◆−家族の写真外伝 ある二人の会話+優しくしないで。返すことが出来ないから+−十叶 夕海 (2006/11/29 00:34:25) No.17914 ┣ちょっと真面目に語ってみましょう。(ある意味とても暴走しています。)−羅城 朱琉 (2006/12/9 13:48:18) No.17917 ┃┗では、真面目に返答しましょう。(少々ぱにくり気味?)−十叶 夕海 (2006/12/11 22:25:24) No.17918 ┣家族の写真外伝 家族の写真 年末年始のとある一幕。−十叶 夕海 (2007/1/11 21:36:29) No.17928 ┃┗もの凄く遅くなりましたです・・・・。 その2−羅城 朱琉 (2007/1/22 12:13:33) No.17944 ┃ ┗彼女にも、いろいろあって、今経っているんです。−十叶 夕海 (2007/1/24 23:12:32) No.17948 ┣家族の写真外伝 途切れてしまった音楽のように +あのまま死なせて欲しかった・・・+−十叶 夕海 (2007/1/29 00:27:32) No.17957 ┗家族の写真外伝 たゆたい視る夢 +君を助けたいだけ、だよぅ+−十叶 夕海 (2007/2/7 04:10:15) No.17975 ┗2話まとめて失礼します。−羅城 朱琉 (2007/2/13 15:34:04) No.17978 ┗五月十五日/夜に、一部繋がるのです。−十叶 夕海 (2007/2/14 15:15:44) No.17983
17914 | 家族の写真外伝 ある二人の会話+優しくしないで。返すことが出来ないから+ | 十叶 夕海 | 2006/11/29 00:34:25 |
僕は、何処に居るんだろう。 ディスティア・・・・・じゃなかったけ。 《風舞姫》って言う人に、薬で眠らされてから、記憶ないや。 いつもより、身体痛くない。 代わりに動かないけど。 僕は、したいことがあるのに。 消えたいのに。 オカアサンも居ないのに。 僕を道具としか見る奴しか居ないのに。 だから、最初から居なかったように・・・・。 存在自体から消えたいのに。 なんで、ディスティアや《風舞姫》は、助けようとするの? 死ぬなって、言うの? もうすぐ、僕は死ぬのに。 消えるのに、何でそんなこというの? 『それはね、坊や。 《歌乙女》の欠片を持つ乙女達の愛情はある意味、母親の愛情なのさ。 本人達は、気付いていないんだろうけどねぇ。』 誰? 僕に誰かが話しかけてきた気配がした。 男だと思う。 白いフード付きのマントと言うかローブとか、そう言う感じの人。 随分動きにくそうだし、古くさい。 『俺が、誰かねぇ。 名前は忘れた。 役目は、【世界樹の翁】とかって、言われてる。』 言われてるって、自分のことなのに、なんで? 『だって、俺が一番年上だったから、そう呼ばれてんだけだぜ?』 何の用? 僕、凄く眠いんだけど。 『坊やがバカなこと思ってるから、さ。 それを訂正させにね。』 訂正? 訂正って何を? バカなことだって、僕の考えだよ? 否定しないで欲しいんだけど。 『否定はする気はない。 だけど、乙女達にああまで思われてるんだ。 それぐらいは、知っとけ。』 変なおじさん。 シツコイシンブンカンユウみたい。 『おじさんてな、言わんでくれ。 一応、外見はお兄さんなんだから、それか、ユグドラシルから、ユーグで呼んでくれ。』 んじゃ、ユーグ。 僕は、優しくされても返すことが出来ないんだ。 だから、優しくされる理由を知っても持て余してしまう。 『それでも、知れ。 一応、歌乙女の感情が、片眼王以外に傾くこと自体、レアなんだぜ? 聞くだけ聞いてくれって。 できれば、《泉の乙女》が話し出す前に、今の身体に戻っておきたいしよ。』 で、何の話だっけ? 『歌乙女達の愛情の種類ってこと。 そもそもな、《愛情》ってのは、友愛とか、恋愛とか、色んな種類があるもんなの。』 あるもんなの? よく分んない。 『あるの。 その中で、一番強くて見返りを求めないのが、母親の愛なの。 受け入れる深い深い愛情が、『母親の愛情』。 ディスティア・・・・今の《歌乙女》の愛情の大部分は、これになるんだろう。 ほんの少しの愛情は、一人の男に向けられているんだ。 ・・・・・・・・数百年前の俺の気まぐれのせいで、ね。』 気まぐれ? どういう気まぐれなの。 『・・・・・故郷に残っていた、まだまともだった頃のね、《片眼王》の残滓をかき集めて、適当な魂と混ぜ合わせたのを作って、それを持って帰る途中に、落とした。』 ・・・・・・あほ? ・・・・・バカ? ・・・・マヌケ? ・・・一回死んだら? 『言うな、俺もそうじゃないかと思いたくなっている。』 で、何言いたいの? 僕、眠いって言ったんだけど。 『・・・・分った。 《泉の乙女》も、そろそろ、話し始めるみたいだしね。 ・・・・・・・俺が言いたいのは一つだけ。 世界ってのは、お前が思っているよりも、優しい。 もう少し、甘えてみな、他の存在に。 ・・・・・・残り少ねェ、命なんだし。』 理解はしてあげる。 どうせ、しばらくはディスティアのところにいることになるんだろうし。 ・・・・・・・だけど、変えないよ。 僕の願いは、『初めから存在しなかったことにする』ことなんだから。 『勝手にしろ、ガキ。 それじゃ、ゆっくり寝ろ。 深い眠りと穏やかな夢と月の恩寵を。』 おやすみ、変なおじさん。 それで、僕は、意識を完全に手放した。 『・・・・・・ばーか、俺はユーグだっての。 さて、戻るかね。』 @@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@ と言う訳で、《世界樹の翁》と、意識失う前の宵颯くんの会話でした。 《世界樹の翁》が、宵颯君の思考を読んで、越名聞こえで話しかけると言う具合です。 《泉の乙女》《守護する龍》《影の語り部》の三人以外は、気がついていなません。 少し、おせっかいな《世界樹の翁》と滅びたがりの宵颯のお話でした。 ACT65〜68までの隙間話です。 それでは、本編で会いましょう。 |
17917 | ちょっと真面目に語ってみましょう。(ある意味とても暴走しています。) | 羅城 朱琉 | 2006/12/9 13:48:18 |
記事番号17914へのコメント 朱琉:こんにちは、ものすごくお久しぶりです、羅城 朱琉です。つい1時間ほど前に試験がひとつ終わって、少し呆けております。 アミイ:今回「も」、定期試験だったのよね。 朱琉:はい。それでもって、来週もまた、「定期」と名のつく試験が2つあります・・・・。実習ひとつ終わるごとに、定期試験なのです・・・・・・・・。 アミイ:・・・・医療系だしね。 じゃあ、レス行きましょうか。 > > > > > >僕は、何処に居るんだろう。 >ディスティア・・・・・じゃなかったけ。 >《風舞姫》って言う人に、薬で眠らされてから、記憶ないや。 >いつもより、身体痛くない。 >代わりに動かないけど。 >僕は、したいことがあるのに。 >消えたいのに。 >オカアサンも居ないのに。 >僕を道具としか見る奴しか居ないのに。 >だから、最初から居なかったように・・・・。 >存在自体から消えたいのに。 >なんで、ディスティアや《風舞姫》は、助けようとするの? >死ぬなって、言うの? >もうすぐ、僕は死ぬのに。 >消えるのに、何でそんなこというの? 朱琉:宵颯くんが時々こういう意味合いの言葉を言っていますが・・・・その度に思うことに、「ど突き倒して説教したい35%+無言で涙35%+どきどき30%」、というのがあります。 アミイ:最初の気持ちから順番に、「現実の立場からくる怒り」、「すこしでもその心情を知っている者としての共感」、「一読者としての関心」ね。 朱琉:『時の旅人』で不幸を量産している私ですが、基本的に「自ら命を絶とうとするもの」は嫌いです。でも、そういう結論に至るまでには、各自物凄い葛藤がある、ということも知っています。ですから、一概にそれを否定することもできません。これが、ある意味『羅城 朱琉』ではない羅城の意見です。 そして、物書き『羅城 朱琉』としては、結構複雑です。純粋に『死にたいだけ』の人は、好きにはなれません。しかし、理由があって、望みがあって、そのための手段としてあえて『死』を選ぶ、というのは肯定しています。 アミイ:で・・・・結局、何が言いたいわけ? 朱琉:えーと・・・・『宵颯くん』は好きなのです。こういうところもひっくるめて。でも、やはり時々そう思って怒りたくもなる、ということです。 >『それはね、坊や。 > 《歌乙女》の欠片を持つ乙女達の愛情はある意味、母親の愛情なのさ。 > 本人達は、気付いていないんだろうけどねぇ。』 >誰? >僕に誰かが話しかけてきた気配がした。 >男だと思う。 >白いフード付きのマントと言うかローブとか、そう言う感じの人。 >随分動きにくそうだし、古くさい。 >『俺が、誰かねぇ。 > 名前は忘れた。 > 役目は、【世界樹の翁】とかって、言われてる。』 >言われてるって、自分のことなのに、なんで? >『だって、俺が一番年上だったから、そう呼ばれてんだけだぜ?』 >何の用? >僕、凄く眠いんだけど。 >『坊やがバカなこと思ってるから、さ。 > それを訂正させにね。』 >訂正? >訂正って何を? >バカなことだって、僕の考えだよ? >否定しないで欲しいんだけど。 >『否定はする気はない。 > だけど、乙女達にああまで思われてるんだ。 > それぐらいは、知っとけ。』 朱琉:それでも、そう思っている人がいることも知っておいてほしいです。 アミイ:『残されたものの悲しみ』ってやつ? 朱琉:ちょっと違います・・・・と、いうより、それだけではありません、かな? 何というのか・・・・それを貫くなら、『覚悟』が欲しいです。 アミイ:覚悟? 朱琉:自分を殺すということは、僅かでも自分を知るものの心に、何かしらの影響を与えますから。場合によっては、相手の心を殺すことにもなる行為です。自分だけでなく、自分に連なるすべての人を同時に殺す覚悟をしてから、いってください。 >変なおじさん。 >シツコイシンブンカンユウみたい。 >『おじさんてな、言わんでくれ。 > 一応、外見はお兄さんなんだから、それか、ユグドラシルから、ユーグで呼んでくれ。』 >んじゃ、ユーグ。 >僕は、優しくされても返すことが出来ないんだ。 >だから、優しくされる理由を知っても持て余してしまう。 >『それでも、知れ。 > 一応、歌乙女の感情が、片眼王以外に傾くこと自体、レアなんだぜ? > 聞くだけ聞いてくれって。 > できれば、《泉の乙女》が話し出す前に、今の身体に戻っておきたいしよ。』 >で、何の話だっけ? >『歌乙女達の愛情の種類ってこと。 > そもそもな、《愛情》ってのは、友愛とか、恋愛とか、色んな種類があるもんなの。』 >あるもんなの? >よく分んない。 >『あるの。 > その中で、一番強くて見返りを求めないのが、母親の愛なの。 > 受け入れる深い深い愛情が、『母親の愛情』。 > ディスティア・・・・今の《歌乙女》の愛情の大部分は、これになるんだろう。 > ほんの少しの愛情は、一人の男に向けられているんだ。 > ・・・・・・・・数百年前の俺の気まぐれのせいで、ね。』 >気まぐれ? >どういう気まぐれなの。 >『・・・・・故郷に残っていた、まだまともだった頃のね、《片眼王》の残滓をかき集めて、適当な魂と混ぜ合わせたのを作って、それを持って帰る途中に、落とした。』 >・・・・・・あほ? >・・・・・バカ? >・・・・マヌケ? >・・・一回死んだら? >『言うな、俺もそうじゃないかと思いたくなっている。』 >で、何言いたいの? >僕、眠いって言ったんだけど。 >『・・・・分った。 > 《泉の乙女》も、そろそろ、話し始めるみたいだしね。 > ・・・・・・・俺が言いたいのは一つだけ。 > 世界ってのは、お前が思っているよりも、優しい。 > もう少し、甘えてみな、他の存在に。 > ・・・・・・残り少ねェ、命なんだし。』 >理解はしてあげる。 >どうせ、しばらくはディスティアのところにいることになるんだろうし。 >・・・・・・・だけど、変えないよ。 >僕の願いは、『初めから存在しなかったことにする』ことなんだから。 >『勝手にしろ、ガキ。 > それじゃ、ゆっくり寝ろ。 > 深い眠りと穏やかな夢と月の恩寵を。』 >おやすみ、変なおじさん。 >それで、僕は、意識を完全に手放した。 > > > >『・・・・・・ばーか、俺はユーグだっての。 > さて、戻るかね。』 朱琉:・・・・・・・・こうやって考えると、ユーグさんの意見は全面的に肯定できますね。 アミイ:まあ、あんたにとってはそうでしょうね。 ・・・・それにしても朱琉・・・・『否定はしない』とか言いながら、かなり痛烈にこき下ろしてない?今までと意見変えたの?何かこれなでにないテンションだったけど・・・・。 朱琉:・・・・・・・・多分、あれです。試験直後で書いてますから、物書き『羅城 朱琉』の考え方より、現実の『私』の考え方に近くなっているのだと。 アミイ:使い分けてるわけ?現実モードと物書きモード。 朱琉:いえ、まったく。だから・・・・正確に言うのなら、『公的場面での羅城 朱琉』と『私的場面での羅城 朱琉』、でしょうか? アミイ:あのねぇ・・・・(呆) > > > > > > > > > >@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@ > > >と言う訳で、《世界樹の翁》と、意識失う前の宵颯くんの会話でした。 >《世界樹の翁》が、宵颯君の思考を読んで、越名聞こえで話しかけると言う具合です。 >《泉の乙女》《守護する龍》《影の語り部》の三人以外は、気がついていなません。 > >少し、おせっかいな《世界樹の翁》と滅びたがりの宵颯のお話でした。 >ACT65〜68までの隙間話です。 > > >それでは、本編で会いましょう。 朱琉:すみません、奇妙なテンションのままレスしてしまって・・・・。かなり慇懃無礼に暴言だった気が・・・・。 アミイ:そう思うなら、書き直しなさい。 朱琉:いえ・・・・これも私ですから、あえてこのままで。 では、今回はこの辺で。多分、次からは元のテンションに戻れると思いますので。 二人:では、また! |
17918 | では、真面目に返答しましょう。(少々ぱにくり気味?) | 十叶 夕海 | 2006/12/11 22:25:24 |
記事番号17917へのコメント > >朱琉:こんにちは、ものすごくお久しぶりです、羅城 朱琉です。つい1時間ほど前に試験がひとつ終わって、少し呆けております。 >アミイ:今回「も」、定期試験だったのよね。 >朱琉:はい。それでもって、来週もまた、「定期」と名のつく試験が2つあります・・・・。実習ひとつ終わるごとに、定期試験なのです・・・・・・・・。 >アミイ:・・・・医療系だしね。 > じゃあ、レス行きましょうか。 ユア:私の方も、投稿遅れ気味です。なユアです。 レポート連弾ラッシュで、ゾンビ化中なのです。 久遠:朱琉ちゃん、ご苦労様。 じゃ、返レス行きましょうか。 > >> >> >> >> >> >>僕は、何処に居るんだろう。 >>ディスティア・・・・・じゃなかったけ。 >>《風舞姫》って言う人に、薬で眠らされてから、記憶ないや。 >>いつもより、身体痛くない。 >>代わりに動かないけど。 >>僕は、したいことがあるのに。 >>消えたいのに。 >>オカアサンも居ないのに。 >>僕を道具としか見る奴しか居ないのに。 >>だから、最初から居なかったように・・・・。 >>存在自体から消えたいのに。 >>なんで、ディスティアや《風舞姫》は、助けようとするの? >>死ぬなって、言うの? >>もうすぐ、僕は死ぬのに。 >>消えるのに、何でそんなこというの? >朱琉:宵颯くんが時々こういう意味合いの言葉を言っていますが・・・・その度に思うことに、「ど突き倒して説教したい35%+無言で涙35%+どきどき30%」、というのがあります。 >アミイ:最初の気持ちから順番に、「現実の立場からくる怒り」、「すこしでもその心情を知っている者としての共感」、「一読者としての関心」ね。 >朱琉:『時の旅人』で不幸を量産している私ですが、基本的に「自ら命を絶とうとするもの」は嫌いです。でも、そういう結論に至るまでには、各自物凄い葛藤がある、ということも知っています。ですから、一概にそれを否定することもできません。これが、ある意味『羅城 朱琉』ではない羅城の意見です。 > そして、物書き『羅城 朱琉』としては、結構複雑です。純粋に『死にたいだけ』の人は、好きにはなれません。しかし、理由があって、望みがあって、そのための手段としてあえて『死』を選ぶ、というのは肯定しています。 >アミイ:で・・・・結局、何が言いたいわけ? >朱琉:えーと・・・・『宵颯くん』は好きなのです。こういうところもひっくるめて。でも、やはり時々そう思って怒りたくもなる、ということです。 ユア:私は、基本的に、自殺肯定と言うことに成るかと思います。 久遠:何故? ユア:『死』しか、選べないような状況まで追い込まれたりすれば、選んでもそれは、その人の道だと、思います。でも、それは、そう言う思い詰められた人なら、賛成はできないけど、仕方ない。と言うぐらいの意味であってです。が。 でも、基本は、『自分が、死んでも、誰も哀しまないと完全完璧塵一つほどもないと、実証できるなら』ということです。 久遠:結論は。 ユア:宵颯は、『自分が、死んで哀しむ人がいない』と、思い込んでるんです。 それを、これから、解きほぐしていきます。 > >>『それはね、坊や。 >> 《歌乙女》の欠片を持つ乙女達の愛情はある意味、母親の愛情なのさ。 >> 本人達は、気付いていないんだろうけどねぇ。』 >>誰? >>僕に誰かが話しかけてきた気配がした。 >>男だと思う。 >>白いフード付きのマントと言うかローブとか、そう言う感じの人。 >>随分動きにくそうだし、古くさい。 >>『俺が、誰かねぇ。 >> 名前は忘れた。 >> 役目は、【世界樹の翁】とかって、言われてる。』 >>言われてるって、自分のことなのに、なんで? >>『だって、俺が一番年上だったから、そう呼ばれてんだけだぜ?』 >>何の用? >>僕、凄く眠いんだけど。 >>『坊やがバカなこと思ってるから、さ。 >> それを訂正させにね。』 >>訂正? >>訂正って何を? >>バカなことだって、僕の考えだよ? >>否定しないで欲しいんだけど。 >>『否定はする気はない。 >> だけど、乙女達にああまで思われてるんだ。 >> それぐらいは、知っとけ。』 >朱琉:それでも、そう思っている人がいることも知っておいてほしいです。 >アミイ:『残されたものの悲しみ』ってやつ? >朱琉:ちょっと違います・・・・と、いうより、それだけではありません、かな? > 何というのか・・・・それを貫くなら、『覚悟』が欲しいです。 >アミイ:覚悟? >朱琉:自分を殺すということは、僅かでも自分を知るものの心に、何かしらの影響を与えますから。場合によっては、相手の心を殺すことにもなる行為です。自分だけでなく、自分に連なるすべ ての人を同時に殺す覚悟をしてから、いってください。 ユア:なるほど。 確かに、ディス嬢&風舞姫嬢の性格上、心が死んじゃいかねませんね。 久遠:宵颯ちゃん、どういう道を選ぶのかしらね。 ユア:スタンス『その人にとっての幸せ』になるように、したいとは思います。 > >>変なおじさん。 >>シツコイシンブンカンユウみたい。 >>『おじさんてな、言わんでくれ。 >> 一応、外見はお兄さんなんだから、それか、ユグドラシルから、ユーグで呼んでくれ。』 >>んじゃ、ユーグ。 >>僕は、優しくされても返すことが出来ないんだ。 >>だから、優しくされる理由を知っても持て余してしまう。 >>『それでも、知れ。 >> 一応、歌乙女の感情が、片眼王以外に傾くこと自体、レアなんだぜ? >> 聞くだけ聞いてくれって。 >> できれば、《泉の乙女》が話し出す前に、今の身体に戻っておきたいしよ。』 >>で、何の話だっけ? >>『歌乙女達の愛情の種類ってこと。 >> そもそもな、《愛情》ってのは、友愛とか、恋愛とか、色んな種類があるもんなの。』 >>あるもんなの? >>よく分んない。 >>『あるの。 >> その中で、一番強くて見返りを求めないのが、母親の愛なの。 >> 受け入れる深い深い愛情が、『母親の愛情』。 >> ディスティア・・・・今の《歌乙女》の愛情の大部分は、これになるんだろう。 >> ほんの少しの愛情は、一人の男に向けられているんだ。 >> ・・・・・・・・数百年前の俺の気まぐれのせいで、ね。』 >>気まぐれ? >>どういう気まぐれなの。 >>『・・・・・故郷に残っていた、まだまともだった頃のね、《片眼王》の残滓をかき集めて、適当な魂と混ぜ合わせたのを作って、それを持って帰る途中に、落とした。』 >>・・・・・・あほ? >>・・・・・バカ? >>・・・・マヌケ? >>・・・一回死んだら? >>『言うな、俺もそうじゃないかと思いたくなっている。』 >>で、何言いたいの? >>僕、眠いって言ったんだけど。 >>『・・・・分った。 >> 《泉の乙女》も、そろそろ、話し始めるみたいだしね。 >> ・・・・・・・俺が言いたいのは一つだけ。 >> 世界ってのは、お前が思っているよりも、優しい。 >> もう少し、甘えてみな、他の存在に。 >> ・・・・・・残り少ねェ、命なんだし。』 >>理解はしてあげる。 >>どうせ、しばらくはディスティアのところにいることになるんだろうし。 >>・・・・・・・だけど、変えないよ。 >>僕の願いは、『初めから存在しなかったことにする』ことなんだから。 >>『勝手にしろ、ガキ。 >> それじゃ、ゆっくり寝ろ。 >> 深い眠りと穏やかな夢と月の恩寵を。』 >>おやすみ、変なおじさん。 >>それで、僕は、意識を完全に手放した。 >> >> >> >>『・・・・・・ばーか、俺はユーグだっての。 >> さて、戻るかね。』 >朱琉:・・・・・・・・こうやって考えると、ユーグさんの意見は全面的に肯定できますね。 >アミイ:まあ、あんたにとってはそうでしょうね。 > ・・・・それにしても朱琉・・・・『否定はしない』とか言いながら、かなり痛烈にこき下ろしてない?今までと意見変えたの?何かこれなでにないテンションだったけど・・・・。 >朱琉:・・・・・・・・多分、あれです。試験直後で書いてますから、物書き『羅城 朱琉』の考え方より、現実の『私』の考え方に近くなっているのだと。 >アミイ:使い分けてるわけ?現実モードと物書きモード。 >朱琉:いえ、まったく。だから・・・・正確に言うのなら、『公的場面での羅城 朱琉』と『私的場面での羅城 朱琉』、でしょうか? >アミイ:あのねぇ・・・・(呆) ユア;色々と意見ありがとうです。 久遠:いつもと、モードが、違うことについては? ユア:私も覚えがあるので、ノーコメで。 これからもよろしくです。(ぺこり) >> >> >> >> >> >> >> >> >> >>@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@ >> >> >>と言う訳で、《世界樹の翁》と、意識失う前の宵颯くんの会話でした。 >>《世界樹の翁》が、宵颯君の思考を読んで、越名聞こえで話しかけると言う具合です。 >>《泉の乙女》《守護する龍》《影の語り部》の三人以外は、気がついていなません。 >> >>少し、おせっかいな《世界樹の翁》と滅びたがりの宵颯のお話でした。 >>ACT65〜68までの隙間話です。 >> >> >>それでは、本編で会いましょう。 >朱琉:すみません、奇妙なテンションのままレスしてしまって・・・・。かなり慇懃無礼に暴言だった気が・・・・。 >アミイ:そう思うなら、書き直しなさい。 >朱琉:いえ・・・・これも私ですから、あえてこのままで。 > では、今回はこの辺で。多分、次からは元のテンションに戻れると思いますので。 >二人:では、また! > ユア:いえいえ、構いませんよ。 二人;それじゃ、また、次回で。 > |
17928 | 家族の写真外伝 家族の写真 年末年始のとある一幕。 | 十叶 夕海 | 2007/1/11 21:36:29 |
記事番号17914へのコメント 12月31日。 この前の大晦日の日。 師走と呼ばれる月の中でも、主婦業をしている人間には、大変な時期なのだ。 そう、ある意味での、戦争なのだ。 家族の写真 年末年始のとある一幕。 「アルト!!栗キントン食べたでしょ!?」 「ち、違うって。」 「じゃ、その口元の食べカスは?」 「え?」 ヴァリード家の台所。 青く輝く髪の女性が、白い髪の少年を問いつめている。 そして、見事な?誘導尋問によって、少年は、お節のつまみ食いがバレてしまったようだった。 「ディス姉さん。 お雑煮、これで良いですか?」 「あー、ちょっと待って。」 「ディス姉さん、そろそろ、俺は行くから。 昼までに戻ってくる。」 「はいはい。 気をつけていってらっしゃい。 私も、後から、《デザートストーム》に行くから。 アークに、よろしく言っといて。」 黒髪の少女の問いかけを少し待たせ、赤髪の少年を送り出す。 その隙に、白い髪の少年ーアルトが、逃げようとする。 するが、双子の妹である黒髪の少女ーナツメに、引き止められていた。 「ディス姉さん、アルト逃げようとしてる。」 「・・・・・・アルト、『お年玉』無しで良いの?」 「うっ・・・・・・。」 ここでいう、『お年玉』とは、金銭のことではない。 大晦日、数日前まで、年末進行で、二月先までの原稿・・・しかも、十誌近く仕上げ、父・レンシェルマと母・ルピナスは、それぞれ寝室で、死んだように眠っている。 一番上の姉・ファランは、明日からの新春大売り出しの準備で、今日も遅くなるだろう。 そんな、ヴァリード家の大晦日の午前だった。 それから、お節をお重に詰め、起き出してきた父母と弟と妹の用意をして、四人が紅白歌合戦を見ているのを確認し、黒の特攻服をひっかけ、ディスティアは家を出た。 大量のカレーが入った寸胴鍋と唐揚げ、卵焼きなどのおかずの入ったタッパーだ。 少なく見積もっても、100人前後分はあるだろう。 それを、バイクのサイドカーに、載せ、固定する。 それに、数日前に、カレーは、《デザートストーム》に、この数倍を作ってある。 他のおかずの類いも、エイレンと紫苑が作っているはずだ。 此処数年・・・・・六年前の大晦日からの習慣だ。 それを習慣化させた男は・・・・エリスはいないし。 それを一番に認めて、理解してくれたレイティスもいない。 バイクの傍の塀に、寄りかかり、深く溜め息を付き、 「どうするべきなんだろうね。」 ディスティアは、呟く。 この習慣を・・・・・・・自分のカレーを喜んでくれたエリスはいない。 六年前のあの日に、死んだ。 その二ヶ月前に、そのカレーを一緒に食べたあの男に、殺されて。 「計画・・・・・・するべきなんだろうけど。 その為には、あの子・・・・アリエスに、ある程度情報を渡さなくちゃいけない。 ・・・・・・・・・・んで、死んだんだよ、エリス、レイティス。 ただ、生きてくれてるだけで良かったのに。 生きててくれれば・・・・・・・・・・立っていられたよ?」 三年前、向こう側に、バレたせいで、レイティスは死んだ。 その従妹のアリエスの心も、半ば砕けた。 なのに、自分は彼女から逃げた。 それを償うかのように、無茶な量の依頼もこなした。 だけど、いまだ、彼女に話す決心もない。 「ディスティアサン? もウ、そロそロ、皆サン、出発しまスヨ。」 「そうか、ありがとう、紫苑。 先に、戻って、何人か屈強そうな新人と古参を選んでおいてくれ。 そいつらに、このメモの材料をスーパーで買わせておいてくれないか。」 思考の海に、沈みかけていたディスティアを、紫苑が声をかけ、引っ張り上げた。 走ってきた彼は、この冬の寒い時期に、ワイシャツにスラックス、カラシ色のベスト姿だった。 彼に、ディスティアは、数十万単位のお金が入った財布とメモ書きを渡す。 「ディスティアサン、大丈夫デスカ?」 「大丈夫だよ。 今は、立ち上がれてる。 それじゃ、頼んだよ。」 紫苑が走り去った後、二十分ほどしてから、ディスティアは、バイクを発進させた。 ヘルメットの中で、ディスティアは、呟く。 「私にも、時間がない。 ・・・・・そろそろ、決心しなくちゃね。」 「押忍ッ! 三代目、補佐殿に頼まれたメモ書きのモノ、買いそろえておきました。」 そう言ったのは、《芭芙織麻都屠(バフォメット)》の親衛副隊長で、リーゼントで岩をこすり合わせたような声の速水龍三だった。 もうすぐ、卒業予定だったかと、ディスティアは、思った。 「久しぶり、元気だった? ・・・・あと、龍三さんと弥勒院は、覚えているけど。その他の二人は、誰? 新人かな?」 「よう、姫。 男の方は、《帝車》のトニー=クモリ。 女の方は、《GREED》のレジー=シュタイン。 二人とも、姫の数々の武勇伝に惚れて、入った口だよ。 今年の二月くらいに、纏めて、50人入ったろ? そんなかで生き残った五人の二人だよ。」 弥勒院蓮二というのは、《薊姫守護衆》の一人だ。 冗談みたいな名前だが、本名だった。 二代目の薬袋大命の幼馴染みでもあるらしい。 その彼が、紹介したのは、日系らしい外国風のブルネットの少年と赤髪緑眼の少女だった。 少なくとも、『暴走族』と言う単語からは、縁遠そうな二人だった。 まだ、汚れていなさそうな。 「遅かったな、ディスティア。 もう、他の連中は、出発したぞ。 あと、四五時間で、朝焼けだから、七時間もすれば、戻ってくるぞ。」 「了解。 それじゃ、龍三さん、弥勒院、トニー、レジー、紫苑。 豚汁とおむすびも、追加で作るから、野菜の皮むきからやるぞ。」 龍三と蓮二は、『はいはい』という感じで、溜め息をつく。 トニーとレジーは、『姐御の命令なら!!』とでもいうように、行き込んでいる。 奥の厨房―喫茶店兼スナックにしては、本格的な様式のーに行く前に、カウンターの中のスツールに、座っていたエイレンに、こう一言だけ、ディスティアは言った。 「エイレンさん、《チャイルドクラン》の情報集めておいてください。 もしかしたら、来年動くかもしれないので。」 「解った。」 里芋、人参、牛蒡、玉葱、馬鈴薯、こんにゃくなど。 豚汁とおむすびー炊き込みご飯の野菜を黙々と剥き、切っていく。 大玉西瓜が、四つはいるくらいの大きなザルに、それらを積み上げていく。 龍三は、小学生ぐらいが入りそうな寸胴鍋三つに、だし汁を作っていた。 「トニーも、レジーも、私に憧れて、入ったって聞いたけど。 なんで、こういう暴走族、なんてにっちな道に入ったの? 逃げとして、選んだのなら、止めといて。 そういうのは、嫌いだから。」 突き放すような口調で、ディスティアは言う。 まだ、1年目なら、浅いとは言え月の世界に、根ざすことなく、太陽の世界に戻れる。 彼らには、太陽の世界が似合うと思うから。 「逃げじゃないです。 四年前の《魔厭雅裂攬(マ−ガレット)》との抗争ン時に、兄貴と一緒に、あのチームにいました。 負けたから、なにされても、文句言えねえのに、何もしなかったその男気に惚れました。」 「・・・・姉さんを、受け入れてくれたから。 暖かいから、入った。」 「なら、良いけど。 ・・・・・・来年の今頃かな、それぐらいになれば、命の保証もできなくなるから、覚悟しといて。」 そんな、殺伐とした会話や。 「そういや、みそ汁とか、カレーとか、唐揚げとか、大丈夫か? ま、姫さんのは、そう言うの関係なく美味いからな。」 「そウ、でスネ、ディスティアサンのご飯、美味しいデス。」 とか、 「トニー、そろそろ、カレーあっため始めて。 レジー、お米洗っておいて。」 とか、割合普通の会話を交わす。 少なくとも、この場は、平和だった。 月の世界とか、太陽の世界とか、そんなコト関係なく。 数時間後。 豚汁も、おにぎりも、カレーの準備も、終わった頃。 ディスティアは、「全部、配っても良いから。」と言い残し、数人前分、取り分けバイクにまたがり、何処かへ行った。 「何処に行ったですか?」 「ん〜、三年前まで、出入りしていた情報屋の一人んトコ。」 「情報屋、何故関わるの?」 「元々、初代目の頃から、情報屋とか、もっと深いところの月の世界の住人と交流があった。 此処のマスターのエイレンさんだって、深いところのこの世界じゃ、有名人だからな。 初代の総長副長も、裏稼業に関わっているようだしな。」 弥勒院と新人二人が話しているところに、人数分のおにぎりと豚汁をよそってきた龍三さんが、岩をこすり合わせるような声で話に入ってきた。 配りながら、龍三は、更に呟く・・・此処にいる人物に話しかけているようではないように。 「それにな、三代目も、四代目も、ここよりも、もっともっと深いところにどっぷりと浸かっている。 ・・・・・・・・・・これ以上は、詮索するな。 薊姫守護衆の連中や上に、消されるぞ。」 しかし、その言葉に、バッと弥勒院―薊姫守護衆の一人に、新人二人は、視線をやる。 それに対して、ニヤリと、意思の読めない・・・・・・・それの不気味さを左頬から首筋にかけての弥勒菩薩の微笑みが、増大させていた。 でも、何故か、龍三の言ったことが、嘘ではない。そう思わせるだけの圧迫感はあった。 「それじゃ、食べよ。 他の皆が戻ってきたら、それどころじゃなくなるしね。」 それを打ち消すかのように、弥勒院は、明るく言う。 正直、新人二人は、ブルブル怯えかけていたが、この後も、《シルフィーダンサー》連合に残り、四代目や五代目の陰の支えになった。 それも、また未来の別のお話。 隣の旅宮市。 ―郊外の一軒家。 「あけましておめでとう、イライアス?」 「ディスティアさんですか? お久しぶりですね、会えて、嬉しいの・・・・」 「嬉しくても、自殺は止めようね。」 カレー鍋、豚汁鍋、オカズタッパー、オムスビタッパーなどを器用に片手で、持ちディスティアは、イライアスの家の玄関に入る。 出迎えたのは、黒髪に、黒水晶のの瞳の陰気な雰囲気の青年だった。 彼は、挨拶を交わすなり、ベレッタをこめかみに押し当てるが、それを空いていた方の手で、ディスティアは、ねじり上げるように、逸らす。 妙に軽い音とともに、玄関の天井に、模様がまた一つ増えた。 「お節は、後から持ってくるけど、《デザートストーム》からの分先に渡しにきた。 お年玉の、ベイリーズとチョコパウンドケーキは、まだ、サイドカーの中だ。」 「あら、ディスちゃん? 久しぶりねぇ〜。」 台所の方から、パタパタとスリッパを鳴らしながら来たのは、赤紫色の髪の新宿二丁目と表現するのが、一番近く女性にも見えるが、まごうことない男性ー月森久遠であった。 彼は、さっさとディスティアから、鍋などを受け取り、台所に引っ込んだ。 「・・・・イライアちゃん、ちゃんと、解りやすく甘えた方が良いわよ。」 そう言い残して。 ともあれ、イライアスは、居間兼ご飯を食べる部屋に、ディスティアを案内した。 久遠は、恐らく料理を温めにいったのだろう。 ソファに座り、お互い落ち着いたころ、イライアスは、こう話を切り出す。 「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・大丈夫ですか?」 「何が?」 「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・二ヶ月半前の拉致監禁強○調●の後遺症、トラウマ、ですよ。」 「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・。 ・・・・・・・・・まだ、マシになったわね。」 「・・・・・・その長過ぎる間は、なんですか?」 「気のせいよ。」 年末の二ヶ月半前と言うと、10月半ばのことだ。 その頃に、ある意味で、《エータミレアム》・・・闇霧榮太郎に攫われ、少なくとも、成人年齢であっても、大きな声で言うのを憚られるような目にあって、まだそれだけしか経っていないのだ。 普通のそういう暴行事件でも・・・・・・行きずりのモノであっても、トラウマ・・・PTSDを残す場合があるのだ。 彼女の場合、後にエイレンに、『【アイツは、自分の腕の中に留めるためなら、手足を手折り、眼球をくり抜くぐらいは平気でする。】それが、アイツの愛情表現だ』と言わしめるほどのそういう表現を受けた結果の後遺症は、無いのか?そう、イライアスは聞いているのだ。 その答えは、間が空き過ぎるほど、間が空いていたので、彼でも怪しいと思うだろう。 じとーっと、見てくるのに、うんざりしたのか、ディスティアは、おいでおいでと手招きをする。 それに、怪訝に思いながらも、言う通りに、ディスティアの横に座る。 「え、あ、でぃ・・・・・ディスティアさん?」 彼らしくもなく、狼狽したような声音で、彼女に話しかける。 原因は、ディスティアが、行ったことにある。 すなわち、18歳のイライアスを胸に押し付けるような形で、抱き締めているからだ。 「・・・・・・こ、これくらいなら、できる程度には、回復してる。」 「・・・・・・・・・・・・・・・・声、震えてますよ?」 「・・・とりあえず、日常生活には、支障無い。」 そして、しばらく、落ちる沈黙。 しつこいかもしれないけれど、沈黙が落ちる。 ちょっと暗くて居にくい沈黙だった。 それを破ったのは、久遠。 「あら、あらあらぁ。 お姉さん、あっち行ってるから、ごゆっくり〜。 イライアちゃん、やる時は、ベッドじゃないと嫌われるわよ?」 という、ある意味、母親らしい一言だった、 しかし、それは確実に、その場の雰囲気を壊した。 「・・・・ち、違います、久遠さん。」 「そうです、ちょっとしたじゃれ合みたいなもんです。」 「え〜、お赤飯炊こうと思ったのに。」 「・・・・・・・炊かなくていいです。」 「ま、いいわ。 食べましょ、ディスちゃんも食べてくんでしょ?」 「え、あ、ああ、はい。」 久遠が、わざわざ、ああ言う台詞を発したのは、雰囲気を変えるため、そう考えるのは、うがち過ぎだろうか。 この後、しばらくして、ディスティアは、眠ってしまい。 午前四時過ぎに、飛び起きて、自宅に帰ると言う一幕もあった。 ちょっと、『普通』とは言え無いけれど、 彼らのこの前の年末年始は、こんな形。 追記 +アルトのお年玉+ ディスティアが、慌てて、自宅に戻ると、当然ながら、灯は消えていた。 そっと、音を立てないように、玄関に入り、自分の部屋へ移動する。 コルクボードから・・・・三年前からあまり動かしていない・・・・、一枚の写真を取る。 ベールを外した黒い喪服ドレスの自分とその膝の上に座っているアリエスの写真だ。 今は、無くしているだろう『ひまわりのような』笑顔のアリエスが、写っている。 「どうしようかしらね。 本当に、・・・・・・・・・・・また、レイティスみたいな人は作りたくないんだけどね。」 そう言いながら、エヴァンスの部屋を挟んだー写真を『お年玉』として、あげる予定の下の弟・アルトの部屋に、忍び込む。 音を、風で散らしながら、枕元まで、歩み寄る。 「アルト、起きろ。」 「ん〜、みゅ、お腹いっぱい、もー食べらんない。」 「・・・・・・アルト、起きろ。 お年玉、渡しにきた。」 「きゅ〜・・・・・・あ、ディス姉さん。」 「・・・・・・・・・寝ぼけているようなら、目覚ましに、ディープキスかまそうか?」 「。。。。。お、起きました。」 シュタッと、そんな音がするくらい素早くアルトは跳ね起きた。 それでも、目をこするなど、何処か眠たげだ。 「ほら、約束の写真。 あの子が、笑ってるのもう少ないから無くさないようにね。」 「わぁい、ありがと、姉さん。」 しかし、写真を受け取り、その中の名前も知らないーもちろんアリエスのことなのだがー少女を見て、ニコニコ笑顔だ。 それを、微笑ましそうにディスティアは眺めながら、一つ思う。 (もう、会ってるんだけどね。 あの状況じゃ、気付きようも無いか。) 「アルト・・・・・・《魔導師(マジスタ)・ラビ》、もしかしたら、今年その子に会えるかもしれないわ。」 「え?」 「三年前、《チャイルドクラン》潰し、無くなったでしょ、直前で。 そろそろ、再結成しても良いかもしれないと思ったしね。」 「・・・・・・・大丈夫なの?」 アルトは、覚えていた。 三年前、ディスティアが、倒れそうになるまで、自分を追いつめていたこと。 三年前、ディスティアのせいで、一人の人間が死んだこと。 「大丈夫、じゃないわ。 だから、まだ少し迷ってる。 ちゃんと、決めたら、教えるわ。」 それから、二ヶ月後。 三月の半ば、ディスティアから、計画を正式に開始することが伝えられた。 それは、まだ、この時点では、未来のお話。 @@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@ 季節感、というか、年末年始というお題に沿っているようないないような微妙な物ですが、如何でしたでしょうか? 一応、『家族の写真』本編をふまえて、書きました。 ギャグあり、シリアスあり、ダークあり。 そして、エロ?ありでした。 ○と●の中身は、公表しません。 知らないのなら、知らないで、その純粋なまま人生を歩んでください。 ええ、はい、熱烈にそう思います。 それでは、スランプ中の本編も、お楽しみに。 |
17944 | もの凄く遅くなりましたです・・・・。 その2 | 羅城 朱琉 | 2007/1/22 12:13:33 |
記事番号17928へのコメント こんにちは、羅城 朱琉です。 本編へのレスで言い訳は山ほどしてしまいましたので、こちらはいきなりレスです。 ディス嬢の見事な主婦っぷりに、ついつい拍手を送りたくなりました。と、言うのも、年末に母がひどい風邪で倒れたので、5日ほど私&妹で主婦業やってたので・・・・改めて、ディス嬢尊敬します。 それぞれの年末年始が、皆の性格(性質?)が出ていて楽しかったです。アルト君の『お年玉』が彼女の写真だったとは・・・・(笑) そして、○と●の中身がなんとなくわかってしまった私・・・・。純粋だったころに戻りたい・・・・と、切に思ってしまいました、が、そろそろ諦めるべきなのかもしれません。 では、何とも取り留めのない文になってしまいましたが、この辺で。 それでは、また。 |
17948 | 彼女にも、いろいろあって、今経っているんです。 | 十叶 夕海 | 2007/1/24 23:12:32 |
記事番号17944へのコメント > > こんにちは、羅城 朱琉です。 > 本編へのレスで言い訳は山ほどしてしまいましたので、こちらはいきなりレスです。 こんにちは、ユアです。 はい、では、返レスへ行きます。 > > ディス嬢の見事な主婦っぷりに、ついつい拍手を送りたくなりました。と、言うのも、年末に母がひどい風邪で倒れたので、5日ほど私&妹で主婦業やってたので・・・・改めて、ディス嬢尊敬します。 本来は、ファラン姉さんの役目なのんですけど、ディス嬢も、此処十年で慣れてしまったようです。 主婦業って大変ですよね。 > それぞれの年末年始が、皆の性格(性質?)が出ていて楽しかったです。アルト君の『お年玉』が彼女の写真だったとは・・・・(笑) ディス嬢からのお年玉ですね。 アルトには、一番のお年玉でしょう。 > そして、○と●の中身がなんとなくわかってしまった私・・・・。純粋だったころに戻りたい・・・・と、切に思ってしまいました、が、そろそろ諦めるべきなのかもしれません。 そういう眼にあっても、ディス嬢は、《エータミレアム》を嫌いになりきれてないです。 > > では、何とも取り留めのない文になってしまいましたが、この辺で。 > それでは、また。 いえいえ、ありがとうございます。 それでは、また次回で。 > |
17957 | 家族の写真外伝 途切れてしまった音楽のように +あのまま死なせて欲しかった・・・+ | 十叶 夕海 | 2007/1/29 00:27:32 |
記事番号17914へのコメント コポ・・・・・コポッ 何処かの研究室らしき、薄暗い部屋。 筒状の青い液体が満たされた機械の中に、二つの人影。 仰々しい機械に、よって二人は生かされている。 二人に取って、望まぬ生の続きを・・・・・・・・ 途切れてしまった音楽のように +あのまま死なせて欲しかった・・・+ 「・・・・カイン兄しゃま。 また、ここに、いましたの?」 「クロエか。 一応、オリジナルとその奥さんが、いるところだからね。」 薄暗い部屋の中、ぼーっとただ立ち尽くしている青年に、幼女が話しかける。 青年は、【嫉妬(エンヴィー)】のカイン=ディラストル。 コーヒーブラウンの肌に金髪をしっぽのように結んでいる。 結ぶ紐は、赤とかオレンジとか南国のイメージのビーズで飾られたやや女性向けにも見えるもの。 瞳は、感情溢れるロゼワインの紫色。 何時ものハイティーンのような服ではなく、ワイシャツにベストと言うややクラッシックな服装の20代に見える青年だ。 幼女は、【怠惰(スロウス)】のクロエ=マリオル。 黒く長いストレートの髪をリボンで三つ編みに結び、肌は、日に焼けない白色。 リボンは、白に、銀の金具と言うシンプルな物。 瞳は、感情の少なそうなアヤメ色の紫色。 黒のシンプルなワンピース。レースも淵の同色のものが、申し訳程度にあるだけの、ゴスロリと言うよりは、喪服のような形式だ。それに、同じようなフード付きのマントを羽織った8歳位の幼女だ。 年齢でいえば、クロエの方が、年上である。 『今』のカインは、十年前に、生まれた。 クロエは、18年ほど前・・・・・マリオル姉妹は、《クラン》の遺産・・・・・に、起動したタイプの個体なのだ。 二人が、視線を向けている二つの筒は、人が一人づつ、青い水溶液にたゆたっている。 女性の方は、硬い印象の銀色の髪を腰までのばした二十歳位の簡素な白い衣装―名前は、セシル・リリーベル=ウツギ・アシュハ、或いは、セシル・リリーベル=シルベスタ。 男性の方は、金髪を肩口まで伸ばした白い肌の20代半ばの同じく簡素な白い衣装―アベル・レス=シルベスタ。 二十数年前に、死んだ・・・・・・人間としての生は、終わった夫婦である。 「考え事をするには、ちょうど良い訳だ。」 「・・・・・・・そういうものなの、カイン兄しゃま? ・・・クロエにはわかりません。」 「うん、そうだね。 ボクもね、半分は、クロエと似たようなものだけど。 アベルの遺伝子をあまりいじっていないクローンだから、ボクも覚えていない記憶があるせいか、落ち着くんだ。」 カインにしてみれば、覚えていない過去とはいえ、オリジナルに対する感情は、複雑だろう。 おまけに、今の自分の外見とそう変わらない・・・・・・どころか、むしろ上の子供も、オリジナルのアベルにはいるのだ。 逆に、クロエには、過去が無い。 覚えていないのではなく、最初から無いのだ。 無から、生まれさせられた。元になった人物ぐらいはいるだろうが、カインのようにこうやって顔を合わせることすらできないだろう。 「くすくす、ゼオンお父様の『アベルを生き返らせる』為に、《片眼王》の役目の為に、『アベル』の『クローン』を存在させてる。 《片眼王》を手札を手放したくないから・・・・・・・・滑稽だよねぇ。」 「・・・・・・カイン兄しゃま。 《片眼王》《戦乙女》《歌乙女》、よくゼオン父しゃまが、欲しいいうものだよね。 それって何? Mr.ヴァイスは、『先代のバカ』のおかげで、クロエたちが生まれたって。 クロエのIDじゃ見れないの。」 カインは、狂態すら滲ませた哄笑をあげる。 しかし、それは、狂気よりもどこか、哀しさを感じさせた。 それを『またですの。』とでもいうように、無表情のまま溜め息一つ、そして今まで聞くことができなかったことをカインに訊ねる。 「・・・・・・そうだね、同じ【七罪】だし、知ってても、別に支障はないか。 クロエ、この間、クエロに貰ったロイヤルスイート社のクッキーとパウンドケーキあるけど、それでも食べながら、話そうか?」 「・・・・・・うん。ロイヤルスイートのは、とっても甘くて美味しいの。」 「ミルクココアとコーヒーどっちがいい?」 「ココア、砂糖はあんまり入れないでね、カイン兄しゃま。」 数分後、同じ建物のカインの部屋にいた。 銀色の金属と黒で、統一されたベッドや本棚などの家具と壁、そして、青地に白のラインのクッションやカバー、観葉植物がおかれた部屋に、二人はいた。 白のラインの青いクッションがおかれた金属製のイスの上で、足をぷらぷらさせながら、クロエは待っていた。 そこだけみれば、普通の8歳に見えるのかもしれないが、それでも顔に表情らしい表情は無い。 小さな音を立て、マグカップ二つと種類さまざまのクッキー皿、リンゴとチョコのパウンドケーキが、並ぶ。 しばらくは、マグカップにスプーンが触れる音や、フォークの音だけが響く。 「・・・・・・・・そろそろ、話していいかな?」 「うん、カイン兄しゃま。」 「さっきのキーワードは、《お伽噺》の登場人物達。 もう、振り回されては無い無いけど、クロエのような役割の人物もいた。 ボク・・・・・・・・・正確には、オリジナルであるアベルは、《片眼王》の《欠片》を持っていた。 ・・・・・・・《お伽噺》って何か解る?」 カインは、手を止め、眼を伏せてからクロエに、問いかける。 それに、彼女は食べる手を 「《片眼王》しゃまが、《戦乙女》しゃんを欲しがったの。 でも、《戦乙女》しゃんには、《龍殺ノ英雄》しゃんっていう旦那しゃまがいて、叶わなかったの。 いろいろあって、《道化師》しゃんの卑怯な計略で、《龍殺ノ英雄》しゃんは死ぬの。 これで、《片眼王》しゃんが《戦乙女》しゃんと、《道化師》しゃんが《歌乙女》しゃんと結ばれてたら、おしまい。 だけど、横からかっさらう形で、《妖鳳王》しゃんが、《戦乙女》しゃんをつれてっちゃって、《片眼王》しゃんと《歌乙女》しゃんが、ガチンコしちゃった。 それで、共倒れになって、《道化師》しゃんだけが生き残っちゃって、《語り部》しゃんになった。 ・・・・・・・これでいいよね? そこまでは、アングラネットでも、調べれたの。」 「うん、だいたいそんなかんじだね。 本来は、中立だった《道化師》が、動かなければ良かったんだけどね。 1500年位前かな、その中立から、彼が追放されたのは。 それが、一番初めの『歪み』。 でもね、一番の歪みは、ちょうど二十年前、オリジナルと先代の《戦乙女》が、《影の語り部》エイレン・レティナ=マイセリアルに殺されたことに始まるんだ。」 「ゼオン父しゃまが、オリジナルしゃんと《戦乙女》シャンの先代しゃんの兄しゃまと親友だったってのは、Dr.ヴァイスから聞いたの。」 それを聞いて、カインは内心『Dr.ヴァイス、何処まで話してんだ。』と思ったが、それを顔に出さずに、さらに、言葉を重ねる。 「それには、こんな話があるんだ。」 それには、こんな話があるんだ。 昔ね、エイレン・・・・・今代の《影の語り部》は、《チャイルドクラン》とも、《クラン》とも関係ない仇を追ってこの世界に踏み込んだ。 その中で、交流があったんだアシュハ兄妹とボクのオリジナルのアベルとね。 実際ね、アベルとセシルとゼオンは、《クラン》の幹部の子どもだったけど、エイレンやジェラルド・・・エイレンの相棒とも、それなりに上手く行っていた。 少なくとも、お互いがお互いを裏切ることは無いんだろうって位に。 裏稼業で、そこまで上手く行くことなんて、ほとんど無いからね。 ある種の奇跡だった。 ずっとずっと、続けば良いような、そんな奇跡の風景。 でもね、《影の語り部》として、目覚めたせいかどうかは、ボクの記憶にも無いし、彼女しか知らないことだろうけど、エイレンは、二人を殺害した。 ゼオンの目の前で。 少なくとも、オリジナルの《片眼王》と先代《戦乙女》を殺害したのは、《影の語り部》だ。 アベルとセシルを殺したのは、エイレン。 それは、動かしようの無い。 当時、三歳か四歳の彼らの息子、シヴァもいたのに。 だけどね、《影の語り部》の取った行動は、間違っちゃいない。 少なくとも、この二人がいないなら、《お伽噺》が、悲劇で終わることが無いからさ。 でもね、彼女に取って、不運だったのは、二人が、《クラン》の上層部の子供だったこと。 そのせいで、彼女は、ジェラルドっていう大切なヤツを無くした。 ・・・・・ま、結局は、《クラン》を潰されたけれどね。 でも、エイレンの思惑とは違い、ゼオンは、親友と妹を生き返らせようとした。 そして、《戦乙女》が、全く違う存在として、生まれ変わったこと。 結構、早く、次の《お伽噺》の主要メンバーが、生まれ変わってしまったこと。 ・・・・・・・・・・生まれ変わりとは言うのは、正確じゃないね。 《欠片ノ継承者(ピース・テラー)》・・・お伽噺の登場人物の役割を受け継いだ人間が生まれてしまったの方かな。 ボクも含めて、『お伽噺』は、よっぽどのことが無い限り、『中立者』以外の《欠片ノ継承者(ピース・テラー)》は、三十年以上、経たないと転生しない。 ゼオンが、アベルとセシルをあの時、死んだままにしてくれていれば、この歪みは、生まれなかっただろうね。 だから、ボクがカインとして、セシルが《水衣ノ君》として、存在し続けなければ、今回の《お伽噺》は、巡らなかった。 《お伽噺》の《片眼王》と《戦乙女》を両方手に入れて、願いを叶えた人間なんて、もうそれこそ、お伽噺の中にしかいないのに。 ゼオンが、『ボク』を必要とするのは、『アベル』とセシルを取り戻したいから。 お伽噺の中にしか、成功者がいないような荒唐無稽な話を信じてまで、取り戻したいのは、『ボク』じゃなくて、『アベル』とセシルなんだよね。 「そう、『ボク』じゃなくて、『アベル』なんだよね。」 カインは、そう哀しげ・・・・流せぬ涙を流し、「『ボク』自身は、必要じゃないんだよね。」とでもいうように、話を締めくくる。 しかし、その時も、話の最中も、お菓子を食べる手を止めなかったクロエ。 決して大きな声ではなかったが、でもはっきりとこう言った。 「・・・・・カイン兄しゃま。 アベルしゃんの記憶、移植された物以外のも、持ってるみたい。」 「・・・・・・・・・・・・・・・正解。 だから、悩んでる。 ゼオン父様が、必要なのは、ボクであってボクじゃない。 だけど、ボクは、カイン=ディラストルでもあり、アベル・レス=シルベスタでもある。」 「カイン兄しゃま。 何が、不満なの? ゼオン父しゃまに、一番信用されてるのは、カイン兄しゃまだよ?」 「・・・・・・ボクが欲しいのは、信頼の方。 用いられたい訳じゃない。 頼られたい。 ・・・・・・・・・・・・・・ニセモノだけどね。 望まない生の続きを押し付けられた身としては、それくらい望みたいよ。」 クロエは、言葉面だけなら、拗ねた子供のように、語調は淡々と事実を述べ、カインに視線を向かわせる。 それに対して、視線を合わせるのが辛いと言うように、眼を伏せたが、哀しさを振り切るかのように、哀しい明るさでそう言う。 「カイン兄しゃま・・・・・・・。」 「なんてね。 ま、僕らは、道具なのには変わりない。 リッツも、わざわざ潜入してるし、クエロも他の二人も動いてるんだ。 ・・・・・・それと、もうすぐ、《戦乙女》が来ることになると思うよ?」 「・・・アリエス・オルフェーゼ=ラーナしゃん? クロエ達、《チャイルドクラン》を恨んでるのに?」 「その辺は、《詐欺師》の渾名を貰うボクの口に見せ所。 ・・・・・・・・・・・・・・リッツが、この間の報告の時に置いてったチョコも食べる?」 「・・・食べる!!」 話を変えるように、カインが新しいお菓子を出そうとすると、それに釣られてかそれとも本当に食べたかったのか、クロエは返す。 まだ、アリエスは、カインを知らない。 だけど、《戦乙女》は、《片眼王》を覚えている。 それが、どう話を巡らせるのか。 まだ、それは、誰も、知らない。 @@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@ 色々と込み合っているお話です。 本編の時間軸では、『五月十五日編』の前になります。 まだ、本編のディスティアサイドでは、話題に出て来てない/ぼかされてる/ そんな部分を書いてみました。 エイレンは、それなりに、隠している部分が多いです。 それも含めて、彼女が本編で言った「私は、私の《負の遺産》と《お伽噺》の支払いの為に、作戦に参加する。」と言う言葉に含まれているのです。 それでは、本編で。 |
17975 | 家族の写真外伝 たゆたい視る夢 +君を助けたいだけ、だよぅ+ | 十叶 夕海 | 2007/2/7 04:10:15 |
記事番号17914へのコメント 霧がかかったように、上下も解らない空間。 真白で、一メートル先も、はっきりしない空間だった。 そこに一人の存在があった。 漆黒の占い師風の衣装に、フード付きの濃い水色のボレロを着て居る。 濃い紫色の髪は、ただ艶やかで、しなやかに真っ直ぐだった。長さは、座っている状況ですら、床があれば、床に着くほど長い。彼の過ごした時間そのままに、 瞳は、全てを見透かしているようなアイオライトの淡いブルー。 白く細い指に、やんわりと握られるのは、銀色のキセル。 年の頃は、十代にも、四十代にも見えるそんな人物。 【・・・・・・・起きたのに、ユーグが来ないねぇ。 珍しいこともあるもんだねぇ。 あの職務と義務には忠実な、堅苦しい男がさぁ。】 ただ、その白い濃霧の世界で、つまらなさそうに、キセルを吹かす。 それは、何処か気怠げなネコ科の大型獣を思わせる危険な香りもする。 『俺とて、すぐに来れる訳ではない。 ・・・・実体の方が、なかなか、眠らなくてね。』 【ふうん、やっぱり、不機嫌そうだねぇ。 僕に、会うからぁ?】 現れたのは、若葉色のおかっぱの髪といつもは穏やかそうな瞳で、焦げ茶のローブの上に、純白の貫頭衣とフード付きのマント姿の青年だった。 その顔は、《泉の乙女》60年以上前に、見送ったレーヴェン=ディールに似ていた。 年の頃は、一見20歳位だが、老人にも見えるそんな感じだ。 いつもは、穏やかな色をたたえる瞳も、今は剣呑な色をはらんでいる。 彼は、数日後、宵颯と出会う《世界樹の翁》であった。 『お前と話して、不機嫌にならない方が少ないだろうが。 《破滅を呼ぶ占い師(デストロイ・テラー)》?』 【だけど、そもそも、『覚醒の挨拶』以外は、《影の語り部》も、《道化師》も、《守護する龍》も・・・・・《お伽噺》を一番疎んでいる《泉の乙女》も、ほとんど来ないんだものぅ。 君以外じゃ、《歌乙女》ぐらいだけど、今代のは来ないしぃ、退屈なんだよねぇ。】 小さな笑い声をあげながら、流れるように唄うように、《世界樹の翁》に、《破滅を呼ぶ占い師》と呼ばれた存在は、そう言った。 からかうような口調と、相まってそれは、《破滅を呼ぶ占い師》を十代の少年のように見せた。 『・・・・・・・・変わらないな。』 【変われないよぉ、僕ら《お伽噺の幽霊》はね。 ただ、役目に流されていく・・・・・役目をこなすことしかできないからねぇ。】 『拒むことも、出来るだろう?』 【・・・・・・・・・それで、眠っていろって? 冗談じゃないよぅ、自殺だけは、しない主義なの、僕はねぇ。】 『確かにな、お前が自殺・・・・・緩慢なものでも、自殺をするのは、世界が滅んでも、ありえないな。 だから、こそ、聞きたい。』 【なにを?】 『お前は、《お伽噺の幽霊》十数人の中でも、《お伽噺》を疎んでいただろう、最初から。』 【そうだねぇ。 《お伽噺》は、大嫌いだよぅ。】 『なのに、律儀に〈夢〉を見続け、俺に伝える?』 それまで、適当に、気のないように返していた《破滅を呼ぶ占い師》は、そこで、ぴたっと動きを止める。 吸いかけていたキセルも、止めるほどに、彼は驚いたのだろうか? たっぷり、十秒後、静止した後、何度かキセルをふかし、煙を吐いた。 最後の紫煙も、周りのミルク色の霧に、溶け消えてから、《世界樹の翁》に向かって、こう一言だけ言った。 【君を、《世界樹の翁》を、《お伽噺》から解放したいから。】 『はい?』 【君を、《世界樹の翁》を、《お伽噺》から解放したいから。 それ以上でも、それ以下でもない。】 さっきまでの気怠げで、甘い口調から、すっぱりとした口調に変わる。 すっぱりと、岩を斬るかのように、またパリ歓楽街の手練の周旋屋か娼窟の主人のようなそんなくちょうだった。 相手に有無を言わせない。 【僕に出来るのは、今代がどうなるかとそれと今代が誰かと言うことを知るだけ。 ・・・・・・・・〈夢〉から、起きれば、それの結末が終わるまで、視続けることしか出来ない。 どんなに、悲喜劇な・・・・・・筋の解りきったお話を視ることが、僕の役目だけどね。】 『・・・・・・・・俺のことは、嫌いじゃなかったのか?』 【・・・第一声がそれ?】 呆れたように、《世界樹の翁》に言葉を返す。 《破滅を呼ぶ占い師》は、顔を伏せる。 それだけで、長い艶やかな髪は、顔を覆い隠し表情を隠す。 【僕はね、ここに、ずっとずっと、いる。 現実・・・・君らが住んでいる世界に出たのも、数えれる位しかない。 そんな中、足繁く、義務と職務だとしても、訊ねて来てくれる相手を嫌いになれる訳無いだろう?】 『・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・。 ・・・・・・ありがとう,そう言うべきだろうな。』 『それで、今回の〈夢〉は?』 人間の感覚に治して、約十五分後。 彼が、此処を訪れてから、一時間後。 やっと、《世界樹の翁》は、本第に入ることが出来た。 【いつも通り、詩歌仕立てでいい?】 『かまわないよ。』 【それじゃ。今回のは・・・・・】 《破滅の占い師》は、大きく生きを吸い、詩を吟じ始めた。 息を吸う必要はないのだが、気分の問題だろう、多分。 遥か遠き過日より 連綿続く 悲喜劇を織り紡ぎ 《お伽噺》の歪みは 収束し 解答を提示するだろう 《片眼王》が 望みしモノを 手中に収めるか 《歌乙女》が 鎮魂歌を 朗々歌い紡ぐか 未だ 未確定なれど 幾千の日々に一つの終止符が降りるだろう 幸福に終わるか 不幸に終わるか 不明なれど さりとて 当人達には 幸福な終止符だろう 少なくとも、この瞬間は、《破滅を呼ぶ占い師》というよりは、《詩人》と称する方が似合うと言うほど、綺麗だった。 『・・・・・・・・・・・・・・・・・・・合ってるよな?』 【っ呆れた。 僕が、なんで、《破滅を呼ぶ占い師》なんて、呼ばれているかしらないわけじゃないだろう?】 『そりゃな。』 【『見た夢が、良きにしろ、悪きにしろ、必ず具現するから』】 【わかっているだろう? どんな、未来も、確定することはないはずなのに、僕が視る〈夢〉の欠片だけは、確定する。】 『だから、『破滅を呼ぶ』なんで言われる・・・・か。』 なんでもなさそうに、《破滅を呼ぶ占い師》はいうが、それは悪夢だろう。 想像もしてみて欲しい、自分の人生をこれから先を全部、一から十まで、何が起こるか解っていて、まともに、人生を送れるだろうか? 人の生をそれこそ、100人束ねても、足りないくらい長い間、幾代も代を重ねる《お伽噺》を余すことなく、見続けているのだ。 そして、夢を視続ける。 また、起きて、《世界樹の翁》に伝えて、見守り続ける。 彼は、この空間から動けない訳ではない。 動けない訳ではないが、動かないのだ。 ・・・・・動けば、酷いしっぺ返し・・・確定しているはずの運命が、悪い方向に動くのだ。 何度動いただろう。 視てしまった未来を少しでも変えたくて。 それでも、崖から岩塊が、転げ落ちるように悪い方向に転がるのだ。 ほんの数度の例外だけを残して。 だから、《破滅を呼ぶ占い師》は、動かなかった。 だから、《世界樹の翁》は、動くかどうかを訊ねなかった。 【今回は、僕も動くよ。 ・・・・・・君も、あの条件を満たされて、今のボディの外見を使いたくはないよねぇ?】 『たしかにな。 ・・・でも、いいのか?』 ある意味、とんでもないことを言い出した彼に、恐る恐ると言うように、《世界樹の翁》は聞き返す。 無表情か、嘲笑か、哀しみか、そんな表情しか、ここにこもるようになってから、見せたことがない《破滅を呼ぶ占い師》が、晴れやかな笑顔を初めて見せて言う。 【かれこれ、拗ねて外に出ないのも、単純計算でも、20代・・・600年は、此処から出ていないしね。 それに、今回は、妙に、悪い予感はしないしね。】 『それは、当たればいいな。』 【だねぇ。 立場的には、君のボディの守護霊、と言うことにでもなるのかな。】 《破滅を呼ぶ占い師》は、立ち上がる。 髪が、さらりと、肩に流れた。 それを腕に結んであった淡い緑色の紐で粗く縛る。 『まだ、使っていたの? 《片眼王》から貰った髪紐。』 【忘れることは出来ないからねぇ。 さてと、今から、今のボディに戻るんだよねぇ?】 そうして、二人は、この空間から消えた。 ただ、残るのは白い霧のようなモノだけ。 それだけが、ただ、夢の様にたゆたっていた。 @@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@ 本編で、《破滅を呼ぶ占い師》を登場させる前に、どうしても、投稿したかった一品です。 彼ー彼女かもしれないですがーは、決して,人に好かれる言動じゃないですが、それなりの過去がある訳です。 ともあれ、次回本編にて、《破滅を呼ぶ占い師》登場です。 それでは、また次回にて。 |
17978 | 2話まとめて失礼します。 | 羅城 朱琉 | 2007/2/13 15:34:04 |
記事番号17975へのコメント こんにちは、ものすごくお久しぶりです。 えー・・・・試験&再試験が終わり、今現在結果待ちです。テスト中に眠気覚ましのためのコーヒー(ブラック・無糖)を飲みすぎて、胃を壊した羅城 朱琉です。(←あほ) では、短くなりますが、まとめてレス致します。 まずは、『途切れてしまった音楽のように』の方から。 やっと、カイン(≒アベル)に関する話が繋がった、という感じです。C.Cの動きに関することも、少しずつ意味がわかってきて、今後が楽しみです。 そして、『たゆたい視る夢』の方。 『確かに、これは語り部さんだ・・・・。』と思ったのが第一。 そして、アリエスがC.Cに!?Why!?というのが第二でした。 と、まあ、非常に端的&短いですが、この辺で。 では、また! |
17983 | 五月十五日/夜に、一部繋がるのです。 | 十叶 夕海 | 2007/2/14 15:15:44 |
記事番号17978へのコメント > > こんにちは、ものすごくお久しぶりです。 > えー・・・・試験&再試験が終わり、今現在結果待ちです。テスト中に眠気覚ましのためのコーヒー(ブラック・無糖)を飲みすぎて、胃を壊した羅城 朱琉です。(←あほ) > では、短くなりますが、まとめてレス致します。 こんにちは、お久しぶりです。 72話の為に、胃薬飲み過ぎて、逆に胃を壊しました。 ともあれ、返レス行きます。 > > まずは、『途切れてしまった音楽のように』の方から。 > やっと、カイン(≒アベル)に関する話が繋がった、という感じです。C.Cの動きに関することも、少しずつ意味がわかってきて、今後が楽しみです。 やっと、出せました。 少しづつ、本編にも、C.C.の面々が顔を出し始めます。 というか、五月十五日/夜に、幹部とボスは、顔は出します。 > > そして、『たゆたい視る夢』の方。 > 『確かに、これは語り部さんだ・・・・。』と思ったのが第一。 > そして、アリエスがC.Cに!?Why!?というのが第二でした。 どこか、諦めているけど、何か一つ、譲れない物がある。と言うわけです。 『時の旅人』のアリエス嬢と同じ・・・・・いえ、もっと酷い流れでですね。 > > と、まあ、非常に端的&短いですが、この辺で。 > では、また! > はい、では、次回以降で それでは、また。 |