◆−家族の写真 外伝 立ち上がれてる、お嬢ちゃん?+過去の人への鎮魂歌+−十叶 夕海 (2006/7/17 23:43:01) No.17790 ┗遅れた理由は本文中にて。−羅城 朱琉 (2006/7/21 14:00:12) No.17805 ┗・・・すみません、昔からこの人はこうなんです。−十叶 夕海 (2006/7/22 20:11:47) No.17808
17790 | 家族の写真 外伝 立ち上がれてる、お嬢ちゃん?+過去の人への鎮魂歌+ | 十叶 夕海 | 2006/7/17 23:43:01 |
立ち上がれてる、お嬢ちゃん?+過去の人への鎮魂歌+ 「よう、《リンデン》。 素敵に無邪気に、死んでねーようで、俺も安心したよ。」 本編の時間より、約三ヶ月前。 二月の十四日。 レイティス=アイルテの三年目の命日。 その日の旅宮市のイライアス=ヴィドルの住む一軒家に、一人の来訪者があった。 『彼』は、染めたような不自然な空みたいに明るめの青の髪を首筋とつむじの方でバレッタのようなものでまとめ、シルエットがパイナップルのような髪型と菫色の青紫系のくりくりとした瞳。 身長は、今のイライアスと同じぐらいの180センチ半ばであるが、イライアスとは違い、中性的な体躯だ。 そんな『彼』は、濃い灰色の袖口が広いジャケットとアーミーカラーのTシャツと冬には、少々寒くないのか?と聞きたくなるような服装だ。 「ええ・・・久しぶりですね。 《アーチャー》?」 「そーそー。 丸1年ぶりか? いちおー、去年の墓参りは、一緒に行ったしな。」 「相変わらずですね。 ・ ・・・・それでも、久しぶりに会えて嬉しいので、死にますね。」 と、何時もの挨拶とでも言う風に、咽喉に隠し持っていたコルトー小さな隠し銃をくわえ、引き金を引こうとしたが、『彼』は、強引に力だけで、銃口を天井に向ける。 その弾みで、一発分は、天井に模様を作った。 「・・・痛いですよ、クレセント。」 「クレスでいいって言うのに。 ・ ・・・・そんなに、死にたいなら、殺そっか?」 「・・・・・前も言いましたが、私は殺されたいのではなく、自殺をしたいのですよ?」 「いい声で、悦(な)きそうだから・・・・なのにね、殺したいのはさ。」 「・・・・・本当に、相変わらずですね。 何のようですか、クレセント。」 イライアスは、陰鬱な表情のまま、呆れたようなため息を吐き、クレセントと呼んだ彼に尋ねる。 「墓参りのお誘い 。 レイティスの。 俺が、いつか殺すつもりだったのにさ、死んじまったもん。 墓参りぐらい毎年したいじゃん。」 「・・・・残念です、今日これから、情報の受け渡しで、横浜まで行かなくてはいけないんですよ。」 「え〜、墓参り行けないんだ。」 「・・・失望させてしまったようなので、死んでお詫びします。」 クレセントの残念そうな声に、イライアスはすぐに、おそらく死んでもおかしくないほど電撃がバチバチしてるスタンガンを首筋に当てようとする。 それを手慣れた手つきで、腕を止めるクレセント。 「だから、死にてえなら、殺してやるって、言ってんだろ。」 「・・・・しつこいようですが、私は自殺をしたいのです。」 「ちぇ、お前なら、解体したらいい声で悦きそうなのにな。 ・ ・・殺して欲しければ、いつでも言えよ。 お前ならいの一番に、殺しに言ってやるよ。」 「・・・・はいはい。 ああ、そう言えば、今年はディスティアも、今頃墓地にいますよ。」 「へえ、あのお姫さん。 ・ ・・あんがと、今度ゆっくり飲もうぜ。」 「お忘れのようですが、私は、未成年ですよ?」 「・・・ベイリーズに目がないくせに。」 少々歪んでいるけれど、彼らは、確かに『仲間』だった。 レイティス=アイルテが結んだ『仲間』。 時乃市の市営墓地。 ―のはずれの丘の上の墓地の一つの前に、青く輝く銀髪の女性が、黒のワンピース・・・装飾とウィンプルを外した尼僧服で、佇んでいた。 クレセントは、思わず目を見張った。 イライアスに、ああ言われたけれど、まさか本当に来ているとは思ってもいなかったのだ。 「・・・・ルージュか。」 「クレセント=ルーシュだって、何遍言ったら分かんの? 殺そっか?」 「相変わらず、《エータミレアム》みたいな、感じだね、ルージュ。」 「キャハ、どうでもいいじゃんよ。 ・ ・・・にしても珍しいねえ、お姫さんが、レイの祥月命日に来るなんてさ。 去年来なかったじゃんよ。」 三年ぶりに直接言葉を交わすというのに、ブランクが無いような会話。 牽制し合いつつも、なんか微笑ましい。 でも、ナイフの刃を直接握るような雰囲気も、クレセントにとっても、ディスティアにとっても懐かしい雰囲気。 「やっと、アリエスに話す覚悟が付いてね。 ・ ・・・第二次《チャイルドクラン》潰しの覚悟もね。」 「へぇ、お祭りか。 くぅ、二年ぶりか〜。 ・ ・・アニーとジルも、喜びそうだな。」 「へえ、《エンシェント・エルフ》と《ダークツール》の二人とつるんでたんだ。」 「そう、相変わらず、アルシェンナは魔法使い見てえだし、ジオルグは相変わらず、どっちも強いしよ。 ・ ・・で、誰に説得されたんだ? やっぱ、《使鬼札ノ姫》のエイレン?」 「うんにゃ、イルミナさんとこの居候さん。」 「へえ、あの俺の本気の一撃を受けても死ななかったあのイルミナの?」 内容は、剣呑で穏やかじゃないのに、雰囲気は、『告白するわ』とかいう女子高生と昔なじみの大学生のお兄さんのような感じだ。 「・・・なあ、ディスティア。 歌、歌えよ。 三年ぶりに会えたし、レイティスの鎮魂歌代わりに。」 「そうだね、何がいい?」 「優しくて、切なくて,ほろ苦哀しいの。」 「・・・了解。」 月の世界で 日の光を望めない そんな世界で 太陽のような温もりだった 貴方・・・貴方はもういないけれど 生きてた頃によく口にしてたよね 復讐は何も生まない 平穏な人生(みち)を歩め そう繰り返し 繰り返し 教えてくれたね だけど 守れなくて ごめんね それでも これだけは 絶対に誓うよ 貴方みたいな人を二度と作らない だから 見守ってて ただ 見守っていて 私のことも アリエスのことも ただ 見守っていて 「ひゅ〜。 ガラスみたいに、透明でキレーだわ、お姫さんの声。」 「ありがと。」 ディスティアは、そう暦の上では春のまだ冷たい空気の中に歌を解け込ませた。 それに、クレセントは、素直な賞賛を拍手とともに渡す。 「なぁ、お嬢ちゃんは立ち上がれてる?」 「アリエス? う〜ん、復讐の方にココロを向かせているようだけど。」 「ふうん。 じゃ、《魔導師(マジスタ)ラビ》が、太陽の世界の方に向かせれるといいね。」 二人を結びつけたレイティスの養い子のアリエスのへのことになると、ディスティアは難しそうに首を傾げたが、クレセントの言葉に、思わず苦笑を漏らす。 「どうだろ。 ・ ・・・ねえ、ルージュ」 「ルーシュだってるだろ。」 「まあまあ。 なんか、食べてかない? 近くに、オススメの地中海料理屋が在るんだけど?」 「お、いいね。 俺がおごるよ?」 「私が、言い出しっぺだし・・・・」 「いいの。 一応、俺も男だし、年上だし。 お兄さんに任せなさいってもんだ。」 「じゃ、お願いしよっか。」 そう言って、二人が背を向けた『親愛なる 偉大な情報屋 レイティス=アイルテ が眠る』と刻まれた墓標は、かつての仲間達からの花であふれていた。 その様は、生前のレイティスのあの微笑みを思い起こさせた。 @@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@ 時間軸的には、『貴方への哀傷歌 +Does Aries permit me?+』のすぐあとですね。 ルシルさんの言葉に、促されたディスティアが、墓地に来て佇んでいるところに、知己が来た。という感じ。 珍しく、続編的な短編です。 如何でしたでしょうか? ちなみにですが、途中のディス嬢の歌の歌詞は歌えるようにしてあります。 どうでもいい補足ですが。 それでは、また次回か何処かで。 |
17805 | 遅れた理由は本文中にて。 | 羅城 朱琉 | 2006/7/21 14:00:12 |
記事番号17790へのコメント 朱琉:こんにちは。ものすごく遅くなりましたが、レス参ります。 > > > > >立ち上がれてる、お嬢ちゃん?+過去の人への鎮魂歌+ > > > > >「よう、《リンデン》。 > 素敵に無邪気に、死んでねーようで、俺も安心したよ。」 >本編の時間より、約三ヶ月前。 >二月の十四日。 >レイティス=アイルテの三年目の命日。 >その日の旅宮市のイライアス=ヴィドルの住む一軒家に、一人の来訪者があった。 >『彼』は、染めたような不自然な空みたいに明るめの青の髪を首筋とつむじの方でバレッタのようなものでまとめ、シルエットがパイナップルのような髪型と菫色の青紫系のくりくりとした瞳。 >身長は、今のイライアスと同じぐらいの180センチ半ばであるが、イライアスとは違い、中性的な体躯だ。 >そんな『彼』は、濃い灰色の袖口が広いジャケットとアーミーカラーのTシャツと冬には、少々寒くないのか?と聞きたくなるような服装だ。 >「ええ・・・久しぶりですね。 > 《アーチャー》?」 >「そーそー。 > 丸1年ぶりか? > いちおー、去年の墓参りは、一緒に行ったしな。」 >「相変わらずですね。 > ・ ・・・・それでも、久しぶりに会えて嬉しいので、死にますね。」 >と、何時もの挨拶とでも言う風に、咽喉に隠し持っていたコルトー小さな隠し銃をくわえ、引き金を引こうとしたが、『彼』は、強引に力だけで、銃口を天井に向ける。 >その弾みで、一発分は、天井に模様を作った。 >「・・・痛いですよ、クレセント。」 >「クレスでいいって言うのに。 > ・ ・・・・そんなに、死にたいなら、殺そっか?」 >「・・・・・前も言いましたが、私は殺されたいのではなく、自殺をしたいのですよ?」 >「いい声で、悦(な)きそうだから・・・・なのにね、殺したいのはさ。」 >「・・・・・本当に、相変わらずですね。 > 何のようですか、クレセント。」 >イライアスは、陰鬱な表情のまま、呆れたようなため息を吐き、クレセントと呼んだ彼に尋ねる。 >「墓参りのお誘い 。 > レイティスの。 > 俺が、いつか殺すつもりだったのにさ、死んじまったもん。 > 墓参りぐらい毎年したいじゃん。」 >「・・・・残念です、今日これから、情報の受け渡しで、横浜まで行かなくてはいけないんですよ。」 >「え〜、墓参り行けないんだ。」 >「・・・失望させてしまったようなので、死んでお詫びします。」 >クレセントの残念そうな声に、イライアスはすぐに、おそらく死んでもおかしくないほど電撃がバチバチしてるスタンガンを首筋に当てようとする。 >それを手慣れた手つきで、腕を止めるクレセント。 >「だから、死にてえなら、殺してやるって、言ってんだろ。」 >「・・・・しつこいようですが、私は自殺をしたいのです。」 >「ちぇ、お前なら、解体したらいい声で悦きそうなのにな。 > ・ ・・殺して欲しければ、いつでも言えよ。 > お前ならいの一番に、殺しに言ってやるよ。」 >「・・・・はいはい。 > ああ、そう言えば、今年はディスティアも、今頃墓地にいますよ。」 >「へえ、あのお姫さん。 > ・ ・・あんがと、今度ゆっくり飲もうぜ。」 >「お忘れのようですが、私は、未成年ですよ?」 >「・・・ベイリーズに目がないくせに。」 >少々歪んでいるけれど、彼らは、確かに『仲間』だった。 >レイティス=アイルテが結んだ『仲間』。 朱琉:・・・・・・・・最初に思った感想が、『うわ、ヤバ・・・・・・・・(冷汗)』でした。 アミイ:しばらくレスできなかった原因って、これでしょ?特に、『解体したらいい声で悦きそうなのに』の一言。 朱琉:いえす。・・・・・・・・ちょっと、タイミング悪くて・・・・解剖実習の真っ最中だったので・・・・・・・・。しばらく立ち直れなくて・・・・。 アミイ:生、思いっきり想像しちゃったわけね。 朱琉:(肯定中) > > > > > >時乃市の市営墓地。 >―のはずれの丘の上の墓地の一つの前に、青く輝く銀髪の女性が、黒のワンピース・・・装飾とウィンプルを外した尼僧服で、佇んでいた。 >クレセントは、思わず目を見張った。 >イライアスに、ああ言われたけれど、まさか本当に来ているとは思ってもいなかったのだ。 >「・・・・ルージュか。」 >「クレセント=ルーシュだって、何遍言ったら分かんの? > 殺そっか?」 >「相変わらず、《エータミレアム》みたいな、感じだね、ルージュ。」 >「キャハ、どうでもいいじゃんよ。 > ・ ・・・にしても珍しいねえ、お姫さんが、レイの祥月命日に来るなんてさ。 > 去年来なかったじゃんよ。」 >三年ぶりに直接言葉を交わすというのに、ブランクが無いような会話。 >牽制し合いつつも、なんか微笑ましい。 >でも、ナイフの刃を直接握るような雰囲気も、クレセントにとっても、ディスティアにとっても懐かしい雰囲気。 >「やっと、アリエスに話す覚悟が付いてね。 > ・ ・・・第二次《チャイルドクラン》潰しの覚悟もね。」 >「へぇ、お祭りか。 > くぅ、二年ぶりか〜。 >・ ・・アニーとジルも、喜びそうだな。」 >「へえ、《エンシェント・エルフ》と《ダークツール》の二人とつるんでたんだ。」 >「そう、相変わらず、アルシェンナは魔法使い見てえだし、ジオルグは相変わらず、どっちも強いしよ。 > ・ ・・で、誰に説得されたんだ? > やっぱ、《使鬼札ノ姫》のエイレン?」 >「うんにゃ、イルミナさんとこの居候さん。」 >「へえ、あの俺の本気の一撃を受けても死ななかったあのイルミナの?」 >内容は、剣呑で穏やかじゃないのに、雰囲気は、『告白するわ』とかいう女子高生と昔なじみの大学生のお兄さんのような感じだ。 >「・・・なあ、ディスティア。 > 歌、歌えよ。 > 三年ぶりに会えたし、レイティスの鎮魂歌代わりに。」 >「そうだね、何がいい?」 >「優しくて、切なくて,ほろ苦哀しいの。」 >「・・・了解。」 > > > 月の世界で > > 日の光を望めない > > そんな世界で > > 太陽のような温もりだった > > 貴方・・・貴方はもういないけれど > > 生きてた頃によく口にしてたよね > > 復讐は何も生まない > > 平穏な人生(みち)を歩め > > そう繰り返し 繰り返し > > 教えてくれたね > > だけど 守れなくて ごめんね > > それでも これだけは > > 絶対に誓うよ > > 貴方みたいな人を二度と作らない > > だから 見守ってて > > ただ 見守っていて > > 私のことも > > アリエスのことも > > ただ 見守っていて > > >「ひゅ〜。 > ガラスみたいに、透明でキレーだわ、お姫さんの声。」 >「ありがと。」 >ディスティアは、そう暦の上では春のまだ冷たい空気の中に歌を解け込ませた。 >それに、クレセントは、素直な賞賛を拍手とともに渡す。 >「なぁ、お嬢ちゃんは立ち上がれてる?」 >「アリエス? > う〜ん、復讐の方にココロを向かせているようだけど。」 >「ふうん。 > じゃ、《魔導師(マジスタ)ラビ》が、太陽の世界の方に向かせれるといいね。」 >二人を結びつけたレイティスの養い子のアリエスのへのことになると、ディスティアは難しそうに首を傾げたが、クレセントの言葉に、思わず苦笑を漏らす。 >「どうだろ。 > ・ ・・・ねえ、ルージュ」 >「ルーシュだってるだろ。」 >「まあまあ。 > なんか、食べてかない? > 近くに、オススメの地中海料理屋が在るんだけど?」 >「お、いいね。 > 俺がおごるよ?」 >「私が、言い出しっぺだし・・・・」 >「いいの。 > 一応、俺も男だし、年上だし。 > お兄さんに任せなさいってもんだ。」 >「じゃ、お願いしよっか。」 >そう言って、二人が背を向けた『親愛なる 偉大な情報屋 レイティス=アイルテ が眠る』と刻まれた墓標は、かつての仲間達からの花であふれていた。 >その様は、生前のレイティスのあの微笑みを思い起こさせた。 朱琉:ディス嬢の歌&最後の2行で、かなり涙が出てきました。 アミイ:悲しいけど、そこまで慕われていたレイティス君・・・・『幸せ』だったのかしらね? 朱琉:そうであったと、信じたいです。 > > > > >@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@ > >時間軸的には、『貴方への哀傷歌 +Does Aries permit me?+』のすぐあとですね。 >ルシルさんの言葉に、促されたディスティアが、墓地に来て佇んでいるところに、知己が来た。という感じ。 > >珍しく、続編的な短編です。 >如何でしたでしょうか? > >ちなみにですが、途中のディス嬢の歌の歌詞は歌えるようにしてあります。 >どうでもいい補足ですが。 > > >それでは、また次回か何処かで。 朱琉:すみません、本気で遅くなりました。 アミイ:本当に。・・・・まあ、現実と思考をうまく切り離せなかった朱琉が未熟なんだけど。 朱琉:・・・・・・・・。では、今回はこの辺で。 二人:では、また! |
17808 | ・・・すみません、昔からこの人はこうなんです。 | 十叶 夕海 | 2006/7/22 20:11:47 |
記事番号17805へのコメント > >朱琉:こんにちは。ものすごく遅くなりましたが、レス参ります。 ユア;こんにちは、ありがとうございます。レス行きます。 > >> >> >> >> >>立ち上がれてる、お嬢ちゃん?+過去の人への鎮魂歌+ >> >> >> >> >>「よう、《リンデン》。 >> 素敵に無邪気に、死んでねーようで、俺も安心したよ。」 >>本編の時間より、約三ヶ月前。 >>二月の十四日。 >>レイティス=アイルテの三年目の命日。 >>その日の旅宮市のイライアス=ヴィドルの住む一軒家に、一人の来訪者があった。 >>『彼』は、染めたような不自然な空みたいに明るめの青の髪を首筋とつむじの方でバレッタのようなものでまとめ、シルエットがパイナップルのような髪型と菫色の青紫系のくりくりとした瞳。 >>身長は、今のイライアスと同じぐらいの180センチ半ばであるが、イライアスとは違い、中性的な体躯だ。 >>そんな『彼』は、濃い灰色の袖口が広いジャケットとアーミーカラーのTシャツと冬には、少々寒くないのか?と聞きたくなるような服装だ。 >>「ええ・・・久しぶりですね。 >> 《アーチャー》?」 >>「そーそー。 >> 丸1年ぶりか? >> いちおー、去年の墓参りは、一緒に行ったしな。」 >>「相変わらずですね。 >> ・ ・・・・それでも、久しぶりに会えて嬉しいので、死にますね。」 >>と、何時もの挨拶とでも言う風に、咽喉に隠し持っていたコルトー小さな隠し銃をくわえ、引き金を引こうとしたが、『彼』は、強引に力だけで、銃口を天井に向ける。 >>その弾みで、一発分は、天井に模様を作った。 >>「・・・痛いですよ、クレセント。」 >>「クレスでいいって言うのに。 >> ・ ・・・・そんなに、死にたいなら、殺そっか?」 >>「・・・・・前も言いましたが、私は殺されたいのではなく、自殺をしたいのですよ?」 >>「いい声で、悦(な)きそうだから・・・・なのにね、殺したいのはさ。」 >>「・・・・・本当に、相変わらずですね。 >> 何のようですか、クレセント。」 >>イライアスは、陰鬱な表情のまま、呆れたようなため息を吐き、クレセントと呼んだ彼に尋ねる。 >>「墓参りのお誘い 。 >> レイティスの。 >> 俺が、いつか殺すつもりだったのにさ、死んじまったもん。 >> 墓参りぐらい毎年したいじゃん。」 >>「・・・・残念です、今日これから、情報の受け渡しで、横浜まで行かなくてはいけないんですよ。」 >>「え〜、墓参り行けないんだ。」 >>「・・・失望させてしまったようなので、死んでお詫びします。」 >>クレセントの残念そうな声に、イライアスはすぐに、おそらく死んでもおかしくないほど電撃がバチバチしてるスタンガンを首筋に当てようとする。 >>それを手慣れた手つきで、腕を止めるクレセント。 >>「だから、死にてえなら、殺してやるって、言ってんだろ。」 >>「・・・・しつこいようですが、私は自殺をしたいのです。」 >>「ちぇ、お前なら、解体したらいい声で悦きそうなのにな。 >> ・ ・・殺して欲しければ、いつでも言えよ。 >> お前ならいの一番に、殺しに言ってやるよ。」 >>「・・・・はいはい。 >> ああ、そう言えば、今年はディスティアも、今頃墓地にいますよ。」 >>「へえ、あのお姫さん。 >> ・ ・・あんがと、今度ゆっくり飲もうぜ。」 >>「お忘れのようですが、私は、未成年ですよ?」 >>「・・・ベイリーズに目がないくせに。」 >>少々歪んでいるけれど、彼らは、確かに『仲間』だった。 >>レイティス=アイルテが結んだ『仲間』。 >朱琉:・・・・・・・・最初に思った感想が、『うわ、ヤバ・・・・・・・・(冷汗)』でした。 >アミイ:しばらくレスできなかった原因って、これでしょ?特に、『解体したらいい声で悦きそうなのに』の一言。 >朱琉:いえす。・・・・・・・・ちょっと、タイミング悪くて・・・・解剖実習の真っ最中だったので・・・・・・・・。しばらく立ち直れなくて・・・・。 >アミイ:生、思いっきり想像しちゃったわけね。 >朱琉:(肯定中) ユア:・・・・・・いろいろとスミマセン。 久遠;あらあら、タイミングいろいろと悪かったのね。 ユア;・・・・・・・・・・・・本気にすみませんです。 > >> >> >> >> >> >>時乃市の市営墓地。 >>―のはずれの丘の上の墓地の一つの前に、青く輝く銀髪の女性が、黒のワンピース・・・装飾とウィンプルを外した尼僧服で、佇んでいた。 >>クレセントは、思わず目を見張った。 >>イライアスに、ああ言われたけれど、まさか本当に来ているとは思ってもいなかったのだ。 >>「・・・・ルージュか。」 >>「クレセント=ルーシュだって、何遍言ったら分かんの? >> 殺そっか?」 >>「相変わらず、《エータミレアム》みたいな、感じだね、ルージュ。」 >>「キャハ、どうでもいいじゃんよ。 >> ・ ・・・にしても珍しいねえ、お姫さんが、レイの祥月命日に来るなんてさ。 >> 去年来なかったじゃんよ。」 >>三年ぶりに直接言葉を交わすというのに、ブランクが無いような会話。 >>牽制し合いつつも、なんか微笑ましい。 >>でも、ナイフの刃を直接握るような雰囲気も、クレセントにとっても、ディスティアにとっても懐かしい雰囲気。 >>「やっと、アリエスに話す覚悟が付いてね。 >> ・ ・・・第二次《チャイルドクラン》潰しの覚悟もね。」 >>「へぇ、お祭りか。 >> くぅ、二年ぶりか〜。 >>・ ・・アニーとジルも、喜びそうだな。」 >>「へえ、《エンシェント・エルフ》と《ダークツール》の二人とつるんでたんだ。」 >>「そう、相変わらず、アルシェンナは魔法使い見てえだし、ジオルグは相変わらず、どっちも強いしよ。 >> ・ ・・で、誰に説得されたんだ? >> やっぱ、《使鬼札ノ姫》のエイレン?」 >>「うんにゃ、イルミナさんとこの居候さん。」 >>「へえ、あの俺の本気の一撃を受けても死ななかったあのイルミナの?」 >>内容は、剣呑で穏やかじゃないのに、雰囲気は、『告白するわ』とかいう女子高生と昔なじみの大学生のお兄さんのような感じだ。 >>「・・・なあ、ディスティア。 >> 歌、歌えよ。 >> 三年ぶりに会えたし、レイティスの鎮魂歌代わりに。」 >>「そうだね、何がいい?」 >>「優しくて、切なくて,ほろ苦哀しいの。」 >>「・・・了解。」 >> >> >> 月の世界で >> >> 日の光を望めない >> >> そんな世界で >> >> 太陽のような温もりだった >> >> 貴方・・・貴方はもういないけれど >> >> 生きてた頃によく口にしてたよね >> >> 復讐は何も生まない >> >> 平穏な人生(みち)を歩め >> >> そう繰り返し 繰り返し >> >> 教えてくれたね >> >> だけど 守れなくて ごめんね >> >> それでも これだけは >> >> 絶対に誓うよ >> >> 貴方みたいな人を二度と作らない >> >> だから 見守ってて >> >> ただ 見守っていて >> >> 私のことも >> >> アリエスのことも >> >> ただ 見守っていて >> >> >>「ひゅ〜。 >> ガラスみたいに、透明でキレーだわ、お姫さんの声。」 >>「ありがと。」 >>ディスティアは、そう暦の上では春のまだ冷たい空気の中に歌を解け込ませた。 >>それに、クレセントは、素直な賞賛を拍手とともに渡す。 >>「なぁ、お嬢ちゃんは立ち上がれてる?」 >>「アリエス? >> う〜ん、復讐の方にココロを向かせているようだけど。」 >>「ふうん。 >> じゃ、《魔導師(マジスタ)ラビ》が、太陽の世界の方に向かせれるといいね。」 >>二人を結びつけたレイティスの養い子のアリエスのへのことになると、ディスティアは難しそうに首を傾げたが、クレセントの言葉に、思わず苦笑を漏らす。 >>「どうだろ。 >> ・ ・・・ねえ、ルージュ」 >>「ルーシュだってるだろ。」 >>「まあまあ。 >> なんか、食べてかない? >> 近くに、オススメの地中海料理屋が在るんだけど?」 >>「お、いいね。 >> 俺がおごるよ?」 >>「私が、言い出しっぺだし・・・・」 >>「いいの。 >> 一応、俺も男だし、年上だし。 >> お兄さんに任せなさいってもんだ。」 >>「じゃ、お願いしよっか。」 >>そう言って、二人が背を向けた『親愛なる 偉大な情報屋 レイティス=アイルテ が眠る』と刻まれた墓標は、かつての仲間達からの花であふれていた。 >>その様は、生前のレイティスのあの微笑みを思い起こさせた。 >朱琉:ディス嬢の歌&最後の2行で、かなり涙が出てきました。 >アミイ:悲しいけど、そこまで慕われていたレイティス君・・・・『幸せ』だったのかしらね? >朱琉:そうであったと、信じたいです。 ユア;・・・ありがとうございます。 久遠;そうよ、きっと幸せだったわ。 ユア;少なくとも、忘れないでいてくれる人がこれだけいれば、生前が・・・・幸せだったと思います。 > >> >> >> >> >>@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@ >> >>時間軸的には、『貴方への哀傷歌 +Does Aries permit me?+』のすぐあとですね。 >>ルシルさんの言葉に、促されたディスティアが、墓地に来て佇んでいるところに、知己が来た。という感じ。 >> >>珍しく、続編的な短編です。 >>如何でしたでしょうか? >> >>ちなみにですが、途中のディス嬢の歌の歌詞は歌えるようにしてあります。 >>どうでもいい補足ですが。 >> >> >>それでは、また次回か何処かで。 >朱琉:すみません、本気で遅くなりました。 >アミイ:本当に。・・・・まあ、現実と思考をうまく切り離せなかった朱琉が未熟なんだけど。 >朱琉:・・・・・・・・。では、今回はこの辺で。 >二人:では、また! > > ユア;一応、事情は了解しました。 久遠;でも、クレスちゃんは、こういう感じなんでしょう、これからも。 ユア;それでは、また。 |