこととか。 >> そのフェリセが、明らかに様子のおかしいアリエスを援護すべく、3筋の光線を放ったこととか。 >> 不規則な軌道を描くそれに、ルピナスの対応が一瞬遅れたこととか。 >> それは皆、『運命』。 >> > >久遠;もしくは、偶さかに然るべくおこったこと。って言い換えてもいいわね。 アミイ:『運命』、『偶然』、『必然』、『定められていたこと』・・・・何とでも言い換えれるわね。 > >> >> * * * * * >> >> >> 気付いたときには、アリエスの体は動き出していた。奥底に押し込められていた『ココロ』が、檻を破って浮上する。 >> ルピナスに迫る3つの光。あれは、ルピナスを傷つけるもの。 >>(守らなければ・・・・・・・・) >> ああ、なぜこれほどに体が重いのだろう・・・・?いや、その理由はわかっている。アリエスの心を封じ、体を操っていたもの。あの『透明な檻』のせいだ。まだ、完全に体に自由が戻ったわけではない。それでも、今、この時に動かねばならないのだ。 >> 光線とルピナスの間に体をねじ込む。間に合うだろうか?この体は、フェリセの放つ『力』に耐え切れるだろうか?全ての疑問は、その瞬間、頭から消えうせていた。 >>「「アリエス!?」」 >> 2つの叫び声。これは、ルピナスとフェリセの声。 >> 訪れた、一瞬の交錯。 >> >> そして、背に感じた、『2つ』の衝撃。 >> >> >> * * * * * >> >> >>「・・・・・・・・ぅっ・・・・」 >> 小さく呻いて、アリエスは半身を起こした。どうやら一瞬意識が飛んだようだが、何とか体は持ったようだ。 >> 軽く首を振り、衝撃の影響か霞んだ眼をぱしぱしと瞬かせつつ、立ち上がろうと地に手をついた。 >> >> 湿った感触がした。何だか粘ついた液体で、地面が濡れている。地についた手を持ち上げてみる・・・・ぼんやりと、赤い色が見える。 >> >> 少しずつ、視力が戻ってきた。『それ』はアリエスの傍らの『もの』から流れ出し、足元を浸した。 >> >> のろのろと顔を上げ、『それ』を見る。・・・・・・・・『それ』は、血。 >> ルピナスの、血。 >> >> >> せかい が こわれる おと が した >> >> >>「・・・・・・・・ルピナス・・・・?」 >> >> 見れば、ルピナスの胸の中心に、深く穿たれた穴ひとつ。 >> 真紅のそれは、間違えようも無く致命傷。 >> >>「ルピナス・・・・・・・・?」 >> >> 放たれた光は3筋。アリエスが受けたのは2筋。残ったのは1筋。とても簡単な引き算。 >> その1筋はここ・・・・ルピナスの胸を貫いて、虚空へ還った。 > > > >ユア;・・・・・・・ふぅ(気絶) >久遠:二回目なのに、気絶しない。 > ・・・・・・・一言いうなら、『運命なんて大嫌い。』 > そんなモノのせいで・・・・・ アミイ:まさしく『そんなモノ』のせいで、よ!これで終わりになんて、絶対させないんだから! > >> >>「・・・・ルピナス・・・・・・・・・・・・?」 >> >> ルピナスは答えない。もはや、答える声を持たない。永遠の喪失。 >> >> アリエスは、そっとルピナスをかき抱いた。 >> >>「私は・・・・私は、また、守れなかった・・・・・・・・」 >> 若草色の着衣が、血の色に染まってゆく。いつしかその流れが失せても、アリエスは動かない。 >>その温もりを逃がさぬように、その『生命』を捕えるように。 >>「・・・・アリエス・・・・」 >> フェリセの声に滲むのは、悔恨か、哀悼か・・・・。その声すら、アリエスには届かぬようで。 >> >> しばらくして、アリエスはふと顔を上げた。 >>「いいえ・・・・私には、まだ出来ることがある。」 >> その呟きが消える前に、アリエスはルピナスと共に、忽然と消えうせた。 > > >久遠;助かってよ・・・・・助かってよ、ルピナスちゃん。 > 貴方が死んだら、誰がアリエスちゃんをこっち側に引き止めるの・・・・・・・。 アミイ:絶対に助かるわ。助かるに決まっているでしょう!だって・・・・だって、ここで終わっちゃったら、それこそ『運命に負けた』ことになるんだから! 朱琉:エキサイトするアミイさんはともかく・・・・その後ルピ君がどうなるかは、次の次で判明します。 アミイ:朱琉ぅ〜・・・・!?あんた、これで悲劇に終わらせるようだったら、タダじゃおかないわよ!? 朱琉:わかってますって!なるべく早く更新します。 > >> >> あとがき、或いは語り部が告げる未来 >>語:やあ、こんな展開の今回、どうだったかな? >>とはいっても・・・・ルピナスがどうなったか?って言うのが判明するのは、次回じゃなくてもう一つ先なんだよね。 >> さて、じゃあ、語ろうか。未来に連なる欠片の一つを・・・・ >> 消えた乙女と青年は、いずこへと行ったのか? >> 考えることは多い。しかし、今は時ではないと言う声がある。 >> 今は、走り続けよう。 >> 再びの邂逅を心に描いて・・・・ >> 次回、『時の旅人』46話、『残されし者たちの道程』 >> じゃあ、またね! > >久遠;ユアちゃんが、廃人というか、精神が遥か彼方に逝っているというか。 > 次回まで、戻ってこられるかしら? > ともかく、次回も楽しみにしてるわ。 > それじゃあね。 朱琉:はい、それではまた! 二人:また次回! > >> >> |
17647 | Re:時の旅人 45:せかいがこわれるおと | 神高 紅 | 2006/5/18 00:57:13 |
記事番号17643へのコメント 紅:こんにちはー羅城さん。神高紅でする。 コ:・・・・・・つーか何普通に挨拶してるかなてめえは。どんだけぶりだと思ってんだよこの馬鹿阿呆。とっくのとうに忘れ去られてるぞ。 ク:まったく・・一ヶ月どころじゃないですねえ・・神滅斬くらいたいんですか・・? 紅:いやあのほんとにごめんなさい。ここしばらく完全にサボってただけなので反論は一切出来ないです。まあとにもかくにもとりあえずは今回分の感想をば綴らせて貰います。 > だから、そこに、指揮系統の回復を半ば諦め、自らの足で動いていたフェリセが通りかかったこととか。 > そのフェリセが、明らかに様子のおかしいアリエスを援護すべく、3筋の光線を放ったこととか。 > 不規則な軌道を描くそれに、ルピナスの対応が一瞬遅れたこととか。 > それは皆、『運命』。 紅:『運命』、その一言で括るには出来すぎな気もしますが。 コ:或いは既に確定事項だったのかもな。手の平な上な気分で気にはいらねえが。 > 気付いたときには、アリエスの体は動き出していた。奥底に押し込められていた『ココロ』が、檻を破って浮上する。 > ルピナスに迫る3つの光。あれは、ルピナスを傷つけるもの。 >(守らなければ・・・・・・・・) > ああ、なぜこれほどに体が重いのだろう・・・・?いや、その理由はわかっている。アリエスの心を封じ、体を操っていたもの。あの『透明な檻』のせいだ。まだ、完全に体に自由が戻ったわけではない。それでも、今、この時に動かねばならないのだ。 > 光線とルピナスの間に体をねじ込む。間に合うだろうか?この体は、フェリセの放つ『力』に耐え切れるだろうか?全ての疑問は、その瞬間、頭から消えうせていた。 >「「アリエス!?」」 > 2つの叫び声。これは、ルピナスとフェリセの声。 > 訪れた、一瞬の交錯。 ク:まさしく・・想いがからだを動かしましたね・・ コ:ある意味無心に近い境地にあったともいえるのかねえ。 >「・・・・・・・・ぅっ・・・・」 > 小さく呻いて、アリエスは半身を起こした。どうやら一瞬意識が飛んだようだが、何とか体は持ったようだ。 > 軽く首を振り、衝撃の影響か霞んだ眼をぱしぱしと瞬かせつつ、立ち上がろうと地に手をついた。 > > 湿った感触がした。何だか粘ついた液体で、地面が濡れている。地についた手を持ち上げてみる・・・・ぼんやりと、赤い色が見える。 > > 少しずつ、視力が戻ってきた。『それ』はアリエスの傍らの『もの』から流れ出し、足元を浸した。 > > のろのろと顔を上げ、『それ』を見る。・・・・・・・・『それ』は、血。 > ルピナスの、血。 > > > せかい が こわれる おと が した > > >「・・・・・・・・ルピナス・・・・?」 > > 見れば、ルピナスの胸の中心に、深く穿たれた穴ひとつ。 > 真紅のそれは、間違えようも無く致命傷。 > >「ルピナス・・・・・・・・?」 > > 放たれた光は3筋。アリエスが受けたのは2筋。残ったのは1筋。とても簡単な引き算。 > その1筋はここ・・・・ルピナスの胸を貫いて、虚空へ還った。 紅:痛ましいとしか言いようがない光景ですね。 コ:はっ・・・胸糞悪いな。 ク:少なくともここにいる誰しもが罪はなく・・誰しもにとって・・最悪と言っていい『運命』ですね・・ >「・・・・ルピナス・・・・・・・・・・・・?」 > > ルピナスは答えない。もはや、答える声を持たない。永遠の喪失。 > > アリエスは、そっとルピナスをかき抱いた。 > >「私は・・・・私は、また、守れなかった・・・・・・・・」 > 若草色の着衣が、血の色に染まってゆく。いつしかその流れが失せても、アリエスは動かない。 >その温もりを逃がさぬように、その『生命』を捕えるように。 >「・・・・アリエス・・・・」 > フェリセの声に滲むのは、悔恨か、哀悼か・・・・。その声すら、アリエスには届かぬようで。 > > しばらくして、アリエスはふと顔を上げた。 >「いいえ・・・・私には、まだ出来ることがある。」 > その呟きが消える前に、アリエスはルピナスと共に、忽然と消えうせた。 ク:いつかはくる別れといえども・・唐突に過ぎ・・あまりに理不尽・・ コ:しかしアリエスには、まだ何か当てでもあるようだな。語り部か姉関係か? > あとがき、或いは語り部が告げる未来 >語:やあ、こんな展開の今回、どうだったかな? >とはいっても・・・・ルピナスがどうなったか?って言うのが判明するのは、次回じゃなくてもう一つ先なんだよね。 > さて、じゃあ、語ろうか。未来に連なる欠片の一つを・・・・ > 消えた乙女と青年は、いずこへと行ったのか? > 考えることは多い。しかし、今は時ではないと言う声がある。 > 今は、走り続けよう。 > 再びの邂逅を心に描いて・・・・ > 次回、『時の旅人』46話、『残されし者たちの道程』 > じゃあ、またね! 紅:今回もおもしろかったですよ。次回以降は出来るだけレスするように心がけますので、なにとぞ記憶の片隅にでも覚えて置いてください。 コ:つーかお前もとっとと書けよ。 紅:それを言われるとキツイねえ・・・近日中にはなんとかかんとか・・・ ク:全然ダメダメですねえ・・ 紅:言うな。まあとにかく今日はこの辺で。また次回以降のレスでお会いできたらいいなー・・・ コ&ク:(願望なんだ・・・) |
17649 | お久しぶりです・・・・って、前回もこんなタイトルだった気が・・・・ | 羅城 朱琉 | 2006/5/18 08:39:52 |
記事番号17647へのコメント >紅:こんにちはー羅城さん。神高紅でする。 >コ:・・・・・・つーか何普通に挨拶してるかなてめえは。どんだけぶりだと思ってんだよこの馬鹿阿呆。とっくのとうに忘れ去られてるぞ。 >ク:まったく・・一ヶ月どころじゃないですねえ・・神滅斬くらいたいんですか・・? >紅:いやあのほんとにごめんなさい。ここしばらく完全にサボってただけなので反論は一切出来ないです。まあとにもかくにもとりあえずは今回分の感想をば綴らせて貰います。 朱琉:こんにちは、お久しぶりで。忘れてません、大丈夫です。 カタリ:朱琉も、たまにサボる・・・・っていうか、唐突に頭が真っ白になって書けないこととかあるからねぇ。 朱琉:いいんです!今は筆が乗ってるので!・・・・では、返レスいきます。 >> だから、そこに、指揮系統の回復を半ば諦め、自らの足で動いていたフェリセが通りかかったこととか。 >> そのフェリセが、明らかに様子のおかしいアリエスを援護すべく、3筋の光線を放ったこととか。 >> 不規則な軌道を描くそれに、ルピナスの対応が一瞬遅れたこととか。 >> それは皆、『運命』。 >紅:『運命』、その一言で括るには出来すぎな気もしますが。 >コ:或いは既に確定事項だったのかもな。手の平な上な気分で気にはいらねえが。 カタリ:今は、『運命』と『確定事項』の間に、意味の差はほとんど無いからね。どちらとも言えるし、言い換えようと思えば何とでも言える。 朱琉:確かに。でも、出来すぎた偶然を運命と呼称するのはよくあることでは? カタリ:その『運命』とは、いささか違うけどね。 >> 気付いたときには、アリエスの体は動き出していた。奥底に押し込められていた『ココロ』が、檻を破って浮上する。 >> ルピナスに迫る3つの光。あれは、ルピナスを傷つけるもの。 >>(守らなければ・・・・・・・・) >> ああ、なぜこれほどに体が重いのだろう・・・・?いや、その理由はわかっている。アリエスの心を封じ、体を操っていたもの。あの『透明な檻』のせいだ。まだ、完全に体に自由が戻ったわけではない。それでも、今、この時に動かねばならないのだ。 >> 光線とルピナスの間に体をねじ込む。間に合うだろうか?この体は、フェリセの放つ『力』に耐え切れるだろうか?全ての疑問は、その瞬間、頭から消えうせていた。 >>「「アリエス!?」」 >> 2つの叫び声。これは、ルピナスとフェリセの声。 >> 訪れた、一瞬の交錯。 >ク:まさしく・・想いがからだを動かしましたね・・ >コ:ある意味無心に近い境地にあったともいえるのかねえ。 朱琉:しばらく前から、絶対に書くつもりだったシーンですv カタリ:だから君、性格悪いって言われるんだよ・・・・。無心で助けるって、見た目は美しいけど・・・・見た目は、ね。 >>「・・・・・・・・ぅっ・・・・」 >> 小さく呻いて、アリエスは半身を起こした。どうやら一瞬意識が飛んだようだが、何とか体は持ったようだ。 >> 軽く首を振り、衝撃の影響か霞んだ眼をぱしぱしと瞬かせつつ、立ち上がろうと地に手をついた。 >> >> 湿った感触がした。何だか粘ついた液体で、地面が濡れている。地についた手を持ち上げてみる・・・・ぼんやりと、赤い色が見える。 >> >> 少しずつ、視力が戻ってきた。『それ』はアリエスの傍らの『もの』から流れ出し、足元を浸した。 >> >> のろのろと顔を上げ、『それ』を見る。・・・・・・・・『それ』は、血。 >> ルピナスの、血。 >> >> >> せかい が こわれる おと が した >> >> >>「・・・・・・・・ルピナス・・・・?」 >> >> 見れば、ルピナスの胸の中心に、深く穿たれた穴ひとつ。 >> 真紅のそれは、間違えようも無く致命傷。 >> >>「ルピナス・・・・・・・・?」 >> >> 放たれた光は3筋。アリエスが受けたのは2筋。残ったのは1筋。とても簡単な引き算。 >> その1筋はここ・・・・ルピナスの胸を貫いて、虚空へ還った。 >紅:痛ましいとしか言いようがない光景ですね。 >コ:はっ・・・胸糞悪いな。 >ク:少なくともここにいる誰しもが罪はなく・・誰しもにとって・・最悪と言っていい『運命』ですね・・ カタリ:確かに、この場の誰にも罪は無い。罪があるとすれば、それは『運命』を創っている者。しかし、それすらも被害者なのかもしれないね・・・・ 朱琉:例え、誰に罪があろうと無かろうと、実際に『最悪の事態』が起こってしまったんですから・・・・ カタリ:そう、大切なのは、ここからどう動くか、だ。 >>「・・・・ルピナス・・・・・・・・・・・・?」 >> >> ルピナスは答えない。もはや、答える声を持たない。永遠の喪失。 >> >> アリエスは、そっとルピナスをかき抱いた。 >> >>「私は・・・・私は、また、守れなかった・・・・・・・・」 >> 若草色の着衣が、血の色に染まってゆく。いつしかその流れが失せても、アリエスは動かない。 >>その温もりを逃がさぬように、その『生命』を捕えるように。 >>「・・・・アリエス・・・・」 >> フェリセの声に滲むのは、悔恨か、哀悼か・・・・。その声すら、アリエスには届かぬようで。 >> >> しばらくして、アリエスはふと顔を上げた。 >>「いいえ・・・・私には、まだ出来ることがある。」 >> その呟きが消える前に、アリエスはルピナスと共に、忽然と消えうせた。 >ク:いつかはくる別れといえども・・唐突に過ぎ・・あまりに理不尽・・ >コ:しかしアリエスには、まだ何か当てでもあるようだな。語り部か姉関係か? カタリ:いや・・・・アリエスは僕に頼ってくれるような性格してないと思うけど・・・・。リブラもこんなこと予想して無いだろうし・・・・ 朱琉:つまりは? カタリ:・・・・・・・・自力で? 朱琉:それも無茶かと・・・・ カタリ:何にしろ、待て次々回、かな? >> あとがき、或いは語り部が告げる未来 >>語:やあ、こんな展開の今回、どうだったかな? >>とはいっても・・・・ルピナスがどうなったか?って言うのが判明するのは、次回じゃなくてもう一つ先なんだよね。 >> さて、じゃあ、語ろうか。未来に連なる欠片の一つを・・・・ >> 消えた乙女と青年は、いずこへと行ったのか? >> 考えることは多い。しかし、今は時ではないと言う声がある。 >> 今は、走り続けよう。 >> 再びの邂逅を心に描いて・・・・ >> 次回、『時の旅人』46話、『残されし者たちの道程』 >> じゃあ、またね! >紅:今回もおもしろかったですよ。次回以降は出来るだけレスするように心がけますので、なにとぞ記憶の片隅にでも覚えて置いてください。 >コ:つーかお前もとっとと書けよ。 >紅:それを言われるとキツイねえ・・・近日中にはなんとかかんとか・・・ >ク:全然ダメダメですねえ・・ >紅:言うな。まあとにかく今日はこの辺で。また次回以降のレスでお会いできたらいいなー・・・ >コ&ク:(願望なんだ・・・) 朱琉:はい、では、私も会えたらいいなー、と思いつつ、今回はこの辺で。 カタリ:無理しない程度で、お願いしたいな。 二人:では、また! |
17648 | 時の旅人 46:残されし者たちの道程 | 羅城 朱琉 | 2006/5/18 08:26:10 |
記事番号17643へのコメント こんにちは、羅城 朱琉です。 一応、某人物の正体暴露編ですが・・・・ まあ、早速どうぞ! 時の旅人 46:残されし者たちの道程 「リナ、ガウリイ!」 止まっていた場を動かしたのは、少し離れた場所から聞こえてきたゼルの声だった。見れば、木々の向こうに白い服二つに神官服。ジュジュのところに残してきた3人が来たらしい。 木々をかき分け、草原に出て・・・・・・・・3人もまた、絶句した。 風に散らされて入るものの、確かに残る鉄錆に似た匂い。地には、赤黒く粘っこい液体・・・・血。誰のものかはわからないにしろ、それは不吉な予感をかき立てるには十分すぎるものだった。 「結局、こうなってしまった・・・・か。」 背後から聞こえたその声に、今まで呆然と立ち尽くしていたフェリセが振り返る。 「あ・・・・・・・・!」 そして、再び硬直。しかし、その人物・・・・語り部は、悠然と、と表現するのが一番正しいであろう落ち着いた足取りで、血だまりの元へと歩いた。白い衣の裾が血で汚れることも厭わず、そこに膝をつき、血に触れた。 「・・・・ルピナス、だろう?」 「えっ!?」 突然話を振られたリナは、未だ衝撃から抜けきれず、慌てふためく。 「この血の主。ここで倒れた者・・・・ルピナスだろう?」 「あ・・・・・・・・うん。」 語り部の言葉に多少冷静さを取り戻したのか、リナは幾分はっきりと頷いた。 「ルピナス・・・・が・・・・!?」 レンが絶望したように呻いた。しかし、語り部は信じられないほどに冷静。 「アリエスが連れて行ったんだろう?・・・・ならば、何とかするだろうよ。」 呟いた語り部の視線が、リナの足元へと向けられる。そこに一点の光が灯った、と思った次の瞬間、リナと、ガウリイ、ゼル、アメリア、そしてレンを包み込むように光が立ち昇る。 「先に帰っていて・・・・ブレードヴィレッジに。」 あまりに突然の出来事だった。語り部の声が届ききる前に、彼らは飛ばされていた。 * * * * * 5人が消えたその後で、語り部はフェリセと対峙していた。 「さて・・・・久しいね、ステラ・・・・いや、今はフェリセだったかな?」 まるで旧知の友に語りかけるように、語り部の口調は穏やかだ。しかし、フェリセの瞳には怯えの色。それは、語り部を恐れているかのように。 「な・・・・なんで、ここに・・・・」 フェリセの問いに、語り部はさらりと答える。 「『運命』を破壊するために。」 「嘘よ!!」 信じられない、と、フェリセは頭を振った。今度は語り部が問う。 「どうして、嘘だと思う?」 「だって、そんな・・・・自分で自分の存在意義を切り捨てるはずないじゃない・・・・」 ぼそぼそと言うフェリセに、語り部はやれやれと首を振った。 「本当なんだけどねぇ・・・・」 「そうよ、本当にその方、運命の破壊を目指してるわ。」 唐突に背後に現れた第3の声に、フェリセは驚いて振り返った。そこにいたのは、フェリセもよく知る人物・・・・ミュシカ。 「ミュシカ・・・・?何であんたこんな所に・・・・っていうか、知り合い!?知り合いなわけ?どうなってるのよ一体!!?」 ミュシカはひょい、と肩をすくめると、すたすたと歩いて語り部の横に立つ。 「どうもこうも・・・・こういうことでして。」 言うなり、ミュシカは全身を覆うフード付黒マントを剥ぎ取った。 流れ落ちる片みずらに結った黒髪、金と銀のオッドアイ。ミュシカとは別の意味で、よく知った人物がそこにいた。 フェリセは叫んだ。 「あぁー!!!!あ、あんた・・・・・・・・『矯正の鈴音』ファリウ!?」 ミュシカ・・・・いや、ファリウは、いたずらが成功した子供のようににまりと笑った。 「ご名答!私はファリウ・・・・本名を、ファリウミュシカ=ヴィ=フーアと言います。騙しててごめんなさいね?」 「嘘・・・・でしょう?だって、気配全然違うじゃない・・・・?」 「そんなもの、ごまかしようはいくらでも。私自身で気配かえると不自然さが残るので・・・・」 そう言って、語り部をぴしっと指差す。 「この方に頼んで変えてもらいました。」 フェリセは、真っ白になった。 茫然自失に陥ったフェリセにかまわず、語り部はファリウに言う。 「それで、ファリウ・・・・『例の物』はどうなった?」 「それがですね・・・・」 ファリウは、脱ぎ捨てたマントを拾い上げ、中から何かを取り出した。 「見ての通り、ダメでした。『聖石』が限界超えちゃったみたいで。」 それは、『聖石』であったもの。つい先ほどまで蒼い光を湛えていたそれは、赤く濁り、ひび割れていた。 「そうか・・・・。これなら何とかなるかと思ったんだけどね・・・・。まあいい、行こうか?」 「はい。」 そして、語り部はファリウを伴い転移を始める。そこでようやくフェリセが我に返り、言った。 「ちょっと、待ちなさいよ!!」 光が舞い踊る中で、語り部はフェリセに語る。それは、いつもの語り部とは少し違った、荘厳で厳粛な声。 「フェリセ・・・・僕を憎んでもいい。それは間違っていない。」 「!?」 「でも・・・・よく考えてみて。今、この時に、悲劇を紡いでいるのは『何』なのか。そして・・・・」 語り部は、どこか遠くを見るような眼差しをしている。 「アリエスがなぜ、苦しんでいるのか。君は知るべきだと思うよ・・・・アリエスの『友』なのだから。」 そうとだけ言い残し、語り部とファリウは消える。 残されたのは、フェリセ。そして、語り部の残した謎。 「何なのよ、一体・・・・」 フェリセの問いに答えるものは、ない。 あとがき、或いは語り部の告げる未来 語:やあ、こんにちは!今回はどうだったかな? ・・・・と、言いつつ、次回のほうが気になると思うけどね(笑) じゃあ、早速次回の欠片を語ろう。 一度は費えたはずの命。それは、再び灯された。 手に入れた時間の代償は、再びの別離。 朽ちぬ思いを胸に、彼は再び歩き出す。 その影で支払われた、もう一つの代償を知らずに・・・・ 次回、『時の旅人』47話、『愚者の選択』 じゃあ、またなるべく近いうちにね! |
17652 | 時の旅人 47:愚者の選択 | 羅城 朱琉 | 2006/5/19 08:22:44 |
記事番号17643へのコメント こんにちは!羅城 朱琉です。 ついについに、長かった第4部も最終話を迎えました!・・・・と、いいつつ、徒然編という名の裏話がまだ残ってるんですけどね。 と、言う訳で、第4部『聖石の使徒編』ラストを、どうぞ! 時の旅人 47:愚者の選択 「・・・・・・・・あれ・・・・?」 視界にあるものは、青く澄んだ空。柔らかく気持ちのいい風が吹きぬける。何だか間の抜けた声を洩らして、ルピナスは目を覚ました。 「気がついたかい?」 言葉がかけられて、その人の存在に気付いた。語り部だ。 「どこか、体に違和感があったりしない?」 ゆっくりと体を起こし、あちこちを動かしてみる。少しだるいが、特に変わりはなさそうだ。それをそのまま伝えると、語り部はほっと息をついた。 「よかった・・・・」 「あの・・・・僕は一体・・・・?」 まだ少し呆けた頭で問うと、語り部は首をかしげた。 「覚えてないのかい?君は、さっきまで死んでいたんだけど。」 「え?・・・・・・・・あ!」 唐突に、記憶がよみがえる。そうだ、確かに自覚していた。体を貫いていった、冷ややかな光を。逃げてゆく熱を。闇に落ちていく感覚を。そして・・・・最後に見た、悲しいほどに綺麗な、アリエスの淡緑色の瞳を・・・・。 「そうだ・・・・。でも、僕はなら、何で生きてるんだ?・・・・もしかして、語り部さんが治してくれたんですか?」 ルピナスの問いに、しかし語り部は首を横に振る。 「いいや、僕ではない。君を治したのはアリエスだ。」 「アリエスが!?なら、アリエスはここに!!?」 「ついさっきまでは、確かにここにいたけどね。とりあえず、伝言を伝えておくよ。・・・・『怪我をさせるつもりはなかった。ごめんなさい。』だってさ。」 人づてに言葉を伝えられるのは、思ったよりもずっと悲しかった。アリエスに伝えたい・・・・ありきたりな言葉だけれど、『君のせいではない』と。 「アリエスは・・・・今、どこに?」 「さあ?」 語り部は、軽く肩をすくめる。 「ヒントならあるけどね。・・・・・・・・『シーシェンズに会いに行く』、だってさ。」 「シーシェンズ?」 ルピナスは、何だそれはとでも言うように問いを返す。語り部は、それに対する答えそのものは言わなかった。ただ、ヒントをくれるだけで。 「知りたいのなら、レンシェルマに聞くといい。『シーシェンズとは何か』と問いかければいい。そうすれば、彼は答えるだろうよ。」 「レン、に?」 語り部は、こくりと頷いた。 「レンシェルマはブレードヴィレッジに送った。行くなら、君も送るけど?」 迷う理由が何処にあろうか?ルピナスは即座に首を縦に振る。語り部の口が小さく動くと、ルピナスは光に包まれ・・・・消えた。 ルピナスが消えたことを確認すると、語り部は背後の茂みに声をかけた。 「さて、僕にはこれが限界だけど。約束は果たせたよね?」 茂みからは、返事は無い。語り部は茂みに近づくと、それをひょい、と乗り越えた。 そこには、一本の木がある。まだ若い木なのだろう。幹もそう太くは無く、葉もどことなく浅い色だ。その根元に寄りかかるようにして、1人の少女が目を閉じている。 「やっぱり、気絶しちゃったか・・・・。無茶のしすぎだよ、アリエス。」 そう、それはアリエスだ。瞳は閉ざされ、顔色は蒼白。浅く速い呼吸は、消耗を如実に表している。語り部は、労るようにその頬に触れた。 「バカだね、まったく・・・・。時を巻き戻して、死んだこと自体を無かったことにする、なんて、そんな方法、神ならぬ人の身で耐えれるはず無いだろう?・・・・大分、生命を削ってしまって・・・・。君、本当に死ぬ気かい?・・・・・・・・でもね・・・・君の選択を、愚かしいと人は言うかもしれないけど・・・・・・・・君は、それでいい。心のままに、生きればいい。縛られる必要なんてないんだ。」 言いつつ、語り部はアリエスを抱き上げる。ぐったりとしたアリエスを、いわゆる『お姫様だっこ』にして、語り部は再び呪文を唱えた。 そして、空間を渡る。アリエスを休ませるために。 一つの『運命』の終息は、新たなる『運命』の始まり。綾なす時のタペストリーは、まだ、終わることはない・・・・ それでも・・・・・・・・それでも、今だけは・・・・ あとがき、或いは語り部の告げる未来 語:やあ、今回はどうだったかな? 通算なんと26話(内、外伝1話)も続いた第4部・別名、聖石の使徒編も、これで一応は終了だ。 次回は番外、徒然編。ルピナスが目覚めるまで、アリエスと僕とが何をしていたか、ってことを書くよ。 じゃあ、未来の欠片を語ろうか? 願いは一つ、青年の目覚め。その術を、乙女は見出していた。 例えその失敗が、滅びと同義語であろうとも・・・・ 連なる時より離れし者が、自ら思いを語るとき 『運命』すら捻じ曲げ、『奇跡』は生まれる。 次回、『時の旅人・徒然編』徒然之四、『So what?』 じゃあ、またね! |
17653 | 再会は ほんの一瞬のすれ違い | 十叶 夕海 | 2006/5/21 21:42:54 |
記事番号17652へのコメント > こんにちは!羅城 朱琉です。 > ついについに、長かった第4部も最終話を迎えました!・・・・と、いいつつ、徒然編という名の裏話がまだ残ってるんですけどね。 > と、言う訳で、第4部『聖石の使徒編』ラストを、どうぞ! ユア;こんにちは、ユアです。 久遠:微妙に、ハイテンションね。 ユア;ルピくんが無事だったのと、本日投稿予定の『家族の写真』書いてた時の名残です。 久遠;ユアちゃん、ラブコメとかラブロマ書きなれてないもんね。 ユア;ともかく、レス行きます。 > >「・・・・・・・・あれ・・・・?」 > 視界にあるものは、青く澄んだ空。柔らかく気持ちのいい風が吹きぬける。何だか間の抜けた声を洩らして、ルピナスは目を覚ました。 >「気がついたかい?」 > 言葉がかけられて、その人の存在に気付いた。語り部だ。 >「どこか、体に違和感があったりしない?」 > ゆっくりと体を起こし、あちこちを動かしてみる。少しだるいが、特に変わりはなさそうだ。それをそのまま伝えると、語り部はほっと息をついた。 >「よかった・・・・」 >「あの・・・・僕は一体・・・・?」 > まだ少し呆けた頭で問うと、語り部は首をかしげた。 >「覚えてないのかい?君は、さっきまで死んでいたんだけど。」 >「え?・・・・・・・・あ!」 久遠:語り部ちゃん、あっさり言い過ぎよ。 ユア;でも、ほかに言いようも無いでしょう。 > 唐突に、記憶がよみがえる。そうだ、確かに自覚していた。体を貫いていった、冷ややかな光を。逃げてゆく熱を。闇に落ちていく感覚を。そして・・・・最後に見た、悲しいほどに綺麗な、アリエスの淡緑色の瞳を・・・・。 >「そうだ・・・・。でも、僕はなら、何で生きてるんだ?・・・・もしかして、語り部さんが治してくれたんですか?」 > ルピナスの問いに、しかし語り部は首を横に振る。 >「いいや、僕ではない。君を治したのはアリエスだ。」 >「アリエスが!?なら、アリエスはここに!!?」 >「ついさっきまでは、確かにここにいたけどね。とりあえず、伝言を伝えておくよ。・・・・『怪我をさせるつもりはなかった。ごめんなさい。』だってさ。」 > 人づてに言葉を伝えられるのは、思ったよりもずっと悲しかった。アリエスに伝えたい・・・・ありきたりな言葉だけれど、『君のせいではない』と。 ユア;そうですよ!! 久遠;アリエスちゃん、何でも背負いすぎよぉ(目じりに浮かんだ涙にハンカチを当てて) >「バカだね、まったく・・・・。時を巻き戻して、死んだこと自体を無かったことにする、なんて、そんな方法、神ならぬ人の身で耐えれるはず無いだろう?・・・・大分、生命を削ってしまって・・・・。君、本当に死ぬ気かい?・・・・・・・・でもね・・・・君の選択を、愚かしいと人は言うかもしれないけど・・・・・・・・君は、それでいい。心のままに、生きればいい。縛られる必要なんてないんだ。」 ユア;語り部さん、やっぱり好き、大好きだわ!! 久遠;訳すると、いい台詞。家族の写真でも使わせたいぐらい!!って言う感じ。 ユア;『でもね・・・・君の選択を〜』以降が素敵です。 > > > > 一つの『運命』の終息は、新たなる『運命』の始まり。綾なす時のタペストリーは、まだ、終わることはない・・・・ > > それでも・・・・・・・・それでも、今だけは・・・・ 久遠:ささやかな休息を・・・・・。 > > > あとがき、或いは語り部の告げる未来 >語:やあ、今回はどうだったかな? > 通算なんと26話(内、外伝1話)も続いた第4部・別名、聖石の使徒編も、これで一応は終了だ。 > 次回は番外、徒然編。ルピナスが目覚めるまで、アリエスと僕とが何をしていたか、ってことを書くよ。 > じゃあ、未来の欠片を語ろうか? > 願いは一つ、青年の目覚め。その術を、乙女は見出していた。 > 例えその失敗が、滅びと同義語であろうとも・・・・ > 連なる時より離れし者が、自ら思いを語るとき > 『運命』すら捻じ曲げ、『奇跡』は生まれる。 > 次回、『時の旅人・徒然編』徒然之四、『So what?』 > じゃあ、またね! > ユア;はい、楽しみに待ってます♪ 二人;それでは、次回で。 |
17656 | 本当の『再会』は、まだまだ先になりそうです。 | 羅城 朱琉 | 2006/5/22 08:32:10 |
記事番号17653へのコメント > > > > >> こんにちは!羅城 朱琉です。 >> ついについに、長かった第4部も最終話を迎えました!・・・・と、いいつつ、徒然編という名の裏話がまだ残ってるんですけどね。 >> と、言う訳で、第4部『聖石の使徒編』ラストを、どうぞ! > >ユア;こんにちは、ユアです。 >久遠:微妙に、ハイテンションね。 >ユア;ルピくんが無事だったのと、本日投稿予定の『家族の写真』書いてた時の名残です。 >久遠;ユアちゃん、ラブコメとかラブロマ書きなれてないもんね。 >ユア;ともかく、レス行きます。 朱琉:こんにちは、羅城 朱琉です。 アミイ:朱琉も、本日投稿の徒然編書いてる時は、異様にハイテンションだったわね。 朱琉:だって・・・・テンションあげないと恋愛系のセリフとかシーンとか書けないんですもの・・・・ アミイ:あれだけのことで? 朱琉:いえす。では、返レスです。 > > >> >>「・・・・・・・・あれ・・・・?」 >> 視界にあるものは、青く澄んだ空。柔らかく気持ちのいい風が吹きぬける。何だか間の抜けた声を洩らして、ルピナスは目を覚ました。 >>「気がついたかい?」 >> 言葉がかけられて、その人の存在に気付いた。語り部だ。 >>「どこか、体に違和感があったりしない?」 >> ゆっくりと体を起こし、あちこちを動かしてみる。少しだるいが、特に変わりはなさそうだ。それをそのまま伝えると、語り部はほっと息をついた。 >>「よかった・・・・」 >>「あの・・・・僕は一体・・・・?」 >> まだ少し呆けた頭で問うと、語り部は首をかしげた。 >>「覚えてないのかい?君は、さっきまで死んでいたんだけど。」 >>「え?・・・・・・・・あ!」 > >久遠:語り部ちゃん、あっさり言い過ぎよ。 >ユア;でも、ほかに言いようも無いでしょう。 アミイ:遠まわしに言うと、かえって混乱しそうよね。 朱琉:でも、すぱっと言いすぎな感も・・・・ > >> 唐突に、記憶がよみがえる。そうだ、確かに自覚していた。体を貫いていった、冷ややかな光を。逃げてゆく熱を。闇に落ちていく感覚を。そして・・・・最後に見た、悲しいほどに綺麗な、アリエスの淡緑色の瞳を・・・・。 >>「そうだ・・・・。でも、僕はなら、何で生きてるんだ?・・・・もしかして、語り部さんが治してくれたんですか?」 >> ルピナスの問いに、しかし語り部は首を横に振る。 >>「いいや、僕ではない。君を治したのはアリエスだ。」 >>「アリエスが!?なら、アリエスはここに!!?」 >>「ついさっきまでは、確かにここにいたけどね。とりあえず、伝言を伝えておくよ。・・・・『怪我をさせるつもりはなかった。ごめんなさい。』だってさ。」 >> 人づてに言葉を伝えられるのは、思ったよりもずっと悲しかった。アリエスに伝えたい・・・・ありきたりな言葉だけれど、『君のせいではない』と。 > >ユア;そうですよ!! >久遠;アリエスちゃん、何でも背負いすぎよぉ(目じりに浮かんだ涙にハンカチを当てて) アミイ:本当に・・・・。それは、悪い癖よ、アリエスちゃん。 朱琉:とはいえ、それは『アリエスがアリエスである所以』な気もしてしまうのです。 > > > > >>「バカだね、まったく・・・・。時を巻き戻して、死んだこと自体を無かったことにする、なんて、そんな方法、神ならぬ人の身で耐えれるはず無いだろう?・・・・大分、生命を削ってしまって・・・・。君、本当に死ぬ気かい?・・・・・・・・でもね・・・・君の選択を、愚かしいと人は言うかもしれないけど・・・・・・・・君は、それでいい。心のままに、生きればいい。縛られる必要なんてないんだ。」 > > >ユア;語り部さん、やっぱり好き、大好きだわ!! >久遠;訳すると、いい台詞。家族の写真でも使わせたいぐらい!!って言う感じ。 >ユア;『でもね・・・・君の選択を〜』以降が素敵です。 朱琉:・・・・・・・・ アミイ:これは、アレね。わざと誤解されるように書いたところでこう言っていただいてると・・・・ 朱琉:嬉しいですが、罪悪感が・・・・ アミイ:ネタばらしというか、本当の意味は、徒然編のあとがき参照で。 > >> >> >> >> 一つの『運命』の終息は、新たなる『運命』の始まり。綾なす時のタペストリーは、まだ、終わることはない・・・・ >> >> それでも・・・・・・・・それでも、今だけは・・・・ > > >久遠:ささやかな休息を・・・・・。 アミイ:ひと時の安らぎを・・・・、と、言い換えてもいいかも。 > >> >> >> あとがき、或いは語り部の告げる未来 >>語:やあ、今回はどうだったかな? >> 通算なんと26話(内、外伝1話)も続いた第4部・別名、聖石の使徒編も、これで一応は終了だ。 >> 次回は番外、徒然編。ルピナスが目覚めるまで、アリエスと僕とが何をしていたか、ってことを書くよ。 >> じゃあ、未来の欠片を語ろうか? >> 願いは一つ、青年の目覚め。その術を、乙女は見出していた。 >> 例えその失敗が、滅びと同義語であろうとも・・・・ >> 連なる時より離れし者が、自ら思いを語るとき >> 『運命』すら捻じ曲げ、『奇跡』は生まれる。 >> 次回、『時の旅人・徒然編』徒然之四、『So what?』 >> じゃあ、またね! >> > >ユア;はい、楽しみに待ってます♪ >二人;それでは、次回で。 朱琉:はい、では、また! 二人:また次回! |
17655 | 時の旅人・徒然編 4:So what? | 羅城 朱琉 | 2006/5/22 08:22:14 |
記事番号17643へのコメント こんにちは、羅城 朱琉です。 長かった第4部もこれにて本当に終わりです。なんと、数えてみればこれまでの『時の旅人』、半分以上が第4部だったんですよねぇ・・・・。 では、徒然編をどうぞ!今回は、47話の裏話です。 時の旅人・徒然編 徒然之四:So what? 教えてください、存在の意味を。 教えてください、『ヒト』の意味を。 全てが『運命』に操られているのならば、なぜ『ヒト』は意思を持つのですか? 全てが『運命』に定められているのならば、なぜ『ヒト』は無力を感じるのですか? 私は、こう思うのです。 時を司るものが『ヒト』に意思を与えたのは、運命を変えてほしいからだと。 時の主たるものが『ヒト』に心を持たせたのは、流されることを拒み抗ってほしいからだと。 だから、私は足掻きましょう。だから、私は逆らいましょう。 例え、この別れが『運命』だと言われても。 『So what?』・・・・『それがどうした。』 これは、私の意志。 * * * * * さて、話は少しばかり遡る。 ルピナスを抱いたアリエスは、静かに降り立ち、大地を踏みしめた。森の中心にぽっかりとある荒野・・・・レティス・シティ跡地、その中心に。 その場にルピナスを横たえると、祈るように手を組み合わせる。 「『吹き行く風、ただ過ぎ去るを示し 流るる水、姿を変えて寄り添うを示す。我は時の理を知る者』」 カオス・ワーズで紡がれるそれは、呪文のようでそうではないようにも聞こえる。それは、既存の形式とは全く違う形式で紡がれた呪文。アリエスが、姉に教えられた形式。 「『遍く時と共にあり、時の内に刻む者 汝即ち、時の宝冠を頂く王 我はいと高き座に御す御方の名を知る者』」 それは、呪文であると同時に、詩。時に捧げられる、讃美歌にも似た詩。 詩が流れるに従って、アリエスの周りに光が集う。フェアリー・ソウルに似た青白いその光は、レティス・シティの大地から染み出し、ふわふわと漂いながらも、その光を強めている。半分閉じられたアリエスの瞳は、光に染まり青白い色。銀の髪にも光は映えて、それを月光色に染め上げた。 アリエスが、組んでいた手を解き、両手を前に差し伸べる。その手の内に、周りに集っていた光が集まっていった。そして、アリエスはその手を傾ける。まるで手の内の水を零すように。その動作の意味そのままに、集った光は零れ落ち、ルピナスの上に降りそそいだ。 変化は、劇的だった。光がルピナスの胸の傷口に染み入ると、そこが再生してくる。・・・・いや、再生ではない、本当に『元に戻っている』のだ。その証拠に、光が消えたその後は、破れたはずの服すら元に戻っている。 ルピナスの頬に赤みが差し、安らかな呼吸がよみがえる。それを見て取ったアリエスは大きく息を吐くと・・・・その場にへたり込んだ。 「『癒霊捧歌(サティナ・カントゥス)』、か。」 後ろに声、そして気配。振り返らなくても解る。そこにいるのは白の吟遊詩人・・・・『放浪の語り部』。 「時を巻き戻し、死者すら生き返らせる呪文。数ある『時の呪文』の中でも、五指に入る高度な術。・・・・よく使えたね。」 「レティス・シティに残っていた『時』の力の残滓を使いましたから、大分楽でしたよ。・・・・ここの時を歪めていた力は、無くなってしまったけれど。この場所も、いつかは森と同化するでしょう。」 そう言ったアリエスは、少し悲しそうであったが、誇らしげでもあった。 「後悔している?」 語り部が問いかける。 「何をですか?」 アリエスが問いで返す。 「君の命は、今のでまた削れた。」 「それこそ今更です。もう500年も生きているというのに、高々数年分の命、何を惜しみましょう?」 「この場はもう、これまでのように変化しない場所ではない。君にとっては、姉の墓であり思い出の場所だろう?」 「思い出は思い出。私の心の中にあります。第一、地形が変わっても森に飲み込まれても、この場が消えるわけではありません。」 「リブラの書庫は?存在は知っていたんだろう?」 「あそこにあるものは、全て目を通しました。・・・・姉にも、会いました。」 語り部の問いにアリエスは揺らぐ事無く答える。語り部は、厳しい顔。そして、最後の問いを発する。 「君は、『運命』を変えた。ルピナスは、ここで死ぬ運命だった。それを歪めたのは君だ、アリエス・・・・『四大家』``封じ’’のフェラナート家最後の一人、アリエス=オルフェーゼ=ヴィータ=フェラナート。君に、その事実を受け止める覚悟はあるのか?これから先、『運命』の箍が外れるであろう事を、想像しなかったとは言わせない。」 突きつけられた問いかけに対し、アリエスは微笑んだ。淡く、儚く、しかし決して忘れられないであろう、綺麗な微笑を。 「それこそが、『輪転の女王(レジーナ・オブ・クロノス)』の願いだったのでは?ねえ・・・・語り部さん?」 アリエスは、詠うように言った。 「でも、それとは関係なく、私は私の意志で『運命』を変えますよ。私は、ルピナスに生きていてほしい。ルピナスとレンが幸せに生きることこそ、私の望み。だから、私はそれを叶えるために動きます。」 「それが、『運命の改変』という罪だとしても?」 「罪?・・・・それが、どうしたというのです?」 アリエスは言い放つ。勝気とさえ言える語調で。そして・・・・ 語り部は、ふと笑った。 「合格だよ、アリエス。まあ、『中枢予定表』の精神支配を自力で打ち破ったくらいだしね。・・・・・・・・でも、それでも行くのかい?」 アリエスは、やっぱりか、といった表情を浮かべた。 「やっぱり、解っていましたか。私がこれからどこへ行こうとしているのか、何をするつもりなのか。」 「解らないはずがないだろう?・・・・・・・・もう一度問おう。君は、『運命』を破壊する意思と力を持ちながら・・・・それでもあえて、運命に従うというのかい?」 「ええ。」 アリエスは、一瞬の迷いも無く答えた。 「でも、勘違いしないで下さいね。別に『四大家』だからという使命感で動いているわけではありません。私の願いを叶えるために最もいい方法が、『運命』に定められた行動と一致しているだけのこと。ですから・・・・」 大きな魔法の反動であろう、顔色は徐々に青白く、呼吸は荒くなってゆく。それでもアリエスは、はっきりと言葉を紡いだ。 「ですから、この意思、あなたでも止められません。」 「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・そうか。」 長い沈黙の後、語り部はそうとだけ、言った。 そして、しばしの後、ルピナスの瞳が微かに震えた。それに気付き、アリエスは言う。 「一つ、お願いがあるんです。」 「何だい?」 「伝言を。ルピナスに、『怪我をさせるつもりはなかった。ごめんなさい』と・・・・私はもうここにはいない、と言ってほしいのです。」 予想していたことながら、語り部は問い返さずにはいられなかった。 「会わないつもりかい?」 「ええ。・・・・あれだけ、酷いこと言いましたから。」 「でも、ルピナスは『君が好き』って言ってたよ。」 「それでも、です。」 語り部は気付いていた。アリエスがこう言うのは、二度と会うつもりが無いからだ、と。そしてそれは、アリエスが『願い』を叶えるのならば、確かに真実になることなのだ。それでも、その意思は止められるものではない。悲しいけれど、悔しいけれど、遣る瀬無いけれど・・・・語り部には、どうしようもない。 心は、操れないのだから。 だから、語り部は問うのだ。 「最後に、一つ教えてほしい。・・・・君は、ルピナスをどう思っていた?」 アリエスは、あっけにとられたような顔をした。それから、ゆっくりと答える。 「最初は、厄介なお荷物としか思っていませんでしたよ。レンが連れてきたのでなければ、見向きもしなかったでしょうね。」 自らの言葉を噛み締めるように。 「でも、今は・・・・レンと同じく、大切な人。ひょっとすると、レンよりも大切に思う人。かけがえの無い人。」 ・・・・そして、そうすることで想いを封じようとするかのように。 「きっと、この感情を・・・・・・・・ ・・・・・・・・・・・・『愛している』と言うのでしょうね。」 だから、語り部は言うのだった。 ルピナスを送ったその後で。気絶したアリエスを抱きかかえて。 「・・・・・・・・でもね・・・・君の選択を、愚かしいと人は言うかもしれないけど・・・・・・・・君は、それでいい。心のままに、生きればいい。縛られる必要なんてないんだ。」 『愛』を知り、その『愛』故に自らを捨てることをも厭わぬ者へ、限りない哀愁と、切なさを込めて。 乙女は、自ら束縛を選んだ。『運命』に、『願い』に・・・・そして、『愛』に。 語り部は、それを止めることはできない。 止められるのはきっと・・・・ 乙女を愛し、愛された青年だけ。 あとがき、或いは語り部の告げる未来 語:やあ、こんにちは。今回はどうだったかな? そういえば、誤解なきように言っておくけれど・・・・僕がアリエスに言った『愚かしい選択』っていうのは、『ルピナスを愛したこと』だからね。 何だってそれが愚かしいのかは・・・・次の第5部中に明かされる予定だから、請うご期待。 じゃあ、早速語ろうか。未来の欠片を・・・・ね。 求めるものは旅立ち。しかし、乙女の傷は深くて。 癒しを必要とする者は、思い出の内にて翼を休める。 眠りの傍らにて語られる思いは、誇り高くも優しき誓い。 そして、再び物語は流れ始める。 次回、『時の旅人』48話、『友への誓い』 ・・・・と、言いつつ、第5部までの間に外伝というか短編というか・・・・がいくつか入る予定だから、第5部開始はしばらく後になると思うけど、ね。 じゃあ、またね! |
17659 | 二人暴走に付き、ご注意を。 | 十叶 夕海 | 2006/5/22 22:12:14 |
記事番号17655へのコメント > こんにちは、羅城 朱琉です。 > 長かった第4部もこれにて本当に終わりです。なんと、数えてみればこれまでの『時の旅人』、半分以上が第4部だったんですよねぇ・・・・。 > では、徒然編をどうぞ!今回は、47話の裏話です。 ユア;こんにちは、ユアです。 久遠;久遠よ。 エイレン;そして、私、エイレンだ。 今回の内容で、二人が暴走しそうなんで、来たという訳。 三人;では、レスです。 > > > さて、話は少しばかり遡る。 > > > ルピナスを抱いたアリエスは、静かに降り立ち、大地を踏みしめた。森の中心にぽっかりとある荒野・・・・レティス・シティ跡地、その中心に。 > その場にルピナスを横たえると、祈るように手を組み合わせる。 >「『吹き行く風、ただ過ぎ去るを示し 流るる水、姿を変えて寄り添うを示す。我は時の理を知る者』」 > カオス・ワーズで紡がれるそれは、呪文のようでそうではないようにも聞こえる。それは、既存の形式とは全く違う形式で紡がれた呪文。アリエスが、姉に教えられた形式。 >「『遍く時と共にあり、時の内に刻む者 汝即ち、時の宝冠を頂く王 我はいと高き座に御す御方の名を知る者』」 > それは、呪文であると同時に、詩。時に捧げられる、讃美歌にも似た詩。 > 詩が流れるに従って、アリエスの周りに光が集う。フェアリー・ソウルに似た青白いその光は、レティス・シティの大地から染み出し、ふわふわと漂いながらも、その光を強めている。半分閉じられたアリエスの瞳は、光に染まり青白い色。銀の髪にも光は映えて、それを月光色に染め上げた。 > アリエスが、組んでいた手を解き、両手を前に差し伸べる。その手の内に、周りに集っていた光が集まっていった。そして、アリエスはその手を傾ける。まるで手の内の水を零すように。その動作の意味そのままに、集った光は零れ落ち、ルピナスの上に降りそそいだ。 > 変化は、劇的だった。光がルピナスの胸の傷口に染み入ると、そこが再生してくる。・・・・いや、再生ではない、本当に『元に戻っている』のだ。その証拠に、光が消えたその後は、破れたはずの服すら元に戻っている。 > ルピナスの頬に赤みが差し、安らかな呼吸がよみがえる。それを見て取ったアリエスは大きく息を吐くと・・・・その場にへたり込んだ。 >「『癒霊捧歌(サティナ・カントゥス)』、か。」 > 後ろに声、そして気配。振り返らなくても解る。そこにいるのは白の吟遊詩人・・・・『放浪の語り部』。 >「時を巻き戻し、死者すら生き返らせる呪文。数ある『時の呪文』の中でも、五指に入る高度な術。・・・・よく使えたね。」 >「レティス・シティに残っていた『時』の力の残滓を使いましたから、大分楽でしたよ。・・・・ここの時を歪めていた力は、無くなってしまったけれど。この場所も、いつかは森と同化するでしょう。」 > そう言ったアリエスは、少し悲しそうであったが、誇らしげでもあった。 >「後悔している?」 > 語り部が問いかける。 >「何をですか?」 > アリエスが問いで返す。 >「君の命は、今のでまた削れた。」 >「それこそ今更です。もう500年も生きているというのに、高々数年分の命、何を惜しみましょう?」 エイレン;・・・・・偉いねぇ。 普通、分かっていようと、何百年生きようと、醜く貪欲なまでに自分の命を守ろうとするのが、人や人であったものの反応だろうに。 泣いてないで、反応したら、どうだ、ユア? ユア;いえ、ルピくん生き返ってよかったなぁと。 久遠;・・・・・・(涙で声が出ない) > アリエスは、詠うように言った。 >「でも、それとは関係なく、私は私の意志で『運命』を変えますよ。私は、ルピナスに生きていてほしい。ルピナスとレンが幸せに生きることこそ、私の望み。だから、私はそれを叶えるために動きます。」 >「それが、『運命の改変』という罪だとしても?」 >「罪?・・・・それが、どうしたというのです?」 > アリエスは言い放つ。勝気とさえ言える語調で。そして・・・・ > 語り部は、ふと笑った。 >「合格だよ、アリエス。まあ、『中枢予定表』の精神支配を自力で打ち破ったくらいだしね。・・・・・・・・でも、それでも行くのかい?」 > アリエスは、やっぱりか、といった表情を浮かべた。 久遠;大好きな人が生きていて欲しい。 それが、罪?なのかしら、語り部ちゃん? ユア;罪でも、彼女はやったでしょうよ。 エイレン;ユア、のんきそうに言ってないで、久遠をなだめろ。 >「やっぱり、解っていましたか。私がこれからどこへ行こうとしているのか、何をするつもりなのか。」 >「解らないはずがないだろう?・・・・・・・・もう一度問おう。君は、『運命』を破壊する意思と力を持ちながら・・・・それでもあえて、運命に従うというのかい?」 >「ええ。」 > アリエスは、一瞬の迷いも無く答えた。 >「でも、勘違いしないで下さいね。別に『四大家』だからという使命感で動いているわけではありません。私の願いを叶えるために最もいい方法が、『運命』に定められた行動と一致しているだけのこと。ですから・・・・」 > 大きな魔法の反動であろう、顔色は徐々に青白く、呼吸は荒くなってゆく。それでもアリエスは、はっきりと言葉を紡いだ。 >「ですから、この意思、あなたでも止められません。」 ユア;ド阿呆!! 語り部さん、アリエス嬢は、『運命に従う』という方法で、『運命に反抗する』って言っているでしょう。 久遠;・・・・・ユアちゃん、キレた。 エイレン;しかも、言葉遊びのような言葉で。 分かりやすく言うなら、『《選択しない》という《選択をした》』というところよね。 > 語り部は気付いていた。アリエスがこう言うのは、二度と会うつもりが無いからだ、と。そしてそれは、アリエスが『願い』を叶えるのならば、確かに真実になることなのだ。それでも、その意思は止められるものではない。悲しいけれど、悔しいけれど、遣る瀬無いけれど・・・・語り部には、どうしようもない。 エイレン;会わないと後悔する・・・・いや、会って後悔しろ、アリエス。 久遠;珍しいわね、エイレンさんから、何か進んで言うの。 エイレン;会って、最悪な結果で一番大切なやつと死に別れたけど、互いの知らない場所で死んだら、もっと後悔する。 年寄りの戯れ言めいた忠告だよ。 > > 心は、操れないのだから。 > > だから、語り部は問うのだ。 >「最後に、一つ教えてほしい。・・・・君は、ルピナスをどう思っていた?」 > アリエスは、あっけにとられたような顔をした。それから、ゆっくりと答える。 >「最初は、厄介なお荷物としか思っていませんでしたよ。レンが連れてきたのでなければ、見向きもしなかったでしょうね。」 >自らの言葉を噛み締めるように。 >「でも、今は・・・・レンと同じく、大切な人。ひょっとすると、レンよりも大切に思う人。かけがえの無い人。」 > ・・・・そして、そうすることで想いを封じようとするかのように。 > >「きっと、この感情を・・・・・・・・ >・・・・・・・・・・・・『愛している』と言うのでしょうね。」 > > ユア;・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・(マジ泣き中) 久遠;切ないわねぇ。 ユア;・・・・・・幸せにならないと行けないです、アリエス嬢は(幼児がつぶやくように、片言のように) > > > だから、語り部は言うのだった。 > ルピナスを送ったその後で。気絶したアリエスを抱きかかえて。 >「・・・・・・・・でもね・・・・君の選択を、愚かしいと人は言うかもしれないけど・・・・・・・・君は、それでいい。心のままに、生きればいい。縛られる必要なんてないんだ。」 > 『愛』を知り、その『愛』故に自らを捨てることをも厭わぬ者へ、限りない哀愁と、切なさを込めて。 ユア;語り部さん、一言言わせて頂きます。 『愛』故の選択を愚かしいというならば、世界中の争いの七割は無いです。 だから・・・・ 久遠:(ユアの口を塞ぎながら)私も同じ気持ち。 語り部ちゃん、貴方、一瞬でも一欠片でも、ずっと一緒にいたいと思った存在がいないの? 居ないなら、言ってもいいけど、居るなら、言っちゃダメよ? エイレン;(まとめて二人を押さえつけつつ)お前の言っていることは、正しいね。 正しいけど、誰かを傷つける正しさだ。 ・・・・・・こいつらは、一応、お前のことが好きなんだから、これくらいの暴言は、受け流せよ? > > 乙女は、自ら束縛を選んだ。『運命』に、『願い』に・・・・そして、『愛』に。 > 語り部は、それを止めることはできない。 > 止められるのはきっと・・・・ > 乙女を愛し、愛された青年だけ。 ユア;止めてください、ルピナス。 久遠;一歩進んだままで、終わらせちゃダメ。 > > > あとがき、或いは語り部の告げる未来 >語:やあ、こんにちは。今回はどうだったかな? > そういえば、誤解なきように言っておくけれど・・・・僕がアリエスに言った『愚かしい選択』っていうのは、『ルピナスを愛したこと』だからね。 > 何だってそれが愚かしいのかは・・・・次の第5部中に明かされる予定だから、請うご期待。 ユア;待ってますよ、反論。 エイレン;目が笑っていない微笑みはやめろ。 > じゃあ、早速語ろうか。未来の欠片を・・・・ね。 > 求めるものは旅立ち。しかし、乙女の傷は深くて。 > 癒しを必要とする者は、思い出の内にて翼を休める。 > 眠りの傍らにて語られる思いは、誇り高くも優しき誓い。 > そして、再び物語は流れ始める。 > 次回、『時の旅人』48話、『友への誓い』 > ・・・・と、言いつつ、第5部までの間に外伝というか短編というか・・・・がいくつか入る予定だから、第5部開始はしばらく後になると思うけど、ね。 > じゃあ、またね! ユア;・・・・・・・・・・・・・・・・最後、暴走してすみません。 でも、あの言葉が、私や久遠、エイレンさんの心からの声ですので、そのままにします。 三人;それでは、次回以降も楽しみにしてます。 ではまた、会いましょう。 > > |
17660 | 暴走はお互い様ということで、こちらもご注意を。 | 羅城 朱琉 | 2006/5/23 08:53:04 |
記事番号17659へのコメント > >> こんにちは、羅城 朱琉です。 >> 長かった第4部もこれにて本当に終わりです。なんと、数えてみればこれまでの『時の旅人』、半分以上が第4部だったんですよねぇ・・・・。 >> では、徒然編をどうぞ!今回は、47話の裏話です。 > >ユア;こんにちは、ユアです。 >久遠;久遠よ。 >エイレン;そして、私、エイレンだ。 > 今回の内容で、二人が暴走しそうなんで、来たという訳。 >三人;では、レスです。 朱琉:こんにちは、羅城 朱琉です。 アミイ:アミリータよ。 語り部:そして、お久しぶりの僕、語り部だ。3人纏めて暴走しないように来た・・・・と、言いつつ、この面子だと、ストッパー、誰? 朱琉:さあ・・・・。では、返レスです。 > > > >> >> >> さて、話は少しばかり遡る。 >> >> >> ルピナスを抱いたアリエスは、静かに降り立ち、大地を踏みしめた。森の中心にぽっかりとある荒野・・・・レティス・シティ跡地、その中心に。 >> その場にルピナスを横たえると、祈るように手を組み合わせる。 >>「『吹き行く風、ただ過ぎ去るを示し 流るる水、姿を変えて寄り添うを示す。我は時の理を知る者』」 >> カオス・ワーズで紡がれるそれは、呪文のようでそうではないようにも聞こえる。それは、既存の形式とは全く違う形式で紡がれた呪文。アリエスが、姉に教えられた形式。 >>「『遍く時と共にあり、時の内に刻む者 汝即ち、時の宝冠を頂く王 我はいと高き座に御す御方の名を知る者』」 >> それは、呪文であると同時に、詩。時に捧げられる、讃美歌にも似た詩。 >> 詩が流れるに従って、アリエスの周りに光が集う。フェアリー・ソウルに似た青白いその光は、レティス・シティの大地から染み出し、ふわふわと漂いながらも、その光を強めている。半分閉じられたアリエスの瞳は、光に染まり青白い色。銀の髪にも光は映えて、それを月光色に染め上げた。 >> アリエスが、組んでいた手を解き、両手を前に差し伸べる。その手の内に、周りに集っていた光が集まっていった。そして、アリエスはその手を傾ける。まるで手の内の水を零すように。その動作の意味そのままに、集った光は零れ落ち、ルピナスの上に降りそそいだ。 >> 変化は、劇的だった。光がルピナスの胸の傷口に染み入ると、そこが再生してくる。・・・・いや、再生ではない、本当に『元に戻っている』のだ。その証拠に、光が消えたその後は、破れたはずの服すら元に戻っている。 >> ルピナスの頬に赤みが差し、安らかな呼吸がよみがえる。それを見て取ったアリエスは大きく息を吐くと・・・・その場にへたり込んだ。 >>「『癒霊捧歌(サティナ・カントゥス)』、か。」 >> 後ろに声、そして気配。振り返らなくても解る。そこにいるのは白の吟遊詩人・・・・『放浪の語り部』。 >>「時を巻き戻し、死者すら生き返らせる呪文。数ある『時の呪文』の中でも、五指に入る高度な術。・・・・よく使えたね。」 >>「レティス・シティに残っていた『時』の力の残滓を使いましたから、大分楽でしたよ。・・・・ここの時を歪めていた力は、無くなってしまったけれど。この場所も、いつかは森と同化するでしょう。」 >> そう言ったアリエスは、少し悲しそうであったが、誇らしげでもあった。 >>「後悔している?」 >> 語り部が問いかける。 >>「何をですか?」 >> アリエスが問いで返す。 >>「君の命は、今のでまた削れた。」 >>「それこそ今更です。もう500年も生きているというのに、高々数年分の命、何を惜しみましょう?」 > > > >エイレン;・・・・・偉いねぇ。 > 普通、分かっていようと、何百年生きようと、醜く貪欲なまでに自分の命を守ろうとするのが、人や人であったものの反応だろうに。 > 泣いてないで、反応したら、どうだ、ユア? >ユア;いえ、ルピくん生き返ってよかったなぁと。 >久遠;・・・・・・(涙で声が出ない) アミイ:こんな所でルピ君死なせてたまるものですか!! 朱琉:もう、決定事項でしたしね。 アミイ:なら、もう少し安全に配慮してあげたらどうなの!? 語り部:まあ、それはそれとして・・・・。確かに、人はいかに長い命があろうと、それを使い惜しみ守ろうとするけれど・・・・『自分より大切なもの、と、自分で決めたもの』のためならば、使えるのかもしれないね。 > > >> アリエスは、詠うように言った。 >>「でも、それとは関係なく、私は私の意志で『運命』を変えますよ。私は、ルピナスに生きていてほしい。ルピナスとレンが幸せに生きることこそ、私の望み。だから、私はそれを叶えるために動きます。」 >>「それが、『運命の改変』という罪だとしても?」 >>「罪?・・・・それが、どうしたというのです?」 >> アリエスは言い放つ。勝気とさえ言える語調で。そして・・・・ >> 語り部は、ふと笑った。 >>「合格だよ、アリエス。まあ、『中枢予定表』の精神支配を自力で打ち破ったくらいだしね。・・・・・・・・でも、それでも行くのかい?」 >> アリエスは、やっぱりか、といった表情を浮かべた。 > >久遠;大好きな人が生きていて欲しい。 > それが、罪?なのかしら、語り部ちゃん? >ユア;罪でも、彼女はやったでしょうよ。 >エイレン;ユア、のんきそうに言ってないで、久遠をなだめろ。 アミイ:罪なはず無いじゃない。で・・・・語り部さん? 語り部:別に、僕だって本心からそれを『罪』だと思っているわけじゃない。・・・・というか、こうなって欲しかった。ただ、アリエス・・・・もとい、『四大家』的な価値観だと、それは罪になる、ってことを確認したかっただけ。 朱琉:・・・・憎まれ役になっても? 語り部:それが、僕の役目ならば。 > >>「やっぱり、解っていましたか。私がこれからどこへ行こうとしているのか、何をするつもりなのか。」 >>「解らないはずがないだろう?・・・・・・・・もう一度問おう。君は、『運命』を破壊する意思と力を持ちながら・・・・それでもあえて、運命に従うというのかい?」 >>「ええ。」 >> アリエスは、一瞬の迷いも無く答えた。 >>「でも、勘違いしないで下さいね。別に『四大家』だからという使命感で動いているわけではありません。私の願いを叶えるために最もいい方法が、『運命』に定められた行動と一致しているだけのこと。ですから・・・・」 >> 大きな魔法の反動であろう、顔色は徐々に青白く、呼吸は荒くなってゆく。それでもアリエスは、はっきりと言葉を紡いだ。 >>「ですから、この意思、あなたでも止められません。」 > >ユア;ド阿呆!! > 語り部さん、アリエス嬢は、『運命に従う』という方法で、『運命に反抗する』って言っているでしょう。 >久遠;・・・・・ユアちゃん、キレた。 >エイレン;しかも、言葉遊びのような言葉で。 > 分かりやすく言うなら、『《選択しない》という《選択をした》』というところよね。 アミイ:で、これは? 朱琉:憎まれ役その2? 語り部:いや、半分私情。一応、僕は『運命破壊推進派』だから。 アミイ:じゃあ、残り半分は? 語り部:・・・・・・・・これから、アリエスに起こることを知っているから・・・・それが、幸せなこととは思えないから・・・・かな? > > > >> 語り部は気付いていた。アリエスがこう言うのは、二度と会うつもりが無いからだ、と。そしてそれは、アリエスが『願い』を叶えるのならば、確かに真実になることなのだ。それでも、その意思は止められるものではない。悲しいけれど、悔しいけれど、遣る瀬無いけれど・・・・語り部には、どうしようもない。 > >エイレン;会わないと後悔する・・・・いや、会って後悔しろ、アリエス。 >久遠;珍しいわね、エイレンさんから、何か進んで言うの。 >エイレン;会って、最悪な結果で一番大切なやつと死に別れたけど、互いの知らない場所で死んだら、もっと後悔する。 > 年寄りの戯れ言めいた忠告だよ。 語り部:そう、僕も思うんだけどね・・・・。 アミイ:心操るほど、外道にはなりたくないと? 語り部:と、言うより、最後の良心かな?もっと外道なことしてる自覚あるし。 > >> >> 心は、操れないのだから。 >> >> だから、語り部は問うのだ。 >>「最後に、一つ教えてほしい。・・・・君は、ルピナスをどう思っていた?」 >> アリエスは、あっけにとられたような顔をした。それから、ゆっくりと答える。 >>「最初は、厄介なお荷物としか思っていませんでしたよ。レンが連れてきたのでなければ、見向きもしなかったでしょうね。」 >>自らの言葉を噛み締めるように。 >>「でも、今は・・・・レンと同じく、大切な人。ひょっとすると、レンよりも大切に思う人。かけがえの無い人。」 >> ・・・・そして、そうすることで想いを封じようとするかのように。 >> >>「きっと、この感情を・・・・・・・・ >>・・・・・・・・・・・・『愛している』と言うのでしょうね。」 >> >> > >ユア;・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・(マジ泣き中) >久遠;切ないわねぇ。 >ユア;・・・・・・幸せにならないと行けないです、アリエス嬢は(幼児がつぶやくように、片言のように) アミイ:・・・・・・・・アリエスの幸せの形は、きっと想像するものとは違うのよね? 朱琉:アリエスは、今、自分の望み=幸せのために行動している・・・・んですよね、一応。 語り部:・・・・・・・・きっとそれは、本当の『幸せ』を知らない故に。 > >> >> >> だから、語り部は言うのだった。 >> ルピナスを送ったその後で。気絶したアリエスを抱きかかえて。 >>「・・・・・・・・でもね・・・・君の選択を、愚かしいと人は言うかもしれないけど・・・・・・・・君は、それでいい。心のままに、生きればいい。縛られる必要なんてないんだ。」 >> 『愛』を知り、その『愛』故に自らを捨てることをも厭わぬ者へ、限りない哀愁と、切なさを込めて。 > > >ユア;語り部さん、一言言わせて頂きます。 > 『愛』故の選択を愚かしいというならば、世界中の争いの七割は無いです。 > だから・・・・ >久遠:(ユアの口を塞ぎながら)私も同じ気持ち。 > 語り部ちゃん、貴方、一瞬でも一欠片でも、ずっと一緒にいたいと思った存在がいないの? > 居ないなら、言ってもいいけど、居るなら、言っちゃダメよ? >エイレン;(まとめて二人を押さえつけつつ)お前の言っていることは、正しいね。 > 正しいけど、誰かを傷つける正しさだ。 > ・・・・・・こいつらは、一応、お前のことが好きなんだから、これくらいの暴言は、受け流せよ? アミイ:いや、これも『愛ゆえ』と思ってるしね。・・・・でも、語り部さん、どうなの?一緒にいたいと思う人、いなかった? 語り部:いないよ、そんな虚しいことしない。 朱琉:んな、一瞬の迷いも無くきっぱり言わないでください!何だか私が悲しくなるじゃありませんか!? 語り部:概念はわかるし、想像・・・・というか疑似体験はあるけど、本当には理解できない存在だしね、僕って。だから、本当は僕がこんなことを言うのはおこがましい。 アミイ:まあ、仕方ない気もするわ・・・・。語り部さん、どうあがいても永遠に一人でいなきゃいけない存在、だったわね。 朱琉:・・・・・・・・うぅ、正体がバレる・・・・ > >> >> 乙女は、自ら束縛を選んだ。『運命』に、『願い』に・・・・そして、『愛』に。 >> 語り部は、それを止めることはできない。 >> 止められるのはきっと・・・・ >> 乙女を愛し、愛された青年だけ。 > > >ユア;止めてください、ルピナス。 >久遠;一歩進んだままで、終わらせちゃダメ。 アミイ:止めさせますよ、絶対に。・・・・ねぇ?朱琉。 朱琉:いつかは。 > >> >> >> あとがき、或いは語り部の告げる未来 >>語:やあ、こんにちは。今回はどうだったかな? >> そういえば、誤解なきように言っておくけれど・・・・僕がアリエスに言った『愚かしい選択』っていうのは、『ルピナスを愛したこと』だからね。 >> 何だってそれが愚かしいのかは・・・・次の第5部中に明かされる予定だから、請うご期待。 > >ユア;待ってますよ、反論。 >エイレン;目が笑っていない微笑みはやめろ。 > >> じゃあ、早速語ろうか。未来の欠片を・・・・ね。 >> 求めるものは旅立ち。しかし、乙女の傷は深くて。 >> 癒しを必要とする者は、思い出の内にて翼を休める。 >> 眠りの傍らにて語られる思いは、誇り高くも優しき誓い。 >> そして、再び物語は流れ始める。 >> 次回、『時の旅人』48話、『友への誓い』 >> ・・・・と、言いつつ、第5部までの間に外伝というか短編というか・・・・がいくつか入る予定だから、第5部開始はしばらく後になると思うけど、ね。 >> じゃあ、またね! > >ユア;・・・・・・・・・・・・・・・・最後、暴走してすみません。 > でも、あの言葉が、私や久遠、エイレンさんの心からの声ですので、そのままにします。 >三人;それでは、次回以降も楽しみにしてます。 > ではまた、会いましょう。 朱琉:いえいえ、こっちも語り部さんが暴言を・・・・ アミイ:でも、あの人としては、それが当たり前なのでご容赦を。その辺りは、あの人の正体が関わってるので。 語り部:なんにしろ、もうすぐわかるさ。じゃあ、まあ、今回はこの辺でね! 3人:また今度! > >> >> |