◆−癒すもの−明美(6/7-00:56)No.1804
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1804癒すもの明美 E-mail URL6/7-00:56


どーもです!滅茶苦茶久しぶりに投稿します。駄文書き明美です。
えっと、いちおーガウリナです。
短いんで、そんな読むのに時間かからないです。読んで(^^)

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 起きてすぐから、頭が痛かった。
 って言うか……あまりの痛さに思いっきし目が覚めてしまった。はっきし言って寝てられないっていうのが、正解である。
 あたしはゆっくりと、ベットの上に体を起こす。
 ゆっくりと体を起こす――その動作だけで頭がくらくらする。
「いったぁ……」
 起き抜けで、声が自分の声と思えないほどかすれて低い。
 今日は特別急ぐこともない。
 のろのろと着替え、あたしは出窓を押し開けた。
 目に痛いほど陽光が差し込んでくる。かざした手のひら越しに太陽を見る。高さから見ると、もう昼近くのようだ。

「やっと起きたのか」
 痛む頭を振り声の方を眺めると、予想通りの人物が、何故か手に斧を持って立っていた。
「なに?それ」
「なにって、オノ」
「そーゆー事を聞いてるんじゃなくて……」
「薪割りするにはオノがいるだろ」
 さも、当たり前のように言う。
 脇に薪が置いてあるから、そうだろうとは思ったよ。
 あたしは何故、この宿の客であるガウリイがンな事してるかって聞いてるんだけど……。
 なんか余計に頭痛くなってきた。
「頭どうかしたのか?」
 こめかみを押さえて、どう言ったらいいもんか悩んでいるあたしに、のーてんきな声がかけられる。
 ……あんたが余計に頭痛を促進させてるんだってば。
「あっ、すみませーん。お客さんにこんな事させちゃって」
 大きな籠が窓の下を歩いてくる。その影から、ここの宿屋の娘アリスさんがひょいっと顔を覗かせた。
「やっと、まともな会話できそう」
「まともって……」
 ガウリイがちょっぴりジト目であたしを見るが、無視。
 そんなやり取りに気づいてないのか、アリスさん、
「うちは、男手がないのでで薪割りいっつもわたしがやってるんですけど、ガウリイさんが手伝ってくださるって……」
 申し訳なさそうに言いだしたのを、あたしはぱたぱた手を振ってさえぎった。
「あ、いーのいーの。ガウリイ、脳みそは余ってないけど力は余ってるから。ご飯さえ十分食べさせとけば、文句なんて言わないわよ」
「リナ、お前なあ……」
 くすりっ、とアリスさんが笑う。
 およそ肉体労働が似合わない華奢な体つきに、上品なしぐさ、おまけに美人ときたもんだから、こんな田舎の宿屋の娘らしくない。そんな彼女が笑うと、この場所が宿の裏庭だと言うことを忘れてしまう。
「お二人は、仲がいいんですね」
「仲がいいって言うのかなぁ」
 しみじみ悩むなよ、ガウリイ。
 仲がいいって言われて、素直に頷けないのはあたしも同じだけど。……まあ、仲が悪かったら旅の連れになんて…………って、旅の連れ……?
 高笑いの似合う誰かさんを思い出しそうになって、あたしは慌てて頭を振った。じん、と頭が痛む。
「あ、目が覚めたんでしたら、お食事召し上がりますよね?リナさん」
「そうね、そうするわ」
 アリスさんがにっこり笑って言ったのにつられて、あたしはすぐに頷いた。

 食べる、と言ったもののあまり食欲はなかった。
 昨日、この宿屋にたどり着くと、いきなし『アリスさんの婚約記念パーティ』とやらに巻き込まれてしまい、明け方まで飲み食いしていたのだ。これで、食欲旺盛な方がどうかしている。……とか言っても食べるけど。
 階段の上から見ても、昨夜のどんちゃん騒ぎの跡形は全く見られない。夢だったのかと思うほど、綺麗さっぱりと片付けられている。ただ、夢じゃない証拠に、あたしは頭痛――たぶん、二日酔いと寝不足が原因だろう――を抱え、階段を降り。
 途中で視界が反転した。

 ふと気がついてみると、天井が見える。
「リナちゃん、大丈夫かい?」
 宿のおかみさんがあたしの顔を覗き込む。アリスさんの母親で、彼女によく似た綺麗な人である。
「はあ…」
「悪かったねえ。うちの娘が階段にバケツ置いたまま忘れてたみたいで」
 どーやらあたしは、そのバケツに足を突っ込んで階段を転げ落ちたようである。
 体中があちこち痛い。あ、足ひねってるし…。
「すみません……」
「リナ、大丈夫か?」
 アリスさんがすまなそうな顔であたしを見、ガウリイが心配そーな顔で見る。
 相変わらず、過保護ってゆーか。
 苦笑しつつ、あたしはこっそり口の中で治癒(リカバリィ)を唱える。――ケガした、なんて知ったらおかみさんもアリスさんも…まあ、ガウリイも、だけど…心配する事は間違いないからである。もっとも、耳のいい彼には聞こえているかもしれないが。
「ほーんと、この娘ったらそそっかしくて。こんなのでお嫁に行っても大丈夫なのかしら」
「ちょっと、母さんってばお客さんの前でそんな――あれ?リナさん?あの…」
「……さーて、ご飯ご飯〜♪」
「めしめし〜♪」
 急に元気に言い出したあたし達を見て、母子二人そろって呆気に取られた表情で佇んでいた。

「リナ」
「なに?」
 席についてメニューを眺めていると、とーぜんのようにガウリイもその席につく。いつものコトだけど。
「足、もう痛くないのか?」
「え?」
 なんだ、やっぱしバレてたか。
「あんたねえ……。そんな風にずーっとい〜〜っつも心配してて――疲れない?
 他に、する事とかないの?」
「はあ?」
 わからない、って顔。あたしが鼻先に突き付けた指をきょとん、と見ている。
 あんまし、そーゆーの気にならない。ってゆーか、気にしてないのかもしんない。
「あー、なんでもない、なんでもない。気にしないで」
「なんだよそれは……おい?」
 ふっと、あたしの顔を見て真剣な表情になる。
「な、なによ」
 大きな手が、あたしの頬に伸びてくる。
 なぜか妙に、心がざわめく。
 ドキドキ…。静まれ心臓。
「顔が赤いぞ」
 ――ダークアウト。
「おーいリナ。こんな所で寝るなよー」
 ガウリイの間延びした声が、みょーにあたしの耳に残った。


 目を開けると、また天井……?
 頭に靄がかかったように、ぼうっとしている。頭が、体が、重苦しい。
 しん、と部屋が静まり返っている。
 食堂なら、こんなに静かなワケないのに。
――後から聞いたのだが、最初の頭痛は寝不足や二日酔いではなかったようだ。風邪をひいていたのに気がつかないままに治癒をかけてしまって、‘ばいきん’のポテンシャルまであげた。――結果、風邪をひどくしていたのだ。

 体が、熱い。重い。
 金縛りにあったように、気が焦るばかりで体が全く言う事を聞かない。
 誰かが、あたしの頭をなで、顔を覗き込んで何か言う。
 ――誰?
 ほんやりした視界の中で、輪郭しか見えないその人物が、笑ったような気がした。
 ずっと付いてるから、とかなんとか、言ったような気がした。

 ――うん、ありがと。ごめんね。
 ――ずっと……そばにいて。

 誰かがいてくれた、ただそれだけで安心して、あたしはまた眠りに落ちた。


 ひんやりと気持ちのいい風が、頬をなでる。
 天井が視界にはいる。
 ……あれ?あたし……。
 まばたきをする。
 首を動かし、辺りを見る。あたしの部屋だ。
 少し開いた窓が、静かに外の穏やかな空気を運んでくる。
「やっと起きたか…」
 同じセリフを同じ声が言う。
「ガウリイ?」
「ああ」
 自分の声が、低く喉の奥でかすれている。
「どして……ここに、いるの?」
「ずっとここにいる、って言ったら頷いたじゃないか」
 そうだっけ?
「いつもと逆だな。
 覚えてない事を教えるなんて」
 なにがそんなに嬉しいんだか、にっこりと、みょーに嬉しそうに笑う。
 ちょっと悔しい。
 でも、あれが夢じゃなかったとすると……。
「あたし、他になんか言ってた?」
「さあな――忘れた」
「やっぱし」
 ……聞いたあたしが馬鹿だった。
 あたしは思わず深い深いため息をつく。
 なぜか、ガウリイもため息をつく。
「リナ…お前な」
「なによ?」
「人にさんざん心配させといて」
 手で、あたしの髪をくしゃくしゃっと、なでる。
「やめてよ」
「まだちょっと熱があるな」
「平気だってば」
 手を払いのけ、ベットの上に起きあがる。ちょうど、ガウリイの目線と高さが同じになった。いつも見上げている青い瞳が、目の前に見える。
「言ったと思うけど――いつもあたしの事ずっと心配してて、疲れない?」
 盗賊いぢめに行こうとすると真夜中でも気がついて、必ず付いてくるのだ。いつ寝てんだか。
「う〜〜ん。そーだな……。
 5日も寝こまれると、キツイかな」
「5日?って、あたしが?」
 目の前の、青い瞳がふっと、笑う。
「心配、させてやろうか?」
「どうやって?」
 言ったとたん、軽く唇が合わさり、離れる。
「キスで風邪がうつるって言うだろ?」
「そんなの…」
 ほんとかどうか。
「うつったら看病してくれるだろ?リナ?」
「そんな、勝手にっ!!」
 勝手に、そんな事言って!
「楽しみだな」
 にやにや笑いながら、部屋を出て行く。 
 あたしは、その背中に枕を放り投げた。

「あたしは看病なんて、絶対っ!!」

 ――しょうがない、看病してあげるわよ……。

―――――――――――――――――――――――――――――――――――
おわり

う〜〜ん、まだ修行が足りない…。
墓穴掘って、地底に住んでます(笑)。遠慮なく土かけてくださいぃぃ。

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1823雨の日には明美 E-mail URL6/9-00:05
記事番号1804へのコメント

すみませーん、もーいっこ駄文投稿でーす。
さらに短い(泣)
ガウリナです。
――――――――――――――――――――――――――――――――――

 雨が降っていた。
 窓の外、灰色の空。
 緑の木々や草花が、雨に濡れて立っている。
 雨は、家々の屋根や窓を洗い、大地にうるおいを与える。実を言うと、与えすぎ、という感はあるのだが。
 雨は、全てのもの――喜びも悲しみも――罪も罰も――不浄なものをも洗い流すように降り続いている。
 恵みの雨だと、宿屋の主人は思っている。が、足止めを食った旅人にとっては邪魔な雨だ。

「……んない…」
 とある宿屋の一室で、魔道書を広げていた魔道士の少女が呟いた。
「つまんない〜〜!!」
 ばさりと、読んでいた本を乱暴に、ベットの上に放り投げ、自分もそこに身を投げ出す。
「おーい、どうした?」
 半開きになっていたドア(部屋の中がじめじめしていたので、彼女が自分で開けていたのだ)から、男がひょいと顔を出した。
 長い金髪がさらり、と流れる。
「ノックくらいしてよ」
 うつぶせに寝転んだまま、顔だけ上げて彼女は言った。

 こんこんっ

「ほい。したぞ」
「……今ごろしたって、意味ないわよ」
「退屈そうだな」
「ん〜〜、まーねぇ…こんなに…」
 言葉の後半は、彼女がベットに突っ伏したせいで明瞭には聞こえなかった。
「こう雨ばかりだとなぁ…」
 後の台詞を引き取りながら、彼はいつの間にか部屋の中に入って来ていたが、彼女も別段気に止めはしない。
「そーでしょ?」
「この本は?」
「もう読んだ」
「他のは?」
「飽きた」
 サイドテーブルに十数冊の魔道書らしき本が積まれている。
 最初のうちはじっくり研究する時間ができた、と喜んでいたのだが、4日間ともなると彼女が退屈するのも無理はない。
「ここの魔道士協会、ろくな魔道書がないんだもん」
 魔道士協会の人間が聞いたら、怒りそうな事を言う。
「そこの本をムリに借りてきたのはお前さんだろ?」
「そりゃーまあ、そうなんだけど」
 めぼしい本は全て彼女が持ち出したので、図書館の人間は泣きそうになっていた。ふと、その顔が目に浮かぶ。
「返してこようかな」
 頬杖をつき顔を上げ、窓の外を眺める。しかし、まだ当分、雨は止みそうにない。
 雨の降り頻る中、分厚い本を何冊も抱えて歩く自分の姿を想像してみる。
 ――竜破斬(ドラグ・スレイブ)で雨雲吹き飛ばそうかな……。
 ちら、と彼女の頭をそんな考えがよぎる。
 頭に彼の大きな手が乗り、くしゃっと髪をなでる。
「ぶっそうな事考えてるだろ」
「…………」
「ヒマならオレの…」
 言いかけて、彼の手が止まる。
 ぴくり、と彼女の顔がひきつる。
「――そんなに暇なら、お相手願いましょうか?」
 テラスにでる大きな戸が音もなく開き、凍りついたように雨風の止まった空の下、得体の知れない声が響く。
「できるなら、パスしたいわね。面倒だし」
「この状況じゃ、ムリだろ」
 彼女の手を取り起こしながら、苦笑する。
「そうです。この私を倒さなくては、結界から抜け出す事はできませんよ」
 ――丁寧な魔族ね。
 彼女は思った。
 彼も同感だったらしい。
「えらく親切に解説してくれるじゃないか。
 ――ヤツと後、1匹か」
「少ないわね」
 面倒だと言った割に、嬉しそうに呪文を唱えだす。
 なんにもないより、ましなのだろう。
「余裕は命取りですよ」
 相変わらず姿を現さないその声が響く。
 彼女の前に庇うように彼が出て、飛んできた光線を斬りはじく。
 突如、彼女の後ろに魔族が現れる。
「黒妖陣(ブラスト・アッシュ)」

「なにっ?」
 魔族が初めて焦りの声を出した。声が変わらないところを見ると、今倒したのは別の魔族だったようだ。
 慌てているせいか、姿を隠すのをやめてしまい、人によく似た姿を現した。人とよく似た、とは言ってもシルエットだけだが。
「今のセリフ、そっくりそのまま返すわ」
 空中に浮かぶ魔族に向かって、彼女は不敵な笑みを浮かべた。


 雨が落ちる。
 無音の世界に音が戻ってくる。
「あんまし暇つぶしにもなんなかったわね」
「数が多くなかったからな」
 彼は雨を落とす、くすんだ色の空を見上げた。
 雨は勢いをなくして来ているようだった。微かに、空の色が明るくなってきた。
「ねえ、ガウリイ」
「なんだ?」
「魔族が襲ってくる前、なにか言いかけたでしょ?あれなに?」
「オレ、何か言ってたか?」
「ヒマなら……とか」
 彼女は俯き、心持ち頬を赤くしながら言った。
「ああ。それなら――覚えてない」

「魔道士協会に付き合ってよ!魔道書返しに行くんだから!!」
 彼は、後頭部にできた大きなこぶを撫でながら、
 ――タイミングが大事なんだよな……。
 と、考えていた。

―――――――――――――――――――――――――――――――
おわり♪
なんのタイミングなのかは不明です(爆)

ではでは、お邪魔しました〜〜。