◆−プレゼント−。。。 (2006/12/13 19:10:37) No.17920


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17920プレゼント。。。 2006/12/13 19:10:37




雪が積もった静かな夜
黒い髪の少女は、空になった大きな袋を持って
一人 屋根の上に居た。

「プレゼントは配り終えたんですか?」
少女は声の主を見る
紫色の髪を持つ魔族が、音も無く現れ そこに立っていた
「・・ゼロスさん・・・」
そこはアメリアのお城の一室の上で
今日はリナ達をクリスマスパーティに招待したその晩だった。
アメリアはこっそりそれぞれの部屋にプレゼントを置いて来るという
大役を終えたばかりである

「何も貴女がやらなくとも 城の者に任せたら良いのに」
ゼロスの言葉も聞かずに
ゴソゴソとしぼんだ袋に手を突っ込んだアメリアは
やがて小さな包み紙を取り出した

「ハイッゼロスさん!プレゼントです」
「・・・・・・」
ゼロスは思わず眉をしかめた
「私が今年いくつになると思ってるんです?」
「でもリナさん達にもあげましたし・・」
「あなた達とは二桁程違うんですよ!」
アメリアは少し困惑しつつ、
「で、でも小さい時にはサンタさんに貰った事くらいあるでしょう?」
「ありません。魔族デスカラ」
「・・・・・・・・あの、アレですょ、ゼロスさん家、煙突がナイじゃないですか、だから昔サンタさんが困って、仕方ないカラ私ん家に預けて行って、その滞納し続けてたプレゼントがコレです」
「そんなプレゼント嫌過ぎます」

アメリアは動じず まあまあと言ってから
「でもゼロスさんへのプレゼントですから、受け取って下さい」
「・・・はい」
そこまで断る理由も無いし<魔族へのプレゼント>の内容に興味を引いたゼロスは
素直に受け取った

プレゼントは画鋲だった。
「・・・・・・イジメですか?」
心が極寒の地シベリアに。
「えー!不服ですかァ?」
少女はさも驚いた風にいう
「負の感情をプレゼントしたんですョ!画鋲貰った時の嫌な気持ち・・その負の感情をデス!」
「それで喜ぶのならタダのマゾです」
ハァ・・と一つ大きな溜息をついて
「例えばリナさんだってお肉が大好きでも、自分の腕は食べないでしょう? そんなモノなんです。コウモリだって自分の血は吸わない。」
ふーんそォなんですかァーとうわの空な返事
全く。
魔族をどんな目で見てるンだ
この娘

「ではゼロスさんお休みなさァい・・」
フラフラと屋根から下りてサッサと自室に戻ってしまった
「・・・」
その様子から思い至る。そういえば随分前から眠そうだったのに
ナゼ屋根の上に居座り続けていたのか
・・・・・・・
・・自分が、まだプレゼントを受け取っていないから?

考えスギだと首を振り 月を見上げる。
人間て・・わかりませんね
小さく、小さく呟いた