◆−家族の写真 ACT50 例えば こんな日常 FromエヴァンスB−十叶 夕海 (2006/7/12 23:37:46) No.17781 ┣予想的中率約50%−羅城 朱琉 (2006/7/13 08:30:04) No.17782 ┃┗彼しかいないだろうな・・・・・ト思いまして。−十叶 夕海 (2006/7/13 22:01:48) No.17783 ┣家族の写真 ACT51 例えば こんな日常 FromエヴァンスC−十叶 夕海 (2006/7/17 20:41:40) No.17789 ┃┗語るアミイさん−羅城 朱琉 (2006/7/19 16:31:37) No.17798 ┃ ┗やっぱり、エイレン嬢はこの立場に落ち着くんですよね。−十叶 夕海 (2006/7/19 21:29:53) No.17800 ┣家族の写真 ACT52 5月15日 ―前日 @ 奇妙な三人組と決意と―−十叶 夕海 (2006/7/21 12:30:34) No.17803 ┃┗語れないのは、辛いですね・・・・−羅城 朱琉 (2006/7/21 13:48:30) No.17804 ┃ ┗そうですね、でも語るべき時に語らないのも辛いこと−十叶 夕海 (2006/7/22 19:59:53) No.17807 ┗家族の写真 ACT53 5月15日 ―前日・A 心配性と過去の囚われ人とー−十叶 夕海 (2006/7/23 13:05:06) No.17810
17781 | 家族の写真 ACT50 例えば こんな日常 FromエヴァンスB | 十叶 夕海 | 2006/7/12 23:37:46 |
ACT50 例えば こんな日常 FromエヴァンスB 『だけど、俺はどうしたらいい?』 「ルシル、なんでイルに付いてかなかったの?」 モイラとエヴァンスが、モイラの家に着くと。《カフェ・カワセミ》の看板には、『本日休業』という札が。 しかし、《古道具 翡翠》を覗くと番台にルシルがいた。 ルシルは、銀髪に青灰色の瞳が自然な人物。 エヴァンスとは、不思議と初対面なのである。 「バイトのユヴェルが、付いて行ったようだし。 僕は、こっち側にあまり詳しくない。 それに、イルに、店を頼むと言われたからね。 ・・・・トコロで、彼は?」 「ああ、うん。 俺のクラスメイトのエヴァンス=ヴァリード。 バイクで送ってもらったんだ。」 「どうも、初めまして。」 「こちらこそ、初めまして。 ルシルって呼んでくれればいい。 ・・・・お茶でも入れるから、上がってくれる? モイラは、ブラインド下げて。」 「はいはい。」 番台の後ろの磨りガラスの引き戸を開けると、古き良きというか、昭和の居間と辞典で引けば出てきそうな、そんな感じの居間があった。 ちゃぶ台に、茶箪笥、テレビこそ四つ足のレトロチックではないものの、それ以外は、昭和にタイムスリップしたかと思うほどに、レトロなのだ。 そして、約三十分後。 『ちょっと、警察行ってイルの様子みてくる』と、言って出て行ったため、モイラはいない。 今、この場には、エヴァンスとルシルしかいない。 二人は、ちゃぶ台を挟み向かい合っていた。 「・・・・・・お茶、ごちそうさまでした。 俺、もう帰りますね。」 「・・・・エヴァンスくんだったよね?」 「・・・・・・・ええ?」 怪訝そうに答えながらも、立ち上がりかけたエヴァンスは、再び座り直す。 ルシルの青灰色の瞳は、エヴァンスの紅い瞳を優しく静かに見据える。 「確か、《月天女》の幹部だよね?」 「それが?」 「一応、裏では在るけど、浅い。 お姉さん・・・ディスティアは、もっと危険なところにいるのも分かってる?」 「何が言いたい?」 「別に。 僕が言えることも、覚えていることも少ないよ。 ・・・・・・分かることはもっと少ない。 君は、まだ、蘖(ひこばえ)なんだね。」 「ひこばえ?」 「根元や切り株から生える新芽のことだね。 焦らなくてもいいんだよ、まだね。」 「・・・・・」 「選ぶ時に、選べばいい。 それまでは、そんなに思い詰めなくてもいいんだよ、エヴァンス?」 「・・・・何が言いたい?」 さっきよりも、語調を和らげ、エヴァンスは、ルシルにそう言う。 それに、対して、ルシルは、ふっと微笑みこう返す。 「分からない。 だけどね、君のことはなんかとても気になるんだ。 ・・・・なんなんだろうね。」 それは、ルシルが、記憶が無いからこそ、思える感情なのかもしれない。 元の世界の彼とは別人だけれど、一時は『子ども』と呼んだこと同じ外見の彼に、何か感情を抱いても、そう不思議ではない。 その感情の名前は、『子どもを思う心』なのだろう。 今は、誰にも分からないけれど。 「俺に、答えを求めるな。 ・・・・・・それでも、俺は俺の意志を貫く。 ・・・ありがとう、ルシルさん。」 「いいや、どういたしまして。」 そのあと、エヴァンスは、《古道具 翡翠》を出た。 PM5:27 「エヴァ兄さん、アークさんが倒れて・・・・。」 敵対チームの襲撃があったせいか、少し心配になり、中等部の方まで戻ると、その表校門近くの路地に、ナツメと意識が無いようにうなだれ壁に寄りかかっているアーク。 「四代目・・・じゃないですね、《カルマ》」 『カルマ』と聞き、一ヶ月前、襲われたのを思い出したのか、ナツメは素早く、エヴァンスの後ろに隠れてしまった。 「・・・うん、そう。 《カルマ》だよ。 ・・・・なに、『月の世界』は、『太陽の世界』に関わるな。って言いたい?」 「そうだ。」 と、エヴァンスは断言する。 エヴァンスは、『カルマ』が、自分みたいに、『太陽の世界』にも居場所が在る訳じゃないし、『太陽の世界』に憧れるのは、『火に焼かれると解っているのに火に近づく羽虫』に近いと知っていて断言したのだ。 「俺はね、バランスを崩すと理解していても、『太陽の世界』に恋い焦がれる。 ・・・・今の俺の『太陽の世界』の象徴は、ナツメだし。 俺は、ナツメの心も身体も全部欲しいよ。 手に入んないって、手に入ってもすり抜けるかもしれない。って理解していても、欲しいんだもん・・・・どうしても・・・・ね。」 ゴツン 「エ、エヴァ兄さん?」 エヴァンスは、『カルマ』の・・・アークの頭に割合本気で拳骨を落とす。 その後に、一言。 「暗いのは、アークだろうとカルマだろうと、お前らしくない。 ・・・手に入らないなんて、すり抜けるって、なんでわかる。 足掻き抜け、四代目。 じゃねえと、《鴉火炉無》に裏切ってやろうか?」 その台詞に、絶句する『カルマ』とナツメ。 「・・・・・馬鹿、そんなことしたら、三代目でお前の姉に、潰されるぞ?」 笑いながら、《カルマ》は、そう皮肉まじりの茶々を入れる。 それをヘッドロックのような形で、お返ししつつこう返す。 「なら、悩むのやめろって。」 「うん、そうだな。 ・・・・と、俺と付き合わない?」 「って、こら。」 そのヘッドロックを抜け出し、ナツメの手を握り、口説こうとするがエヴァンスはそれを阻止しようとする。 こんな、少し穏やかで平和で・・・・だけど、何処か哀しい情景。 @@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@ 時間の進み具合遅いね、エヴァンスくん。 この話で、小二時間ぐらいしか進んでません。 でも、少しやっときたい&やっとかなきゃいけないことが、幾つかあるのです。 それでも、姉よりも長くするわけにはいかないので、次回で絶対に終わらせます。 ともあれ、また次回。 |
17782 | 予想的中率約50% | 羅城 朱琉 | 2006/7/13 08:30:04 |
記事番号17781へのコメント 朱琉:こんにちは。早速ですが、レスに参ります。 > > >ACT50 例えば こんな日常 FromエヴァンスB > 『だけど、俺はどうしたらいい?』 > > > >「ルシル、なんでイルに付いてかなかったの?」 >モイラとエヴァンスが、モイラの家に着くと。《カフェ・カワセミ》の看板には、『本日休業』という札が。 >しかし、《古道具 翡翠》を覗くと番台にルシルがいた。 >ルシルは、銀髪に青灰色の瞳が自然な人物。 >エヴァンスとは、不思議と初対面なのである。 >「バイトのユヴェルが、付いて行ったようだし。 > 僕は、こっち側にあまり詳しくない。 > それに、イルに、店を頼むと言われたからね。 > ・・・・トコロで、彼は?」 >「ああ、うん。 > 俺のクラスメイトのエヴァンス=ヴァリード。 > バイクで送ってもらったんだ。」 >「どうも、初めまして。」 >「こちらこそ、初めまして。 > ルシルって呼んでくれればいい。 > ・・・・お茶でも入れるから、上がってくれる? > モイラは、ブラインド下げて。」 >「はいはい。」 >番台の後ろの磨りガラスの引き戸を開けると、古き良きというか、昭和の居間と辞典で引けば出てきそうな、そんな感じの居間があった。 >ちゃぶ台に、茶箪笥、テレビこそ四つ足のレトロチックではないものの、それ以外は、昭和にタイムスリップしたかと思うほどに、レトロなのだ。 朱琉:やっぱり出ましたか、ルシルさん! アミイ:『出るとしたら、アーク君かルシルさん』って、前回の予告読んで予想してたのよね。 朱琉:まあ、的中率5割ちょっと位でしたか?って感じですけど(苦笑) > > > > >そして、約三十分後。 > >『ちょっと、警察行ってイルの様子みてくる』と、言って出て行ったため、モイラはいない。 >今、この場には、エヴァンスとルシルしかいない。 >二人は、ちゃぶ台を挟み向かい合っていた。 >「・・・・・・お茶、ごちそうさまでした。 > 俺、もう帰りますね。」 >「・・・・エヴァンスくんだったよね?」 >「・・・・・・・ええ?」 >怪訝そうに答えながらも、立ち上がりかけたエヴァンスは、再び座り直す。 >ルシルの青灰色の瞳は、エヴァンスの紅い瞳を優しく静かに見据える。 >「確か、《月天女》の幹部だよね?」 >「それが?」 >「一応、裏では在るけど、浅い。 > お姉さん・・・ディスティアは、もっと危険なところにいるのも分かってる?」 >「何が言いたい?」 >「別に。 > 僕が言えることも、覚えていることも少ないよ。 > ・・・・・・分かることはもっと少ない。 > 君は、まだ、蘖(ひこばえ)なんだね。」 >「ひこばえ?」 >「根元や切り株から生える新芽のことだね。 > 焦らなくてもいいんだよ、まだね。」 >「・・・・・」 >「選ぶ時に、選べばいい。 > それまでは、そんなに思い詰めなくてもいいんだよ、エヴァンス?」 >「・・・・何が言いたい?」 >さっきよりも、語調を和らげ、エヴァンスは、ルシルにそう言う。 >それに、対して、ルシルは、ふっと微笑みこう返す。 >「分からない。 > だけどね、君のことはなんかとても気になるんだ。 > ・・・・なんなんだろうね。」 >それは、ルシルが、記憶が無いからこそ、思える感情なのかもしれない。 >元の世界の彼とは別人だけれど、一時は『子ども』と呼んだこと同じ外見の彼に、何か感情を抱いても、そう不思議ではない。 >その感情の名前は、『子どもを思う心』なのだろう。 >今は、誰にも分からないけれど。 >「俺に、答えを求めるな。 > ・・・・・・それでも、俺は俺の意志を貫く。 > ・・・ありがとう、ルシルさん。」 >「いいや、どういたしまして。」 >そのあと、エヴァンスは、《古道具 翡翠》を出た。 アミイ:穏やかな内容は言ってないはずなのに、どうにも穏やかに見えるのは『ルシルちゃん』の特性ね。 朱琉:『時の旅人』本編にも、あと数話でエヴァンスが出るんですが・・・・これ読んで、少し展開が変わると思います。 > > > > > >PM5:27 > >「エヴァ兄さん、アークさんが倒れて・・・・。」 >敵対チームの襲撃があったせいか、少し心配になり、中等部の方まで戻ると、その表校門近くの路地に、ナツメと意識が無いようにうなだれ壁に寄りかかっているアーク。 >「四代目・・・じゃないですね、《カルマ》」 >『カルマ』と聞き、一ヶ月前、襲われたのを思い出したのか、ナツメは素早く、エヴァンスの後ろに隠れてしまった。 >「・・・うん、そう。 > 《カルマ》だよ。 > ・・・・なに、『月の世界』は、『太陽の世界』に関わるな。って言いたい?」 >「そうだ。」 >と、エヴァンスは断言する。 >エヴァンスは、『カルマ』が、自分みたいに、『太陽の世界』にも居場所が在る訳じゃないし、『太陽の世界』に憧れるのは、『火に焼かれると解っているのに火に近づく羽虫』に近いと知っていて断言したのだ。 >「俺はね、バランスを崩すと理解していても、『太陽の世界』に恋い焦がれる。 > ・・・・今の俺の『太陽の世界』の象徴は、ナツメだし。 > 俺は、ナツメの心も身体も全部欲しいよ。 > 手に入んないって、手に入ってもすり抜けるかもしれない。って理解していても、欲しいんだもん・・・・どうしても・・・・ね。」 >ゴツン >「エ、エヴァ兄さん?」 >エヴァンスは、『カルマ』の・・・アークの頭に割合本気で拳骨を落とす。 >その後に、一言。 >「暗いのは、アークだろうとカルマだろうと、お前らしくない。 > ・・・手に入らないなんて、すり抜けるって、なんでわかる。 > 足掻き抜け、四代目。 > じゃねえと、《鴉火炉無》に裏切ってやろうか?」 >その台詞に、絶句する『カルマ』とナツメ。 >「・・・・・馬鹿、そんなことしたら、三代目でお前の姉に、潰されるぞ?」 >笑いながら、《カルマ》は、そう皮肉まじりの茶々を入れる。 >それをヘッドロックのような形で、お返ししつつこう返す。 >「なら、悩むのやめろって。」 >「うん、そうだな。 > ・・・・と、俺と付き合わない?」 >「って、こら。」 >そのヘッドロックを抜け出し、ナツメの手を握り、口説こうとするがエヴァンスはそれを阻止しようとする。 >こんな、少し穏やかで平和で・・・・だけど、何処か哀しい情景。 朱琉:本当に、どこか哀しい・・・・。 アミイ:平和ってものは、いつもどこかに闇を秘めているのよ。でもそれでも、平穏な生活は愛おしい・・・・ってね。 > > > > > > >@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@ > >時間の進み具合遅いね、エヴァンスくん。 >この話で、小二時間ぐらいしか進んでません。 >でも、少しやっときたい&やっとかなきゃいけないことが、幾つかあるのです。 >それでも、姉よりも長くするわけにはいかないので、次回で絶対に終わらせます。 > >ともあれ、また次回。 朱琉:はい、では、また! 二人:また次回! |
17783 | 彼しかいないだろうな・・・・・ト思いまして。 | 十叶 夕海 | 2006/7/13 22:01:48 |
記事番号17782へのコメント > >朱琉:こんにちは。早速ですが、レスに参ります。 ユア:こんにちは、はいでは、返レスへ。 >> >> >>ACT50 例えば こんな日常 FromエヴァンスB >> 『だけど、俺はどうしたらいい?』 >> >> >> >>「ルシル、なんでイルに付いてかなかったの?」 >>モイラとエヴァンスが、モイラの家に着くと。《カフェ・カワセミ》の看板には、『本日休業』という札が。 >>しかし、《古道具 翡翠》を覗くと番台にルシルがいた。 >>ルシルは、銀髪に青灰色の瞳が自然な人物。 >>エヴァンスとは、不思議と初対面なのである。 >>「バイトのユヴェルが、付いて行ったようだし。 >> 僕は、こっち側にあまり詳しくない。 >> それに、イルに、店を頼むと言われたからね。 >> ・・・・トコロで、彼は?」 >>「ああ、うん。 >> 俺のクラスメイトのエヴァンス=ヴァリード。 >> バイクで送ってもらったんだ。」 >>「どうも、初めまして。」 >>「こちらこそ、初めまして。 >> ルシルって呼んでくれればいい。 >> ・・・・お茶でも入れるから、上がってくれる? >> モイラは、ブラインド下げて。」 >>「はいはい。」 >>番台の後ろの磨りガラスの引き戸を開けると、古き良きというか、昭和の居間と辞典で引けば出てきそうな、そんな感じの居間があった。 >>ちゃぶ台に、茶箪笥、テレビこそ四つ足のレトロチックではないものの、それ以外は、昭和にタイムスリップしたかと思うほどに、レトロなのだ。 >朱琉:やっぱり出ましたか、ルシルさん! >アミイ:『出るとしたら、アーク君かルシルさん』って、前回の予告読んで予想してたのよね。 >朱琉:まあ、的中率5割ちょっと位でしたか?って感じですけど(苦笑) ユア;いやあ、あんまし、話の流れ上出してあげれなかったですし。 久遠;ううん朱琉ちゃん、正確には、75%ちょっとかしら。 ユア;一応、アークも出てますけど、久遠さん、カルマの正体解りそうなこと言わないで。 > >> >> >> >> >>そして、約三十分後。 >> >>『ちょっと、警察行ってイルの様子みてくる』と、言って出て行ったため、モイラはいない。 >>今、この場には、エヴァンスとルシルしかいない。 >>二人は、ちゃぶ台を挟み向かい合っていた。 >>「・・・・・・お茶、ごちそうさまでした。 >> 俺、もう帰りますね。」 >>「・・・・エヴァンスくんだったよね?」 >>「・・・・・・・ええ?」 >>怪訝そうに答えながらも、立ち上がりかけたエヴァンスは、再び座り直す。 >>ルシルの青灰色の瞳は、エヴァンスの紅い瞳を優しく静かに見据える。 >>「確か、《月天女》の幹部だよね?」 >>「それが?」 >>「一応、裏では在るけど、浅い。 >> お姉さん・・・ディスティアは、もっと危険なところにいるのも分かってる?」 >>「何が言いたい?」 >>「別に。 >> 僕が言えることも、覚えていることも少ないよ。 >> ・・・・・・分かることはもっと少ない。 >> 君は、まだ、蘖(ひこばえ)なんだね。」 >>「ひこばえ?」 >>「根元や切り株から生える新芽のことだね。 >> 焦らなくてもいいんだよ、まだね。」 >>「・・・・・」 >>「選ぶ時に、選べばいい。 >> それまでは、そんなに思い詰めなくてもいいんだよ、エヴァンス?」 >>「・・・・何が言いたい?」 >>さっきよりも、語調を和らげ、エヴァンスは、ルシルにそう言う。 >>それに、対して、ルシルは、ふっと微笑みこう返す。 >>「分からない。 >> だけどね、君のことはなんかとても気になるんだ。 >> ・・・・なんなんだろうね。」 >>それは、ルシルが、記憶が無いからこそ、思える感情なのかもしれない。 >>元の世界の彼とは別人だけれど、一時は『子ども』と呼んだこと同じ外見の彼に、何か感情を抱いても、そう不思議ではない。 >>その感情の名前は、『子どもを思う心』なのだろう。 >>今は、誰にも分からないけれど。 >>「俺に、答えを求めるな。 >> ・・・・・・それでも、俺は俺の意志を貫く。 >> ・・・ありがとう、ルシルさん。」 >>「いいや、どういたしまして。」 >>そのあと、エヴァンスは、《古道具 翡翠》を出た。 >アミイ:穏やかな内容は言ってないはずなのに、どうにも穏やかに見えるのは『ルシルちゃん』の特性ね。 >朱琉:『時の旅人』本編にも、あと数話でエヴァンスが出るんですが・・・・これ読んで、少し展開が変わると思います。 久遠;そうなのよね。同じようなこととをエイレンちゃんとかディスちゃんが言っても、穏やかに聞こえないのよね。 ユア;うわぁ、楽しみです。 ・・・・本当に楽しみにしてます。 > >> >> >> >> >> >>PM5:27 >> >>「エヴァ兄さん、アークさんが倒れて・・・・。」 >>敵対チームの襲撃があったせいか、少し心配になり、中等部の方まで戻ると、その表校門近くの路地に、ナツメと意識が無いようにうなだれ壁に寄りかかっているアーク。 >>「四代目・・・じゃないですね、《カルマ》」 >>『カルマ』と聞き、一ヶ月前、襲われたのを思い出したのか、ナツメは素早く、エヴァンスの後ろに隠れてしまった。 >>「・・・うん、そう。 >> 《カルマ》だよ。 >> ・・・・なに、『月の世界』は、『太陽の世界』に関わるな。って言いたい?」 >>「そうだ。」 >>と、エヴァンスは断言する。 >>エヴァンスは、『カルマ』が、自分みたいに、『太陽の世界』にも居場所が在る訳じゃないし、『太陽の世界』に憧れるのは、『火に焼かれると解っているのに火に近づく羽虫』に近いと知っていて断言したのだ。 >>「俺はね、バランスを崩すと理解していても、『太陽の世界』に恋い焦がれる。 >> ・・・・今の俺の『太陽の世界』の象徴は、ナツメだし。 >> 俺は、ナツメの心も身体も全部欲しいよ。 >> 手に入んないって、手に入ってもすり抜けるかもしれない。って理解していても、欲しいんだもん・・・・どうしても・・・・ね。」 >>ゴツン >>「エ、エヴァ兄さん?」 >>エヴァンスは、『カルマ』の・・・アークの頭に割合本気で拳骨を落とす。 >>その後に、一言。 >>「暗いのは、アークだろうとカルマだろうと、お前らしくない。 >> ・・・手に入らないなんて、すり抜けるって、なんでわかる。 >> 足掻き抜け、四代目。 >> じゃねえと、《鴉火炉無》に裏切ってやろうか?」 >>その台詞に、絶句する『カルマ』とナツメ。 >>「・・・・・馬鹿、そんなことしたら、三代目でお前の姉に、潰されるぞ?」 >>笑いながら、《カルマ》は、そう皮肉まじりの茶々を入れる。 >>それをヘッドロックのような形で、お返ししつつこう返す。 >>「なら、悩むのやめろって。」 >>「うん、そうだな。 >> ・・・・と、俺と付き合わない?」 >>「って、こら。」 >>そのヘッドロックを抜け出し、ナツメの手を握り、口説こうとするがエヴァンスはそれを阻止しようとする。 >>こんな、少し穏やかで平和で・・・・だけど、何処か哀しい情景。 >朱琉:本当に、どこか哀しい・・・・。 >アミイ:平和ってものは、いつもどこかに闇を秘めているのよ。でもそれでも、平穏な生活は愛おしい・・・・ってね。 ユア:何故か、カルマが絡むと普通のやり合いでも、哀しげになるんですよね。 久遠;そうよね、アミイちゃん。 その秘めている闇が、表に出るとこう言う他愛の無い会話が無性に思い出されるのよね。 > >> >> >> >> >> >> >>@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@ >> >>時間の進み具合遅いね、エヴァンスくん。 >>この話で、小二時間ぐらいしか進んでません。 >>でも、少しやっときたい&やっとかなきゃいけないことが、幾つかあるのです。 >>それでも、姉よりも長くするわけにはいかないので、次回で絶対に終わらせます。 >> >>ともあれ、また次回。 >朱琉:はい、では、また! >二人:また次回! > ユア;ありがとうございました。次回は、来週頭でしょう。 二人;では、次回で。 |
17789 | 家族の写真 ACT51 例えば こんな日常 FromエヴァンスC | 十叶 夕海 | 2006/7/17 20:41:40 |
記事番号17781へのコメント ACT51 例えば こんな日常 FromエヴァンスB 『いつも思うこと』 「バカか、アイツに言われたぐらいで、凹むな。」 あのあと、エヴァンスとアーク、ナツメは、エイレンの店《デザートローズ》に居た。 アイスティー(アッサムとアールグレイのブレンド)を二つとアイスココアの用意をしつつ、エイレンは、エヴァンスにそうきっぱり断言した。 「・・・エイレンさん、ルシルさんのこと知ってるんですか?」 恐る恐るという風にエヴァンスは、エイレンに聞く。 やや、不機嫌そうにそれにこう答える。 「知ってる。 推測程度なら、正体もね。 ・ ・・・これ以上は、聞くなよ。」 その口止めと言わんばかりにか、用意していた三つのグラスをそれぞれの前に置く。 自身も、ロングショットグラスのアイスティーを飲みつつ、呆れたように言葉を重ねる。 「これから、《チャイルドクラン》と《レジスト》・・・・正確には、《エタニルタ・ルクス(永遠なる光)》だったか・・・それの争いが激しくなる。 ・ ・・・・・だけどね、一緒に闘おう何て思うなよ。 確かに、ディスティアにしろ、アリエスにしろ、何かに縛られてこっち側にいるけどね。 それでも、お前達みたいに自分を思ってくれているヤツがいるから、留まっていられ・・・・・ナツメ、泣くなって。」 途中で涙目になったナツメをなだめるエイレン。 しかし、エイレンとルシルに言われたことが、ぐるぐると渦巻くエヴァンスの耳と目には入らない。 この後、エイレンは、無言で、『ベイリーズ』というチョコレートリキュールを出した。 それを見て、エヴァンスは、『いつも世話になる』という風に頭を下げ、アークは、『あいつんトコ行くのかな』という風に小首をかしげる。 PM7;11 三人は、そろって、帰宅した。 ディスティアは、いつも通り、あの三年前ですら変わらないように、家族の為に料理を作り、微笑んでいた。 それの『普通』さが、エヴァンスには、少し見ていられなかった。 夕方のあの話の後では、ある意味、哀しくなってくる。 自分が、暴走族に入った理由は、この三つしか離れていない姉の為だった。 ・ ・・最初のうちは。 最初のうちは、姉の為だった。 だけど、今は、チームにも愛着を持っている。 妹尾先輩が死ぬまでは、姉のディスティアを守る為だけに、特攻隊に所属していた。 だから、入ってからの1年半の妹尾先輩とかのスキンシップは鬱陶しいとか思たっけ。 「どうした、エヴァ。 学校で何かあったの?」 「ううん。 ちょっと、《鴉火炉無》の連中が、学校に乗り込んで来てさ。」 「ふうん。 アーク・・・・・のせいだったよね、うちとの仲が悪くなったの。」 「否定しない。」 「け、喧嘩はダメです。」 「はいはい。」 俺は、姉さんもこういう家庭も・・・日常を守りたい。 姉さんが、帰る場所を守りたい。 PM10:33 その日の晩。 エヴァンスは、隣街の旅宮市のとある一軒家の前にいた。 背中のホルダーに、夕方もらったベイリーズを持ち、その家の呼び鈴を鳴らした。 「は〜い。今開けます。」 顔を出したのは、濡れ羽色の髪と黒水晶のような陰鬱の瞳の男性―イライアス=ヴィドル。 「どうも、イライアスさん。」 「・・・ああ、エヴァンスくん。 エイレンから、話は聞いています。 ・ ・・頼って来て嬉しいので・・・」 「でも、自殺は、しないでくださいね。」 彼が何かモーションを起こす前に、エヴァンスは、彼の手にベイリーズを握らせる。 それを認めると、彼にしてみれば、光の質量を認識するよりも、すごく珍しく『にぱ』という雰囲気で、エヴァンスを迎え入れる。 「あ、すみません。 仕事中だったのか?」 「ええ、ちょうど終わったところでしたが。」 途中で、エヴァンスは、イライアスの指に、彼の雰囲気に奇妙にマッチしている指の数より多いシルバーリングに気がついた。 ヴィヴィアン=ウェストウッドなどのゴツめの指輪。 これらをしているときのイライアスは、家や屋外問わず、仕事中の証なのだ。 「それで、何のお話ですか? ・ ・・・あと、『【月天女】メンバー』として? それとも、『エヴァンス=ヴァリード』として?」 「両方・・・だと思う。」 自分は、ベイリーズのストレートのグラスを。 エヴァンスに、ベイリーズを数的垂らしたホットミルクのカップを。 それぞれ置いた。 「・・・とにかく、話したいこと話してみてください。」 エヴァンスは、話した。 もうすぐ、ことが動き出しそうだということ。 自分二何が出来るのか。ということ。 自分が、姉を守りたいこと。 でも、自分が姉の帰る場所を守ると思うこと。 そんなことを話した。 「・・・ふうん。」 「俺は、姉さんが、笑えればそれでいいのかもしれないとは思うけど・・・・」 「・・・・・・私が、この世界に入った理由を話したことはありましたか?」 「・・・いいえ。」 「・・・そうですか。 別に聞き流しても構いません。 ・ ・・私がこの稼業に入ったのは、特に理由はありません。 あえて言うなら暇つぶしです。 私の家族は、ごく普通の家族でした。」 いきなり、ディープな告白だったが、エヴァンスは、ホットミルクにも手をつけずに。 ただ、無言でイライアスの言葉に耳を傾ける。 「・・・私は、小さい頃から、虚無感に囚われていましてね。 それから、逃げたかったから、この稼業にはいったんです。 ・ ・・・・・ディスティアやアリエスのように、復讐が目的ではなく。 アークのように、アングラでの人探しが目的でもない。 それでも、どういう理由があって、『月の世界』にいる人間に取って、帰ることが出来る場所があるというのは、救いでもあり、とてもいいことなんですよ。 ・ ・・私が、帰る場所は、家族もいませんし、もう一つは、三年前に消えました。 ・ ・・・・・ディスティアは、六年前に、『エリス』という居場所を無くしました。 だけど、まだディスティアには、『家族』という居場所があります。 私が、言えた義理じゃないですけどね。 ・ ・・・・・貴方は、家族を守るという目的が在るんですから、それを死にものぐるいでやりなさい。 これまで以上に、大変でしょうから。」 長い長い独白に、エヴァンスは、こう返した。 「・・・・・・ありがとう、イライアスさん。」 「・・・君のことは、まだ気に入っていますからね。」 そう言われて、エヴァンスが紅くなったことは、本人は言うなと言ったけど、ここに記しておこう。 これで、エヴァンスの覚悟は完全に決まった。 AM0:25 やっと帰って来たエヴァンスは、さっと風呂に入るなどして、 早々に寝た。 たぶん、悪夢は見ないだろうと思いつつ。 @@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@ どうにか、エヴァンス編終了です。 けっこう、イライアスと仲がいいエヴァンスくん。 二人の出会い編は、夏休み明けに、投稿予定です。 さて、日常編は、今回で終わりにします。 ヴァリード一家の何人かも終わってませんが、それは、機会があれば短編で書いて行きますね。 次回から、『五月十五日編』(正確には、それのイントロダクション)が始まります。 ぞくぞくと癖のあるメンバーが、集まってきます。 それでは、また次回。 |
17798 | 語るアミイさん | 羅城 朱琉 | 2006/7/19 16:31:37 |
記事番号17789へのコメント 朱琉:こんにちは。遅くなりましたが、レス参ります。 > >ACT51 例えば こんな日常 FromエヴァンスB > 『いつも思うこと』 > > > >「バカか、アイツに言われたぐらいで、凹むな。」 >あのあと、エヴァンスとアーク、ナツメは、エイレンの店《デザートローズ》に居た。 >アイスティー(アッサムとアールグレイのブレンド)を二つとアイスココアの用意をしつつ、エイレンは、エヴァンスにそうきっぱり断言した。 >「・・・エイレンさん、ルシルさんのこと知ってるんですか?」 >恐る恐るという風にエヴァンスは、エイレンに聞く。 >やや、不機嫌そうにそれにこう答える。 >「知ってる。 > 推測程度なら、正体もね。 >・ ・・・これ以上は、聞くなよ。」 >その口止めと言わんばかりにか、用意していた三つのグラスをそれぞれの前に置く。 >自身も、ロングショットグラスのアイスティーを飲みつつ、呆れたように言葉を重ねる。 >「これから、《チャイルドクラン》と《レジスト》・・・・正確には、《エタニルタ・ルクス(永遠なる光)》だったか・・・それの争いが激しくなる。 >・ ・・・・・だけどね、一緒に闘おう何て思うなよ。 >確かに、ディスティアにしろ、アリエスにしろ、何かに縛られてこっち側にいるけどね。 >それでも、お前達みたいに自分を思ってくれているヤツがいるから、留まっていられ・・・・・ナツメ、泣くなって。」 >途中で涙目になったナツメをなだめるエイレン。 >しかし、エイレンとルシルに言われたことが、ぐるぐると渦巻くエヴァンスの耳と目には入らない。 >この後、エイレンは、無言で、『ベイリーズ』というチョコレートリキュールを出した。 >それを見て、エヴァンスは、『いつも世話になる』という風に頭を下げ、アークは、『あいつんトコ行くのかな』という風に小首をかしげる。 アミイ:エイレンちゃん、語るわねぇ・・・・。 朱琉:『知っていて』『知らない』人は、語るしかないでしょう。・・・・それにしても、ルシルさんの正体に予想つけているとは・・・・。エイレンさん、鋭いですね・・・・。 > > > > >PM7;11 > >三人は、そろって、帰宅した。 >ディスティアは、いつも通り、あの三年前ですら変わらないように、家族の為に料理を作り、微笑んでいた。 >それの『普通』さが、エヴァンスには、少し見ていられなかった。 >夕方のあの話の後では、ある意味、哀しくなってくる。 >自分が、暴走族に入った理由は、この三つしか離れていない姉の為だった。 >・ ・・最初のうちは。 >最初のうちは、姉の為だった。 >だけど、今は、チームにも愛着を持っている。 >妹尾先輩が死ぬまでは、姉のディスティアを守る為だけに、特攻隊に所属していた。 >だから、入ってからの1年半の妹尾先輩とかのスキンシップは鬱陶しいとか思たっけ。 >「どうした、エヴァ。 > 学校で何かあったの?」 >「ううん。 > ちょっと、《鴉火炉無》の連中が、学校に乗り込んで来てさ。」 >「ふうん。 > アーク・・・・・のせいだったよね、うちとの仲が悪くなったの。」 >「否定しない。」 >「け、喧嘩はダメです。」 >「はいはい。」 >俺は、姉さんもこういう家庭も・・・日常を守りたい。 >姉さんが、帰る場所を守りたい。 朱琉:けなげだ・・・・エヴァンス君、けなげだ・・・・ アミイ:かわい〜・・・・・・・・(ぽ) 朱琉:・・・・・・・・をい。 > > > > > > > > >PM10:33 > >その日の晩。 >エヴァンスは、隣街の旅宮市のとある一軒家の前にいた。 >背中のホルダーに、夕方もらったベイリーズを持ち、その家の呼び鈴を鳴らした。 >「は〜い。今開けます。」 >顔を出したのは、濡れ羽色の髪と黒水晶のような陰鬱の瞳の男性―イライアス=ヴィドル。 >「どうも、イライアスさん。」 >「・・・ああ、エヴァンスくん。 > エイレンから、話は聞いています。 >・ ・・頼って来て嬉しいので・・・」 >「でも、自殺は、しないでくださいね。」 >彼が何かモーションを起こす前に、エヴァンスは、彼の手にベイリーズを握らせる。 >それを認めると、彼にしてみれば、光の質量を認識するよりも、すごく珍しく『にぱ』という雰囲気で、エヴァンスを迎え入れる。 >「あ、すみません。 > 仕事中だったのか?」 >「ええ、ちょうど終わったところでしたが。」 >途中で、エヴァンスは、イライアスの指に、彼の雰囲気に奇妙にマッチしている指の数より多いシルバーリングに気がついた。 >ヴィヴィアン=ウェストウッドなどのゴツめの指輪。 >これらをしているときのイライアスは、家や屋外問わず、仕事中の証なのだ。 >「それで、何のお話ですか? >・ ・・・あと、『【月天女】メンバー』として? >それとも、『エヴァンス=ヴァリード』として?」 >「両方・・・だと思う。」 >自分は、ベイリーズのストレートのグラスを。 >エヴァンスに、ベイリーズを数的垂らしたホットミルクのカップを。 >それぞれ置いた。 >「・・・とにかく、話したいこと話してみてください。」 >エヴァンスは、話した。 >もうすぐ、ことが動き出しそうだということ。 >自分二何が出来るのか。ということ。 >自分が、姉を守りたいこと。 >でも、自分が姉の帰る場所を守ると思うこと。 >そんなことを話した。 >「・・・ふうん。」 >「俺は、姉さんが、笑えればそれでいいのかもしれないとは思うけど・・・・」 >「・・・・・・私が、この世界に入った理由を話したことはありましたか?」 >「・・・いいえ。」 >「・・・そうですか。 > 別に聞き流しても構いません。 > ・ ・・私がこの稼業に入ったのは、特に理由はありません。 > あえて言うなら暇つぶしです。 > 私の家族は、ごく普通の家族でした。」 >いきなり、ディープな告白だったが、エヴァンスは、ホットミルクにも手をつけずに。 >ただ、無言でイライアスの言葉に耳を傾ける。 >「・・・私は、小さい頃から、虚無感に囚われていましてね。 > それから、逃げたかったから、この稼業にはいったんです。 > ・ ・・・・・ディスティアやアリエスのように、復讐が目的ではなく。 > アークのように、アングラでの人探しが目的でもない。 > それでも、どういう理由があって、『月の世界』にいる人間に取って、帰ることが出来る場所があるというのは、救いでもあり、とてもいいことなんですよ。 > ・ ・・私が、帰る場所は、家族もいませんし、もう一つは、三年前に消えました。 > ・ ・・・・・ディスティアは、六年前に、『エリス』という居場所を無くしました。 > だけど、まだディスティアには、『家族』という居場所があります。 > 私が、言えた義理じゃないですけどね。 > ・ ・・・・・貴方は、家族を守るという目的が在るんですから、それを死にものぐるいでやりなさい。 > これまで以上に、大変でしょうから。」 >長い長い独白に、エヴァンスは、こう返した。 >「・・・・・・ありがとう、イライアスさん。」 >「・・・君のことは、まだ気に入っていますからね。」 >そう言われて、エヴァンスが紅くなったことは、本人は言うなと言ったけど、ここに記しておこう。 >これで、エヴァンスの覚悟は完全に決まった。 アミイ:理由なんて人それぞれ、どんなのでもいいのよ。ようは、それで後悔しないことだけが重要なのよ。 朱琉:語りますねぇ、あなたも。 アミイ:まあ、ね。 > > > >AM0:25 > >やっと帰って来たエヴァンスは、さっと風呂に入るなどして、 >早々に寝た。 >たぶん、悪夢は見ないだろうと思いつつ。 > > > >@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@ > > >どうにか、エヴァンス編終了です。 >けっこう、イライアスと仲がいいエヴァンスくん。 >二人の出会い編は、夏休み明けに、投稿予定です。 > > >さて、日常編は、今回で終わりにします。 >ヴァリード一家の何人かも終わってませんが、それは、機会があれば短編で書いて行きますね。 > >次回から、『五月十五日編』(正確には、それのイントロダクション)が始まります。 >ぞくぞくと癖のあるメンバーが、集まってきます。 > >それでは、また次回。 朱琉:はいでは、短いですが、この辺で。 二人:また次回! |
17800 | やっぱり、エイレン嬢はこの立場に落ち着くんですよね。 | 十叶 夕海 | 2006/7/19 21:29:53 |
記事番号17798へのコメント > >朱琉:こんにちは。遅くなりましたが、レス参ります。 ユア;こんにちは、では、返レス行きます。 > >> >>ACT51 例えば こんな日常 FromエヴァンスB >> 『いつも思うこと』 >> >> >> >>「バカか、アイツに言われたぐらいで、凹むな。」 >>あのあと、エヴァンスとアーク、ナツメは、エイレンの店《デザートローズ》に居た。 >>アイスティー(アッサムとアールグレイのブレンド)を二つとアイスココアの用意をしつつ、エイレンは、エヴァンスにそうきっぱり断言した。 >>「・・・エイレンさん、ルシルさんのこと知ってるんですか?」 >>恐る恐るという風にエヴァンスは、エイレンに聞く。 >>やや、不機嫌そうにそれにこう答える。 >>「知ってる。 >> 推測程度なら、正体もね。 >>・ ・・・これ以上は、聞くなよ。」 >>その口止めと言わんばかりにか、用意していた三つのグラスをそれぞれの前に置く。 >>自身も、ロングショットグラスのアイスティーを飲みつつ、呆れたように言葉を重ねる。 >>「これから、《チャイルドクラン》と《レジスト》・・・・正確には、《エタニルタ・ルクス(永遠なる光)》だったか・・・それの争いが激しくなる。 >>・ ・・・・・だけどね、一緒に闘おう何て思うなよ。 >>確かに、ディスティアにしろ、アリエスにしろ、何かに縛られてこっち側にいるけどね。 >>それでも、お前達みたいに自分を思ってくれているヤツがいるから、留まっていられ・・・・・ナツメ、泣くなって。」 >>途中で涙目になったナツメをなだめるエイレン。 >>しかし、エイレンとルシルに言われたことが、ぐるぐると渦巻くエヴァンスの耳と目には入らない。 >>この後、エイレンは、無言で、『ベイリーズ』というチョコレートリキュールを出した。 >>それを見て、エヴァンスは、『いつも世話になる』という風に頭を下げ、アークは、『あいつんトコ行くのかな』という風に小首をかしげる。 >アミイ:エイレンちゃん、語るわねぇ・・・・。 >朱琉:『知っていて』『知らない』人は、語るしかないでしょう。・・・・それにしても、ルシルさんの正体に予想つけているとは・・・・。エイレンさん、鋭いですね・・・・。 > ユア;一応、現代版は、他人に任せた分も含めて、このエイレンさんで、四人目なんですけど。 基本的に、語るキャラが多いんです。 久遠;そうするしか出来ないわよね、朱琉ちゃん。 ・・・・ルシルちゃんの正体の方は、イルミナちゃんと関わってるから、気付けたみたいなって感じみたい。 >> >> >> >> >>PM7;11 >> >>三人は、そろって、帰宅した。 >>ディスティアは、いつも通り、あの三年前ですら変わらないように、家族の為に料理を作り、微笑んでいた。 >>それの『普通』さが、エヴァンスには、少し見ていられなかった。 >>夕方のあの話の後では、ある意味、哀しくなってくる。 >>自分が、暴走族に入った理由は、この三つしか離れていない姉の為だった。 >>・ ・・最初のうちは。 >>最初のうちは、姉の為だった。 >>だけど、今は、チームにも愛着を持っている。 >>妹尾先輩が死ぬまでは、姉のディスティアを守る為だけに、特攻隊に所属していた。 >>だから、入ってからの1年半の妹尾先輩とかのスキンシップは鬱陶しいとか思たっけ。 >>「どうした、エヴァ。 >> 学校で何かあったの?」 >>「ううん。 >> ちょっと、《鴉火炉無》の連中が、学校に乗り込んで来てさ。」 >>「ふうん。 >> アーク・・・・・のせいだったよね、うちとの仲が悪くなったの。」 >>「否定しない。」 >>「け、喧嘩はダメです。」 >>「はいはい。」 >>俺は、姉さんもこういう家庭も・・・日常を守りたい。 >>姉さんが、帰る場所を守りたい。 >朱琉:けなげだ・・・・エヴァンス君、けなげだ・・・・ >アミイ:かわい〜・・・・・・・・(ぽ) >朱琉:・・・・・・・・をい。 ユア;エヴァくんは、基本的にけなげキャラなんです!!(握りこぶしで熱烈主張) 久遠;そうよ、エヴァくんは、それこそ、食べちゃいたいくらいに可愛いのよ。 ユア;・・・・アミイさん以上にそれは、問題在ります。 > >> >> >> >> >> >> >> >> >>PM10:33 >> >>その日の晩。 >>エヴァンスは、隣街の旅宮市のとある一軒家の前にいた。 >>背中のホルダーに、夕方もらったベイリーズを持ち、その家の呼び鈴を鳴らした。 >>「は〜い。今開けます。」 >>顔を出したのは、濡れ羽色の髪と黒水晶のような陰鬱の瞳の男性―イライアス=ヴィドル。 >>「どうも、イライアスさん。」 >>「・・・ああ、エヴァンスくん。 >> エイレンから、話は聞いています。 >>・ ・・頼って来て嬉しいので・・・」 >>「でも、自殺は、しないでくださいね。」 >>彼が何かモーションを起こす前に、エヴァンスは、彼の手にベイリーズを握らせる。 >>それを認めると、彼にしてみれば、光の質量を認識するよりも、すごく珍しく『にぱ』という雰囲気で、エヴァンスを迎え入れる。 >>「あ、すみません。 >> 仕事中だったのか?」 >>「ええ、ちょうど終わったところでしたが。」 >>途中で、エヴァンスは、イライアスの指に、彼の雰囲気に奇妙にマッチしている指の数より多いシルバーリングに気がついた。 >>ヴィヴィアン=ウェストウッドなどのゴツめの指輪。 >>これらをしているときのイライアスは、家や屋外問わず、仕事中の証なのだ。 >>「それで、何のお話ですか? >>・ ・・・あと、『【月天女】メンバー』として? >>それとも、『エヴァンス=ヴァリード』として?」 >>「両方・・・だと思う。」 >>自分は、ベイリーズのストレートのグラスを。 >>エヴァンスに、ベイリーズを数的垂らしたホットミルクのカップを。 >>それぞれ置いた。 >>「・・・とにかく、話したいこと話してみてください。」 >>エヴァンスは、話した。 >>もうすぐ、ことが動き出しそうだということ。 >>自分二何が出来るのか。ということ。 >>自分が、姉を守りたいこと。 >>でも、自分が姉の帰る場所を守ると思うこと。 >>そんなことを話した。 >>「・・・ふうん。」 >>「俺は、姉さんが、笑えればそれでいいのかもしれないとは思うけど・・・・」 >>「・・・・・・私が、この世界に入った理由を話したことはありましたか?」 >>「・・・いいえ。」 >>「・・・そうですか。 >> 別に聞き流しても構いません。 >> ・ ・・私がこの稼業に入ったのは、特に理由はありません。 >> あえて言うなら暇つぶしです。 >> 私の家族は、ごく普通の家族でした。」 >>いきなり、ディープな告白だったが、エヴァンスは、ホットミルクにも手をつけずに。 >>ただ、無言でイライアスの言葉に耳を傾ける。 >>「・・・私は、小さい頃から、虚無感に囚われていましてね。 >> それから、逃げたかったから、この稼業にはいったんです。 >> ・ ・・・・・ディスティアやアリエスのように、復讐が目的ではなく。 >> アークのように、アングラでの人探しが目的でもない。 >> それでも、どういう理由があって、『月の世界』にいる人間に取って、帰ることが出来る場所があるというのは、救いでもあり、とてもいいことなんですよ。 >> ・ ・・私が、帰る場所は、家族もいませんし、もう一つは、三年前に消えました。 >> ・ ・・・・・ディスティアは、六年前に、『エリス』という居場所を無くしました。 >> だけど、まだディスティアには、『家族』という居場所があります。 >> 私が、言えた義理じゃないですけどね。 >> ・ ・・・・・貴方は、家族を守るという目的が在るんですから、それを死にものぐるいでやりなさい。 >> これまで以上に、大変でしょうから。」 >>長い長い独白に、エヴァンスは、こう返した。 >>「・・・・・・ありがとう、イライアスさん。」 >>「・・・君のことは、まだ気に入っていますからね。」 >>そう言われて、エヴァンスが紅くなったことは、本人は言うなと言ったけど、ここに記しておこう。 >>これで、エヴァンスの覚悟は完全に決まった。 >アミイ:理由なんて人それぞれ、どんなのでもいいのよ。ようは、それで後悔しないことだけが重要なのよ。 >朱琉:語りますねぇ、あなたも。 >アミイ:まあ、ね。 久遠;そうよね。 或いは、後悔しても、何かをした後に後悔をするなら、それでもいいのかもしれないわ。 ユア;予定は、未定かもしれないですけど。 久遠;・・・・エヴァくんの決意は無駄にしないと? >> >> >> >>AM0:25 >> >>やっと帰って来たエヴァンスは、さっと風呂に入るなどして、 >>早々に寝た。 >>たぶん、悪夢は見ないだろうと思いつつ。 >> >> >> >>@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@ >> >> >>どうにか、エヴァンス編終了です。 >>けっこう、イライアスと仲がいいエヴァンスくん。 >>二人の出会い編は、夏休み明けに、投稿予定です。 >> >> >>さて、日常編は、今回で終わりにします。 >>ヴァリード一家の何人かも終わってませんが、それは、機会があれば短編で書いて行きますね。 >> >>次回から、『五月十五日編』(正確には、それのイントロダクション)が始まります。 >>ぞくぞくと癖のあるメンバーが、集まってきます。 >> >>それでは、また次回。 >朱琉:はいでは、短いですが、この辺で。 >二人:また次回! ユア;いいえ、ありがとうございました。 二人;それでは、次回。 > > |
17803 | 家族の写真 ACT52 5月15日 ―前日 @ 奇妙な三人組と決意と― | 十叶 夕海 | 2006/7/21 12:30:34 |
記事番号17781へのコメント ACT52 5月15日 ―前日 @ 奇妙な三人組と決意と― 「約二ヶ月ぶりだねー。 相変わらず、素敵に退屈そうな国だ。」 「・・・クレセント様。 それは、危ないのでは?」 「そうですね、クレスさん。 ・・・そう言えば、これから、どうするんです?」 青い髪をパイナップル状の髪型にした二十代半ばの男性―クレセント=ルーシュ。 珍しく旅装らしく、ジャケットとスラックスという目立たないもの・・・髪型以外は。 それに従うのは、二人の男女。 女性の方は、つややかな黒髪を肩にかかる程度にして、感情の一切浮かばせない黒瞳で、服装は青のチェックの膝丈のプリーツスカートと白の長袖Tシャツにスカートと共布のベスト姿で、少々ミスマッチ。だけど、その違和感を強くしているのが、左目の下にある深紅の月と涙の刺青。 大体、外見は、通っているのなら、高校生ぐらいだろう。 男性の方は、ほとんど白に近い銀色のちぢれ髪を無造作に縛っていて、濃い緑色の糸目のせいもあり、ややだらしない雰囲気、服装もだぶついてすり切れたジーンズ生地の上下。口調も容貌とあっていないが、まあ一般人の範囲か。 ただし、彼は、鼻を一文字するせいもあり、堅気には見せていない。 年齢は、二十代だろう。 そして、ここは、空港到着ロビー。 「迎えをよこす。とお姫さん言ってたけどね。 誰だろう、見れば解るとも、言ってたね。」 三人を見て、近づいて来たのは、『WELCOME TO JAPAN ルーシュ様一行』と書かれたスケッチブックを持った、やや色の薄い黒髪黒目のブレザー姿の少年―リュオ。 「あんたらが、『クレセント=ルーシュ』? ふ〜ん・・・・やっぱ、けっこーカタギっぽくねえなー。」 「・・・・クレセント様。 潰していいですか?」 「・・・ダメだよ。 お姫さんの使いだろ、少年は。」 「んべ。 ディスティアの言いつけじゃなきゃ、相手にしたくない人種〜。」 あっかんべーをして、言葉の端々からも、彼にしては大変珍しく嫌悪を滲ませて、クレセント達を睨む。 それをクレセントは、けらけらと楽しげに見守っているが、女性と男性は、一触即発。 何かきっかけが在れば、すぐにでも、戦闘を始めてしまいそうだ。 もう一度言っておこう。 ここは、日本国内の空港だ。 とつぜん、リュオのふところから、『泳げタイヤキくん』の軽快なメロディが流れる。 それを取ると、明らかに、シッポを垂らす犬のようになった。 「・・・だってよぉー、コイツらクセ―んだもん。 ・・・・・・・・うー、わかった。」 なにか、伝言を受けたのか、リュオは、渋々ながら、クレセント達に、視線を合わせる。 あわせても、『・・・血生くせえーの嫌いだって、ディスだって、知ってんじゃんかよぉ』とぶつぶつ文句言っている。 「いちおー、ディスティアが、案内しろって。 そっちのリクエスト通り、温泉旅館まで、案内するから、付いて来て。」 苦虫を数グロス盛大に噛み潰したような表情で、リュオは、踵を返し歩き出した。 普段は、傍若無人なところもある彼だが、《アーチャー》は苦手なのだ。 「・・・あ、お姉さんとお兄さんの名前は? 《エンシェントエルフ》と《ダークツール》ってことは聞いてるけどー、名前、名前教えろつーか、教えやがれってばよぉ。」 「・・・・・・クレセント様、やっぱり殺していい?」 「ダメだって、協力の為に来たんだし。」 「俺は、風魔五兄弟のリュオってぇんだ。 ・・・ほ〜ら、俺が言ったんだから早く。」 「・・・・アルシェンナ=ボヴォーノ。」 「・・・ディスティアさんよりも、強引ですね。 ジオルグ=マルティージョです、よろしく。」 アルシェンナは、表情を一切崩さず、名乗る。 ジオルグは、半ば呆れて、名乗った。 それを聞いた途端、リュオが、ジオルグにいやに目をキラキラさせて、ジオルグにすり寄る。 「ど、どうしました?」 「なーなー、その名字、《バッカーノ》って言う小説のファミリーの名前だよなー。 すげーすげー。・・・・イタリアの人?」 「・・・・・・・・クレセントさん。」 「とにかく、いかねーとまずくねぇか、少年。」 「わーった。 それと、俺は、リュオ。」 こうして、一組目が到着した。 「で、どうする?」 「・・・黎夜さん。」 ほぼ、同時刻。 ・・・の《千里眼のオルフェーゼ》のマンション。 ここ一週間で、ほぼ毎日、来ているせいか、黒ワンピースから、黒ツナギ姿に変わった黎夜が朝食の片付けの為、後ろを向いているアリエスに声をかけた。 その声は、どこか、答えを知っていて、誘っているようで。 「何がです?」 「・・・・明日のこと。 一応、ディスティア様、月命日を選んだみたいよ?」 「・・・・それでも、あのことは・・・。」 「ねえ、真実は一つでも、事実はたくさん在るの。 ・・・いいえ、真実もたくさん在るわね、受け取る人のココロ次第で。 貴方の記憶の中の、《ブラックウィドー》としてのディスティア様は、どうだった? 優しかった? 冷たかった? 寂しそうだった?」 「・・・・・優しかった。」 「なら、それが真実だろう。」 優しく、淡く・・・妖魔という種族に似合わないほどに、黎夜は、言う。 まだ、語れないお伽噺が在るのだろうと思う。 「・・・そう言えば、というと変ですが、黎夜は、アルトの部下ではなかったのですか?」 「・・・・・・アルト様とディスティア様は、お伽噺のことも、今に至る人生のことも覚えている。 だから、今自分に危害が来ることが少ないと・・・・アリエスの方に来るだろうと予想して、こっちに私をやっているんだ。」 理由になるようななっていないような、答えを口にする。 ちょうど、片付けがおわり、黎夜の方を向いたアリエスは見た。 黎夜は、泣きそうな笑顔だった。 知っていて、語ることが許されないことなのだ。 そうアリエスは、実感した。 「・・・アリエス、これから、貴女は辛い選択を幾つか迫られると思うわ。 だけどね、自分が正しいと思った。 ・・・自分が、信じたいと思った未来を選び取りなさい。 ・・・・・・・明日の会合のことだってね。」 「・・・・明日は、行きます。」 アリエスは、決めたのだ。 闘うということを。 《チャイルドクラン》と。 《吸血鬼》と。 《お伽噺の運命》と。 そして、幸せへの障害とも。 闘うことを決めた。 ・・・ただ、アリエスは、《戦乙女》は、《片眼王》と宿命の一対だということを知らない。 @@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@ これから、数回に分けて、五月十五日の前日を書いて行きます。 その第一弾は、《アーチャー》組とアリエスでした。 それでは、次回。 |
17804 | 語れないのは、辛いですね・・・・ | 羅城 朱琉 | 2006/7/21 13:48:30 |
記事番号17803へのコメント 朱琉:こんにちは、羅城 朱琉です。早速ですが、レスに参りますね。 > > > > > > ACT52 5月15日 ―前日 @ 奇妙な三人組と決意と― > > > > > > >「約二ヶ月ぶりだねー。 > 相変わらず、素敵に退屈そうな国だ。」 >「・・・クレセント様。 > それは、危ないのでは?」 >「そうですね、クレスさん。 > ・・・そう言えば、これから、どうするんです?」 >青い髪をパイナップル状の髪型にした二十代半ばの男性―クレセント=ルーシュ。 >珍しく旅装らしく、ジャケットとスラックスという目立たないもの・・・髪型以外は。 >それに従うのは、二人の男女。 >女性の方は、つややかな黒髪を肩にかかる程度にして、感情の一切浮かばせない黒瞳で、服装は青のチェックの膝丈のプリーツスカートと白の長袖Tシャツにスカートと共布のベスト姿で、少々ミスマッチ。だけど、その違和感を強くしているのが、左目の下にある深紅の月と涙の刺青。 >大体、外見は、通っているのなら、高校生ぐらいだろう。 >男性の方は、ほとんど白に近い銀色のちぢれ髪を無造作に縛っていて、濃い緑色の糸目のせいもあり、ややだらしない雰囲気、服装もだぶついてすり切れたジーンズ生地の上下。口調も容貌とあっていないが、まあ一般人の範囲か。 >ただし、彼は、鼻を一文字するせいもあり、堅気には見せていない。 >年齢は、二十代だろう。 >そして、ここは、空港到着ロビー。 >「迎えをよこす。とお姫さん言ってたけどね。 > 誰だろう、見れば解るとも、言ってたね。」 >三人を見て、近づいて来たのは、『WELCOME TO JAPAN ルーシュ様一行』と書かれたスケッチブックを持った、やや色の薄い黒髪黒目のブレザー姿の少年―リュオ。 >「あんたらが、『クレセント=ルーシュ』? > ふ〜ん・・・・やっぱ、けっこーカタギっぽくねえなー。」 >「・・・・クレセント様。 > 潰していいですか?」 >「・・・ダメだよ。 > お姫さんの使いだろ、少年は。」 >「んべ。 > ディスティアの言いつけじゃなきゃ、相手にしたくない人種〜。」 >あっかんべーをして、言葉の端々からも、彼にしては大変珍しく嫌悪を滲ませて、クレセント達を睨む。 >それをクレセントは、けらけらと楽しげに見守っているが、女性と男性は、一触即発。 >何かきっかけが在れば、すぐにでも、戦闘を始めてしまいそうだ。 >もう一度言っておこう。 >ここは、日本国内の空港だ。 >とつぜん、リュオのふところから、『泳げタイヤキくん』の軽快なメロディが流れる。 >それを取ると、明らかに、シッポを垂らす犬のようになった。 >「・・・だってよぉー、コイツらクセ―んだもん。 > ・・・・・・・・うー、わかった。」 >なにか、伝言を受けたのか、リュオは、渋々ながら、クレセント達に、視線を合わせる。 >あわせても、『・・・血生くせえーの嫌いだって、ディスだって、知ってんじゃんかよぉ』とぶつぶつ文句言っている。 >「いちおー、ディスティアが、案内しろって。 > そっちのリクエスト通り、温泉旅館まで、案内するから、付いて来て。」 >苦虫を数グロス盛大に噛み潰したような表情で、リュオは、踵を返し歩き出した。 >普段は、傍若無人なところもある彼だが、《アーチャー》は苦手なのだ。 >「・・・あ、お姉さんとお兄さんの名前は? > 《エンシェントエルフ》と《ダークツール》ってことは聞いてるけどー、名前、名前教えろつーか、教えやがれってばよぉ。」 >「・・・・・・クレセント様、やっぱり殺していい?」 >「ダメだって、協力の為に来たんだし。」 >「俺は、風魔五兄弟のリュオってぇんだ。 > ・・・ほ〜ら、俺が言ったんだから早く。」 >「・・・・アルシェンナ=ボヴォーノ。」 >「・・・ディスティアさんよりも、強引ですね。 > ジオルグ=マルティージョです、よろしく。」 >アルシェンナは、表情を一切崩さず、名乗る。 >ジオルグは、半ば呆れて、名乗った。 >それを聞いた途端、リュオが、ジオルグにいやに目をキラキラさせて、ジオルグにすり寄る。 >「ど、どうしました?」 >「なーなー、その名字、《バッカーノ》って言う小説のファミリーの名前だよなー。 > すげーすげー。・・・・イタリアの人?」 >「・・・・・・・・クレセントさん。」 >「とにかく、いかねーとまずくねぇか、少年。」 >「わーった。 > それと、俺は、リュオ。」 >こうして、一組目が到着した。 アミイ:うわ〜・・・・いきなり殺伐としてるわねー・・・・。 朱琉:この程度で殺伐と言ってたら、始まりませんよ? アミイ:だって、私、こういう空気大好きだもの。わくわくして何か悪い? 朱琉:・・・・・・・・・・・・・・・・いえ、別に。(言いたいのは、そういうことじゃないって。) > > > > > > > > >「で、どうする?」 >「・・・黎夜さん。」 >ほぼ、同時刻。 >・・・の《千里眼のオルフェーゼ》のマンション。 >ここ一週間で、ほぼ毎日、来ているせいか、黒ワンピースから、黒ツナギ姿に変わった黎夜が朝食の片付けの為、後ろを向いているアリエスに声をかけた。 >その声は、どこか、答えを知っていて、誘っているようで。 >「何がです?」 >「・・・・明日のこと。 > 一応、ディスティア様、月命日を選んだみたいよ?」 >「・・・・それでも、あのことは・・・。」 >「ねえ、真実は一つでも、事実はたくさん在るの。 > ・・・いいえ、真実もたくさん在るわね、受け取る人のココロ次第で。 > 貴方の記憶の中の、《ブラックウィドー》としてのディスティア様は、どうだった? > 優しかった? > 冷たかった? > 寂しそうだった?」 >「・・・・・優しかった。」 >「なら、それが真実だろう。」 >優しく、淡く・・・妖魔という種族に似合わないほどに、黎夜は、言う。 >まだ、語れないお伽噺が在るのだろうと思う。 >「・・・そう言えば、というと変ですが、黎夜は、アルトの部下ではなかったのですか?」 >「・・・・・・アルト様とディスティア様は、お伽噺のことも、今に至る人生のことも覚えている。 > だから、今自分に危害が来ることが少ないと・・・・アリエスの方に来るだろうと予想して、こっちに私をやっているんだ。」 >理由になるようななっていないような、答えを口にする。 >ちょうど、片付けがおわり、黎夜の方を向いたアリエスは見た。 >黎夜は、泣きそうな笑顔だった。 >知っていて、語ることが許されないことなのだ。 >そうアリエスは、実感した。 >「・・・アリエス、これから、貴女は辛い選択を幾つか迫られると思うわ。 > だけどね、自分が正しいと思った。 > ・・・自分が、信じたいと思った未来を選び取りなさい。 > ・・・・・・・明日の会合のことだってね。」 >「・・・・明日は、行きます。」 >アリエスは、決めたのだ。 >闘うということを。 >《チャイルドクラン》と。 >《吸血鬼》と。 >《お伽噺の運命》と。 >そして、幸せへの障害とも。 >闘うことを決めた。 >・・・ただ、アリエスは、《戦乙女》は、《片眼王》と宿命の一対だということを知らない。 朱琉:・・・・・・・・知っていて語れないことは、本当に辛いです。『時の旅人』の語り部さん然り、こちらのいろんな人々もまた、然り・・・・。 アミイ:多いものね、そういう人。・・・・でもそれは、どうして語れないのか、理由を考えれば・・・・ねぇ?そのなかにあるのって、基本的には『優しさ』じゃないのかしら? 朱琉:だからこそ余計に、刹なく、切ないんです。 > > > > > > >@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@ > > >これから、数回に分けて、五月十五日の前日を書いて行きます。 >その第一弾は、《アーチャー》組とアリエスでした。 > > >それでは、次回。 朱琉:はいでは、また。短くて失礼しました。 二人:また次回! |
17807 | そうですね、でも語るべき時に語らないのも辛いこと | 十叶 夕海 | 2006/7/22 19:59:53 |
記事番号17804へのコメント > >朱琉:こんにちは、羅城 朱琉です。早速ですが、レスに参りますね。 ユア;こんにちは、ユアです。 では、返レス参ります。 > >> >> >> >> >> >> ACT52 5月15日 ―前日 @ 奇妙な三人組と決意と― >> >> >> >> >> >> >>「約二ヶ月ぶりだねー。 >> 相変わらず、素敵に退屈そうな国だ。」 >>「・・・クレセント様。 >> それは、危ないのでは?」 >>「そうですね、クレスさん。 >> ・・・そう言えば、これから、どうするんです?」 >>青い髪をパイナップル状の髪型にした二十代半ばの男性―クレセント=ルーシュ。 >>珍しく旅装らしく、ジャケットとスラックスという目立たないもの・・・髪型以外は。 >>それに従うのは、二人の男女。 >>女性の方は、つややかな黒髪を肩にかかる程度にして、感情の一切浮かばせない黒瞳で、服装は青のチェックの膝丈のプリーツスカートと白の長袖Tシャツにスカートと共布のベスト姿で、少々ミスマッチ。だけど、その違和感を強くしているのが、左目の下にある深紅の月と涙の刺青。 >>大体、外見は、通っているのなら、高校生ぐらいだろう。 >>男性の方は、ほとんど白に近い銀色のちぢれ髪を無造作に縛っていて、濃い緑色の糸目のせいもあり、ややだらしない雰囲気、服装もだぶついてすり切れたジーンズ生地の上下。口調も容貌とあっていないが、まあ一般人の範囲か。 >>ただし、彼は、鼻を一文字するせいもあり、堅気には見せていない。 >>年齢は、二十代だろう。 >>そして、ここは、空港到着ロビー。 >>「迎えをよこす。とお姫さん言ってたけどね。 >> 誰だろう、見れば解るとも、言ってたね。」 >>三人を見て、近づいて来たのは、『WELCOME TO JAPAN ルーシュ様一行』と書かれたスケッチブックを持った、やや色の薄い黒髪黒目のブレザー姿の少年―リュオ。 >>「あんたらが、『クレセント=ルーシュ』? >> ふ〜ん・・・・やっぱ、けっこーカタギっぽくねえなー。」 >>「・・・・クレセント様。 >> 潰していいですか?」 >>「・・・ダメだよ。 >> お姫さんの使いだろ、少年は。」 >>「んべ。 >> ディスティアの言いつけじゃなきゃ、相手にしたくない人種〜。」 >>あっかんべーをして、言葉の端々からも、彼にしては大変珍しく嫌悪を滲ませて、クレセント達を睨む。 >>それをクレセントは、けらけらと楽しげに見守っているが、女性と男性は、一触即発。 >>何かきっかけが在れば、すぐにでも、戦闘を始めてしまいそうだ。 >>もう一度言っておこう。 >>ここは、日本国内の空港だ。 >>とつぜん、リュオのふところから、『泳げタイヤキくん』の軽快なメロディが流れる。 >>それを取ると、明らかに、シッポを垂らす犬のようになった。 >>「・・・だってよぉー、コイツらクセ―んだもん。 >> ・・・・・・・・うー、わかった。」 >>なにか、伝言を受けたのか、リュオは、渋々ながら、クレセント達に、視線を合わせる。 >>あわせても、『・・・血生くせえーの嫌いだって、ディスだって、知ってんじゃんかよぉ』とぶつぶつ文句言っている。 >>「いちおー、ディスティアが、案内しろって。 >> そっちのリクエスト通り、温泉旅館まで、案内するから、付いて来て。」 >>苦虫を数グロス盛大に噛み潰したような表情で、リュオは、踵を返し歩き出した。 >>普段は、傍若無人なところもある彼だが、《アーチャー》は苦手なのだ。 >>「・・・あ、お姉さんとお兄さんの名前は? >> 《エンシェントエルフ》と《ダークツール》ってことは聞いてるけどー、名前、名前教えろつーか、教えやがれってばよぉ。」 >>「・・・・・・クレセント様、やっぱり殺していい?」 >>「ダメだって、協力の為に来たんだし。」 >>「俺は、風魔五兄弟のリュオってぇんだ。 >> ・・・ほ〜ら、俺が言ったんだから早く。」 >>「・・・・アルシェンナ=ボヴォーノ。」 >>「・・・ディスティアさんよりも、強引ですね。 >> ジオルグ=マルティージョです、よろしく。」 >>アルシェンナは、表情を一切崩さず、名乗る。 >>ジオルグは、半ば呆れて、名乗った。 >>それを聞いた途端、リュオが、ジオルグにいやに目をキラキラさせて、ジオルグにすり寄る。 >>「ど、どうしました?」 >>「なーなー、その名字、《バッカーノ》って言う小説のファミリーの名前だよなー。 >> すげーすげー。・・・・イタリアの人?」 >>「・・・・・・・・クレセントさん。」 >>「とにかく、いかねーとまずくねぇか、少年。」 >>「わーった。 >> それと、俺は、リュオ。」 >>こうして、一組目が到着した。 >アミイ:うわ〜・・・・いきなり殺伐としてるわねー・・・・。 >朱琉:この程度で殺伐と言ってたら、始まりませんよ? >アミイ:だって、私、こういう空気大好きだもの。わくわくして何か悪い? >朱琉:・・・・・・・・・・・・・・・・いえ、別に。(言いたいのは、そういうことじゃないって。) ユア:私の過去のオリキャラの中で、殺伐とした方々をとあるマンガとあわせたら、こんなんになりました。 久遠:でも、朱琉ちゃんの指摘も、なかなか言い得て妙よ。 ユア;・・・否定はしません。 久遠;そうよね、いくら、主人公側であっても、殺人は殺人だのネ。 ユア;・・・・久遠、少しは考えて喋って。 > >> >> >> >> >> >> >> >> >>「で、どうする?」 >>「・・・黎夜さん。」 >>ほぼ、同時刻。 >>・・・の《千里眼のオルフェーゼ》のマンション。 >>ここ一週間で、ほぼ毎日、来ているせいか、黒ワンピースから、黒ツナギ姿に変わった黎夜が朝食の片付けの為、後ろを向いているアリエスに声をかけた。 >>その声は、どこか、答えを知っていて、誘っているようで。 >>「何がです?」 >>「・・・・明日のこと。 >> 一応、ディスティア様、月命日を選んだみたいよ?」 >>「・・・・それでも、あのことは・・・。」 >>「ねえ、真実は一つでも、事実はたくさん在るの。 >> ・・・いいえ、真実もたくさん在るわね、受け取る人のココロ次第で。 >> 貴方の記憶の中の、《ブラックウィドー》としてのディスティア様は、どうだった? >> 優しかった? >> 冷たかった? >> 寂しそうだった?」 >>「・・・・・優しかった。」 >>「なら、それが真実だろう。」 >>優しく、淡く・・・妖魔という種族に似合わないほどに、黎夜は、言う。 >>まだ、語れないお伽噺が在るのだろうと思う。 >>「・・・そう言えば、というと変ですが、黎夜は、アルトの部下ではなかったのですか?」 >>「・・・・・・アルト様とディスティア様は、お伽噺のことも、今に至る人生のことも覚えている。 >> だから、今自分に危害が来ることが少ないと・・・・アリエスの方に来るだろうと予想して、こっちに私をやっているんだ。」 >>理由になるようななっていないような、答えを口にする。 >>ちょうど、片付けがおわり、黎夜の方を向いたアリエスは見た。 >>黎夜は、泣きそうな笑顔だった。 >>知っていて、語ることが許されないことなのだ。 >>そうアリエスは、実感した。 >>「・・・アリエス、これから、貴女は辛い選択を幾つか迫られると思うわ。 >> だけどね、自分が正しいと思った。 >> ・・・自分が、信じたいと思った未来を選び取りなさい。 >> ・・・・・・・明日の会合のことだってね。」 >>「・・・・明日は、行きます。」 >>アリエスは、決めたのだ。 >>闘うということを。 >>《チャイルドクラン》と。 >>《吸血鬼》と。 >>《お伽噺の運命》と。 >>そして、幸せへの障害とも。 >>闘うことを決めた。 >>・・・ただ、アリエスは、《戦乙女》は、《片眼王》と宿命の一対だということを知らない。 >朱琉:・・・・・・・・知っていて語れないことは、本当に辛いです。『時の旅人』の語り部さん然り、こちらのいろんな人々もまた、然り・・・・。 >アミイ:多いものね、そういう人。・・・・でもそれは、どうして語れないのか、理由を考えれば・・・・ねぇ?そのなかにあるのって、基本的には『優しさ』じゃないのかしら? >朱琉:だからこそ余計に、刹なく、切ないんです。 ユア;そうなんですよね。 でも、それと同じく、語る時に、本当を言えないのも、辛いのです。 久遠;その優しさも、相手を思いやっても、それが、相手のためにならないことも在るから・・・ね。 ユア:でも、それが、このお話の中の隠れテーマでもあるのです。 >> >> >> >> >> >> >>@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@ >> >> >>これから、数回に分けて、五月十五日の前日を書いて行きます。 >>その第一弾は、《アーチャー》組とアリエスでした。 >> >> >>それでは、次回。 >朱琉:はいでは、また。短くて失礼しました。 >二人:また次回! ユア;はい、ありがとうございました。 二人;では、次回。 > > |
17810 | 家族の写真 ACT53 5月15日 ―前日・A 心配性と過去の囚われ人とー | 十叶 夕海 | 2006/7/23 13:05:06 |
記事番号17781へのコメント ACT53 5月15日 ―前日・A 心配性と過去の囚われ人とー その日の昼頃。 「・・・で、何のようなのです? 《風舞姫》が、使用している・・・ええと、リュアくん?」 「ディスティア様が、言われるには、一応明日までの警護と明日の案内をしろとのことで・・・・。」 「リュアくん、わざわざ、私が二ツ名の方で呼ぶ労力をしているのに、それを丁寧に崩さないでください。」 その日の昼頃のヴァリード家の主人・レンシェルマの書斎兼仕事部屋に、二つの影。 一人は、主であるレンシェルマ。 もう一人は、狩衣姿のリュア。 呆れた風に、レンシェルマは、諌める。 「す、すみませぬ。 《ギルトマスター》。」 「解ったのならいいんですよ。 ・・・それと、ディスティアが気がつく前に、私の正体をバラして見なさい。 ・・・・・・・私の全力を持って、滅ぼして差し上げます。」 いつもは・・・否、家族の前では見せないような淡く黒い笑みをレンシェルマは浮かべ、にっこりと脅す。 それに、流石に『いやとは言えない。』リュアは、壊れた首振り人形のように、何度も頷いた。 「・・・・・・強いのですね、《ギルトマスター》。 ディスティア様は、お教えになるなとおっしゃられていましたが、私の意志でお話しします。」 「何をですか?」 「・・・《お伽噺》をご存知ですか?」 沈黙が落ちる。 《ギルトマスター》は・・・いや、『レンシェルマ=ヴァリード』は、認めたくなかった。 ここ六年、《ブラックウィドー》や《風舞姫》の名前を聞く中で、時折聞いた《歌乙女》の名前。 そして、彼女に架せられ、科された『宿命』をも探り当ててしまった。 「・・・・《道化師》と《歌乙女》のお話ですよね。 《片眼王》の愚かな恋と言ってもいい。」 「・・・それも、間違いでは在りません。 ありませんが、それは、《道化師》が、《語り部》になり、情報改竄した結果です。」 「では、何が真実なのですか!?」 「真実は、在って無きこと。 私が、語る言葉も、どちらか解らない。 ・・・でも、ディスティア様の遠い《過去世》は、《歌乙女》です。 あの人と二人の王の記憶だけが、真の真実を語る。 あの《お伽噺》は、今残る、『世界征服』すら・・・・・・」 「泣くぐらいでしたら、言わなくても結構です。 ・・・その様子だと、ディスティアも、知らないのでしょう。」 淡々と語っていたリュアは、レンシェルマに指摘され、やっと気付いたのか、とっさに手で顔を覆う。 レンシェルマは、その様を見て、この青年・・・実年齢は、自分よりも上だろうが、一番小さな娘・・・ナツメとそう変わらないように見えた。 身長も、髪や瞳の色も違うのに、幼く見えた。 自分よりも、かなり上背のある彼を、レンシェルマは、幼子にそうするように、頭を撫でる。 ・・・もちろん、背伸びをしてである。 「・・・貴方が悪い訳じゃないです。」 「・・・・・・・・・・・・・・すみません。」 また、ほぼ同時刻。 某国。 古ぼけた廃業した病院/ロビー? 「時間になったら、送るから、心配しないでね。 流石に、公共の場所は、キツいでしょ?」 「イラナイ。 ソレヨリモ、《歌乙女》ヲ守ッテイロ。」 その場所で、ジャポーネの女子大生風の女性と灰色の上下と露出している肌を包帯で、顔を今日はつるりとした白仮面で覆った人物。 リュエと《ノーフェイス》 「ねえ、その《歌乙女》って、ディスティアよね。 どういう意味なの?」 「妖魔ガ、知ラナイトハ、コレハコレハ。」 「若いからね。 これでも、まだ、400歳だ。」 「・・・貴女ノ長兄様ニ聞クトイイ。 詳シク知ッテイルダロウ? 風魔ノ長老ノ跡継ギノりゅあナラ。」 リュエが、兄に聞けないことを裏稼業に、入って二十年近くの《ノーフェイス》に聞こうとした。 聞こうとしたのだが、はぐらかされそうになるが、その中で、聞き逃せない単語を聴き、リュエは、噛み付くように、さらに、訊ねる。 「なぜ、我々、風魔が、知っているということになるの?」 「・・・『風魔』ハ、『道化師』ガ『語り部』ガ、創ッタ一族。 アル程度、曲ゲラレタトハ言エ、正伝ガ伝ワル一族。」 「・・・本当?」 「嘘ヲ言ウ必要ナイ。」 「・・・貴方の心の傷に誓って?」 「私ノ心ノ傷二誓オウ。 ワリアイ、有名ナコトダヨ。 妖魔ナドヲ使役スル術ヲ使ウ人間ナラ、知ラナイ方ガもぐりダヨ。」 「なぜ、リュア兄さんは、何も言わないんだろう。」 「言エナインダロウ。 『道化師』カラ受ケ継イダ、マダ、真実ヲ含ムコトハ、話セヌノダロウヨ。 真実ハ、必ズ人ヲ幸セニハシナイ。 ソレドコロカ、更ニ不幸二スル。」 「・・・いやに、実感こもっているわね。」 「ワタシニモ、隠シテイルコトガアルカラネ。 ・・・長ク話シタセイカ、疲レタ。 寝ルカラ、時間ニナッタラ、起コシテクレ。」 まだ、聞きたいことが在ったのだが、リュエが、気付いた時には、《ノーフェイス》は、もう寝息を立てていた。 何かをすれば、すぐに起きてしまうのだろうけど、でも、この小柄な女性に、ああまで言わせることは、なんなのか、リュエには、風魔の性なのか、とても気になった。 @@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@ 驚愕の新事実発覚?の回です。 この上のツリーの『時は巡りて +遥か昔の語り継がれないお伽噺+』は、作中で本当に在った出来事です。 でも、それから長い年月が経っているので、多少曲がっています。 あえて、『道化師』が、曲げた部分もあります。 その中でも、正しいお話を覚えているのは、『風魔ーリュア達一族』と『片眼王』『歌乙女』『道化師』の一一族と三人だけ。 それ以外には、あのお伽噺は、『道化師と歌乙女』の話として伝わっています。 その中の伝承として、『片眼王と戦乙女が居れば、世界征服も出来る』というお話。 さて、あと二回ほどで、『五月十五日』に入ります。 それが、どのような運命を生むのでしょうか? では、次回にて。 |