◆−時の旅人 48:友への誓い−羅城 朱琉 (2006/6/8 08:16:51) No.17697
 ┣語る語り部&無茶なアリエス?−十叶 夕海 (2006/6/11 21:43:34) No.17699
 ┃┗次回も、そんな感じです。−羅城 朱琉 (2006/6/13 08:35:59) No.17701
 ┣時の旅人 49:抗わざるものの決意−羅城 朱琉 (2006/6/19 08:15:33) No.17712
 ┃┗両方とも、無茶し過ぎ(慌てる&涙)−十叶 夕海 (2006/6/19 23:45:27) No.17714
 ┃ ┗無茶ではあっても無謀ではないんです。−羅城 朱琉 (2006/6/20 08:41:51) No.17716
 ┣時の旅人 50:万能ならざるものたち−羅城 朱琉 (2006/6/21 08:25:03) No.17721
 ┃┗だから、人は人らしく在れる。−十叶 夕海 (2006/6/21 23:55:33) No.17725
 ┃ ┗人でありたいと、願うからこそ−羅城 朱琉 (2006/6/22 08:39:02) No.17726
 ┣時の旅人 51:輪転の女王(レジーナ・オブ・クロノス)−羅城 朱琉 (2006/6/26 08:26:07) No.17734
 ┃┣・・・・・・なるほど(嬉しそうな複雑そうな苦笑で。)−十叶 夕海 (2006/6/26 21:42:30) No.17735
 ┃┃┗私的には、暴言万歳です。−羅城 朱琉 (2006/6/27 08:23:09) No.17738
 ┃┗Re:時の旅人 51:輪転の女王(レジーナ・オブ・クロノス)−神高 紅 (2006/6/26 22:55:16) No.17736
 ┃ ┗女と言うわけでは・・・・−羅城 朱琉 (2006/6/27 08:34:56) No.17739
 ┣時の旅人 52:流されえぬ涙−羅城 朱琉 (2006/7/3 08:22:43) No.17751
 ┃┗それでも、大好きですよ、語り部さん。−十叶 夕海 (2006/7/3 21:38:00) No.17756
 ┃ ┗そう言って頂けると、本当に嬉しいです。−羅城 朱琉 (2006/7/4 08:28:12) No.17758
 ┗時の旅人 53:失われた名前−羅城 朱琉 (2006/7/10 08:20:49) NEW No.17775
  ┗よく言った!!(日の丸扇子を掲げ)−十叶 夕海 (2006/7/10 22:44:53) NEW No.17776


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17697時の旅人 48:友への誓い羅城 朱琉 2006/6/8 08:16:51

 こんにちは!羅城 朱琉です。
 さて、ついに始まりました第5部!この第5部は、基本的に語り部さんに視点を固定してお送りします。
 では、早速どうぞ!




  時の旅人

  48:友への誓い

 深い深い森の奥、人の立ち入らぬそこに拓けた、ほんの小さな空き地。その傍らに、ひっそりと立つ小屋。開け放たれた窓からは、湿気を帯びた、しかし柔らかな風が吹き込み、窓際のベッドで眠る少女の血色の悪い頬を撫でる。風はまた、その傍らの椅子に腰掛ける、白の吟遊詩人の髪も揺らしていった。
「アリエスが眠り続けて、今日でもう1週間・・・・か。」
 誰にとも無く、白の吟遊詩人・・・・『放浪の語り部』は呟き、アリエスの額に手を当てた。・・・・冷たい。最も、現在のアリエスの体に、『体温』の意味があるのかは不明だが。

 ルピナスが『死んだ』あの日。力を使い果たして倒れたアリエスを、語り部はこの小屋へと運んだ。・・・・ここは、元々語り部が暮らしていた場所。『オリス=ソルジュ』と名乗り、養い子と共に、静かに時を重ねた場所。まるで普通の『人間』のように日々を過ごしたあの時、語り部が眠っていたベッドには、今、アリエスが寝ている。ふいに懐かしさを覚えた語り部は、風そよぐ窓の外を遠い目で見つめて、独り、言葉を繰った。
「エヴァンス・・・・元気にしているかな?・・・・もうすぐ会うことは解っているけど、懐かしい・・・・。・・・・・・・・ああ、でも、アリエスには会ってほしくないかも。とはいえ、まあ、きっと出会うだろうけどね。・・・・乗り越えておくれよ、可愛い『息子』君。」
 その微笑みはどこか寂しげで、その瞳は愁いを帯びていて。語り部は、つい先日奪い取ってきた``切り札’’・・・・黒表紙の本『予定表』を取り出し、ページを繰り眺めた。
「・・・・アリエスの望みが叶うとき、僕の望みは潰える。そして、そうなれば、この世界は少なくともあと数百年の平穏が保障される。けれど・・・・アリエスは二度と目覚めることは無く、その身、その心は未来永劫、世界を支える贄にも似た礎となる。・・・・・・・・全てが幸せになる道なんて、無い。アリエスにはアリエスの望みが、僕には僕の望みが。ルピナスにも、レンにも、全ての人に望みはある。結局は誰の望みを取るのか、だ。
 ・・・・誰の願いが叶っても、その裏には必ず叶わぬ願いがある。それは、解りきったこと。世の理。」
 誰にとも無く呟きながら、語り部は『予定表』を読み進める。
「それでも・・・・それでも僕は、願ってしまうんだ。本当は、僕が望むことは許されていないんだろうけどね。」
 語り部は自嘲してそう呟き、予定表を閉じた。
「アリエス・・・・リブラの妹。いや、リブラの子孫と言ったほうが正しいんだろうな。・・・・・・・・君の『お姉さん』と僕は『友人』だったよ。『親友』、と言ってもいい存在だった、と、僕は自負している。・・・・僕は友の望みを叶えたい。そして、僕自身もそれを願っている。・・・・・・・・リブラは、君の幸せを望んでいた。アリエス、君には『幸せ』になってほしいんだよ。」
 詠うように、囁くように、語り部はゆっくりと言の葉を紡ぐ。眠るアリエスの頬に手を添え、その顔を覗き込んで、問う。
「君の見ている世界は、君の目指している未来は、それは君の幸せを描いているのかい?」
 それは、アリエスにしか解らないこと。他人がアリエスの幸・不幸を定めることなど出来ないのだから。それでも、語り部はアリエスに問う。
「捨て身で走って、全てを背負って、君はそれで満足かもしれない。でも、その裏にはいくつ、叶えられぬ望みがある?・・・・少なくとも、レンシェルマとルピナスは悲しむだろう。僕の願いも、リブラの願いも、二度と叶うことはなくなる。それを、君は解ってる・・・・?ねえ、アリエス・・・・・・・・。」
 と、そこまで言って、語り部はアリエスから顔を離し、妙に晴れ晴れと言った。
「なんて、ね。結局は、誰が何と言おうと、君は望みを貫くんだろう?僕は止められない。止めることは許されない。ただ、語り伝えるだけ。それゆえの、『放浪の語り部』。・・・・『誓約』と『制約』・・・・2つの『セイヤク』の間で板ばさみ、か。昔はこんなことはなかったのに・・・・・・・・僕も、弱くなったものだ。」
 そう言いながらも、語り部の声は妙に楽しげだった。
 そして、言う。誰にとも無く、しかし確かに、誰かに語りかけるように。
「でも、これが『弱さ』ならば、悪くはないさ。」
 語り部は天井を・・・・いや、その更に上にある空、その果てにいるものに。
「僕は、それを知ったよ、『中枢予定表』。僕も、君も、決して完璧ではない。だから、過ちも犯す。罪を犯せば贖罪をするが道理。でもそれは、新たに先へ進むためのもの。・・・・僕は、二度と後悔に沈みはすまい。・・・・今こそ再び誓おう。アリエスの道を見届け、真実を語り伝えることを。ルシル=グラディウスと『レイノリス』、そして、『放浪の語り部』の名において・・・・。これは、新たなる誓約だ!」
 高らかに、誇らしげに、またある意味では見せつける様に、語り部は宣言する。そして・・・・

 そんな形で、語り部は『中枢予定表』に、挑戦状を叩きつけたのだ。


     *     *     *     *     *


「・・・・ぅっ・・・・・・・・ぅう・・・・ん・・・・」
 微かな呻き声が聞こえた。ベッドに目をやると、アリエスの手が持ち上がり、瞼をくしゅくしゅと擦っている。その仕草が妙に可愛くて、語り部は微笑を浮かべて言った。
「おはよう、アリエス。もう大丈夫かい?」
「・・・・語り部さん。」
 アリエスの瞳が語り部を捉え・・・・周りきょろきょろと見回す。
「私はあの後、一体・・・・?」
 心底不思議そうに呟くアリエスに、語り部は言った。
「力を使い果たして、倒れたんだよ。全く、無茶をする。」
「では、あなたが私をここへ?」
「まあ、そういうことになるね。」
 何ということもないことのように、語り部はさらりとそう言った。
「それは・・・・ありがとうございます。・・・・でも、私は早く行かなければ・・・・」
 アリエスは、軋む体を動かして、かろうじてベッドの上で身を起こす。と、そんなアリエスに、語り部は嗤っているかのような声をかける。
「行かせたくない、って言ったら?」
 アリエスの瞳が険を帯びる。
「言いましたでしょう?あなたでも、私の意志は止められません!」
 語気も強くそう言い切ったアリエスに、語り部はやれやれと肩をすくめる。
「・・・・そう言うだろうと、思っていたよ。けど、まずは自分の体調を考えるべきだね。」
「私はもう大丈夫です!・・・・・・・・・っうっ・・・・!」
 アリエスは語調荒く、それと同時に床に足を下ろし・・・・・・・・しかし、自らの体を支えること叶わず、そのまま、小さな呻き声を洩らし、床にくず折れた。語り部は、それ見たことかと言わんばかりに肩をすくめ、ひょいとアリエスを抱き上げ、再びベッドに寝かせる。
「立ち上がっただけでよろめくのが、何を言っている。・・・・これは『命令』だ、もうしばらく休んでいなさい。」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・わかり・・・・ました。」
 苦々しい声で、しかし、自らの体調の悪さを身をもって知ったアリエスは、語り部の命に従う。そんなアリエスに布団をかけて、語り部は優しくアリエスの頭を撫でた。
「そうそう、大人しく寝ていなさい。失った魔力が多すぎる。・・・・・・・・時が止まった弊害で、失った魔力の戻りが遅いんだろう?・・・・しばらくは、休んでいなさい。」
 知っているだろう事は予測できても、それを言われてしまうのは悔しくて・・・・少し拗ねたような声で、それでもアリエスは従う。
「・・・・ええ、解りました。」
「素直でよろしい。」
 そうして、再び語り部はアリエスの横たわるベッドの傍らの椅子に腰を下ろし、本を手に取った。


「・・・・・・・・ルピナスは・・・・?」
「ん?」
 数分も立たぬうちにかかった声に、語り部は視線を再びアリエスに向ける。
「・・・・ルピナスはどうなりましたか・・・・?」
 心配と、不安と、悔恨と・・・・様々な感情の入り混じった震える声で、アリエスは語り部に問うた。語り部は小さく笑うと、安心させるようにアリエスの頭に手を載せる。
「安心していいよ、無事だ。ちゃんと生きている。怪我も治って、今はブレードヴィレッジにいるはずだ。」
「・・・・・・・・・・・・・・・・よかった・・・・。」
 大きな溜息と共に吐き出されたその言葉は、紛う事なき本心からのもので・・・・。だから語り部は、ついつい問うてしまった。
「それほど心配していたのなら、会えばよかったのに。」
 一瞬、アリエスの瞳が揺らぐ。しかし、次の瞬間には、俯くことでもうそれを押さえ込んで。俯いたまま、アリエスはぽそりと言った。
「・・・・いいえ・・・・・・・・会えば、決意が揺らぎますから。」
 会いたい、会えない。
 切ない、寂しい。
 それを言ってしまってもいいと、アリエスに言いたかった。でも、今のアリエスはそれを聞き入れはすまい。そうすれば、『今の自分』が崩れてしまうと思い込んでいるから。
 だから、語り部は、あえて少し的を外したことを言う。
「・・・・・・・・。君も、強情だね。・・・・さあ、アリエス、もう一度寝ていなさい。」
「・・・・はい。」
 今度は素直に、アリエスは従う。

 小さな寝息が聞こえ始めるまで、そう時間はかからなかった。


 あとがき、或いは語り部の告げる未来
語:やあ!ちょっと久しぶりだね。今回はどうだったかな?
  僕もいい加減、裏でうじうじ悩んでたけど、もうそろそろ吹っ切らないとね。
  じゃあ、早速だけど、未来を語ろうか。
   数多の願いがあった。叶う願いと、叶わぬ願いが。
   歩き出す道は、ただ一つの願いを抱いて進む道。
   誰に止められようと、誰の涙を見ようと、
   全ては、その先に、愛しき笑顔のあるようにと願って・・・・
  次回、『時の旅人』49話、『抗わざるものの決意』
  じゃあ、また次回で会おうね!

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17699語る語り部&無茶なアリエス?十叶 夕海 2006/6/11 21:43:34
記事番号17697へのコメント



ユア:数日前からの梅雨寒のせいか、風邪ひきのユアです。
久遠;と言っても、今日は、外にでないだけで、小説書くのに、没頭してたでしょ?
ユア;風邪ひきでも、考える時間あれば、創作意欲があるので、書きたくなるのですよ。
   小説書きの悲しい性です。
久遠;・・・・・レス行きましょ。



>
> 深い深い森の奥、人の立ち入らぬそこに拓けた、ほんの小さな空き地。その傍らに、ひっそりと立つ小屋。開け放たれた窓からは、湿気を帯びた、しかし柔らかな風が吹き込み、窓際のベッドで眠る少女の血色の悪い頬を撫でる。風はまた、その傍らの椅子に腰掛ける、白の吟遊詩人の髪も揺らしていった。
> ルピナスが『死んだ』あの日。力を使い果たして倒れたアリエスを、語り部はこの小屋へと運んだ。・・・・ここは、元々語り部が暮らしていた場所。『オリス=ソルジュ』と名乗り、養い子と共に、静かに時を重ねた場所。まるで普通の『人間』のように日々を過ごしたあの時、語り部が眠っていたベッドには、今、アリエスが寝ている。ふいに懐かしさを覚えた語り部は、風そよぐ窓の外を遠い目で見つめて、独り、言葉を繰った。
>「エヴァンス・・・・元気にしているかな?・・・・もうすぐ会うことは解っているけど、懐かしい・・・・。・・・・・・・・ああ、でも、アリエスには会ってほしくないかも。とはいえ、まあ、きっと出会うだろうけどね。・・・・乗り越えておくれよ、可愛い『息子』君。」


ユア;ええと。本編の二年前の短編ーエヴァとの短編というよりは、エイレン嬢との短編のあの小屋?
久遠;語り部ちゃん、きっと、大丈夫よ。
   エヴァンスちゃんは、『人間』だもの、どんなに本人が忌んでいても、『人間』だもの。
   『人間』は、『何かを生む』ことが出来るから、きっと乗り越えられるわ。
ユア;語ってますね、久遠。
久遠:ま、そんなに心配することはないと思うわ。

> その微笑みはどこか寂しげで、その瞳は愁いを帯びていて。語り部は、つい先日奪い取ってきた``切り札’’・・・・黒表紙の本『予定表』を取り出し、ページを繰り眺めた。
>「・・・・アリエスの望みが叶うとき、僕の望みは潰える。そして、そうなれば、この世界は少なくともあと数百年の平穏が保障される。けれど・・・・アリエスは二度と目覚めることは無く、その身、その心は未来永劫、世界を支える贄にも似た礎となる。・・・・・・・・全てが幸せになる道なんて、無い。アリエスにはアリエスの望みが、僕には僕の望みが。ルピナスにも、レンにも、全ての人に望みはある。結局は誰の望みを取るのか、だ。
> ・・・・誰の願いが叶っても、その裏には必ず叶わぬ願いがある。それは、解りきったこと。世の理。」

久遠;だけど、誰かが犠牲になる・・・少なくとも、自分の近い人が居なくなるのは、分かりきっていろうとも、受け入れがたいことよ。
ユア;たしかにねぇ。
   ・・・・それにしても、シンクロニティは、面白い。
久遠:なんの?
ユア;『戦乙女』の命を残すために『歌乙女』が居るんだけど、それが居なくても、『ある望み』は叶うし、それによっってアリエス嬢が死んでも、この世界・・・アルトが居る世界は、残り続けるというのが、この先の朧げなプロットなんだわ。
久遠;要するに、『アリエス』が犠牲になっても・・・いなくても、『大切な人』が居る世界が残せると?



> 誰にとも無く呟きながら、語り部は『予定表』を読み進める。
>「それでも・・・・それでも僕は、願ってしまうんだ。本当は、僕が望むことは許されていないんだろうけどね。」
> 語り部は自嘲してそう呟き、予定表を閉じた。
>「アリエス・・・・リブラの妹。いや、リブラの子孫と言ったほうが正しいんだろうな。・・・・・・・・君の『お姉さん』と僕は『友人』だったよ。『親友』、と言ってもいい存在だった、と、僕は自負している。・・・・僕は友の望みを叶えたい。そして、僕自身もそれを願っている。・・・・・・・・リブラは、君の幸せを望んでいた。アリエス、君には『幸せ』になってほしいんだよ。」
> 詠うように、囁くように、語り部はゆっくりと言の葉を紡ぐ。眠るアリエスの頬に手を添え、その顔を覗き込んで、問う。
>「君の見ている世界は、君の目指している未来は、それは君の幸せを描いているのかい?」
> それは、アリエスにしか解らないこと。他人がアリエスの幸・不幸を定めることなど出来ないのだから。それでも、語り部はアリエスに問う。
>「捨て身で走って、全てを背負って、君はそれで満足かもしれない。でも、その裏にはいくつ、叶えられぬ望みがある?・・・・少なくとも、レンシェルマとルピナスは悲しむだろう。僕の願いも、リブラの願いも、二度と叶うことはなくなる。それを、君は解ってる・・・・?ねえ、アリエス・・・・・・・・。」


ユア;・・・・・・・みゅぅう・・・.....(眼を潤ませ、涙をこらえている)
久遠;そうよね、自分を殺してでも、手に入れられるモノが、幸せであれば、他人にどうこう・・・・・なに、泣いてるのよ。
   え?レンちゃんやルピちゃんが・・・・悲しむような・・・・アリエスの幸せ・・・なら叶わなくて・・・・・アリエスちゃんが不幸に・・・なった方がいいかも。って?
ユア:うみゅみゅみゅぅう。
久遠;日本語話しなさいな。

> と、そこまで言って、語り部はアリエスから顔を離し、妙に晴れ晴れと言った。
>「なんて、ね。結局は、誰が何と言おうと、君は望みを貫くんだろう?僕は止められない。止めることは許されない。ただ、語り伝えるだけ。それゆえの、『放浪の語り部』。・・・・『誓約』と『制約』・・・・2つの『セイヤク』の間で板ばさみ、か。昔はこんなことはなかったのに・・・・・・・・僕も、弱くなったものだ。」
> そう言いながらも、語り部の声は妙に楽しげだった。
> そして、言う。誰にとも無く、しかし確かに、誰かに語りかけるように。
>「でも、これが『弱さ』ならば、悪くはないさ。」
> 語り部は天井を・・・・いや、その更に上にある空、その果てにいるものに。


久遠;語り部ちゃん、それが、『弱さ』かもしれないけど、『強さ』でもあるのよ。

>「僕は、それを知ったよ、『中枢予定表』。僕も、君も、決して完璧ではない。だから、過ちも犯す。罪を犯せば贖罪をするが道理。でもそれは、新たに先へ進むためのもの。・・・・僕は、二度と後悔に沈みはすまい。・・・・今こそ再び誓おう。アリエスの道を見届け、真実を語り伝えることを。ルシル=グラディウスと『レイノリス』、そして、『放浪の語り部』の名において・・・・。これは、新たなる誓約だ!」
> 高らかに、誇らしげに、またある意味では見せつける様に、語り部は宣言する。そして・・・・
>
> そんな形で、語り部は『中枢予定表』に、挑戦状を叩きつけたのだ。


ユア;なんか、語り部さん、吹っ切れてますね。
久遠;カッコいいわね、そそる・・じゃなくて、惚れちゃいそうよ。
ユア;言い直しても、ヤバげですよ。

>
> 何ということもないことのように、語り部はさらりとそう言った。
>「それは・・・・ありがとうございます。・・・・でも、私は早く行かなければ・・・・」
> アリエスは、軋む体を動かして、かろうじてベッドの上で身を起こす。と、そんなアリエスに、語り部は嗤っているかのような声をかける。
>「行かせたくない、って言ったら?」
> アリエスの瞳が険を帯びる。
>「言いましたでしょう?あなたでも、私の意志は止められません!」
> 語気も強くそう言い切ったアリエスに、語り部はやれやれと肩をすくめる。
>「・・・・そう言うだろうと、思っていたよ。けど、まずは自分の体調を考えるべきだね。」
>「私はもう大丈夫です!・・・・・・・・・っうっ・・・・!」
> アリエスは語調荒く、それと同時に床に足を下ろし・・・・・・・・しかし、自らの体を支えること叶わず、そのまま、小さな呻き声を洩らし、床にくず折れた。語り部は、それ見たことかと言わんばかりに肩をすくめ、ひょいとアリエスを抱き上げ、再びベッドに寝かせる。
>「立ち上がっただけでよろめくのが、何を言っている。・・・・これは『命令』だ、もうしばらく休んでいなさい。」
>「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・わかり・・・・ました。」
> 苦々しい声で、しかし、自らの体調の悪さを身をもって知ったアリエスは、語り部の命に従う。そんなアリエスに布団をかけて、語り部は優しくアリエスの頭を撫でた。
>「そうそう、大人しく寝ていなさい。失った魔力が多すぎる。・・・・・・・・時が止まった弊害で、失った魔力の戻りが遅いんだろう?・・・・しばらくは、休んでいなさい。」
> 知っているだろう事は予測できても、それを言われてしまうのは悔しくて・・・・少し拗ねたような声で、それでもアリエスは従う。
>「・・・・ええ、解りました。」
>「素直でよろしい。」
> そうして、再び語り部はアリエスの横たわるベッドの傍らの椅子に腰を下ろし、本を手に取った。


ユア;なんか、アリエス嬢、無茶し過ぎ。
久遠;ユアちゃんが書くアリエスちゃんも似たような感じでしょ?
ユア;否定しない。

>
>
>「・・・・・・・・ルピナスは・・・・?」
>「ん?」
> 数分も立たぬうちにかかった声に、語り部は視線を再びアリエスに向ける。
>「・・・・ルピナスはどうなりましたか・・・・?」
> 心配と、不安と、悔恨と・・・・様々な感情の入り混じった震える声で、アリエスは語り部に問うた。語り部は小さく笑うと、安心させるようにアリエスの頭に手を載せる。
>「安心していいよ、無事だ。ちゃんと生きている。怪我も治って、今はブレードヴィレッジにいるはずだ。」
>「・・・・・・・・・・・・・・・・よかった・・・・。」
> 大きな溜息と共に吐き出されたその言葉は、紛う事なき本心からのもので・・・・。だから語り部は、ついつい問うてしまった。
>「それほど心配していたのなら、会えばよかったのに。」
> 一瞬、アリエスの瞳が揺らぐ。しかし、次の瞬間には、俯くことでもうそれを押さえ込んで。俯いたまま、アリエスはぽそりと言った。
>「・・・・いいえ・・・・・・・・会えば、決意が揺らぎますから。」
> 会いたい、会えない。
> 切ない、寂しい。
> それを言ってしまってもいいと、アリエスに言いたかった。でも、今のアリエスはそれを聞き入れはすまい。そうすれば、『今の自分』が崩れてしまうと思い込んでいるから。
> だから、語り部は、あえて少し的を外したことを言う。
>「・・・・・・・・。君も、強情だね。・・・・さあ、アリエス、もう一度寝ていなさい。」
>「・・・・はい。」
> 今度は素直に、アリエスは従う。
>
> 小さな寝息が聞こえ始めるまで、そう時間はかからなかった。


久遠;ちっちゃい子が、こんなに頑張ってるのみてると、お姉さんも泣けてきちゃう。
ユア;いや、ガンバって居るのはともかく、アリエスは、外見16歳、実際五百歳強ですよ。
久遠;お姉さんは、1000歳超えているわよ?

>
>
> あとがき、或いは語り部の告げる未来
>語:やあ!ちょっと久しぶりだね。今回はどうだったかな?
>  僕もいい加減、裏でうじうじ悩んでたけど、もうそろそろ吹っ切らないとね。
>  じゃあ、早速だけど、未来を語ろうか。
>   数多の願いがあった。叶う願いと、叶わぬ願いが。
>   歩き出す道は、ただ一つの願いを抱いて進む道。
>   誰に止められようと、誰の涙を見ようと、
>   全ては、その先に、愛しき笑顔のあるようにと願って・・・・
>  次回、『時の旅人』49話、『抗わざるものの決意』
>  じゃあ、また次回で会おうね!

ユア;はい、本気に待ってます。
久遠;もしかしたら、前みたいに、短編書き散らすかもしれないけど、よろしくね。
二人;では、次回で.


>

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17701次回も、そんな感じです。羅城 朱琉 2006/6/13 08:35:59
記事番号17699へのコメント


>
>
>ユア:数日前からの梅雨寒のせいか、風邪ひきのユアです。
>久遠;と言っても、今日は、外にでないだけで、小説書くのに、没頭してたでしょ?
>ユア;風邪ひきでも、考える時間あれば、創作意欲があるので、書きたくなるのですよ。
>   小説書きの悲しい性です。
>久遠;・・・・・レス行きましょ。
朱琉:こんにちは、遅くなりました。ようやく、レポートの山から脱出です。
アミイ:終わったとたんに、再来週提出ってのが出たけどね。
朱琉:・・・・・・・・でも、それまではまた普通に見れますし、レスしますし・・・・。では、返レス参ります。

>
>
>
>>
>> 深い深い森の奥、人の立ち入らぬそこに拓けた、ほんの小さな空き地。その傍らに、ひっそりと立つ小屋。開け放たれた窓からは、湿気を帯びた、しかし柔らかな風が吹き込み、窓際のベッドで眠る少女の血色の悪い頬を撫でる。風はまた、その傍らの椅子に腰掛ける、白の吟遊詩人の髪も揺らしていった。
>> ルピナスが『死んだ』あの日。力を使い果たして倒れたアリエスを、語り部はこの小屋へと運んだ。・・・・ここは、元々語り部が暮らしていた場所。『オリス=ソルジュ』と名乗り、養い子と共に、静かに時を重ねた場所。まるで普通の『人間』のように日々を過ごしたあの時、語り部が眠っていたベッドには、今、アリエスが寝ている。ふいに懐かしさを覚えた語り部は、風そよぐ窓の外を遠い目で見つめて、独り、言葉を繰った。
>>「エヴァンス・・・・元気にしているかな?・・・・もうすぐ会うことは解っているけど、懐かしい・・・・。・・・・・・・・ああ、でも、アリエスには会ってほしくないかも。とはいえ、まあ、きっと出会うだろうけどね。・・・・乗り越えておくれよ、可愛い『息子』君。」
>
>
>ユア;ええと。本編の二年前の短編ーエヴァとの短編というよりは、エイレン嬢との短編のあの小屋?
>久遠;語り部ちゃん、きっと、大丈夫よ。
>   エヴァンスちゃんは、『人間』だもの、どんなに本人が忌んでいても、『人間』だもの。
>   『人間』は、『何かを生む』ことが出来るから、きっと乗り越えられるわ。
>ユア;語ってますね、久遠。
>久遠:ま、そんなに心配することはないと思うわ。
朱琉:そうです、例のあの小屋です。
アミイ:大丈夫、だと思うけどね・・・・。『人間』は、人間以外になろうと思えばなれるけれど、彼は今も『人間』だから・・・・
朱琉:過去は、乗り越えられる、ってことですね。
アミイ:その意思があれば。

>
>> その微笑みはどこか寂しげで、その瞳は愁いを帯びていて。語り部は、つい先日奪い取ってきた``切り札’’・・・・黒表紙の本『予定表』を取り出し、ページを繰り眺めた。
>>「・・・・アリエスの望みが叶うとき、僕の望みは潰える。そして、そうなれば、この世界は少なくともあと数百年の平穏が保障される。けれど・・・・アリエスは二度と目覚めることは無く、その身、その心は未来永劫、世界を支える贄にも似た礎となる。・・・・・・・・全てが幸せになる道なんて、無い。アリエスにはアリエスの望みが、僕には僕の望みが。ルピナスにも、レンにも、全ての人に望みはある。結局は誰の望みを取るのか、だ。
>> ・・・・誰の願いが叶っても、その裏には必ず叶わぬ願いがある。それは、解りきったこと。世の理。」
>
>久遠;だけど、誰かが犠牲になる・・・少なくとも、自分の近い人が居なくなるのは、分かりきっていろうとも、受け入れがたいことよ。
>ユア;たしかにねぇ。
>   ・・・・それにしても、シンクロニティは、面白い。
>久遠:なんの?
>ユア;『戦乙女』の命を残すために『歌乙女』が居るんだけど、それが居なくても、『ある望み』は叶うし、それによっってアリエス嬢が死んでも、この世界・・・アルトが居る世界は、残り続けるというのが、この先の朧げなプロットなんだわ。
>久遠;要するに、『アリエス』が犠牲になっても・・・いなくても、『大切な人』が居る世界が残せると?
アミイ:本当、シンクロニシティ・・・・三度、かしら?
朱琉:その中で、『アリエス』の選ぶ道までが同じじゃないといいな・・・・と願ってやみません。
アミイ:・・・・・・・・朱琉、この後の展開、どこまで救いよう無くするつもりなのよ・・・・・・・・(怒)
朱琉:・・・・・・・・最後に、皆が幸せになれるなら、どこまででも。
アミイ:悪趣味ね。
朱琉:・・・・・・・・否定はしませんが。

>
>
>
>> 誰にとも無く呟きながら、語り部は『予定表』を読み進める。
>>「それでも・・・・それでも僕は、願ってしまうんだ。本当は、僕が望むことは許されていないんだろうけどね。」
>> 語り部は自嘲してそう呟き、予定表を閉じた。
>>「アリエス・・・・リブラの妹。いや、リブラの子孫と言ったほうが正しいんだろうな。・・・・・・・・君の『お姉さん』と僕は『友人』だったよ。『親友』、と言ってもいい存在だった、と、僕は自負している。・・・・僕は友の望みを叶えたい。そして、僕自身もそれを願っている。・・・・・・・・リブラは、君の幸せを望んでいた。アリエス、君には『幸せ』になってほしいんだよ。」
>> 詠うように、囁くように、語り部はゆっくりと言の葉を紡ぐ。眠るアリエスの頬に手を添え、その顔を覗き込んで、問う。
>>「君の見ている世界は、君の目指している未来は、それは君の幸せを描いているのかい?」
>> それは、アリエスにしか解らないこと。他人がアリエスの幸・不幸を定めることなど出来ないのだから。それでも、語り部はアリエスに問う。
>>「捨て身で走って、全てを背負って、君はそれで満足かもしれない。でも、その裏にはいくつ、叶えられぬ望みがある?・・・・少なくとも、レンシェルマとルピナスは悲しむだろう。僕の願いも、リブラの願いも、二度と叶うことはなくなる。それを、君は解ってる・・・・?ねえ、アリエス・・・・・・・・。」
>
>
>ユア;・・・・・・・みゅぅう・・・.....(眼を潤ませ、涙をこらえている)
>久遠;そうよね、自分を殺してでも、手に入れられるモノが、幸せであれば、他人にどうこう・・・・・なに、泣いてるのよ。
>   え?レンちゃんやルピちゃんが・・・・悲しむような・・・・アリエスの幸せ・・・なら叶わなくて・・・・・アリエスちゃんが不幸に・・・なった方がいいかも。って?
>ユア:うみゅみゅみゅぅう。
>久遠;日本語話しなさいな。
アミイ:私は正直、アリエスちゃんの願いが叶って欲しくないけど・・・・
朱琉:それは、『中枢予定表』が許さない、でしょう。
アミイ:・・・・あぁ〜!何で私、あの時あいつ逃がしちゃったのよ〜!!?

>
>> と、そこまで言って、語り部はアリエスから顔を離し、妙に晴れ晴れと言った。
>>「なんて、ね。結局は、誰が何と言おうと、君は望みを貫くんだろう?僕は止められない。止めることは許されない。ただ、語り伝えるだけ。それゆえの、『放浪の語り部』。・・・・『誓約』と『制約』・・・・2つの『セイヤク』の間で板ばさみ、か。昔はこんなことはなかったのに・・・・・・・・僕も、弱くなったものだ。」
>> そう言いながらも、語り部の声は妙に楽しげだった。
>> そして、言う。誰にとも無く、しかし確かに、誰かに語りかけるように。
>>「でも、これが『弱さ』ならば、悪くはないさ。」
>> 語り部は天井を・・・・いや、その更に上にある空、その果てにいるものに。
>
>
>久遠;語り部ちゃん、それが、『弱さ』かもしれないけど、『強さ』でもあるのよ。
アミイ:そうね。『弱さ』と『強さ』って、結構紙一重なところがあるから。

>
>>「僕は、それを知ったよ、『中枢予定表』。僕も、君も、決して完璧ではない。だから、過ちも犯す。罪を犯せば贖罪をするが道理。でもそれは、新たに先へ進むためのもの。・・・・僕は、二度と後悔に沈みはすまい。・・・・今こそ再び誓おう。アリエスの道を見届け、真実を語り伝えることを。ルシル=グラディウスと『レイノリス』、そして、『放浪の語り部』の名において・・・・。これは、新たなる誓約だ!」
>> 高らかに、誇らしげに、またある意味では見せつける様に、語り部は宣言する。そして・・・・
>>
>> そんな形で、語り部は『中枢予定表』に、挑戦状を叩きつけたのだ。
>
>
>ユア;なんか、語り部さん、吹っ切れてますね。
>久遠;カッコいいわね、そそる・・じゃなくて、惚れちゃいそうよ。
>ユア;言い直しても、ヤバげですよ。
朱琉:カッコいい・・・・・・・・
アミイ:へ?何々・・・・・・・・今後、微悪役化&ネタバラシ過程において判っていく語り部さんの正体を知っても、そう言ってもらえるといいんだけど・・・・って?
朱琉:いえす。

>
>>
>> 何ということもないことのように、語り部はさらりとそう言った。
>>「それは・・・・ありがとうございます。・・・・でも、私は早く行かなければ・・・・」
>> アリエスは、軋む体を動かして、かろうじてベッドの上で身を起こす。と、そんなアリエスに、語り部は嗤っているかのような声をかける。
>>「行かせたくない、って言ったら?」
>> アリエスの瞳が険を帯びる。
>>「言いましたでしょう?あなたでも、私の意志は止められません!」
>> 語気も強くそう言い切ったアリエスに、語り部はやれやれと肩をすくめる。
>>「・・・・そう言うだろうと、思っていたよ。けど、まずは自分の体調を考えるべきだね。」
>>「私はもう大丈夫です!・・・・・・・・・っうっ・・・・!」
>> アリエスは語調荒く、それと同時に床に足を下ろし・・・・・・・・しかし、自らの体を支えること叶わず、そのまま、小さな呻き声を洩らし、床にくず折れた。語り部は、それ見たことかと言わんばかりに肩をすくめ、ひょいとアリエスを抱き上げ、再びベッドに寝かせる。
>>「立ち上がっただけでよろめくのが、何を言っている。・・・・これは『命令』だ、もうしばらく休んでいなさい。」
>>「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・わかり・・・・ました。」
>> 苦々しい声で、しかし、自らの体調の悪さを身をもって知ったアリエスは、語り部の命に従う。そんなアリエスに布団をかけて、語り部は優しくアリエスの頭を撫でた。
>>「そうそう、大人しく寝ていなさい。失った魔力が多すぎる。・・・・・・・・時が止まった弊害で、失った魔力の戻りが遅いんだろう?・・・・しばらくは、休んでいなさい。」
>> 知っているだろう事は予測できても、それを言われてしまうのは悔しくて・・・・少し拗ねたような声で、それでもアリエスは従う。
>>「・・・・ええ、解りました。」
>>「素直でよろしい。」
>> そうして、再び語り部はアリエスの横たわるベッドの傍らの椅子に腰を下ろし、本を手に取った。
>
>
>ユア;なんか、アリエス嬢、無茶し過ぎ。
>久遠;ユアちゃんが書くアリエスちゃんも似たような感じでしょ?
>ユア;否定しない。
朱琉:次回は、更に無茶なことに・・・・
アミイ:・・・・・・・・(冷たい眼差し)

>
>>
>>
>>「・・・・・・・・ルピナスは・・・・?」
>>「ん?」
>> 数分も立たぬうちにかかった声に、語り部は視線を再びアリエスに向ける。
>>「・・・・ルピナスはどうなりましたか・・・・?」
>> 心配と、不安と、悔恨と・・・・様々な感情の入り混じった震える声で、アリエスは語り部に問うた。語り部は小さく笑うと、安心させるようにアリエスの頭に手を載せる。
>>「安心していいよ、無事だ。ちゃんと生きている。怪我も治って、今はブレードヴィレッジにいるはずだ。」
>>「・・・・・・・・・・・・・・・・よかった・・・・。」
>> 大きな溜息と共に吐き出されたその言葉は、紛う事なき本心からのもので・・・・。だから語り部は、ついつい問うてしまった。
>>「それほど心配していたのなら、会えばよかったのに。」
>> 一瞬、アリエスの瞳が揺らぐ。しかし、次の瞬間には、俯くことでもうそれを押さえ込んで。俯いたまま、アリエスはぽそりと言った。
>>「・・・・いいえ・・・・・・・・会えば、決意が揺らぎますから。」
>> 会いたい、会えない。
>> 切ない、寂しい。
>> それを言ってしまってもいいと、アリエスに言いたかった。でも、今のアリエスはそれを聞き入れはすまい。そうすれば、『今の自分』が崩れてしまうと思い込んでいるから。
>> だから、語り部は、あえて少し的を外したことを言う。
>>「・・・・・・・・。君も、強情だね。・・・・さあ、アリエス、もう一度寝ていなさい。」
>>「・・・・はい。」
>> 今度は素直に、アリエスは従う。
>>
>> 小さな寝息が聞こえ始めるまで、そう時間はかからなかった。
>
>
>久遠;ちっちゃい子が、こんなに頑張ってるのみてると、お姉さんも泣けてきちゃう。
>ユア;いや、ガンバって居るのはともかく、アリエスは、外見16歳、実際五百歳強ですよ。
>久遠;お姉さんは、1000歳超えているわよ?
朱琉:ちっちゃい子、って、ある意味正しいかもです。何と言うか・・・・精神的にはまだ子供じみているところがある、と言うか・・・・
アミイ:今後、プロットが変わらなければ書く予定・・・・ね。

>
>>
>>
>> あとがき、或いは語り部の告げる未来
>>語:やあ!ちょっと久しぶりだね。今回はどうだったかな?
>>  僕もいい加減、裏でうじうじ悩んでたけど、もうそろそろ吹っ切らないとね。
>>  じゃあ、早速だけど、未来を語ろうか。
>>   数多の願いがあった。叶う願いと、叶わぬ願いが。
>>   歩き出す道は、ただ一つの願いを抱いて進む道。
>>   誰に止められようと、誰の涙を見ようと、
>>   全ては、その先に、愛しき笑顔のあるようにと願って・・・・
>>  次回、『時の旅人』49話、『抗わざるものの決意』
>>  じゃあ、また次回で会おうね!
>
>ユア;はい、本気に待ってます。
>久遠;もしかしたら、前みたいに、短編書き散らすかもしれないけど、よろしくね。
>二人;では、次回で.
朱琉:はい、では、この辺で。
アミイ:次回は・・・・何だか某ゲームの影響で、総書き直し中よ。基本的な展開は変わらないんだけど・・・・・・・・精神的にイタさが増してない?
朱琉:増したので、それをまた書き直ししてます。
アミイ:と、言うわけで、もう少し待って欲しいわ。・・・・じゃあ、今回はこの辺でね!
二人:では、また!

>
>
>>

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17712時の旅人 49:抗わざるものの決意羅城 朱琉 2006/6/19 08:15:33
記事番号17697へのコメント

 こんにちは、お久しぶりです、羅城 朱琉です。
 今回は・・・・といいつつ、ここ最近ずっとそうですが、少々暗い展開なので、気をつけてください。
 では、どうぞ!




  時の旅人

  49:抗わざるものの決意

 一夜明けて、次の日。まだまだ疲労は残るものの、アリエスは体を起こせるまでに回復していた。窓の外を見やると、既に高く昇った太陽が見える。どうやら、随分と寝過ごしてしまったようだ。
 ふと、鼻をくすぐる甘酸っぱい香りに気がつく。見ると、サイドテーブルの上に、綺麗に剥かれた林檎が置いてあった。恐らく、語り部が置いたのだろう。塩水につけてあるようには見えないのに変色していないので、恐らくついさっき置かれたばかりに違いない。そういえば、起きる直前、何かの気配を感じた気がする。
 アリエスは林檎に手を伸ばし・・・・林檎を通り過ぎて、その傍らに置かれた果物ナイフを手に取った。刃先をじっと眺める・・・・もちろん、どこにでもある、ただの果物ナイフだ。アリエスはそれをしばし眺め・・・・・・・・ゆっくりと、自らの指先へ運んだ。
  指先へ、刃を当てる。
  軽く、滑らせる。
 髪一筋ほどの傷もつかない・・・・・・・・はず、だった。これまでならば。
「ッツ・・・・」
 アリエスは、小さく呻いて息を呑んだ。
 指先に走る、一筋の筋。赤い色をした、線。ナイフを滑らせた後に現れた、傷跡。
「・・・・・・・・」
 アリエスは押し黙ったまま、指先を口へ運び、含む。・・・・鉄錆に似た味が、僅かに感じられた。これは・・・・・・・・血の味。
「・・・・・・・・やはり・・・・。」
 暗く暗く、しかし、何の感情も篭らぬ声で、アリエスは呟いた。
「もう、そろそろ・・・・・・・・と、いうことですか。」


     *     *     *     *     *


 かたり、と音がしたのを聞きとがめ、語り部はアリエスが眠っていた部屋への扉を開ける。中には、案の定アリエスの姿はなく、開け放たれた窓から吹き込む風が、静かにカーテンを揺らすのみ。
「チッ・・・・・・・・」
 小さく舌打ちをすると、語り部はベッドに手をやった。僅かに、温もりがある。ついさっき出て行ったばかり、と言ったところだろう。
「まだ回復しきっていないというのに・・・・・・・・無茶をする。」
 額を押さえ、息をつく。・・・・・・・・と、僅かな異臭が語り部の鼻を突いた。生々しい、鉄分の匂い。血の臭いが。
 すぐに語り部は、そのほんの僅かな臭いの源を探し当てる。サイドテーブルに置かれた、果物ナイフに。
「・・・・・・・・この程度のもので、傷ついてしまうとは・・・・・・・・」
 アリエスを探そうと感覚を伸ばす・・・・が、妙に感覚が鈍い。語り部自身の力の衰えかとも思ったのだが、それだけではない。語り部は、その原因に思い当たって、目を覆った。
「アリエスの時が・・・・・・・・動き出しつつある、ということか。」
 悼むように呟き、小さく溜息をつく。・・・・・・・・これからのアリエスの行動はわかっている。しかし・・・・・・・・
「追って追いつけるものではないし・・・・行かねばならない場所もある。」
 レンシェルマに伝えなければならない。ルピナスに、語らねばならない。でなければ、後悔する。だから。
「時間遡行・・・・・・・・するか。」
 ぽつりと呟き、語り部は小さく唱えた。
「Veni 《Somnium》」
 語り部の姿は掻き消え、後にはただ、柔らかな風のみが残った。


     *     *     *     *     *


 薄暗い森の中の木々の合間に、荒い息遣いが聞こえる。恐らくは、それでも必死に押し殺そうとしているのだろう、息遣いが。
 木の一本に凭れかかり、喘いでいる人影があった。・・・・・・・・アリエスだ。再び歩き出そうとしてよろめき、木に背をつけて、ずるずると崩折れる。
「・・・・・・・・・・・・・・・・時の力が、なければ・・・・・・・・私も・・・・脆いものです・・・・ね・・・・・・・・。」
 苦しい息の合間に、誰にともなく言葉を紡ぎ、アリエスは自嘲げに嗤った。
 代償、なのだ、これは。
 ルピナスの命を繋いだ術、『癒霊捧歌(サティナ・カントゥス)』。あれは、レティス・シティに残る時の魔力のみで、発動させられるような代物ではなかった。アリエスの魔力も相当に削られ・・・・・・・・更には、アリエスを『時』の外側に留めていた魔力さえ、持っていかれた。完全に、時が戻ったわけではない。証拠に、先ほどまで指先にあった傷跡が消えうせている。残った『時』の魔法の、事故復元作用のようなもので、アリエスの身に変化が起こっても、すぐに『なかったこと』になる。それでも・・・・一瞬で殺されれば、生き返れはすまい。
 それでもアリエスは、後悔していなかった。逆に、妙に晴れ晴れしい心境ですらある。
(ルピナスが生きている・・・・それだけで、いい。)
 心の中で呟き、そのまま目を閉じる。

 気絶するかのような眠りにつきながら、アリエスはうっすら微笑みを浮かべていた。


 あとがき、或いは語り部の告げる未来
語:やあ、どうだったかな?『時の旅人』も、次回でついに50話。長かったような、短かったような・・・・。
  さて、じゃあ、早速だけど語ろうか。未来の一欠けを・・・・
   問いかける言葉は上滑りし、返答は沈黙でもって返される。
   真実へと至るその問いは、見えぬ刃でもって心を傷つける。
   それでも、今、語らねばならないことがあるのだから・・・・・・・・
   そう、それは、『語り部』として。
  次回、『時の旅人』50話、『万能ならざるものたち』
 じゃあ、また会おうね!


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17714両方とも、無茶し過ぎ(慌てる&涙)十叶 夕海 2006/6/19 23:45:27
記事番号17712へのコメント



ユア;どうも、ユアです。
   レポート終わったばかりで、少しテンションが妙です。
久遠;でも、レポートテーマに『チェルノブイリ』なの?
   ユアちゃんの大学って、心理学系よね?
ユア;一般教養です。 
   では、レス行きます。


> アリエスは林檎に手を伸ばし・・・・林檎を通り過ぎて、その傍らに置かれた果物ナイフを手に取った。刃先をじっと眺める・・・・もちろん、どこにでもある、ただの果物ナイフだ。アリエスはそれをしばし眺め・・・・・・・・ゆっくりと、自らの指先へ運んだ。
>  指先へ、刃を当てる。
>  軽く、滑らせる。
> 髪一筋ほどの傷もつかない・・・・・・・・はず、だった。これまでならば。
>「ッツ・・・・」
> アリエスは、小さく呻いて息を呑んだ。
> 指先に走る、一筋の筋。赤い色をした、線。ナイフを滑らせた後に現れた、傷跡。
>「・・・・・・・・」
> アリエスは押し黙ったまま、指先を口へ運び、含む。・・・・鉄錆に似た味が、僅かに感じられた。これは・・・・・・・・血の味。
>「・・・・・・・・やはり・・・・。」
> 暗く暗く、しかし、何の感情も篭らぬ声で、アリエスは呟いた。
>「もう、そろそろ・・・・・・・・と、いうことですか。」
>

ユア:・・・・・っ!!
久遠;え?アリエスちゃん、わざわざ確認とはいえ、傷つけること無いのに?・・・なんで傷ついてるの?
   自分で、喋りなさいな。
ユア;あまりのことで、絶句してました。

>
> かたり、と音がしたのを聞きとがめ、語り部はアリエスが眠っていた部屋への扉を開ける。中には、案の定アリエスの姿はなく、開け放たれた窓から吹き込む風が、静かにカーテンを揺らすのみ。
>「チッ・・・・・・・・」
> 小さく舌打ちをすると、語り部はベッドに手をやった。僅かに、温もりがある。ついさっき出て行ったばかり、と言ったところだろう。
>「まだ回復しきっていないというのに・・・・・・・・無茶をする。」
> 額を押さえ、息をつく。・・・・・・・・と、僅かな異臭が語り部の鼻を突いた。生々しい、鉄分の匂い。血の臭いが。
> すぐに語り部は、そのほんの僅かな臭いの源を探し当てる。サイドテーブルに置かれた、果物ナイフに。
>「・・・・・・・・この程度のもので、傷ついてしまうとは・・・・・・・・」
> アリエスを探そうと感覚を伸ばす・・・・が、妙に感覚が鈍い。語り部自身の力の衰えかとも思ったのだが、それだけではない。語り部は、その原因に思い当たって、目を覆った。
>「アリエスの時が・・・・・・・・動き出しつつある、ということか。」
> 悼むように呟き、小さく溜息をつく。・・・・・・・・これからのアリエスの行動はわかっている。しかし・・・・・・・・
>「追って追いつけるものではないし・・・・行かねばならない場所もある。」
> レンシェルマに伝えなければならない。ルピナスに、語らねばならない。でなければ、後悔する。だから。
>「時間遡行・・・・・・・・するか。」
> ぽつりと呟き、語り部は小さく唱えた。
>「Veni 《Somnium》」
> 語り部の姿は掻き消え、後にはただ、柔らかな風のみが残った。


ユア;無茶なことをしますね。
   語り部さんの正体がなんであれ、『時を操る』以上に、『時を遡る』というのは、無茶です。
久遠;ユアちゃん、信じなさいな。
   語り部ちゃんは、割合、自分が倒れるとか言うことはしないと思うから。
ユア;でも、前科あるのですよ?

>
>
>     *     *     *     *     *
>
>
> 薄暗い森の中の木々の合間に、荒い息遣いが聞こえる。恐らくは、それでも必死に押し殺そうとしているのだろう、息遣いが。
> 木の一本に凭れかかり、喘いでいる人影があった。・・・・・・・・アリエスだ。再び歩き出そうとしてよろめき、木に背をつけて、ずるずると崩折れる。
>「・・・・・・・・・・・・・・・・時の力が、なければ・・・・・・・・私も・・・・脆いものです・・・・ね・・・・・・・・。」
> 苦しい息の合間に、誰にともなく言葉を紡ぎ、アリエスは自嘲げに嗤った。
> 代償、なのだ、これは。
> ルピナスの命を繋いだ術、『癒霊捧歌(サティナ・カントゥス)』。あれは、レティス・シティに残る時の魔力のみで、発動させられるような代物ではなかった。アリエスの魔力も相当に削られ・・・・・・・・更には、アリエスを『時』の外側に留めていた魔力さえ、持っていかれた。完全に、時が戻ったわけではない。証拠に、先ほどまで指先にあった傷跡が消えうせている。残った『時』の魔法の、事故復元作用のようなもので、アリエスの身に変化が起こっても、すぐに『なかったこと』になる。それでも・・・・一瞬で殺されれば、生き返れはすまい。
> それでもアリエスは、後悔していなかった。逆に、妙に晴れ晴れしい心境ですらある。
>(ルピナスが生きている・・・・それだけで、いい。)
> 心の中で呟き、そのまま目を閉じる。
>

ユア:刹なく、切ないアリエス嬢。
   ルピナスさえ、生きてればいい・・・。
久遠;ルピちゃん、果報者よね、一途に思われるのは。
   ・・・ユアちゃん?
ユア;ええと、ここの部分で、アルトとアリエスと、『片眼王』の場面が、微妙に変わると思います。

>
>
> あとがき、或いは語り部の告げる未来
>語:やあ、どうだったかな?『時の旅人』も、次回でついに50話。長かったような、短かったような・・・・。
>  さて、じゃあ、早速だけど語ろうか。未来の一欠けを・・・・
>   問いかける言葉は上滑りし、返答は沈黙でもって返される。
>   真実へと至るその問いは、見えぬ刃でもって心を傷つける。
>   それでも、今、語らねばならないことがあるのだから・・・・・・・・
>   そう、それは、『語り部』として。
>  次回、『時の旅人』50話、『万能ならざるものたち』
> じゃあ、また会おうね!

ユア;はい、楽しみにしてますね。
久遠;だけど、語ることによって、開く道もあるのよ、語り部ちゃん。
二人;では次回も、楽しみにしてます。



>
>

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17716無茶ではあっても無謀ではないんです。羅城 朱琉 2006/6/20 08:41:51
記事番号17714へのコメント


>
>
>ユア;どうも、ユアです。
>   レポート終わったばかりで、少しテンションが妙です。
>久遠;でも、レポートテーマに『チェルノブイリ』なの?
>   ユアちゃんの大学って、心理学系よね?
>ユア;一般教養です。 
>   では、レス行きます。
朱琉:こんにちは、羅城 朱琉です。つい数分前、友人と協力して課題レポート仕上げました。
アミイ:思うけど・・・・最近、毎日レポート書いてない?
朱琉:実習中ですから。では、返レスです。

>
>
>> アリエスは林檎に手を伸ばし・・・・林檎を通り過ぎて、その傍らに置かれた果物ナイフを手に取った。刃先をじっと眺める・・・・もちろん、どこにでもある、ただの果物ナイフだ。アリエスはそれをしばし眺め・・・・・・・・ゆっくりと、自らの指先へ運んだ。
>>  指先へ、刃を当てる。
>>  軽く、滑らせる。
>> 髪一筋ほどの傷もつかない・・・・・・・・はず、だった。これまでならば。
>>「ッツ・・・・」
>> アリエスは、小さく呻いて息を呑んだ。
>> 指先に走る、一筋の筋。赤い色をした、線。ナイフを滑らせた後に現れた、傷跡。
>>「・・・・・・・・」
>> アリエスは押し黙ったまま、指先を口へ運び、含む。・・・・鉄錆に似た味が、僅かに感じられた。これは・・・・・・・・血の味。
>>「・・・・・・・・やはり・・・・。」
>> 暗く暗く、しかし、何の感情も篭らぬ声で、アリエスは呟いた。
>>「もう、そろそろ・・・・・・・・と、いうことですか。」
>>
>
>ユア:・・・・・っ!!
>久遠;え?アリエスちゃん、わざわざ確認とはいえ、傷つけること無いのに?・・・なんで傷ついてるの?
>   自分で、喋りなさいな。
>ユア;あまりのことで、絶句してました。
朱琉:・・・・・・・・大分、表現軽くしたんです、これでも。
アミイ:最初の予定では、ほとんど自殺みたいなことやってたのよね・・・・。
朱琉:とにかく、『時の魔力が薄れて、普通に傷つくようになった』ことを書きたかったわけです。

>
>>
>> かたり、と音がしたのを聞きとがめ、語り部はアリエスが眠っていた部屋への扉を開ける。中には、案の定アリエスの姿はなく、開け放たれた窓から吹き込む風が、静かにカーテンを揺らすのみ。
>>「チッ・・・・・・・・」
>> 小さく舌打ちをすると、語り部はベッドに手をやった。僅かに、温もりがある。ついさっき出て行ったばかり、と言ったところだろう。
>>「まだ回復しきっていないというのに・・・・・・・・無茶をする。」
>> 額を押さえ、息をつく。・・・・・・・・と、僅かな異臭が語り部の鼻を突いた。生々しい、鉄分の匂い。血の臭いが。
>> すぐに語り部は、そのほんの僅かな臭いの源を探し当てる。サイドテーブルに置かれた、果物ナイフに。
>>「・・・・・・・・この程度のもので、傷ついてしまうとは・・・・・・・・」
>> アリエスを探そうと感覚を伸ばす・・・・が、妙に感覚が鈍い。語り部自身の力の衰えかとも思ったのだが、それだけではない。語り部は、その原因に思い当たって、目を覆った。
>>「アリエスの時が・・・・・・・・動き出しつつある、ということか。」
>> 悼むように呟き、小さく溜息をつく。・・・・・・・・これからのアリエスの行動はわかっている。しかし・・・・・・・・
>>「追って追いつけるものではないし・・・・行かねばならない場所もある。」
>> レンシェルマに伝えなければならない。ルピナスに、語らねばならない。でなければ、後悔する。だから。
>>「時間遡行・・・・・・・・するか。」
>> ぽつりと呟き、語り部は小さく唱えた。
>>「Veni 《Somnium》」
>> 語り部の姿は掻き消え、後にはただ、柔らかな風のみが残った。
>
>
>ユア;無茶なことをしますね。
>   語り部さんの正体がなんであれ、『時を操る』以上に、『時を遡る』というのは、無茶です。
>久遠;ユアちゃん、信じなさいな。
>   語り部ちゃんは、割合、自分が倒れるとか言うことはしないと思うから。
>ユア;でも、前科あるのですよ?
アミイ:あの倒れたのは、本当に極限の無茶無謀だったから。
朱琉:語り部さんは、結構時間を遡ったり未来へ行ったりしてますよ?
アミイ:それは、そこまで無茶じゃないのよね、正体からして。

>
>>
>>
>>     *     *     *     *     *
>>
>>
>> 薄暗い森の中の木々の合間に、荒い息遣いが聞こえる。恐らくは、それでも必死に押し殺そうとしているのだろう、息遣いが。
>> 木の一本に凭れかかり、喘いでいる人影があった。・・・・・・・・アリエスだ。再び歩き出そうとしてよろめき、木に背をつけて、ずるずると崩折れる。
>>「・・・・・・・・・・・・・・・・時の力が、なければ・・・・・・・・私も・・・・脆いものです・・・・ね・・・・・・・・。」
>> 苦しい息の合間に、誰にともなく言葉を紡ぎ、アリエスは自嘲げに嗤った。
>> 代償、なのだ、これは。
>> ルピナスの命を繋いだ術、『癒霊捧歌(サティナ・カントゥス)』。あれは、レティス・シティに残る時の魔力のみで、発動させられるような代物ではなかった。アリエスの魔力も相当に削られ・・・・・・・・更には、アリエスを『時』の外側に留めていた魔力さえ、持っていかれた。完全に、時が戻ったわけではない。証拠に、先ほどまで指先にあった傷跡が消えうせている。残った『時』の魔法の、事故復元作用のようなもので、アリエスの身に変化が起こっても、すぐに『なかったこと』になる。それでも・・・・一瞬で殺されれば、生き返れはすまい。
>> それでもアリエスは、後悔していなかった。逆に、妙に晴れ晴れしい心境ですらある。
>>(ルピナスが生きている・・・・それだけで、いい。)
>> 心の中で呟き、そのまま目を閉じる。
>>
>
>ユア:刹なく、切ないアリエス嬢。
>   ルピナスさえ、生きてればいい・・・。
>久遠;ルピちゃん、果報者よね、一途に思われるのは。
>   ・・・ユアちゃん?
>ユア;ええと、ここの部分で、アルトとアリエスと、『片眼王』の場面が、微妙に変わると思います。
アミイ:切なく、刹ないけれど、それは随分と一方的で、独善的なように思えるわ。
朱琉:ルピ君は、確かに果報者ですが、彼自身はそんなこと望んでいないでしょうし。
 ・・・・・・話は変わって、『片眼王』の件、楽しみです。

>
>>
>>
>> あとがき、或いは語り部の告げる未来
>>語:やあ、どうだったかな?『時の旅人』も、次回でついに50話。長かったような、短かったような・・・・。
>>  さて、じゃあ、早速だけど語ろうか。未来の一欠けを・・・・
>>   問いかける言葉は上滑りし、返答は沈黙でもって返される。
>>   真実へと至るその問いは、見えぬ刃でもって心を傷つける。
>>   それでも、今、語らねばならないことがあるのだから・・・・・・・・
>>   そう、それは、『語り部』として。
>>  次回、『時の旅人』50話、『万能ならざるものたち』
>> じゃあ、また会おうね!
>
>ユア;はい、楽しみにしてますね。
>久遠;だけど、語ることによって、開く道もあるのよ、語り部ちゃん。
>二人;では次回も、楽しみにしてます。
朱琉:はい、なるべく早めに更新できるよう頑張ります。
アミイ:じゃ、今回はこの辺でね!
二人:では、また!

>
>
>
>>
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17721時の旅人 50:万能ならざるものたち羅城 朱琉 2006/6/21 08:25:03
記事番号17697へのコメント
 こんにちは、羅城 朱琉です。
 さて、今回からしばらく、ブレードヴィレッジに場所が移ります。そして、怒涛のネタバラシラッシュ到来。
 では、時の旅人の記念すべき50話目です。どうぞ!




  時の旅人

  50:万能ならざるものたち

 さて、時は3日ほど遡る。
 レンシェルマのダメージもようやく全快し、ルピナスにも何ら後遺症が見られない。そうして、皆が大事をとって休んだ後のことだった。

 ヴィレードヴィレッジ神殿の一室。そう広いわけではないその部屋に6人の人がいるのは、少々窮屈そうではある。しかし、その窮屈さだけでは説明できないほどの緊張感が、その場に満ちていた。
「・・・・・・・・レンさん、どうして、教えてくれないんですか?」
 重い沈黙を打ち破って、ルピナスが口を開く。ルピナスは、話し合いの場が設けられた一番初めに、レンシェルマに問うたのだ。即ち・・・・『シーシェンズとは何か?』と。それを聞いた途端、レンシェルマは蒼ざめた顔で沈黙した。そして、それは今に至るまで同じこと。
 そうこうしているうちに、リナが明らかに怒りを募らせているのが目に見えてわかる。アメリアは先ほどから何度も『正義の演説』をしそうになってはゼルガディスに止められ、そのゼルガディスも、表情には出ないが不愉快だと言わんばかりの雰囲気を発散している。いつもならすぐに眠ってしまいそうなガウリイですら、もの言いたげな視線をレンシェルマに向ける始末だ。
「レンさん・・・・!」
 少しだけ語調を強めて、再びルピナスはレンシェルマを呼んだ。何かを堪えるかのように、レンシェルマは唇を固く引き結ぶ。そんな時だった。
「いい加減、往生際が悪いと言うか、何というか・・・・・・・・。」
 ふいに、部屋の隅から涼やかな声が響く。一斉に皆がそちらを向くと・・・・空間から滲み出すように、白の吟遊詩人・語り部が現れた。
「でも、もう、何も知らせぬままでいることは出来ない。僕は覚悟を決めたよ、レンシェルマ。」
 少し呆れを含んだような、それでいて慈しむような声。語り部は、決意と諦観の入り混じったような不思議な瞳で、レンシェルマを見つめていた。
 ふ、と、小さくレンシェルマが息をつく。
「そうであったとしても・・・・・・・・出来ることなら、知ってほしくなかったのです。例えそれが、私のエゴだとしても・・・・。」
 呟いた声は低く、小さく、掠れていた。吐息混じりに、レンシェルマは続ける。
「何が本当の『幸せ』なのか、どうすればより良い『未来』に至るのか・・・・。全てが定められた『運命』であるとしても、私は足掻くべきだったのに・・・・逃げ出してしまった。あの『家』から・・・・」
 ルピナスは、信じられないものを見るかのようにレンシェルマを見つめた。いつも優しく、温かく、強かったレンシェルマの、あまりにも弱弱しい様子を目の当たりにして。
「しかし・・・・・・・・アリエスは、選んだのですね。『運命』に、従う道を。」
「そうだよ。そして、僕はそれを止められなかった。止めることを、アリエスは望まなかった。僕は、アリエスの意思を覆す言葉を持たない。」
 そうして、語り部は視線をルピナスへ移す。
「『運命』を変えられるのは、君たちだけだ。」
 そうして、再び視線をレンシェルマへ。
「そして、君に出来ることは、真実を伝えること。」
 最後に、語り部は目を伏せる。
「僕も、語るから。誰も知らない、隠された真実を。」
 噛み締めるように呟き、語り部は壁に身を預けた。


「・・・・・・・・シーシェンズ・・・・」
 しばしの沈黙。その後に、レンシェルマが声を洩らした。
「シーシェンズを語るには、まず『四大家』について語らねばなりません。しかし・・・・知れば、ルピナス、あなたはきっと、深く傷つくでしょう。・・・・・・・・それでも、知りたいですか?」
 ルピナスは、一瞬戸惑いの色を浮かべる。しかし、すぐにはっきりと頷いた。
「傷つくかどうかなんて、聞いてみないと解らない。教えてくれ、レンさん。」
 レンシェルマは、深く息を吐いた。
「解りました・・・・・・・・教えましょう、私の知る全てを。」
 そうして、レンシェルマは視線を上げる。濃紺の瞳に、静かな覚悟の色が宿った。
「・・・・『シーシェンズ』とは、『四大家』と呼ばれる四つの血筋のうちの一つの姓です。『四大家』とは、遥か昔、降魔戦争の折、時を司る神・・・・『輪転の女王(レジーナ・オブ・クロノス)』と契約を結び、『時』の魔術の使用を可能にした四人を始祖とする四つの家のこと。そして、その力を持って、世界を守ることを誓ったもの。``封じ’’のフェラナート、``護り’’のサーヴァリル、``裁き’’のヴェルリュード、そして・・・・``許し’’のシーシェンズ。」
「世界を、守る?」
 突然大きな事を言い出したのに引っかかりを覚えたのか、リナが問い返した。
「ええ。世界の脅威といえば、何を思いつきますか?」
「・・・・・・・・脅威、ねぇ・・・・?」
「『四大家』は、それは『魔族』だ、と考えます。そして、その力の源となる負の気や瘴気を。実際、リナさん、あなた達ほどの力の持ち主でなければ、高位の魔族と対峙し、生き残ることはできないでしょう?下級のレッサー・デーモンやブラス・デーモンでさえ、一般には十分脅威です。」
 それは確かにそうだ、と、リナは一応納得した。
「そして・・・・・・・・それが『魔王』ともなれば?あなた方『魔を滅する者たち(デモン・スレイヤーズ)』であっても、一度に2体の魔王が復活したとするならば・・・・よほどの幸運が味方しても、勝つのは難しいのでは?」
 弱気になるわけではないが、難しいどころか、きっぱり無理であると思う。そして、そんなことが起こるはずはない、とは、リナには言えなかった。・・・・実際に、その危機に直面したことがあるのだから。
「降魔戦争の折に、それが現実となりかけたそうです。だから、『四大家』は、その『時』の魔力を持って、魔を封じ、浄化し、眠らせることを誓った。」
「素晴らしいです!!世界の平和を守るため、日夜戦い続ける正義の一族・・・・なんて素敵なんでしょう・・・・!」
 アメリアが、それを聞いて目を輝かせた。しかし、それに対してレンシェルマは、苦々しげに言った。
「そんな、綺麗なものじゃないですよ・・・・・・・・」
「はい?」
 アメリアが首を傾げる。
「瘴気を封じる器は・・・・・・・・人間です。」
「え・・・・・・・・?」
 意味が飲み込めなかったのだろう、間の抜けた呟きが、床に毀れた。
「``封じ’’のフェラナート家のものは、その身の内に瘴気を溜め込む『封魔体質』の持ち主が多い。``護り’’のサーヴァリル家は、周囲の瘴気を浄化する力を持つため、常にフェラナートのものの傍らにあることで、それを浄化し続ける。しかし、それにも限界があります。身の内に瘴気を溜め込みすぎれば、器となったものはバケモノへと変貌します。その前に、時を止め永遠の眠りにつかせる役目を負うのが``許し’’のシーシェンズ家、間に合わずバケモノへと変貌したものを倒すのが、``裁き’’のヴェルリュード家。・・・・これが、『四大家』です。」
 その話に、ルピナスはあることを思い出した。そう・・・・・・・・つい先日、ブレードヴィレッジに出現した黒い巨獣・・・・『封じられしモノ』を。そして・・・・それと同じ体質だと自ら告げた、アリエスのことを。
「それって・・・・この間の・・・・・・・・」
 呟いた声は、震えていた。その最悪の予感を、レンシェルマはそれだけで感じ取ったようだった。
「『封じられしモノ』は、フェラナート家のものではありません。たまたま生まれつき似たような能力を持ってしまった人です。しかし、アリエスは・・・・・・・・」
 そこで、レンシェルマは言葉を止めた。苦しみを振り切るかのように眉根を寄せて、そして、再び言葉を紡ぎだす。
「アリエスの本名は・・・・・・・・・・・・アリエス=オルフェーゼ=ヴィータ=『フェラナート』、です。」
 その名は、つい先日聞いた覚えがある。リブラの書庫で、リブラの幻影は、アリエスをそう呼んだ。
「アリエスこそ、フェラナート家最後の一人にして・・・・最大の器、なのですよ。」
 目の前が、真っ暗になった。

「そんなのって・・・・・・・・」
 アメリアの弱弱しい声。
「何なのよ・・・・そんなの、呪いみたいなものじゃない・・・・!」
 劇場を堪えるかのような、リナの声。そして、何かを考え込むような素振りのゼルガディス。
と、ゼルガディスが顔を上げた。
「・・・・・・・・まて。何故、それほどに詳しい?」
 レンシェルマをまっすぐに、ほとんど睨みつけるように見て、ゼルガディスは問いを放った。
「それは・・・・・・・・」
 レンシェルマの逡巡。泳ぐ視線が、語り部を捕えた。
 語り部の唇が、声無く動く。
  (その名はを持つのは、君のせいじゃない)
と。
 それに後押しをされたのか、レンシェルマは、静かに告げる。

「それは、私が生まれたときに与えられた名が・・・・・・・・
  ・・・・・・・・レンシェルマ=コーレン=リュイ=『シーシェンズ』、というから、ですよ。」


 あとがき、或いは語り部の告げる未来
語:やあ!時の旅人もついに50話、裏事情も明かされ始めて、まさに話はターニングポイントに入ったわけだ。
  そんなわけで、次回の欠片を語ってみよう。
   元凶は、どこにあるのか。責めるべきものはあるのか。
   『シーシェンズ』の末裔を慰めるかのように、白亜の語り部は告げる。
   隠されし真実を。忘れられし言の葉を。そして、自らを。
   その、真の名は・・・・・・・・
  次回、『時の旅人』51話、『輪転の女王(レジーナ・オブ・クロノス)』
  じゃあ、また会おうね!


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17725だから、人は人らしく在れる。十叶 夕海 2006/6/21 23:55:33
記事番号17721へのコメント



ユア;こんにちは、ユアです。
久遠:五十回到達、おめでとう、朱琉ちゃん。
ユア;レスいきますね。


>
> さて、時は3日ほど遡る。
> レンシェルマのダメージもようやく全快し、ルピナスにも何ら後遺症が見られない。そうして、皆が大事をとって休んだ後のことだった。
>
> ヴィレードヴィレッジ神殿の一室。そう広いわけではないその部屋に6人の人がいるのは、少々窮屈そうではある。しかし、その窮屈さだけでは説明できないほどの緊張感が、その場に満ちていた。
>「・・・・・・・・レンさん、どうして、教えてくれないんですか?」
> 重い沈黙を打ち破って、ルピナスが口を開く。ルピナスは、話し合いの場が設けられた一番初めに、レンシェルマに問うたのだ。即ち・・・・『シーシェンズとは何か?』と。それを聞いた途端、レンシェルマは蒼ざめた顔で沈黙した。そして、それは今に至るまで同じこと。
> そうこうしているうちに、リナが明らかに怒りを募らせているのが目に見えてわかる。アメリアは先ほどから何度も『正義の演説』をしそうになってはゼルガディスに止められ、そのゼルガディスも、表情には出ないが不愉快だと言わんばかりの雰囲気を発散している。いつもならすぐに眠ってしまいそうなガウリイですら、もの言いたげな視線をレンシェルマに向ける始末だ。


ユア;レンさん、話せば楽になるのに。
久遠:でも、話して、自分が楽になっても、相手が辛くなるのが耐えられないタイプなんじゃない?


>「そうであったとしても・・・・・・・・出来ることなら、知ってほしくなかったのです。例えそれが、私のエゴだとしても・・・・。」
> 呟いた声は低く、小さく、掠れていた。吐息混じりに、レンシェルマは続ける。
>「何が本当の『幸せ』なのか、どうすればより良い『未来』に至るのか・・・・。全てが定められた『運命』であるとしても、私は足掻くべきだったのに・・・・逃げ出してしまった。あの『家』から・・・・」
> ルピナスは、信じられないものを見るかのようにレンシェルマを見つめた。いつも優しく、温かく、強かったレンシェルマの、あまりにも弱弱しい様子を目の当たりにして。

ユア;レンさん終わったことは仕方ないです。
久遠;そうよ、それでも、これから何をするかが重要よ?


>「・・・・・・・・シーシェンズ・・・・」
> しばしの沈黙。その後に、レンシェルマが声を洩らした。
>「シーシェンズを語るには、まず『四大家』について語らねばなりません。しかし・・・・知れば、ルピナス、あなたはきっと、深く傷つくでしょう。・・・・・・・・それでも、知りたいですか?」
> ルピナスは、一瞬戸惑いの色を浮かべる。しかし、すぐにはっきりと頷いた。
>「傷つくかどうかなんて、聞いてみないと解らない。教えてくれ、レンさん。」
> レンシェルマは、深く息を吐いた。

久遠;ルピちゃん、男前ね。
ユア;いわゆる、『しないで、後悔するより、して後悔をする』というタイプですか。


>「世界を、守る?」
> 突然大きな事を言い出したのに引っかかりを覚えたのか、リナが問い返した。
>「ええ。世界の脅威といえば、何を思いつきますか?」
>「・・・・・・・・脅威、ねぇ・・・・?」
>「『四大家』は、それは『魔族』だ、と考えます。そして、その力の源となる負の気や瘴気を。実際、リナさん、あなた達ほどの力の持ち主でなければ、高位の魔族と対峙し、生き残ることはできないでしょう?下級のレッサー・デーモンやブラス・デーモンでさえ、一般には十分脅威です。」
> それは確かにそうだ、と、リナは一応納得した。
>「そして・・・・・・・・それが『魔王』ともなれば?あなた方『魔を滅する者たち(デモン・スレイヤーズ)』であっても、一度に2体の魔王が復活したとするならば・・・・よほどの幸運が味方しても、勝つのは難しいのでは?」
> 弱気になるわけではないが、難しいどころか、きっぱり無理であると思う。そして、そんなことが起こるはずはない、とは、リナには言えなかった。・・・・実際に、その危機に直面したことがあるのだから。

ユア;たしかに。
久遠;リナちゃんレベルでも、難しそうよね。
ユア:難しいというより、アリが龍に勝つより難しいかもしれないです。
久遠;事実上、ほぼ不可能?

>「降魔戦争の折に、それが現実となりかけたそうです。だから、『四大家』は、その『時』の魔力を持って、魔を封じ、浄化し、眠らせることを誓った。」
>「素晴らしいです!!世界の平和を守るため、日夜戦い続ける正義の一族・・・・なんて素敵なんでしょう・・・・!」
> アメリアが、それを聞いて目を輝かせた。しかし、それに対してレンシェルマは、苦々しげに言った。
>「そんな、綺麗なものじゃないですよ・・・・・・・・」
>「はい?」
> アメリアが首を傾げる。

久遠:そうよね。
ユア;・・・・うまいだけの話は無い。ということですね。

>「瘴気を封じる器は・・・・・・・・人間です。」
>「え・・・・・・・・?」
> 意味が飲み込めなかったのだろう、間の抜けた呟きが、床に毀れた。
>「``封じ’’のフェラナート家のものは、その身の内に瘴気を溜め込む『封魔体質』の持ち主が多い。``護り’’のサーヴァリル家は、周囲の瘴気を浄化する力を持つため、常にフェラナートのものの傍らにあることで、それを浄化し続ける。しかし、それにも限界があります。身の内に瘴気を溜め込みすぎれば、器となったものはバケモノへと変貌します。その前に、時を止め永遠の眠りにつかせる役目を負うのが``許し’’のシーシェンズ家、間に合わずバケモノへと変貌したものを倒すのが、``裁き’’のヴェルリュード家。・・・・これが、『四大家』です。」
> その話に、ルピナスはあることを思い出した。そう・・・・・・・・つい先日、ブレードヴィレッジに出現した黒い巨獣・・・・『封じられしモノ』を。そして・・・・それと同じ体質だと自ら告げた、アリエスのことを。
>「それって・・・・この間の・・・・・・・・」
> 呟いた声は、震えていた。その最悪の予感を、レンシェルマはそれだけで感じ取ったようだった。
>「『封じられしモノ』は、フェラナート家のものではありません。たまたま生まれつき似たような能力を持ってしまった人です。しかし、アリエスは・・・・・・・・」
> そこで、レンシェルマは言葉を止めた。苦しみを振り切るかのように眉根を寄せて、そして、再び言葉を紡ぎだす。
>「アリエスの本名は・・・・・・・・・・・・アリエス=オルフェーゼ=ヴィータ=『フェラナート』、です。」
> その名は、つい先日聞いた覚えがある。リブラの書庫で、リブラの幻影は、アリエスをそう呼んだ。
>「アリエスこそ、フェラナート家最後の一人にして・・・・最大の器、なのですよ。」
> 目の前が、真っ暗になった。

久遠;こう言うのを聞くと、人間不信になりそうよね。
ユア;・・・・・そうですね。

>
>「そんなのって・・・・・・・・」
> アメリアの弱弱しい声。
>「何なのよ・・・・そんなの、呪いみたいなものじゃない・・・・!」
> 劇場を堪えるかのような、リナの声。そして、何かを考え込むような素振りのゼルガディス。
>と、ゼルガディスが顔を上げた。
>「・・・・・・・・まて。何故、それほどに詳しい?」
> レンシェルマをまっすぐに、ほとんど睨みつけるように見て、ゼルガディスは問いを放った。
>「それは・・・・・・・・」
> レンシェルマの逡巡。泳ぐ視線が、語り部を捕えた。
> 語り部の唇が、声無く動く。
>  (その名はを持つのは、君のせいじゃない)
>と。
> それに後押しをされたのか、レンシェルマは、静かに告げる。
>
>「それは、私が生まれたときに与えられた名が・・・・・・・・
>  ・・・・・・・・レンシェルマ=コーレン=リュイ=『シーシェンズ』、というから、ですよ。」

ユア:バラシタアアアァァァァァ〜〜〜。
久遠;喜んでるのか、驚いているのか、どっちかになさい。
ユア;驚いてますよ。



>
>
> あとがき、或いは語り部の告げる未来
>語:やあ!時の旅人もついに50話、裏事情も明かされ始めて、まさに話はターニングポイントに入ったわけだ。
>  そんなわけで、次回の欠片を語ってみよう。
>   元凶は、どこにあるのか。責めるべきものはあるのか。
>   『シーシェンズ』の末裔を慰めるかのように、白亜の語り部は告げる。
>   隠されし真実を。忘れられし言の葉を。そして、自らを。
>   その、真の名は・・・・・・・・
>  次回、『時の旅人』51話、『輪転の女王(レジーナ・オブ・クロノス)』
>  じゃあ、また会おうね!
>
>

ユア;楽しく読ませてもらいました。
久遠;次回も楽しみにしてるわ。
二人;では、次回。

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17726人でありたいと、願うからこそ羅城 朱琉 2006/6/22 08:39:02
記事番号17725へのコメント


>
>
>ユア;こんにちは、ユアです。
>久遠:五十回到達、おめでとう、朱琉ちゃん。
>ユア;レスいきますね。
朱琉:こんにちは、どうもありがとうございます。
アミイ:ちょっと、感慨深いわね・・・・・・・・
朱琉:結構書きましたからね。単純計算で、原稿用紙400枚分くらい書き連ねてますから。・・・・では、返レス参ります。

>
>
>>
>> さて、時は3日ほど遡る。
>> レンシェルマのダメージもようやく全快し、ルピナスにも何ら後遺症が見られない。そうして、皆が大事をとって休んだ後のことだった。
>>
>> ヴィレードヴィレッジ神殿の一室。そう広いわけではないその部屋に6人の人がいるのは、少々窮屈そうではある。しかし、その窮屈さだけでは説明できないほどの緊張感が、その場に満ちていた。
>>「・・・・・・・・レンさん、どうして、教えてくれないんですか?」
>> 重い沈黙を打ち破って、ルピナスが口を開く。ルピナスは、話し合いの場が設けられた一番初めに、レンシェルマに問うたのだ。即ち・・・・『シーシェンズとは何か?』と。それを聞いた途端、レンシェルマは蒼ざめた顔で沈黙した。そして、それは今に至るまで同じこと。
>> そうこうしているうちに、リナが明らかに怒りを募らせているのが目に見えてわかる。アメリアは先ほどから何度も『正義の演説』をしそうになってはゼルガディスに止められ、そのゼルガディスも、表情には出ないが不愉快だと言わんばかりの雰囲気を発散している。いつもならすぐに眠ってしまいそうなガウリイですら、もの言いたげな視線をレンシェルマに向ける始末だ。
>
>
>ユア;レンさん、話せば楽になるのに。
>久遠:でも、話して、自分が楽になっても、相手が辛くなるのが耐えられないタイプなんじゃない?
アミイ:夕海ちゃん、それはちょっと違うわよ?レン君にとっても、過去の傷跡みたいなものだしね。まあ、次々回に語られるけど。
朱琉:『シーシェンズ』のせいで、彼もいろいろなものを奪われてきましたから・・・・。

>
>
>>「そうであったとしても・・・・・・・・出来ることなら、知ってほしくなかったのです。例えそれが、私のエゴだとしても・・・・。」
>> 呟いた声は低く、小さく、掠れていた。吐息混じりに、レンシェルマは続ける。
>>「何が本当の『幸せ』なのか、どうすればより良い『未来』に至るのか・・・・。全てが定められた『運命』であるとしても、私は足掻くべきだったのに・・・・逃げ出してしまった。あの『家』から・・・・」
>> ルピナスは、信じられないものを見るかのようにレンシェルマを見つめた。いつも優しく、温かく、強かったレンシェルマの、あまりにも弱弱しい様子を目の当たりにして。
>
>ユア;レンさん終わったことは仕方ないです。
>久遠;そうよ、それでも、これから何をするかが重要よ?
朱琉:レンさんも、何かあるとうじうじ悩む人ですから。
アミイ:ただ、それに見切りをつけて歩き出すとき、人は新たな力を得る。まさに、『これからどうするかが重要』なわけね。

>
>
>>「・・・・・・・・シーシェンズ・・・・」
>> しばしの沈黙。その後に、レンシェルマが声を洩らした。
>>「シーシェンズを語るには、まず『四大家』について語らねばなりません。しかし・・・・知れば、ルピナス、あなたはきっと、深く傷つくでしょう。・・・・・・・・それでも、知りたいですか?」
>> ルピナスは、一瞬戸惑いの色を浮かべる。しかし、すぐにはっきりと頷いた。
>>「傷つくかどうかなんて、聞いてみないと解らない。教えてくれ、レンさん。」
>> レンシェルマは、深く息を吐いた。
>
>久遠;ルピちゃん、男前ね。
>ユア;いわゆる、『しないで、後悔するより、して後悔をする』というタイプですか。
アミイ:そういうわけよ。そして、その意思があれば、奈落の底からでも再び高みを目指せる。打ちのめされても、再び立ち上がれる。
朱琉:アリエスの強さを『泣かない強さ』とするなら、ルピ君のそれは『涙を力に変えられる強さ』とイメージしています。

>
>
>>「世界を、守る?」
>> 突然大きな事を言い出したのに引っかかりを覚えたのか、リナが問い返した。
>>「ええ。世界の脅威といえば、何を思いつきますか?」
>>「・・・・・・・・脅威、ねぇ・・・・?」
>>「『四大家』は、それは『魔族』だ、と考えます。そして、その力の源となる負の気や瘴気を。実際、リナさん、あなた達ほどの力の持ち主でなければ、高位の魔族と対峙し、生き残ることはできないでしょう?下級のレッサー・デーモンやブラス・デーモンでさえ、一般には十分脅威です。」
>> それは確かにそうだ、と、リナは一応納得した。
>>「そして・・・・・・・・それが『魔王』ともなれば?あなた方『魔を滅する者たち(デモン・スレイヤーズ)』であっても、一度に2体の魔王が復活したとするならば・・・・よほどの幸運が味方しても、勝つのは難しいのでは?」
>> 弱気になるわけではないが、難しいどころか、きっぱり無理であると思う。そして、そんなことが起こるはずはない、とは、リナには言えなかった。・・・・実際に、その危機に直面したことがあるのだから。
>
>ユア;たしかに。
>久遠;リナちゃんレベルでも、難しそうよね。
>ユア:難しいというより、アリが龍に勝つより難しいかもしれないです。
>久遠;事実上、ほぼ不可能?
朱琉:不可能ですね、きっぱりと。
アミイ:アリエスちゃんも、それがわかっているからこそ・・・・・・・・な部分もあるのよね。

>
>>「降魔戦争の折に、それが現実となりかけたそうです。だから、『四大家』は、その『時』の魔力を持って、魔を封じ、浄化し、眠らせることを誓った。」
>>「素晴らしいです!!世界の平和を守るため、日夜戦い続ける正義の一族・・・・なんて素敵なんでしょう・・・・!」
>> アメリアが、それを聞いて目を輝かせた。しかし、それに対してレンシェルマは、苦々しげに言った。
>>「そんな、綺麗なものじゃないですよ・・・・・・・・」
>>「はい?」
>> アメリアが首を傾げる。
>
>久遠:そうよね。
>ユア;・・・・うまいだけの話は無い。ということですね。
アミイ:そして、隠されることの理由は、それの残酷さゆえに。
朱琉:そんなこと、誰も好き好んで語りたくはないですよね。

>
>>「瘴気を封じる器は・・・・・・・・人間です。」
>>「え・・・・・・・・?」
>> 意味が飲み込めなかったのだろう、間の抜けた呟きが、床に毀れた。
>>「``封じ’’のフェラナート家のものは、その身の内に瘴気を溜め込む『封魔体質』の持ち主が多い。``護り’’のサーヴァリル家は、周囲の瘴気を浄化する力を持つため、常にフェラナートのものの傍らにあることで、それを浄化し続ける。しかし、それにも限界があります。身の内に瘴気を溜め込みすぎれば、器となったものはバケモノへと変貌します。その前に、時を止め永遠の眠りにつかせる役目を負うのが``許し’’のシーシェンズ家、間に合わずバケモノへと変貌したものを倒すのが、``裁き’’のヴェルリュード家。・・・・これが、『四大家』です。」
>> その話に、ルピナスはあることを思い出した。そう・・・・・・・・つい先日、ブレードヴィレッジに出現した黒い巨獣・・・・『封じられしモノ』を。そして・・・・それと同じ体質だと自ら告げた、アリエスのことを。
>>「それって・・・・この間の・・・・・・・・」
>> 呟いた声は、震えていた。その最悪の予感を、レンシェルマはそれだけで感じ取ったようだった。
>>「『封じられしモノ』は、フェラナート家のものではありません。たまたま生まれつき似たような能力を持ってしまった人です。しかし、アリエスは・・・・・・・・」
>> そこで、レンシェルマは言葉を止めた。苦しみを振り切るかのように眉根を寄せて、そして、再び言葉を紡ぎだす。
>>「アリエスの本名は・・・・・・・・・・・・アリエス=オルフェーゼ=ヴィータ=『フェラナート』、です。」
>> その名は、つい先日聞いた覚えがある。リブラの書庫で、リブラの幻影は、アリエスをそう呼んだ。
>>「アリエスこそ、フェラナート家最後の一人にして・・・・最大の器、なのですよ。」
>> 目の前が、真っ暗になった。
>
>久遠;こう言うのを聞くと、人間不信になりそうよね。
>ユア;・・・・・そうですね。
アミイ:・・・・・・・・人間不信・・・・に、させてしまいそうで怖いわ。
朱琉:あと3話ほど、人間不信に落ち入りそうになる心に負けないように、読んでほしいです。

>
>>
>>「そんなのって・・・・・・・・」
>> アメリアの弱弱しい声。
>>「何なのよ・・・・そんなの、呪いみたいなものじゃない・・・・!」
>> 劇場を堪えるかのような、リナの声。そして、何かを考え込むような素振りのゼルガディス。
>>と、ゼルガディスが顔を上げた。
>>「・・・・・・・・まて。何故、それほどに詳しい?」
>> レンシェルマをまっすぐに、ほとんど睨みつけるように見て、ゼルガディスは問いを放った。
>>「それは・・・・・・・・」
>> レンシェルマの逡巡。泳ぐ視線が、語り部を捕えた。
>> 語り部の唇が、声無く動く。
>>  (その名はを持つのは、君のせいじゃない)
>>と。
>> それに後押しをされたのか、レンシェルマは、静かに告げる。
>>
>>「それは、私が生まれたときに与えられた名が・・・・・・・・
>>  ・・・・・・・・レンシェルマ=コーレン=リュイ=『シーシェンズ』、というから、ですよ。」
>
>ユア:バラシタアアアァァァァァ〜〜〜。
>久遠;喜んでるのか、驚いているのか、どっちかになさい。
>ユア;驚いてますよ。
朱琉:やっと言えたぁぁぁぁぁっ!!!!
アミイ:長かった・・・・・・・・裏では散々言ってたのに、ルピ君に話せなかったから・・・・・・・・
朱琉:ネタバラシ・・・・というか、正体暴露はまだまだ続きます。

>
>
>
>>
>>
>> あとがき、或いは語り部の告げる未来
>>語:やあ!時の旅人もついに50話、裏事情も明かされ始めて、まさに話はターニングポイントに入ったわけだ。
>>  そんなわけで、次回の欠片を語ってみよう。
>>   元凶は、どこにあるのか。責めるべきものはあるのか。
>>   『シーシェンズ』の末裔を慰めるかのように、白亜の語り部は告げる。
>>   隠されし真実を。忘れられし言の葉を。そして、自らを。
>>   その、真の名は・・・・・・・・
>>  次回、『時の旅人』51話、『輪転の女王(レジーナ・オブ・クロノス)』
>>  じゃあ、また会おうね!
>>
>>
>
>ユア;楽しく読ませてもらいました。
>久遠;次回も楽しみにしてるわ。
>二人;では、次回。
朱琉:はい、では、また!
二人:また今度!

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17734時の旅人 51:輪転の女王(レジーナ・オブ・クロノス)羅城 朱琉 2006/6/26 08:26:07
記事番号17697へのコメント

 こんにちは、羅城 朱琉です。
 ようやく、ようやくこの回がやってきました!ついに、語り部さんの正体暴露編です!
 予想のついている人もいるかもしれませんが、どうぞ!




  時の旅人

  51:輪転の女王(レジーナ・オブ・クロノス)

 夕暮れ時の赤い光が室内を染め上げる中、一同は、呆然としたまま絶句していた。『シーシェンズ』・・・・その名が示す意味は、今聞いたばかり。そして・・・・レンシェルマもまた、『シーシェンズ』の名を持つ者という。
 眼差しを、レンシェルマの元へと向ける。疑惑と困惑、不信と詰問、全ての入り混じった、複雑な瞳で。それを堪えるようにレンシェルマは目を伏せた。・・・・それでもなお、決して弱弱しくはない光を目に湛えて。
「レンシェルマの言ったことは、全て真実だ。」
 言葉なく視線で訴えを交わす皆に、語り部は静かに口を開く。
「レンシェルマはシーシェンズ家の者。それも直系の、ね。でも・・・・それがどうした?それで『レンシェルマ』を否定するのは何故だ?
『赤の竜神の騎士(スィーフィード・ナイト)』を姉に持つのは、リナ=インバース、君のせいかな?
 光の剣の勇者を先祖に持つのは、ガウリイ=ガブリエフ、君のせいかな?
 赤法師レゾの血を引くのは、ゼルガディス=グレイワーズ、君のせいかな?
 セイルーン王家に名を連ねるのは、アメリア=ウィル=テスラ=セイルーン、君のせいかな?」
 名を呼ばれた4人は、唐突に夢から覚めたような顔をした。・・・・いや、ガウリイだけは、その前から変わりないようだが。
「連なる血を選べぬことくらい、解っているだろう?」
 優しい声で、しかし、辛辣な皮肉にも似た問いを語り部は放つ。そして、最後にルピナスを見た。
 ルピナスの目は、不信に染まってはいない。しかし、複雑な感情の色は、確かにその目に見られる。
「ルピナス=セレス=ヴァリード。君は、君の知る全ての『レンシェルマ=ヴァリード』を否定するのかな?」
「違う!レンさんが何者だろうと、関係ない。でも・・・・・・・・」
 勢いよく言ったのは、最初だけ。ルピナスは、戸惑うかのように視線を彷徨わせ、最後に目を伏せる。
「何で・・・・何で僕は、知ってるんだ・・・・?」
「知っている?」
 弾かれたように顔を上げ、レンシェルマが問い返す。その勢いに気圧されたのか、ルピナスはしどろもどろになりながら答えた。
「あの、どうしてだか解らないけど・・・・さっきの『四大家』の話に聞き覚えがあって・・・・」
「前、僕は君に少しだけ話したよね?」
「いえ・・・・それ以上に、いろいろと・・・・知っている、というより、覚えている、というような感覚で・・・・。」
 語り部は、それを聞いてくすりと笑った。
「そろそろ、かな?」
「?」
「いや、何でもない。・・・・・・・さあ、今日はここまでにしよう。今、君たちに必要なものは、考えを整理する時間だろうよ。」
 優しく落ち着いた・・・・しかし、有無を言わさぬ語り部の声。
 身を包む沈黙が晴れることはなく、5人はいくらも経たぬうちに、その部屋を後にしたのだった。


     *     *     *     *     *


 5人が立ち去ってから、またしばらくの時が流れて。夜の帳に覆われた部屋の中に、『明り(ライティング)』を灯して語り部はレンシェルマに言った。
「調子は?大丈夫かい?」
「それはこちらの台詞です。・・・・また、無茶をなさったのでしょう?」
 心配げに問い返すレンシェルマに、語り部は柔らかな笑みを浮かべて首を横に振った。
「たいしたことはないよ、時間遡行くらい。僕にとっては、ね。」
「・・・・・・・・いつから・・・・」
 レンシェルマが、ぽつりと呟いた。深く沈んだ、俯きがちな、それでも真摯な問いかけは、語り部の虚偽も、言い逃れも、はぐらかすことすら許さない、強烈な意思を宿していた。
「いつから、無茶を続けているのですか?あなた自身の存在意義を否定することを、一体いつから・・・・」
 語り部は、ふと視線を逸らす。明らかに『答えたくない』と全身の雰囲気が語っているのだが、レンシェルマは前言を撤回しなかった。
 語り部が、諦めたように声を洩らす。珍しく、掠れた、吐息がかろうじて声になっているような声で。
「・・・・はっきり動き始めたのは、大体2000年前。それ以来、ずっと。」
「そんなに・・・・・・・・」
 レンシェルマの溜息のような声に、語り部は肩をすくめると、幾分弱弱しい声で言った。
「僕にとっては、瞬き一つする間程度の時間にしかすぎないよ。気まぐれに動いている、と思われても仕方ない程度の、ね。」
 語り部は、自嘲げにそう呟いた。しかし、レンシェルマはゆっくりと頭を振る。
「気まぐれに己の存在をかけるものなどいましょうか?」
 語り部の瞳が、ふいに揺らいだ。信じられないものを見るかのようにレンシェルマを見て、わずかに動揺した声音を紡ぐ。
「・・・・・・・・レンシェルマ・・・・君は僕を恨んではいないのかい?」
 なんでもないことのように、しかし、どこか恐れるように、語り部はそう問う。
「恨む?一体どうしてでしょう?何故、あなたを恨む必要が?」
「・・・・・・・・過酷な運命だ。背負わせてしまったのは、僕。それが真実、だろう?言い逃れる気はないよ。」
 自らを傷つける言葉の刃を、語り部は無感情に振るう。それが当然といわんばかりに、まるで、詠うように。
「あんたのせいではないでしょう!?」
「いいや。僕のせいには違いない。あの時確かに、僕は自分自身の意思で『それ』を成したのだから・・・・。」
 言い募る語り部を、レンシェルマは呼んだ。言葉にするには重すぎる、『哀切』でも『同情』でも『労り』でもない、しかし、限りなくそれに近い感情を込めて。
「語り部様・・・・・・・・いえ・・・・・・・・・・・・

  ・・・・・・・・・・・・・・・・『輪転の女王(レジーナ・オブ・クロノス)』様・・・・・・・・」


 言った瞬間だった。突然、がたりと大きな音がして、ドアが揺らぐ。
「・・・・・・・・はい?」
 レンシェルマの間の抜けた声と
「あー・・・・・・・・聞いてたんだ。気配感知、してなかったからなぁ・・・・。」
 ばつの悪そうな語り部の声。
 語り部はひとつ、大きな溜息をついた。
「まったく・・・・・・・・・・・・。一応僕としても、気を使ったつもりだったのに・・・・。
 入ってきたらどうだい?聞きたいなら聞かせてあげるよ。そんな、ドアの外から盗み聞きしなくても、この場で。どうせ、明日には話すつもりだったんだからさ。」
 語り部は呆れたような、しかし、僅かに笑みを含んだ声で、そう言った。


     *     *     *     *     *


 結局、5人は完全に立ち去ったわけではなかった。いや、一度は立ち去りはしたものの、気になって結局戻ってきたのだ。
 リナとゼルガディスとルピナスは、最後に語り部が呟いた『そろそろかな?』という言葉が気にかかって。
 アメリアは、『正義』を唱えながらも、アメリアの信じる『正義』と食い違う『四大家』について詳しく知りたくて。
 ガウリイは、その持ち前の野生の感で何かを感じ取って。
そして、蝉よろしくドアに張り付いて話を盗み聞きしていて・・・・先ほどに至るわけである。

 何だか居心地悪そうに椅子に腰掛けた5人に向かって、語り部は諦観なのか自棄なのか、はたまた他の何かなのか、よく解らない声で言う。
「さて、聞きたいことは何だったのかな?・・・・・・・・と、言いたいところだけど、今のところ、君たちが思ってるのはこれじゃないのかな?即ち・・・・・・・・僕は『何』なのか?さっき、レンシェルマが言ったことの意味とは?」
 柔らかな『明り(ライティング)』の光と、窓の外の月明かり。語り部は窓枠に腰掛けて、ゆっくりと言った。
「まずは・・・・『輪転の女王(レジーナ・オブ・クロノス)』を知っているかい?」
 即座に頷いたのは、ルピナス一人。他の皆はしばし首を傾げていたが、やがてゼルガディスが何かを思い出した。
「聞いたことがある。何でも、『金色の魔王(ロード・オブ・ナイトメア)』と対を成す存在で、時間を司るものだという。」
「まあ、おおむね正解、と言ってもいいと思うよ。正しくは、『金色の魔王(ロード・オブ・ナイトメア)』と対を成しているわけじゃなくて、全ての『混沌の王』と相対する『時空の王』というもの、だけど。・・・・しかしまあ、よくそんな知識が一般に出回っていたねぇ。」
「・・・・・・・・」
 ゼルガディスは黙して語らなかったが、実はこれは、とある場所で入手した『写本』に乗っていた知識である。その写本はゼロスに燃やされて既にないが、それ以来、ゼルガディスは『輪転の女王(レジーナ・オブ・クロノス)』に関する情報も集めていたのだ。・・・・それ以外、全くと言っていいほど情報は集まらなかったが。
「ありうるとすれば・・・・『異界黙示録(クレアバイブル)の写本』かな?だとしたら、よくあのお役所仕事の黒ずくめを出し抜けたものだ。」
 感心するかのように、語り部はうんうんと頷いた。
「・・・・!?」
「あいつを知ってるのか!?」
 リナの静かな驚愕と、ゼルガディスの問い。語り部はそれらにあっさり頷いた。
「知ってるよ、獣神官ゼロスだろう。あれは僕には近づかないから、近くで見たのは数回だけどね。・・・・・・・・まあ、あれの話は置いておいて。本筋に話を戻すよ。」
 随分と凄いことを言っていたように思うのだが、語り部はあっさりとそれを流した。
「僕は何なのかだけど・・・・さっきレンシェルマの言っていた通りだよ。」
「言っていた通り、って・・・・・・・・」
 語り部は、僅かに口の端を吊り上げた。その瞬間に、周囲に強力な結界が張られたのに気付いたのは、レンシェルマだけ。

「僕は『輪転の女王(レジーナ・オブ・クロノス)』・・・・・・・・または、``螺旋の預言者’’。
  レイノリス=フォーティア=プレカーリ=アレイジア=ラウリス=レイズファータという、長ったらしくも偉そうな名前を持つ、『時空の王』・・・・さ。」


 あとがき、或いは語り部の告げる未来
語:やあ!今回はどうだったかな?今回は、ついに僕が正体を明かす番となったわけだけど・・・・まあ、これまでどおり『語り部』と呼んでくれると嬉しいな?
  では、もう早速次回の欠片を語ってしまおう。
   時を統べるもの、その、もう一つの役目。
   運命を手織るもの、その、苦痛と苦悩。
   その果てにて生まれた、『楽園』の名を持つ『罪』。
   それを知る者にとっては、『罪』なのだろう。
  次回、『時の旅人』52話、『流されえぬ涙』
  じゃあ、また次回で会おうね!


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17735・・・・・・なるほど(嬉しそうな複雑そうな苦笑で。)十叶 夕海 2006/6/26 21:42:30
記事番号17734へのコメント


> こんにちは、羅城 朱琉です。
> ようやく、ようやくこの回がやってきました!ついに、語り部さんの正体暴露編です!
> 予想のついている人もいるかもしれませんが、どうぞ!

ユア;こんにちは、ユアです。
久遠;この回の前に、じっくりと読み直して、たぶん。って、かんじで分かったみたい。
ユア;それじゃ、レス行きます。

>「レンシェルマの言ったことは、全て真実だ。」
> 言葉なく視線で訴えを交わす皆に、語り部は静かに口を開く。
>「レンシェルマはシーシェンズ家の者。それも直系の、ね。でも・・・・それがどうした?それで『レンシェルマ』を否定するのは何故だ?
>『赤の竜神の騎士(スィーフィード・ナイト)』を姉に持つのは、リナ=インバース、君のせいかな?
> 光の剣の勇者を先祖に持つのは、ガウリイ=ガブリエフ、君のせいかな?
> 赤法師レゾの血を引くのは、ゼルガディス=グレイワーズ、君のせいかな?
> セイルーン王家に名を連ねるのは、アメリア=ウィル=テスラ=セイルーン、君のせいかな?」
> 名を呼ばれた4人は、唐突に夢から覚めたような顔をした。・・・・いや、ガウリイだけは、その前から変わりないようだが。
>「連なる血を選べぬことくらい、解っているだろう?」
> 優しい声で、しかし、辛辣な皮肉にも似た問いを語り部は放つ。そして、最後にルピナスを見た。

ユア;もっともなことだけれども、一番見逃しがちですね。
久遠;そうよね。
   だけど、忘れちゃ行けないわね、『子供が生まれる場所を選べないこと』を。

> ルピナスの目は、不信に染まってはいない。しかし、複雑な感情の色は、確かにその目に見られる。
>「ルピナス=セレス=ヴァリード。君は、君の知る全ての『レンシェルマ=ヴァリード』を否定するのかな?」
>「違う!レンさんが何者だろうと、関係ない。でも・・・・・・・・」
> 勢いよく言ったのは、最初だけ。ルピナスは、戸惑うかのように視線を彷徨わせ、最後に目を伏せる。
>「何で・・・・何で僕は、知ってるんだ・・・・?」
>「知っている?」
> 弾かれたように顔を上げ、レンシェルマが問い返す。その勢いに気圧されたのか、ルピナスはしどろもどろになりながら答えた。
>「あの、どうしてだか解らないけど・・・・さっきの『四大家』の話に聞き覚えがあって・・・・」
>「前、僕は君に少しだけ話したよね?」
>「いえ・・・・それ以上に、いろいろと・・・・知っている、というより、覚えている、というような感覚で・・・・。」
> 語り部は、それを聞いてくすりと笑った。
>「そろそろ、かな?」

久遠;ユアちゃん?
ユア;そういえば、ルピナスの記憶の行方が残ってましたね。
久遠;でも、語り部ちゃんの焦らすような物言いも、いいけどこの件は早く分かって欲しいわ。

> 語り部は、ふと視線を逸らす。明らかに『答えたくない』と全身の雰囲気が語っているのだが、レンシェルマは前言を撤回しなかった。
> 語り部が、諦めたように声を洩らす。珍しく、掠れた、吐息がかろうじて声になっているような声で。
>「・・・・はっきり動き始めたのは、大体2000年前。それ以来、ずっと。」
>「そんなに・・・・・・・・」
> レンシェルマの溜息のような声に、語り部は肩をすくめると、幾分弱弱しい声で言った。
>「僕にとっては、瞬き一つする間程度の時間にしかすぎないよ。気まぐれに動いている、と思われても仕方ない程度の、ね。」
> 語り部は、自嘲げにそう呟いた。しかし、レンシェルマはゆっくりと頭を振る。
>「気まぐれに己の存在をかけるものなどいましょうか?」
> 語り部の瞳が、ふいに揺らいだ。信じられないものを見るかのようにレンシェルマを見て、わずかに動揺した声音を紡ぐ。
>「・・・・・・・・レンシェルマ・・・・君は僕を恨んではいないのかい?」
> なんでもないことのように、しかし、どこか恐れるように、語り部はそう問う。
>「恨む?一体どうしてでしょう?何故、あなたを恨む必要が?」
>「・・・・・・・・過酷な運命だ。背負わせてしまったのは、僕。それが真実、だろう?言い逃れる気はないよ。」
> 自らを傷つける言葉の刃を、語り部は無感情に振るう。それが当然といわんばかりに、まるで、詠うように。
>「あんたのせいではないでしょう!?」
>「いいや。僕のせいには違いない。あの時確かに、僕は自分自身の意思で『それ』を成したのだから・・・・。」

ユア;ちなみに、だいぶ遅れている『何時も心に花束を』で、ディス嬢はもっとすごいこと言ってます。
久遠;でも、レンちゃんの言うことも、一理あるし。
   それに、語り部ちゃんのもたらした『不幸』が無ければ、その中の『幸福』も生まれなかったのよ?

> 言い募る語り部を、レンシェルマは呼んだ。言葉にするには重すぎる、『哀切』でも『同情』でも『労り』でもない、しかし、限りなくそれに近い感情を込めて。
>「語り部様・・・・・・・・いえ・・・・・・・・・・・・
>
>  ・・・・・・・・・・・・・・・・『輪転の女王(レジーナ・オブ・クロノス)』様・・・・・・・・」
>

ユア;・・・・・・・なるほど。
久遠;なに、妙ににやにやして、複雑そうな苦笑してるのよ。
ユア;一番らしいかなと。
   分かれば、すごくしっくり来ますね。


>     *     *     *     *     *
>
>
> 結局、5人は完全に立ち去ったわけではなかった。いや、一度は立ち去りはしたものの、気になって結局戻ってきたのだ。
> リナとゼルガディスとルピナスは、最後に語り部が呟いた『そろそろかな?』という言葉が気にかかって。
> アメリアは、『正義』を唱えながらも、アメリアの信じる『正義』と食い違う『四大家』について詳しく知りたくて。
> ガウリイは、その持ち前の野生の感で何かを感じ取って。
>そして、蝉よろしくドアに張り付いて話を盗み聞きしていて・・・・先ほどに至るわけである。

久遠;盗み聞きなら、コップは、必須よ。
ユア;じゃなくて、それぞれのらしい理由ね。とかじゃないの?

>
> 何だか居心地悪そうに椅子に腰掛けた5人に向かって、語り部は諦観なのか自棄なのか、はたまた他の何かなのか、よく解らない声で言う。
>「さて、聞きたいことは何だったのかな?・・・・・・・・と、言いたいところだけど、今のところ、君たちが思ってるのはこれじゃないのかな?即ち・・・・・・・・僕は『何』なのか?さっき、レンシェルマが言ったことの意味とは?」
> 柔らかな『明り(ライティング)』の光と、窓の外の月明かり。語り部は窓枠に腰掛けて、ゆっくりと言った。
>「まずは・・・・『輪転の女王(レジーナ・オブ・クロノス)』を知っているかい?」
> 即座に頷いたのは、ルピナス一人。他の皆はしばし首を傾げていたが、やがてゼルガディスが何かを思い出した。
>「聞いたことがある。何でも、『金色の魔王(ロード・オブ・ナイトメア)』と対を成す存在で、時間を司るものだという。」
>「まあ、おおむね正解、と言ってもいいと思うよ。正しくは、『金色の魔王(ロード・オブ・ナイトメア)』と対を成しているわけじゃなくて、全ての『混沌の王』と相対する『時空の王』というもの、だけど。・・・・しかしまあ、よくそんな知識が一般に出回っていたねぇ。」
>「・・・・・・・・」
> ゼルガディスは黙して語らなかったが、実はこれは、とある場所で入手した『写本』に乗っていた知識である。その写本はゼロスに燃やされて既にないが、それ以来、ゼルガディスは『輪転の女王(レジーナ・オブ・クロノス)』に関する情報も集めていたのだ。・・・・それ以外、全くと言っていいほど情報は集まらなかったが。
> 随分と凄いことを言っていたように思うのだが、語り部はあっさりとそれを流した。
>「僕は何なのかだけど・・・・さっきレンシェルマの言っていた通りだよ。」
>「言っていた通り、って・・・・・・・・」
> 語り部は、僅かに口の端を吊り上げた。その瞬間に、周囲に強力な結界が張られたのに気付いたのは、レンシェルマだけ。
>
>「僕は『輪転の女王(レジーナ・オブ・クロノス)』・・・・・・・・または、``螺旋の預言者’’。
>  レイノリス=フォーティア=プレカーリ=アレイジア=ラウリス=レイズファータという、長ったらしくも偉そうな名前を持つ、『時空の王』・・・・さ。」


ユア;この話で、発覚したことをおおよその予想で、『いつも心に花束を』のプロットを組み直したんですけど。
久遠:かなり、語り部ちゃんに、暴言という名のエールを送っているのよね。
ユア;それにしても、長い上に早口言葉みたいですけど、ステキな本名ですね。

>
>
> あとがき、或いは語り部の告げる未来
>語:やあ!今回はどうだったかな?今回は、ついに僕が正体を明かす番となったわけだけど・・・・まあ、これまでどおり『語り部』と呼んでくれると嬉しいな?
>  では、もう早速次回の欠片を語ってしまおう。
>   時を統べるもの、その、もう一つの役目。
>   運命を手織るもの、その、苦痛と苦悩。
>   その果てにて生まれた、『楽園』の名を持つ『罪』。
>   それを知る者にとっては、『罪』なのだろう。
>  次回、『時の旅人』52話、『流されえぬ涙』
>  じゃあ、また次回で会おうね!

ユア;語り部さんは、語り部さんでしょう。
   正体が何であっても。
久遠;『いつも心に花束を』のプロットを大筋変えなくてもよかったって、胸を撫で下ろしていたのに?
二人;何は、ともあれ。
   次回も楽しみにしてます。
   それでは。


>
>

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17738私的には、暴言万歳です。羅城 朱琉 2006/6/27 08:23:09
記事番号17735へのコメント


>
>> こんにちは、羅城 朱琉です。
>> ようやく、ようやくこの回がやってきました!ついに、語り部さんの正体暴露編です!
>> 予想のついている人もいるかもしれませんが、どうぞ!
>
>ユア;こんにちは、ユアです。
>久遠;この回の前に、じっくりと読み直して、たぶん。って、かんじで分かったみたい。
>ユア;それじゃ、レス行きます。
朱琉:こんにちは。解っていただけて嬉しいです。
アミイ:一番最初の1話から、ずっと言いたくて言いたくて仕方なかったのよね。
朱琉:はい。では、返レス参ります。


>
>>「レンシェルマの言ったことは、全て真実だ。」
>> 言葉なく視線で訴えを交わす皆に、語り部は静かに口を開く。
>>「レンシェルマはシーシェンズ家の者。それも直系の、ね。でも・・・・それがどうした?それで『レンシェルマ』を否定するのは何故だ?
>>『赤の竜神の騎士(スィーフィード・ナイト)』を姉に持つのは、リナ=インバース、君のせいかな?
>> 光の剣の勇者を先祖に持つのは、ガウリイ=ガブリエフ、君のせいかな?
>> 赤法師レゾの血を引くのは、ゼルガディス=グレイワーズ、君のせいかな?
>> セイルーン王家に名を連ねるのは、アメリア=ウィル=テスラ=セイルーン、君のせいかな?」
>> 名を呼ばれた4人は、唐突に夢から覚めたような顔をした。・・・・いや、ガウリイだけは、その前から変わりないようだが。
>>「連なる血を選べぬことくらい、解っているだろう?」
>> 優しい声で、しかし、辛辣な皮肉にも似た問いを語り部は放つ。そして、最後にルピナスを見た。
>
>ユア;もっともなことだけれども、一番見逃しがちですね。
>久遠;そうよね。
>   だけど、忘れちゃ行けないわね、『子供が生まれる場所を選べないこと』を。
朱琉:どうしても、忘れてしまうんですよね。そのことを。
アミイ:確かに、親とか大事だとは思うけど、それに囚われてばかりなのもまた、愚かなことなのに・・・・ね。


>
>> ルピナスの目は、不信に染まってはいない。しかし、複雑な感情の色は、確かにその目に見られる。
>>「ルピナス=セレス=ヴァリード。君は、君の知る全ての『レンシェルマ=ヴァリード』を否定するのかな?」
>>「違う!レンさんが何者だろうと、関係ない。でも・・・・・・・・」
>> 勢いよく言ったのは、最初だけ。ルピナスは、戸惑うかのように視線を彷徨わせ、最後に目を伏せる。
>>「何で・・・・何で僕は、知ってるんだ・・・・?」
>>「知っている?」
>> 弾かれたように顔を上げ、レンシェルマが問い返す。その勢いに気圧されたのか、ルピナスはしどろもどろになりながら答えた。
>>「あの、どうしてだか解らないけど・・・・さっきの『四大家』の話に聞き覚えがあって・・・・」
>>「前、僕は君に少しだけ話したよね?」
>>「いえ・・・・それ以上に、いろいろと・・・・知っている、というより、覚えている、というような感覚で・・・・。」
>> 語り部は、それを聞いてくすりと笑った。
>>「そろそろ、かな?」
>
>久遠;ユアちゃん?
>ユア;そういえば、ルピナスの記憶の行方が残ってましたね。
>久遠;でも、語り部ちゃんの焦らすような物言いも、いいけどこの件は早く分かって欲しいわ。
朱琉:これも、第5部のうちに明かす予定です。
アミイ:これも、もしかしたら予想がついているかもね。
朱琉:結構、予想通りの結果だと思います。


>
>> 語り部は、ふと視線を逸らす。明らかに『答えたくない』と全身の雰囲気が語っているのだが、レンシェルマは前言を撤回しなかった。
>> 語り部が、諦めたように声を洩らす。珍しく、掠れた、吐息がかろうじて声になっているような声で。
>>「・・・・はっきり動き始めたのは、大体2000年前。それ以来、ずっと。」
>>「そんなに・・・・・・・・」
>> レンシェルマの溜息のような声に、語り部は肩をすくめると、幾分弱弱しい声で言った。
>>「僕にとっては、瞬き一つする間程度の時間にしかすぎないよ。気まぐれに動いている、と思われても仕方ない程度の、ね。」
>> 語り部は、自嘲げにそう呟いた。しかし、レンシェルマはゆっくりと頭を振る。
>>「気まぐれに己の存在をかけるものなどいましょうか?」
>> 語り部の瞳が、ふいに揺らいだ。信じられないものを見るかのようにレンシェルマを見て、わずかに動揺した声音を紡ぐ。
>>「・・・・・・・・レンシェルマ・・・・君は僕を恨んではいないのかい?」
>> なんでもないことのように、しかし、どこか恐れるように、語り部はそう問う。
>>「恨む?一体どうしてでしょう?何故、あなたを恨む必要が?」
>>「・・・・・・・・過酷な運命だ。背負わせてしまったのは、僕。それが真実、だろう?言い逃れる気はないよ。」
>> 自らを傷つける言葉の刃を、語り部は無感情に振るう。それが当然といわんばかりに、まるで、詠うように。
>>「あんたのせいではないでしょう!?」
>>「いいや。僕のせいには違いない。あの時確かに、僕は自分自身の意思で『それ』を成したのだから・・・・。」
>
>ユア;ちなみに、だいぶ遅れている『何時も心に花束を』で、ディス嬢はもっとすごいこと言ってます。
>久遠;でも、レンちゃんの言うことも、一理あるし。
>   それに、語り部ちゃんのもたらした『不幸』が無ければ、その中の『幸福』も生まれなかったのよ?
朱琉:見ましたが・・・・逆にディス嬢に拍手したい気持ちです。
アミイ:ついでに、似たようなことをルピ君がアリエスちゃんに言う予定。
朱琉:ひょっとしたらあの台詞、どこかでお借りするかもです。

>
>> 言い募る語り部を、レンシェルマは呼んだ。言葉にするには重すぎる、『哀切』でも『同情』でも『労り』でもない、しかし、限りなくそれに近い感情を込めて。
>>「語り部様・・・・・・・・いえ・・・・・・・・・・・・
>>
>>  ・・・・・・・・・・・・・・・・『輪転の女王(レジーナ・オブ・クロノス)』様・・・・・・・・」
>>
>
>ユア;・・・・・・・なるほど。
>久遠;なに、妙ににやにやして、複雑そうな苦笑してるのよ。
>ユア;一番らしいかなと。
>   分かれば、すごくしっくり来ますね。
朱琉:ちなみに、次回明かす予定ですが、語り部さんが『罪』、『罪』言っている正体を明かすと、ほとんど全ての謎がすっきりとおさまると思います。
アミイ:もう少し、待っててね。


>
>
>>     *     *     *     *     *
>>
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>> 結局、5人は完全に立ち去ったわけではなかった。いや、一度は立ち去りはしたものの、気になって結局戻ってきたのだ。
>> リナとゼルガディスとルピナスは、最後に語り部が呟いた『そろそろかな?』という言葉が気にかかって。
>> アメリアは、『正義』を唱えながらも、アメリアの信じる『正義』と食い違う『四大家』について詳しく知りたくて。
>> ガウリイは、その持ち前の野生の感で何かを感じ取って。
>>そして、蝉よろしくドアに張り付いて話を盗み聞きしていて・・・・先ほどに至るわけである。
>
>久遠;盗み聞きなら、コップは、必須よ。
>ユア;じゃなくて、それぞれのらしい理由ね。とかじゃないの?
アミイ:そうそう、こうドアにコップをかぽっと付けて・・・・
朱琉:(さらっと流して)皆それぞれに、理由があって来ているんですけど・・・・語り部さんなら、『これも運命』とか言うんでしょうね。
アミイ:朱琉・・・・おねーさん悲しいわ・・・・

>
>>
>> 何だか居心地悪そうに椅子に腰掛けた5人に向かって、語り部は諦観なのか自棄なのか、はたまた他の何かなのか、よく解らない声で言う。
>>「さて、聞きたいことは何だったのかな?・・・・・・・・と、言いたいところだけど、今のところ、君たちが思ってるのはこれじゃないのかな?即ち・・・・・・・・僕は『何』なのか?さっき、レンシェルマが言ったことの意味とは?」
>> 柔らかな『明り(ライティング)』の光と、窓の外の月明かり。語り部は窓枠に腰掛けて、ゆっくりと言った。
>>「まずは・・・・『輪転の女王(レジーナ・オブ・クロノス)』を知っているかい?」
>> 即座に頷いたのは、ルピナス一人。他の皆はしばし首を傾げていたが、やがてゼルガディスが何かを思い出した。
>>「聞いたことがある。何でも、『金色の魔王(ロード・オブ・ナイトメア)』と対を成す存在で、時間を司るものだという。」
>>「まあ、おおむね正解、と言ってもいいと思うよ。正しくは、『金色の魔王(ロード・オブ・ナイトメア)』と対を成しているわけじゃなくて、全ての『混沌の王』と相対する『時空の王』というもの、だけど。・・・・しかしまあ、よくそんな知識が一般に出回っていたねぇ。」
>>「・・・・・・・・」
>> ゼルガディスは黙して語らなかったが、実はこれは、とある場所で入手した『写本』に乗っていた知識である。その写本はゼロスに燃やされて既にないが、それ以来、ゼルガディスは『輪転の女王(レジーナ・オブ・クロノス)』に関する情報も集めていたのだ。・・・・それ以外、全くと言っていいほど情報は集まらなかったが。
>> 随分と凄いことを言っていたように思うのだが、語り部はあっさりとそれを流した。
>>「僕は何なのかだけど・・・・さっきレンシェルマの言っていた通りだよ。」
>>「言っていた通り、って・・・・・・・・」
>> 語り部は、僅かに口の端を吊り上げた。その瞬間に、周囲に強力な結界が張られたのに気付いたのは、レンシェルマだけ。
>>
>>「僕は『輪転の女王(レジーナ・オブ・クロノス)』・・・・・・・・または、``螺旋の預言者’’。
>>  レイノリス=フォーティア=プレカーリ=アレイジア=ラウリス=レイズファータという、長ったらしくも偉そうな名前を持つ、『時空の王』・・・・さ。」
>
>
>ユア;この話で、発覚したことをおおよその予想で、『いつも心に花束を』のプロットを組み直したんですけど。
>久遠:かなり、語り部ちゃんに、暴言という名のエールを送っているのよね。
>ユア;それにしても、長い上に早口言葉みたいですけど、ステキな本名ですね。
朱琉:一応、それぞれの名前に意味があるんです。
アミイ:『レイノリス=時の支配者』、『フォーティア=力』、『プレカーリ=祈り』、『アレイジア=真実』、『ラウリス=時間』、『レイズファータ=運命の破壊』という意味よ。英語とドイツ語とラテン語とギリシア語が入り混じってる上に、響き重視で読み方を変えてるから、既に原型留めてないけど。
朱琉:そして、前述しましたが、暴言万歳です。

>
>>
>>
>> あとがき、或いは語り部の告げる未来
>>語:やあ!今回はどうだったかな?今回は、ついに僕が正体を明かす番となったわけだけど・・・・まあ、これまでどおり『語り部』と呼んでくれると嬉しいな?
>>  では、もう早速次回の欠片を語ってしまおう。
>>   時を統べるもの、その、もう一つの役目。
>>   運命を手織るもの、その、苦痛と苦悩。
>>   その果てにて生まれた、『楽園』の名を持つ『罪』。
>>   それを知る者にとっては、『罪』なのだろう。
>>  次回、『時の旅人』52話、『流されえぬ涙』
>>  じゃあ、また次回で会おうね!
>
>ユア;語り部さんは、語り部さんでしょう。
>   正体が何であっても。
>久遠;『いつも心に花束を』のプロットを大筋変えなくてもよかったって、胸を撫で下ろしていたのに?
>二人;何は、ともあれ。
>   次回も楽しみにしてます。
>   それでは。
朱琉:はい、それでは、また。
二人:また今度!

>
>
>>
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17736Re:時の旅人 51:輪転の女王(レジーナ・オブ・クロノス)神高 紅 2006/6/26 22:55:16
記事番号17734へのコメント

紅:こんばんは羅城さん。紅神高ですぞー(ムック風に)ではではさっそく感想レスに参りますぞー。
>「レンシェルマの言ったことは、全て真実だ。」
> 言葉なく視線で訴えを交わす皆に、語り部は静かに口を開く。
>「レンシェルマはシーシェンズ家の者。それも直系の、ね。でも・・・・それがどうした?それで『レンシェルマ』を否定するのは何故だ?
>『赤の竜神の騎士(スィーフィード・ナイト)』を姉に持つのは、リナ=インバース、君のせいかな?
> 光の剣の勇者を先祖に持つのは、ガウリイ=ガブリエフ、君のせいかな?
> 赤法師レゾの血を引くのは、ゼルガディス=グレイワーズ、君のせいかな?
> セイルーン王家に名を連ねるのは、アメリア=ウィル=テスラ=セイルーン、君のせいかな?」
> 名を呼ばれた4人は、唐突に夢から覚めたような顔をした。・・・・いや、ガウリイだけは、その前から変わりないようだが。
>「連なる血を選べぬことくらい、解っているだろう?」
> 優しい声で、しかし、辛辣な皮肉にも似た問いを語り部は放つ。そして、最後にルピナスを見た。
> ルピナスの目は、不信に染まってはいない。しかし、複雑な感情の色は、確かにその目に見られる。

コ:まあ確かに真理だな。この物語的に言うなら運命の悪戯ってとこかね。
紅:生まれた瞬間からある程度道筋が違うのは事実ですからねえ。

>「あの、どうしてだか解らないけど・・・・さっきの『四大家』の話に聞き覚えがあって・・・・」
>「前、僕は君に少しだけ話したよね?」
>「いえ・・・・それ以上に、いろいろと・・・・知っている、というより、覚えている、というような感覚で・・・・。」
> 語り部は、それを聞いてくすりと笑った。
>「そろそろ、かな?」
>「?」
>「いや、何でもない。・・・・・・・さあ、今日はここまでにしよう。今、君たちに必要なものは、考えを整理する時間だろうよ。」
> 優しく落ち着いた・・・・しかし、有無を言わさぬ語り部の声。
> 身を包む沈黙が晴れることはなく、5人はいくらも経たぬうちに、その部屋を後にしたのだった。

紅:焦らしますねえ、語り部さん。
ク:ルピナスさんの記憶がなかったの・・すっかり忘れてました・・
コ:そこは覚えとけよ。

>「いつから、無茶を続けているのですか?あなた自身の存在意義を否定することを、一体いつから・・・・」
> 語り部は、ふと視線を逸らす。明らかに『答えたくない』と全身の雰囲気が語っているのだが、レンシェルマは前言を撤回しなかった。
> 語り部が、諦めたように声を洩らす。珍しく、掠れた、吐息がかろうじて声になっているような声で。
>「・・・・はっきり動き始めたのは、大体2000年前。それ以来、ずっと。」
>「そんなに・・・・・・・・」
> レンシェルマの溜息のような声に、語り部は肩をすくめると、幾分弱弱しい声で言った。
>「僕にとっては、瞬き一つする間程度の時間にしかすぎないよ。気まぐれに動いている、と思われても仕方ない程度の、ね。」
> 語り部は、自嘲げにそう呟いた。しかし、レンシェルマはゆっくりと頭を振る。

コ:2000年ねえ・・・それで瞬き一つ。一体どれだけ存在してるんだか。
ク:そちらじゃなくて・・こちらの私たちでも・・数千歳ですしねえ・・
紅:普通に考えて、自身の存在否定は消滅にすら繋がるんじゃないでしょうか、この世界においては。

>「恨む?一体どうしてでしょう?何故、あなたを恨む必要が?」
>「・・・・・・・・過酷な運命だ。背負わせてしまったのは、僕。それが真実、だろう?言い逃れる気はないよ。」
> 自らを傷つける言葉の刃を、語り部は無感情に振るう。それが当然といわんばかりに、まるで、詠うように。
>「あんたのせいではないでしょう!?」
>「いいや。僕のせいには違いない。あの時確かに、僕は自分自身の意思で『それ』を成したのだから・・・・。」
> 言い募る語り部を、レンシェルマは呼んだ。言葉にするには重すぎる、『哀切』でも『同情』でも『労り』でもない、しかし、限りなくそれに近い感情を込めて。
>「語り部様・・・・・・・・いえ・・・・・・・・・・・・
>
>  ・・・・・・・・・・・・・・・・『輪転の女王(レジーナ・オブ・クロノス)』様・・・・・・・・」

紅:いわゆるひとつの驚愕の事実発覚チャンネルはそのままでって感じですね。
コ:全然違うと思うが・・・まあ薄々はってことだな。
ク:それにしても驚きました・・・・・・・カタリさん・・女の人だったんですね・・
コ:驚愕点はそこ!?

>「僕は何なのかだけど・・・・さっきレンシェルマの言っていた通りだよ。」
>「言っていた通り、って・・・・・・・・」
> 語り部は、僅かに口の端を吊り上げた。その瞬間に、周囲に強力な結界が張られたのに気付いたのは、レンシェルマだけ。
>
>「僕は『輪転の女王(レジーナ・オブ・クロノス)』・・・・・・・・または、``螺旋の預言者’’。
>  レイノリス=フォーティア=プレカーリ=アレイジア=ラウリス=レイズファータという、長ったらしくも偉そうな名前を持つ、『時空の王』・・・・さ。」

ク:お偉いさんですね・・それにしても長い名前ですね・・なんて呼んだらいいのか・・
コ:(たまにこいつの発言わざとに思えてくるな)

> あとがき、或いは語り部の告げる未来
>語:やあ!今回はどうだったかな?今回は、ついに僕が正体を明かす番となったわけだけど・・・・まあ、これまでどおり『語り部』と呼んでくれると嬉しいな?
>  では、もう早速次回の欠片を語ってしまおう。
>   時を統べるもの、その、もう一つの役目。
>   運命を手織るもの、その、苦痛と苦悩。
>   その果てにて生まれた、『楽園』の名を持つ『罪』。
>   それを知る者にとっては、『罪』なのだろう。
>  次回、『時の旅人』52話、『流されえぬ涙』
>  じゃあ、また次回で会おうね!

紅:ではではまた次回以降で会えれば嬉しいですね。
コ:毎度毎度願望込みなのなお前の発言は。
紅:それが僕のアイデンティティです。
ク:捨ててください・・そんなもの・・
紅:無理。ではこの辺で、さよーなら。
コ:・・・・・・じゃあまたな。
ク:さよなら・・

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17739女と言うわけでは・・・・羅城 朱琉 2006/6/27 08:34:56
記事番号17736へのコメント


>紅:こんばんは羅城さん。紅神高ですぞー(ムック風に)ではではさっそく感想レスに参りますぞー。
朱琉:こんにちは。早速ですが、返レス参りますね。

>>「レンシェルマの言ったことは、全て真実だ。」
>> 言葉なく視線で訴えを交わす皆に、語り部は静かに口を開く。
>>「レンシェルマはシーシェンズ家の者。それも直系の、ね。でも・・・・それがどうした?それで『レンシェルマ』を否定するのは何故だ?
>>『赤の竜神の騎士(スィーフィード・ナイト)』を姉に持つのは、リナ=インバース、君のせいかな?
>> 光の剣の勇者を先祖に持つのは、ガウリイ=ガブリエフ、君のせいかな?
>> 赤法師レゾの血を引くのは、ゼルガディス=グレイワーズ、君のせいかな?
>> セイルーン王家に名を連ねるのは、アメリア=ウィル=テスラ=セイルーン、君のせいかな?」
>> 名を呼ばれた4人は、唐突に夢から覚めたような顔をした。・・・・いや、ガウリイだけは、その前から変わりないようだが。
>>「連なる血を選べぬことくらい、解っているだろう?」
>> 優しい声で、しかし、辛辣な皮肉にも似た問いを語り部は放つ。そして、最後にルピナスを見た。
>> ルピナスの目は、不信に染まってはいない。しかし、複雑な感情の色は、確かにその目に見られる。
>
>コ:まあ確かに真理だな。この物語的に言うなら運命の悪戯ってとこかね。
>紅:生まれた瞬間からある程度道筋が違うのは事実ですからねえ。
カタリ:それでも、忘れがちなんだよね、そのことを。
朱琉:まあ、これは『運命』であると同時に、『世のしがらみ』でもありますから。

>
>>「あの、どうしてだか解らないけど・・・・さっきの『四大家』の話に聞き覚えがあって・・・・」
>>「前、僕は君に少しだけ話したよね?」
>>「いえ・・・・それ以上に、いろいろと・・・・知っている、というより、覚えている、というような感覚で・・・・。」
>> 語り部は、それを聞いてくすりと笑った。
>>「そろそろ、かな?」
>>「?」
>>「いや、何でもない。・・・・・・・さあ、今日はここまでにしよう。今、君たちに必要なものは、考えを整理する時間だろうよ。」
>> 優しく落ち着いた・・・・しかし、有無を言わさぬ語り部の声。
>> 身を包む沈黙が晴れることはなく、5人はいくらも経たぬうちに、その部屋を後にしたのだった。
>
>紅:焦らしますねえ、語り部さん。
>ク:ルピナスさんの記憶がなかったの・・すっかり忘れてました・・
>コ:そこは覚えとけよ。
朱琉:第5部中に、これにもあらかた決着がつくと思います。
カタリ:でも、意外と予想通りかもしれないよ?これまで朱琉は、そのための伏線も張ってきたからね・・・・一応。

>
>>「いつから、無茶を続けているのですか?あなた自身の存在意義を否定することを、一体いつから・・・・」
>> 語り部は、ふと視線を逸らす。明らかに『答えたくない』と全身の雰囲気が語っているのだが、レンシェルマは前言を撤回しなかった。
>> 語り部が、諦めたように声を洩らす。珍しく、掠れた、吐息がかろうじて声になっているような声で。
>>「・・・・はっきり動き始めたのは、大体2000年前。それ以来、ずっと。」
>>「そんなに・・・・・・・・」
>> レンシェルマの溜息のような声に、語り部は肩をすくめると、幾分弱弱しい声で言った。
>>「僕にとっては、瞬き一つする間程度の時間にしかすぎないよ。気まぐれに動いている、と思われても仕方ない程度の、ね。」
>> 語り部は、自嘲げにそう呟いた。しかし、レンシェルマはゆっくりと頭を振る。
>
>コ:2000年ねえ・・・それで瞬き一つ。一体どれだけ存在してるんだか。
>ク:そちらじゃなくて・・こちらの私たちでも・・数千歳ですしねえ・・
>紅:普通に考えて、自身の存在否定は消滅にすら繋がるんじゃないでしょうか、この世界においては。
朱琉:で・・・・その答えとしては?
カタリ:いつから存在してる、って・・・・・・・・そんなの、『時』の始まりから、ずっと。数えるのも馬鹿らしいくらい前から、考えるのも嫌になるくらい未来まで、永遠に・・・・さ。
朱琉:存在の否定云々は?
カタリ:そこはまあ・・・・当たらずとも遠からず、とだけ言っておこう。
朱琉:それでも十分大事じゃあ・・・・?

>
>>「恨む?一体どうしてでしょう?何故、あなたを恨む必要が?」
>>「・・・・・・・・過酷な運命だ。背負わせてしまったのは、僕。それが真実、だろう?言い逃れる気はないよ。」
>> 自らを傷つける言葉の刃を、語り部は無感情に振るう。それが当然といわんばかりに、まるで、詠うように。
>>「あんたのせいではないでしょう!?」
>>「いいや。僕のせいには違いない。あの時確かに、僕は自分自身の意思で『それ』を成したのだから・・・・。」
>> 言い募る語り部を、レンシェルマは呼んだ。言葉にするには重すぎる、『哀切』でも『同情』でも『労り』でもない、しかし、限りなくそれに近い感情を込めて。
>>「語り部様・・・・・・・・いえ・・・・・・・・・・・・
>>
>>  ・・・・・・・・・・・・・・・・『輪転の女王(レジーナ・オブ・クロノス)』様・・・・・・・・」
>
>紅:いわゆるひとつの驚愕の事実発覚チャンネルはそのままでって感じですね。
>コ:全然違うと思うが・・・まあ薄々はってことだな。
>ク:それにしても驚きました・・・・・・・カタリさん・・女の人だったんですね・・
>コ:驚愕点はそこ!?
カタリ:いや、女じゃないから。男でもないけど。・・・・『時』に性別つけるだなんて、ナンセンスだと思わないかい?
朱琉:でも、服が(日本人的感覚から見て)女物っぽかったので、『女王(レジーナ)』とついたわけです。
カタリ:だからまあ、『輪転の王(レジェン・オブ・クロノス)』と言っても間違ってないし。次回でその辺の行があるから、詳しくはそっちを見てほしいな。

>
>>「僕は何なのかだけど・・・・さっきレンシェルマの言っていた通りだよ。」
>>「言っていた通り、って・・・・・・・・」
>> 語り部は、僅かに口の端を吊り上げた。その瞬間に、周囲に強力な結界が張られたのに気付いたのは、レンシェルマだけ。
>>
>>「僕は『輪転の女王(レジーナ・オブ・クロノス)』・・・・・・・・または、``螺旋の預言者’’。
>>  レイノリス=フォーティア=プレカーリ=アレイジア=ラウリス=レイズファータという、長ったらしくも偉そうな名前を持つ、『時空の王』・・・・さ。」
>
>ク:お偉いさんですね・・それにしても長い名前ですね・・なんて呼んだらいいのか・・
>コ:(たまにこいつの発言わざとに思えてくるな)
カタリ:いや、別に何て呼んでくれてもいいけど・・・・基本的に、これからも『語り部』で通すから、それでいいよ。
朱琉:この名前自体、呪文か称号か?みたいなものですからね。

>
>> あとがき、或いは語り部の告げる未来
>>語:やあ!今回はどうだったかな?今回は、ついに僕が正体を明かす番となったわけだけど・・・・まあ、これまでどおり『語り部』と呼んでくれると嬉しいな?
>>  では、もう早速次回の欠片を語ってしまおう。
>>   時を統べるもの、その、もう一つの役目。
>>   運命を手織るもの、その、苦痛と苦悩。
>>   その果てにて生まれた、『楽園』の名を持つ『罪』。
>>   それを知る者にとっては、『罪』なのだろう。
>>  次回、『時の旅人』52話、『流されえぬ涙』
>>  じゃあ、また次回で会おうね!
>
>紅:ではではまた次回以降で会えれば嬉しいですね。
>コ:毎度毎度願望込みなのなお前の発言は。
>紅:それが僕のアイデンティティです。
>ク:捨ててください・・そんなもの・・
>紅:無理。ではこの辺で、さよーなら。
>コ:・・・・・・じゃあまたな。
>ク:さよなら・・
朱琉:はい、では、テスト直前のため手短で失礼します。
二人:それでは、また!


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17751時の旅人 52:流されえぬ涙羅城 朱琉 2006/7/3 08:22:43
記事番号17697へのコメント
 こんにちは、羅城 朱琉です。
 怒涛のネタバラシラッシュ第3弾です。今回は・・・・・・・・語り部さんを嫌いになる人がいてもおかしくないかも知れません。
 では、早速どうぞ!




  時の旅人

  52:流されえぬ涙

 場を包んだ沈黙は、困惑か不審か。その微妙な静寂のなかで、語り部はひょい、と肩を竦めた。
「信じられないのも無理ないとは思うけどね。ただ、僕は君たちが聞いてるなんて知らなかったこと、そして、こんな冗談言う理由がないことを、頭に留めて置くように。」
「・・・・・・・・・・・・・・・・」
 もの言いたげな視線が、ガウリイから向けられた。語り部は、軽く首を傾げることで、言葉を促す。
「あんた・・・・女なのか?」
「・・・・は?」
「女王って言ったら女だって事ぐらい、俺にもわかるぞ?」
 語り部は、口の端に薄く笑みを浮かべた。
「『時』に性別をつけるだなんて、ナンセンスだと思わないかい?・・・・言っただろう?『時空の王』は『混沌の王』と相対するもの。君たちは、『混沌の王』の本質を知っているだろう?」
 半分目を閉じた語り部は、詠うように語る。
「Lの言葉を借りるとすれば、『我が意思こそ、我が力。我が力こそ、我が意思。』それは、僕にも当てはまる。」
 それを聞いて、リナとゼルガディスはピンと来たようだった。その唇を僅かに震わせ、リナは吐息にも似た声を洩らす。
「まさか・・・・・・・・」
 語り部は、満足そうに微笑んだ。
「恐らく、君の考えは正しいよ。L・・・・『金色の魔王(ロード・オブ・ナイトメア)』の本質が、君たちのいう『混沌の海』であるように、僕の本質は、この流れ行く『時』そのもの・・・・。それに性別をつけるだなんて、ナンセンスだろう?・・・・あえてこの呼称の理由を説明するなら、そうだねぇ・・・・着ていた服が、女物に見えたんだろう、多分。」
 そう言って語り部は笑った。
「・・・・って、ちょっと待ってよ!」
 唐突に、リナが叫んだ。
「もしそれが本当だとしても、何でそんなのがほいほいと出歩いてるわけ?『あれ』と同じだって言うんなら・・・・」
「それには、いくつか理由がある。」
 語り部が、笑いを収めて言った。
「一つ目は、僕自身が力を抑制してるから。・・・・実をいうと、さっきみたいに名前を明かすのは、そういう観点から見れば非常に危ない。なぜなら、強大な力を持った存在の名前っていうのは、それ自体一つの呪文みたいなものだから。だから、そういうものは呼称で呼ぶ。さっき名前を明かす前に、僕は結界を張ったんだけど・・・・気付いたかい?」
 リナは沈黙し、そっと周りの皆を見た。アメリアとゼルガディスは、首を横に振っている。ルピナスは、少し首をかしげているところを見ると、違和感ぐらいはあったらしい。そして、ガウリイは・・・・
「おお!」
 ぽん、と手を叩いた。
「何か、変な感じがすると思ってたんだよな〜。」
 これには、語り部も目を丸くする。どうやら、ガウリイの野生の感は『輪転の女王(レジーナ・オブ・クロノス)』の予想の上を行っていたらしい。
 くすりと笑うと、独り言というには大きい声で言う。
「やはり、『人』は面白い。」


     *     *     *     *     *


 ひとしきり笑ったのち、語り部は続きを話し出した。
「さて、二つ目の理由だけど・・・・今、僕は本来の半分の力もないから。」
「・・・・どういうこと?」
 首を傾げるリナに、語り部は肩を竦めて言う。
「どうしたもこうしたも、これまで犯した罪の結果で。」
「罪?」
「それは、違うでしょう!?」
 それまで黙っていたレンシェルマが、堪えきれなくなったように口を挟んだ。しかし、語り部は淡々と言う。
「罪だろう?どう考えても。」
「私は・・・・私はただの人間で、あなたの心境を推し量ることなど出来るはずもありません。しかし、想像することは出来ないわけではありません。・・・・・・・・
  ・・・・・・・・永劫の孤独の中、責め苦のような任を担わされて、その負担を軽減するため成したことが『罪』となりましょうか?」
「その前提条件からして違うね。『孤独』だとか『責め苦』だとか、そんな風に思ったことはない。・・・・というか、『孤独』って、どうして辛いのかな?僕には理解できない。」
 レンシェルマは、いたたまれなくなって視線を逸らした。レンシェルマには、『孤独』を感じないことが良いことだとは到底思えないのだ。『孤独』の寂しさを知るからこそ、『優しさ』や『愛』を知ることが出来るのだから。
 負の感情があるから、正の感情は存在できる。負の感情のない語り部は、正の感情も無くて・・・・・・・・だから、きっとどれほど上手に演技し仮面を被っていようと、語り部の心は『0(ゼロ)』のまま、揺れることがない。それは・・・・それこそは、とても寂しく、悲しく、辛いことなのではないのかと、レンシェルマは思う。
 しかし、語り部はそのまま淡々と言葉を紡ぎ続けた。
「結局、疲れたから、なんだよ。僕があれを・・・・アルカディアを創ったのってさ。」
「アルカディア?」
 聞きなれない名称に、ルピナスはついつい口を挟んだ。
「ああ、しまった・・・・こっちの名称じゃないといけないね。名前は呪文なんだから。・・・・『中枢予定表』のことだよ。」
 再び現れた意味のわからない名称に、ルピナスは更に深く首を傾げる。
 その様子に、語り部は呆れたような瞳をレンシェルマに向けた。
「レンシェルマ・・・・・・・・本っ当に、何も言ってなかったんだね・・・・。」
「すみません・・・・」
 語り部は、ふと息を吐き出し、言った。
「責めてるわけじゃないよ。・・・・・・・・『中枢予定表』は、運命を紡ぐ自動装置。人に似た姿はしているし、感情もないわけじゃないけど、その行動原理は、その高度に理知的な『本能』によるものだ。」
 一気に言い切った語り部を押し留めるように、ルピナスは少し焦った声で言った。
「ちょ・・・・意味がよく解らないんだけど。」
 語り部は、苦々しい口調で、しかし、先程よりは普段に近い口調で告げる。
「・・・・『運命』について、君たちはどう思う?」
「はぁ?・・・・ンなもん、あるわけないでしょ?あったとしても、そんなもん、捻じ曲げてやるわ!」
 困惑しながらも、力強く言い切ったのは、リナ。
「『運命』って・・・・なんだ?」
「あー、ガウリイはいいから。」
 相変わらずのボケっぷりを披露して、リナに横においておかれたガウリイ。
「・・・・・・・・興味ないな。」
 そっけなく言い切ったゼルガディス。
「運命、それ即ち、真理!つまりは、悪が滅び正義が勝つことこそ、この世の法則であり真理であり運命なのです!」
 なぜか、持ち前の正義論に流れるアメリア。
 それぞれに答える中、ルピナスは少し考えて、静かに言った。
「運命があるかどうかはわからない。ないかもしれないし、あっても、その中にいる以上は解らないと思う。きっと、そんなこと意識しないから。」
 語り部は、一つ頷いた。
「ルピナスがいいところをついているね。考え方としては、リナのが好きだけど。」
 語り部はそう言うと、厳かな口調で語りだした。
「そう、『運命』の存在の有無はわからない。その『運命』の内にいる限りは。でもね・・・・それは確かに存在するんだ。見えなくても、感じられなくても、それは確かに全てを縛っている。まるで霧で作られた檻のように、その存在を当たり前のように溶かし込みながら。そして、今現在、その運命を紡いでいるのが『中枢予定表』。」
「今現在?・・・・ってことは、そうじゃないときもあったわけ?」
 語り部はその問いに、静かに頷いた。
「以前は、僕が・・・・『輪転の女王(レジーナ・オブ・クロノス)』が、運命を紡いでいたよ。それが、ぼくの役目の一つだったからね。ただ・・・・疲れたんだよ、そのことに。レンシェルマが言ったみたいに、『孤独』とか『責め苦』とかおもったわけじゃないけど、ただ何となく『疲れた』んだ。」
 その響きが、どこか投げやりなものであることに、全員が気付いていた。
 レンシェルマは思う。語り部は否定するけれど、語り部が『疲れ』と感じたそれは、やはり『孤独』の辛さや、運命を・・・・喜劇も悲劇も、幸福も絶望も、全てを生み出していくことに対する『苦悩』の、無自覚な発露ではないのか・・・・と。
 きっと、それを言っても否定されるだけだろうけど。
 その間にも、語り部の言葉は続いていた。
「だから、創った。僕の代わりに、運命を紡ぐものを。客観的に『時』を眺め、調和の取れた運命を紡ぎ続けるものを。・・・・・・・・それが『中枢予定表』アルカディア。」
 そう言って、語り部は小さく息をつく。そして、でも、と続けた。
「でも、それは間違ってた。『調和の取れた運命』の名の元に、どれだけの犠牲が出ているか知らなかった。」
 俯いた語り部の姿は、なぜかとても弱弱しく見えた。口調も、声色も、語調さえ、先ほどと全く変わっていないというのに。
「結局、『調和の取れた運命』なんてものは、『世界の緩慢な死』に他ならなかった。」
 いや・・・・僅かに、口調に変化があった。そう、これは・・・・自嘲。
「僕は、何も解っていなかった。『調和の取れた運命』を紡ぐことが、全てを良い方向に導くと。実際に世界を見ることもなく、一人合点していたんだ。・・・・それは、『中枢予定表』を創った後、世界を見ていて・・・・初めて知った。
 ・・・・・・・・全く。これじゃあ、アミイとファラに愛想つかされても当然だ。」
 最後の一言は、独白だったのだろう。少し抑えられた声は、それでも静かな部屋の中にはしっかりと響いていて・・・・。
 もはや問いを発するものはいなかったが、それに気付いた語り部が自分で補足した。
「ああ、アミイとファラっていうのは、僕以外の『時空の王』だから。」
 そして、語り部は言った。少し悲しげな・・・・しかし、それすらも恐らくは演技なのであろう笑みを浮かべて。

「『知らなかった』こと。そして、無知なまま『中枢予定表』を作り出してしまったこと。
  ・・・・・・・・これが、僕の『罪』。」

 演技であるはずなのに・・・・・・・・その顔は、なぜか泣いているように見えた。


 あとがき、或いは語り部(代理)が告げる未来
アミリータ:こんにちは!はじめまして、な人は「はじめまして」。『時空の王』が一人、アミリータよ!
   今回は、『語り部』レイちゃんが鬱傾向なので、私がこの場を担当させて頂くわ。
   さて・・・・じゃあ、レイちゃん風に次回予告をするわね。
    全ては明かされた・・・・そう、思っていた。
    しかし、それはまやかし。一つだけ、謎は残る。
    最後の闇が晴れるとき、その心に待つのは希望か絶望か・・・・
    『幻想』の花の名を持つ者は、今、全てを知る。
  次回、『時の旅人』53話、『失われた名前』
  だけど、別名『怒涛のネタバラシラッシュ第4弾』かしら?
じゃあ、また次回で会いましょうね!



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17756それでも、大好きですよ、語り部さん。十叶 夕海 2006/7/3 21:38:00
記事番号17751へのコメント


ユア;こんにちは。レス行きますね。

>「・・・・・・・・・・・・・・・・」
> もの言いたげな視線が、ガウリイから向けられた。語り部は、軽く首を傾げることで、言葉を促す。
>「あんた・・・・女なのか?」
>「・・・・は?」
>「女王って言ったら女だって事ぐらい、俺にもわかるぞ?」
> 語り部は、口の端に薄く笑みを浮かべた。
>「『時』に性別をつけるだなんて、ナンセンスだと思わないかい?・・・・言っただろう?『時空の王』は『混沌の王』と相対するもの。君たちは、『混沌の王』の本質を知っているだろう?」
> 半分目を閉じた語り部は、詠うように語る。
>「恐らく、君の考えは正しいよ。L・・・・『金色の魔王(ロード・オブ・ナイトメア)』の本質が、君たちのいう『混沌の海』であるように、僕の本質は、この流れ行く『時』そのもの・・・・。それに性別をつけるだなんて、ナンセンスだろう?・・・・あえてこの呼称の理由を説明するなら、そうだねぇ・・・・着ていた服が、女物に見えたんだろう、多分。」

久遠;そうよね。私にしたって、男が持つものだからって感じで、性別が決まったも同然でしょうし・・・・。
ユア;たしかに、事象に性別付けるのは、ナンセンスですね。
   その事象の性質で、決めるのは、人と言えど。

>「一つ目は、僕自身が力を抑制してるから。・・・・実をいうと、さっきみたいに名前を明かすのは、そういう観点から見れば非常に危ない。なぜなら、強大な力を持った存在の名前っていうのは、それ自体一つの呪文みたいなものだから。だから、そういうものは呼称で呼ぶ。さっき名前を明かす前に、僕は結界を張ったんだけど・・・・気付いたかい?」
>「おお!」
> ぽん、と手を叩いた。
>「何か、変な感じがすると思ってたんだよな〜。」
> これには、語り部も目を丸くする。どうやら、ガウリイの野生の感は『輪転の女王(レジーナ・オブ・クロノス)』の予想の上を行っていたらしい。

ユア;いえ、語り部さん、ガウリィは、ある意味規格外ですから。

>「私は・・・・私はただの人間で、あなたの心境を推し量ることなど出来るはずもありません。しかし、想像することは出来ないわけではありません。・・・・・・・・
>  ・・・・・・・・永劫の孤独の中、責め苦のような任を担わされて、その負担を軽減するため成したことが『罪』となりましょうか?」
>「その前提条件からして違うね。『孤独』だとか『責め苦』だとか、そんな風に思ったことはない。・・・・というか、『孤独』って、どうして辛いのかな?僕には理解できない。」
> レンシェルマは、いたたまれなくなって視線を逸らした。レンシェルマには、『孤独』を感じないことが良いことだとは到底思えないのだ。『孤独』の寂しさを知るからこそ、『優しさ』や『愛』を知ることが出来るのだから。
> 負の感情があるから、正の感情は存在できる。負の感情のない語り部は、正の感情も無くて・・・・・・・・だから、きっとどれほど上手に演技し仮面を被っていようと、語り部の心は『0(ゼロ)』のまま、揺れることがない。それは・・・・それこそは、とても寂しく、悲しく、辛いことなのではないのかと、レンシェルマは思う。
> しかし、語り部はそのまま淡々と言葉を紡ぎ続けた。
>「結局、疲れたから、なんだよ。僕があれを・・・・アルカディアを創ったのってさ。」

久遠;語り部ちゃん、語り部ちゃんが貴方が言うみたいに、『感情』が分からないのなら、その『疲れた』って言う感情は、何処から来たのかしらね。(珍しく泣きそうに。)


> 一気に言い切った語り部を押し留めるように、ルピナスは少し焦った声で言った。
>「ちょ・・・・意味がよく解らないんだけど。」
> 語り部は、苦々しい口調で、しかし、先程よりは普段に近い口調で告げる。
>「・・・・『運命』について、君たちはどう思う?」
>「はぁ?・・・・ンなもん、あるわけないでしょ?あったとしても、そんなもん、捻じ曲げてやるわ!」
> 困惑しながらも、力強く言い切ったのは、リナ。
> それぞれに答える中、ルピナスは少し考えて、静かに言った。
>「運命があるかどうかはわからない。ないかもしれないし、あっても、その中にいる以上は解らないと思う。きっと、そんなこと意識しないから。」
> 語り部は、一つ頷いた。
>「ルピナスがいいところをついているね。考え方としては、リナのが好きだけど。」

久遠;対象的よね、二人の考え方。
ユア;でも、わたしは、リナ嬢に賛成。
   運命なんて、ぶっ潰すv


>「今現在?・・・・ってことは、そうじゃないときもあったわけ?」
> 語り部はその問いに、静かに頷いた。
>「以前は、僕が・・・・『輪転の女王(レジーナ・オブ・クロノス)』が、運命を紡いでいたよ。それが、ぼくの役目の一つだったからね。ただ・・・・疲れたんだよ、そのことに。レンシェルマが言ったみたいに、『孤独』とか『責め苦』とかおもったわけじゃないけど、ただ何となく『疲れた』んだ。」
> その響きが、どこか投げやりなものであることに、全員が気付いていた。
> レンシェルマは思う。語り部は否定するけれど、語り部が『疲れ』と感じたそれは、やはり『孤独』の辛さや、運命を・・・・喜劇も悲劇も、幸福も絶望も、全てを生み出していくことに対する『苦悩』の、無自覚な発露ではないのか・・・・と。

久遠:私は、それを信じたいわ。
ユア;たしかに・・・・ですね。

>「でも、それは間違ってた。『調和の取れた運命』の名の元に、どれだけの犠牲が出ているか知らなかった。」
> 俯いた語り部の姿は、なぜかとても弱弱しく見えた。口調も、声色も、語調さえ、先ほどと全く変わっていないというのに。
>「結局、『調和の取れた運命』なんてものは、『世界の緩慢な死』に他ならなかった。」
> いや・・・・僅かに、口調に変化があった。そう、これは・・・・自嘲。
>「僕は、何も解っていなかった。『調和の取れた運命』を紡ぐことが、全てを良い方向に導くと。実際に世界を見ることもなく、一人合点していたんだ。・・・・それは、『中枢予定表』を創った後、世界を見ていて・・・・初めて知った。
> ・・・・・・・・全く。これじゃあ、アミイとファラに愛想つかされても当然だ。」

ユア:・・・・独裁主義国家の成り果てってかんじ?
久遠;そうよね、調和取れた運命なんて、ブロイラー工場と変わらないものね。

>
> 演技であるはずなのに・・・・・・・・その顔は、なぜか泣いているように見えた。

ユア;・・・・『演技でも、隠せず浮かぶ表情は、その役者のその時の本当の表情である。』by・平田オリザ。

>
>
> あとがき、或いは語り部(代理)が告げる未来
>アミリータ:こんにちは!はじめまして、な人は「はじめまして」。『時空の王』が一人、アミリータよ!
>   今回は、『語り部』レイちゃんが鬱傾向なので、私がこの場を担当させて頂くわ。
>   さて・・・・じゃあ、レイちゃん風に次回予告をするわね。
>    全ては明かされた・・・・そう、思っていた。
>    しかし、それはまやかし。一つだけ、謎は残る。
>    最後の闇が晴れるとき、その心に待つのは希望か絶望か・・・・
>    『幻想』の花の名を持つ者は、今、全てを知る。
>  次回、『時の旅人』53話、『失われた名前』
>  だけど、別名『怒涛のネタバラシラッシュ第4弾』かしら?
>じゃあ、また次回で会いましょうね!

ユア;語り部さんを私は嫌いになりません。
   今までのが、演技でも、その中に一つでも真実があるだろうから。
二人:では、次回。

>
>
>

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17758そう言って頂けると、本当に嬉しいです。羅城 朱琉 2006/7/4 08:28:12
記事番号17756へのコメント


>
>ユア;こんにちは。レス行きますね。
朱琉:こんにちは。では、返レスをば。

>
>>「・・・・・・・・・・・・・・・・」
>> もの言いたげな視線が、ガウリイから向けられた。語り部は、軽く首を傾げることで、言葉を促す。
>>「あんた・・・・女なのか?」
>>「・・・・は?」
>>「女王って言ったら女だって事ぐらい、俺にもわかるぞ?」
>> 語り部は、口の端に薄く笑みを浮かべた。
>>「『時』に性別をつけるだなんて、ナンセンスだと思わないかい?・・・・言っただろう?『時空の王』は『混沌の王』と相対するもの。君たちは、『混沌の王』の本質を知っているだろう?」
>> 半分目を閉じた語り部は、詠うように語る。
>>「恐らく、君の考えは正しいよ。L・・・・『金色の魔王(ロード・オブ・ナイトメア)』の本質が、君たちのいう『混沌の海』であるように、僕の本質は、この流れ行く『時』そのもの・・・・。それに性別をつけるだなんて、ナンセンスだろう?・・・・あえてこの呼称の理由を説明するなら、そうだねぇ・・・・着ていた服が、女物に見えたんだろう、多分。」
>
>久遠;そうよね。私にしたって、男が持つものだからって感じで、性別が決まったも同然でしょうし・・・・。
>ユア;たしかに、事象に性別付けるのは、ナンセンスですね。
>   その事象の性質で、決めるのは、人と言えど。
朱琉:そして、そういった中で、『時』なんかどっちの性別つけて良いのかわからないですからね。
アミイ:性格に言うと、男でも女でもいい、じゃない?世界の神話を見ても、男神と女神、どっちもいるし。

>
>>「一つ目は、僕自身が力を抑制してるから。・・・・実をいうと、さっきみたいに名前を明かすのは、そういう観点から見れば非常に危ない。なぜなら、強大な力を持った存在の名前っていうのは、それ自体一つの呪文みたいなものだから。だから、そういうものは呼称で呼ぶ。さっき名前を明かす前に、僕は結界を張ったんだけど・・・・気付いたかい?」
>>「おお!」
>> ぽん、と手を叩いた。
>>「何か、変な感じがすると思ってたんだよな〜。」
>> これには、語り部も目を丸くする。どうやら、ガウリイの野生の感は『輪転の女王(レジーナ・オブ・クロノス)』の予想の上を行っていたらしい。
>
>ユア;いえ、語り部さん、ガウリィは、ある意味規格外ですから。
朱琉:くらげだけど、鋭いですものね。

>
>>「私は・・・・私はただの人間で、あなたの心境を推し量ることなど出来るはずもありません。しかし、想像することは出来ないわけではありません。・・・・・・・・
>>  ・・・・・・・・永劫の孤独の中、責め苦のような任を担わされて、その負担を軽減するため成したことが『罪』となりましょうか?」
>>「その前提条件からして違うね。『孤独』だとか『責め苦』だとか、そんな風に思ったことはない。・・・・というか、『孤独』って、どうして辛いのかな?僕には理解できない。」
>> レンシェルマは、いたたまれなくなって視線を逸らした。レンシェルマには、『孤独』を感じないことが良いことだとは到底思えないのだ。『孤独』の寂しさを知るからこそ、『優しさ』や『愛』を知ることが出来るのだから。
>> 負の感情があるから、正の感情は存在できる。負の感情のない語り部は、正の感情も無くて・・・・・・・・だから、きっとどれほど上手に演技し仮面を被っていようと、語り部の心は『0(ゼロ)』のまま、揺れることがない。それは・・・・それこそは、とても寂しく、悲しく、辛いことなのではないのかと、レンシェルマは思う。
>> しかし、語り部はそのまま淡々と言葉を紡ぎ続けた。
>>「結局、疲れたから、なんだよ。僕があれを・・・・アルカディアを創ったのってさ。」
>
>久遠;語り部ちゃん、語り部ちゃんが貴方が言うみたいに、『感情』が分からないのなら、その『疲れた』って言う感情は、何処から来たのかしらね。(珍しく泣きそうに。)
朱琉:うっ・・・・!!
アミイ:久遠ちゃん、鋭いわね。実際、その辺りはポイントと言うか、伏線と言うか・・・・。今後の展開に乞うご期待、ね。

>
>
>> 一気に言い切った語り部を押し留めるように、ルピナスは少し焦った声で言った。
>>「ちょ・・・・意味がよく解らないんだけど。」
>> 語り部は、苦々しい口調で、しかし、先程よりは普段に近い口調で告げる。
>>「・・・・『運命』について、君たちはどう思う?」
>>「はぁ?・・・・ンなもん、あるわけないでしょ?あったとしても、そんなもん、捻じ曲げてやるわ!」
>> 困惑しながらも、力強く言い切ったのは、リナ。
>> それぞれに答える中、ルピナスは少し考えて、静かに言った。
>>「運命があるかどうかはわからない。ないかもしれないし、あっても、その中にいる以上は解らないと思う。きっと、そんなこと意識しないから。」
>> 語り部は、一つ頷いた。
>>「ルピナスがいいところをついているね。考え方としては、リナのが好きだけど。」
>
>久遠;対象的よね、二人の考え方。
>ユア;でも、わたしは、リナ嬢に賛成。
>   運命なんて、ぶっ潰すv
アミイ:私は『時空の王』だけど、私も、リナちゃん派よ。
朱琉:その辺りの考え方は、語り部さんとアミイ嬢では180度違いますから。

>
>
>>「今現在?・・・・ってことは、そうじゃないときもあったわけ?」
>> 語り部はその問いに、静かに頷いた。
>>「以前は、僕が・・・・『輪転の女王(レジーナ・オブ・クロノス)』が、運命を紡いでいたよ。それが、ぼくの役目の一つだったからね。ただ・・・・疲れたんだよ、そのことに。レンシェルマが言ったみたいに、『孤独』とか『責め苦』とかおもったわけじゃないけど、ただ何となく『疲れた』んだ。」
>> その響きが、どこか投げやりなものであることに、全員が気付いていた。
>> レンシェルマは思う。語り部は否定するけれど、語り部が『疲れ』と感じたそれは、やはり『孤独』の辛さや、運命を・・・・喜劇も悲劇も、幸福も絶望も、全てを生み出していくことに対する『苦悩』の、無自覚な発露ではないのか・・・・と。
>
>久遠:私は、それを信じたいわ。
>ユア;たしかに・・・・ですね。
アミイ:本当に・・・・。でないと、どうにも救われないわ。

>
>>「でも、それは間違ってた。『調和の取れた運命』の名の元に、どれだけの犠牲が出ているか知らなかった。」
>> 俯いた語り部の姿は、なぜかとても弱弱しく見えた。口調も、声色も、語調さえ、先ほどと全く変わっていないというのに。
>>「結局、『調和の取れた運命』なんてものは、『世界の緩慢な死』に他ならなかった。」
>> いや・・・・僅かに、口調に変化があった。そう、これは・・・・自嘲。
>>「僕は、何も解っていなかった。『調和の取れた運命』を紡ぐことが、全てを良い方向に導くと。実際に世界を見ることもなく、一人合点していたんだ。・・・・それは、『中枢予定表』を創った後、世界を見ていて・・・・初めて知った。
>> ・・・・・・・・全く。これじゃあ、アミイとファラに愛想つかされても当然だ。」
>
>ユア:・・・・独裁主義国家の成り果てってかんじ?
>久遠;そうよね、調和取れた運命なんて、ブロイラー工場と変わらないものね。
アミイ:夕海ちゃん、言いえて妙ね。
朱琉:でも、『それが当然』と思っていれば、その役目を離れて外から見ないと、判らないのも無理ないと思います。

>
>>
>> 演技であるはずなのに・・・・・・・・その顔は、なぜか泣いているように見えた。
>
>ユア;・・・・『演技でも、隠せず浮かぶ表情は、その役者のその時の本当の表情である。』by・平田オリザ。
朱琉:まさに、そんな感じだと思ってください。
アミイ:演者の仮面の向こうには、きっとホンモノの思いがあるはずだから。

>
>>
>>
>> あとがき、或いは語り部(代理)が告げる未来
>>アミリータ:こんにちは!はじめまして、な人は「はじめまして」。『時空の王』が一人、アミリータよ!
>>   今回は、『語り部』レイちゃんが鬱傾向なので、私がこの場を担当させて頂くわ。
>>   さて・・・・じゃあ、レイちゃん風に次回予告をするわね。
>>    全ては明かされた・・・・そう、思っていた。
>>    しかし、それはまやかし。一つだけ、謎は残る。
>>    最後の闇が晴れるとき、その心に待つのは希望か絶望か・・・・
>>    『幻想』の花の名を持つ者は、今、全てを知る。
>>  次回、『時の旅人』53話、『失われた名前』
>>  だけど、別名『怒涛のネタバラシラッシュ第4弾』かしら?
>>じゃあ、また次回で会いましょうね!
>
>ユア;語り部さんを私は嫌いになりません。
>   今までのが、演技でも、その中に一つでも真実があるだろうから。
>二人:では、次回。
朱琉:・・・・そう言っていただけて、本当に嬉しいです。
アミイ:次回、もっと凄いこと言うけどね。
朱琉:言わないでぷりいず・・・・。言わないと進まないとはいえ、書いてるこっちも気が重いんです・・・・。
 では、今回はこの辺で。
二人:では、また!

>
>>
>>
>>

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17775時の旅人 53:失われた名前羅城 朱琉 2006/7/10 08:20:49
記事番号17697へのコメント
 こんにちは、羅城 朱琉です。
 予想していた方も多いと思いますが、ついに『彼(彼女)』の正体暴露の回です。前半は暴言のオンパレードですので、気をつけてください。
 では、もう早速どうぞ!




  時の旅人

  53:失われた名前

 重苦しい空気が辺りを包む。語り部の告白した『罪』・・・・・・・・それは、本当に『罪』なのかどうか、誰しも判断しかねたから。
 語り部本人が、それを『罪』という。だから、『罪』でいいのではないか、とも思った。しかし・・・・仮にそれを『罪』と断じても、それを責めることは、誰にも出来ないだろう。なぜなら・・・・・・・・それは立場と状況を少し変えてみれば、誰でも犯しうることなのだから。
 そんな空気を察してか、それともただ単に話の続きをしだしただけか、語り部は口調を戻して言った。
「まあ、そんなわけで、僕と『中枢予定表』は極めて近い存在。根本では同じものだと言っていい。だから、僕の力は今、『中枢予定表』に大部分とられてるわけだよ。これが、二つ目の理由。」
 そうして、まだ重苦しい空気を纏っている皆に視線を向け、言った。
「何か、他に質問は?」
 そう言われたところで、この空気の中、口を開けるものなどいなくて・・・・・・・・語り部は、『なら、もういいだろう?』と言わんばかりに踵を返し、部屋から立ち去ろうとした。
 と、その時。
「待ってくれ・・・・・・・・あと一つ、聞きたいことがある。」
 空気の重圧に打ち勝って、ルピナスが言った。
 語り部は、歩みを止めて振り返る。今度はドアに凭れるようにして目を伏せ、ルピナスの次の言葉を待った。
「あの言葉の・・・・・・・・『もうそろそろ』って言葉の、意味を・・・・教えてほしい。」
 語り部は、目を伏せたまま、呟くように言う。
「君の記憶、そろそろ戻るかな?・・・・って意味だよ。」
「ということは、やっぱり知っているんですね!?僕のことを!」
 それは、問いかけというよりはもはや詰問。語調荒く問うたルピナスに、語り部はあっさりと言った。
「知ってるよ。それがどうした?」
 あまりにさらりと言われたその言葉に、ルピナスは語り部に詰め寄った。
「なら!どうして教えてくれないんですか!!?」
 詰め寄られて、語調荒く責められ、それでも語り部は、相変わらず飄々と言った。
「記憶ってものは、自分で取り戻さないと意味がないからさ。例え教えたとしても、それは単なる知識にしかならない。」
 決められたお題目をなぞっているだけにしか聞こえない語り部の言葉。前も、同じ物言いを聞いた気がする。その刹那。
 ルピナスの心のどこかで
  何かが切れる音がした。
「きっかけを求めたら駄目なのかよ!?」
 ルピナスの手が、語り部の胸倉を掴みあげた。ぎょっとしたような視線がルピナスに集まるが、箍の外れた体は止まらない。
「いつだってあんた、そう言う物言いしかしないよな!?そんなに、人がうろたえてる姿見るのが楽しいか?知識にしかならない?嘘付け!きっかけにはなるかもしれないだろう!?」
 語り部の瞳が妙に無気力に見えて、それが更にルピナスの怒りを煽る。自らの口調が変わっていることにすら、その時のルピナスは気付かなかった。
「なんとか言えよ!!!!」
 不意に、掴みあげられたままの語り部の唇が歪んだ。これは・・・・嘲笑。
「きっかけが欲しい?・・・・それこそ嘘だろう。君はただ、自らを安心させたいだけだ。」
 その声に滲むのは、はっきりとした嘲りの色。・・・・・・・・こんな語り部は、見たことがない。そう、この中では一番長く語り部を知っているレンシェルマですら、思った。
「確かに、怖いだろうよ。自分が何者かわからない、ルーツが知れない。深淵の闇の内にいるようなものだろう。でも・・・・安易な道に逃げるのかい?人の手を借りなければ、前に進めないのかい?
 ・・・・・・・・無様だね、『ルピナス=セレス=ヴァリード』よ。」
「黙れぇッ!!あんたに何がわかる!?」
「わかるよ。心は解らずとも・・・・現実が、ね。君の記憶の中には、君を絶望させるに足るものがある。それを知ったとき、君はどうなるか・・・・時を読まなくても、少し考えれば大体の予想はつくよ。」
 挑発するかのように、語り部は更に嘲笑を深くした。
「自分で思い出したなら、まだ耐えれるだろう。でも、他人から聞かされたら、どうなると思う?・・・・・・・・結局はそれを否定して、そして、別の『記憶』を探す。・・・・ありもしない、『ホンモノの記憶』を、ね。君はそうして、繰り返し絶望の淵へ追い落とされ、ただ不幸になってゆくだけだよ。
 ・・・・・・・・他人から『記憶』を聞くっていうのは、そういうものだ!」
 突きつけるように、また、兇刃を振るうように、語り部は苛烈に言葉を振るう。
 しかし、今のルピナスに、そんなものは関係なかった。
「うるさい、黙れ!・・・・絶望だとか、そんなの関係ない。僕が不幸になるかどうかなんてまだわからない。それこそ、聞いてみなきゃ、な!」
 激情に任せた、しかし、だからこそ真実の言葉が、ルピナスの口から放たれる。
「・・・・あんた、今、『わからない』って言ったよな。『感情はわからない』って。なら、本当に『俺』が絶望するかなんて、あんたにわかるわけがないだろう!!?
 あんたの言っていることは、ただの詭弁だ!」
 その瞬間、語り部が僅かに違う種類の表情を浮かべたように見えた。視界の端で、レンシェルマも目を見開いたように見えたけれど・・・・ルピナスは止まらない。
「俺の不幸を、俺の幸福を、あんたが決めるな!あんたの尺度で、俺を測るな!!」
 言い放った瞬間、今度ははっきりと、語り部の顔に『驚愕』が映った。

 しばしの沈黙。大音声で言い放ったルピナスの名残のような荒い吐息だけが聞こえる。
 相変わらず胸倉を掴まれたままの語り部は、顔を伏せて肩を震わせていた。
「・・・・ふ・・・・ふふふふ・・・・・・・・」
 徐々に、語り部の震えが大きくなってゆく。そして・・・・
「あははははは・・・・・・・・っはははははは!!」
 堪えきれなくなったかのように、語り部は笑い始めた。
「ははっ・・・・・・・・!!よく言った!よく吼えた!!」
 笑いを収め、それでもその余韻を引きずったまま、語り部はいっそ楽しげに言った。
「昔、同じようなことを言ったのがいたよ。彼女も、アリエスの知り合い・・・・『友人』だったけどね。
 ・・・・・・・・いいだろう、その言葉に免じて、教えてやろう。全てを聞いた後で君がどんな反応を示すか・・・・いっそ、それが楽しみだよ。」
 そう言って語り部は、胸倉を掴むルピナスの手を払いのけ、芝居がかった動作で手を広げた。

「語ってあげるよ。君が、何者なのかを。」


     *     *     *     *     *


 そうして、語り部が最初に言った一言は、なぜかレンシェルマとリナ達に向けられたものだった。
「レンシェルマ・・・・君も知らない真実を、僕は語るよ。君にとっても、そう楽しくはない話だ。リナ、ガウリイ、ゼルガディス、アメリア・・・・君たちにとっては、何の関係もない話。席をはずしたければ、今のうちだ。」
 それを聞いて、レンシェルマはゆっくりと首を横に振った。
「いいえ・・・・私も、覚悟を決めました。これまで、ルピナスを育てたものとして・・・・そして、『シーシェンズ』の血を引く者として、私は知らねばなりません。」
「そうか。・・・・君たちは?」
 しばし4人は顔を見合わせ、その後、リナが全員の気持ちを代弁する。
「正直言って、ここまで着たら『あっそう、じゃあね。』とは言えないわね。それに正直、あたしもあんたの一言が気になってはいたのよ。」
 そう言ったリナに対して、語り部は軽く頷いた。そして、最後にルピナスに言う。
「どうする?君が、彼らに聞かせたくないと言うのなら、君には彼らを追い出す権利がある。何しろ、君のプライバシーに関わるからね。」
「別に、構わない。」
 一瞬の迷いもなく、ルピナスは言い切った。
「いい覚悟だ。・・・・じゃあ、始めようか。」
 そう言って、語り部は近くの椅子に腰を下ろした。

「『隠し名』、というものがある。」
 語り部は、唐突にそう言った。一瞬、何のことだと言わんばかりの視線が刺さるが、語り部はマイペースに言葉を紡いでゆく。
「不思議には思わなかったかい?アリエスは、なぜ『フェラナート』ではなく『ラーナ』と名乗ったのか。レンシェルマが『ヴァリード』を名乗るのは何故か。」
 改めて言われてみれば、確かに少々不思議に思わなくもない。
 語り部は、先ほどの様子が嘘のように淡々と語ってゆく。
「降魔戦争の時に誕生した『四大家』・・・・彼らはその時代、魔を倒滅した、いわば英雄だった。でも、『四大家』は、その存在意義からして、公に現れるのは都合が悪い。・・・・だって、そうだろう?公に出てくれば、魔族に、誰が『四大家』の者か、知られる危険も高くなる。いわば『四大家』は、魔族の天敵だから。だから、彼らは姓を変え、方々に散り、隠れ住むことにした。それ以来、『四大家』の者達は、真の名を秘めることが慣わしとなった。
 そして、対外的に名乗るとき、用いられる姓が『隠し名』。・・・・まあ、分家ではその『隠し名』が、本名になってたりもするけどね。
 それがほとんど有名無実となった今でも、それは続いている。
 『フェラナート』の隠し名は、『ラーナ』。
 『シーシェンズ』の隠し名は、『ヴァリード』。
 『ヴェルリュード』の隠し名は、『シュナイダー』。
 そして、『サーヴァリル』の隠し名は・・・・・・・・『セレス』。」
 ルピナスは、目を見開いた。
 『セレス』・・・・それは、記憶を無くす前の自分を知るための、唯一と言ってもいい手がかり。
 予感に、胸が打ち震える。喜びか、不安か、よく解らない予感ではあるけれど。
 そして、語り部は言った。その予感を、肯定するように。
「サーヴァリル家直系にして、それを束ねていた長・・・・アスター=ライト=スフィル=サーヴァリルには、3人の子供がいた。
 長女の名は、リーラ=エレイン=グロリオーサ=サーヴァリル。
 そして、その下には弟と妹である男女の双子がいた。
 男の名は、シオン=クレド=ネードリヒ=サーヴァリル。
 女の名は、ルーティア=キリエ=フィニット=サーヴァリル。」

 語り部の白く細い指が持ち上がり、ぴしりとルピナスを指し示す。
「君は、シオンとルーティアが融合させられたものだ。」
 はっきりと、語り部は、そう言った。


 あとがき、或いは語り部(代理)が告げる未来
アミイ:と、いうわけで、今回はどうだったかしら?今回もまた、『顔出しづらいなぁ』とか言って、予告だけ押し付けて逃げたレイちゃんに代わり、私がこの場を仕切るわね。
  さて・・・・ついに、ルピ君&ルピちゃんの正体が明かされたわけだけど・・・・まだ、全てじゃないのよねぇ。つまりはアレよ、『次回に続く』ってやつ。
  じゃあ、その次回の予告をしましょうか。
   シオン、そしてルーティア。それが、真の名前。
   サーヴァリル。それが、彼らを縛る名前。
   『フェラナート』と『サーヴァリル』。その間にある『繋がり』を知ったとき・・・・・・・・
   その心に、芽生えるものとは・・・・?
  次回、『時の旅人』54話、『運命の一対』
  では、また会いましょうね!


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17776よく言った!!(日の丸扇子を掲げ)十叶 夕海 2006/7/10 22:44:53
記事番号17775へのコメント

 こんにちは、羅城 朱琉です。
> 予想していた方も多いと思いますが、ついに『彼(彼女)』の正体暴露の回です。前半は暴言のオンパレードですので、気をつけてください。
> では、もう早速どうぞ!

ユア:こんにちは、ユアです。
久遠:今日1日、顔がにやけまくって、心配されてたわね。
ユア;・・・だってねぇ、総会って感じだったし?
   では、レス行きます。



>「きっかけが欲しい?・・・・それこそ嘘だろう。君はただ、自らを安心させたいだけだ。」
> その声に滲むのは、はっきりとした嘲りの色。・・・・・・・・こんな語り部は、見たことがない。そう、この中では一番長く語り部を知っているレンシェルマですら、思った。
>「確かに、怖いだろうよ。自分が何者かわからない、ルーツが知れない。深淵の闇の内にいるようなものだろう。でも・・・・安易な道に逃げるのかい?人の手を借りなければ、前に進めないのかい?
> ・・・・・・・・無様だね、『ルピナス=セレス=ヴァリード』よ。」
>「黙れぇッ!!あんたに何がわかる!?」
>「わかるよ。心は解らずとも・・・・現実が、ね。君の記憶の中には、君を絶望させるに足るものがある。それを知ったとき、君はどうなるか・・・・時を読まなくても、少し考えれば大体の予想はつくよ。」
> 挑発するかのように、語り部は更に嘲笑を深くした。
>「自分で思い出したなら、まだ耐えれるだろう。でも、他人から聞かされたら、どうなると思う?・・・・・・・・結局はそれを否定して、そして、別の『記憶』を探す。・・・・ありもしない、『ホンモノの記憶』を、ね。君はそうして、繰り返し絶望の淵へ追い落とされ、ただ不幸になってゆくだけだよ。
> ・・・・・・・・他人から『記憶』を聞くっていうのは、そういうものだ!」

ユア;・・・・・語り部さんの言うことも、ルピナスくんの言うことも、それぞれ、一理ありますが。
久遠;でも、『記憶』っていう『確固とした自分』が無くて、言い訳だろうと『きっかけ』を・・・『指標』かしらね、そう言うの欲しがるのは、お姉さんにも覚えが在るもの。
ユア;・・・・・『家族の写真』か『生か死か』どっちか分かんないけど、本編裏設定をさらりと口にしないでね。


>「・・・・あんた、今、『わからない』って言ったよな。『感情はわからない』って。なら、本当に『俺』が絶望するかなんて、あんたにわかるわけがないだろう!!?
> あんたの言っていることは、ただの詭弁だ!」
> その瞬間、語り部が僅かに違う種類の表情を浮かべたように見えた。視界の端で、レンシェルマも目を見開いたように見えたけれど・・・・ルピナスは止まらない。
>「俺の不幸を、俺の幸福を、あんたが決めるな!あんたの尺度で、俺を測るな!!」
> 言い放った瞬間、今度ははっきりと、語り部の顔に『驚愕』が映った。
> 堪えきれなくなったかのように、語り部は笑い始めた。
>「ははっ・・・・・・・・!!よく言った!よく吼えた!!」
> 笑いを収め、それでもその余韻を引きずったまま、語り部はいっそ楽しげに言った。
>「昔、同じようなことを言ったのがいたよ。彼女も、アリエスの知り合い・・・・『友人』だったけどね。
> ・・・・・・・・いいだろう、その言葉に免じて、教えてやろう。全てを聞いた後で君がどんな反応を示すか・・・・いっそ、それが楽しみだよ。」
> そう言って語り部は、胸倉を掴むルピナスの手を払いのけ、芝居がかった動作で手を広げた。
>

ユア;くふふっはははっははははっ、よく言った、我が息子、英語で言うとマイサン!!
久遠;ユアちゃん、嬉し過ぎてというか、少しあっち逝きかけてるけど。
   ようするに、ルピくんが噛み付いて、自分に向き合う覚悟をしたのが嬉しいのと台詞をうまくニュアンスを残していい台詞になっているのが、嬉しいみたいね。

> ルピナスは、目を見開いた。
> 『セレス』・・・・それは、記憶を無くす前の自分を知るための、唯一と言ってもいい手がかり。
> 予感に、胸が打ち震える。喜びか、不安か、よく解らない予感ではあるけれど。
> そして、語り部は言った。その予感を、肯定するように。
>「サーヴァリル家直系にして、それを束ねていた長・・・・アスター=ライト=スフィル=サーヴァリルには、3人の子供がいた。
> 長女の名は、リーラ=エレイン=グロリオーサ=サーヴァリル。
> そして、その下には弟と妹である男女の双子がいた。
> 男の名は、シオン=クレド=ネードリヒ=サーヴァリル。
> 女の名は、ルーティア=キリエ=フィニット=サーヴァリル。」
>
> 語り部の白く細い指が持ち上がり、ぴしりとルピナスを指し示す。
>「君は、シオンとルーティアが融合させられたものだ。」
> はっきりと、語り部は、そう言った。

ユア;なるほど・・・・ねぇ。
久遠;凶悪そうに嬉しそうね。
ユア;まあね。
   次回が楽しみですね、本当に。(形だけの微笑み)
>
>
> あとがき、或いは語り部(代理)が告げる未来
>アミイ:と、いうわけで、今回はどうだったかしら?今回もまた、『顔出しづらいなぁ』とか言って、予告だけ押し付けて逃げたレイちゃんに代わり、私がこの場を仕切るわね。
>  さて・・・・ついに、ルピ君&ルピちゃんの正体が明かされたわけだけど・・・・まだ、全てじゃないのよねぇ。つまりはアレよ、『次回に続く』ってやつ。
>  じゃあ、その次回の予告をしましょうか。
>   シオン、そしてルーティア。それが、真の名前。
>   サーヴァリル。それが、彼らを縛る名前。
>   『フェラナート』と『サーヴァリル』。その間にある『繋がり』を知ったとき・・・・・・・・
>   その心に、芽生えるものとは・・・・?
>  次回、『時の旅人』54話、『運命の一対』
>  では、また会いましょうね!

ユア;了解しました。次回も、楽しみですね。
二人;では、次回で。
>
>