◆−家族の写真 ACT87 今でも忘れる事は無い +今でも好きなのは、貴方だけ+ 前編−十叶 夕海 (2007/10/20 22:15:58) No.18362
 ┣シリアスな展開なのだからシリアスなレスをしよう・・・・と、思って、失敗。−羅城 朱琉 (2007/10/22 21:42:08) No.18364
 ┃┗シリアスな展開でも、カイヤがコメディしているので、ありかと思います。−十叶 夕海 (2007/10/23 19:49:27) No.18365
 ┣家族の写真 ACT88 今でも忘れる事は無い +今でも好きなのは、貴方だけ+ 後編−十叶 夕海 (2007/10/23 20:11:48) No.18366
 ┃┗今回のキーワードは、『謎の円環』−羅城 朱琉 (2007/10/24 22:53:20) No.18368
 ┃ ┗謎が謎を呼び、嵐となって混乱を呼ぶ?−十叶 夕海 (2007/10/26 06:15:58) No.18371
 ┣家族の写真 ACT89 《電脳空間》での今の状況 1 +《風舞姫》の行動+−十叶 夕海 (2007/10/27 17:52:22) No.18375
 ┣家族の写真 ACT90 あの、青い月だけが彼の世界と・・・−十叶 夕海 (2007/11/3 19:04:41) No.18388
 ┣家族の写真 ACT91 いつも、時と予知だけが残酷で。−十叶 夕海 (2007/11/15 20:41:07) No.18394
 ┣家族の写真 ACT92 標的捕捉!×過去の影−十叶 夕海 (2007/12/5 00:12:05) No.18400
 ┣家族の写真 ACT93 廻り出す傍観者達の宿命(さだめ)の歯車−十叶 夕海 (2007/12/19 12:47:53) No.18410
 ┣家族の写真 ACT94 ただ、何でも無い日常のこと−十叶 夕海 (2007/12/26 20:32:10) No.18412
 ┣家族の写真 ACT95 過去との対峙−十叶 夕海 (2008/1/12 16:58:57) No.18421
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18362家族の写真 ACT87 今でも忘れる事は無い +今でも好きなのは、貴方だけ+ 前編十叶 夕海 2007/10/20 22:15:58


砂礫の粒に交じる、真紅の華々
霧の如く、消えゆる命
過ぎ去りし、過去に消え逝くは 貴方

それは美しく
それは哀しく
それは触れ難い

決して届かず、想うことすら亡く
儚き、夢の如く

暁を朗々と詠い上げる
薄命にて兵(タタカウモノ)たる黒銀の人

明ける事亡き闇にて 乞い願う
長からむ、心も知らず
零れ落ちて、摺り抜けて
それでも、今は、ただ狂いて欲す――――

兄さん、貴方だけを−−−−−−−−−




 ACT87 今でも忘れる事は無い +今でも好きなのは、貴方だけ+



日常とは、容易く壊れてしまう。
キッカケは、些細な事で。
でも、そのキッカケほど、根が深いモノだ。
今回も、日常が壊れ始めたのは、些細だけど根が深いキッカケで。
「ったく、あのバーコード緑林、レポートの話するなら、もう少し早くすればいいのに。」
「しかも、おまけとばかりに、卒論の予備調査もするもんな。」
「そうそう、おかげで、30分も遅れた。
 一応、遅くなりそうだったから、ラディハルトには、メールしといたとけど、おしゃべりで終わってそうね。」
「だな。
 でも、あのベルばらやるって話、結局流れたし。
 どっか、借りて、一回舞台経験させないとな。」
黒く輝く髪の青年と青く輝く髪の女性が、二人で、同じ場所を目指している。
青年をアルティア=ペシュテル。
女性をディスティア=ヴァリードという。
二人は従兄弟同士で、違う学部ながらも、同じサークルの部長副部長だ。
どうやら、共通でとっている科目で、遅れたようだ。
今日は、たまたま、そのサークル棟では、ディスティア達以外のサークル活動が偶々無いようだ。
あっても、近くの高校と合同だったりと、そのサークル棟を使っているサークルは無い。
「なぁ、ディスティア。
 血の、匂いしないか?」
「あ、そうだね。
 少し、水っぽい感じの匂いだね。」
その部室に近づくにつれて、新鮮な血液の匂いがしてくる。
恐らく、一人や二人ではない。
ディスティアは、静かに、刹を呼び出した。
黒髪の式神は、主にぴたりと寄り添い、静かに、警戒をする。
二人と一匹は、部室に入った。
そこには、部員の半数以上、18名ほどが倒れていた。
血塗れでだ。
その血は、壁や天井にも、飛び散っている。
ざっと見た感じ、出血こそ派手派手だが、傷の深さとしては、そう深くない。
ショックで気絶しているようだった。
しかし、一人だけ、酷い傷のヤツが居た。
ラディハルトだった。
現実的な戦闘力は、一般人よりやや上程度の彼だったけど、それでも抵抗したようだ。
気絶すらしていない。
「ラディハルト!!」
「あ、ディスティアはん。
 ・・・・・・・・死んだはずのヤツが来たんや。
 抵抗したけど、皆に怪我させてもうた。」
「・・・・・いい、とにかく、寝てろ。
 治すから。」
ラディハルトは、ディスティア達が来て、安心したのか、眠るように気絶した。
そして、とりあえず、傷を塞いで、止血している時に、部室の中央にある机の入り口側にメッセージカードがあるのをアルティアが見つける。
それは、部屋の惨状を際立たせるかのように、淡い青色のハガキサイズモノだった。


「 愛しのアルティア・ペシュテル様

  挨拶は見ましたか?
  あれから、五年ですね。
  兄さんが、僕を殺してから五年。
  本日、26時に、あの場所で、待っています。

             カイヤ=シルヴァタイト より。       」


「アイツ、生きてたのか。」
「いや、死んだはずだ。
 俺が、この手で・・・・・・。」
「・・・・・・アル、行くんだったら、もう帰ってメシ喰って、寝ろ。
 誰で、あれ、お前の心を揺さぶるのが、狙いだろう。
 怪我治して、血の後消して、記憶いじっとく。」
手紙を読んで、固まっているアルティアの手元から、横目でディスティアも内容を把握する。
そして、叱咤するように、そう言った。
彼女も、従兄弟と彼の因縁をわずかながら聞いている。
また、従兄弟が知らない彼の事も知っている。
だけども、手出しが出来る事ではないということも、ディスティアは知っている。
少なくとも、《片眼王》に執着し続けている自分が、口を出せない問題だろう。
そこまで、ディスティアは恥知らずではない。
「わかった。
 すまない。」
「・・・・・・死ぬなよ、死んだら。
 殺したヤツを、お前の家族であっても、なぶり殺すぞ?」
アルティアが去った後、刹と協力して、血の痕跡を消し、傷を治し、記憶を少しいじって、返した。
『講義終了が遅れたため、解散になった』というような。
本来は、そう言う事はしない。
しかし、せめて、何も知らないでいる人が居て欲しいと想う。
「・・・・・疲れた。」
『これからどうしますか?』
「嫌がるだろうけど、動かせるのは動かす必要が在るし。
 あと、イルミさん達にも動いてもらうかな。」
『御心のままに。』
「刹にも、動いてもらうよ。
 夕飯食べたいの在る?」
『は?』
「考えるの面倒なの。」
『では、ホウレン草と牡蠣と鶏肉の入った『ぐらたん』とやらを。』
「わかった。」
そうして、ディスティアは、買物をして帰る。








そうして、夜がふける。
日付が変わり、時乃市の集積場というか、倉庫街と言うか、そんな場所が、舞台だ。
時乃市或いは、その周辺の地域に、モノを送る際の中継地点だ。
今も、洗剤や缶詰などの息の長い商品が、眠る倉庫がたくさんある。
その外れの方・・・トラックが通る事はしても、仲間で誰も入らない・・・それこそ、一年に一回、誰かが入ればいいだろう・・・そんな倉庫だ。
高さは、三階建てのびるほどだが、吹き抜けになっており、壁伝いに通路が在るだけのドックのような構造の倉庫。
在るのは、壊れかけたコンテナとか、パイプ椅子とか、その倉庫の広さに反比例するかのように、少ない。
「早く・・・もないな。
 ちょうど、26時か。」
神父のような牧師のような、動かない時の仕事着の教皇服ではなく、シンプルな僧服を身にまとった黒く輝く髪のアルティアが、その倉庫の勝手口・・・もう、用をなしては居ないが・・・から、入る。
一応、電気は生きているらしいが、ろくに交換されてないのと、倉庫の広さに割りに、小さな物が幾つかのため、あまり明るくはない。
しかし、一応、付けないよりはいいだろうと、アルティアはつけた。
「さて、どうするか。」
カイヤが来るのを待つ為か、入り口の方に、ただ、佇む。
しばらく、沈黙が場を支配する。
「兄さぁ〜んっ。
 久しぶり、元気やったぁっ!!?」
そして、いきなり、アルティアは腰に抱きつかれた。
結構な勢いでである。
抱きついたのは、17歳ぐらいで、高校に通っていてもそう違和感の無い外見の少年。
ディスティアの青く輝く髪に比べ、やや青みの薄い・・・だけど、青みの解る銀髪をおかっぱのようなショートカットのような髪型の、深い蒼の糸目の小柄な体格。
黒いハイネックの長袖のTシャツを、やや暗い緑の半袖Tシャツに、ジーパンに、革靴。
耳に、針のような印象のピアスを付けている。
彼は、アルティアの腰に、頭をぐりぐりと押し付け、嬉しそうだ。
まるで、ペットホテルに預けられた犬が、数週間ぶりに、飼い主に会ったよりも、嬉しそうなほどだ。
「むぅ、カイヤか。」
「んもう、久しぶりに会えたんだしさ。
 そんなに、機嫌悪そうな顔しないでよ。」
それこそ、『ぷんぷん』というような、擬音が飛び交いそうな様子で、アルティアの不機嫌な様子を責めるカイヤ。
不思議と、違和感の無い仕草だ。
「何をしたのか解ってるのか?」
「したって、何を?」
「うちのサークルのメンバーを傷つけ、《L》にも手を出した事だ。」
「でも、これくらい、やんないと、ディスは気付いても、兄さんは気付かんやろ?」
「やり過ぎだ。」
「ディスが居るから、大丈夫でしょ?」
「そう言う問題でもない。」
「だってだって、命令された範囲内で、兄さんに僕を気付いてもらえるんは、これぐらいしか思いつかないかったもん。」
「・・・・・・昔から、そうだよな。
 『目的の為なら、手段を選ばない』のは、昔から、変わらない。」
「変われないもん、僕や、《風水の姫》や、《地炎の君》は、そうそう変われないもん。」
「それと、お前、あの時、死んだんじゃないのか?」
「うん、死んだよ。
 この上なく完璧にね。」
「何故・・・・・・?」
ちなみに、この会話、カイヤが、アルティアの腰に抱きついたままで行なわれている。
そして、アルティアは『何故・・・・・?』のあと、言葉を紡ぐ事が出来なかった。
つまりは、こう聞きたかったのだ。
『何故、生き返ったのか?』
しかし、聞いて答えるような性格ではないカイヤである事は、アルティアは、彼を無くしたあの日以前の付き合いで解っている。
「生き返らせられたん。
 アイツのおかげで、兄さんにもう一度会えたんは、嬉しかったわ。」
「今回は、敵と言う事か?」
「そーなるのかな、アイツが、《C.C.》についている以上、ね。
 僕も、そっちにつかざる得ない。」
「・・・・・・・・・・・いつ、生き返った。」
「う〜、そう前の事じゃないよ。
 せいぜい、一月以内。
 ちゃんと意識を回復したのは、三週間ほど前かな。」
不本意な蘇生のはずなのに、カイヤはあくまで、嬉しそうだ。
そこまで、アルティアに再会できた事が嬉しいのか。
対する彼は、グロス単位で、苦虫を噛み潰したと言うほどではないが、かなり苦々しい表情だ。
自分の一つ下で、それなりに・・・下手しなくても、親友と呼べるヤツが、「生ける死者(アンデット)」と成り果てているのである。
気分が良い訳が無いのだ。
「・・・・・・兄さん、怒ってもうとる?」
「お前には、怒ってない。」
「・・・・・・僕は、兄さんに会えて、嬉しかったんよ。」
「俺も、嬉しいよ・・・・・・。
 ・・・・・・・何が目的だ?
 何も無いのに、ここにくるほど、自由でもなかろう?」
「ん〜、挨拶して来いって。
 その後、数日は自由にしてから帰って来いってさ。」
「・・・・・・・そうか?」
「ねぇ、兄さん。
 僕は、兄さんが望むなら、情報を流してもいいよ。」
「はい?」
「兄さんが、望むのなら、スパイ行為をしてもいいってこと。」
「・・・・・・死ぬぞ?」
「もう死んでもうたはずの、命やもん。
 それに、僕がアレに従ってるんは、したい事なし得たい事が在るから。
 でなきゃ、オバハンに従うはず無いっしょ?」
「・・・・・・・・・・・。」
無言になったアルティアをカイヤは、腰に抱きついていた腕を首に回し直し、アルティアを抱き寄せる。
・・・・まぁ、カイヤは、そう身長が高くなく、アルティアは、それなりに身長が高い。
半分ほど、ぶら下がっているような物だけれど、それをあわせてアルティアはかがんでいる。
30センチ余ほど、死か離れていない距離で、カイヤはこうアルティアに言った。
睦言めいた雰囲気なのに、どこか哀しい語調で。
「・・・・・・わかってるよ?
 僕が貴方の恋愛対象じゃないってことはさ。でもねぇ、それくらいじゃ諦めきれんかった。
 この気持ちだけはほんま、どうしようもないんや。
 僕は、兄さん、貴方が好きや。愛してる。
 僕を・・・必要としてや・・・・・。お願い・・・・いらない・・・・・・ってことは言わんといて。」
年齢よりも、幼い雰囲気でカイヤは言った。
一度死ぬ前にも、言った言葉とまったく同じだった。
哀しいまでに、真摯な刹に切ない告白・・・想いの吐露だった。
「・・・・・・・・・そこまで、にしてくれないかな、カイヤ。
 一応、相棒兼監視役の俺・セルジュ=フィンガーズからの忠告だ。」
「むぅぅ、セルジュ。
 僕の兄さんの逢い引きを邪魔しないでよ。」
「逢い引きと違うだろう?
 あの挨拶で、勝手に手紙を残したのは、お前だ。
 それだけでも、かなりの命令違反だ。
 俺たちは、自由にしても良いとは言っても、それはやり過ぎだ。」
声だけが、倉庫の闇から聞こえる。
入ったなりに、カイヤの熱い抱擁で、気勢がそがれたとは言え、今まで気配の一つもしなかった。
カイヤと闇の中から言い争っているセルジュとやらの声が聞こえている方向に、能力(サイケ・スキル)で生み出したビーチボールほどのサイズの炎球を投げる。
気配で、それが避けられたことを読み取る。
しかし、炎球は、廃材を燃やしたらしく、炎の山が一瞬にしてでき、燃え上がった。
それに、照らされた顔を見て、アルティアは、再び、驚いた。
赤い炎に照らされていても、はっきりと解る青いニット帽に、真紅に近い肩口で乱暴に揃えられた髪、右眼の方にナイフ傷があり、目つきが少々悪い瞳の色は、焦げ茶。
黒い半袖の上に、ジッパーが特別大きいカーキ色のフィッシャーズジャケットと同色のカーゴパンツと、黒の安全靴。
赤い革紐で、首から下げられた銀色の十字架。二の腕までの包帯状のリストバンド。
外見年齢18歳ぐらいの少年と青年の狭間の《生ける死者(リビングデッド)》だ。
「・・・・・・・・・・うそ、だろ、お前まで、生き返らせられたのかよ。」
「肯定しよう、《爆炎の教皇》。
 一年と半年前に、あの路地裏で、俺は確かに死んだ。
 イライアスを大いに哀しませた。
 違いない、俺が、セルジュ=フィンガースだ。」
ゆっくりと、炎の山を背にして、彼は歩み寄ってくる。
哀しげでもあり。
鬱々としてでもあり。
プラスの感情が見いだせないそんな表情で歩み寄って来た。
「今、《C.C.》とお前らの因縁は本格的に動き出したばかりだ。
 多くを語るつもりも、その権限も俺にはない。
 ・・・・・・・・・またいつか。
 出来るならば、イライアスには、告げないでくれ。」
そして、その言葉を最後に、セルジュは、カイヤの身体に触れ、『飛んで』この場から二人は消えた。
最後まで、カイヤは、『ちょっと待ってぇや。兄さんと話したい事まだ在るんだよ。』と抵抗していたようだけど。
セルジュの能力に連れ去られてしまった。
その証拠のように、セルジュとカイヤのいた空間分の真空地帯に空気が流れ込む轟音が響いた。
アルティアは、静かにはじき飛ばされかけたが、数歩ステップを踏むだけで、倒れる事は無かった。
「・・・・・・・・・・・くそっ!!
 死者を弄んで何になるんだよ。」
ただ、倉庫の壁に彼が拳を打ち付ける音と、そんな憤りの声だけが、暗い倉庫に響いたのだった。






@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@


ユア:やっと出せた!!
久遠:やっと?
ユア:うん、五月十五日編で、アルの理由を語らせてから、ずっと出したかったキャラ。
久遠:裏設定がすごい子よね。
ユア:うんうん。
   だけどさ、裏稼業って、「人間的に許せない」とか、ディスを守る為と言う理由じゃ、6年も居続けるのは辛いもんじゃん?
久遠:そうよね。
   哀しいけど、闇を見つめて復讐に生きるとか、じゃないと、そんなに長くは難しいわね。
ユア:そう、だから、密かな理由とし手が、カイヤクンな訳だ。
久遠:セルジュちゃんは?
ユア:言ってしまえばおまけだけど、だけども、彼も彼なりの悲劇を背負ってもらおうかなと。
久遠:正統派少年漫画をやってもらおうって?
ユア:さぁ、神のみぞが知ると言う事で。
二人:ともあれ、後編で。

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18364シリアスな展開なのだからシリアスなレスをしよう・・・・と、思って、失敗。羅城 朱琉 2007/10/22 21:42:08
記事番号18362へのコメント


朱琉:こんにちは。お久しぶりです、羅城 朱琉です。ようやくネットに繋がりました。
アミイ:いくらパソコン弄ってもダメだったのにね。
朱琉:モデムの設定と、大本となる親パソコンの設定が変だったみたいです。多分これで調子もよくなるのではないかと・・・・。
 では、近況報告はこの辺にして、レスに参ります。



>砂礫の粒に交じる、真紅の華々
>霧の如く、消えゆる命
>過ぎ去りし、過去に消え逝くは 貴方
>
>それは美しく
>それは哀しく
>それは触れ難い
>
>決して届かず、想うことすら亡く
>儚き、夢の如く
>
>暁を朗々と詠い上げる
>薄命にて兵(タタカウモノ)たる黒銀の人
>
>明ける事亡き闇にて 乞い願う
>長からむ、心も知らず
>零れ落ちて、摺り抜けて
>それでも、今は、ただ狂いて欲す――――
>
>兄さん、貴方だけを−−−−−−−−−
>
>
>
>
> ACT87 今でも忘れる事は無い +今でも好きなのは、貴方だけ+
>
>
>
>日常とは、容易く壊れてしまう。
>キッカケは、些細な事で。
>でも、そのキッカケほど、根が深いモノだ。
>今回も、日常が壊れ始めたのは、些細だけど根が深いキッカケで。
>「ったく、あのバーコード緑林、レポートの話するなら、もう少し早くすればいいのに。」
>「しかも、おまけとばかりに、卒論の予備調査もするもんな。」
>「そうそう、おかげで、30分も遅れた。
> 一応、遅くなりそうだったから、ラディハルトには、メールしといたとけど、おしゃべりで終わってそうね。」
>「だな。
> でも、あのベルばらやるって話、結局流れたし。
> どっか、借りて、一回舞台経験させないとな。」
>黒く輝く髪の青年と青く輝く髪の女性が、二人で、同じ場所を目指している。
>青年をアルティア=ペシュテル。
>女性をディスティア=ヴァリードという。
>二人は従兄弟同士で、違う学部ながらも、同じサークルの部長副部長だ。
>どうやら、共通でとっている科目で、遅れたようだ。
>今日は、たまたま、そのサークル棟では、ディスティア達以外のサークル活動が偶々無いようだ。
>あっても、近くの高校と合同だったりと、そのサークル棟を使っているサークルは無い。
>「なぁ、ディスティア。
> 血の、匂いしないか?」
>「あ、そうだね。
> 少し、水っぽい感じの匂いだね。」
>その部室に近づくにつれて、新鮮な血液の匂いがしてくる。
朱琉:実際、新鮮な血液は意外とさらっとした手触りです。で、ちょっと生臭いけど水っぽい匂いがします。
アミイ:妙かつどうでもよくて微妙に生々しい話はしないのがいいと思うわよ。
朱琉:いや、ちょっとこれ読んで数ヶ月前の悪夢(?)を思い出してしまったので・・・・。つい体験談を・・・・(苦笑)

>恐らく、一人や二人ではない。
>ディスティアは、静かに、刹を呼び出した。
>黒髪の式神は、主にぴたりと寄り添い、静かに、警戒をする。
>二人と一匹は、部室に入った。
>そこには、部員の半数以上、18名ほどが倒れていた。
>血塗れでだ。
>その血は、壁や天井にも、飛び散っている。
>ざっと見た感じ、出血こそ派手派手だが、傷の深さとしては、そう深くない。
>ショックで気絶しているようだった。
>しかし、一人だけ、酷い傷のヤツが居た。
>ラディハルトだった。
>現実的な戦闘力は、一般人よりやや上程度の彼だったけど、それでも抵抗したようだ。
>気絶すらしていない。
>「ラディハルト!!」
>「あ、ディスティアはん。
> ・・・・・・・・死んだはずのヤツが来たんや。
> 抵抗したけど、皆に怪我させてもうた。」
>「・・・・・いい、とにかく、寝てろ。
> 治すから。」
>ラディハルトは、ディスティア達が来て、安心したのか、眠るように気絶した。
朱琉:ラディさん、よく意識を保っていられたなぁ、と。
アミイ:使命感、かしらね?ある種の。
朱琉:だとしたら拍手モノですね。よくもまあ、重傷状態で、と。

>そして、とりあえず、傷を塞いで、止血している時に、部室の中央にある机の入り口側にメッセージカードがあるのをアルティアが見つける。
>それは、部屋の惨状を際立たせるかのように、淡い青色のハガキサイズモノだった。
>
>
>「 愛しのアルティア・ペシュテル様
>
>  挨拶は見ましたか?
>  あれから、五年ですね。
>  兄さんが、僕を殺してから五年。
>  本日、26時に、あの場所で、待っています。
>
>             カイヤ=シルヴァタイト より。       」
>
>
>「アイツ、生きてたのか。」
>「いや、死んだはずだ。
> 俺が、この手で・・・・・・。」
>「・・・・・・アル、行くんだったら、もう帰ってメシ喰って、寝ろ。
> 誰で、あれ、お前の心を揺さぶるのが、狙いだろう。
> 怪我治して、血の後消して、記憶いじっとく。」
>手紙を読んで、固まっているアルティアの手元から、横目でディスティアも内容を把握する。
>そして、叱咤するように、そう言った。
>彼女も、従兄弟と彼の因縁をわずかながら聞いている。
>また、従兄弟が知らない彼の事も知っている。
>だけども、手出しが出来る事ではないということも、ディスティアは知っている。
>少なくとも、《片眼王》に執着し続けている自分が、口を出せない問題だろう。
>そこまで、ディスティアは恥知らずではない。
>「わかった。
> すまない。」
>「・・・・・・死ぬなよ、死んだら。
> 殺したヤツを、お前の家族であっても、なぶり殺すぞ?」
>アルティアが去った後、刹と協力して、血の痕跡を消し、傷を治し、記憶を少しいじって、返した。
>『講義終了が遅れたため、解散になった』というような。
>本来は、そう言う事はしない。
>しかし、せめて、何も知らないでいる人が居て欲しいと想う。
朱琉:第三者視点から見て、
   『願わくば、忘却が救いとならんことを。
    願わくば、無知が全知の救いとならんことを。』
   といった心境でしょうか?
アミイ:オリジナルから引用しても、誰もわからないと思うの。
   『何も知らない、明るいところで生きている人が傍にいてくれるということは、闇に生きるものにとって、眩しくもあり、また、救いでもある』
    で、いいかしら?

>「・・・・・疲れた。」
>『これからどうしますか?』
>「嫌がるだろうけど、動かせるのは動かす必要が在るし。
> あと、イルミさん達にも動いてもらうかな。」
>『御心のままに。』
>「刹にも、動いてもらうよ。
> 夕飯食べたいの在る?」
>『は?』
>「考えるの面倒なの。」
>『では、ホウレン草と牡蠣と鶏肉の入った『ぐらたん』とやらを。』
>「わかった。」
>そうして、ディスティアは、買物をして帰る。
>
>
>
>
>
>
>
>
>そうして、夜がふける。
>日付が変わり、時乃市の集積場というか、倉庫街と言うか、そんな場所が、舞台だ。
>時乃市或いは、その周辺の地域に、モノを送る際の中継地点だ。
>今も、洗剤や缶詰などの息の長い商品が、眠る倉庫がたくさんある。
>その外れの方・・・トラックが通る事はしても、仲間で誰も入らない・・・それこそ、一年に一回、誰かが入ればいいだろう・・・そんな倉庫だ。
>高さは、三階建てのびるほどだが、吹き抜けになっており、壁伝いに通路が在るだけのドックのような構造の倉庫。
>在るのは、壊れかけたコンテナとか、パイプ椅子とか、その倉庫の広さに反比例するかのように、少ない。
>「早く・・・もないな。
> ちょうど、26時か。」
>神父のような牧師のような、動かない時の仕事着の教皇服ではなく、シンプルな僧服を身にまとった黒く輝く髪のアルティアが、その倉庫の勝手口・・・もう、用をなしては居ないが・・・から、入る。
>一応、電気は生きているらしいが、ろくに交換されてないのと、倉庫の広さに割りに、小さな物が幾つかのため、あまり明るくはない。
>しかし、一応、付けないよりはいいだろうと、アルティアはつけた。
>「さて、どうするか。」
>カイヤが来るのを待つ為か、入り口の方に、ただ、佇む。
>しばらく、沈黙が場を支配する。
>「兄さぁ〜んっ。
> 久しぶり、元気やったぁっ!!?」
>そして、いきなり、アルティアは腰に抱きつかれた。
>結構な勢いでである。
>抱きついたのは、17歳ぐらいで、高校に通っていてもそう違和感の無い外見の少年。
>ディスティアの青く輝く髪に比べ、やや青みの薄い・・・だけど、青みの解る銀髪をおかっぱのようなショートカットのような髪型の、深い蒼の糸目の小柄な体格。
>黒いハイネックの長袖のTシャツを、やや暗い緑の半袖Tシャツに、ジーパンに、革靴。
>耳に、針のような印象のピアスを付けている。
>彼は、アルティアの腰に、頭をぐりぐりと押し付け、嬉しそうだ。
>まるで、ペットホテルに預けられた犬が、数週間ぶりに、飼い主に会ったよりも、嬉しそうなほどだ。
>「むぅ、カイヤか。」
>「んもう、久しぶりに会えたんだしさ。
> そんなに、機嫌悪そうな顔しないでよ。」
>それこそ、『ぷんぷん』というような、擬音が飛び交いそうな様子で、アルティアの不機嫌な様子を責めるカイヤ。
>不思議と、違和感の無い仕草だ。
>「何をしたのか解ってるのか?」
>「したって、何を?」
>「うちのサークルのメンバーを傷つけ、《L》にも手を出した事だ。」
>「でも、これくらい、やんないと、ディスは気付いても、兄さんは気付かんやろ?」
>「やり過ぎだ。」
>「ディスが居るから、大丈夫でしょ?」
>「そう言う問題でもない。」
>「だってだって、命令された範囲内で、兄さんに僕を気付いてもらえるんは、これぐらいしか思いつかないかったもん。」
>「・・・・・・昔から、そうだよな。
> 『目的の為なら、手段を選ばない』のは、昔から、変わらない。」
>「変われないもん、僕や、《風水の姫》や、《地炎の君》は、そうそう変われないもん。」
>「それと、お前、あの時、死んだんじゃないのか?」
>「うん、死んだよ。
> この上なく完璧にね。」
>「何故・・・・・・?」
>ちなみに、この会話、カイヤが、アルティアの腰に抱きついたままで行なわれている。
>そして、アルティアは『何故・・・・・?』のあと、言葉を紡ぐ事が出来なかった。
>つまりは、こう聞きたかったのだ。
>『何故、生き返ったのか?』
>しかし、聞いて答えるような性格ではないカイヤである事は、アルティアは、彼を無くしたあの日以前の付き合いで解っている。
>「生き返らせられたん。
> アイツのおかげで、兄さんにもう一度会えたんは、嬉しかったわ。」
>「今回は、敵と言う事か?」
>「そーなるのかな、アイツが、《C.C.》についている以上、ね。
> 僕も、そっちにつかざる得ない。」
>「・・・・・・・・・・・いつ、生き返った。」
>「う〜、そう前の事じゃないよ。
> せいぜい、一月以内。
> ちゃんと意識を回復したのは、三週間ほど前かな。」
>不本意な蘇生のはずなのに、カイヤはあくまで、嬉しそうだ。
>そこまで、アルティアに再会できた事が嬉しいのか。
>対する彼は、グロス単位で、苦虫を噛み潰したと言うほどではないが、かなり苦々しい表情だ。
>自分の一つ下で、それなりに・・・下手しなくても、親友と呼べるヤツが、「生ける死者(アンデット)」と成り果てているのである。
>気分が良い訳が無いのだ。
>「・・・・・・兄さん、怒ってもうとる?」
>「お前には、怒ってない。」
>「・・・・・・僕は、兄さんに会えて、嬉しかったんよ。」
>「俺も、嬉しいよ・・・・・・。
> ・・・・・・・何が目的だ?
> 何も無いのに、ここにくるほど、自由でもなかろう?」
>「ん〜、挨拶して来いって。
> その後、数日は自由にしてから帰って来いってさ。」
>「・・・・・・・そうか?」
>「ねぇ、兄さん。
> 僕は、兄さんが望むなら、情報を流してもいいよ。」
>「はい?」
>「兄さんが、望むのなら、スパイ行為をしてもいいってこと。」
>「・・・・・・死ぬぞ?」
>「もう死んでもうたはずの、命やもん。
> それに、僕がアレに従ってるんは、したい事なし得たい事が在るから。
> でなきゃ、オバハンに従うはず無いっしょ?」
>「・・・・・・・・・・・。」
>無言になったアルティアをカイヤは、腰に抱きついていた腕を首に回し直し、アルティアを抱き寄せる。
>・・・・まぁ、カイヤは、そう身長が高くなく、アルティアは、それなりに身長が高い。
>半分ほど、ぶら下がっているような物だけれど、それをあわせてアルティアはかがんでいる。
>30センチ余ほど、死か離れていない距離で、カイヤはこうアルティアに言った。
>睦言めいた雰囲気なのに、どこか哀しい語調で。
>「・・・・・・わかってるよ?
> 僕が貴方の恋愛対象じゃないってことはさ。でもねぇ、それくらいじゃ諦めきれんかった。
> この気持ちだけはほんま、どうしようもないんや。
> 僕は、兄さん、貴方が好きや。愛してる。
> 僕を・・・必要としてや・・・・・。お願い・・・・いらない・・・・・・ってことは言わんといて。」
>年齢よりも、幼い雰囲気でカイヤは言った。
>一度死ぬ前にも、言った言葉とまったく同じだった。
>哀しいまでに、真摯な刹に切ない告白・・・想いの吐露だった。
>「・・・・・・・・・そこまで、にしてくれないかな、カイヤ。
> 一応、相棒兼監視役の俺・セルジュ=フィンガーズからの忠告だ。」
>「むぅぅ、セルジュ。
> 僕の兄さんの逢い引きを邪魔しないでよ。」
>「逢い引きと違うだろう?
> あの挨拶で、勝手に手紙を残したのは、お前だ。
> それだけでも、かなりの命令違反だ。
> 俺たちは、自由にしても良いとは言っても、それはやり過ぎだ。」
>声だけが、倉庫の闇から聞こえる。
>入ったなりに、カイヤの熱い抱擁で、気勢がそがれたとは言え、今まで気配の一つもしなかった。
>カイヤと闇の中から言い争っているセルジュとやらの声が聞こえている方向に、能力(サイケ・スキル)で生み出したビーチボールほどのサイズの炎球を投げる。
>気配で、それが避けられたことを読み取る。
>しかし、炎球は、廃材を燃やしたらしく、炎の山が一瞬にしてでき、燃え上がった。
>それに、照らされた顔を見て、アルティアは、再び、驚いた。
>赤い炎に照らされていても、はっきりと解る青いニット帽に、真紅に近い肩口で乱暴に揃えられた髪、右眼の方にナイフ傷があり、目つきが少々悪い瞳の色は、焦げ茶。
>黒い半袖の上に、ジッパーが特別大きいカーキ色のフィッシャーズジャケットと同色のカーゴパンツと、黒の安全靴。
>赤い革紐で、首から下げられた銀色の十字架。二の腕までの包帯状のリストバンド。
>外見年齢18歳ぐらいの少年と青年の狭間の《生ける死者(リビングデッド)》だ。
>「・・・・・・・・・・うそ、だろ、お前まで、生き返らせられたのかよ。」
>「肯定しよう、《爆炎の教皇》。
> 一年と半年前に、あの路地裏で、俺は確かに死んだ。
> イライアスを大いに哀しませた。
> 違いない、俺が、セルジュ=フィンガースだ。」
>ゆっくりと、炎の山を背にして、彼は歩み寄ってくる。
>哀しげでもあり。
>鬱々としてでもあり。
>プラスの感情が見いだせないそんな表情で歩み寄って来た。
>「今、《C.C.》とお前らの因縁は本格的に動き出したばかりだ。
> 多くを語るつもりも、その権限も俺にはない。
> ・・・・・・・・・またいつか。
> 出来るならば、イライアスには、告げないでくれ。」
>そして、その言葉を最後に、セルジュは、カイヤの身体に触れ、『飛んで』この場から二人は消えた。
>最後まで、カイヤは、『ちょっと待ってぇや。兄さんと話したい事まだ在るんだよ。』と抵抗していたようだけど。
>セルジュの能力に連れ去られてしまった。
>その証拠のように、セルジュとカイヤのいた空間分の真空地帯に空気が流れ込む轟音が響いた。
>アルティアは、静かにはじき飛ばされかけたが、数歩ステップを踏むだけで、倒れる事は無かった。
>「・・・・・・・・・・・くそっ!!
> 死者を弄んで何になるんだよ。」
>ただ、倉庫の壁に彼が拳を打ち付ける音と、そんな憤りの声だけが、暗い倉庫に響いたのだった。

朱琉:えー・・・・言いたいことは多々あるのですが、中々文章に纏められず。結局、最後に纏め書きになってしまいました。
 とりあえず、アルとカイヤの因縁が気になるのが一つ。
 同じく因縁が気になるのは、セルジュとイライアス。
 因縁だらけのこの話、先読みは出来そうにありません。
 あと気になるのは《生ける死者(リビングデッド)》ですね。これは、アベルとカインの如くにクローン技術みたいなのでよみがえらされたのか、それとも他の何かなのか。生前の人格を留めているところを見ると、どうやらクローン技術とは違うと思われるのですが・・・・。
 可能性としては、彼らは《C.C》陣営なので・・・・アベル復活のためのテストケース?とも思ったんですが・・・・なんか違う気がする今日この頃。
アミイ:とりとめ、全くないことわかってる?
朱琉:十分承知していますです。
   結局、続き楽しみです、の一言に尽きるんですが。

>
>
>
>
>
>
>@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@
>
>
>ユア:やっと出せた!!
>久遠:やっと?
>ユア:うん、五月十五日編で、アルの理由を語らせてから、ずっと出したかったキャラ。
>久遠:裏設定がすごい子よね。
>ユア:うんうん。
>   だけどさ、裏稼業って、「人間的に許せない」とか、ディスを守る為と言う理由じゃ、6年も居続けるのは辛いもんじゃん?
>久遠:そうよね。
>   哀しいけど、闇を見つめて復讐に生きるとか、じゃないと、そんなに長くは難しいわね。
>ユア:そう、だから、密かな理由とし手が、カイヤクンな訳だ。
>久遠:セルジュちゃんは?
>ユア:言ってしまえばおまけだけど、だけども、彼も彼なりの悲劇を背負ってもらおうかなと。
>久遠:正統派少年漫画をやってもらおうって?
>ユア:さぁ、神のみぞが知ると言う事で。
>二人:ともあれ、後編で。

朱琉:はい、では、この辺で。
二人:では、また!


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18365シリアスな展開でも、カイヤがコメディしているので、ありかと思います。十叶 夕海 2007/10/23 19:49:27
記事番号18364へのコメント



>
>朱琉:こんにちは。お久しぶりです、羅城 朱琉です。ようやくネットに繋がりました。
>アミイ:いくらパソコン弄ってもダメだったのにね。
>朱琉:モデムの設定と、大本となる親パソコンの設定が変だったみたいです。多分これで調子もよくなるのではないかと・・・・。
> では、近況報告はこの辺にして、レスに参ります。

ユア:こんにちは、お久しぶりです。
久遠:夕海ちゃんは、卒論テーマとレポートで現実逃避して、作品を殴り書きしてるわ。
ユア:言わないでぷりいず。
   では、返レス行きます。


>
>
>>
>> ACT87 今でも忘れる事は無い +今でも好きなのは、貴方だけ+
>>
>>
>>
>>日常とは、容易く壊れてしまう。
>>キッカケは、些細な事で。
>>でも、そのキッカケほど、根が深いモノだ。
>>今回も、日常が壊れ始めたのは、些細だけど根が深いキッカケで。
>>「ったく、あのバーコード緑林、レポートの話するなら、もう少し早くすればいいのに。」
>>「しかも、おまけとばかりに、卒論の予備調査もするもんな。」
>>「そうそう、おかげで、30分も遅れた。
>> 一応、遅くなりそうだったから、ラディハルトには、メールしといたとけど、おしゃべりで終わってそうね。」
>>「だな。
>> でも、あのベルばらやるって話、結局流れたし。
>> どっか、借りて、一回舞台経験させないとな。」
>>黒く輝く髪の青年と青く輝く髪の女性が、二人で、同じ場所を目指している。
>>青年をアルティア=ペシュテル。
>>女性をディスティア=ヴァリードという。
>>二人は従兄弟同士で、違う学部ながらも、同じサークルの部長副部長だ。
>>どうやら、共通でとっている科目で、遅れたようだ。
>>今日は、たまたま、そのサークル棟では、ディスティア達以外のサークル活動が偶々無いようだ。
>>あっても、近くの高校と合同だったりと、そのサークル棟を使っているサークルは無い。
>>「なぁ、ディスティア。
>> 血の、匂いしないか?」
>>「あ、そうだね。
>> 少し、水っぽい感じの匂いだね。」
>>その部室に近づくにつれて、新鮮な血液の匂いがしてくる。
>朱琉:実際、新鮮な血液は意外とさらっとした手触りです。で、ちょっと生臭いけど水っぽい匂いがします。
>アミイ:妙かつどうでもよくて微妙に生々しい話はしないのがいいと思うわよ。
>朱琉:いや、ちょっとこれ読んで数ヶ月前の悪夢(?)を思い出してしまったので・・・・。つい体験談を・・・・(苦笑)

久遠:なのよね、匂いと色がついている以外は、水とあんまり変わらないわ。
ユア:いえ、匂いと色がついている時点でダメな気です。
   あと、時間的に微妙に立ってるのです、カイヤくんの攻撃方法に関係していると暗喩です。
久遠:でも、実際そうなのよ?
   お姉さん的にはどっちでも、好きだけどね。

>
>>恐らく、一人や二人ではない。
>>ディスティアは、静かに、刹を呼び出した。
>>黒髪の式神は、主にぴたりと寄り添い、静かに、警戒をする。
>>二人と一匹は、部室に入った。
>>そこには、部員の半数以上、18名ほどが倒れていた。
>>血塗れでだ。
>>その血は、壁や天井にも、飛び散っている。
>>ざっと見た感じ、出血こそ派手派手だが、傷の深さとしては、そう深くない。
>>ショックで気絶しているようだった。
>>しかし、一人だけ、酷い傷のヤツが居た。
>>ラディハルトだった。
>>現実的な戦闘力は、一般人よりやや上程度の彼だったけど、それでも抵抗したようだ。
>>気絶すらしていない。
>>「ラディハルト!!」
>>「あ、ディスティアはん。
>> ・・・・・・・・死んだはずのヤツが来たんや。
>> 抵抗したけど、皆に怪我させてもうた。」
>>「・・・・・いい、とにかく、寝てろ。
>> 治すから。」
>>ラディハルトは、ディスティア達が来て、安心したのか、眠るように気絶した。
>朱琉:ラディさん、よく意識を保っていられたなぁ、と。
>アミイ:使命感、かしらね?ある種の。
>朱琉:だとしたら拍手モノですね。よくもまあ、重傷状態で、と。

ユア:ラディは、ディス嬢サイドと言っても、微妙に《C.C.》のことも知っていますんで、その関係も含めた使命感です。
久遠:でもも、某漫画風に言えば、「頭以外、刺身状態にしても喋らなかった」と言う状況よね?
ユア:ええ、ですから、すごい事には変わりないです。

>
>>そして、とりあえず、傷を塞いで、止血している時に、部室の中央にある机の入り口側にメッセージカードがあるのをアルティアが見つける。
>>それは、部屋の惨状を際立たせるかのように、淡い青色のハガキサイズモノだった。
>>
>>
>>「 愛しのアルティア・ペシュテル様
>>
>>  挨拶は見ましたか?
>>  あれから、五年ですね。
>>  兄さんが、僕を殺してから五年。
>>  本日、26時に、あの場所で、待っています。
>>
>>             カイヤ=シルヴァタイト より。       」
>>
>>
>>「アイツ、生きてたのか。」
>>「いや、死んだはずだ。
>> 俺が、この手で・・・・・・。」
>>「・・・・・・アル、行くんだったら、もう帰ってメシ喰って、寝ろ。
>> 誰で、あれ、お前の心を揺さぶるのが、狙いだろう。
>> 怪我治して、血の後消して、記憶いじっとく。」
>>手紙を読んで、固まっているアルティアの手元から、横目でディスティアも内容を把握する。
>>そして、叱咤するように、そう言った。
>>彼女も、従兄弟と彼の因縁をわずかながら聞いている。
>>また、従兄弟が知らない彼の事も知っている。
>>だけども、手出しが出来る事ではないということも、ディスティアは知っている。
>>少なくとも、《片眼王》に執着し続けている自分が、口を出せない問題だろう。
>>そこまで、ディスティアは恥知らずではない。
>>「わかった。
>> すまない。」
>>「・・・・・・死ぬなよ、死んだら。
>> 殺したヤツを、お前の家族であっても、なぶり殺すぞ?」
>>アルティアが去った後、刹と協力して、血の痕跡を消し、傷を治し、記憶を少しいじって、返した。
>>『講義終了が遅れたため、解散になった』というような。
>>本来は、そう言う事はしない。
>>しかし、せめて、何も知らないでいる人が居て欲しいと想う。
>朱琉:第三者視点から見て、
>   『願わくば、忘却が救いとならんことを。
>    願わくば、無知が全知の救いとならんことを。』
>   といった心境でしょうか?
>アミイ:オリジナルから引用しても、誰もわからないと思うの。
>   『何も知らない、明るいところで生きている人が傍にいてくれるということは、闇に生きるものにとって、眩しくもあり、また、救いでもある』
>    で、いいかしら?
久遠:そうなのよね。
   そのことを知らない人が、居てくれるって言うのは、暖かい事なの。
ユア:知られるとマズいと考えるよりも、知らないでいて欲しいと考えてしまってるんですね。

>>
>>
>>
>>
>>
>>
>>そうして、夜がふける。
>>日付が変わり、時乃市の集積場というか、倉庫街と言うか、そんな場所が、舞台だ。
>>時乃市或いは、その周辺の地域に、モノを送る際の中継地点だ。
>>今も、洗剤や缶詰などの息の長い商品が、眠る倉庫がたくさんある。
>>その外れの方・・・トラックが通る事はしても、仲間で誰も入らない・・・それこそ、一年に一回、誰かが入ればいいだろう・・・そんな倉庫だ。
>>高さは、三階建てのびるほどだが、吹き抜けになっており、壁伝いに通路が在るだけのドックのような構造の倉庫。
>>在るのは、壊れかけたコンテナとか、パイプ椅子とか、その倉庫の広さに反比例するかのように、少ない。
>>「早く・・・もないな。
>> ちょうど、26時か。」
>>神父のような牧師のような、動かない時の仕事着の教皇服ではなく、シンプルな僧服を身にまとった黒く輝く髪のアルティアが、その倉庫の勝手口・・・もう、用をなしては居ないが・・・から、入る。
>>一応、電気は生きているらしいが、ろくに交換されてないのと、倉庫の広さに割りに、小さな物が幾つかのため、あまり明るくはない。
>>しかし、一応、付けないよりはいいだろうと、アルティアはつけた。
>>「さて、どうするか。」
>>カイヤが来るのを待つ為か、入り口の方に、ただ、佇む。
>>しばらく、沈黙が場を支配する。
>>「兄さぁ〜んっ。
>> 久しぶり、元気やったぁっ!!?」
>>そして、いきなり、アルティアは腰に抱きつかれた。
>>結構な勢いでである。
>>抱きついたのは、17歳ぐらいで、高校に通っていてもそう違和感の無い外見の少年。
>>ディスティアの青く輝く髪に比べ、やや青みの薄い・・・だけど、青みの解る銀髪をおかっぱのようなショートカットのような髪型の、深い蒼の糸目の小柄な体格。
>>黒いハイネックの長袖のTシャツを、やや暗い緑の半袖Tシャツに、ジーパンに、革靴。
>>耳に、針のような印象のピアスを付けている。
>>彼は、アルティアの腰に、頭をぐりぐりと押し付け、嬉しそうだ。
>>まるで、ペットホテルに預けられた犬が、数週間ぶりに、飼い主に会ったよりも、嬉しそうなほどだ。
>>「むぅ、カイヤか。」
>>「んもう、久しぶりに会えたんだしさ。
>> そんなに、機嫌悪そうな顔しないでよ。」
>>それこそ、『ぷんぷん』というような、擬音が飛び交いそうな様子で、アルティアの不機嫌な様子を責めるカイヤ。
>>不思議と、違和感の無い仕草だ。
>>「何をしたのか解ってるのか?」
>>「したって、何を?」
>>「うちのサークルのメンバーを傷つけ、《L》にも手を出した事だ。」
>>「でも、これくらい、やんないと、ディスは気付いても、兄さんは気付かんやろ?」
>>「やり過ぎだ。」
>>「ディスが居るから、大丈夫でしょ?」
>>「そう言う問題でもない。」
>>「だってだって、命令された範囲内で、兄さんに僕を気付いてもらえるんは、これぐらいしか思いつかないかったもん。」
>>「・・・・・・昔から、そうだよな。
>> 『目的の為なら、手段を選ばない』のは、昔から、変わらない。」
>>「変われないもん、僕や、《風水の姫》や、《地炎の君》は、そうそう変われないもん。」
>>「それと、お前、あの時、死んだんじゃないのか?」
>>「うん、死んだよ。
>> この上なく完璧にね。」
>>「何故・・・・・・?」
>>ちなみに、この会話、カイヤが、アルティアの腰に抱きついたままで行なわれている。
>>そして、アルティアは『何故・・・・・?』のあと、言葉を紡ぐ事が出来なかった。
>>つまりは、こう聞きたかったのだ。
>>『何故、生き返ったのか?』
>>しかし、聞いて答えるような性格ではないカイヤである事は、アルティアは、彼を無くしたあの日以前の付き合いで解っている。
>>「生き返らせられたん。
>> アイツのおかげで、兄さんにもう一度会えたんは、嬉しかったわ。」
>>「今回は、敵と言う事か?」
>>「そーなるのかな、アイツが、《C.C.》についている以上、ね。
>> 僕も、そっちにつかざる得ない。」
>>「・・・・・・・・・・・いつ、生き返った。」
>>「う〜、そう前の事じゃないよ。
>> せいぜい、一月以内。
>> ちゃんと意識を回復したのは、三週間ほど前かな。」
>>不本意な蘇生のはずなのに、カイヤはあくまで、嬉しそうだ。
>>そこまで、アルティアに再会できた事が嬉しいのか。
>>対する彼は、グロス単位で、苦虫を噛み潰したと言うほどではないが、かなり苦々しい表情だ。
>>自分の一つ下で、それなりに・・・下手しなくても、親友と呼べるヤツが、「生ける死者(アンデット)」と成り果てているのである。
>>気分が良い訳が無いのだ。
>>「・・・・・・兄さん、怒ってもうとる?」
>>「お前には、怒ってない。」
>>「・・・・・・僕は、兄さんに会えて、嬉しかったんよ。」
>>「俺も、嬉しいよ・・・・・・。
>> ・・・・・・・何が目的だ?
>> 何も無いのに、ここにくるほど、自由でもなかろう?」
>>「ん〜、挨拶して来いって。
>> その後、数日は自由にしてから帰って来いってさ。」
>>「・・・・・・・そうか?」
>>「ねぇ、兄さん。
>> 僕は、兄さんが望むなら、情報を流してもいいよ。」
>>「はい?」
>>「兄さんが、望むのなら、スパイ行為をしてもいいってこと。」
>>「・・・・・・死ぬぞ?」
>>「もう死んでもうたはずの、命やもん。
>> それに、僕がアレに従ってるんは、したい事なし得たい事が在るから。
>> でなきゃ、オバハンに従うはず無いっしょ?」
>>「・・・・・・・・・・・。」
>>無言になったアルティアをカイヤは、腰に抱きついていた腕を首に回し直し、アルティアを抱き寄せる。
>>・・・・まぁ、カイヤは、そう身長が高くなく、アルティアは、それなりに身長が高い。
>>半分ほど、ぶら下がっているような物だけれど、それをあわせてアルティアはかがんでいる。
>>30センチ余ほど、死か離れていない距離で、カイヤはこうアルティアに言った。
>>睦言めいた雰囲気なのに、どこか哀しい語調で。
>>「・・・・・・わかってるよ?
>> 僕が貴方の恋愛対象じゃないってことはさ。でもねぇ、それくらいじゃ諦めきれんかった。
>> この気持ちだけはほんま、どうしようもないんや。
>> 僕は、兄さん、貴方が好きや。愛してる。
>> 僕を・・・必要としてや・・・・・。お願い・・・・いらない・・・・・・ってことは言わんといて。」
>>年齢よりも、幼い雰囲気でカイヤは言った。
>>一度死ぬ前にも、言った言葉とまったく同じだった。
>>哀しいまでに、真摯な刹に切ない告白・・・想いの吐露だった。
>>「・・・・・・・・・そこまで、にしてくれないかな、カイヤ。
>> 一応、相棒兼監視役の俺・セルジュ=フィンガーズからの忠告だ。」
>>「むぅぅ、セルジュ。
>> 僕の兄さんの逢い引きを邪魔しないでよ。」
>>「逢い引きと違うだろう?
>> あの挨拶で、勝手に手紙を残したのは、お前だ。
>> それだけでも、かなりの命令違反だ。
>> 俺たちは、自由にしても良いとは言っても、それはやり過ぎだ。」
>>声だけが、倉庫の闇から聞こえる。
>>入ったなりに、カイヤの熱い抱擁で、気勢がそがれたとは言え、今まで気配の一つもしなかった。
>>カイヤと闇の中から言い争っているセルジュとやらの声が聞こえている方向に、能力(サイケ・スキル)で生み出したビーチボールほどのサイズの炎球を投げる。
>>気配で、それが避けられたことを読み取る。
>>しかし、炎球は、廃材を燃やしたらしく、炎の山が一瞬にしてでき、燃え上がった。
>>それに、照らされた顔を見て、アルティアは、再び、驚いた。
>>赤い炎に照らされていても、はっきりと解る青いニット帽に、真紅に近い肩口で乱暴に揃えられた髪、右眼の方にナイフ傷があり、目つきが少々悪い瞳の色は、焦げ茶。
>>黒い半袖の上に、ジッパーが特別大きいカーキ色のフィッシャーズジャケットと同色のカーゴパンツと、黒の安全靴。
>>赤い革紐で、首から下げられた銀色の十字架。二の腕までの包帯状のリストバンド。
>>外見年齢18歳ぐらいの少年と青年の狭間の《生ける死者(リビングデッド)》だ。
>>「・・・・・・・・・・うそ、だろ、お前まで、生き返らせられたのかよ。」
>>「肯定しよう、《爆炎の教皇》。
>> 一年と半年前に、あの路地裏で、俺は確かに死んだ。
>> イライアスを大いに哀しませた。
>> 違いない、俺が、セルジュ=フィンガースだ。」
>>ゆっくりと、炎の山を背にして、彼は歩み寄ってくる。
>>哀しげでもあり。
>>鬱々としてでもあり。
>>プラスの感情が見いだせないそんな表情で歩み寄って来た。
>>「今、《C.C.》とお前らの因縁は本格的に動き出したばかりだ。
>> 多くを語るつもりも、その権限も俺にはない。
>> ・・・・・・・・・またいつか。
>> 出来るならば、イライアスには、告げないでくれ。」
>>そして、その言葉を最後に、セルジュは、カイヤの身体に触れ、『飛んで』この場から二人は消えた。
>>最後まで、カイヤは、『ちょっと待ってぇや。兄さんと話したい事まだ在るんだよ。』と抵抗していたようだけど。
>>セルジュの能力に連れ去られてしまった。
>>その証拠のように、セルジュとカイヤのいた空間分の真空地帯に空気が流れ込む轟音が響いた。
>>アルティアは、静かにはじき飛ばされかけたが、数歩ステップを踏むだけで、倒れる事は無かった。
>>「・・・・・・・・・・・くそっ!!
>> 死者を弄んで何になるんだよ。」
>>ただ、倉庫の壁に彼が拳を打ち付ける音と、そんな憤りの声だけが、暗い倉庫に響いたのだった。
>
>朱琉:えー・・・・言いたいことは多々あるのですが、中々文章に纏められず。結局、最後に纏め書きになってしまいました。
> とりあえず、アルとカイヤの因縁が気になるのが一つ。
> 同じく因縁が気になるのは、セルジュとイライアス。
> 因縁だらけのこの話、先読みは出来そうにありません。
> あと気になるのは《生ける死者(リビングデッド)》ですね。これは、アベルとカインの如くにクローン技術みたいなのでよみがえらされたのか、それとも他の何かなのか。生前の人格を留めているところを見ると、どうやらクローン技術とは違うと思われるのですが・・・・。
> 可能性としては、彼らは《C.C》陣営なので・・・・アベル復活のためのテストケース?とも思ったんですが・・・・なんか違う気がする今日この頃。
>アミイ:とりとめ、全くないことわかってる?
>朱琉:十分承知していますです。
>   結局、続き楽しみです、の一言に尽きるんですが。

ユア;鋭いですねぇと。
久遠:それだけ?
ユア:すぐに、続編投稿予定なので。
   イライアスくんとセルジュも、カイヤとアルの因縁も、まだ先にバラしますが、《生ける死者》の方は、次回で、あらかた解ります。
久遠:ああ、家業と本人の適正は、一致しない例ね。
   あの子、強いからお姉さん好きよ?
>
>>
>>
>>
>>
>>
>>
>>@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@
>>
>>
>>ユア:やっと出せた!!
>>久遠:やっと?
>>ユア:うん、五月十五日編で、アルの理由を語らせてから、ずっと出したかったキャラ。
>>久遠:裏設定がすごい子よね。
>>ユア:うんうん。
>>   だけどさ、裏稼業って、「人間的に許せない」とか、ディスを守る為と言う理由じゃ、6年も居続けるのは辛いもんじゃん?
>>久遠:そうよね。
>>   哀しいけど、闇を見つめて復讐に生きるとか、じゃないと、そんなに長くは難しいわね。
>>ユア:そう、だから、密かな理由とし手が、カイヤクンな訳だ。
>>久遠:セルジュちゃんは?
>>ユア:言ってしまえばおまけだけど、だけども、彼も彼なりの悲劇を背負ってもらおうかなと。
>>久遠:正統派少年漫画をやってもらおうって?
>>ユア:さぁ、神のみぞが知ると言う事で。
>>二人:ともあれ、後編で。
>
>朱琉:はい、では、この辺で。
>二人:では、また!
>
>
ユア:はい、ありがとうございます。
二人:では、次回で。

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18366家族の写真 ACT88 今でも忘れる事は無い +今でも好きなのは、貴方だけ+ 後編十叶 夕海 2007/10/23 20:11:48
記事番号18362へのコメント






 ACT88 今でも忘れる事は無い +今でも好きなのは、貴方だけ+ 後編




「無茶するね、一応、下弦時期は、調子が悪いのを覚えているでしょう、セルジュ=フィンガース?」
「・・・・・・るっさい、あのまま会わせておく方が、余程ヤバい。」
「あ、ディスだ。
 おひっさ〜、五年ぶり。
 やっぱ、綺麗になってるね。」
アルティアが、自己嫌悪と言うか苦悩に、身を浸している時。
その倉庫からそう遠くない・・・集積場の入り口の方で、待ち伏せをするように、ディスティアは、セルジュと彼に背負われたカイヤを迎えていた。
この時のディスティアの格好は、黒く二の腕と胸のすぐ下に絞りのある白いレース縁取りが可愛いチュニックと白のハイネックのシャツ。
黒いスリムなジーンズと白いバレエシューズタイプの靴。
という、ちょっとそこのコンビニと言うには、オシャレさんだったが、まぁ、夜遊びして帰る分には、そう目立たない。
しかし、今彼女の顔に浮かんでいるのは、眼の笑っていない微笑みだ。
「どうせ、ビジネスホテル当たりに泊まってるんでしょ?
 もう、入れないだろうから、マンション貸したげる。」
「は?ディスティア?
 俺たち敵なのわかってる?」
「ふん、それがどうした?」
「それが、どうしたって、ディス。
 大きいと思うよ、少なくとも、殺し合いしなくちゃ行けないわけでもないけど。」
「一応、元とは言え、仲間が・・・もう二度と会えないはずの仲間に、会えたんだ。
 嬉しくて、世話焼くのが、そんなに、馬鹿な事か?」
「・・・・・・・・昔から・・・いや、一年半前から変わらないな。」
「変われないさ。
 で、どうする?
 朝ご飯と寝床と風呂は、保証する。」
泣き笑い・・・泣きたいのに、笑顔を作っているかのような笑顔で、ディスティアはそう言った。
二人には、少しだけ、彼女の事の内心を解っていた。
本当は、取り乱して、泣きたいのに。
泣けないで、『母』の顔だけを覗かせている。
「んじゃ、よろしく。」
「了解。
 ・・・・・・あー、夜食リクエストある?
 赤味噌味のキノコ鳥雑炊なら、作れるわよ?」
「・・・・・それでいい。」
「それでいい、とか可愛い事言ってんじゃないわよ、セルジュ。
 好物のなのは覚えているわ。」
「お、男に、カワイイは無いだろう。」
「一応、年下だし?」
「年下と言っても、一つだろう。」
「・・・・・生きてれば、でしょ?」
カイヤを受け取り、米俵でも担ぐように、担ぎ上げると、「あ、そうそう」とでも、いうように夜食のリクエストを聞くディスティア。
それに、ぴくっと反応してから、セルジュが素っ気なく返すと、ディスティアは、懐かしそうにからかう。
でも、その表情に寂しさが滲むのをカイヤは、見逃さなかった。
やはり、少しカラ元気なのだろうと。









ここは、ディスティアが、先日会合が行われたマンションとは、別に借りているマンションだ。
眼を忍ぶ依頼人などを応対するのが、メイン目的だ。
それでも、いくらかの生活臭が、ある。
今も、キッチンから、いい香りがしている。
くつくつくつ、と、大きな土鍋にで、白米と出し汁、軽く焦げ目を付けた鶏肉とキノコが煮える。
「流石に、腕は一年半前よりも、上がっているな。」
「まぁね。兄弟以外にも、食べさせる人が増えたし。
 イライアスも、昔よりも、頼ってくるしね。」
「・・・・・・・寝首を書くとか考えないのか?」
「出来ないでしょ?」
「俺が出来なくても、あの女が、させるとか考えないのか?」
「しないね、バトルマニアだし、くそ外道だし、アバズレだけどね。
 させたくない事を下僕にさせるほどじゃない。」
「よく知っているな。」
「何度も闘ってるからね。
 殺せないのは、アイツを含めて10人いるかいないかだ。」
出し汁や、鶏肉の具合を見ながら、ディスティアは、それを横合いから覗くセルジュの質問に答えていた。
視線は、あわせないが、雰囲気は、セルジュが昔、感じた「母」のモノだった。
そして、ディスティアは、こと投げも無く、「私が怖い人は、10人も居ない」とでもいうように、《屍繰り女》のことを語る。
「あの女の『屍繰り』は、使い勝手が、或る意味最悪なんだわ。
 どういう形にせよ、この世に想い・・・『何かしたい』ことを残していないと、呼び返せないのさ。」
赤味噌を溶きながら、ディスティアは、そう言う。
敵の・・・しかも、最高幹部会に出席を許されている女の情報を其所まで握っていた。
本来、ありえない。
魔法使いが、仮想敵を定め、その敵に悟られぬように、準備を進めている最中にバレて、それでも勝つより、ありえないのだ。
「なぜ、そこまで知っている。」
「うん、何回も闘えば解るし。
 後、《歌乙女》が、過去に同系譜の《屍繰り使い》とやりあってる。」
「・・・・・・・・」
「セルジュ、お前は、何を想いを残した?」
「・・・・・・・・・・・・・答える義理は無い。」
「意外と、彼女が居て、それにもう一度会いたいとか?」
「////ち、違う。」
「んじゃ、死ぬ前に、本当のお母さんに会いたかったとか?」
「・・・・・・・・・・」
「くすくす、そんなに顔を赤くしないの。」
上の弟・エヴァンスをからかうかのように、セルジュに言葉を重ねる。
先ほどの、冷たい声音も、今の暖かい声音も、同じディスティア。
なのに、何処か違う、とセルジュは思う。
「セルジュ、風呂空いたよ。
 早く入った方がええんと違う?」
「あ、うん、解った。」
そこに、カイヤがタイミングを計ったみたいに、会話に入って来た。
入れ替わりに、セルジュが、風呂場に行ってしまう。
「あと、豚とネギの串焼きでも喰うか?」
「うん、あ、あの辛いゴマだれがいいな。」
「それなら、柚子皮入れたのも、あるけどどうする?
 柚子塩であっさりいくのも、乙だと思うけど?」
「うう、兄さんの料理の師匠なだけあるわ。」
「必要にかられたんだよ。
 アルみたいに、リアン叔母さまが、壊滅的な腕でも、とりあえず作ってくれる家庭じゃないし。
 母さんは、忙しい上に、壊滅的だったからね。
 店屋物が嫌なら、作れるようにしか、なるしかないわ。
 ・・・・・・・・で、何が目的なのかな、カイヤ?」
それまで、ほのぼのとした雰囲気から一転。
ディスティアは、声だけで人を凍らせれるなら、凍るだろうと言うような声で、カイヤに問いかける。
いや、問いかけの形をとってはいるが、完璧に脅しだ。
それに、屈さずに、正確には、影響すら受けずに、こう返す。
「言うと思う?
 ディスが僕やぁたら、言わないでしょ?」
「確かにね。
 でもね、再び、アルの心も、身体も、どちらかでも傷つけて見なさい。
 今度は、私が黄泉に送り返してあげるわ。」
氷のような雰囲気の遣り取りだ。
ディスティアは、アルティアが、五年前の事で未だに気に病んでいるのだ。
彼は、先日の会合で、「人として許せない」云々と、《C.C.》に抵抗する意志を示したが、それで、逆らえるほど、あの組織は甘くない。
しかし、アルティアが、そうするのは、ディスティアやアルトが心配というのもあるが、五年前のあの時に、かち合いカイヤをアルティアを殺す必要を作った刺客の所属が、《C.C.》なのだ。
だからこそ、の反抗なのに。
その本人が、《C.C.》に従っているのは、いかな苦痛だろうと、ディスティアは思う。
「わかっとるよ、ディスやったらそうする思うてん。」
「・・・・・・・・《歌乙女》として何も言えないけれどね。
 貴方と同じく、長い間同じ人を思い続けてる以上は、ね。
 外法と呼ばれても仕方のない方法で、因果律を無理矢理固定する以上覚悟は固いだろうし。」
「・・・・・・・っ。
 兄さんも知らん事、なんで!!」
そこで、カイヤが初めて語調を乱す。
ディスティアが・・・少なくとも、カイヤが知る《歌乙女》が知らないはずの事をあっさり口に出されたせいだ。
「秘密。
 女の子は、ちょっとぐらいミステリアスな方が、素敵なの。」







こうして、夜食を食べ終えたカイヤとセルジュは、ベッドでぐっすりと眠る。
生き返った死者と言えど、睡眠よくもあれば、疲れもあるのだ。
起きると、パンとオムレツ&サラダとスープがキッチンにあった。
「さて、どうする、カイヤ。」
「うーん、これ以上兄さんに会われんのやったら、アキバとか、新宿とか、池袋と行きたい。
 シルバアクセ欲しい。」
「確かに、向こうで買うよりは、安くっていいのがあるしな。」
「それに、BLの恋愛シュミュレーションのパソゲームが欲しいしな。
 『星の数ほどにキスをして』ってヤツのプレイヤーキャラと攻略可能キャラが、僕と兄さんそっくしやし。」
「・・・・・・末期?」
「なんの?」
「男性同士で、普通と言うのも、おかしいが。
 おかしいが、それをゲームに転写するとなれば、一応の相棒としては、あの男の為にトドメを刺したくなる。」
「・・・・・・ええやん。
 キャラだけやぁたら僕も買わんよ。
 やけど、この炎野涼司って人の声が兄さんそっくしやから、やし。」
ある意味、ここ数日いつも通りの会話を交わす二人。
そして、超絶裏話ではあるけれど、そのCVの炎野涼司(ほむらの・りょうじ)は、アルティア=ペシュテルの裏アルバイトだ。
エイレン=マイセリアルの仲介でのみ、その声を晒す伝説の声優なのだ。
ただし、ドラマCDや深夜枠、BLなど、知る人ぞ知るという。
それをセルジュは知っているが、この相棒が知れば、暴走するに違いないのは間違いない。
だから、黙っているのだ。
アルティアが、それを始めたのは、彼が死んで然程間がないときなのだから。



そうして、二人は、想いを残し、《C.C.》に従う。
一人は、決して受け入れられない愛/哀を胸に。
一人は、決して開かせぬ感情/観情を心に。
ただ、いつか叶う事を/死ぬ事を願いながら。



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ユア:というわけで、とりあえず、二人の話は幕。
久遠:とりあえず?
ユア:うぃ、この後のジョジョ二次創作からの出張さんと《C.C.》のパートに出てくる予定。
   彼らの二つめの話かな。
久遠:とすると、この話、時期的にいつ?
ユア:・・・・・・・・・・・五月二十五日前後かな。
   二十二日ぐらいに、ディス嬢の脅し話が入ってその後の事に始まっている話だし?
久遠:時間軸、ぐたぐたな気がするの、お姉さんだけかしら。
ユア:一応、宣言通り、時間軸が行ったり来たりしているわけで.
七月直前には、普通の時間軸になる予定。
久遠:予定?
ユア:予定、予定は未定だけど。
久遠:その前に、100話超えそうな予感バリバリでお姉さん的に、心配なんだけど?
ユア:100話どころか、遥陽師匠様の話数を超えそうです。
   時間軸上、物語開始から、一ヶ月半〜二ヶ月半(ちょっと先行している話もあるため)ぐらいしか経ってないのよねぇ。
久遠:・・・・・・・・・もう何も言えないわ。
二人:ともあれ、又次回で。

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18368今回のキーワードは、『謎の円環』羅城 朱琉 2007/10/24 22:53:20
記事番号18366へのコメント



朱琉:こんばんは。羅城``乾燥は敵''朱琉です。
アミイ:まて。真中の一文は何?
朱琉:最近、我が仕事場はマジで湿度30%台前半なのです。ドライアイにはきっつい環境で、ついつい。目が取れそう・・・・。
アミイ:ハイハイ。じゃあ、レスいくわね。

>
>
>
>
>
> ACT88 今でも忘れる事は無い +今でも好きなのは、貴方だけ+ 後編
>
>
>
>
>「無茶するね、一応、下弦時期は、調子が悪いのを覚えているでしょう、セルジュ=フィンガース?」
>「・・・・・・るっさい、あのまま会わせておく方が、余程ヤバい。」
>「あ、ディスだ。
> おひっさ〜、五年ぶり。
> やっぱ、綺麗になってるね。」
>アルティアが、自己嫌悪と言うか苦悩に、身を浸している時。
>その倉庫からそう遠くない・・・集積場の入り口の方で、待ち伏せをするように、ディスティアは、セルジュと彼に背負われたカイヤを迎えていた。
>この時のディスティアの格好は、黒く二の腕と胸のすぐ下に絞りのある白いレース縁取りが可愛いチュニックと白のハイネックのシャツ。
>黒いスリムなジーンズと白いバレエシューズタイプの靴。
>という、ちょっとそこのコンビニと言うには、オシャレさんだったが、まぁ、夜遊びして帰る分には、そう目立たない。
>しかし、今彼女の顔に浮かんでいるのは、眼の笑っていない微笑みだ。
>「どうせ、ビジネスホテル当たりに泊まってるんでしょ?
> もう、入れないだろうから、マンション貸したげる。」
>「は?ディスティア?
> 俺たち敵なのわかってる?」
>「ふん、それがどうした?」
>「それが、どうしたって、ディス。
> 大きいと思うよ、少なくとも、殺し合いしなくちゃ行けないわけでもないけど。」
>「一応、元とは言え、仲間が・・・もう二度と会えないはずの仲間に、会えたんだ。
> 嬉しくて、世話焼くのが、そんなに、馬鹿な事か?」
>「・・・・・・・・昔から・・・いや、一年半前から変わらないな。」
>「変われないさ。
> で、どうする?
> 朝ご飯と寝床と風呂は、保証する。」
>泣き笑い・・・泣きたいのに、笑顔を作っているかのような笑顔で、ディスティアはそう言った。
>二人には、少しだけ、彼女の事の内心を解っていた。
>本当は、取り乱して、泣きたいのに。
>泣けないで、『母』の顔だけを覗かせている。
>「んじゃ、よろしく。」
>「了解。
> ・・・・・・あー、夜食リクエストある?
> 赤味噌味のキノコ鳥雑炊なら、作れるわよ?」
>「・・・・・それでいい。」
>「それでいい、とか可愛い事言ってんじゃないわよ、セルジュ。
> 好物のなのは覚えているわ。」
>「お、男に、カワイイは無いだろう。」
>「一応、年下だし?」
>「年下と言っても、一つだろう。」
>「・・・・・生きてれば、でしょ?」
>カイヤを受け取り、米俵でも担ぐように、担ぎ上げると、「あ、そうそう」とでも、いうように夜食のリクエストを聞くディスティア。
>それに、ぴくっと反応してから、セルジュが素っ気なく返すと、ディスティアは、懐かしそうにからかう。
>でも、その表情に寂しさが滲むのをカイヤは、見逃さなかった。
>やはり、少しカラ元気なのだろうと。
朱琉:一瞬、「いいのか、それで!?」とツッコミ入れたくなりましたが・・・・何というか、ディス嬢のその気持ちは理解できますし。
アミイ:でも、無用心というか、甘いというか。そこがいいところなんだけど。

>
>
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>
>
>ここは、ディスティアが、先日会合が行われたマンションとは、別に借りているマンションだ。
>眼を忍ぶ依頼人などを応対するのが、メイン目的だ。
>それでも、いくらかの生活臭が、ある。
>今も、キッチンから、いい香りがしている。
>くつくつくつ、と、大きな土鍋にで、白米と出し汁、軽く焦げ目を付けた鶏肉とキノコが煮える。
>「流石に、腕は一年半前よりも、上がっているな。」
>「まぁね。兄弟以外にも、食べさせる人が増えたし。
> イライアスも、昔よりも、頼ってくるしね。」
>「・・・・・・・寝首を書くとか考えないのか?」
>「出来ないでしょ?」
>「俺が出来なくても、あの女が、させるとか考えないのか?」
>「しないね、バトルマニアだし、くそ外道だし、アバズレだけどね。
> させたくない事を下僕にさせるほどじゃない。」
>「よく知っているな。」
>「何度も闘ってるからね。
> 殺せないのは、アイツを含めて10人いるかいないかだ。」
>出し汁や、鶏肉の具合を見ながら、ディスティアは、それを横合いから覗くセルジュの質問に答えていた。
>視線は、あわせないが、雰囲気は、セルジュが昔、感じた「母」のモノだった。
>そして、ディスティアは、こと投げも無く、「私が怖い人は、10人も居ない」とでもいうように、《屍繰り女》のことを語る。
>「あの女の『屍繰り』は、使い勝手が、或る意味最悪なんだわ。
> どういう形にせよ、この世に想い・・・『何かしたい』ことを残していないと、呼び返せないのさ。」
>赤味噌を溶きながら、ディスティアは、そう言う。
朱琉:なるほど。これで謎が解けました。
アミイ:なぜ、彼らみたいな存在がいるのに、アベルは復活してないのか、って、あれ?
朱琉:イエス。アベルさんが『悔いを残してない』なら、納得です。新たな謎も生まれましたが。
アミイ:謎の円環状態・・・・。
朱琉:それが楽しいんです。

>敵の・・・しかも、最高幹部会に出席を許されている女の情報を其所まで握っていた。
>本来、ありえない。
>魔法使いが、仮想敵を定め、その敵に悟られぬように、準備を進めている最中にバレて、それでも勝つより、ありえないのだ。
>「なぜ、そこまで知っている。」
>「うん、何回も闘えば解るし。
> 後、《歌乙女》が、過去に同系譜の《屍繰り使い》とやりあってる。」
>「・・・・・・・・」
>「セルジュ、お前は、何を想いを残した?」
>「・・・・・・・・・・・・・答える義理は無い。」
>「意外と、彼女が居て、それにもう一度会いたいとか?」
>「////ち、違う。」
>「んじゃ、死ぬ前に、本当のお母さんに会いたかったとか?」
>「・・・・・・・・・・」
>「くすくす、そんなに顔を赤くしないの。」
>上の弟・エヴァンスをからかうかのように、セルジュに言葉を重ねる。
>先ほどの、冷たい声音も、今の暖かい声音も、同じディスティア。
>なのに、何処か違う、とセルジュは思う。
>「セルジュ、風呂空いたよ。
> 早く入った方がええんと違う?」
>「あ、うん、解った。」
>そこに、カイヤがタイミングを計ったみたいに、会話に入って来た。
>入れ替わりに、セルジュが、風呂場に行ってしまう。
>「あと、豚とネギの串焼きでも喰うか?」
>「うん、あ、あの辛いゴマだれがいいな。」
>「それなら、柚子皮入れたのも、あるけどどうする?
> 柚子塩であっさりいくのも、乙だと思うけど?」
>「うう、兄さんの料理の師匠なだけあるわ。」
>「必要にかられたんだよ。
> アルみたいに、リアン叔母さまが、壊滅的な腕でも、とりあえず作ってくれる家庭じゃないし。
> 母さんは、忙しい上に、壊滅的だったからね。
> 店屋物が嫌なら、作れるようにしか、なるしかないわ。
> ・・・・・・・・で、何が目的なのかな、カイヤ?」
>それまで、ほのぼのとした雰囲気から一転。
>ディスティアは、声だけで人を凍らせれるなら、凍るだろうと言うような声で、カイヤに問いかける。
>いや、問いかけの形をとってはいるが、完璧に脅しだ。
>それに、屈さずに、正確には、影響すら受けずに、こう返す。
>「言うと思う?
> ディスが僕やぁたら、言わないでしょ?」
>「確かにね。
> でもね、再び、アルの心も、身体も、どちらかでも傷つけて見なさい。
> 今度は、私が黄泉に送り返してあげるわ。」
>氷のような雰囲気の遣り取りだ。
>ディスティアは、アルティアが、五年前の事で未だに気に病んでいるのだ。
>彼は、先日の会合で、「人として許せない」云々と、《C.C.》に抵抗する意志を示したが、それで、逆らえるほど、あの組織は甘くない。
>しかし、アルティアが、そうするのは、ディスティアやアルトが心配というのもあるが、五年前のあの時に、かち合いカイヤをアルティアを殺す必要を作った刺客の所属が、《C.C.》なのだ。
>だからこそ、の反抗なのに。
>その本人が、《C.C.》に従っているのは、いかな苦痛だろうと、ディスティアは思う。
>「わかっとるよ、ディスやったらそうする思うてん。」
>「・・・・・・・・《歌乙女》として何も言えないけれどね。
> 貴方と同じく、長い間同じ人を思い続けてる以上は、ね。
> 外法と呼ばれても仕方のない方法で、因果律を無理矢理固定する以上覚悟は固いだろうし。」
>「・・・・・・・っ。
> 兄さんも知らん事、なんで!!」
>そこで、カイヤが初めて語調を乱す。
>ディスティアが・・・少なくとも、カイヤが知る《歌乙女》が知らないはずの事をあっさり口に出されたせいだ。
>「秘密。
> 女の子は、ちょっとぐらいミステリアスな方が、素敵なの。」
アミイ:謎の円環〜♪
朱琉:た・・・・確かに謎だらけ・・・・。
   楽しみだけど、楽しみだけど・・・・ッ!

>
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>
>
>
>こうして、夜食を食べ終えたカイヤとセルジュは、ベッドでぐっすりと眠る。
>生き返った死者と言えど、睡眠よくもあれば、疲れもあるのだ。
>起きると、パンとオムレツ&サラダとスープがキッチンにあった。
>「さて、どうする、カイヤ。」
>「うーん、これ以上兄さんに会われんのやったら、アキバとか、新宿とか、池袋と行きたい。
> シルバアクセ欲しい。」
>「確かに、向こうで買うよりは、安くっていいのがあるしな。」
>「それに、BLの恋愛シュミュレーションのパソゲームが欲しいしな。
> 『星の数ほどにキスをして』ってヤツのプレイヤーキャラと攻略可能キャラが、僕と兄さんそっくしやし。」
>「・・・・・・末期?」
>「なんの?」
>「男性同士で、普通と言うのも、おかしいが。
> おかしいが、それをゲームに転写するとなれば、一応の相棒としては、あの男の為にトドメを刺したくなる。」
>「・・・・・・ええやん。
> キャラだけやぁたら僕も買わんよ。
> やけど、この炎野涼司って人の声が兄さんそっくしやから、やし。」
>ある意味、ここ数日いつも通りの会話を交わす二人。
>そして、超絶裏話ではあるけれど、そのCVの炎野涼司(ほむらの・りょうじ)は、アルティア=ペシュテルの裏アルバイトだ。
>エイレン=マイセリアルの仲介でのみ、その声を晒す伝説の声優なのだ。
>ただし、ドラマCDや深夜枠、BLなど、知る人ぞ知るという。
>それをセルジュは知っているが、この相棒が知れば、暴走するに違いないのは間違いない。
>だから、黙っているのだ。
>アルティアが、それを始めたのは、彼が死んで然程間がないときなのだから。
>
>
>
>そうして、二人は、想いを残し、《C.C.》に従う。
>一人は、決して受け入れられない愛/哀を胸に。
>一人は、決して開かせぬ感情/観情を心に。
>ただ、いつか叶う事を/死ぬ事を願いながら。
>
>
>
>@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@
>
>
>ユア:というわけで、とりあえず、二人の話は幕。
>久遠:とりあえず?
>ユア:うぃ、この後のジョジョ二次創作からの出張さんと《C.C.》のパートに出てくる予定。
>   彼らの二つめの話かな。
>久遠:とすると、この話、時期的にいつ?
>ユア:・・・・・・・・・・・五月二十五日前後かな。
>   二十二日ぐらいに、ディス嬢の脅し話が入ってその後の事に始まっている話だし?
>久遠:時間軸、ぐたぐたな気がするの、お姉さんだけかしら。
>ユア:一応、宣言通り、時間軸が行ったり来たりしているわけで.
> 七月直前には、普通の時間軸になる予定。
>久遠:予定?
>ユア:予定、予定は未定だけど。
>久遠:その前に、100話超えそうな予感バリバリでお姉さん的に、心配なんだけど?
>ユア:100話どころか、遥陽師匠様の話数を超えそうです。
>   時間軸上、物語開始から、一ヶ月半〜二ヶ月半(ちょっと先行している話もあるため)ぐらいしか経ってないのよねぇ。
>久遠:・・・・・・・・・もう何も言えないわ。
>二人:ともあれ、又次回で。
朱琉:はいそれでは、この辺で。短くなってしまってすみません。
二人:では、また次回!


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18371謎が謎を呼び、嵐となって混乱を呼ぶ?十叶 夕海 2007/10/26 06:15:58
記事番号18368へのコメント


>
>
>朱琉:こんばんは。羅城``乾燥は敵''朱琉です。
>アミイ:まて。真中の一文は何?
>朱琉:最近、我が仕事場はマジで湿度30%台前半なのです。ドライアイにはきっつい環境で、ついつい。目が取れそう・・・・。
>アミイ:ハイハイ。じゃあ、レスいくわね。

ユア:こんばんは。今の状況を言うと十叶『最高にハイってヤツだ』夕海です。
久遠;ああ、今、寝ようにも、執筆意欲のせいで、ほぼ徹夜二日めだっけね。
ユア:そうです、眠いんだけど、それよりも書きたい!!って方が勝っていると言う。
久遠:・・・・・返レス行くわよ。

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>> ACT88 今でも忘れる事は無い +今でも好きなのは、貴方だけ+ 後編
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>>「無茶するね、一応、下弦時期は、調子が悪いのを覚えているでしょう、セルジュ=フィンガース?」
>>「・・・・・・るっさい、あのまま会わせておく方が、余程ヤバい。」
>>「あ、ディスだ。
>> おひっさ〜、五年ぶり。
>> やっぱ、綺麗になってるね。」
>>アルティアが、自己嫌悪と言うか苦悩に、身を浸している時。
>>その倉庫からそう遠くない・・・集積場の入り口の方で、待ち伏せをするように、ディスティアは、セルジュと彼に背負われたカイヤを迎えていた。
>>この時のディスティアの格好は、黒く二の腕と胸のすぐ下に絞りのある白いレース縁取りが可愛いチュニックと白のハイネックのシャツ。
>>黒いスリムなジーンズと白いバレエシューズタイプの靴。
>>という、ちょっとそこのコンビニと言うには、オシャレさんだったが、まぁ、夜遊びして帰る分には、そう目立たない。
>>しかし、今彼女の顔に浮かんでいるのは、眼の笑っていない微笑みだ。
>>「どうせ、ビジネスホテル当たりに泊まってるんでしょ?
>> もう、入れないだろうから、マンション貸したげる。」
>>「は?ディスティア?
>> 俺たち敵なのわかってる?」
>>「ふん、それがどうした?」
>>「それが、どうしたって、ディス。
>> 大きいと思うよ、少なくとも、殺し合いしなくちゃ行けないわけでもないけど。」
>>「一応、元とは言え、仲間が・・・もう二度と会えないはずの仲間に、会えたんだ。
>> 嬉しくて、世話焼くのが、そんなに、馬鹿な事か?」
>>「・・・・・・・・昔から・・・いや、一年半前から変わらないな。」
>>「変われないさ。
>> で、どうする?
>> 朝ご飯と寝床と風呂は、保証する。」
>>泣き笑い・・・泣きたいのに、笑顔を作っているかのような笑顔で、ディスティアはそう言った。
>>二人には、少しだけ、彼女の事の内心を解っていた。
>>本当は、取り乱して、泣きたいのに。
>>泣けないで、『母』の顔だけを覗かせている。
>>「んじゃ、よろしく。」
>>「了解。
>> ・・・・・・あー、夜食リクエストある?
>> 赤味噌味のキノコ鳥雑炊なら、作れるわよ?」
>>「・・・・・それでいい。」
>>「それでいい、とか可愛い事言ってんじゃないわよ、セルジュ。
>> 好物のなのは覚えているわ。」
>>「お、男に、カワイイは無いだろう。」
>>「一応、年下だし?」
>>「年下と言っても、一つだろう。」
>>「・・・・・生きてれば、でしょ?」
>>カイヤを受け取り、米俵でも担ぐように、担ぎ上げると、「あ、そうそう」とでも、いうように夜食のリクエストを聞くディスティア。
>>それに、ぴくっと反応してから、セルジュが素っ気なく返すと、ディスティアは、懐かしそうにからかう。
>>でも、その表情に寂しさが滲むのをカイヤは、見逃さなかった。
>>やはり、少しカラ元気なのだろうと。
>朱琉:一瞬、「いいのか、それで!?」とツッコミ入れたくなりましたが・・・・何というか、ディス嬢のその気持ちは理解できますし。
>アミイ:でも、無用心というか、甘いというか。そこがいいところなんだけど。

ユア:実際、会えないと思っていた『存在』に、会えるのは、言葉にできないくらいだと思いますよ。
久遠:そうよね、それが、生死をはっきりと確認していても、会えたら、いいなって思うもの。
ユア:ちなみに、全く不用心と言うほどでもないです。
   本拠地的マンション・・・・五月十五日のマンションではなく、依頼人も通すようなマンションに通してますし。

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>>ここは、ディスティアが、先日会合が行われたマンションとは、別に借りているマンションだ。
>>眼を忍ぶ依頼人などを応対するのが、メイン目的だ。
>>それでも、いくらかの生活臭が、ある。
>>今も、キッチンから、いい香りがしている。
>>くつくつくつ、と、大きな土鍋にで、白米と出し汁、軽く焦げ目を付けた鶏肉とキノコが煮える。
>>「流石に、腕は一年半前よりも、上がっているな。」
>>「まぁね。兄弟以外にも、食べさせる人が増えたし。
>> イライアスも、昔よりも、頼ってくるしね。」
>>「・・・・・・・寝首を書くとか考えないのか?」
>>「出来ないでしょ?」
>>「俺が出来なくても、あの女が、させるとか考えないのか?」
>>「しないね、バトルマニアだし、くそ外道だし、アバズレだけどね。
>> させたくない事を下僕にさせるほどじゃない。」
>>「よく知っているな。」
>>「何度も闘ってるからね。
>> 殺せないのは、アイツを含めて10人いるかいないかだ。」
>>出し汁や、鶏肉の具合を見ながら、ディスティアは、それを横合いから覗くセルジュの質問に答えていた。
>>視線は、あわせないが、雰囲気は、セルジュが昔、感じた「母」のモノだった。
>>そして、ディスティアは、こと投げも無く、「私が怖い人は、10人も居ない」とでもいうように、《屍繰り女》のことを語る。
>>「あの女の『屍繰り』は、使い勝手が、或る意味最悪なんだわ。
>> どういう形にせよ、この世に想い・・・『何かしたい』ことを残していないと、呼び返せないのさ。」
>>赤味噌を溶きながら、ディスティアは、そう言う。
>朱琉:なるほど。これで謎が解けました。
>アミイ:なぜ、彼らみたいな存在がいるのに、アベルは復活してないのか、って、あれ?
>朱琉:イエス。アベルさんが『悔いを残してない』なら、納得です。新たな謎も生まれましたが。
>アミイ:謎の円環状態・・・・。
>朱琉:それが楽しいんです。

ユア:謎を解いても、その答えが謎を呼ぶと言うところでしょうか?
久遠:アベルちゃんが、復活してないのは、無い袖は振れないと言うのが近いかしら?
ユア:まぁ、そうですね。
   その一応の答えが、次々々回の仮タイトル「ロンドン支部へ行こう」で、開示予定です。
久遠:ホントに仮タイトルね。
ユア:思いつかないですもん、だからファイル名がイコール仮タイトルなのです。

>
>>敵の・・・しかも、最高幹部会に出席を許されている女の情報を其所まで握っていた。
>>本来、ありえない。
>>魔法使いが、仮想敵を定め、その敵に悟られぬように、準備を進めている最中にバレて、それでも勝つより、ありえないのだ。
>>「なぜ、そこまで知っている。」
>>「うん、何回も闘えば解るし。
>> 後、《歌乙女》が、過去に同系譜の《屍繰り使い》とやりあってる。」
>>「・・・・・・・・」
>>「セルジュ、お前は、何を想いを残した?」
>>「・・・・・・・・・・・・・答える義理は無い。」
>>「意外と、彼女が居て、それにもう一度会いたいとか?」
>>「////ち、違う。」
>>「んじゃ、死ぬ前に、本当のお母さんに会いたかったとか?」
>>「・・・・・・・・・・」
>>「くすくす、そんなに顔を赤くしないの。」
>>上の弟・エヴァンスをからかうかのように、セルジュに言葉を重ねる。
>>先ほどの、冷たい声音も、今の暖かい声音も、同じディスティア。
>>なのに、何処か違う、とセルジュは思う。
>>「セルジュ、風呂空いたよ。
>> 早く入った方がええんと違う?」
>>「あ、うん、解った。」
>>そこに、カイヤがタイミングを計ったみたいに、会話に入って来た。
>>入れ替わりに、セルジュが、風呂場に行ってしまう。
>>「あと、豚とネギの串焼きでも喰うか?」
>>「うん、あ、あの辛いゴマだれがいいな。」
>>「それなら、柚子皮入れたのも、あるけどどうする?
>> 柚子塩であっさりいくのも、乙だと思うけど?」
>>「うう、兄さんの料理の師匠なだけあるわ。」
>>「必要にかられたんだよ。
>> アルみたいに、リアン叔母さまが、壊滅的な腕でも、とりあえず作ってくれる家庭じゃないし。
>> 母さんは、忙しい上に、壊滅的だったからね。
>> 店屋物が嫌なら、作れるようにしか、なるしかないわ。
>> ・・・・・・・・で、何が目的なのかな、カイヤ?」
>>それまで、ほのぼのとした雰囲気から一転。
>>ディスティアは、声だけで人を凍らせれるなら、凍るだろうと言うような声で、カイヤに問いかける。
>>いや、問いかけの形をとってはいるが、完璧に脅しだ。
>>それに、屈さずに、正確には、影響すら受けずに、こう返す。
>>「言うと思う?
>> ディスが僕やぁたら、言わないでしょ?」
>>「確かにね。
>> でもね、再び、アルの心も、身体も、どちらかでも傷つけて見なさい。
>> 今度は、私が黄泉に送り返してあげるわ。」
>>氷のような雰囲気の遣り取りだ。
>>ディスティアは、アルティアが、五年前の事で未だに気に病んでいるのだ。
>>彼は、先日の会合で、「人として許せない」云々と、《C.C.》に抵抗する意志を示したが、それで、逆らえるほど、あの組織は甘くない。
>>しかし、アルティアが、そうするのは、ディスティアやアルトが心配というのもあるが、五年前のあの時に、かち合いカイヤをアルティアを殺す必要を作った刺客の所属が、《C.C.》なのだ。
>>だからこそ、の反抗なのに。
>>その本人が、《C.C.》に従っているのは、いかな苦痛だろうと、ディスティアは思う。
>>「わかっとるよ、ディスやったらそうする思うてん。」
>>「・・・・・・・・《歌乙女》として何も言えないけれどね。
>> 貴方と同じく、長い間同じ人を思い続けてる以上は、ね。
>> 外法と呼ばれても仕方のない方法で、因果律を無理矢理固定する以上覚悟は固いだろうし。」
>>「・・・・・・・っ。
>> 兄さんも知らん事、なんで!!」
>>そこで、カイヤが初めて語調を乱す。
>>ディスティアが・・・少なくとも、カイヤが知る《歌乙女》が知らないはずの事をあっさり口に出されたせいだ。
>>「秘密。
>> 女の子は、ちょっとぐらいミステリアスな方が、素敵なの。」
>アミイ:謎の円環〜♪
>朱琉:た・・・・確かに謎だらけ・・・・。
>   楽しみだけど、楽しみだけど・・・・ッ!

久遠:元台詞が、「女ってね、謎を着飾った方が、綺麗になれるの。」だっけね。
ユア:本気に話数が、冗談じゃない輪数になって来てますが、エピソード優先気味に行きますので、そのうち、明かされるかな?
久遠:かな?じゃないでしょ。
   ・・・・・・カイヤくんも、昔の小説の主役キャラからだものね。
>
>>
>>
>>
>>
>>
>>
>>
>>@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@
>>
>>
>>ユア:というわけで、とりあえず、二人の話は幕。
>>久遠:とりあえず?
>>ユア:うぃ、この後のジョジョ二次創作からの出張さんと《C.C.》のパートに出てくる予定。
>>   彼らの二つめの話かな。
>>久遠:とすると、この話、時期的にいつ?
>>ユア:・・・・・・・・・・・五月二十五日前後かな。
>>   二十二日ぐらいに、ディス嬢の脅し話が入ってその後の事に始まっている話だし?
>>久遠:時間軸、ぐたぐたな気がするの、お姉さんだけかしら。
>>ユア:一応、宣言通り、時間軸が行ったり来たりしているわけで.
>> 七月直前には、普通の時間軸になる予定。
>>久遠:予定?
>>ユア:予定、予定は未定だけど。
>>久遠:その前に、100話超えそうな予感バリバリでお姉さん的に、心配なんだけど?
>>ユア:100話どころか、遥陽師匠様の話数を超えそうです。
>>   時間軸上、物語開始から、一ヶ月半〜二ヶ月半(ちょっと先行している話もあるため)ぐらいしか経ってないのよねぇ。
>>久遠:・・・・・・・・・もう何も言えないわ。
>>二人:ともあれ、又次回で。
>朱琉:はいそれでは、この辺で。短くなってしまってすみません。
>二人:では、また次回!

ユア:いえいえ、ありがとうございます。
二人:では、次回で.

>
>

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18375家族の写真 ACT89 《電脳空間》での今の状況 1 +《風舞姫》の行動+十叶 夕海 2007/10/27 17:52:22
記事番号18362へのコメント




ここは、《地下電脳空間(アンダーグラウンドネット)》の一角。
《公共電脳空間(オープンネット)》とは乖離した空間だ。
アクセスするのですら、違法なそんな場所だ。
現実に、なぞらえるならば、場末の路地裏と言うところだろうか。
それの最奥といっても良いような深い場所での事だ。
出入りする人は、現実では、多くは非戦闘戦闘問わずならば、裏稼業・・・非合法を生業としている面々だ。
そして、非戦闘系とて、そこらの戦闘系と引けを取らない。




「なぁ、《死風舞の風舞姫》とか、《ギルトマスター》とかが、中心になって何かやるらしいぜ。」
「俺も聞いた。」
「なんでも、《C.C.》崩そうってか?」
「みたいだな。」
「三年前の二の舞になるんじゃないか?」
「その三年前の首謀者が、こんかいもだとよ。」
「他にも何人か、加わってるみたいだ。」
「ああ、《占札ノ使鬼姫》は、今回もあっちにつくらしい。」
「あのベテランがか。」
「因縁と性格からして、どちらにつくかいまいち不明だったな。」
「《御伽噺》も関わっているらしいな。」
「あれか?それこそ、お伽噺だろう?」
「それでも、まだ信憑性が無いわけではないだろう?」
「《C.C.》に逆らう自体、自殺行為だろう。」
「また、《吸血鬼》ノ犠牲者出るのかねぇ。」
「ほっほほ、見物じゃわ見物じゃわい。」
「ってか、《黒猫》とか、色々と組織に付いてるみたいですよ。」
「そういや、《無限なる予知姫》って生きてたか?」
「どっちが勝つか賭けるか?」
「いや、死んでんじゃねぇの。」
ざわざわと、酒場はざわめいている。
一週間前のあの会合以来、上のような会話が、なされる事が多い。
それは、《地下電脳空間》の奥へ或いは、底へ向かえば向かうほど、多くなっていく。
《公共電脳空間》では、さざ波ほども、噂にすら上っていない。
しかし、ここ一週間で、半数は、立場を選んだ。
この気に乗じて、《C.C.》に徹底的に、抵抗して、《死風舞の風舞姫》の『味方』になろうとする人。
或いは、己が利益が為に、《C.C.》に、組する事を決め、レジストの『敵』になろうとする人。
または、状況を傍観し、しかる後に、立ち位置を決める人。
他者三様だ。
そこへ、一人のアバターが入ってくる。
長いであろう金髪を黒いネットで纏め、シンプルなだけども、舞いやすいようにデザインされた黒い喪服の女性。
服は、レースに至るまで、黒だった
顔は、美しいと言って差し支えないが、それよりも、何処か崩壊しそうな危うさも秘めていた。
「で、何故人が現れたぐらいで、静かになってるのでしょうか?」
「い、いや、アンタがキレイだから、黙っちまったんだろう。
 にしても、久しぶりだな、《風舞姫》。」
「ええ、一年ぶりほどですか。
 セルジュのことで、依頼をしたきりだから。」
その女性のアバターの主は、現実/電脳問わず、有名な・・・今現在の噂話の渦中の《死風舞の風舞姫》だった。
彼女が現れると水を打ったみたいに、沈黙が広がってしまった。
それから、いち早く、立ち直ったのは、この店の店主だった。
《風舞姫》は、現実のディスティアのように優しくもなく淡々と話を進める。
ある意味で、人格ではない徒名の《風舞姫》は、演技なのだが、それを知るのは、少なくとも、この場には居ない。
此処で、彼女に関わる人は、全員が全員と行って良いほど、今この場の《風舞姫》を冷たい《風舞姫》を彼女だと思っているのだ。
「何の御用で?」
「《鉄拳の豪傑》アンドレッセン=キリフォレム。
 《血塗れの氷》カイヤ=シルヴァタイト
《背中を刺す刃》セルジュ=フィンガース
《背徳の医者》シャルラト=アッディアト
《予知姫》アーデルハイト=ヴィステン
 以上、五名の最近の目撃情報から、経歴までもう一度、客観的なレポートが欲しいのですよ。
 オカルト的な・・・非科学的な部分まで。」
「はぁ?
 アンドレッセンさんは、八年前に。カイヤとセルジュは、五年前と一年半前に。
 シャルラトの姐さんは、十五年前に。アーデルハイトさんは、二年前に。
 死亡か、死んじまうような状況での行方不明だぜ?」
「・・・・・・それ以降の目撃情報が在るんですよ。
 こちらのメンバーで、何人か、私も含めて因縁が在るのが多いので、念のためにです。
 あの《屍繰り女》が、あの組織に居る以上、考えられないですから。
 それに、何人かは、あの程度では、『死ねない』人たちが多いですからね。」
抑揚の無い錆びたような含み笑いで、《風舞姫》は、店主の質問に答える。
考えうる限りにことに、対応策を建てるのは、策略家の基本だと言わんばかりに。
その微笑みをみて、店主は固まる。
一応、長いと言って良い付き合いだが、あの抑揚無い錆びたような含み笑いをしているときは、彼女が本気だと店主は悟る。
下手に意見すれば、斬り捨てられるだろうというぐらいの意識は持っている。
「・・・・・・・あ、あー、そうっすよね。
 それがやっぱり基本っすよねぇ。
 わかりやした、受けます。
 期限と代金はいかほどで?」
「それでは、六月二十日前後に受け取りに来ます。
 代金はそうですね、一人につき、二万ドル。
 内容次第では上乗せしましょう。」
「了解しやした。」
「あと、この場に居る人間にも言っておこう。
 お前達が、知っている情報、重要度に寄って多少上下するが、一件につき500ドルは払おう。
 最低でも、50ドルは払う。
 情報が在れば、《占札の使鬼姫》まで、言ってください。」
にこやかに、しかし、絶対零度の刃を思わせるような声音で、《風舞姫》は、その酒場にいた面々に、宣言した。
しかし、ある意味でこう言っているように聞こえる『もし、言って来なかったことがわかれば、潰しますよ』と。
「では、よろしくお願いします。
 ああと、店主さん、ついで、ですが。
 愚兄達・・・《微笑の殲滅者》サラディンと《氷眼の視占者》シャールの情報もあれば。」
「わ、わかりました。」
「期待していますよ。
 貴方の腕はね。」
ただ、そのばにいた面々に、氷で心臓を掴まれるような嫌な汗を残して、《風舞姫》は去って行った。
それにややおくれて、ざわめきがまた戻る。
「何か知ってるか?」
「また、意味のわからねぇことを。」
「なんかあるんだろうけどよ。」
「っつーことはアレは夢じゃねぇのか。」
「俺、一応、知ってる事あるし、連絡すっべか。」
「やめとけよ。」
「だども、どっちに消されそうじゃんかよ」
などなど。
このデキゴトで、《C.C.》よりも、レジスト組につく人物も増えたと聞く。
それでも、まだ、どちらが勝つかどうかは、また別のお話なのであるが。


しかし、約一月後
店主こと、現実の名前、トレイス=サッドネスは、強盗に入られ、死亡した。
そして、パソコンが、盗まれていたらしい。
また、それ以外は、一ドルたりとも、盗まれておらず、死体の側に、数百万ドル相当の入った財布が残っていたと言う。
そんなニュースが、とある朝、ディスティアに耳に入った。
奇しくも、それは、《死風舞姫の風舞姫》ディスティアが、彼から、レポートを貰った翌々日の事だった。



これも、今の《電脳空間》というタペストリーを表現する一つのデキゴト。
誰も知覚されないまま、何かが蠢く空間。
それが、《電脳空間》という空間なのだった。


@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@

ユア:ちょっと、裏稼業らしい一幕。
久遠:そうよねぇ。
   ディスちゃん、身内には甘いけど、あれで的には容赦しないから。
ユア:殺すのは少ないですが。
久遠:でも、頭以外刺身にされて、生きていても嬉しい?
   或いは、痛点以外を刺激しないように・・・痛点だけを刺激して尋問するとか。
ユア:心を誤摩化してるとも言います。
久遠:ある意味で、六年前に、ディスちゃんは死んでると?
ユア:かも知れません。
久遠:・・・・・次回は、あのコメディとシリアスのアップダウンが激しい話よね。
ユア:うん、ミカル、ああまでコメディキャラじゃなかったのに。
二人:ともあれ、又次回。

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18388家族の写真 ACT90 あの、青い月だけが彼の世界と・・・十叶 夕海 2007/11/3 19:04:41
記事番号18362へのコメント






『こんばんは、良い月ですね、《運命演算三姉妹ノ長女》。』
「・・・・・・・・・・・・・・《絶望を呼ぶ占い師》さん?
 どうした、《歌乙女》のトコにいるのでは?」
ある日の夜明け近く。
満月の晩だった。
ミカルが、もぞもぞと、ベッドで微睡んでいたときだった。
ご飯の血液も、それなりに呑んだ日で、翌日は社長業もおやすみだった。
だから、気持ちよく眠っていたのだ。
そこを声をかけられた。
ベランダに通じると引き戸が開けられ、そのサッシに一人の存在があった。
漆黒の占い師風の衣装とフード付きの濃い水色のボレロを着て、濃い紫色の髪は、ただ艶やかで、しなやかに真っ直ぐだった。長さは、床に着くほどに長かった。
瞳は、何処か泣きそうなアイオライトの淡いブルー。
白く細い指に、やんわりと握られるのは、銀色のキセルで、年の頃は、十代にも、四十代にも見えるそんな人物ー《絶望を呼ぶ占い師》・・・《歌乙女》に、イリヤの名前を貰った存在だった。
その彼が、いつものように口調を偽る事無く、言葉を重ねる。
『一応、会っておくべきかと思って。
 どうするの?
 《御伽噺》の《遊戯終了(ストーリーエンド)》の《条件(ルール)》は、長い間時間が過ぎる間に、忘れられていってしまった。』
「《歌乙女》も、《道化師》も、《妖鳳王》も、当事者たちのうち、三人は忘れてしまった。
 《片眼王》だけが覚えているんだっけね。」
『うん、親友を狂わせた償いとも言えるね。
 別に、彼のせいではないのに。
 親友のゼオンを狂わせた償いに、《御伽噺》を終わらせようとするんなんてね。』
ベッドの上に、上半身だけをおこし、ミカルはベッドサイドの蛍光灯のスイッチを入れる。
そして、ベッドから降りて、《絶望を呼ぶ占い師》を手招く。
「コーヒーと紅茶どっちがいい?」
『・・・・・・気の抜けるね。』
「呑めないわけじゃないでしょ?
 それに、寝入りばなを起こされて眠いしね。」
『コーヒーで。』
「ミルクとか、クリープ、コーヒー用ミルク系無いけどいい?」
『カフェオレとか、呑まないの?』
「それは、それ用の粉末の方が好きだから。」
『チープで?』
「そ、基本御子様口だから、そっちのほうが好きなんだよね。
 ねじりパンとか、ソーセージロールなんかが合ったら、マーベラスって叫びたいほどの組み合わせだね。」
『人間臭いね。』
「半分は、人間だよ。
 《御伽噺の幽霊》だってことは、ともかく、人と吸血鬼のハーフには変わりない」
そして、居間のソファを進め、お茶の準備をする。
先ほどの、雰囲気は何処へやら、何処か優しい会話が流れる。
コーヒーの入ったマグカップを自分と、客人の前に置く。
「・・・・・・・・にしても、《御伽噺》は、いつ終わるんだろうね。
 この世界に、舞台を移してからでも、五千数百年。
 その前の元々の世界でも、二千数百年やってるよね。
 単純公算、700回じゃ聞かないよね。」
『そうだね、組み合わせは、多々だけれど。』
「『一度たりとも、《幸福的終末(ハッピーエンド)》は、ありえなかった』」
マグカップの温もりに、コーヒ−の熱に温まりながら、会話を交わす。
そして、言葉は重なった。
でも、響きはまるで違っていた。
《絶望を呼ぶ占い師》は、悲しげに。
《運命演算三姉妹ノ長女》は、平坦に。
それぞれ、そう答えるのだった。
ある意味で、オリジナルとそれを埋め込まれた存在の差だというように。
だけれど、全く何も思っていないわけではないのだけれど。
「・・・・・・・でも、そろそろかな。」
『というかね。
 《片眼王》が、死を・・・・滅びを望んでいる。
 親友のゼオンを狂わせた償いとして。
 決して、蘇らぬように・・・・・・その最後の仇花として、今動いているって感じ?』
「うん、ある意味で、父さんより、破滅願望と言うか、イノシシと言うか。」
『不幸の連鎖は、復讐の連鎖に似ている。だったけか?
 終わるといいね。」
「うん、終わるといいね。」
『少なくとも、悲劇は、救いようが無い悲劇は見飽きた。』
「見飽きるとか、そう言う問題?」
『うん、そう言う問題。
 だってさ、例えば、この僕の『イリヤ』って名前。
 二十五代ぐらい前かな、もう少し前だったかな。
 それくらいの《歌乙女》の死に別れた恋人の名前だもん。』
「ああ、そういえば、そうだっけ?」
『それでいいの?
 《過去》を司る《運命神》サン?』
「僕は管理しているだけだよ。」
刹なに、切なく。
哀しく、悲しい。
愛(あい)しく、哀(あい)しい。
そんなデキゴトのはずなのに。
彼らは何でもないように語っていく。
久しぶりに合った友人が、互いの近況を話すかのように。
実際にそうなのかもしれない。
だけど、少し哀しい事なのかもしれない。
刹なに、切ない事を。
哀しく、悲しい事を。
そうだと、思えず話すと言う事は。
生きながらに、火にくべられるかのように、辛い事のなのかもしれない。
或いは、目の前で子どもを殺されるような、哀しい事なのかもしれない。
永く長く、生ければ、それだけ、感情の度合いは麻痺して、希釈されていってしまう。
人の一生は、長くとも、百数十年。
そこまでで終われば、多少なりとも、小さくても、嬉しい事や哀しい事が合ったに違いない。
だけど、それ以上の年月を過ごせるほど、『人が人足り得ている精神』は、強くはない。
弱くはないにしろ、それだけを過ごして、何処か齟齬を来さないほうが、無理なのだ。
「少なくとも、それを知っていても、覚えていなくては意味が無いわけだ。」
『それもそうだ。』
「・・・・・・・《絶望を呼ぶ占い師》こそ、死んだ人間の名前なんかつけられて、いやじゃないの?」
『・・・『妹』の願いだ。
 断れると思うか?』
「.............一つ言っていいかな?」
『何だ?』
「・・・・・・.......シスコン?」
『はぁ?
 誰がだよ?』
「君が。」
『何処が?』
「妹の願いだからだっつっても、他人の名前を受け入れれる?」
『ふ、普通だろうが。』
「どこが?」
『・・・・・・....兄とすら、知らずに居ても、頼って来た妹をむげにするほど、心を摩耗させちゃいないよ。』
ミカルは、その声を聞いて、思う。
どうして、数千年以上の永きに渡り、過ごして来たのに、どうしてそんなに感情を残していられるのだろう?と。
それは、幸せなのコトなのかと言う事も、同時に思う。
長く生きてる存在が、『感情』に鈍感なのも、ある意味自己防衛なのに。
そうなのに、彼は忘れる事は罪だと言うように、忘れれないのは・・・・・。
ミカルは、聞いてられないられなくて、話を変えるように、こう切り返した。
「・・・・・・・・・・ねぇ、僕たち《御伽噺》の《中立者》の《影の語り部》が、良く言っているけど。
 『僕は、生まれたときから終わっているんです。』って。」
『そう言う意味じゃ、僕らも終わってるだろう?
 《幸福的終末》を一つも持っていないと言う時点で。』
「う〜ん、またそれとは違うと思う。
 僕ら、他の《御伽噺》の幽霊とかは、まだ、多少だけど自由意志があるよね。
 でも、造られた《御伽噺》の彼にはそれが無いから、あの台詞だと思う。」
『そうか?
 幸せになれる権利は誰にでもあるだろうに、《御伽噺》の誰にも、それはない。』
そう《絶望を呼ぶ占い師》は、言う。
『解っているだろうに。思い出している以上、解っているだろう?』と言われているような気がした。
そうであっても、ミカルは、思うのだ。
まだ、幸せではないか.と。
そう思われていようと、《絶望を呼ぶ占い師》は、思うのだ。
それでも、不幸ではない.と。
どっちが、良いとは言えないが。
それでも、願いたいことがあると言うのは解るのだ。
「どっちが不幸か・・・・ね。
 解らないけど。
 でも、終わるんだろう?」
『どうして、そう思える?』
「だって、『動いたら不幸になる。だから、引き蘢ってやるぅ』って、《御伽噺の幽霊》の中で、一番最初に、役割放棄したの誰だっけ?」
『くすくす、そうだけどさ。
 でも、それが、何で終わると言う事に繋がるのかな?』
「《片眼王》を一番可愛がっていたお前が。
 《歌乙女》の幸せを願って止まなかったお前が。
 何よりも、あの二人の幸せを願っているでしょ、《絶望を呼ぶ占い師》。
 動くと言うのは、《御伽噺の終焉(ラグナログ)》が、近いと言う事でしょ?」
『・・・・・・・・正解、って言ったら?』
「どうせ、正解でしょ?」
『うん、そう。
 ・・・・・・・・ねぇ、《運命演算三姉妹ノ長女》。
 今は亡き、我が故郷とこの世界の『青い月』だけが、変わらないね。
 両方とも、只、見守り優しい光だけが降り注ぐと言う意味合いでは。』
「そうだねぇ。」
しみじみと、《絶望を呼ぶ占い師》は、言う。
今は亡き、崩壊してしまったあの故郷でも、あの月は、青く、そして優しく見守っていた。
『ともかく、そろそろ、僕は、帰るよ。
 君も、『道』をそろそろ、決めた方がいい。
 ようはそれを言いに来た。』
「その割に、饒舌だったね。」
『そうでもないさ。
 じゃあね、またいつか。
 ・・・・・・コーヒーごちそうさま。』


そうして、来たとき、同様唐突に、彼は消え、去った。
また、ミカルは、ベッドにもそもそと潜り込んだのだった。




確実に、運命は蠢き始めた。
《C.C.》VS反《C.C.》の構図に関係なく。
ただ、《御伽噺》が、収束していく。
それは、まるで、日が昇り、沈むように。
決められきった事のように、収束していく。
でも、今回は、今回は、「終わり」に収束していく。
結末は、如何に、終わるか。
変わらなければ、「終わり」は、悲劇だけれど。





@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@
とある舞台上でのつぶやき劇

ユア:やっと出せた。
久遠:やっと、って最近そればっか言ってない?
ユア:いえ、《御伽噺》の話が出てからですので、約一年半ですよ。
久遠:「始まりあらば、終わりもある。
    されとて、《御伽噺》の終わりは、遠過ぎて、忘れ去られしこと。」
   どんな物にでも、終わりは在るものね。
ユア:いえす。
   数千回×50年ほど、時間が経てば、エンディングは、忘れ去られますからね。
久遠:・・・・・そう言えば、去年の夏に公開した《御伽噺》の事実って、二転三転四転してるけど、纏めなくていいの?
ユア:・・・・・・・・・読み返せばOKかもですよ?
久遠:纏める気はないと。
ユア:というよりですね、私の「家族の写真」の基本スタンスは、「ヴァンパイア十字界」なのですよ。
久遠:事実が、二転三転四転して、真実をかくしてしまっていると?
ユア:うぃ、でも、はっきりしてますよね?
   誰が誰を愛していて、誰が誰を愛していないかは。
久遠:・・・・・・・・・ユアちゃん、殴らせて?
ユア:イヤデス。
久遠:ともかく、殴らせて。
(久遠が追いかける。ユアが、死ぬ気で、逃げる。)
(舞台には誰もいなくなる。)

誰か:それでは、本日は、ご来場ありがとうございました。
   次回の公演でお会いしましょう。

(そして、幕はするするとしまっていく)

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18394家族の写真 ACT91 いつも、時と予知だけが残酷で。十叶 夕海 2007/11/15 20:41:07
記事番号18362へのコメント



家族の写真 ACT91 いつも、時と予知だけが残酷で。




「そう、降誕節ぐらいまで、どう足掻いても帰れない長期の仕事が入ってね。
 昔の義理と借りで、断れないのだよ、ドン・ジョルノ。
 今空港だ。フィウミチーノ空港だよ。」
今は、イタリアの祝日・共和国祭の数日前だ。
日本で言う建国記念日なのだが、首都ローマでは、パレードが出るなど、正にお祭りなのだ。
そこに、とある人物が、電話をかけていた。
黒く艶やかな巻き髪を女性用の青紫色のフェニキア貝のスカーフで纏め、濃い青色のジャケットとスラックス、淡い色合いながら、極彩色のワイシャツ姿のよく似合う金茶の瞳の二十歳半ばほどの人物だ。
「そうそう、君のところの仕事だよ。
 売れっ子は辛いもんだね。」
その人は、ネアポリスの友人であり、ある意味息子のような人物で、ギャングのボスに電話をしていた。
ちょっと、お説教のような事をされ、うんざりしたような口調だった。
「仕方ないだろう。
 ・・・・・・・そうだ、と言うわけでないけどね、一応、今日そっちに届く荷物。
 その中に、ディオ兄様の十字架が入っている、しばらく預かってくれ。
 大切にな。」
しかし、その説教すらも、面白がるような雰囲気の人物だった。
飽きたと言うわけでもないだろうが、搭乗時間が始まると言うアナウンスが入り、人物は電話を切り上げた。
そして、近くのソファセットに座っていった三人の方へ行く。
正確に言えば、三人のうち、一人は、車いすに乗っているのだけれど。
三人のうち、二人は子供と言ってもいい外見だった。
また、三人のうち、二人は男性だった。
男性は、成人男性と少年で、二人だ。
成人男性の方をギルベルト=ローレンシュタイン。
黒に近い鳶色の髪をオールバックに、眼光鋭い瞳は剃刀色で、銀縁眼鏡のインテリジェスでクールな雰囲気の整った顔立ちの30代半ばの成人男性だ。
服装は、ノーマルなスーツにチェスボードのようなアパッシュタイと言う古風ながらも、ノーブルなモノ。
少年の方は、チレストリーノ=アルコバレーノ。
黒い髪をすっぱりとしたボブカットで、空色のような青い瞳が可愛らしい印象の15歳ぐらいの少年だ。
服装は、サマーニットの帽子に、緑の長袖Tシャツに黒タンクトップに銀の十字架を下げ、ボトムス姿と言うラフな物だった。
車椅子の人物は、アーデルハイト=ヴィステンと言う少女だ。
真白の髪を二本のお下げにして、二つの輪っかにするように結んでいて、今は閉じられた瞳は、やや焦げた赤い瞳のアルビノの10歳にやっと届く外見だ。
服装は、地味めなカラーではあるが、しっかりとした造りのワンピースとボレロだ。
「遅いぞ。
 確か、私は、電話はなるべく早く切り上げろ、と言ったはずだ。」
「ギル、ヴィットをそう言う行けないよ。
 それに、色々言っている暇あるなら、飛行機乗らなきゃ。」
「ともかく、乗ろうか?」
「・・・・・・そうだな。」
ヴィットと呼ばれた先ほど電話をしていた人物に、荷物のカートを任せ、ギルベルトは、主人でもあるアーデルハイトの車椅子を動かし、搭乗口へ向かう。
チレストリーノとヴィットは、揃って荷物のカートを押してそれを追う。
無愛想ながらも、外見ほど怖くない年若い彼を見て、ヴィットは少し、申し訳なく思う。
或る意味、この仕事に関係ない二人を巻き込む形になってしまったからだ。
「ヴィット、どうしたの?
 もしかして、お腹痛い?」
「ううん、大丈夫。
 そういえば、チレスは、外国に行くの初めてだね。」
「うん、楽しみ。」
「おい、搭乗券はどうした?」
と、そんな会話をしつつの旅路だ。
少なくとも、家族旅行と言う一行でも、親戚同士にも見えない。
または、友人と言うには、少し年が離れている。
一応、対外的には、妻に先立たれたギルベルトが、娘のアーデルハイトを連れて、ヴィットと同棲結婚をしていて、チレスがヴィットの弟と言う事にしている。






「それで、何の目的なのだ?
 急な、出立だ。
 何事も用意周到過ぎるお前にしては、浅薄な印象を受けるが?」
「急ぎで、長期の仕事、って言わなかったかな、ギル。」
「・・・急ぎはともかく、長期の仕事なんぞ、精々が、一ヶ月だろう?
 今回の半年は、この稼業と言えど、長過ぎだと、私は記憶している。」
数時間のフライトとは言え、チレスが眠った後。
時間外れの為と、ファーストクラスのせいか、微妙に空席が目立つ機内で、ヴィットとギルはそう会話を交わす。
「でも、借りをあの組織に作っているのは、知っているだろう?
 プロフェッサ・ローレンシュタイン。」
「知っているがな、この時期に返せと言うのも、レジスタンスの会合の後だと、お前に裏切れと言うのも、同然の気もするが、違うか?」
「うん?
 そうだよ、と言ったらどうするのかな、ギルベルト」
「・・・・・・見損なうぞ?」
「見損なえば、いいさ。
 君にしても、「サーチェス」の言葉で、この立場に居るのだろう。」
ちなみに、『サーチェス』とは、「サーチ」と「チェス」の合成語で、チェスのように決まりきった『未来』を視る事が出来る能力及び、能力保持者をさす。
一般的ではないが、「神託」と言うような意味も、同時に持つ言葉だ。
「否定はしない。
 しかし、それと裏切ることとどう関係する?」
「・・・・・・・哀しい事さ。
 変えれるはずも無いと、解りきっているのに。
 変えたいと思う運命を知ってしまった、と言うところだよ。
 『愛しき人を己が手で屠り去る』なんて、重すぎるのは、変えたい。」
「・・・・・・・・・・・お前らしいと言うべきか、ヴィット。」
「さぁね。
 でも、16歳はね、馬鹿をやってもいい年齢だと思う。
 今代の《戦乙女》は、極微弱なだけど、僕よりも強力な、僕と同系統の能力を持っている。
 鍛えれば、アデルと同じぐらいになりそうだよ、まったくね。」
ヴィットは、淡々と返しながらも、「皮肉だよ、全く」とでもいうように、呟くように返す。
アデル・・・アーデルハイトが寝ているせいか、ギルベルトも声を潜めがちだ。
ヴィットが、人の範疇にもう居ない、と言う事をギルベルトは知っている。
その範疇に入ってしまったのは、人間としての両親の愛のせいだと言う事も知っている。
だけれど、皮肉にもそのせいで、能力を発症し、そして人としては長い時間を生きて来てしまっている。
何人、親兄弟友人を見送った?
幾つ、悲劇を傍観して来た?
何度、別れを経験した?
そして、運命を変えようとする事に臆病になって、傍観だけをするようになってから、数十年が過ぎている。
なのに、変えようと思うから、わざわざ敵方に行こうと言うのだ。
ギルベルトは、自分らしくもないと思いつつも、ヴィットに畏敬すら抱いていた。
畏敬と言うよりは、畏怖だろうか。
「どうした、ギル。」
「いやに、回りくどくないか?」
「人の生死に関わる「サーチェス」だよ、ギル。
 助かるかもしれない、とあっても、メロンを助けるのは、かなり運に頼っていた。
 ・・・今回のは、更に助かる率が、低いと言うか絶望的だ。」
「物好き。」
「否定しない。」
「お人好しだよ、おまえは。」
「くすくす、あの時に、兄様達を止めれなかったのは、16だった僕だ。
 その償いと言うか、まぁ、自己満足さ。
 アデルとお前を利用する形じゃないと成り立たないようなものだしね。
 『アリエスが、アルトを殺すと言う形を止めるのは』」
にやりと、何でも無いようにヴィットは笑う。
それでも、心に何とも思っていないはずがない。
だけど、表向きはそれを知らせないように振る舞うのだ。
つくづく、まだ吸血鬼としては若いと言っても、人間ではないだけの事はあるとギルベルトは、感心する。
「どうせ向こうに着いたら、メシに困りそうだからな、空港で買ったサンドイッチを腹に収めておけ。
 あとね、向こうにしてみれば、僕たちは、いつでも斬り捨てられるか解らない、からね。」
「よくそれで、平然としていられるな。」
「うん?
 裏稼業だと珍しい事でもない。
 あと、向こうで一部屋マンションを貸してくれると言うから、お前が作ってもいいだろうしね。」
こうして、飛行機は、ロンドン・ヒースロー空港へ到着した。
奇しくも、ヴィットにとってみれば、29の時に、この地を離れた時以来のちょうど百年ぶりのイギリスだった。
生まれ故郷では無いモノの、懐かしい土地に言いようも無い感情をヴィットは持っていた。
「ヴィット、生まれる此処?」
「ううん、育ったのは此処だけれど。」











「こんにちは、お久しぶりかな。
 黒猫のお嬢さん。」
「天国さんもお元気なようで。
 予想はしていたけど、こっちにいるとはね。
 いや、情報は知っていたけど。」
そして、数分後。
『 Welcome To ロンドン  リージ様ご一行様。』
と、スッケッチブックにでかでか書かれてたモノを目印に待っていたのは、ヴィット達四人よりも、更に異質と言うか、違和感バリバリな四人である。
男三人、女一人で。
男のうち、濃い金色の巻き毛とエメラルドのような瞳で、どちらかと言えば軽薄そうな青年とヴィットは、睨み合っていた。
ちなみにでは無いが、ヴィットは女性である。
そして、ヴィットとその青年ークラウディオ=パラディーゾは、この稼業でも一二位を争うほど、仲が悪い。
それこそ、石鹸水を介しても、混ざらない油と水なのだ。
しかし、それを切り上げ、他の三人に向き直る。
「それで、どこに行けばいいのかな。
 ええと、《怠惰(スロウス)》のクロエと《色欲(ラスト)》のクエロのマリオル姉弟と、クロエの方の副官・シュネー?」
人見知りと無愛想のチレスとギルベルトの代わりに、他の三人と、コンタクトをとろうとする。
クロエは、黒く長い直髪を銀の金具付の白リボンで一本のお下げに纏めて、ゴシックなワンピース姿の八歳ぐらいの幼女。
クエロは、白に近い灰色の髪を肩口まで、無造作に伸ばし、肌は、やや褐色かかった色をして、灰色で纏められたクラシカルな印象のベストスラックスの折り目正しそうだったな二十歳ほどの青年。
一応、兄弟ではあるのだが、瞳のアヤメ色以外、そう共通点を見いだせない二人だ。
しかも、一見年下のクロエの方が、姉なのだ。
シュネーは、筋骨隆々で、白めの肌に目立つ薄茶の傷が、頭に大きく一カ所、身体にも同様の傷がある2メートルほどの巨漢で、ジーパン生地の上下に、身体にフィットする黒いシャツ サングラスというチョピリ怖い服装の30代後半〜40歳ほどの男だ。
「・・・一応、ロンドン本部にとりあえずの部屋を用意してますの。
 ええと、ヴィットしゃま、連絡貰いましたの、《黒仔猫》だけでしたけど。
 なんで、《永遠の予知姫》しゃまとその助手がいますの?」
「・・・・・・・・・・・・どうでもいい。
 こいつらを本部に届ければいいのだろう。
 姉さんと違って、僕には僕の仕事があるんだけど?」
「おいおい、こんなトコで、喧嘩すんなって。」
「・・・・・・・・・・・・・・・みぃ?」
「仲が悪くて、喧嘩しているわけじゃないよ、チレス。」
「でも、殺気まで放つしてるけどいいの?」
「うん、殺し合いまでするとボスに大目玉食らうだろうしね。」
いつも通りの会話するクロエとクエロ+シュネーに、怯えたと言うか驚いた声を上げるチレストリーノ。
それに対して、ヴィットは、面識があったのか、そんなに驚かずにいた。
そして、数分後、クエロが運転する大型ワゴンに、7人は乗っていた。
「・・・《黒猫》しゃま。
 《予知姫》しゃまは、次にいつ目覚めますの?」
「知らない。
 ギル、何時か解る?」
「・・・予定が狂わなければ、三日後というところだろう。」
「だそうだ。」
「今回の仕事の内容は何だ?
 私としては、ヴィットに急に連れ出された形で、かなり不本意なのだが?」
「あれ?
 ヴィット話してないんだ、珍しいね。」
「珍しいもクソも、まだ概要しか聞いていない。」
「聞いてなくても、解るんじゃないの?」
「正解かどうかは不明だけれどね。
 だけれど、当たっていれば、早くても、七月下旬だろう?
 ということは、別に仕事があると言う事だろう?
 ・・・・・僕の特記事項は、吸血鬼としては、平均以下。
 ま、弱点が少ない事と人間より怪力で、氷を多少操れるレベルだ。
 それくらいなら、他に居る。
 そうなれば、ヒーリング系の能力を哀れなあの水槽の住人に応用できないか、と言う事だろうか?」
「・・・・・・・へぇ、《怠惰(スロウス)》、当たってんじゃん。」
「ですのね。」
ヴィットが、つらつらと、視えた未来から予測できる事を話すと、クラウディオとクロエが、目を丸くする。
細かい違いはあったモノの、ほぼ正解だったのだ。
「さて、どうなるのかな。
 運命は、残酷だけれど、だけれど差別をしないと言う意味では優しいからね。」








「言いたい事があるなら、言え。
 今、チレスは風呂だ、アーデルハイトも寝ている。」
「何の事かな、ギル?」
「そう、殺気をまき散らして、何でも無いわけがあるか。」
そして、その日の晩。
《C.C.》が、マンションを用意するまでの仮宿として、提供されたロンドン本部のとある部屋にて。
チレストリーノが、風呂に入っているときの事だ。
普通の部屋で言うリビングにあたる、中央の部屋に、ギルベルトとヴィットはいた。
ダブルベッドが二つあるベッドルームをリビングを境に左右対称にして、片方に、風呂トイレ簡素なキッチンなどの水回りと、冷蔵庫とクローゼットが入り口側に配置してある。
二人は、向かい合って座っていた。
ギルベルトの方は、いつも通りの無表情に近い無愛想顔だが、ヴィットは傍目にはいつもの何を考えているか不明な微笑みなのだが、付き合いがそれなりに長い人には、苛立っているのがわかった。
ギルベルトの指摘に、観念したかのように、帽子を外し、髪をくしゃくしゃとかきながら、こう答えた。
「わかった。
 茶番を止めさせないのは、知っていたら、やはり罪か?」
「例えば?」
「アベル=レス・シルベスタが、超常の力でも、後戻りが聞かないところまで終わっているのを知っていて黙っているのは?」
「どういうことだ?」
「例えば、《屍繰り使い》・・・・ま、ネクロマンサーだね、それの物語の中の限界は、呪文一つで、広大の霊園中の原形を留めている死体を操るっていうモノだ。」
「そうだな。
 ・・・・・・それで?」
「でも、現代のは、複雑な工程と「未練」のある人が材料でないと動かない。
 それ以外の技術は、所詮は、ニセモノ。
 屍繰り使いではなく、傀儡師だよ、己の意志無きお人形さんだよ。
 この《C.C.》にいる屍繰り使いは、優秀だけれど、それは現代であってこそ。」
「魔力・・・か、それが薄いから?」
「うん、理系の頂点とも言える研究畑系の医者としては、良い思考だ。
 それでだ、今のセシルとアベルの状態は、「生きている」とも、言えないけど、「死んでも」ないんだ。」
「遷延性意識障害ということか?」
「せんえんせいいしきしょうがい?」
つらつらと、ヴィットは語っていたが、ギルベルトの言葉に、?マークを乱舞させるように、返す。
詳しい定義は、省くが、回復する可能性のあるほうが、遷延性意識障害と呼ばれ、無いモノを脳死と呼ぶと言う物だ。
「・・・というモノで、俗にいう植物状態か?」
「ああ、はいはい。
 専門用語で覚えてないの知っていて、そういうのは、意地悪と言うと思わないのかな?」
「いや、出て来なかった。」
「・・・・・まぁ、確認も込めていうけどね。
 セシルは脳幹部分は、健康な人レベルな訳だ。
 自発呼吸もあるし、体温も普通の人程度はある。
 自力で、ご飯を食べたり、動いたりは出来ないだけでね。
 少なくとも、「生きたい」と主張しているのだろうね。」
「・・・そうか、アベルは、生きる気力を無くしていると?」
「うん、辛うじて、脳幹部分が生きてはいるけど、機械でとりあえず今の状況を保っているだけで、ほとんど、「脳死」に変わりない。」
「何故、ほぼ同じ状況の奥さんがそれで、旦那の方は死んでるんだ?」
「生きる気力を亡くしている。
 ・・・・《片眼王》が、《戦乙女》と結ばれる事は、長い彼らの「ウンメイ」ではないはずなのに。
 それでも、結ばれてしまって、幸せで・・・満足して、それで、《影の語り部》に狙撃されて、死ぬ事になっても、「受け入れ」てしまったんだ。」
「だから、ゼオンがやっている事が茶番だと?」
ギルベルトの指摘に、こくりと頷くヴィット。
気持ちがわからないわけでもないけど、それでも、茶番は茶番だ。
止めようと言う気も起きない。
それを止めるのは、ヴィットにとっては、ある意味で、自分のこれまでして来た事を否定する事だ。
「・・・ヴィット、怖い顔、ダメ。」
「チレスか。」
「ヴィット、笑顔なる、可愛い。
 ちーは、その顔の方が好きだよ。」
「ありがとう。
 さて、私も風呂に入ってくる。
 チレス、髪を乾かしておけよ、風邪を引くとことだからね。」
沈黙を破ったのは、互いではなくパジャマ姿のチレストリーノだった。
ヴィットは、『情報』は握っているが、それを話す事は稀だ。
だから、ギルベルトは思う、その重さで押しつぶされはしないのかと。
「ギル、ちーの髪、乾かす手伝う良い。」
「・・・わかった。」
「ありがとう。
 ・・・・・ギル、裏稼業知る。
 ヴィット、支える良い。」
でも、このチビのチレスが、いるから、潰されないのかもしれないな。とそうギルベルトは思った。









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ユア:アーデルハイト喋ってねぇぇぇぇぇぇぇ!!!
久遠:夕海ちゃん、落ち着いてね。
   今日は、説明する事あるでしょ、たくさん。
ユア:でしたね。
   とりあえず、ほぼ新キャラ四人のみの一話です
久遠:ほぼよね、少し、クラウディオちゃんとか、クロエちゃんとクエロちゃん、シュネーちゃんが出てるけど。
ユア:一応、名前とか今のキャラ当てはめたの最近ですが、《C.C.》を本格的に書くにあたって、ヴィットののようなキャラはいました。
久遠:傍観者で、女性で、クールビューティで、《予知》の能力の子?
ユア:いえす。
   んで、いざ書くとなった段階。
   同時期に書いていた、「ジョジョの奇妙な冒険」のストーリーテラー役を引っ張ってきました。
久遠:んで?
ユア:時間軸上も、「家族の写真」に被ってないので、ある意味で、同じ世界の片隅であったということにして、それも、今後組み込んでいきます。
久遠:それが、わからないじゃないの。
ユア:一応、此処のリンクから接続可能な「セピア色の想い出。」のWJ二次創作にある話の五年後が、「家族の写真」の時代です。
久遠:今日、投稿予定の、短編はその間よね?
ユア:うぃ、なのです。

時間軸的には、こんな感じ?

「黒猫達の夜騒曲(ノクターン)」/「黒猫達の夜騒曲(ノクターン) after」(ジョジョ五部)
      ↓
「家族の写真 番外 さようなら、そんな君は大嫌いだった」
      ↓
「家族の写真 ACT91 いつも、時と予知だけが残酷で」

ユア:と言う感じです
久遠:知っていれば、お得って感じね。
ユア:ですね、一応、版権キャラは、電話越しまでというのが、マイルールで。
久遠:収拾付かなくなるものね。
二人:ともあれ、又次回で。

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18400家族の写真 ACT92 標的捕捉!×過去の影十叶 夕海 2007/12/5 00:12:05
記事番号18362へのコメント



『・・・ってなわけ。
 そうそう、もうすぐ、時期だけど、ヴィットは戻って来れないんだよね?』
「秋が深くなるまでは帰れないね。
 遅くなる事はあっても、早くなる事は無いね。」
『そっか、あいつらの墓もォ、僕がついでに参っておこうか?』
翌朝、イタリアからの電話が、ヴィットを起こす事になる。
知り合いのマフィアのボス、ドン・ジョルノではなく、半ば居候のメローネである。
頼んでおいた、最近になって、《C.C.》に雇われた刺客を調べてもらっていたのだ。
彼は、本来は暗殺者だ。
情報屋ではないのだが、この件に関して、エイレンやディスティアなどと言った、知己の情報屋を仕えない為だ。
「よろしく頼むよ。」
『あぁ、忘れてたよォ。
 ヴィット、《イレイザー》って、知ってる?』
「・・・・・・・あぁ、知ってる。
 欧米をメインに活動している古式ゆかしき映画のような暗殺専門の殺し屋だろう?」
『そうそう、五年前のあのデキゴトの後に、デビューしたぴちぴちの子。
 ええと、本名じゃないだろうけど、名前は『オルクス=ローゼンクランツ』だっけ?
 その子もォ、そっちに雇われたみたいだよォ。』
「そうか。
 また、電話する、死なないようにしていろよ。」
『モッチロン、まだ、ヴィットとヤって無いもん。』
そうして、電話は終わる。
まだ、隣のベッドでは、チレスが、寝息を立てているし、向かいの寝室でも、ギルベルトは寝ているだろう。
誰に聞かせる為ではなく、ただ、自戒の意味を込め、こう呟く。
「・・・・・運命の采配をする神様は、随分とサドらしいな。
 会えるとは、思っていなかったのに、捨てた立場でどう会えと言うんだ。」



   ACT92 標的捕捉!×過去の影


「で、一応、僕の方針としては、ゼオンとやらにお目通りしないと、いけないんだけどな?」
いつも通り、男装をしたヴィットは、その日、《C.C.》のボス・ゼオンがロンドン支部に居る事を知っていたので、その受付にアポイントメントを取り付けようとした。
しかし、受付嬢は、頑として会わせようとしない。
「・・・・・・・いいんだね、君たちの一存で会わせなかったら、組織は、《黒猫》という味方を失うよ?
 僕は、元々《レジスタンス》よりだからね、そっちに言っても、何の損害は無いよ、僕にはね。」
笑顔でそう脅す。
そう、ヴィットは、《レジスタンス》・・・ディスティア達サイドよりなのだ。
六年前のエリスのときも、三年前のレイティスの時も、二年前のガウェインの時も、それぞれ葬儀に参加している。
そして、彼女なりの鎮魂歌を捧げている。
しかし、それでも、敵方に付くのは、ビジネスライクであると以上の理由が其処にはある。
彼女も、時間的に拡大した・・・そのかわりとびとびの映像の《先視人(フォーチュンテラー)》を持っているのだ。
先を・・・真実を覗き込む能力、《真実の眼(トゥルーズアイ)》と呼んでいる能力だ。
「・・・・何を騒いでいる。」
「ボ、ボス。」
「久しぶりと言うべきかな、ゼオンくん。
 20年前に、一応僕は忠告したよね、意味の無い事はするなって。
 少なくとも、アベルの方は、意味をなさない事位、解っていないはずが無いだろう、君ほどの男が。」
「今更、止めたら、これまで犠牲になって来た奴らに申し訳がたたん。」
「んな矜持なんて、ドブに捨てろ、ゼオンくん。
 気付いていてね、止めないのは罪だよ。」
「それが、「もちろん、僕にそう言う資格は無い」
騒ぎを聞きつけて来た総髪の男を見つけるなり、ヴィットは辛辣な台詞を吐く。
炎を吹き付けるかのように、ゼオンの心を焦がすような台詞。
ヴィットは、自分がそう言える立場に無い事を承知している、
だけども、そうだからこそ、言わなければ行けないと言うのもあるのだと思う。
「だけれど、ダメな事をダメだという矜持位は残っているさ。
 ・・・・・・・先に行っておこう、仕事は受けた。
 だけど、それが、君たちの利益とは限らないと思うぞ。」
「それがどうした?
 俺は、もう引き返す事なんぞ出来ない場所まで来ておるわ。」
「・・・・・ゼオンくん、アレイスターも、ヒトラーも、ガンジーも、暁を迎えたよ?
 アレイスターが、魔術の真髄を究めようとした事。
 ヒトラーが、第三帝国の夢を見た事も。
 ガンジーが、一つのインドとしての独立も。
 今は昔、終わりを告げた事。
 ・・・・・・・・ゼオンくんにとって、彼らの夢の様に半生を掲げる事だとしても、僕は正しいとは思わないよ。
 アベルは、諦めていたのに、今は君に謝るだけだ。」
叩き付けるように言うヴィットの言葉。
ゼオンが、それに堪えた様子は無い。
むしろ、言われ飽きたと言った風情だ。
「・・・・今回雇い入れた、刺客担当の奴らのまとめ役をしてくれ。
 ベテランのお前がやる方が良いだろう?」
「・・・・・・・・・・・・・了解、仮ボス。
 一応、刺客担当・・・刺客チーム関連で、私の発言は君位の権限を持たせて欲しいのだけれど?」
聞き流された上で、指示を出された.
しかも、あいつに連絡を取らざる得ない役割を。
まさか、あの事を知っているはずも無いだろうに。
知っていてやっているなら、鬼畜だろう、とヴィットは思う。






「チレス、怯えないでも大丈夫よ?
 殺気放っていても、奴らには軽い牽制のようなものだし。」
「でも、でも、怖いの。
 ヴィットは強いから、殺されないかもだけど、それでも怖いの。」
「大丈夫、お母さんは強いから、チレスも護るから。」
怯えるチレストリーノを宥めながら、ロンドン本部の廊下を歩くヴィット。
書類ケースを抱え、まるで、プレゼンに出るビジネスマンのようだった。
そして、翌日の午前十時頃。
ロンドン支部のとある会議室のドアの前。
昨日は、結局、チレスをロンドン観光に連れ出して時間を潰した。
今、チレストリーノを連れたヴィットは、仕事着でもあるゴシックな装飾品付き黒スーツだ。
「こんにちは、初めまして、と言うべき相手とお久しぶり、と言った方が良い、面々が半々蔵いかな。
 一人は、息の根を止めてやりたいと思うけれどね。」
会議室に居たのは、男女の聞いていた人数より少し足りない位の面々だ。
一応、十人は超えると知っていたが、まだ付いていないのも居るのだろう。
「おや、それは、私の台詞だよ、黒猫のお嬢さん?
 私の方こそ、君の息の根を止めたいのだけれどね?」
ヴィットの言葉に、入り口近くに座っていた金髪巻き毛とエメラルドのような黄みのある緑の瞳で、趣味の良い服装の青年がそう答える。
クラウディオ=パラディーゾと言って、ヴィットとは、犬猿の仲である。
仇名は《伯爵》と言うものだ。
戦闘方法でもなく、その尊大な雰囲気から付いた変わり種で、おまけに言うなら、生来の裏稼業ではない。
表に立派な職業を持っているのに、今回の仕事を引き受けた。
能力的に、というか戦闘方法的に、ヴィットとは相性が悪い。
「おやおや、一応は・・・それが、金やそれぞれの因縁で、結ばれたとは言え、仲間ではないですか?
 仲良く・・・しましょうとは言いませんが、そうイライラしないでくださいません?」
仲介と言うか、間に入って来た言葉の主は、クラウディオの逆の壁に寄りかかっていた青年だ。
純白で腰ほどまである髪を、三つ編みにして前に流した瞳は、黒曜石のような艶やかな漆黒で、長身痩躯の、絶世の美人だ。
普段は、白のYシャツ、黒いベストに、グレイのスラックスにカジュアルな革靴。黒い十字架のペンダントというものだ。
飄々としていて、つかみ所の無い青年だった。
名前を霧生名知といい、仇名を《朧月》という。
戦った事は無いけれど、能力的に、そう苦戦はしなさそうな相手だ。
名を知られてはいるけれど、本名ではないし、調べようも無いだろう。
あの家名が本名と言っても、ここ数十年名乗っていないし、公式にはあの貴族令嬢ヴィットは死人扱いだ。
「どうでもいいけど、ヴィット=リージ。
 キミが、ボク達、刺客チームのまとめ役だよね。
 雇われで、何でなのかな?」
「一応、メンバーの中で、一番長く裏稼業に居るからかな。
 年齢だけなら、天国さんや、ええと、そこの霧生くん達の方が、上だけれどね。」
「みため、通りじゃないってことだよね、それ。」
純粋に、疑問な口調で質問して来たのは、まだ十代半ばほど少女。
薄い茶色で日の当たり具合で着んに見えるセミロングの髪に、青を溶かした金色の瞳、病気一歩手前ほどの白い肌の少女だった。
黒いワンピースとショール姿で、無表情さと相まって、どこか人形めいた少女だ。
名前をクリスティアーナ=セラ=シュルツェといい、仇名を《無限へ至る虚無(ゼロ=インフィニティ)》という。
能力的には、ヴィットが一番、戦いやすい相手だ。
少なくとも、戦いたいと思う能力でもないが。
「ヴィットさんが、この組織の仕事受けるなんて、明日はロンドンに矢が降りそうだね。」
そう言ったのは、奥合に座っていた青年だ。
東洋人としては、透けるほど白い肌に、不釣り合いな赤い唇をした性別と年齢が見た目からは分からない。
いつも、ニコニコと薄笑いを浮かべて、細身の体にフィットした、漆黒のスーツに黒い中折れ帽という服装で、胸元のボリュームがないので、恐らく男だろう。
名前を雅美至 詠弥(がびしえいや)と言い、仇名を《イータープラント(食べる植物)》という。
勝てない相手ではないが、能力的には、ヴィットは一番戦いたくない相手だ。
あれらの事は、トラウマになっているから。
「・・・吸血鬼が、リーダー?
 忌々しいね。」
長身で極端な細身の、老人の様にも子供の様にも見える不思議な容貌だ、髪と瞳は、青と金だ。ケーシー型の白衣姿で、二十歳かそれくらいだ。
服装が、辛うじて人間に見せているが、髪と瞳だけだと、人形(つくりもの)のようだと思う
ヴィットには、その彼の言葉の意味は知っていたが、無視した。
彼は、ベルホルス=シェイトと言い、二つ名は《特異種(スクィード)》という。
戦闘方法的には、動物のようで一番やりやすい。
「ふーん、お母さんが、言ってたのってお前か。
 うん、アイツを知っていると思うと苛々するね、本当に。」
真白に近い色の銀髪をクセのままにしたショートで、砂色の悪戯そうな猫目の十代の小柄な少年だ。
黒地に白髑髏に銀色の蛇が寄り添っているTシャツに、ベージュのショートパンツに、黒赤のサスペンダーという少年のような服装だ。
名前は、アレク=シュレティンガーといい、仇名は《深淵の虚無(アンノーン・ゼロ)》という。
或る意味、ヴィットの能力に頼った戦法では、微妙に戦い難い。
彼は、何処にでも居るけれど、何処にも居ないとも言える存在なのだから。
その側に車椅子に座っていたのは、真白に近い銀色の直髪で踝魔での長さの髪を白い布を被ったカチューシャで止め、焦点の合わない青紫色の瞳と年齢の割に細い手足の少女だ。
ふんわりとしたワンピースで、腰以外は、締めない緩やかな服とサンダル系の靴、赤い銀色の十字架のペンダントの少女だった。
多分、彼女が、シャラザート=シュレディンガーで、仇名は《風色の語り姫(ヴィート・メモリアー)》だろう。
モノ見事に、兄妹弟で分かれただね、とヴィットは心中で呟く。
「・・・・・また、会ったな。」
「ですの。
 《黒猫》しゃま、よろしくですの。」
そう言ったのは、一昨日の送迎役のシュネーとクロエだった。
こういう二人を見るのは、後何ヶ月かしかないなと、ヴィットは思った。
一応、こう言う時、一つの結末を知っていると言うのは座りが悪い。
と、ここまでが、此処に居るメンバーだ。
「後は、《バッドラック》サミー=フランシスと《死神の寵姫》アクエリアス=ゼータ、《イレイザー》・・・ここじゃ、《血盟者》か、そのオルクス=ローゼンクランツかな。
 増えるかもしれないとは言え、それくらいだろうね。
 サミーは仕事が仕事だし、アクエリアスも、オルクスも売れっ子だから、仕方ないか。
 ・・・・・・・・・・・・にしても、殺し専門ばっかよく集める。
 残りは、専門じゃないのが多いのに。」
貰った書類を確認しつつ、ヴィットは嘆息する。
一応、彼が来ていなかった事に、安心さえ覚える。
そして、メンバーに、会議室の円卓に座るように、指示を出し、一応挨拶をしようと思った。
思ったのだ、ヴィットは。
しかし、それは、結論から言うと出来なかった。
バターン!!と、少なくとも、会議室の扉という単語上からは想像すらできない音を立てて、扉が開いたからだ。
入って来たのも、百年前のアメリカ西部の酒場やネズミーランドなら、いざ知らず、今の・・・どう多めに見ても会議室には合わない服装だ。
「悪い悪い、バッドラックな事に、タクシーが道に迷ちゃったんだ。
 ええと、反《C.C.》への刺客のミーティングは此処で良いよな?」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・そうだけれど、《バッドラック》サミー=フランシス。
 久しぶりね、11年ぶりかしらね、実際に会うのはエドの葬儀以来だから。」
「そうっすね。
 いやぁ、ヴィット小母さんに会えるとは、こいつぁ、アンバッドラックだ。」
「ともあれ、座ってね、サミー。」
入って来たのは、くすんだ茶色の髪を腰ほどの長さの三つ編みで、透き通った青の瞳、左眼の上には傷がある見た目二十歳ほどの女性だ。
服装は、日本人が考えるのとは、少しズレた感じだけれど、カウガールの格好をしていた。
使い込まれいい具合に色あせたカウボーイハットに、黒いカウガールブラウスに、ブーリーウッドカラーのカウベストに、ジーンズ、カウボーイブーツと言うもの。
それに、二丁の拳銃とサバイバルナイフを身につけている。
この後、簡単な挨拶と自己紹介の後、ミーティングが本格的に始まった。
「・・・・・・と、言う事情により先日の五月十五日に、反《C.C.》の蜂起会合が行われた。
 《死風舞の風舞姫》を頭とし、以下《ギルトマスター》、《占札ノ使鬼使い》、《ノーフェイス》《爆炎ノ教皇》など、十名余が会合に参加したものと思われる。
 また、それ以外にも、おおっぴらにこそ言っていないが、反《C.C.》に付くものも少なくない。
 それらを「眠らせ」て欲しいと言うのが、ボス・ゼオンからの指令だ。
 経費及び、後の情報統制は、組織のバックアップがある。
 以上、質問は?」
「殺したい人が居る場合は?
 ほら、僕が《ルリイロ》だっけ、仇名。
 そいつを殺したいとかさ。」
一通り、ヴィットが話終え、質問を訊ねると早速、アレクから質問が来た。
何人かは、明確に殺したい相手が存在しているのだけれど、その中でも、一番情熱的とも言っていいのが彼なのだ。
他には、このチームには居ないけれど、《強欲(グリード)》や《嫉妬(エンヴィー)》、《色欲(ラスト)》の副官も、反《C.C.》にそれぞれ、憎悪や恋慕を寄せる相手が居る。
逆に、反《C.C.》を恨んでいる人物も少なくない。
ヴィットや、《イレイザー》、《バッドラック》のように、誰かに執着していないで、ビジネスとして、今回の仕事を受けたのは、数少ないのだ。
「・・・・・・一応、特定の殺したい相手が居るならば、届けてくれれば、専売として他の者に手出しをしないようにと、命ずる事も可能だ。
 と言うより、昨日、リーダーを命ぜられた後に、《強欲》、《嫉妬》、《色欲》の副官からもうしでがあり。
 《風舞姫》、《千里眼のオルフェーゼ》、《凍れる樹姫》と《リンデン》の四人は、それぞれが相手をしたいらしい。
 あと、希望あるかな、とりあえず、聞くだけ聞くよ。
 調整したいし、そうだね、時間も時間だし、昼ご飯の後と言う事になるかな。」
ちょうど、昼御飯時だった事もあり、ヴィットは一時解散をした。
そして、その後、暫定的にせよ、それぞれのターゲットが決まった。
ただし、半分は空欄の形だけれど。
「あ、そうそう、ヴィット小母さん。
 あたしさ、こっちに居る間、小母さんと同じ場所に住むようにゼオンさんから言われてんだけど?」
「・・・・・・ま、長期だしね。」
「そんで、さっきから気になってただけど、その子って小母さんの子ども?」
「・・・・・・あのな、こんな大きな子どもが居る年齢に見えるか?」
「だって、アンバッドラックな事に、ヴィット小母さん、ずっとその外見じゃんよ。」
こうして、ヴィットは、もう一人、同居人が増える事になった。
そして、半ば、彼女は、サミーの言動に、昔以上に諦めを感じ始めていた。


ターゲットリスト

《嫉妬》       →  《千里眼のオルフェーゼ》

《強欲》       →  《死風舞の風舞姫》
              《ブラック・ウィドー》

《地獄の吟遊詩人》  →  《凍れる樹姫》
              《リンデン》

《伯爵》       →  《ギルトマスター》

《深淵の虚無》
《風色の語り姫》   →  《ルリイロ》

《朧月》       →  《占札ノ使鬼使い》

《無限へ至る虚無》
《特異種(スクィード)》
《黒猫》
《イレイザー》
《死神寵姫》
《バッドラック》
《イータープランツ》
(他に雇う可能性あり)→《魔導師(マジスタ)ラビ》
            《ノーフェイス》
            《爆炎の教皇》
            《アーチャー》
            《ダークツール》
            《エンシェントエルフ》
            《グレイトキャット》
            《キャットアイ》
            《L》
            《水衣の君》
            《幻影ノ処刑人》






@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@



ユア:ノリ次第じゃ、ヴィットの×××は、ジョジョ短編にも、登場かしら?とおもった夕海です。
久遠:グロッキーな今の状態じゃ、ツッコムと死にそうだから、ヤラナイだろうけど。
   ツッコンでいい?
ユア:どこに、なにをですか、お兄さん。
久遠:でも、その場合、許可、親御さんから貰いなさいよ?
ユア:もちろんです。
久遠:次の話が、どれにしようか迷ってるので、予告はしないようよ。
ユア:ほのぼの二するべきか、アルト×アリエスで、カイン×アリエスにするべきか。
   それとも、別話にするべきか。
久遠:ということで、又次回。
二人:またなー。

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18410家族の写真 ACT93 廻り出す傍観者達の宿命(さだめ)の歯車十叶 夕海 2007/12/19 12:47:53
記事番号18362へのコメント





ACT93 廻り出す傍観者達の宿命(さだめ)の歯車



「ちゃーっす、イルミナ。
 おひさしさん、元気してるぅ?」
「いらっしゃ・・・・・・・・・いませ?」
ある日のこと。
少なくとも、反《C.C.》の会合が終わって、一月以上立ってからのある日。
暑くなって来て、まだ夏本番でないと言うのに、お日様がさんさんと輝いているとある午後の事だ。
バイトでウェイターのマイクが、来客したのを見て、おもわず、応対の声も、微妙に疑問系になる。
その人を形容するのは、一言で済むだろう。
『Mr.バンドマン』と。
緑がほんのり混じった金髪を派手な柄のバンダナで纏め、髪の隙間からのぞく瞳も緑混じりの金茶だった。
黒生地に英文のTシャツとジーパン、チェーンが付いた野球キャップ、ギターケースとくれば、バンドマンと形容する他無いわけで。
「バイトくん、店長さんいらはる?
 知り合いのアクア=フェイクマンいうんやけど?」
「は、はい。
 というか、店長は、同棲中の方が起きないんで、そっちの方にいるんですけど。」
「そっち関連だし、上がらせてもらうわ、ええな?」
「ええ!!!?
 ちょっとぉ!!!????」
「大丈夫やて、ほな、店番がんばってぇな。」
そして、居住区になっている三階部分。
そもそも、一階部分も二階部分も奥は、居住部分だ。
二階のドックヤードを通り、三階部分のイルミナの寝室へ行く。
其処には、くるくるの金髪巻き毛の藤色の瞳の少年と赤く縮れた長髪で藍緑色の瞳の女性が、ベッドに横たわる人物を看ていた。
横たわっているのは、混じりけの無い純銀の髪の中性的な人物だった。
「ようっす、イルミナ、お久しさん。」
「・・・・・珍しいわね、あの人が死んだとき以来だから、10年ぶりと言うところかな?」
「うん、ま、動いてなくて助かった。
 んで、その寝てるんが、一月近く、ちゃんと覚醒せぇへんのやな。」
「そう、一応、ご飯とか日常生活は送れるんだけど、反応がないのよ。
 おまけに、ここ数日は、眠りっ放し出し。」
「なるり、ようわかった。
 ・・・・・・・・・・・・んで、イルミナサン、何故時神様ガイラッシャルンデスカ?」
「居候されてるのよ。」
「うん、僕も弱体化しちゃったし。
 此処数年は老化もするし、もう人間と変わらないけどね。」
赤髪の女性に、アクアは、親しげに挨拶をするすが、金髪の少年を視界に入れると、敬語及びギクシャクした口調で、そう言った。
それに、極当たり前に、返され、アクアは言葉を返せない。
「・・・・・・・・・ま、ええわ。
 んで、それが、正体不明(カウンターストップ)。
 恐らく、モイラ様とは、別系統と言うよりは、別次元の時神さんか。
 万が一、いや、億が一かもっとやわな、空間と空間を渡る時に、『次元の隙間』から足を踏み外したんかな?
 んで、記憶喪失。
 うーん、時神言うたら、世界の根源の根源やろ。
 一年かそこらやあたら、まだしも、それ以上長引いたら、マズいわな。
 せやけど、身代わり(スケープドール)がおるか?
 ちゃうわ、せやけど、いつ崩壊してもおかしいない。
 したら、その余波でこっちの世界まで崩壊してしまぁて危ないやんか、
 なして、こないな面倒な事起きんねん、フィアンナ姉様がリーダーやった時は、こないな真似起きなんだんに!!」
つらつらと、アクアは、推測混じりにつらつらとその横たわる人物の正体を推測混じりに思考を垂れ流しにする。
一応、嫌がっていても、今の『時の傍観者』のリーダー格なだけあって、能力が低いわけではない。
むしろ、パソコンに例えるなら、頭のクロック回転数が高い方なのだ。
口に出さないなら、人の二時間の思考が、彼にとっては、十秒考えるのと同じ意味を持つ。
それをいつも通りと、赤髪の女性―イルミナと金髪の少年―モイラが、ただ右から左に聞き流している。
「・・・・・ねぇ、ルカ、人間が気付く事あると思う?
 私らの正体ならまだしも、時神の正体まで。」
「アクアやちゅうとる。
 ・・・・・・・・誰や?
 キーラ=デミンは、この間死亡したやろ?」
「エイレン=レティナ・マイセリアル。
 同じこの町で、喫茶店兼スナックをしている《造られた御伽噺の幽霊》の《影の語り部》よ。」
「キキキキ、あの《死舞踏召喚師(ダンス・マカブ・サモナー)》ってヤツってもんですよ。
 リーダァー、久しぶり〜、ええと、14年と1ヶ月と13日と13時間ほど振り?
 イルシュ姉様は、13週間ぶりだね。」
空間の狭間から、足を引っかけ、「バァ」といきなり顔を見せたのは、普段着の《真黒の死狩人》と呼ばれる、人工ながら《時の傍観者》の一角だ。
彼は、限りなく黒に近い藍色の髪と赤い瞳、青白い肌に、痩せぎすの身体を袖無しの黒ハイネックのシャツに赤い首輪型のチョーカー、黒いジーパン、鉄板仕込みの安全靴、仕込み武器だらけの暗色のトレンチコートの二十歳ぐらいの中性的な容貌の人物だ。
「あれ、どうしまいましたか?
 あ、やっぱし、この人が此処に居ちまってるんですか?」
いつも通りの驚かせるような登場だったが、或る意味、雰囲気をぶちこわす登場だったので、思わず、その場の人物は、ちょいと目を丸くする。
言葉にも、登場の仕方にもだ。
その間に、少し整理しよう。
ここに居るのは、合わせて五人だ。
赤長髪なのが、イルシュンドラ=ファルシュトルローと言い、普段、イルミナ=テーゼと名乗っている。
緑金髪なのが、ルカ=カラセートと言い、普段、アクア=フェイクマンと名乗っている。
金巻き毛なのが、《世界の調律者》と呼ばれ、普段、モイラ=ディスティニーと名乗っている。
黒藍髪なのが、ジュダ=ルーエと言い、普段、雨原静紅と名乗っている。
純銀髪なのが、正体不明(カウンターストップ)と称され、ルシル=レリス=フェアシュテックと名乗っている。
これ以降は、本人が呼んで欲しいと言う方で呼んでいく。
「ええと、久しぶりね、あんまり会わないけど。」
「・・・・・・ちぃと待て、その口ぶりやぁたら、何か別の目的で、何かを追っていて、此処に来たって感じだな?」
「キキキキ、そうだね。
 少なくとも、もう少し動きが出るまで、・・・僕のオリジナルが動くまで、会う気はなかったと言うのが正直なところだねぇ?」
独特の笑みを浮かべたまま、静紅は、返す。
彼(であっているのかは、かなり不可解なんだが)は、一応は、《時の傍観者》の一員ではあるが、それでも、後から足りなくなったのを造られた存在なのだ。
そう言う意味では、《影の語り部》と同様の存在なのだろう。
ある意味で、オリジナルの《時の傍観者》/《御伽噺の幽霊》に引け目のような物を感じているのかもしれない。
特に、静紅は、《影の語り部》とは違い、オリジナルの純然たる代用品として造られたのだ。
このことを静紅は、《時の傍観者》の一人、皓野白銀から聞かされた事だ。
その経緯もあり、十数年に一度ぐらいしか、リーダーであるアクアに会わないのだ。
しかし、或る意味、母親であり、姉でもある、イルミナには、半年に一回は来るのだ。
・・・しかも、手みやげ付きで。
前回は、ベイクドチーズケーキで、アメリカらしかった。
今回の来訪は、イレギュラーのようだったけれど。
「で、何が目的だった?」
「ん〜、例によって、《あの人》の空間の側を観察しちまってたわけだ、ストーカーよろしくね。
 それこそ、《黒き死神》ぐらいしか、出入りしないはずのね、空間を。
 だけど、僕の感覚だけど、今さっきだけど、現実に会わせると10時間前ってとこでしょね。
 そいつが、入って出ていっちまったんで、後を追ったわけ、そしたらここに出ちまったからついで驚かしたってわけなの。」
ワンプレスで、息継ぎ無く上記の台詞を言い切る静紅。
《あの人》とは、今は《時の調律者》としての能力を失っており、その上、《凍れる樹姫》の従者をやっている「ソラ」と今は呼ばれている人だ。
静紅の語調は、どうでも良さそうにとられるけれど、だけど、そうではない。
憎む、というのもまた違うけれど、彼の存在のせいで色々と鬱憤のような物が溜まっているのも事実なのだ。
「んで、たぶん、もうすぐ起きちまうと思うけど?」
その言葉で、ルシルの方を見ると、ゆるゆると瞼を開けるところだった。
しばらく、ぼんやりするルシル。
行動不能で固まる面々。
それを打ち破ったのは、静紅
「んで、今更って感じだけど、これ何?
 一応、僕らの同類っぽいけど、そうじゃ無いのは解るよ。」
「・・・・・え、あっ、何なんだろう?
 考えた事無いわね。」
「・・・イルシュ姉、一応、外見上とは言え、若い女性なんだしさ、気をつけたら?
 キキキキキ、中身は、結構イってるけどねー。
 ・・・・・・・・いひゃい、いひゃいって、いうふねぇ」
失礼なことを言った静紅に、イルミナは、無言で、両頬をぐにぐに、伸ばす。
しかも、その無言が、微妙に怖い笑顔なら、ある意味最強だろう。
元々の「正体不明(カウンターストップ)」ルシルなら、止めずに傍観していただろう。
しかし、今の彼は、流石に気の毒になったのか、こう仲裁?に入る。
「あの、イル。
 その子どもは、誰かな。」
「・・・・・・・・・イルシュ姉、リーダァーさん、時神さん、僕って子どもに見えちまう?」
「ま、設定年齢は、ソラとおんなし、20歳ちょいやけど。
 雰囲気からは、マイナス五歳でも、少なく見えるわな。」
「そうね、15歳くらいかしら?」
「同学年かな?」
「・・・・・・・・・・・・・キキキキキ、僕とした事が、ベッコベッコに凹みそう。」
「ルシル。
 これは、私達と、同類よ。
 ま、間接的にいえば、神様に対する天使的な意味合いで、モイラの下に存在するわ。」
「ああ、《時の傍観者》さんということですか?」
少々、落ち込み気味、というか、自身の言葉どおり、ベッコベッコに凹んでいる静紅。
それこど、余程の鬼畜か、ドS、外道でない限り、慰めたり、ほっといたりしそうな位だ。
ちなみに、鬼畜、ドS、外道ならば、いじってイジメて、踏んづけたいような凹み具合である。
少々、そうではあるが、人並みに足りない程度に、良心のある面々なので、とりあえず、放置しておく。
そして、ルシルは、少し前に聞いた単語で、返してみる。
すると、イルミナは、さっと顔色を失う。
「あ〜、わいから、説明させてもらうけど、ええ?」
「かまいません。」
フォローをいれた、ルカはそのまま、語り出す。
ある程度のオブラートで、真実を包んだ。
嘘ではないけれど、全部でもない事を。


こうして、《正体不明(カウンターストップ)》は、少しだけ。
ほんの少しだけ、進んだ。
何を、とは、今は解らない。
でも、進んだのは、間違いない。










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ユア:あははは、真面目に、投稿し忘れてました。
久遠:というと?
ユア:エピソード的には、90話以前に入る予定でした。
久遠:なんで、忘れてたのかしら?
ユア:今現在、書き中なモノも含めて、ストックが5以上あるんです。
久遠:ああ、短編含めたら、20位あるわよね?
ユア:途中なのも含めてですが。
久遠:仕上げてから、次書きなさい
ユア:ともかく、この話、一応、ラストの方の布石なんですけれど。
久遠:忘れないようにね。
ユア:もちろん。
久遠:ともあれ、
二人:ともあれ、また次回で。

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18412家族の写真 ACT94 ただ、何でも無い日常のこと十叶 夕海 2007/12/26 20:32:10
記事番号18362へのコメント







「・・・・・・・いいの、こんなに。」
「いるだろうし、洗濯二日か三日に一回しかしないから、あっても困らないし。」
「・・・・服もだけど、家具一式とか、雑貨系統も、買ったよね。」
「ああ、そっちは、父さん母さんの出資だから。」
「・・・なら、いいけど。」
「うー」
六月に入ってしばらく、新しく居候になった宵颯とルキウスを連れて、時乃市の駅前の百貨店に来ているディスティア。
それまでは、丈が近いディスティアの弟の服を借りていたのだけれど、居候をするとなれば、色々と物入りなものだ。
部屋は、空いていた部屋を使う事にした。
しかし、関係ないが、ヴァリード夫妻よ、子ども、七人作る気だったのか?
アークの部屋も、元々は、空室だったのだ。
ともあれ、ベッドと書き物机、タンス、本棚を買って、家に送って、雑貨―櫛や、鏡、筆記用具等を買って、袋を持って、紳士服―ヤング売り場に来ているのだ。
それで、山のように、とまではいかなくても、7揃いぐらいを買っているのだ。
夏服が多いとは言え、《氣殺》の末期の事知っているのか、長袖なのは、ディスティアの気遣いだろう。
ルキウスが、宵颯の腕の中で、大人しく・・・・・少なくとも、暴れずに、買物につき合っている。
「後は、ルキの秋服もかな。」
「・・・・・秋服って、今出たばっかでしょ?」
「ん、だけど、ポンチョタイプのコートっていうか、上着が欲しいのよね。
 ここの「Baby’sCastle」で、入荷したらしいのよ。
 だから、あとから、買いに来て二度手間より良いかなって。」
「・・・・・・・・・お母さんだよね。
 財布の紐、かなりゆるいけど?」
「あのね、宵颯。
 私は、お母さんと呼ばれるの、慣れてるって言っても、嬉しいわけじゃないの。」
「・・・・・・・・うん、ごめん。
 ビミョーに、怒ってる?」
「そりゃ、私も女だから。
 ・・・もう、十二時か・・・・さて、昼飯どうする?」
宵颯の頬をむにっと掴み、ディスティアは、彼を嗜める。
女性に、年齢を聞かない事はもちろん、年上をさす言葉は、止めておきましょう。
真面目な話だが、どこか、二人の間の雰囲気は、微笑ましい。
「・・・ん〜、ドリアが、いい。
 ここって、ドリアとグラタン専門店あったと思うけど?」
「そうね。
 ・・・・・・・・って、此処初めてって、朝言ってなかったっけ?」
「・・・・・・榮太郎に連れて来てもらった。
 服の幾つかを買いに、来て、その帰りに夕飯として。」
「・・・・そっか。」
宵颯の言葉に、ディスティアは、少し寂しそうだ。
一応、兄貴分として、慕っていた時期もある。
そう、かつての仲間なのだから。
そう、かつての相棒なのだから。
それでも、今は敵になっているのだから。






「で、さ。
 此処のって,ボリュームも売りで、ふつうのファミレスの二人前分ぐらいあるのよね。」
「・・・・・うん、おいしいしね。」
「で、それ三つ目だよね?」
「?」
「腹壊さないの?
 ドルチェも、食べるんでしょ?」
「そうだけど。
 そのババってのも、美味しそうだけど、ズッパイングレーゼってのも、美味しそう。」
ベビーチェアの上で、船を漕いでいるルキウスを横目に、ディスティアは、宵颯を呆れ顔で、見ている。
三つ目も、半分以上、食べ終わり、四つ目もオーダー済の宵颯。
ちなみに、ディスティアは、鶏肉のカレードリアと今は、エスプレッツとナポリ風ババを楽しんでいる。
ババとは、シロップに付け込んだカップケーキで、この店のは、レモンクリームとイチゴがそえられている。
そして、宵颯は、チキンドリア、和風キノコグラタン、ツナコーンドリアを腹に収めようとしているのだ。
「・・・・・・・・食欲魔人?」
そんな事を呟いていると、四つめのシーフードドリアが運ばれて来た。
店員も、微妙に、顔が青い。
そりゃそうだろう。
どこかの、フードファイターでもなさそうな、少年が、ボリューム自慢のドリア類を四つも平らげてんだから。
女性二人なら、サラダ類とドルチェを頼めば、ちょうど良いくらいなのを四つ。
「・・・・・・どうしたの、ディスティア?」
「いや、榮太郎も大変だったろうな。
 ズッパイングレーゼと、そうだね、カフェオレでいいかな、ドルチェ。」
「うん。」
とこんな具合の昼食だった。
宵颯、そんだけ食べるのに、なんで、そんなに細身なんだ。
というか、燃費悪いだろう。





「・・・・・どれにしようかしら?」
「どうしたの、ディスティア。
 青と橙と緑と、黒の、ポンチョコートを見つめて,うなって。」
「うなっては,酷いわね。
 でも、どれが良いかな。
 ルキは、金髪にオレンジの瞳だから、橙で揃えるも良いし。
 でも、パールグリーンとか、黒も捨て難いのよね。」
ルキウスを抱っこしつつ、「Baby’sCastle」で、ディスティアは、ポンチョコートを見つつ,盛大に迷っていた。
平日のせいか、人はおらず、店内も閑散としていた。
「いらっしゃいませ。
 お決まりですか?」
店員の女性がそう,話しかけて来た。
ディスティアとルキウス、宵颯は、どのような組み合わせに視えているのだろうか?
とりあえず、ディスティアとルキウスは、辛うじて親子にも見えるだろう。
しかし、それに,宵颯は、少々、旦那と言うには若過ぎる。
多分、店員の中では、旦那の弟と言うようになっているのだろう。
「新作の、ポンチョコートでございますか?
 でしたら、黒とパールグリーンでしたら、ママとお揃いのも、取り扱っておりますが。
 お母様は、お若い事ですし、パールグリーンが、お子様とお揃いも、お似合いになられるかと思いますよ。
 パールグリーンでしたら、フリースのマフラーや手袋、膝掛けなども、取り扱っておりますが。」
「は、はい?」
「・・・・・そうだね、この人が言う通り、ディスティアとルキウスには、緑の方が似合うかも。」
「弟さんもそう言っていらっしゃいますし、如何しますか?」
「あ、じゃ、お願いします。
 あと、ですね・・・・・」
店員・ハイミスのマシンガンセールトークと、宵颯の後押しで、そのポンチョコートに決める。
帽子やすそに、白いフェイクファーが取り外しができ、短いようで、きちんと暖かいそんなコートだ。
そのあと、夏用の服を幾つかと、サンダルなど、それなりに買っていたようだった。
優しそうで、幸せそうな、そんな表情をしていた。
そんなディスティアを宵颯は、眺めていた。
よくは、覚えてないけど、「オカアサン」も、こんな風に、「宵颯」が大切で、生まれて来て嬉しかったのかな?と、思っていた。
「(もう、時間、残ってないのにな。
  ・・・・・・・なんで、今更、こんな気持ちになるんだろう。
  シアワセになるには、もう血で汚れ過ぎてるのに。)」
「・・て、いて、宵颯?」
「あ、うん。
 お会計終ったの?」
「うん、本屋よるけど、宵颯、欲しいのある?」
暗い仄い思考に、落ちかけていた宵颯。
ディスティアの声で、それから引き上げられた。
何でも無いように、答えたかったようだけれど、少し声がうわずってしまったかも知れない。
それでも、こう言う。
店から出て、九階にある本屋に移動する為、エレベータを待ちながら。
「喰いタンか、おせんの最新刊出てたと思う。あと、ジョジョの文庫版の22巻も欲しいな。
 榮太郎のとこで、21巻までしか読んでないから。」
「そう、あ、喰いタンは、アルトが買ってたと思うわ。」
「・・・・なら、貸してもらう。」
「あと、ジョジョは、エヴァが持ってると思うけど。」
「・・・・・・・・嫌だ。
 エヴァは、僕を嫌ってるよ?」
「ま、たしかにね。
 でも、誤解は解けたんだし、大丈夫だと思うわ?」
などなど。
そして、最後に、六月下旬から、時乃学園に通う為に、制服の採寸をして、帰路に付いたのだった。







@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@


ユア:ちょいと、毛色の違う一遍。
久遠:07’ラストの投稿かしら?
ユア:そーですね。
   一応、予告と時期がズレたこの話。
久遠:でも、投稿していない話の中じゃ、一番年の瀬向きよね?
ユア:うん、他のは、或る意味、きったはっただの、過去の因縁がはっきりするとか。
久遠:ややこしいものねぇ。
ユア:ともあれ、皆様。
二人:良いお年を。
   そして、来年もよろしくお願いします。
   では、また次回。

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18421家族の写真 ACT95 過去との対峙十叶 夕海 2008/1/12 16:58:57
記事番号18362へのコメント




「はい、《デザートストーム》ですが」
『こんばんはー、《影の語り部》』
「死ね。」
五月某日午後六時頃。
《デザートストーム》に、一本の電話が掛かって来た。
いつもその時間は、閑古鳥が泣くのに、その日に限って、盛況だった。
半分は、暴走族の面々だが、翌日に某巨大タイトルゲームが発売される為か、近くの玩具屋に数時間後に並ぶ為の面々が残り半分だ。
紫苑と、運悪く来ていた【烈雅】の総長・大須賀春陽と初代総長の薬袋大命とその妻が、てんてこ舞いで、給仕していた。
飲み物ならともかく、軽食は、エイレンしか作れないのだ,このメンバーでは。
其処に電話が掛かって来たのだ。
しかも、ささくれ立った感情で、相手にしたくないヤツだったので、罵声一つ浴びせかけて、電話を切った。
数時間後に、再び、電話が鳴った。
「はい、《デザートストーム》ですが。」
『こんばんは、《影の語り部》。』
「・・・・・・なんで、わざわざ、店の方にするのかな?
 一応、息の根止められたい?」
『滅相も無い。
 僕が望むのは、君との会話だよ。』
「正確に言えば、《影の語り部》だよ。
 ・・・・・・・・・六月二日に来い。
 休業にして、紫苑も追っ払っておこう。
 そのかわり、誰も連れても付いても、来させないで。」
『了解、んじゃ、その日の・・・・・うん、三時位に行くから、お茶菓子よろしくねー。』
こうして、二十四年前に、殺し殺された相手が、再び邂逅するのだった。
塩味風味のクッキーのような味の再開になるのだろうか。




  ACT95 過去との対峙




「こんにちは、《影の語り部》。」
「こんにちは。
 一応、殺し合いはしなかったけど、そう言う目的で来た人。
 もしくは、これから、殺し合いをするのに、本当に来るとは思ってなかったけれど?」
六月二日の三時少し前。
紫苑に休みをあげ、休日の札をかけた《デザートストーム》にその人は来た。
金髪のハイティーンのようなラフな服装の青年だ。
あくまで、青年の態度は、親しげだ。
しかし、淡いタコイーズブルーの前開きのワンピース姿のエイレンは、苦い表情だ。
それこそ、苦虫をグロス単位で、噛み潰したようなそんな表情だ。
「ん?だって、本格的に、そうなる前に,会いたかったもん。」
「だからと言ってな・・・・。
 とにかく,上がれ、外から見られても厄介だ。」
「ありがと、《影の語り部》。」
「エイレンだ。
 お前が、アベルでなく、カインのようにな。」
「んじゃ、ありがと、エイレン。」
ともあれ、二人は、居住区の三階に、カインを招き入れる。
ダイニングのソファに、カインをおいて、エイレンはお茶を入れる用意をする。
ちなみに、お茶受けは、エイレン手製のシュークリームだ。
中身のクリームを栗の渋皮煮を裏ごしして、クリーム仕立てにしたモノだ。
エイレン秘蔵の渋皮煮である。
もちろん、普通のカスタードと生クリームの物も作ってある。
「わぁ、シュークリームだ。」
「やっぱり、変わってないんだね。プロフィトールが好きなの。」
「うん、だって。
 シュークリームは、人間の英知の結晶といっても良いくらいだよ?
 ここだけは、アベルと被っても、譲れないね。」
それを出すと、子どものように喜んだカイン。
昔から、甘い物が好きで、それをセシルやゼオン、ジェラルドにからかわれていた。
ある意味で、エイレンにとっては、あの時期の事は、深い深い傷になっている。
思い出したくもないようなことだ。
自分が、《影の語り部》の記憶が蘇って、混乱したからと言って、当時の《片眼王》アベルと《戦乙女》セシルを殺したのは、後悔しても仕切れない。
もちろん、そのせいで、相方だったジェラルドが死んだのも、後悔している。
でも、それ以上に、ジェラルドと同じように「兄」や「姉」と慕っていた二人を殺した事実が、胸を重くするのだ。
子どものように・・・カインがカインとして生まれてからでも・・・口を汚しながら、幸せそうに頬張る。
逆に、それが、エイレンには、哀しいのだ。
「で、何を話したいの?」
「これから、どうするの?」
「質問を質問で返さないで欲しいな。」
「でも、実際それが用件と言えば用件だよ。」
「・・・・・・何をどうと?
 もう、対《C.C.》の筆頭格として、登録されてるでしょ、そっちのデータベースに。」
哀しいと思う感情をエイレンは、封じ込め、《占札ノ使鬼姫》としての顔で、返す。
冷たい冷たい氷で出来た「顔」で、返す。
しかし、それを意に介さず、カインは、あくまで朗らかに返すのだった。
ある意味で、対称的だ。
でも、此処ではっきりさせておきたい事がある。
カイン・・・・・・いや、あえて、アベルと呼ぼう。
アベルは、決して、エイレンを苦しめに来たわけではない。
むしろ、これ以上本格的になれば、それぞれのしらがみでろくにゆっくり話せなくなるから、そう思って来たのだ。
「されてるけど。
 それと、君の意思に何の関係があるのかな?」
「・・・・・・このままの立場を貫くさ。
 ただ、《御伽噺》を廻し続ける為に。」
「或る意味、それは俺にとって、一番困るけど。
 でも、エイレンを止める資格は僕にはない。
 《片眼王》は、ある程度、《語り部》・・・《道化師》の作為に気付いていたけれどそれでも、《戦乙女》を手に入れたいだけに放置したんだもの。」
「・・・・・・・・・・《片眼王》、僕が、《御伽噺》を廻すのを邪魔すれば、殺すよ。
 滅ぼすのではなく、殺すよ?」
その時、エイレンの口から、彼女のややハスキーなメゾソプラノではなく、やや低い少年の声が、もれていた。
カインには、それが、《影の語り部》本人の声だとわかった。
《御伽噺の幽霊》でありながら、《御伽噺の幽霊》ではない、少年の姿をした存在の声だった。
「おや、本人から・・・《影の語り部》から、忠告とはね。
 解ったよ。
 ・・・・・・・・・・でも、エイレン、それは頻繁なのかい?」
「最近は、ね。
 私自身の時間はあんまり残ってないから、これが、私が私として、《御伽噺》に関われる最後の機会だ。
 きっちり、廻す。
 父を、《道化師》を殺させはしないさ。」
「おお、怖い。」
「思っていないヤツの、『怖い』って言葉ほど、白ける物は無いと思わない?」
「そうかな。」
あくまで、日常的な歓談の雰囲気を保つ二人。
それこそ、実年齢も相まって、年上の従姉に会いに来た青年がをハイミスの従姉が歓迎していると言う雰囲気だ。
話の内容も、同じネットゲームで交流していて、それについて離していると言う事にも取れる。
意外と、従姉弟同士でも、ネトゲの知り合い同士だとそうなることがあるのだ。
しかし、エイレンが、次の言葉を口にし始めたときから、雰囲気が変わる。
「でもね、私の・・・いえ、《影の語り部》の覚悟が変わらないのを知っていたのに、来るのは愚策だろうさ。
 ・・・・・・・レナード!!」
「はっ。」
変わりきった時、エイレンは短く、使鬼の一人の名前を呼ぶ。
レナードは、フルネームを『レナード=M=レンテンローズ』と言い、氷のような水色の直髪を幅広の黒いリボンでまとめ、アイスグリーンの瞳はうさんくさいようなそんな色を宿している、『丈夫』の花言葉の花の名前をファミリーネームに持つ、図書館の司書風の男。
その彼が、エイレンの影から、飛び出す。
そして、カインの後ろ・・・・・戸棚の前の方に、武器の細い刀身の短剣を貫き刺す。
音も無く、白い印象の女性が、現れたかと思えば、絶命し、その遺体は消えた。
初めから何も無かったように、だ。
「マスター、エルに追跡調査を命じますか?」
「あ、うん、徹底的にって。」
「御心のままに。」
女性を仕留めたレナードは、主にその後の指示を受け、とっとと別室にあるパソコン室へ向かう。
そこにいるエモーションに、指示を伝え、その補佐をする為なのだろう。
最後まで見届けずに、エイレンは、底冷えのする声でこう聞いた。
「あのふざけた物はなんのかな?」
「あぁ、Dr.ヴァイスんとこのだろうさ。」
「なるほど、DIVAシリーズね。
 一応、マリオンシリーズの片がついたから、始まったシリーズか。
 人間ってのは、おぞましいと思わない、《片眼王》?」
「確かにね、未だ表に出ているクローン研究の方が、倫理問題なんかがあるけど、余程健全だ。
 皮肉にも、と言う感じではあるけれどね。」
「ああ、少なくとも、表のクローン研究者は、死者の墓を暴かないしね。
 死者の眠りは、安寧であってこそ、死者の眠りなのにね。
 わざわざ、墓を暴いてまで欲しい物なのかな、元《御伽噺の幽霊》を」
「僕としても、そう言われると、いたたまれないね。
 オリジナルの僕は、死者として墓に入っていてもおかしくないだろうに。」
「・・・・・・なんにせよ。
 通常のクローンも、大概、短命だけど、遺体すら残さず、消えた事から察するに。
 科学と魔術なのかな、うん、それで無理矢理固定していたような物なのかな。」
「酷い、とか言わないのだね。」
「うん?
 思うけれど、そういう馬鹿には、実力の方が良い。」
「んじゃ、DIVAシリーズが、誰を模したモノなのか、知ってるんだ?」
「《歌乙女》・・・でしょ?
 あれくらいの能力者は、普通のコピーライトしても、劣化しやすいんだけどね。」
つらつらと、何でも無いように話すが、先ほどの「監視役」の女性は、《歌乙女》のコピーらしい。
もちろん、今代の《歌乙女》ディスティア=ヴァリードではない。
先代以前の墓を暴き、遺体から採取された遺伝子を使っているのだろう。
そこまでして、《C.C.》のゼオンは、親友夫婦を蘇らせたいのだ。
《歌乙女》の能力は有用だけれど、その思考は邪魔だと言うように。
「それで、言ったはずだけど、余計なの、連れても付いても来させないでって。」
「これは、不可抗力だろ?」
「・・・・・・じゃ、Dr.に言っておいて、私のところに直接やらせるなら、一個師団を用意しろってね。
 そっちが、徹底的に悪いって言う風に情報操作されたくないならね。」
「はいはい、一応、うちは嫌われてるからね。
 これ以上、戦力が集中されると困るしね。」
それが、予想の範疇だと言うように、会話をする。
その短い会話で、今まで聞かれていて、尚かつ、向こうに送られている情報を破棄させることを約束させる。
「で、こっちから、もう一つ質問良いかな?」
「なに?」
「なんで、《黒猫》が、こっち来るの?」
「ああ、今日、そっちに到着だっけ?」
「うん、僕が居ないから、多分、反《C.C.》のリーダーになってると思う。」
「さぁ、としか言いようが無いよ。
 《黒猫》は、損得とか義理とかで動く人間じゃないから。」
「そんじゃ、何で動くの?」
「あの人の論理。
 五年位前に、大切な奴らを失ってからは、イタリアを抜けること自体、かなり珍しい事だよ。」
今、ロンドンの本部にいるであろう、知り合いの《黒猫》のコトを話題にする。
カイン、正確に言えば、《C.C.》としても、ダメもとでオファーをした裏稼業の一人だ。
ここ数年は、イタリアを出たこと自体、三年前のレイティスの葬式を含め、数回しか無い。
それに、レイティスの葬式に出た事から解る通り、どちらかと言えば、反《C.C.》サイドの人間なのだ。
少なくとも、心情的には。
それでも、エイレンには、一つだけ、そうじゃ無いかと思う事柄がある。
彼女は、自分が出来なかった事を、誰かに成し終えて欲しいから、動くのではないかと言う事だ。
「そーだよね。
 ま、ともかく、聞く事聞いたし、そろそろ、さようならって感じかな。」
「うん。
 敵に言う事じゃないけど、後悔だけはするなよ。」
「もっちろん。
 シュークリームごちそうさま。」
そう言って、カインは、エイレンの家を出ていった。
あくまで、従姉の家から帰る、一青年と言った風情だ。
「たぶん、会いに行くんだろうけどね。」
そう呟くと、エイレンは、手早く召喚術式を展開し、久遠を喚び出した。
最悪、と言わなくても、十回会ったら、八回、殺し合いになりそうになるだろうから、そうなったら、止めるように、指示を出した。
「え〜、闘い止めるの?
 ツマンナ〜イ、ツマンナイ。」
「今、戦うとマズいのは解るでしょうが。」
「解ってるって。
 でも、アルトくん、記憶戻ってない?」
「否定する要素は、残念ながら、少ないね。」
「ま、お姉さんが、止めて来るわね〜。」
そう言って、赤紫色の髪を翻して、久遠は張り込み?をする為に、掻き消えた。




ともあれ、カインは、誰に会いにいくのか。
それは、愛の為なのか。
それは、憎の為なのか。
まだ、それは不明なのだけれど。





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ユア:新年一発目から、ドロドロしております。
久遠:自分から言う事じゃないと思うの、おねえさん。
ユア:ま、某連続ドラマも、少し前まで、ドロドロのドロドロでしたし?
久遠:・・・ユアちゃん。
   たしか、この後、二話組が、三つあるわよね?
ユア:正確に言えば、これが、二話組で。
   残り二つが、或る意味で、四話一組なんですよね。
久遠:設定と伏線の確認だろうけど。
   どろどろというか、微妙に暗いわよね。
ユア:そうなんですよね。
   ファイル名「電脳三人娘」まで、微妙に明るく無い。
久遠:次のお話・・・は、ラブコメと言えば、ラブコメかしらね。
二人:では、また次回。

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18423家族の写真 ACT96 夜陰来訪十叶 夕海 2008/1/30 04:15:42
記事番号18362へのコメント





「こんばんは、《戦乙女》。」
「・・・・・・・・・・・・・・・最近の《御伽噺の幽霊》の間で、夜這が流行ってるんですか?」
エイレンとカインが、ちょっとシリアスな会話をした夕方より、数時間後、日付が変わった頃だ。
アリエス=ラーナのマンション、しかも、寝室に、カインは居た。
寝るところだったのだろう、淡い水色のハイウェストでゆったりとしたの上衣とホットパンツタイプのパジャマ姿のアリエス。
彼女のベッド側に立っていたカイン
ナチュラルに、挨拶され、驚きつつ、げんなりとした様子で、枕元に凍らせた水のペットボトルをサイドボードに置き、そう言った。
「流行ってるって、前にも居たの?」
「三週間ほど前に、アルトくんが、です。
 押し倒されて、キスもされましたが。」
さらりと、アリエスは言う。
内心では、その時の事を思い出して、心臓がばくばく言っている。
それに、面白くないカイン。
想い人の《戦乙女》のサクランボのような唇を寄りに寄って、《妖鳳王》に奪われてると言うのは、カインにとっては、怒り心頭なのだ。
ガキらしくあほらしいと言うかもしれないけれど。
それでも、彼の彼たる寄る辺なのだ。
「・・・で、何の用か知りませんが、今日は帰ってくれませんか?
 一応、優等生で通ってますんで、遅刻するわけにも行かないんですよ。」
カインを避けて、そう言いながら、アリエスは足をベッドに入れる。
警戒らしい警戒はしていない。
一応、枕元に、サバイバルナイフを隠しては居るが、それでも、体制的に不利は変わりない。
「うん、無警戒だね、《戦乙女》?」
「私は、《戦乙女》ではなく、アリエ・・・・・・」
振れようとして来た手を払いのけながら、アリエスは、言葉を続けようとしたのだけれど、出来なった。
というより、言わせてもらえなかった。
軽く軽く触れる程度だったけれど、キスをされてしまった。
おまけに、押し倒された形になる。
「・・・・・・・このまま、最後まで、イッちゃう?」
冗談混じりに、そうカインが、アリエスを押し倒した状態で、言ったのだ。
アリエスは、しばらくほうけていたが、感情が戻っていくと同時に、涙をぽろぽろと流していく。
「うっ、うぇうっ、うっ、うえっ・・・・・・・・・ぐじゅ。」
しかも、普段のクールビューティぶりは、何処へやら、アリエスは,押し倒されて、手首を工作されたまま、ぐしぐし泣いている。
見られたくないと言うのがあるのか、じたばたもがいているが。
驚いて反応できないとはいえ、カインは歴とした成人男子。
びくともしない。
「うわわぁっ、ごめん。
 ごめん、泣かないで、ってか、泣きやんで。」
「うぇ・・・いきなり、いきなり・・・・・・・キスなんて。」
「いやね、可愛かったからつい。」
とりあえず、手を離して、平謝りのカイン。
腕で目元を覆って、まだ泣くアリエス。
しどろもどろに、言い訳をするが・・・・・・・可愛くても、キスしていいのは、動物と幼稚園児までである。
嫌がれば、その限りでもないし。
「ってか、お嬢を泣かすな、《C.C.》カイン=ディラストル。」
そう言って、まだ、ベッドの上にいて、アリエスに平謝りをしていたカインをサイドボードに置いてあった凍ったミネラルウォーターのペットボドルで、思い切り殴った人物がいた。
赤と白の炎色が同居する腰までありそうな長くウェービーな髪と闇夜に映える瞳は、イタズラ猫のようなエメラルドだった。
少年にも女性にもとれる中性的な容貌で、黒いハイネックの袖無しヘソ出しのぴったりとしたシャツとタイトで、スリットの深い同色のロングスカート姿をしていた。
正式名称:ルース=フェルシング=リュナン=ティアラ=シアネット=アランシア
略式名称:ルーティア。
アリエスの師匠で大切な人だったレイティスが作ったプログラムだ。
今は、女性の姿に外見を固定している。
「とっと、失せてくれるかな、カイン。
 いわゆるあれだ。
 小便を済ませたか?
 カミサマにお祈りは?
 部屋の隅で、がたがた震えて、命乞いの準備はOK?
 命惜しければ、とっとと去ね。」
アリエスを背に庇いながら、カインにそう言い捨てる。
殴り倒されたことによって、床とキスをしていたカインは、起き上がった後しばしの沈黙を護る。
そして、こう言った。
「命乞いはする気はないけれど。
 無理矢理手に入れるのは趣味じゃないしね。
 また、ね、アリエス。」
そう言って、カインは、来た時同様に、何処へとも無く消えた。
それを見届けると、ルーティアは、アリエスに振り返る。
「大丈夫、アリエス様。」
「うぇ、うっ・・・・アルトくんのは嫌じゃなかったのに。
 ・・・・・あの人・・・・・のは、とっても嫌だった。」
「大丈夫、もうアイツはいないから。」
余程怖かったのか、覗き込んで来たルーティアをアリエスは、引き寄せる。
ルーティアは、体重をかけないように、気をつけながら、彼女にされるがままにされている。
涙声すら、上がっていないが、声は途切れ途切れで、やや身体もふるえていた。
添い寝をするように、アリエスの横に、ルーティアは、潜り込んだ。
「(イイコだよね。
  レイティス様は、僕にアリエス様を会わせないようにして来たのも、少し解るかな。
  僕って、純粋培養の裏稼業専門だもん。)」
と言う事をつらつら考えつつ、背中をさする。
良くも悪くも、実体があってもなくても、感覚の問題として、ルーティアの手は、血に染まっている。
だから、レイティスは、三年前の新年早々、ディスティアにルーティアを預けたのだ。
でも、だからこそだろうか、ルーティアは、アリエスに守ってくれる人が出てくるまで、自分が彼女を守りたいと思う。
普段は、クールビューティどころか、コールドとまで言われるけれど、年相応の16歳の少女の面も、持ち合わせてるのだ。
「すー、すー。」
そのうちに、アリエスは、微かな寝息を立て始める。
しかし、その右手は、しっかりとルーティアを握りしめている。
彼女は、嘆息一つ、「このまま、朝まで添い寝かな」と自身も、瞼を閉じた。












ルーティアに追い払われた後、カインは、すぐ近くの別のマンションの屋上に降り立っていた。
そこに、やや遅れて、青いウィンドブレイカーの人影が現れる。
「あはははは、カイン、もとい、《C.C.》の《嫉妬(エンヴィー)》。
 よくも、アリエスさんを泣かせたね。
 ぶっ殺す!!」
妙に、ハイテンションな、アルト=ヴァリード、もとい、《魔導師(マジスタ)ラビ》だった。
おまけに、式神の黎夜から、自身の『重力操作』に相性のいい、風と水の能力を借りて来たのか、バチンバチンとデンジャーな音がしている。
三つの能力の合成と言う事は、ようは、シンクロトロンを雷で作ったといっても良いのだろう。
簡潔に言えば、雷のビーム砲だ。
おまけに言えば、アルミ缶を何個か持っているようだ。
ある意味で、80uの店舗を個数分吹き飛ばせる爆弾を所有しているに等しい。
なぜなら、能力を調整すれば、アルミ製品は、充分な爆弾・・・・虚空爆破を起こせるのだ。
「でも、ラビくんも、《戦乙女》にキスしたでしょ?
 あの怖いお姉さんの言葉借りるなら、二回も。」
「嫌がられてない。
 でも、お前は、泣かせたんだ。
 万事に値する。
 骨も残してやんない。」
能力を右手に持ったアルミ缶に集中し始める。
重力子(グラビドン)の数ではなく、運動を促してやる。
ノリとしては、ゆで卵を電子レンジで作ろうとしているのに近い。
それの速度を順々に上げ、上がりきりまき散らす前に、『重力』で、アルトの手から弾かれ、カインに向かっていく。
「うわ、危な。
 というか、ラビくん。
 裏稼業の原則、忘れてるでしょ〜。」
「うっさい。」
当然、カインは避ける。
当然、それは、ビルを破壊する。
しかし、運良く、廃ビルだったので、死傷者はいない模様。
この後は、ビルからビルへ、とんとん、飛ぶ移り、最終的に、一週間ほど前に、アルティアがカイヤと再会した集積場まで、移動した。
それは、ある意味で、奇しくも、とでも言うべきだろうか。
カイヤが、アルティアに愛情を向けた場所で。
アルトが、カインに、憎しみを向けているのだ。
「ここなら、思い切りやれるでしょ?」
「うわ、黒い。
 黒いよ、ラビくん。」
アルトは、又無言で、アルミ缶爆弾を作成する。
そして、カインに放つ。
今度は、囲むように雷ビーム・・・もとい、シンクロトロンから光の帯を放ちながらだ。
しかし、つまり、文字通り袋のネズミなのだ。
「・・・・過剰なまでに、囲むってことは覚えているんだ。
 だけど、《片眼王》の能力は忘れてるみたいだね。」
しかし、余裕を崩さず、カインは、ナイフと言うには長く、かといって、ショートソードと言うには、少々短い、刃物を喚び出したか、作り出したかをした。
突然現れたと言う事をのぞけば、同じモノを見つけるのも難しくないそんな害そうのはモノだった。
それをすらっと、雷ビームを断ち切るような軌道で、一周させ、その軌道のままにアルミ缶爆弾に突き刺した。
次の瞬間、爆発する事無く、アルミ缶は消えた。
防がれたと言うよりも、無効化/中和されたといっても良い。
「くっ。」
「くすくす、思い出したみたいだね?
 《虚影・無幻》のこと。
 これを出した僕に、君も、誰も、《歌乙女》も勝てないよ?」
「何でだ!?
 おかしい、《御伽噺》の時は・・・・・
 だけど、能力は・・・・・」
「《御伽噺》の《片眼王》と《歌乙女》の最後の闘いを言っているんだったら。
 あれは、彼女の僕への思いのせめてもの返礼だよ。」
これで、或る意味、アルトのカインへの攻撃の手段は封じられたといっても良いだろう。
《虚空・無幻》は、攻撃・・・自分へ向けられたものを何か手に持てる得物の延長線上という限定ながら、無かった事にされてしまうのだ。
それに、そう出なくても、能力以外の武器は、素手しかないアルトには、ピンチなのだ。
しかし、ピンチだからこそ、やらねばならぬとでもいうように、アルトは、地面を蹴る。
二人が、重なるその直前。
アルトは、殴り掛かろうとし。
カインは、その拳を消そうとし。
しかし、それはならなかった。
赤紫色の髪で、新宿二丁目歌舞伎町が似合いそうな人が、アルトの拳を受け止め、カインの手首を掴んでいる。
「はっぁい。
 ラビちゃんに、カインちゃんも、おイタはダメよ?」
笑顔で、朗らかに。
少なくとも、状況さえ、違えば、十分に、心和むような微笑みだ。
しかし、もう一度言おう。
ガチンコ勝負のアルトとカインの間に入って、あまつさえ、止めているのだ。
ただの、女言葉な九十九神ではないのだ。
「くっ、くくく、久遠さん。」
「あ、あの時のボスの元・刀の人。」
「刀の人って。
 正確には、剣のようなモノだし。
 それに、ラビちゃんの、今の仲間の前で、昔のご主人様のお話しないで頂戴な。」
あくまで、調子を崩さず、久遠は話す。
体勢さえ気にしなければ、昔の男の話を出された若奥様的な微笑みだ。
そこで、やっとカインとアルトは、久遠の手を逃れ、距離を取った。
しかし、睨み合うのは、止めない。
「んもう、ラビちゃん、カインちゃん。
 今の状況理解してるの?
 してるなら、組織に組み込まれた以上、従いなさい。
 今は、時期じゃないのも、知っているでしょう?」
久遠は、乙女チック擬音「ぷんぷん」が似合いそうな雰囲気でそう言った。
一応、主・エイレンの命令でもあるのだが、久遠も、此処十数年は、裏稼業の「人間」として、生きていた経験上、そうだと言えるのだ。
「はいはい。
 一応ね、《戦乙女》にも会えたし、帰るね。
 こんどは、最期まで殺り合おうね、ラビ。」
そういうと、カインは、あっさりと歩み去る。
普通は、「最後まで、戦り合おうね。」的な台詞なのだろうが、微妙に違って聞こえた。
ともあれ、カインが、完全に視界から消えると、アルトは、ふぅと力を抜いた。
「で、なんで、久遠さんがいるの?」
「情報提供があったの。
 ともかく、もうすぐ夜が明けちゃうわ。
 今日は土曜日だっていっても、ディスちゃん起こしにくるんじゃないの?」
「マズっ。
 ごめん、久遠さん、俺帰る。」
「くすくす。
 それじゃあね。」
急ぐように、文字通り、人間リニアモーターカーになったアルトは、すぐに見えなくなる。
あの分では、三分も走れば、家に着くだろう。
ちなみに、ヴァリード家より,自動車で約三十分ほどの距離ではあるが。
白み始め、冷たい朝の空気を吸いながら、久遠はこう言った。
「う〜ん、今日もいい日になりそうね」







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ユア:最後の締めが、思い切り、話とか見合っていない気が、するのは私だけでしょうか?
久遠:あら、いい日になりそうだから、いい日になりそうって言ったのよ?
ユア:ええと、ま、このお話は、一応、16歳のアリエス嬢。
   復讐に身を焦がしていようと、16歳は16歳かと思いまして。
久遠:そうよねぇ、好きでもない人とちゅーなんて、泣きたくなっちゃうわ。
ユア:その加害者になりそうな人が言う台詞ではないと思うのですが?
久遠:ユアちゃん?
ユア:と、ともあれ、また次回で。
久遠:次回もお楽しみにね〜。