◆−甘き死よ、来たれ(ゼロフィリ……)−貸与宇宙(8/14-00:29)No.2032
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2032甘き死よ、来たれ(ゼロフィリ……)貸与宇宙 8/14-00:29


ものすごく恥ずかしいのですが、初投稿です。
 
    *     *    

 指先が触れあった瞬間、そこから激痛が走る。もともと相容れぬもの、それだけではない。
 彼女の想い、自分自身の想い、それらが彼を内側から破壊する。
 うずくまる彼を、心配そうな目でのぞき込む。いや、事情を悟ったのか、気遣うだけでなく悔いるような青い瞳。
 少なくとも、彼女は壊れる程の苦痛を味わってはいない。
 安心すると同時に、視界が遠のく。
 まだ離れたくないと思う、それが滅びを促す。
 それ程に異質な感情。
(滅び……たく……ない)
 生きる事を望む者は死に、死ぬ事を望む者は生きるという。
 滅びを願っていた頃は意識せずとも存在を保てたのに、生きたいと願う事が滅びを招くとは何と皮肉なことか。
 
 彼女と出会って、初めて感情らしい感情を知った気がする。
 怒りや喜びや、……。
 そして生きるという事も。だがそのどれもが、本来の仕組みには反したもの。

 ふいに気分が楽になる。
(奇跡……? そんな莫迦な。しかし……)
 彼は起き上がった。
 種族の名と同じ色の長い髪、白い衣に青いリボン。視線があって目をそらそうとする彼女に、軽く首を横に振って微笑む。
「あなたのせいじゃありませんよ」
 そっと手に触れ、それから強く握り締める。そこから拡がる甘い痛み。先刻に比べればひどく微かな、それでも少しずつ蝕まれていくのを感じる。
 いつか自分は滅びるだろうと、彼は感じた。
 何千年後か、何万年後か。
 ただそれが今ではない事に感謝した。奇跡を起こした何者か、あるいは運命に。
 彼女らがいくら長命といえど、生きとし生けるものはいずれ死ぬ。彼女を失って永遠に存在し続けるより、きっと幸せだと思った。
 心地よい痛み。こうして一緒にいたい。
 今はまだ。

     *     *

 相当後悔しています……。
 1997年7月公開の映画『THE END OF EVANGELION』のテーマソング(?)の日本語原詞がゼロスとフィリアに似合っているかもと思い、つい書いてしまいました。
 歌詞を引用しようかとも思いましたが、著作権は? とか思ってやめました。
 タイトルはそのまま、です。   
 
 
 

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2047人間のように感じられた……葉夢 E-mail 8/16-03:40
記事番号2032へのコメント

 初投稿、おめでとうございます! 葉夢です!

 この話は曲をもとにして作られたんですね。
 どんな曲か私は知らないのですが、話を読んでいるとそうとうピッタリの歌詞みたいですね。
 魔族にも生きたいという願いがあるんですね。
 ゼロスが人間のように感じられました。

 短くってすみません。
 また次も書いて下さいね。
 それでは!