◆−家族の写真 ACT54 5月15日 ―前日・B 穏やかな三人と複雑な女豹ー−十叶 夕海 (2006/9/10 16:37:36) No.17834
 ┣裏の世界は、皆どこか悲しい。−羅城 朱琉 (2006/9/11 15:32:40) No.17835
 ┃┗それでも、叶えたいことがあるから留まっている。−十叶 夕海 (2006/9/11 21:02:52) No.17836
 ┣家族の写真 ACT55 5月15日 ―前日・C 《風舞姫》の受難と夜の者達の会話−十叶 夕海 (2006/9/11 22:08:14) No.17837
 ┣家族の写真 ACT56 五月十五日 ―当日/定時前のデキゴトー−十叶 夕海 (2006/9/17 23:57:38) No.17840
 ┃┗2話分纏めて参ります−羅城 朱琉 (2006/9/19 17:27:42) No.17841
 ┃ ┗ありがとうございます。−十叶 夕海 (2006/9/19 21:53:11) No.17843
 ┣家族の写真 ACT57 五月十五日 ―当日/失ウコト恐レルモノー−十叶 夕海 (2006/9/21 23:52:20) No.17845
 ┣家族の写真 ACT58 五月十五日 ―当日/ソレゾレノ理由@―−十叶 夕海 (2006/10/2 14:53:12) No.17851
 ┃┗すみません、また2話分纏めてになってしまいました。−羅城 朱琉 (2006/10/2 17:09:05) No.17853
 ┃ ┗いえいえ、そう言う時期もあります。−十叶 夕海 (2006/10/2 22:01:25) No.17857
 ┣家族の写真 ACT59 五月十五日 ―当日/迎撃 SIDE:電脳空間@―−十叶 夕海 (2006/10/4 00:41:02) No.17858
 ┃┗久々の対談レスにつき、羅城朱琉暴走中。−羅城 朱琉 (2006/10/6 08:37:42) No.17861
 ┃ ┗次回は、作者が暴走してます。−十叶 夕海 (2006/10/7 08:58:31) No.17862
 ┣家族の写真 ACT60 五月十五日 ―当日/ソレゾレノ理由A―−十叶 夕海 (2006/10/7 14:55:47) No.17863
 ┃┗らぶだ・・・・ラブのオーラが出ている・・・・−羅城 朱琉 (2006/10/11 08:35:43) No.17864
 ┃ ┗一途なんですよね、善くも悪くも。−十叶 夕海 (2006/10/11 21:30:32) No.17865
 ┣家族の写真 ACT61 五月十五日 ―当日/迎撃 Side:現実ー−十叶 夕海 (2006/10/11 23:06:53) No.17866
 ┃┗痛・・・・。−羅城 朱琉 (2006/10/13 08:30:57) No.17867
 ┃ ┗『結果』のための『過程』なのに、痛い。−十叶 夕海 (2006/10/14 19:26:27) No.17868
 ┣家族の写真 ACT62 五月十五日 ―当日/迎撃 SIDE:電脳空間A―−十叶 夕海 (2006/10/15 21:39:12) No.17869
 ┃┗暴走・・・・もとい、語り注意報発令中−羅城 朱琉 (2006/10/16 08:46:12) No.17871
 ┃ ┗こちらも、語ってます。−十叶 夕海 (2006/10/16 14:38:33) No.17872
 ┣家族の写真 ACT63 五月十五日 ー当日/話セヌコトもあるー−十叶 夕海 (2006/10/16 21:11:46) No.17873
 ┃┗遅れました・・・・。−羅城 朱琉 (2006/10/20 08:27:53) No.17878
 ┃ ┗ありがとうございます。−十叶 夕海 (2006/10/22 13:35:21) No.17882
 ┣家族の写真 ACT64 五月十五日 ―当日/迎撃 Side:現実Aー−十叶 夕海 (2006/10/22 21:08:30) No.17883
 ┃┗短縮御免。その2−羅城 朱琉 (2006/11/6 08:29:45) No.17887
 ┃ ┗嬉しいですよ。−十叶 夕海 (2006/11/6 22:01:23) No.17895
 ┗家族の写真 ACT65 五月十五日 ―当日/ソレゾレノ理由Bー−十叶 夕海 (2006/11/7 00:29:15) No.17896
  ┗その姿は凛として、そしてどこか切なく。−羅城 朱琉 (2006/11/16 08:43:40) No.17900
   ┗だからこそ、輝き美しい?−十叶 夕海 (2006/11/16 19:59:28) No.17901


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17834家族の写真 ACT54 5月15日 ―前日・B 穏やかな三人と複雑な女豹ー十叶 夕海 2006/9/10 16:37:36


     



時乃市某所・《デザートローズ》―。
昼少し前であったが、今日の夜半に行われるイベントー『法事』のせいか、いつもよりも、暴走族《シルフィーダンサー連合》の面々が多い。
その中で、一番奥に陣取っているのが、黒髪のイライアスと赤紫髪の久遠。
カウンタを挟んで、エイレン。
「エイレンさんは、明日行くのですか?」
「ええ、もちろん。
 《お伽噺で語られえぬ関係者》の《凍れる樹姫》と《鮮血微笑の退魔師》の二人が出るんじゃ、《影の語り部》の私が出ない訳いかないしね。」
「そうなのよねぇ。
 エイレンちゃんが、本当の意味での正伝・・・主観を交えないお伽噺を語れる人物だものね。」
「お伽噺も、いろいろなパターンが在りますけど。
 ・・・本当のお伽噺で、ディスティアは、傷つくことは無いですか?」
「・・・・・・お母さんって何人に言われてるんだろうね、ディスティア。
 まだ、二十歳にしかなっていないのに。」
イライアスの質問に、エイレンはそう洩らした。
その後、気を取り直して、こう答える。
「どうだろう。
 私の価値観だったら、傷つかないことでも、ディスティアの価値観では傷付くかもしれない。」
「・・・・ディスティアは、いろいろなことを背負いすぎてます。
 だから、無理はしないで欲しいんですよ。」
・・・・というイライアスとエイレンのドシリアスな会話の横で、久遠と新人暴走族Aは、こんな会話を。
「何の会話してるんっすか?」
「暴走族よりも、もっとディープでデンジャラス。
 生半可な覚悟じゃ、殺人鬼か廃人になるような世界だからねぇ。」
にまりと、普段はしないような壮絶な微笑みで、新人暴走族Aに忠告というか、穏やかな脅迫をする。
それのせいで、昨今少ない暴走族になる少年は、この数日中に、脱退届を出す。
久遠が原因だったので、リンチは無かったのである。
これは、また別のお話しになる。
「久遠。
 新人を脅かすなよ、客が減る。」
「そう言う問題なの、エイレンちゃん?」
「そう言う問題だ。
 喧嘩での清掃代とか修理代をああまで壊されて、請求だけしないだけ、マシだと思え。」
「・・・そんなに酷いんですか?」
「そりゃな。
 月一回は、喧嘩して大けがして、運び込まれれば、ソファだとかが血塗れになるから。
 裏の知り合いに手を回したりすれば、そこそこかかるわ。
 月一回二回は、《鴉火炉無》が、火炎瓶投げ込んだりするわ。
 百万じゃ,足りない程度には損害受けてるんだ。
 連合のれん中の飲食代ぐらい、きっちりもらっても、いいだろうが。」
あまりの損害?に、エイレンは、普段の穏やかな男言葉から、少々粗い男言葉になってしまっている。
イライアスは、そういうエイレンを初めて見たのか、眼を丸くして、氷像と化していた.。
「エイレンちゃん、エイレンちゃん。
 イライアちゃん、固まってるわよ。」
「・・・おや、すまない。
 話は変わるが、イライアスは、明日行くのか?」
「行きますよ。
 ・・・《チャイルドクラン》は、潰したいですから。」
「・・・・・・家族の仇だからか?」
「・・・・・・・・・おごかましいかもしれないですけど。」
イライアスのいつもの陰気さの欠片も見れないような決意に・・・哀しすぎる決意にエイレンは、幼子にするようにイライアスの頭に手を置き、自分の胸に抱き寄せた。
「ガキが、親の敵討ちたいとか思うは当たり前だ。
 こっちを・・・裏社会を選ばせるような真似したのは、私達の落ち度だからね。」
「・・・・・エイレンさんは、悪くないです。
 迷惑を掛けた家族に出来ることはこれしか無いからですよ。」
「あーもう、エイレンちゃんも、イライアちゃんも、暗くなんない。
 《チャイルドクラン》潰して、裏稼業の少し危ないけど、退屈な日々を取り戻す。
 それでいいでしょう?」
暗いシリアスになった二人の雰囲気を振り払うかのように、久遠は明るくそう言う。
これが、この三人のあの日の前日のひととき。
裏稼業に深く深く関わったが故に、ほのぼのとしていながらも、少し寂しい。













《デザートローズ》で、三人が、そんな会話をし始める少し前。
日本時間で、朝の十時過ぎだろうか。
上海か、香港。
そんな、西洋と東洋が、混じり合って同居しているそんな街。
だからからか、西洋風の白いマンションも、不思議調和している。
その最上階から数えて、四階目・・・十三階に、その女性は居た。
シャワーでも浴びているのだろうか、バスルームから、水音がする。
しばらくして、純白のバスローブで出て来たのは、妙齢の女性。
バスローブと対照的に、女性の肌は、コーヒーブラウンの褐色、黒い髪はシャギーを入れたボブカット、瞳は目尻の釣り上がったチョコレート色の瞳は大きく、つんと上を向いた鼻と小さなサクランボの唇とバランスが悪いはずなのに、見る人に美人だと思わせる容貌だ。
エキゾチックでクールそうな表情と細身のその身体のしなやかな動きは、黒猫か黒豹を思わせる。
女性にしては高く・・・・ディスティアとそう変わらない身長の女性。
『ライラ、もしも、私が死んだら、この世界から抜けてください。』
『愛しています、ライラ。
 死なないでください、私も死にませんから.』
そんな声が、女性の頭をよぎるが、彼女はそのまま、冷蔵庫から、缶ビールを出す。
それを一口、飲む。
「明日だっけね、ディスの会合。
 早く行って、ジャッポーネ料理を食べるのもいいかな。」
そう一人呟く女性の名前は、ライラ=リー=ソロミネス。
《シルフィーダンサー連合》三代目親衛隊の一人で、裏稼業で、《電脳の悪魔王(ルシュファード)》と呼ばれる ファルト=ソロミネスと同じファミリーネーム。
「どうしたらいいんだろうね、ベル。
 貴方の身内を殺すべきなのかな、私はレイティスのことが好きだった。
 それの仇も取りたい。
 ・・・・・本当にどうすればいいんだろうか。
 ・・・解んない、わかりたくもないよ、ベル。」
彼女が、泣き出すかと思われたその直後。
はじけるような電話の音。
ディスプレイは、『非通知』
ライラは出る。
相手を予測しながら。
『もしもし、ライラ義姉さん?』
「ファルトか?」
『・・・怖いですよ、可愛い義弟なんですから、もう少し愛想よく出来ません?』
「出来るか・・・・ベルを・・・ベルフェゴールを自分の兄を殺したのはお前だ。」
慟哭する代わりに、ほとんど怒鳴るように、ファルトにそう突きつけるライラ。
その彼女の声を聞いても、ファルトの冷静そうな声は変わらない。
『・・・・・私は、貴女がライラさんが欲しいんです。
 だから、兄を殺した。
 貴女を手に入れたいだけなんです。』
「私が欲しいからですって?
 ディスティアを裏切るのも?
 あの子は信じてるわよ。
 親衛隊が、多少文句を言っていても、自分を慕っているのを知っているわ。
 それにさえ、裏切られたら、ディスティアは壊れるわ。」
『それが、望むのはそれなんです。
 ディスティアさんが、壊れれば、あの術の成功率は、彼女の意志が無くても、上がりま・・』
ファルトの言葉を断ち切るかのように、ライラは、こう叩き付けるかのようにいう。
しかし、それはまるで、懺悔をしているという方が、しっくり来た。
「昔のあんたの方が、よっぽど魅力的だったわ。
 能天気で、馬鹿で、犬みたいに私達を慕っていたあの頃のあんたの方が、よっぽど男としてみれたわ。
 今の優男で、その実冷たい・・・・ベルの真似をしているお前は、大嫌いだ。
 お前は、敵だ。
 ・・・次に、現実に会ったときは、殺す。」
『解りました。
 それでは、運命の十一月に会いましょう。』
そう言ったきり、ファルトからの電話は切れる。
崩れ落ちるライラ。
憎んでも憎みきれない義弟。
自分の思考に、嫌になりかけた時。
「・・・・大丈夫でございますか?」
「・・・・・・・・リュウだっけ、ディスティアの使い魔の。」
日常的に来ている神楽巫女風の衣装ではなく、五月色の着物であったが、確かにディスティアがつかう風魔の三人目で長女のリュウであった。
「はい、覚えていただけていたようで。
 大丈夫でありますか、後五十分ほどで、家を出られる規定時刻ですが。
 ディスティア様の指定された飛行機に乗られないのならば、変更いたしましょうか?」
この過剰までの敬語、愛想良く抑揚ありありで、話されればそれなりに好感はあるだろうが、リュウは、がちがちの抑揚なしの機械的というか事務的な感じな口調である。
ライラにしてみれば、五年前から三年前のあの間に慣れてしまったことであるが。
「わかったわ。
 ディスティアは元気?」
「はい、とても、元気にしております。」
「・・・・・精神的にも?」
ライラの質問に、リュウは、しばしの沈黙の後にこうあっけらかんと答える。
「わかりません。
 私は、強いディスティア様しか存じません。
 ディスティア様は、私にも、リュア兄様にも弱みは見せません。」
「・・・・悪い、あんたたちにしちゃ行けない類いの質問だったね。
 私は勝手に行くから、夜のあの二人の準備でもしてなよ。」
「・・・・・・・お言葉に甘えさせていただきます。」
ライラが気をきかせてくれたことを・・・・自分の精神状態もあまり安定していないのに・・・・気付いていながら、リュウは、異界にさった。
「さて、行くかな。
 時間も無いしね。」
ライラは、そう一人呟くと、十五分後、マンションを後にした。









@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@


どこが、序章終わったんでしょうね・・・と泣きたいユアです。
一応、暴走族の面々も、対《チャイルドクラン》に巻き込みたいが故の伏線でもありますが。
いろいろと、気になる名前も出てますね。
次回は、ヴァリード一家の夕食風景とエイレンが言っていたあの二人の会話です。

それでは、次回に。

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17835裏の世界は、皆どこか悲しい。羅城 朱琉 2006/9/11 15:32:40
記事番号17834へのコメント


朱琉:こんにちは。4限の授業がなかったのでレスできました。羅城 朱琉です。
アミイ:つい数分前まで、バスの中で戦国時代話で盛り上がってたけど・・・・そのテンション引きずらないように気をつけてレスしなさいよ。
朱琉:気をつけますです。では、早速レスに参ります。

>     
>
>
>
>時乃市某所・《デザートローズ》―。
>昼少し前であったが、今日の夜半に行われるイベントー『法事』のせいか、いつもよりも、暴走族《シルフィーダンサー連合》の面々が多い。
>その中で、一番奥に陣取っているのが、黒髪のイライアスと赤紫髪の久遠。
>カウンタを挟んで、エイレン。
>「エイレンさんは、明日行くのですか?」
>「ええ、もちろん。
> 《お伽噺で語られえぬ関係者》の《凍れる樹姫》と《鮮血微笑の退魔師》の二人が出るんじゃ、《影の語り部》の私が出ない訳いかないしね。」
>「そうなのよねぇ。
> エイレンちゃんが、本当の意味での正伝・・・主観を交えないお伽噺を語れる人物だものね。」
>「お伽噺も、いろいろなパターンが在りますけど。
> ・・・本当のお伽噺で、ディスティアは、傷つくことは無いですか?」
>「・・・・・・お母さんって何人に言われてるんだろうね、ディスティア。
> まだ、二十歳にしかなっていないのに。」
>イライアスの質問に、エイレンはそう洩らした。
アミイ:同感ね。
朱琉:でも、確かにディス嬢は『お母さん』的な雰囲気持ってますから。
アミイ:朱琉、『お母さん』呼ばれて嬉しいわけ?『今現在ディスティアちゃんと同い年の』朱琉?
朱琉:・・・・・・・・ぃゃ・・・・。

>その後、気を取り直して、こう答える。
>「どうだろう。
> 私の価値観だったら、傷つかないことでも、ディスティアの価値観では傷付くかもしれない。」
>「・・・・ディスティアは、いろいろなことを背負いすぎてます。
> だから、無理はしないで欲しいんですよ。」
朱琉:確かに、価値観は人それぞれ。傷つく傷つかないはその人しだいです。
アミイ:『万人に優しいお話』はないんですもの。つらいお話の果てには、幸せが待っていると良いわね。ねぇ?朱琉。
朱琉:そこで私に話を振らないで・・・・。

>・・・・というイライアスとエイレンのドシリアスな会話の横で、久遠と新人暴走族Aは、こんな会話を。
>「何の会話してるんっすか?」
>「暴走族よりも、もっとディープでデンジャラス。
> 生半可な覚悟じゃ、殺人鬼か廃人になるような世界だからねぇ。」
>にまりと、普段はしないような壮絶な微笑みで、新人暴走族Aに忠告というか、穏やかな脅迫をする。
>それのせいで、昨今少ない暴走族になる少年は、この数日中に、脱退届を出す。
>久遠が原因だったので、リンチは無かったのである。
>これは、また別のお話しになる。
アミイ:まあ、裏社会にいる人なんて、所詮皆どこか狂ってるのよ。いえ・・・・・・・・狂ってないと、とても居られない世界なのよ、かしら?

>「久遠。
> 新人を脅かすなよ、客が減る。」
>「そう言う問題なの、エイレンちゃん?」
>「そう言う問題だ。
> 喧嘩での清掃代とか修理代をああまで壊されて、請求だけしないだけ、マシだと思え。」
>「・・・そんなに酷いんですか?」
>「そりゃな。
> 月一回は、喧嘩して大けがして、運び込まれれば、ソファだとかが血塗れになるから。
> 裏の知り合いに手を回したりすれば、そこそこかかるわ。
> 月一回二回は、《鴉火炉無》が、火炎瓶投げ込んだりするわ。
> 百万じゃ,足りない程度には損害受けてるんだ。
> 連合のれん中の飲食代ぐらい、きっちりもらっても、いいだろうが。」
>あまりの損害?に、エイレンは、普段の穏やかな男言葉から、少々粗い男言葉になってしまっている。
>イライアスは、そういうエイレンを初めて見たのか、眼を丸くして、氷像と化していた.。
>「エイレンちゃん、エイレンちゃん。
> イライアちゃん、固まってるわよ。」
>「・・・おや、すまない。
> 話は変わるが、イライアスは、明日行くのか?」
>「行きますよ。
> ・・・《チャイルドクラン》は、潰したいですから。」
>「・・・・・・家族の仇だからか?」
>「・・・・・・・・・おごかましいかもしれないですけど。」
>イライアスのいつもの陰気さの欠片も見れないような決意に・・・哀しすぎる決意にエイレンは、幼子にするようにイライアスの頭に手を置き、自分の胸に抱き寄せた。
>「ガキが、親の敵討ちたいとか思うは当たり前だ。
> こっちを・・・裏社会を選ばせるような真似したのは、私達の落ち度だからね。」
>「・・・・・エイレンさんは、悪くないです。
> 迷惑を掛けた家族に出来ることはこれしか無いからですよ。」
>「あーもう、エイレンちゃんも、イライアちゃんも、暗くなんない。
> 《チャイルドクラン》潰して、裏稼業の少し危ないけど、退屈な日々を取り戻す。
> それでいいでしょう?」
>暗いシリアスになった二人の雰囲気を振り払うかのように、久遠は明るくそう言う。
>これが、この三人のあの日の前日のひととき。
>裏稼業に深く深く関わったが故に、ほのぼのとしていながらも、少し寂しい。
アミイ:悲しくて、寂しくて、どこか狂気を秘めていて・・・・。
朱琉:やっぱり、闇の漂う会話です。

>
>
>
>
>
>
>
>
>
>
>
>
>
>《デザートローズ》で、三人が、そんな会話をし始める少し前。
>日本時間で、朝の十時過ぎだろうか。
>上海か、香港。
>そんな、西洋と東洋が、混じり合って同居しているそんな街。
>だからからか、西洋風の白いマンションも、不思議調和している。
>その最上階から数えて、四階目・・・十三階に、その女性は居た。
>シャワーでも浴びているのだろうか、バスルームから、水音がする。
>しばらくして、純白のバスローブで出て来たのは、妙齢の女性。
>バスローブと対照的に、女性の肌は、コーヒーブラウンの褐色、黒い髪はシャギーを入れたボブカット、瞳は目尻の釣り上がったチョコレート色の瞳は大きく、つんと上を向いた鼻と小さなサクランボの唇とバランスが悪いはずなのに、見る人に美人だと思わせる容貌だ。
>エキゾチックでクールそうな表情と細身のその身体のしなやかな動きは、黒猫か黒豹を思わせる。
>女性にしては高く・・・・ディスティアとそう変わらない身長の女性。
>『ライラ、もしも、私が死んだら、この世界から抜けてください。』
>『愛しています、ライラ。
> 死なないでください、私も死にませんから.』
>そんな声が、女性の頭をよぎるが、彼女はそのまま、冷蔵庫から、缶ビールを出す。
>それを一口、飲む。
>「明日だっけね、ディスの会合。
> 早く行って、ジャッポーネ料理を食べるのもいいかな。」
>そう一人呟く女性の名前は、ライラ=リー=ソロミネス。
>《シルフィーダンサー連合》三代目親衛隊の一人で、裏稼業で、《電脳の悪魔王(ルシュファード)》と呼ばれる ファルト=ソロミネスと同じファミリーネーム。
>「どうしたらいいんだろうね、ベル。
> 貴方の身内を殺すべきなのかな、私はレイティスのことが好きだった。
> それの仇も取りたい。
> ・・・・・本当にどうすればいいんだろうか。
> ・・・解んない、わかりたくもないよ、ベル。」
>彼女が、泣き出すかと思われたその直後。
>はじけるような電話の音。
>ディスプレイは、『非通知』
>ライラは出る。
>相手を予測しながら。
>『もしもし、ライラ義姉さん?』
>「ファルトか?」
>『・・・怖いですよ、可愛い義弟なんですから、もう少し愛想よく出来ません?』
>「出来るか・・・・ベルを・・・ベルフェゴールを自分の兄を殺したのはお前だ。」
>慟哭する代わりに、ほとんど怒鳴るように、ファルトにそう突きつけるライラ。
>その彼女の声を聞いても、ファルトの冷静そうな声は変わらない。
>『・・・・・私は、貴女がライラさんが欲しいんです。
> だから、兄を殺した。
> 貴女を手に入れたいだけなんです。』
>「私が欲しいからですって?
> ディスティアを裏切るのも?
> あの子は信じてるわよ。
> 親衛隊が、多少文句を言っていても、自分を慕っているのを知っているわ。
> それにさえ、裏切られたら、ディスティアは壊れるわ。」
>『それが、望むのはそれなんです。
> ディスティアさんが、壊れれば、あの術の成功率は、彼女の意志が無くても、上がりま・・』
>ファルトの言葉を断ち切るかのように、ライラは、こう叩き付けるかのようにいう。
>しかし、それはまるで、懺悔をしているという方が、しっくり来た。
>「昔のあんたの方が、よっぽど魅力的だったわ。
> 能天気で、馬鹿で、犬みたいに私達を慕っていたあの頃のあんたの方が、よっぽど男としてみれたわ。
> 今の優男で、その実冷たい・・・・ベルの真似をしているお前は、大嫌いだ。
> お前は、敵だ。
> ・・・次に、現実に会ったときは、殺す。」
>『解りました。
> それでは、運命の十一月に会いましょう。』
>そう言ったきり、ファルトからの電話は切れる。
>崩れ落ちるライラ。
>憎んでも憎みきれない義弟。
>自分の思考に、嫌になりかけた時。
>「・・・・大丈夫でございますか?」
>「・・・・・・・・リュウだっけ、ディスティアの使い魔の。」
>日常的に来ている神楽巫女風の衣装ではなく、五月色の着物であったが、確かにディスティアがつかう風魔の三人目で長女のリュウであった。
>「はい、覚えていただけていたようで。
> 大丈夫でありますか、後五十分ほどで、家を出られる規定時刻ですが。
> ディスティア様の指定された飛行機に乗られないのならば、変更いたしましょうか?」
>この過剰までの敬語、愛想良く抑揚ありありで、話されればそれなりに好感はあるだろうが、リュウは、がちがちの抑揚なしの機械的というか事務的な感じな口調である。
>ライラにしてみれば、五年前から三年前のあの間に慣れてしまったことであるが。
>「わかったわ。
> ディスティアは元気?」
>「はい、とても、元気にしております。」
>「・・・・・精神的にも?」
>ライラの質問に、リュウは、しばしの沈黙の後にこうあっけらかんと答える。
>「わかりません。
> 私は、強いディスティア様しか存じません。
> ディスティア様は、私にも、リュア兄様にも弱みは見せません。」
>「・・・・悪い、あんたたちにしちゃ行けない類いの質問だったね。
> 私は勝手に行くから、夜のあの二人の準備でもしてなよ。」
>「・・・・・・・お言葉に甘えさせていただきます。」
>ライラが気をきかせてくれたことを・・・・自分の精神状態もあまり安定していないのに・・・・気付いていながら、リュウは、異界にさった。
>「さて、行くかな。
> 時間も無いしね。」
>ライラは、そう一人呟くと、十五分後、マンションを後にした。
朱琉:身内にも、敵はいるわけですか。
アミイ:そうだろうとは思ってたけど・・・・実際に聞くと、結構痛いわね。

>
>
>
>
>
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>
>どこが、序章終わったんでしょうね・・・と泣きたいユアです。
朱琉:えーと・・・・、《電脳の悪魔王(ルシュファード)》君の名前?
アミイ:間違い探しじゃないんだから(呆)

>一応、暴走族の面々も、対《チャイルドクラン》に巻き込みたいが故の伏線でもありますが。
>いろいろと、気になる名前も出てますね。
>次回は、ヴァリード一家の夕食風景とエイレンが言っていたあの二人の会話です。
>
>それでは、次回に。
朱琉:はい、では、また。
二人:また次回!


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17836それでも、叶えたいことがあるから留まっている。十叶 夕海 2006/9/11 21:02:52
記事番号17835へのコメント


>
>朱琉:こんにちは。4限の授業がなかったのでレスできました。羅城 朱琉です。
>アミイ:つい数分前まで、バスの中で戦国時代話で盛り上がってたけど・・・・そのテンション引きずらないように気をつけてレスしなさいよ。
>朱琉:気をつけますです。では、早速レスに参ります。

ユア;こんにちは。こちらは三限目の授業が無かったおかげで、結構お話が進んだユアです。
久遠;ま、暗めの話が多いようだけど。
ユア;半分は、家族の写真外伝ですが。
   返レス行きます。

>
>>     
>>
>>
>>
>>時乃市某所・《デザートローズ》―。
>>昼少し前であったが、今日の夜半に行われるイベントー『法事』のせいか、いつもよりも、暴走族《シルフィーダンサー連合》の面々が多い。
>>その中で、一番奥に陣取っているのが、黒髪のイライアスと赤紫髪の久遠。
>>カウンタを挟んで、エイレン。
>>「エイレンさんは、明日行くのですか?」
>>「ええ、もちろん。
>> 《お伽噺で語られえぬ関係者》の《凍れる樹姫》と《鮮血微笑の退魔師》の二人が出るんじゃ、《影の語り部》の私が出ない訳いかないしね。」
>>「そうなのよねぇ。
>> エイレンちゃんが、本当の意味での正伝・・・主観を交えないお伽噺を語れる人物だものね。」
>>「お伽噺も、いろいろなパターンが在りますけど。
>> ・・・本当のお伽噺で、ディスティアは、傷つくことは無いですか?」
>>「・・・・・・お母さんって何人に言われてるんだろうね、ディスティア。
>> まだ、二十歳にしかなっていないのに。」
>>イライアスの質問に、エイレンはそう洩らした。
>アミイ:同感ね。
>朱琉:でも、確かにディス嬢は『お母さん』的な雰囲気持ってますから。
>アミイ:朱琉、『お母さん』呼ばれて嬉しいわけ?『今現在ディスティアちゃんと同い年の』朱琉?
>朱琉:・・・・・・・・ぃゃ・・・・。

ユア;一応、赤ん坊が居てもおかしくない年齢とはいえ、ほぼ同じ年にお母さんと呼ばれるのは、複雑でしょうね。
久遠;・・・そうよね、お母さんなんて呼ばれると、女としては複雑よね。
ユア;お母さんだったもんね、エイレンの使鬼の。

>
>>その後、気を取り直して、こう答える。
>>「どうだろう。
>> 私の価値観だったら、傷つかないことでも、ディスティアの価値観では傷付くかもしれない。」
>>「・・・・ディスティアは、いろいろなことを背負いすぎてます。
>> だから、無理はしないで欲しいんですよ。」
>朱琉:確かに、価値観は人それぞれ。傷つく傷つかないはその人しだいです。
>アミイ:『万人に優しいお話』はないんですもの。つらいお話の果てには、幸せが待っていると良いわね。ねぇ?朱琉。
>朱琉:そこで私に話を振らないで・・・・。

久遠;だからこそ、心配するのかもしれないわね。
ユア:たしかに、そう言うお話は無いけれど、結末は、『その人にとっての幸せ』で終わらせます。

>
>>・・・・というイライアスとエイレンのドシリアスな会話の横で、久遠と新人暴走族Aは、こんな会話を。
>>「何の会話してるんっすか?」
>>「暴走族よりも、もっとディープでデンジャラス。
>> 生半可な覚悟じゃ、殺人鬼か廃人になるような世界だからねぇ。」
>>にまりと、普段はしないような壮絶な微笑みで、新人暴走族Aに忠告というか、穏やかな脅迫をする。
>>それのせいで、昨今少ない暴走族になる少年は、この数日中に、脱退届を出す。
>>久遠が原因だったので、リンチは無かったのである。
>>これは、また別のお話しになる。
>アミイ:まあ、裏社会にいる人なんて、所詮皆どこか狂ってるのよ。いえ・・・・・・・・狂ってないと、とても居られない世界なのよ、かしら?

ユア;そうですね、或いは自身を犠牲にしても叶えたいことがある人しか居られない者です。
   ディス嬢やアリエス嬢は、後者でしょうけど。

>
>>「久遠。
>> 新人を脅かすなよ、客が減る。」
>>「そう言う問題なの、エイレンちゃん?」
>>「そう言う問題だ。
>> 喧嘩での清掃代とか修理代をああまで壊されて、請求だけしないだけ、マシだと思え。」
>>「・・・そんなに酷いんですか?」
>>「そりゃな。
>> 月一回は、喧嘩して大けがして、運び込まれれば、ソファだとかが血塗れになるから。
>> 裏の知り合いに手を回したりすれば、そこそこかかるわ。
>> 月一回二回は、《鴉火炉無》が、火炎瓶投げ込んだりするわ。
>> 百万じゃ,足りない程度には損害受けてるんだ。
>> 連合のれん中の飲食代ぐらい、きっちりもらっても、いいだろうが。」
>>あまりの損害?に、エイレンは、普段の穏やかな男言葉から、少々粗い男言葉になってしまっている。
>>イライアスは、そういうエイレンを初めて見たのか、眼を丸くして、氷像と化していた.。
>>「エイレンちゃん、エイレンちゃん。
>> イライアちゃん、固まってるわよ。」
>>「・・・おや、すまない。
>> 話は変わるが、イライアスは、明日行くのか?」
>>「行きますよ。
>> ・・・《チャイルドクラン》は、潰したいですから。」
>>「・・・・・・家族の仇だからか?」
>>「・・・・・・・・・おごかましいかもしれないですけど。」
>>イライアスのいつもの陰気さの欠片も見れないような決意に・・・哀しすぎる決意にエイレンは、幼子にするようにイライアスの頭に手を置き、自分の胸に抱き寄せた。
>>「ガキが、親の敵討ちたいとか思うは当たり前だ。
>> こっちを・・・裏社会を選ばせるような真似したのは、私達の落ち度だからね。」
>>「・・・・・エイレンさんは、悪くないです。
>> 迷惑を掛けた家族に出来ることはこれしか無いからですよ。」
>>「あーもう、エイレンちゃんも、イライアちゃんも、暗くなんない。
>> 《チャイルドクラン》潰して、裏稼業の少し危ないけど、退屈な日々を取り戻す。
>> それでいいでしょう?」
>>暗いシリアスになった二人の雰囲気を振り払うかのように、久遠は明るくそう言う。
>>これが、この三人のあの日の前日のひととき。
>>裏稼業に深く深く関わったが故に、ほのぼのとしていながらも、少し寂しい。
>アミイ:悲しくて、寂しくて、どこか狂気を秘めていて・・・・。
>朱琉:やっぱり、闇の漂う会話です。

ユア;それでも、彼らは、光の中の救いを求めているのかもしれない。
久遠;実際、光は欲しいわ、とてもね。

>
>>
>>
>>
>>
>>
>>
>>
>>
>>
>>
>>
>>
>>
>>《デザートローズ》で、三人が、そんな会話をし始める少し前。
>>日本時間で、朝の十時過ぎだろうか。
>>上海か、香港。
>>そんな、西洋と東洋が、混じり合って同居しているそんな街。
>>だからからか、西洋風の白いマンションも、不思議調和している。
>>その最上階から数えて、四階目・・・十三階に、その女性は居た。
>>シャワーでも浴びているのだろうか、バスルームから、水音がする。
>>しばらくして、純白のバスローブで出て来たのは、妙齢の女性。
>>バスローブと対照的に、女性の肌は、コーヒーブラウンの褐色、黒い髪はシャギーを入れたボブカット、瞳は目尻の釣り上がったチョコレート色の瞳は大きく、つんと上を向いた鼻と小さなサクランボの唇とバランスが悪いはずなのに、見る人に美人だと思わせる容貌だ。
>>エキゾチックでクールそうな表情と細身のその身体のしなやかな動きは、黒猫か黒豹を思わせる。
>>女性にしては高く・・・・ディスティアとそう変わらない身長の女性。
>>『ライラ、もしも、私が死んだら、この世界から抜けてください。』
>>『愛しています、ライラ。
>> 死なないでください、私も死にませんから.』
>>そんな声が、女性の頭をよぎるが、彼女はそのまま、冷蔵庫から、缶ビールを出す。
>>それを一口、飲む。
>>「明日だっけね、ディスの会合。
>> 早く行って、ジャッポーネ料理を食べるのもいいかな。」
>>そう一人呟く女性の名前は、ライラ=リー=ソロミネス。
>>《シルフィーダンサー連合》三代目親衛隊の一人で、裏稼業で、《電脳の悪魔王(ルシュファード)》と呼ばれる ファルト=ソロミネスと同じファミリーネーム。
>>「どうしたらいいんだろうね、ベル。
>> 貴方の身内を殺すべきなのかな、私はレイティスのことが好きだった。
>> それの仇も取りたい。
>> ・・・・・本当にどうすればいいんだろうか。
>> ・・・解んない、わかりたくもないよ、ベル。」
>>彼女が、泣き出すかと思われたその直後。
>>はじけるような電話の音。
>>ディスプレイは、『非通知』
>>ライラは出る。
>>相手を予測しながら。
>>『もしもし、ライラ義姉さん?』
>>「ファルトか?」
>>『・・・怖いですよ、可愛い義弟なんですから、もう少し愛想よく出来ません?』
>>「出来るか・・・・ベルを・・・ベルフェゴールを自分の兄を殺したのはお前だ。」
>>慟哭する代わりに、ほとんど怒鳴るように、ファルトにそう突きつけるライラ。
>>その彼女の声を聞いても、ファルトの冷静そうな声は変わらない。
>>『・・・・・私は、貴女がライラさんが欲しいんです。
>> だから、兄を殺した。
>> 貴女を手に入れたいだけなんです。』
>>「私が欲しいからですって?
>> ディスティアを裏切るのも?
>> あの子は信じてるわよ。
>> 親衛隊が、多少文句を言っていても、自分を慕っているのを知っているわ。
>> それにさえ、裏切られたら、ディスティアは壊れるわ。」
>>『それが、望むのはそれなんです。
>> ディスティアさんが、壊れれば、あの術の成功率は、彼女の意志が無くても、上がりま・・』
>>ファルトの言葉を断ち切るかのように、ライラは、こう叩き付けるかのようにいう。
>>しかし、それはまるで、懺悔をしているという方が、しっくり来た。
>>「昔のあんたの方が、よっぽど魅力的だったわ。
>> 能天気で、馬鹿で、犬みたいに私達を慕っていたあの頃のあんたの方が、よっぽど男としてみれたわ。
>> 今の優男で、その実冷たい・・・・ベルの真似をしているお前は、大嫌いだ。
>> お前は、敵だ。
>> ・・・次に、現実に会ったときは、殺す。」
>>『解りました。
>> それでは、運命の十一月に会いましょう。』
>>そう言ったきり、ファルトからの電話は切れる。
>>崩れ落ちるライラ。
>>憎んでも憎みきれない義弟。
>>自分の思考に、嫌になりかけた時。
>>「・・・・大丈夫でございますか?」
>>「・・・・・・・・リュウだっけ、ディスティアの使い魔の。」
>>日常的に来ている神楽巫女風の衣装ではなく、五月色の着物であったが、確かにディスティアがつかう風魔の三人目で長女のリュウであった。
>>「はい、覚えていただけていたようで。
>> 大丈夫でありますか、後五十分ほどで、家を出られる規定時刻ですが。
>> ディスティア様の指定された飛行機に乗られないのならば、変更いたしましょうか?」
>>この過剰までの敬語、愛想良く抑揚ありありで、話されればそれなりに好感はあるだろうが、リュウは、がちがちの抑揚なしの機械的というか事務的な感じな口調である。
>>ライラにしてみれば、五年前から三年前のあの間に慣れてしまったことであるが。
>>「わかったわ。
>> ディスティアは元気?」
>>「はい、とても、元気にしております。」
>>「・・・・・精神的にも?」
>>ライラの質問に、リュウは、しばしの沈黙の後にこうあっけらかんと答える。
>>「わかりません。
>> 私は、強いディスティア様しか存じません。
>> ディスティア様は、私にも、リュア兄様にも弱みは見せません。」
>>「・・・・悪い、あんたたちにしちゃ行けない類いの質問だったね。
>> 私は勝手に行くから、夜のあの二人の準備でもしてなよ。」
>>「・・・・・・・お言葉に甘えさせていただきます。」
>>ライラが気をきかせてくれたことを・・・・自分の精神状態もあまり安定していないのに・・・・気付いていながら、リュウは、異界にさった。
>>「さて、行くかな。
>> 時間も無いしね。」
>>ライラは、そう一人呟くと、十五分後、マンションを後にした。
>朱琉:身内にも、敵はいるわけですか。
>アミイ:そうだろうとは思ってたけど・・・・実際に聞くと、結構痛いわね。

ユア:主人公サイドに取って、二重の意味で。
久遠;でも、憎みきれない事情よね。

>
>>
>>
>>
>>
>>
>>
>>
>>
>>
>>@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@
>>
>>
>>どこが、序章終わったんでしょうね・・・と泣きたいユアです。
>朱琉:えーと・・・・、《電脳の悪魔王(ルシュファード)》君の名前?
>アミイ:間違い探しじゃないんだから(呆)

ユア:・・・・・あちゃあ。
久遠:次回、久しぶりの前書きね。

>
>>一応、暴走族の面々も、対《チャイルドクラン》に巻き込みたいが故の伏線でもありますが。
>>いろいろと、気になる名前も出てますね。
>>次回は、ヴァリード一家の夕食風景とエイレンが言っていたあの二人の会話です。
>>
>>それでは、次回に。
>朱琉:はい、では、また。
>二人:また次回!
>
>
ユア;ありがとうございました。
二人;では次回。

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17837家族の写真 ACT55 5月15日 ―前日・C 《風舞姫》の受難と夜の者達の会話十叶 夕海 2006/9/11 22:08:14
記事番号17834へのコメント

ユア:何度ぶりでしょうか、久しぶりに前書きをします。
久遠;一応、理解していてもらえないと、ある人の苦悩と台詞が通用しなくなるのよね。
ユア;いえす。
久遠;誰と誰がイコール?
ユア;ディス嬢の暴走族の親衛隊六人の中に、ファルト=ソロミネスと言う人物が居たことは、ご存知でしょうか?
久遠;夜の一言と次の日のミラーマンションの少しだけの出番だもの。
ユア;その彼と、前回のライラ=リー=ソロミネス嬢の義弟が、同一人物です。
久遠;ファルトちゃんは、義姉のライラちゃんを裏切っていると同時に、暴走族の《シルフィーダンサー》連合も、ディスちゃんも、裏切っているの。
ユア;それを念頭に、作中の明日・・・・五月十五日は続きます。
二人;では、本編スタート。


@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@







午後七時過ぎ。
「ええ〜、マジ?」
「ディスちゃんが、そんなに大声上げるの珍しいわね。」
「だってだって、明日。
 姉さんは、前から聞いてたけど、父さんも母さんも、取材で居ないのも、エヴァもアルトも、アークも、居ないの聞いてないもん。」
山盛りの鳥の唐揚げと精進揚げと大きいサラダボール満杯のコーンサラダ。
白いご飯と白味噌仕立てのアスパラとレタスのみそ汁。
デザートのイチゴのパンナコッタ。
なんとなく、ディスティアは、明日の家族の予定を聞いた。
今日は珍しく、家族全員がそろっている。
「俺とアークは、『法事』。
 エイレンさんの都合で今日の夜半から明日の午後までになったんだよ。」
「そうそう、ある意味その言葉は自業自得だぜ?」
「俺のは、もうすぐ夏号の締め切りだからな。」
「ごめんね、ディスティア。
 また、家事任せちゃって。」
「それは、いいんだけど。」
「ディス姉さん?」
とこれが表の会話。
隣のアークと交わした裏?の会話が次の通り。
『ねえ、誰がナツメを護るのよ?
 アンタが作った《鴉火炉無》との関係のせいで、万年危ないのよ。
 特に、一番狙いやすいナツメが。』
『ディスが連れてけば。
 それと、明日遅れるかもしれないから。』
『ルージュ当たりに見つかったら、解体されちゃうわよ。』
『エリスコレクションの部屋にでも閉じ込めとけば。』
『それしか無いか。
 一応、あの部屋にもトイレはあるし。』
以上。
「じゃ、ナツメ、明日何も無いなら、私と一緒に来る?
 知り合いから、しばらく使ってないマンションの掃除お願いされてるの。」
「はい。」
とこんな具合。
これが、ディスティアのあの悲劇を生むことになるとは誰も思わなかった。
そして、この数時間後。
彼女の自室。
「刹、ふわふわケモノ。」
『は、はい。』
風呂上がりで、甚兵衛姿のディスティア。
式神・刹を呼び出すとそう命令した。
すると、彼は、ふわふわの狐というか、狐足の羊のような生き物に変化する。
ディスティアは、それにおいでおいでをすると。
抱き上げ、胸に抱き締める。
「明日、何も無く終わればいい。」
『・・・主?』
「本当は、誰も傷つけたくない。
 だけど、《吸血鬼》の時国宗留は、殺したい。
 《片眼王》にしたって、状況の犠牲者だ。
 《歌乙女》にとって、一番大切で大好きだった人だもん、傷つけたくない。」
刹のふわふわ毛皮に顔を埋めるように、呟く。
刹は、黙って聞く。
姉役の黎夜なら、またうまいことを言うのだろうが。
こんな時、自分の口下手さが、すこし口惜しい刹。
「だけど、やらなきゃ行けない。
 エイレンさんが言ってた。
 《クラン》とか、《チャイルドクラン》が台頭してくる前は、黒社会って、個人主義で、グループとか組織って言っても、暴走族レベルだったんだって。
 せめて、そこまで戻したいな。
 少数だったら、そう簡単に大きなことにならないと思うの。」
このままでは、主が泣き出すと思ったのか。
口下手刹は、言葉を選びながら、主に話しかけだす。
『主は、優しすぎるでござりまする。
 主が、身体面能力面で強うござるのは我が、証明しておるでござりまするが、精神面は、我には解りませぬ。
 解りませぬが、主が笑っておられると我も嬉しくなります。
 主が泣いておられると我も哀しくなります。
 主が沈んでおられると我も沈んだ気持ちになります。
 我では、主の心荷を軽くして差し上げることは叶いませぬか?』
しかし、言っているうちに、刹自身が、泣き出してしまった。
ぬいぐるみのようなふわふわイキモノに化けている刹が、ぽろぽろと涙をこぼすのは、少々・・・いや、かなり、シュールだが、この際気にしない。
「ありがとう、刹。」
『あ、主が謝ることではっっ。』
「それでも、ありがとう、刹。」
『・・・主。』
刹、自我を得て七年目の春。
一番幸せな時間だった。
そして、翌日。










ディスティアと刹が、そう会話しているとほぼ同時刻。
時乃市からも近い、極東の首都、東京。
その一角の古ぼけた五階建てのビル。
五階のオーナー宅の一室。
応接セットがある部屋。
一人の青年と一人の少女が、向かい合って座り、紅茶を啜っている。
青年の方は、黒髪黒目の典型的日本人のカラーリングとハーフと解るような彫りの深い顔立ちの神父服姿の二十代半ば。
少女の方は、黒く鈍く光る銀製のバレッタでまとめている髪の色は、純銀よりも銀色に輝くストレートで、血のように紅い双眸、人形のような無表情さの中学生ぐらいの小柄な身体を黒い喪服で覆っていた。
「ジュリさん、明日だったよな。
 日昇ってからだし、俺だけで行ってもいいんだけど?」
「神影とソラを取り戻す為の布石だ。
 それに、《爆炎の教皇》とかにも直に会いたいしね、久しぶりに。」
「ごめん、俺のネットワークじゃ、《チャイルドクラン》ってことまでしか解らなくて。」
「それだけでも、御の字だ。
 ・・・・・・そうだろう、《風舞姫》のおつかい?」
『まぁ、そうだけどね。
 気付いていたのか。』
「もちろん、ここは私の家だ。
 領域(テリトリー)でもいいんだよ。
 そこで気はつかない方が、どうかしている。」
にこりと、素敵に無敵に黒いさわやか笑顔を窓の方に向ける。
すると、窓の空間が歪み、一つの黒い影。
彼を一言で言うなら、『売れないロッカ―』という風。
二十五歳ぐらいの外見をしている。
具体的に言えば、古い銀のようなくすんだ長い銀髪で、顔を半ば覆い、瞳は淡い菫の紫だった。
黒染めの革のツナギのライダ―ス―ツのような服を着ている。
「リュイか。
 何年ぶりだ、リュウが生まれたばっかで別れたから、四百年・・・・もっとか?」
『誰だ?』
「寂しいわね、ジュリお姉ちゃんとか言って、懐いてくれてたのに。」
『・・・・・ジュリ=ローゼンか?』
「ローゼンマリア。
 リュウは、小さかったから、ローゼンでいいけど、年上のお前が覚えてなくてどうするの?」
「・・・ええと、ジュリさん、知り合い?」
「そう。
 こっちが、《鮮血微笑の退魔師》乾詠太郎。
 詠太郎、こっちが、風妖の五兄弟の次男・リュイ。
 これで、六百歳だったか?」
『そうだ。
 この男が、今のご飯か、ジュリ。』
リュイとジュリは、かたや戦々恐々、かたや微苦笑と対照的だ。
彼の台詞にしたって、いつもの皮肉さの欠片も無いほどに、おびえているというかそんな感じだ。
「ちがうよ、リュイ坊や。
 大事な友達で、かけがえの無い仲間さね。
 ・・・で、リュイ坊やが、《風舞姫》のお使いか。」
『そうだ。
 主からの、伝言だ。
 【汝 《チャイルドクラン》に仇なし
  汝が復讐が為に、我らと手を組み、蜜を共有するか否か。
  共有を是とするならば、皐月の十五番目の日に、案内人に身を任せなさい。
  さあ、否か是か、最終決断を、《凍れる樹姫》様、《鮮血微笑の退魔師》様。】
 だそうだ。如何にする、ジュリ殿、乾殿。』
少女ージュリ=ローゼンクロイツと青年ー詠太郎=フォルティア=乾に、リュイはそう聞いた。
ジュリはあくまで、余裕ありげに。
乾は少しは、及び腰で。
それぞれこう答えた。
「ああ、是とせん。
 神影とソラを取り戻したいからな。」
「承知します。
 あの男を弑する為に。哀しい運命にピリオドをうつ為に。」
『では、明日十時には出発する。』
そういうと、リュイは消えた。
その後、ジュリは、ポソリと一言。
「何も、起こらないといいけど。」
「?なんか言った、ジュリさん。」
「何でも無い、明日は早いぞ、乾。
 もう寝よう。
 一応、客室は用意しているから、そこを使え。
 風呂入るなら、開いたら、言うから、適当にご飯食べてて。」
何かを誤摩化すかのように、ジュリは早口で、乾にそう言うと、さっさと自分の部屋に入ってしまった。
ジュリは、自分の部屋でまた一言。
「ったく、《戦乙女》も《歌乙女》も、《道化師》ですら傷ついているのに。
 ・・・・・・カミサマとやらは、随分とサドのようだ。」





@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@



ユア:というわけで、『光への憧憬』シリーズから、ジュリ=ローゼンクロイツと乾詠太郎でした。
久遠;完全な使い回しというよりも、別設定の同一人物という類いよね。
ユア;CRMP先生のオマージュ的な登場のさせ方です。
   ジュリの設定は、大幅に変わってます。
   乾の設定は、微妙に変わってます。大きく変わってないので、『光への憧憬』に共通する面は多々あるかもしれません。
久遠:ということよ。
   次回は、いよいよ、少し長めの『5月15日』編スタートよ。
二人;では、次回。

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17840家族の写真 ACT56 五月十五日 ―当日/定時前のデキゴトー十叶 夕海 2006/9/17 23:57:38
記事番号17834へのコメント






「ここか。
 エリスも、稼ぎ頭だったんだな。
 ・・・それにしても、真っ昼間に出るもんじゃないな。」
「だから、俺が代理人に・・・」
「あの二人の為だ。
 ・・・悪いね、リュイ坊や。」
ディスティアのアジトのマンション前。
五月のやや強い陽光のもと、奇妙な三人組が居た。
黒い喪服の銀色の長い髪の少女―吸血鬼・ジュリと黒い僧服の黒髪の青年―元退魔師・乾と黒革のライダースーツの青年―風妖・リュイの三人だ。
「そういえば、使い魔を取られていたんだったな、ジュリ。」
「・・・・そう。
 お前達、『風妖』のように『自然』ではなく、私が作った『人工』の精霊だ。
 家族だったよ、クロイツと同じぐらいそう思える、存在だった。
 ・・・・まあ、私はこの外見だ、兄妹とか、父子とか言った方がしっくりくるが。」
「取られたなら、操られて居る可能せいもあるのは理解しているな。」
「・・・解っているさ、舐めるな、リュイ。
 私は、お前の倍近くを生きている訳ではないぞ、伊達にな。」
この微妙に、ぴりぴりした雰囲気が嫌だったのか、乾は、溜め息一つ。
その後に、こう言った。
「・・・リュイくんだっけ?
 その質問は、愚問だと思うよ?
 ジュリさんも、俺も、【お伽噺の忘れ去られた関係者】なんだし。
 あの【終末の預言】もあるからここに居る。
 ・・・・何も覚悟してなくているとは思うな。」
「・・・・・・・・・そろそろ、一時だ。
 中に入ってもいいだろう。」
リュイは、言葉を無視し、そう言って、とっと歩き始めてしまった。






三人が、ディスティアのアジトのリビングに入ると。
《ラビ》と《オルフェーゼ》が、ソファに座っていた。
ハンドフードが中心の料理といくらかの飲み物が、
また、その奥の台所では、黒いぴったりとした服の男女―刹と黎夜と喪服ドレスとベールの《ブラックウィドー》と尼僧服にエプロン姿の《風舞姫》が、忙しそうに立ち回っている。
三人に気がついた《風舞姫》は、手を止め、こう言った。
「お帰り、リュイ。
 その二人が、《凍れる樹姫》と《鮮血微笑の退魔師》?」
「そうなる。
 《退魔師》の方は、運び屋の方を事実上、二年前にやめているようだが。
 ・・・・帰る、用があれば、呼び出せ、主。」
「はいはい。
 リュウに、お大事にって伝えておいて。」
虚空に消えるリュイを見送り、《風舞姫》は、《樹姫》と《退魔師》に
「ま、よろしく。
 適当に座って、適当に食べてて。」
と言い、台所に戻ろうとした。
したのだが、《樹姫》の発言でその動きを止める。
「お前が、今代の《歌乙女》?」
「・・・そうよ。
 《樹姫》も、《お伽噺》の関係者?」
・・・・・・・・・・・・・姑くの沈黙。
初めに口を開いたのは、乾。
「ジュリさん、大丈夫?
 ・・・・僕らのこと、覚えてないとは僕も想定してなかったから。」
「そうだな。
 《語り部》か・・・・・ったく、面倒だ。
 歪みの一端が私じゃなけりゃ関わるつもりは無かったのに。」
「よぉ、吸血姫のお嬢ちゃん。
 お前も来てたのか。」
その台詞と同時に、リビングの入り口で喋っていた《樹姫》を抱き上げた人物が居た。
「いきゃあ!?
 ・・・降ろせ、それと子ども扱いするな。
 何度行ったら、解る?私は、お前の十倍以上生きてるって。
 ・・・聞いているのか、《爆炎の教皇》!!!」
ジュリを抱き上げたのは、暗く輝く長い銀髪で、紅いカラコン、アクセントに紅を使った簡略式の今日幸福の男性―アルティアだ。
ディスティアの従兄のアルティア=ペシュテルだ。
演劇をしていることもあってか、アルティアを知っている人物でも、そう簡単に見抜けないだろう。
「いいじゃん、《凍れる樹姫》
 俺の従妹も、これくらいだしな。」
「ここで、話し込まれるよりも、奥で話された方が良くないですか?
 《爆炎の教皇》、《凍れる樹姫》。」
「あ、どうも、《ギルトマスター》。
 この間、情報ありがとうございます。」
「いえいえ、私もあの時、必要な情報がありましたから。
 お互い様、と言うヤツですよ、《鮮血微笑の退魔師》。」







それから、三十分―。
続々と集まってくる。
十数人が集まった頃。
それぞれはそれぞれの思うままに、過ごしていた。
徹夜続きだったのか、船をこいでいる《爆炎の教皇》
相変わらず、黒尽くめでシルバーアクセまみれで、陰鬱そうな《リンデン》。
《リンデン》にしなだれかかっている、新宿二丁目のオカマ風の《キャットアイ》
アジアの何処かの民族衣装風で、無言で、二人を微笑ましげに見ている《占札ノ使鬼姫》
床に直接座り、機嫌良く、周りに話をする《ダークツール》
他の人に話しかけられても、相づちだけなのに、《アーチャー》には、ちゃんとした反応を返す《エンシェントエルフ》
《ダークツール》にからかわれ、少々紅くなっている《鮮血微笑の退魔師》
それを呆れながら、微笑ましそうに見つめる《凍れる樹姫》
珍しく、パイナッポーヘアで、少々奇妙ながらも、愛想良く会話する《アーチャー》。
《ダークツール》に、からかわれて、頬を紅くしている《魔導師・ラビ》
《占札ノ使鬼姫》に、《お伽噺》のことを聞いている《千里眼のオルフェーゼ》
料理をぱくつきながら、刹のことを《風舞姫》に聞いている《グレイトキャット》。
それに、『自分の式神』のような者だと応じる《風舞姫》
皆の分のお茶を入れている《ブラック・ウィドー》
それを言葉少なに、手伝う《ルリイロ》と黎夜。
それらをりょうりをつまみつつ、見つめる《ギルトマスター》
「そういえば、あのご機嫌な《イリュージョンパニッシャー》と二代目の《L&D》の《L》とか、《ノーフェイス》とか、あの人形姫の《水衣の君》は、くんの?」
そう聞いたのは、《アーチャー》こと、クレセント=ルーシュ。
『ご機嫌ね、本人聞いたら、怒ると思うよ。』と前置きしてから、《風舞姫》は、彼の質問に答える。
「さっき連絡があった。
 多分、二時の定刻までには来るって。
 《水衣の君》は、映像と意識だけだろうけど。」
「そう、ならさ、エリスコレクション見せて。」
「ダメ、掃除してないし。」
「いいじゃんいいじゃん。」
「だめったら、ダメ。」
「ジル、頼む。」
「へぇ、へぇ。
 俺のこの能力は戦闘向きじゃないですけどね、クレスさん。」
「ジル!!」
ディスティアの解答に、クレセントは、『エリスコレクション』が見たいと言う。
『エリスコレクション』とは、エリス=モトハル=クローリック。
六年前に死んだ『最凶の萬屋』とも、『破暁天』と唄われた何でも屋のコレクション。
彼は、パソコンはもとより、直接情報を奪取したり、親友・レイティス=アイルテの実動部隊として動いたりと、武闘派情報屋として名を馳せていた彼のもう一つの側面が、コレクタ−だった。
盗まれたまま行方不明の博物館級の品から、モンキーパンチの『ルパン三世』が掲載されている雑誌まで、多種多様の物が、7LDKの二部屋をマンションを購入した時点で、ぶち抜いて作った部屋に納められているのだ。
そのうち、三割は、ジャパニメーションやマンガ、二割は、本だと言うから驚きだ。
ディスティアは、それを当然止める。
当たり前だ、彼女の妹がその部屋に居るのだ。
入らせる訳に行かない、この享楽殺人者を。
しかし、クレセントは、自身が行くよりも、ジオルグに、命じて行かせた。
ジオルグの《サイケスキル》である『テレポーション』で、『行ったことのある』コレクション部屋に飛んでしまった。
そして、当然・・・・・。
「い、嫌です・・・・離してください。」
「クレスさん、こんなん居ましたよ。」
階段の上から、そう声を掛けたジオルグの腕に抱え込まれるように居たのは、ナツメ。
『ふうん、結構可愛いね。』と言う言葉と同時に、クレセントは、階段の上ージオルグの傍に居た。
「・・・・・離せ、その子を離しなさい!!
 ジオルグ=マルッティージョ。」
「嫌です。と言ったら?」
「・・・・ルージュ、もろとも、壊す。
 ・・・・・・・・・・もう、家族を失いたくないんだよ。」
「アニー、能力(スキル)は、使うな。
 三番が出たりすると、興ざめしちゃうからね。」
ディスティアが、殺気を・・・・・ここ三年間の彼女を知っている者なら驚き、三年前以上の彼女を知っているのなら、呆れたような溜め息をするような、そんな殺気を放ち始めた時、クレセントは、気圧されること無く、むしろ、楽しげにアルシェンナを静止する。
「ジル、手出せないように、忠犬・刹くんと黎夜止めといて。
 エイレンさんとかは、手を出すほど、無粋じゃないだろうし。
 乾くんとかは、こういう人間同士の殺気バリバリの遣り取りは慣れてないだろうしねぇ。」
ジオルグは、命令通り、刹と黎夜の首筋に、対人外仕様のナイフを当て、動きを封じた。
クレセントは、『くふふふふふ、楽しいですね。』などと、ディスティアの殺気を受け止めている。
ディスティアは、静かに殺気を膨らませ続け、太ももの通常の二倍ぐらいの長メスを取り出し、構えている。
ナツメは、混乱して、なおかつおびえている。
・・・・・・と、そんな中のギャラリー。
《オルフェーゼ》ーアリエスは、『やれやれ、四年前も同じことしてましたね。』とでもいうふうに、無関心に、紅茶を飲んでいる。
《魔導師・ラビ》ーアルトは、『え、あの二人って仲悪いの?』と隣に居た《ギルトマスター》に、詰め寄っている。
《ギルトマスター》ーはなんと言って良いのか困っている。
「ラビ、《風舞姫》は負けない。
 あの殺人享楽者とは違う、もっと重い者を背負っているし。
 アイツも含めて、三年前、従っていた・・・・指揮権を譲った相手は誰だ?」
「・・・・・《風舞姫》。」
《爆炎の教皇》ーアルティアは、《ギルトマスター》二助け舟を出すかのようにそう言った。
《リンデン》ーイライアスと《占札ノ使鬼姫》―エイレンと《キャットアイ》ー久遠と《グレイトキャット》は、最悪、ナツメだけでも助けれるように、平静を装いながら、気を張っている。
「ねえ、ジュリさん・・・」
「《樹姫》。」
「ねえ、《樹姫》、アレ放っておいていいの?」
「いいだろう。
 あの娘は、六年前、エリスの惨殺死体を見ている。
 そのせいで、自分の大切なモノを奪う相手には、仲間であっても、刃を向けるのだろう?」
「・・・・・呑気じゃない?」
「・・・三年前のあの計画は、潰れたとはいえ、ただのガキに私が指揮権を赦すと思うか?」
などなど、《凍れる樹姫》ージュリと《鮮血微笑の退魔師》ー乾は、会話を交わす。
一連の会話を聞き、《ダークツール》ージオルグは、
(クレセントさんがやることに間違いは無いです。
 私は、信じますよ。)
などと、静観の構えを見せていた。
逆に、《エンシェントエルフ》ーアルシェンナは、
(いけない。
 闘っちゃいけない、闘っちゃダメ、クレセント様。
 殺されちゃう、闘っちゃダメ!!)
などと、介入する隙を狙う。
こう言う時、一番、当たることは何かご存知だろうか。
少女の愛する人への危険などの感である。
アルシェンナは、少女で、クレセントに、恋をしている。
家族とリーダー。
違いはあれど、大切な者。
それを守ろうとするのに変わりはない。
ディスティアが、本気なことをアルシェンナは、何故か解った。
そして、ディスティアが、一陣の風のように走り出そうとしたその瞬間。
長メスの滑り転がる乾いた音がした。
アルシェンナが、ディスティアの長い長い青銀の髪をわしづかみにし、引っ張った、引き止める為に。
誰よりも、自分自身よりも大切なあの人に、あの人を殺すかもしれない女を近づけない為に。





@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@


いろいろと、新展開です。
ディス嬢は、優しすぎる上に、家族を失いたくない想いが強すぎるのです。
だから、本編のように、ぷっつんしちゃったんです。


次回もお楽しみに。
それでは、また次回。

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178412話分纏めて参ります羅城 朱琉 2006/9/19 17:27:42
記事番号17840へのコメント


 こんにちは、お久しぶりです、羅城 朱琉です。
 学校のパソコンはどうやらウィルスにやられたらしく、復旧の目途が立っていないので、またまたネットカフェから失礼します。

 とりあえず、ジュリさんと乾さんが出てきたのに驚きました。しかも、『御伽噺』の関係者・・・・。彼らがどういう立ち位置にあるのか、楽しみです。
 そして、ついに始まった運命の『5月15日』編。何が起こるかわくわくしつつ、見守らせていただきます。

 更新、レスなどが、なかなかできない状況が続きそうですが、なるべく早めにするよう努力しますね。

 短縮版で失礼しました。
 それでは、また。

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17843ありがとうございます。十叶 夕海 2006/9/19 21:53:11
記事番号17841へのコメント


>
> こんにちは、お久しぶりです、羅城 朱琉です。
> 学校のパソコンはどうやらウィルスにやられたらしく、復旧の目途が立っていないので、またまたネットカフェから失礼します。

こんにちは、お久しぶりなのです。
あらら、誰が、そういうトコ、入っちゃったんでしょう?
はい、了解しました。

>
> とりあえず、ジュリさんと乾さんが出てきたのに驚きました。しかも、『御伽噺』の関係者・・・・。彼らがどういう立ち位置にあるのか、楽しみです。


半分数合わせと言うか・・・・お伽噺の客観者が居るな→対人外戦闘に慣れてるのが良いな。→片方は裏切り者風味で→ということで、既存のキャラから、引っ張ってきました。
とりあえず、今は、味方です。

> そして、ついに始まった運命の『5月15日』編。何が起こるかわくわくしつつ、見守らせていただきます。

いろいろと、大騒動です。
あの人の正体も、バレるかも(超絶的に予定)。
お楽しみに。
>
> 更新、レスなどが、なかなかできない状況が続きそうですが、なるべく早めにするよう努力しますね。
>
> 短縮版で失礼しました。
> それでは、また。
>


了解しました。
たぶん、木曜日に、短編か本編を更新できると思います。
これからもよろしくお願いしますね。

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17845家族の写真 ACT57 五月十五日 ―当日/失ウコト恐レルモノー十叶 夕海 2006/9/21 23:52:20
記事番号17834へのコメント









アルシェンナが、ディスティアの長い長い青銀の髪をわしづかみにし、引っ張った、引き止める為に。
誰よりも、自分自身よりも大切なあの人に、あの人を殺すかもしれない女を近づけない為に。
誰もが、硬直した。
ナツメに至っては、何時錯乱してもおかしくないような硬直の仕様だ。
その時だ。
髪を引っ張られている本人―ディスティアが、叫んだ。
「アールッ。やれ!!」
その言葉に、《爆炎の教皇》は、眼を見開き、動き出す。
《鮮血微笑の退魔師》の懐に、常備されているペティナイフをすり取ると、クイックモーションで、棒手裏剣でいうなら反転投げで投げる。
ディスティアとアルシェンナの間・・・青銀の髪のある場所にあたる。
ザクッ・・・・
鈍い鈍い音がする。
ディスティアの髪は、ペティナイフで両断された、その勢いのまま階段を駆け上がり、ナツメを奪い返し、クレセントに当て身をする。
そして、ろくに受け身の出来ないまま、壁に激突した。
ナツメが傷つかないように、しっかりと抱きかかえて。
「姉さん、ディス姉さん!!」
ディスティアは、ぴくりとも動かない。
他のメンバーは、まだ、事態を理解できずに動けない。
ただ、ナツメの声だけが響く。
その時だった。
ダイニングの隅に合った、プロジェクターが動く。
『きゃあぁぁ、ディスちゃん。
 エイレン様、ロザをロザちゃんを召還してあげてくださいませ。』
そう言ったのは、プロジェクターに投影された『蒼』の女性。
髪も、瞳も、服も、肌すらも、水を通してみたかのような青色。
その女性の言葉で、他の面々も、動き始めた。






そして、十数分後。
「お前らが、もう少し早く来てれば、あんなことにならなかった気がするのは、私だけか?」
「ごめんごめん、集会長引いちゃった、てへ?」
「すんまへんなぁ、バイトの引き継ぎ時間かかあてもうて。」
意識を取り戻したディスティアは、氷嚢を頭にのせ、無表情な笑顔で、正座をさせた《イリュージョンパニッシャー》と《L&D》の《L》の前に、仁王立ちで、経って説教と言うか八つ当たりをしていた。
「・・・・・八つ当リハ、見苦シイヨ。《風舞姫》。」
「《ノーフェイス》さん。」
そこへ、着いたのは、ネズミ色のマントと上下の《ノーフェイス》。
ベテランの双璧―《占札ノ使鬼姫》《ノーフェス》。
今現在、三十歳を超えて、現役―戦闘も含めーなのは、この二人を含めても、五人は超えても、十人は下るだろう。
そう言った意味では、経験とそれに準ずる感と言うことでは、他の追随を赦さない二人である。
この二人に、先代の《L&D》の《L》であり、《地獄の破壊者》のガウェイン=レンスターをくわえると、《チャイルドクラン》の前身組織・《クラン》の壊滅の立役者なのだ。
それが、13年前。
その時点で、《ノーフェイス》が、このスタイルだった。
「・・・・・・順番をぐちゃぐちゃにされたので。」
「先代《L》・・・《地獄の破壊者》モ、戯ケダッタ、ソノ甥ノ『ラディハルト』ガソウデモ、仕方アルマイヨ。」





彼女の登場により、微妙に張りつめていた場の雰囲気が、和らぐ。
しかし、ナツメとルキウスをなだめに行ったまま、《ブラックウィドー》が戻らないため、会食というか、《風舞姫》達がヤマと作った料理を食べ進めている。
食べれないCGの『蒼の女性』こと、《水衣の君》は、ただ微笑んでいる。
時折、ナツメの錯乱したような悲鳴とルキウスの鳴き声が響いてくる。
と、その時、ディスティアは、昏い微笑みでクレセントにこう話を振る。
「・・・・・ねぇ、クレセント=ルーシュ。
 ナツメが、三年前のあの事件の後のように戻ったら・・・・・私は、お前とジオルグを殺すよ。
 この手で、絶対に息の根を止めるよ?
 ・・・・・やっと微笑めるようになったんだ。
 それを壊そうとしたんだ、覚悟できてるよね?」
「・・・・今日のここに、普通の・・・一般人の女の子を連れてくる方が悪いんじゃない?」
「そう言う文句は、《イリュージョンパニッシャー》に言え。
 ・・・・・譲って早々、あんな真似しやがって。」
よっぽど、彼がしたことが頭に来ているのか、口が悪くなっている。
というか、場所が場所とはいえ、丸々四年近く恨んでいる相手も相手だが。
「ちょっと、《風舞姫》、それは・・・・」
「無いって言える?
 初代も、サラディン義兄さんも、私も言ってたよね?
 『女は、殴っても良いが、傷は残すな。』って、口を酸っぱくして。
 『スキルは、対一般人に殺傷目的で使うな』ともね。
 両方とも破って、私や二代目が、三すくみまでに持って行ったあの関係を崩して何を言う?
 義理の弟じゃなきゃ、足腰立たない位に殴り飛ばしている。」
《イリュージョンパニッシャー》ーアーク=クラウネルは、他の面々が敢えて、黙っていたのに、薮をつついて蛇ではないが、ディスティアの鬱屈の矛先を向けられた状態だ。
見かねたか、どうかは解らないが、《リンデン》ーイライアスが、動いた。
彼は、ディスティアに近づくと、後ろから優しく抱きすくめる。
「。。。。。。。。。」
イライアスは、耳元で何かを数言囁く。
すると、ボンッと音がするかと思うほど、急激にディスティアは紅くなる。
茹でダコも此処まで紅くならないだろうと、いうくらいに
「イ、イライアス!?
 ×××って、×××××ってぇ、おバカ!!」
彼女が反芻した単語は、男女ごとに疎いディスティアでも解るぐらいに、直接的でかつ上品なエッチな単語だった。
「・・・・・・冷静になりましたか?《風舞姫》。」
「ああ、うん。」
全く違う方向に、頭に昇った血が集中したせいか、冷静さを取り戻していた。
何処か気まずくなりかけていたその時、黒喪服ドレスの《ブラックウィドー》が、ベールの下に、困ったような微笑みを浮かべ、ルキウスを抱いて、降りて来た。
「困りましたわ。
 ルキウスちゃん、わたくしの服の裾を離してくれませんでしたの。
 寝ていますし、連れて来て、大丈夫でしたわね、《風舞姫》様。」
「構わない。」
ガチャン。
グラスの割れる音がする。
ディスティアが、その方も向くと、《凍れる樹姫》が、落としたようだ。
しかし、彼女はさして長くない付き合いでも解りそうなほどに、無表情だった顔に、解りやすいことこの上なく、『驚愕』とでも言うような表情が浮かんでいる。
「・・・・・・・カミサマって言うのは、サイコーに、残酷でサドだと思わないか?
 乾、私はあの赤ん坊に重いモノを背負わせなくちゃ行けないのか?」
「・・・・・・あの赤ん坊が、『アレ』なの?
 っていうか、あの可能性もあるよね。」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・そうだ。」
「あのどうした?
 《樹姫》、《退魔師》。」
『驚愕』を『泣けない哀哭』とでも言う風な表情に変え、二人にしか通じない単語で、《樹姫》と《退魔師》は、会話を交わす。
ディスティアの質問に、《樹姫》は、ただ、『私の《チャイルドクラン》を潰したい理由の時に話す。』とだけ、言った。
そうして、それぞれの《動機》は、明かされて行くことになる。







@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@



一応、『お伽噺』は、基本的に北欧神話を元にしています。
・・・・・と言っても、三年ほど前に、読んだきりなのですが。


あと、《凍れる樹姫》こと、ジュリは、『家族の写真』版では、『光への憧憬』版とは違い、『昔は神様を信じていた』けれど、『今は一切信じていない』のです。
むしろ、揶揄る対象です。
『光への憧憬』は、ずっとですが。



さて、次回以降で、それぞれの《チャイルドクラン》を恨む理由が、明かされて行きます。
結構長くなりそうですが。


それでは、次回で。

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17851家族の写真 ACT58 五月十五日 ―当日/ソレゾレノ理由@―十叶 夕海 2006/10/2 14:53:12
記事番号17834へのコメント







「さて、集まっていただきまして、大変恐縮です。
 三年ぶりの集会ですが、《戦語り部の火舞姫》を始め何名かが命を散らし、《エータミレアム》など、裏切った者もおります。
 そんな中、二代目《L&D》の《L》など、新たなメンバーもおります。
 以上のことから、新集会の今回は、皆様方の《チャイルドクラン》を潰したいと理由を述べてください。」
そう言って、《死風舞の風舞姫》は、この集まりの挨拶をした。
笑顔なのに、微妙に恐いのは、直前のデキゴトが無関係ではないだろう。






理由 ―エイレンと久遠の理由―

「まずは、私が言おうか。
 私の理由は、義務だな、8割は。
 十三年・・・・十四年前か、その頃に、アシュハを取り逃がしてなければ、今の規模の《チャイルドクラン》は生まれなかっただろうから。」
「んもう、エイレンちゃん。
 ゼノンちゃんが、生き残っちゃったのは、私が躊躇しちゃったからよ。
 ・・・・・・・・元・主と言う理由でね。」
一番手は、エイレンだった。
彼女が、自嘲的にそう言うと、《ノーフェイス》も付き合いの長い久遠が、嗜めるように口を挟む。
しかし、その発言は、《ギルトマスター》、《リンデン》以外は、多かれ少なかれ、驚いていた。
「えっ、えっ、ゼノン=アシュハ=ウツギって、今のボスよね。」
「でぇ〜、マジかいな。」
「キャハ、久遠ってば、イカレてイカしてるね。」
「へえ、面白いな。」
「・・・・・あの男か。
 嫌いではなかったのだが、クラウン・・・・いや、ピエロか。
 《お伽噺に踊らされ哀しみ表す道化師》だものな、お前は。」
「なんか、微妙だね。
 昔は、《闘神》だったのに。」
この騒ぎの中、久遠は、《ギルトマスター》に内緒話をでもするかのように、耳打ちをする。
「ねぇ、レンちゃん。
 ゼノンちゃんって、そんなに凄いの?」
「《ギルトマスター》です。《キャットアイ》。
 今の《チャイルドクラン》のボスですから。
 ・・・・・・これは、純粋に好奇心なのですが、どうしてそんな経緯に?」
「んと、昔、ゼノンちゃんが、二十代後半で男盛りだった頃に、私を使っていたの。
 でも、エイレンちゃんが、アベルちゃんを殺した頃だから、二十数年前かな。
 その頃に、捨てられたの。
 それから、《血吸いの魔剣》なんて、呼ばれるぐらいに自暴自棄になってね。
 《占札ノ使鬼》を手放した直後のエイレンちゃんと出会って、戦って、負けて、従って、今に至るのよ。」
なんて、簡単簡潔に、いろいろな意味で凄いことをさらりと言っている。
『そうだったのですね。』と《ギルトマスター》が、返そうとした時だった。
「とにかく!!
 私は、私の《負の遺産》と《お伽噺》の支払いの為に、作戦に参加する。
 文句あるなら、表に出ろ、相手になる。
 解ったら、黙れ!!」
半ば、ブチキレたエイレンは、そう怒鳴り、締めくくった。
文句が出なかったのは、言うまでもない。








理由 ―アルティアの場合―

「俺の場合は、裏稼業の友達と師匠だった、エリスとレイティスさんの敵討ちだね。
 こーいう、能力持ったのも、一つの縁だろうし。
 それに、こういうポリシーのねぇような、組織が嫌いなの。」
服装に相まって、不良神父とでも言うような口調で、《爆炎の教皇》と呼ばれるアルティアは、つらつらと言う。
「ポリシーとは?」
「ん〜、そうだな。
 ・・・・俺が、表の組織以外で初めて知った組織は。
 今代と先代が、従兄弟が総長やってる暴走族のチームなんだよな。
 小学生見てえだけど、『総長は組織の為に。組織は総長の為に。』ってのが、理想だよな。
 《チャイルドクラン》のボスのゼノンは、アベルだっけ?
 《クラン》、最後のボスの息子で、親友のアベルを生き返らせる為だけに、組織を利用してんじゃん。
 そう言うのむかつくからね。」
ある意味、《爆炎の教皇》アルティア=ペシュテルの理由も、自分勝手なのだが、それは、さておいて。

















『《風舞姫》ちゃん、皆しゃ、様。
 《エンヴィー》及び、他一名が、電脳空間より。
 《氣殺使い》《エータミレアム》の二名が、現実空間より。
 此処を目指して、進行中にございます。』
《爆炎の教皇》の話が終わり、次は誰かと言う話になり始めた時だった。
少し慌てて、少しかんでしまった《水衣の君》の報告
ディスティアは、『あいつらか、来るのは予想してたけど。』というように溜め息一つ。
「《ブラックウィドー》此処をお願い。
 万が一の場合、未成年組を優先的に逃がせ。
 《占札ノ使鬼姫》さん、電脳空間の方の迎撃お願いします。」
「わかった。
 持って来てよかったな。
 ・・・・あいつの方は、ぶっつけか。」
「ディスちゃん、私も良いかな。
 《チャイルドクラン》の対《永遠の光》には、アイツも居たはずだから。」
「ライラ?」
「ダメ?」
「いいえ、お願いします。
 《千里眼のオルフェーゼ》《魔導師・ラビ》あと、《アーチャー》も、私はお前達の理由を知っている。
 話しててくれ。」
「私も行きまス。」


十分後、赤と黒のストライプの長袖に黒革のミニスカ、黒のロングコート姿のディスティアが、このマンションを出た。
同時刻、電脳空間での戦闘も始まった。



こうして、集会と同じ日に
ある意味、無情の闘いが始まった。






 



@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@


ユア:だいぶ前のレスで頂いていた危惧が、現実になってしまいました、てへ?
久遠;『てへ?』じゃないわよ、ユアちゃん。
   ・・・・・・というかこう言う形式も、久しぶりね。
ユア;いままで、いっぱいいっぱいでしたからね。
久遠;遺言はそれだけ?
ユア:いやね、数ヶ月ごとに、これからの指針代わりにプロット見直すのが、基本なのね。
   それで、会談っていうか集会があるのに、《チャイルドクラン》が見逃すのはおかしいな。
久遠;それで?
ユア;そんで、夏休み時期に予定していた前哨戦エピソードを今に持って来た。
   結果、ディスティアVS宵颯、紫苑VS《エータミレアム》も前倒しになったんです。
久遠:ユアちゃん、サクッと、天国行っとく?
ユア:そ、そんな、『横浜行っとく?』みたいに、簡単に言わないでください。
   悪いことばかりじゃないんですから。
久遠:どういうこと?
ユア:『死』と言う結果は変わらないですが、宵颯の心向きを多少変えれるはずなんですよ。
久遠:それで、納得できるとでも?
ユア;カミサマ信じてないんで、敬愛なる本に誓って。
   彼を犬死にさせません。
久遠:信用できないから言ってるの。

(以下:久遠が、日本刀を持って、夕海を追いかける。
    舞台を横切り、それを数回繰り返した。)


ユア:それではっ、(避ける)また、(避ける)次回で。(手を振りつつ、袖にはける) 
久遠:(斬りつける)次回は、(斬りつける)今週末に、(斬りつける)早ければね。(袖にはける) 
二人:それじゃ、またね!!(袖から声だけ)

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17853すみません、また2話分纏めてになってしまいました。羅城 朱琉 2006/10/2 17:09:05
記事番号17851へのコメント


 こんにちは、とてもとてもお久しぶりです、羅城 朱琉です。
 2話分纏めて、短文でレス失礼します。・・・・なにしろ、あと22分で全てにレス入れるつもりなので・・・・。

 まず、ACT56分です。
 髪を切り落とさせたディス嬢をみて、「カッコイイ」と呟きました。ついでに、コバルト文庫で出ている『破妖の剣』というシリーズの第4巻下の一節を思い出したり。
 そして、ルキ君が一体何なのか、とても気にかかります。

 続いて、ACT57分。
 人それぞれに歴史あり、と言うことで、今まで明かされてこなかった皆さんの過去の一部が垣間見えるだろうと、密かに楽しみにしていました。
 そして、案の定やってきた《チャイルドクラン》組。運命の日なんですから、それはまあ、襲っても来るでしょう、彼らも。
 宵颯くん・・・・気にかかりますが、ひとつの物語の必然ということで、覚悟しつつ続きを読ませていただきます。

 では、本当にとても短くなりましたが、この辺で。

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17857いえいえ、そう言う時期もあります。十叶 夕海 2006/10/2 22:01:25
記事番号17853へのコメント


>
> こんにちは、とてもとてもお久しぶりです、羅城 朱琉です。
> 2話分纏めて、短文でレス失礼します。・・・・なにしろ、あと22分で全てにレス入れるつもりなので・・・・。

こんにちは、ユアです。
いえ、レスがあるだけでも嬉しいです。

>
> まず、ACT56分です。
> 髪を切り落とさせたディス嬢をみて、「カッコイイ」と呟きました。ついでに、コバルト文庫で出ている『破妖の剣』というシリーズの第4巻下の一節を思い出したり。
> そして、ルキ君が一体何なのか、とても気にかかります。

ディス嬢は、お母さん属性なのに、男前なのです。
はっきり言って、自分でも、外道だなと言う正体なのです。
ルキくんのは。

>
> 続いて、ACT57分。
> 人それぞれに歴史あり、と言うことで、今まで明かされてこなかった皆さんの過去の一部が垣間見えるだろうと、密かに楽しみにしていました。

いろいろと、少々バラします。
それなりに、皆様、波瀾万丈ですから、一部除いて。

> そして、案の定やってきた《チャイルドクラン》組。運命の日なんですから、それはまあ、襲っても来るでしょう、彼らも。

しかも、集会の面々と多少なりとも、縁があるのが、ぞろぞろと。

> 宵颯くん・・・・気にかかりますが、ひとつの物語の必然ということで、覚悟しつつ続きを読ませていただきます。


久遠は、ああ言ってますけど。
決して、悪い方向に向かわせません。

>
> では、本当にとても短くなりましたが、この辺で。

はい、ありがとうございました。
では、次回で。


>

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17858家族の写真 ACT59 五月十五日 ―当日/迎撃 SIDE:電脳空間@―十叶 夕海 2006/10/4 00:41:02
記事番号17834へのコメント









「先走るなよ、ライラ。」
「失礼ね。
 レイティスの『To be cool』は忘れてないわ。」
「忘れてなくても、お前は冷静に怒れると言う器用なマネしてくれるだろう?」
エリスコレクションがある部屋の真向かいの部屋。
デスクトップ型のパソコンデスクと部屋の半分を占領している『ポッド』とその操作板のある部屋だ。
あと目立つ家具と言えば、ファイルのぎっしり詰まった本棚ぐらいだ。
「しまった、二人とも落ちるなら、もう一人居るか。
 ライラ、十分、パソコンから時間を稼いでくれ。」
「誰か、召還するの?」
「ああ、ぶっつけ本番に近いが、アイツが居ないと潜れないからな。」
「わかったわ。」
「このMOとFDのプログラム、好きに使っていいぞ。」
「さすが、《召喚師(サーモニングマスター)》!!」
エイレンは、さっさとプログラムを渡すと、少し開けたスペースに行ってしまった。
それが、少し照れくさそうなのは、気のせいではないだろう。
ちなみに、ライラが受け取ったプログラム達は、伝説や神話になぞらえた攻撃用プログラムが入っているのだ。
エイレン個人が最も得意とするのは、対電脳戦なのだ。
その彼女、謹製の攻撃プログラムと言えば、かなり強力なことで有名なのだ。
ライラが、パソコンに向かったのを確認したエイレンは、黒真珠とエメラルドの玉を自分を中心に、8方向に真円になるように投げた。
「さて、やるか。
 《我は 昏き深淵なる淵を覗き込み
  我は 明き階(きざはし)の頂き仰ぎ見て
  我は咎人 変わらぬ旧き精霊(とも)と
  我は理を破り 生み出せし者を
  両端の精霊を従えし者
  我の旧き精霊(とも)《正義の鉄壁》レナード=M=レンテンローズ。
  我が生み出せし者 《節制の電脳少女》エモーション=エレクトリック。
  具現せよ具現せよ《使鬼召喚(ファミリア・サーモニング)》」
エイレンは、二体の《使鬼》を召喚した。
前者は、氷のような水色の直髪を幅広の黒いリボンでまとめ、アイスグリーンの瞳はうさんくさいようなそんな色を宿している、『丈夫』の花言葉の花の名前をファミリーネームに持つ、図書館の司書風の男。
後者は、アカシア蜜色のウェービーな長髪とロゼワインのような紫色の瞳、深い藍色の肩で結んでは居るが、肩と二の腕のほとんどが出ている足元までゆったりと覆う衣装とベレー帽の十代半ばの少女。
彼女の衣装とベレー帽には、時計の文字盤や計器のような模様があしらわれている。
「おはようございます、マスター。」
「おはよう、エイレン嬢。」
「私は何を、ご命令を、エイレン様。」
「命令(オーダー)を、エイレン嬢。」
「レナードは、今に居る《アーチャー》を見張れ。
 アレの能力は、無機物に通用しない。
 エルは、《電脳侵入(サイバーダイブ・イン)》の補助と案内を。」
「承知いたしました。」
「Yes、mam。」





「カードの選択を。
 電脳空間での衣装と武器を。」
ライラと交代したエモーションは。攻撃プログラムに指示を出す手を止めずに、眼を離さずに、様々な絵が描かれたカードを差し出す。
エイレンは、ライラに『選択しないと。裸で電脳空間に降りることになる』と前置きをした。
ここで、この部屋にある『ポッド』の説明をしよう。
『ポッド』とは、公式通称:サイバーポッドと呼ばれる精密電子機器だ。
パソコン創成期に、『マンハッタン計画』のメンバーのジョン=フォン=ノイマンの設計図を元に作られた『サイバー=電脳空間』に『意識』を『電気信号に変換』して、落とす機械だ。
もちろん、『電脳空間』で、受けた『ダメージ』は、そのまま現実の精神ダメージになる。
エイレンは、深い緑のワンピースと手首に装着するタイプの暗器系のナイフを装備した。
ライラは、迷彩柄のカーゴパンツとタンクトップに、アーミーナイフと数丁の拳銃を装備した。
もちろん、その形をした防御&攻撃プログラムである。





電脳空間―。
『ここ』は、見る人のイメージに左右される。
その場に居る人で、一番意志の強い人物の心が反映される。
今は、光差し込む海のような様相。
ただ、水の中のような動きにくさは無い。
降り立ったエイレンとライラは、二人の人物と対面する。
一人は、コーヒーブラウンの肌に金髪を赤とかオレンジとか明るいのビーズで飾られたやや女性向けにも見えるもの紐でシッポのように結んでいて、瞳は、ロゼワインの紫色、欧州人のような彫りが深い顔というよりは、亜細亜人のような彫りの浅い整った容貌/
服は、街のハイティーンを捕まえれば、だいたい着ていそうなありきたりでその分人に、なじみ込めそうな服装の二十歳ぐらいの青年―カイン=ディラストル。
もう一人は、自然な灰色に近いアッシュブロンドと赤茶の瞳の淡い微笑みが似合う武闘服姿の若い優男―ファルト=ソロミネス。
「今生というか、今の肉体では、初めまして?
 私は、《お伽噺》は《影の語り部》。
 エイレン=レティナ=マイセリアル。
 以後、お見知りおきを。
 ・・・・・カイン=ディラストル。」
優美なお辞儀の為に、裾を引くエイレン。
しかし、その表情は、所作に似合わず、不敵である。
「アベル=レス=シルベスタを知ってるんだ。」
「間接的にね。」
「面白いね、エイレン嬢?」
「カイン様?
 今は、任務を。」
「ま、殺りあおう。
 それで良いでしょ、私達は敵同士なんだから。」
ライラの言葉は、エイレン達に言っていると言うよりも、自分とファルトに対するモノだった。
そうして、闘いは、始まる。






@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@


ユア;まず、初めに。
   『この物語は、実在の人物/組織などに、一切関係はありません。』
久遠:なんで?
ユア;作中の『ジョン=フォン=ノイマン』が、実在の人物だから。
   一応、これはフィクションですし?
久遠:なんで、そんなマイナーなナイスミドルを?
ユア;授業で話題になって、もう少し長生きしてれば、作中のような機械を作ったんじゃないかなって言うほどの天才だったから。
久遠;単純。
ユア;ともあれ、次回で。
二人:それじゃ、またね。

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17861久々の対談レスにつき、羅城朱琉暴走中。羅城 朱琉 2006/10/6 08:37:42
記事番号17858へのコメント


朱琉:こんにちは、羅城 朱琉です。まともにレスするのはものすごく久しぶりな気がします。
アミイ:実際、久しぶりだもの。じゃあ、早速レスしますか。
>
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>
>
>
>
>
>
>「先走るなよ、ライラ。」
>「失礼ね。
> レイティスの『To be cool』は忘れてないわ。」
>「忘れてなくても、お前は冷静に怒れると言う器用なマネしてくれるだろう?」
>エリスコレクションがある部屋の真向かいの部屋。
>デスクトップ型のパソコンデスクと部屋の半分を占領している『ポッド』とその操作板のある部屋だ。
>あと目立つ家具と言えば、ファイルのぎっしり詰まった本棚ぐらいだ。
>「しまった、二人とも落ちるなら、もう一人居るか。
> ライラ、十分、パソコンから時間を稼いでくれ。」
>「誰か、召還するの?」
>「ああ、ぶっつけ本番に近いが、アイツが居ないと潜れないからな。」
>「わかったわ。」
>「このMOとFDのプログラム、好きに使っていいぞ。」
>「さすが、《召喚師(サーモニングマスター)》!!」
>エイレンは、さっさとプログラムを渡すと、少し開けたスペースに行ってしまった。
>それが、少し照れくさそうなのは、気のせいではないだろう。
>ちなみに、ライラが受け取ったプログラム達は、伝説や神話になぞらえた攻撃用プログラムが入っているのだ。
>エイレン個人が最も得意とするのは、対電脳戦なのだ。
>その彼女、謹製の攻撃プログラムと言えば、かなり強力なことで有名なのだ。
>ライラが、パソコンに向かったのを確認したエイレンは、黒真珠とエメラルドの玉を自分を中心に、8方向に真円になるように投げた。
>「さて、やるか。
> 《我は 昏き深淵なる淵を覗き込み
>  我は 明き階(きざはし)の頂き仰ぎ見て
>  我は咎人 変わらぬ旧き精霊(とも)と
>  我は理を破り 生み出せし者を
>  両端の精霊を従えし者
>  我の旧き精霊(とも)《正義の鉄壁》レナード=M=レンテンローズ。
>  我が生み出せし者 《節制の電脳少女》エモーション=エレクトリック。
>  具現せよ具現せよ《使鬼召喚(ファミリア・サーモニング)》」
>エイレンは、二体の《使鬼》を召喚した。
>前者は、氷のような水色の直髪を幅広の黒いリボンでまとめ、アイスグリーンの瞳はうさんくさいようなそんな色を宿している、『丈夫』の花言葉の花の名前をファミリーネームに持つ、図書館の司書風の男。
>後者は、アカシア蜜色のウェービーな長髪とロゼワインのような紫色の瞳、深い藍色の肩で結んでは居るが、肩と二の腕のほとんどが出ている足元までゆったりと覆う衣装とベレー帽の十代半ばの少女。
>彼女の衣装とベレー帽には、時計の文字盤や計器のような模様があしらわれている。
>「おはようございます、マスター。」
>「おはよう、エイレン嬢。」
>「私は何を、ご命令を、エイレン様。」
>「命令(オーダー)を、エイレン嬢。」
>「レナードは、今に居る《アーチャー》を見張れ。
> アレの能力は、無機物に通用しない。
> エルは、《電脳侵入(サイバーダイブ・イン)》の補助と案内を。」
>「承知いたしました。」
>「Yes、mam。」
朱琉:・・・・・・・・ほう。なるほど。
アミイ:どこをどう納得してるわけなのか知らないけど、ものすごい笑顔でかえって不気味よ。
朱琉:いえいえ、こういう『電脳戦』というか、『静かな戦い』的な雰囲気って好きだな、と思っただけですよ。

>
>
>
>
>
>「カードの選択を。
> 電脳空間での衣装と武器を。」
>ライラと交代したエモーションは。攻撃プログラムに指示を出す手を止めずに、眼を離さずに、様々な絵が描かれたカードを差し出す。
>エイレンは、ライラに『選択しないと。裸で電脳空間に降りることになる』と前置きをした。
>ここで、この部屋にある『ポッド』の説明をしよう。
>『ポッド』とは、公式通称:サイバーポッドと呼ばれる精密電子機器だ。
>パソコン創成期に、『マンハッタン計画』のメンバーのジョン=フォン=ノイマンの設計図を元に作られた『サイバー=電脳空間』に『意識』を『電気信号に変換』して、落とす機械だ。
>もちろん、『電脳空間』で、受けた『ダメージ』は、そのまま現実の精神ダメージになる。
>エイレンは、深い緑のワンピースと手首に装着するタイプの暗器系のナイフを装備した。
>ライラは、迷彩柄のカーゴパンツとタンクトップに、アーミーナイフと数丁の拳銃を装備した。
>もちろん、その形をした防御&攻撃プログラムである。
朱琉:・・・・ちょっとゲーム的?
アミイ:電脳世界に入って、そこで戦うという意味では、一種ゲームみたいなものじゃないのかしら?

>
>
>
>
>
>電脳空間―。
>『ここ』は、見る人のイメージに左右される。
>その場に居る人で、一番意志の強い人物の心が反映される。
>今は、光差し込む海のような様相。
>ただ、水の中のような動きにくさは無い。
>降り立ったエイレンとライラは、二人の人物と対面する。
>一人は、コーヒーブラウンの肌に金髪を赤とかオレンジとか明るいのビーズで飾られたやや女性向けにも見えるもの紐でシッポのように結んでいて、瞳は、ロゼワインの紫色、欧州人のような彫りが深い顔というよりは、亜細亜人のような彫りの浅い整った容貌/
>服は、街のハイティーンを捕まえれば、だいたい着ていそうなありきたりでその分人に、なじみ込めそうな服装の二十歳ぐらいの青年―カイン=ディラストル。
>もう一人は、自然な灰色に近いアッシュブロンドと赤茶の瞳の淡い微笑みが似合う武闘服姿の若い優男―ファルト=ソロミネス。
>「今生というか、今の肉体では、初めまして?
> 私は、《お伽噺》は《影の語り部》。
> エイレン=レティナ=マイセリアル。
> 以後、お見知りおきを。
> ・・・・・カイン=ディラストル。」
>優美なお辞儀の為に、裾を引くエイレン。
>しかし、その表情は、所作に似合わず、不敵である。
>「アベル=レス=シルベスタを知ってるんだ。」
>「間接的にね。」
>「面白いね、エイレン嬢?」
>「カイン様?
> 今は、任務を。」
>「ま、殺りあおう。
> それで良いでしょ、私達は敵同士なんだから。」
>ライラの言葉は、エイレン達に言っていると言うよりも、自分とファルトに対するモノだった。
>そうして、闘いは、始まる。
朱琉:うわぁ楽しみ!
アミイ:朱琉、久々の対談レスで暴走してるのかしら・・・・?妙にハイテンション。
朱琉:いえいえ、ただ、また出てきたなぁ『アベル=レス=シルベスタ』の名前、と思いまして。結構謎な方なので。

>
>
>
>
>
>
>@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@
>
>
>ユア;まず、初めに。
>   『この物語は、実在の人物/組織などに、一切関係はありません。』
>久遠:なんで?
>ユア;作中の『ジョン=フォン=ノイマン』が、実在の人物だから。
>   一応、これはフィクションですし?
>久遠:なんで、そんなマイナーなナイスミドルを?
>ユア;授業で話題になって、もう少し長生きしてれば、作中のような機械を作ったんじゃないかなって言うほどの天才だったから。
>久遠;単純。
>ユア;ともあれ、次回で。
>二人:それじゃ、またね。
朱琉:はい、では、また。
二人:また今度!


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17862次回は、作者が暴走してます。十叶 夕海 2006/10/7 08:58:31
記事番号17861へのコメント


>
>朱琉:こんにちは、羅城 朱琉です。まともにレスするのはものすごく久しぶりな気がします。
>アミイ:実際、久しぶりだもの。じゃあ、早速レスしますか。

ユア:こんにちは。はい、ありがとうございます。
久遠:じゃ、返レス行きましょう。

>>
>>
>>
>>
>>
>>
>>
>>
>>「先走るなよ、ライラ。」
>>「失礼ね。
>> レイティスの『To be cool』は忘れてないわ。」
>>「忘れてなくても、お前は冷静に怒れると言う器用なマネしてくれるだろう?」
>>エリスコレクションがある部屋の真向かいの部屋。
>>デスクトップ型のパソコンデスクと部屋の半分を占領している『ポッド』とその操作板のある部屋だ。
>>あと目立つ家具と言えば、ファイルのぎっしり詰まった本棚ぐらいだ。
>>「しまった、二人とも落ちるなら、もう一人居るか。
>> ライラ、十分、パソコンから時間を稼いでくれ。」
>>「誰か、召還するの?」
>>「ああ、ぶっつけ本番に近いが、アイツが居ないと潜れないからな。」
>>「わかったわ。」
>>「このMOとFDのプログラム、好きに使っていいぞ。」
>>「さすが、《召喚師(サーモニングマスター)》!!」
>>エイレンは、さっさとプログラムを渡すと、少し開けたスペースに行ってしまった。
>>それが、少し照れくさそうなのは、気のせいではないだろう。
>>ちなみに、ライラが受け取ったプログラム達は、伝説や神話になぞらえた攻撃用プログラムが入っているのだ。
>>エイレン個人が最も得意とするのは、対電脳戦なのだ。
>>その彼女、謹製の攻撃プログラムと言えば、かなり強力なことで有名なのだ。
>>ライラが、パソコンに向かったのを確認したエイレンは、黒真珠とエメラルドの玉を自分を中心に、8方向に真円になるように投げた。
>>「さて、やるか。
>> 《我は 昏き深淵なる淵を覗き込み
>>  我は 明き階(きざはし)の頂き仰ぎ見て
>>  我は咎人 変わらぬ旧き精霊(とも)と
>>  我は理を破り 生み出せし者を
>>  両端の精霊を従えし者
>>  我の旧き精霊(とも)《正義の鉄壁》レナード=M=レンテンローズ。
>>  我が生み出せし者 《節制の電脳少女》エモーション=エレクトリック。
>>  具現せよ具現せよ《使鬼召喚(ファミリア・サーモニング)》」
>>エイレンは、二体の《使鬼》を召喚した。
>>前者は、氷のような水色の直髪を幅広の黒いリボンでまとめ、アイスグリーンの瞳はうさんくさいようなそんな色を宿している、『丈夫』の花言葉の花の名前をファミリーネームに持つ、図書館の司書風の男。
>>後者は、アカシア蜜色のウェービーな長髪とロゼワインのような紫色の瞳、深い藍色の肩で結んでは居るが、肩と二の腕のほとんどが出ている足元までゆったりと覆う衣装とベレー帽の十代半ばの少女。
>>彼女の衣装とベレー帽には、時計の文字盤や計器のような模様があしらわれている。
>>「おはようございます、マスター。」
>>「おはよう、エイレン嬢。」
>>「私は何を、ご命令を、エイレン様。」
>>「命令(オーダー)を、エイレン嬢。」
>>「レナードは、今に居る《アーチャー》を見張れ。
>> アレの能力は、無機物に通用しない。
>> エルは、《電脳侵入(サイバーダイブ・イン)》の補助と案内を。」
>>「承知いたしました。」
>>「Yes、mam。」
>朱琉:・・・・・・・・ほう。なるほど。
>アミイ:どこをどう納得してるわけなのか知らないけど、ものすごい笑顔でかえって不気味よ。
>朱琉:いえいえ、こういう『電脳戦』というか、『静かな戦い』的な雰囲気って好きだな、と思っただけですよ。

ユア:ありがとうございます。
久遠:ユアちゃん、裏稼業入れるって決めてから、こういうのやりたいって言ってたものね。
ユア;はいです♪
   こっち側の闘いと差別化してきたいですね。

>
>>
>>
>>
>>
>>
>>「カードの選択を。
>> 電脳空間での衣装と武器を。」
>>ライラと交代したエモーションは。攻撃プログラムに指示を出す手を止めずに、眼を離さずに、様々な絵が描かれたカードを差し出す。
>>エイレンは、ライラに『選択しないと。裸で電脳空間に降りることになる』と前置きをした。
>>ここで、この部屋にある『ポッド』の説明をしよう。
>>『ポッド』とは、公式通称:サイバーポッドと呼ばれる精密電子機器だ。
>>パソコン創成期に、『マンハッタン計画』のメンバーのジョン=フォン=ノイマンの設計図を元に作られた『サイバー=電脳空間』に『意識』を『電気信号に変換』して、落とす機械だ。
>>もちろん、『電脳空間』で、受けた『ダメージ』は、そのまま現実の精神ダメージになる。
>>エイレンは、深い緑のワンピースと手首に装着するタイプの暗器系のナイフを装備した。
>>ライラは、迷彩柄のカーゴパンツとタンクトップに、アーミーナイフと数丁の拳銃を装備した。
>>もちろん、その形をした防御&攻撃プログラムである。
>朱琉:・・・・ちょっとゲーム的?
>アミイ:電脳世界に入って、そこで戦うという意味では、一種ゲームみたいなものじゃないのかしら?

久遠;ゲームみたいなモノよ、どんなにイキ過ぎても、『命』は取られないもの。
   『心』は、取られるかもしれないけれど。
ユア:ニュアンス的には、今のバーチャルリアリティの進化版って雰囲気ですね。


>
>>
>>
>>
>>
>>
>>電脳空間―。
>>『ここ』は、見る人のイメージに左右される。
>>その場に居る人で、一番意志の強い人物の心が反映される。
>>今は、光差し込む海のような様相。
>>ただ、水の中のような動きにくさは無い。
>>降り立ったエイレンとライラは、二人の人物と対面する。
>>一人は、コーヒーブラウンの肌に金髪を赤とかオレンジとか明るいのビーズで飾られたやや女性向けにも見えるもの紐でシッポのように結んでいて、瞳は、ロゼワインの紫色、欧州人のような彫りが深い顔というよりは、亜細亜人のような彫りの浅い整った容貌/
>>服は、街のハイティーンを捕まえれば、だいたい着ていそうなありきたりでその分人に、なじみ込めそうな服装の二十歳ぐらいの青年―カイン=ディラストル。
>>もう一人は、自然な灰色に近いアッシュブロンドと赤茶の瞳の淡い微笑みが似合う武闘服姿の若い優男―ファルト=ソロミネス。
>>「今生というか、今の肉体では、初めまして?
>> 私は、《お伽噺》は《影の語り部》。
>> エイレン=レティナ=マイセリアル。
>> 以後、お見知りおきを。
>> ・・・・・カイン=ディラストル。」
>>優美なお辞儀の為に、裾を引くエイレン。
>>しかし、その表情は、所作に似合わず、不敵である。
>>「アベル=レス=シルベスタを知ってるんだ。」
>>「間接的にね。」
>>「面白いね、エイレン嬢?」
>>「カイン様?
>> 今は、任務を。」
>>「ま、殺りあおう。
>> それで良いでしょ、私達は敵同士なんだから。」
>>ライラの言葉は、エイレン達に言っていると言うよりも、自分とファルトに対するモノだった。
>>そうして、闘いは、始まる。
>朱琉:うわぁ楽しみ!
>アミイ:朱琉、久々の対談レスで暴走してるのかしら・・・・?妙にハイテンション。
>朱琉:いえいえ、ただ、また出てきたなぁ『アベル=レス=シルベスタ』の名前、と思いまして。結構謎な方なので。

ユア:次回は、別サイドですが、暴走しちゃいました。
久遠;・・・・アベルちゃんね。
   彼が居なければ、《チャイルドクラン》も生まれなかったでしょうに。
ユア:彼に関しては、ゼノンさんが出てこないと、詳しくは分からないでしょう。

>
>>
>>
>>
>>
>>
>>
>>@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@
>>
>>
>>ユア;まず、初めに。
>>   『この物語は、実在の人物/組織などに、一切関係はありません。』
>>久遠:なんで?
>>ユア;作中の『ジョン=フォン=ノイマン』が、実在の人物だから。
>>   一応、これはフィクションですし?
>>久遠:なんで、そんなマイナーなナイスミドルを?
>>ユア;授業で話題になって、もう少し長生きしてれば、作中のような機械を作ったんじゃないかなって言うほどの天才だったから。
>>久遠;単純。
>>ユア;ともあれ、次回で。
>>二人:それじゃ、またね。
>朱琉:はい、では、また。
>二人:また今度!
>
>
ユア:ありがとうございました。
二人;それじゃ、また。

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17863家族の写真 ACT60 五月十五日 ―当日/ソレゾレノ理由A―十叶 夕海 2006/10/7 14:55:47
記事番号17834へのコメント






「レナードちゃん?
 ・・・・・やっぱりクレセントちゃん達?」
同僚、同胞とも言えるレナード=M=レンテンローズが降りて来たのを見て、真意を訊ねる。
彼は、よほどのことが無い限り、召喚されたとしても、エイレンの側を離れることがごくごく稀なのだ。
「クレセントと言うと、15年ほど前のあのガキですよね?
 私は、《アーチャー》を監視するようにいわれたのですが?」
「だから、あの十五年前の小さい方の男の子が、クレセントで、《アーチャー》なのよ。」
「あの《やり過ぎ野郎(オーバーキラー)》の《アーチャー》で、ハナタレ小僧?」
レナードが、クレセントを『はなたれ小僧』と言ったその瞬間。
アルシェンナが、彼の首に、ナイフをひたりと宛てがう。
「クレセント様、悪く言う、否。」
「おや、人間が無謀なことを。
 ・・・・にしても、久遠。
 女は妖怪と言うのも、あながち・・・・」
「・・・妖怪じゃなくて、魔物ね。
 ほらほら、喧嘩はダメよ、二人とも。」
喧嘩とかそう言うレベルじゃない気がしたが、そう言う久遠の制止と《ブラックウィドー》の脅しめいた取りなしで、うやむやに終わった。







理由 ―アリエスの場合―

「私は、《チャイルドクラン》自体を潰したいと言うよりも。
 《吸血鬼》を・・・・レイティス兄さんの仇を取りたい。
 その《吸血鬼》がいるから、《チャイルドクラン》を潰したい。」
「吸血鬼・・・・渾名の意味でか?」
「はい?」
《樹姫》が、唐突にした質問にアリエスは思わず、聞き返していた。
まるで、『それ以外に、意味がありますか?』とでも聞くように。
これは、ある種当たり前だろう。
九十九神や妖魔は見たことがあるから信じることが出来る。
あるが、吸血鬼まで行くと流石に、信じれないのだろう。
「・・・・・乾、変なことを聞いたか?」
「関わらないと、人外って信じれないだろうしね。」
「何を言っているんです?」
「私も、吸血鬼だ。
 人の血を吸って生きている、バケモンさ。
 ブラム=ストーカーだっけ、アレに出てくるヤツと同じね。
 ・・・・そのお前が、求める《吸血鬼》の名前は?」
「・・・・時国宗留、です。」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・あいつねぇ。」
「知っているんですか?
 教えなさい、今すぐに!!」
ジュリが、意味ありげに呟くとアリエスは、肩をつかんで揺さぶり、彼女に詰め寄る。
普段の『裏稼業中』のアリエスからは、考えられない行動。
でも、レイティスのことだけは違うのだ。
『今』の彼女にとって、最優先すべきことが、父であり、兄であり、師匠でもあった『レイティス』のことなのだ。
「義理の息子の友人だ。
 高校時代の先輩で、今は一年に一回訊ねてくるか来ないかの仲らしいな。
 ・・・・今は、《チャイルドクラン》に居ると聞くが?
 多分、この国には居ないだろう。」
この後、レナードの天然毒舌で、静かになった。






理由 ―アルトの場合―

「俺の理由は、一番軽いと思うよ。
 《爆炎の教皇》みたく、組織に不満がある訳でもない。
 《占札ノ使鬼姫》みたく、義務感どうのこうのって訳でもないし。
 《千里眼のオルフェーゼ》とかみたいに、恨みがある訳でもない。」
「じゃ、『快楽』為とか?」
《アーチャー》がからかうように、そう言った。
アルトは、それにあっさり頷いた。
「うん、それが一番近いかも。
 俺にとって、組織を潰すのは、『目的』っていうより、『手段』だもん。
「《ラビ》、下手なことを言うと、ナイフ投げますよ?」
彼が、裏に入った理由を・・・・《チャイルドクラン》に刃向かう理由をアリエスは、一週間ほど前に、聞いているのだ。
その制止を振り払って、というか完全無視をして、こう言った。
表情は、ウィンドブレーカーのフードに隠れて見えないが、その声は誇らしげで、嬉しげでもあった。
「笑顔が見たいんだ。
 《オルフェーゼ》のレイティスさんが生きてた頃のひまわりみたいな笑顔が見たいから。
 見れるかもしれないから、俺は、《チャイルドクラン》を潰したい。」
「《ラビ》ィッ!!」
アリエスが、ナイフ投げの体勢を抱き締め、封じるアルト。
どこか、ハートマークが飛び交いそうなのは、気のせいではないだろう。
「ラビちゃんってば、純情ねぇ。」
「ある意味、幸せ者ですわね、《オルフェーゼ》?」
などなど、からかわれまくった。





隙間 ―レンシェルマと久遠―

「大丈夫?レンちゃん。」
「・・・・・大丈夫です。」
「とてもじゃないけど、そうは見えないわ。」
「まだまだ、子どもだと思っていたのですけれど。
 もう大人・・・なんですね。」
「そういうものよ、レンちゃん。
 子どもって、親が気付かないところで、大きくなるの。」





動機 ―《アーチャー》達の理由―

「・・・・・・壊したいから。
 裏の世界を壊したいんだ。
 《チャイルドクラン》が、その中心だから。
 まず、それを壊そうって。」
「そ、元々は、俺たちを実験してたトコを潰そうってのが、根源だけど。
 どうせなら、ぜんぶ、潰した方が、爽快そうじゃねぇと思ってさ。」
「・・・・私は、クレセント様に、着いていくだけ。」
言葉なげもなく、クレセント、ジオルグ、アルシェンナは言う。
しかし、彼らは、こう言うことを暗に言っているのだ。

『《チャイルドクラン》潰しが終わったら、裏と言う世界を全部、潰しますよ。』

そう言っているのだ。
「無茶言いはるなぁ。
 お兄さん、裏のうて、おもてありえへん。
 濁のうて、清ありえへんのと同じや。」
「《L》ちゃん、それは正論だけど、それじゃ、お腹いっぱいにならないわ。
 ・・・・・・・・・・・・だけどね、クレセントちゃん。
 エイレンちゃんの居場所を・・・・・」
「抑えろ、久遠。
 人間が、お前の本気の殺気に当てられたたら、狂い死にする可能性が!!」
《L》―ラディハルトが、正論じみたことで、クレセント達二言い返した途端。
どろりとした黒く、暗い、深い、昏い、そして人間には本能的に恐ろしいと思わせる。
そんな『殺気』・・・・そんな言葉すら、生温いと思ってしまうそんな『気迫』。
それが、同僚の久遠によって、行使された時の恐ろしさをレナードは知っていた。
「うふふふふふふ、だってね、エイレンちゃんの存在理由(レゾンディーティル)を削ろうとしているんですもの。
 殺しちゃいたいのよ。」
「《魔導師(マジスタ)ラビ》!!
 貴方の能力で、とっと縛りなさい。」
「え、あ、はい。
 《重力よ、久遠さんを縛れ(バインド・クオン・グラビディ)》。」
「これくらいじゃ、お姉さん、怯まないわよ。」
「怯まなくても、動きは鈍るでしょう。
 まったく、私は、肉弾戦は苦手なのですがね。」
久遠に、アルトの《重力の鎖》がかかると同時に、レナードは、彼の傍に跳んだ。
そして、キレイに、首を捕まえた上で、鳩尾に、膝蹴りを入れる。
気を失った久遠を壁に持たせかけながら、クレセント達にレナードは、静かに言う。
「私はね、スピード系の肉弾戦は大の苦手です。
 でもね、私のミドルネームの『M』は、『ミョルニル』・・・『打ち砕くモノ』です。
 貴方方の、目標が、マスターの意思に背く物であるならば、私は私の名前通りに、打ち砕きます。
 ・・・・・くれぐれも忘れないように。」









@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@



ユア;いろいろな意味で、暴走中だぜ、野郎ども!!な一話でしたね。
久遠;お姉さんは、少し本気の殺気を出せて、すっきりしたわぁ。
ユア;お願い、嬉しそうにうきうきしながら言わないで。
久遠:次回は、《気殺》ちゃんVSディスちゃん、《エータミレアム》VS紫苑ちゃんよね。
ユア:なんですけどね。
   リアルサイドが、一番胃が痛いんです。
久遠;《氣殺》ちゃんとディスちゃんが戦うから?
ユア:それもあります。
   ありますが、予定ACT64に入る予定の迎撃現実サイドAで、《お伽噺》の人物が、初登場なのですよ。
久遠:ああ、彼?・・・・彼女?
   複雑な立場だものね、あの子は。
ユア:なんですよね。
   ともかく、今回は、この辺で。
二人;では、また次回で。

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17864らぶだ・・・・ラブのオーラが出ている・・・・羅城 朱琉 2006/10/11 08:35:43
記事番号17863へのコメント


 こんにちは、遅くなりました、羅城 朱琉です。
 朝っぱらから妙なテンションでお送りする・・・・つもりだったのですが、本日レポート提出期限&新たな実習のメモ書き用意のため、手短に。脳波は苦手です・・・・。

 とりあえず、まず、ラブですよお二人さん!(←誰に言ってるんだ?)
 ラビ君の一節だけでもう大爆笑でした、甘すぎて。

 打って変わって、静かな(?)狂気な《アーチャー》さん。でも、物悲しく思うのはやはり背景をちらっとでも知っているせいでしょうか?

 結局妙なテンションになってしまった羅城でした。
 では、短いですがこの辺で。

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17865一途なんですよね、善くも悪くも。十叶 夕海 2006/10/11 21:30:32
記事番号17864へのコメント


>
> こんにちは、遅くなりました、羅城 朱琉です。
> 朝っぱらから妙なテンションでお送りする・・・・つもりだったのですが、本日レポート提出期限&新たな実習のメモ書き用意のため、手短に。脳波は苦手です・・・・。

こんにちは、ユアです。いえいえ、嬉しいです。
了解です。

>
> とりあえず、まず、ラブですよお二人さん!(←誰に言ってるんだ?)
> ラビ君の一節だけでもう大爆笑でした、甘すぎて。

多少空回っている感ありますが、ラブラブ光線放射な、一節ですね。
これからも、ラビは、この調子です。

>
> 打って変わって、静かな(?)狂気な《アーチャー》さん。でも、物悲しく思うのはやはり背景をちらっとでも知っているせいでしょうか?

なんですよね。
彼も、表・・・太陽の世界に生まれてたり、引き取られてたら、多少変でも、フツーの人生かもなのです。
この物語の終わりまでに、彼も彼なりの答えを出せるようにするつもりです。

>
> 結局妙なテンションになってしまった羅城でした。
> では、短いですがこの辺で。
ありがとうございました。
では、次回で。
>

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17866家族の写真 ACT61 五月十五日 ―当日/迎撃 Side:現実ー十叶 夕海 2006/10/11 23:06:53
記事番号17834へのコメント






「最悪、最悪、さ、い、あ、く。」
「ディスティアサン?」
「この前、宵颯って言う子ども拾った話はしたよね?
 それが、《氣殺使い》なの。
 殺したくない・・・・・・っても、無理だろうね。
 でもね、子どもだよ、アルトとか、アリエスと同じ年齢だよ。
 高校に通っててもおかしくないのに、《氣殺》なんか、選んじゃってる。
 ・・・・・・・私は、優しくなんかない、甘い。
 甘いけど、ガキが戦うのは・・・・・・え、な、やだ、《風舞姫》。
 私が・・・・戦・・・・う・・・・・っってぇ・・・・・」
マンションのエレベーターの中、ディスティアは、つらつらと呟いていたのを、途中で、止める。
踞ってしまった。
心配そうにする紫苑。
一階に着くと同時に、立ち上がった。
その瞳は、凍てついた蒼の瞳、『冬の湖の瞳』に変化していた。
「・・・・・《風舞姫》サン?」
「久しぶり、紫苑。
 三月のあの依頼ぶりだね。
 今、集会を邪魔しようとしている《チャイルドクラン》のヤツの迎撃に行くところよね。
 相手は、《エータミレアム》と《氣殺使い》?
 ・・・・・《エータミレアム》・・・・榮太郎の相手は任せた、殺しても構わない。
 好きに解体しろ、むしろ、解体しなきゃ怒る。」
「え?」
「・・・・・・・・・・ディスにあんな真似しやがったヤツだ。
 殺せ、ただし私が退けと言ったら、退け。
 ・・・・・・《氣殺使い》は、確保する。」
「はイイっ?」
「どうした?
 そんな怪訝な声を出して。」
出入り口の自動ドアの直前で、珍しく感情ののせられた紫苑の声に、《風舞姫》は立ち止まる。
いつになく、好戦的な台詞だったのか?と、自分の台詞を振り返るが、別にそうおかしくない、いつもどおりの台詞だったかと思う。
指示出してる、だけだし。
というか、二ヶ月前の三月の指示もこんなもんだったと思う。
「ディスティアサン達を狙ってイる人達、でスヨ?」
「それなのに、皆殺しを何故命じないかって?
 ・・・・・・ディスが気にしている子どもだ。
 第一、《氣殺》は、有用だしね。
 私にも近い、何時消えるか解らないっていうことで・・・ね。
 それに・・・・・・・いや、口にするのは恐いな。
 ・・・・・・確定しちゃいそうだし。」
《風舞姫》は、やや自嘲的に発した最後の言葉は、だれにも聞かれること無く、虚空に消えた。
(自覚しちゃったけど、言えないわよね、あの子のことが好きって。)
(《風舞姫》?)
(何でも無い。
 あいつは、宵颯は、殺しはしない。
 安心して、寝てろ、ディス。)

この心は・・・・あのガキを愛しいと思う心なんか、持っちゃ行けない。
私は、ディスティアの為に、生きて、死ぬんだから。
それ以外の感情(こころ)はいらない。

そう誰にも聴こえない、慟哭のような決意を胸に、《風舞姫》は、歩き出した。









「お久しぶり、愛しのディスティア。
 相変わらず、綺麗だね。」
「お久しぶり、闇霧榮太郎。
 相変わらず、クレイジーだね。」
「・・・・榮太郎、知り合いなの?」
白尽くめの色の無い髪と左右の色が微妙に違うオッドアイの青年と黒尽くめで、長身痩躯の少年は、マンションに隣接する駐車場にいた。
いつもは、自動車でひしめいていると言うほどではないが、それなりにあるはずの自動車が一台も無い。
おまけに、人気も無い。
(あいつの【人払いの歌】か。)
「・・・・・・・・《地獄の詩人(ヘルズ・バード)》まで使うか。
 メンバーのジュリさん、乾さん、イライアスが恨んでいる相手をわざわざ使うなんて、よっぽど、《チャイルドクラン》も、人材が居ないのね。」
「さあ、上の意向だからね。
 ・・・・・・・ディスティアじゃないね、《風舞姫》?」
「榮太郎、説明して。
 ・・・・・・・・ああ、いつも言ってた『殺したいほどに熱烈に愛してる人』?」
「別人だ、宵颯。
 私は、《風舞姫》。
 ディスティアを守り、ディスティアの幸福だけを願う存在だ。
 お前が知るディスティアは、今は眠っている。」
「ま、とにかく、今回は、前にレイティス=アイルテを殺した時に、忠告した通りに。
 『次に、我らに刃向けし時は、命をもらう』。っていうの、果たさせてもらうね。
 迎撃に出て来たのが、ディスティアだなんて、嬉しくもあり。
 だけど、心が、《風舞姫》哀しくもあり。」
「黙れ、《エータミレアム》・・・。」
小さな銀色だけで構成されたナイフを四本、右手の指の間に挟み、大きなナイフを盾にするかのように、左手で構える。
まるで、これ以上、『音の言葉』で語り合うことなど無いとでも言うように。
紫苑も、心が違う主を追うように、獲物の直刀の短剣と婉曲した短剣を構えた。
「もう、言葉はいらないだろう?
 存分に、殺りあおう。
 【心望まぬままに、余力を残さずに。】」
この哀しみのこもった言葉・・・・いえ、呟きが、戦闘の合図になった。
空気が爆ぜる。
《エータミレアム》と紫苑・・・《ルリイロ》竜胆紫苑は、街路樹、縁石、ベンチ、街灯等周りにあるモノを足場にして、刃を重ねている。
紫苑の身体能力は、《クラン》の生体実験の産物である。
榮太郎個人の能力は、いわゆる【肉体強化】だ。
だから、こうも、超人対決?が行える。
ある意味、人外的な身体能力だ。
・・・・・・心まではそうとは限らないが。
対して、《氣殺》の宵颯と《風舞姫》は、向かい合ったまま、微動だにしない。
「・・・・・来ないのか?」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・。」
「私はな、ディスティアほど甘くはないが。
 オレンジの心配をして、ジュースを絞れない程度には、甘い。
 言っている意味が分かるか?」
「・・・・・『拷問する相手』を心配して、『情報』を絞れないってこと?」
「そう。
 これでも、100人単位で殺しているのに、未だに恐いんだよ。
 拷問とか戦闘とかで、相手と目が合うとね。
 殺すどころか、傷つけるのですら、躊躇してしまう。
 そう言った意味では、お前を殺せない。
 ・・・・・・こうも真っ直ぐに見られては、殺す気すら起きない。
 例え、『私』が、死んでもね。
 ・・・・・『ディスティア』が、危ないなら、別だけれど。」
つらつらと、《風舞姫》は、語る。
『戦おう』というわりには、『戦いたくない』とでも、叫ぶように訴えるように。
同時に、伝わらないことも、願うように。
「なあ、宵颯。
 こっち側に来ないか?
 お前の望みに、必要な『お伽噺』の関係者が・・・・・・・
 もう遅いな。
 ・・・・・出会いが早く違っていれば、また違っただろうに。」
《風舞姫》は、滑るように舞うように、宵颯との距離をつめる。
ヒットすれば、致命傷という軌道で、ナイフが宵風の頭を薙ぐ。
宵颯は、バランスを崩しながらも、バックステップで避ける。
そして、《風舞姫》の・・・・ディスティアの身体を指差す。
「ぐが・・・っっっっ。
 【Zwangslo¨sung Bann】
 ・・・・・・これが、気殺か。」
その途端に、体内で、何か暴れるか、乱暴に殻を脱ごうとしたかのように、波打った。
頭などの血管も、切れたのか血をだらだらと流す。
死亡する直前に、《風舞姫》は、『強制解呪』の『短縮呪文(ショートスペル)』を唱えこと無きを終える。
《氣殺》を使われたのだ。
その後は、ただ無言に、闘いは進んだ。
《風舞姫》が、足首を折ろうと、ローキックを繰り出せば、ひらりと舞うように、宵颯は避け。
宵颯が、《氣殺》を行おうとすれば、肺へのシャブで、呼吸を乱す《風舞姫》
かたや、殺さない為の『闘い』
かたや、殺す為の『戦い』。
似て非なるその闘争。
この哀しくも美しい戦舞(いくさまい)。
運命の女神様は、どちらに微笑むのだろうか?


まぁ、運命の女神と言うのは、『残酷』だというのが、相場なのだけれど。






@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@


さて、宵颯VSディスティア&《エータミレアム》VS紫苑の始まりです。
そろそろ、《お伽噺》も、本編に絡んできそうです。
というか、ホットミルクと胃薬がオトモダチな作者なのですよ。


次回は、エイレン&ライラVSカイン&ファルトのA。
お楽しみに。
それじゃ、次回で。

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17867痛・・・・。羅城 朱琉 2006/10/13 08:30:57
記事番号17866へのコメント


朱琉:こんにちは、羅城 朱琉です。
アミイ:早速だけど、レス行くわね。

>
>
>
>
>
>「最悪、最悪、さ、い、あ、く。」
>「ディスティアサン?」
>「この前、宵颯って言う子ども拾った話はしたよね?
> それが、《氣殺使い》なの。
> 殺したくない・・・・・・っても、無理だろうね。
> でもね、子どもだよ、アルトとか、アリエスと同じ年齢だよ。
> 高校に通っててもおかしくないのに、《氣殺》なんか、選んじゃってる。
> ・・・・・・・私は、優しくなんかない、甘い。
> 甘いけど、ガキが戦うのは・・・・・・え、な、やだ、《風舞姫》。
> 私が・・・・戦・・・・う・・・・・っってぇ・・・・・」
>マンションのエレベーターの中、ディスティアは、つらつらと呟いていたのを、途中で、止める。
>踞ってしまった。
>心配そうにする紫苑。
>一階に着くと同時に、立ち上がった。
>その瞳は、凍てついた蒼の瞳、『冬の湖の瞳』に変化していた。
>「・・・・・《風舞姫》サン?」
>「久しぶり、紫苑。
> 三月のあの依頼ぶりだね。
> 今、集会を邪魔しようとしている《チャイルドクラン》のヤツの迎撃に行くところよね。
> 相手は、《エータミレアム》と《氣殺使い》?
> ・・・・・《エータミレアム》・・・・榮太郎の相手は任せた、殺しても構わない。
> 好きに解体しろ、むしろ、解体しなきゃ怒る。」
>「え?」
>「・・・・・・・・・・ディスにあんな真似しやがったヤツだ。
> 殺せ、ただし私が退けと言ったら、退け。
> ・・・・・・《氣殺使い》は、確保する。」
>「はイイっ?」
>「どうした?
> そんな怪訝な声を出して。」
>出入り口の自動ドアの直前で、珍しく感情ののせられた紫苑の声に、《風舞姫》は立ち止まる。
>いつになく、好戦的な台詞だったのか?と、自分の台詞を振り返るが、別にそうおかしくない、いつもどおりの台詞だったかと思う。
>指示出してる、だけだし。
>というか、二ヶ月前の三月の指示もこんなもんだったと思う。
>「ディスティアサン達を狙ってイる人達、でスヨ?」
>「それなのに、皆殺しを何故命じないかって?
> ・・・・・・ディスが気にしている子どもだ。
> 第一、《氣殺》は、有用だしね。
> 私にも近い、何時消えるか解らないっていうことで・・・ね。
> それに・・・・・・・いや、口にするのは恐いな。
> ・・・・・・確定しちゃいそうだし。」
>《風舞姫》は、やや自嘲的に発した最後の言葉は、だれにも聞かれること無く、虚空に消えた。
>(自覚しちゃったけど、言えないわよね、あの子のことが好きって。)
>(《風舞姫》?)
>(何でも無い。
> あいつは、宵颯は、殺しはしない。
> 安心して、寝てろ、ディス。)
>
>この心は・・・・あのガキを愛しいと思う心なんか、持っちゃ行けない。
>私は、ディスティアの為に、生きて、死ぬんだから。
>それ以外の感情(こころ)はいらない。
>
>そう誰にも聴こえない、慟哭のような決意を胸に、《風舞姫》は、歩き出した。
アミイ:《風舞姫》ちゃん、痛いわ・・・・。レイちゃんとも被るし、何だか・・・・ねぇ?
朱琉:私はあえてノーコメントで。言い(書き)出すと、きっと授業が始まるまで書いても書ききれないと思うので。

>
>
>
>
>
>
>
>
>
>「お久しぶり、愛しのディスティア。
> 相変わらず、綺麗だね。」
>「お久しぶり、闇霧榮太郎。
> 相変わらず、クレイジーだね。」
>「・・・・榮太郎、知り合いなの?」
>白尽くめの色の無い髪と左右の色が微妙に違うオッドアイの青年と黒尽くめで、長身痩躯の少年は、マンションに隣接する駐車場にいた。
>いつもは、自動車でひしめいていると言うほどではないが、それなりにあるはずの自動車が一台も無い。
>おまけに、人気も無い。
>(あいつの【人払いの歌】か。)
>「・・・・・・・・《地獄の詩人(ヘルズ・バード)》まで使うか。
> メンバーのジュリさん、乾さん、イライアスが恨んでいる相手をわざわざ使うなんて、よっぽど、《チャイルドクラン》も、人材が居ないのね。」
>「さあ、上の意向だからね。
> ・・・・・・・ディスティアじゃないね、《風舞姫》?」
>「榮太郎、説明して。
> ・・・・・・・・ああ、いつも言ってた『殺したいほどに熱烈に愛してる人』?」
>「別人だ、宵颯。
> 私は、《風舞姫》。
> ディスティアを守り、ディスティアの幸福だけを願う存在だ。
> お前が知るディスティアは、今は眠っている。」
>「ま、とにかく、今回は、前にレイティス=アイルテを殺した時に、忠告した通りに。
> 『次に、我らに刃向けし時は、命をもらう』。っていうの、果たさせてもらうね。
> 迎撃に出て来たのが、ディスティアだなんて、嬉しくもあり。
> だけど、心が、《風舞姫》哀しくもあり。」
>「黙れ、《エータミレアム》・・・。」
>小さな銀色だけで構成されたナイフを四本、右手の指の間に挟み、大きなナイフを盾にするかのように、左手で構える。
>まるで、これ以上、『音の言葉』で語り合うことなど無いとでも言うように。
>紫苑も、心が違う主を追うように、獲物の直刀の短剣と婉曲した短剣を構えた。
>「もう、言葉はいらないだろう?
> 存分に、殺りあおう。
> 【心望まぬままに、余力を残さずに。】」
>この哀しみのこもった言葉・・・・いえ、呟きが、戦闘の合図になった。
朱琉:本当に、空しく空ろな会話だな・・・・と。
アミイ:結局は、何を言おうと戦わなければいけないもの。何を言ったところで、無意味ね・・・・・・・・少なくとも、今は。
朱琉:戦いを通さねば、語れぬこともある、と?
アミイ:私は、そう思うわ。

>空気が爆ぜる。
>《エータミレアム》と紫苑・・・《ルリイロ》竜胆紫苑は、街路樹、縁石、ベンチ、街灯等周りにあるモノを足場にして、刃を重ねている。
>紫苑の身体能力は、《クラン》の生体実験の産物である。
>榮太郎個人の能力は、いわゆる【肉体強化】だ。
>だから、こうも、超人対決?が行える。
>ある意味、人外的な身体能力だ。
>・・・・・・心まではそうとは限らないが。
>対して、《氣殺》の宵颯と《風舞姫》は、向かい合ったまま、微動だにしない。
>「・・・・・来ないのか?」
>「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・。」
>「私はな、ディスティアほど甘くはないが。
> オレンジの心配をして、ジュースを絞れない程度には、甘い。
> 言っている意味が分かるか?」
>「・・・・・『拷問する相手』を心配して、『情報』を絞れないってこと?」
>「そう。
> これでも、100人単位で殺しているのに、未だに恐いんだよ。
> 拷問とか戦闘とかで、相手と目が合うとね。
> 殺すどころか、傷つけるのですら、躊躇してしまう。
> そう言った意味では、お前を殺せない。
> ・・・・・・こうも真っ直ぐに見られては、殺す気すら起きない。
> 例え、『私』が、死んでもね。
> ・・・・・『ディスティア』が、危ないなら、別だけれど。」
>つらつらと、《風舞姫》は、語る。
>『戦おう』というわりには、『戦いたくない』とでも、叫ぶように訴えるように。
>同時に、伝わらないことも、願うように。
>「なあ、宵颯。
> こっち側に来ないか?
> お前の望みに、必要な『お伽噺』の関係者が・・・・・・・
> もう遅いな。
> ・・・・・出会いが早く違っていれば、また違っただろうに。」
>《風舞姫》は、滑るように舞うように、宵颯との距離をつめる。
>ヒットすれば、致命傷という軌道で、ナイフが宵風の頭を薙ぐ。
>宵颯は、バランスを崩しながらも、バックステップで避ける。
>そして、《風舞姫》の・・・・ディスティアの身体を指差す。
>「ぐが・・・っっっっ。
> 【Zwangslo¨sung Bann】
> ・・・・・・これが、気殺か。」
>その途端に、体内で、何か暴れるか、乱暴に殻を脱ごうとしたかのように、波打った。
>頭などの血管も、切れたのか血をだらだらと流す。
>死亡する直前に、《風舞姫》は、『強制解呪』の『短縮呪文(ショートスペル)』を唱えこと無きを終える。
>《氣殺》を使われたのだ。
>その後は、ただ無言に、闘いは進んだ。
>《風舞姫》が、足首を折ろうと、ローキックを繰り出せば、ひらりと舞うように、宵颯は避け。
>宵颯が、《氣殺》を行おうとすれば、肺へのシャブで、呼吸を乱す《風舞姫》
>かたや、殺さない為の『闘い』
>かたや、殺す為の『戦い』。
>似て非なるその闘争。
>この哀しくも美しい戦舞(いくさまい)。
>運命の女神様は、どちらに微笑むのだろうか?
>
>
>まぁ、運命の女神と言うのは、『残酷』だというのが、相場なのだけれど。
>
>
>
>
>
>
>@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@
>
>
>さて、宵颯VSディスティア&《エータミレアム》VS紫苑の始まりです。
>そろそろ、《お伽噺》も、本編に絡んできそうです。
朱琉:はい、楽しみにしていました!
アミイ:楽しみだけど、痛いし悲しい?
朱琉:宵颯君、好きなので・・・・。

>というか、ホットミルクと胃薬がオトモダチな作者なのですよ。
朱琉:胃ですか・・・・。
アミイ:朱琉も、胃痛持ちよね。
朱琉:私の場合、ブラック・微糖のコーヒーを止めれば治ると思うんですが・・・・コーヒーと、BL○CK&BL○CKキャンディーがないと、いつでもどこでも寝てしまうのです。
アミイ:悪循環・・・・。

>
>
>次回は、エイレン&ライラVSカイン&ファルトのA。
>お楽しみに。
>それじゃ、次回で。
朱琉:はい、それでは、また。
二人:また次回!


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17868『結果』のための『過程』なのに、痛い。十叶 夕海 2006/10/14 19:26:27
記事番号17867へのコメント


>
>朱琉:こんにちは、羅城 朱琉です。
>アミイ:早速だけど、レス行くわね。

ユア;こんにちは、ユアです。
久遠:胃が痛そうな作者ちゃんと私で返レス行くわね。

>
>>
>>
>>
>>
>>
>>「最悪、最悪、さ、い、あ、く。」
>>「ディスティアサン?」
>>「この前、宵颯って言う子ども拾った話はしたよね?
>> それが、《氣殺使い》なの。
>> 殺したくない・・・・・・っても、無理だろうね。
>> でもね、子どもだよ、アルトとか、アリエスと同じ年齢だよ。
>> 高校に通っててもおかしくないのに、《氣殺》なんか、選んじゃってる。
>> ・・・・・・・私は、優しくなんかない、甘い。
>> 甘いけど、ガキが戦うのは・・・・・・え、な、やだ、《風舞姫》。
>> 私が・・・・戦・・・・う・・・・・っってぇ・・・・・」
>>マンションのエレベーターの中、ディスティアは、つらつらと呟いていたのを、途中で、止める。
>>踞ってしまった。
>>心配そうにする紫苑。
>>一階に着くと同時に、立ち上がった。
>>その瞳は、凍てついた蒼の瞳、『冬の湖の瞳』に変化していた。
>>「・・・・・《風舞姫》サン?」
>>「久しぶり、紫苑。
>> 三月のあの依頼ぶりだね。
>> 今、集会を邪魔しようとしている《チャイルドクラン》のヤツの迎撃に行くところよね。
>> 相手は、《エータミレアム》と《氣殺使い》?
>> ・・・・・《エータミレアム》・・・・榮太郎の相手は任せた、殺しても構わない。
>> 好きに解体しろ、むしろ、解体しなきゃ怒る。」
>>「え?」
>>「・・・・・・・・・・ディスにあんな真似しやがったヤツだ。
>> 殺せ、ただし私が退けと言ったら、退け。
>> ・・・・・・《氣殺使い》は、確保する。」
>>「はイイっ?」
>>「どうした?
>> そんな怪訝な声を出して。」
>>出入り口の自動ドアの直前で、珍しく感情ののせられた紫苑の声に、《風舞姫》は立ち止まる。
>>いつになく、好戦的な台詞だったのか?と、自分の台詞を振り返るが、別にそうおかしくない、いつもどおりの台詞だったかと思う。
>>指示出してる、だけだし。
>>というか、二ヶ月前の三月の指示もこんなもんだったと思う。
>>「ディスティアサン達を狙ってイる人達、でスヨ?」
>>「それなのに、皆殺しを何故命じないかって?
>> ・・・・・・ディスが気にしている子どもだ。
>> 第一、《氣殺》は、有用だしね。
>> 私にも近い、何時消えるか解らないっていうことで・・・ね。
>> それに・・・・・・・いや、口にするのは恐いな。
>> ・・・・・・確定しちゃいそうだし。」
>>《風舞姫》は、やや自嘲的に発した最後の言葉は、だれにも聞かれること無く、虚空に消えた。
>>(自覚しちゃったけど、言えないわよね、あの子のことが好きって。)
>>(《風舞姫》?)
>>(何でも無い。
>> あいつは、宵颯は、殺しはしない。
>> 安心して、寝てろ、ディス。)
>>
>>この心は・・・・あのガキを愛しいと思う心なんか、持っちゃ行けない。
>>私は、ディスティアの為に、生きて、死ぬんだから。
>>それ以外の感情(こころ)はいらない。
>>
>>そう誰にも聴こえない、慟哭のような決意を胸に、《風舞姫》は、歩き出した。
>アミイ:《風舞姫》ちゃん、痛いわ・・・・。レイちゃんとも被るし、何だか・・・・ねぇ?
>朱琉:私はあえてノーコメントで。言い(書き)出すと、きっと授業が始まるまで書いても書ききれないと思うので。

久遠:あるいみで、アリエスちゃんでもあるわ。
   だけど・・・・見てられないわね。
ユア;言い出すと、きりがないので一言だけ。
   このエピソードも、『結果』に行くための『過程』なのです。

>
>>
>>
>>
>>
>>
>>
>>
>>
>>
>>「お久しぶり、愛しのディスティア。
>> 相変わらず、綺麗だね。」
>>「お久しぶり、闇霧榮太郎。
>> 相変わらず、クレイジーだね。」
>>「・・・・榮太郎、知り合いなの?」
>>白尽くめの色の無い髪と左右の色が微妙に違うオッドアイの青年と黒尽くめで、長身痩躯の少年は、マンションに隣接する駐車場にいた。
>>いつもは、自動車でひしめいていると言うほどではないが、それなりにあるはずの自動車が一台も無い。
>>おまけに、人気も無い。
>>(あいつの【人払いの歌】か。)
>>「・・・・・・・・《地獄の詩人(ヘルズ・バード)》まで使うか。
>> メンバーのジュリさん、乾さん、イライアスが恨んでいる相手をわざわざ使うなんて、よっぽど、《チャイルドクラン》も、人材が居ないのね。」
>>「さあ、上の意向だからね。
>> ・・・・・・・ディスティアじゃないね、《風舞姫》?」
>>「榮太郎、説明して。
>> ・・・・・・・・ああ、いつも言ってた『殺したいほどに熱烈に愛してる人』?」
>>「別人だ、宵颯。
>> 私は、《風舞姫》。
>> ディスティアを守り、ディスティアの幸福だけを願う存在だ。
>> お前が知るディスティアは、今は眠っている。」
>>「ま、とにかく、今回は、前にレイティス=アイルテを殺した時に、忠告した通りに。
>> 『次に、我らに刃向けし時は、命をもらう』。っていうの、果たさせてもらうね。
>> 迎撃に出て来たのが、ディスティアだなんて、嬉しくもあり。
>> だけど、心が、《風舞姫》哀しくもあり。」
>>「黙れ、《エータミレアム》・・・。」
>>小さな銀色だけで構成されたナイフを四本、右手の指の間に挟み、大きなナイフを盾にするかのように、左手で構える。
>>まるで、これ以上、『音の言葉』で語り合うことなど無いとでも言うように。
>>紫苑も、心が違う主を追うように、獲物の直刀の短剣と婉曲した短剣を構えた。
>>「もう、言葉はいらないだろう?
>> 存分に、殺りあおう。
>> 【心望まぬままに、余力を残さずに。】」
>>この哀しみのこもった言葉・・・・いえ、呟きが、戦闘の合図になった。
>朱琉:本当に、空しく空ろな会話だな・・・・と。
>アミイ:結局は、何を言おうと戦わなければいけないもの。何を言ったところで、無意味ね・・・・・・・・少なくとも、今は。
>朱琉:戦いを通さねば、語れぬこともある、と?
>アミイ:私は、そう思うわ。

ユア:もう、言葉で語る前に、刃で語る段階なんですね。
久遠:そうよね、男の交流ツールは握る拳じゃないけど、刃を交わしてこそ・・・・・ね。
ユア:・・・・否定できないですね。

>>
>>@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@
>>
>>
>>さて、宵颯VSディスティア&《エータミレアム》VS紫苑の始まりです。
>>そろそろ、《お伽噺》も、本編に絡んできそうです。
>朱琉:はい、楽しみにしていました!
>アミイ:楽しみだけど、痛いし悲しい?
>朱琉:宵颯君、好きなので・・・・。

ユア:・・・ありがとうございます。
久遠:ユアちゃん?(外道よね〜と言う眼)
ユア:とりあえず、次々回お楽しみに。

>
>>というか、ホットミルクと胃薬がオトモダチな作者なのですよ。
>朱琉:胃ですか・・・・。
>アミイ:朱琉も、胃痛持ちよね。
>朱琉:私の場合、ブラック・微糖のコーヒーを止めれば治ると思うんですが・・・・コーヒーと、BL○CK&BL○CKキャンディーがないと、いつでもどこでも寝てしまうのです。
>アミイ:悪循環・・・・。

ユア:胃なのです。
久遠:作者ちゃんは、心因性よね。
ユア:一応、五月十五日編終われば、日常系戻る予定なのです。
久遠:その後に、またあるから意味ないわね。


>
>>
>>
>>次回は、エイレン&ライラVSカイン&ファルトのA。
>>お楽しみに。
>>それじゃ、次回で。
>朱琉:はい、それでは、また。
>二人:また次回!
>

ユア:ありがとうござました。
二人:では、次回。

>

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17869家族の写真 ACT62 五月十五日 ―当日/迎撃 SIDE:電脳空間A―十叶 夕海 2006/10/15 21:39:12
記事番号17834へのコメント









「ライラ、悪いけど、私はカインとは戦うつもりが無い
 でも、貴女の復讐を止める気も、権利も無いしね。
 ここの空間、野球場程度には、区切っている。
 好きに、闘りに、殺れえあばいい。」
エイレンは、そう言って、視線をカインに固定した。
それとほぼ同時に、ライラとファルトは、離れて戦うつもりなのか離れていった。
それを横目で、確認したエイレンは、やっと、沈黙を破る。
「・・・質問良いかな、カイン=ディラストル。
 《エータミレアム》闇霧榮太郎を何故、《チャイルドクラン》に?
 先代の《強欲》・・・・・お前と同じ七大幹部を三年前の時に、殺したのはアイツだぞ?」
「強さと似た者同士だから。
 《戦乙女》と《歌乙女》のちがいはあるけどよ。」
「・・・・アレは違うよ。
 お前は、フツーの人間が、恋するように《戦乙女》を焦がれ求める。
 アイツは、自分の腕の中に留めるためなら、手足を手折り、眼球をくり抜くぐらいは平気でする。
 七ヶ月前だって、後半日遅れてればそうなった。
 ・・・・・・アイツをディスティアと違う組織にいれるのは、火薬庫で火炎放射器をぶっ放すとの変わらない。」
「・・・・お前、人間か?」
淡々と語るエイレンに、何故か恐れるかのように、何故か呆然として訊ねる、カイン。
血を吐くような辛く昏い想いを吐露しているはずなのに、無表情な人形のように語っているからなのか。
「・・・・・身体は人間だね。
 心は分からない。
 ・・・・・・《影の語り部》は、遥か遥か・・・・・気の遠くなるような過日は、《道化師》。
 ・・・分身さね。
 《道化師》の・・・《語り部》の哀しい哀しい自己葛藤の産物。
 本来、《道化師》は、中立の四柱が一柱。
 千と数百年前、他の三柱から、《道化師》は、追放された。
 代わりに、その三百年ほど前に生み出された私が入った。
 ・・・・・・他の三柱を知っている、カイン・・・ううん、《片眼王》。」
「《泉の乙女》《守護する龍》《世界樹の翁》の三柱。
 確か、このうち、《世界樹の翁》は、アメリカの禁酒法時代あたりで、行方不明になったと思うよ。」
カインの思い出すかのような返答。
どこか懐かしげに、どこか苦しげに、どこか刹なに切なそうに、エイレンは微笑む。
まるで、永く長く会えなかった・・・会えるはずの無かった血脈に繋がるものを見たかのように。
そして、カインは気付いてしまった。
《片眼王》は、《影の語り部》に勝てない。
戦闘能力とか、身体能力なら、余裕で勝てるだろう。
だけど、『戦って』勝てるとは思えない。
どちらかと言えば、『傷つけたくない』から、『勝てない』のだろう。
「そう構えないで。
 『決戦』で、私が戦うのは、オリジナルの『語り部』と幼馴染みだけ。
 それ以外は、ただ傍観する。
 忘れず、眼を背けず、ただ語り継ぐだけ。
 ・・・・貴方様は、貴方様が正しいと思った道をお進みください、遥か過日に袂を分った、我が王よ。」
「・・・・・・・・・現実で会いたいものだね。
 《影の語り部》・・・・・いや、エイレン=レティナ=マイセリアル。」
「現実じゃ、敵同士。
 今、出来るのは、現実と虚構の狭間の『電脳空間』で、微睡むように会うだけだ。
 ・・・現実で会うのは、叶わない。」
カインが、エイレンの名前を呼ぶと同時に、張りつめていた空気が、糸を切るように和らいだ。
エイレンの台詞も、先ほどと比べ、台詞は大仰だが、雰囲気は、柔らかく。
本当に、会えないことを残念がっているようだ。
『エイレン嬢。
 ライラ嬢とファルト氏の攻防で【区切り】が甘くなって来ている。』
タイミングを計るかのように、エモーションの声が響いた。
それに顔を見合わせる二人。
エイレンは、口の端だけを上げる笑みをこぼし、こう言った。
「それじゃ、退いてくれ。
 ・・・・・・・代わりに現実で、一回会ってやるよ。
 私も、興味が、出て来た。
 ・・・・・さようなら、《片眼王》カイン。」
「サンキュ。
 じゃあな、《影の語り部》エイレン。」














エイレン達から、離れた場所。
ライラとファルトは向き合う。
その雰囲気は、対立するかのように違っていた。
片や、ライラは、ギラギラと夏の灼熱の太陽のような復讐の炎に身を焦がしながら、瞳に宿る光は、『冷静』。
片や、ファルトは、ポカポカと暖かい春の暖かで穏やかな太陽な微笑みを浮かべていながら、瞳に宿る光は、『狂気的愛』
「私はね、貴方を許すわけにはいかないの。」
「・・・・・・許す?
 そうしてもらう必要があるんですか?」
「な、・・ベルを殺したのも、ディスを裏切ったのも・・・・」
「ベル兄さんを殺したのは僕です。
 ディスティアさんを裏切ったのも僕です。
 ですけど、それを許してもらうなんて、必要ないんです。
 貴女を手を手に入れたい。
 それだけなんですよ、ライラ義姉さん。」
ファルトは、静かに寂(しず)かに、そう言う。
音量はそう大きくないのに、何故か大きく響いて。
自分が、正しいとそう確信しているからか。
だけど、ライラは、それを看過するわけにはいかなかった。
5年前のあの時、もう数日もしたら、結婚式だった。
5年前のあの時、あと半年もしたら、お母さんになっていたはずだ。
それを潰したのが目の前の義弟。
「それでも、貴方がしたことは、二つの命と未来を奪ったわ。
 裏稼業に身を置く以上は、覚悟しているのでしょう?」
そういうと、ライラは、拳銃をホルダーから抜く。
「アプリケーション、ナンバー1から2をそれぞれ、三発装填。
 引き金を、スターティングに展開。」
こうして、ライラは、拳銃を放った。
ダミー兼自動攻防プログラム。
少し前に、自分で制作し、エイレンに改良してもらったモノだ。
全て、ファルトの周りに着弾し、黒いぼろぼろのマントを纏ったような影人が、包囲する。
「精神崩壊して、死ね、ファルト。」
「・・・・くす。」
「なっ。」
襲いかかろうとした影人が、はじけ飛ぶ。
それは、エイレンの攻撃プログラムが、完全に無効化されたコトを意味していた。
ありえないと言っても良いだろう。
現在、エイレンは、サイバースペースでは、負け知らずと言うか、挑んでくるものすらいないと言う、『最強』にして、『無敵』なのだ。
「・・・・・・まさか、『パパ・ライアン』?」
「そう、あの老師、参戦するって、連絡あったの一年ぐらい前でね。
 この無効化プログラムも、彼の作品。
 恐いですよねぇ、男の嫉妬って。」
「畜生(シット)!!
 ナンバー10から15を全拳銃に装填。
 引き金をスターティングに、全弾直接、《電脳の悪魔王(ルシュファード)》に。」
「無駄です。」
ライラが、矢継早に、放つがその防御プログラムに阻まれる。
そのある意味、無駄な攻防の間に、『パパ・ライアン』について、少々。
本名、ブライアン=オットー。
エイレンの幼馴染みで、彼女にごくごく基本的なクラッキングを教えた男性である。
数年後には、《パパ・ライアン》と呼ばれるクラッカーになっていた。
二十と数年前、《クラン》に彼女の家族を殺された時に、別れ別れになったが、二十年前に、裏稼業で再会した。
・・・・その約二年後、嫉妬から、《クラン》と一時組み、エイレンの相棒だったジェラルドを殺すように、糸を引いた。
15年前に、失踪して以来、行方知れずだったが、まさか、再び着いているとは思わなかった。
「それじゃ、僕から、行かせてもらいますよ、ライラ義姉さん。」
ファルトから仕掛けようとしたときだ。
めまいのような感覚が二人を襲う。
そして、【区切り】が、解かれたのだと分った。
それでも、終わらせるために、ライラは軍用ナイフを、ファルトは長い針をそれぞれ握り、交わるかと思われたその時!!
「止めておけ、そこまでで。」
繊手を覆う黒手袋を突き破って出ている細い細い刃タイプの暗器ナイフを二人の鼻先に突きつける。
あと1センチ・・・いや数ミリでも踏み込めば、それは二人の鼻にめり込むのだろう。
「・・・・《パパ・ライアン》の《恋人》エイレン。」
「誰がだ、私の恋人はジェラルドだけだ。
 ・・・・怒らせようって言うなら、お門違いだ。
 ・・・・・去ね。」
「エイレンさん、退いてください。」
「ライラ、ディスティアのパソコンを汚染したいか?
 このまま、【区切り】無く戦って。」
「・・・・分りました。」
「退け、ファルト。
 ・・・・カインも退いたぞ。」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」
無言で、不満そうにエイレンを睥睨すると、ファルトは、掻き消えた。
たぶん、現実の身体に戻ったのだろう。










ライラは思う。
この『電脳空間(サイバースペース)』から、戻る時の覚醒の瞬間が苦手だ。
もう無くなったあの日の朝のような、幸せの微睡みのような感覚でもあるからだ。
そうライラは思う。

エイレンは思う。
この『電脳空間(サイバースペース)』から、戻る時の覚醒の瞬間が好きだ。
もう無くなったあの朝のような、幸せな感覚が懐かしくて心地いいからだ。
そうエイレンは思う。


空気が抜ける音と同時にポッドが開く。
「「慣れない」」
特に打ち合わせも無く、ライラとエイレンは、そうユニゾンで呟いた。
「どうだ、ライラ。
 久しぶりのダイブは。」
「苦手。
 そろそろ、終わってるだろうから、さっさと降りよう、エイレン。」
「その前に、水分補給を。
 エイレン嬢、ライラ嬢。」
「はいはい、エル。
 ・・・・で、何処から入って来た?」
パソコンから、眼を離さずに、スポーツドリンクの小さなボトルを投げ渡すエモーション。
それを受け取り、確認をとりエイレン。
「『やっぱり』、外国?」
「はい、『やはり』外国です。
 ・・・大変そう、《ラビ》とかの未成年組。」
それから、数言言葉を交わし、階下へ降りる。
ちょうど、ちょっとした、問題が起こっていたのだけれど。
《お伽噺》関連のイザコザが。







@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@



ユア:これで、電脳サイドは、一旦終わり。
久遠:一旦?
ユア;途中で一話分、今回登場の《パパ・ライアン》とエモーションのお話が入る予定なので。
久遠:次回も、戦闘こそ無いけど、キャライジメまくりね。
ユア;一応ね、途中脱落・・・・死亡したり、行方不明になるキャラのための『その人にとっての幸せ》のための根回し。
久遠:ユアちゃん、『全員にとってのハッピーエンド』ガありえなくても、『全員、そのひとにとってのハッピーエンド』が書きたいって行ってたもんね。
ユア:そう。
   次の次のお話は、ご都合主義だの、調子が良いだの言われるのも、覚悟の上。
   全ては、『結果』のためです。
久遠:・・・・・・・・・・・・・・・そのためなら、胃痛なんか屁でもないと?
ユア;・・・・ええ、胃薬、今月二箱目でも。
   筆が乗っていないと、書けないですしね。
久遠;サドで、マゾよね、ユアちゃん。
ユア;(刃が、胸に刺さる)否定しない。
   まあ、ともあれ。
二人:では、次回で会いましょう!!

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17871暴走・・・・もとい、語り注意報発令中羅城 朱琉 2006/10/16 08:46:12
記事番号17869へのコメント


朱琉:こんにちは、羅城 朱琉です。今回は、アミリータさんのノリだけでは対処(?)できなさそうなのですが、あいも変わらず二人でレスなので、暴走・その他にご注意ください。
アミイ:そんなに言うんだったら、レイちゃん連れてくれば?
朱琉:さらに暗くなりそうなので、止めときます。では、レス参ります。

>
>
>
>
>
>
>
>
>「ライラ、悪いけど、私はカインとは戦うつもりが無い
> でも、貴女の復讐を止める気も、権利も無いしね。
> ここの空間、野球場程度には、区切っている。
> 好きに、闘りに、殺れえあばいい。」
>エイレンは、そう言って、視線をカインに固定した。
>それとほぼ同時に、ライラとファルトは、離れて戦うつもりなのか離れていった。
>それを横目で、確認したエイレンは、やっと、沈黙を破る。
>「・・・質問良いかな、カイン=ディラストル。
> 《エータミレアム》闇霧榮太郎を何故、《チャイルドクラン》に?
> 先代の《強欲》・・・・・お前と同じ七大幹部を三年前の時に、殺したのはアイツだぞ?」
>「強さと似た者同士だから。
> 《戦乙女》と《歌乙女》のちがいはあるけどよ。」
>「・・・・アレは違うよ。
> お前は、フツーの人間が、恋するように《戦乙女》を焦がれ求める。
> アイツは、自分の腕の中に留めるためなら、手足を手折り、眼球をくり抜くぐらいは平気でする。
> 七ヶ月前だって、後半日遅れてればそうなった。
> ・・・・・・アイツをディスティアと違う組織にいれるのは、火薬庫で火炎放射器をぶっ放すとの変わらない。」
>「・・・・お前、人間か?」
>淡々と語るエイレンに、何故か恐れるかのように、何故か呆然として訊ねる、カイン。
>血を吐くような辛く昏い想いを吐露しているはずなのに、無表情な人形のように語っているからなのか。
>「・・・・・身体は人間だね。
> 心は分からない。
> ・・・・・・《影の語り部》は、遥か遥か・・・・・気の遠くなるような過日は、《道化師》。
> ・・・分身さね。
> 《道化師》の・・・《語り部》の哀しい哀しい自己葛藤の産物。
> 本来、《道化師》は、中立の四柱が一柱。
> 千と数百年前、他の三柱から、《道化師》は、追放された。
> 代わりに、その三百年ほど前に生み出された私が入った。
> ・・・・・・他の三柱を知っている、カイン・・・ううん、《片眼王》。」
>「《泉の乙女》《守護する龍》《世界樹の翁》の三柱。
> 確か、このうち、《世界樹の翁》は、アメリカの禁酒法時代あたりで、行方不明になったと思うよ。」
>カインの思い出すかのような返答。
>どこか懐かしげに、どこか苦しげに、どこか刹なに切なそうに、エイレンは微笑む。
>まるで、永く長く会えなかった・・・会えるはずの無かった血脈に繋がるものを見たかのように。
>そして、カインは気付いてしまった。
>《片眼王》は、《影の語り部》に勝てない。
>戦闘能力とか、身体能力なら、余裕で勝てるだろう。
>だけど、『戦って』勝てるとは思えない。
>どちらかと言えば、『傷つけたくない』から、『勝てない』のだろう。
>「そう構えないで。
> 『決戦』で、私が戦うのは、オリジナルの『語り部』と幼馴染みだけ。
> それ以外は、ただ傍観する。
> 忘れず、眼を背けず、ただ語り継ぐだけ。
> ・・・・貴方様は、貴方様が正しいと思った道をお進みください、遥か過日に袂を分った、我が王よ。」
>「・・・・・・・・・現実で会いたいものだね。
> 《影の語り部》・・・・・いや、エイレン=レティナ=マイセリアル。」
>「現実じゃ、敵同士。
> 今、出来るのは、現実と虚構の狭間の『電脳空間』で、微睡むように会うだけだ。
> ・・・現実で会うのは、叶わない。」
>カインが、エイレンの名前を呼ぶと同時に、張りつめていた空気が、糸を切るように和らいだ。
>エイレンの台詞も、先ほどと比べ、台詞は大仰だが、雰囲気は、柔らかく。
>本当に、会えないことを残念がっているようだ。
>『エイレン嬢。
> ライラ嬢とファルト氏の攻防で【区切り】が甘くなって来ている。』
>タイミングを計るかのように、エモーションの声が響いた。
>それに顔を見合わせる二人。
>エイレンは、口の端だけを上げる笑みをこぼし、こう言った。
>「それじゃ、退いてくれ。
> ・・・・・・・代わりに現実で、一回会ってやるよ。
> 私も、興味が、出て来た。
> ・・・・・さようなら、《片眼王》カイン。」
>「サンキュ。
> じゃあな、《影の語り部》エイレン。」
朱琉:刹なく、切なく、涙が流れるわけじゃないのに、どこか胸に痛い、そんな会話・・・・。
アミイ:知って語れぬ語り部たちにできるのは、そんなことしかないのかもね。決して優しくはないのに、どこか暖かい。けれどそれは、後の悲劇を予期しているからかしら?
朱琉:・・・・とまあ、二人して語っていますが、今現在妙なテンションになっているので、ご容赦を。

>
>
>
>
>
>
>
>
>
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>
>
>
>
>エイレン達から、離れた場所。
>ライラとファルトは向き合う。
>その雰囲気は、対立するかのように違っていた。
>片や、ライラは、ギラギラと夏の灼熱の太陽のような復讐の炎に身を焦がしながら、瞳に宿る光は、『冷静』。
>片や、ファルトは、ポカポカと暖かい春の暖かで穏やかな太陽な微笑みを浮かべていながら、瞳に宿る光は、『狂気的愛』
>「私はね、貴方を許すわけにはいかないの。」
>「・・・・・・許す?
> そうしてもらう必要があるんですか?」
>「な、・・ベルを殺したのも、ディスを裏切ったのも・・・・」
>「ベル兄さんを殺したのは僕です。
> ディスティアさんを裏切ったのも僕です。
> ですけど、それを許してもらうなんて、必要ないんです。
> 貴女を手を手に入れたい。
> それだけなんですよ、ライラ義姉さん。」
>ファルトは、静かに寂(しず)かに、そう言う。
>音量はそう大きくないのに、何故か大きく響いて。
>自分が、正しいとそう確信しているからか。
>だけど、ライラは、それを看過するわけにはいかなかった。
>5年前のあの時、もう数日もしたら、結婚式だった。
>5年前のあの時、あと半年もしたら、お母さんになっていたはずだ。
>それを潰したのが目の前の義弟。
アミイ:ファルト君、正しくはないけれど、ある意味では正しいわね。自分がこれと定めたものに対して、狂気をはらむまでに一途。それは、他人から見れば間違った行為でも、自分の中ではただひとつ正しいことなのよ。
朱琉:でも、それで悲しむ人のことなど考えない。それが、『ただひとつと定めた相手』の嘆きにつながっていても。だから、これはやはり『狂気』なのでしょう。

>「それでも、貴方がしたことは、二つの命と未来を奪ったわ。
> 裏稼業に身を置く以上は、覚悟しているのでしょう?」
>そういうと、ライラは、拳銃をホルダーから抜く。
>「アプリケーション、ナンバー1から2をそれぞれ、三発装填。
> 引き金を、スターティングに展開。」
>こうして、ライラは、拳銃を放った。
>ダミー兼自動攻防プログラム。
>少し前に、自分で制作し、エイレンに改良してもらったモノだ。
>全て、ファルトの周りに着弾し、黒いぼろぼろのマントを纏ったような影人が、包囲する。
>「精神崩壊して、死ね、ファルト。」
>「・・・・くす。」
>「なっ。」
>襲いかかろうとした影人が、はじけ飛ぶ。
>それは、エイレンの攻撃プログラムが、完全に無効化されたコトを意味していた。
>ありえないと言っても良いだろう。
>現在、エイレンは、サイバースペースでは、負け知らずと言うか、挑んでくるものすらいないと言う、『最強』にして、『無敵』なのだ。
>「・・・・・・まさか、『パパ・ライアン』?」
>「そう、あの老師、参戦するって、連絡あったの一年ぐらい前でね。
> この無効化プログラムも、彼の作品。
> 恐いですよねぇ、男の嫉妬って。」
>「畜生(シット)!!
> ナンバー10から15を全拳銃に装填。
> 引き金をスターティングに、全弾直接、《電脳の悪魔王(ルシュファード)》に。」
>「無駄です。」
>ライラが、矢継早に、放つがその防御プログラムに阻まれる。
>そのある意味、無駄な攻防の間に、『パパ・ライアン』について、少々。
>本名、ブライアン=オットー。
>エイレンの幼馴染みで、彼女にごくごく基本的なクラッキングを教えた男性である。
>数年後には、《パパ・ライアン》と呼ばれるクラッカーになっていた。
>二十と数年前、《クラン》に彼女の家族を殺された時に、別れ別れになったが、二十年前に、裏稼業で再会した。
>・・・・その約二年後、嫉妬から、《クラン》と一時組み、エイレンの相棒だったジェラルドを殺すように、糸を引いた。
>15年前に、失踪して以来、行方知れずだったが、まさか、再び着いているとは思わなかった。
>「それじゃ、僕から、行かせてもらいますよ、ライラ義姉さん。」
>ファルトから仕掛けようとしたときだ。
>めまいのような感覚が二人を襲う。
>そして、【区切り】が、解かれたのだと分った。
>それでも、終わらせるために、ライラは軍用ナイフを、ファルトは長い針をそれぞれ握り、交わるかと思われたその時!!
>「止めておけ、そこまでで。」
>繊手を覆う黒手袋を突き破って出ている細い細い刃タイプの暗器ナイフを二人の鼻先に突きつける。
>あと1センチ・・・いや数ミリでも踏み込めば、それは二人の鼻にめり込むのだろう。
>「・・・・《パパ・ライアン》の《恋人》エイレン。」
>「誰がだ、私の恋人はジェラルドだけだ。
> ・・・・怒らせようって言うなら、お門違いだ。
> ・・・・・去ね。」
>「エイレンさん、退いてください。」
>「ライラ、ディスティアのパソコンを汚染したいか?
> このまま、【区切り】無く戦って。」
>「・・・・分りました。」
>「退け、ファルト。
> ・・・・カインも退いたぞ。」
>「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」
>無言で、不満そうにエイレンを睥睨すると、ファルトは、掻き消えた。
>たぶん、現実の身体に戻ったのだろう。
>
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>
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>
>ライラは思う。
>この『電脳空間(サイバースペース)』から、戻る時の覚醒の瞬間が苦手だ。
>もう無くなったあの日の朝のような、幸せの微睡みのような感覚でもあるからだ。
>そうライラは思う。
>
>エイレンは思う。
>この『電脳空間(サイバースペース)』から、戻る時の覚醒の瞬間が好きだ。
>もう無くなったあの朝のような、幸せな感覚が懐かしくて心地いいからだ。
>そうエイレンは思う。
朱琉:同じ感覚、よく似た回想。それでも、思うことは正反対。
アミイ:差は、何なんだろうね・・・・?吹っ切れているか、そうではないか?

>
>
>空気が抜ける音と同時にポッドが開く。
>「「慣れない」」
>特に打ち合わせも無く、ライラとエイレンは、そうユニゾンで呟いた。
>「どうだ、ライラ。
> 久しぶりのダイブは。」
>「苦手。
> そろそろ、終わってるだろうから、さっさと降りよう、エイレン。」
>「その前に、水分補給を。
> エイレン嬢、ライラ嬢。」
>「はいはい、エル。
> ・・・・で、何処から入って来た?」
>パソコンから、眼を離さずに、スポーツドリンクの小さなボトルを投げ渡すエモーション。
>それを受け取り、確認をとりエイレン。
>「『やっぱり』、外国?」
>「はい、『やはり』外国です。
> ・・・大変そう、《ラビ》とかの未成年組。」
>それから、数言言葉を交わし、階下へ降りる。
>ちょうど、ちょっとした、問題が起こっていたのだけれど。
>《お伽噺》関連のイザコザが。
朱琉:うわぁ・・・・楽しみ・・・・v
アミイ:大分、テンション戻ったわね。

>
>
>
>
>
>
>
>@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@
>
>
>
>ユア:これで、電脳サイドは、一旦終わり。
>久遠:一旦?
>ユア;途中で一話分、今回登場の《パパ・ライアン》とエモーションのお話が入る予定なので。
>久遠:次回も、戦闘こそ無いけど、キャライジメまくりね。
>ユア;一応ね、途中脱落・・・・死亡したり、行方不明になるキャラのための『その人にとっての幸せ》のための根回し。
>久遠:ユアちゃん、『全員にとってのハッピーエンド』ガありえなくても、『全員、そのひとにとってのハッピーエンド』が書きたいって行ってたもんね。
>ユア:そう。
>   次の次のお話は、ご都合主義だの、調子が良いだの言われるのも、覚悟の上。
>   全ては、『結果』のためです。
>久遠:・・・・・・・・・・・・・・・そのためなら、胃痛なんか屁でもないと?
>ユア;・・・・ええ、胃薬、今月二箱目でも。
>   筆が乗っていないと、書けないですしね。
>久遠;サドで、マゾよね、ユアちゃん。
>ユア;(刃が、胸に刺さる)否定しない。
>   まあ、ともあれ。
>二人:では、次回で会いましょう!!
朱琉:えっと・・・・それはさすがに気をつけたほうがいいのでは・・・・?
アミイ:漢方胃腸薬の方が、効き目なるいけど体には優しいわよ。・・・・って、『なるい』って方言かしら?意味は、『(薬の効き目が)緩やか』って感じだけど・・・・わかる?
朱琉:それはさておき、キャライジメは私もしてますし・・・・実は、次回あたりからディス嬢には思い切り葛藤してもらいますし、エヴァンス君も思い出との間で板ばさみですし、他も・・・・
アミイ:まあ、とにかく、自分でするくらいだから、そういう展開好きだってことね。
 じゃあ、今回はこの辺で。
二人:では、また!


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17872こちらも、語ってます。十叶 夕海 2006/10/16 14:38:33
記事番号17871へのコメント


>
>朱琉:こんにちは、羅城 朱琉です。今回は、アミリータさんのノリだけでは対処(?)できなさそうなのですが、あいも変わらず二人でレスなので、暴走・その他にご注意ください。
>アミイ:そんなに言うんだったら、レイちゃん連れてくれば?
>朱琉:さらに暗くなりそうなので、止めときます。では、レス参ります。

ユア:こんにちは、ユアです。
久遠:こっちも、会わせて語りそうよ。
ユア:そうなんですよね、語れることが限られても居ますが。
久遠:では、レス行きましょう。

>
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>>「ライラ、悪いけど、私はカインとは戦うつもりが無い
>> でも、貴女の復讐を止める気も、権利も無いしね。
>> ここの空間、野球場程度には、区切っている。
>> 好きに、闘りに、殺れえあばいい。」
>>エイレンは、そう言って、視線をカインに固定した。
>>それとほぼ同時に、ライラとファルトは、離れて戦うつもりなのか離れていった。
>>それを横目で、確認したエイレンは、やっと、沈黙を破る。
>>「・・・質問良いかな、カイン=ディラストル。
>> 《エータミレアム》闇霧榮太郎を何故、《チャイルドクラン》に?
>> 先代の《強欲》・・・・・お前と同じ七大幹部を三年前の時に、殺したのはアイツだぞ?」
>>「強さと似た者同士だから。
>> 《戦乙女》と《歌乙女》のちがいはあるけどよ。」
>>「・・・・アレは違うよ。
>> お前は、フツーの人間が、恋するように《戦乙女》を焦がれ求める。
>> アイツは、自分の腕の中に留めるためなら、手足を手折り、眼球をくり抜くぐらいは平気でする。
>> 七ヶ月前だって、後半日遅れてればそうなった。
>> ・・・・・・アイツをディスティアと違う組織にいれるのは、火薬庫で火炎放射器をぶっ放すとの変わらない。」
>>「・・・・お前、人間か?」
>>淡々と語るエイレンに、何故か恐れるかのように、何故か呆然として訊ねる、カイン。
>>血を吐くような辛く昏い想いを吐露しているはずなのに、無表情な人形のように語っているからなのか。
>>「・・・・・身体は人間だね。
>> 心は分からない。
>> ・・・・・・《影の語り部》は、遥か遥か・・・・・気の遠くなるような過日は、《道化師》。
>> ・・・分身さね。
>> 《道化師》の・・・《語り部》の哀しい哀しい自己葛藤の産物。
>> 本来、《道化師》は、中立の四柱が一柱。
>> 千と数百年前、他の三柱から、《道化師》は、追放された。
>> 代わりに、その三百年ほど前に生み出された私が入った。
>> ・・・・・・他の三柱を知っている、カイン・・・ううん、《片眼王》。」
>>「《泉の乙女》《守護する龍》《世界樹の翁》の三柱。
>> 確か、このうち、《世界樹の翁》は、アメリカの禁酒法時代あたりで、行方不明になったと思うよ。」
>>カインの思い出すかのような返答。
>>どこか懐かしげに、どこか苦しげに、どこか刹なに切なそうに、エイレンは微笑む。
>>まるで、永く長く会えなかった・・・会えるはずの無かった血脈に繋がるものを見たかのように。
>>そして、カインは気付いてしまった。
>>《片眼王》は、《影の語り部》に勝てない。
>>戦闘能力とか、身体能力なら、余裕で勝てるだろう。
>>だけど、『戦って』勝てるとは思えない。
>>どちらかと言えば、『傷つけたくない』から、『勝てない』のだろう。
>>「そう構えないで。
>> 『決戦』で、私が戦うのは、オリジナルの『語り部』と幼馴染みだけ。
>> それ以外は、ただ傍観する。
>> 忘れず、眼を背けず、ただ語り継ぐだけ。
>> ・・・・貴方様は、貴方様が正しいと思った道をお進みください、遥か過日に袂を分った、我が王よ。」
>>「・・・・・・・・・現実で会いたいものだね。
>> 《影の語り部》・・・・・いや、エイレン=レティナ=マイセリアル。」
>>「現実じゃ、敵同士。
>> 今、出来るのは、現実と虚構の狭間の『電脳空間』で、微睡むように会うだけだ。
>> ・・・現実で会うのは、叶わない。」
>>カインが、エイレンの名前を呼ぶと同時に、張りつめていた空気が、糸を切るように和らいだ。
>>エイレンの台詞も、先ほどと比べ、台詞は大仰だが、雰囲気は、柔らかく。
>>本当に、会えないことを残念がっているようだ。
>>『エイレン嬢。
>> ライラ嬢とファルト氏の攻防で【区切り】が甘くなって来ている。』
>>タイミングを計るかのように、エモーションの声が響いた。
>>それに顔を見合わせる二人。
>>エイレンは、口の端だけを上げる笑みをこぼし、こう言った。
>>「それじゃ、退いてくれ。
>> ・・・・・・・代わりに現実で、一回会ってやるよ。
>> 私も、興味が、出て来た。
>> ・・・・・さようなら、《片眼王》カイン。」
>>「サンキュ。
>> じゃあな、《影の語り部》エイレン。」
>朱琉:刹なく、切なく、涙が流れるわけじゃないのに、どこか胸に痛い、そんな会話・・・・。
>アミイ:知って語れぬ語り部たちにできるのは、そんなことしかないのかもね。決して優しくはないのに、どこか暖かい。けれどそれは、後の悲劇を予期しているからかしら?
>朱琉:・・・・とまあ、二人して語っていますが、今現在妙なテンションになっているので、ご容赦を。
>

久遠:流す涙が、無いからなのかもしれないけど、今は薙がせないと思っているような会話ね。
ユア:知っていて語れないのも辛いですが、語った後のことを思うと。
   後の悲劇を予測すればこそ、話せない。二重背反律。
久遠:こノ前後数話は、結構な早さで書いているせいか、妙にテンションと言うかノリが良すぎるのよね。

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>>エイレン達から、離れた場所。
>>ライラとファルトは向き合う。
>>その雰囲気は、対立するかのように違っていた。
>>片や、ライラは、ギラギラと夏の灼熱の太陽のような復讐の炎に身を焦がしながら、瞳に宿る光は、『冷静』。
>>片や、ファルトは、ポカポカと暖かい春の暖かで穏やかな太陽な微笑みを浮かべていながら、瞳に宿る光は、『狂気的愛』
>>「私はね、貴方を許すわけにはいかないの。」
>>「・・・・・・許す?
>> そうしてもらう必要があるんですか?」
>>「な、・・ベルを殺したのも、ディスを裏切ったのも・・・・」
>>「ベル兄さんを殺したのは僕です。
>> ディスティアさんを裏切ったのも僕です。
>> ですけど、それを許してもらうなんて、必要ないんです。
>> 貴女を手を手に入れたい。
>> それだけなんですよ、ライラ義姉さん。」
>>ファルトは、静かに寂(しず)かに、そう言う。
>>音量はそう大きくないのに、何故か大きく響いて。
>>自分が、正しいとそう確信しているからか。
>>だけど、ライラは、それを看過するわけにはいかなかった。
>>5年前のあの時、もう数日もしたら、結婚式だった。
>>5年前のあの時、あと半年もしたら、お母さんになっていたはずだ。
>>それを潰したのが目の前の義弟。
>アミイ:ファルト君、正しくはないけれど、ある意味では正しいわね。自分がこれと定めたものに対して、狂気をはらむまでに一途。それは、他人から見れば間違った行為でも、自分の中ではただひとつ正しいことなのよ。
>朱琉:でも、それで悲しむ人のことなど考えない。それが、『ただひとつと定めた相手』の嘆きにつながっていても。だから、これはやはり『狂気』なのでしょう。


ユア;『狂気』を孕んでいても、それは、『正義』。
   彼にとってだけの、身勝手だけれど、『一途な正義』
久遠:相手が悲しもうと、どうしようと、それでも手に入れたいと思うのは、歪み切っていても、恋なのかもしれないわ。

>>
>>
>>
>>
>>
>>
>>ライラは思う。
>>この『電脳空間(サイバースペース)』から、戻る時の覚醒の瞬間が苦手だ。
>>もう無くなったあの日の朝のような、幸せの微睡みのような感覚でもあるからだ。
>>そうライラは思う。
>>
>>エイレンは思う。
>>この『電脳空間(サイバースペース)』から、戻る時の覚醒の瞬間が好きだ。
>>もう無くなったあの朝のような、幸せな感覚が懐かしくて心地いいからだ。
>>そうエイレンは思う。
>朱琉:同じ感覚、よく似た回想。それでも、思うことは正反対。
>アミイ:差は、何なんだろうね・・・・?吹っ切れているか、そうではないか?

久遠:時間の差、かしらね。
ユア:別に言い換えれば、『想い出』に出来ているか、居ないかの違い。

>
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>>空気が抜ける音と同時にポッドが開く。
>>「「慣れない」」
>>特に打ち合わせも無く、ライラとエイレンは、そうユニゾンで呟いた。
>>「どうだ、ライラ。
>> 久しぶりのダイブは。」
>>「苦手。
>> そろそろ、終わってるだろうから、さっさと降りよう、エイレン。」
>>「その前に、水分補給を。
>> エイレン嬢、ライラ嬢。」
>>「はいはい、エル。
>> ・・・・で、何処から入って来た?」
>>パソコンから、眼を離さずに、スポーツドリンクの小さなボトルを投げ渡すエモーション。
>>それを受け取り、確認をとりエイレン。
>>「『やっぱり』、外国?」
>>「はい、『やはり』外国です。
>> ・・・大変そう、《ラビ》とかの未成年組。」
>>それから、数言言葉を交わし、階下へ降りる。
>>ちょうど、ちょっとした、問題が起こっていたのだけれど。
>>《お伽噺》関連のイザコザが。
>朱琉:うわぁ・・・・楽しみ・・・・v
>アミイ:大分、テンション戻ったわね。

ユア:早ければ今日中に投稿予定。
久遠:後半分よね。
ユア:三分の一です。
>
>>
>>
>>
>>
>>
>>
>>
>>@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@
>>
>>
>>
>>ユア:これで、電脳サイドは、一旦終わり。
>>久遠:一旦?
>>ユア;途中で一話分、今回登場の《パパ・ライアン》とエモーションのお話が入る予定なので。
>>久遠:次回も、戦闘こそ無いけど、キャライジメまくりね。
>>ユア;一応ね、途中脱落・・・・死亡したり、行方不明になるキャラのための『その人にとっての幸せ》のための根回し。
>>久遠:ユアちゃん、『全員にとってのハッピーエンド』ガありえなくても、『全員、そのひとにとってのハッピーエンド』が書きたいって行ってたもんね。
>>ユア:そう。
>>   次の次のお話は、ご都合主義だの、調子が良いだの言われるのも、覚悟の上。
>>   全ては、『結果』のためです。
>>久遠:・・・・・・・・・・・・・・・そのためなら、胃痛なんか屁でもないと?
>>ユア;・・・・ええ、胃薬、今月二箱目でも。
>>   筆が乗っていないと、書けないですしね。
>>久遠;サドで、マゾよね、ユアちゃん。
>>ユア;(刃が、胸に刺さる)否定しない。
>>   まあ、ともあれ。
>>二人:では、次回で会いましょう!!
>朱琉:えっと・・・・それはさすがに気をつけたほうがいいのでは・・・・?
>アミイ:漢方胃腸薬の方が、効き目なるいけど体には優しいわよ。・・・・って、『なるい』って方言かしら?意味は、『(薬の効き目が)緩やか』って感じだけど・・・・わかる?
>朱琉:それはさておき、キャライジメは私もしてますし・・・・実は、次回あたりからディス嬢には思い切り葛藤してもらいますし、エヴァンス君も思い出との間で板ばさみですし、他も・・・・
>アミイ:まあ、とにかく、自分でするくらいだから、そういう展開好きだってことね。
> じゃあ、今回はこの辺で。
>二人:では、また!

ユア:注意書きに沿えば、今日明日で服用しばらく止める必要ありですね。
久遠:大丈夫よ、アミイちゃん、ちゃんと伝わってるわ。
ユア:私も似たような感じですね。
二人:それじゃ、またね。

>
>

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17873家族の写真 ACT63 五月十五日 ー当日/話セヌコトもあるー十叶 夕海 2006/10/16 21:11:46
記事番号17834へのコメント







「まだ、帰ってきませんわね。
 ディスちゃんたちも、エイレンさん達も。
 ・・・・・どういたしましょう?」
新しい紅茶―ヴヴァとアッサムとダージリンのブレンドーの入ったポッドを蒸し人形を被せながら、《ブラック=ウィドー》が呟く。
その腕には、ルキウスが、幸せそうに寝ていた。
「あの、《ブラック・ウィドー》さん。
 二つ、質問いいですか?」
「良いですわ。
 私に答えられるものでしたら。」
「・・・・一つ目、貴方、誰です?
 二つ目、何故、《お伽噺》をしってるんです?」
「・・・・・《ラビ》?」
不安そうな・・・・・まるで自分の『指摘』が当たっていないことを祈るかのようなアルトに、アリエスは呼びかける。
しかし、それに、視線も、言葉も返さず。
ただ、『支えていて。』とでもいうように、手を握ってくるだけ。
「私が、《ブラック・ウィドー》でありますわ。
 ・・・・それ以上を知りたいなら、ご自分で調べる。
 私にお聞きになるのは、おかしいですわね。」
「・・・・本人ならね。
 俺が、この世界に入った理由の写真を見せてくれた《ブラック・ウィドー》本人なら、何も言わない。」
「一つ目にいたしましても、二つ目にいたしましても、何故、私に聞くでありますか?」
「・・・・・猿芝居は止めようよ、《ブラック・ウィドー》さん。
 ううん、ルーフェリンティランシアさん。」
「あらァ。」
アルトの指摘に、流石に手を当ててはいたが、あんぐりと大口を開けている《ブラック・ウィドー》。
その後、しばらくの無言。
さらに、その後、《ブラック・ウィドー》を知る人間なら、彼女が絶対しないと断言するような馬鹿笑いを始めてしまった。
「あー、ディスティア様に、《ラビ》は、直感が良いと言って言われたけど、此処までとはね。
 いやぁ、面白い、面白いねぇ、人間って言うのは。」
それまでのコテコテのお嬢様言葉を崩した彼女は、ベールとベール留めの帽子を取る。
とたん、ベール越しに見えていた青銀髪が、赤と白の炎色が同居する腰までありそうな長くウェービーな髪に変化する。
瞳も、イタズラ猫のようなエメラルドに。
大人びた印象のディスティアと正反対に、少年にも女性にも取れる容貌。
「それじゃ、改めまして、僕は、ルース=フェルシング=リュナン=ティアラ=シアネット=アランシア。
 略して、ルーフェリンティアラシア。
 さらに略して、ルーティア。
 親しければ、ルーでも良いけど、それは、ディスティア様と白羅となつめちゃんぐらいだね。
 一応、性別は女。
 種族は、人ではなく、人工知能プログラム。
 親・・・制作者は、ディスティア様じゃなくて、レイティス=アイルテ様。」
「・・・・っ」
ルース=フェルシング=リュナン=ティアラ=シアネット=アランシアの・・・・・ルーティアの言葉を理解すると同時に、アリエスが息を飲む。
「・・・・・・ああと、アリエスちゃんも居たっけ。
 ってか、一週間前のあの夜に、《ラビ》が押し倒してたのも、アリエスちゃんだったし、居て当たり前だよな、うん。」
ガタ、ガタン。
誰かが、ソファから転がり落ちたような音がした。
《ギルトマスター》だった。
付けている仮面がずれていないのはある意味流石だ。
「パパさん、パパさん。
 それくらいで、驚いていちゃ、娘さん達の背負っている《お伽噺》の支えには慣れないよ。」
「そこまでにしておけ、竜巻女。
 これは、主の意には添っていない。」
《ギルトマスター》を助け起こしながら、不安になるようなことを囁くルーティア。
その彼女から、ルキウスをひったくりながら、刹は、そう言う。
ちなみに、ルキウスは、起きたが、刹の服の装飾をいじって遊んでいると言うなんとも、全体としてはしまらない構図。
「ディスティア様の意には添っていないね。
 でも、レイティス様の意には添っている。
 ・・・・・・ディスティア様も、この件に関しては、好きにしても良いと言っているよ?」
刹の恫喝にも似た言葉を、ルーティアは笑顔と言う仮面をかぶり、騙りを語り、ただ佇む。
沈黙が堕ちる。
誰も口が出せない。
「・・・・・・なるほどね。
 やっと繋がった。
 あのレイティス坊や、全部思い出していたのか。
 その上で、自分の死すら、利用した・・・・・か。
 サイコーに愚かだな、ヴァチカン初代教皇・聖ペトロ並みに。」
《樹姫》は、ルーティアの言葉に、誰かに言うと言うよりも、ただ思考を言葉にしてそう呟く。
しかし、その言葉に、空気が再び凍る。
「・・・・・ジュリさん。
 それ、何か知っていると宣言したも同然です。」
「・・・知っているよ。
 長く生き過ぎた、少なくとも、一人の人間がこんなにも永く長く『役目』を背負っちゃ行けない。」
「・・・・・オネーサン、何か知ってはるん?」
「知ってるよ、知りすぎて、呆れ果ててしまうぐらいには。」
《L》の指摘に、寂しそうで、懐かしそうで、何処か遠くを見た瞳で、《樹姫》は、言う。
それは、少なくとも彼女が、外見の十代半ばでないことを如実に語っているようだった。
しかし、それに怯むようなら、裏稼業なんか選んじゃいない《ギルトマスター》。
「話しなさい。
 《お伽噺》というのはなんなのですか?」
「私は、語る言葉を持っていても。
 私は、語って良いと言う権利が無い。
 ・・・・・《世界樹の翁》が行方不明の今、それは《影の語り部》に語るべきか語らざるべきか、任されている。
 そうだろう、《占札ノ使鬼姫》?
 ・・・・・ご苦労様、二人とも。」
完全に死角に位置している二階と階段に、《占札ノ使鬼姫》と《グレイトキャット》が来たのを《樹姫》は見抜いた。
降りて来て、ソファに落ち着く二人。
エイレンは、半ば呆れたように、こういう。
「・・・・私が許可を出さなくても、自分の番の時に話すつもりだろう。
 二千年を生きている吸血姫?」
「・・・・さすが、私と当時の《守護する龍》が、推薦して《四柱》に入れただけあるわ。
 《生の喜び》を司る《影の語り部》。」
「いえいえ、《死の悦び》を司る《泉の乙女》。」
イヤミと言うか、水面下の欧州と言うかそんか、口撃を交わす。
ミニマム(身長150センチ以下)の二人。
それを聞き流して、居るのは、慣れっこなのか、久遠とレナードの二人。
居心地悪そうにして黙っているのは、アーク、クレセント、アルシェンナ、ジオルグの四人。
「なぁな、《お伽噺》ってあの《お伽噺》なん?
 昔々の大ボケ王が、《戦乙女》を恋慕した阿呆なお話やろ、《退魔師》はん?」
「そうですね。
 私と彼女と《世界樹の翁》しか知らない別の理もあります。」
「《退魔師》、知っていること全部話せ。
 ディスも、アルトも関係してるんだろう?」
「《爆炎の教皇》、それは、依頼と取っても?
 でも、高いですよ。
 ・・・・・そうですね、この地球を買える位が対価です。」
「・・・・・・・話す気ないだろ。」
「よくわかりましたね。
 でも、今日、ジュリさんがある程度は話すでしょうし。」
というのが、《守護する龍》こと《鮮血微笑の退魔師》と《L》と《爆炎の教皇》の会話。
仲が良いのか悪いのかは意見が割れるところだろう。
ライラは、それに参加する訳でもなく、多分興味半分に、アルトとアリエスに、話を振る。
「ねぇ、貴方達、ディスとレイの弟と妹よね?」
「否定しないよ。」
「それが?」
「なんで、わざわざ、こっちに入ったの?
 アークも、まだ温い理由だけど。
 家族も、帰る場所も、ありそうなのに。」
「それでも、見つけたかったものがあるし。
 この能力って、たまに使わないと、暴走しちゃうしね。」
「・・・・・十年以上会っていない祖父母に引き取られるぐらいなら、この世界に。」
「そう、悪かったね。
 アンタ達が、生半可なキモチで居る訳じゃないって分ってても気になってね。」
そして、再び、二人の会話。
睨み合っても、殺気を交わし合っている訳でもない、
なのに、冷や汗をかいてしまいそうなそんな雰囲気。
「ねぇ、《影の語り部》。
 貴方が、真実を話すことを許したのは何時、最後に?」
「さあね。
 でもね、《泉の乙女》。
 真実が人を幸せにするとは限らない。
 むしろ、真実と言うのは、残酷なもの。
 だから、語るべきじゃない。」
「《運命》に逆らえる唯一の武器も、《真実》だ。
 ・・・・・・あのくそったれた《理》は、一つを除いて喋らない。
 でも、何が在ったかの断片ぐらいは語らせろ。
 何も思い出せない奴らでも、何も知らない奴らでも、知るべきだ。
 今の《お伽噺の関係者》にも家族が居るんだろう?
 何も知らないで、失うかもしれないのに、それでも黙っていろって?」
「それでも・・・・」
しばしの沈黙。
破れるのは、この部屋の主の帰還の時になる。









@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@


ユア:久しぶりの連続投稿です、イヤァッハア。
久遠:いつになくハイテンションね。
ユア:胃薬の連続使用期間が、後数日なので、戦闘場面をそれまでに仕上げたいって言うのが本音。
久遠:そう言えば、次回、ヴェルデちゃん登場よね。
ユア;そうですねぇ、一番この物語の最期の最後まで見通しているのが彼だもの。
久遠:男性?
ユア:どっちなんでしょうね。
   敢えて言えば、男なんでしょうけど。
久遠:気になるわよ、焦らさないでちょうだい。
ユア:決めてない。
   ・・・・《語り部》、《道化師》も、決めてなさそうだし?
久遠:それでいいの?
ユア:まぁ、それ以前に結構特徴の在る口調のお人だし。
二人:それでは、また次回で。

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17878遅れました・・・・。羅城 朱琉 2006/10/20 08:27:53
記事番号17873へのコメント


 こんにちは。ひたすらに遅れまくった上、またもや短縮レスという忘恩の輩・羅城 朱琉です。ここしばらく、レポート(しかも手書きオンリー)のせいで、軽く腱鞘炎気味につき、打つのが遅いのです。

 ディス嬢と《ブラック・ウィドー》殿が両方いらっしゃったので、一体《ブラック・ウィドー》を演っているのは誰かと思っていたら・・・・ルーティア嬢でしたか。さすがに気づきませんでした。
 そして、『御伽噺』組の静かな戦いの語りが気に入ってます。

 短いですが、この辺で。

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17882ありがとうございます。十叶 夕海 2006/10/22 13:35:21
記事番号17878へのコメント


>
> こんにちは。ひたすらに遅れまくった上、またもや短縮レスという忘恩の輩・羅城 朱琉です。ここしばらく、レポート(しかも手書きオンリー)のせいで、軽く腱鞘炎気味につき、打つのが遅いのです。

こんにちは、ユアです。
忘恩なんて。レスをくれるだけでもホント嬉しいです。

>
> ディス嬢と《ブラック・ウィドー》殿が両方いらっしゃったので、一体《ブラック・ウィドー》を演っているのは誰かと思っていたら・・・・ルーティア嬢でしたか。さすがに気づきませんでした。

しかも、いろいろとバラしてくれてます、この人。
この子も、ちょっと複雑なのです。
レイティスさんも好きだけど、ディス嬢も好きと言う二重背反律。

> そして、『御伽噺』組の静かな戦いの語りが気に入ってます。

この二人もいろいろとあるのです、
ジュリの場合、『役目』を預かったときのあの状況から話すべきだと言い。
エイレンの場合、ジュリと同じ事件の状況から、話すべきじゃないと言い。
真っ向からぶつかっている。

>
> 短いですが、この辺で。
>


はい、ありがとうございました。
次回で。

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17883家族の写真 ACT64 五月十五日 ―当日/迎撃 Side:現実Aー十叶 夕海 2006/10/22 21:08:30
記事番号17834へのコメント





「うふふふふ、楽しいですね。
 君か、《歌乙女》の力を解放したディスティアぐらいでしょう。
 僕を、此処まで熱く、昂らせるのは。」
「五月蝿イ。
 黙レ、《エータミレアム》。」
二人のとって、上下左右、地面も、空中も関係ない。
全てが、足場になる。
「何が、です?
 ・・・もっともっと、僕は、昂りたい。
 そこらの女とヤるより、イイんですよ?
 君たちとの闘争は。」
「・・・・五月蝿イ。
 アの時のディスティアサンを泣かセタ。
 そレだけで、許せなイ。」
「うふふふふふっふ、《虐殺人形》か、言い得て妙。
 あの研究所出身だったよねぇ、《アーチャー》達と同じ。」
楽しげに、《エータミレアム》は、挑発する。
此処でやっと、上下左右関係ない超人的肉弾戦が、中断された。
数メートルを置いて、対峙する。
紫苑にとって、一番ディスティアに知られたくないことなのだ。
自分が、『実験動物』だったこと、エイレンを狙う刺客だったと言うこの二つは知られたくないのだ。
知っても、変わらないとは思う。
思っても、変わってしまったら・・・・。
そう考えると、自分でも乏しい『情動』が、『怯える』のが分かる。
「黙レ、黙レ、《エータミレアム》。」
「クスクススッ。
 To be cool ,To be cool。
 ダメダメ、闘いは、『心は熱く、感情は凍らせて。』でしょう?」
『お前が、焚き付けちまっていいことでもねぇだろう。
 ・・・・今生では初めまして、ですね、《語り部》いえ、《道化師》。
 オリジナルと言った方が、良いんかねぇ?』
無表情に、冷静さを失った紫苑と微笑み落とさず、余裕のままの榮太郎。
そのある意味、ワンサイドキルのような展開になりかけたその時だった。
ちょうど、ディスティア達が戦っているのは、生け垣を挟んだところだ。
そこに、来た人物が一人。
翡翠色のおかっぱの髪と細められた瞳。
深い深い緑色のダボついたローブ姿。脇に竪琴を抱えていた。
ローブから覗く手は、女性にしては太いが男性にしては、細いと言うもの。
何処か女性めいた中性的な人物である。
その彼―『緑の君』と評しておこう。―の姿は、半ば透き通り、マンションの壁が見えている。
「ああ、何百代か前の『僕』が、トチ狂って、分けた存在でしたね。
 よっぽどのイレギュラーでもない限り、出てこないふぬけの。」
『そう設定しちまったのは、お前だろうが。
 お前が、自分が暴走した時の為に、作ったストッパーでしょう?』
真剣で本気で斬り合うようなそんな会話。
謎の人物は、丁寧と粗雑さが混じった口調でさらに言い募る。
『ったく、千と数百年前は、まだまともだったのによ。
 ただの恋狂いで済むレベルでしたね。
 だけど、今は、完全な狂人になっちまってる。』
「・・・・・ただ、《歌乙女》を手に入れたいだけなんですよ?
 ただそれだけ・・・なんですけどね。」
「アの・・・そノ声、エイレンサン?」
『俺は、違いますよ。
 エイレンであるけど、本人じゃあない。
 本人では無いですが、エイレンです。
 今、エイレンの身体が、眠っているから此処に居るんだ。』
「《お伽噺》に関係ない君は、黙ってて欲しいですね、紫苑くん。」
『関係なくはないぞ。
 あの中核までは、関係はないですけどね。
 《歌乙女》の実家の護衛役だったよな、確か。
 《戦乙女》が、《龍殺ノ英雄》と結婚する前に、・・・・《片眼王》に仕える前の《歌乙女》を守って死にましたが。』
紫苑の疑問を答える、『緑の君』。
しかし、彼を会話に参加させたくない《エータミレアム》は、『緑の君』の言葉に、眼を見開いた。
『今一番、《お伽噺》の情報を持っているのは、俺だよ?
 《時逆》の力を持ったのですよ、貴方が持ちえなかった能力を。
 それと引き換えに、しちまったモノは、大きかったけどよぉ。
 ・・・・・ねぇ、紫苑くん、今はもう退いて。
 逃げちまうことは、悪いことなんかじゃあない。
 ・・・・・それと《エータミレアム》・・・いえ、《道化師》、俺は、お前が大好きで、大嫌いだ。
 忘れろ、《道化師》。諦めて、《道化師》。哀しいだろ、《道化師》。
 ・・・・・・・・・・・もう、終わりにしましょう。
 何百何千年幾年思い続けた?叶わないって、分かり切った恋を思い続けたんだ?』
何も、語らない《道化師》に、《緑の君》・・・・どうやら、《語り部》としての《道化師》の《分身》らしい・・・・はそう問う、願う。
しかし、それまで、黙っていた《道化師》は、声を抑えるように笑い出した。
それは、だんだんと大きくなる。
それは、だんだんと狂気に染まる。
「忘れれるはずが無いでしょう?
 諦めれるはずが無いでしょう?
 哀しくないはずが無いでしょう?
 ・・・・・・だからこそ、終わりになんか出来るはずが無いんですよ。
 此処でまで執着したことを、今更捨てて終わりになんかできないので・・・」
「・・・哀しイ人でス。
 ディスティアサンは、貴方ガ、裏切っタことヲ悲しんでイたのに。」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・。
 ・・・・・・・今日は、退きます。
 宵颯は、預けておきますよ。」
そういうと、踵を返し、《エータミレアム》闇霧榮太郎は、その場を去っていった。
紫苑の言葉が、弾丸となって、彼の胸を打ち抜いたように。
しばらくの沈黙。
「ア・・・あの、名前在るンでスカ?」
『・・・・・・・っくくく・・・・あはははははは。
 ・・・いや・・・あはは・・・悪い・・・・あは、そこから来る何て思っても居なかったらからね。』
紫苑の質問が、あまりにも、場ハズレな感じだったのか、先ほどまでのドシリアスな雰囲気は何処へやら、馬鹿笑いと称しても、良いほどの大笑いをしている『緑の君』。
しばらくして、笑いをおさめた彼(?)は、淡く微笑んで、名乗った。
『一応、ヴェルデ=ヴィート=ヴィリジアン。
 本名じゃないけど、これが、俺の唯一の名前だね。
 《語り部》の分身に必要ないって、もらえなかったんですが、数百年前の《歌乙女》に付けてもらいました。
 イタリア語とフランス語と・・・英語かな。
 それの、『緑』と言う意味です。
 この通り、緑尽くめだからな。
 《歌乙女》はキレイだって言ってくれましたが。』
「・・・誰、なンでスカ?」
『う〜、一言二言じゃ難しいし。
 確か、紫苑くんは、エイレン=レティナ=マイセリアルと一緒に住んでいるのですよね?
 今日の晩、彼女の私室に、来てくれ。
 俺から、話は通しておきますから。
 そろそろ、向こうの方も終わっちまうようだね。
 ・・・・・じゃ、夜に。』
一気に捲し上げるヴェルデ。
まるで、時間が無いけど、誰かと関わっていたとでも言うように。
そう言うと、ヴェルデは、消えた。
まるで、最初から、存在しなかったかのように。









さて、時間は、十分足らず、遡った頃。
《風舞姫》と、宵颯は、わずかに距離をとり、睨み合う。
いや、ただ、視線を交わす。
宵颯は、人形のように無表情に佇む。
《風舞姫》が、息を乱し、不敵な笑みを浮かべている。
両方とも、それなりに、手傷を負っている。
(ディスの身体、傷つけたくはなかったんだけどね。)
「そろそろ、終わりにしよ、宵颯。
 ・・・・・っても、殺したくないんだよね。」
「なんで?」
「さあ?
 ディスティア以外と此処最近関わりっ放しのせいか、日和ってるのかもね。」
「・・・・・そんなのわかんないし、分かりたくもない。」
「そう・・・・Sonno profondo ,Sogno di serenity.(深い眠りと安らぎの夢を。)
 おやすみ、深く深くね、坊や。」
「えっ。」
《風舞姫》は、宵颯の苛立った質問に答えずに、自身の口をコートの袖で覆い、何か液体の入った試験管をコートの内ポケットから取り出した。
それを、アスファルトに、思い切り叩き付ける。
白い煙が、酸化反応を起こした液体から、舞い上がる。
同時に、《風舞姫》は、風を操り、それを宵颯の方に誘導する。
「こういう手は、嫌だけどね。
 殺すより、マシだよ。
 ・・・・・・あ〜ぁ、日和っちゃたよね、七ヶ月前のあのデキゴト以来。
 そう言う意味じゃ、《エータミレアム》に感謝、かな?」
この睡眠誘導剤を含む煙が聞く時間分・・・・・約30秒ほど待った。
その後、風で、煙を散らすと、眠り込んだ宵颯が居た。
『・・・・・今日は、退きます。
 宵颯は、預けておきますよ。』
「向こうも終わったか。」
生け垣を挟んだところから、《エータミレアム》の声と立ち去る音がした。
それで、気が抜けたのか、《風舞姫》は、膝をついてしまう。
(あー、血流しすぎたかもね。)
(《風舞姫》、交代。
 私と交代するれば、半分になるわ。)
「半分でも、ディスを・・・」
(うだうだ言わずに、さっさと交代する!!)
「・・・・・・・はい。」
身のうちから、ステレオで、叱られて、《風舞姫》は渋々ながら、交代する。
ゆっくりと、冬の湖色の瞳から、夕焼け色のオレンジ色へとありえないグラデーションを経てディスティアに戻る。
出血はやや収まるが、それでも、ディスティアは動けない。
「・・・・・大丈夫、動けないほどじゃない。」
能力で、粗く応急処置代わりに傷を塞いで、血液が足りないのを足りていると身体に認識させる。
この間、約五分。
それが終わるとほぼ同時に、紫苑がこっちに来た。
「ディスティアサン・・・・・大丈夫ですカ?」
「紫苑か。
 その坊や、運んでくれる。
 部屋に戻ろう。」
「了承でス。」
紫苑も、多少傷を負ってはいたが、歩いたりする分には、問題は無いようだ。
それにしても、《風舞姫》専用のこのワンセットで良かったのかもしれない。
自分の尼僧服だったら、もう少しヤバい感じになっていたのかもしれない。
いろいろと、服が避けている。尼僧服の場合繊維の関係上、パンツ丸見えだったかも。
なんて、おもいつつ、マンションの玄関へ向かい始めた、ディスティアだった。
そこで、何が起こっているかも知らずに。






@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@



ユア:たぶん、ご都合主義とか言われそうなディス嬢VS宵颯の結末です。
久遠;一応、思惑が在ってでしょ?
ユア:一応ですね。
   これの裏テーマ『エンディングは、『それぞれにとってのハッピーエンド』で』ですのです。
久遠:そのための、結末・・・・・・。
   ユアちゃん、鬼って呼んでいい?
ユア;どうぞ。
   ・・・・・・エンディングは、他人から見たら、バッドエンドの人も居ます。
   というか、敵方のほとんどは、そうですけど、『本人にとって』ハッピーエンドです。
久遠:なぜ、宵颯ちゃんをああいう風に?
ユア:改定前のプロットでも、ディスティアの家の居候になる予定でした。
   でも、それでは、一月弱だったので、どうにも、『救いの無い』けど、『彼』にとって、ハッピーエンドにはなっても・・・・・。
久遠:最終的な彼のエンディングは変える気はないけど、少しでも、救いがあるように?
   ・・・・・『意味のある死を』?
ユア:そうですね、死自体に意味もクソも無いでしょうけど。
久遠:ねえ、ユアちゃん。
   ヴェルデちゃん、姐さんとか、兄貴とか呼びたくなるのに、乙女よね。
ユア;その辺は、ノーコメント。
   一応、いくつかは、『五月十五日 当日/夜(仮)』で、明かす予定です。
久遠:ともあれ、次回。かしら?
ユア:はい。
二人:それでは次回で。

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17887短縮御免。その2羅城 朱琉 2006/11/6 08:29:45
記事番号17883へのコメント


 こんにちは、遅くなりました、羅城 朱琉です。

 紫苑君vs《エータミレアム》の戦いの決着には手に汗握り。
 ディス嬢vs宵颯君の戦いの決着には、とりあえず彼が生きていることにほっとして。『本当の結末』が、『それぞれにとっての』であれ幸せであることに喜びつつ、それでも私、泣くだろうな、と予想を立てています。

 本日、ようやく少し落ち着いてきたとはいえ、未だ超のつくハイテンションのため、文章が変ですがお許しください。
 それでは、また。

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17895嬉しいですよ。十叶 夕海 2006/11/6 22:01:23
記事番号17887へのコメント


>
> こんにちは、遅くなりました、羅城 朱琉です。

こんにちは、ユアです。

>
> 紫苑君vs《エータミレアム》の戦いの決着には手に汗握り。

あの二人は、身体能力は、拮抗しているのです。
ヴェルデは、これから大変ですし。

> ディス嬢vs宵颯君の戦いの決着には、とりあえず彼が生きていることにほっとして。『本当の結末』が、『それぞれにとっての』であれ幸せであることに喜びつつ、それでも私、泣くだろうな、と予想を立てています。

最初から決めていたとは言え、私も多分泣きます。
作者が泣いちゃダメなんでしょうけど。

>
> 本日、ようやく少し落ち着いてきたとはいえ、未だ超のつくハイテンションのため、文章が変ですがお許しください。
> それでは、また。
>

いえいえ、ありがとうございました。
それでは、また。

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17896家族の写真 ACT65 五月十五日 ―当日/ソレゾレノ理由Bー十叶 夕海 2006/11/7 00:29:15
記事番号17834へのコメント






「ただいま・・・・・・って、微妙に空気が緊迫?」
「そウ、ですネ。」
玄関を上がっただけで、伝わってくる張りつめた空気。
微妙とか、もうそう言うレベルは、超えている。
溜め息着きつつ、ディスティアは、指示を出す。
「二階の物置に、ミニソファとビニールシートと毛布があるから、取ってきて。
 できれば、ブランケット五、六枚と。
 必要なら、刹を連れてって。」
「解リまシタ。」
宵颯を、紫苑から受け取りながら、ディスティアは、『ライラの心の傷、抉ることになるか。でも、あの人しか医師免許持ってないもんな』と、考えつつ、ゆっくりとリビングに向かう。
イヤに軽い、宵颯の身体を抱えながら。
リビングに入る、それと同時にライラに声をかけた。
「ライラさん。手当お願いします。」
「はいはい。
 ・・・・傷の割には、衰弱激しいようだけど、何故?」
ビニールシートの上にブランケットを敷いて、また血塗れになった黒の丈の短いコートを脱がせ、その下のベージュのハイネックセーターも脱がせ、Vネックの半袖とシャツだけにして、ライラはそう言った。
伊達に、フリーランスの外科医師をやっている訳ではないようだ。
他のメンツに、聴こえないように、ディスティアは、端的に言う。
『ライラの心の傷』になっているであろう単語を乗せて。
「・・・・・《氣殺使い》、ベルフェゴールさんの次の次のね。」
先々代の・・・・・・宵颯の前の前の《氣殺》の名前は、ベルフェゴール=ソロミネス。
彼の妻であり、愛する人は、ライラ=リー=ソロミネス。
あと、半年ほどで遅くても、寿命だろうと言う時期に、弟・ファルトに殺されたのだ。
その後、一言も、言葉を発さずに、手当は進む。





《死風舞の風舞姫》ーディスティアの理由。

壁際に、ミニ箱ソファを並べて作った即席ベッドで、宵颯はまだ眠ったままだ。
尼僧服に再び着替えたディスティアは、ソファに座り、口を開いた。
「さて、次は、私が話そう。
 その次からは、《L》、《イリュージョンパニッシャー》、《ギルトマスター》、《リンデン》、《ノーフェイス》、《キャットアイ》、《鮮血微笑の退魔師》、ラストに、《凍れる樹姫》の順番で。」
「ディスティア様、勝手なマネをした。
 ・・・・・ナツメ様の様子でも見て、頭でも冷やしてる。」
そう言って、いきなり、ルーフェランティランシアは、二階へ上がってしまった。
ルキウスを久遠に放り投げて。
ディスティアは、少し驚いたようだが、何でも無いように仕切り直し。
「それじゃ、話そうか。」
ここで、ディスティアは、言葉を切る。
思い出すと言うよりは、整理すると言うような間。
「私が、《チャイルドクラン》を何故、仇とするのは。
 元々、私が七年前、暴走族に入ったときから因縁自体はあった。
 義兄や、知り合いが居たから、入ったのだけど、その義兄やチームに出入りする情報屋の面々が、関係していた。
 そこまでなら、まあ、憎みこそすれ、潰そうなんて思わなかった。
 ・・・・・私は、エリス=モトハル=クローリックに出逢った。
 能力の制御の仕方や、簡易封印の仕方、なんかを教えてもらった。
 色んなものをもらった。
 この仕事の仕方の基本だって、教えてもらったんだ。
 ・・・・・・・・・・・・・楽しかったんだよ?
 《歌乙女》は、《片眼王》を止めなくちゃ行けないのに、それすら忘れるほどに、楽しかった。」
懐かしそうに、ディスティアは語る。
でも、言葉を止め、微笑んだ。
その微笑みは、夕日を浴びているようで、またセピア色のフィルムを見ているようでもあった。
まるで、泣いているような微笑みを浮かべたまま、ディスティアは話を再開した。
「でもね、六年前の冬・・・・・・バレンタインの日だったかな。
 その日、エリスは死んだ、殺された・・・・・・・・・《吸血鬼》に。
 そして、私はもっと深いこの稼業の世界に堕ちた。
 殺せなければ、殺される世界。
 私は、それを《風舞姫》にやらせてしまった。
 六年前から三年前まで、何人もこの手で狩った。
 六年前から三年前まで、何人も同業が居なくなった。
 それでも、私は《チャイルドクラン》を潰したかった。
 だから、三年前に、計画を建てて・・・・・・・寸前で潰れた。
 ・・・・・レイティスさんの死を持って。」
ディスティアは、泣きそうなのに、声に感情を・・・・怒りを込めても良いはずなのに、彼女の声は、どこまでも凪の海のようで、静かだった。
そのせいもあり、他のメンバーは、口を出せない。
「・・・・・・・それからの一年は荒れたね。
 《ブラッディ・シルヴィア》なんて、呼ばれるほどの仕事量だったし、医療用の栄養剤しか口に出来なかった。
 それからいろいろあったけど、やっぱり、私は《チャイルドクラン》を潰したい。
 《片眼王》と《道化師》も、殺すためもある。
 これが私の理由。」
言葉を締めると、ディスティアは、微笑んだ。
ニッと言うような不敵なものではなく、淡く淡く溶明して、人魚姫が泡になってき得てしまうようなそんな微笑みを浮かべた。
「《歌乙女》・・・・・いえ、《風舞姫》。
 ・・・・・・・・あの呪いに気がついてるんですか?」
「ええ、思い出しているわ、《守護する龍》・・・・《鮮血微笑の退魔師》。
 あの物語で、死亡まで語られた登場人物は、その外見年齢で死ぬってことでしょう?
 ・・・・回避したければ、私の場合、《片眼王》か、《道化師》を殺すのが、条件。
 これが、《歌乙女》《龍殺ノ英雄》《片眼王》《道化師》へ呪い。」
《退魔師》・・・乾の言葉に、そうあっさりと返す。
その表情は、哀しげではあったが、覚悟を決めたそんな表情。
「ねぇ、お姫さん。
 具体的にどーいう作戦?」
「そうね、直接本部に殴り込み、ボスを殺す。
 ぐらいね、今の段階だと。」
「ふーん、人数もこれだけだろうし、妥当だね。
 殺すの必要なら、俺たちに回してくれるとお兄さん嬉しいな。」
「汚い殺し方しないならね、ルージュ。」
「ルーシュだって。」
クレセントとディスティアは、そんな会話をする。
内容さえ気にしなければ、十分ほのぼのとした雰囲気の。
内容を気にしなければのお話。








閑話休題(それは、さておいて)

「《風舞姫》。」
「どうしましたか?
 《ギルトマスター》。」
「・・・・あの子どもはなんなんですか?」
「《氣殺使い》。」
普段の彼からすれば、かなり砕けた敬語で聞いてきた《ギルトマスター》に、ディスティアは、簡潔に答えた。
なんに答えにもなっていないような気がしたが。
「何処の所属の?」
「《チャイルドクラン》。
 一応はね。
 ・・・・・裏社会じゃ、珍しくないことだから、一応。」
【裏社会に望んで入った訳じゃないかもしれない】と、ディスティアはそう言う。
『過程』はそうかもしれないけれど、『血に染まっている』という『結果』は変わらない。
だけど、それでも。とディスティアは思う。
人ならば、何かに救いを求めることが出来るのが誰でも持つことが出来ることだと。
「・・・・・・・続きに行こう。
 次は、《L》だね。」








《L&D》の《L》ーラディハルト=レンスターの理由。
《L》は、明るめの声で話し始める。
「自分の理由はな。
 伯父貴の遺言みたいなもんやな。
 自分の親父もお袋も、小さい頃に死んでもうたん。
 伯父貴に育てられたんやわ。
 ・・・・伯父貴の弟子?言うん、そないな感じのレイティスはんとも、半分兄弟みたいに育ったんや。
 三年前に、レイティスはん死んだ聞いたときは驚いたわ。
 そんで、伯父貴もがくぅって、気落ちしてもうたんやろ、二年前に逝ったわ。
 ・・・自分は、情報屋の弟子としては、『能力』以外はあんまし優秀や無かったさかい。
 『能力』抜きやったら、一流がええトコや。ここにおるんは、超一流や。
 レイティスはんが、死んだ後、自分に全部残すみたいに教え込んで、逝ってもうたん伯父貴は。
 最期まで、『ちびエイレンの野郎、俺がいねぇとダメなのによ。ゼオンのヤツは生きてんのに。《チャイルドクラン》潰したかった』ってな。
 それで、自分、二代目《L&D》になりましたん。
 ある意味で、《風舞姫》はんとか《オルフェーゼ》はんと同じやな。
 レイティスはんの仇も討ちとうて、そないおもってますもん。」
何でも無いように、何でもあることを、《L》は、さらりと話す。
《L&D》なら、《D》はどうしたの?と、アークが聞くと。
たはは、と困ったような笑顔で《L》は、こう答えた。
「一応、居るよ。
 居るけど、一般人やもん。
 《L&D》やけど、手伝いみたいなもんやし。
 一般人やから、連れて来れへんやん。」
「そう言う人間なんで、引きずり込んだ?
 ガウェインは、それくらいも教えなかった・・・・・はずないよね。」
「・・・・・・・・・あー、その件に関して、俺から情報あるから。」
その答えに、不機嫌になったエイレンが、ラディハルトに、笑顔で怒りながら、にじり寄る。
フォローをしたのは、青いウィンドブレーカーの《魔導師(マジスタ)ラビ》ーアルトである。
「話しても良いよね、《L》?」
「ええよ、アイツの身元が分からんように話してくれるんやったらな。」
「OK。・・・・・・俺の場合、《オルフェーゼ》っていう目的があったからこっち入ったけど。
 《D》の場合は、その逆。
 こっちに、少し興味のある一般人、ただしパソコンマニアと言うかネット好き。
 そう言う意味での情報屋。
 アンダーグラウンドネット(非合法ネット)でも、浅い・・・海でいうなら、足の着くようなトコまでしか行かないのに、海溝にあるような情報でも目星をつける人。
 俺は、《アンダーサーチアイ》って呼ぶ、能力者・・・・・っても、裏の事情も聞きかじり程度の協力者ってトコ。
 ・・・・・・・三年前の二の舞、誰がなっても、《占札ノ使鬼姫》は、後悔するだろ?」
最後の一言が聞いたのか、エイレンは、しばらく黙考の後。
エイレンは、こう言った。
「そいつに、この計画をバレないようにしろ。』と。




次は、《イリュージョンパニッシャー》ーアーク=クラウネル。






@ー@ー@ー@ー@ー@ー@ー@ー@ー@ー@ー@ー@ー@ー@ー@ー@ー@ー@ー@ー@ー@ー@ー


というわけで、久しぶりの家族の写真、最新話です。
いろいろと、真実が分って、作者も少し混乱しています。
作中のライラが、フリーランスの外科医云々は、この世界でのみの常識と思ってください。




というか、事実上、連載三本抱えているのです。
だから、少し更新速度は、堕ちるかもしれないです。
でも、一週間に一話、ペースで行けるように頑張ります。



それでは、また次回。

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17900その姿は凛として、そしてどこか切なく。羅城 朱琉 2006/11/16 08:43:40
記事番号17896へのコメント


朱琉:こんにちは、羅城 朱琉です。ようやっと、パソできる状況になりました。
アミイ:とはいえ、また今日から新しい実習でしょう?
朱琉:本日は、実習前の講義なので、座学だけなのです。・・・・まあ、疲れますけど。
 では、レス参ります。

>
>
>
>
>
>「ただいま・・・・・・って、微妙に空気が緊迫?」
>「そウ、ですネ。」
>玄関を上がっただけで、伝わってくる張りつめた空気。
>微妙とか、もうそう言うレベルは、超えている。
>溜め息着きつつ、ディスティアは、指示を出す。
>「二階の物置に、ミニソファとビニールシートと毛布があるから、取ってきて。
> できれば、ブランケット五、六枚と。
> 必要なら、刹を連れてって。」
>「解リまシタ。」
>宵颯を、紫苑から受け取りながら、ディスティアは、『ライラの心の傷、抉ることになるか。でも、あの人しか医師免許持ってないもんな』と、考えつつ、ゆっくりとリビングに向かう。
>イヤに軽い、宵颯の身体を抱えながら。
>リビングに入る、それと同時にライラに声をかけた。
>「ライラさん。手当お願いします。」
>「はいはい。
> ・・・・傷の割には、衰弱激しいようだけど、何故?」
>ビニールシートの上にブランケットを敷いて、また血塗れになった黒の丈の短いコートを脱がせ、その下のベージュのハイネックセーターも脱がせ、Vネックの半袖とシャツだけにして、ライラはそう言った。
>伊達に、フリーランスの外科医師をやっている訳ではないようだ。
>他のメンツに、聴こえないように、ディスティアは、端的に言う。
>『ライラの心の傷』になっているであろう単語を乗せて。
>「・・・・・《氣殺使い》、ベルフェゴールさんの次の次のね。」
>先々代の・・・・・・宵颯の前の前の《氣殺》の名前は、ベルフェゴール=ソロミネス。
>彼の妻であり、愛する人は、ライラ=リー=ソロミネス。
>あと、半年ほどで遅くても、寿命だろうと言う時期に、弟・ファルトに殺されたのだ。
>その後、一言も、言葉を発さずに、手当は進む。
朱琉:・・・・・・・・(いろんな意味で驚愕&硬直&その他諸々)
アミイ:はい、何々・・・・?
    えっと、ベル君《氣殺使い》だったんですか!?に、フリーランスの外科医って・・・・ブラックジャック?に、生きててよかった宵颯くん。ってところ?
朱琉:(無言で頷く)

>
>
>
>
>
>《死風舞の風舞姫》ーディスティアの理由。
>
>壁際に、ミニ箱ソファを並べて作った即席ベッドで、宵颯はまだ眠ったままだ。
>尼僧服に再び着替えたディスティアは、ソファに座り、口を開いた。
>「さて、次は、私が話そう。
> その次からは、《L》、《イリュージョンパニッシャー》、《ギルトマスター》、《リンデン》、《ノーフェイス》、《キャットアイ》、《鮮血微笑の退魔師》、ラストに、《凍れる樹姫》の順番で。」
>「ディスティア様、勝手なマネをした。
> ・・・・・ナツメ様の様子でも見て、頭でも冷やしてる。」
>そう言って、いきなり、ルーフェランティランシアは、二階へ上がってしまった。
>ルキウスを久遠に放り投げて。
>ディスティアは、少し驚いたようだが、何でも無いように仕切り直し。
>「それじゃ、話そうか。」
>ここで、ディスティアは、言葉を切る。
>思い出すと言うよりは、整理すると言うような間。
>「私が、《チャイルドクラン》を何故、仇とするのは。
> 元々、私が七年前、暴走族に入ったときから因縁自体はあった。
> 義兄や、知り合いが居たから、入ったのだけど、その義兄やチームに出入りする情報屋の面々が、関係していた。
> そこまでなら、まあ、憎みこそすれ、潰そうなんて思わなかった。
> ・・・・・私は、エリス=モトハル=クローリックに出逢った。
> 能力の制御の仕方や、簡易封印の仕方、なんかを教えてもらった。
> 色んなものをもらった。
> この仕事の仕方の基本だって、教えてもらったんだ。
> ・・・・・・・・・・・・・楽しかったんだよ?
> 《歌乙女》は、《片眼王》を止めなくちゃ行けないのに、それすら忘れるほどに、楽しかった。」
>懐かしそうに、ディスティアは語る。
>でも、言葉を止め、微笑んだ。
>その微笑みは、夕日を浴びているようで、またセピア色のフィルムを見ているようでもあった。
>まるで、泣いているような微笑みを浮かべたまま、ディスティアは話を再開した。
>「でもね、六年前の冬・・・・・・バレンタインの日だったかな。
> その日、エリスは死んだ、殺された・・・・・・・・・《吸血鬼》に。
> そして、私はもっと深いこの稼業の世界に堕ちた。
> 殺せなければ、殺される世界。
> 私は、それを《風舞姫》にやらせてしまった。
> 六年前から三年前まで、何人もこの手で狩った。
> 六年前から三年前まで、何人も同業が居なくなった。
> それでも、私は《チャイルドクラン》を潰したかった。
> だから、三年前に、計画を建てて・・・・・・・寸前で潰れた。
> ・・・・・レイティスさんの死を持って。」
>ディスティアは、泣きそうなのに、声に感情を・・・・怒りを込めても良いはずなのに、彼女の声は、どこまでも凪の海のようで、静かだった。
>そのせいもあり、他のメンバーは、口を出せない。
>「・・・・・・・それからの一年は荒れたね。
> 《ブラッディ・シルヴィア》なんて、呼ばれるほどの仕事量だったし、医療用の栄養剤しか口に出来なかった。
> それからいろいろあったけど、やっぱり、私は《チャイルドクラン》を潰したい。
> 《片眼王》と《道化師》も、殺すためもある。
> これが私の理由。」
>言葉を締めると、ディスティアは、微笑んだ。
>ニッと言うような不敵なものではなく、淡く淡く溶明して、人魚姫が泡になってき得てしまうようなそんな微笑みを浮かべた。
>「《歌乙女》・・・・・いえ、《風舞姫》。
> ・・・・・・・・あの呪いに気がついてるんですか?」
>「ええ、思い出しているわ、《守護する龍》・・・・《鮮血微笑の退魔師》。
> あの物語で、死亡まで語られた登場人物は、その外見年齢で死ぬってことでしょう?
> ・・・・回避したければ、私の場合、《片眼王》か、《道化師》を殺すのが、条件。
> これが、《歌乙女》《龍殺ノ英雄》《片眼王》《道化師》へ呪い。」
>《退魔師》・・・乾の言葉に、そうあっさりと返す。
>その表情は、哀しげではあったが、覚悟を決めたそんな表情。
>「ねぇ、お姫さん。
> 具体的にどーいう作戦?」
>「そうね、直接本部に殴り込み、ボスを殺す。
> ぐらいね、今の段階だと。」
>「ふーん、人数もこれだけだろうし、妥当だね。
> 殺すの必要なら、俺たちに回してくれるとお兄さん嬉しいな。」
>「汚い殺し方しないならね、ルージュ。」
>「ルーシュだって。」
>クレセントとディスティアは、そんな会話をする。
>内容さえ気にしなければ、十分ほのぼのとした雰囲気の。
>内容を気にしなければのお話。
アミイ:哀しいわよね・・・・。どこがどう、って、うまく言えないけれど・・・・何だか哀しいわ・・・・。
朱琉:誰の背負うものが一番重いのかなんて、比べられるものではないですけれど・・・・ディス嬢が背負っているものは、やはり文句なしに『重い』と言える者ですから。それが哀しくて、潰されそうになった過去は痛くて、でも、今立ち上がって前を向いている姿は・・・・凛として、でもどこか切ない。そう思います。
アミイ:語るわねぇ、朱琉。
朱琉:心境です。

>
>
>
>
>
>
>
>
>閑話休題(それは、さておいて)
>
>「《風舞姫》。」
>「どうしましたか?
> 《ギルトマスター》。」
>「・・・・あの子どもはなんなんですか?」
>「《氣殺使い》。」
>普段の彼からすれば、かなり砕けた敬語で聞いてきた《ギルトマスター》に、ディスティアは、簡潔に答えた。
>なんに答えにもなっていないような気がしたが。
>「何処の所属の?」
>「《チャイルドクラン》。
> 一応はね。
> ・・・・・裏社会じゃ、珍しくないことだから、一応。」
>【裏社会に望んで入った訳じゃないかもしれない】と、ディスティアはそう言う。
>『過程』はそうかもしれないけれど、『血に染まっている』という『結果』は変わらない。
>だけど、それでも。とディスティアは思う。
>人ならば、何かに救いを求めることが出来るのが誰でも持つことが出来ることだと。
>「・・・・・・・続きに行こう。
> 次は、《L》だね。」
アミイ:望んだわけではないけれど・・・・か。
朱琉:?
アミイ:いや・・・・やっぱりさ、ちっちゃな子がこういうところにいるのは・・・・ね。立ち位置すら、望みなく流されたとすれば、なおさらに。

>
>
>
>
>
>
>
>
>《L&D》の《L》ーラディハルト=レンスターの理由。
>《L》は、明るめの声で話し始める。
>「自分の理由はな。
> 伯父貴の遺言みたいなもんやな。
> 自分の親父もお袋も、小さい頃に死んでもうたん。
> 伯父貴に育てられたんやわ。
> ・・・・伯父貴の弟子?言うん、そないな感じのレイティスはんとも、半分兄弟みたいに育ったんや。
> 三年前に、レイティスはん死んだ聞いたときは驚いたわ。
> そんで、伯父貴もがくぅって、気落ちしてもうたんやろ、二年前に逝ったわ。
> ・・・自分は、情報屋の弟子としては、『能力』以外はあんまし優秀や無かったさかい。
> 『能力』抜きやったら、一流がええトコや。ここにおるんは、超一流や。
> レイティスはんが、死んだ後、自分に全部残すみたいに教え込んで、逝ってもうたん伯父貴は。
> 最期まで、『ちびエイレンの野郎、俺がいねぇとダメなのによ。ゼオンのヤツは生きてんのに。《チャイルドクラン》潰したかった』ってな。
> それで、自分、二代目《L&D》になりましたん。
> ある意味で、《風舞姫》はんとか《オルフェーゼ》はんと同じやな。
> レイティスはんの仇も討ちとうて、そないおもってますもん。」
>何でも無いように、何でもあることを、《L》は、さらりと話す。
>《L&D》なら、《D》はどうしたの?と、アークが聞くと。
>たはは、と困ったような笑顔で《L》は、こう答えた。
>「一応、居るよ。
> 居るけど、一般人やもん。
> 《L&D》やけど、手伝いみたいなもんやし。
> 一般人やから、連れて来れへんやん。」
>「そう言う人間なんで、引きずり込んだ?
> ガウェインは、それくらいも教えなかった・・・・・はずないよね。」
>「・・・・・・・・・あー、その件に関して、俺から情報あるから。」
>その答えに、不機嫌になったエイレンが、ラディハルトに、笑顔で怒りながら、にじり寄る。
>フォローをしたのは、青いウィンドブレーカーの《魔導師(マジスタ)ラビ》ーアルトである。
>「話しても良いよね、《L》?」
>「ええよ、アイツの身元が分からんように話してくれるんやったらな。」
>「OK。・・・・・・俺の場合、《オルフェーゼ》っていう目的があったからこっち入ったけど。
> 《D》の場合は、その逆。
> こっちに、少し興味のある一般人、ただしパソコンマニアと言うかネット好き。
> そう言う意味での情報屋。
> アンダーグラウンドネット(非合法ネット)でも、浅い・・・海でいうなら、足の着くようなトコまでしか行かないのに、海溝にあるような情報でも目星をつける人。
> 俺は、《アンダーサーチアイ》って呼ぶ、能力者・・・・・っても、裏の事情も聞きかじり程度の協力者ってトコ。
> ・・・・・・・三年前の二の舞、誰がなっても、《占札ノ使鬼姫》は、後悔するだろ?」
>最後の一言が聞いたのか、エイレンは、しばらく黙考の後。
>エイレンは、こう言った。
>「そいつに、この計画をバレないようにしろ。』と。
>
>
>
>
>次は、《イリュージョンパニッシャー》ーアーク=クラウネル。
>
>
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>@ー@ー@ー@ー@ー@ー@ー@ー@ー@ー@ー@ー@ー@ー@ー@ー@ー@ー@ー@ー@ー@ー@ー
>
>
>というわけで、久しぶりの家族の写真、最新話です。
>いろいろと、真実が分って、作者も少し混乱しています。
>作中のライラが、フリーランスの外科医云々は、この世界でのみの常識と思ってください。
>
>
>
>
>というか、事実上、連載三本抱えているのです。
>だから、少し更新速度は、堕ちるかもしれないです。
>でも、一週間に一話、ペースで行けるように頑張ります。
>
>
>
>それでは、また次回。
朱琉:はい、では、また。途中で時間が尽きて途中からまともにコメントしてません、すみませんでした。
二人:では、また次回!


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17901だからこそ、輝き美しい?十叶 夕海 2006/11/16 19:59:28
記事番号17900へのコメント


>
>朱琉:こんにちは、羅城 朱琉です。ようやっと、パソできる状況になりました。
>アミイ:とはいえ、また今日から新しい実習でしょう?
>朱琉:本日は、実習前の講義なので、座学だけなのです。・・・・まあ、疲れますけど。
> では、レス参ります。

ユア;こんにちは。
久遠:嬉しいわ、返レス行きましょ、ユアちゃん。
ユア;了解。
   では、返レス行きます。

>
>>
>>
>>
>>
>>
>>「ただいま・・・・・・って、微妙に空気が緊迫?」
>>「そウ、ですネ。」
>>玄関を上がっただけで、伝わってくる張りつめた空気。
>>微妙とか、もうそう言うレベルは、超えている。
>>溜め息着きつつ、ディスティアは、指示を出す。
>>「二階の物置に、ミニソファとビニールシートと毛布があるから、取ってきて。
>> できれば、ブランケット五、六枚と。
>> 必要なら、刹を連れてって。」
>>「解リまシタ。」
>>宵颯を、紫苑から受け取りながら、ディスティアは、『ライラの心の傷、抉ることになるか。でも、あの人しか医師免許持ってないもんな』と、考えつつ、ゆっくりとリビングに向かう。
>>イヤに軽い、宵颯の身体を抱えながら。
>>リビングに入る、それと同時にライラに声をかけた。
>>「ライラさん。手当お願いします。」
>>「はいはい。
>> ・・・・傷の割には、衰弱激しいようだけど、何故?」
>>ビニールシートの上にブランケットを敷いて、また血塗れになった黒の丈の短いコートを脱がせ、その下のベージュのハイネックセーターも脱がせ、Vネックの半袖とシャツだけにして、ライラはそう言った。
>>伊達に、フリーランスの外科医師をやっている訳ではないようだ。
>>他のメンツに、聴こえないように、ディスティアは、端的に言う。
>>『ライラの心の傷』になっているであろう単語を乗せて。
>>「・・・・・《氣殺使い》、ベルフェゴールさんの次の次のね。」
>>先々代の・・・・・・宵颯の前の前の《氣殺》の名前は、ベルフェゴール=ソロミネス。
>>彼の妻であり、愛する人は、ライラ=リー=ソロミネス。
>>あと、半年ほどで遅くても、寿命だろうと言う時期に、弟・ファルトに殺されたのだ。
>>その後、一言も、言葉を発さずに、手当は進む。
>朱琉:・・・・・・・・(いろんな意味で驚愕&硬直&その他諸々)
>アミイ:はい、何々・・・・?
>    えっと、ベル君《氣殺使い》だったんですか!?に、フリーランスの外科医って・・・・ブラックジャック?に、生きててよかった宵颯くん。ってところ?
>朱琉:(無言で頷く)

ユア:・・・・・・(無言でガッツポーズ。)
久遠:ベルちゃんは、《気殺使い)だったの。
   《チャイルドクラン》を潰すためにね、でも結局ああういう風に。
ユア:ノリとしては、ブラックジャックです。
   ・・・・・はい、宵颯くん生きてました。
久遠:今回は、でしょ?
ユア:(無言)

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>>《死風舞の風舞姫》ーディスティアの理由。
>>
>>壁際に、ミニ箱ソファを並べて作った即席ベッドで、宵颯はまだ眠ったままだ。
>>尼僧服に再び着替えたディスティアは、ソファに座り、口を開いた。
>>「さて、次は、私が話そう。
>> その次からは、《L》、《イリュージョンパニッシャー》、《ギルトマスター》、《リンデン》、《ノーフェイス》、《キャットアイ》、《鮮血微笑の退魔師》、ラストに、《凍れる樹姫》の順番で。」
>>「ディスティア様、勝手なマネをした。
>> ・・・・・ナツメ様の様子でも見て、頭でも冷やしてる。」
>>そう言って、いきなり、ルーフェランティランシアは、二階へ上がってしまった。
>>ルキウスを久遠に放り投げて。
>>ディスティアは、少し驚いたようだが、何でも無いように仕切り直し。
>>「それじゃ、話そうか。」
>>ここで、ディスティアは、言葉を切る。
>>思い出すと言うよりは、整理すると言うような間。
>>「私が、《チャイルドクラン》を何故、仇とするのは。
>> 元々、私が七年前、暴走族に入ったときから因縁自体はあった。
>> 義兄や、知り合いが居たから、入ったのだけど、その義兄やチームに出入りする情報屋の面々が、関係していた。
>> そこまでなら、まあ、憎みこそすれ、潰そうなんて思わなかった。
>> ・・・・・私は、エリス=モトハル=クローリックに出逢った。
>> 能力の制御の仕方や、簡易封印の仕方、なんかを教えてもらった。
>> 色んなものをもらった。
>> この仕事の仕方の基本だって、教えてもらったんだ。
>> ・・・・・・・・・・・・・楽しかったんだよ?
>> 《歌乙女》は、《片眼王》を止めなくちゃ行けないのに、それすら忘れるほどに、楽しかった。」
>>懐かしそうに、ディスティアは語る。
>>でも、言葉を止め、微笑んだ。
>>その微笑みは、夕日を浴びているようで、またセピア色のフィルムを見ているようでもあった。
>>まるで、泣いているような微笑みを浮かべたまま、ディスティアは話を再開した。
>>「でもね、六年前の冬・・・・・・バレンタインの日だったかな。
>> その日、エリスは死んだ、殺された・・・・・・・・・《吸血鬼》に。
>> そして、私はもっと深いこの稼業の世界に堕ちた。
>> 殺せなければ、殺される世界。
>> 私は、それを《風舞姫》にやらせてしまった。
>> 六年前から三年前まで、何人もこの手で狩った。
>> 六年前から三年前まで、何人も同業が居なくなった。
>> それでも、私は《チャイルドクラン》を潰したかった。
>> だから、三年前に、計画を建てて・・・・・・・寸前で潰れた。
>> ・・・・・レイティスさんの死を持って。」
>>ディスティアは、泣きそうなのに、声に感情を・・・・怒りを込めても良いはずなのに、彼女の声は、どこまでも凪の海のようで、静かだった。
>>そのせいもあり、他のメンバーは、口を出せない。
>>「・・・・・・・それからの一年は荒れたね。
>> 《ブラッディ・シルヴィア》なんて、呼ばれるほどの仕事量だったし、医療用の栄養剤しか口に出来なかった。
>> それからいろいろあったけど、やっぱり、私は《チャイルドクラン》を潰したい。
>> 《片眼王》と《道化師》も、殺すためもある。
>> これが私の理由。」
>>言葉を締めると、ディスティアは、微笑んだ。
>>ニッと言うような不敵なものではなく、淡く淡く溶明して、人魚姫が泡になってき得てしまうようなそんな微笑みを浮かべた。
>>「《歌乙女》・・・・・いえ、《風舞姫》。
>> ・・・・・・・・あの呪いに気がついてるんですか?」
>>「ええ、思い出しているわ、《守護する龍》・・・・《鮮血微笑の退魔師》。
>> あの物語で、死亡まで語られた登場人物は、その外見年齢で死ぬってことでしょう?
>> ・・・・回避したければ、私の場合、《片眼王》か、《道化師》を殺すのが、条件。
>> これが、《歌乙女》《龍殺ノ英雄》《片眼王》《道化師》へ呪い。」
>>《退魔師》・・・乾の言葉に、そうあっさりと返す。
>>その表情は、哀しげではあったが、覚悟を決めたそんな表情。
>>「ねぇ、お姫さん。
>> 具体的にどーいう作戦?」
>>「そうね、直接本部に殴り込み、ボスを殺す。
>> ぐらいね、今の段階だと。」
>>「ふーん、人数もこれだけだろうし、妥当だね。
>> 殺すの必要なら、俺たちに回してくれるとお兄さん嬉しいな。」
>>「汚い殺し方しないならね、ルージュ。」
>>「ルーシュだって。」
>>クレセントとディスティアは、そんな会話をする。
>>内容さえ気にしなければ、十分ほのぼのとした雰囲気の。
>>内容を気にしなければのお話。
>アミイ:哀しいわよね・・・・。どこがどう、って、うまく言えないけれど・・・・何だか哀しいわ・・・・。
>朱琉:誰の背負うものが一番重いのかなんて、比べられるものではないですけれど・・・・ディス嬢が背負っているものは、やはり文句なしに『重い』と言える者ですから。それが哀しくて、潰されそうになった過去は痛くて、でも、今立ち上がって前を向いている姿は・・・・凛として、でもどこか切ない。そう思います。
>アミイ:語るわねぇ、朱琉。
>朱琉:心境です。


ユア:そうですね。誰もが軽いとは言えない『背負うモノ』ディス嬢のは、格段に文句無しに想いですからね。
久遠:・・・私はね、人間って、やっぱり狂ったり座り込んだままに居るには、強すぎると思うの。
   だからこそ、前を向いて進むしか無いと思うのよ、お姉さんは。
   でも、それって、凛々しいかもしれないけれど、少し痛々しいわ。
ユア;・・・・・珍しく語るね。
久遠:朱琉ちゃんに、感化されちゃったかしら?


>
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>>閑話休題(それは、さておいて)
>>
>>「《風舞姫》。」
>>「どうしましたか?
>> 《ギルトマスター》。」
>>「・・・・あの子どもはなんなんですか?」
>>「《氣殺使い》。」
>>普段の彼からすれば、かなり砕けた敬語で聞いてきた《ギルトマスター》に、ディスティアは、簡潔に答えた。
>>なんに答えにもなっていないような気がしたが。
>>「何処の所属の?」
>>「《チャイルドクラン》。
>> 一応はね。
>> ・・・・・裏社会じゃ、珍しくないことだから、一応。」
>>【裏社会に望んで入った訳じゃないかもしれない】と、ディスティアはそう言う。
>>『過程』はそうかもしれないけれど、『血に染まっている』という『結果』は変わらない。
>>だけど、それでも。とディスティアは思う。
>>人ならば、何かに救いを求めることが出来るのが誰でも持つことが出来ることだと。
>>「・・・・・・・続きに行こう。
>> 次は、《L》だね。」
>アミイ:望んだわけではないけれど・・・・か。
>朱琉:?
>アミイ:いや・・・・やっぱりさ、ちっちゃな子がこういうところにいるのは・・・・ね。立ち位置すら、望みなく流されたとすれば、なおさらに。


ユア;・・・・・・・『彼』にとっての『幸せ』で、終わらせれるとは思いますが。
久遠:ディスちゃんが、イライアちゃんにとっての私になると良いんだけどね。
ユア:やれるだけのことはしますよ。

>>
>>@ー@ー@ー@ー@ー@ー@ー@ー@ー@ー@ー@ー@ー@ー@ー@ー@ー@ー@ー@ー@ー@ー@ー
>>
>>
>>というわけで、久しぶりの家族の写真、最新話です。
>>いろいろと、真実が分って、作者も少し混乱しています。
>>作中のライラが、フリーランスの外科医云々は、この世界でのみの常識と思ってください。
>>
>>
>>
>>
>>というか、事実上、連載三本抱えているのです。
>>だから、少し更新速度は、堕ちるかもしれないです。
>>でも、一週間に一話、ペースで行けるように頑張ります。
>>
>>
>>
>>それでは、また次回。
>朱琉:はい、では、また。途中で時間が尽きて途中からまともにコメントしてません、すみませんでした。
>二人:では、また次回!

ユア:いえ、ありがとうございます。
二人;では、また。

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