◆−↓の二時間前の話−。。。 (2006/12/18 00:08:32) No.17922 ┗↓の二時間前の話2−。。。 (2006/12/18 22:46:56) No.17924
17922 | ↓の二時間前の話 | 。。。 | 2006/12/18 00:08:32 |
「アメリア様、この様な仕事は私共に任せてもらえれば・・」 真夜中、城内の寝室前廊下 警備担当の兵士が声を潜めて話しかけた 「ダメです!あの人達は普通じゃないんですよ!私じゃないと起きちゃいますっ」 それに対し 姫様の答えは揺るぎのないものだった。 クリスマスの夜、リナ達をパーティーに招待したアメリアは、貸したそれぞれの部屋にプレゼントを配ろうとしていた。 アメリアの父の、粋な(?)計らいで 招待したお客の部屋にはプレゼントを置いておくサービスを実施しているのだが、 アメリアは自ら 仲間達にプレゼントを配ろうとしているのだった。 「・・っ・ですが姫様!貴女様にこの様な仕事をさせる訳にはいきませんっ!私だって兵士の端くれ、この仕事をこなしてみせますっ!」 だが兵士も譲らず、声高に誠意のある主張をする、が 「しィーーーーッ!静かにっ」 アメリアに届く事はなく 「これは命令ですっ兵士A!」 「ぇ、Aェ!?姫様っ私はアシュフォード・・」 「だから、Aです!」 「・・・」 明らかにこじ付けであろう切り替えし。 「さァっまずはリナさんですっ!」 意気揚々と進むアメリアの後ろには 名前を憶えられてなかったショックから肩を落とした兵士がトボトボと付いていた キィ・・ッ 木製の立派な扉をそっと開ける。 リナの部屋だ 「リナさんは奇襲慣れしてますからね・・・本当は一番厄介です。」 「え。ですが こうして喋ってても起きませんね」 「ハイ・・睡眠薬盛りましたから。」 「・・・・ッうええモガッ!」 口を押さえられて シィッと口元に人差し指を当てたアメリアが厳しい目で制していた。 「リナさんは食事量が多いですから、無味無臭の液状睡眠薬を 食事に少量づつ・・・料理も味を濃いめにしてありますし、まず気づかれません。」 「・・・」 兵士はこの人が本当にあの姫様なのか不安になる。 リナの部屋は無事配り終え、次はガウリイの部屋。 「ガウリイさんも、リナさんと以下同文です。」 アメリアが声を潜めながら言う 「・・・・・あの、ならば自分だけでも配る事が出来たと思うんですけど・・」 兵士が至極真っ当な意見を述べかけた、その時 がばっ ガウリイが起きた。 『ッ!!?』 硬直している二人の間を、ガウリイは寝惚けた顔でのたのたと通り、そのまま廊下に出ていってしまった 「えっえっえっ何今のッ気付かれてないですよねッ!?」 驚きのあまり、兵士は取り乱し気味だ 「さすがガウリイさん・・二日は起きない量を盛ったハズなんですが・・」 隣で怖い事を言いつつ、驚きを隠せない様子でアメリアは目をパチパチさせていた ガウリイはトイレに行って、食堂の机に置いてあった水を一杯飲んでから、ベットに倒れ込んだ。 プレゼントを配り終え、二人は廊下に出た 「ハァ〜・・・わかりました、アメリア様。確かに自分には荷が重い様です・・」 兵士は青い顔で、心臓の辺りを掴みながら しゅんとうな垂れた よく見ると小さくプルプルと震えている ・・一介の兵士に、寝ながらにしてこれ程の恐怖を与えるとはガウリイとは恐ろしい男だった。 |
17924 | ↓の二時間前の話2 | 。。。 | 2006/12/18 22:46:56 |
記事番号17922へのコメント ガウリイの超人ぶりをあらためて目の当たりにした アメリア達は気を取り直して、次へ行く事にした。 「ちょっと待って下さい」 ・・次へ行く事にしなかった。 「何ですか?もぅ・・」 行く気満々のアメリアは、出ばなをくじかれた様に振り向いた。 「少し様子がおかしくないですか?ガウリイ様、起き掛けは寝惚けていても 仕方ないですが、流石にトイレから戻る頃には目も冴えているでしょう。それなのに我らに気づかずにそのまま寝入ってしまうなんて、ありえるんですか?」 「え〜〜〜 ガウリイさんが変なのはいつもですよぅ」 兵士の真面目な意見に、アメリアはまともに取り合おうとしない 12時はとっくに回っている。姫様は眠い様だ。 「・・・そういや、食堂はもう片付けてあるのに、何で水が外に出てるんですかね?」 「え?・・・・あ」 夜の食堂 外に出ていた水は液状睡眠薬だった。 「えええええええええええええええ・・ぜ全部飲まれてますよ!?」 「・・・・・もう起きて来ないかもしれませんね」 「・ひひ姫様、私は相応の罰を受けてから、この仕事辞めさせてもら」 「ガウリイさんは超人だから大丈夫ですっ!さあっ行きますよっ!」 「・・・」 兵士はもはや姫様の方が恐ろしかった 「さて最後はゼルガディスさんですね・・・」 「また薬盛ったんですか?私もうトラウマ気味なんですが・・」 「いえ、ゼルガディスさんは すごい冷え性肌なのでとても暖かい場を提供すれば、絶対起きませんよ」 「姫様ってどんな世界観してるんですか」 明らかに偏見っぽいんだけど・・可哀想すぎる・・・ ドアを開けて中に入るも、偏見通り起きる様子がない。が 「どうしましょうね・・」 兵士が言って、 「はい・・」 アメリアが同意した。 寝ているゼルガディスは、プレゼントを入れる為の大きな靴下を ぎゅうっと抱きしめたまま床に就いていた。 「本当に・・2つ以上の意味でどうしようです・・・」 「・・えッ」 突然の暴言にビクッと兵士の肩が揺れる 「・・・まったく、仕方がないですね」 と言うや否やガバッと 容赦無くアメリアは靴下を剥がし取った 「ッえぇっ!?」 小声で驚く横で、ちゃっちゃとプレゼントを詰めて元に戻す 「どうしたんですか!?ヤケですかっ?起きちゃったらどうするんですっ!」 アメリアは少しいじけた様に むくれて 「意地悪なんですよ・・ゼルガディスさんは」 そしてサッサと部屋を後にしてしまった。 「あ、アメリア様ァ?;」 慌てて兵士が追い、静かになった部屋で 「・・ばァか」 そっと小さく低い声が呟いた 「ではアメリア様、今夜はご苦労様でしたっお疲れ様ですッお休みなさいませっ!」 矢継ぎ早に挨拶をする兵士を特に気に止める様子もなく、ただ眠たげに 「はァい・・おやすみアシュレー」 「・・・・まぁ良いですよ、お休みなさいませ アメリア様」 と言って二人は廊下で別れた その後、一つだけ残っていたプレゼントをアメリアが見つけてしまい、 自分の部屋に届いていたプレゼントに気づくのは、それから2時間後の事だった。 |