◆−家族の写真 番外 叶うなら、叶って欲しいと呟いた−十叶 夕海 (2007/9/21 13:52:45) No.18328 ┣家族の写真 番外 《禁忌》でも、貴方達を愛しています−十叶 夕海 (2007/9/21 13:56:34) No.18329 ┣願いと運命の螺旋(スパイラル)−月読 乾 (2007/9/21 20:27:43) No.18330 ┃┗だけど、決して幸せには終わらない−十叶 夕海 (2007/10/26 04:31:39) No.18370 ┗家族の写真 番外 終焉の風は誰に吹く?−十叶 夕海 (2007/9/26 22:17:09) No.18340
18328 | 家族の写真 番外 叶うなら、叶って欲しいと呟いた | 十叶 夕海 | 2007/9/21 13:52:45 |
「叶うなら、叶えば良いとは思うけどぉ、でもぉ、叶わないんだぁ。」 「・・・・・・・・・・・・・・」 「一応、君もぉ、知ってるでしょぉ?」 「・・・・・・・・・・・・・・・・・」 「もぉ、喋りがいの無いねぇ。」 「・・・・・・・代わりの人形に、何を喋れって? キキキッ、《御伽噺の最年長者》だから、耄碌しちまいましたか?」 白いミルク色の空間で、《絶望を呼ぶ占い師》は、珍しい客と話していた。 黒色で、赤い口が開いているとんがり帽子、泣き顔怒り顔の仮面を帽子に金属製の蔓で固定し、限りなく黒に近い藍色の髪と、赤い瞳、死人の青白い肌。 黒色の奇妙で、シルエットしては、露出度が低いのに、スリットや切れ込みなどで、結果的に露出度が高いローブのような服を着用し、骸骨をモチーフしたデスサイズをもっていた。 また、顔の一部や露出している胴体や腕を包帯で覆っていた。 透明人間が、それを隠そうとしているかのように。 「でもねぇ、君がオリジナルのあの子のように、『傍観者』らしくない『傍観者』だからぁ。 一応、行っておくべきかなぁとねぇ。」 「アイツはキライですよ。 役目を放棄しちまったから、俺が生まれちまってんだ。 そんで、どうやって好きになれって?」 「否定はし無いけどねぇ。 あれは、事故だし、一応見つかったと聞くけどぉ。」 「・・・・・・・死にたくねぇってのも、身の程知らずな願いですかい?」 二人は、系統・・・・源こそ、違うけれど、同じ《傍観者》の二人は、そう語り合う。 解りきったとは言え、『運命律』を変えたいと、《真黒の死狩人》は、《絶望を呼ぶ占い師》に、相談しに来ていたのだ。 一応、自分が、《傍観者》として、一番若いのを気にしているのだ。 まぁ、『変えるのが、一番楽しめそうだからね。』と、公言しているが。 それが、ツンデレのツンの発言なのかは、不明だ。 「そう、僕が言った? 別にねぇ、死にたくないってのは、僕みたいに生き過ぎた存在でも、思う事だよ。」 「作られた者が持っても?」 「構わないとは思うよぉ。 それに、《御伽噺》でも、君みたいに作られたのが居るけど、それよりも、人間らしくて素敵だと思うしねぇ。」 「・・・・・キキキ。 やっぱり、《御伽噺》の中でも、甘いね、《絶望を呼ぶ占い師》さん。」 「ねぇ、こんな言葉を知ってる? 『「彼らがこれから歩むであろう『苦難の道』には何か意味があるのかもしれない。 彼らの『道』が、どこかの誰かに伝わって行く様な、何か大いなる意味となる始まりなのかもしれない。 無事を祈れないが、彼らが『眠れる奴隷』であることを祈ろう、目醒める事で…何か意味のある事を切り開いて行く『眠れる奴隷』である事を。』 っていうの。」 「マンガでしたっけ?」 「うん、でも実際、これから、展開してしていくことは、こう言う事だと思うんだ。 だから、叶うなら叶えば良いと思う程度に、は思っているからねぇ。」 「キキキ、相も変わらず、甘いこった。 ・・・・・・・また、いつか。 多分、貴方も、ここから動く事になると思うよ」 「どうだろうね、ジュダ=ルーエ?」 「そっちは、嫌い。 呼ぶなら、雨原静紅(あめはら・しずく)って呼んで。 ジュダって、ユダを思い出すから。」 「はいはい。」 そういうと、《真黒の死狩人》は、消えた。 こうして、再び静かになった空間で、《絶望を呼ぶ占い師》は、こう呟く。 「叶うなら。」 静かに、自身以外、聞こえないような小さな声で呟く。 「叶うなら、叶って欲しい。 彼らが、《御伽噺の幽霊》が、《影の語り部》も含めて、幸せになると言う微かな私の願いが叶って欲しいと、切に思う。」 そして、声は空間に溶け消えた。 @@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@ 《御伽噺》関連&本編に入れると冗長になるので、番外として、幾つか短編を書きます。 基本的に、ディスティアなど、メイン組・・・少なくとも、今の彼らは出てきません。 それを中心に、書いていくつもりです。 では、二つめで。 |
18329 | 家族の写真 番外 《禁忌》でも、貴方達を愛しています | 十叶 夕海 | 2007/9/21 13:56:34 |
記事番号18328へのコメント 「ですから、《泉の乙女》。 私は、《歌乙女》を愛してるんですよ。」 「あ〜、はいはい。 禁忌だけどね。」 「近親相姦は、元の身体だけですし、それに、神話で近親相姦禁止と言うのも、変でしょう。」 「お前、酔ってるだろう?」 「よってないれすよう。」 「というかな、XYZとか、既製品でそこそこ低いっても、7リットル知覚開けてるし。 ラム酒も、三本開けてるだろう?」 「れも、酔ってない。」 「あのなぁ、じゃあ、なんで、《歌乙女》を好きだった?」 「好きになった理由を語っても、後付けにしかならないです。 ・・・・・・・好きだと、そう思ってしまうから、止まれないんですよ。」 「そうだよなぁ。 八百年前、当時のレイラに、イリヤを失ったばかりの《歌乙女》に拾われたんだもんな。 んで、異邦人として殺されようとしたお前を庇って、彼女は死んだんだもんな。」 「むぅ、人ごとみたいに。」 「人ごとだろ?」 「でも、もう少しいい用があるでしょうに。」 「知るか。 その時、滅びかけてたんだ。 自分もピンチだったときの事を言えるほど、達観はしていないぞ?」 「でも、冷たいですよぉ、先輩。」 「知るか。 それよりも、息子をどうにかしてやれ。」 「え〜、大好きですよ。」 「お前の愛情は解り難い。」 「・・・・・・・・元々、父子家庭で、海の男だった父から、身体を重ねる以上の愛情表現を学びようが無いですよ。」 「・・・・・・ちょっとマテ。」 「実の父親とはヤってませんよ、流石に。」 「で、なんで、その父親から学んでその愛情表現なんだ?」 「よくね、その父さんが、漁から帰ってくるとか、寝る前とか、ことあるごとに、ぎゅっとしてくれたの。 それよりも、もっと、愛してるから、ああいう風にしてんだけど?」 「あのな、実の父親に、××同然ヤラレて、××××して××して、性奴隷教育したのがか?」 「うん。」 「・・・・・・『うん』じゃないよ、この大ボケぇぇぇぇ〜っ!!!!!」 「・・・ヒ、酷いよ、父さんにも殴られた事無いのに。」 「ガンダムごっこしてる場合か。 あのな、親子なら、お前の父親がしたように、ぎゅっとするだけでも、十分だぞ? 「好きは好きだも〜ん。」 「・・・・・あの香水ぐらいだよな、お前の愛情表現で素直でノーマルなの。」 「僕としては、素直な愛情表現です。」 「何処がだ。」 「そこがです。」 「ともかく、酔いつぶれるまで呑んじゃいなって。」 「むぅ、避けたみたいですね。 でも、今日は呑みますよ。 息子にああまで、言われたら、呑まなきゃやってられませんって。」 「はいはい、のめのめ。」 そうして、翌日の地獄の二日酔いへと続く。 @@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@ ACT79のその後的なお話。 ちょっぴり、ぐたぐた。 会話だけの分と言うのも、新鮮でした。 ちょっと、愛情表現がアレですが、クリストフは親バカなのです。 伏せ字は、ご想像をご自由に。 解らないなら、解らないで、そのままで居てくださいです。 ともあれ、これからもよろしくです。 |
18330 | 願いと運命の螺旋(スパイラル) | 月読 乾 | 2007/9/21 20:27:43 |
記事番号18328へのコメント こんばんは、乾です。 今回はかなり個性的なキャラが登場して、面白いやりとりになってる感じがします。 では、返レスを。 >「叶うなら、叶えば良いとは思うけどぉ、でもぉ、叶わないんだぁ。」 >「・・・・・・・・・・・・・・」 >「一応、君もぉ、知ってるでしょぉ?」 >「・・・・・・・・・・・・・・・・・」 >「もぉ、喋りがいの無いねぇ。」 >「・・・・・・・代わりの人形に、何を喋れって? > キキキッ、《御伽噺の最年長者》だから、耄碌しちまいましたか?」 >白いミルク色の空間で、《絶望を呼ぶ占い師》は、珍しい客と話していた。 >黒色で、赤い口が開いているとんがり帽子、泣き顔怒り顔の仮面を帽子に金属製の蔓で固定し、限りなく黒に近い藍色の髪と、赤い瞳、死人の青白い肌。 >黒色の奇妙で、シルエットしては、露出度が低いのに、スリットや切れ込みなどで、結果的に露出度が高いローブのような服を着用し、骸骨をモチーフしたデスサイズをもっていた。 >また、顔の一部や露出している胴体や腕を包帯で覆っていた。 >透明人間が、それを隠そうとしているかのように。 如何にも『道化』と言う表現がぴったり来るキャラですね。 外面的にも、内面も… >「でもねぇ、君がオリジナルのあの子のように、『傍観者』らしくない『傍観者』だからぁ。 > 一応、行っておくべきかなぁとねぇ。」 >「アイツはキライですよ。 > 役目を放棄しちまったから、俺が生まれちまってんだ。 > そんで、どうやって好きになれって?」 >「否定はし無いけどねぇ。 > あれは、事故だし、一応見つかったと聞くけどぉ。」 >「・・・・・・・死にたくねぇってのも、身の程知らずな願いですかい?」 >二人は、系統・・・・源こそ、違うけれど、同じ《傍観者》の二人は、そう語り合う。 >解りきったとは言え、『運命律』を変えたいと、《真黒の死狩人》は、《絶望を呼ぶ占い師》に、相談しに来ていたのだ。 果てしなく続いてきた運命への抗い… 終止符は打たれるのでしょうか? それでも、自分の意思とは無関係に巻き込まれてしまったら、それだけで運命を呪いたくなるのでしょうね。 >一応、自分が、《傍観者》として、一番若いのを気にしているのだ。 >まぁ、『変えるのが、一番楽しめそうだからね。』と、公言しているが。 >それが、ツンデレのツンの発言なのかは、不明だ。 う〜ん…微妙です(汗 >「そう、僕が言った? > 別にねぇ、死にたくないってのは、僕みたいに生き過ぎた存在でも、思う事だよ。」 >「作られた者が持っても?」 >「構わないとは思うよぉ。 > それに、《御伽噺》でも、君みたいに作られたのが居るけど、それよりも、人間らしくて素敵だと思うしねぇ。」 >「・・・・・キキキ。 > やっぱり、《御伽噺》の中でも、甘いね、《絶望を呼ぶ占い師》さん。」 >「ねぇ、こんな言葉を知ってる? > 『「彼らがこれから歩むであろう『苦難の道』には何か意味があるのかもしれない。 > 彼らの『道』が、どこかの誰かに伝わって行く様な、何か大いなる意味となる始まりなのかもしれない。 > 無事を祈れないが、彼らが『眠れる奴隷』であることを祈ろう、目醒める事で…何か意味のある事を切り開いて行く『眠れる奴隷』である事を。』 > っていうの。」 >「マンガでしたっけ?」 >「うん、でも実際、これから、展開してしていくことは、こう言う事だと思うんだ。 > だから、叶うなら叶えば良いと思う程度に、は思っているからねぇ。」 >「キキキ、相も変わらず、甘いこった。 > ・・・・・・・また、いつか。 > 多分、貴方も、ここから動く事になると思うよ」 >「どうだろうね、ジュダ=ルーエ?」 >「そっちは、嫌い。 > 呼ぶなら、雨原静紅(あめはら・しずく)って呼んで。 > ジュダって、ユダを思い出すから。」 >「はいはい。」 >そういうと、《真黒の死狩人》は、消えた。 >こうして、再び静かになった空間で、《絶望を呼ぶ占い師》は、こう呟く。 >「叶うなら。」 >静かに、自身以外、聞こえないような小さな声で呟く。 >「叶うなら、叶って欲しい。 > 彼らが、《御伽噺の幽霊》が、《影の語り部》も含めて、幸せになると言う微かな私の願いが叶って欲しいと、切に思う。」 >そして、声は空間に溶け消えた。 なにやら、浅からぬ因縁が過去にあるみたいですね。 次回も楽しみにしています。 |
18370 | だけど、決して幸せには終わらない | 十叶 夕海 | 2007/10/26 04:31:39 |
記事番号18330へのコメント >こんばんは、乾です。 >今回はかなり個性的なキャラが登場して、面白いやりとりになってる感じがします。 >では、返レスを。 もうすぐ、おはようです。 かなり遅れましたが、返レスを。 > >>「叶うなら、叶えば良いとは思うけどぉ、でもぉ、叶わないんだぁ。」 >>「・・・・・・・・・・・・・・」 >>「一応、君もぉ、知ってるでしょぉ?」 >>「・・・・・・・・・・・・・・・・・」 >>「もぉ、喋りがいの無いねぇ。」 >>「・・・・・・・代わりの人形に、何を喋れって? >> キキキッ、《御伽噺の最年長者》だから、耄碌しちまいましたか?」 >>白いミルク色の空間で、《絶望を呼ぶ占い師》は、珍しい客と話していた。 >>黒色で、赤い口が開いているとんがり帽子、泣き顔怒り顔の仮面を帽子に金属製の蔓で固定し、限りなく黒に近い藍色の髪と、赤い瞳、死人の青白い肌。 >>黒色の奇妙で、シルエットしては、露出度が低いのに、スリットや切れ込みなどで、結果的に露出度が高いローブのような服を着用し、骸骨をモチーフしたデスサイズをもっていた。 >>また、顔の一部や露出している胴体や腕を包帯で覆っていた。 >>透明人間が、それを隠そうとしているかのように。 > >如何にも『道化』と言う表現がぴったり来るキャラですね。 >外面的にも、内面も… それを「演じて」いるところがありますですね。 よくも悪くも、そうしないとやりきれないと思っているキャラです。 > >>「でもねぇ、君がオリジナルのあの子のように、『傍観者』らしくない『傍観者』だからぁ。 >> 一応、行っておくべきかなぁとねぇ。」 >>「アイツはキライですよ。 >> 役目を放棄しちまったから、俺が生まれちまってんだ。 >> そんで、どうやって好きになれって?」 >>「否定はし無いけどねぇ。 >> あれは、事故だし、一応見つかったと聞くけどぉ。」 >>「・・・・・・・死にたくねぇってのも、身の程知らずな願いですかい?」 >>二人は、系統・・・・源こそ、違うけれど、同じ《傍観者》の二人は、そう語り合う。 >>解りきったとは言え、『運命律』を変えたいと、《真黒の死狩人》は、《絶望を呼ぶ占い師》に、相談しに来ていたのだ。 > >果てしなく続いてきた運命への抗い… >終止符は打たれるのでしょうか? >それでも、自分の意思とは無関係に巻き込まれてしまったら、それだけで運命を呪いたくなるのでしょうね。 一応は。 でも、それが、幸せなのかは解りませんが。 うぃ、造られた者にそれを望むのは酷だとしても。 > >>一応、自分が、《傍観者》として、一番若いのを気にしているのだ。 >>まぁ、『変えるのが、一番楽しめそうだからね。』と、公言しているが。 >>それが、ツンデレのツンの発言なのかは、不明だ。 > >う〜ん…微妙です(汗 微妙に、ツンデレだと思います。 ツンデレと言うのと少し違いますが。 > >>「そう、僕が言った? >> 別にねぇ、死にたくないってのは、僕みたいに生き過ぎた存在でも、思う事だよ。」 >>「作られた者が持っても?」 >>「構わないとは思うよぉ。 >> それに、《御伽噺》でも、君みたいに作られたのが居るけど、それよりも、人間らしくて素敵だと思うしねぇ。」 >>「・・・・・キキキ。 >> やっぱり、《御伽噺》の中でも、甘いね、《絶望を呼ぶ占い師》さん。」 >>「ねぇ、こんな言葉を知ってる? >> 『「彼らがこれから歩むであろう『苦難の道』には何か意味があるのかもしれない。 >> 彼らの『道』が、どこかの誰かに伝わって行く様な、何か大いなる意味となる始まりなのかもしれない。 >> 無事を祈れないが、彼らが『眠れる奴隷』であることを祈ろう、目醒める事で…何か意味のある事を切り開いて行く『眠れる奴隷』である事を。』 >> っていうの。」 >>「マンガでしたっけ?」 >>「うん、でも実際、これから、展開してしていくことは、こう言う事だと思うんだ。 >> だから、叶うなら叶えば良いと思う程度に、は思っているからねぇ。」 >>「キキキ、相も変わらず、甘いこった。 >> ・・・・・・・また、いつか。 >> 多分、貴方も、ここから動く事になると思うよ」 >>「どうだろうね、ジュダ=ルーエ?」 >>「そっちは、嫌い。 >> 呼ぶなら、雨原静紅(あめはら・しずく)って呼んで。 >> ジュダって、ユダを思い出すから。」 >>「はいはい。」 >>そういうと、《真黒の死狩人》は、消えた。 >>こうして、再び静かになった空間で、《絶望を呼ぶ占い師》は、こう呟く。 >>「叶うなら。」 >>静かに、自身以外、聞こえないような小さな声で呟く。 >>「叶うなら、叶って欲しい。 >> 彼らが、《御伽噺の幽霊》が、《影の語り部》も含めて、幸せになると言う微かな私の願いが叶って欲しいと、切に思う。」 >>そして、声は空間に溶け消えた。 > >なにやら、浅からぬ因縁が過去にあるみたいですね。 >次回も楽しみにしています。 浅からぬドコロか、深過ぎて、奈落を突き抜けちまいそうなぐらいに深いです。 はい、ありがとうございます。 |
18340 | 家族の写真 番外 終焉の風は誰に吹く? | 十叶 夕海 | 2007/9/26 22:17:09 |
記事番号18328へのコメント 「・・・・・・・解ってんやろ、《C.C.》の旦那。」 「何が、かな。 《傍観者》の《緑真の語集部(ヴィーテ・トゥールルト・トラヴェール)》殿?」 《チャイルドクラン》本部の最も複雑な手順を組まないと入れない部屋に、その部屋の主がくつろいでいた。 黒い総髪の長身の男性―ゼオンであった。 年齢は、50歳を過ぎた当たりだろうが、歳にそぐわぬ若々しさと威厳がある。 青みがかった瞳と浅黒い肌、そして2メートルに少しだけ足りない引き締まった身体。 普段は、シックなダークスーツだが、今は藍色の着流し姿である。 日本酒片手に、『雪詠蓮』が、『雪谷蓮太郎』名義で書いた推理小説を楽しんでいたときだった。 突然、一人の青年が現れた 緑がほんのり混じった金髪を首筋でバンダナでまとめ、緑混じりの金茶の瞳は、チェーンで飾った野球キャップで見えなかった。 身長は、ゼオンとそう変わらないぐらいであったが、体重は三分の二もあれば良い方だろう。 服装は、黒地に、白と青と黄色で卑猥な英文が書かれたTシャツに、黒いジーンズ。 ギターかなにかのケースと黒のトートバックがトレードマークで、黒指ぬきグローブと、ゴツいシルバーリングをてにはめている。 印象としては、バンドマンだ。 都会の繁華街ですれ違っても、数瞬後には忘れてしまいそうだ。 外見通りの存在ではない。 ゼオンの義息子がこのような服装で入っては来るけれど、現れたMr.バンドマンではない。 「とりあえあず、アクア=フェイクマンってな、名前あるんやけどなぁ。」 「本名ではないだろう。 そうでないなら、どう呼ぼうと大差などありはしないではないか?」 「やけどなぁ、それ嫌いなん。 確かに、わいは、《傍観者》やで。 《御伽噺》とは、別系統のな、せやけど、その渾名も含めて嫌いなん。」 「で、わざわざ、解りきった事をフェイクマン殿は訊ねに来たのかな?」 邪魔されて起こっていると言うより、揶揄する色合いを濃くした声音で、ゼオンは、話を元に戻す。 それに、乗っかる形で、アクアは話をこう続ける。 「栄枯秘衰なんは、わかるやろ? 不自然な形なもんが、今の時代重なり過ぎやわ。」 「それがどうしたのかね? 私が、私の願いを諦める理由にはなりえない。」 ゼオンの願い。 妹と親友・・・夫婦であるその二人を生き返らせる事。 理(ことわり)に反していようと、ゼオンが、人生を消費して来た願いだ。 「終わると解っていても、何で望むンや?」 「《C.C.》が終わっても、二人は蘇生するかもしれない。 私が敗北し、負けても、二人は蘇生しするかもしれない。 なのに、今更、捨てる事が出来るかね? 二十数年・・・・・・・今更、捨てるには、遅過ぎたのだよ。」 しみじみと、でも表するに、或いは、疲れたようなとでも表すれば良いようなそんな表情で、ゼオンは、願いを語る。 祈りはしない。 ただ、行動するのみだ。 「・・・・・・・俺の・・・《風》の悪い癖なんやけどな。 やけど、これから、動くえ。 それこそ、垂直の坂のように、動いてしまうで。」 「・・・・・・・・・・・・・覚悟無しに、動いているわけではないよ。」 @@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@ 色んな意味で、ノーコメで |