◆−振り向かない +もう 月虹のような朧な思い出を + (時の旅人外伝)(エヴァ本編登場記念)−十叶 夕海 (2006/9/25 22:50:31) No.17847 ┗シンクロニシティ(?)・・・・・・多分。−羅城 朱琉 (2006/10/2 17:16:04) No.17854 ┗ありがとうございます♪−十叶 夕海 (2006/10/2 20:54:41) No.17855
17847 | 振り向かない +もう 月虹のような朧な思い出を + (時の旅人外伝)(エヴァ本編登場記念) | 十叶 夕海 | 2006/9/25 22:50:31 |
もう振り向かない +もう 月虹のような朧な思い出を + 「昨日、口にしていたマリアンって、誰だ? アイツに育てられてるなら、ああいうトコはいかないだろうから、昔の想い人?」 ある日、エヴァンスは、魔族・ディスティアにそう聞かれた。 そう言うトコとは、 出会ってから、会うこと十回。 たいていは、ディスティアに見つかって、一緒にご飯食べて、宿屋で泊まって、翌朝さようならと言う感じである。 『ナツメ』と『アルト』と言う部下が居るようだが、まだ顔も会わせていない。 「ナツメは、人見知りだし、アルトは喧嘩っ早いから。」と言う訳らしい。 エヴァンスは、彼女が、『魔族としては、異端も変わり者もいいトコだ。』と言っていたのを思い出していたが。 (人間としても、十分変わり者だろう)と思わず、思ってしまっていた。 「だから、マリアンって、誰だ。」 (だーッ。少しは女性形だってこと自覚しろ。っていうか、近いし。) 今のエヴァンスとディスティアの位置関係を端的に言えば。 足を伸ばして座っているエヴァンスに、ディスティアが、ヨガの猫のポーズのような格好で、顔を近づけている。 まつげの本数を数えられるし、唇の柔らかさも十分に想像の余地がある。 「・・・・・姉みたいな存在だよ。」 「姉? 同じ男と女から先に生まれた女の兄弟のことだっけ?」 「獣王と海王は? 姉様と呼んでいたと思うが?」 「・・・・・・・・・疑似だ。 ある意味、精神的なモノだから、人間の同性愛の『S』とさほど変わりはない。 ・・・・血のつながり以前に、同僚だし。 あの覇王と兄妹扱いされたくない。」 複雑そうな微笑みを浮かべるディスティア。 彼女が言葉少なに、話す話から推測するに、『同じ目的』がある『兄』ですら、『厭わしく』思うような『デキゴト』が合ったらしい。 1000年前に、『死んだ兄』のほうが、『もう一人の兄』よりも武人で好きだったと。 俺は、昔を振り返っていた。 ディスティアが、横に座り直したのも気がつかないほど、深く深く振り返っていた。 そういえば、自分は・・・・・。 そう言えば、自分には、『兄』とか、『姉』とか、『妹』とか、『弟』とか言える者が、いっぱい居た気がする。 もちろん、本当の『兄弟』じゃない。 俺の両親は、俺を『虐待』していた。 ごはんをあたえないことも、ぼうりょくも、なにもしないことも、にちじょうだった。 それで、隣の小母さんだかが、見かねて、あの教会に引き取らせたようだ。 俺が、覚えている一番古い記憶は、たぶん、六歳か五歳。 銀色の髪のマリアンと、金色の髪のジョシュアが、俺を風呂に入れている記憶だ。 たぶん、引き取られてすぐだろうけど、名前を聞かれたんだと思う。 でも、名前なんか持ってなかった。 両親は、『カス』とか、『コレ』とか、呼ばれてて、名前なんか無いと思った。 黙っていたら、マリアンとジョシュアが、何か数言、相談してた。 『じゃあ、貴方は、今日からエヴァンスって名前ね。』 『強くて優しい、聖人の名前だ。』 それから、俺は、マリアンとジョシュア、他の『兄弟』達に、かわいがられたけど。 初めは、それの返し方が分からなかった。 ううん、感情自体知らなかった。 初めは、食事すら、自分一人じゃ出来なかった。 初めは、マリアンにすら、懐かなかった。 たぶん、あの時の俺は、死んでいたんだと思う。 ・・・・・生き返れたのは、『メイ』を拾って、別れてから。 メイは、白い毛皮と緑色の瞳だった。 教会の近くの森の入り口の方の小川ほとりで、鳴いてたんだ/ 俺みたいに、ガリガリで、持っても、重くない。 俺は、ジョシュアから、石鹸をもらって、お風呂にいれってやったし。 俺は、マリアンから、ミルクをもらって、ご飯を上げた。 首輪は、ジョシュアが、余った革で作ってくれた。 俺なりに、世話をしたんだ。 後から、マリアンに聞いたら、『一緒に勉強してるわね。』って言われた。 確かに、俺に感情を教えてくれたのは、メイだった。 生き返り始めたのも、メイが居たからなんだと思う。 拾ってしばらくして、メイは死んだ。 大きなオトナの猫に、かみ殺された。 マリアンは、土に埋めて、送ってあげようと言った。 でも、なんとなく、メイと出会った小川の傍に埋めてあげようと思った。 そこは、土が堅いし、小石でいっぱいだったけど。 俺は、一生懸命掘った。 その辺の枝とか、使ったけど、メイを埋めるぐらいには、手は血だらけだった。 この時も、俺は、泣けなかったんだ。 でも、完全に埋めてから、なんかしょっぱい水が、眼から溢れ出て来てた。 マリアンに、聞いたら、それが、『涙』だった。 今思えば、哀しくて、哀しくて、泣いた。 初めての涙だった。 『探したわ、エヴァ。 一人で送ってあげるつもりだったの?』 『此処で・・・此処で会ったから、またここで、会えるように、ここに埋めたの。』 そのあと、マリアンといっしょに、枝を組み合わせたシンボルと、花を供えた。 俺は、泣くのを堪えてた。 それを見たマリアンは、俺の髪をくしゃっと撫で、こう言った。 『バカね、こう言う時は我慢しないの。 死んだ人に、私達が出来るのは、思い出してあげることと泣くことよ。』 それで、俺はやっと人前で声をあげて泣けた。 この後にもらった仔猫の首輪の金具は、今でも、剣の柄にぶら下がっている。 それから、マリアンやジョシュア、他の孤児達とも仲良くなれた。 ジョシュアは、俺が来て一年ほどで、近くの大きな街の鍛冶屋に修行に出た。 でも、それは、今思えば、あの『実験』に使われたのだろう。 ちゃんと見たのは、マリアンだった『モノ』だけど、ジョシュアのも見た気がする。 そのあとに、オリスさん・・・・あの白い吟遊詩人の服のヤツに拾われたんだっけ。 「・・・・ンス、エヴァンス。 眼明けたまま、寝ていたのか?」 「じゃない。」 「・・・ま、またいつか。 たぶん、次は、ナツメも連れてくるよ。」 エヴァンスは、ディスティアが、横に居たことも忘れるほど、不覚かこの世界に潜っていたようだった。 彼が、自我を取り戻したのを確認すると、そう言って、すぐに空間を渡ってしまった。 これは、エヴァンスが、昔を思い返した秋のある日の物語だった。 @@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@ 羅城様、お受け取りください。 でも、なんかいろんな意味でごめんなさい。 ついでに、生きててごめんなさい・・・・という自虐ネタはさておいて。 プロット自体は、『止まり木のような関係』と同時期だったんですけどね。 今、文章化するとこうなりました。 『家族の写真』の影響もあるのでしょうけど。 今回のオリキャラのプロフ 名前;ジョシュア 外見;薄い茶髪と瞳。 ひょろっとした痩躯。 服装;標準的な町民がきるような服。 年齢;13歳(享年?) 好き;マリアン エヴァンス お菓子 嫌い;薬 掃除 ピーマン 性格:ガキ大将みたいに偉そうだけど、面倒見が良い。 工作とイタズラが好き 備考;エヴァンスの兄貴分 名前:メイ 外見:白の短毛の毛皮 緑色の瞳 革の首輪(ジョシュアの手作り) 性格;お昼寝が好き。穏和。 エヴァンスの後をとことこ着いて行く。 備考:母猫に捨てられて、エヴァンスに拾われた。 と言った感じです。 どちらの人物も、あのデキゴト以前に、お亡くなりですが。 それでは、また次回。 |
17854 | シンクロニシティ(?)・・・・・・多分。 | 羅城 朱琉 | 2006/10/2 17:16:04 |
記事番号17847へのコメント こんにちは、遅くなりました、な、羅城 朱琉です。 実は、これ読んでちょっと泣きました。 >『此処で・・・此処で会ったから、またここで、会えるように、ここに埋めたの。』 の一文あたりで、ですが。 実は、つい先ほど投稿した時の旅人本編の次の話に似たような台詞があったんですが、シチュエーション的にこっちのほうが好きなので、ニュアンス変える予定です。 と、まあ、感想になっていない感想ですみません。 では、本気で時間がないのでこの辺で。 |
17855 | ありがとうございます♪ | 十叶 夕海 | 2006/10/2 20:54:41 |
記事番号17854へのコメント > > こんにちは、遅くなりました、な、羅城 朱琉です。 こんにちは、いえいえ嬉しいですよ、な、ユアです。 > > 実は、これ読んでちょっと泣きました。 はうぇぇぇぇ・・・・。 ありがとうございます。 > >>『此処で・・・此処で会ったから、またここで、会えるように、ここに埋めたの。』 > > の一文あたりで、ですが。 > > 実は、つい先ほど投稿した時の旅人本編の次の話に似たような台詞があったんですが、シチュエーション的にこっちのほうが好きなので、ニュアンス変える予定です。 > > と、まあ、感想になっていない感想ですみません。 > では、本気で時間がないのでこの辺で。 > 面白い偶然ですね。 返してなような気がしますが、ありがとうございました。 |